JP2023026043A - 電磁撹拌装置 - Google Patents

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Tsutomu Ueki
健司 梅津
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Abstract

【課題】 複数の鋳型のそれぞれにおいて鋳片を並行して連続鋳造する際に、それぞれの鋳型内の溶融金属に付与される撹拌力の不均一化の抑制を容易に実現する。【解決手段】 少なくとも、X軸方向における中心に最も近い位置にある鋳型100bの中空部に向かう移動磁界の磁力線が通る位置に、導電性の材料を用いて構成された磁界進入抑制部材430a~430bを配置する。【選択図】 図1

Description

本発明は、電磁撹拌装置に関し、特に、鋳片を連続鋳造するために用いて好適なものである。
スラブなどの鋳片を連続鋳造する際には、取鍋からタンディッシュへ供給された溶融金属は、浸漬ノズルにより鋳型の中空部内(鋳型により囲まれる領域)に注入される。そして、鋳型内で表面が凝固した金属が鋳片となって鋳型から連続的に引き抜かれる。
このようにして連続鋳造される鋳片の品質を向上させるための装置として、電磁撹拌装置がある。電磁撹拌装置は、電磁石のコイルに電流を流すことにより鋳型内の溶融金属に対して交流磁界を発生させることにより、溶融金属に対して水平面において周回するような撹拌力を付与する装置である。
電磁撹拌装置には、直線移動磁界式の電磁撹拌装置と回転磁界式の電磁撹拌装置とがある。回転磁界式の電磁撹拌装置は、鋳型の周方向において間隔を有して鋳型を取り囲むように配置された複数の電磁石を備え、当該電磁石から鋳型内の溶融金属に対して回転磁界を発生させることにより、溶融金属に対して水平面において周回するような撹拌力を付与する。一方、直線移動磁界式の電磁撹拌装置は、鋳型を間に挟むように相互に対向するように配置された一組の電磁石を備え、当該一組の電磁石から鋳型内の溶融金属に対して相互に逆向きの移動磁界を発生させることにより、溶融金属に対して水平面において周回するような撹拌力を付与する(なお、移動磁界は進行磁界などとも称される)。
ところで、鋳片の生産能力を向上させるためなどの理由から、複数の鋳型およびストランドを水平方向に並べて配置し、複数の鋳型のそれぞれにおいて鋳片を並行して連続鋳造することが行われる。
前述したように回転磁界式の電磁撹拌装置では、複数の電磁石が鋳型を取り囲むように配置される。したがって、複数の鋳型のそれぞれにおいて鋳片を並行して連続鋳造するために、複数の鋳型のそれぞれに対して個別に電磁撹拌装置を配置する必要がある。したがって、鋳型(ストランド)の数だけ電磁撹拌装置が必要になる。よって、連続鋳造設備の大型化、高コスト化、および、電磁撹拌装置の作製および設置のための作業負担の増大に繋がる。
一方、直線移動磁界式の電磁撹拌装置では、鋳型を間に挟むように相互に対向するように配置された一組の電磁石が配置される。したがって、複数の鋳型のそれぞれに対して個別に電磁撹拌装置を配置する必要はない。よって、例えば、複数の鋳型を間に挟むように相互に対向するように配置された一組の電磁石を用いることにより、複数の鋳型のそれぞれにおいて鋳片を並行して連続鋳造するために必要な電磁撹拌装置の数を1個にすることができる(ただし、2個以上の電磁撹拌装置とすることもできる)。
しかしながら、直線移動磁界式の電磁撹拌装置では、鋳型内の溶融金属に付与される撹拌力は、外側(両端側)にある鋳型内の溶融金属に比べて内側(中央側)にある鋳型内の溶融金属の方が大きくなる。このように、鋳型によって鋳型内の溶融金属に付与される撹拌力が不均一になると、鋳片の品質も不均一になる。
そこで、特許文献1には、3個以上のストランドにおける端部2個以外のストランドに対応するコイルの巻回数を、端部2個のストランドに対応するコイルの巻回数の0.76倍から0.85倍にすることが開示されている。
特許第4441435号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、鋳型ごとの溶融金属に対する撹拌力は、コイルの巻回数に依存する。したがって、コイルの巻回数の変更に対する溶融金属に対する撹拌力の変化幅が大きい。よって、鋳型ごとの溶融金属に対する撹拌力の不均一化を十分に抑制することができない場合がある。
また、特許文献1に記載の技術では、電磁撹拌装置の磁極数をストランドの数の倍数にしなければならない。したがって、電磁撹拌装置の磁極数に制約が生じる。また、既存の連続鋳造設備に対して特許文献1に記載の技術を適用する場合、既存のコイルの取り外し、コイルを再作製、およびコイルの再設置を行わなければならず、作業負担が大きい。以上のように特許文献1に記載の技術では、電磁撹拌装置の作製、変更、および設置のための作業負担および制約が大きくなる。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、複数の鋳型のそれぞれにおいて鋳片を並行して連続鋳造する際に、それぞれの鋳型内の溶融金属に付与される撹拌力の不均一化の抑制を容易に実現することを目的とする。
本発明の電磁撹拌装置は、間隔を有した状態で幅方向に並列に配置された3個以上の複数の鋳型を介して奥行方向において相互に対向するように配置された第1コアおよび第2コアと、前記第1コアに対して巻き回された第1コイルと、前記第2コアに対して巻き回された第2コイルと、を備え、前記第1コイルおよび前記第2コイルに流れる交流電流に基づいて相互に逆向きの移動磁界を前記鋳型の中空部に注入された溶融金属に対して発生させることにより連続鋳造される前記溶融金属を電磁撹拌する電磁撹拌装置であって、導電性の材料を用いて構成された磁界進入抑制部材を備え、前記磁界進入抑制部材は、前記複数の鋳型のうち、少なくとも、前記幅方向における中心に最も近い位置にある前記鋳型である第1鋳型の中空部に向かう移動磁界の磁力線が通る位置に配置されている。
本発明によれば、複数の鋳型のそれぞれにおいて鋳片を並行して連続鋳造する際に、それぞれの鋳型内の溶融金属に付与される撹拌力の不均一化の抑制を容易に実現することができる。
連続鋳造設備の構成の一例を示す図である。 図1のI-I矢視断面図である。 図1のII-II矢視断面図である。 図1のIII-III矢視断面図である。 鋳型に進入する移動磁界の一例を概念的に示す図である。 各ストランドの鋳型における撹拌力比を示す図である。 磁界進入抑制部材の配置の第1変形例を示す図である。 磁界進入抑制部材の配置の第2変形例を示す図である。 磁界進入抑制部材の配置の第3変形例を示す図である。 磁界進入抑制部材の配置の第4変形例を示す図である。 図8AのI-I矢視断面図である。 図8AのII-II矢視断面図である。 磁界進入抑制部材の配置の第5変形例を示す図である。 図9AのI-I矢視断面図である。 図9AのII-II矢視断面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態を説明する。
なお、長さ、位置、大きさ、間隔など、比較対象が同じであることは、厳密に同じである場合の他、発明の主旨を逸脱しない範囲で異なるもの(例えば、設計時に定められる公差の範囲内で異なるもの)も含むものとする。また、各図において、説明および表記の都合上、構成の一部を省略化または簡略化して示す。また、各図において、X-Y-Z座標は、各図における向きの関係を示すためのものである。〇の中に●を付した記号は、紙面の奥側から手前側に向かう方向が正の方向(矢印の先の方向)である座標軸であることを示す。〇の中に×を付した記号は、紙面の手前側から奥側に向かう方向が正の方向である座標軸であることを示す。
<連続鋳造設備の構成の一例>
