JP4438705B2 - 鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、たとえばスラブを連続鋳造するに際し、電磁ブレーキと電磁攪拌を兼用可能な電磁コイル装置により、鋳型内溶鋼の流れを制御しつつ鋼を連続鋳造する方法に関するものである。
鋼の連続鋳造は、通常、2つの吐出孔を有する浸漬ノズルを用いて鋳型内に溶鋼を給湯している。図12は、このような浸漬ノズルを用いた一般的な連続鋳造方法における溶鋼の流動状態を模式的に示す縦断面図である。浸漬ノズル1の吐出口1aから出た溶鋼2は、鋳型3の短辺3aに衝突した後、上昇流イと下降流ロに分岐し、そのうち上昇流イはさらにメニスカス近傍(以下、メニスカス位置という。)2aにおいて、浸漬ノズル1へ向かう水平流となる。なお、図12中の4は電磁コイル装置、7はパウダーを示す。
この鋳型内における溶鋼流動の制御は、操業上ならびに鋳片の品質管理上重要である。そして、この鋳型内溶鋼の流動制御を実現する方法として、浸漬ノズルの形状を工夫する方法、鋳型内溶鋼に電磁力を作用させる方法などがある。このうちでは、後者の溶鋼に電磁力を作用させる方法が広く採用されており、溶鋼吐出流への電磁制動となる電磁ブレーキと、溶鋼を電磁力により攪拌する電磁攪拌がある。
電磁ブレーキと電磁攪拌は、それぞれに長所と短所があるが、一般的には高速鋳造時は電磁ブレーキが、また、低速鋳造時は電磁攪拌が用いられている。これらの電磁ブレーキと電磁攪拌は、共に鉄芯に励磁コイルを巻き線した電磁コイル装置を鋳型背面に設置することにより実現しているが、これらの電磁コイル装置は、通常、電磁ブレーキ又は電磁攪拌に特化した形状で作成され、単独の機能しか有していない。
図13は一般的な電磁ブレーキコイル装置4aを、また、図14は一般的な電磁攪拌コイル装置4bを示すが、これら電磁コイル装置は、ヨーク部5aとティース部5bからなる鉄芯5と、電流を印可する励磁コイル6とから形成される。図14に示した電磁攪拌コイル装置4bは、特許文献1や特許文献2に開示されているように、リニアモータの固定子と同型であり、以後、リニア型コイル装置4bと呼ぶ。なお、図13及び図14中の3bは鋳型3の長辺を示す。
特開昭62−203648号公報 特開昭63−188461号公報
このような電磁コイル装置において、電磁ブレーキコイル装置4aの場合は、広い領域に静磁場を得ることが重要であるため、図13に示すようにティース部5bの断面積が大きい方が高性能となる。一方、電磁攪拌のリニア型コイル装置4bの場合は、ティース部5bの数が多い方が高性能となるため、必然的にティース部5bの断面積は電磁ブレーキコイル装置4aの断面積よりも小さくなる。このようなことから、電磁ブレーキと電磁攪拌を兼用する電磁コイル装置では、共に高性能を得ることは非常に困難である。
例えば前記特許文献1には、6の倍数個の電磁コイルを有するリニア型コイル装置に、直流電流、多相交流電流又は交直重畳電流を選択的に印可することで、電磁ブレーキと電磁攪拌を兼用可能とする技術が開示されている。
このように直流電流又は交流電流を選択的に印可することは兼用電磁コイルとして必須の技術であるが、この技術を発明者が数値解析した結果、長辺長さが1mの鋳型において、十分な電磁攪拌性能を得るには、少なくとも12個のティース部が必要であった。しかしながら、ティース部を12個とした場合、ティース部の幅は1個当たり4cm程度となってしまうので、十分な電磁ブレーキ性能を確保することができない。
また、前記特許文献2には、奇数個のティース部の中心に位置するティース部を浸漬ノズルの吐出位置に配置し、直流または交流の電流を選択的に印可することで、電磁ブレーキと電磁攪拌を兼用可能とする技術が開示されている。
