JP4439619B2 - 半導体微粒子、光電変換材料および光電変換素子 - Google Patents

半導体微粒子、光電変換材料および光電変換素子 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、メチン染料が表面に吸着している半導体微粒子に関する。また、本発明は、半導体微粒子を含む感光層および導電性支持体を有する光電変換材料にも関する。さらに、本発明は、光電変換材料、電荷移動層および対向電極を有する光電変換素子にも関する。
【0002】
【従来の技術】
光センサーや光発電に用いられる光電変換材料は、金属、半導体、顔料あるいは染料を組み合わせたものである。
米国特許4927721号、同4684537号、同5084365号、同5350644号、同5463057号、同5525440号の各明細書および特開平7−249790号公報には、染料で増感した半導体微粒子、およびそれを用いた光電変換素子が開示されている。半導体(例、二酸化チタン)微粒子は、比較的安価に入手または製造できる。染料は吸収波長領域が広いため、染料を用いた光電変換素子は、広い波長領域の光を電気に変換できる。
欧州特許0892411A号および同0911841A号の各明細書には、メチン染料で増感した半導体微粒子、およびそれを用いた光電変換素子が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
メチン染料には分子吸光係数が高いとの特徴がある。しかし、メチン染料で増感した半導体微粒子は一般に光電変換効率が低い。
本発明の目的は、光電変換効率が高い半導体微粒子を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記(1)〜(2)の半導体微粒子、下記(3)(5)の光電変換材料、および下記(6)〜(8)の光電変換素子により達成された。
(1)メチン染料が表面に吸着している半導体微粒子であって、メチン染料が下記式(Ia)(IIa)または(IIIa)で表されることを特徴とする半導体微粒子。
【0005】
【化10】
Figure 0004439619
【0006】
[式中、 41 、R 42 、R 44 およびR 45 は、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基であり;R 43 およびR 46 は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基またはアリール基であり;ベンゼン環DおよびEには、他の芳香族環が縮合していてもよく;そして、ベンゼン環D、Eおよびそれらの縮合環は、置換基を有していてもよい。
【0007】
【化11】
Figure 0004439619
【0008】
[式中、 51 およびR 52 は、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基であり;R 53 は、水素原子、アルキル基、置換アルキル基またはアリール基であり;R 54 は、アルキル基、置換アルキル基またはアリール基であり;L 31 は、偶数個のメチンからなるメチン鎖であり;X 51 は、−O−、−S−、−CO−NR 55 −または−NR 56 −であって、R 55 およびR 56 は、それぞれ独立に、アルキル基、置換アルキル基またはアリール基であり;Y 51 は、=O、=Sまたは=CR 57 58 であって、R 57 およびR 58 は、それぞれ独立に、シアノ、カルボキシル、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基またはアリールスルホニル基であり;ベンゼン環Fには、他の芳香族環が縮合していてもよく;そして、ベンゼン環Fおよびその縮合環は、置換基を有していてもよい。
【0009】
【化12】
Figure 0004439619
【0010】
[式中、 61 およびR 62 は、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基であり;R 63 は、水素原子、アルキル基、置換アルキル基またはアリール基であり;Y 61 は、=O、=Sまたは=CR 64 65 であって、R 64 およびR 65 は、それぞれ独立に、シアノ、カルボキシル、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基またはアリールスルホニル基であり;ベンゼン環Gには、他の芳香族環が縮合していてもよく;そして、ベンゼン環Gおよびその縮合環は、置換基を有していてもよい。
(2)式(Ia)において、R 41 、R 42 、R 44 およびR 45 は、それぞれ独立に、炭素原子数が1乃至4のアルキル基であり;式(IIa)において、R 51 およびR 52 は、それぞれ独立に、炭素原子数が1乃至4のアルキル基であり;そして、式(IIIa)において、R 61 およびR 62 は、それぞれ独立に、炭素原子数が1乃至4のアルキル基である(1)に記載の半導体微粒子。
(3)半導体微粒子を含む感光層および導電性支持体を有する光電変換材料であって、半導体微粒子が、下記(Ia)(IIa)または(IIIa)で表されるメチン染料(各式の定義は略)により増感されていることを特徴とする光電変換材料。
【0011】
【化13】
Figure 0004439619
【0012】
【化14】
Figure 0004439619
【0013】
【化15】
Figure 0004439619
【0014】
(4)式(Ia)において、R 41 、R 42 、R 44 およびR 45 は、それぞれ独立に、炭素原子数が1乃至4のアルキル基であり;式(IIa)において、R 51 およびR 52 は、それぞれ独立に、炭素原子数が1乃至4のアルキル基であり;そして、式(IIIa)において、R 61 およびR 62 は、それぞれ独立に、炭素原子数が1乃至4のアルキル基である(3)に記載の光電変換材料。
(5)半導体微粒子が二酸化チタン微粒子である(3)に記載の光電変換材料。
(6)半導体微粒子を含む感光層と導電性支持体とを有する光電変換材料、電荷移動層および対向電極を有する光電変換素子であって、半導体微粒子が、下記式(Ia)、(IIa)または(IIIa)で表されるメチン染料(各式の定義は略)により増感されていることを特徴とする光電変換素子。
【0015】
【化16】
Figure 0004439619
【化17】
Figure 0004439619
【化18】
Figure 0004439619
【0016】
(7)式(Ia)において、R 41 、R 42 、R 44 およびR 45 は、それぞれ独立に、炭素原子数が1乃至4のアルキル基であり;式(IIa)において、R 51 およびR 52 は、それぞれ独立に、炭素原子数が1乃至4のアルキル基であり;そして、式(IIIa)において、R 61 およびR 62 は、それぞれ独立に、炭素原子数が1乃至4のアルキル基である(6)に記載の光電変換素子。
(8)電荷移動層が溶融状態の塩を電解質として含む(6)に記載の光電変換素子。
【0017】
【発明の効果】
本発明者の研究によれば、通常のメチン染料には、半導体微粒子への吸着量を増大させると増感効果が低下する傾向があった。本発明者がさらに研究を進めたところ、前記(Ia)(IIa)または(IIIa)で表されるメチン染料を用いると、染料の吸着量を増大させても、良好な増感効果が得られることが判明した。前記(Ia)(IIa)または(IIIa)で表されるメチン染料に共通の分子構造は、塩基性核がインドレニン環であり、インドレニン環の3位に比較的嵩高い置換基を二つ導入していることである。これにより、インドレニン環の3位に立体障害が生じ、染料間の相互作用(例えば、会合体形成)が低減したことが、増感効率向上の原因ではないかと推定される。
以上の結果、本発明により光電変換効率が高い半導体微粒子が得られた。この半導体微粒子は、光電変換材料または光電変換素子において有利に用いられる。
【0018】
【発明の実施の形態】
[メチン染料]
本発明が用いるメチン染料は、式(I)、(II)または(III)で表されるメチン染料に含まれる
【0019】
【化19】
Figure 0004439619
【0020】
式(I)において、R11、R12、R13およびR14は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基またはアリール基であるか、あるいは、R11とR14とが結合して5員または6員の飽和脂肪族環を形成する。
アルキル基は、環状構造よりも鎖状構造を有していることが好ましい。鎖状アルキル基は、分岐を有していてもよい。アルキル基の炭素原子数は、1乃至10であることが好ましく、1乃至8であることがより好ましく、1乃至6であることがさらに好ましく、1乃至4であることが最も好ましい。
【0021】
置換アルキル基のアルキル部分は、上記アルキル基と同様である。置換アルキル基の置換基の例には、アリール基(例、フェニル、トリル、ナフチル)、複素環基(例、ピリジル、イミダゾリル、フリル、チエニル、オキサゾリル、チアゾリル、ベンズイミダゾリル、キノリル)、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素)、アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、ベンジルオキシ)、アリールオキシ基(例、フェノキシ)、アルキルチオ基(例、メチルチオ、エチルチオ)、アリールチオ基(例、フェニルチオ)、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、アミド基(例、アセトアミド、ベンズアミド)、スルホンアミド基(例、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド)、ウレイド、置換ウレイド基(例、3−フェニルウレイド)、アルコキシカルボニルアミノ基(例、イソブトキシカルボニルアミノ)、カルバモイルオキシ、アシルオキシ基(例、アセトキシ、ベンゾイルオキシ)、アルコシキカルボニル基(例、メトキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(例、フェノキシカルボニル)、カルバモイル、置換カルバモイル基(例、N−メチルカルバモイル、N,N−ジフェニルカルバモイル)、スルファモイル、置換スルファモイル基(例、N−フェニルスルファモイル)、アシル基(例、アセチル、ベンゾイル)、アミノ、置換アミノ基(例、メチルアミノ、アニリノ、ジフェニルアミノ)、アルキルスルホニル基(例、メタンスルホニル)、カルボキシル、スルホおよびリン酸基(モノエステルおよびジエステルを含む)が含まれる。
【0022】
アルケニル基は、環状構造よりも鎖状構造を有していることが好ましい。鎖状アルケニル基は、分岐を有していてもよい。アルケニル基の炭素原子数は、2乃至10であることが好ましく、2乃至8であることがより好ましく、2乃至6であることがさらに好ましく、2乃至4であることが最も好ましい。
アルコキシ基のアルキル部分は、前記アルキル基と同様である。
アリール基は、フェニルであることが好ましい。アリール基は、置換基を有していてもよい。アリール基の置換基の例には、アルキル基(例、エチル、プロピル、ブチル、イソペンチル、シクロヘキシル)、置換アルキル基(例、ベンジル、フェネチル)、アリール基(例、フェニル、トリル、ナフチル)、複素環基(例、ピリジル、イミダゾリル、フリル、チエニル、オキサゾリル、チアゾリル、ベンズイミダゾリル、キノリル)、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素)、アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、ベンジルオキシ)、アリールオキシ基(例、フェノキシ)、アルキルチオ基(例、メチルチオ、エチルチオ)、アリールチオ基(例、フェニルチオ)、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、アミド基(例、アセトアミド、ベンズアミド)、スルホンアミド基(例、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド)、ウレイド、置換ウレイド基(例、3−フェニルウレイド)、アルコキシカルボニルアミノ基(例、イソブトキシカルボニルアミノ)、カルバモイルオキシ、アシルオキシ基(例、アセトキシ、ベンゾイルオキシ)、アルコシキカルボニル基(例、メトキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(例、フェノキシカルボニル)、カルバモイル、置換カルバモイル基(例、N−メチルカルバモイル、N,N−ジフェニルカルバモイル)、スルファモイル、置換スルファモイル基(例、N−フェニルスルファモイル)、アシル基(例、アセチル、ベンゾイル)、アミノ、置換アミノ基(例、メチルアミノ、アニリノ、ジフェニルアミノ)、アルキルスルホニル基(例、メタンスルホニル)、カルボキシル、スルホ、ホスホニルおよびリン酸基(モノエステルおよびジエステルを含む)が含まれる。
【0023】
式(I)において、R15は、水素原子、アルキル基、置換アルキル基またはアリール基である。アルキル基、置換アルキル基またはアリール基が好ましく、アルキル基または置換アルキル基がさらに好ましい。アルキル基、置換アルキル基およびアリール基の定義および例は、上記R11、R12、R13およびR14のアルキル基、置換アルキル基およびアリール基の定義および例と同様である。
【0024】
式(I)において、L11は、奇数個のメチンからなるメチン鎖である。メチン鎖中のメチンの数は、1、3、5、7または9であることが好ましく、1、3、5または7であることがさらに好ましく、1、3または5であることが最も好ましい。
メチン鎖は置換基を有していてもよい。置換基としては、炭素原子数が1乃至6個のアルキル基(例、メチル、エチル)またはハロゲン原子が好ましい。
