JP4439898B2 - 有機被膜洗浄液の再生装置及び再生方法並びに有機被膜の洗浄装置及び洗浄方法 - Google Patents

有機被膜洗浄液の再生装置及び再生方法並びに有機被膜の洗浄装置及び洗浄方法 Download PDF

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Description

本発明は、炭酸エチレンを有効成分とする洗浄液を用いた洗浄において、有機被膜が溶解することで汚染された洗浄液を浄化することができる有機被膜洗浄液の結晶化再生装置及び有機被膜洗浄液の結晶化再生方法に関する。さらに、それらを用いた有機被膜の洗浄装置、洗浄方法及び再生装置の結晶化手段として用いるのに適した炭酸エチレン結晶化装置に関する。
半導体ウェハの製造工程は、半導体ウェハ全面へのレジストの塗布等の様々な塗布工程を経て行われるものである。このとき、レジストの塗布は、スピンコーターによりウェハを回転しながらウェハ中央部に滴下されたレジストを遠心力により振り切って、所定の膜厚のレジスト膜をウェハ表面に形成することにより行われる。
スピンコート方式はレジスト塗布に限らず、SOG(Spin On Grass)膜を形成するSOG塗布等にも使用されている。すなわち、回転台に固定されたウェハを回転制御してウェハ中央部に滴下されたSOG液を振り切ることにより、レジスト塗布と同様に所定の膜厚のSOGを形成することができる。
このようなスピンコート方式においては、振り切った塗布材は、ドレーン用のカップ(スピンコーターカップ)に落ちて回収され、ドレーンから排出され他の処理槽へと導かれる。
しかし、上記いずれの塗布処理においても、これが繰り返されることによって、スピンコーターカップにはドレーンから排出されずに残留したレジストの堆積物が徐々に蓄積されていく。この堆積物が多くなると、ウェハ工程におけるパーティクルの影響が懸念される。そこで、メンテナンス時において、スピンコーターカップを洗浄し、残留した堆積物を除去する必要が生じ、エチレングリコールやシンナー系等の有機溶剤やオゾン水の供給による洗浄が行われている(例えば、特許文献1参照。)。
また、スピンコーターカップではなくウェハの洗浄に用いるものではあるが、同様にレジスト塗膜の剥離、除去を行うものとして、4−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−1−ブタノール又は4−メトキシ−1−ブタノールと3−メトキシ−1−ブタノールとの混合物からなる溶剤と、炭酸プロピレンとから構成されるフォトレジスト用剥離液組成物(例えば、特許文献2参照。)、40〜50容量%の炭酸エチレン等の非プロトン性・環状炭酸エステル、並びにエチレンジアセテート、エチレンジブチレート等のプロトン性極性化合物、さらにN−メチル−2−ピロリドン及びトリエタノールアミンを含む溶剤の超音波撹拌浴中でフォトレジストを除去する方法(例えば、特許文献3参照。)及びオゾンガスを溶解した処理液を用いて有機被膜を除去する方法として、炭酸エチレンと気体中のオゾンとの分配係数が室温で0.6以上であり、かつ、オゾンによって分解され難い1種または複数種混合の有機溶剤とを含む溶液を用いる方法(例えば、特許文献4参照。)が知られている。
これに対して、出願人は、炭酸エチレン又は炭酸プロピレン単独でも十分にレジストの剥離、除去を行うことができることを見出し、炭酸エチレンにより有機被膜を除去した後、溶解した有機被膜をオゾンによって低分子量物質に分解して、処理液として再生し循環使用する有機被膜の除去方法の特許出願を既に行っている(特願2002−229394)。
特開2002−205021号公報 特許第2679618号公報 米国特許第5690747号明細書 特開2003−282518号公報
そこで、本発明は、炭酸エチレンを有効成分とする洗浄液をレジスト剥離の溶剤として用いる際に、有機被膜を溶解することで汚染され低下した、炭酸エチレンの有機被膜を溶解する能力を再生し、炭酸エチレンを洗浄液として循環使用するものであって、オゾンを用いることなく行うことができる有機被膜洗浄液の結晶化再生方法及び有機被膜洗浄液の結晶化再生装置を提供することを目的とする。
本発明の有機被膜洗浄液の結晶化再生装置は、炭酸エチレンを有効成分とする洗浄液を収容する洗浄槽と、洗浄槽から移送された有機被膜を溶解した洗浄液を冷却して炭酸エチレン結晶を析出させる結晶化手段と、結晶化手段で得られた炭酸エチレンを加熱して液状にする加熱手段と、洗浄槽から結晶化手段及び加熱手段を経由して加熱手段により液化した炭酸エチレンを洗浄槽へ移送して循環させる循環手段とを有することを特徴とする。
本発明の有機被膜の洗浄装置は、請求項1乃至5のいずれか1項記載の有機被膜洗浄液の結晶化再生装置と、有機被膜洗浄液の結晶化再生装置で有機被膜を除去した後に洗浄液をすすぐための純水洗浄槽と、純水洗浄槽で洗浄した後に、付着した純水を乾燥させるための乾燥手段とを有することを特徴とする。
本発明の有機被膜洗浄液の結晶化再生方法は、炭酸エチレンを有効成分とする洗浄液で有機被膜を除去する洗浄工程と、洗浄工程により有機被膜を溶解した洗浄液を冷却することで炭酸エチレン結晶を析出させる結晶化工程と、結晶化工程で得られた炭酸エチレンを加熱して液状にする加熱工程と、洗浄工程で用いられ、結晶化工程及び加熱工程を経て、加熱工程により液化した炭酸エチレンを洗浄工程へと循環させる循環工程とを有することを特徴とする。
