JP6283342B2 - 水中油型ゲル状組成物および水中油型ゲル状組成物の悪臭の除去性を向上させる方法 - Google Patents

水中油型ゲル状組成物および水中油型ゲル状組成物の悪臭の除去性を向上させる方法 Download PDF

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Description

本発明は、悪臭を除去又は低減することのできる水中油型ゲル状組成物および水中油型ゲル状組成物の悪臭の除去性を向上させる方法に関する。
近年、住宅やビル等の人の居住空間で発生する様々な臭気(悪臭)を効果的に除去又は低減するニーズが高まっている。また、衣類、絨毯、カーテン、ソファー等の繊維製品に付着した悪臭を除去又は低減したり、繊維製品から悪臭が発生するのを防止したりすることが求められている。これら繊維製品に付着する臭気としては、例えば、タバコ臭、汗臭、調理臭等があり、このような臭気を除去、低減する方法が提案されている。
一般的に、悪臭を除去又は低減する方法として、例えば、芳香剤や香料等を用いて悪臭をマスキングする方法や、消臭剤の成分と反応させて消臭効果を発揮させる方法、活性炭等の吸着剤を用いて悪臭を吸着、脱臭する方法等が用いられている。
また、その形態としては、液状剤、ゲル状剤、スプレー剤等が挙げられる。
例えば、特許文献1には、固形担持体に、(a)沸点300℃未満の低沸点香料成分を80質量%以上含有する芳香成分を担持せしめた薬剤担持体と、(b)沸点200℃未満の水溶性溶剤及び/又は水を含有する溶液を組み合わせてなる噴霧用消臭・芳香剤が開示されている。
特許文献2には、(a)総炭素数6〜18の炭化水素基を有するグリセリルエーテル、(b)水溶性香料、(c)水溶性電解質0.1〜5質量%、(d)エタノール0.5質量%以上、水80質量%以上を含有し、〔(a)成分+(b)成分〕/(c)成分の質量比が1/99〜50/50である消臭剤組成物を、スプレータイプの容器に充填してなるスプレー式消臭剤が開示されている。
また、特許文献3には、2−エチルヘキサン酸アルミニウムと、香料と、炭素数が1〜18の脂肪族1級アルコールとを含有する透明油性ゲル状芳香消臭剤組成物が開示されている。
特開2008−194446号公報 特開2007−289221号公報 特開2005−80792号公報
このように悪臭除去に対する関心が高まる中、室内等に存在する悪臭や、衣類、絨毯、カーテン、ソファー等の繊維製品に付着した悪臭をさらに良好に除去又は低減し得る技術の開発が望まれている。
したがって、本発明の目的は上記課題を解決し、従来よりも良好に悪臭を除去又は低減し得る組成物及び該組成物における悪臭の除去性を向上させる方法を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、水中油型のゲル状剤において、前記ゲル状剤の光透過率を特定値以下とすることにより、悪臭に適用した際に優れた悪臭の除去又は低減効果が発揮されることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は以下の(1)〜(4)によって達成される。
(1)悪臭を除去又は低減するための水中油型ゲル状組成物であって、油性成分、親水性ゲル化剤及び界面活性剤を含有し、波長600nmにおける光透過率が10%以下であることを特徴とする水中油型ゲル状組成物。
(2)前記界面活性剤の含有量が、組成物中0.1〜2質量%であることを特徴とする前記(1)に記載の水中油型ゲル状組成物。
(3)前記油性成分が、油性芳香成分であることを特徴とする前項(1)又は(2)に記載の水中油型ゲル状組成物。
(4)油性成分、親水性ゲル化剤及び界面活性剤を含有する水中油型ゲル状組成物の、波長600nmにおける光透過率を10%以下とすることを特徴とする水中油型ゲル状組成物の悪臭の除去性を向上させる方法。
本発明の水中油型ゲル状組成物は、悪臭の発生した空間、例えば、リビングや寝室、台所、トイレ、クローゼット、オフィス等の室内に設置することで優れた悪臭の除去又は低減効果を発揮することができる。また、組成物中に油性芳香成分を含有させることで、悪臭のマスキング効果が発揮され、対象空間や衣類等に好ましい芳香を付与することができる。本発明の水中油型ゲル状組成物は、特に衣類等の繊維製品に付着した悪臭を良好に除去又は低減することができる。
また、本発明の水中油型ゲル状組成物の悪臭の除去性を向上させる方法により、水中油型ゲル状組成物の悪臭に対する除去又は低減効果をさらに高めることができる。
試験例1で行った官能評価(快不快度)の結果を示すグラフである。 試験例1で行った官能評価(タバコの臭気強度)の結果を示すグラフである。 試験例2で行った官能評価(快不快度)の結果を示すグラフである。 試験例2で行った官能評価(タバコの臭気強度)の結果を示すグラフである。 試験例3で行った官能評価(快不快度)の結果を示すグラフである。 試験例3で行った官能評価(タバコの臭気強度)の結果を示すグラフである。
