JP2001024253A - 半導体微粒子、光電変換材料および光電変換素子 - Google Patents

半導体微粒子、光電変換材料および光電変換素子

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JP2001024253A
JP2001024253A JP11195834A JP19583499A JP2001024253A JP 2001024253 A JP2001024253 A JP 2001024253A JP 11195834 A JP11195834 A JP 11195834A JP 19583499 A JP19583499 A JP 19583499A JP 2001024253 A JP2001024253 A JP 2001024253A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光電変換効率が高い半導体微粒子を得る。 【解決手段】 3位の炭素原子に比較的嵩高い置換基を
二つ結合させたインドレニン環を塩基性核として有する
メチン染料を、半導体微粒子表面に吸着させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、メチン染料が表面
に吸着している半導体微粒子に関する。また、本発明
は、半導体微粒子を含む感光層および導電性支持体を有
する光電変換材料にも関する。さらに、本発明は、光電
変換材料、電荷移動層および対向電極を有する光電変換
素子にも関する。
【0002】
【従来の技術】光センサーや光発電に用いられる光電変
換材料は、金属、半導体、顔料あるいは染料を組み合わ
せたものである。米国特許4927721号、同468
4537号、同5084365号、同5350644
号、同5463057号、同5525440号の各明細
書および特開平7−249790号公報には、染料で増
感した半導体微粒子、およびそれを用いた光電変換素子
が開示されている。半導体(例、二酸化チタン)微粒子
は、比較的安価に入手または製造できる。染料は吸収波
長領域が広いため、染料を用いた光電変換素子は、広い
波長領域の光を電気に変換できる。欧州特許08924
11A号および同0911841A号の各明細書には、
メチン染料で増感した半導体微粒子、およびそれを用い
た光電変換素子が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】メチン染料には分子吸
光係数が高いとの特徴がある。しかし、メチン染料で増
感した半導体微粒子は一般に光電変換効率が低い。本発
明の目的は、光電変換効率が高い半導体微粒子を提供す
ることである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、下記
(1)の半導体微粒子、下記(2)〜(6)の光電変換
材料、および下記(7)〜(8)の光電変換素子により
達成された。 (1)メチン染料が表面に吸着している半導体微粒子で
あって、メチン染料が下記式(I)、(II)または(II
I)で表されることを特徴とする半導体微粒子。
【0005】
【化13】
【0006】[式中、R11、R12、R13およびR14は、
それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換アルキル
基、アルケニル基、アルコキシ基またはアリール基であ
るか、あるいは、R11とR14とが結合して5員または6
員の飽和脂肪族環を形成し;R 15は、水素原子、アルキ
ル基、置換アルキル基またはアリール基であり;L
11は、奇数個のメチンからなるメチン鎖であり;Bo
は、塩基性核のオニウム体であり;ベンゼン環Aには、
他の芳香族環が縮合していてもよく;そして、ベンゼン
環Aおよびその縮合環は、置換基を有していてもよ
い。]
【0007】
【化14】
【0008】[式中、R21、R22、R23およびR24は、
それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換アルキル
基、アルケニル基、アルコキシ基またはアリール基であ
るか、あるいは、R21とR24とが結合して5員または6
員の飽和脂肪族環を形成し;R 25は、水素原子、アルキ
ル基、置換アルキル基またはアリール基であり;L
21は、偶数個のメチンからなるメチン鎖であり;Ak
は、ケト型酸性核であり;ベンゼン環Bには、他の芳香
族環が縮合していてもよく;そして、ベンゼン環Bおよ
びその縮合環は、置換基を有していてもよい。]
【0009】
【化15】
【0010】[式中、R31、R32、R33およびR34は、
それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換アルキル
基、アルケニル基、アルコキシ基またはアリール基であ
るか、あるいは、R31とR32とが結合して5員または6
員の飽和脂肪族環を形成し;R 33は、水素原子、アルキ
ル基、置換アルキル基またはアリール基であり;L
31は、奇数個のメチンからなるメチン鎖であり;Y
31は、=O、=Sまたは=CR3435であって、R34
よびR35は、それぞれ独立に、シアノ、カルボキシル、
アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニ
ル基またはアリールスルホニル基であり;ベンゼン環C
には、他の芳香族環が縮合していてもよく;そして、ベ
ンゼン環Cおよびその縮合環は、置換基を有していても
よい。] (2)半導体微粒子を含む感光層および導電性支持体を
有する光電変換材料であって、半導体微粒子が、前記式
(I)、(II)または(III)で表されるメチン染料によ
り増感されていることを特徴とする光電変換材料。 (3)式(I)で表されるメチン染料が、下記式(I
a)で表されるスクアリリウムシアニン染料である
(2)に記載の光電変換材料。
【0011】
【化16】
【0012】[式中、R41、R42、R44およびR45は、
それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換アルキル
基、アルケニル基、アルコキシ基またはアリール基であ
り;R 43およびR46は、それぞれ独立に、水素原子、ア
ルキル基、置換アルキル基またはアリール基であり;ベ
ンゼン環DおよびEには、他の芳香族環が縮合していて
もよく;そして、ベンゼン環D、Eおよびそれらの縮合
環は、置換基を有していてもよい。] (4)式(II)で表されるメチン染料が、下記式(II
a)で表されるメロシアニン染料である(2)に記載の
光電変換材料。
【0013】
【化17】
【0014】[式中、R51およびR52は、それぞれ独立
に、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、アル
コキシ基またはアリール基であり;R53は、水素原子、
アルキル基、置換アルキル基またはアリール基であり;
54は、アルキル基、置換アルキル基またはアリール基
であり;L51は、偶数個のメチンからなるメチン鎖であ
り;X51は、−O−、−S−、−CO−NR55−または
−NR56−であって、R 55およびR56は、それぞれ独立
に、アルキル基、置換アルキル基またはアリール基であ
り;Y51は、=O、=Sまたは=CR5758であって、
57およびR58は、それぞれ独立に、シアノ、カルボキ
シル、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルス
ルホニル基またはアリールスルホニル基であり;ベンゼ
ン環Fには、他の芳香族環が縮合していてもよく;そし
て、ベンゼン環Fおよびその縮合環は、置換基を有して
いてもよい。] (5)式(III)で表されるメチン染料が、下記式(III
a)で表されるスクアリリウムメロシアニン染料である
(2)に記載の光電変換材料。
【0015】
【化18】
【0016】[式中、R61およびR62は、それぞれ独立
に、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、アル
コキシ基またはアリール基であり;R63は、水素原子、
アルキル基、置換アルキル基またはアリール基であり;
61は、=O、=Sまたは=CR6465であって、R64
およびR65は、それぞれ独立に、シアノ、カルボキシ
ル、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスル
ホニル基またはアリールスルホニル基であり;ベンゼン
環Gには、他の芳香族環が縮合していてもよく;そし
て、ベンゼン環Gおよびその縮合環は、置換基を有して
いてもよい。] (6)半導体微粒子が二酸化チタン微粒子である(2)
に記載の光電変換材料。 (7)半導体微粒子を含む感光層と導電性支持体とを有
する光電変換材料、電荷移動層および対向電極を有する
光電変換素子であって、半導体微粒子が、前記式
(I)、(II)または(III)で表されるメチン染料によ
り増感されていることを特徴とする光電変換素子。 (8)電荷移動層が溶融状態の塩を電解質として含む
(7)に記載の光電変換素子。
【0017】
【発明の効果】本発明者の研究によれば、通常のメチン
染料には、半導体微粒子への吸着量を増大させると増感
効果が低下する傾向があった。本発明者がさらに研究を
進めたところ、前記(I)、(II)または(III)で表さ
れるメチン染料を用いると、染料の吸着量を増大させて
も、良好な増感効果が得られることが判明した。前記
(I)、(II)または(III)で表されるメチン染料に共
通の分子構造は、塩基性核がインドレニン環であり、イ
ンドレニン環の3位に比較的嵩高い置換基を二つ導入し
ていることである。これにより、インドレニン環の3位
に立体障害が生じ、染料間の相互作用(例えば、会合体
形成)が低減したことが、増感効率向上の原因ではない
かと推定される。以上の結果、本発明により光電変換効
率が高い半導体微粒子が得られた。この半導体微粒子
は、光電変換材料または光電変換素子において有利に用
いられる。
【0018】
【発明の実施の形態】[メチン染料]本発明では、式
(I)、(II)または(III)で表されるメチン染料を、
半導体微粒子の表面に吸着させる。
【0019】
【化19】
【0020】式(I)において、R11、R12、R13およ
びR14は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置
換アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基またはアリ
ール基であるか、あるいは、R11とR14とが結合して5
員または6員の飽和脂肪族環を形成する。アルキル基
は、環状構造よりも鎖状構造を有していることが好まし
い。鎖状アルキル基は、分岐を有していてもよい。アル
キル基の炭素原子数は、1乃至10であることが好まし
く、1乃至8であることがより好ましく、1乃至6であ
ることがさらに好ましく、1乃至4であることが最も好
ましい。
【0021】置換アルキル基のアルキル部分は、上記ア
ルキル基と同様である。置換アルキル基の置換基の例に
は、アリール基(例、フェニル、トリル、ナフチル)、
複素環基(例、ピリジル、イミダゾリル、フリル、チエ
ニル、オキサゾリル、チアゾリル、ベンズイミダゾリ
ル、キノリル)、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭
素)、アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、ベンジ
ルオキシ)、アリールオキシ基(例、フェノキシ)、ア
ルキルチオ基(例、メチルチオ、エチルチオ)、アリー
ルチオ基(例、フェニルチオ)、ヒドロキシ、ニトロ、
シアノ、アミド基(例、アセトアミド、ベンズアミ
ド)、スルホンアミド基(例、メタンスルホンアミド、
ベンゼンスルホンアミド)、ウレイド、置換ウレイド基
(例、3−フェニルウレイド)、アルコキシカルボニル
アミノ基(例、イソブトキシカルボニルアミノ)、カル
バモイルオキシ、アシルオキシ基(例、アセトキシ、ベ
ンゾイルオキシ)、アルコシキカルボニル基(例、メト
キシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(例、
フェノキシカルボニル)、カルバモイル、置換カルバモ
イル基(例、N−メチルカルバモイル、N,N−ジフェ
ニルカルバモイル)、スルファモイル、置換スルファモ
イル基(例、N−フェニルスルファモイル)、アシル基
(例、アセチル、ベンゾイル)、アミノ、置換アミノ基
(例、メチルアミノ、アニリノ、ジフェニルアミノ)、
アルキルスルホニル基(例、メタンスルホニル)、カル
ボキシル、スルホおよびリン酸基(モノエステルおよび
ジエステルを含む)が含まれる。
【0022】アルケニル基は、環状構造よりも鎖状構造
を有していることが好ましい。鎖状アルケニル基は、分
岐を有していてもよい。アルケニル基の炭素原子数は、
2乃至10であることが好ましく、2乃至8であること
がより好ましく、2乃至6であることがさらに好まし
く、2乃至4であることが最も好ましい。アルコキシ基
のアルキル部分は、前記アルキル基と同様である。アリ
ール基は、フェニルであることが好ましい。アリール基
は、置換基を有していてもよい。アリール基の置換基の
例には、アルキル基(例、エチル、プロピル、ブチル、
イソペンチル、シクロヘキシル)、置換アルキル基
(例、ベンジル、フェネチル)、アリール基(例、フェ
ニル、トリル、ナフチル)、複素環基(例、ピリジル、
イミダゾリル、フリル、チエニル、オキサゾリル、チア
ゾリル、ベンズイミダゾリル、キノリル)、ハロゲン原
子(フッ素、塩素、臭素)、アルコキシ基(例、メトキ
シ、エトキシ、ベンジルオキシ)、アリールオキシ基
(例、フェノキシ)、アルキルチオ基(例、メチルチ
オ、エチルチオ)、アリールチオ基(例、フェニルチ
オ)、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、アミド基(例、ア
セトアミド、ベンズアミド)、スルホンアミド基(例、
メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド)、ウ
レイド、置換ウレイド基(例、3−フェニルウレイ
ド)、アルコキシカルボニルアミノ基(例、イソブトキ
シカルボニルアミノ)、カルバモイルオキシ、アシルオ
キシ基(例、アセトキシ、ベンゾイルオキシ)、アルコ
シキカルボニル基(例、メトキシカルボニル)、アリー
ルオキシカルボニル基(例、フェノキシカルボニル)、
カルバモイル、置換カルバモイル基(例、N−メチルカ
ルバモイル、N,N−ジフェニルカルバモイル)、スル
ファモイル、置換スルファモイル基(例、N−フェニル
スルファモイル)、アシル基(例、アセチル、ベンゾイ
ル)、アミノ、置換アミノ基(例、メチルアミノ、アニ
リノ、ジフェニルアミノ)、アルキルスルホニル基
(例、メタンスルホニル)、カルボキシル、スルホ、ホ
スホニルおよびリン酸基(モノエステルおよびジエステ
ルを含む)が含まれる。
【0023】式(I)において、R15は、水素原子、ア