本発明の有機被膜の洗浄方法は、請求項8乃至13のいずれか1項記載の有機被膜洗浄液の結晶化再生方法における洗浄工程により有機被膜が除去された洗浄対象物を純水ですすぐことによって、付着した洗浄液を洗い流す純水洗浄工程と、純水洗浄工程で付着した水を蒸発、乾燥させる乾燥工程とを有することを特徴とする。
本発明の有機被膜洗浄液の結晶化再生装置及び結晶化再生方法によれば、洗浄対象物に付着している有機被膜を効率良く剥離、溶解することができ、この有機被膜を溶解して汚染された炭酸エチレンを結晶化して精製することで、炭酸エチレンの有機被膜を溶解する能力を再生することができる。これにより、洗浄作業を洗浄液の交換をせずに長時間連続的に行うことができる。
また、本発明の有機被膜の洗浄装置及び洗浄方法によれば、本発明の有機被膜の洗浄装置及び洗浄方法と同様の効果が得られると共に、洗浄液のすすぎ、乾燥までを一連の作業で行うことができる。
以下、本発明に係る有機被膜洗浄液の結晶化再生装置及び有機被膜洗浄液の結晶化再生方法について図面を参照しながら説明する。
[有機被膜洗浄液の結晶化再生装置及び結晶化再生方法]
(第1の実施形態)
図1は、本発明に係る有機被膜洗浄液の結晶化再生装置における第1の実施形態を示した概略図である。
本発明の有機被膜洗浄液の結晶化再生装置1は、炭酸エチレンを有効成分とする洗浄液2を収容する洗浄槽3と、洗浄槽3から移送された有機被膜を溶解した洗浄液2を冷却する結晶化手段4と、結晶化手段4から結晶として取り出された炭酸エチレンを加熱して液状にする加熱手段5と、洗浄槽3から結晶化手段4及び加熱手段5を経由し加熱手段5により液化した炭酸エチレンを洗浄槽3へ移送して循環させる循環手段6とから構成されるものである。なお、結晶化手段4によりレジスト含有残液のレジストが高濃度になった場合の残液を貯留するためのレジスト濃縮槽7が設けられている。
この有機被膜洗浄液の結晶化再生装置1に用いる洗浄槽3は、炭酸エチレンを有効成分とする洗浄液2を収容するものであり、この洗浄槽3に収容された洗浄液中に洗浄対象物を浸漬することによって洗浄対象物に付着している有機被膜の剥離・除去を行うものである。
また、このとき有機被膜の除去をより効率的に行うためには、洗浄対象物を洗浄液に浸漬しながら揺動したり、超音波を洗浄対象物に照射したりすることが好ましい。
図2は、洗浄対象物を入れる洗浄カゴを揺動する揺動装置の概念図を示したものである。揺動装置21は、図2に記載したように、洗浄液中に洗浄対象物を浸漬するための洗浄用カゴ22を保持する保持部23と、この保持部23と接続しており回転させることで洗浄用カゴ22を揺動することができるカム24とで構成されている。
また、超音波を照射する場合には、洗浄槽3の底面及び/又は側面に超音波振動子を配置し、洗浄槽3中の洗浄対象物に超音波を照射することが可能な構成とすればよい。
この有機被膜洗浄液の結晶化再生装置1に用いる結晶化手段4は、有機物を溶解した炭酸エチレンから炭酸エチレンを分離するために部分的に冷却を行うことができる結晶化手段であればよく、この結晶化手段をより具体的に示すと、例えば、図3及び図4のようにドラムにより洗浄液を冷却することでドラム表面に炭酸エチレンの結晶化を行うことができる結晶化手段が挙げられる。
図3は、本発明に用いる結晶化手段の構成の概要をより具体化して示した斜視図であり、図4は、そのドラムの軸方向から見た断面図である。
図3及び図4に示した結晶化手段41は、有機被膜の洗浄に使用した洗浄液を収容する洗浄液貯留槽411と、洗浄液貯留槽411に収容された洗浄液に一部が浸漬されるように配置され、それ自身を冷却することができる横型円筒形の回転可能なドラム412と、ドラム412の表面に接しておりドラム412表面に付着した炭酸エチレン結晶をかきとることができるスクレーパー413とで構成されている。また、このとき、洗浄液を液状に保つために洗浄液貯留槽411の底部を加熱するための加熱部を設けてもよい。
洗浄液貯留槽411は、有機被膜の洗浄に用いられ、洗浄槽3から移送された洗浄液を収容することができ、横型円筒形のドラム412と収容している洗浄液とを接触させることができるものであればどのような形状でもよいが、効果的にドラム412と洗浄液とを接触させることができる点から、ドラム412よりも一回り大きい横型円筒形をその円筒形の軸方向に半分に切断した、断面が半円形の容器であることが好ましく、これをドラム412に沿って配置すればよい。
ドラム412は、横型円筒形の外形をなし、その内部には冷却媒を有しており、ドラム自身が冷却される構成となっている。冷却媒はドラム内部を満たすものであれば限定されないが、液体であることが冷却効率や取扱いの容易さから好ましいものである。例えば、冷却水を冷却水導入口414から導入し、余分な冷却水は冷却水排出口415から排出して、冷却水を流しつづけることによって洗浄液を充分に冷却することが可能である。
スクレーパー413は、ドラム412が冷却されることによって、その表面に付着した炭酸エチレンの結晶をかきとるものであって、その一辺がドラムの表面に接するように、そしてドラムに接する辺から対向する辺に向かって低くなるように傾斜が設けられて配置される。このスクレーパー413でかきとられた結晶は、スクレーパー413の表面を傾斜に沿って転がり落ち、スクレーパーの端から落下する。落下した炭酸エチレン結晶は、液状の炭酸エチレンとされるべく加熱手段へと導入される。
結晶化手段4で得られた炭酸エチレン結晶は、これを融解するための加熱手段5により加熱されることにより液状の炭酸エチレンとなり、精製されて有機被膜の溶解能力が再生した炭酸エチレンとして、これを洗浄液に再利用することができるものである。
