JP2000299139A - 光電変換素子および光電気化学電池 - Google Patents

光電変換素子および光電気化学電池

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JP2000299139A
JP2000299139A JP11106229A JP10622999A JP2000299139A JP 2000299139 A JP2000299139 A JP 2000299139A JP 11106229 A JP11106229 A JP 11106229A JP 10622999 A JP10622999 A JP 10622999A JP 2000299139 A JP2000299139 A JP 2000299139A
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JP11106229A
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English (en)
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Jiro Tsukahara
次郎 塚原
Tadahiko Kubota
忠彦 窪田
Masaki Okazaki
正樹 岡崎
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Fuji Photo Film Co Ltd
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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    • Y02E10/542Dye sensitized solar cells

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐久性に優れた色素増感光電変換素子を提供
し、さらにはこれを用いた光電気化学電池を提供する。 【解決手段】 色素によって増感された半導体微粒子を
含有する感光層を有する光電変換素子および光電気化学
電池であって、該色素が2つのカルボキシル基を有する
3価の基を1ないし4つ有する化合物である光電変換素
子および光電気化学電池。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光電変換素子および
これを用いた電気化学電池に関し、詳しくは色素で増感
された半導体微粒子を用いた光電変換素子および電気化
学電池に関する。
【0002】
【従来の技術】光電変換素子は各種の光センサー、複写
機、光発電装置に用いられている。光電変換素子には金
属を用いたもの、半導体を用いたもの、有機顔料や色素
を用いたもの、あるいはこれらを組み合わせたものなど
の様々な方式が実用化されている。
【0003】米国特許4927721号、同46845
37号、同5084365号、同5350644号、同
5463057号、同5525440号の各明細書およ
び特開平7−249790号公報には、色素によって増
感された半導体微粒子を用いた光電変換素子(以後、色
素増感光電変換素子と略す)、ならびにこれを作製する
ための材料および製造技術が開示されている。この方式
の第一の利点は二酸化チタン等の安価な酸化物半導体を
高純度に精製することなく用いることができるため、比
較的安価な光電変換素子を提供できる点にある。第二の
利点は用いられる色素の吸収がブロードなため、可視光
線のほぼ全ての波長領域の光を電気に変換できることで
ある。これらの特徴は太陽エネルギーを電気に変換する
ことを目的とした光電変換素子(いわゆる太陽電池)に
応用する際に有利であることから、この方面への応用が
検討されている。
【0004】しかしながら、この方式の色素増感光電変
換素子は電解液と組み合わせて用いた場合、経時で色素
が脱着し、変換効率が低下するという問題点を有してい
た。このような理由から、経時での色素脱着の問題がな
く、高い効率で光電変換することのできる光電変換素子
の開発が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は経時で
の色素脱着の問題がない、耐久性に優れた光電変換素子
およびこれを用いた光電気化学電池を提供することであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】研究の結果、2つのカル
ボキシル基が同時に半導体に吸着できるような部分構造
を持った色素を用いることによって、上記課題を達成す
ることができた。即ち、本発明の課題は、下記の本発明
を特定する事項およびその好ましい態様により達成され
た。 (1) 少なくとも導電性支持体および感光層を有する
光電変換素子であって、該感光層が、下記式(I)で表
される化合物によって増感された半導体微粒子を含有す
ることを特徴とする光電変換素子。
【0007】
【化2】
【0008】[式(I)中、Lは3価の連結基を表し、
DYEは色素残基を表し、nは1ないし4の整数を表
す。] (2) 前記DYEがポリメチン色素残基である上記
(1)の光電変換素子。 (3) 前記DYEがスクアリリウム色素残基である上
記(1)または(2)の光電変換素子。 (4) 前記nが1または2である上記(1)〜(3)
の光電変換素子。 (5) 式(I)において、2つのカルボキシル基が3
ないし6個の連結する原子によって隔てられており、か
つ、これらの原子が環を形成していないことを特徴とす
る上記(1)〜(4)のいずれかの光電変換素子。 (6) 式(I)において、2つのカルボキシル基が3
ないし5個の連結する原子によって隔てられており、か
つ、これらの原子が環を形成していないことを特徴とす
る上記(1)〜(4)のいずれかの光電変換素子。 (7) 上記(1)〜(6)のいずれかの光電変換素子
を有する光電気化学電池。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の光電変換素子は、導電性支持体上に感光層を有
するものであり、感光層には色素によって増感された半
導体微粒子が含有されている。本発明によって、経時で
の色素脱着の問題がなく、光電変換効率に優れた光電変
換素子および光電気化学電池を得ることができる。
【0010】本発明に用いる色素は式(I)で表される
化合物である。
【0011】
【化3】
【0012】式(I)中、Lは3価の連結基を、DYE
は色素残基を、nは1ないし4の整数を表す。式(I)
においてLは、好ましくは下記式(II)または(III)
で表される総炭素数2ないし20の3価の連結基であ
る。
【0013】
【化4】
【0014】式中(*)はカルボキシル基との連結部位
を、(**)はDYEとの連結部位を示す。R21〜R34
はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。置換基
としてはアルキル基(例えばメチル、エチル、イソブチ
ル、n−ドデシル、シクロヘキシル、ビニル、アリル、
ベンジル等)、アリール基(例えばフェニル、トリル、
ナフチル等)、複素環残基(例えばピリジル基、イミダ
ゾリル基、フリル基、チエニル基、オキサゾリル基、チ
アゾリル基、ベンズイミダゾリル基、キノリル基等)、
ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素)、アルコ
キシ基(例えばメトキシ、エトキシ、ベンジルオキシ
等)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ等)、アル
キルチオ基(例えばメチルチオ、エチルチオ等)、アリ
ールチオ基(例えばフェニルチオ等)、ヒドロキシ基お
よび酸素陰イオン、ニトロ基、シアノ基、アミド基(例
えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、スルホン
アミド基(例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンス
ルホニルアミノ等)、ウレイド基(例えば、3ーフェニ
ルウレイド等)、ウレタン基(例えばイソブトキシカル
ボニルアミノ、カルバモイルオキシ等)、エステル基
(例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシ、メトキシカル
ボニル、フェノキシカルボニル等)、カルバモイル基
(例えばN−メチルカルバモイル、N,N−ジフェニル
カルバモイル等)、スルファモイル基(例えばN−フェ
ニルスルファモイル等)、アシル基(例えばアセチル、
ベンゾイル等)、アミノ基(アミノ、メチルアミノ、ア
ニリノ、ジフェニルアミノ等)、スルホニル基(例えば
メチルスルホニル等)等が挙げられる。これらの置換基
の炭素原子上にはさらに上記の置換基があっても良い。
【0015】R22とR23、R31とR32、R33とR34は、
それぞれ互いに結合して3ないし8員環を形成しても良
い。
【0016】L21は単結合または2価の連結基{例えば
酸素(エーテル)、硫黄(チオエーテル)、置換もしく