ルキル基、置換アルキル基またはアリール基である。ア
ルキル基、置換アルキル基またはアリール基が好まし
く、アルキル基または置換アルキル基がさらに好まし
い。アルキル基、置換アルキル基およびアリール基の定
義および例は、上記R11、R12、R13およびR14のアル
キル基、置換アルキル基およびアリール基の定義および
例と同様である。
【0024】式(I)において、L11は、奇数個のメチ
ンからなるメチン鎖である。メチン鎖中のメチンの数
は、1、3、5、7または9であることが好ましく、
1、3、5または7であることがさらに好ましく、1、
3または5であることが最も好ましい。メチン鎖は置換
基を有していてもよい。置換基としては、炭素原子数が
1乃至6個のアルキル基(例、メチル、エチル)または
ハロゲン原子が好ましい。二以上のメチン鎖の置換基が
結合して、不飽和脂肪族環(例、シクロペンテン環、シ
クロヘキセン環、イソホロン環、スクアリリウム環、ク
ロコニウム環)を形成してもよい。メチン鎖が一つの置
換基を有する場合、一つの置換基は、メチン鎖の中央
(メソ位)のメチンに結合することが好ましい。
【0025】式(I)において、Boは、塩基性核のオ
ニウム体である。好ましい塩基性核のオニウム体を下記
式で示す。
【0026】
【化20】
【0027】上記式において、Xは、−CR2 −、−C
R=CR−、−NR−、−O−、−S−、−Se−また
は−Te−であり;Rは、水素原子、アルキル基、置換
アルキル基またはアリール基であり;ベンゼン環Hおよ
びIには、他の芳香族環が縮合していてもよく;そし
て、ベンゼン環H、Iおよびそれらの縮合環は、置換基
を有していてもよい。Xは、−CR2 −、−NR−、−
O−または−S−であることが好ましく、−CR2 −ま
たは−NR−であることがさらに好ましく、−CR2
であることが最も好ましい。
【0028】Rは、アルキル基、置換アルキル基または
アリール基であることが好ましく、アルキル基または置
換アルキル基であることがさらに好ましい。アルキル
基、置換アルキル基およびアリール基の定義および例
は、前記R11、R12、R13およびR14のアルキル基、置
換アルキル基およびアリール基の定義および例と同様で
ある。式中にRが複数存在する場合、それらは互いに異
なっていてもよい。ベンゼン環H、Iおよびその縮合環
の置換基の例は、下記のベンゼン環Aおよびその縮合環
の置換基の例と同様である。
【0029】式(I)において、ベンゼン環Aには、他
の芳香族環が縮合していてもよく、ベンゼン環Aおよび
その縮合環は、置換基を有していてもよい。ベンゼン環
およびその縮合環の置換基の例には、アルキル基(例、
エチル、プロピル、ブチル、イソペンチル、シクロヘキ
シル)、置換アルキル基(例、ベンジル、フェネチ
ル)、アリール基(例、フェニル、トリル、ナフチ
ル)、複素環基(例、ピリジル、イミダゾリル、フリ
ル、チエニル、オキサゾリル、チアゾリル、ベンズイミ
ダゾリル、キノリル)、ハロゲン原子(フッ素、塩素、
臭素)、アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、ベン
ジルオキシ)、アリールオキシ基(例、フェノキシ)、
アルキルチオ基(例、メチルチオ、エチルチオ)、アリ
ールチオ基(例、フェニルチオ)、ヒドロキシ、ニト
ロ、シアノ、アミド基(例、アセトアミド、ベンズアミ
ド)、スルホンアミド基(例、メタンスルホンアミド、
ベンゼンスルホンアミド)、ウレイド、置換ウレイド基
(例、3−フェニルウレイド)、アルコキシカルボニル
アミノ基(例、イソブトキシカルボニルアミノ)、カル
バモイルオキシ、アシルオキシ基(例、アセトキシ、ベ
ンゾイルオキシ)、アルコシキカルボニル基(例、メト
キシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(例、
フェノキシカルボニル)、カルバモイル、置換カルバモ
イル基(例、N−メチルカルバモイル、N,N−ジフェ
ニルカルバモイル)、スルファモイル、置換スルファモ
イル基(例、N−フェニルスルファモイル)、アシル基
(例、アセチル、ベンゾイル)、アミノ、置換アミノ基
(例、メチルアミノ、アニリノ、ジフェニルアミノ)、
アルキルスルホニル基(例、メタンスルホニル)、カル
ボキシル、スルホおよびリン酸基(モノエステルおよび
ジエステルを含む)が含まれる。
【0030】メチン染料は、少なくとも1つの酸性基を
有することが好ましい。酸性基は、メチン染料の半導体
微粒子表面への吸着を促進する機能を有する。酸性基と
は具体的には、水中もしくは水−有機溶媒混合溶液中に
おけるpKa値が11未満の酸性プロトンを有する基で
ある。酸性基としては、カルボキシル、スルホ、ホスホ
ニル基、ホスホニル、リン酸基(モノエステルおよびジ
エステルを含む)およびヒドロキシルが好ましい。各基
は、アルキル基、アリール基、ベンゼン環あるいはその
縮合環の置換基としてメチン染料に導入できる。が挙げ
られる。
【0031】メチン染料は、電荷バランスを保つための
対イオンを有していてもよい。対イオンの種類(陽イオ
ンまたは陰イオン)と数は、メチン染料の種類と置換基
の種類および数に応じて決定する。陽イオンとしては、
無機または有機のアンモニウムイオン(例、テトラアル
キルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン)および
アルカリ金属イオンが好ましい。陰イオンとしては、ハ
ライドイオン、ハロゲン化物イオン、アリールスルホン
酸イオン(例、p−トルエンスルホン酸イオン、p−ク
ロロベンゼンスルホン酸イオン)、アリールジスルホン
酸イオン(例、1,3−ベンゼンジスルホン酸イオン、
1,5−ナフタレンジスルホン酸イオン、2,6−ナフ
タレンジスルホン酸イオン)、アルキル硫酸イオン
(例、メチル硫酸イオン)、硫酸イオン、チオシアン酸
イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオ
ン、ピクリン酸イオン、酢酸イオンおよびトリフルオロ
メタンスルホン酸イオンが好ましい。対イオンとして、
イオン性ポリマーを用いてもよい。染料と逆の電荷を有
する他の色素を対イオンとして用いることもできる。さ
らに、金属錯イオン(例、ビスベンゼン−1,2−ジチ
オラトニッケル(III) )も対イオンとして利用可能であ
【0032】式(I)で表されるメチン染料(シアニン
染料)は、下記式(Ia)で表されるスクアリリウムシ
アニン染料であることが好ましい。
【0033】
【化21】
【0034】式(Ia)において、R41、R42、R44
よびR45は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、
置換アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基またはア
リール基である。アルキル基、置換アルキル基、アルケ
ニル基、アルコキシ基およびアリール基の定義および例
は、式(I)におけるR11、R12、R13およびR14のア
ルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、アルコキシ
基およびアリール基の定義および例と同様である。
【0035】式(Ia)において、R43およびR46は、
それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換アルキル
基またはアリール基である。アルキル基、置換アルキル
基およびアリール基の定義および例は、式(I)におけ
るR11、R12、R13およびR 14のアルキル基、置換アル
キル基およびアリール基の定義および例と同様である。
式(Ia)において、ベンゼン環DおよびEには、他の
芳香族環が縮合していてもよく、ベンゼン環D、Eおよ
びそれらの縮合環は、置換基を有していてもよい。ベン
ゼン環D、Eおよびそれらの縮合環の置換基の例は、式
(I)におけるベンゼン環Aおよびその縮合環の置換基
の例と同様である。
【0036】なお、式(Ia)において、−C2 4
は、−CH2 −CH2 −(エチレン)または−CH(C
3 )−(エチリデン)を意味する。式(Ia)で表さ
れるスクアリリウムシアニン染料は、少なくとも1つの
酸性基を有することが好ましい。酸性基の定義および例
は、式(I)で説明した酸性基の定義および例と同様で
ある。式(Ia)で表されるスクアリリウムシアニン染
料は、電荷バランスを保つための対イオンを有していて
もよい。対イオンの定義および例は、式(I)で説明し
た対イオンの定義および例と同様である。式(Ia)で
表されるスクアリリウムシアニン染料は、さらに下記式
(Ib)で表されることが好ましい。
【0037】
【化22】
【0038】式(Ib)において、R71、R72、R74
よびR75は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数が
1乃至9のアルキル基または炭素原子数が1乃至9のア
ルコキシ基である。水素原子または炭素原子数が1乃至
9のアルキル基であることが好ましく、水素原子または
炭素原子数が1乃至7のアルキル基であることがより好
ましく、水素原子または炭素原子数が1乃至5のアルキ
ル基であることがさらに好ましく、水素原子または炭素
原子数が1乃至3のアルキル基であることが最も好まし
い。式(Ib)において、R73およびR76は、それぞれ
独立に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基または
アリール基である。アルキル基、置換アルキル基および
アリール基の定義および例は、式(I)におけるR11
12、R13およびR 14のアルキル基、置換アルキル基お
よびアリール基の定義および例と同様である。
【0039】式(Ib)において、ベンゼン環Jおよび
Kには、他の芳香族環が縮合していてもよく、ベンゼン
環J、Kおよびそれの縮合環は、置換基を有していても
よい。ベンゼン環J、Kおよびそれらの縮合環の置換基
の例は、式(I)におけるベンゼン環Aおよびその縮合
環の置換基の例と同様である。なお、式(Ib)におい
て、−C2 4 −は、−CH2 −CH2 −(エチレン)
または−CH(CH3 )−(エチリデン)を意味する。
式(Ib)で表されるスクアリリウムシアニン染料は、
少なくとも1つの酸性基を有することが好ましい。酸性
基の定義および例は、式(I)で説明した酸性基の定義
および例と同様である。式(Ib)で表されるスクアリ
リウムシアニン染料は、電荷バランスを保つための対イ
オンを有していてもよい。対イオンの定義および例は、
式(I)で説明した対イオンの定義および例と同様であ
る。以下に式(I)で表されるシアニン染料の例を示
す。
【0040】
【化23】
【0041】
【化24】
【0042】
【化25】
【0043】
【化26】
【0044】
【化27】
【0045】
【化28】
【0046】
【化29】
【0047】
【化30】
【0048】
【化31】
【0049】
【化32】
【0050】
【化33】
【0051】
【化34】
【0052】式(II)において、R21、R22、R23およ
びR24は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置
換アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基またはアリ
ール基であるか、あるいは、R21とR24とが結合して5
員または6員の飽和脂肪族環を形成する。アルキル基、
置換アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基およびア
リール基の定義および例は、式(I)におけるR11、R
12、R13およびR14のアルキル基、置換アルキル基、ア
ルケニル基、アルコキシ基およびアリール基の定義およ
び例と同様である。式(II)において、R25は、水素原
子、アルキル基、置換アルキル基またはアリール基であ
る。アルキル基、置換アルキル基およびアリール基の定
義および例は、式(I)におけるR11、R12、R13およ
びR14のアルキル基、置換アルキル基およびアリール基
の定義および例と同様である。
【0053】式(II)において、L21は、偶数個のメチ
ンからなるメチン鎖である。メチン鎖中のメチンの数
は、0、2、4、6または8であることが好ましく、
0、2、4または6であることがさらに好ましく、2、
4または6であることが最も好ましい。メチン鎖は置換
基を有していてもよい。置換基としては、炭素原子数が
1乃至6個のアルキル基(例、メチル、エチル)または
ハロゲン原子が好ましい。式(II)において、Akは、
ケト型酸性核である。好ましいケト型酸性核を下記式で
示す。
【0054】
【化35】
【0055】上記式において、Xは、5員環、6員環ま
たは7員環を形成する非金属原子団である。Xは、−O
−、−S−、−CO−、−CS−、−NRa−および−
C(=CRb2 )−から選ばれる3個(5員環)、4個
(6員環)または5個(7員環)の連結基の組み合わせ
からなることが好ましい。上記Raは、水素原子、アル
キル基、置換アルキル基またはアリール基である。上記
Rbは、シアノ、カルボキシル、アシル基、アルコキシ
カルボニル基、アルキルスルホニル基またはアリールス
ルホニル基である。Raは、アルキル基、置換アルキル
基またはアリール基であることが好ましく、アルキル基
または置換アルキル基であることがさらに好ましい。ア
ルキル基、置換アルキル基およびアリール基の定義およ
び例は、式(I)におけるR11、R 12、R13およびR14
のアルキル基、置換アルキル基およびアリール基の定義
および例と同様である。Rbは、シアノまたはカルボキ
シルであることが好ましい。アシル基、アルコキシカル
ボニル基、アルキルスルホニル基およびアリールスルホ
ニル基の定義および例は、後述する式(IIa)における
57およびR58のアシル基、アルコキシカルボニル基、
アルキルスルホニル基およびアリールスルホニル基の定
義および例と同様である。二つのRbは、互いに異なっ
ていてもよい。形成される5員環、6員環または7員環
には、脂肪族環、芳香族環または複素環が縮合していて
もよい。縮合環は、置換基を有していてもよい。縮合環
の置換基の例は、式(I)におけるベンゼン環Aおよび
その縮合環の置換基の例と同様である。
【0056】式(II)において、ベンゼン環Bには、他
の芳香族環が縮合していてもよく、ベンゼン環Bおよび
その縮合環は、置換基を有していてもよい。ベンゼン環
Bおよびその縮合環の置換基の例は、式(I)における
ベンゼン環Aおよびその縮合環の置換基の例と同様であ
る。式(II)で表されるメチン染料は、少なくとも1つ
の酸性基を有することが好ましい。酸性基の定義および
例は、式(I)で説明した酸性基の定義および例と同様
である。式(II)で表されるメチン染料は、電荷バラン
スを保つための対イオンを有していてもよい。対イオン
の定義および例は、式(I)で説明した対イオンの定義
および例と同様である。式(II)で表されるメチン染料
(メロシアニン染料)は、さらに下記式(IIa)で表さ