図1は、連続鋳造設備の構成の一例を示す図である。図1は、連続鋳造設備を鋳造方向(Z軸方向)に垂直に切った場合の断面図である。図2A、図2B、図2Cは、それぞれ、図1のI-I矢視断面図、II-II矢視断面図、III-III矢視断面図である。
図1~図2Cにおいて、連続鋳造設備は、鋳型100a~100cと、バックプレート200a~200cと、浸漬ノズル300a~300cと、電磁撹拌装置400aと、を備える。なお、連続鋳造設備のうち、電磁撹拌装置400aが備える磁界進入抑制部材430a~430b以外の構成は、公知の技術で実現され、以下に例示する構成に限定されるものではない。
連続鋳造設備は、不図示のタンディッシュから浸漬ノズル300a~300cの内部に溶融金属が供給される。以下では、溶融金属が溶鋼である場合を例示する。タンディッシュから浸漬ノズル300a~300cの内部に供給される溶鋼の量は、浸漬ノズル300a~300cの基端部に配置される不図示のスライディングノズルを用いて調整される。また、タンディッシュから浸漬ノズル300a~300cの内部に供給される溶鋼の量は、不図示のストッパーを用いて調整されても良い。ストッパーは、不図示のタンディッシュの内部において、不図示のタンディッシュと浸漬ノズル300a~300cとの連通する領域に対して進退することにより当該領域の開口面積を調整するためのものである。
図2Cに示すように、浸漬ノズル300a~300cの内部に供給された溶鋼は、浸漬ノズル300a~300cの先端面(Z軸の負の方向側の端面)に形成された吐出口310から鋳型100a~100cの中空部に供給される。本実施形態では、浸漬ノズル300a~300cが同じものである場合を例示する。
鋳型100a~100cは、溶鋼を冷却して所定の形状に凝固させ、所定の幅と厚さを有する鋳片Sを連続鋳造するための型である。鋳片Sは、例えば、ブルームやビレットである。鋳型100a~100cは、例えば、銅を用いて構成される。
バックプレート200a~200cは、鋳型100a~100cを支持するように、鋳型100a~100cの外壁面に配置される。バックプレート200a~200cは、例えば、ステンレス鋼を用いて構成される。鋳型100a~100cとバックプレート200a~200cには、冷却水が通る不図示の流路が形成されている。当該流路に冷却水を流すことにより、連続鋳造設備を冷却しながら、溶鋼を凝固させる。本実施形態では、バックプレート200a~200cが、鋳型100a~100cに連結されている構造物の一例である。
本実施形態では、鋳型100a~100cが同じものである場合を例示する。同様に本実施形態では、バックプレート200a~200cが同じものである場合を例示する。
なお、鋳型100a~100cの中空部には不図示のパウダーが添加されても良い。パウダーは、例えばCaO、Al23、およびSiO2を主成分とし、溶鋼の酸化の防止、介在物の捕集、鋳型100a~100cと溶鋼との潤滑、および溶鋼の急冷の抑制などの役割を有する。
鋳型100a~100cの中空部に注入された溶鋼は、鋳型100a~100cで冷却され、その表面から凝固シェルが形成されて凝固する。表面は凝固シェルとなっているが内部は凝固していない鋳片Sが、鋳型100a~100cの下端部から、鋳造速度がコントロールされてZ軸の負の方向に連続的に引き出される(図2A~図2Cを参照)。
図1に示すように、複数の鋳型100a~100cは、間隔を有した状態で(連続鋳造設備の)幅方向に並列に配置される。本実施形態では、幅方向において3個の鋳型100a~100cが等間隔で並列に配置され、連続鋳造設備が3個のストランドを備える場合を例示する。幅方向は、複数の鋳型100a~100cが並んでいる方向であり、いわゆる鋳造幅方向である。図1に示す例では、X軸方向が幅方向である。以下の説明では、幅方向を必要に応じてX軸方向と称する。
3個の鋳型100a~100cの下方には、それぞれ二次冷却帯が配置される。二次冷却帯には、不図示のサポートロールおよび冷却スプレーが配置される。鋳型100a~100cの下端部から引き出された鋳片Sは、当該不図示のサポートロールにより搬送される。このようにして鋳型100a~100cから引き出される過程で、不図示の冷却スプレーから噴射される冷却水によって金属の冷却を進めることで、内部まで溶鋼が凝固され、鋳片Sが製造される。なお、鋳片Sの鋳造方向は、鋳型100a~100cの直下の領域では、Z軸の負の方向であるが、鋳型100a~100cから離れるにしたがってX-Y平面に平行な方向に近づくようになる。鋳片の鋳造方向に沿って不図示のサポートロールが配置される。
本実施形態では、以上のようにして3個の鋳型100a~100cを用いて鋳片が並行して連続鋳造される場合を例示する。なお、間隔を有した状態で並列に配置される鋳型(ストランド)の数は、3個以上であれば3個に限定されず、4個以上であっても良い。また、間隔を有した状態で並列に配置される鋳型(ストランド)の数は、偶数であっても奇数であっても良い。
<電磁撹拌装置400aの構成の一例>
図1~図2Cにおいて、電磁撹拌装置400aは、リニアモータの原理で、浸漬ノズル300a~300cから吐出されて鋳型100a~100cの中空部の上部に満たされた溶鋼(未凝固部分)に対して移動磁界を発生させることにより溶鋼に電磁力を作用させて撹拌力を付与し、鋳型100a~100cの内壁面に沿うように周回するような撹拌流を生じさせ、溶鋼を撹拌する装置である。電磁撹拌装置400aは、いわゆる直線移動磁界式の電磁撹拌装置である。電磁撹拌装置400aは、第1コア410aと、第2コア410bと、第1コイル420aと、第2コイル420bと、磁界進入抑制部材430a~430bと、不図示の交流電源と、を備える。
第1コア410aおよび第2コア410bは、軟磁性材料を用いて構成される。第1コア410aおよび第2コア410bは、例えば、第1コア410aおよび第2コア410bのZ軸方向に垂直な断面と同じ形状および大きさを有する軟磁性体板(例えば無方向性電磁鋼板)を、Z軸方向に積層することにより構成される。本実施形態では、第1コア410aおよび第2コア410bが同じでものある場合を例示する。
第1コア410aおよび第2コア410bは、間隔を有した状態でX軸方向に並列に配置された複数の鋳型100a~100cを介して(連続鋳造設備の)奥行方向において相互に対向するように配置される。本実施形態では、第1コア410aおよび第2コア410bが、3個の鋳型100a~100cの軸を通る平面を対称面とする鏡面対称の関係を有するように配置される場合を例示する。鋳型100a~100cの軸は、鋳型100a~100cの中空部の重心の位置を通り、且つ、鋳造方向(Z軸方向)に延びる仮想線である。奥行方向は、第1コア410aおよび第2コア410bが対向する方向であり、いわゆる鋳造厚方向である。図1~図2に示す例では、Y軸方向が奥行方向である。以下の説明では、奥行方向を必要に応じてY軸方向と称する。
なお、本実施形態では、第1コア410aが、相互に分離されて間隔を有した状態で配置された複数のコアではなく、1個のコアである場合を例示する。同様に第2コア410bも、相互に分離されて間隔を有した状態で配置された複数のコアではなく、1個のコアである場合を例示する。
第1コイル420aは、第1コア410aに対して巻き回される。第2コイル420bは、第2コア410bに対して巻き回される。第1コイル420aおよび第2コイル420bには、それぞれ前述した移動磁界を発生させるために交流電流が印加される。本実施形態では、第1コイル420aおよび第2コイル420bに、交流電源から三相交流電流が印加される場合を例示する。したがって、第1コイル420aおよび第2コイル420bには、それぞれ、各相の複数のコイルが含まれる。図1では、電磁撹拌装置400aが2極(磁極数=2)の電磁撹拌装置である場合を例示する。図1において、+U、+V、+W、-U、-V、-Wは、それぞれ、+U相、+V相、+W相、-U相、-V相、-W相の交流電流が供給されるコイルであることを示す。ここで、+U相に対して60度位相が遅れている相は-W相である。同様に、+U相に対して120度位相が遅れている相は+V相、180度位相が遅れている相は-U相、240度位相が遅れている相は+W相、300度位相が遅れている相は-V相である。このように、第1コイル420aおよび第2コイル420bは、それぞれ、各相の三相交流電流が流れる複数のコイルを用いて構成される。なお、三相交流電流を生成する交流電源は、特に限定されない。交流電源として、例えば、インバータ電源が用いられる。