しかしながら、この技術は、電磁ブレーキ時に浸漬ノズルに磁場が印可されると浸漬ノズルに沿って上昇流が発生するなど、鋳造に悪影響を及ぼす溶鋼流動が発生するという問題がある。
また、発明者らは、偶数個の励磁コイルを配置し、直流又は2相交流を選択的に印可することで、電磁ブレーキと電磁攪拌を兼用する技術を特許文献3で提案した。
特開2004−322179号公報
しかしながら、この技術は、電磁ブレーキ性能を確保するために、ティース部の断面積を増し、鋳型と鉄芯を密着させているので、さらなる電磁攪拌性能の向上が求められていた。
そこで、発明者らは、磁極鉄芯を分割して電磁攪拌能力を向上させる技術を、特願2004−174551号で提案した。しかしながら、その後の発明者らの検討の結果、2相交流による電磁攪拌では、後述のように、スループット量(鋳込み速度×断面積)が大きい場合には、攪拌力を更に向上させる必要があることが分かった。
また、従来から存在する電磁攪拌の問題点の一つとして、元来の溶鋼流れに対して順方向に攪拌力を与えることになる領域で、溶鋼流速が速くなりすぎるという点がある。
電磁力による制御を行わない場合、メニスカス位置における溶鋼流れは、図15に矢印で示すように、短辺3aから浸漬ノズル1に向かう水平流となる。一方、電磁攪拌により達成したいメニスカス位置における流動パターンは、図16に矢印で示すように、鋳型3の内壁に沿った旋回流である。
この図16に示した旋回流を得るためには、通常、図17に矢印で示すようなローレンツ力分布を得る電磁コイル装置を設置する。その結果、図16の破線部Aで示す領域は、元来の溶鋼流れとローレンツ力が順方向となり流速が速くなる。溶鋼の流速が速くなると、パウダーの巻き込みによる品質劣化や、凝固シェルの破壊により溶鋼が流出するブレイクアウトの原因となる。
しかしながら、図16の破線部Aで示す領域の流速を抑えるためにローレンツ力を低下させると、元来の溶鋼流れとは逆方向の、図16の破線部Bで示す領域の流速が低下し、時として流れが逆転する場合がある。このように、鋳型長辺方向に一様な流速を得ることは非常に困難であるが、電磁攪拌による表面清浄効果を得るには非常に重要である。
この問題を解決するために、特許文献4では、図18に示すように、4基のリニア型コイル装置4ba〜4bdを設置し、元来の溶鋼流れと攪拌力が順方向となるリニア型コイル装置4bb,4bcの電流値を、逆方向となるリニア型コイル装置4ba,4bdの電流値より小さな値(0から0.5倍)とする技術が開示されている。
特開平10−5949号公報
しかしながら、この特許文献4で開示された方法では、リニア型コイル装置の電流値を制御するための装置、あるいは複数の電源が必要となるので、装置が複雑化する。
本発明が解決しようとする問題点は、従来の電磁ブレーキと電磁攪拌の兼用技術では、共に十分な性能を確保するためには装置の複雑化を避けることができないという点である。
本発明の鋼の連続鋳造方法は、
電磁ブレーキと電磁攪拌の兼用技術において、鋳型長辺方向に均一な速度分布となる電磁攪拌を実現するために、
鋳型長辺の外周に配置されたパイ型電磁攪拌コイル装置に直流電流又は3相以上の多相交流電流を通電することにより、鋳型内の溶鋼に電磁ブレーキ又は電磁攪拌を選択的に作用させて鋼を連続鋳造する方法であって、
前記パイ型電磁攪拌コイル装置は、各長辺で同じ個数で、鋳型合計で(2n+2)個(nは自然数)配置され、
前記各パイ型電磁攪拌コイル装置は、2個の磁極鉄芯と、該各磁極鉄芯のそれぞれの外周部に巻き回された2個の磁コイルと、2個の磁極鉄芯を合わせた外周部に巻き回された1個の磁コイルとを有し、
鋳型内溶鋼を電磁攪拌する際には、鋳型の水平横断面において、鋳型の中心に対して点対称に配置した各パイ型電磁攪拌コイル装置の前記励磁コイルの電流位相が、それぞれ点対称となるように、電流位相差が90度から120度の多相交流電流を通電し、