は無置換のイミノ基、置換もしくは無置換のアルキレン
基、またはこれらが2つ以上直列に連結した基}を表
す。置換基は前述のR21〜R34の置換基と同義である。
31はDYEとの連結部位を有する3価の連結基であ
る。L31の例としては置換もしくは無置換のイミノ基、
置換もしくは無置換のアルキレン基から任意の水素原子
を除いて得られる基などが挙げられる。また、酸素(エ
ーテル)、硫黄(チオエーテル)、置換もしくは無置換
のイミノ基、および置換もしくは無置換のアルキレン基
からなる群より選ばれた2つ以上の基が直列に連結した
2価の連結基より任意の水素原子を除いて得られる3価
の基も含まれる。
【0017】以下にLの好ましい具体例を示すが、本発
明はこれらに限定されない。
【0018】
【化5】
【0019】式(I)においてDYEは色素残基であ
る。本発明において、色素残基とは、色素からnの値、
すなわち1個ないし4個の任意の水素原子を除いて得ら
れる基を意味する。nは好ましくは1または2である。
色素残基のもととなる色素に特に制限はないが、色素増
感光電変換素子の技術分野では金属錯体色素もしくはポ
リメチン色素が変換効率の点で優れた性質を示す事が知
られており、このような色素が好ましい。金属錯体の例
としては米国特許4927721 号、同4684537号、同5084365
号、同5350644号、同5463057号、同5525440号および特
開平7-249790号明細書に記載の錯体色素などが挙げられ
る。ポリメチン色素の具体例はM. Okawara, T. Kitao,
T. Hirasima, M. Matuoka著Organic Colorants(Elsevi
er)等に詳しく記載されている。これらのうち、ポリメ
チン色素が特に好ましく、ポリメチン色素のなかでもス
クアリリウム色素が最も好ましい。スクアリリウム色素
は下記式(IV)で表される。
【0020】
【化6】
【0021】式中、Q41およびQ42は、それぞれ独立に
置換もしくは無置換のヘテロ環(例えばピロリン、イン
ドリン、チアゾリン、ベンゾチアゾリン、ベンゾオキサ
ゾリン、ジヒドロキノリン、ジヒドロピリジン、ピロー
ル、インドレニン、チアゾール、ベンゾチアゾール、ベ
ンゾオキサゾール、ベンゾイミダゾール、ピリジン、キ
ノリンなど)を表す。R41およびR42は、それぞれ独立
に水素原子または置換基を表し、Yは酸素、イミノ基、
置換もしくは無置換のアルキルイミノ基(例えばメチル
イミノ、ブチルイミノ、ベンジルイミノなど)、または
置換メチレン基を表す。ここでの置換基の定義は前述の
置換基と同様である。なお、式(IV)の構造式は極限構
造の一つを示したものであり、これと共役な構造も式
(IV)に含まれる。
【0022】式(I)で表される化合物は、2つのカル
ボキシル基が環を構成しない3ないし6個の連結原子に
よって隔てられていることが好ましく、3ないし5個の
連結原子により隔てられていることがより好ましく、3
または4個の連結原子により隔てられていることが特に
好ましい。
【0023】式(I)で表される化合物は分子全体の電
荷に応じて対イオンを有してもよい。また分子内塩を形
成していてもよい。対イオンとしては特に制限はなく有
機、無機のいずれでもよい。代表的な例としてはハロゲ
ンイオン(フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、沃
素イオン)、水酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフル
オロホウ酸イオン、ヘキサフルオロりん酸イオン、酢酸
イオン、トリフルオロ酢酸イオン、メタンスルホン酸イ
オン、パラトルエンスルホン酸イオン、トリフルオロメ
タンスルホン酸イオン等のアニオン、アルカリ金属(リ
チウム、ナトリウム、カリウム等)、アルカり土類金属
(マグネシウム、カルシウム等)、アンモニウム、アル
キルアンモニウム(例えばジエチルアンモニウム、テト
ラブチルアンモニウム等)、ピリジニウム、アルキルピ
リジニウム(例えばメチルピリジニウム)、グアニジニ
ウム、テトラアルキルホスホニウム等のカチオンが挙げ
られる。
【0024】以下に式(I)で表される化合物の好まし
い具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0025】
【化7】
【0026】
【化8】
【0027】
【化9】
【0028】
【化10】
【0029】
【化11】
【0030】
【化12】
【0031】
【化13】
【0032】次に、式(I)であらわされる化合物の合
成法を、具体例を挙げて説明するが本発明はこれらに限
定されない。 [合成例1」 例示化合物(D−5)の合成 下記の合成ルートにて本発明の例示化合物(D−5)を
合成した。
【0033】
【化14】
【0034】常法によって合成されたスクアリリウム色
素(D−5a)1.0g、アセトニトリル20ml、ト
リエチルアミン0.5mlを混合し、室温にて撹拌しな
がらメタンスルホニルクロリド0.2gを添加した。1
時間後、イミノジ酢酸ジエチル0.3gとトリエチルア
ミン0.5mlを加えてさらに1時間撹拌した。反応液
を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を濃縮し、
シリカゲルカラムクロマトグラフィー(流出液はヘキサ
ンと酢酸エチル1:1混合物)にて精製し化合物(D−
5b)0.5gを得た。化合物(D−5b)0.5g、
メタノール10ml、水酸化カリウム2.0gを混合
し、室温にて1時間撹拌した。反応液を水に注ぎ、酢酸
エチルで抽出した。有機層を濃縮し、シリカゲルカラム
クロマトグラフィー(流出液はクロロホルムとメタノー
ル3:1混合物)にて精製した。得られた粗結晶をジク
ロロメタン、メタノール混合溶媒で再結晶し、目的化合
物(D−5)0.2gを得た。
【0035】以下に本発明の光電変換素子および光電気
化学電池の構成と材料について詳述する。
【0036】本発明において色素増感した光電変換素子
は導電性支持体、導電性支持体上に設置される色素等に
より増感した半導体膜(感光層)、電荷移動層および対
極からなる。ここでは、この光電変換素子を外部回路で
仕事をさせる電池用途に使用できるようにしたものを光
電気化学電池と呼ぶ。感光層は目的に応じて設計され、
単層構成でも多層構成でもよい。感光層に入射した光は
色素等を励起する。励起された色素等はエネルギーの高
い電子を有しており、この電子が色素等から半導体微粒
子の伝導帯に渡され、さらに拡散によって導電性支持体
に到達する。この時色素等の分子は酸化体となってい
る。光電気化学電池においては導電性支持体上の電子が
外部回路で仕事をしながら対極および電荷移動層を経て
色素等の酸化体に戻り、色素等が再生する。半導体膜は
この電池の負極として働く。なお、本発明ではそれぞれ
の層の境界において(例えば、導電性支持体の導電層と
感光層の境界、感光層と電荷移動層の境界、電荷移動層
と対極の境界など)、各層の構成成分同士が相互に拡散
して混合していてもよい。
【0037】本発明において、半導体はいわゆる感光体
であり、光を吸収して電荷分離を行い電子と正孔を生ず
る役割を担う。色素増感された半導体では、光吸収およ
びこれによる電子および正孔の発生は主として色素にお
いて起こり、半導体はこの電子を受け取り、伝達する役
割を担う。
【0038】半導体としてはシリコン、ゲルマニウムの
ような単体半導体の他に、金属のカルコゲニド(例えば
酸化物、硫化物、セレン化物等)に代表されるいわゆる
化合物半導体またはペロブスカイト構造を有する化合物
等を使用することができる。金属のカルコゲニドとして
好ましくはチタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジ
ルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウ
ム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、
ニオブ、もしくはタンタルの酸化物、カドミウム、亜
鉛、鉛、銀、アンチモン、ビスマスの硫化物、カドミウ
ム、鉛のセレン化物、カドミウムのテルル化物等が挙げ
られる。他の化合物半導体としては亜鉛、ガリウム、イ
ンジウム、カドミウム等のリン化物、ガリウムヒ素、銅
−インジウム−セレン化物、銅−インジウム−硫化物等
が挙げられる。
【0039】また、ペロブスカイト構造を有する化合物
として好ましくはチタン酸ストロンチウム、チタン酸カ
ルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニ
オブ酸カリウムが挙げられる。
【0040】本発明に用いられる半導体としてより好ま
しくは、具体的にはSi、TiO2、SnO2、Fe2O3、WO3、Zn
O、Nb2O5、CdS、ZnS、PbS、Bi2S3、CdSe、CdTe、GaP、I
nP、GaAs、CuInS2、CuInSe2が挙げられる。さらに好ま
しくはTiO2、ZnO、SnO2、Fe2O3、WO3、Nb2O5、CdS、Pb