れるメロシアニン染料であることが好ましい。
【0057】
【化36】
【0058】式(IIa)において、R51およびR52は、
それぞれ独立に、アルキル基、置換アルキル基、アルケ
ニル基、アルコキシ基またはアリール基である。アルキ
ル基、置換アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基お
よびアリール基の定義および例は、式(I)におけるR
11、R12、R13およびR14のアルキル基、置換アルキル
基、アルケニル基、アルコキシ基およびアリール基の定
義および例と同様である。式(IIa)において、R
53は、水素原子、アルキル基、置換アルキル基またはア
リール基である。アルキル基、置換アルキル基およびア
リール基の定義および例は、式(I)におけるR11、R
12、R13およびR14のアルキル基、置換アルキル基およ
びアリール基の定義および例と同様である。
【0059】式(IIa)において、R54は、アルキル
基、置換アルキル基またはアリール基である。アルキル
基、置換アルキル基およびアリール基の定義および例
は、式(I)におけるR11、R12、R13およびR14のア
ルキル基、置換アルキル基およびアリール基の定義およ
び例と同様である。式(IIa)において、L51は、偶数
個のメチンからなるメチン鎖である。メチン鎖の定義
は、式(II)におけるL21の定義と同様である。式(II
a)において、X51は、−O−、−S−、−CO−NR
55−または−NR56−であって、R55およびR56は、そ
れぞれ独立に、アルキル基、置換アルキル基またはアリ
ール基である。アルキル基、置換アルキル基およびアリ
ール基の定義および例は、式(I)におけるR11
12、R13およびR14のアルキル基、置換アルキル基お
よびアリール基の定義および例と同様である。
【0060】式(IIa)において、Y51は、=O、=S
または=CR5758であって、R57およびR58は、それ
ぞれ独立に、シアノ、カルボキシル、アシル基、アルコ
キシカルボニル基、アルキルスルホニル基またはアリー
ルスルホニル基である。アシル基の炭素原子数は、2乃
至10であることが好ましく、2乃至8であることがよ
り好ましく、2乃至6であることがさらに好ましく、2
乃至4であることが最も好ましい。アシル基の例には、
アセチルが含まれる。アルコキシカルボニル基の炭素原
子数は、2乃至10であることが好ましく、2乃至8で
あることがより好ましく、2乃至6であることがさらに
好ましく、2乃至4であることが最も好ましい。アルコ
キシカルボニル基の例には、エトキシカルボニルが含ま
れる。アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1乃至1
0であることが好ましく、1乃至8であることがより好
ましく、1乃至6であることがさらに好ましく、1乃至
4であることが最も好ましい。アルキルスルホニル基の
例には、メタンスルホニルが含まれる。アリールスルホ
ニル基は、ベンゼンスルホニルであることが好ましい。
【0061】式(IIa)において、ベンゼン環Fには、
他の芳香族環が縮合していてもよく、ベンゼン環Fおよ
びその縮合環は、置換基を有していてもよい。ベンゼン
環Fおよびその縮合環の置換基の例は、式(I)におけ
るベンゼン環Aおよびその縮合環の置換基の例と同様で
ある。なお、式(IIa)において、−C2 4 −は、−
CH2 −CH2 −(エチレン)または−CH(CH3
−(エチリデン)を意味する。式(IIa)で表されるメ
ロシアニン染料は、少なくとも1つの酸性基を有するこ
とが好ましい。酸性基の定義および例は、式(I)で説
明した酸性基の定義および例と同様である。式(IIa)
で表されるメロシアニン染料は、電荷バランスを保つた
めの対イオンを有していてもよい。対イオンの定義およ
び例は、式(I)で説明した対イオンの定義および例と
同様である。式(IIa)で表されるメロシアニン染料
は、さらに下記式(IIb)で表されることが好ましい。
【0062】
【化37】
【0063】式(IIb)において、R81およびR82は、
それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数が1乃至9のア
ルキル基または炭素原子数が1乃至9のアルコキシ基で
ある。水素原子または炭素原子数が1乃至9のアルキル
基であることが好ましく、水素原子または炭素原子数が
1乃至7のアルキル基であることがより好ましく、水素
原子または炭素原子数が1乃至5のアルキル基であるこ
とがさらに好ましく、水素原子または炭素原子数が1乃
至3のアルキル基であることが最も好ましい。式(II
b)において、R83は、水素原子、アルキル基、置換ア
ルキル基またはアリール基である。アルキル基、置換ア
ルキル基およびアリール基の定義および例は、式(I)
におけるR11、R12、R13およびR14のアルキル基、置
換アルキル基およびアリール基の定義および例と同様で
ある。
【0064】式(IIb)において、R84は、アルキル
基、置換アルキル基またはアリール基である。アルキル
基、置換アルキル基およびアリール基の定義および例
は、式(I)におけるR11、R12、R13およびR14のア
ルキル基、置換アルキル基およびアリール基の定義およ
び例と同様である。式(IIb)において、L81は、偶数
個のメチンからなるメチン鎖である。メチン鎖の定義
は、式(II)におけるL21の定義と同様である。式(II
b)において、X81は、−O−、−S−または−NR85
−であって、R 85は、アルキル基、置換アルキル基また
はアリール基である。アルキル基、置換アルキル基およ
びアリール基の定義および例は、式(I)における
11、R12、R13およびR14のアルキル基、置換アルキ
ル基およびアリール基の定義および例と同様である。
【0065】式(IIb)において、R84は、アルキル
基、置換アルキル基またはアリール基である。アルキル
基、置換アルキル基およびアリール基の定義および例
は、式(I)におけるR11、R12、R13およびR14のア
ルキル基、置換アルキル基およびアリール基の定義およ
び例と同様である。式(IIb)において、Y81は、=
O、=Sまたは=CR8687であって、R86およびR87
は、それぞれ独立に、シアノ、カルボキシル、アシル
基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基ま
たはアリールスルホニル基である。アシル基、アルコキ
シカルボニル基、アルキルスルホニル基およびアリール
スルホニル基の定義および例は、式(IIa)におけるR
57およびR58のアシル基、アルコキシカルボニル基、ア
ルキルスルホニル基およびアリールスルホニル基の定義
および例と同様である。
【0066】式(IIb)において、ベンゼン環Lには、
他の芳香族環が縮合していてもよく、ベンゼン環Lおよ
びその縮合環は、置換基を有していてもよい。ベンゼン
環Lおよびその縮合環の置換基の例は、式(I)におけ
るベンゼン環Aおよびその縮合環の置換基の例と同様で
ある。なお、式(IIb)において、−C2 4 −は、−
CH2 −CH2 −(エチレン)または−CH(CH3
−(エチリデン)を意味する。式(IIb)で表されるメ
ロシアニン染料は、少なくとも1つの酸性基を有するこ
とが好ましい。酸性基の定義および例は、式(I)で説
明した酸性基の定義および例と同様である。式(IIb)
で表されるメロシアニン染料は、電荷バランスを保つた
めの対イオンを有していてもよい。対イオンの定義およ
び例は、式(I)で説明した対イオンの定義および例と
同様である。以下に式(II)で表されるメロシアニン染
料の例を示す。
【0067】
【化38】
【0068】
【化39】
【0069】
【化40】
【0070】
【化41】
【0071】
【化42】
【0072】
【化43】
【0073】
【化44】
【0074】
【化45】
【0075】
【化46】
【0076】式(III)において、R31、R32、R33およ
びR34は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置
換アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基またはアリ
ール基であるか、あるいは、R31とR32とが結合して5
員または6員の飽和脂肪族環を形成する。アルキル基、
置換アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基およびア
リール基の定義および例は、式(I)におけるR11、R
12、R13およびR14のアルキル基、置換アルキル基、ア
ルケニル基、アルコキシ基およびアリール基の定義およ
び例と同様である。式(III)において、R33は、水素原
子、アルキル基、置換アルキル基またはアリール基であ
る。アルキル基、置換アルキル基およびアリール基の定
義および例は、式(I)におけるR11、R12、R13およ
びR14のアルキル基、置換アルキル基およびアリール基
の定義および例と同様である。
【0077】式(III)において、L31は、奇数個のメチ
ンからなるメチン鎖である。メチン鎖中のメチンの数
は、1、3または5であることが好ましく、1または3
であることがさらに好ましく、1であることが最も好ま
しい。メチン鎖は置換基を有していてもよい。置換基と
しては、炭素原子数が1乃至6個のアルキル基(例、メ
チル、エチル)またはハロゲン原子が好ましい。メチン
鎖が一つの置換基を有する場合、一つの置換基は、メチ
ン鎖の中央(メソ位)のメチンに結合することが好まし
い。式(III)において、Y31は、=O、=Sまたは=C
3435であって、R34およびR35は、それぞれ独立
に、シアノ、カルボキシル、アシル基、アルコキシカル
ボニル基、アルキルスルホニル基またはアリールスルホ
ニル基である。アシル基、アルコキシカルボニル基、ア
ルキルスルホニル基およびアリールスルホニル基の定義
および例は、式(IIa)におけるR57およびR58のアシ
ル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基
およびアリールスルホニル基の定義および例と同様であ
る。
【0078】式(III)において、ベンゼン環Cには、他
の芳香族環が縮合していてもよく、ベンゼン環Cおよび
その縮合環は、置換基を有していてもよい。ベンゼン環
Cおよびその縮合環の置換基の例は、式(I)における
ベンゼン環Aおよびその縮合環の置換基の例と同様であ
る。式(III)で表されるメチン染料は、少なくとも1つ
の酸性基を有することが好ましい。酸性基の定義および
例は、式(I)で説明した酸性基の定義および例と同様
である。式(III)で表されるメチン染料は、電荷バラン
スを保つための対イオンを有していてもよい。対イオン
の定義および例は、式(I)で説明した対イオンの定義
および例と同様である。式(III)で表されるメチン染料
(スクアリリウムメロシアニン染料)は、さらに下記式
(IIIa)で表されるスクアリリウムメロシアニン染料で
あることが好ましい。
【0079】
【化47】
【0080】式(IIIa)において、R61およびR62は、
それぞれ独立に、アルキル基、置換アルキル基、アルケ
ニル基、アルコキシ基またはアリール基である。アルキ
ル基、置換アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基お
よびアリール基の定義および例は、式(I)におけるR
11、R12、R13およびR14のアルキル基、置換アルキル
基、アルケニル基、アルコキシ基およびアリール基の定
義および例と同様である。式(IIIa)において、R
63は、水素原子、アルキル基、置換アルキル基またはア
リール基である。アルキル基、置換アルキル基およびア
リール基の定義および例は、式(I)におけるR11、R
12、R13およびR14のアルキル基、置換アルキル基およ
びアリール基の定義および例と同様である。式(IIIa)
において、Y61は、=O、=Sまたは=CR6465であ
って、R64およびR65は、それぞれ独立に、シアノ、カ
ルボキシル、アシル基、アルコキシカルボニル基、アル
キルスルホニル基またはアリールスルホニル基である。
アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニ
ル基およびアリールスルホニル基の定義および例は、式
(IIa)におけるR57およびR58のアシル基、アルコキ
シカルボニル基、アルキルスルホニル基およびアリール
スルホニル基の定義および例と同様である。
【0081】式(IIIa)において、ベンゼン環Gには、
他の芳香族環が縮合していてもよく、ベンゼン環Gおよ
びその縮合環は、置換基を有していてもよい。ベンゼン
環Gおよびその縮合環の置換基の例は、式(I)におけ
るベンゼン環Aおよびその縮合環の置換基の例と同様で
ある。なお、式(IIIa)において、−C2 4 −は、−
CH2 −CH2 −(エチレン)または−CH(CH3
−(エチリデン)を意味する。式(IIIa)で表されるス
クアリリウムメロシアニン染料は、少なくとも1つの酸
性基を有することが好ましい。酸性基の定義および例
は、式(I)で説明した酸性基の定義および例と同様で
ある。式(IIIa)で表されるスクアリリウムメロシアニ
ン染料は、電荷バランスを保つための対イオンを有して
いてもよい。対イオンの定義および例は、式(I)で説
明した対イオンの定義および例と同様である。式(III
a)で表されるスクアリリウムメロシアニン染料は、さ
らに下記式(IIIb)で表されることが好ましい。
【0082】
【化48】
【0083】式(IIIb)において、R91およびR92は、
それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数が1乃至9のア
ルキル基または炭素原子数が1乃至9のアルコキシ基で
ある。水素原子または炭素原子数が1乃至9のアルキル
基であることが好ましく、水素原子または炭素原子数が
1乃至7のアルキル基であることがより好ましく、水素
原子または炭素原子数が1乃至5のアルキル基であるこ
とがさらに好ましく、水素原子または炭素原子数が1乃
至3のアルキル基であることが最も好ましい。式(III
b)において、R93は、水素原子、アルキル基、置換ア
ルキル基またはアリール基である。アルキル基、置換ア
ルキル基およびアリール基の定義および例は、式(I)
におけるR11、R12、R13およびR14のアルキル基、置
換アルキル基およびアリール基の定義および例と同様で
ある。式(IIIb)において、Y91は、=O、=Sまたは
=CR9495であって、R94およびR95は、それぞれ独
立に、シアノ、カルボキシル、アシル基、アルコキシカ
ルボニル基、アルキルスルホニル基またはアリールスル
ホニル基である。アシル基、アルコキシカルボニル基、
アルキルスルホニル基およびアリールスルホニル基の定
義および例は、式(IIa)におけるR57およびR58のア
シル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル
基およびアリールスルホニル基の定義および例と同様で
ある。
【0084】式(IIIb)において、ベンゼン環Mには、
他の芳香族環が縮合していてもよく、ベンゼン環Mおよ
びその縮合環は、置換基を有していてもよい。ベンゼン
環Mおよびその縮合環の置換基の例は、式(I)におけ
るベンゼン環Aおよびその縮合環の置換基の例と同様で
ある。なお、式(IIIb)において、−C2 4 −は、−
CH2 −CH2 −(エチレン)または−CH(CH3
−(エチリデン)を意味する。式(IIIb)で表されるス
クアリリウムメロシアニン染料は、少なくとも1つの酸
性基を有することが好ましい。酸性基の定義および例
は、式(I)で説明した酸性基の定義および例と同様で
ある。式(IIIb)で表されるスクアリリウムメロシアニ
ン染料は、電荷バランスを保つための対イオンを有して
いてもよい。対イオンの定義および例は、式(I)で説
明した対イオンの定義および例と同様である。以下に式
(III)で表されるスクアリリウムメロシアニン染料の例
を示す。
【0085】
【化49】
【0086】
【化50】
【0087】二種類以上のメチン染料を併用してもよ
い。式(I)のシアニン染料、式(II)のメロシアニン
染料および式(III)のスクアリリウムメロシアニン染料
は、メチン鎖の長さを適宜調節することにより、青から
近赤外までの様々な光に対する増感能を付与することが
できる。従って、二種類以上のメチン染料を併用するこ
とにより、半導体微粒子を広い波長領域に対して増感す
ることができる。特に、式(I−a)のスクアリリウム
シアニン染料は、赤色光に対する増感能に優れ、式(II
I-a)のスクアリリウムメロシアニン染料は、は青色光
に対する増感能に優れている。式(I−a)と式(III-
a)の染料を混合して用いると、半導体微粒子を可視光
全域に対して広く増感することができる。式(I)、式
(II)または式(III)のメチン染料と他の染料とを併用
することもできる。他の染料の例には、式(I)、式
(II)および式(III)以外のメチン染料、金属錯体染料
およびフタロシアニン系色素が含まれる。光電変換材料
または光電変換素子におけるメチン染料の使用量は、1
2 当たり0.01乃至100ミリモルであることが好
ましい。また、メチン染料の半導体微粒子に対する吸着
量は、半導体微粒子1g当たり0.01乃至1ミリモル
であることが好ましい。
【0088】スクアリリウムシアニン染料やクロコニウ
ムシアニン染料の詳細については、エフ・エム・ハーマ
ー(F.M.Harmer)著「ヘテロサイクリック・コンパウンズ
ーシアニンダイズ・アンド・リレィティド・コンパウン
ズ(Heterocyclic Compounds-Cyanine Dyes and Related
Compounds)」、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(Jo
hn Wiley & Sons)社ーニューヨーク、ロンドン、196
4年刊、デー・エム・スターマー(D.M.Sturmer)著「ヘ
テロサイクリック・コンパウンズースペシャル・トピッ
クス・イン・ヘテロサイクリック・ケミストリー(Heter
ocyclic Compounds-Special topics in heterocyclic c
hemistry)」、第18章、第14節、第482から51
5頁、M. Okawara, T. Kitao,T. Hirasima, M. Matuoka
著Organic Colorants(Elsevier)に記載がある。
【0089】[合成例1] スクアリリウムメロシアニン染料(III−1)の合成
【0090】
【化51】
【0091】常法により合成したインドレニン誘導体の
4級塩(a)5.0g、エタノール30mlおよびトリ
エチルアミン2mlを混合し、撹拌しながら加熱還流し
た。反応液を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層
を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精
製し化合物(b)2.5gを得た。化合物(b)2.5
g、エタノール30ml、水酸化ナトリウム0.4gを
混合し、5分間加熱還流した。反応液を希塩酸水に注い
で酢酸エチルで抽出、有機層を濃縮し、残渣をシリカゲ
ルカラムクロマトグラフィーにて精製した。得られた粗
結晶をアセトニトリルで再結晶し、スクアリリウムメロ
シアニン染料(III−1)1.5gを得た。
【0092】[合成例2] スクアリリウムシアニン染料(I−6)の合成
【0093】
【化52】
【0094】スクアリリウムメロシアニン染料(III−
1)1.5g、化合物(c)1.3g、3−メトキシプ
ロピオニトリル10mlおよびトルエン10mlを混合
し、120℃にて3時間加熱攪拌した。反応液を濃縮
し、残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィーで精製
した。得られた粗結晶をメタノールで再結晶しスクアリ
リウムシアニン染料(I−6)を得た。収量は0.3g
であった。
【0095】[半導体微粒子]半導体微粒子に用いる半
導体は、常温での電子あるいは正孔の伝導に基づく比抵
抗が、10-2乃至109 Ω・cmである。単純な測定値
としての比抵抗は、10-2乃至105 Ω・cmであるこ
とが好ましい。光電変換素子では、半導体微粒子が感光
体として機能する。すなわち、半導体微粒子が光を吸収
して電荷分離を行い、電子と正孔を生ずる。メチン染料
で増感された半導体微粒子では、光吸収およびこれによ
る電子および正孔の発生は主としてメチン染料において
起こり、半導体微粒子はこの電子を受け取り、伝達する
役割を担う。
【0096】半導体としては、単体半導体(例、シリコ
ン、ゲルマニウム)、金属のカルコゲニド(例、酸化
物、硫化物、セレン化物、テルル化物)またはペロブス
カイト(例、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシ
ウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ
酸カリウム)が好ましい。酸化物として用いる金属とし
ては、チタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコ
ニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セ
リウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ
およびタンタルが好ましい。硫化物として用いる金属と
しては、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモンおよび
ビスマスが好ましい。セレン化物として用いる金属とし
ては、カドミウムおよび鉛が好ましい。テルル化物とし
て用いる金属としては、カドミウムが好ましい。二種類
の金属のカルコゲニド(例、銅−インジウム−セレン化
物、銅−インジウム−硫化物)を用いてもよい。その他
の化合物半導体として、金属のリン化物やガリウムヒ素
を用いてもよい。リン化物として用いる金属としては、
亜鉛、ガリウム、インジウムおよびカドミウムが好まし
い。
【0097】半導体としては、Si、TiO2 、SnO
2 、Fe2 3 、WO3 、ZnO、Nb2 3 、Cd
S、ZnS、PbS、Bi2 3 、CdSe、CdT
e、GaP、InP、GaAs、CuInS2 およびC
uInSe2 が好ましく、TiO 2 、SnO2 、Fe2
3 、WO3 、ZnO、Nb2 3 、CdS、PbS、
CdSe、InP、GaAs、CuInS2 およびCu
InSe2 がより好ましく、TiO2 およびNb2 3
がさらに好ましく、TiO2 が最も好ましい。
【0098】光電変換効率の観点では、半導体は単結晶
であることが好ましい。一方、製造コスト、原材料確保
の容易さおよびエネルギーペイバックタイムの観点で
は、半導体は多結晶であることが好ましい。多くの量の
メチン染料を半導体微粒子に吸着させるためには、微粒
子の表面積を大きくする必要がある。大きな表面積を得
るためには、半導体微粒子は小さい粒子サイズを有する
ことが好ましい。具体的には、半導体微粒子の平均粒径
は、一次粒子の投影面積を円に換算したときの直径とし
て、5乃至200nmであることが好ましく、8乃至1
00nmであることがさらに好ましい。分散物中の半導
体微粒子(二次粒子)の平均粒径は、0.01乃至10
0μmであることが好ましい。また、半導体微粒子の形
状も、大きな表面積を得るために、表面に凹凸を有する
形状であることが好ましい。具体的には、半導体微粒子
の投影面積に対する表面積の割合(米国特許49277
21号明細書にroughness factorとして記載)が10倍
以上であることが好ましく、100倍以上であることが
より好ましい。理論的な上限はないが、技術的な上限は
1000倍程度である。大きな表面積を有する粒子は、
例えば、半導体の超微粒子を凝集して、二次粒子を形成
することにより得ることができる。
【0099】平均粒径が異なる2種類以上の半導体微粒
子を混合して用いてもよい。この場合、小さい方の粒子
の平均粒径は、5nm以下にすることができる。また、
粒子サイズの大きな(300nm程度の)半導体粒子を
混合して、入射光を散乱させ、光捕獲率を向上させるこ
ともできる。半導体微粒子は、ゾル−ゲル法またはゲル
−ゾル法により作製することが好ましい。ゾル−ゲル法
については、作花済夫の「ゾル−ゲル法の科学」アグネ
承風社(1988年)、および技術情報協会の「ゾル−
ゲル法による薄膜コーティング技術」(1995)に記
載がある。ゲル−ゾル法については、杉本忠夫の「新合
成法ゲルーゾル法による単分散粒子の合成とサイズ形態
制御」まてりあ、第35巻、第9号、1012頁〜10
18頁(1996)に記載がある。ゾル−ゲル法による
二酸化チタン微粒子の作製については、バーブ等の「ジ
ャーナル・オブ・アメリカン・セラミック・ソサエティ
ー 第80巻、第12号、3157ページから3171
ページ(1997)」、およびバーンサイド等の「ケミ
カル・マテリアルズ」、第10巻、第9号、2419頁
〜2425頁にも記載がある。
【0100】また、塩化物を酸水素炎中で高温加水分解
することにより、酸化物からなる半導体微粒子を作製す
る(Degussa社)こともできる。二酸化チタン微
粒子は、さらに硫酸法または塩素法で作製することもで
きる。硫酸法および塩素法については、清野学の「酸化
チタン・物性と応用技術」技報堂出版(1997)に記
載がある。半導体微粒子は、乳鉢ですり潰す方法、ミル
を使って粉砕しながら分散する方法、あるいは半導体を
合成する際に溶媒中で微粒子として析出させ方法でも作
製することができる。半導体微粒子へのメチン染料の吸
着処理は、後述するように感光層(半導体微粒子を含む
層)の形成後に実施することが好ましい。
【0101】[光電変換素子]図1は、代表的な光電変
換素子の断面模式図である。図1に示す光電変換素子
は、導電性支持体(11)、感光層(12)、電荷移動
層(2)および対向電極(3)がこの順に積層された構
造を有する。感光層(12)は、表面にメチン染料(1
21)が吸着している半導体微粒子(122)を含む層
である。電荷移動層(2)は、電解質を含む層である。
対向電極は、基板および導電層からなる。本明細書で
は、導電性支持体(11)と感光層(12)との積層体
(1)を光電変換材料と称する。
【0102】光電変換素子を、外部回路で仕事をさせる
電池用途に使用できるように設計したものが光電気化学
電池である。感光層(12)は、光電変換素子の用途に
応じて設計する。二層以上の感光層を設けてもよい。感
光層(12)に入射した光(4)はメチン染料(12
1)を励起する。励起されたメチン染料(121)はエ
ネルギーの高い電子(e)を有しており、この電子
(e)がメチン染料(121)から半導体微粒子(12
2)の伝導帯に渡され、さらに拡散によって導電性支持
体(11)に到達する。これによりメチン染料(12
1)の分子は酸化体になっている。光電気化学電池にお
いては、導電性支持体(11)上の電子(e)が外部回
路(5)で仕事をしてから、対向電極(3)に戻る。さ
らに電子(e)は、電荷移動層(2)を経由してメチン
染料(121)の酸化体に戻り、メチン染料(121)
が再生する。感光層(12)は、光電気化学電池の負極
として機能する。なお、各層の境界、例えば、導電性支
持体(11)と感光層(12)との境界、感光層(1
2)と電荷移動層(2)との境界、電荷移動層(2)と
対向電極(1)との境界は、各層の構成成分が相互に拡
散して混合していてもよい。
【0103】以上述べた以外にも、必要に応じて、他の
機能の層、例えば保護層や反射防止膜を光電変換素子に
設けることができる。多層構造の光電変換素子は、逐次
塗布に製造することができるが、生産性を優先させると
同時多層塗布により製造することが好ましい。同時多層
塗布には、スライドホッパー法またはエクストルージョ
ン法が適している。また、各機能層には、蒸着や貼り付
けにより設けることができる層もある。光電変換素子
は、構成成分の劣化や揮散を防止するために、側面をポ
リマーや接着剤で密封することが好ましい。
【0104】[導電性支持体]導電性支持体は、金属板
のような導電性材料を用いるか、あるいはガラス板やプ
ラスチックフイルムのような非導電性基板の表面に導電
層を設けて使用する。導電層は、金属(例、白金、金、
銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム)、炭素
あるいは導電性金属酸化物(例えば、インジウム−スズ
複合酸化物、酸化スズにフッ素をドープしたもの)を用
いて形成することができる。導電剤層の厚さは、0.0
2乃至10μmであることが好ましい。導電性支持体の
表面抵抗は、50Ω/cm2 以下であることが好まし
く、10Ω/cm2 以下であることがさらに好ましい。
理論的な下限値はないが、技術的な下限値は、0.1Ω
/cm2 程度である。
【0105】導電性支持体は実質的に透明であることが
好ましい。実質的に透明であるとは光の透過率が10%
以上であることを意味し、50%以上であることがさら
に好ましく、70%以上であることが最も好ましい。透
明な導電性支持体を得るためには、ガラス板またはプラ
スチックフイルムからなる透明基板の表面に、導電性金
属酸化物からなる透明導電層を設けることが好ましい。
透明な導電性支持体を用いる場合、光は支持体側から入
射させることが好ましい。透明導電層の導電性金属酸化
物として、フッ素をドーピングした二酸化スズまたはI
TOを用いることが好ましい。透明導電層における導電
性金属酸化物の塗布量は、基板1m2 当たり0.01乃
至100gであることが好ましい。
【0106】透明基板としては、ソーダ石灰フロートガ
ラス板または透明プラスチックフイルムを用いることが
好ましい。透明プラスチックフイルムに用いるポリマー
