JP5124873B2 - スラブの連続鋳造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電磁コイルを用いて鋳型内溶鋼を電磁攪拌しつつスラブを連続鋳造する方法に関するものである。
鋼の連続鋳造製品の表面品質を改善するためには、メニスカス位置で電磁攪拌を行うのが効果的である。しかしながら、スラブの連続鋳造の場合、メニスカス位置を良好に攪拌することは困難である。ここで、良好な攪拌とは、メニスカス位置において鋳型に沿った巡回流を形成する攪拌を言う。以下、スラブを連続鋳造する場合に、良好な攪拌が困難である理由を説明する。
図14に電磁攪拌がなされていない溶鋼の鋳型内流動分布の垂直断面図を、図15にメニスカス位置(a図)と吐出孔位置(b図)における溶鋼の鋳型内流動分布の水平断面図を示す。
図14に示すように、浸漬ノズル1の吐出孔1aから噴出した溶鋼2は鋳型3の短辺3aに衝突した後、メニスカスに向かう上昇流2aと引き抜き方向へ向かう下降流2bに分かれる。このため,吐出孔1aの位置では浸漬ノズル1から鋳型3の短辺3aに向かう流れとなるが、メニスカス位置では鋳型3の短辺3aから浸漬ノズル1に向かう流れとなる。なお、図14中の4はパウダーを示す。
ここで、図15に示すように、時計回り方向の巡回流を形成するように電磁力Aを作用させると、前記巡回流と同じ方向の溶鋼流B1が存在する領域(以後、順方向領域という。)と逆方向の溶鋼流B2が存在する領域(以後、逆方向領域という。)が現れる。
このうち逆方向領域では、流れを反転させるために大きな電磁力が必要となるが、この逆方向領域に必要なだけの電磁力を鋳型長辺に沿う方向に一様に作用させると、順方向領域が加速されすぎるという問題が生じる。
また、電磁力の作用により、浸漬ノズルの吐出孔位置の溶鋼流が加速されると、凝固シェルを突き破ってブレイクアウトが発生するので大きな問題である。ブレイクアウトが発生するまで溶鋼流が加速されない場合でも、上昇流の流速が増加するためにメニスカス位置の溶鋼流速が増し、メニスカス位置で巡回流を得ることが難しくなる。
この問題を解決するために、特許文献1では、図16に示すように,鋳型3の長辺3b方向に配置したリニア型の電磁コイルを、それぞれコイル5aと5b及びコイル5cと5dの二つに分割し、コイル5a〜5d毎に印加電流を調整する技術を開示している。
特許第2965438号公報
また、同様に鋳型の長辺方向に配置したリニア型の電磁コイルによる電磁力を制御することで、メニスカス位置の溶鋼に一様な巡回流を形成する方法が、特許文献2や特許文献3に開示されている。
特許第2948443号公報 特許第3577389号公報
さらに、特許文献4では、リニア型の電磁コイルをメニスカス部にのみ設置することで、メニスカス位置の溶鋼に一様な巡回流を形成する方法が開示されている。
特開平07−314104号公報
しかしながら、特許文献1で開示された方法で、吐出孔位置における順方向領域の溶鋼流の加速を抑えると、メニスカス位置における逆方向領域の攪拌力が小さくなってしまう。また特許文献2,3で開示された方法でも、メニスカス位置での良好な攪拌を得ることが難しい。
さらに特許文献4で開示された方法では、吐出孔位置における溶鋼流の加速を防ぐことはできるものの、吐出流に対しては何の制御も行われていないので、メニスカス位置の溶鋼流は吐出孔位置における溶鋼流の変動の影響を大きく受けるという問題がある。
本発明が解決しようとする問題点は、スラブを連続鋳造する際の従来の電磁攪拌方法では、浸漬ノズルの吐出孔位置の溶鋼流を加速しすぎることなく、メニスカス位置において鋳型に沿った一様な巡回流を形成することは難しいという点である。
本発明のスラブの連続鋳造方法は、