S、CdSe、InP、GaAs、CuInS2、CuInSe2であり、特に好
ましくは、TiO2またはNb2O5であり、最も好ましくはTiO
2である。
【0041】本発明に用いられる半導体は、単結晶で
も、多結晶でもよい。変換効率としては単結晶が好まし
いが、製造コスト、原材料確保、エネルギーペイバック
タイム等の点では多結晶が好ましく、特にナノメートル
からマイクロメートルサイズの微粒子半導体が好まし
い。
【0042】これらの半導体微粒子の粒径は、投影面積
を円に換算したときの直径を用いた平均粒径で一次粒子
として5〜200nmであることが好ましく、特に8〜1
00nmであることが好ましい。また、分散物中の半導体
微粒子(二次粒子)の平均粒径としては0.01〜10
0μmであることが好ましい。
【0043】また、2種類以上の粒子サイズ分布の異な
る微粒子を混合して用いてもよく、この場合、小さい粒
子の平均サイズは5nm以下であることが好ましい。ま
た、入射光を散乱させて光捕獲率を向上させる目的で、
粒子サイズの大きな、例えば300nm程度の半導体粒子
を混合してもよい。
【0044】半導体微粒子の作製法は、作花済夫の「ゾ
ルーゲル法の科学」アグネ承風社(1988年)、技術
情報協会の「ゾルーゲル法による薄膜コーティング技
術」(1995)等に記載のゾルーゲル法、杉本忠夫の
「新合成法ゲルーゾル法による単分散粒子の合成とサイ
ズ形態制御」 まてりあ、第35巻、第9号 1012
頁から1018頁(1996)記載のゲルーゾル法が好
ましい。
【0045】またDegussa社が開発した塩化物を
酸水素炎中で高温加水分解により酸化物を作製する方法
も好ましい。
【0046】また酸化チタンの場合は上記のゾルーゲル
法、ゲルーゾル法、塩化物を酸水素炎中で高温加水分解
法がいずれも好ましいが、さらに清野学の「酸化チタン
物性と応用技術」技報堂出版(1997)に記載の硫
酸法、塩素法を用いることもできる。
【0047】酸化チタンの場合は上記のゾルーゲル法の
うち特にバーブ等の「ジャーナル・オブ・アメリカン・
セラミック・ソサエティー 第80巻、第12号、31
57ページから3171ページ(1997)」記載のも
のと、バーンサイド等の「ケミカル・マテリアルズ 第
10巻 第9号、2419ページから2425ページ」
記載の方法が好ましい。
【0048】導電性支持体は、金属のように支持体その
ものに導電性があるものか、または表面に導電剤を含む
導電層(導電剤層)を有するガラスもしくはプラスチッ
クの支持体を使用することができる。後者の場合好まし
い導電剤としては金属(例えば白金、金、銀、銅、アル
ミニウム、ロジウム、インジウム等)、炭素、もしくは
導電性の金属酸化物(インジウム−スズ複合酸化物、酸
化スズにフッ素をドープしたもの等)が挙げられる。上
記導電剤層の厚さは、0.02〜10μm程度であるこ
とが好ましい。
【0049】導電性支持体は表面抵抗が低い程よい。好
ましい表面抵抗の範囲としては100Ω/□以下であ
り、さらに好ましくは40Ω/□以下である。この下限
には特に制限はないが、通常0.1Ω/□程度である。
【0050】導電性支持体は実質的に透明であることが
好ましい。実質的に透明であるとは光の透過率が10%
以上であることを意味し、50%以上であることが好ま
しく、70%以上が特に好ましい。透明導電性支持体と
してはガラスもしくはプラスチックに導電性の金属酸化
物を塗設したものが好ましい。この中でもフッ素をドー
ピングした二酸化スズからなる導電層を低コストのソー
ダ石灰フロートガラスでできた透明基板上に堆積した導
電性ガラスが特に好ましい。また、低コストでフレキシ
ブルな光電変換素子または太陽電池には、透明ポリマー
フィルムに上記導電層を設けたものを用いるのがよい。
透明ポリマーフィルムには、テトラアセチルセルロース
(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET),
ポリエチレンナフタレート(PEN)、シンジオクタチ
ックポリステレン(SPS)、ポリフェニレンスルフィ
ド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレ
ート(PAr)、ポリスルフォン(PSF)、ポリエス
テルスルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PE
I)、環状ポリオレフィン、ブロム化フェノキシ等があ
る。透明導電性支持体を用いる場合、光はその支持体側
から入射させることが好ましい。この場合、導電性金属
酸化物の塗布量はガラスもしくはプラスチックの支持体
1m2当たり0.01〜100gが好ましい。
【0051】透明導電性基板の抵抗を下げる目的で金属
リードを用いることが好ましい。金属リードの材質はア
ルミニウム、銅、銀、金、白金、ニッケル等の金属が好
ましく、特にアルミニウム、銀が好ましい。金属リード
は透明基板に蒸着、スッパタリング等で設置し、その上
にフッ素をドープした酸化スズ、またはITO膜からな
る透明導電層を設けることが好ましい。また上記の透明
導電層を透明基板に設けたあと、透明導電層上に金属リ
ードを設置することも好ましい。金属リード設置による
入射光量の低下は1〜10%、より好ましくは1〜5%
である。
【0052】半導体微粒子を導電性支持体上に塗設する
方法としては、半導体微粒子の分散液またはコロイド溶
液を導電性支持体上に塗布する方法、前述のゾル−ゲル
法などが挙げられる。光電変換素子の量産化、液物性や
支持体の融通性を考えた場合、湿式の膜付与方式が比較
的有利である。湿式の膜付与方式としては、塗布法、印
刷法が代表的である。
【0053】半導体微粒子の分散液を作成する方法とし
ては前述のゾル-ゲル法の他、乳鉢ですり潰す方法、ミ
ルを使って粉砕しながら分散する方法、あるいは半導体
を合成する際に溶媒中で微粒子として析出させそのまま
使用する方法等が挙げられる。分散媒としては水または
各種の有機溶媒(例えばメタノール、エタノール、イソ
プロピルアルコール、ジクロロメタン、アセトン、アセ
トニトリル、酢酸エチル等)が挙げられる。分散の際、
必要に応じてポリマー、界面活性剤、酸、もしくはキレ
ート剤などを分散助剤として用いてもよい。
【0054】塗布方法としては、アプリケーション系と
してローラ法、ディップ法、メータリング系としてエア
ーナイフ法、ブレード法等、またアプリケーションとメ
ータリングを同一部分でできるものとして、特公昭58
−4589号公報に開示されているワイヤーバー法、米
国特許2681294号、同2761419号、同27
61791号等に記載のスライドホッパ法、エクストル
ージョン法、カーテン法等が好ましい。また汎用機とし
てスピン法やスプレー法も好ましく用いられる。
【0055】湿式印刷方法としては、従来から凸版、オ
フセット、グラビアの3大印刷法をはじめ、凹版、ゴム
版、スクリーン印刷等が好ましい。
【0056】前記方法の中から、液粘度やウェット厚み
により好ましい膜付与方式を選択する。
【0057】液粘度は半導体微粒子の種類や分散性、使
用溶媒種、界面活性剤やバインダー等の添加剤により大
きく左右される。高粘度液(例えば0.01〜500Po
ise)ではエクストルージョン法やキャスト法が好まし
く、低粘度液(例えば0.1Poise以下)ではスライド
ホッパー法もしくはワイヤーバー法もしくはスピン法が
好ましく、均一な膜にすることが可能である。
【0058】なお、エクストルージョン法による低粘度
液の塗布の場合でも塗布量がある程度の量あれば塗布は
可能である。
【0059】また半導体微粒子の高粘度ペーストの塗設
にはしばしばスクリーン印刷が用いられており、この手
法を使うこともできる。
【0060】このように塗布液の液粘度、塗布量、支持
体、塗布速度等のパラメータに対応して、適宜ウェット
膜の付与方式を選択すればよい。
【0061】さらに、半導体微粒子含有層は単層と限定
する必要はない。微粒子の粒径の違った分散液を多層塗
布することも可能であり、また半導体の種類が異なる、
あるいはバインダー、添加剤の組成が異なる塗布層を多
層塗布することもでき、また一度の塗布で膜厚が不足の
場合にも多層塗布は有効である。多層塗布には、エクス
トルージョン法またはスライドホッパー法が適してい
る。また多層塗布をする場合は同時に多層を塗布しても
良く、数回から十数回順次重ね塗りしてもよい。さらに
順次重ね塗りであればスクリーン印刷法も好ましく使用
できる。
【0062】一般に、半導体微粒子含有層の厚みが増大
するほど単位投影面積当たりの担持色素量が増えるため
光の捕獲率が高くなるが、生成した電子の拡散距離が増
すため電荷再結合によるロスも大きくなる。したがっ
て、半導体微粒子含有層には好ましい厚さが存在する
が、典型的には0.1〜100μmである。光電気化学
電池として用いる場合は1〜30μmであることが好ま
しく、2〜25μmであることがより好ましい。半導体
微粒子の支持体1m2当たりの塗布量は0.5〜400
g、さらには5〜100gが好ましい。
【0063】半導体微粒子は導電性支持体に塗布した後
に粒子同士を電子的にコンタクトさせるため、および塗
膜強度の向上や支持体との密着性を向上させるために加