また、鋳型内溶鋼に電磁ブレーキを付与する際には、2個の磁極鉄芯のそれぞれの外周部に巻き回された2個の励磁コイルと、2個の磁極鉄芯を合わせた外周部に巻き回された1個の励磁コイルの、これら3個全て磁コイルに直流電流を通電することを主要な特徴としている。
かかる本発明において、鋳型内溶鋼に電磁ブレーキを付与する際には、
前記パイ型電磁攪拌コイル装置の各2個の磁極鉄芯の磁極が同一となるように、
かつ、鋳型を挟んで対向する前記パイ型電磁攪拌コイル装置の磁極鉄芯の磁極が互いに異極となり、さらに、同じ鋳型長辺で隣接する前記パイ型電磁攪拌コイル装置の磁極鉄芯の磁極が互いに異極になるように直流電流を通電することが望ましい。
本発明は、コイルの巻き方、電流位相、周波数を工夫することにより、装置の複雑化を避けつつ、電磁攪拌と電磁ブレーキの両機能が共に高性能な電磁コイル装置、特に従来からの課題であった鋳型長辺方向に均一な速度分布となる電磁攪拌を実現することができる。
以下、本発明の着想から課題解決に至るまでの過程と共に本発明を実施するための最良の形態について、図1〜図11及び図19〜図23を用いて説明する。
発明者らは、前記特願2004−174551号で提案した技術において、電磁攪拌性能について更なる性能向上を達成すべく、以下に示す種々の数値解析によるシミュレーションを重ねた。数値解析は、磁場解析と流動解析を行い鋳型内溶鋼流動の評価を行った。
特願2004−174551号の明細書に記載した例は、鋳型長辺が1250mm、鋳型短辺が235mm、鋳込み速度が1.0m/minの場合について検討しており、スループット量は2.29t/minである。
この特願2004−174551号で提案した方法を、鋳型長辺が2260mm、鋳型短辺が246mm、鋳込み速度が1.3m/minで、電流周波数は1.5HZ、コイル電流値は5000ATとして適用した。この場合、スループット量は5.64t/minと前記例の2倍以上で、浸漬ノズル吐出口から噴出する溶鋼速度が速いため、電磁攪拌を行うには大きなローレンツ力が必要となる。
しかしながら、特願2004−174551号で提案した2相交流による電磁攪拌では、ローレンツ力が不足するためにメニスカス位置において良好な旋回流が得られず、明細書で記載した例以上の攪拌力増大は望めない。また、リニア型コイル装置では前述した鉄芯断面積の問題で満足できる電磁ブレーキ性能を得ることができない。
そこで、発明者らは、電磁攪拌力を強化した兼用電磁コイル装置として、出願人が特開昭60−44157で開示した、図19に示したような、2つのティース部5bに3つの励磁コイル9a9cを設置する電磁コイル形状(以後、パイ型電磁攪拌コイル装置8と言う。)を参考とした。
このパイ型電磁攪拌コイル装置8を兼用コイル装置として、長辺が2260mm、短辺が246mmの鋳型に適用した例を図20に示す。図20に示すように、励磁コイルは10aから10xの24個である。
当初、図19に示したパイ型電磁攪拌コイル装置8を、図20のように、単純に各4個ずつ並列に設置した場合について検討を行った。このパイ型電磁攪拌コイル装置8a〜8hにおける励磁コイル電流位相を下記表1に示す。表1中に示したU,V,Wは、3相交流電流であり、それぞれの位相差が120度である。従って、Uの位相を仮に0度とした場合、Vは120度、Wは240度である。
表1に示した電流位相配置による電磁攪拌について検討した結果、メニスカス位置において旋回流が得られなかった。そもそも、パイ型電磁攪拌コイル装置8はメニスカス位置での攪拌を目的とせず、凝固シェルが成長した位置における攪拌を目的に開発された装置である。従って、パイ型電磁攪拌コイル装置8は、図21に示す鉄芯中心位置Cでは、旋回流を得るのに良好なローレンツ力を発生するが、メニスカス位置2aにおいては不適当であることが明らかになった。