以下、本発明の水中油型ゲル状組成物及び水中油型ゲル状組成物の悪臭の除去性を向上させる方法について説明する。
なお、本発明において、「悪臭の除去又は低減」とは、悪臭の臭気強度が低減又は全くなくなる状態を意味するものであり、消臭の効果やマスキングの効果も含むものである。
本発明の水中油型ゲル状組成物は、油性成分、親水性ゲル化剤及び界面活性剤を含有し、波長600nmにおける光透過率が10%以下であることを特徴とする。前記ゲル状組成物は、三次元網目構造を有し、効率的に悪臭をトラップすることができる。さらに本発明においては、波長600nmにおける光透過率が10%以下であるので、油性成分が比較的大きな粒子径でゲル状組成物中に分散されているため、ゲル状組成物中の水と油性成分の両方が効率的に悪臭と接触しやすくなり、さらに揮散性の成分はゲル中から効率的に放出されやすくなり、油性の悪臭成分に対しても水性の悪臭成分に対しても優れた除去又は低減効果を発揮できると推測される。
油性成分は、上記したように、悪臭に対して作用を及ぼすものであり、例えば、精油類、油脂類、ロウ類、炭化水素類、高級脂肪酸類、高級アルコール類、エステル類、シリコーン油類等を挙げることができる。
精油類としては、例えば、ローズオイル、ジャスミンオイル、パーチェリーオイル、カーネーションオイル、ミントオイル、オレンジオイル、ベルガモットオイル、ベチェバオイル、スペアミントオイル、ユーカリオイル、リセアキュベバオイル、ハッカオイル、レモングラスオイル、ローズマリーオイル、ラベンダーオイル、レモンオイル、セダーオイル、パインオイル、ティートリーオイル、カッシャオイル、イランイランオイル、ゼラニウムオイル、シトロネラーオイル、ういきょう油、松葉油、テレピン油、アニス油、橙皮油、丁子油、白檀油、樟脳油、ひのき油、カラムス油、ヘノポジ油、オコチア油、スパイク油、カヤプテ油、シダーウッド油等の油性芳香成分が挙げられる。また、これらの油性芳香成分に含まれるメントール、フィトンチッド、リモネン、ピネン、アネトール、カルボン、シネオール、ターピネオール、オイゲノール、ヒノキチオール、リナロール、サフロール、セドレン、アザロン、ゲラニオール、シトロネラール等も用いることができる。
油脂類としては、例えば、大豆油、ヌカ油、ホホバ油、アボガド油、アーモンド油、オリーブ油、カカオ油、ゴマ油、パーシック油、ヒマシ油、ヤシ油等の天然油脂、これらの天然油脂を水素添加して得られる硬化油及びミリスチン酸グリセリド、2−エチルヘキサン酸トリグリセリド等の合成トリグリセリド等が挙げられる。
ロウ類としては、例えば、カルナバロウ、ミツロウ、ラノリン等が挙げられる。
炭化水素類としては、例えば、流動パラフィン、ワセリン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、スクワラン、ブリスタン等が挙げられる。
高級脂肪酸類としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ラノリン酸、イソステアリン酸等が挙げられる。
高級アルコール類としては、例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ラノリンアルコール、コレステロール、2−ヘキシルデカノール等が挙げられる。
エステル類としては、例えば、オクタン酸セチル、オクタン酸トリグリセライド、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、アジピン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸デシル、イソステアリン酸コレステロール、POEソルビット脂肪酸エステル等が挙げられる。
シリコーン油類としては、例えば、ジメチルポリシロキサン等が挙げられる。
これらの油性成分は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明においては、これらの油性成分のうち、悪臭をマスキングする効果を有する油性芳香成分を用いることが好ましく、特に、スペアミントオイル、ペパーミントオイル、ハッカオイル、ユーカリオイル、リセアキュベバオイル、レモングラスオイル、ローズマリーオイル、ラベンダーオイル、ピネン、カルボン等を使用することが好ましい。
油性成分の含有量は、本発明の水中油型ゲル状組成物中、0.1〜20質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましい。油性成分の含有量が前記範囲であると、水中油型ゲル状組成物の保形性を良好に保つとともに、界面活性剤の種類と含有量を調整することで、水中油型ゲル状組成物の波長600nmにおける光透過率が10%以下となり、本発明の効果を得やすいため好ましい。また、油性芳香成分を用いる場合は、前記範囲の含有量で用いることにより、悪臭の低減と共に悪臭をマスキングする効果も発揮され、対象空間や衣類等に好ましい芳香を付与することができる。