加熱手段5はヒーターを用いることにより達成することができ、加熱手段の温度は40〜80℃であることが好ましい。
また、結晶化手段4及び加熱手段5により一度結晶化して得られた炭酸エチレン液を、さらに結晶化手段4及び加熱手段5により結晶化、融解を行うことができるように構成すること、すなわち、結晶化手段及び加熱手段の組合せを複数組設けて連続的に結晶化、融解を繰返し行うことが、純度の高い結晶を得ることができる点で好ましい。
また、このときの結晶化手段により炭酸エチレンの結晶化は連続式でもバッチ式でもどちらで行っても良いが、炭酸エチレン結晶が取り除かれていくと、洗浄液は濃縮されて有機物の濃度が高くなっていくこととなるため洗浄液を連続的に供給して行うようにすることが好ましい。
本発明に用いる循環手段6は、洗浄槽3から結晶化手段4及び加熱手段5を経由して、加熱手段5により液化した炭酸エチレンを洗浄槽3へ移送して循環させるものであり、これにより洗浄槽3の洗浄液中に存在する炭酸エチレンは清浄されて洗浄槽3へ循環されることとなる。
この循環手段6は、洗浄槽3、結晶化手段4、加熱手段5、洗浄槽3の順番に炭酸エチレンが循環することができるように流れを作ることができるものであれば、循環経路のどの位置に配置されていてもよく、この循環を円滑に行うために複数設けても良い。
この液状の炭酸エチレンの流れを作る循環手段6としては、例えば、ポンプ等を挙げることができ、この循環手段6の作用により、加熱手段5により液化、再生された炭酸エチレンは、洗浄槽3に送り込まれて再び有機被膜の洗浄に用いられることとなる。
次に、この有機被膜洗浄液の結晶化再生装置を使用した有機被膜洗浄液の結晶化再生方法について説明する。
本発明の有機被膜洗浄液の結晶化再生方法においては、まず、炭酸エチレンを有効成分とする洗浄液2を収容した洗浄槽3に、洗浄対象物を浸漬し、該洗浄対象物に付着している有機被膜を除去する洗浄工程を行うものである。
本発明に用いる洗浄液2は、炭酸エチレンを有効成分とするものであり、炭酸エチレン単独で用いることが好ましく、レジストが溶解することにより炭酸エチレンの溶解能力が落ちていくため、炭酸エチレンを80質量%以上、レジスト成分を20質量%以下含有する範囲まで洗浄に用いることができる。
炭酸エチレンは、融点 36.4℃、沸点 238℃、引火点 160℃であり、易水溶性で、室温では無色無臭の比較的安定な固体であるが、加温により液状の非プロトン性極性溶媒として用いることができる物質である。沸点・引火点が高く、毒性が小さいこと、さらに消防法における危険物には指定されていないことから好ましいものである。
ここで用いる炭酸エチレン液は、芳香族炭化水素に対する溶解力が強いが、分子凝集エネルギー密度に関わる溶解パラメーター(SP値)が約14と大きく、理論上はSP値が揃うほど溶解しやすいとされているため、レジスト材料の高分子のSP値は10前後のものが多く、剥離用溶剤も似た値のもの、例えば、SP値11のNMPが使用されてきた。
しかし、本発明者らは、炭酸エチレン液が単独でも従来の剥離用溶剤と同程度又はそれ以上の剥離ができることを見出した。炭酸エチレン液の有機被膜に対する溶解作用は高温になるほど強くなり、引火点以下の温度であれば、安全に操作することができるし、不活性ガス中であれば、200℃程度の湿式処理でも何ら問題はなく、他の有機溶剤系レジスト除去剤に比し、70℃程度での蒸気圧は約1/10で、加熱処理での蒸発による液損失が少ないという利点がある。高温状態では、蒸発量がやや多くなるが、蒸気の毒性は非常に低いので特に問題とはならない。
例えば、代表的なポジ型フォトレジストであるノボラック系レジストは、クレゾールの重合体と多環芳香族で構成されているため、本発明の洗浄液を適用すれば、加熱によって溶解性を高めることができる。
加熱による有効な温度範囲は40〜200℃で、好ましくは引火点以下の60〜150℃である。処理条件が適当であれば20μm/分以上の剥離速度を容易に得ることができる。
湿式の剥離法では、従来その剥離処理が非常に難しかったBの1×1015/cmイオン注入で変質したノボラックレジスト膜すら、高温の炭酸エチレン液の浸漬処理によればかなり短時間で剥離することができる。例えば、1.5μmの厚さの膜が、120℃で70秒の炭酸エチレンの浸漬処理で剥離され、ドライエッチングで変質層を生じたレジストの場合も同様である。
また、処理温度が高い程、表面張力や粘度が下がり、超微細パターンデバイスでのレジスト剥離に適している。
の1×1014/cmイオン注入の膜では、厚さ1.5μmの剥離が、120℃の炭酸エチレン液への浸漬で5秒(剥離速度:18μm/分)、100℃浸漬で10秒(剥離速度:9μm/分)と極めて速い。強く変質したレジストの高温処理では、特に変質の激しい表層部以外の成分が容易に洗浄液に溶解し、溶解し難い変質成分は微小粒となって液に分散するという剥離機構が働く。分散した微小粒は炭酸エチレン液をオゾンガス通気処理することで完全に溶解できる。
この高温での溶解力は極めて大きいので、有機被膜を有する洗浄対象物を洗浄液に接触させるだけで溶解が直ちに始まる。溶解は一種の拡散現象で濃度差が大きいほどに速くなることから、洗浄槽中の洗浄液の対流によって、有機被膜を連続的に溶解し、溶解効果を高い状態で維持することができる。
上述の通り、液状炭酸エチレン液を用いると、レジスト膜等の有機被膜を有効に剥離・除去することができ、該処理後の洗浄液には、有機被膜由来の成分が溶解(及び分散)して含有されることとなる。