溶鋼内に発生する渦電流は、図21にハで示すように、鉄芯5のティース部5bの回りを囲む経路となる。よって、鉄芯中心位置Cとメニスカス位置2aは渦電流の流れ方が大きく異なり、鉄芯中心位置Cにおいて良好なローレンツ力分布を示すものが、メニスカス位置2aにおいても良好であるとは限らないのである。
そこで、発明者らは、メニスカス位置において良好な旋回流を得ることが出来るローレンツ力を発生する電流位相の組み合わせを検討した。発明者らが、数多くの電流位相の組み合わせを検討した結果、下記表2に示す電流位相の組み合わせが、メニスカス位置において旋回流を得るのに有効であることを知見した。
表2に示す電流位相の組み合わせに至った過程を以下に説明する。
先ず、図19に示したパイ型電磁攪拌コイル装置8において、対向配置した励磁コイルの電流位相を反転させると、メニスカス位置におけるローレンツ力分布が、旋回流を得るのに適した分布へと変化することが確認された。
但し、この電流位相組み合わせを並列に設置した(表1参照)だけでは、ローレンツ力が小さく、旋回流を得ることができなかった。そこで、ローレンツ力を大きくするために、隣り合うパイ型電磁攪拌コイル装置8a〜8hにおける励磁コイル電流位相を反転させた下記表3に示す電流位相組み合わせに至った。
表3に示す電流位相組み合わせによるメニスカス位置におけるローレンツ力分布を図22に示すが、この電流位相の組み合わせでは、図22中に示す破線部Aから破線部Fで囲まれた領域のローレンツ力が小さかった。特に問題となるのは、破線部Cと破線部Dの位置である。この位置は元来の溶鋼流の方向に逆らって溶鋼を攪拌させる逆方向領域であることから、ローレンツ力が小さい事により流速が低下することが懸念される。この電流位相組み合わせで流動解析を行ったところ、やはり破線部Cと破線部Dの位置において流速が著しく低下する事が確認された。
このように、隣り合うパイ型電磁攪拌コイル装置8a〜8hにおける励磁コイルの電流位相を反転させれば、隣り合うパイ型電磁攪拌コイル装置8a〜8hの電流条件が対称となりローレンツ力は増加する。しかしながら、隣り合うパイ型電磁攪拌コイル装置8a〜8h間における磁束密度が低下することになり、図22中に示す破線部Aから破線部Fの位置のローレンツ力が低下してしまった。
3相交流の電流位相を図23に示すが、位相を反転させるということは、位相を180度ずらすことであるが、3相交流電源を用いた場合、180度に近い値で、容易に得ることができる位相差は120度である。また、位相をずらす方向としては、時計回り方向と反時計回り方向の2種類がある。
そこで、発明者らは、位相を120度ずらす方向について検討した。その結果、図1に示すように、鋳型3の紙面上側のパイ型電磁攪拌コイル装置8e,8f…では、紙面左側のパイ型電磁攪拌コイル装置8eを基準として、励磁コイルの電流位相を反時計回りに順に120度ずらせる。また、紙面下側のパイ型電磁攪拌コイル装置8a,8b…は、紙面左側のパイ型電磁攪拌コイル装置8aを基準として、励磁コイルの電流位相を順に時計回りに120度ずらせた、前記表2に示す組み合わせとした場合に、良好な結果を得た。
本発明は、かかる検討結果に基づいてなされたものである。すなわち、本発明では、励磁コイルの電流位相は、図1の紙面上側では紙面左側のパイ型電磁攪拌コイル装置8eの励磁コイル電流位相に対して紙面右側のパイ型電磁攪拌コイル装置8fの励磁コイル電流位相は反時計回りに120度ずらせる。また、紙面下側では紙面左側のパイ型電磁攪拌コイル装置8aの励磁コイル電流位相に対して紙面右側のパイ型電磁攪拌コイル装置8bの励磁コイル電流位相は時計回りに120度ずらせた配置とするのである。この電流位相配置は、結果的に鋳型中心を対称点とした点対称の配置となる。