浸漬ノズルの吐出孔位置の溶鋼流を加速しすぎることなく、メニスカス位置においても鋳型に沿った一様な巡回流を形成するために、
メニスカスから浸漬ノズルの吐出孔を含む鉛直方向の範囲に設置された電磁コイルにより、鋳型内溶鋼に水平断面で電磁力を作用させて電磁攪拌しつつ、吐出孔位置の溶鋼流を加速しすぎることなく、メニスカス位置においても鋳型に沿った一様な巡回流を形成させてスラブを連続鋳造する方法において、
前記電磁コイルとして、
例えばリニア型電磁コイルを使用する場合、
このリニア型電磁コイルの、鋳型短辺から鋳型長辺の中心方向に130mm以内の吐出孔領域に位置する短辺側のコイル電流位相の進行方向を逆転して電磁攪拌することで、前記吐出孔位置の水平断面において、鋳型短辺から鋳型長辺の中心方向に50mm以上、100mm以内の領域における鋳型短辺に沿う方向の電磁力を、鋳型長辺に沿う方向の電磁力以上となるようにして電磁攪拌することを最も主要な特徴としている。
本発明では、電磁攪拌において吐出孔位置の溶鋼流を加速しすぎることなく、メニスカス位置においても鋳型に沿った一様な巡回流を形成できるので、ブレイクアウトの発生を低減することができる。
以下、本発明の着想から課題解決に至るまでの過程と共に、本発明を実施するための最良の形態について、図1〜図13を用いて説明する。
スラブの連続鋳造において、メニスカス部を電磁攪拌する場合は、浸漬ノズルからの吐出流を加速してしまってブレイクアウトが発生しやすくなるという問題がある。しかしながら、ブルームの連続鋳造では、同様に吐出孔位置に電磁攪拌を行っても、ブレイクアウトが頻出するという問題は生じていない。
そこで、発明者らは、電磁攪拌時のブルームとスラブとの差異を比較することにより、スラブを連続鋳造する際の電磁攪拌において、ブレイクアウトの発生を抑制する方法について検討した。
その結果、スラブの連続鋳造において、ブレイクアウトを抑制するためには、吐出流が鋳型短辺に衝突する前に、吐出流を鋳型厚み方向へ誘導することが重要であることが明らかとなった。
発明者らは、電磁場解析と熱流動解析の数値解析シミュレーションから、スラブの連続鋳造において吐出流の鋳型短辺への衝突を緩和できる条件を模索した。
図1はブルームを連続鋳造する際の電磁攪拌における電磁力分布(a図)と流速分布(b図)を、図2はスラブを連続鋳造する際の電磁攪拌における電磁力分布(a図)と流速分布(b図)を示す図である。
図1と図2から、ブルームを連続鋳造する場合は、長辺と短辺共に鋳型壁に沿った方向に電磁力が作用していることが特徴的であるのに対して、スラブを連続鋳造する場合は、長辺に沿う方向の電磁力のみが大きく作用していることが特徴である。
図3は、ブルームを連続鋳造する際の電磁攪拌における鋳型長辺に沿う方向の電磁力に対する鋳型短辺に沿う方向の電磁力の比の分布を示す図である。図3は、490mm×390mmのサイズの鋳型を用いてブルームを連続鋳造した場合の結果である。また、図3では、鋳造時の地側の長辺近傍の電磁力比を示しており、鋳型短辺から鋳型長辺の中心に向けて100mmの範囲の鋳型短辺に沿う方向の電磁力が、鋳型長辺に沿う方向の電磁力よりも大きいことが分かる。
以上より、スラブを連続鋳造する際の電磁攪拌においても、鋳型短辺の近傍において鋳型短辺に沿う方向の電磁力が、鋳型長辺に沿う方向の電磁力よりも大きければ、溶鋼流を鋳型厚み方向に誘導することができ、鋳型短辺への衝突を緩和してブレイクアウトを抑制することができると考えられる。
本発明のスラブの連続鋳造方法は、このような考えに基づいてなされたものであり、