本洗浄工程においては、このように炭酸エチレン液の有機被膜を溶解する力が大きいため、洗浄対象物を浸漬したのみでも有機被膜を剥離・除去することが容易である。また、より効率的に有機被膜の剥離・除去を行うためには洗浄対象物を揺動したり、超音波を照射したりすればよい。
図2の揺動装置21の構成は既に説明したが、その動作は、カム24が回転することによって、保持手段23も円運動をはじめ、この保持手段23に接続している洗浄カゴ22もそれに伴い上下左右へと円を描きながら運動を行い、洗浄液2の中で洗浄カゴ22は揺動されて、洗浄カゴ22を浸漬するのみよりも効率的に有機被膜の剥離を行うことができるものである。
また、超音波を照射する場合には、超音波振動子、例えば、28kHz、300Wの超音波振動子を洗浄槽3の底面及び/又は側面に設けて、これにより超音波を洗浄対象物に照射することによって、洗浄対象物に付着している有機被膜に振動が与えられ、有機被膜の剥離を促進することができる。この有機被膜由来の成分が溶解した洗浄液2は、洗浄槽3から結晶化手段4へ移送され結晶化工程へ付される。
ここでの結晶化工程としては、図3及び図4に示した結晶化手段41を用いた場合について説明を行う。
結晶化工程における冷却は、洗浄槽3から洗浄液貯留槽411に移送された洗浄液2にドラム412の一部が浸漬されることで、その接触した部分から冷却されたドラム412が洗浄液2の熱を奪い、この熱がドラム内部の冷却媒に伝わることにより行われる。そのため、ドラム内を密閉したのでは冷却媒の温度が上昇して、時間が経つにつれて冷却機能が損なわれてしまうため、ドラムを常に冷却状態に保つ必要がある。
そこで、この結晶化手段では、回転軸の一端から冷却媒である液体を導入し、回転軸の他端から導入した液体を排出することにより常にドラム412自体が冷却されるように構成されている。洗浄液はレジストの汚染状態でその凝固温度が異なり、このドラム412を洗浄液の凝固温度よりも低い温度に保つことができるものであれば良いため、冷却用として凝固しない温度から30℃程度の冷却水を用いることにより洗浄液の冷却機能を充分に達成することができる。
このドラムとしては、例えば、直径170mm、長さ300mm、表面積1600cmの円筒であった場合には、冷却水の流量は60L/時間であれば十分にドラムを一定の冷却温度に維持することができる。
この冷却されたドラム412と接することで、洗浄液貯留槽411に収容された洗浄液の熱は奪われ、洗浄液中の炭酸エチレンは結晶化する。結晶化した炭酸エチレンはドラム表面に付着し、付着した炭酸エチレン結晶は、そのままドラム412の回転に合わせて運ばれ、洗浄液と分離される。なお、洗浄液貯留槽411に貯留された洗浄液は循環ポンプ416により槽内の液濃度が均質になるように常時循環している。
このとき、ドラム表面に結晶が付着するためには、充分に冷却してドラムの表面に結晶の核を生じさせ、さらに結晶を成長させなければならないため、ドラムの回転は5〜50rphというゆっくりとした回転で行うことが好ましい。また、ドラム表面の素材としては、結晶が付着するものでなければならず、例えば、伝熱性の良い鏡面仕上げSUS材、ガラス材等が挙げられる。
洗浄液と分離された炭酸エチレン結晶は、ドラム412の回転によりスクレーパー413まで達し、スクレーパー413によりドラム表面からかきとられる。スクレーパー413はその一辺がドラム表面に接しており、ドラム表面に付着した炭酸エチレン結晶をドラム表面からきれいにかきとることができ、ドラム表面を傷つけることがないように、硬質ゴム、エラストマー、硬質プラスチック等で作られている。
ここで掻き取られた炭酸エチレン結晶は、スクレーパー413の上側表面にのるが、スクレーパー413の傾斜により、掻き取りに用いられた辺とは逆側に転がり落ちる。転がり落ちた炭酸エチレン結晶は加熱手段5へと導入され加熱工程へ付されることとなり、加熱手段5により加熱されることで結晶が融解して液状の炭酸エチレンとなる。また、スクレーパー413より転がり落ちない場合には、スクレーパー自体を加熱手段として用いることもできる。その際には、スクレーパー413から炭酸エチレン液が流れ落ちることとなる。ここで、加熱手段における温度は、40〜80℃であることが好ましい。
本工程において液状となった炭酸エチレンは、次いで循環工程に付されることとなるが、その前に、さらに結晶化工程及び加熱工程を経由するように構成すること、すなわち、結晶化工程及び加熱工程の組合わせを複数組設けて連続的に結晶化、融解を繰返し行うことが、純度の高い結晶を得ることができる点で好ましい。
洗浄液は、有機被膜を構成する有機物を最大で20質量%程度含有するまで溶解に用いることができ、これを1回の結晶化、融解により精製する場合には、炭酸エチレンの純度90%、回収率75%程度であり、結晶化を2回行った場合には、純度95%、回収率55%程度となる。さらに、結晶化を繰返す毎に純度は高純度になるが、回収率が低下するため、純度と回収率を考慮した際に再利用のコストの観点から結晶化及び融解は2回行うことが好ましい。
また、スクレーパーで炭酸エチレン結晶を掻き落とした後、図示表示は略したが、高純度な炭酸エチレン溶液を得るために、固液分離手段により炭酸エチレン結晶に微量付着した洗浄液を分離することが好ましく、この固液分離手段としては、ろ布内臓型回転式遠心分離機等が挙げられる。なお、固液分離を行う場合にはスクレーパーを加熱手段により加熱しない。