二以上のメチン鎖の置換基が結合して、不飽和脂肪族環(例、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、イソホロン環、スクアリリウム環、クロコニウム環)を形成してもよい。メチン鎖が一つの置換基を有する場合、一つの置換基は、メチン鎖の中央(メソ位)のメチンに結合することが好ましい。
【0025】
式(I)において、Boは、塩基性核のオニウム体である。好ましい塩基性核のオニウム体を下記式で示す。
【0026】
【化20】
Figure 0004439619
【0027】
上記式において、Xは、−CR2 −、−CR=CR−、−NR−、−O−、−S−、−Se−または−Te−であり;Rは、水素原子、アルキル基、置換アルキル基またはアリール基であり;ベンゼン環HおよびIには、他の芳香族環が縮合していてもよく;そして、ベンゼン環H、Iおよびそれらの縮合環は、置換基を有していてもよい。
Xは、−CR2 −、−NR−、−O−または−S−であることが好ましく、−CR2 −または−NR−であることがさらに好ましく、−CR2 −であることが最も好ましい。
【0028】
Rは、アルキル基、置換アルキル基またはアリール基であることが好ましく、アルキル基または置換アルキル基であることがさらに好ましい。アルキル基、置換アルキル基およびアリール基の定義および例は、前記R11、R12、R13およびR14のアルキル基、置換アルキル基およびアリール基の定義および例と同様である。式中にRが複数存在する場合、それらは互いに異なっていてもよい。
ベンゼン環H、Iおよびその縮合環の置換基の例は、下記のベンゼン環Aおよびその縮合環の置換基の例と同様である。
【0029】
式(I)において、ベンゼン環Aには、他の芳香族環が縮合していてもよく、ベンゼン環Aおよびその縮合環は、置換基を有していてもよい。
ベンゼン環およびその縮合環の置換基の例には、アルキル基(例、エチル、プロピル、ブチル、イソペンチル、シクロヘキシル)、置換アルキル基(例、ベンジル、フェネチル)、アリール基(例、フェニル、トリル、ナフチル)、複素環基(例、ピリジル、イミダゾリル、フリル、チエニル、オキサゾリル、チアゾリル、ベンズイミダゾリル、キノリル)、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素)、アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、ベンジルオキシ)、アリールオキシ基(例、フェノキシ)、アルキルチオ基(例、メチルチオ、エチルチオ)、アリールチオ基(例、フェニルチオ)、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、アミド基(例、アセトアミド、ベンズアミド)、スルホンアミド基(例、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド)、ウレイド、置換ウレイド基(例、3−フェニルウレイド)、アルコキシカルボニルアミノ基(例、イソブトキシカルボニルアミノ)、カルバモイルオキシ、アシルオキシ基(例、アセトキシ、ベンゾイルオキシ)、アルコシキカルボニル基(例、メトキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(例、フェノキシカルボニル)、カルバモイル、置換カルバモイル基(例、N−メチルカルバモイル、N,N−ジフェニルカルバモイル)、スルファモイル、置換スルファモイル基(例、N−フェニルスルファモイル)、アシル基(例、アセチル、ベンゾイル)、アミノ、置換アミノ基(例、メチルアミノ、アニリノ、ジフェニルアミノ)、アルキルスルホニル基(例、メタンスルホニル)、カルボキシル、スルホおよびリン酸基(モノエステルおよびジエステルを含む)が含まれる。
【0030】
メチン染料は、少なくとも1つの酸性基を有することが好ましい。酸性基は、メチン染料の半導体微粒子表面への吸着を促進する機能を有する。酸性基とは具体的には、水中もしくは水−有機溶媒混合溶液中におけるpKa値が11未満の酸性プロトンを有する基である。酸性基としては、カルボキシル、スルホ、ホスホニル基、ホスホニル、リン酸基(モノエステルおよびジエステルを含む)およびヒドロキシルが好ましい。各基は、アルキル基、アリール基、ベンゼン環あるいはその縮合環の置換基としてメチン染料に導入できる
【0031】
メチン染料は、電荷バランスを保つための対イオンを有していてもよい。対イオンの種類(陽イオンまたは陰イオン)と数は、メチン染料の種類と置換基の種類および数に応じて決定する。
陽イオンとしては、無機または有機のアンモニウムイオン(例、テトラアルキルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン)およびアルカリ金属イオンが好ましい。
陰イオンとしては、ハライドイオン、ハロゲン化物イオン、アリールスルホン酸イオン(例、p−トルエンスルホン酸イオン、p−クロロベンゼンスルホン酸イオン)、アリールジスルホン酸イオン(例、1,3−ベンゼンジスルホン酸イオン、1,5−ナフタレンジスルホン酸イオン、2,6−ナフタレンジスルホン酸イオン)、アルキル硫酸イオン(例、メチル硫酸イオン)、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ピクリン酸イオン、酢酸イオンおよびトリフルオロメタンスルホン酸イオンが好ましい。
対イオンとして、イオン性ポリマーを用いてもよい。染料と逆の電荷を有する他の色素を対イオンとして用いることもできる。さらに、金属錯イオン(例、ビスベンゼン−1,2−ジチオラトニッケル(III) )も対イオンとして利用可能である
【0032】
本発明では、メチン染料(シアニン染料)として、下記式(Ia)で表されるスクアリリウムシアニン染料を用いることができる
【0033】
【化21】
Figure 0004439619
【0034】
式(Ia)において、R41、R42、R44およびR45は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基またはアリール基である。アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基およびアリール基の定義および例は、式(I)におけるR11、R12、R13およびR14のアルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基およびアリール基の定義および例と同様である。
【0035】
式(Ia)において、R43およびR46は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基またはアリール基である。アルキル基、置換アルキル基およびアリール基の定義および例は、式(I)におけるR11、R12、R13およびR14のアルキル基、置換アルキル基およびアリール基の定義および例と同様である。
式(Ia)において、ベンゼン環DおよびEには、他の芳香族環が縮合していてもよく、ベンゼン環D、Eおよびそれらの縮合環は、置換基を有していてもよい。ベンゼン環D、Eおよびそれらの縮合環の置換基の例は、式(I)におけるベンゼン環Aおよびその縮合環の置換基の例と同様である。
【0036】
なお、式(Ia)において、−C2 4 −は、−CH2 −CH2 −(エチレン)または−CH(CH3 )−(エチリデン)を意味する。
式(Ia)で表されるスクアリリウムシアニン染料は、少なくとも1つの酸性基を有することが好ましい。酸性基の定義および例は、式(I)で説明した酸性基の定義および例と同様である。
式(Ia)で表されるスクアリリウムシアニン染料は、電荷バランスを保つための対イオンを有していてもよい。対イオンの定義および例は、式(I)で説明した対イオンの定義および例と同様である。
式(Ia)で表されるスクアリリウムシアニン染料は、さらに下記式(Ib)で表されることが好ましい。
【0037】
【化22】
Figure 0004439619
【0038】
式(Ib)において、R71、R72、R74およびR75は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数が1乃至9のアルキル基または炭素原子数が1乃至9のアルコキシ基である。水素原子または炭素原子数が1乃至9のアルキル基であることが好ましく、水素原子または炭素原子数が1乃至7のアルキル基であることがより好ましく、水素原子または炭素原子数が1乃至5のアルキル基であることがさらに好ましく、水素原子または炭素原子数が1乃至3のアルキル基であることが最も好ましい。
式(Ib)において、R73およびR76は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基またはアリール基である。アルキル基、置換アルキル基およびアリール基の定義および例は、式(I)におけるR11、R12、R13およびR14のアルキル基、置換アルキル基およびアリール基の定義および例と同様である。
【0039】
式(Ib)において、ベンゼン環JおよびKには、他の芳香族環が縮合していてもよく、ベンゼン環J、Kおよびそれの縮合環は、置換基を有していてもよい。ベンゼン環J、Kおよびそれらの縮合環の置換基の例は、式(I)におけるベンゼン環Aおよびその縮合環の置換基の例と同様である。
なお、式(Ib)において、−C−は、−CH−CH−(エチレン)または−CH(CH)−(エチリデン)を意味する。
式(Ib)で表されるスクアリリウムシアニン染料は、少なくとも1つの酸性基を有することが好ましい。酸性基の定義および例は、式(I)で説明した酸性基の定義および例と同様である。
式(Ib)で表されるスクアリリウムシアニン染料は、電荷バランスを保つための対イオンを有していてもよい。対イオンの定義および例は、式(I)で説明した対イオンの定義および例と同様である。
以下に式(I)で表されるシアニン染料の例を示す。なお、(I−2)、(I−4)、(I−5)、(I−7)、(I−14)、(I−15)、(I−17)および(I−19)〜(I−21)は、参考例である。
【0040】
【化23】
Figure 0004439619
【0041】
【化24】
Figure 0004439619
【0042】
【化25】
Figure 0004439619
【0043】
【化26】
Figure 0004439619
【0044】
【化27】
Figure 0004439619
【0045】
【化28】
Figure 0004439619
【0046】
【化29】
Figure 0004439619
【0047】
【化30】
Figure 0004439619
【0048】
【化31】
Figure 0004439619
【0049】
【化32】
Figure 0004439619
【0050】
【化33】
Figure 0004439619
【0051】
【化34】
Figure 0004439619
【0052】
式(II)において、R21、R22、R23およびR24は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基またはアリール基であるか、あるいは、R21とR24とが結合して5員または6員の飽和脂肪族環を形成する。アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基およびアリール基の定義および例は、式(I)におけるR11、R12、R13およびR14のアルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基およびアリール基の定義および例と同様である。
式(II)において、R25は、水素原子、アルキル基、置換アルキル基またはアリール基である。アルキル基、置換アルキル基およびアリール基の定義および例は、式(I)におけるR11、R12、R13およびR14のアルキル基、置換アルキル基およびアリール基の定義および例と同様である。
【0053】
式(II)において、L21は、偶数個のメチンからなるメチン鎖である。メチン鎖中のメチンの数は、0、2、4、6または8であることが好ましく、0、2、4または6であることがさらに好ましく、2、4または6であることが最も好ましい。
メチン鎖は置換基を有していてもよい。置換基としては、炭素原子数が1乃至6個のアルキル基(例、メチル、エチル)またはハロゲン原子が好ましい。
式(II)において、Akは、ケト型酸性核である。好ましいケト型酸性核を下記式で示す。
【0054】
【化35】
Figure 0004439619
【0055】
上記式において、Xは、5員環、6員環または7員環を形成する非金属原子団である。Xは、−O−、−S−、−CO−、−CS−、−NRa−および−C(=CRb2 )−から選ばれる3個(5員環)、4個(6員環)または5個(7員環)の連結基の組み合わせからなることが好ましい。上記Raは、水素原子、アルキル基、置換アルキル基またはアリール基である。上記Rbは、シアノ、カルボキシル、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基またはアリールスルホニル基である。
Raは、アルキル基、置換アルキル基またはアリール基であることが好ましく、アルキル基または置換アルキル基であることがさらに好ましい。アルキル基、置換アルキル基およびアリール基の定義および例は、式(I)におけるR11、R12、R13およびR14のアルキル基、置換アルキル基およびアリール基の定義および例と同様である。
Rbは、シアノまたはカルボキシルであることが好ましい。アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基およびアリールスルホニル基の定義および例は、後述する式(IIa)におけるR57およびR58のアシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基およびアリールスルホニル基の定義および例と同様である。二つのRbは、互いに異なっていてもよい。
形成される5員環、6員環または7員環には、脂肪族環、芳香族環または複素環が縮合していてもよい。縮合環は、置換基を有していてもよい。縮合環の置換基の例は、式(I)におけるベンゼン環Aおよびその縮合環の置換基の例と同様である。