メニスカスから浸漬ノズルの吐出孔を含む鉛直方向の範囲に設置された電磁コイルにより、鋳型内溶鋼に水平断面で電磁力を作用させて電磁攪拌しつつ、吐出孔位置の溶鋼流を加速しすぎることなく、メニスカス位置においても鋳型に沿った一様な巡回流を形成させてスラブを連続鋳造する方法において、
前記電磁コイルとして、
例えばリニア型電磁コイルを使用する場合、
このリニア型電磁コイルの、鋳型短辺から鋳型長辺の中心方向に130mm以内の吐出孔領域に位置する短辺側のコイル電流位相の進行方向を逆転して電磁攪拌することで、前記吐出孔位置の水平断面において、鋳型短辺から鋳型長辺の中心方向に50mm以上、100mm以内の領域における鋳型短辺に沿う方向の電磁力を、鋳型長辺に沿う方向の電磁力以上となるようにして電磁攪拌することを特徴とするものである。
ブルーム製造用の連続鋳造装置では、電磁コイルが鋳型の短辺側にも設置されているので、前記のような電磁力分布を容易に実現することができる。しかしながら、スラブ製造用の連続鋳造装置の場合、鋳型の長辺側にしか電磁コイルを設置できないので、スラブを連続鋳造する際に、電磁攪拌で同様の電磁力分布を実現することは容易ではない。
そこで、発明者らは、数値解析シミュレーションから、スラブを連続鋳造する際の電磁攪拌時に、鋳型短辺近傍において鋳型短辺に沿う方向の電磁力を、鋳型長辺に沿う方向の電磁力以上とする方法の検討を行った。
その結果、電磁コイルとしてリニア型電磁コイルを使用する場合は、コイル電流の位相を工夫することにより実現できることが明らかとなった。すなわち、リニア型電磁コイルの、鋳型短辺から鋳型長辺の中心方向に200mm以内のコイル電流位相の進行方向を逆することにより、鋳型短辺近傍の短辺に沿う方向の電磁力を、鋳型長辺に沿う方向の電磁力以上となるようにできることが明らかとなった。
また、電磁コイルとして、出願人が特願2007−150627号で提案した電磁ブレーキ・電磁攪拌兼用コイルを使用する場合は、比較的簡単に鋳型短辺近傍の短辺に沿う方向の電磁力を、鋳型長辺に沿う方向の電磁力以上となるようにできることも明らかとなった。
すなわち、電磁コイルとして、ヨーク部から2個のティース部を突出状に設け、これら各ティース部は、夫々内側巻き線を施し、かつこれら内側巻き線を施した2個のティース部の外側に外側巻き線を施してひとまとめにしたものに、直流電流又は3相以上の交流電流を通電することにより、鋳型内の溶鋼に電磁ブレーキ又は電磁攪拌を行わせることを選択可能とした電磁ブレーキ・電磁攪拌兼用コイルを、
幅が1300mm以上、1740mm以下の鋳型に使用する場合、
前記吐出孔位置の水平断面、鋳型短辺から鋳型長辺の中心方向に、鋳型幅に応じて56.2mm以上、87.3mm以下となる点から鋳型短辺に至る領域において、鋳型短辺に沿う方向の電磁力が鋳型長辺に沿う方向の電磁力以上となるようにして電磁攪拌するのである。
以下、上記の本発明例における電磁場解析の結果について説明する。
(リニア型電磁コイルを使用する場合)
リニア型電磁コイルの場合の計算条件を以下に示す。リニア型電磁コイルを用いた場合の計算モデル形状は、先に図16で説明した特許文献1と同じである。リニア型電磁コイルでは、コア6のティース6a間に巻き線7を施し、位相差のある電流を印加することによって移動磁界を発生する。
図16は、一つの鋳型3に4基のリニア型電磁コイルを設置した場合であり、便宜上それぞれの電磁コイルをコイル5a,5b,5c,5dと言う。リニア型電磁コイルは、メニスカス位置から引抜き方向に450mmの範囲に設置し、吐出孔はメニスカスより鉛直方向に270mm下方の位置とした。鋳型サイズは、幅を1620mm、厚みを270mmとした。ティース幅は70mm、ティース間隔も70mmとし、一基のリニア型電磁コイルの幅は910mmである。
このコイル5a〜5dに印加する電流は、図4に示すように、互いに位相差が120度であり、U,VとWで表される3相交流電流である。