循環工程は、洗浄工程で用いられ、結晶化工程及び加熱工程を経て、加熱工程により液化した炭酸エチレンを洗浄工程へと循環させるものであり、これにより洗浄槽3の洗浄液中に存在する炭酸エチレンは清浄されて洗浄槽3へ循環される。
この循環工程は、洗浄槽3、結晶化手段4、加熱手段5、洗浄槽3の順番に炭酸エチレンが循環することができるように流れを作る工程であり、特に加熱手段5により液化した炭酸エチレンを洗浄槽3へ移送する循環の最終工程を含むものである。
この液状の炭酸エチレンの流れは、例えば、ポンプを用いることにより作ることができ、この循環工程により、加熱手段5により液化、再生された炭酸エチレンは、洗浄槽3に送り込まれて再び有機被膜の除去に用いられることとなる。
この有機被膜洗浄液の結晶化再生方法において、洗浄工程、循環工程及び再生液貯留工程を洗浄液が凝固しない温度に保持して行うことが好ましく、この温度を保持する保温手段としてヒーターを用いることにより達成することができる。このときの温度は、40℃程度であることが好ましい。
なお、以上説明した操作を繰返し行うと、洗浄液貯留槽411における洗浄液中の有機物の濃度が高くなっていくため、結晶化したときに有機物の混入する割合が高まり精製の精度が低くなるため、所定の濃度に達した際に、洗浄液をレジスト濃縮槽7へ移送する必要がある。
(第2の実施形態)
また、本発明に係る有機被膜洗浄液の結晶化再生装置における第2の実施形態は、洗浄液結晶化再生装置1の結晶化手段及び加熱手段が異なるだけで、その他の構成は第1の実施形態と同一である。図5は、本実施形態に用いる結晶化手段及び加熱手段について、その構成の概要をより具体化して示した図である。
この実施形態における結晶化手段42は、洗浄槽から移送された洗浄液を冷却する冷却塔421と、冷却塔の周囲を覆う加熱手段51と、さらにその加熱手段を覆う冷却部422とからなり、固体壁を通して間接的に熱交換を行うことができ、この冷却塔421は、その塔内を冷却部422により冷却し、一旦冷却を止めた後に、加熱手段51により加熱することができるように構成されており、結晶化手段と加熱手段とが一体として構成されている。
この冷却塔421は、細長い円筒状に形成され、その塔頂からは洗浄槽から移送された洗浄液が供給され、底部からは冷却された洗浄液を排出することができるようになっており、その周囲は塔内を冷却して塔の内壁面に炭酸エチレンの結晶が付着することができるようになっている。また、結晶が付着した後、次いで塔内を加熱することができるため、塔の内壁面に付着した炭酸エチレン結晶を融解して塔の底部から精製した炭酸エチレン液を排出することができるようになっている。
この結晶化手段42を用いて結晶化工程及び加熱工程を行う場合には、まず、洗浄槽3から冷却塔421内に洗浄液が移送され、洗浄液が塔内を通過する。このとき、洗浄液が充分に冷却されるだけの充分な時間をかけるようにゆっくりと塔内を通過するように流量を調整する。
例えば、この冷却塔421が、水平断面が円形をした円柱形状をしている場合であって、その断面の直径が10cm、長さが50cm、容積が4Lである場合には、この塔内を通過するのにかける時間が10分程度であり、そのときの洗浄液の塔内での循環量は、線速(LV)で1cm/秒、洗浄液の処理能力は7.5L/時間となる。
ここで洗浄液が充分に冷却されると、炭酸エチレン結晶が冷却塔421の内壁に付着し、堆積する。冷却塔421内を通過した洗浄液は、一旦循環槽423に貯留される。循環移送ポンプ424により循環槽423から設定された所定の線速(LV)で冷却塔421の塔頂まで持ち上げられ、再度冷却塔421を通過させることができ、炭酸エチレン結晶を得るのに支障が出ない限りは何度も冷却塔421を通過するように循環することが好ましい。また、冷却塔421内の液濃度を均一にするために循環ポンプ425で液循環を行うことが好ましい。このとき、洗浄槽から新たな洗浄液の供給を同時に行っても良い。
冷却塔421の内壁に炭酸エチレン結晶が充分に堆積したところで、塔内から洗浄液を循環槽423へ排出し、冷却塔421の内部には内壁に付着した炭酸エチレン結晶だけを残して、冷却を止める。次いで、塔内を加熱手段51により加熱することにより塔の内壁に付着した結晶は融解して液状となり、精製した炭酸エチレン液を貯留槽426に貯留する。これを循環手段6により洗浄槽へ移送することができる。
[有機被膜の洗浄装置及び洗浄方法]
次に、本発明の有機被膜の洗浄装置及び洗浄方法について図面を参照しながら説明する。
図6は、本発明の有機被膜の洗浄装置を示した図である。
この有機被膜の洗浄装置71は、有機被膜洗浄液の結晶化再生装置61と、有機被膜を除去した洗浄対象物に付着した洗浄液をすすぐための純水洗浄槽72と、純水洗浄槽72で付着した純水を乾燥させる乾燥手段74と、洗浄カゴ昇降機73と、炭酸エチレン排気口75とから構成されるものである。
このような構成とした場合には、有機被膜の除去から乾燥までを一台の装置で連続的に行うことができ、さらに、洗浄液を再生して循環しながら有機被膜の洗浄を行うことができる。
ここで用いた結晶化再生装置61に関しては、加熱手段5の後に、精製された炭酸エチレン液を貯留することができる再生液貯留手段17を有するものとしたが、その前段の冷却には時間がかかるため、一旦、この再生液貯留手段17へ精製した炭酸エチレンを貯留して洗浄液を循環させることが循環を効率的に行うことができる点で好ましい。