熱処理することが好ましい。好ましい加熱処理温度の範
囲は40℃以上700℃未満であり、より好ましくは1
00℃以上600℃以下である。また加熱処理時間は1
0分〜10時間程度である。ポリマーフィルムなど融点
や軟化点の低い支持体を用いる場合は、高温処理は支持
体の劣化を招くため、好ましくない。また、コストの観
点からもできる限り低温であることが好ましい。低温化
は、先に述べた5nm以下の小さい半導体微粒子の併用や
鉱酸の存在下での加熱処理等により可能である。
【0064】また、加熱処理後、半導体粒子の表面積を
増大させたり、半導体粒子近傍の純度を高め、色素から
半導体粒子への電子注入効率を高める目的で、例えば四
塩化チタン水溶液を用いた化学メッキや三塩化チタン水
溶液を用いた電気化学的メッキ処理を行ってもよい。
【0065】半導体微粒子は多くの色素を吸着すること
ができるように表面積の大きいものが好ましい。このた
め半導体微粒子層を支持体上に塗設した状態での表面積
は、投影面積に対して10倍以上であることが好まし
く、さらに100倍以上であることが好ましい。この上
限には特に制限はないが、通常1000倍程度である。
【0066】本発明において、半導体微粒子は色素によ
り増感されているが、半導体微粒子に色素を吸着させる
には色素溶液の中によく乾燥した半導体微粒子を長時間
浸漬する方法が一般的である。色素溶液は必要に応じて
50℃ないし100℃に加熱してもよい。色素の吸着は
半導体微粒子の塗布前に行っても塗布後に行ってもよ
い。また、半導体微粒子と色素を同時に塗布して吸着さ
せても良い。未吸着の色素は洗浄によって除去する。塗
布膜の焼成を行う場合は色素の吸着は焼成後に行うこと
が好ましい。焼成後、塗布膜表面に水が吸着する前にす
ばやく色素を吸着させるのが特に好ましい。吸着する色
素は式(I)であらわされる本発明の色素1種類でもよ
いし、数種混合して用いてもよい。混合する場合、本発
明の色素同士を混合してもよいし、米国特許49277
21号、同4684537号、同5084365号、同
5350644号、同5463057号、同55254
40号の各明細書、および特開平7−249790号公
報に記載の錯体色素と本発明の色素を混合してもよい。
用途が光電気化学電池である場合、光電変換の波長域を
できるだけ広くするように混合する色素を選ぶことがで
きる。
【0067】色素の使用量は、全体で、支持体1m2当た
り0.01〜100mモルが好ましく、より好ましくは
0.1〜50mモル、特に好ましくは0.5〜10mモル
である。この場合、本発明の色素の使用量は20モル%
以上とすることが好ましい。
【0068】また、色素の半導体微粒子に対する吸着量
は半導体微粒子1gに対して0.001〜1mモルが好ま
しく、より好ましくは0.1〜0.5mモルである。
【0069】このような色素量とすることによって、半
導体における増感効果が十分に得られる。これに対し、
色素量が少ないと増感効果が不十分となり、色素量が多
すぎると、半導体に付着していない色素が浮遊し増感効
果を低減させる原因となる。また、会合など色素同士の
相互作用を低減する目的で無色の化合物を共吸着させて
もよい。共吸着させる疎水性化合物としてはカルボキシ
ル基を有するステロイド化合物(例えばコール酸)等が
挙げられる。
【0070】色素を吸着した後にアミン類を用いて半導
体微粒子の表面を処理してもよい。好ましいアミン類と
してはピリジン、4−tert−ブチルピリジン、ポリ
ビニルピリジン等が挙げられる。これらは液体の場合は
そのまま用いてもよいし有機溶媒に溶解して用いてもよ
い。
【0071】以下、電荷移動層と対極について詳しく説
明する。電荷移動層は色素の酸化体に電子を補充する機
能を有する層である。本発明で用いることのできる代表
的な電荷移動層の例としては酸化還元対を有機溶媒に溶
解した液体(電解液)、酸化還元対を有機溶媒に溶解し
た液体をポリマーマトリクスに含浸したいわゆるゲル電
解質、酸化還元対を含有する溶融塩などが挙げられる。
さらには固体電解質や正孔(ホール)輸送材料を用いる
こともできる。
【0072】本発明で使用する電解液は電解質、溶媒、
および添加物から構成されることが好ましい。本発明の
電解質はI2とヨウ化物の組み合わせ(ヨウ化物としては
LiI、NaI、KI、CsI、CaI2などの金属ヨ
ウ化物、あるいはテトラアルキルアンモニウムヨーダイ
ド、ピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイ
ドなど4級アンモニウム化合物のヨウ素塩など)、Br
2と臭化物の組み合わせ(臭化物としてはLiBr、N
aBr、KBr、CsBr、CaBr2 などの金属臭化
物、あるいはテトラアルキルアンモニウムブロマイド、
ピリジニウムブロマイドなど4級アンモニウム化合物の
臭素塩など)のほか、フェロシアン酸塩−フェリシアン
酸塩やフェロセン−フェリシニウムイオンなどの金属錯
体、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール−アルキル
ジスルフィドなどのイオウ化合物、ビオロゲン色素、ヒ
ドロキノン−キノンなどを用いることができる。この中
でもI2とLiIやピリジニウムヨーダイド、イミダゾリ
ウムヨーダイドなど4級アンモニウム化合物のヨウ素塩
を組み合わせた電解質が本発明では好ましい。上述した
電解質は混合して用いてもよい。また、電解質はEP-718
288号、WO95/18456号、J. Electrochem. Soc., Vol.14
3,No.10,3099(1996)、Inorg. Chem. 1996,35,1168-1178
に記載された室温で溶融状態の塩(溶融塩)を使用する
こともできる。溶融塩を電解質として使用する場合、溶
媒は使用しなくても構わない。
【0073】好ましい電解質濃度は0.1M以上15M以
下であり、さらに好ましくは0.2 M以上10M以下であ
る。また、電解質にヨウ素を添加する場合の好ましいヨ
ウ素の添加濃度は0.01M以上0.5M以下である。
【0074】本発明で電解質に使用する溶媒は、粘度が
低くイオン易動度を向上したり、もしくは誘電率が高く
有効キャリアー濃度を向上したりして、優れたイオン伝
導性を発現できる化合物であることが望ましい。このよ
うな溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレン
カーボネートなどのカーボネート化合物、3−メチル−
2−オキサゾリジノンなどの複素環化合物、ジオキサ
ン、ジエチルエーテルなどのエーテル化合物、エチレン
グリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコール
ジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキ
ルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエー
テルなどの鎖状エーテル類、メタノール、エタノール、
エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレン
グリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコ
ールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコール
モノアルキルエーテルなどのアルコール類、エチレング
リコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコ
ール、ポリプロピレングリコール、グリセリンなどの多
価アルコール類、アセトニトリル、グルタロジニトリ
ル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベン
ゾニトリルなどのニトリル化合物、ジメチルスルフォキ
シド(DMSO)、スルフォランなど非プロトン極性物
質、水などを用いることができる。
【0075】また、本発明では、J. Am. Ceram. Soc .,
80 (12)3157-3171(1997)に記載されているようなter-ブ
チルピリジンや、2−ピコリン、2,6−ルチジン等の
塩基性化合物を添加することもできる。塩基性化合物を
添加する場合の好ましい濃度範囲は0.05M以上2M以下で
ある。
【0076】本発明では、電解質はポリマー添加、オイ
ルゲル化剤添加、多官能モノマー類を含む重合、ポリマ
ーの架橋反応等の手法によりゲル化(固体化)させて使
用することもできる。ポリマー添加によりゲル化させる
場合は、¨Polymer Electrolyte Revi ews-1および2¨
(J.R.MacCallumとC.A. Vincentの共編、ELSEVIER APPLI
ED SCIENCE)に記載された化合物を使用することができ
るが、特にポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデ
ンを好ましく使用することができる。オイルゲル化剤添
加によりゲル化させる場合はJ. Chem Soc. Japan, Ind.
