JP2004105519A - ゲル状芳香・消臭剤組成物 - Google Patents

ゲル状芳香・消臭剤組成物 Download PDF

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【課題】リモネンを揮散溶剤として使用する油性ゲル状芳香・消臭剤において、ゲルの保型安定性と、芳香・消臭成分の揮散性の改善されたゲル状芳香・消臭剤組成物を提供すること。
【解決手段】リモネンを8〜97重量%、ゲル化剤を1〜20重量%および香料および/または消臭成分を0.5〜87重量%の割合で含有するゲル状芳香・消臭剤組成物であって、保型安定剤および/または揮散向上剤としてスチレン系熱可塑性エラストマーを含有してなることを特徴とするゲル状芳香・消臭剤組成物。
【選択図】 なし

Description

【発明が属する技術分野】
【0001】
本発明は、ゲル状芳香・消臭剤組成物に関し、更に詳しくは、持続性及び安定性にも優れた芳香バランス性を示し、且つ、ゲルの保型安定性に優れたゲル状芳香・消臭剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ゲル状芳香・消臭剤組成物は室内芳香剤等として用いられている。リモネンなどを揮散溶剤とする油性ゲル状芳香剤のゲル化剤としては、例えば、ステアリン酸ナトリウム(特許文献1、特許文献2参照)、ジベンジリデンソルビトール(特許文献3参照)、オクチル酸アルミニウム(特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7参照)、脂肪酸塩(特許文献8参照)、硬化ヒマシ油(特許文献9参照)などが提案されている。
【0003】
また、スチレン系熱可塑性エラストマーを油性ゲル状芳香剤のゲル化剤として使用することに関しても提案されている(特許文献10、特許文献11、特許文献12参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開昭55−75493号公報
【特許文献2】
特公昭57−50502号公報
【特許文献3】
特開昭60−41967号公報
【特許文献4】
特開平1−320063号公報
【特許文献5】
特開平3−9758号公報
【特許文献6】
特開平10−43282号公報
【特許文献7】
特開2001−46482号公報
【特許文献8】
特開平7−299127号公報
【特許文献9】
特開2002−65826号公報
【特許文献10】
特開昭62−249652号公報
【特許文献11】
特開昭62−249653号公報
【特許文献12】
特公平5−63184号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、リモネンを揮散溶剤として使用する油性ゲル状芳香・消臭剤において、上記したステアリン酸ナトリウムなどの脂肪酸塩、金属石鹸、硬化ヒマシ油などをゲル化剤として使用した場合、使用途中でゲルが脆くなりゲルが壊れやすくなって美観を損ねたり、また、使用途中で芳香・消臭成分の揮散度が落ち、揮散コントロールができないなどの問題があった。また、リモネンを揮散溶剤として使用する油性ゲル状芳香・消臭剤において、スチレン系熱可塑性エラストマーを使用した場合には、ゲルが固まらないなどの問題があり、さらなる改善が求められていた。
【0006】
従って、本発明の目的は、リモネンを揮散溶剤として使用する油性ゲル状芳香・消臭剤において、ゲルの保型安定性と、芳香・消臭成分の揮散性の改善されたゲル状芳香・消臭剤組成物を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは鋭意検討を行った結果、リモネンを揮散溶剤として使用するゲル状芳香・消臭剤組成物において、脂肪酸塩、金属石鹸、硬化ヒマシ油などのゲル化剤とともに、保型安定剤および/または揮散向上剤としてスチレン系熱可塑性エラストマーを配合することにより、上記課題を一挙に解決できることを見出し本発明を完成するに至った。
【0008】
かくして、本発明は、リモネンを8〜97重量%、ゲル化剤を1〜20重量%および香料および/または消臭成分を0.5〜87重量%の割合で含有するゲル状芳香・消臭剤組成物であって、保型安定剤および/または揮散向上剤としてスチレン系熱可塑性エラストマーを含有してなることを特徴とするゲル状芳香・消臭剤組成物を提供するものである。
【0009】
以下、本発明のゲル状芳香・消臭剤組成物についてさらに詳細に説明する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のゲル状芳香・消臭剤組成物は、揮散溶剤としてリモネンを含む。リモネンの配合割合は、ゲル状芳香・消臭剤組成物の全体量を基準として8〜97重量%、好ましくは10〜95重量%である。本発明のゲル状芳香・消臭剤の揮散溶剤としては、リモネン以外に、ゲルの保型性、揮散安定性に影響を及ぼさない範囲内で、例えば、リモネン以外のテルペン系炭化水素、イソパラフィン系炭化水素、ノルマルパラフィン系炭化水素、3−メトキシ−3−メチルブタノールなどのアルコール類、グリコール類、グリコールエーテル類などを配合することもできる。