電磁撹拌装置400aを動作させる際には、例えば、第1コイル420aに三相交流電流を流すことにより、鋳型100a~100cの中空部の領域のうち、第1コイル420aが配置されている側(Y軸の正の方向側)の領域に、X軸方向に移動する移動磁界を発生させる。また、第2コイル420bに三相交流電流を流すことにより、鋳型100a~100cの中空部の領域のうち、第2コイル420bが配置されている側(Y軸の負の方向側)の領域に、X軸方向に移動する移動磁界として、第1コイル420aに三相交流電流を流すことに発生する移動磁界が移動する方向とは逆向きの移動磁界を発生させる。この移動磁界はファラデーの法則およびレンツの法則にしたがって溶鋼に渦電流を発生させる。この渦電流と移動磁界はフレミングの左手の法則に基づいて溶鋼に撹拌力を形成する。この撹拌力により、水平面(X-Y平面)において、鋳型100a~100cの内壁面に沿うように周回するような撹拌流(溶鋼の流れ)が発生する。移動磁界により溶鋼に撹拌力を発生させるための手法は、例えば、特許文献1や特許第5353883号公報に記載されているように公知であるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。また、本実施形態では、各相のコイルの巻回数が同じである場合を例示する。しかしながら、前述した移動磁界を発生させて撹拌流を発生させることができれば、必ずしもこのようにする必要はない。なお、このように各相のコイルの巻回数を異ならせる場合であっても、本実施形態の電磁撹拌装置400aには、特許文献1に記載のような巻回数の制約は課せられない。また、前述した移動磁界を発生させて撹拌流を発生させることができれば、交流電源は、三相交流電源に限定されない。
次に、磁界進入抑制部材430a~430bの一例について説明する。直線移動磁界式の電磁撹拌装置では、X軸方向の端においては当該端よりも先に移動磁界を発生させるためのコイルおよびコアが存在しない。したがって、X軸方向に並列に配置されている複数の鋳型のうち、X軸方向の端に近い位置にある鋳型であるほど、鋳型の中空部(溶鋼)に進入する移動磁界(磁束)は小さくなり、磁束密度は低くなる(言い換えると、X軸方向の中心に近い位置にある鋳型であるほど、鋳型の中空部(溶鋼)における磁束密度は高くなる)。よって、X軸方向の中心側に位置する鋳型の中空部内の溶鋼に対する撹拌力は、X軸方向の端側に位置する鋳型の中空部内の溶鋼に対する撹拌力に比べて大きくなり、鋳型のX軸方向の位置によって鋳型の中空部内の溶鋼に対する撹拌力に差が生じる。図1に示す例では、鋳型100bの中空部内の溶鋼に対する撹拌力が、鋳型100a、100cの中空部内の溶鋼に対する撹拌力よりも大きくなる。
そこで、本発明者らは、複数の鋳型のうち、少なくとも、X軸方向における中心に最も近い位置にある鋳型である第1鋳型の中空部に向かう移動磁界の磁力線が通る位置に、導電性の材料を用いて構成された磁界進入抑制部材を配置することにより、当該鋳型の中空部内における移動磁界の磁束密度を低減させることに想到した。磁界進入抑制部材は、導電性の材料を用いて構成される。したがって、X軸方向における中心側に位置する鋳型の中空部に向かう移動磁界の磁力線が通る位置に磁界進入抑制部材を配置することにより、当該移動磁界を減らすように磁界進入抑制部材に渦電流が流れる。よって、X軸方向における中心側に位置する鋳型に進入する移動磁界(の強さ)は、磁界進入抑制部材が存在しない場合に比べて小さくなる。なお、X軸方向における中心は、複数の鋳型のうちX軸方向の両端に位置する2個の鋳型の中空部の重心を両端とする直線(仮想線)のX軸方向における中心である。
図1に示すように、X軸方向において間隔を有して3個の鋳型100a~100cが配置されている場合、3個の鋳型100a~100cのうちX軸方向における中心に最も近い位置にある鋳型は、鋳型100bであり、鋳型100bが第1鋳型の一例である。したがって、鋳型100bの中空部に向かう移動磁界の磁力線が通る位置に磁界進入抑制部材を配置する。このようにすれば、複数の鋳型100a~100cのうち、移動磁界の磁束密度が最も高くなる鋳型100b(X軸方向における中心に最も近い位置にある鋳型)の中空部内の溶鋼に対する磁束密度を低くすることができる。したがって、鋳型100a~100cに進入する移動磁界の差を小さくことができる。すなわち、鋳型100a~100cの中空部内の溶鋼に対する攪拌力の差を小さくすることができる。
<<磁界進入抑制部材430a~430b>>
図3は、鋳型100bに進入する移動磁界の一例を概念的に示す図である。図3では、X軸の正の方向から負の方向(紙面に向かって右から左)に移動磁界が進行するものとする。図3(a)において、磁力線M1は、時刻t1において、磁極面P1から鋳型100bの中空部に向かい、鋳型100bの中空部に進入した後、磁極面P2に到達する移動磁界の磁力線を示す。図3(b)において、磁力線M2は、時刻t1よりも後の時刻t2において、磁極面P3から鋳型100bの中空部に向かい、鋳型100bの中空部に進入した後、磁極面P4に到達する移動磁界の磁力線を示す。
なお、磁力線M1~M2などに付している">"は、磁力線(磁界ベクトル)の向きを表し、>の先鋭端側の方向に向かう磁力線であることを示す。図3では、説明および表記の都合上、磁力線の数を実際の数よりも少なく表記すると共に、磁力線の形状を単純化して表記する。例えば、時刻t1において鋳型100bの中空部に向かう移動磁界の磁力線は、磁力線M1以外にも存在する。同様に、時刻t2において鋳型100bの中空部に向かう移動磁界の磁力線は、磁力線M2以外にも存在する。また、図3では、磁力線M1~M2などが放物線状であるものとしている。しかしながら、実際の磁力線は、図3に示すものよりも複雑になる。
図3において、本実施形態では、磁界進入抑制部材430a~430bは、鋳型100bの中空部に向かう(すなわち、鋳型100bの中空部に進入する)移動磁界の磁力線M1~M2が通る位置に配置される。このようにすることにより、導電性の材料を用いて構成される磁界進入抑制部材430a~430bに当該移動磁界を減らすように渦電流が流れ、鋳型100bの中空部に進入する移動磁界を減らすことができる。前述したように、時刻t1、t2において、鋳型100bの中空部に向かう移動磁界の磁力線は、磁力線M1、M2以外にも存在しており、磁界進入抑制部材430a~430bは、鋳型100bの中空部に向かう移動磁界の磁力線の一部の磁力線が通る位置に配置されれば良い。ただし、磁界進入抑制部材は、鋳型100bの中空部に向かう移動磁界の磁力線の全てが通る位置に配置されても良い。例えば、バックプレート200bの外壁面全体に磁界進入抑制部材を配置すれば、鋳型100bの中空部に向かう(鋳型100bの中空部に進入する)全ての磁力線が通る位置に磁界進入抑制部材を配置することができる。以上のように、鋳型100bの中空部に向かう移動磁界の磁力線が通る位置とは、鋳型100bの中空部に向かう移動磁界の少なくとも一部の磁力線が通る位置であれば良い。なお、少なくとも一部の磁力線とは、鋳型100bの中空部に向かう移動磁界の磁力線の総数をM本としたときに、N本(N≦M)の磁力線を意味する。