Chem.Soc., 46779(1943), J. Am. Chem. Soc., 111,55
42(1989), J. Chem. Soc., Chem. Com mun., 1993, 39
0, Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 35,1949(1996), Che
m. Lett., 1996, 885, J. Chm. Soc., Chem. Commun.,
1997,545に記載されている化合物を使用することができ
るが、好ましい化合物は分子構造中にアミド構造を有す
る化合物である。
【0077】ゲル電解質を多官能モノマー類の重合によ
って形成する場合、多官能モノマー類、重合開始剤、電
解質、溶媒から溶液を調製し、キャスト法,塗布法,浸
漬法、含浸法などの方法により色素を担持した電極上に
ゾル状の電解質層を形成し、その後ラジカル重合するこ
とによってゲル化させる方法が好ましい。多官能性モノ
マーはエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物であ
ることが好ましく、例えばジビニルベンゼン、エチレン
グリコールジメタクリレート、エチレングリコールジア
クリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジ
エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコ
ールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアク
リレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、
ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロー
ルプロパントリアクリレートが好ましい例として挙げら
れる。ゲル電解質を構成するモノマー類はこの他に単官
能モノマーを含んでいてもよく、アクリル酸またはα−
アルキルアクリル酸(例えばメタクリル酸など)類から
誘導されるエステル類もしくはアミド類(例えばN−is
o−プロピルアクリルアミド、アクリルアミド、2−ア
クリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アクリ
ルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、
メチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、
n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、
2−メトキシエチルアクリレート、シクロヘキシルアク
リレートなど)、ビニルエステル類(例えば酢酸ビニ
ル)、マレイン酸またはフマル酸から誘導されるエステ
ル類(例えばマレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチ
ル、フマル酸ジエチルなど)、マレイン酸、フマル酸、
p−スチレンスルホン酸のナトリウム塩、アクリロニト
リル、メタクリロニトリル、ジエン類(例えばブタジエ
ン、シクロペンタジエン、イソプレン)、芳香族ビニル
化合物(例えばスチレン、p−クロルスチレン、スチレ
ンスルホン酸ナトリウム)、含窒素複素環を有するビニ
ル化合物、4級アンモニウム塩を有するビニル化合物、
N−ビニルホルムアミド、N−ビニル−N−メチルホル
ムアミド、ビニルスルホン酸、ビニルスルホン酸ナトリ
ウム、ビニリデンフルオライド、ビニリデンクロライ
ド、ビニルアルキルエーテル類(例えばメチルビニルエ
ーテル)、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブ
テン、N−フェニルマレイミド等を好ましく使用するこ
とができる。モノマー全量に占める多官能性モノマーの
好ましい重量組成範囲は0.5重量%以上70重量%以下であ
ることが好ましく、さらに好ましくは1.0重量%以上50
重量%以下である。
【0078】上述のモノマーは、大津隆行・木下雅悦共
著:高分子合成の実験法(化学同人)や大津隆行:講座
重合反応論1ラジカル重合(I)(化学同人)に記載さ
れた一般的な高分子合成法であるラジカル重合によって
重合することができる。本発明で使用できるゲル電解質
用モノマーは、加熱、光、電子線、また電気化学的にラ
ジカル重合することができるが、特に加熱によってラジ
カル重合させることが好ましい。架橋高分子が加熱によ
り形成される場合に好ましく使用される重合開始剤は、
例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,
2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、
ジメチル2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオネー
ト)(ジメチル2,2′−アゾビスイソブチレート)な
どのアゾ系開始剤、ベンゾイルパーオキシドなどの過酸
化物系開始剤等である。重合開始剤の好ましい添加量は
モノマー総量に対し0.01重量%以上20重量%以下
であり、さらに好ましくは0.1重量%以上10重量%
以下である。
【0079】ゲル電解質に占めるモノマー類の重量組成
範囲は0.5重量%以上70重量%以下であることが好まし
く、さらに好ましくは1.0重量%以上50重量%以下であ
る。
【0080】また、ポリマーの架橋反応により電解質を
ゲル化させる場合、架橋可能な反応性基を含有するポリ
マーおよび架橋剤を併用することが望ましい。この場
合、好ましい架橋可能な反応性基は、含窒素複素環(例
えば、ピリジン環、イミダゾール環、チアゾール環、オ
キサゾール環、トリアゾール環、モルホリン環、ピペリ
ジン環、ピペラジン環など)であり、好ましい架橋剤
は、窒素原子に対して求電子反応可能な2官能以上の試
薬(例えば、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アラルキ
ル、スルホン酸エステル、酸無水物、酸クロライド、イ
ソシアネートなど)である。
【0081】本発明では、電解質の替わりに有機または
無機あるいはこの両者を組み合わせた正孔輸送材料を使
用することができる。本発明に適用可能な有機正孔輸送
材料としては、N,N'-ジフエニル-N、N'-ビス(4-メト
キシフェニル)-(1,1'-ビフェニル)-4,4'-ジアミン
(J.Hagen et al.,Synthetic Metal 89(1997)215-22
0)、2,2',7,7'-テトラキス(N,N-ジ-p-メトキシフェニ
ルアミン)9,9'-スピロビフルオレン(Nature,Vol.395,
8 Oct. 1998,p583-585およびWO97/10617)、1,1-ビス
{4-(ジ-p-トリルアミノ)フェニル}シクロヘキサン
の3級芳香族アミンユニットを連結した芳香族ジアミン
化合物(特開昭59−194393号公報)、4,4,‐ビス
[(N-1-ナフチル)‐N-フェニルアミノ]ビフェニルで
代表される2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合
芳香族環が窒素原子に置換した芳香族アミン(特開平5
−234681号公報)、トリフェニルベンゼンの誘導体でス
ターバースト構造を有する芳香族トリアミン(米国特許
第4,923,774号、特開平4−308688号公報)、N,N'-ジ
フエニル-N、N'-ビス(3-メチルフェニル)-(1,1'-ビ
フェニル)-4,4'-ジアミン等の芳香族ジアミン(米国
特許第4,764,625号)、α,α,α',α'-テトラメチ
ル-α,α'-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)-p-