の例には、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエ
チレンテレフタレート(PET),ポリエチレンナフタ
レート(PEN)、シンジオクタチックポリステレン
(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポ
リカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAr)、
ポリスルフォン(PSF)、ポリエステルスルフォン
(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、環状ポリ
オレフィンおよびブロム化ポリフェノキシが含まれる。
【0107】導電性支持体の抵抗を下げるため、金属リ
ードを用いることが好ましい。金属リードに用いる金属
の例には、アルミニウム、銅、銀、金、白金およびニッ
ケルが含まれる。アルミニウムおよび銀が特に好まし
い。金属リードを蒸着またはスッパタリングにより基板
上に設け、その上に導電層を設けることが好ましい。導
電層を基板に設けたあと、導電層上に金属リードを設け
ることもできる。金属リードの設置による入射光量の低
下は、10%以下に抑制することが好ましく、5%以下
に抑制することがさらに好ましい。入射光量の低下率の
理論的な下限はないが、1%程度が技術的な下限であ
る。
【0108】[感光層]感光層は、半導体微粒子を導電
性支持体上に塗布することにより形成する。一般に、半
導体微粒子の分散液またはコロイド溶液を導電性支持体
上に塗布することで感光層を形成する。導電性支持体上
で前述したゾル−ゲル法を実施し、導電性支持体上で半
導体微粒子を形成することもできる。ただし、半導体微
粒子の分散液またはコロイド溶液の塗布による方法が、
光電変換素子の量産に適している。半導体微粒子の分散
液を用いることが好ましい。なお、塗布法には、印刷法
も含まれる。
【0109】半導体微粒子の分散媒としては、水または
有機溶媒(例、メタノール、エタノール、イソプロピル
アルコール、ジクロロメタン、アセトン、アセトニトリ
ル、酢酸エチル)を用いることができる。分散におい
て、必要に応じて分散助剤(例、ポリマー、界面活性
剤、酸、キレート剤)を用いてもよい。感光層の塗布液
に紫外線吸収剤を添加してもよい。塗布法には、ローラ
法、ディップ法、エアーナイフ法、ブレード法、ワイヤ
ーバー法(特公昭58−4589号公報記載)、スライ
ドホッパ法(米国特許2681294号、同27614
19号、同2761791号の各明細書記載)、エクス
トルージョン法、カーテン法、スピン法、スプレー法や
キャスト法が含まれる。印刷法としては、凸版印刷法、
オフセット印刷法、グラビア印刷法、凹版印刷法、ゴム
版印刷法やスクリーン印刷印刷法が応用できる。
【0110】エクストルージョン法やキャスト法では、
高粘度(0.01〜500Poise )の塗布液を用いるこ
とが好ましい。スライドホッパー法、ワイヤーバー法や
スピン法、低粘度(0.1Poise 以下)の塗布液を用い
ることが好ましい。塗布液の粘度は、半導体微粒子、使
用する溶媒、界面活性剤やポリマーの種類と量を変更す
ることより調整できる。なお、一定の塗布量があれば、
エクストルージョン法でも、低粘度塗布液の使用が可能
である。また、高粘度塗布液の場合は、スクリーン印刷
法が有利に用いられる。
【0111】二以上の感光層を設けることができる。二
以上の感光層では、半導体微粒子の平均粒径、半導体の
種類、あるいは他の添加剤(例、ポリマー)の組成を変
更することができる。また、一度の塗布で感光層の厚さ
が不足する場合にも、二以上の感光層が有効である。多
層塗布には、エクストルージョン法またはスライドホッ
パー法が適している。二以上の感光層では、同時多層塗
布により形成することができる。数回から十数回、感光
層を重ね塗りしてもよい。重ね塗りには、スクリーン印
刷法も適している。
【0112】感光層の厚さは、0.1乃至100μmで
あることが好ましく、1乃至30μmであることがさら
に好ましく、2乃至25μmであることが最も好まし
い。半導体微粒子の1m2 当たりの塗布量は、0.5乃
至400gであることが好ましく、5乃至100である
ことがさらに好ましい。メチン染料の吸着量を増大させ
るため、吸着処理前に加熱処理を行うことできる。加熱
処理は、半導体微粒子を電気的に接触させるため、感光
層の強度を向上させるため、あるいは感光層と支持体と
の密着性を向上させるために実施することもできる。加
熱処理温度は、40乃至700であることが好ましく、
100℃乃至600℃であることがさらに好ましい。加
熱処理時間は、10分乃至10時間であることが好まし
い。なお、5nm以下の小さい半導体微粒子の使用や鉱
酸の存在下での加熱処理を実施することにより、比較的
低い温度で加熱処理を実施できる。比較的低い温度で加
熱処理を実施すると、融点や軟化点の低い支持体の劣化
を防止できる。
【0113】加熱処理後、メッキ処理を行ってもよい。
メッキ処理は、半導体微粒子の表面積を増大したり、メ
チン染料から半導体微粒子への電子注入効率を高める目
的で実施する。メッキ処理は、四塩化チタン水溶液を用
いた化学メッキ処理または三塩化チタン水溶液を用いた
電気化学メッキ処理が好ましい。加熱処理後、半導体微
粒子表面に水が吸着するのを避けるため、常温に戻さず
直ちに40乃至80℃で吸着処理を実施することが好ま
しい。
【0114】[メチン染料の吸着処理]メチン染料の吸
着処理は、浸漬法または塗布法により実施できる。浸漬
法では、よく乾燥した感光層(または感光層を有する光
電変換材料)を染料溶液中に浸漬する。浸漬法には、デ
ィップ法、ローラ法やエアーナイフ法も含まれる。浸漬
法の場合、吸着処理は室温で実施できる。また、加熱還
流しながら吸着処理を実施してもよい(特開平7−24
9790号公報記載)。塗布法では、染料溶液を、感光
層の上に塗布する。塗布法には、ワイヤーバー法、スラ
イドホッパ法、エクストルージョン法、カーテン法、ス
ピン法やスプレー法も含まれる。印刷により塗布法を実
施することもできる。印刷法では、凸版印刷、オフセッ
ト印刷、グラビア印刷あるいはスクリーン印刷の方法が
応用できる。
【0115】メチン染料の溶媒は、メチン染料の溶解性
に応じて選択する。溶媒の例には、水、アルコール
(例、メタノール、エタノール、t−ブタノール、ベン
ジルアルコール)、ニトリル(例、アセトニトリル、プ
ロピオニトリル、3−メトキシプロピオニトリル)、ニ
トロメタン、ハロゲン化炭化水素(例、ジクロロメタ
ン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼ
ン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、テトラヒドロ
フラン)、ジメチルスルホキシド、アミド(例、N,N
−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセタミド
等)、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチルイミダ
ゾリジノン、3−メチルオキサゾリジノン、エステル
(例、酢酸エチル、酢酸ブチル、炭酸ジエチル、炭酸エ
チレン、炭酸プロピレン)、ケトン(例、アセトン、2
−ブタノン、シクロヘキサノン)および炭化水素(例、
ヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエン)が含ま
れる。二種類以上の溶媒を混合して用いてもよい。
【0116】エクストルージョン法や印刷法のような塗
布法では、高粘度(0.01〜500Poise )のメチン
染料溶液を用いることが好ましい。浸漬法、あるいはス
ライドホッパー法、ワイヤーバー法やスピン法のような
塗布法では、低粘度(0.1Poise 以下)のメチン染料
溶液を用いることが好ましい。塗布法において塗布後の
メチン染料吸着に要する時間は、量産化を考慮すると、
なるべく短い方がよい。未吸着のメチン染料は、光電変
換素子性能の外乱要因になるため、吸着処理後速やかに
洗浄により除去することが好ましい。湿式洗浄槽を使
い、有機溶媒、好ましくは極性有機溶媒(例、アセトニ
トリル、アルコール)で洗浄することが好ましい。
【0117】また、会合のようなメチン染料の相互作用
を低減する目的で、さらに無色の化合物を半導体微粒子
に吸着させてもよい。吸着させる無色の化合物として
は、疎水性化合物が好ましい。疎水性化合物の例には、
カルボキシ基を有するステロイド化合物(例、ケノデオ
キシコール酸)が含まれる。また、未吸着メチン染料の
除去を促進する目的で、吸着処理後に、アミンを用いて
半導体微粒子の表面を処理してもよい。アミンの例に
は、ピリジン、4−tert−ブチルピリジンおよびポリビ
ニルピリジンが含まれる。アミンが液体の場合には、そ
のまま処理に用いることができる。アミンを有機溶媒に
溶解し、その溶液を用いてもよい。
【0118】[電荷移動層]電荷移動層は、メチン染料
の酸化体に電子を補充する機能を有する層である。電荷
移動層には、酸化還元対を有機溶媒に溶解した液体(電
解液)、酸化還元対を有機溶媒に溶解した液体をポリマ
ーマトリクスに含浸したゲル電解質あるいは酸化還元対
を含有する溶融塩を用いることができる。また、固体電
解質や正孔(ホール)輸送材料も電荷移動層に用いるこ
ともできる。
【0119】電解液は、一般に電解質、溶媒および添加
剤からなる。電解質の例には、I2 とヨウ化物との組み
合わせ、Br2 と臭化物の組み合わせ、フェロシアン酸
塩とフェリシアン酸塩との組み合わせ、金属錯体の組み
合わせ(例、フェロセンとフェリシニウムイオンとの組
み合わせ)、ポリ硫化ナトリウム、硫黄化合物の組み合
わせ(例、アルキルチオールとアルキルジスルフィドと
の組み合わせ)、ビオロゲン色素およびヒドロキノンと
キノンとの組み合わせが含まれる。上記ヨウ化物として
は、金属ヨウ化物(例、LiI、NaI、KI、Cs
I、CaI2 )または4級アンモニウム化合物のヨウ素
塩(例、テトラアルキルアンモニウムヨーダイド、ピリ
ジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイド)を用
いることができる。上記臭化物としては、金属臭化物
(例、LiBr、NaBr、KBr、CsBr、CaB
2 )または4級アンモニウム化合物の臭素塩(例、テ
トラアルキルアンモニウムブロマイド、ピリジニウムブ
ロマイド)を用いることができる。I2 とLiIまたは
4級アンモニウム化合物との組み合わせが好ましい。二
種類以上の電解質を混合して用いてもよい。
【0120】電解質を溶融塩として用いることが特に好
ましい。溶融塩は、室温で溶融状態の塩を意味する。溶
融塩からなる電解質については、欧州特許718288
号、国際特許WO95/18456号の各明細書および
J. Electrochem. Soc., Vol.143,No.10,3099(1996)、In
org. Chem. 1996,35,1168-1178に記載がある。溶融塩を
電解質として使用する場合、溶媒は使用しなくてもよ
い。溶融塩としては、置換イミダゾリウム塩が特に好ま
しい。二種類以上の置換イミダゾリウム塩を混合して用
いることが好ましい。置換イミダゾリウム塩の対アニオ
ンとしては、一価のアニオンが好ましい。対アニオンの
例には、ハロゲンイオン、ハロゲン化物イオン、テトラ
フルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、
トリフルオロメタンスルホナート、ビストリフルオロメ
タンスルホニルイミド、トリストリフルオロメタンスル
ホニルメタニドおよびヘキサクロロアンモナートが含ま
れる。以下に、溶融塩の具体例を示す。
【0121】
【化53】
【0122】電解質濃度は、0.1乃至15Mであるこ
とが好ましく、0.2乃至10Mであることがさらに好
ましい。電解質にヨウ素を添加する場合、ヨウ素の濃度
は、0.01乃至0.5Mであることが好ましい。電解
質に使用する溶媒は、電解質のイオン伝導性を考慮して
決定する。具体的には、粘度が低く誘電率が高い液体を
用いることが好ましい。低粘度の液体を用いるとイオン
易動度が向上する。また、誘電率が高い液体では、有効
キャリアー濃度が向上する。
【0123】溶媒の例には、カーボネート化合物(例、
エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート)、複
素環化合物(例、3−メチル−2−オキサゾリジノ
ン)、環状エーテル(例、ジオキサン)、鎖状エーテル
(例、ジエチルエーテル、エチレングリコールジアルキ
ルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテ
ル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリ
プロピレングリコールジアルキルエーテル)、一価アル
コール(例、メタノール、エタノール、エチレングリコ
ールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノ
アルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキ
ルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエ
ーテル)、多価アルコール(例、エチレングリコール、
プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリ
プロピレングリコール、グリセリン)、ニトリル(例、
アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセト
ニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル)、非プ
ロトン極性物質(例、ジメチルスルフォキシド、スルフ
ォラン)および水が含まれる。
【0124】電解質に塩基性化合物を添加してもよい。
塩基性化合物については、J. Am. Ceram. Soc .,80 (1
2)3157-3171(1997)に記載がある。塩基性化合物の例に
は、tert−ブチルピリジン、2−ピコリンおよび2,6
−ルチジンが含まれる。塩基性物質を添加する場合、塩
基性化合物の濃度は、0.05乃至2Mであることが好
ましい。電解質は、ゲル化(固体化)させて使用するこ
とができる。電解質のゲル化は、ポリマー添加、オイル
ゲル化剤添加、多官能モノマーの重合反応またはポリマ
ーの架橋反応により実施できる。ゲル化に使用するポリ
マーについては、¨Polymer Electrolyte Revi ews-1お
よび2¨(J.R.MacCallumとC.A. Vincentの共編、ELSEVIE
R APPLIED SCIENCE)に記載がある。ポリマーとしては、
ポリアクリロニトリルおよびポリフッ化ビニリデンが特
に好ましい。オイルゲル化剤については、J. Chem Soc.
Japan, Ind. Chem.Soc., 46779(1943); J. Am. Chem.