【0056】
式(II)において、ベンゼン環Bには、他の芳香族環が縮合していてもよく、ベンゼン環Bおよびその縮合環は、置換基を有していてもよい。ベンゼン環Bおよびその縮合環の置換基の例は、式(I)におけるベンゼン環Aおよびその縮合環の置換基の例と同様である。
式(II)で表されるメチン染料は、少なくとも1つの酸性基を有することが好ましい。酸性基の定義および例は、式(I)で説明した酸性基の定義および例と同様である。
式(II)で表されるメチン染料は、電荷バランスを保つための対イオンを有していてもよい。対イオンの定義および例は、式(I)で説明した対イオンの定義および例と同様である。
本発明では、メチン染料(メロシアニン染料)として、下記式(IIa)で表されるメロシアニン染料を用いることができる
【0057】
【化36】
Figure 0004439619
【0058】
式(IIa)において、R51およびR52は、それぞれ独立に、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基またはアリール基である。アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基およびアリール基の定義および例は、式(I)におけるR11、R12、R13およびR14のアルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基およびアリール基の定義および例と同様である。
式(IIa)において、R53は、水素原子、アルキル基、置換アルキル基またはアリール基である。アルキル基、置換アルキル基およびアリール基の定義および例は、式(I)におけるR11、R12、R13およびR14のアルキル基、置換アルキル基およびアリール基の定義および例と同様である。
【0059】
式(IIa)において、R54は、アルキル基、置換アルキル基またはアリール基である。アルキル基、置換アルキル基およびアリール基の定義および例は、式(I)におけるR11、R12、R13およびR14のアルキル基、置換アルキル基およびアリール基の定義および例と同様である。
式(IIa)において、L 31 は、偶数個のメチンからなるメチン鎖である。メチン鎖の定義は、式(II)におけるL21の定義と同様である。
式(IIa)において、X51は、−O−、−S−、−CO−NR55−または−NR56−であって、R55およびR56は、それぞれ独立に、アルキル基、置換アルキル基またはアリール基である。アルキル基、置換アルキル基およびアリール基の定義および例は、式(I)におけるR11、R12、R13およびR14のアルキル基、置換アルキル基およびアリール基の定義および例と同様である。
【0060】
式(IIa)において、Y51は、=O、=Sまたは=CR5758であって、R57およびR58は、それぞれ独立に、シアノ、カルボキシル、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基またはアリールスルホニル基である。
アシル基の炭素原子数は、2乃至10であることが好ましく、2乃至8であることがより好ましく、2乃至6であることがさらに好ましく、2乃至4であることが最も好ましい。アシル基の例には、アセチルが含まれる。
アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2乃至10であることが好ましく、2乃至8であることがより好ましく、2乃至6であることがさらに好ましく、2乃至4であることが最も好ましい。アルコキシカルボニル基の例には、エトキシカルボニルが含まれる。
アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1乃至10であることが好ましく、1乃至8であることがより好ましく、1乃至6であることがさらに好ましく、1乃至4であることが最も好ましい。アルキルスルホニル基の例には、メタンスルホニルが含まれる。
アリールスルホニル基は、ベンゼンスルホニルであることが好ましい。
【0061】
式(IIa)において、ベンゼン環Fには、他の芳香族環が縮合していてもよく、ベンゼン環Fおよびその縮合環は、置換基を有していてもよい。ベンゼン環Fおよびその縮合環の置換基の例は、式(I)におけるベンゼン環Aおよびその縮合環の置換基の例と同様である。
なお、式(IIa)において、−C2 4 −は、−CH2 −CH2 −(エチレン)または−CH(CH3 )−(エチリデン)を意味する。
式(IIa)で表されるメロシアニン染料は、少なくとも1つの酸性基を有することが好ましい。酸性基の定義および例は、式(I)で説明した酸性基の定義および例と同様である。
式(IIa)で表されるメロシアニン染料は、電荷バランスを保つための対イオンを有していてもよい。対イオンの定義および例は、式(I)で説明した対イオンの定義および例と同様である。
式(IIa)で表されるメロシアニン染料は、さらに下記式(IIb)で表されることが好ましい。
【0062】
【化37】
Figure 0004439619
【0063】
式(IIb)において、R81およびR82は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数が1乃至9のアルキル基または炭素原子数が1乃至9のアルコキシ基である。水素原子または炭素原子数が1乃至9のアルキル基であることが好ましく、水素原子または炭素原子数が1乃至7のアルキル基であることがより好ましく、水素原子または炭素原子数が1乃至5のアルキル基であることがさらに好ましく、水素原子または炭素原子数が1乃至3のアルキル基であることが最も好ましい。式(IIb)において、R83は、水素原子、アルキル基、置換アルキル基またはアリール基である。アルキル基、置換アルキル基およびアリール基の定義および例は、式(I)におけるR11、R12、R13およびR14のアルキル基、置換アルキル基およびアリール基の定義および例と同様である。
【0064】
式(IIb)において、R84は、アルキル基、置換アルキル基またはアリール基である。アルキル基、置換アルキル基およびアリール基の定義および例は、式(I)におけるR11、R12、R13およびR14のアルキル基、置換アルキル基およびアリール基の定義および例と同様である。
式(IIb)において、L81は、偶数個のメチンからなるメチン鎖である。メチン鎖の定義は、式(II)におけるL21の定義と同様である。
式(IIb)において、X81は、−O−、−S−または−NR85−であって、R85は、アルキル基、置換アルキル基またはアリール基である。アルキル基、置換アルキル基およびアリール基の定義および例は、式(I)におけるR11、R12、R13およびR14のアルキル基、置換アルキル基およびアリール基の定義および例と同様である。
【0065】
式(IIb)において、R84は、アルキル基、置換アルキル基またはアリール基である。アルキル基、置換アルキル基およびアリール基の定義および例は、式(I)におけるR11、R12、R13およびR14のアルキル基、置換アルキル基およびアリール基の定義および例と同様である。
式(IIb)において、Y81は、=O、=Sまたは=CR8687であって、R86およびR87は、それぞれ独立に、シアノ、カルボキシル、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基またはアリールスルホニル基である。アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基およびアリールスルホニル基の定義および例は、式(IIa)におけるR57およびR58のアシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基およびアリールスルホニル基の定義および例と同様である。
【0066】
式(IIb)において、ベンゼン環Lには、他の芳香族環が縮合していてもよく、ベンゼン環Lおよびその縮合環は、置換基を有していてもよい。ベンゼン環Lおよびその縮合環の置換基の例は、式(I)におけるベンゼン環Aおよびその縮合環の置換基の例と同様である。
なお、式(IIb)において、−C−は、−CH−CH−(エチレン)または−CH(CH)−(エチリデン)を意味する。
式(IIb)で表されるメロシアニン染料は、少なくとも1つの酸性基を有することが好ましい。酸性基の定義および例は、式(I)で説明した酸性基の定義および例と同様である。
式(IIb)で表されるメロシアニン染料は、電荷バランスを保つための対イオンを有していてもよい。対イオンの定義および例は、式(I)で説明した対イオンの定義および例と同様である。
以下に式(II)で表されるメロシアニン染料の例を示す。なお、(II−4)、(II−8)および(II−15)は、参考例である。
【0067】
【化38】
Figure 0004439619
【0068】
【化39】
Figure 0004439619
【0069】
【化40】
Figure 0004439619
【0070】
【化41】
Figure 0004439619
【0071】
【化42】
Figure 0004439619
【0072】
【化43】
Figure 0004439619
【0073】
【化44】
Figure 0004439619
【0074】
【化45】
Figure 0004439619
【0075】
【化46】
Figure 0004439619
【0076】
式(III)において、R31、R32、R33およびR34は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基またはアリール基であるか、あるいは、R31とR32とが結合して5員または6員の飽和脂肪族環を形成する。アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基およびアリール基の定義および例は、式(I)におけるR11、R12、R13およびR14のアルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基およびアリール基の定義および例と同様である。
式(III)において、R33は、水素原子、アルキル基、置換アルキル基またはアリール基である。アルキル基、置換アルキル基およびアリール基の定義および例は、式(I)におけるR11、R12、R13およびR14のアルキル基、置換アルキル基およびアリール基の定義および例と同様である。
【0077】
式(III)において、L31は、奇数個のメチンからなるメチン鎖である。メチン鎖中のメチンの数は、1、3または5であることが好ましく、1または3であることがさらに好ましく、1であることが最も好ましい。
メチン鎖は置換基を有していてもよい。置換基としては、炭素原子数が1乃至6個のアルキル基(例、メチル、エチル)またはハロゲン原子が好ましい。メチン鎖が一つの置換基を有する場合、一つの置換基は、メチン鎖の中央(メソ位)のメチンに結合することが好ましい。
式(III)において、Y31は、=O、=Sまたは=CR3435であって、R34およびR35は、それぞれ独立に、シアノ、カルボキシル、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基またはアリールスルホニル基である。アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基およびアリールスルホニル基の定義および例は、式(IIa)におけるR57およびR58のアシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基およびアリールスルホニル基の定義および例と同様である。
【0078】
式(III)において、ベンゼン環Cには、他の芳香族環が縮合していてもよく、ベンゼン環Cおよびその縮合環は、置換基を有していてもよい。ベンゼン環Cおよびその縮合環の置換基の例は、式(I)におけるベンゼン環Aおよびその縮合環の置換基の例と同様である。
式(III)で表されるメチン染料は、少なくとも1つの酸性基を有することが好ましい。酸性基の定義および例は、式(I)で説明した酸性基の定義および例と同様である。
式(III)で表されるメチン染料は、電荷バランスを保つための対イオンを有していてもよい。対イオンの定義および例は、式(I)で説明した対イオンの定義および例と同様である。
本発明では、メチン染料(スクアリリウムメロシアニン染料)として、下記式(IIIa)で表されるスクアリリウムメロシアニン染料を用いることができる
【0079】
【化47】
Figure 0004439619
【0080】
式(IIIa)において、R61およびR62は、それぞれ独立に、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基またはアリール基である。アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基およびアリール基の定義および例は、式(I)におけるR11、R12、R13およびR14のアルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基およびアリール基の定義および例と同様である。
式(IIIa)において、R63は、水素原子、アルキル基、置換アルキル基またはアリール基である。アルキル基、置換アルキル基およびアリール基の定義および例は、式(I)におけるR11、R12、R13およびR14のアルキル基、置換アルキル基およびアリール基の定義および例と同様である。
式(IIIa)において、Y61は、=O、=Sまたは=CR6465であって、R64およびR65は、それぞれ独立に、シアノ、カルボキシル、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基またはアリールスルホニル基である。アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基およびアリールスルホニル基の定義および例は、式(IIa)におけるR57およびR58のアシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基およびアリールスルホニル基の定義および例と同様である。