本実施形態では、磁界進入抑制部材430a~430bが同じでものである場合を例示する。また、本実施形態では、図1に示すように、3個の鋳型100a~100cのうちX軸方向における中心に最も近い位置にある鋳型100bと、鋳型100bとX軸方向で間隔を有して隣り合う鋳型100a、100cとの間(鋳型100a~100bの間と鋳型100b~100cの間)の領域に、磁界進入抑制部材430a~430bを配置する場合を例示する。このように本実施形態では、鋳型100a、100cが第2鋳型の一例である。このようにすれば、2個の鋳型100a~100b、100b~100cの間の領域を利用して磁界進入抑制部材430a~430bを配置することができる。したがって、電磁撹拌装置400aや連続鋳造設備の既存の構成の変更が少なくなる。また、電磁撹拌装置400a(第1コア410aおよび第2コア410b)と鋳型100a~100cとの間の領域に磁界進入抑制部材を配置しなくてもよくなる。したがって、電磁撹拌装置400a(第1コア410aおよび第2コア410b)と鋳型100a~100cとの間の(Y軸方向の)距離を短くすることができる。よって、鋳型100a~100cの中空部内の溶鋼の撹拌に必要な撹拌力の確保を容易に且つ確実に実現することができる。
また、本実施形態では、バックプレート200bのX軸方向における両端面(X軸の正の方向側の端面およびX軸の負の方向側の端面)に接触するように磁界進入抑制部材430a~430bをそれぞれ配置する場合を例示する。このようにすれば、鋳型100bの中空部に進入する移動磁界をより確実に抑制することができる。また、X軸方向において磁界進入抑制部材430a~430bをバックプレート200bの外壁面に取り付ければよいので、磁界進入抑制部材430a~430bの設置が容易になる。なお、バックプレートなどの構造物を用いずに鋳型だけでも鋳型の強度を確保することができるように鋳型が構成されている場合には、鋳型に接触するように磁界進入抑制部材を配置しても良い。
また、前述したように、X軸方向の中心に近い位置にある鋳型であるほど、鋳型の中空部(溶鋼)における磁束密度は高くなる。したがって、本実施形態では、X軸方向において間隔を有して隣り合う2個の鋳型100a~100b、100b~100cの間の領域のうち、少なくとも、X軸方向における中心に最も近い位置にある領域に、磁界進入抑制部材430a~430bを配置する。このようにすれば、複数の鋳型100a~100cのうち、移動磁界の磁束密度が最も高くなる鋳型100bの中空部内の磁束密度をより確実に低くすることができる。なお、図1に示すように、X軸方向において間隔を有して3個の鋳型100a~100cが等間隔で配置されている場合、X軸方向において間隔を有して隣り合う2個の鋳型100a~100b、100b~100cの間の領域は、いずれも、X軸方向における中心に最も近い位置にある領域になる。
また、本実施形態では、磁界進入抑制部材430a~430bを板状にする。このようにすれば、例えば、複数の銅板を積み重ねることにより磁界進入抑制部材430a~430bの厚みを容易に調整することができる。磁界進入抑制部材430a~430bの厚みは、磁界進入抑制部材430a~430bの材質、大きさ、位置、および、第1コイル420aおよび第2コイル420bに流す電流の周波数に応じて定められる。磁界進入抑制部材430a~430bの厚みとして、例えば、3mm以上25mm以下の範囲、好ましくは5mm以上15mm以下の範囲から選択される厚みが例示される。なお、複数の銅板を積み重ねることにより磁界進入抑制部材430a~430bを構成する場合、磁界進入抑制部材430a~430bの厚みは、複数の銅板の厚みの合計値になる。また、磁界進入抑制部材430a~430bの配置スペースが狭い場合(例えば、2個の鋳型100a~100b、100b~100cの(X軸方向における)間隔が短い場合)でも、磁界進入抑制部材430a~430bを設置することができる。このように磁界進入抑制部材430a~430bを板状にするのが好ましいが、磁界進入抑制部材430a~430bの形状は板状に限定されるものではない。
また、図2Aおよび図2Bに示すように本実施形態では、磁界進入抑制部材430a~430bの、鋳造方向の上流側(Z軸の正の方向側)の端部の鋳造方向の位置(Z座標)Z1を、第1コア410aおよび第2コア410bの、鋳造方向における上流側の端部の鋳造方向の位置(Z座標)Z2よりも、鋳造方向における上流側にする(Z1>Z2)。また、このようにすることに加えて、磁界進入抑制部材430a~430bの、鋳造方向の下流側(Z軸の負の方向側)の端部の鋳造方向の位置(Z座標)Z3を、第1コア410aおよび第2コア410bの、鋳造方向における下流側の端部の鋳造方向の位置(Z座標)Z4よりも、鋳造方向における下流側にする(Z3<Z4)。
このようにすれば、鋳造方向(Z軸方向)において可及的に広範囲にわたり鋳型100bの中空部に進入する移動磁界を抑制することができる。また、このような移動磁界の抑制を実現するための、2個の鋳型100a~100b、100b~100cの間の領域に配置する磁界進入抑制部材430a~430bの数を1個ずつにすることができる。
また、図1に示すように本実施形態では、磁界進入抑制部材430a~430bの、Y軸方向における第1コア410a側(Y軸の正の方向側)の端部のY軸方向の位置(Y座標)Y1を、鋳型100bの中空部の、Y軸方向における第1コア410a側の端部のY軸方向の位置(Y座標)Y2と同じ、または、当該位置Y2よりも、Y軸方向における第1コア410a側にする(Y≧Y2)。また、このようにすることに加えて、磁界進入抑制部材430a~430bの、Y軸方向における第2コア410b側(Y軸の負の方向側)の端部のY軸方向の位置(Y座標)Y3を、鋳型100bの中空部の、Y軸方向における第2コア410b側の端部のY軸方向の位置(Y座標)Y4と同じ、または、当該位置Y3よりも、Y軸方向における第2コア410b側にする(Y3≦Y4)。
このようにすれば、Y軸方向において可及的に広範囲にわたり鋳型100bの中空部に進入する移動磁界を抑制することができる。また、このような移動磁界の抑制を実現するための、2個の鋳型100a~100b、100b~100cの間の領域に配置する磁界進入抑制部材430a~430bの数を1個ずつにすることができる。
また、本実施形態では、X軸方向の両端に配置される2個の鋳型100a、100cのX軸方向における外側(X軸の負の方向側、正の方向側)の位置には、磁界進入抑制部材を配置しない。このようにすることで、鋳型100a、100cに進入する移動磁界が抑制されづらくなるようにすることができる。したがって、鋳型100a~100cに進入する移動磁界の差をより小さくことができる(すなわち、鋳型100a~100cの中空部内の溶鋼に対する攪拌力の差をより小さくすることができる)。
前述したように本実施形態では、磁界進入抑制部材430a~430bを導電性の材料を用いて構成するが、電気抵抗率が低い導電性の材料であるのが好ましい。渦電流による磁界進入抑制部材430a~430bの発熱を抑制することができるからである。磁界進入抑制部材430a~430bを構成する導電性の材料として、例えば10-7Ω・m未満の電気抵抗率の材料を用いても良い。また、本実施形態では、磁界進入抑制部材430a~430bを貫通して、溶鋼の撹拌に必要な移動磁界が鋳型100bの中空部に進入する移動磁界が発生するように、磁界進入抑制部材430a~430bを非磁性の材料を用いて構成する。このような電気抵抗率が低い非磁性の材料として、例えば、銅が用いられる。このように磁界進入抑制部材430a~430bを非磁性の材料を用いて構成するのが好ましい。しかしながら、必ずしも磁界進入抑制部材430a~430bを非磁性の材料を用いて構成しなくても良い。例えば、磁界進入抑制部材を強磁性の材料(例えば鉄)を用いて構成しても良い。ただし、磁界進入抑制部材を強磁性の材料とする場合には、鋳型100bの中空部に向かう(鋳型100bの中空部に進入する)全ての磁力線が通る位置に磁界進入抑制部材を配置しないようにする。このようにすると、鋳型100bの中空部に移動磁界が進入することがなくなり、鋳型100bの中空部内の溶鋼を撹拌することができなくなるからである。