【0011】
本発明に使用されるゲル化剤としては、特に制限されず、通常使用されているゲル化剤を使用することができ、例えば、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ベヘニン酸ナトリウムなどのC12〜C24高級脂肪酸のナトリウム塩などの脂肪酸塩;12−ヒドロキシステアリン酸、ヒドロキシパルミチン酸などの脂肪酸;オクチル酸アルミニウム、およびC12〜C24高級脂肪酸アルミニウムの混合物などの金属石鹸;硬化ヒマシ油、ベンジリデンソルビトールなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上の混合物を例示することができる。特に好ましくは、硬化ヒマシ油、ステアリン酸ナトリウム、オクチル酸アルミニウムを例示することができる。ゲル化剤の使用量は、ゲル状芳香・消臭剤組成物の全体量を基準として1〜20重量%、好ましくは2〜15重量%である。
【0012】
本発明のゲル状芳香・消臭剤組成物は、香料および/または消臭成分を含む。香料成分としては、天然および合成の広い範囲の香料を利用することができる。そのような香料成分の例としては、例えば、レモン油、オレンジ油、ベルガモット油、イランイラン油、パチョリ油、シトロネラ油、レモングラス油、ボアドローズ油、チョウジ油、ユーカリ油、セダー油、ビャクダン油、ベチバー油、ゼラニウム油、ペパーミント油、ローズ油、ジャスミン油など、更にはこれら天然精油から分離されたリモネン、ゲラニオール、シトロネロール、リナロールなどの如き天然源植物精油及びその単離香料類;ムスク、シベット、アンバーグリス、カストリウムなどの如き天然源動物性香料類;バニリン、メントール、シンナミックアルデヒド、ヘリオトロピン、リナロール、ゲラニオール、シトロネロール、シトラール、ミルセン、ミルセノール、アニスアルデヒド、シネオール、イオノン、ピネン、リモネン、カンフェン、シス−3−ヘキセノール、ベンジルアルコール、α−アミルシンナミックアルコール、オイゲノール、リナリルアセテート、ベンジルアセテートなどの如き合成香料;これらの各種精油乃至香料の少なくとも二種を配合した調合香料;などの各種の香料成分を例示することができる。なお、香料成分の溶剤として、イソパラフィン、ノルマルパラフィン、ジプロピレングリコール(DPG)、ジエチルフタレート(DEP)、エチルカルビトールを用いることもできる。
【0013】
また、消臭成分としては、例えば、ラウリルメタアクリレート、ゲラニルクロトネートクロロフィルの如き化学的消臭剤を例示することができる。
【0014】
上記した香料および/または消臭成分の配合割合は、ゲル状芳香・消臭剤組成物の全体量を基準として0.5〜87重量%、好ましくは1〜80重量%である。
【0015】
本発明のゲル状芳香・消臭剤組成物は、上記したリモネン、ゲル化剤、香料および/または消臭成分に、保型安定剤および/または揮散向上剤としてスチレン系熱可塑性エラストマーを配合することにより、ゲルの保型安定性、揮散性を改善することができる。
【0016】
本発明に使用されるスチレン系熱可塑性エラストマーは、常温下では加硫ゴムの、高温下では普通の熱可塑性樹脂の特性を示す熱可塑性エラストマーの一種であり、硬質相にポリスチレンブロック、軟質相にゴムブロックを持ち、ポリスチレン部分が物理架橋を形成して橋かけ点になっているブロック共重合体である。ゴムブロックとしてはポリオレフィンもしくは水素添加されたポリオレフィンなどがあり、具体的にはポリブタジエン、ポリイソプレン、そして水素添加型のポリエチレン/ブチレン、ポリエチレン/プロピレンが挙げられる。ブロック共重合体には、ジブロック、トリブロック、マルチブロックなどの種類がある。これらのスチレン系熱可塑性エラストマーは市場で容易に入手することができ、例えば、「クレイトンG」(シェル化学社製の商品名)、「セプトン4033」(クラレ社製の商品名)などを挙げることができる。
【0017】
上記したスチレン系熱可塑性エラストマーの配合割合は、使用するゲル化剤などの種類により異なり一概には言えないが、通常、ゲル状芳香・消臭剤組成物の全体量を基準として0.1〜15重量%、好ましくは0.2〜10重量%である。0.1重量%未満では芳香バランス性や保型性に難点が生じ、15重量%を超える量ではスチレン系熱可塑性エラストマーによるゲル化がおこり、良好なゲルが得られない。
【0018】
本発明のゲル状芳香・消臭剤組成物には、さらに、他の添加剤として、例えば、パラジクロールベンゼン、ナフタリン、カンフアーの如き防虫剤;オルトフェニルフェノール、安息香酸、サリチル酸、イソプロピルメチルフェノールの如き防腐・殺菌剤;BHA、BHTなどの抗酸化剤;アセトキシフェニルブタノン、メチルオイゲノールの如き誘引、忌避剤;色素等を配合例示することもできる。
【0019】
上記のように、本発明のゲル状芳香・消臭剤組成物は、ゲルの保型安定性と、芳香・消臭成分の揮散性の改善されるなどの優れた諸性質を示し、車内、船舶内、トイレ内、浴場内、居室内などの室内芳香・消臭剤として、更には固型香水、固型芳香・消臭塗布剤、ポマンダーなどの香粧品として、その他広い分野において有用である。
【0020】