【0081】
式(IIIa)において、ベンゼン環Gには、他の芳香族環が縮合していてもよく、ベンゼン環Gおよびその縮合環は、置換基を有していてもよい。ベンゼン環Gおよびその縮合環の置換基の例は、式(I)におけるベンゼン環Aおよびその縮合環の置換基の例と同様である。
なお、式(IIIa)において、−C2 4 −は、−CH2 −CH2 −(エチレン)または−CH(CH3 )−(エチリデン)を意味する。
式(IIIa)で表されるスクアリリウムメロシアニン染料は、少なくとも1つの酸性基を有することが好ましい。酸性基の定義および例は、式(I)で説明した酸性基の定義および例と同様である。
式(IIIa)で表されるスクアリリウムメロシアニン染料は、電荷バランスを保つための対イオンを有していてもよい。対イオンの定義および例は、式(I)で説明した対イオンの定義および例と同様である。
式(IIIa)で表されるスクアリリウムメロシアニン染料は、さらに下記式(IIIb)で表されることが好ましい。
【0082】
【化48】
Figure 0004439619
【0083】
式(IIIb)において、R91およびR92は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数が1乃至9のアルキル基または炭素原子数が1乃至9のアルコキシ基である。水素原子または炭素原子数が1乃至9のアルキル基であることが好ましく、水素原子または炭素原子数が1乃至7のアルキル基であることがより好ましく、水素原子または炭素原子数が1乃至5のアルキル基であることがさらに好ましく、水素原子または炭素原子数が1乃至3のアルキル基であることが最も好ましい。式(IIIb)において、R93は、水素原子、アルキル基、置換アルキル基またはアリール基である。アルキル基、置換アルキル基およびアリール基の定義および例は、式(I)におけるR11、R12、R13およびR14のアルキル基、置換アルキル基およびアリール基の定義および例と同様である。
式(IIIb)において、Y91は、=O、=Sまたは=CR9495であって、R94およびR95は、それぞれ独立に、シアノ、カルボキシル、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基またはアリールスルホニル基である。アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基およびアリールスルホニル基の定義および例は、式(IIa)におけるR57およびR58のアシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基およびアリールスルホニル基の定義および例と同様である。
【0084】
式(IIIb)において、ベンゼン環Mには、他の芳香族環が縮合していてもよく、ベンゼン環Mおよびその縮合環は、置換基を有していてもよい。ベンゼン環Mおよびその縮合環の置換基の例は、式(I)におけるベンゼン環Aおよびその縮合環の置換基の例と同様である。
なお、式(IIIb)において、−C−は、−CH−CH−(エチレン)または−CH(CH)−(エチリデン)を意味する。
式(IIIb)で表されるスクアリリウムメロシアニン染料は、少なくとも1つの酸性基を有することが好ましい。酸性基の定義および例は、式(I)で説明した酸性基の定義および例と同様である。
式(IIIb)で表されるスクアリリウムメロシアニン染料は、電荷バランスを保つための対イオンを有していてもよい。対イオンの定義および例は、式(I)で説明した対イオンの定義および例と同様である。
以下に式(III)で表されるスクアリリウムメロシアニン染料の例を示す。なお、(III−7)および(III−8)は、参考例である。
【0085】
【化49】
Figure 0004439619
【0086】
【化50】
Figure 0004439619
【0087】
二種類以上のメチン染料を併用してもよい。
式(I)のシアニン染料、式(II)のメロシアニン染料および式(III)のスクアリリウムメロシアニン染料は、メチン鎖の長さを適宜調節することにより、青から近赤外までの様々な光に対する増感能を付与することができる。従って、二種類以上のメチン染料を併用することにより、半導体微粒子を広い波長領域に対して増感することができる。特に、式(I−a)のスクアリリウムシアニン染料は、赤色光に対する増感能に優れ、式(III-a)のスクアリリウムメロシアニン染料は、は青色光に対する増感能に優れている。式(I−a)と式(III-a)の染料を混合して用いると、半導体微粒子を可視光全域に対して広く増感することができる。
式(I)、式(II)または式(III)のメチン染料と他の染料とを併用することもできる。他の染料の例には、式(I)、式(II)および式(III)以外のメチン染料、金属錯体染料およびフタロシアニン系色素が含まれる。
光電変換材料または光電変換素子におけるメチン染料の使用量は、1m2 当たり0.01乃至100ミリモルであることが好ましい。また、メチン染料の半導体微粒子に対する吸着量は、半導体微粒子1g当たり0.01乃至1ミリモルであることが好ましい。
【0088】
スクアリリウムシアニン染料やクロコニウムシアニン染料の詳細については、エフ・エム・ハーマー(F.M.Harmer)著「ヘテロサイクリック・コンパウンズーシアニンダイズ・アンド・リレィティド・コンパウンズ(Heterocyclic Compounds-Cyanine Dyes and Related Compounds)」、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)社ーニューヨーク、ロンドン、1964年刊、デー・エム・スターマー(D.M.Sturmer)著「ヘテロサイクリック・コンパウンズースペシャル・トピックス・イン・ヘテロサイクリック・ケミストリー(Heterocyclic Compounds-Special topics in heterocyclic chemistry)」、第18章、第14節、第482から515頁、M. Okawara, T. Kitao,T. Hirasima, M. Matuoka著Organic Colorants(Elsevier)に記載がある。
【0089】
[合成例1]
スクアリリウムメロシアニン染料(III−1)の合成
【0090】
【化51】
Figure 0004439619
【0091】
常法により合成したインドレニン誘導体の4級塩(a)5.0g、エタノール30mlおよびトリエチルアミン2mlを混合し、撹拌しながら加熱還流した。反応液を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し化合物(b)2.5gを得た。
化合物(b)2.5g、エタノール30ml、水酸化ナトリウム0.4gを混合し、5分間加熱還流した。反応液を希塩酸水に注いで酢酸エチルで抽出、有機層を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。得られた粗結晶をアセトニトリルで再結晶し、スクアリリウムメロシアニン染料(III−1)1.5gを得た。
【0092】
[合成例2]
スクアリリウムシアニン染料(I−6)の合成
【0093】
【化52】
Figure 0004439619
【0094】
スクアリリウムメロシアニン染料(III−1)1.5g、化合物(c)1.3g、3−メトキシプロピオニトリル10mlおよびトルエン10mlを混合し、120℃にて3時間加熱攪拌した。反応液を濃縮し、残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。得られた粗結晶をメタノールで再結晶しスクアリリウムシアニン染料(I−6)を得た。収量は0.3gであった。
【0095】
[半導体微粒子]
半導体微粒子に用いる半導体は、常温での電子あるいは正孔の伝導に基づく比抵抗が、10-2乃至109 Ω・cmである。単純な測定値としての比抵抗は、10-2乃至105 Ω・cmであることが好ましい。
光電変換素子では、半導体微粒子が感光体として機能する。すなわち、半導体微粒子が光を吸収して電荷分離を行い、電子と正孔を生ずる。メチン染料で増感された半導体微粒子では、光吸収およびこれによる電子および正孔の発生は主としてメチン染料において起こり、半導体微粒子はこの電子を受け取り、伝達する役割を担う。
【0096】
半導体としては、単体半導体(例、シリコン、ゲルマニウム)、金属のカルコゲニド(例、酸化物、硫化物、セレン化物、テルル化物)またはペロブスカイト(例、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム)が好ましい。酸化物として用いる金属としては、チタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブおよびタンタルが好ましい。硫化物として用いる金属としては、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモンおよびビスマスが好ましい。セレン化物として用いる金属としては、カドミウムおよび鉛が好ましい。テルル化物として用いる金属としては、カドミウムが好ましい。二種類の金属のカルコゲニド(例、銅−インジウム−セレン化物、銅−インジウム−硫化物)を用いてもよい。その他の化合物半導体として、金属のリン化物やガリウムヒ素を用いてもよい。リン化物として用いる金属としては、亜鉛、ガリウム、インジウムおよびカドミウムが好ましい。
【0097】
半導体としては、Si、TiO2 、SnO2 、Fe2 3 、WO3 、ZnO、Nb2 3 、CdS、ZnS、PbS、Bi2 3 、CdSe、CdTe、GaP、InP、GaAs、CuInS2 およびCuInSe2 が好ましく、TiO2 、SnO2 、Fe2 3 、WO3 、ZnO、Nb2 3 、CdS、PbS、CdSe、InP、GaAs、CuInS2 およびCuInSe2 がより好ましく、TiO2 およびNb2 3 がさらに好ましく、TiO2 が最も好ましい。
【0098】
光電変換効率の観点では、半導体は単結晶であることが好ましい。一方、製造コスト、原材料確保の容易さおよびエネルギーペイバックタイムの観点では、半導体は多結晶であることが好ましい。
多くの量のメチン染料を半導体微粒子に吸着させるためには、微粒子の表面積を大きくする必要がある。大きな表面積を得るためには、半導体微粒子は小さい粒子サイズを有することが好ましい。具体的には、半導体微粒子の平均粒径は、一次粒子の投影面積を円に換算したときの直径として、5乃至200nmであることが好ましく、8乃至100nmであることがさらに好ましい。分散物中の半導体微粒子(二次粒子)の平均粒径は、0.01乃至100μmであることが好ましい。
また、半導体微粒子の形状も、大きな表面積を得るために、表面に凹凸を有する形状であることが好ましい。具体的には、半導体微粒子の投影面積に対する表面積の割合(米国特許4927721号明細書にroughness factorとして記載)が10倍以上であることが好ましく、100倍以上であることがより好ましい。理論的な上限はないが、技術的な上限は1000倍程度である。大きな表面積を有する粒子は、例えば、半導体の超微粒子を凝集して、二次粒子を形成することにより得ることができる。
【0099】
平均粒径が異なる2種類以上の半導体微粒子を混合して用いてもよい。この場合、小さい方の粒子の平均粒径は、5nm以下にすることができる。また、粒子サイズの大きな(300nm程度の)半導体粒子を混合して、入射光を散乱させ、光捕獲率を向上させることもできる。
半導体微粒子は、ゾル−ゲル法またはゲル−ゾル法により作製することが好ましい。ゾル−ゲル法については、作花済夫の「ゾル−ゲル法の科学」アグネ承風社(1988年)、および技術情報協会の「ゾル−ゲル法による薄膜コーティング技術」(1995)に記載がある。ゲル−ゾル法については、杉本忠夫の「新合成法ゲルーゾル法による単分散粒子の合成とサイズ形態制御」まてりあ、第35巻、第9号、1012頁〜1018頁(1996)に記載がある。
ゾル−ゲル法による二酸化チタン微粒子の作製については、バーブ等の「ジャーナル・オブ・アメリカン・セラミック・ソサエティー 第80巻、第12号、3157ページから3171ページ(1997)」、およびバーンサイド等の「ケミカル・マテリアルズ」、第10巻、第9号、2419頁〜2425頁にも記載がある。
【0100】
また、塩化物を酸水素炎中で高温加水分解することにより、酸化物からなる半導体微粒子を作製する(Degussa社)こともできる。二酸化チタン微粒子は、さらに硫酸法または塩素法で作製することもできる。硫酸法および塩素法については、清野学の「酸化チタン・物性と応用技術」技報堂出版(1997)に記載がある。
半導体微粒子は、乳鉢ですり潰す方法、ミルを使って粉砕しながら分散する方法、あるいは半導体を合成する際に溶媒中で微粒子として析出させ方法でも作製することができる。
半導体微粒子へのメチン染料の吸着処理は、後述するように感光層(半導体微粒子を含む層)の形成後に実施することが好ましい。
【0101】
[光電変換素子]
図1は、代表的な光電変換素子の断面模式図である。
図1に示す光電変換素子は、導電性支持体(11)、感光層(12)、電荷移動層(2)および対向電極(3)がこの順に積層された構造を有する。感光層(12)は、表面にメチン染料(121)が吸着している半導体微粒子(122)を含む層である。電荷移動層(2)は、電解質を含む層である。対向電極は、基板および導電層からなる。本明細書では、導電性支持体(11)と感光層(12)との積層体(1)を光電変換材料と称する。
【0102】
光電変換素子を、外部回路で仕事をさせる電池用途に使用できるように設計したものが光電気化学電池である。