親水性ゲル化剤は、本発明の水中油型ゲル状組成物を構成する液体成分をゲル化するために用いられる。親水性ゲル化剤は水系ゲルを構成するためのゲル化剤であり、例えば、寒天、カラギーナン、ローカストビーンガム、グアーガム、アラビアガム、ゼラチン、ペクチン、デンプン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、これらの親水性ゲル化剤と乳酸塩(ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等)のようなゲル化助剤を併用することで、ゲル状組成物の保形性を向上させると共に、離水性を低減させることができる。
本発明において、親水性ゲル化剤としてカラギーナンを主としたものが好ましく、さらに乳酸塩を併用したものがより好ましい。具体的には、カラギーナンに乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、乳酸マグネシウム、乳酸カルシウム等を併用することが好ましい。
親水性ゲル化剤の含有量は、本発明の水中油型ゲル状組成物中、0.1〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。親水性ゲル化剤の含有量が前記範囲であると、水中油型ゲル状組成物の保形性を良好に保つとともに、油性成分の悪臭との接触や、揮散性の成分の空気中への放出を妨げることがない。
界面活性剤としては、公知の界面活性剤であればいずれのものも使用でき、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸グリセリン、脂肪酸ソルビタン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、脂肪酸ポリエチレングリコール、脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレンセカンダリーアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油エーテル等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸石鹸、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルベタインアミンオキサイド、第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
これらの界面活性剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明においては、これらの界面活性剤のうち、非イオン性界面活性剤を用いることが好ましく、特に、ポリオキシエチレンセカンダリーアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油エーテル等を使用することが好ましい。
界面活性剤の含有量は、本発明の水中油型ゲル状組成物中、0.1〜2質量%が好ましく、0.3〜1.5質量%がより好ましい。界面活性剤の含有量が前記範囲であると、油性成分の種類と含有量を調整することで、水中油型ゲル状組成物の波長600nmにおける光透過率が10%以下となり、本発明の効果を得やすいため好ましい。
本発明の水中油型ゲル状組成物は、さらに消臭剤及び脱臭剤のうちの少なくとも1種を含有することが好ましい。消臭剤及び/又は脱臭剤を含有させることにより、悪臭の除去効果が更に高まり、悪臭を速やかに除去することができる。
消臭剤としては、植物由来の抽出物(植物抽出物)を用いることができ、植物抽出物としては、例えば、茶、笹、ヨモギ、シソ、柿等の抽出成分、あるいは人工合成品が挙げられる。脱臭剤としては活性炭等が挙げられる。消臭剤、脱臭剤はそれぞれ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
消臭剤及び脱臭剤のうちの少なくとも1種は、本発明の効果を妨げない範囲で含有することができる。例えば、水中油型ゲル状組成物中、0.1質量%以上含有すればよく、含有量の上限は任意である。
また、本発明の水中油型ゲル状組成物には、必要に応じて保湿剤、防腐剤、酸化防止剤、分散補助剤、消泡剤、防虫剤、色素、紫外線吸収剤等の各種添加剤を配合することもできる。