各巻き線7に印加する電流は、コイル5a,5bは、左から+U,−V,+W,−U…という順に、図4を反時計回りに位相差60度間隔の交流電流を印加した。一方、コイル5c、5dは、左から+W,−V,+U,−W…という順に、図4を時計回りになる交流電流を印加した。
電磁コイル5a〜5dの巻き線一つあたりの電流値は40000ATurnとし、周波数を3.0Hzとした。この条件での電磁力分布が先に説明した図2(a)である。
図2(a)は、吐出孔位置に設置されたリニア型電磁コイルによる吐出孔位置の電磁力分布を示した図である。この図2(a)に示すように、鋳型短辺近傍では鋳型長辺に沿う方向の電磁力が大きく、この電磁力により加速された溶鋼流が鋳型短辺に衝突してブレイクアウトが発生する確率が高くなる。
この図2(a)の電磁力分布から熱流動解析を実施し、鋳型短辺への衝突流の評価指標として鋳型短辺から鋳型長辺に沿う方向に50mm離れた位置における鋳型短辺に向かう方向の流速を求めた結果、12.9cm/sであった。
ブレイクアウトの発生率は、凝固シェルに衝突する溶鋼流の運動量に比例すると考えると、この吐出孔位置の溶鋼流速を10cm/s以下とすれば、ブレイクアウトの発生確率を2割以上減ずることができる。
図5は、鋳型長辺から2mm離れた位置(図16中のA−A’位置、以下この位置を地側の長辺近傍と呼ぶ)におけるメニスカス位置(破線)と吐出孔位置(実線)の鋳型長辺に沿う方向の電磁力分布を示した図である。
図5より明らかなように、メニスカス位置と吐出孔位置ともに、地側の長辺近傍では負の電磁力が発生しており、紙面右側の鋳型短辺から同左側の鋳型短辺に向かう方向への攪拌力となる。この図5から、メニスカス位置と吐出孔位置とでは、電磁力分布は大差がなく深さ方向に一様であり、メニスカスを攪拌させるための電磁力が、吐出孔位置では吐出流を加速していることが確認される。
この問題の解決には、メニスカス位置の電磁力はそのままで、吐出孔位置における鋳型短辺近傍の電磁力を小さくすることが理想的である。
発明者らは、いくつかの電流位相の組み合わせを検討した結果、順方向領域に位置する電磁コイルの電流位相の進行方向を逆することが効果的であることを知見した。
発明者らが調査した結果によると、ブルームの電磁攪拌と同様に鋳型短辺から鋳型長辺の中心方向に100mmの領域の鋳型厚み方向の電磁力を大きくするには、鋳型短辺から鋳型長辺の中心方向に150mm以内の電磁コイルの電流位相の進行方向を逆する必要があった。
具体的には、元来のコイル5aは左から+U,−V,+W,−Uという図4を反時計周りになる並びであるが、これを一番左の位相を反転して+Uから−Uとし、その右の左から2番目のコイルは図4を時計周りにたどった+Wとした。コイル5dも同様に、順方向領域の短辺側2個のコイルの電流位相の進行方向を逆した。
この鋳型短辺側のコイル5a,5dに印加する電流位相の進行方向を逆した場合の電磁力分布を図6に示す。この図6から、破線で示すメニスカス位置の電磁力分布は図5と同等でありながら、実線で示す吐出孔位置の順方向の電磁力が小さくなっていることが確認される。
図7は、鋳型短辺側のコイル5a,5dに印加する電流位相の進行方向を逆した場合の鋳型長辺に沿う方向の電磁力に対する鋳型短辺に沿う方向の電磁力の比の分布を示した図である。この図7から、鋳型短辺近傍のコイル5a,5dに印加する電流位相の進行方向を逆した場合は、鋳型短辺から鋳型長辺の中心方向に100mmの範囲において、鋳型短辺に沿う方向の電磁力が鋳型長辺に沿う方向の電磁力より大きくなっていることが確認された。