Soc., 111,5542(1989); J. Chem. Soc., Chem. Commu
n., 1993, 390; Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 35,194
9(1996); Chem. Lett., 1996,885;およびJ. Chm. Soc.,
Chem. Commun., 1997,545に記載がある。オイルゲル化
剤としては、アミドを化合物を用いることが好ましい。
【0125】多官能モノマーの重合反応により電解質を
ゲル化する場合、多官能モノマー、重合開始剤および電
解質の溶液を感光層の上に塗布してから、ラジカル重合
反応を実施することが好ましい。溶液の塗布は、キャス
ト法、塗布法,浸漬法または含浸法により実施できる。
多官能性モノマーはエチレン性不飽和基を2個以上有す
る化合物であることが好ましい。多官能モノマーの例に
は、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリ
レート、エチレングリコールジアクリレート、エチレン
グリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジ
アクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレー
ト、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチ
レングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトー
ルトリアクリレートおよびトリメチロールプロパントリ
アクリレートが含まれる。
【0126】多官能モノマーに加えて、単官能モノマー
を用いてもよい。単官能モノマーの例には、アクリル酸
エステル(例、メチルアクリレート、ヒドロキシエチル
アクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチル
アクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、シク
ロヘキシルアクリレート)、アクリルアミド(例、アク
リルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、2−ア
クリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アクリ
ルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライ
ド)、α−アルキルアクリル酸(例えばメタクリル酸)
エステル、α−アルキル(例えばメタクリル)アミド、
ビニルエステル(例、酢酸ビニル)、マレイン酸、フマ
ル酸、マレイン酸エステル(例、マレイン酸ジメチル、
マレイン酸ジブチル)、フマル酸エステル(例、フマル
酸ジエチル)、p−スチレンスルホン酸のナトリウム
塩、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ジエン
(例、ブタジエン、シクロペンタジエン、イソプレ
ン)、芳香族ビニル化合物(例、スチレン、p−クロル
スチレン、スチレンスルホン酸ナトリウム)、ビニル基
を有する含窒素複素環化合物、ビニル基を有する4級ア
ンモニウム塩、N−ビニルホルムアミド、N−ビニル−
N−メチルホルムアミド、ビニルスルホン酸、ビニルス
ルホン酸ナトリウム、ビニリデンフルオライド、ビニリ
デンクロライド、ビニルアルキルエーテル(例、メチル
ビニルエーテル)、エチレン、プロピレン、1−ブテ
ン、イソブテンおよびN−フェニルマレイミドが含まれ
る。モノマー全量に占める多官能性モノマーの割合は、
0.5乃至70重量%であることが好ましく、1.0乃
至50重量%であることがさらに好ましい。
【0127】モノマーのラジカル重合については、大津
隆行・木下雅悦共著:高分子合成の実験法(化学同人)
および大津隆行:講座重合反応論1ラジカル重合(I)
(化学同人)に記載がある。モノマーのラジカル重合
は、加熱、光照射、電子線照射または電気化学的処理に
より実施できる。加熱によるラジカル重合が好ましい。
加熱によるラジカル重合には、熱重合開始剤を用いる。
熱重合開始剤としては、アゾ系重合開始剤または過酸化
物系重合開始剤を用いることが好ましい。アゾ系重合開
始剤の例には、2,2′−アゾビスイソブチロニトリ
ル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニト
リル)およびジメチル2,2′−アゾビス(2−メチル
プロピオネート)が含まれる。過酸化物系重合開始剤の
例には、ベンゾイルパーオキシドが含まれる。重合開始
剤は、モノマー総量の0.01乃至20重量%の量で使
用することが好ましく、0.1乃至10重量の量で使用
することがさらに好ましい。電解質中のモノマーの量
は、0.5乃至70重量%であることが好ましく、1.
0乃至50重量%であることがさらに好ましい。
【0128】ポリマーの架橋反応により電解質をゲル化
する場合、架橋可能な反応性基を有するポリマーと架橋
剤とを併用することが好ましい。架橋可能な反応性基と
しては、含窒素複素環基が好ましい。含窒素複素環の複
素環の例には、ピリジン環、イミダゾール環、チアゾー
ル環、オキサゾール環、トリアゾール環、モルホリン
環、ピペリジン環およびピペラジン環が含まれる。架橋
剤としては、窒素原子に対して求電子反応が可能な官能
基を二以上有する化合物を用いることが好ましい。架橋
剤の例には、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アラルキ
ル、スルホン酸エステル、酸無水物、酸クロライドおよ
びイソシアネートが含まれる。
【0129】電荷輸送層には、電解質に代えて正孔(ホ
ール)輸送材料を使用することもできる。正孔輸送材料
には、有機材料と無機材料とがある。有機正孔輸送材料
と無機正孔輸送材料とを併用してもよい。有機正孔輸送
材料としては、芳香族アミン、オリゴチオフェン化合物
および導電性ポリマーを用いることができる。芳香族ア
ミンの例には、N,N’−ジフエニル−N,N’−ビス
(4−メトキシフェニル)−(1,1’−ビフェニル)
−4,4’−ジアミン(J.Hagen et al., Synthetic Met
al 89(1997)215-220記載)、2,2’,7,7’−テト
ラキス(N,N−ジ−p−メトキシフェニルアミン)
9,9’−スピロビフルオレン(Nature,Vol.395, 8 Oc
t. 1998,p583-585および国際特許出願WO97/106
17号明細書記載)、1,1−ビス{4−(ジ−p−ト
リルアミノ)フェニル}シクロヘキサンの3級芳香族ア
ミンユニットを連結した芳香族ジアミン化合物(特開昭
59−194393号公報記載)、2個以上の3級アミ
ンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した
芳香族アミン、例えば4,4’−ビス[(N−1−ナフ
チル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(特開平5−
234681号公報記載)、トリフェニルベンゼンの誘
導体でスターバースト構造を有する芳香族トリアミン
(米国特許4923774号明細書および特開平4−3
08688号公報記載)、芳香族ジアミン、例えばN,
N’−ジフエニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニ
ル)-(1,1’−ビフェニル)-4,4’−ジアミン
(米国特許4764625号明細書記載)、α,α,
α',α'-テトラメチル-α,α'-ビス(4−ジ−p−ト
リルアミノフェニル)−p−キシレン(特開平3−26
9084号公報記載)、p−フェニレンジアミン誘導
体、分子全体として立体的に非対称なトリフェニルアミ
ン誘導体(特開平4−129271号公報記載)、ピレ
ニル基に芳香族ジアミノ基が複数個置換した化合物(特
開平4−175395号公報記載)、エチレン基で3級
芳香族アミンユニツトを連結した芳香族ジアミン(特開
平4−264189号公報記載)、スチリル構造を有す
る芳香族ジアミン(特開平4−290851号公報記
載)、ベンジルフェニル化合物(特開平4−36415
3号公報記載)、フルオレン基で3級アミンを連結した
化合物(特開平5−25473号公報記載)、トリアミ
ン化合物(特開平5−239455号公報記載)、ピス
ジピリジルアミノビフェニル(特開平5−320634
号公報記載)、N,N,N−トリフェニルアミン誘導体
(特開平6−1972号公報記載)、フェノキザジン構
造を有する芳香族ジアミン(特開平7−138562号
公報記載)およびジアミノフェニルフェナントリジン誘
導体(特開平7−252474号公報記載)が含まれ
る。
【0130】オリゴチオフェン化合物の例には、α−オ
クチルチオフェンおよびα,ω−ジヘキシル-α-オクチ
ルチオフェン(Adv. Mater. 1997, 9, N0.7, p557記
載)、ヘキサドデシルドデシチオフェン(Angew. Chem. I
nt. Ed. Engl. 1995, 34, No.3,p303-307記載)および
2,8−ジヘキシルアンスラ[2,3−b:6,7−
b’]ジチオフェン(JACS, Vol120, N0.4,1998, p664-6
72記載)が含まれる。導電性ポリマーの例には、ポリピ
ロール(K. Murakoshi et al.,; Chem. Lett. 1997, p4
71記載)、ポリアセチレンとその誘導体(¨Handbook of
Organic Conductive Molecules and Polymers Vol.1,
2,3,4¨(NALWA著、WILEY出版記載)、ポリ(p-フェニレ
ン) とその誘導体、ポリ( p-フェニレンビニレン)とそ
の誘導体、ポリチエニレンビニレンとその誘導体、ポリ
チオフェンとその誘導体、ポリアニリンとその誘導体お
よびポリトルイジンとその誘導体が含まれる。
【0131】ドーパントレベルをコントロールするた
め、有機正孔輸送材料にカチオンラジカルを含有する化
合物を添加してもよい。カチオンラジカルを含有する化
合物の例には、トリス(4−ブロモフェニル)アミニウ
ムヘキサクロロアンチモネートが含まれる。カチオンラ
ジカルを含有する化合物については、Nature,Vol.395,8
Oct. 1998,p583-585に記載がある。酸化物半導体表面
のポテンシャルを制御(空間電荷層を補償)するため、
有機正孔輸送材料に塩を添加してもよい。制御用の塩の
例には、Li[(CF3 SO 2 2 N]が含まれる。有
機正孔輸送材料は、真空蒸着法、キャスト法、塗布法、
スピンコート法、浸漬法、電解重合法または光電解重合
法により、光電変換素子に電荷輸送層として導入するこ
とができる。
【0132】無機正孔輸送材料の例には、ヨウ化銅(p
−CuI)(J. Phys. D:Appl. Phys. 31(1998)1492-14
96記載)およびチオシアン化銅(Thin Solid Films 261
(1995)307-310、J. Appl. Phys. 80(8),15 October 199
6, p4749-4754、Chem. Mater. 1998, 10, 1501-1509、S
emicond. Sci. Technol. 10, 1689-1693記載)が含まれ
る。無機正孔輸送材料は、キャスト法、塗布法、スピン
コート法、浸漬法、電解メッキ法により、光電変換素子
に電荷輸送層として導入することができる。正孔輸送材
料を電解質に代えて使用する場合、短絡防止のため二酸
化チタン薄層を下塗り層として設けることが好ましい。
二酸化チタン薄層は、スプレーパイロリシス(Electoro
chim. Acta 40, 643-652(1995)記載)により設けること
ができる。
【0133】電荷移動層は感光層と対向電極との間隙に
挿入するか、あるいは感光層層上に直接電荷移動層を形
成してから対向電極を設ける。感光層と対向電極との間
隙に電荷移動層を挿入する処理は、常圧または真空状態
で実施できる。常圧処理では、浸漬による毛管現象で、
液状の電荷移動層成分を感光層と対向電極との間隙に浸
透させる。真空処理では、減圧により電荷移動層成分を
感光層と対向電極との間隙に導入する。
【0134】感光層上に直接電荷移動層を形成する場
合、溶媒を含む(湿式の)電荷移動層は未乾燥のまま対
向電極を設け、エッジ部での液の漏洩防止する措置を施
す。ゲル電解質からなる電荷移動層は、塗布した電荷移
動層を乾燥、ゲル化した後に対向電極を設ける。感光層
上に直接電荷移動層を形成する方法は、浸漬法、ローラ
法、ディップ法、エアーナイフ法、エクストルージョン
法、スライドホッパー法、ワーヤーバー法、スピン法、
スプレー法、キャスト法あるいは印刷法により実施でき
る。固体電解質や固体の正孔輸送材料からなる電荷移動
層は、ドライ成膜処理(例、真空蒸着法、CVD法)に
より形成できる。
【0135】ゲル化できない電解液や湿式の正孔輸送材
料の場合には、電荷移動層を形成後、速やかにエッジ部
分を封止する。量産化を考慮すると、ゲル化可能な材料
で電荷移動層を形成後、重合反応(例、光重合、熱ラジ
カル重合)により電荷移動層をゲル化することが好まし
い。電荷移動層中の水分は、10000ppm以下であ
ることが好ましく、2000ppm以下であることがさ
らに好ましく、100ppm以下であることが最も好ま
しい。
【0136】[対向電極]対向電極は、光電変換素子を
光電気化学電池として用いる際に電池の正極として機能
する。対向電極は、一般に導電性支持体と同様に、基板
と導電層からなる。ただし、強度や密封性が充分に保た
れる光電変換素子の構成では、基板は必ずしも必要でな
い。対向電極に用いる導電性材料の例には、金属(例、
白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウ
ム)、炭素および導電性金属酸化物(例、インジウム−
スズ複合酸化物、フッ素をドープした酸化スズ)が含ま
れる。対向電極の厚さは、3nm乃至10μmであるこ
とが好ましい。金属材料からなる対向電極の厚さは、5
μm以下であることが好ましく、5nm乃至3μmであ
ることがさらに好ましい。
【0137】感光層に光が到達するためには、導電性支
持体と対向電極の少なくとも一方は実質的に透明でなけ
ればならない。導電性支持体が透明であって、太陽光を
導電性支持体側から入射させることが好ましい。導電性
支持体が透明である場合、対向電極は光を反射する性質
を有することが好ましい。光反射性対向電極としては、
金属または導電性酸化物を蒸着したガラスまたはプラス
チック、あるいは金属薄膜が好ましく用いられる。
【0138】電荷移動層について説明したように、対向
電極は、感光性層または電荷移動層の上に設ける。対向
電極は、塗布、ラミネート、蒸着または貼り合わせによ
り形成することができる。基板上に、導電層を塗布、蒸
着またはCVDにより設けた対向電極を貼り合わせる感
光性層に貼り合わせることができる。電荷移動層が固体
の場合には、電荷移動層の上に直接、電荷移動層からな
る対向電極を、塗布、メッキ、PVDまたはCVDによ
り設けることができる。
【0139】[太陽電池]光電変換素子は、太陽電池と
して好ましく用いることができる。太陽電池のセル構造
およびモジュール構造については、図2〜図4を引用し
ながら説明する。図2は、代表的な太陽電池の断面模式
図である。図3は、別の代表的な太陽電池の断面模式図
である。
【0140】図2(a)の太陽電池は、二つの透明導電
層(12)間に、感光層(10)と、電荷移動層(1
1)とを介在させた最も基本的な構造を有する。下側の
透明導電層が導電性支持体、上側の透明導電層が対向電
極として機能する。図2(b)の太陽電池は、透明基板
(13)上に一部金属リード(9)を設け、その上に、
透明導電層(12)、下塗り層(14)、感光層(1
0)、電荷移動層(11)、金属導電層(8)、および
基板(15)をこの順で設けた構造を有する。透明基板
(13)〜透明導電層(12)が導電性支持体として機
能し、金属導電層(8)〜基板(15)が対向電極とし
て機能する。
【0141】図2(c)の太陽電池は、基板(15)上
に、金属導電層(8)、下塗り層(14)、感光層(1
0)、電荷移動層(11)、透明導電層(12)を順次
設け、透明導電層(12)の上に、一部に金属リード
(9)を設けた透明基板(13)を、金属リード(9)
が下側となるように配置した構造を有する。基板(1
5)〜金属導電層(8)が導電性支持体として機能し、
透明導電性層(12)〜透明基板(13)が対向電極と
して機能する。図2(d)の太陽電池は、透明基板(1
3)上に一部金属リード(9)を設け、その上に透明導
電層(12)を設けた二枚の積層体の間に、下塗り層
(14)、感光層(10)および電荷移動層(11)を
介在させた構造を有する。下側の透明基板(13)〜透
明導電層(12)の積層体が導電性支持体として機能
し、上側の透明導電層(12)〜透明基板(13)の積
層体が対向電極として機能する。
【0142】図3(e)の太陽電池は、透明基板(1
3)上に透明導電層(12)を有し、その上に、下塗り
層(14)、感光層(10)、電荷移動層(11)、金
属導電層(8)および基板(15)を順次配置した構造
を有する。透明基板(13)〜透明導電層(12)が導
電性支持体として機能し、金属導電層(8)〜基板(1
5)が対向電極として機能する。図3(f)の太陽電池
は、基板(15)上に金属導電層(8)を設け、その上
に、下塗り層(14)、感光層(10)、電荷移動層
(11)、透明導電層(12)および透明基板(13)
を順次配置した構造を有する。基板(15)〜金属導電
層(8)が導電性支持体として機能し、透明導電層(1
2)〜透明基板(13)が対向電極として機能する。
【0143】図3(g)の太陽電池は、透明基板(1
3)と透明導電層(12)からなる二枚の積層体を、透
明導電層(12)を内側に配置し、それらの間に、下塗
り層(14)、感光層(10)および電荷移動層(1
1)を介在させた構造を有する。下側の透明基板(1
3)〜透明導電層(12)の積層体が導電性支持体とし
て機能し、上側の透明導電層(12)〜透明基板(1
3)の積層体が対向電極として機能する。図3(h)の
太陽電池は、基板(15)上に金属導電層(8)を設
け、その上に、下塗り層(14)、感光層(10)およ
び固体電荷移動層(16)を順次設け、固体電荷移動層
(16)の一部に金属リード(9)を設けた構造を有す
る。基板(15)〜金属導電層(8)が導電性支持体と
して機能し、固体電荷移動層(16)〜金属リード
(9)が対向電極として機能する。なお、金属リード
(9)に代えて、固体電荷移動層(16)の一部に金属
導電層(8)を設けてもよい。
【0144】太陽電池のセル内部の構造は、基本的には
光電変換素子と同じである。ただし、太陽電池の用途に
応じて、図2および図3に示するように、層構成を変化
させることができる。両面から光の入射が可能な太陽電
池の用途では、図2(a)、図2(d)または図3
(g)の構造を採用する。導電性支持体側からのみ光の
入射が可能な太陽電池の用途では、図2(b)または図
3(e)の構造を採用する。対向電極側からのみ光の入
射が可能な太陽電池の用途では、図2(c)、図3
(f)または図3(h)の構造を採用する。
【0145】太陽電池のモジュールは、一般には、基板
(金属、セラミック)の上にセルが構成され、その上を
充填樹脂や保護ガラスで覆い、基板の反対側から光を取
り込む構造である。ただし、基板に透明材料(例、強化
ガラス)を用い、その上にセルを構成して、透明基板側
から光を取り込むことも可能である。太陽電池のモジュ
ール構造は、スーパーストレートタイプ、サブストレー
トタイプ、ポッティングタイプおよび基板一体型に分類
される。また、SCAFと呼ばれるモジュール構造(So
lar Energy Materials and Solar Cells, 48, p383-391
記載)も採用できる。
【0146】スーパーストレートタイプおよびサブスト
レートタイプは、片側または両側が透明で反射防止処理
を施された基板の間に、一定間隔にセルが配置され、隣
り合うセル間が金属リードまたはフレキシブル配線によ
って接続されており、外縁部に集電電極を配置して、発
生した電力を外部に取り出す構造になっている。基板と
セルの間には、セルの保護や集電効率アップのため、プ
ラスチック材料をフイルムまたは充填樹脂の状態で用い
ることができる。プラスチック材料としては、エチレン
ビニルアセテート(EVA)が好ましく用いられる。片
側の基板に代えて、透明プラスチックフイルムからなる
表面保護層を用いてもよい。また、片側の基板に代え
て、充填あるいは封止用の材料を硬化させて得られる保
護膜を用いてもよい。モジュールの剛性確保のため、基
板の周囲は、金属製のフレームでサンドイッチ状に固定
することが好ましい。内部の密封のため、基板とフレー
ムとの間は封止材で密封シールすることが好ましい。セ
ル、基板、充填材および封止部材に可撓性の素材を用い
れば、曲面上に太陽電池を構成することもできる。
【0147】スーパーストレートタイプの太陽電池モジ
ュールは、基板供給装置から送り出されたフロント基板
をベルトコンベヤで搬送しながら、その上にセルを、封
止材、セル間接続用リード線および背面封止材と共に順
次積層した後、背面基板または背面カバーを乗せ、外縁
部にフレームをセットすることにより作製できる。サブ
ストレートタイプの太陽電池モジュールは、基板供給装
置から送り出された基板をベルトコンベヤで搬送しなが
ら、その上にセルを、セル間接続用リード線および封止
材と共に順次積層した後、フロントカバーを乗せ、周縁
部にフレームをセットすることにより作製できる。
【0148】図4は、基板一体型太陽電池のモジュール
構造を示す断面模式図である。図4に示す太陽電池は、
透明基板(13)の一方の面上に透明導電層(12)を
有し、この上にさらに感光層(10)、固体電荷移動層
(16)および金属導電層(8)を設けたセルをモジュ
ール化した構造を有する。透明基板(13)の他方の面
には反射防止層(17)が設けられている。透明基板
(13)〜透明導電層(12)が導電性支持体として機
能し、金属導電層(8)が対向電極として機能する。入
射光の利用効率を高めるために、感光層(10)の面積
比率(光の入射面である透明基板(13)側から見たと
きの面積比率)を大きくした方が好ましい。図4に示す
太陽電池のモジュール構造は、透明基板(13)上に、
透明導電層(12)、感光層(10)、固体電荷移動層
(16)および金属導電層(8)が立体的かつ一定間隔
で配列されるように、パターン化することができる。パ
ターン化されたモジュール構造は、半導体処理技術
(例、選択メッキ、選択エッチング、CVD、PVD)
の応用して製造できる。パターン塗布によりモジュール
構造を製造することも可能である。また、広幅に各層を
塗布してから、レーザースクライビング、プラズマCV
M(Solar Energy Materials and Solar Cells, 48, p3
73-381に記載)または機械的手法(例、研削)によりパ
ターン化したモジュールを製造することもできる。
【0149】封止材料は、太陽電池の耐候性、電気絶縁
性または集光効率の改善機能および太陽電池に対する保
護(耐衝撃)機能を考慮して選択する。封止材料として
は、液状またはフイルムの材料が用いられる。液状の封
止材料としては、エチレンビニルアセテート(EVA)
およびフッ化ビニリデン共重合体とアクリル樹脂との混
合物が好ましく用いられる。フイルム状の封止材料とし
ては、フイルム状のEVAが好ましく用いられる。
【0150】フイルム状の封止材料は、ロール加圧後の
加熱密着処理または真空加圧後の加熱密着処理により、
太陽電池に固定することができる。液状(またはペース
ト状)の封止材料は、ロールコート、バーコート、スプ
レーコートあるいはスクリーン印刷により太陽電池表面
に塗布することができる。強度または光透過率を向上さ
せる目的で、透明フィラーを封止材料に添加してもよ
い。
【0151】モジュール外縁と周縁を囲むフレームとの
間は、耐候性または防湿性が高い樹脂を使って封止する
ことが好ましい。基板として可撓性のプラスチック
(例、PET、PEN)フイルムを用いる場合は、ロー
ル状の基板を繰り出して、その上にセルを構成した後、
連続して封止材料からなる層を積層することができる。
【0152】発電効率を上げるため、モジュールの光取
り込み側の基板(一般に強化ガラス)の表面に反射防止
処理を施すことが好ましい。反射防止膜は、ラミネート
またはコーティングにより形成できる。太陽電池の表面
をグルービング処理またはテクスチャリング処理するこ
とにより、入射した光の利用効率を高めることができ
る。
【0153】光を無駄なく光電変換するため、感光層を
透過した光を反射させて感光層に戻すことが好ましい。
そのためには、太陽電池に反射層を設けることが好まし
い。反射層は、鏡面研磨した基板面に金属(例、Ag、
Al)を蒸着またはメッキすることにより形成できる。
また、合金(例、Al−Mg、Al−Ti)からなる層
を反射層として、太陽電池に設けてもよい。さらに、ア
ニール処理によりテクスチャー構造を有する層を設け、
これを反射層として機能させることもできる。
【0154】発電効率を上げるため、セル間の接続抵抗
を小さくして、内部電圧降下を抑制することが好まし
い。セル間の接続は、一般に、ワイヤーボンディングま
たは導電性フレキシブルシート行う。セルの固定と電気
的接続の双方の機能を有する導電性粘着テープあるいは
導電性接着剤を用いてもよい。導電性ホットメルトをパ
ターン塗布し、これによりセル間を電気的に接続するこ
ともできる。
【0155】ポリマーフイルムのような可撓性の基板を
用いた太陽電池は、ロール状の基板を送り出しながら、
順次塗布によりセルを形成し、所望のサイズに切断し、
周縁部をフレキシブルで防湿性のある封止材料でシール
することにより作製できる。可撓性の基板を用いた太陽
電池は、曲面ガラスに接着固定して使用することもでき
る。
【0156】
【実施例】[実施例1] (感光層塗布液の調製)230℃のオートクレーブ温度
で二酸化チタン微粒子を形成し、11重量%の二酸化チ
タン分散物を調製した(オートクレーブ温度以外は、バ
ルベらのジャーナル・オブ・アメリカン・セラミック・
ソサイエティ第80巻3157頁記載の方法と同じ)。二酸化
チタン微粒子の平均粒径は、10nmであった。二酸化
チタン分散物に、二酸化チタンの30重量%量のポリエ
チレングリコール(分子量:20000、和光純薬
(株)製)を添加し、混合して、感光層塗布液を調製し
た。
【0157】(感光層の形成)フッ素をドープした酸化
スズをコーティングした導電層を有する透明導電性ガラ
ス(日本板硝子製)を導電性支持体として用いた。導電
層側の表面抵抗は10Ω/cm2 であった。導電性層の
表面に、感光層塗布液をドクターブレードで100μm
の厚さに塗布し、25℃で30分間乾燥した。これを電
気炉(ヤマト科学製マッフル炉FP−32型)で450
℃にて30分間焼成した。二酸化チタンの塗布量は15
g/m2 であり、感光層の厚さは、8μmであった。
【0158】(メチン染料の吸着処理)メチン染料(I
−6)をエタノールと2−メチル−2−プロパノールと
の1:1(容積比)混合液に溶解して、1×10-5mo
l/リットルの溶液を調製した。感光層を形成した導電
性支持体を冷却した後、メチン染料の溶液に3時間浸漬
した。これをエタノール、続いてアセトニトリルで洗浄
し、暗所にて自然乾燥させた。これにより、導電性支持
体上に感光層を有する光電変換材料を作製した。
【0159】(光電変換素子の作製)光電変換材料を1
cm×1cmのサイズに裁断し、これと同じ大きさの白
金蒸着ガラス(対向電極)と重ね合わせた。次に、両者
の隙間に毛細管現象を利用して電解液(ヨウ化テトラブ
チルアンモニウム0.65モル/リットルとヨウ素0.