感光層(12)は、光電変換素子の用途に応じて設計する。二層以上の感光層を設けてもよい。感光層(12)に入射した光(4)はメチン染料(121)を励起する。励起されたメチン染料(121)はエネルギーの高い電子(e)を有しており、この電子(e)がメチン染料(121)から半導体微粒子(122)の伝導帯に渡され、さらに拡散によって導電性支持体(11)に到達する。これによりメチン染料(121)の分子は酸化体になっている。光電気化学電池においては、導電性支持体(11)上の電子(e)が外部回路(5)で仕事をしてから、対向電極(3)に戻る。さらに電子(e)は、電荷移動層(2)を経由してメチン染料(121)の酸化体に戻り、メチン染料(121)が再生する。感光層(12)は、光電気化学電池の負極として機能する。
なお、各層の境界、例えば、導電性支持体(11)と感光層(12)との境界、感光層(12)と電荷移動層(2)との境界、電荷移動層(2)と対向電極(1)との境界は、各層の構成成分が相互に拡散して混合していてもよい。
【0103】
以上述べた以外にも、必要に応じて、他の機能の層、例えば保護層や反射防止膜を光電変換素子に設けることができる。多層構造の光電変換素子は、逐次塗布に製造することができるが、生産性を優先させると同時多層塗布により製造することが好ましい。同時多層塗布には、スライドホッパー法またはエクストルージョン法が適している。また、各機能層には、蒸着や貼り付けにより設けることができる層もある。
光電変換素子は、構成成分の劣化や揮散を防止するために、側面をポリマーや接着剤で密封することが好ましい。
【0104】
[導電性支持体]
導電性支持体は、金属板のような導電性材料を用いるか、あるいはガラス板やプラスチックフイルムのような非導電性基板の表面に導電層を設けて使用する。導電層は、金属(例、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム)、炭素あるいは導電性金属酸化物(例えば、インジウム−スズ複合酸化物、酸化スズにフッ素をドープしたもの)を用いて形成することができる。
導電剤層の厚さは、0.02乃至10μmであることが好ましい。
導電性支持体の表面抵抗は、50Ω/cm2 以下であることが好ましく、10Ω/cm2 以下であることがさらに好ましい。理論的な下限値はないが、技術的な下限値は、0.1Ω/cm2 程度である。
【0105】
導電性支持体は実質的に透明であることが好ましい。実質的に透明であるとは光の透過率が10%以上であることを意味し、50%以上であることがさらに好ましく、70%以上であることが最も好ましい。透明な導電性支持体を得るためには、ガラス板またはプラスチックフイルムからなる透明基板の表面に、導電性金属酸化物からなる透明導電層を設けることが好ましい。透明な導電性支持体を用いる場合、光は支持体側から入射させることが好ましい。
透明導電層の導電性金属酸化物として、フッ素をドーピングした二酸化スズまたはITOを用いることが好ましい。透明導電層における導電性金属酸化物の塗布量は、基板1m2 当たり0.01乃至100gであることが好ましい。
【0106】
透明基板としては、ソーダ石灰フロートガラス板または透明プラスチックフイルムを用いることが好ましい。透明プラスチックフイルムに用いるポリマーの例には、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリエチレンナフタレート(PEN)、シンジオクタチックポリステレン(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAr)、ポリスルフォン(PSF)、ポリエステルスルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、環状ポリオレフィンおよびブロム化ポリフェノキシが含まれる。
【0107】
導電性支持体の抵抗を下げるため、金属リードを用いることが好ましい。金属リードに用いる金属の例には、アルミニウム、銅、銀、金、白金およびニッケルが含まれる。アルミニウムおよび銀が特に好ましい。金属リードを蒸着またはスッパタリングにより基板上に設け、その上に導電層を設けることが好ましい。導電層を基板に設けたあと、導電層上に金属リードを設けることもできる。金属リードの設置による入射光量の低下は、10%以下に抑制することが好ましく、5%以下に抑制することがさらに好ましい。入射光量の低下率の理論的な下限はないが、1%程度が技術的な下限である。
【0108】
[感光層]
感光層は、半導体微粒子を導電性支持体上に塗布することにより形成する。
一般に、半導体微粒子の分散液またはコロイド溶液を導電性支持体上に塗布することで感光層を形成する。導電性支持体上で前述したゾル−ゲル法を実施し、導電性支持体上で半導体微粒子を形成することもできる。ただし、半導体微粒子の分散液またはコロイド溶液の塗布による方法が、光電変換素子の量産に適している。半導体微粒子の分散液を用いることが好ましい。なお、塗布法には、印刷法も含まれる。
【0109】
半導体微粒子の分散媒としては、水または有機溶媒(例、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ジクロロメタン、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル)を用いることができる。分散において、必要に応じて分散助剤(例、ポリマー、界面活性剤、酸、キレート剤)を用いてもよい。感光層の塗布液に紫外線吸収剤を添加してもよい。
塗布法には、ローラ法、ディップ法、エアーナイフ法、ブレード法、ワイヤーバー法(特公昭58−4589号公報記載)、スライドホッパ法(米国特許2681294号、同2761419号、同2761791号の各明細書記載)、エクストルージョン法、カーテン法、スピン法、スプレー法やキャスト法が含まれる。
印刷法としては、凸版印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法、凹版印刷法、ゴム版印刷法やスクリーン印刷印刷法が応用できる。
【0110】
エクストルージョン法やキャスト法では、高粘度(0.01〜500Poise )の塗布液を用いることが好ましい。スライドホッパー法、ワイヤーバー法やスピン法、低粘度(0.1Poise 以下)の塗布液を用いることが好ましい。塗布液の粘度は、半導体微粒子、使用する溶媒、界面活性剤やポリマーの種類と量を変更することより調整できる。
なお、一定の塗布量があれば、エクストルージョン法でも、低粘度塗布液の使用が可能である。また、高粘度塗布液の場合は、スクリーン印刷法が有利に用いられる。
【0111】
二以上の感光層を設けることができる。二以上の感光層では、半導体微粒子の平均粒径、半導体の種類、あるいは他の添加剤(例、ポリマー)の組成を変更することができる。また、一度の塗布で感光層の厚さが不足する場合にも、二以上の感光層が有効である。多層塗布には、エクストルージョン法またはスライドホッパー法が適している。二以上の感光層では、同時多層塗布により形成することができる。数回から十数回、感光層を重ね塗りしてもよい。重ね塗りには、スクリーン印刷法も適している。
【0112】
感光層の厚さは、0.1乃至100μmであることが好ましく、1乃至30μmであることがさらに好ましく、2乃至25μmであることが最も好ましい。半導体微粒子の1m2 当たりの塗布量は、0.5乃至400gであることが好ましく、5乃至100であることがさらに好ましい。
メチン染料の吸着量を増大させるため、吸着処理前に加熱処理を行うことできる。加熱処理は、半導体微粒子を電気的に接触させるため、感光層の強度を向上させるため、あるいは感光層と支持体との密着性を向上させるために実施することもできる。加熱処理温度は、40乃至700であることが好ましく、100℃乃至600℃であることがさらに好ましい。加熱処理時間は、10分乃至10時間であることが好ましい。なお、5nm以下の小さい半導体微粒子の使用や鉱酸の存在下での加熱処理を実施することにより、比較的低い温度で加熱処理を実施できる。比較的低い温度で加熱処理を実施すると、融点や軟化点の低い支持体の劣化を防止できる。
【0113】
加熱処理後、メッキ処理を行ってもよい。メッキ処理は、半導体微粒子の表面積を増大したり、メチン染料から半導体微粒子への電子注入効率を高める目的で実施する。メッキ処理は、四塩化チタン水溶液を用いた化学メッキ処理または三塩化チタン水溶液を用いた電気化学メッキ処理が好ましい。
加熱処理後、半導体微粒子表面に水が吸着するのを避けるため、常温に戻さず直ちに40乃至80℃で吸着処理を実施することが好ましい。
【0114】
[メチン染料の吸着処理]
メチン染料の吸着処理は、浸漬法または塗布法により実施できる。
浸漬法では、よく乾燥した感光層(または感光層を有する光電変換材料)を染料溶液中に浸漬する。浸漬法には、ディップ法、ローラ法やエアーナイフ法も含まれる。浸漬法の場合、吸着処理は室温で実施できる。また、加熱還流しながら吸着処理を実施してもよい(特開平7−249790号公報記載)。
塗布法では、染料溶液を、感光層の上に塗布する。塗布法には、ワイヤーバー法、スライドホッパ法、エクストルージョン法、カーテン法、スピン法やスプレー法も含まれる。印刷により塗布法を実施することもできる。印刷法では、凸版印刷、オフセット印刷、グラビア印刷あるいはスクリーン印刷の方法が応用できる。
【0115】
メチン染料の溶媒は、メチン染料の溶解性に応じて選択する。溶媒の例には、水、アルコール(例、メタノール、エタノール、t−ブタノール、ベンジルアルコール)、ニトリル(例、アセトニトリル、プロピオニトリル、3−メトキシプロピオニトリル)、ニトロメタン、ハロゲン化炭化水素(例、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン)、ジメチルスルホキシド、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセタミド等)、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、3−メチルオキサゾリジノン、エステル(例、酢酸エチル、酢酸ブチル、炭酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン)、ケトン(例、アセトン、2−ブタノン、シクロヘキサノン)および炭化水素(例、ヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエン)が含まれる。二種類以上の溶媒を混合して用いてもよい。
【0116】
エクストルージョン法や印刷法のような塗布法では、高粘度(0.01〜500Poise )のメチン染料溶液を用いることが好ましい。浸漬法、あるいはスライドホッパー法、ワイヤーバー法やスピン法のような塗布法では、低粘度(0.1Poise 以下)のメチン染料溶液を用いることが好ましい。
塗布法において塗布後のメチン染料吸着に要する時間は、量産化を考慮すると、なるべく短い方がよい。
未吸着のメチン染料は、光電変換素子性能の外乱要因になるため、吸着処理後速やかに洗浄により除去することが好ましい。湿式洗浄槽を使い、有機溶媒、好ましくは極性有機溶媒(例、アセトニトリル、アルコール)で洗浄することが好ましい。
【0117】
また、会合のようなメチン染料の相互作用を低減する目的で、さらに無色の化合物を半導体微粒子に吸着させてもよい。吸着させる無色の化合物としては、疎水性化合物が好ましい。疎水性化合物の例には、カルボキシ基を有するステロイド化合物(例、ケノデオキシコール酸)が含まれる。
また、未吸着メチン染料の除去を促進する目的で、吸着処理後に、アミンを用いて半導体微粒子の表面を処理してもよい。アミンの例には、ピリジン、4−tert−ブチルピリジンおよびポリビニルピリジンが含まれる。アミンが液体の場合には、そのまま処理に用いることができる。アミンを有機溶媒に溶解し、その溶液を用いてもよい。
【0118】
[電荷移動層]
電荷移動層は、メチン染料の酸化体に電子を補充する機能を有する層である。
電荷移動層には、酸化還元対を有機溶媒に溶解した液体(電解液)、酸化還元対を有機溶媒に溶解した液体をポリマーマトリクスに含浸したゲル電解質あるいは酸化還元対を含有する溶融塩を用いることができる。また、固体電解質や正孔(ホール)輸送材料も電荷移動層に用いることもできる。
【0119】
電解液は、一般に電解質、溶媒および添加剤からなる。
電解質の例には、I2 とヨウ化物との組み合わせ、Br2 と臭化物の組み合わせ、フェロシアン酸塩とフェリシアン酸塩との組み合わせ、金属錯体の組み合わせ(例、フェロセンとフェリシニウムイオンとの組み合わせ)、ポリ硫化ナトリウム、硫黄化合物の組み合わせ(例、アルキルチオールとアルキルジスルフィドとの組み合わせ)、ビオロゲン色素およびヒドロキノンとキノンとの組み合わせが含まれる。上記ヨウ化物としては、金属ヨウ化物(例、LiI、NaI、KI、CsI、CaI2 )または4級アンモニウム化合物のヨウ素塩(例、テトラアルキルアンモニウムヨーダイド、ピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイド)を用いることができる。上記臭化物としては、金属臭化物(例、LiBr、NaBr、KBr、CsBr、CaBr2 )または4級アンモニウム化合物の臭素塩(例、テトラアルキルアンモニウムブロマイド、ピリジニウムブロマイド)を用いることができる。I2 とLiIまたは4級アンモニウム化合物との組み合わせが好ましい。二種類以上の電解質を混合して用いてもよい。
【0120】
電解質を溶融塩として用いることが特に好ましい。溶融塩は、室温で溶融状態の塩を意味する。溶融塩からなる電解質については、欧州特許718288号、国際特許WO95/18456号の各明細書およびJ. Electrochem. Soc., Vol.143,No.10,3099(1996)、Inorg. Chem. 1996,35,1168-1178に記載がある。溶融塩を電解質として使用する場合、溶媒は使用しなくてもよい。
溶融塩としては、置換イミダゾリウム塩が特に好ましい。二種類以上の置換イミダゾリウム塩を混合して用いることが好ましい。置換イミダゾリウム塩の対アニオンとしては、一価のアニオンが好ましい。対アニオンの例には、ハロゲンイオン、ハロゲン化物イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、トリフルオロメタンスルホナート、ビストリフルオロメタンスルホニルイミド、トリストリフルオロメタンスルホニルメタニドおよびヘキサクロロアンモナートが含まれる。