キシレン(特開平3−269084号公報)、p-フェニレンジ
アミン誘導体、分子全体として立体的に非対称なトリフ
ェニルアミン誘導体(特開平4−129271号公報)、ピレ
ニル基に芳香族ジアミノ基が複数個置換した化合物(特
開平4−175395号公報)、エチレン基で3級芳香族アミン
ユニツトを連結した芳香族ジアミン(特開平4−264189
号公報)、スチリル構造を有する芳香族ジアミン(特開
平4−290851号公報)、ベンジルフェニル化合物(特開
平4−364153号公報)、フルオレン基で3級アミンを連結
したもの(特開平5−25473号公報)、トリアミン化合物
(特開平5−239455号公報)、ピスジピリジルアミノビ
フェニル(特開平5−320634号公報)、N,N,N−トリフ
ェニルアミン誘導体(特開平6−1972号公報)、フェノ
キザジン構造を有する芳香族ジアミン(特願平5−29072
8号)、ジアミノフエニルフエナントリジン誘導体(特
願平6−45669号)等に示される芳香族アミン類、α-オ
クチルチオフェンおよびα,ω-ジヘキシル-α-オクチル
チオフェン(Adv. Mater. 1997,9,N0.7,p557)、ヘキサ
ドデシルドデシチオフェン(Angew. Chem.Int. Ed. Eng
l. 1995, 34, No.3,p303-307)、2,8-ジヘキシルアンス
ラ[2,3-b:6,7-b']ジチオフェン(JACS,Vol120, N0.4,199
8,p664-672)等のオリゴチオフェン化合物、ポリピロー
ル(K. Murakoshi et al.,;Chem. Lett. 1997, p47
1)、¨ Handbook of Organic Conductive Molecules a
nd Polymers Vol.1,2,3,4¨(NALWA著、WILEY出版)に
記載されているポリアセチレンおよびその誘導体、ポリ
(p-フェニレン) およびその誘導体、ポリ( p-フェニレ
ンビニレン) およびその誘導体、ポリチエニレンビニレ
ンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導
体、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリトルイジンお
よびその誘導体等の導電性高分子を好ましく使用するこ
とができる。また、有機正孔(ホール)輸送材料にはNa
ture,Vol.395, 8 Oct. 1998,p583-585に記載されている
ようにドーパントレベルをコントロールするためにトリ
ス(4-ブロモフェニル)アミニウムヘキサクロロアン
チモネートのようなカチオンラジカルを含有する化合物
を添加したり、酸化物半導体表面のポテンシャル制御
(空間電荷層の補償)を行うためにLi[(CF3SO2)2N]のよ
うな塩を添加しても構わない。
【0082】有機正孔輸送材料は真空蒸着法,キャスト
法,塗布法,スピンコート法、浸漬法、電解重合法、光
電解重合法等の手法により電極内部に導入することがで
きる。また、正孔輸送材料を電解液の替わりに使用する
ときは短絡防止のためElectorochim. Acta 40, 643-652
(1995)に記載されているスプレーパイロリシス等の手法
を用いて二酸化チタン薄層を下塗り層として塗設するこ
とが好ましい。
【0083】無機固体化合物を電解質の替わりに使用す
る場合、ヨウ化銅(p-CuI)(J. Phys. D:Appl. Phys. 31
(1998)1492-1496)、チオシアン化銅(Thin Solid Film
s 261(1995)307-310、J. Appl. Phys. 80(8),15 Octobe
r 1996, p4749-4754、Chem.Mater. 1998, 10, 1501-150
9、Semicond. Sci. Technol. 10, 1689-1693)等をキャ
スト法,塗布法,スピンコート法、浸漬法、電解メッキ
法等の手法により電極内部に導入することができる。
【0084】電荷移動層の形成方法に関しては2通りの
方法が考えられる。1つは増感色素を担持させた半導体
微粒子含有層の上に先に対極を貼り合わせておき、その
間隙に液状の電荷移動層を挟み込む方法である。もう1
つは半導体微粒子含有層上に直接電荷移動層を付与する
方法で、対極はその後付与することになる。
【0085】前者の場合の電荷移動層の挟み込み方法と
して、浸漬等による毛管現象を利用する常圧プロセスと
常圧より低い圧力にして気相を液相に置換する真空プロ
セスが利用できる。
【0086】後者の場合、湿式の電荷移動層においては
未乾燥のまま対極を付与し、エッジ部の液漏洩防止措置
も施すことになる。またゲル電解質の場合には湿式で塗
布して重合等の方法により固体化する方法もあり、その
場合には乾燥、固定化した後に対極を付与することもで
きる。電解液のほか湿式有機正孔輸送材料やゲル電解質
を付与する方法としては、半導体微粒子含有層や色素の
付与と同様に、浸漬法、ローラ法、ディップ法、エアー
ナイフ法、エクストルージョン法、スライドホッパー
法、ワーヤーバー法、スピン法、スプレー法、キャスト
法、各種印刷法等が考えられる。固体電解質や固体の正
孔(ホール)輸送材料の場合には真空蒸着法やCVD法
等のドライ成膜処理で電荷移動層を形成し、その後対極
を付与することもできる。
【0087】量産化を考える場合、固体化できない電解
液や湿式の正孔輸送材料の場合には、塗設後速やかにエ
ッジ部分を封止することで対応も可能であるが、固体化
可能な正孔輸送材料の場合は湿式付与により正孔輸送層
を膜形成した後、例えば光重合や熱ラジカル重合等の方
法により固体化することがより好ましい。このように膜
付与方式は液物性や工程条件により適宜選択すればよ
い。
【0088】なお、電荷移動層中の水分としては10,
000ppm以下が好ましく、さらに好ましくは2,0
00ppm以下であり、特に好ましくは100ppm以
下である。
【0089】対極は、光電変換素子を光電気化学電池と
したとき、光電気化学電池の正極として働くものであ
る。対極は通常前述の導電性支持体と同様に導電性層を
有する支持体を用いることもできるが、強度や密封性が
十分に保たれるような構成では支持体は必ずしも必要で
ない。具体的に対極に用いる導電性の材料としては金属
(例えば白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、
インジウム等)、炭素、または導電性の金属酸化物(イ
ンジウム−スズ複合酸化物、酸化スズにフッ素をドープ
したもの等)が挙げられる。対極の厚さは、特に制限は
ないが、3nm以上10μm以下であることが好ましい。
金属材料である場合は、その膜厚は好ましくは5μm以
下であり、さらに好ましくは5nm以上3μm以下の範囲
である。
【0090】感光層に光が到達するためには、前述の導
電性支持体と対極の少なくとも一方は実質的に透明でな
ければならない。本発明の光電気化学電池においては、
導電性支持体が透明であって太陽光を支持体側から入射
させるのが好ましい。この場合対極は光を反射する性質
を有することがさらに好ましい。本発明において対極と
しては金属または導電性の酸化物を蒸着したガラスまた
はプラスチック、あるいは金属薄膜を使用できる。
【0091】対極の塗設については電荷移動層の付与で
記したように、電荷移動層の上に付与する場合と先に半
導体微粒子含有層上に付与する場合の2通りある。いず
れの場合も、対極材の種類や電荷移動層の種類により、
適宜、電荷移動層上または半導体微粒子含有層上に対極
材を塗布、ラミネート、蒸着、貼り合わせなどの方法に
より形成可能である。例えば、対極を貼り合わせる場合
は、上記の導電性材料を塗布、蒸着、CVD等の手法に
より導電層として設けられた基板を貼り合わせることが
できる。また、電荷移動層が固体の場合には、その上に