保湿剤としては、例えば、グリセリン、ポリエチレングリコール、スクワレン、スクワラン、ソルビトール、マルチトール、キシリトール、エリスリトール、乳酸ナトリウム、PCAナトリウム、砂糖(ショ糖)、はちみつ、メープルシロップ、アガペシロップ、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、及びヒアルロン酸ナトリウム等が挙げられる。
防腐剤としては、例えば、イソチアゾリン誘導体、安息香酸、安息香酸塩、サリチル酸、サリチル酸塩、フェノール、ソルビン酸、ソルビン酸塩、パラオキシ安息香酸エステル、クロルクレゾール、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸塩、レゾルシン、ヘキサクロロフェン、イソプロピルメチルフェノール、オルトフェニルフェノール、塩化ベンザルコニウム、塩酸クロルヘキシジン、ビサボロール、ハロカルバン、トリクロロカルバニド、グルコン酸クロルヘキシジン、臭化アルキルイソキノリニウム、フェノキシエタノール及び塩酸アルキルジアミノエチルグリシン等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、4,4−ジヒドロキシジフェニル、トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン等のフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤等が挙げられる。
分散補助剤としては、例えば、アルコール(エタノール、メタノール等)、グリセリン、流動パラフィン等が挙げられる。
消泡剤としては、例えば、シリコーン系化合物等が挙げられる。
防虫剤としては、例えば、エムペントリン、プロフルトリン、トランスフルトリン、メトフルトリン、フェノトリン、アレスリン、ピレトリン、ビフェントリン、フェンプロパトリン、パラジクロルベンゼン、樟脳、ナフタレン、トリオキサン等が挙げられる。
色素としては、例えば、赤色2号、赤色3号、赤色40号、赤色102号、赤色105号、赤色106号、赤色203号、黄色4号、黄色5号、青色1号、青色2号等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、p−アミノ安息香酸誘導体、ケイ皮酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体、サリチル酸誘導体等が挙げられる。
本発明の組成物を水中油型のゲル状とするには、例えば、上記油性成分を有機溶剤(炭化水素系溶剤等)と混合して溶液とし、該溶液を上記界面活性剤と共に水に加えてO/Wエマルション(水中油型エマルション)とし、このO/Wエマルションに上記親水性ゲル化剤を添加してゲル状とする方法が挙げられる。水中油型ゲル状組成物の調製は、常温で行ってもよいが、乳化の効率化の観点から混合物を50〜90℃の温度に加熱するのが好ましい。なお、該方法は一つの例示であって、その製造方法は上記のものに限定されるものではない。
本発明の水中油型ゲル状組成物は、ゲル厚10mmの波長600nmにおける光透過率が10%以下であり、その外観は白濁を呈している。光透過率が10%以下であると、悪臭に対する除去効果が効果的に得られる。本発明において、上記光透過率は6%以下が好ましく、0.5%以下がより好ましい。
本発明において、光透過率は、光路長10mmのセルに入れたゲルを、分光光度計(Multiskan G0(Thermo Scientific社))を用い、イオン交換水(25℃)をコントロールとして測定波長600nmにて吸光度を測定し、得られた吸光度より光透過率を算出することにより求められる。なお、セルへのゲルの投入方法は、ゲル化前の組成物の溶融混合液(例えば50℃)をセルに入れ、その後冷却し、セル中でゲルを形成する方法が挙げられる。
波長600nmの吸光度はLambert−Beerの法則より、下記演算式(1)となり、式(1)より、波長600nmの光透過率は下記演算式(2)より算出できる。
A=−logT ・・・(1)
T=10−A ・・・(2)
(式(1)、(2)中、Aは吸光度、Tは光透過率である。)
なお、本発明において、上記ゲル状組成物の光透過率を10%以下にするためには、配合される成分の種類や含有量を適宜調整すればよい。例えば、油性成分に対する界面活性剤の配合量を調整する方法、界面活性剤の種類を調整する方法、油性成分の種類を調整する方法等が挙げられる。
また、本発明の水中油型ゲル状組成物の悪臭の除去性を向上させる方法によれば、上記で説明した水中油型ゲル状組成物の波長600nmにおける光透過率を10%以下に設定しているので、前記ゲル状組成物における悪臭の除去性を向上させることができる。
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
<試験例1>
(実施例1)