以下に、溶融塩の具体例を示す。
【0121】
【化53】
Figure 0004439619
【0122】
電解質濃度は、0.1乃至15Mであることが好ましく、0.2乃至10Mであることがさらに好ましい。電解質にヨウ素を添加する場合、ヨウ素の濃度は、0.01乃至0.5Mであることが好ましい。
電解質に使用する溶媒は、電解質のイオン伝導性を考慮して決定する。具体的には、粘度が低く誘電率が高い液体を用いることが好ましい。低粘度の液体を用いるとイオン易動度が向上する。また、誘電率が高い液体では、有効キャリアー濃度が向上する。
【0123】
溶媒の例には、カーボネート化合物(例、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート)、複素環化合物(例、3−メチル−2−オキサゾリジノン)、環状エーテル(例、ジオキサン)、鎖状エーテル(例、ジエチルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル)、一価アルコール(例、メタノール、エタノール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル)、多価アルコール(例、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン)、ニトリル(例、アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル)、非プロトン極性物質(例、ジメチルスルフォキシド、スルフォラン)および水が含まれる。
【0124】
電解質に塩基性化合物を添加してもよい。塩基性化合物については、J. Am. Ceram. Soc .,80 (12)3157-3171(1997)に記載がある。塩基性化合物の例には、tert−ブチルピリジン、2−ピコリンおよび2,6−ルチジンが含まれる。塩基性物質を添加する場合、塩基性化合物の濃度は、0.05乃至2Mであることが好ましい。
電解質は、ゲル化(固体化)させて使用することができる。電解質のゲル化は、ポリマー添加、オイルゲル化剤添加、多官能モノマーの重合反応またはポリマーの架橋反応により実施できる。
ゲル化に使用するポリマーについては、¨Polymer Electrolyte Revi ews-1および2¨(J.R.MacCallumとC.A. Vincentの共編、ELSEVIER APPLIED SCIENCE)に記載がある。ポリマーとしては、ポリアクリロニトリルおよびポリフッ化ビニリデンが特に好ましい。
オイルゲル化剤については、J. Chem Soc. Japan, Ind. Chem.Soc., 46779(1943); J. Am. Chem. Soc., 111,5542(1989); J. Chem. Soc., Chem. Commun., 1993, 390; Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 35,1949(1996); Chem. Lett., 1996, 885;およびJ. Chm. Soc., Chem. Commun., 1997,545に記載がある。オイルゲル化剤としては、アミドを化合物を用いることが好ましい。
【0125】
多官能モノマーの重合反応により電解質をゲル化する場合、多官能モノマー、重合開始剤および電解質の溶液を感光層の上に塗布してから、ラジカル重合反応を実施することが好ましい。溶液の塗布は、キャスト法、塗布法,浸漬法または含浸法により実施できる。
多官能性モノマーはエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物であることが好ましい。多官能モノマーの例には、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートおよびトリメチロールプロパントリアクリレートが含まれる。
【0126】
多官能モノマーに加えて、単官能モノマーを用いてもよい。単官能モノマーの例には、アクリル酸エステル(例、メチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート)、アクリルアミド(例、アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド)、α−アルキルアクリル酸(例えばメタクリル酸)エステル、α−アルキル(例えばメタクリル)アミド、ビニルエステル(例、酢酸ビニル)、マレイン酸、フマル酸、マレイン酸エステル(例、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチル)、フマル酸エステル(例、フマル酸ジエチル)、p−スチレンスルホン酸のナトリウム塩、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ジエン(例、ブタジエン、シクロペンタジエン、イソプレン)、芳香族ビニル化合物(例、スチレン、p−クロルスチレン、スチレンスルホン酸ナトリウム)、ビニル基を有する含窒素複素環化合物、ビニル基を有する4級アンモニウム塩、N−ビニルホルムアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、ビニルスルホン酸、ビニルスルホン酸ナトリウム、ビニリデンフルオライド、ビニリデンクロライド、ビニルアルキルエーテル(例、メチルビニルエーテル)、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテンおよびN−フェニルマレイミドが含まれる。
モノマー全量に占める多官能性モノマーの割合は、0.5乃至70重量%であることが好ましく、1.0乃至50重量%であることがさらに好ましい。
【0127】
モノマーのラジカル重合については、大津隆行・木下雅悦共著:高分子合成の実験法(化学同人)および大津隆行:講座重合反応論1ラジカル重合(I)(化学同人)に記載がある。
モノマーのラジカル重合は、加熱、光照射、電子線照射または電気化学的処理により実施できる。加熱によるラジカル重合が好ましい。
加熱によるラジカル重合には、熱重合開始剤を用いる。熱重合開始剤としては、アゾ系重合開始剤または過酸化物系重合開始剤を用いることが好ましい。アゾ系重合開始剤の例には、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)およびジメチル2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオネート)が含まれる。過酸化物系重合開始剤の例には、ベンゾイルパーオキシドが含まれる。
重合開始剤は、モノマー総量の0.01乃至20重量%の量で使用することが好ましく、0.1乃至10重量の量で使用することがさらに好ましい。
電解質中のモノマーの量は、0.5乃至70重量%であることが好ましく、1.0乃至50重量%であることがさらに好ましい。
【0128】
ポリマーの架橋反応により電解質をゲル化する場合、架橋可能な反応性基を有するポリマーと架橋剤とを併用することが好ましい。架橋可能な反応性基としては、含窒素複素環基が好ましい。含窒素複素環の複素環の例には、ピリジン環、イミダゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、トリアゾール環、モルホリン環、ピペリジン環およびピペラジン環が含まれる。架橋剤としては、窒素原子に対して求電子反応が可能な官能基を二以上有する化合物を用いることが好ましい。架橋剤の例には、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アラルキル、スルホン酸エステル、酸無水物、酸クロライドおよびイソシアネートが含まれる。
【0129】
電荷輸送層には、電解質に代えて正孔(ホール)輸送材料を使用することもできる。正孔輸送材料には、有機材料と無機材料とがある。有機正孔輸送材料と無機正孔輸送材料とを併用してもよい。
有機正孔輸送材料としては、芳香族アミン、オリゴチオフェン化合物および導電性ポリマーを用いることができる。
芳香族アミンの例には、N,N’−ジフエニル−N,N’−ビス(4−メトキシフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(J.Hagen et al., Synthetic Metal 89(1997)215-220記載)、2,2’,7,7’−テトラキス(N,N−ジ−p−メトキシフェニルアミン)9,9’−スピロビフルオレン(Nature,Vol.395, 8 Oct. 1998,p583-585および国際特許出願WO97/10617号明細書記載)、1,1−ビス{4−(ジ−p−トリルアミノ)フェニル}シクロヘキサンの3級芳香族アミンユニットを連結した芳香族ジアミン化合物(特開昭59−194393号公報記載)、2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族アミン、例えば4,4’−ビス[(N−1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(特開平5−234681号公報記載)、トリフェニルベンゼンの誘導体でスターバースト構造を有する芳香族トリアミン(米国特許4923774号明細書および特開平4−308688号公報記載)、芳香族ジアミン、例えばN,N’−ジフエニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)-(1,1’−ビフェニル)-4,4’−ジアミン(米国特許4764625号明細書記載)、α,α,α',α'-テトラメチル-α,α'-ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−p−キシレン(特開平3−269084号公報記載)、p−フェニレンジアミン誘導体、分子全体として立体的に非対称なトリフェニルアミン誘導体(特開平4−129271号公報記載)、ピレニル基に芳香族ジアミノ基が複数個置換した化合物(特開平4−175395号公報記載)、エチレン基で3級芳香族アミンユニツトを連結した芳香族ジアミン(特開平4−264189号公報記載)、スチリル構造を有する芳香族ジアミン(特開平4−290851号公報記載)、ベンジルフェニル化合物(特開平4−364153号公報記載)、フルオレン基で3級アミンを連結した化合物(特開平5−25473号公報記載)、トリアミン化合物(特開平5−239455号公報記載)、ピスジピリジルアミノビフェニル(特開平5−320634号公報記載)、N,N,N−トリフェニルアミン誘導体(特開平6−1972号公報記載)、フェノキザジン構造を有する芳香族ジアミン(特開平7−138562号公報記載)およびジアミノフェニルフェナントリジン誘導体(特開平7−252474号公報記載)が含まれる。
【0130】
オリゴチオフェン化合物の例には、α−オクチルチオフェンおよびα,ω−ジヘキシル-α-オクチルチオフェン(Adv. Mater. 1997, 9, N0.7, p557記載)、ヘキサドデシルドデシチオフェン(Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 1995, 34, No.3,p303-307記載)および2,8−ジヘキシルアンスラ[2,3−b:6,7−b’]ジチオフェン(JACS, Vol120, N0.4,1998, p664-672記載)が含まれる。
導電性ポリマーの例には、ポリピロール(K. Murakoshi et al.,; Chem. Lett. 1997, p471記載)、ポリアセチレンとその誘導体(¨Handbook of Organic Conductive Molecules and Polymers Vol.1,2,3,4¨(NALWA著、WILEY出版記載)、ポリ(p-フェニレン) とその誘導体、ポリ( p-フェニレンビニレン)とその誘導体、ポリチエニレンビニレンとその誘導体、ポリチオフェンとその誘導体、ポリアニリンとその誘導体およびポリトルイジンとその誘導体が含まれる。
【0131】
ドーパントレベルをコントロールするため、有機正孔輸送材料にカチオンラジカルを含有する化合物を添加してもよい。カチオンラジカルを含有する化合物の例には、トリス(4−ブロモフェニル)アミニウムヘキサクロロアンチモネートが含まれる。カチオンラジカルを含有する化合物については、Nature,Vol.395, 8 Oct. 1998,p583-585に記載がある。
酸化物半導体表面のポテンシャルを制御(空間電荷層を補償)するため、有機正孔輸送材料に塩を添加してもよい。制御用の塩の例には、Li[(CF3 SO2 2 N]が含まれる。
有機正孔輸送材料は、真空蒸着法、キャスト法、塗布法、スピンコート法、浸漬法、電解重合法または光電解重合法により、光電変換素子に電荷輸送層として導入することができる。
【0132】
無機正孔輸送材料の例には、ヨウ化銅(p−CuI)(J. Phys. D:Appl. Phys. 31(1998)1492-1496記載)およびチオシアン化銅(Thin Solid Films 261(1995)307-310、J. Appl. Phys. 80(8),15 October 1996, p4749-4754、Chem. Mater. 1998, 10, 1501-1509、Semicond. Sci. Technol. 10, 1689-1693記載)が含まれる。無機正孔輸送材料は、キャスト法、塗布法、スピンコート法、浸漬法、電解メッキ法により、光電変換素子に電荷輸送層として導入することができる。
正孔輸送材料を電解質に代えて使用する場合、短絡防止のため二酸化チタン薄層を下塗り層として設けることが好ましい。二酸化チタン薄層は、スプレーパイロリシス(Electorochim. Acta 40, 643-652(1995)記載)により設けることができる。
【0133】