この場合、最初に使った洗浄液は結晶化手段4へ移送し、洗浄槽には新たに洗浄液を加え、この新たに加えた洗浄液により洗浄を行っている間に、最初の洗浄液の冷却を終了させることが好ましい。よって、本実施の形態においては、冷却をバッチ式で行うことが好ましい。また、この結晶化再生装置として第2の実施形態の再生装置を適用することも可能である。
純水洗浄槽72は、純水を収容するものであり、有機被膜洗浄液の結晶化再生装置61で有機被膜が除去された洗浄対象物を、この純水洗浄槽72に浸漬することで洗浄対象物に付着している洗浄液を純水で洗い流すものである。ここで、純水洗浄槽72においても、純水でのすすぎを効率良く行うために、有機被膜の洗浄槽3と同様に揺動手段や超音波手段を用いることができる。
乾燥手段74は、純水洗浄槽72で洗浄した洗浄対象物に対して送風することにより純水を乾燥させるものであり、送風口から乾燥空気を洗浄カゴに向けて吹き付ける方式で洗浄対象物に付着している純水を吹き飛ばし、同時に、純水の蒸発、乾燥を行うことで洗浄対象物を乾燥することができる。
洗浄カゴ昇降機73は、洗浄対象物が純水で洗浄された後、純水洗浄槽72の上部に配置された乾燥手段74の送風口まで洗浄対象物が入った洗浄カゴの昇降を行うことができるものである。これは純水洗浄の際に、洗浄を効率的に行うために昇降させてもよい。
炭酸エチレン排気口75は、装置内に拡散する炭酸エチレンの蒸気を排気するものであり、排気ダクトから外部環境へガスが排出される。
この工程において、洗浄カゴを有機被膜洗浄液の結晶化再生装置61から純水洗浄槽72への移動を搬送手段を用いて自動で行うこととすれば、人の手を煩わさず、効率的に洗浄作業を行うことができる。
また、有機被膜洗浄液の結晶化再生装置61、純水洗浄槽72及び洗浄カゴを移動する搬送手段には、保温手段を有することが好ましい。これは、洗浄液として炭酸エチレンを用いた場合には、平均的に炭酸エチレンの凝固温度36.4℃以下で凝固してしまうため、室温での洗浄作業では洗浄対象物に炭酸エチレンの膜ができてしまうためである。この保温手段を用いることにより炭酸エチレンの固化を防ぎ、洗浄対象物を清浄に保つことができる。
次に、この装置を用いた有機被膜洗浄液の結晶化再生方法について説明する。
まず、有機被膜除去工程では、洗浄対象物を洗浄カゴ22に入れ、この洗浄カゴを結晶化再生装置の洗浄槽3の洗浄液中に浸漬して、有機被膜を溶解・除去するのに十分な時間、浸漬して洗浄対象物の有機被膜を除去する。このとき、有機被膜の除去を効率的に行うために、洗浄カゴを洗浄槽中で揺動することが好ましい。
この浸漬する時間は、除去する有機被膜の厚さ、量、有機被膜の洗浄液への溶解度等を考慮して適宜決定すればよく、例えば、ノボラック型レジストの1mm厚程度の被膜であれば、20分間の浸漬で有機被膜を完全に除去することができる。
有機被膜の除去が終わったら洗浄カゴを洗浄槽3から引き上げ、次に、これを純水洗浄槽72まで移動し、今度は純水洗浄槽72の純水中に浸漬して、有機被膜除去工程で付着した洗浄液を洗い流す。
このとき、有機被膜洗浄液の結晶化再生装置61での洗浄と同様に揺動、超音波振動により洗浄を行ってもよく、洗浄カゴ昇降機73を用いて洗浄カゴを昇降させることにより行ってもよい。
洗浄対象物の純水での洗浄が終わったら、次に洗浄カゴ昇降機73により洗浄カゴを純水洗浄槽72から引き上げ、乾燥手段74の送風口まで移動して保持する。次に、乾燥手段の送風口からエアーを洗浄対象物に吹き付けて、純水洗浄槽72で付着した純水を蒸発・乾燥させる。
また、純水洗浄槽72への純水の供給は、純水供給管76から純水洗浄槽72が満水となるまで行えばよく、洗浄対象物のすすぎに用いられた純水は、このすすぎの操作により溢れて、純水洗浄槽72の外側に設けられた槽から純水排水管77を通して排水される。このすすぎに用いられた純水は一度使用されると少なからず汚染されるため、次のすすぎを行う前に、純水排水管77を通して全て排水され、空になった純水洗浄槽72には純水供給管76を通して再度純水が満たされる。このとき、純水洗浄槽自体を清浄に保つために純水の供給、排水を行ってすすいでもよい。
本実施の形態において、有機被膜の除去、純水洗浄、洗浄槽から純水洗浄槽への搬送を行う際には、ヒーター等による保温手段を用いることが好ましい。洗浄液が炭酸エチレンであった場合には、平均的に炭酸エチレンの凝固温度36.4℃以下になると凝固してしまうため、加温手段を用いることにより洗浄対象物に炭酸エチレンの固体が付着するのを防止し、洗浄対象物を清浄に保つことができる。このときの加温温度は、40〜80℃であることが好ましい。
なお、本実施形態においては、加熱手段5の後に再生液貯留手段17が設けられており、これは、使用済みの洗浄液結晶化再生装置61で再生された液のみでなく、炭酸エチレン洗浄液原液及び洗浄液をオゾン処理した洗浄液の調合も可能であり、均質な洗浄を行うにはこの再生液貯留手段17が必要である。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。
(実施例1)
この実施例においては、図3及び図4に示した構成であり、再生装置の外形寸法が奥行600mm×幅600mm×高さ1000mmでキャスター上に配置された洗浄液結晶化再生装置を用いた。