この効果を鋳型内の熱流動解析から検証した結果、吐出孔位置の鋳型短辺から鋳型長辺に沿う方向に50mm離れた位置における溶鋼流速は5.9cm/sであり、ブレイクアウト発生の確率を大きく低減できると考えられる。
図8は、リニア型電磁コイルでコイル電流位相の進行方向をするコイルの数と鋳型長辺に沿う方向の電磁力に対する鋳型短辺に沿う方向の電磁力の比の分布の関係を調査した結果を示した図である。
図8から、鋳型短辺側から1つのコイルのコイル電流位相の進行方向を逆するだけでは、鋳型短辺の極近傍の電磁力の比が1以上となるだけで不十分であることが分かる。一方、鋳型短辺側から3つのコイルのコイル電流位相の進行方向を逆すると、鋳型短辺から300mm離れた位置のみの電磁力の比が1以上となるので不適切である。
これに対して、鋳型短辺側から2つのコイルのコイル電流位相の進行方向を逆すると、鋳型短辺から鋳型長辺の中心方向に50mm〜100mm離れた領域の電磁力の比が1以上となる。この鋳型短辺側から2個目のコイルは、鋳型短辺から鋳型長辺の中心方向に130mmの位置であり、3個目のコイルは270mmの位置である。
以上の結果より、リニア型電磁コイルを使用する場合は、鋳型短辺から鋳型長辺の中心方向に200mm程度以内のコイルのコイル電流位相の進行方向を逆すれば良いことが分かる。
(電磁ブレーキ・電磁攪拌兼用コイルを使用する場合)
次に、本発明方法を、出願人が特願2007−150627号で提案した、図9に示すヨーク部11aから2個のティース部11bを突出状に設け、これら各ティース部11bは夫々内側巻き線12を施し、かつこれら内側巻き線12を施した2個のティース部11bの外側に外側巻き線13を施してひとまとめにした電磁ブレーキ・電磁攪拌兼用コイルを使用する場合の例について説明する。
解析に使用した鋳型のサイズは、前述のリニア型電磁コイルを使用した場合と同様に、幅を1620mm、厚みを270mmとした。この鋳型サイズから、前記の電磁コイル構造を決定した結果、図9に示す兼用コイル形状とした。この兼用コイルに4.0Hzの交流電流を45000ATurn印加した場合の電磁力分布を図10に、鋳型長辺に沿う方向の電磁力に対する鋳型短辺に沿う方向の電磁力の比の分布を図11に示す。
図10と図11から、兼用コイルを使用した場合は、吐出孔位置の電磁力が小さく、鋳型長辺に沿う方向の電磁力に対する鋳型短辺に沿う方向の電磁力の比も、鋳型短辺から鋳型長辺の中心方向に80mm離れた領域で1以上であることが分かる。
熱流動解析結果より、鋳型短辺への衝突流速は5.3cm/sであり、リニア型で鋳型短辺から鋳型長辺の中心方向に130mm以内の吐出孔領域に位置する短辺側の2個のコイル電流位相の進行方向をした場合と同程度であった。よって、この兼用コイルを適用しても本発明による電磁攪拌が可能となる。
(鋳型幅の変更について)
ところで、連続鋳造機では、通常は400mm程度鋳型幅を変更することができるので、本発明を実施する場合、電磁攪拌コイルもこの鋳型幅の変更に対応させる必要がある。この際、リニア型の電磁コイルを使用する場合は、最大の鋳型幅に対応した電磁コイルを用意し、各鋳型幅に対応して鋳型短辺から200mm以内のコイルの電流位相の進行方向を逆すればよい。
しかしながら、図9に示したような電磁ブレーキ・電磁攪拌兼用コイルの場合は、鋳型幅に対して柔軟に対応することが不可能である。よって、電磁ブレーキ・電磁攪拌兼用コイルを本発明に適用する場合は、コイル幅に対して使用可能な鋳型幅を把握しておく必要がある。
下記表1は、鋳型幅が変化した場合の電磁ブレーキ・電磁攪拌兼用コイルの検討結果を示す。表1中の「鋳型短辺からの距離」は、鋳型短辺に沿う方向の電磁力が、鋳型長辺に沿う方向の電磁力以上となる位置の鋳型短辺からの距離を示す。また、「電磁力」はその位置における長辺に沿う方向の電磁力を,「流速」は鋳型短辺から鋳型長辺方向に50mm離れた位置の溶鋼流速を示す。