表1に示す配合処方に従い、混合釜に精製水、カラギーナン、ローカストビーンガム及び乳酸カルシウムを加えて50〜90℃で加熱混合し、濃グリセリン、続いて油性芳香成分と界面活性剤(ポリオキシエチレンセカンダリーアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油エーテル)を加えて溶融混合液を得た。その後、溶融混合液を室温で冷却することにより、ゲル状組成物を作製した。
(比較例1)
表1に示す配合処方に従い、混合釜に油性芳香成分、界面活性剤(ポリオキシエチレンセカンダリーアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油エーテル)と濃グリセリン、精製水を加えて約50℃で加熱混合し、溶融混合液を得た。
Figure 0006283342
実施例1と比較例1について、波長600nmにおける吸光度と光透過率を求めた。なお、透過率の測定方法は以下の通りである。結果を表2に示す。
<1>透過率の測定
実施例1については光路長10mmのセルにゲル化前の溶融混合液(50℃)を入れ、冷却しゲル化したものを準備し、比較例1については光路長10mmのセルに溶融混合液(常温)を入れたものを準備した。分光光度計(Multiskan G0(商品名、Thermo Scientific社製))を用いて、測定波長600nmにて吸光度を測定した。なお、コントロールはイオン交換水(25℃)を用いた。
波長600nmの吸光度(A)は、Lambert−Beerの法則より、下記演算式(1)となり、式(1)より、波長600nmの光透過率を下記演算式(2)より算出した。
A=−logT ・・・(1)
T=10−A ・・・(2)
(式(1)、(2)中、Aは吸光度、Tは光透過率である。)
また、実施例1のゲル状組成物及び比較例1の溶融混合液を用いて、下記方法により悪臭除去効果を試験した。結果を表2及び図1、2に示す。
<2−1>実施例1のゲル状組成物に対する悪臭除去効果試験
JIS染色堅牢度試験用として規定されている布帛(綿、サイズ:10cm×10cm)を準備し、模擬タバコ臭200μLを前記布帛に滴下することにより、布帛に悪臭としてのタバコ臭を付着させた。
45リットルの容積を有する密閉可能な収納容器内に実施例1のゲル状組成物を9g設置し、さらに上記の模擬タバコ臭を付着させた布帛を該組成物に触れないように該収納容器内に設置し、4.5時間静置した。その後、収納容器から布帛を取り出した。
また、コントロールとして、収納容器内に悪臭を付着させた布帛のみを設置し、4.5時間静置した後、収納容器から布帛を取り出した。
10名のパネラーにそれぞれの布帛の臭いを嗅いでもらい、快不快度とタバコ臭の臭気強度を下記評価基準に基づき官能評価した。評価結果は10名のパネラーの平均値で求めた。
<<快不快度とタバコ臭の臭気強度の評価基準>>
〔快不快度〕
4:極端に快
3:非常に快
2:快
1:やや快
0:快でも不快でもない
−1:やや不快
−2:不快
−3:非常に不快
−4:極端に不快
〔タバコ臭の臭気強度〕
0:無臭
1:やっと感知できるにおい
2:何のにおいであるか分かるにおい
3:楽に感知できるにおい
4:強いにおい
5:強烈なにおい
コントロールの評価点に比べて、快不快度が1.5点以上高くかつ臭気強度が1.5点以上低い場合を悪臭除去効果あり「○」、快不快度と臭気強度のいずれかまたは両方で1.5点以上の改善がみられない場合を「×」と評価した。
<2−2>比較例1の溶融混合液に対する悪臭除去効果試験>
JIS染色堅牢度試験用として規定されている布帛(綿、サイズ:10cm×10cm)を準備し、模擬タバコ臭200μLを前記布帛に滴下することにより、布帛に悪臭としてのタバコ臭を付着させた。
スプレー容器に比較例1の溶融混合液を充填し、スプレー剤を準備した。このスプレー剤を上記の模擬タバコ臭を付着させた布帛に噴霧して、布帛に溶融混合液を1.8g浸み込ませた。これを45リットルの容積を有する密閉可能な収納容器内に設置し、4.5時間静置した。その後、収納容器から布帛を取り出した。
また、コントロールとして、収納容器内に悪臭を付着させた布帛のみを設置し、4.5時間静置した後、収納容器から布帛を取り出した。
10名のパネラーにそれぞれの布帛の臭いを嗅いでもらい、快不快度とタバコ臭の臭気強度を上記評価基準に基づき官能評価した。評価結果は10名のパネラーの平均値で求めた。
コントロールの評価点に比べて、快不快度が1.5点以上高くかつ臭気強度が1.5点以上低い場合を悪臭除去効果あり「○」、快不快度と臭気強度のいずれかまたは両方で1.5点以上の改善がみられない場合を「×」と評価した。
Figure 0006283342
表2及び図1、2の結果より、ゲル状組成物とした実施例1は液剤型(スプレー剤)とした比較例1に比べて悪臭に対して優れた悪臭除去効果を有することがわかった。
<試験例2>
(実施例2〜3、比較例2〜3)