図4は、各ストランドの鋳型100a~100cにおける撹拌力比を示す図である。発明例は、図1~図2Cに示すように磁界進入抑制部材430a~430bを配置した場合の撹拌力比を表す。比較例は、磁界進入抑制部材430a~430bを配置しない場合の撹拌力比を表す。ここでは、発明例と比較例とで、磁界進入抑制部材の有無のみを異ならせてコンピュータシミュレーションを実行することにより鋳型100a~100cにおける撹拌力を算出した。なお、図1に示すように、電磁撹拌装置の磁極数(=2)がストランド(鋳型100a~100c)の数(=3)の倍数ではないため、図1に示す構成では、特許文献1に記載の手法を適用することができない。
図4において、1stは、鋳型100aが属するストランドを示し、2ndは、鋳型100bが属するストランドを示し、3rdは、鋳型100cが属するストランドを示す。撹拌力比は、鋳型100aの中空部内の溶鋼に対する撹拌力を1として表した場合の撹拌力である。図4に示すように、磁界進入抑制部材430a~430bを配置する発明例では、磁界進入抑制部材430a~430bを配置しない比較例に比べ、鋳型100bの中空部内の溶鋼に対する撹拌力を低減することができ、鋳型100a~100cの中空部内の溶鋼に対する撹拌力の差を低減することができることが分かる。
<まとめ>
以上のように本実施形態では、バックプレート200bのX軸方向における両端面(X軸の正の方向側の端面およびX軸の負の方向側の端面)に磁界進入抑制部材430a~430bをそれぞれ配置する。したがって、コイル420a~420bの巻回数の制約を受けることなく、鋳型100a~100cごとの溶鋼に対する撹拌力の均一化を図ることができる。また、電磁撹拌装置400aの磁極数をストランド(鋳型100a~100c)の数の倍数にする必要はない。また、磁界進入抑制部材430a~430bの作製および設置は、コイル420a~420cの作製および設置に比べて容易である。よって、複数の鋳型100a~100cのそれぞれにおいて鋳片を並行して連続鋳造する際に、それぞれの鋳型100a~100c内の溶鋼に付与される撹拌力の不均一化の抑制を容易に実現することができる。
<変形例>
<<第1変形例>>
本実施形態で説明したように、X軸方向において間隔を有して隣り合う2個の鋳型100a~100b、100b~100cの間の領域のうち、X軸方向における中心に最も近い位置にある領域(鋳型100a~100b、100b~100cの間の領域)に磁界進入抑制部材430a~430bを配置するのが好ましい。本実施形態で説明したように、複数の鋳型100a~100cのうち、移動磁界の磁束密度が最も高くなる鋳型100bの中空部内の磁束密度をより確実に低くすることができるからである。
しかしながら、必ずしもこのようにする必要はない。図5は、磁界進入抑制部材の配置の第1変形例を示す図である。図5は、図1に対応する図であり、連続鋳造設備を鋳造方向(Z軸方向)に垂直に切った場合の断面図である。
図5に示す例では、連続鋳造設備は、鋳型100d~100gと、バックプレート200d~200gと、浸漬ノズル300d~300gと、電磁撹拌装置400bと、を備える。鋳型100d~100gは、鋳型100a~100cと同じもので実現される。バックプレート200d~200gは、バックプレート200a~200cと同じもので実現される。浸漬ノズル300d~300gは、浸漬ノズル300a~300cと同じもので実現される。
図5では、X軸方向において4個の鋳型100d~100gが等間隔で並列に配置される場合を例示する。電磁撹拌装置400bは、第1コア410cと、第2コア410dと、第1コイル420cと、第2コイル420dと、磁界進入抑制部材430c~430fと、不図示の交流電源と、を備える。図5では、電磁撹拌装置400bが3極(磁極数=3)の電磁撹拌装置である場合を例示する。
第1コア410c、第2コア410d、第1コイル420c、第2コイル420dは、第1コア410a、第2コア410b、第1コイル420a、第2コイル420bに対し、4個の鋳型100d~100gに対して移動磁界が発生するようにX軸方向の領域を拡張したものである。図5においても、図1と同様に、+U、+V、+W、-U、-V、-Wは、それぞれ、+U相、+V相、+W相、-U相、-V相、-W相の交流電流が供給されるコイルであることを示す。
図5に示す例では、X軸方向において間隔を有して隣り合う2個の鋳型100d~100e、100e~100f、100f~100gの間の領域のうち、X軸方向における中心に最も近い位置にある領域は、鋳型100e~100fの間の領域である。また、X軸方向において等間隔で配置される鋳型100d~100gのうち、X軸方向における中心に最も近い位置にある鋳型は、鋳型100e~100fである。また、(電磁撹拌装置400bの)X軸方向における端の位置にある鋳型は、鋳型100d、100gである。したがって、鋳型100e~100fの中空部に向かう移動磁界の磁力線が通る位置に、磁界進入抑制部材430c~430fを配置する。
図5に示す例では、磁界進入抑制部材430c~430dが、鋳型100eの中空部に向かう移動磁界の磁力線が通る位置に配置される。また、磁界進入抑制部材430e~430fが、鋳型100fの中空部に向かう移動磁界の磁力線が通る位置に配置される。このように、X軸方向における中心に最も近い位置にある鋳型100e~100fのX軸方向の両側に磁界進入抑制部材430c~430d、430e~430fを配置すれば、移動磁界の磁束密度が最も高くなる鋳型100e~100fの中空部内の磁束密度をより低くすることができるので好ましい。しかしながら、磁界進入抑制部材430d~430eを配置せずに磁界進入抑制部材430c、430fを配置しても良い。また、これとは逆に、磁界進入抑制部材430c、430fを配置せずに、磁界進入抑制部材430d~430eを配置しても良い。例えば、移動磁界の磁束密度が最も高くなる鋳型100e~100fの中空部内の磁束密度を低減する程度に応じて、磁界進入抑制部材430c~430fのうちいずれの磁界進入抑制部材を用いるのかを定めれば良い。また、移動磁界の磁束密度が最も高くなる鋳型100e~100fの中空部内の磁束密度を低減する程度に応じて、磁界進入抑制部材430c~430fの厚みを異ならせても良い。このように、図5に示す例では、X軸方向において間隔を有して隣り合う2個の鋳型100d~100e、100e~100f、100f~100gの間の領域のうち、X軸方向における中心に最も近い位置にある領域(鋳型100e~100fの間の領域)に磁界進入抑制部材430d~430eを配置しなくても良い。なお、鋳型の中空部内の磁束密度がどのようになるのかは、例えば、電磁撹拌装置を適用した場合の連続鋳造設備の動作を数値シミュレーションした結果に基づいて判断すれば良い。
なお、図5においては、鋳型100e、100fjが、X軸方向における中心に最も近い位置にある鋳型であり、第1鋳型の一例である。また、鋳型100d、100gが、第1鋳型とX軸方向で間隔を有して隣り合う鋳型であり、第2鋳型の一例である。
また、図5では、磁界進入抑制部材430c~430fは、図1~図2Cに示す磁界進入抑制部材430a~430bと同じもので実現される場合を例示する。また、前述したように、鋳型100d~100g、バックプレート200d~200g、および浸漬ノズル300d~300gも、図1~図2Cに示す鋳型100a~100c、バックプレート200a~200c、および浸漬ノズル300a~300cと同じもので実現される場合を例示する。さらに、前述したように、第1コア410c、第2コア410d、第1コイル420c、第2コイル420dは、それぞれ第1コア410a、第2コア410b、第1コイル420a、第2コイル420bのX軸方向の領域を拡張したものであり、Y-Z断面は同じである。したがって、図5のI-I矢視断面図およびII-II矢視断面図、III-III矢視断面図およびIV-IV矢視断面図は、それぞれ、図2A、図2Bと同じになる(ただし、鋳型、バックプレート、浸漬ノズル、第1コア、第2コア、第1コイル、第2コイル、および磁界進入抑制部材を示す符号は、各断面図における表示対象を示す符号に置き換わる)。