電荷移動層は感光層と対向電極との間隙に挿入するか、あるいは感光層層上に直接電荷移動層を形成してから対向電極を設ける。
感光層と対向電極との間隙に電荷移動層を挿入する処理は、常圧または真空状態で実施できる。常圧処理では、浸漬による毛管現象で、液状の電荷移動層成分を感光層と対向電極との間隙に浸透させる。真空処理では、減圧により電荷移動層成分を感光層と対向電極との間隙に導入する。
【0134】
感光層上に直接電荷移動層を形成する場合、溶媒を含む(湿式の)電荷移動層は未乾燥のまま対向電極を設け、エッジ部での液の漏洩防止する措置を施す。ゲル電解質からなる電荷移動層は、塗布した電荷移動層を乾燥、ゲル化した後に対向電極を設ける。感光層上に直接電荷移動層を形成する方法は、浸漬法、ローラ法、ディップ法、エアーナイフ法、エクストルージョン法、スライドホッパー法、ワーヤーバー法、スピン法、スプレー法、キャスト法あるいは印刷法により実施できる。固体電解質や固体の正孔輸送材料からなる電荷移動層は、ドライ成膜処理(例、真空蒸着法、CVD法)により形成できる。
【0135】
ゲル化できない電解液や湿式の正孔輸送材料の場合には、電荷移動層を形成後、速やかにエッジ部分を封止する。量産化を考慮すると、ゲル化可能な材料で電荷移動層を形成後、重合反応(例、光重合、熱ラジカル重合)により電荷移動層をゲル化することが好ましい。
電荷移動層中の水分は、10000ppm以下であることが好ましく、2000ppm以下であることがさらに好ましく、100ppm以下であることが最も好ましい。
【0136】
[対向電極]
対向電極は、光電変換素子を光電気化学電池として用いる際に電池の正極として機能する。対向電極は、一般に導電性支持体と同様に、基板と導電層からなる。ただし、強度や密封性が充分に保たれる光電変換素子の構成では、基板は必ずしも必要でない。
対向電極に用いる導電性材料の例には、金属(例、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム)、炭素および導電性金属酸化物(例、インジウム−スズ複合酸化物、フッ素をドープした酸化スズ)が含まれる。
対向電極の厚さは、3nm乃至10μmであることが好ましい。金属材料からなる対向電極の厚さは、5μm以下であることが好ましく、5nm乃至3μmであることがさらに好ましい。
【0137】
感光層に光が到達するためには、導電性支持体と対向電極の少なくとも一方は実質的に透明でなければならない。導電性支持体が透明であって、太陽光を導電性支持体側から入射させることが好ましい。導電性支持体が透明である場合、対向電極は光を反射する性質を有することが好ましい。光反射性対向電極としては、金属または導電性酸化物を蒸着したガラスまたはプラスチック、あるいは金属薄膜が好ましく用いられる。
【0138】
電荷移動層について説明したように、対向電極は、感光性層または電荷移動層の上に設ける。対向電極は、塗布、ラミネート、蒸着または貼り合わせにより形成することができる。基板上に、導電層を塗布、蒸着またはCVDにより設けた対向電極を貼り合わせる感光性層に貼り合わせることができる。電荷移動層が固体の場合には、電荷移動層の上に直接、電荷移動層からなる対向電極を、塗布、メッキ、PVDまたはCVDにより設けることができる。
【0139】
[太陽電池]
光電変換素子は、太陽電池として好ましく用いることができる。
太陽電池のセル構造およびモジュール構造については、図2〜図4を引用しながら説明する。
図2は、代表的な太陽電池の断面模式図である。図3は、別の代表的な太陽電池の断面模式図である。
【0140】
図2(a)の太陽電池は、二つの透明導電層(12)間に、感光層(10)と、電荷移動層(11)とを介在させた最も基本的な構造を有する。下側の透明導電層が導電性支持体、上側の透明導電層が対向電極として機能する。
図2(b)の太陽電池は、透明基板(13)上に一部金属リード(9)を設け、その上に、透明導電層(12)、下塗り層(14)、感光層(10)、電荷移動層(11)、金属導電層(8)、および基板(15)をこの順で設けた構造を有する。透明基板(13)〜透明導電層(12)が導電性支持体として機能し、金属導電層(8)〜基板(15)が対向電極として機能する。
【0141】
図2(c)の太陽電池は、基板(15)上に、金属導電層(8)、下塗り層(14)、感光層(10)、電荷移動層(11)、透明導電層(12)を順次設け、透明導電層(12)の上に、一部に金属リード(9)を設けた透明基板(13)を、金属リード(9)が下側となるように配置した構造を有する。基板(15)〜金属導電層(8)が導電性支持体として機能し、透明導電性層(12)〜透明基板(13)が対向電極として機能する。
図2(d)の太陽電池は、透明基板(13)上に一部金属リード(9)を設け、その上に透明導電層(12)を設けた二枚の積層体の間に、下塗り層(14)、感光層(10)および電荷移動層(11)を介在させた構造を有する。下側の透明基板(13)〜透明導電層(12)の積層体が導電性支持体として機能し、上側の透明導電層(12)〜透明基板(13)の積層体が対向電極として機能する。
【0142】
図3(e)の太陽電池は、透明基板(13)上に透明導電層(12)を有し、その上に、下塗り層(14)、感光層(10)、電荷移動層(11)、金属導電層(8)および基板(15)を順次配置した構造を有する。透明基板(13)〜透明導電層(12)が導電性支持体として機能し、金属導電層(8)〜基板(15)が対向電極として機能する。
図3(f)の太陽電池は、基板(15)上に金属導電層(8)を設け、その上に、下塗り層(14)、感光層(10)、電荷移動層(11)、透明導電層(12)および透明基板(13)を順次配置した構造を有する。基板(15)〜金属導電層(8)が導電性支持体として機能し、透明導電層(12)〜透明基板(13)が対向電極として機能する。
【0143】
図3(g)の太陽電池は、透明基板(13)と透明導電層(12)からなる二枚の積層体を、透明導電層(12)を内側に配置し、それらの間に、下塗り層(14)、感光層(10)および電荷移動層(11)を介在させた構造を有する。下側の透明基板(13)〜透明導電層(12)の積層体が導電性支持体として機能し、上側の透明導電層(12)〜透明基板(13)の積層体が対向電極として機能する。
図3(h)の太陽電池は、基板(15)上に金属導電層(8)を設け、その上に、下塗り層(14)、感光層(10)および固体電荷移動層(16)を順次設け、固体電荷移動層(16)の一部に金属リード(9)を設けた構造を有する。基板(15)〜金属導電層(8)が導電性支持体として機能し、固体電荷移動層(16)〜金属リード(9)が対向電極として機能する。なお、金属リード(9)に代えて、固体電荷移動層(16)の一部に金属導電層(8)を設けてもよい。
【0144】
太陽電池のセル内部の構造は、基本的には光電変換素子と同じである。ただし、太陽電池の用途に応じて、図2および図3に示するように、層構成を変化させることができる。両面から光の入射が可能な太陽電池の用途では、図2(a)、図2(d)または図3(g)の構造を採用する。導電性支持体側からのみ光の入射が可能な太陽電池の用途では、図2(b)または図3(e)の構造を採用する。対向電極側からのみ光の入射が可能な太陽電池の用途では、図2(c)、図3(f)または図3(h)の構造を採用する。
【0145】
太陽電池のモジュールは、一般には、基板(金属、セラミック)の上にセルが構成され、その上を充填樹脂や保護ガラスで覆い、基板の反対側から光を取り込む構造である。ただし、基板に透明材料(例、強化ガラス)を用い、その上にセルを構成して、透明基板側から光を取り込むことも可能である。
太陽電池のモジュール構造は、スーパーストレートタイプ、サブストレートタイプ、ポッティングタイプおよび基板一体型に分類される。また、SCAFと呼ばれるモジュール構造(Solar Energy Materials and Solar Cells, 48, p383-391記載)も採用できる。
【0146】
スーパーストレートタイプおよびサブストレートタイプは、片側または両側が透明で反射防止処理を施された基板の間に、一定間隔にセルが配置され、隣り合うセル間が金属リードまたはフレキシブル配線によって接続されており、外縁部に集電電極を配置して、発生した電力を外部に取り出す構造になっている。基板とセルの間には、セルの保護や集電効率アップのため、プラスチック材料をフイルムまたは充填樹脂の状態で用いることができる。プラスチック材料としては、エチレンビニルアセテート(EVA)が好ましく用いられる。
片側の基板に代えて、透明プラスチックフイルムからなる表面保護層を用いてもよい。また、片側の基板に代えて、充填あるいは封止用の材料を硬化させて得られる保護膜を用いてもよい。モジュールの剛性確保のため、基板の周囲は、金属製のフレームでサンドイッチ状に固定することが好ましい。内部の密封のため、基板とフレームとの間は封止材で密封シールすることが好ましい。
セル、基板、充填材および封止部材に可撓性の素材を用いれば、曲面上に太陽電池を構成することもできる。
【0147】
スーパーストレートタイプの太陽電池モジュールは、基板供給装置から送り出されたフロント基板をベルトコンベヤで搬送しながら、その上にセルを、封止材、セル間接続用リード線および背面封止材と共に順次積層した後、背面基板または背面カバーを乗せ、外縁部にフレームをセットすることにより作製できる。
サブストレートタイプの太陽電池モジュールは、基板供給装置から送り出された基板をベルトコンベヤで搬送しながら、その上にセルを、セル間接続用リード線および封止材と共に順次積層した後、フロントカバーを乗せ、周縁部にフレームをセットすることにより作製できる。
【0148】
図4は、基板一体型太陽電池のモジュール構造を示す断面模式図である。
図4に示す太陽電池は、透明基板(13)の一方の面上に透明導電層(12)を有し、この上にさらに感光層(10)、固体電荷移動層(16)および金属導電層(8)を設けたセルをモジュール化した構造を有する。透明基板(13)の他方の面には反射防止層(17)が設けられている。透明基板(13)〜透明導電層(12)が導電性支持体として機能し、金属導電層(8)が対向電極として機能する。入射光の利用効率を高めるために、感光層(10)の面積比率(光の入射面である透明基板(13)側から見たときの面積比率)を大きくした方が好ましい。
図4に示す太陽電池のモジュール構造は、透明基板(13)上に、透明導電層(12)、感光層(10)、固体電荷移動層(16)および金属導電層(8)が立体的かつ一定間隔で配列されるように、パターン化することができる。パターン化されたモジュール構造は、半導体処理技術(例、選択メッキ、選択エッチング、CVD、PVD)の応用して製造できる。パターン塗布によりモジュール構造を製造することも可能である。また、広幅に各層を塗布してから、レーザースクライビング、プラズマCVM(Solar Energy Materials and Solar Cells, 48, p373-381に記載)または機械的手法(例、研削)によりパターン化したモジュールを製造することもできる。
【0149】
封止材料は、太陽電池の耐候性、電気絶縁性または集光効率の改善機能および太陽電池に対する保護(耐衝撃)機能を考慮して選択する。封止材料としては、液状またはフイルムの材料が用いられる。液状の封止材料としては、エチレンビニルアセテート(EVA)およびフッ化ビニリデン共重合体とアクリル樹脂との混合物が好ましく用いられる。フイルム状の封止材料としては、フイルム状のEVAが好ましく用いられる。
【0150】
フイルム状の封止材料は、ロール加圧後の加熱密着処理または真空加圧後の加熱密着処理により、太陽電池に固定することができる。
液状(またはペースト状)の封止材料は、ロールコート、バーコート、スプレーコートあるいはスクリーン印刷により太陽電池表面に塗布することができる。
強度または光透過率を向上させる目的で、透明フィラーを封止材料に添加してもよい。
【0151】
モジュール外縁と周縁を囲むフレームとの間は、耐候性または防湿性が高い樹脂を使って封止することが好ましい。
基板として可撓性のプラスチック(例、PET、PEN)フイルムを用いる場合は、ロール状の基板を繰り出して、その上にセルを構成した後、連続して封止材料からなる層を積層することができる。
【0152】
発電効率を上げるため、モジュールの光取り込み側の基板(一般に強化ガラス)の表面に反射防止処理を施すことが好ましい。反射防止膜は、ラミネートまたはコーティングにより形成できる。
太陽電池の表面をグルービング処理またはテクスチャリング処理することにより、入射した光の利用効率を高めることができる。
【0153】
光を無駄なく光電変換するため、感光層を透過した光を反射させて感光層に戻すことが好ましい。そのためには、太陽電池に反射層を設けることが好ましい。反射層は、鏡面研磨した基板面に金属(例、Ag、Al)を蒸着またはメッキすることにより形成できる。また、合金(例、Al−Mg、Al−Ti)からなる層を反射層として、太陽電池に設けてもよい。さらに、アニール処理によりテクスチャー構造を有する層を設け、これを反射層として機能させることもできる。
【0154】
発電効率を上げるため、セル間の接続抵抗を小さくして、内部電圧降下を抑制することが好ましい。
セル間の接続は、一般に、ワイヤーボンディングまたは導電性フレキシブルシート行う。セルの固定と電気的接続の双方の機能を有する導電性粘着テープあるいは導電性接着剤を用いてもよい。導電性ホットメルトをパターン塗布し、これによりセル間を電気的に接続することもできる。
【0155】
ポリマーフイルムのような可撓性の基板を用いた太陽電池は、ロール状の基板を送り出しながら、順次塗布によりセルを形成し、所望のサイズに切断し、周縁部をフレキシブルで防湿性のある封止材料でシールすることにより作製できる。
可撓性の基板を用いた太陽電池は、曲面ガラスに接着固定して使用することもできる。
【0156】
【実施例】
[実施例1]
(感光層塗布液の調製)