この本発明における電流位相決定方法の模式図を図2に示す。図2に示すように、基準となるパイ型電磁攪拌コイル装置を一つ決める。この基準となるパイ型電磁攪拌コイル装置の左右どちらの位置に追加して設置するかにより、電流位相は決定される。
例えば、紙面上側で基準となるパイ型電磁攪拌コイル装置8Aの右側に設置するパイ型電磁攪拌コイル装置8Bは、基準となるパイ型電磁攪拌コイル装置8Aの電流位相より反時計回りに120度ずらした電流位相とする。反対に、パイ型電磁攪拌コイル装置8Aの左側に設置するパイ型電磁攪拌コイル装置8Cは、基準となるパイ型電磁攪拌コイル装置8Aの電流位相より時計回りに120度ずらした電流位相とする。
一方、紙面下側で基準となるパイ型電磁攪拌コイル装置8Dの右側に設置するパイ型電磁攪拌コイル装置8Eは、基準となるパイ型電磁攪拌コイル装置8Dの電流位相より時計回りに120度ずらした電流位相とする。反対に、パイ型電磁攪拌コイル装置8Dの左側に設置するパイ型電磁攪拌コイル装置8Fは、基準となるパイ型電磁攪拌コイル装置8Dの電流位相より反時計回りに120度ずらした電流位相とする。
かかる本発明を、長辺が2260mm、短辺が246mmの鋳型に適用した場合のメニスカス位置におけるローレンツ力分布を図3に示す。図3は磁場解析結果であり、磁場解析条件を以下に示す。また、図3より、従来から電磁攪拌の問題点であった元来の溶鋼流れと順方向となる位置(図3の破線領域A)のローレンツ力が非常に小さくなっていることが確認できる。よって、鋳型長辺方向に一様な流速分布が得られることが期待できる。
(磁場解析条件)
周波数:3.0Hz
コイル電流:50000AT
溶鋼導電率:7.14×105 S/m
鋳型導電率:3.75×107 S/m
鉄芯比透磁率:500
比較として、同鋳型にリニア型コイル装置4ba〜4bd(特許文献4)の技術を適用した場合を図4に示す。図4に示すモデルにて磁場解析を行った。この場合のメニスカス位置におけるローレンツ力分布を図5に示す。図5は特許文献4に開示されているリニア型コイル装置4bb,4bcに印可する電流値を、リニア型コイル装置4ba,4bdよりも小さくするという技術は適用しておらず、全てのリニア型コイル装置4ba〜4bdに50000ATを印可した場合の数値解析結果である。
図5に示すように、リニア型コイル装置4ba〜4bdを使用した場合には、長辺方向一様に大きなローレンツ力分布を得ることができるが、元来の溶鋼流れと同じ領域が加速されすぎていることが分る。
上述の本発明を適用した図3に示した場合と、リニア型電磁攪拌コイルを適用した図5に示した場合の、鋳型長辺内壁におけるローレンツ力の比較を図6に示す。
次に、電磁攪拌性能の比較として、図7に示すように、紙面上側の鋳型長辺3bの内壁から5mmの位置における長辺方向の流速分布を比較する。本発明を適用した場合と、リニア型電磁攪拌コイルを適用した場合における鋳型長辺方向の流速分布の比較を図8に示す。
図8より明らかなように、リニア型電磁攪拌コイルを適用した場合は、順方向である紙面左側の流速が速く、逆方向である紙面右側の流速が低下している。これに対し、本発明を適用した場合は、鋳型左右における速度差が小さく、流速が10cm/sから25cm/s以内となっていることが確認できる。これは、本発明により、溶鋼元来の流れと順方向位置のローレンツ力は小さく、逆方向位置のローレンツ力が強くなるというローレンツ力分布を実現できるからである。但し、鋳型短辺から100mmの領域は除外する。