<<第2変形例>>
本実施形態では、X軸方向における中心に最も近い位置にある鋳型100bの中空部に向かわない移動磁界の磁力線が通る位置には磁界進入抑制部材を配置しない場合を例示した。しかしながら、必ずしもこのようにする必要はない。X軸方向における中心に最も近い位置にある鋳型の中空部に向かう移動磁界の磁力線が通る位置に加え、(当該鋳型の中空部には向かわずに)その他の鋳型の中空部に向かう移動磁界の磁力線が通る位置に、磁界進入抑制部材を配置しても良い。
図6は、磁界進入抑制部材の配置の第2変形例を示す図である。図6は、図1に対応する図であり、連続鋳造設備を鋳造方向(Z軸方向)に垂直に切った場合の断面図である。
図6に示す例では、連続鋳造設備は、鋳型100h~100lと、バックプレート200h~200lと、浸漬ノズル300h~300lと、電磁撹拌装置400cと、を備える。鋳型100h~100lは、鋳型100a~100cと同じもので実現される。バックプレート200h~200lは、バックプレート200a~200cと同じもので実現される。浸漬ノズル300h~300lは、浸漬ノズル300a~300cと同じもので実現される。
図6では、X軸方向において5個の鋳型100h~100lが等間隔で並列に配置される場合を例示する。電磁撹拌装置400cは、第1コア410eと、第2コア410fと、第1コイル420eと、第2コイル420fと、磁界進入抑制部材430g~430lと、不図示の交流電源と、を備える。図6では、電磁撹拌装置400cが4極(磁極数=4)の電磁撹拌装置である場合を例示する。
第1コア410e、第2コア410f、第1コイル420e、第2コイル420fは、第1コア410a、第2コア410b、第1コイル420a、第2コイル420bに対し、5個の鋳型100h~100lに対して移動磁界が発生するようにX軸方向の領域を拡張したものである。図6においても、図1と同様に、+U、+V、+W、-U、-V、-Wは、それぞれ、+U相、+V相、+W相、-U相、-V相、-W相の交流電流が供給されるコイルであることを示す。
図6に示す例では、X軸方向において間隔を有して隣り合う2個の鋳型100h~100i、100i~100j、100j~100k、100k~100lの間の領域のうち、X軸方向における中心に最も近い位置にある領域は、鋳型100i~100jの間の領域と、鋳型100j~100kの間の領域である。また、X軸方向において等間隔で配置される鋳型100h~100lのうち、X軸方向における中心に最も近い位置にある鋳型は、鋳型100jである。また、(電磁撹拌装置400cの)X軸方向における端の位置にある鋳型は、鋳型100h、100lである。したがって、鋳型100jの中空部に向かう移動磁界の磁力線が通る位置に、磁界進入抑制部材430i~430jを配置する。
また、X軸方向における中心に最も近い位置にある鋳型は鋳型100jと、X軸方向における端の位置にある鋳型100h、100lと、の間にある鋳型100i、100kの中空部内の磁束密度は、鋳型100jの中空部内の磁束密度に比べれば低いが、鋳型100h、100lの中空部内の磁束密度に比べれば高い。そこで、鋳型100h、100の中空部に向かう移動磁界の磁力線が通る位置に、磁界進入抑制部材430g~430h、430k~430lをそれぞれ配置する。
また、磁界進入抑制部材430gを配置せずに磁界進入抑制部材430hを配置しても良い。これとは逆に、磁界進入抑制部材430hを配置せずに磁界進入抑制部材430gを配置しても良い。同様に、磁界進入抑制部材430kを配置せずに磁界進入抑制部材430lを配置しても、磁界進入抑制部材430lを配置せずに磁界進入抑制部材430kを配置しても良い。移動磁界の磁束密度が最も高くなる鋳型100jの中空部内の磁束密度と、その次に移動磁界の磁束密度が最も高くなる鋳型100i、100kの中空部内の磁束密度とを低減する程度に応じて、磁界進入抑制部材430g~430lのうちいずれの磁界進入抑制部材を用いるのかを定めれば良い。また、移動磁界の磁束密度が最も高くなる鋳型100jの中空部内の磁束密度と、その次に移動磁界の磁束密度が最も高くなる鋳型100i、100kの中空部内の磁束密度とを低減する程度に応じて、磁界進入抑制部材430g~430lの厚みを異ならせても良い。このように、図6に示す例では、X軸方向において間隔を有して隣り合う2個の鋳型100h~100i、100i~100j、100j~100k、100k~100lのうち、X軸方向における中心に最も近い位置にある鋳型100jの中空部には向かわずに、その他の鋳型100i、100kの中空部に向かう移動磁界が通る位置に、磁界進入抑制部材430g、430lを配置しても良い。
なお、図6においては、鋳型100jが、X軸方向における中心に最も近い位置にある鋳型であり、第1鋳型の一例である。また、鋳型100i、100kが、第1鋳型とX軸方向で間隔を有して隣り合う鋳型であり、第2鋳型の一例である。
また、図6では、磁界進入抑制部材430g~430lは、図1~図2Cに示す磁界進入抑制部材430a~430bと同じもので実現される場合を例示する。また、前述したように、鋳型100h~100l、バックプレート200h~200l、および浸漬ノズル300h~300lも、図1~図2Cに示す鋳型100a~100c、バックプレート200a~200c、および浸漬ノズル300a~300cと同じもので実現される場合を例示する。さらに、前述したように、第1コア410e、第2コア410f、第1コイル420e、第2コイル420fは、それぞれ第1コア410a、第2コア410b、第1コイル420a、第2コイル420bのX軸方向の領域を拡張したものであり、Y-Z断面は同じである。したがって、図6のI-I矢視断面図、II-II矢視断面図、およびIII-III矢視断面図は、図2Aと同じになり、図6のIV-IV矢視断面図、V-V矢視断面図、およびVI-VI矢視断面図は、図2Bと同じになる(ただし、鋳型、バックプレート、浸漬ノズル、第1コア、第2コア、第1コイル、第2コイル、および磁界進入抑制部材を示す符号は、各断面図における表示対象を示す符号に置き換わる)。
<<第3変形例>>
本実施形態では、バックプレート200bのX軸方向における両端面(X軸の正の方向側の端面およびX軸の負の方向側の端面)に接触するように磁界進入抑制部材430a~430bをそれぞれ配置する場合を例示した。しかしながら、移動磁界の進入の抑制対象の鋳型の中空部に向かう移動磁界の磁力線が通る位置に磁界進入抑制部材を配置していれば、必ずしもこのようにする必要はない。
図7は、磁界進入抑制部材の配置の第3変形例を示す図である。ここでは、図1~図2Cに示した電磁撹拌装置400aの磁界進入抑制部材430a~430bを、図7に示す磁界進入抑制部材430m~430nに変更した場合を例示する(本変形例において磁界進入抑制部材430m~430n以外の電磁撹拌装置400dの構成は図1~図2Cに示した電磁攪拌装置400aの構成と同じである)。図7は、図1に対応する図であり、連続鋳造設備を鋳造方向(Z軸方向)に垂直に切った場合の断面図である。図7に示すように、X軸方向において間隔を有して隣り合う2個の鋳型100a~100b、100b~100cの間の領域に、鋳型100a~100cに接触しないように磁界進入抑制部材430m~430nを配置しても良い。