表3に示す配合処方に従い、混合釜に精製水、カラギーナン、ローカストビーンガム及び乳酸カルシウムを加えて50〜90℃で加熱混合し、消臭剤及び濃グリセリン、続いて油性芳香成分と界面活性剤(ポリオキシエチレンセカンダリーアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油エーテル)を加えて溶融混合液を得た。その後、溶融混合液を室温で冷却することにより、ゲル状組成物を作製した。
Figure 0006283342
試験例1の「<1>透過率の測定>」と同様にして波長600nmにおける吸光度と光透過率を求めた。結果を表4に示す。
また、各ゲル状組成物を用いて、下記方法により悪臭除去効果を試験した。結果を表4及び図3、4に示す。
<2−3>ゲル状組成物に対する悪臭除去効果試験
JIS染色堅牢度試験用として規定されている布帛(綿、サイズ:10cm×10cm)を準備し、模擬タバコ臭500μLを前記布帛に滴下することにより、布帛に悪臭としてのタバコ臭を付着させた。
45リットルの容積を有する密閉可能な収納容器内にゲル状組成物を9g設置し、さらに上記の模擬タバコ臭を付着させた布帛を該組成物に触れないように該収納容器内に設置し、4.5時間静置した。その後、収納容器から布帛を取り出した。
また、コントロールとして、収納容器内に悪臭を付着させた布帛のみを設置し、4.5時間静置した後、収納容器から布帛を取り出した。
10名のパネラーにそれぞれの布帛の臭いを嗅いでもらい、快不快度とタバコ臭の臭気強度を下記評価基準に基づき官能評価した。評価結果は10名のパネラーの平均値で求めた。
<<快不快度とタバコ臭の臭気強度の評価基準>>
〔快不快度〕
4:極端に快
3:非常に快
2:快
1:やや快
0:快でも不快でもない
−1:やや不快
−2:不快
−3:非常に不快
−4:極端に不快
〔タバコ臭の臭気強度〕
0:無臭
1:やっと感知できるにおい
2:何のにおいであるか分かるにおい
3:楽に感知できるにおい
4:強いにおい
5:強烈なにおい
コントロールの評価点に比べて、快不快度が2点以上高くかつ臭気強度が2点以上低い場合を悪臭除去効果あり「○」、快不快度と臭気強度のいずれかまたは両方で2点以上の改善がみられない場合を「×」と評価した。
Figure 0006283342
表4及び図3、4の結果より、ゲル状組成物の波長600nmの光透過率が10%以下である実施例2、3は、比較例2、3と比べてタバコ臭の不快さが改善され、かつタバコ臭の臭気強度も抑制され、悪臭に対する除去効果が高いことがわかった。
<試験例3>
(実施例4、比較例4)
表5に示す配合処方に従い、混合釜に精製水、カラギーナン、ローカストビーンガム及び乳酸カルシウムを加えて50〜90℃で加熱混合し、消臭剤及び濃グリセリン、続いて油性芳香成分と界面活性剤(ポリオキシエチレンセカンダリーアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油エーテル)を加えて溶融混合液を得た。その後、溶融混合液を室温で冷却することにより、ゲル状組成物を作製した。
Figure 0006283342
試験例1の「<1>透過率の測定」と同様にして波長600nmにおける吸光度と光透過率を求めた。結果を表6に示す。
また、各ゲル状組成物を用いて、試験例2の「<2−3>ゲル状組成物に対する悪臭除去効果試験」と同様にして悪臭除去効果を試験した。結果を表6及び図5、6に示す。
Figure 0006283342
表6及び図5、6の結果より、ゲル状組成物の波長600nmの光透過率が10%以下である実施例4は、比較例4と比べてタバコ臭の不快さが全くなく、かつタバコ臭の臭気強度もほぼ臭気を感じない程度に抑制されており、悪臭に対する除去効果が高いことがわかった。
以上の結果から、波長600nmにおける光透過率を特定範囲とした水中油型ゲル状組成物が、優れた悪臭の除去又は低減効果を発揮できることがわかった。なお、悪臭はタバコ臭に限らず、汗臭、加齢臭、焼肉臭、揚げ物臭、皮脂臭等でも同様に効果がある。

Claims (4)

  1. 悪臭を除去又は低減するための水中油型ゲル状組成物であって、
    油性成分、親水性ゲル化剤及び界面活性剤を含有し、
    波長600nmにおける光透過率が10%以下であることを特徴とする水中油型ゲル状組成物。
  2. 前記界面活性剤の含有量が、組成物中0.1〜2質量%であることを特徴とする請求項1に記載の水中油型ゲル状組成物。
  3. 前記油性成分が、油性芳香成分であることを特徴とする請求項1又は2に記載の水中油型ゲル状組成物。
  4. 油性成分、親水性ゲル化剤及び界面活性剤を含有する水中油型ゲル状組成物の、波長600nmにおける光透過率を10%以下とすることを特徴とする水中油型ゲル状組成物の悪臭の除去性を向上させる方法。
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