本発明により攪拌可能なスループット量を検討した結果、6.0t/min以下において攪拌可能であった。一方、特願2004−174551号による2相攪拌では、3.0t/min以下において攪拌可能であった。よって、本発明はスループット量が3.0から6.0t/minの場合に適用することが好ましいことが分る。なお、以上のスループット量は、スラブ比重を7.8t/m3として算出した。
また、発明者らが検討した結果によれば、本発明が電磁ブレーキと電磁攪拌の両性能を確保できるのは、特願2004−174551号に示されているのと同様、鋳型と磁極の距離が40mm以上、160mm以下の範囲であった。
以上の本発明において、電磁ブレーキ時の電流印可方法には、(a)3つの励磁コイルに電流を印可する方法、(b)外側の励磁コイルにのみ電流を印可する方法、(c)内側の2つの励磁コイルのみに電流を印可する方法の3通りがある。そして、そのうち、達成する磁束密度の大きさと、消費電力を考えると(b)の方法で印可するのが最も効率的であるが、電磁ブレーキ性能が不足する場合には(a)の方法で印可することが望ましいことは、特願2004−174551号で開示したのと同様である。
電磁ブレーキ性能は、電磁ブレーキなしの状態と比べて、メニスカス位置における最大流速と流速変動がどの程度小さくなっているかで評価できる。ちなみに、長辺が2260mm、短辺が246mmの鋳型において、鋳込み速度が1.3m/minの場合のメニスカス位置における最大流速は38cm/sであり、流速変動は40cm/sであった。
本発明で使用するコイルの場合、磁場の印可方向として、図9に示すようにNNSSとする場合(図9(a))と、NSNSとする場合(図9(b))が考えられる。
50000ATの直流電流を印可した場合における、NNSSとNSNSの比較を下記表4に示す。表4より、最大流速と流速変動共に、磁場の印可方向をNSNSとした場合が最も小さくなり、電磁ブレーキ性能が良いことが確認された。
磁場の印加方向をNSNSとした場合と、NNSSとした場合の磁束密度分布の比較を図10に示す。図10より明らかなように、磁場の印加方向がNNSSの場合(実線)は、磁束密度が連続しているが、NSNSの場合(破線)は、磁束密度が零となる箇所が存在している。
磁束密度が零の位置に吐出流が達すると、図11に白抜き矢印で示すように、吐出流が上下に分散して鋳型短辺3aに向かう吐出流量が減少し、吐出流の直進性が低下する。
つまり、内側のブレーキで十分に減速された吐出流成分は、磁束密度が零の位置で上下方向に分散され、残りの速い吐出流が再度ブレーキ作用を受けるので、より効果的に減速すると共に、流速のバラツキも小さくなる。この状態で吐出流は鋳型短辺3aに衝突して上昇反転し、メニスカス流となるので、このメニスカス流はより減速されると共に、流速のバラツキも小さくなると考えられる。
本発明は上記した例に限らないことは勿論であり、各請求項に記載の技術的思想の範囲内であれば、適宜実施の形態を変更しても良いことは言うまでもない。例えば、a)上記の本発明では、浸漬ノズルが鋳型中心に位置する場合について説明したが、必ずしも浸漬ノズルが鋳型中心に位置しなくても良い、b)交流電流は3相でなくても、電流位相差が90度から120度であればそれ以上でも良い、などである。
以上の本発明は、浸漬ノズルを使用する連続鋳造であれば、湾曲型、垂直型など、どのような方式の連続鋳造であっても適用できる。また、スラブの連続鋳造だけでなくブルームの連続鋳造にも適用できる。