以下実施例により本発明の実施の態様をさらに具体的に説明する。
【0021】
【実施例】
実施例1、2および比較例1
下記表1に記載した配合割合にて、常法により実施例1、2および比較例1のゲル状芳香・消臭剤組成物を作製した。なお、数値は全て重量%である。
【0022】
【表1】
表1:配合割合
Figure 2004105519
【0023】
※1ヒマ硬P:硬化ヒマシ油(川研ファインケミカル社製の商品名)
※2セプトン4033:スチレン系熱可塑性エラストマー(クラレ社製の商品名)
※3ライム#4543:長谷川香料社製のシトラス系香料
(ゲルの状態および揮散量の変化)
上記配合割合で調製したそれぞれの組成物をプルトップ缶(直径65mm×高さ30mm)に40g充填し、開缶後、経時的なゲルの状態変化および揮散重量の変化を観察し、その結果を表2および図1に示す。なお、表2の評価は以下の基準で示す。
【0024】
◎:ゲルの状態が最も良好
○:ゲルの状態が良好
△:ゲルの状態がやや不良
×:ゲルの状態が不良
【0025】
【表2】
表2:ゲルの状態変化
Figure 2004105519
【0026】
比較例1では、14日目あたりからゲルのヒビ割れがみられたが、実施例1および2ではヒビ割れはおこらず美観的に優れていた。
【0027】
また、図1に示したように実施例1および2では、開缶後から安定的な揮散量の変化が見られたが、比較例1では、7日目までは揮散量が大きくなり、その後はあまり揮散しない傾向が見られた。
【0028】
実施例3および比較例2
下記表3に記載した配合割合にて、常法により実施例3および比較例2のゲル状芳香・消臭剤組成物を作製した。なお、数値は全て重量%である。
【0029】
【表3】
表3:配合割合
Figure 2004105519
【0030】
※4ノンサールSN−1:ステアリン酸ナトリウム(日本油脂社製の商品名)
(ゲルの状態および揮散量の変化)
上記配合割合で調製したそれぞれの組成物をプルトップ缶(直径65mm×高さ30mm)に40g充填し、開缶後、経時的なゲルの状態変化および揮散重量の変化を観察し、その結果を表4および図2に示す。なお、表4の評価は前記と同じ基準で示す。
【0031】
【表4】
表4:ゲルの状態変化
Figure 2004105519
【0032】
比較例2では、14日目あたりからゲル揮散面の収縮が大きく、ゲルの変形が見られたが、実施例3では揮散面の収縮は小さく、変形も小さかった。
【0033】
また、図2に示したように実施例3では、開缶後から安定的な揮散量の変化が見られたが、比較例2では、15日目あたりから揮散量の減少が見られた。
【0034】
実施例4および比較例3
下記表5に記載した配合割合にて、常法により実施例4および比較例3のゲル状芳香・消臭剤組成物を作製した。なお、数値は全て重量%である。
【0035】
【表5】
表5:配合割合
Figure 2004105519
【0036】
※5ゲル化剤T:脂肪酸アルミニウム(生研化学社製の商品名)
※6IPソルヘ゛ント−1620:イソパラフィン(出光石油化学社製の商品名)
(ゲルの状態および揮散量の変化)
上記配合割合で調製したそれぞれの組成物をプルトップ缶(直径65mm×高さ30mm)に40g充填し、開缶後、経時的なゲルの状態変化および揮散重量の変化を観察し、その結果を表6および図3に示す。なお、表6の評価は前記と同じ基準で示す。
【0037】
【表6】
表6:ゲルの状態変化
Figure 2004105519
【0038】
比較例3では、開館直後からゲルの保型性悪く、14日目あたりからゲルが固化する傾向が見られたが、実施例4ではゲルの保型性を維持していた。
【0039】
また、図3に示したよう実施例4では開缶後から安定的な揮散量の変化が見られたが、比較例3では7日目あたりから揮散量の減少が見られた。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、リモネンを揮散溶剤として使用する油性ゲル状芳香・消臭剤において、ゲルの保型安定性と、芳香・消臭成分の揮散性の改善されたゲル状芳香・消臭剤組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1、2および比較例1のゲル状芳香・消臭剤の経日的な揮散量の変化を示す図である。
【図2】実施例3および比較例2のゲル状芳香・消臭剤の経日的な揮散量の変化を示す図である。
【図3】実施例4および比較例3のゲル状芳香・消臭剤の経日的な揮散量の変化を示す図である。

Claims (2)

  1. リモネンを8〜97重量%、ゲル化剤を1〜20重量%および香料および/または消臭成分を0.5〜87重量%の割合で含有するゲル状芳香・消臭剤組成物であって、保型安定剤および/または揮散向上剤としてスチレン系熱可塑性エラストマーを含有してなることを特徴とするゲル状芳香・消臭剤組成物。
  2. ゲル状芳香・消臭剤組成物の全体量あたり、スチレン系熱可塑性エラストマーを0.1〜15重量%含有してなることを特徴とする請求項1記載のゲル状芳香・消臭剤組成物。
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