鋳型100bの中空部に進入する移動磁界をより抑制する観点から、X軸方向において間隔を有して隣り合う2個の鋳型100a~100b、100b~100cの間の領域において、当該領域のX軸方向における中心の位置から鋳型100bのX軸方向における端面までの間の領域に磁界進入抑制部材430m~430nを配置する。また、X軸方向において間隔を有して隣り合う2個の鋳型100a~100b、100b~100cの間の領域において、当該領域のX軸方向における中心の位置よりも鋳型100bに近い位置に磁界進入抑制部材430m~430nを配置するのがより好ましい。
なお、図7においても図1と同様に、鋳型100bが、X軸方向における中心に最も近い位置にある鋳型であり、第1鋳型の一例である。また、鋳型100a、100cが、第1鋳型とX軸方向で間隔を有して隣り合う鋳型であり、第2鋳型の一例である。
磁界進入抑制部材430m~430nのX軸方向の位置は、鋳型100bの中空部内の磁束密度を低減する程度に応じて定めれば良い。また、移動磁界の磁束密度が最も高くなる鋳型100bの中空部内の磁束密度を低減する程度に応じて、磁界進入抑制部材430m~430nの厚みを異ならせても良い。また、磁界進入抑制部材430m~430nは、例えば、電磁撹拌装置400aが備える不図示の構造物(例えば、電磁撹拌装置を冷却するために設置される冷却箱)や、既存の連続鋳造設備の構造物に取り付ければ良い。なお、図7のI-I矢視断面図、II-II矢視断面図は、それぞれ、図2A、図2Bと同じになる(ただし、磁界進入抑制部材を示す符号は、各断面図における表示対象を示す符号に置き換わる)。
<<第4変形例>>
本実施形態では、2個の鋳型100a~100b、100b~100cの間の領域に配置する磁界進入抑制部材430a~430bの数がそれぞれ1個である場合を例示した。しかしながら、2個の鋳型100a~100b、100b~100cの間の領域に配置する磁界進入抑制部材の数は、2個以上であっても良い。
図8A~図8Cは、磁界進入抑制部材の配置の第4変形例を示す図である。図8Aは、図1に対応する図であり、連続鋳造設備を鋳造方向(Z軸方向)に垂直に切った場合の断面図である。図8B、図8Cは、それぞれ、図8のI-I矢視断面図、II-II矢視断面図であり、図2A、図2Bに対応する図である。図8A~図8Cに示す本変形例の電磁撹拌装置400eでは、X軸方向において間隔を有して隣り合う2個の鋳型100a~100bの間の領域に、鋳型100a~100bに接触しないように2個の磁界進入抑制部材430o~430pが配置されると共に、X軸方向において間隔を有して隣り合う2個の鋳型100b~100cの間の領域に、鋳型100c~100cに接触しないように2個の磁界進入抑制部材430q~430rが配置される場合を例示する。このようにする場合、2個の磁界進入抑制部材430o~430p、430q~430rの間の領域から移動磁界が鋳型100bの中空部に進入し得る。磁界進入抑制部材430o~430p、430q~430rの間の領域の大きさは、例えば、移動磁界の磁束密度が最も高くなる鋳型100bの中空部内の磁束密度を低減する程度に応じて定めれば良い。また、磁界進入抑制部材430o~430pの間の領域の、Y軸方向における中央の位置は、鋳型100bのY軸方向における中央の位置と同じであるのが好ましい。同様に、磁界進入抑制部材430q~430rの間の領域の、Y軸方向における中央の位置は、鋳型100bのY軸方向における中央の位置と同じであるのが好ましい。このようにすれば、第1コア410aおよび第2コア410bで発生する磁束の分布を、鋳型100a~100c内のY軸の正の方向側および負の方向側において均等にすることができ、磁界進入抑制部材430o~430p、430q~430rをY軸方向において分割した場合の、鋳型100a~100c内の溶鋼に付与される撹拌力の不均一化の抑制の効果を高めることができる。
なお、磁界進入抑制部材430o~430p、430q~430rのX軸方向の位置や厚みは、本実施形態および第3変形例で説明したようにして定めれば良い。また、本実施形態と同様に、バックプレート200bのX軸方向の負の方向側の端面に接触するように2個の磁界進入抑制部材430o~430pを配置すると共に、バックプレート200bのX軸方向の正の方向側の端面に接触するように2個の磁界進入抑制部材430q~430rを配置しても良い。また、図8A~図8Cでは、磁界進入抑制部材430o~430p、430q~430rをY軸方向において2つに分ける場合を例示したが、磁界進入抑制部材を3つ以上に分けて配置しても良い。このようにする場合、磁界進入抑制部材をY軸方向において均等に配置(Y軸方向の長さが同じ磁界進入抑制部材を等間隔で配置)するのが好ましい。また、図8A~図8Cでは、磁界進入抑制部材430o~430p、430q~430rをY軸方向において複数に分ける場合を例示したが、このようにすることに代えてまたは加えて、磁界進入抑制部材をZ軸方向において複数(2つまたは3つ以上)に分けても良い。
<<第5変形例>>
本実施形態では、鋳型100bの中空部の重心の位置を通り、Y軸方向に平行な方向に延びる軸を対称軸として、磁界進入抑制部材430a~430bが軸対称となるように配置される場合を例示した。しかしながら、必ずしもこのようにする必要はない。図9A~図9Cは、磁界進入抑制部材の配置の第5変形例を示す図である。図9Aは、図1に対応する図であり、連続鋳造設備を鋳造方向(Z軸方向)に垂直に切った場合の断面図である。図9B、図9Cは、それぞれ、図9のI-I矢視断面図、II-II矢視断面図であり、図2A、図2Bに対応する図である。図9A~図9Cに示す本変形例の電磁撹拌装置400fでは、X軸方向において間隔を有して隣り合う2個の鋳型100a~100bの間の領域に、鋳型100a~100bに接触しないように磁界進入抑制部材430sが配置されると共に、X軸方向において間隔を有して隣り合う2個の鋳型100b~100cの間の領域に、鋳型100c~100cに接触しないように磁界進入抑制部材430rが配置される場合を例示する。
図9Aでは、磁界進入抑制部材430sの、Y軸方向における第1コア410a側(Y軸の正の方向側)の端部のY軸方向の位置(Y座標)Y5が、磁界進入抑制部材430tの、Y軸方向における第1コア410a側(Y軸の正の方向側)の端部のY軸方向の位置(Y座標)Y6よりも、第2コア410b側(Y軸の負の方向側)に位置する場合を例示する(Y5<Y6)。また、磁界進入抑制部材430tの、Y軸方向における第2コア410b側(Y軸の負の方向側)の端部のY軸方向の位置(Y座標)Y7が、磁界進入抑制部材430tの、Y軸方向における第2コア410b側(Y軸の負の方向側)の端部のY軸方向の位置(Y座標)Y8よりも、第1コア410a側(Y軸の正の方向側)に位置する場合を例示する(Y7>Y8)。磁界進入抑制部材430s~430tのY軸方向の端部の位置は、例えば、移動磁界の磁束密度が最も高くなる鋳型100bの中空部内の磁束密度を低減する程度に応じて定めれば良い。
なお、磁界進入抑制部材430s~430tのX軸方向の位置や厚みは、本実施形態および第3変形例で説明したようにして定めれば良い。また、本実施形態と同様に、バックプレート200bのX軸方向の負の方向側の端面に接触するように磁界進入抑制部材430sを配置すると共に、バックプレート200bのX軸方向の正の方向側の端面に接触するように磁界進入抑制部材430tを配置しても良い。
<<第6変形例>>
本実施形態では、磁界進入抑制部材430a~430bの、鋳造方向の上流側(Z軸の正の方向側)の端部の鋳造方向の位置(Z座標)Z1を、第1コア410aおよび第2コア410bの、鋳造方向における上流側の端部の鋳造方向の位置(Z座標)Z2よりも、鋳造方向における上流側にする場合を例示した(図2Aおよび図2BにおいてZ1>Z2となっていることを参照)。また、このようにすることに加えて、磁界進入抑制部材430a~430bの、鋳造方向の下流側(Z軸の負の方向側)の端部の鋳造方向の位置(Z座標)Z3を、第1コア410aおよび第2コア410bの、鋳造方向における下流側の端部の鋳造方向の位置(Z座標)Z4よりも、鋳造方向における下流側にする場合を例示した(図2Aおよび図2BにおいてZ3<Z4となっていることを参照)。