本発明に使用する励磁コイルの電流位相の模式図である。 本発明に使用する励磁コイルの電流位相決定方法の模式図である。 本発明によるメニスカス位置のローレンツ力分布図である。 リニア型コイル(特許文献4)の適用例を示した図である。 リニア型コイルによるメニスカス位置のローレンツ力分布図である。 本発明を適用した場合と、リニア型電磁攪拌コイルを適用した場合の鋳型長辺内壁におけるローレンツ力の比較を示す図である。 電磁攪拌時の流速分布比較位置を示す図である。 本発明を適用した場合と、リニア型電磁攪拌コイルを適用した場合の鋳型長辺内壁における流速分布の比較を示す図である。 電磁ブレーキ時のティース磁化方法を示す図で、(a)はNNSSの場合、(b)はNSNSの場合の図である。 磁場の印加方向をNSNSとした場合と、NNSSとした場合の磁束密度分布を比較した図である。 磁場の印加方向がNSNSの場合に吐出流が緩和される状態を示す模式図である。 鋳型内における溶鋼の流動状態を模式的に示した図である。 一般的な電磁ブレーキコイルを示した図である。 一般的なリニア型電磁攪拌コイルを示した図である。 電磁力による制御を行わない場合のメニスカス位置における溶鋼流れを示した図である。 電磁攪拌による良好なメニスカス位置における溶鋼流れを示した図である。 電磁攪拌時のローレンツ力分布を示した図である。 特開平10−5949で提案された発明の電磁コイル配置を示した図である。 パイ型電磁攪拌コイルの説明図で、(a)は水平断面図、(b)は垂直断面図である。 パイ型電磁攪拌コイルを兼用コイルとして鋳型に適用した場合の説明図で、(a)は水平断面図、(b)は垂直断面図である。 パイ型電磁攪拌コイルを鋳型に適用した場合の渦電流経路の模式図である。 表3に示す電流位相組み合わせによるメニスカスにおけるローレンツ力分布を示した図である。 3相交流電流の位相差を示す模式図である。
符号の説明
1 浸漬ノズル
1a 吐出孔
2 溶鋼
2a メニスカス位置
3 鋳型
3a 短辺
3b 長辺
4a 電磁ブレーキコイル装置
4b,4ba〜4bd リニア型コイル装置
5 鉄芯
励磁コイル
8,8a〜8h,8A〜8F パイ型電磁攪拌コイル装置
9a〜9c,10a〜10x 励磁コイル

Claims (2)

  1. 鋳型長辺の外周に配置されたパイ型電磁攪拌コイル装置に直流電流又は3相以上の多相交流電流を通電することにより、鋳型内の溶鋼に電磁ブレーキ又は電磁攪拌を選択的に作用させて鋼を連続鋳造する方法であって、
    前記パイ型電磁攪拌コイル装置は、各長辺で同じ個数で、鋳型合計で(2n+2)個(nは自然数)配置され、
    前記各パイ型電磁攪拌コイル装置は、2個の磁極鉄芯と、該各磁極鉄芯のそれぞれの外周部に巻き回された2個の磁コイルと、2個の磁極鉄芯を合わせた外周部に巻き回された1個の磁コイルとを有し、
    鋳型内溶鋼を電磁攪拌する際には、鋳型の水平横断面において、鋳型の中心に対して点対称に配置した各パイ型電磁攪拌コイル装置の前記励磁コイルの電流位相が、それぞれ点対称となるように、電流位相差が90度から120度の多相交流電流を通電し、
    また、鋳型内溶鋼に電磁ブレーキを付与する際には、2個の磁極鉄芯のそれぞれの外周部に巻き回された2個の励磁コイルと、2個の磁極鉄芯を合わせた外周部に巻き回された1個の励磁コイルの、これら3個全て磁コイルに直流電流を通電することを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
  2. 鋳型内溶鋼に電磁ブレーキを付与する際に、
    前記各パイ型電磁攪拌コイル装置の各2個の磁極鉄芯の磁極が同一となるように、
    かつ、鋳型を挟んで対向する前記パイ型電磁攪拌コイル装置の磁極鉄芯の磁極が互いに異極となり、さらに、同じ鋳型長辺で隣接する前記パイ型電磁攪拌コイル装置の磁極鉄芯の磁極が互いに異極になるように直流電流を通電することを特徴とする請求項1に記載の鋼の連続鋳造方法。
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