この装置を構成する部品は鏡面仕上げのSUS−316材の円筒形ドラム412(径170mmφ×長さ300mm)で両端中央に25mmφの冷却水導入管414及び冷却水排出管415が各々溶接され、円筒内部に半円筒内容積を占める冷媒体が内蔵されている。本ドラムの外周下方に半円筒の洗浄液貯留槽411(半円筒径300mmφ×長さ350mm)に使用済み洗浄液2(炭酸エチレン80%+レジスト成分20%質量比)を貯留する。ドラム412は30rphのゆっくりした回転をしながら、ドラム表面が約15℃になるようドラム内部の冷水で温度を保持して、ドラム表面に炭酸エチレン結晶を析出させた。ドラム外周に接して50℃に保温されたエラストマー製掻き取り用スクレーバー413で析出結晶を掻き落とし、液状になった炭酸エチレンを50℃に保温された貯留槽に取り出したところ、炭酸エチレンの純度90%、回収率75%であった。
なお、スクレーパーで掻き落とした炭酸エチレン結晶をスクレーパー上では加熱せずに、結晶のままSUS304材円筒型300mmφでろ布内臓回転子を持つ回転式遠心分離機にかけ、回転数3000rpmで固液分離して得た炭酸エチレン結晶を40℃で溶液にした場合には、回収再生液は純度が98%、回収率70%であり、非常に高純度な炭酸エチレン溶液を得ることができた。
なお、本洗浄液2をオゾンで処理して、レジスト成分を一部有機酸に分解した洗浄液を同様の方法で結晶化再生処理をした場合も同様の再生処理結果が得られた。
(実施例2)
この実施例においては、図5に示した構成であり、再生装置の外形寸法が奥行600mm×幅400mm×高さ1000mmでキャスター上に配置された洗浄液結晶化再生装置を用いた。この装置の結晶化手段42は円筒形で構成され、内部が冷却塔421(直径100mm×長さ500mm)でその外側に10mm幅の加熱部51とさらにその外側に10mm幅の冷却部422で構成され、各材料は鏡面仕上げでSUS−316材の上下両端密閉の円筒形ドラムで作製されている。循環槽423は同じく内部鏡面仕上げSUS−316材で内容積10Lの筒型容器で、循環移送ポンプ424は10L/時間で供給できる小型マグネットポンプを選定した。循環ポンプは冷却塔内の液濃度を均質化するためのもので循環移送ポンプと同種のものを使用した。実施例1同様、冷却塔外周表面温度は15℃程度に保持して、冷却塔内循環液は最低温度40℃以上に保つようにすればよく、本実施例では約55℃になるように循環槽423で温度制御した。冷却塔421外周部から析出する結晶量はあらかじめ時間当たりの析出量を実験しておき、洗浄液供給量、循環量、析出時間を算出して、冷却・循環を停止して、まず残液を循環槽に抜き取り、加熱手段51を稼動して50℃程度で結晶を溶解して、SUS316材鏡面仕上げ円筒形移送用貯留槽内容積20Lに移送して貯留したところ、実施例1同様、炭酸エチレンの純度90%、回収率75%であった。
(実施例3)
この実施例においては、図6に示した如く洗浄装置71と洗浄液結晶化再生装置1で構成され、さらに、洗浄液結晶化再生装置1の加熱手段5の後に、精製された炭酸エチレン液を貯留することができる再生液貯留手段17を有する装置で構成される。洗浄装置71の外形寸法は、奥行1000mm×幅1640mm×高さ1800mm寸法でキャスター上に配置された装置である。また、ここで用いた洗浄槽3は450mm×450mm×420mm寸法で内容積が80Lで、洗浄のための揺動手段21は、洗浄対象物を入れる洗浄カゴ22(320mm×320mm×320mm寸法)を保持することができる保持部23と、この保持部と接続されたカムとから構成され、カム24を回転させることにより洗浄カゴ22を揺動(揺動幅6cm、上下運動、15回/分)させることができる。また、純水洗浄槽72(450mm×450mm×420mm寸法)は内容積80Lで、揺動条件(揺動幅6cm、上下運動)が前記揺動手段21と同様な洗浄カゴ昇降機73で構成されている。
まず、洗浄槽内に60Lの炭酸エチレン溶液を注入し、純水洗浄槽には純水供給管76より純水を満杯状態にして、洗浄槽にスピンコーターカップ(200mmφシリコンウエハー用レジスト付着カップ、厚さ1mm程度のレジスト膜が付着)を入れた洗浄カゴ22(320mm×320mm×320mm寸法)を浸漬した。この洗浄カゴを揺動手段により揺動しながら20分間洗浄した。
炭酸エチレン洗浄液による洗浄後、直ちに純水が満水状態となっている純水洗浄槽に浸漬し、洗浄カゴ昇降機73により洗浄カゴを揺動しながら3分間洗浄した。このとき、純水洗浄槽から溢れたすすぎに用いられた純水はその外側に配置された槽の底から純水排水管77を通って排水される。
純水によるすすぎが終了した洗浄カゴは、洗浄カゴ昇降機で所定位置まで持ち上げられ、左右にある乾燥手段から噴出される乾燥空気でスピンコーターカップに付着している純水を吹き飛ばし、同時に純水を蒸発させて乾燥した。この乾燥空気による乾燥を15分間行って取り出し、目視で洗浄状態を確認したところ、スピンコーターカップに付着していたレジスト膜は全て除去され、充分に洗浄が行われていることが確認できた。なお、以上の操作は、有機被膜除去・洗浄装置内の温度を40℃近傍に保持して行った。
この洗浄操作の終了後、純水洗浄槽は直ちに洗浄水全量をドレインして、新しい純水を流量160L/分、30秒で注入満水状態として待機する。
レジスト付着洗浄物を洗浄槽で繰り返し洗浄すると、最初は無色透明の炭酸エチレン洗浄液は、剥離洗浄されたレジストを含む洗浄液となり透明茶褐色を呈するようになる。次にこのレジスト汚染された洗浄液を実施例1で示した洗浄液結晶化再生装置1で再生処理して、再生液貯留手段17へ移送して、炭酸エチレン洗浄液原液などの添加調合して洗浄槽3へ供給する。洗浄回数を重ねると完全に無色透明となることがなくなり透明茶褐色の色調が濃くなり、有機被膜の溶解能力が低下するため、洗浄液の交換又は炭酸エチレン原液での調合を行う。洗浄液の交換時期及び原液調合などの管理は洗浄操作状況と透明茶褐色への色調の変化度合いとを色度計で測定することで判断すればよい。