直接、前述の導電性材料を塗布、メッキ、PVD、CV
D等の手法で対極を形成することができる。
【0092】さらに、作用電極の導電性支持体または対
極に保護層、反射防止膜など、必要な他の機能の層を設
けることも可能である。このような層を多層にて機能分
離させる場合、同時多層塗布や逐次で塗布することが可
能であるが、生産性を優先させると同時多層塗布がより
好ましい。同時多層塗布では、生産性および膜付与均一
性を考えた場合、スライドホッパー法やエクストルージ
ョン法が適している。また、これらの機能層はその材料
により、蒸着や貼り付けなどの手法を用いて設けること
もできる。
【0093】本発明の光電気化学電池では構成物の劣化
や内容物の揮散を防止するために電池の側面をポリマー
や接着剤等で密封するのが好ましい。
【0094】次に本発明の光電変換素子をいわゆる太陽
電池に適用する場合のセル構造およびモジュール構造に
ついて説明する。
【0095】色素増感型太陽電池のセル内部の構造は、
基本的には上述した光電変換素子や光電気化学電池と同
じであるが、図2または図3に示すように目的に合わせ
様々な形態が可能である。大きく二つに分ければ、両面
から光の入射が可能な構造[図2(a)(d)、図3
(g)]と、片面からのみ可能なタイプ[図2(b)
(c)、図3(e)(f)(h)]である。
【0096】図2(a)は、透明導電層12間に、色素
吸着半導体微粒子含有層である色素吸着TiO2層10
と、電荷移動層11とを介在させた構造である。図2
(b)は、透明基板13上に一部金属リード9を設け、
さらに透明導電層12を設け、下塗り層14、色素吸着
TiO2層10、電荷移動層11および金属層8をこの
順で設け、さらに支持基板15を配置した構造である。
図2(c)は、支持基板15上にさらに金属層8を有
し、下塗り層14を介して色素吸着TiO2層10を設
け、さらに電荷移動層11と透明導電層12とを設け、
一部に金属リード9を設けた透明基板13を、金属リー
ド9側を内側にして配置した構造である。図2(d)
は、透明基板13上に一部金属リード9を設け、さらに
透明導電層12を設けたものの間に下塗り層14と色素
吸着TiO2層10と電荷移動層11とを介在させた構
造である。図3(e)は、透明基板13上に透明導電層
12を有し、下塗り層14を介して色素吸着TiO2
10を設け、さらに電荷移動層11および金属層8を設
け、この上に支持基板15を配置した構造である。図3
(f)は、支持基板15上に金属層8を有し、下塗り層
14を介して色素吸着TiO2層10を設け、さらに電
荷移動層11および透明導電層12を設け、この上に透
明基板13を配置した構造である。図3(g)は、透明
導電層12を有する透明基板13間に、透明導電性層1
2を内側にして、下塗り層14、色素吸着TiO2層1
0および電荷移動層11を介在させた構造である。図3
(h)は、支持基板15上に金属層8を設け、下塗り層
14を介して色素吸着TiO2層10を設け、さらに固
体の電荷移動層16を設け、この上に一部金属層8また
は金属リード9を有する構造である。
【0097】本発明の色素増感型太陽電池のモジュール
構造は、従来の太陽電池モジュールと基本的には同様の
構造をとりうる。一般的には、金属・セラミック等の支
持基板の上にセルが構成され、その上を充填樹脂や保護
ガラス等で覆い、支持基板の反対側から光を取り込む構
造とすることができるが、支持基板に強化ガラス等の透
明材料を用い、その上にセルを構成してその透明の支持
基板側から光を取り込むことも可能である。具体的に
は、スーパーストレートタイプ、サブストレートタイ
プ、ポッティングタイプと呼ばれるモジュール構造ある
いはアモルファスシリコン太陽電池などで用いられる基
板一体型などのモジュール構造が可能である。これらの
モジュール構造は使用目的や使用場所(環境)により適
宜選択できる。本発明の素子を基板一体型でモジュール
化した例を図4に示す。
【0098】図4の構造は、透明基板13の一方の面上
に透明導電層12を有し、この上にさらに色素吸着Ti
2層10、固体の電荷移動層16および金属層8を設
けたセルをモジュール化したものであり、透明基板13
の他方の面には反射防止層17が設けられている。この
場合、入射光の利用効率を高めるために、感光部である
色素吸着TiO2層10の面積比率(光の入射面である
透明基板13側から見たときの面積比率)を大きくした
方が好ましい。
【0099】スーパーストレートタイプやサブストレー
トタイプの代表的な構造は、片側または両側が透明で反
射防止処理を施された支持基板の間に、一定間隔にセル
が配置され、隣り合うセル間が金属リードまたはフレキ
シブル配線等によって接続されており、外縁部に集電電
極を配置して、発生した電力を外部に取り出す構造にな
っている。基板とセルの間には、セルの保護や集電効率
アップのため、目的に応じ、エチレンビニルアセテート
(EVA)等様々な種類のプラスチック材料をフイルム
または充填樹脂の形で用いることができる。また、外部
からの衝撃が少ないところなど表面を硬い素材で覆う必
要のない場所に使う場合には、表面保護層を透明プラス
チックフイルムで構成したり、または、上記充填・封止
材料を硬化させることによって保護機能を付与し、片側
の支持基板をなくすことも可能である。支持基板の周囲
は、内部の密封およびモジュールの剛性確保のため、金
属製のフレームでサンドイッチ状に固定し、支持基板と
フレームの間は封止材で密封シールする。
【0100】また、セルそのものや支持基板、充填材お
よび封止部材に可撓性の素材を用いれば、曲面の上に太
陽電池を構成することもできる。このように、使用目的
や使用環境に合わせて様々な形状・機能を持つ太陽電池
を製作することができる。
【0101】スーパーストレートタイプの太陽電池モジ
ュールは、例えば、基板供給装置から送り出されたフロ
ント基板をベルトコンベヤ等で搬送しながら、その上に
セルを封止材・セル間接続用リード線・背面封止材等と
共に順次積層した後、背面基板または背面カバーを乗
せ、外縁部にフレームをセットして作ることができる。
【0102】一方、サブストレートタイプの場合、基板
供給装置から送り出された支持基板をベルトコンベヤ等
で搬送しながら、その上にセルをセル間接続用リード線
・封止材等と共に順次積層した後、フロントカバーを乗
せ、周縁部にフレームをセットして作製することができ
る。
【0103】図4に示した構造のモジュールは、支持基
板上に透明電極・感光層・電荷移動層・裏面電極等が立
体的かつ一定間隔で配列されるように、選択メッキ・選
択エッチング・CVD・PVDといった半導体プロセス
技術、あるいはパターン塗布または広幅で塗布した後に
レーザースクライビングやプラズマCVM(Solar Ener
gy Materials and Solar Cells, 48, p373-381等に記
載)または研削等の機械的手法などの方法でパターニン
グすることができ、これらにより所望のモジュール構造
を得ることができる。
【0104】以下にその他の部材や工程について詳述す
る。封止材料としては、液状のEVA(エチレンビニル
アセテート)やフッ化ビニリデン共重合体とアクリル樹
脂混合物フイルム状のEVA等、耐候性付与・電気絶縁
性付与・集光効率向上・セル保護性(耐衝撃性)向上等の
目的に応じ様々な素材が使用可能である。
【0105】これらを、セル上に固定する方法として
は、封止材の物性に合わせ、フイルム状の素材ではロー
ル加圧後加熱密着や真空加圧後加熱密着、液またはペー
スト状の材料ではロールコート、バーコート、スプレー
コート、スクリーン印刷等の様々な方法がある。
【0106】また、透明フィラーを封止材に混入して強
度を上げたり、光透過率を上げることができる。
【0107】モジュール外縁と周縁を囲むフレームとの
間は、耐候性・防湿性が高い樹脂を使って封止するとよ
い。
【0108】支持基板としてPET・PEN等の可撓性
素材を用いる場合は、ロール状の支持体を繰り出してそ