05モル/リットルのアセトニトリル溶液)をしみ込ま
せて、電荷移動層を形成した。このようにして、図1に
示す層構成の光電変換素子を作製した。
【0160】(光電変換素子の評価)光電変換素子をI
PCE(Incident Photon to Current Conversion Effi
ciency)測定装置(オプテル社製)で測定し、最大の光
電変換効率を示す波長と、その波長の光での光電変換効
率(IPCE)を求めた。光電変換効率(IPCE)
は、下記式で定義される値である。結果は、第1表に示
す。IPCE=発生した光電子数/照射した光子数
【0161】[実施例2〜12および比較例1〜3]メ
チン染料を第1表に示すように変更した以外は、実施例
1と同様に光電変換素子を作製して評価した。結果は、
第1表に示す。
【0162】
【表1】 第1表 ──────────────────────────────────── 光電変換素子 メチン染料 最大変換効率(IPCE) 最大変換効率波長 ──────────────────────────────────── 実施例1 I−6 0.39 660nm 実施例2 I−7 0.36 660nm 実施例3 I−8 0.34 660nm 実施例4 I−9 0.35 660nm 実施例5 III-1 0.52 460nm 実施例6 III-2 0.51 460nm 実施例7 III-3 0.52 460nm 実施例8 III-4 0.52 460nm 実施例9 II−9 0.41 550nm 実施例10 II−10 0.34 550nm 実施例11 II−11 0.33 550nm 実施例12 II−12 0.40 550nm 比較例1 比較染料A 0.34 660nm 比較例2 比較染料B 0.48 460nm 比較例3 比較染料C 0.32 550nm ────────────────────────────────────
【0163】
【化54】
【0164】[実施例13]メチン染料溶液の濃度を1
×10-5mol/リットルから1×10-4mol/リッ
トルに変更し、感光層のメチン染料溶液への浸漬時間を
3時間から12時間に変更した以外は、実施例1と同様
にして光電変換素子を作製して評価した。結果は、第2
表に示す。
【0165】[実施例14〜24および比較例4〜6]
メチン染料を第2表に示すように変更した以外は、実施
例16と同様に光電変換素子を作製して評価した。結果
は、第2表に示す。
【0166】
【表2】 第2表 ──────────────────────────────────── 光電変換素子 メチン染料 最大変換効率(IPCE) 最大変換効率波長 ──────────────────────────────────── 実施例13 I−6 0.55 660nm 実施例14 I−7 0.52 650nm 実施例15 I−8 0.50 640nm 実施例16 I−9 0.53 650nm 実施例17 III-1 0.59 460nm 実施例18 III-2 0.55 450nm 実施例19 III-3 0.56 440nm 実施例20 III-4 0.58 450nm 実施例21 II−9 0.53 550nm 実施例22 II−10 0.47 550nm 実施例23 II−11 0.44 550nm 実施例24 II−12 0.50 540nm 比較例4 比較染料A 0.15 590nm 比較例5 比較染料B 0.39 430nm 比較例6 比較染料C 0.28 510nm ────────────────────────────────────
【0167】[実施例25]電荷移動層の形成に使用し
た電解質を、溶融塩(M−5)70モル%と溶融塩(M
−8)30モル%との混合液に変更した以外は、実施例
1と同様にして光電変換素子を作製して評価した。結果
は、第3表に示す。
【0168】[実施例26〜36]メチン染料を第3表
に示すように変更した以外は、実施例25と同様に光電
変換素子を作製して評価した。結果は、第3表に示す。
【0169】
【表3】 第3表 ──────────────────────────────────── 光電変換素子 メチン染料 最大変換効率(IPCE) 最大変換効率波長 ──────────────────────────────────── 実施例25 I−6 0.60 660nm 実施例26 I−7 0.58 650nm 実施例27 I−8 0.57 640nm 実施例28 I−9 0.58 650nm 実施例29 III-1 0.62 460nm 実施例30 III-2 0.61 450nm 実施例31 III-3 0.60 440nm 実施例32 III-4 0.61 450nm 実施例33 II−9 0.57 550nm 実施例34 II−10 0.52 550nm 実施例35 II−11 0.50 550nm 実施例36 II−12 0.56 540nm ────────────────────────────────────
【図面の簡単な説明】
【図1】代表的な光電変換素子の断面模式図である。
【図2】代表的な太陽電池の断面模式図である。
【図3】別の代表的な太陽電池の断面模式図である。
【図4】基板一体型太陽電池のモジュール構造を示す断
面模式図である。
【符号の説明】
1 光電変換材料 11(図1) 導電性支持体 12(図1) 感光層 121 メチン染料 122 半導体微粒子 2 電荷移動層 3 対向電極 4 光 5 外部回路 e 電子 8 金属導電層 9 金属リード 10 感光層 11(図2〜4) 電荷移動層 12(図2〜4) 透明導電層 13 透明基板 14 下塗り層 15 基板 16 固体電荷移動層 17 反射防止層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4H056 CA01 CA02 CA05 CB01 CB06 CC02 CC08 CE01 CE03 CE06 DD03 DD07 DD16 DD19 DD23 DD28 DD29 FA01 FA05 5F051 AA20 CB30 5F088 AB01 AB11 BA01 CB20

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メチン染料が表面に吸着している半導体
    微粒子であって、メチン染料が下記式(I)、(II)ま
    たは(III)で表されることを特徴とする半導体微粒子。 【化1】 [式中、R11、R12、R13およびR14は、それぞれ独立
    に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アルケニ
    ル基、アルコキシ基またはアリール基であるか、あるい
    は、R11とR14とが結合して5員または6員の飽和脂肪
    族環を形成し;R 15は、水素原子、アルキル基、置換ア
    ルキル基またはアリール基であり;L11は、奇数個のメ
    チンからなるメチン鎖であり;Boは、塩基性核のオニ
    ウム体であり;ベンゼン環Aには、他の芳香族環が縮合
    していてもよく;そして、ベンゼン環Aおよびその縮合
    環は、置換基を有していてもよい。] 【化2】 [式中、R21、R22、R23およびR24は、それぞれ独立
    に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アルケニ
    ル基、アルコキシ基またはアリール基であるか、あるい
    は、R21とR24とが結合して5員または6員の飽和脂肪
    族環を形成し;R 25は、水素原子、アルキル基、置換ア
    ルキル基またはアリール基であり;L21は、偶数個のメ
    チンからなるメチン鎖であり;Akは、ケト型酸性核で
    あり;ベンゼン環Bには、他の芳香族環が縮合していて
    もよく;そして、ベンゼン環Bおよびその縮合環は、置
    換基を有していてもよい。] 【化3】 [式中、R31、R32、R33およびR34は、それぞれ独立
    に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アルケニ
    ル基、アルコキシ基またはアリール基であるか、あるい
    は、R31とR32とが結合して5員または6員の飽和脂肪
    族環を形成し;R 33は、水素原子、アルキル基、置換ア
    ルキル基またはアリール基であり;L31は、奇数個のメ
    チンからなるメチン鎖であり;Y31は、=O、=Sまた
    は=CR3435であって、R34およびR35は、それぞれ
    独立に、シアノ、カルボキシル、アシル基、アルコキシ
    カルボニル基、アルキルスルホニル基またはアリールス
    ルホニル基であり;ベンゼン環Cには、他の芳香族環が
    縮合していてもよく;そして、ベンゼン環Cおよびその
    縮合環は、置換基を有していてもよい。]
  2. 【請求項2】 半導体微粒子を含む感光層および導電性
    支持体を有する光電変換材料であって、半導体微粒子
    が、下記式(I)、(II)または(III)で表されるメチ
    ン染料により増感されていることを特徴とする光電変換
    材料。 【化4】 [式中、R11、R12、R13およびR14は、それぞれ独立
    に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アルケニ
    ル基、アルコキシ基またはアリール基であるか、あるい
    は、R11とR14とが結合して5員または6員の飽和脂肪
    族環を形成し;R 15は、水素原子、アルキル基、置換ア
    ルキル基またはアリール基であり;L11は、奇数個のメ
    チンからなるメチン鎖であり;Boは、塩基性核のオニ
    ウム体であり;ベンゼン環Aには、他の芳香族環が縮合
    していてもよく;そして、ベンゼン環Aおよびその縮合
    環は、置換基を有していてもよい。] 【化5】 [式中、R21、R22、R23およびR24は、それぞれ独立
    に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アルケニ
    ル基、アルコキシ基またはアリール基であるか、あるい
    は、R21とR24とが結合して5員または6員の飽和脂肪
    族環を形成し;R 25は、水素原子、アルキル基、置換ア
    ルキル基またはアリール基であり;L21は、偶数個のメ
    チンからなるメチン鎖であり;Akは、ケト型酸性核で
    あり;ベンゼン環Bには、他の芳香族環が縮合していて
    もよく;そして、ベンゼン環Bおよびその縮合環は、置
    換基を有していてもよい。] 【化6】 [式中、R31、R32、R33およびR34は、それぞれ独立
    に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アルケニ
    ル基、アルコキシ基またはアリール基であるか、あるい
    は、R31とR32とが結合して5員または6員の飽和脂肪
    族環を形成し;R 33は、水素原子、アルキル基、置換ア
    ルキル基またはアリール基であり;L31は、奇数個のメ
    チンからなるメチン鎖であり;Y31は、=O、=Sまた
    は=CR3435であって、R34およびR35は、それぞれ
    独立に、シアノ、カルボキシル、アシル基、アルコキシ
    カルボニル基、アルキルスルホニル基またはアリールス
    ルホニル基であり;ベンゼン環Cには、他の芳香族環が
    縮合していてもよく;そして、ベンゼン環Cおよびその
    縮合環は、置換基を有していてもよい。]
  3. 【請求項3】 式(I)で表されるメチン染料が、下記
    式(Ia)で表されるスクアリリウムシアニン染料であ
    る請求項2に記載の光電変換材料。 【化7】 [式中、R41、R42、R44およびR45は、それぞれ独立
    に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アルケニ
    ル基、アルコキシ基またはアリール基であり;R 43およ
    びR46は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置
    換アルキル基またはアリール基であり;ベンゼン環Dお
    よびEには、他の芳香族環が縮合していてもよく;そし
    て、ベンゼン環D、Eおよびそれらの縮合環は、置換基
    を有していてもよい。]
  4. 【請求項4】 式(II)で表されるメチン染料が、下記
    式(IIa)で表されるメロシアニン染料である請求項2
    に記載の光電変換材料。 【化8】 [式中、R51およびR52は、それぞれ独立に、アルキル
    基、置換アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基また
    はアリール基であり;R53は、水素原子、アルキル基、
    置換アルキル基またはアリール基であり;R54は、アル
    キル基、置換アルキル基またはアリール基であり;L51
    は、偶数個のメチンからなるメチン鎖であり;X51は、
    −O−、−S−、−CO−NR55−または−NR56−で
    あって、R 55およびR56は、それぞれ独立に、アルキル
    基、置換アルキル基またはアリール基であり;Y51は、
    =O、=Sまたは=CR5758であって、R57およびR
    58は、それぞれ独立に、シアノ、カルボキシル、アシル
    基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基ま
    たはアリールスルホニル基であり;ベンゼン環Fには、
    他の芳香族環が縮合していてもよく;そして、ベンゼン
    環Fおよびその縮合環は、置換基を有していてもよ
    い。]
  5. 【請求項5】 式(III)で表されるメチン染料が、下記
    式(IIIa)で表されるスクアリリウムメロシアニン染料
    である請求項2に記載の光電変換材料。 【化9】 [式中、R61およびR62は、それぞれ独立に、アルキル
    基、置換アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基また
    はアリール基であり;R63は、水素原子、アルキル基、
    置換アルキル基またはアリール基であり;Y61は、=
    O、=Sまたは=CR6465であって、R64およびR65
    は、それぞれ独立に、シアノ、カルボキシル、アシル
    基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基ま
    たはアリールスルホニル基であり;ベンゼン環Gには、
    他の芳香族環が縮合していてもよく;そして、ベンゼン
    環Gおよびその縮合環は、置換基を有していてもよ
    い。]
  6. 【請求項6】 半導体微粒子が二酸化チタン微粒子であ
    る請求項2に記載の光電変換材料。
  7. 【請求項7】 半導体微粒子を含む感光層と導電性支持
    体とを有する光電変換材料、電荷移動層および対向電極
    を有する光電変換素子であって、半導体微粒子が、下記
    式(I)、(II)または(III)で表されるメチン染料に
    より増感されていることを特徴とする光電変換素子。 【化10】 [式中、R11、R12、R13およびR14は、それぞれ独立
    に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アルケニ
    ル基、アルコキシ基またはアリール基であるか、あるい
    は、R11とR14とが結合して5員または6員の飽和脂肪
    族環を形成し;R 15は、水素原子、アルキル基、置換ア
    ルキル基またはアリール基であり;L11は、奇数個のメ
    チンからなるメチン鎖であり;Boは、塩基性核のオニ
    ウム体であり;ベンゼン環Aには、他の芳香族環が縮合
    していてもよく;そして、ベンゼン環Aおよびその縮合
    環は、置換基を有していてもよい。] 【化11】 [式中、R21、R22、R23およびR24は、それぞれ独立
    に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アルケニ
    ル基、アルコキシ基またはアリール基であるか、あるい
    は、R21とR24とが結合して5員または6員の飽和脂肪
    族環を形成し;R 25は、水素原子、アルキル基、置換ア
    ルキル基またはアリール基であり;L21は、偶数個のメ
    チンからなるメチン鎖であり;Akは、ケト型酸性核で
    あり;ベンゼン環Bには、他の芳香族環が縮合していて
    もよく;そして、ベンゼン環Bおよびその縮合環は、置
    換基を有していてもよい。] 【化12】 [式中、R31、R32、R33およびR34は、それぞれ独立
    に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アルケニ
    ル基、アルコキシ基またはアリール基であるか、あるい
    は、R31とR32とが結合して5員または6員の飽和脂肪
    族環を形成し;R 33は、水素原子、アルキル基、置換ア
    ルキル基またはアリール基であり;L31は、奇数個のメ
    チンからなるメチン鎖であり;Y31は、=O、=Sまた
    は=CR3435であって、R34およびR35は、それぞれ
    独立に、シアノ、カルボキシル、アシル基、アルコキシ
    カルボニル基、アルキルスルホニル基またはアリールス
    ルホニル基であり;ベンゼン環Cには、他の芳香族環が
    縮合していてもよく;そして、ベンゼン環Cおよびその
    縮合環は、置換基を有していてもよい。]
  8. 【請求項8】 電荷移動層が溶融状態の塩を電解質とし
    て含む請求項7に記載の光電変換素子。
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