230℃のオートクレーブ温度で二酸化チタン微粒子を形成し、11重量%の二酸化チタン分散物を調製した(オートクレーブ温度以外は、バルベらのジャーナル・オブ・アメリカン・セラミック・ソサイエティ第80巻3157頁記載の方法と同じ)。二酸化チタン微粒子の平均粒径は、10nmであった。二酸化チタン分散物に、二酸化チタンの30重量%量のポリエチレングリコール(分子量:20000、和光純薬(株)製)を添加し、混合して、感光層塗布液を調製した。
【0157】
(感光層の形成)
フッ素をドープした酸化スズをコーティングした導電層を有する透明導電性ガラス(日本板硝子製)を導電性支持体として用いた。導電層側の表面抵抗は10Ω/cm2 であった。
導電性層の表面に、感光層塗布液をドクターブレードで100μmの厚さに塗布し、25℃で30分間乾燥した。これを電気炉(ヤマト科学製マッフル炉FP−32型)で450℃にて30分間焼成した。二酸化チタンの塗布量は15g/m2 であり、感光層の厚さは、8μmであった。
【0158】
(メチン染料の吸着処理)
メチン染料(I−6)をエタノールと2−メチル−2−プロパノールとの1:1(容積比)混合液に溶解して、1×10-5mol/リットルの溶液を調製した。
感光層を形成した導電性支持体を冷却した後、メチン染料の溶液に3時間浸漬した。これをエタノール、続いてアセトニトリルで洗浄し、暗所にて自然乾燥させた。これにより、導電性支持体上に感光層を有する光電変換材料を作製した。
【0159】
(光電変換素子の作製)
光電変換材料を1cm×1cmのサイズに裁断し、これと同じ大きさの白金蒸着ガラス(対向電極)と重ね合わせた。次に、両者の隙間に毛細管現象を利用して電解液(ヨウ化テトラブチルアンモニウム0.65モル/リットルとヨウ素0.05モル/リットルのアセトニトリル溶液)をしみ込ませて、電荷移動層を形成した。このようにして、図1に示す層構成の光電変換素子を作製した。
【0160】
(光電変換素子の評価)
光電変換素子をIPCE(Incident Photon to Current Conversion Efficiency)測定装置(オプテル社製)で測定し、最大の光電変換効率を示す波長と、その波長の光での光電変換効率(IPCE)を求めた。光電変換効率(IPCE)は、下記式で定義される値である。結果は、第1表に示す。
IPCE=発生した光電子数/照射した光子数
【0161】
[実施例2〜12および比較例1〜3]
メチン染料を第1表に示すように変更した以外は、実施例1と同様に光電変換素子を作製して評価した。結果は、第1表に示す。なお、実施例2は、参考例である。
【0162】
【表1】
Figure 0004439619
【0163】
【化54】
Figure 0004439619
【0164】
[実施例13]
メチン染料溶液の濃度を1×10-5mol/リットルから1×10-4mol/リットルに変更し、感光層のメチン染料溶液への浸漬時間を3時間から12時間に変更した以外は、実施例1と同様にして光電変換素子を作製して評価した。結果は、第2表に示す。
【0165】
[実施例14〜24および比較例4〜6]
メチン染料を第2表に示すように変更した以外は、実施例13と同様に光電変換素子を作製して評価した。結果は、第2表に示す。なお、実施例14は、参考例である。
【0166】
【表2】
Figure 0004439619
【0167】
[実施例25]
電荷移動層の形成に使用した電解質を、溶融塩(M−5)70モル%と溶融塩(M−8)30モル%との混合液に変更した以外は、実施例1と同様にして光電変換素子を作製して評価した。結果は、第3表に示す。
【0168】
[実施例26〜36]
メチン染料を第3表に示すように変更した以外は、実施例25と同様に光電変換素子を作製して評価した。結果は、第3表に示す。なお、実施例26は、参考例である。
【0169】
【表3】
Figure 0004439619

【図面の簡単な説明】
【図1】代表的な光電変換素子の断面模式図である。
【図2】代表的な太陽電池の断面模式図である。
【図3】別の代表的な太陽電池の断面模式図である。
【図4】基板一体型太陽電池のモジュール構造を示す断面模式図である。
【符号の説明】
1 光電変換材料
11(図1) 導電性支持体
12(図1) 感光層
121 メチン染料
122 半導体微粒子
2 電荷移動層
3 対向電極
4 光
5 外部回路
e 電子
8 金属導電層
9 金属リード
10 感光層
11(図2〜4) 電荷移動層
12(図2〜4) 透明導電層
13 透明基板
14 下塗り層
15 基板
16 固体電荷移動層
17 反射防止層

Claims (8)

  1. メチン染料が表面に吸着している半導体微粒子であって、メチン染料が下記式(Ia)(IIa)または(IIIa)で表されることを特徴とする半導体微粒子。
    Figure 0004439619
    [式中、 41 、R 42 、R 44 およびR 45 は、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基であり;R 43 およびR 46 は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基またはアリール基であり;ベンゼン環DおよびEには、他の芳香族環が縮合していてもよく;そして、ベンゼン環D、Eおよびそれらの縮合環は、置換基を有していてもよい。
    Figure 0004439619
    [式中、 51 およびR 52 は、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基であり;R 53 は、水素原子、アルキル基、置換アルキル基またはアリール基であり;R 54 は、アルキル基、置換アルキル基またはアリール基であり;L 31 は、偶数個のメチンからなるメチン鎖であり;X 51 は、−O−、−S−、−CO−NR 55 −または−NR 56 −であって、R 55 およびR 56 は、それぞれ独立に、アルキル基、置換アルキル基またはアリール基であり;Y 51 は、=O、=Sまたは=CR 57 58 であって、R 57 およびR 58 は、それぞれ独立に、シアノ、カルボキシル、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基またはアリールスルホニル基であり;ベンゼン環Fには、他の芳香族環が縮合していてもよく;そして、ベンゼン環Fおよびその縮合環は、置換基を有していてもよい。
    Figure 0004439619
    [式中、 61 およびR 62 は、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基であり;R 63 は、水素原子、アルキル基、置換アルキル基またはアリール基であり;Y 61 は、=O、=Sまたは=CR 64 65 であって、R 64 およびR 65 は、それぞれ独立に、シアノ、カルボキシル、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基またはアリールスルホニル基であり;ベンゼン環Gには、他の芳香族環が縮合していてもよく;そして、ベンゼン環Gおよびその縮合環は、置換基を有していてもよい。
  2. 式(Ia)において、R 41 、R 42 、R 44 およびR 45 は、それぞれ独立に、炭素原子数が1乃至4のアルキル基であり;式(IIa)において、R 51 およびR 52 は、それぞれ独立に、炭素原子数が1乃至4のアルキル基であり;そして、式(IIIa)において、R 61 およびR 62 は、それぞれ独立に、炭素原子数が1乃至4のアルキル基である請求項1に記載の半導体微粒子。
  3. 半導体微粒子を含む感光層および導電性支持体を有する光電変換材料であって、半導体微粒子が、下記式(Ia)、(IIa)または(IIIa)で表されるメチン染料により増感されていることを特徴とする光電変換材料。
    Figure 0004439619
    [式中、R 41 、R 42 、R 44 およびR 45 は、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基であり;R 43 およびR 46 は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基またはアリール基であり;ベンゼン環DおよびEには、他の芳香族環が縮合していてもよく;そして、ベンゼン環D、Eおよびそれらの縮合環は、置換基を有していてもよい。]
    Figure 0004439619
    [式中、R 51 およびR 52 は、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基であり;R 53 は、水素原子、アルキル基、置換アルキル基またはアリール基であり;R 54 は、アルキル基、置換アルキル基またはアリール基であり;L 31 は、偶数個のメチンからなるメチン鎖であり;X 51 は、−O−、−S−、−CO−NR 55 −または−NR 56 −であって、R 55 およびR 56 は、それぞれ独立に、アルキル基、置換アルキル基またはアリール基であり;Y 51 は、=O、=Sまたは=CR 57 58 であって、R 57 およびR 58 は、それぞれ独立に、シアノ、カルボキシル、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基またはアリールスルホニル基であり;ベンゼン環Fには、他の芳香族環が縮合していてもよく;そして、ベンゼン環Fおよびその縮合環は、置換基を有していてもよい。]
    Figure 0004439619
    [式中、R 61 およびR 62 は、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基であり;R 63 は、水素原子、アルキル基、置換アルキル基またはアリール基であり;Y 61 は、=O、=Sまたは=CR 64 65 であって、R 64 およびR 65 は、それぞれ独立に、シアノ、カルボキシル、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基またはアリールスルホニル基であり;ベンゼン環Gには、他の芳香族環が縮合していてもよく;そして、ベンゼン環Gおよびその縮合環は、置換基を有していてもよい。]
  4. 式(Ia)において、R 41 、R 42 、R 44 およびR 45 は、それぞれ独立に、炭素原子数が1乃至4のアルキル基であり;式(IIa)において、R 51 およびR 52 は、それぞれ独立に、炭素原子数が1乃至4のアルキル基であり;そして、式(IIIa)において、R 61 およびR 62 は、それぞれ独立に、炭素原子数が1乃至4のアルキル基である請求項3に記載の光電変換材料。
  5. 半導体微粒子が二酸化チタン微粒子である請求項3に記載の光電変換材料
  6. 半導体微粒子を含む感光層と導電性支持体とを有する光電変換材料、電荷移動層および対向電極を有する光電変換素子であって、半導体微粒子が、下記式(Ia)、(IIa)または(IIIa)で表されるメチン染料により増感されていることを特徴とする光電変換素子。
    Figure 0004439619
    [式中、R 41 、R 42 、R 44 およびR 45 は、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基であり;R 43 およびR 46 は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基またはアリール基であり;ベンゼン環DおよびEには、他の芳香族環が縮合していてもよく;そして、ベンゼン環D、Eおよびそれらの縮合環は、置換基を有していてもよい。]
    Figure 0004439619
    [式中、R 51 およびR 52 は、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基であり;R 53 は、水素原子、アルキル基、置換アルキル基またはアリール基であり;R 54 は、アルキル基、置換アルキル基またはアリール基であり;L 31 は、偶数個のメチンからなるメチン鎖であり;X 51 は、−O−、−S−、−CO−NR 55 −または−NR 56 −であって、R 55 およびR 56 は、それぞれ独立に、アルキル基、置換アルキル基またはアリール基であり;Y 51 は、=O、=Sまたは=CR 57 58 であって、R 57 およびR 58 は、それぞれ独立に、シアノ、カルボキシル、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基またはアリールスルホニル基であり;ベンゼン環Fには、他の芳香族環が縮合していてもよく;そして、ベンゼン環Fおよびその縮合環は、置換基を有していてもよい。]
    Figure 0004439619
    [式中、R 61 およびR 62 は、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基であり;R 63 は、水素原子、アルキル基、置換アルキル基またはアリール基であり;Y 61 は、=O、=Sまたは=CR 64 65 であって、R 64 およびR 65 は、それぞれ独立に、シアノ、カルボキシル、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基またはアリールスルホニル基であり;ベンゼン環Gには、他の芳香族環が縮合していてもよく;そして、ベンゼン環Gおよびその縮合環は、置換基を有していてもよい。]
  7. 式(Ia)において、R 41 、R 42 、R 44 およびR 45 は、それぞれ独立に、炭素原子数が1乃至4のアルキル基であり;式(IIa)において、R 51 およびR 52 は、それぞれ独立に、炭素原子数が1乃至4のアルキル基であり;そして、式(IIIa)において、R 61 およびR 62 は、それぞれ独立に、炭素原子数が1乃至4のアルキル基である請求項6に記載の光電変換素子。
  8. 電荷移動層が溶融状態の塩を電解質として含む請求項6に記載の光電変換素子。
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