の上にセルを構成した後、上記の方法で連続して封止層
を積層することができ、生産性の高い工程を造ることが
できる。
【0109】発電効率を上げるため、モジュールの光取
り込み側の基板(一般的には強化ガラス)の表面には反
射防止処理が施される。これには、反射防止膜をラミネ
ートする方法、反射防止層をコーティングする方法があ
る。
【0110】また、セルの表面をグルービングまたはテ
クスチャリング等の方法で処理することによって入射し
た光の利用効率を高めることが可能である。
【0111】発電効率を上げるためには、光を損失なく
モジュール内に取り込むことが最重要だが、光電変換層
を透過してその内側まで到達した光を反射させて光電変
換層側に効率良く戻すことも重要である。このために
は、支持基板面を鏡面研磨した後、AgやAl等を蒸着
またはメッキする方法、セルの最下層にAl−Mgまた
はAl−Tiなどの合金層を反射層として設ける方法、
あるいは、アニール処理によって最下層にテクスチャー
構造を作り反射率を高める方法等がある。
【0112】発電効率を上げるためには、セル間接続抵
抗を小さくすることが、内部電圧降下を抑える意味で重
要である。
【0113】ワイヤーボンディングや導電性のフレキシ
ブルシートで接続するのが一般的だが、導電性粘着テー
プや導電性接着剤を使ってセルの固定機能と電気的な接
続機能を兼ねる方法、導電性ホットメルトを所望の位置
にパターン塗布する方法等が有る。
【0114】ポリマーフィルムなどのフレキシブル支持
体を使った太陽電池では、ロール状の支持体を送り出し
ながら半導体の塗設の説明で示した方法によって、順
次、セルを形成・所望のサイズに切断した後、周縁部を
フレキシブルで防湿性のある素材でシールして、電池本
体を作製できる。また、Solar Energy Materials and S
olar Cells, 48, p383-391記載の「SCAF」とよばれ
るモジュール構造とすることもできる。
【0115】フレキシブル支持体の太陽電池では、更に
これを曲面ガラス等に接着固定して使用することもでき
る。
【0116】
【実施例】以下、本発明を比較例とともに示す実施例に
よって具体的に説明する。比較例で用いた色素は下記に
示す通りである。
【0117】
【化15】
【0118】[実施例1] 1.二酸化チタン粒子含有塗布液の作製 オートクレーブ温度を230℃にした以外はバルベらのジ
ャーナル・オブ・アメリカン・セラミック・ソサイエテ
ィ 80巻3157頁記載の方法と同様の方法で二酸化チタン
濃度11重量%の二酸化チタン分散物を得た。できた二酸
化チタン粒子の平均サイズは約10nmであった。この分散
物に二酸化チタンに対し30重量%のポリエチレングリコ
ール(分子量20000、和光純薬製)を添加し、混合し塗
布液を得た。
【0119】2.色素を吸着した二酸化チタン電極(光
電変換素子)の作成 フッ素をドープした酸化スズをコーティングした透明導
電性ガラス(日本板硝子製、表面抵抗は約10Ω/□)
の導電面側にこの塗布液をドクターブレードで100μmの
厚みで塗布し、25℃で30分間乾燥した後、電気炉
(ヤマト科学製マッフル炉FP−32型)で450℃に
て30分間焼成した。二酸化チタンの塗布量は15g/m2
あり、膜厚は8μmであった。ガラスを取り出し冷却した
後、表1に示す色素の溶液(色素3×10-4モル/リッ
トル、溶媒2−プロパノール)に12時間浸漬した。色
素の染着したガラスをエタノールで洗浄し暗所にて自然
乾燥させた。
【0120】3.光電気化学電池の作成 上述のようにして作成した色増感されたTiO2電極基
板(2cm×2cm)をこれと同じ大きさの白金蒸着ガラス
と重ね合わせた(図1参照)。次に、両ガラスの隙間に
毛細管現象を利用して電解液(ヨウ化テトラブチルアン
モニウム0.65モル/リットル,ヨウ素0.05モル
/リットルのアセトニトリル溶液)をしみこませてTi
2電極中に導入することにより、表1に示す光電気化
学電池C1〜7を得た。
【0121】本実施例により、図1に示したとおり、導
電性ガラス1(ガラス上に導電剤層2が設層されたも
の)、TiO2電極3、色素層4、電解液5、白金層6
およびガラス7が順に積層された光電気化学電池が作成
された。
【0122】4.光電変換特性の評価 500Wのキセノンランプ(ウシオ製)の光を分光フィ
ルター(Oriel社製AM1.5)を通すことにより模
擬太陽光を発生させた。この光の強度は垂直面において
100mW/cm2であった。
【0123】光電気化学電池の導電性ガラスの端部に銀
ペーストを塗布して負極とし、この負極と白金蒸着ガラ
ス(正極)を電流電圧測定装置(ケースレーSMU238
型)に接続した。模擬太陽光を垂直に照射しながら、発
生電流を測定し短絡電流密度を算出した。次にこの光電
気化学電池を50℃にて2週間エージングし、ふたたび
同じ方法で光電流を測定した。表1には光電気化学電池
作成直後の短絡電流密度とエージング後の短絡電流密
度、および短絡電流密度の維持率を記載した。
【0124】
【表1】
【0125】[比較例]吸着色素に色素Aを用いた以外
は実施例1と同様に、比較用光電気化学電池RC−1を
作製し、その評価結果を表1に示した。
【0126】上記結果から、本発明の色素用いた光電気
化学電池は比較例に比べて、短絡電流密度の維持率が大
きいことがわかる。すなわち、本発明の色素を用いた光
電気化学電池はエージングによる劣化が小さく、耐久性
に優れている。
【0127】
【発明の効果】本発明により、耐久性に優れた色素増感
光電変換素子およびこれを用いた光電気化学電池を提供
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で作成した光電気化学電池の構成を示す
断面図である。
【図2】光電気化学電池の基本的な構成例を示す断面図
である。
【図3】光電気化学電池の基本的な構成例を示す断面図
である。
【図4】基板一体型のモジュール構成例を示す断面図で
ある。
【符号の説明】
1 導電性ガラス 2 導電剤層 3 TiO2層 4 色素層 5 電解液 6 白金層 7 ガラス 8 金属層 9 金属リード 10 色素吸着TiO2層 11 電荷移動層 12 透明導電層 13 透明基板 14 下塗り層 15 支持基板 16 固体の電荷移動層 17 反射防止層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡崎 正樹 神奈川県南足柄市中沼210番地 富士写真 フイルム株式会社内 Fターム(参考) 5F051 AA14 5H032 AA07 AS19 EE04 EE16 HH00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも導電性支持体および感光層を
    有する光電変換素子であって、該感光層が、下記式
    (I)で表される化合物によって増感された半導体微粒
    子を含有することを特徴とする光電変換素子。 【化1】 [式(I)中、Lは3価の連結基を表し、DYEは色素
    残基を表し、nは1ないし4の整数を表す。]
  2. 【請求項2】 式(I)におけるDYEがポリメチン色
    素残基である請求項1の光電変換素子。
  3. 【請求項3】 式(I)におけるDYEがスクアリリウ
    ム色素残基である請求項1または2の光電変換素子。
  4. 【請求項4】 式(I)において、2つのカルボキシル
    基が3ないし6個の連結する原子によって隔てられてお
    り、かつ、これらの原子が環を形成していないことを特
    徴とする請求項1〜3のいずれかの光電変換素子。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかの光電変換素子
    を有する光電気化学電池。
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