しかしながら、例えば、移動磁界の磁束密度が最も高くなる鋳型100bの中空部内の磁束密度を低減する程度により、必ずしもこのようにする必要はない。磁界進入抑制部材430a~430bの、鋳造方向の上流側(Z軸の正の方向側)の端部を、第1コア410aおよび第2コア410bの、鋳造方向における上流側の端部よりも、鋳造方向における下流側にしても良い。すなわち、図2Aおよび図2BにおいてZ1、Z2の大小関係を図2Aおよび図2Bに示す関係と逆にしても良い。また、このようにすることに加えてまたは代えて、磁界進入抑制部材430a~430bの、鋳造方向の下流側(Z軸の負の方向側)の端部を、第1コア410aおよび第2コア410bの、鋳造方向における下流側の端部よりも、鋳造方向における上流側にしても良い。すなわち、図2Aおよび図2BにおいてZ3、Z4の大小関係を図2Aおよび図2Bに示す関係と逆にしても良い。
以上のことは、磁界進入抑制部材430a~430bのY軸方向における端部においても同じである。すなわち、磁界進入抑制部材430a~430bの、Y軸方向における第1コア410a側(Y軸の正の方向側)の端部を、鋳型100bの中空部の、Y軸方向における第1コア410a側の端部よりも、Y軸方向における第2コア410b側(Y軸の負の方向側)にしても良い。すなわち、図1において、Y1、Y2の大小関係を図1に示す関係と逆にしても良い。また、このようにすることに加えてまたは代えて、磁界進入抑制部材430a~430bの、Y軸方向における第2コア410b側(Y軸の負の方向側)の端部を、鋳型100bの中空部の、Y軸方向における第2コア410b側の端部よりも、Y軸方向における第1コア410a側(Y軸の正の方向側)にしても良い。すなわち、図1において、Y3、Y4の大小関係を図1に示す関係と逆にしても良い。
以上の各変形例のようにしても、磁界進入抑制部材を配置しない場合に比べて、鋳型100bの中空部に進入する移動磁界を抑制することができる。
<<第7変形例>>
これまで説明してきたように、X軸方向において間隔を有して隣り合う2個の鋳型100a~100b、100b~100cの間の領域に磁界進入抑制部材430a~430bを配置するのが好ましい。前述したように鋳型100a~100cの中空部内の溶鋼の撹拌に必要な撹拌力の確保を容易に且つ確実に実現するからである。しかしながら、図1~図2Cに示す構成を例示すると、磁界進入抑制部材は、少なくとも鋳型100bの中空部に向かう移動磁界の磁力線が通る位置に配置していれば、必ずしも、X軸方向において間隔を有して隣り合う2個の鋳型100a~100b、100b~100cの間の領域に磁界進入抑制部材を配置する必要はない。例えば、電磁撹拌装置400a(第1コア410aおよび第2コア410b)と鋳型100a~100cとの距離が離れていても、鋳型100a~100cの中空部内の溶鋼に対する撹拌力を確保することができる場合には、第1コア410aと鋳型100bとの間の領域や、第2コア410bと鋳型100bとの間の領域に磁界進入抑制部材を配置しても良い。
以上のように磁界進入抑制部材の、大きさ、厚み、数、および位置は、X軸方向に並列に配置された3個以上の複数の鋳型の中空部内の溶鋼に対する攪拌力の差が所望の値以下になることと、当該鋳型の中空部内の溶鋼に対する撹拌力が所望の値以上になることと、の双方を実現することができるように定められ、本実施形態で説明した磁界進入抑制部材430a~430bに限定されない。
また、本実施形態の本文で説明した変形例を含め、前述した変形例の一部または全部(少なくとも2個の変形例)を組み合わせても良い。
なお、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
100a~100l 鋳型
200a~200l バックプレート
300a~300l 浸漬ノズル
310 吐出口
400a~400f 電磁撹拌装置
410a、410c、410e 第1コア
410b、410d、410f 第2コア
420a、420c、420e 第1コイル
420b、420d、420f 第2コイル
430a~430l 磁界進入抑制部材

Claims (9)

  1. 間隔を有した状態で幅方向に並列に配置された3個以上の複数の鋳型を介して奥行方向において相互に対向するように配置された第1コアおよび第2コアと、
    前記第1コアに対して巻き回された第1コイルと、
    前記第2コアに対して巻き回された第2コイルと、
    を備え、
    前記第1コイルおよび前記第2コイルに流れる交流電流に基づいて相互に逆向きの移動磁界を前記鋳型の中空部に注入された溶融金属に対して発生させることにより連続鋳造される前記溶融金属を電磁撹拌する電磁撹拌装置であって、
    導電性の材料を用いて構成された磁界進入抑制部材を備え、
    前記磁界進入抑制部材は、前記複数の鋳型のうち、少なくとも、前記幅方向における中心に最も近い位置にある前記鋳型である第1鋳型の中空部に向かう移動磁界の磁力線が通る位置に配置されている、電磁撹拌装置。
  2. 前記磁界進入抑制部材は、
    非磁性且つ導電性の材料を用いて構成される、請求項1に記載の電磁撹拌装置。
  3. 前記磁界進入抑制部材は、
    前記第1鋳型と、前記第1鋳型と前記幅方向で間隔を有して隣り合う前記鋳型である第2鋳型との間の領域に配置されている、請求項1または2に記載の電磁撹拌装置。
  4. 前記磁界進入抑制部材は、
    前記第2鋳型よりも前記第1鋳型に近い位置に配置されている、請求項3に記載の電磁撹拌装置。
  5. 前記磁界進入抑制部材の鋳造方向における上流側の端部の、前記鋳造方向における位置は、
    前記第1コアおよび前記第2コアの前記鋳造方向における上流側の端部の、前記鋳造方向における位置と同じ、または、当該位置よりも、前記鋳造方向における上流側にあり、且つ、
    前記磁界進入抑制部材の前記鋳造方向における下流側の端部の、前記鋳造方向における位置は、
    前記第1コアおよび前記第2コアの前記鋳造方向における下流側の端部の、前記鋳造方向における位置と同じ、または、当該位置よりも、前記鋳造方向における下流側にある、請求項1~4のいずれか1項に記載の電磁撹拌装置。
  6. 前記磁界進入抑制部材の前記奥行方向における前記第1コア側の端部の、前記奥行方向における位置は、
    前記鋳型の中空部の前記奥行方向における前記第1コア側の端部の、前記奥行方向における位置と同じ、または、当該位置よりも、前記第1コア側の位置にあり、
    前記磁界進入抑制部材の前記奥行方向における前記第2コア側の端部の、前記奥行方向における位置は、
    前記鋳型の中空部の前記奥行方向における前記第2コア側の端部の、前記奥行方向における位置と同じ、または、当該位置よりも、前記第2コア側の位置にある、請求項1~5のいずれか1項に記載の電磁撹拌装置。
  7. 前記磁界進入抑制部材は、
    板状である、請求項1~6のいずれか1項に記載の電磁撹拌装置。
  8. 前記磁界進入抑制部材は、
    前記鋳型、または、前記鋳型に連結されている構造物に接触した状態で配置されている、請求項1~7のいずれか1項に記載の電磁撹拌装置。
    磁界進入抑制部材
  9. 前記磁界進入抑制部材は、
    前記幅方向における端に位置する前記鋳型よりも前記幅方向における外側の位置に配置されていない、請求項1~8のいずれか1項に記載の電磁撹拌装置。
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