本発明に係る有機被膜洗浄液の結晶化再生装置における第1の実施形態を示した概念図である。 洗浄対象物を揺動するための揺動装置の概念図である。 第1の実施形態における結晶化手段を示した図である。 図3で示した結晶化手段の断面図である。 本発明に係る有機被膜洗浄液の結晶化再生装置における第2の実施形態に用いた結晶化手段を示した図である。 本発明に係る有機被膜の洗浄装置における実施形態を示した図である。
符号の説明
1,11,61…洗浄液結晶化再生装置、2…洗浄液、3…洗浄槽、4,41,42…結晶化手段、5,51…加熱手段、6…循環手段、7…レジスト濃縮槽、17…再生液貯留手段、21…揺動装置、22…洗浄カゴ、23…保持手段、24…カム、71…有機被膜の洗浄装置、72…純水洗浄槽、76…純水給水管、77…純水排水管、411…洗浄液貯留槽、412…ドラム、413…スクレーパー、414…冷却水導入口、415…冷却水排出口、421…冷却塔、422…冷却部、423…循環槽、424…循環移送ポンプ、425…循環ポンプ、426…移送用貯留槽

Claims (15)

  1. 炭酸エチレンを有効成分とする洗浄液を収容する洗浄槽と、
    前記洗浄槽から移送された有機被膜を溶解した洗浄液を冷却して炭酸エチレン結晶を析出させる結晶化手段と、
    前記結晶化手段で得られた炭酸エチレンを加熱して液状にする加熱手段と、
    前記洗浄槽から前記結晶化手段及び前記加熱手段を経由して前記加熱手段により液化した炭酸エチレンを前記洗浄槽へ移送して循環させる循環手段と
    を有する有機被膜洗浄液の結晶化再生装置。
  2. 前記結晶化手段及び前記加熱手段の組合せが、複数組設けられていることを特徴とする請求項1記載の有機被膜洗浄液の結晶化再生装置。
  3. 前記結晶化手段で得られた炭酸エチレン結晶に付着した洗浄液を固液分離する固液分離手段を有することを特徴とする請求項1又は2記載の有機被膜洗浄液の結晶化再生装置。
  4. 前記加熱手段により液状となった炭酸エチレンを貯留する再生液貯留手段を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の有機被膜洗浄液の結晶化再生装置。
  5. 前記洗浄槽、前記循環手段及び前記再生液貯留手段において、洗浄液が凝固しない温度に保持する保温手段を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の有機被膜洗浄液の結晶化再生装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項記載の有機被膜洗浄液の結晶化再生装置と、
    前記有機被膜洗浄液の結晶化再生装置で有機被膜を除去した後に洗浄液をすすぐための純水洗浄槽と、
    前記純水洗浄槽で洗浄した後に、付着した純水を乾燥させるための乾燥手段と、
    を有することを特徴とする有機被膜の洗浄装置。
  7. 前記有機被膜の洗浄装置内を洗浄液が凝固しない温度に保持する保温手段を有することを特徴とする請求項6記載の有機被膜の洗浄装置。
  8. 炭酸エチレンを有効成分とする洗浄液で有機被膜を溶解・除去する洗浄工程と、
    前記洗浄工程により有機被膜を溶解した洗浄液を冷却することで炭酸エチレン結晶を析出させる結晶化工程と、
    前記結晶化工程で析出した炭酸エチレン結晶を加熱して液状にする加熱工程と、
    前記洗浄工程で用いられ、前記結晶化工程及び前記加熱工程を経て、前記加熱工程により得られた炭酸エチレン液を前記洗浄工程へと循環させる循環工程と
    を含有する有機被膜洗浄液の結晶化再生方法。
  9. 前記結晶化工程及び前記加熱工程の組合せを、複数回行うことを特徴とする請求項8記載の有機被膜洗浄液の結晶化再生方法。
  10. 前記結晶化工程で得られた炭酸エチレン結晶に付着した洗浄液を固液分離する固液分離工程を含有することを特徴とする請求項8又は9記載の有機被膜洗浄液の結晶化再生方法。
  11. 前記結晶化工程で、洗浄液が凝固しない温度から30℃の冷却水で冷却することを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項記載の有機被膜洗浄液の結晶化再生方法。
  12. 前記加熱工程により液状となった炭酸エチレンを貯留する再生液貯留工程を有することを特徴とする請求項8乃至11のいずれか1項記載の有機被膜洗浄液の結晶化再生方法。
  13. 前記洗浄工程、前記循環工程及び前記再生液貯留工程を洗浄液が凝固しない温度に保持して行うことを特徴とする請求項8乃至12のいずれか1項記載の有機被膜洗浄液の結晶化再生方法。
  14. 請求項8乃至13のいずれか1項記載の有機被膜洗浄液の結晶化再生方法における洗浄工程により有機被膜が除去された洗浄対象物を純水ですすぐことによって、付着した洗浄液を洗い流す純水洗浄工程と、
    前記純水洗浄工程で付着した水を蒸発、乾燥させる乾燥工程と、
    を有することを特徴とする有機被膜の洗浄方法。
  15. 前記洗浄工程、前記洗浄液循環工程及び前記純水洗浄工程を、洗浄液が凝固しない温度に保持して行うことを特徴とする請求項14記載の有機被膜の洗浄方法。
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