表1から、鋳型幅が電磁コイルの幅より大きくなるに従い、鋳型短辺に沿う方向の電磁力が、鋳型長辺に沿う方向の電磁力よりも大きい領域は広くなり、電磁力が小さくなることが分かる。
よって、この領域が狭すぎると溶鋼の流速を低減することができないので、ブレイクアウトの発生率が高くなり、この領域が広すぎるとブレイクアウトの発生率を低減することはできるが、溶鋼の流速が低下しすぎて鋳型の隅部まで攪拌することが不可能となる。
以上より、ブレイクアウトが発生する確率を低くするためには、鋳型近傍の溶鋼流速を10cm/s以下とすることが望ましく、攪拌性能として5cm/s以上の溶鋼流速が望ましい。
図12は、上記表1から前記電磁力の比が1以上となる鋳型短辺からの距離と、鋳型短辺に沿う方向の溶鋼流速の関係を示した図である。この図12から、溶鋼流速が5cm/s以上10cm/s以下となるのは、鋳型短辺から鋳型長辺の中心方向に5mm以上、88mm以下の領域であることが分かる。
図13は、上記表1から鋳型幅と電磁ブレーキ・電磁攪拌兼用コイル幅の差と溶鋼流速の関係を示した図である。この図13から、鋳型幅と電磁ブレーキ・電磁攪拌兼用コイル幅の差が−160mmから+310mmの範囲であれば、溶鋼流速が5cm/s以上、10cm/s以下となることが分かる。
本発明は上記した例に限らないことは勿論であり、各請求項に記載の技術的思想の範疇であれば、適宜実施の形態を変更しても良いことは言うまでもない。
例えば、電磁ブレーキ・電磁攪拌兼用コイルを適用する場合、交流電流は3相でなくても、電流位相差が90度から120度であればそれ以上でも良い。
以上の本発明は、浸漬ノズルを使用する連続鋳造であれば、湾曲型、垂直型など、どのような方式の連続鋳造であっても適用できる。
ブルームを連続鋳造する際の電磁攪拌における電磁力分布(a図)と流速分布(b図)を示した図である。 スラブを連続鋳造する際の電磁攪拌における電磁力分布(a図)と流速分布(b図)を示した図である。 ブルームを連続鋳造する際の電磁攪拌における鋳型長辺に沿う方向の電磁力に対する鋳型短辺に沿う方向の電磁力の比の分布を示した図である。 リニア型電磁コイルに印加する3相交流電流の模式図である。 鋳型長辺から鋳型短辺に沿う方向に2mm離れた位置におけるメニスカス位置(破線)と吐出孔位置(実線)の鋳型長辺に沿う方向の電磁力分布を示した図である。 リニア型電磁コイルの短辺側のコイルに印加する電流を逆位相化した場合の図5と同様の図である。 鋳型短辺側のコイルに印加する電流を逆位相化した場合の、鋳型長辺に沿う方向の電磁力に対する鋳型短辺に沿う方向の電磁力の比の分布を示した図である。 リニア型電磁コイルで逆位相化するコイルの数と、鋳型長辺に沿う方向の電磁力に対する鋳型短辺に沿う方向の電磁力の比の分布の関係を調査した結果を示した図である。 解析に使用した電磁ブレーキ・電磁攪拌兼用コイルの形状を説明する図である。 兼用コイルに4.0Hzの交流電流を45000ATurn印加した場合の、鋳型長辺から鋳型短辺に沿う方向に2mm離れた位置におけるメニスカス位置(破線)と吐出孔位置(実線)の電磁力分布を示した図である。 兼用コイルに4.0Hzの交流電流を45000ATurn印加した場合の、鋳型長辺に沿う方向の電磁力に対する鋳型短辺に沿う方向の電磁力の比の分布を示した図である。 鋳型長辺に沿う方向の電磁力に対する鋳型短辺に沿う方向の電磁力の比が1以上となる鋳型短辺からの距離と、鋳型短辺に沿う方向の溶鋼流速の関係を示した図である。 鋳型幅と兼用コイル幅の差と溶鋼流速の関係を示した図である。 一般的な連続鋳造法における鋳型内溶鋼の流動状態を模式的に示す縦断面図である。 (a)はメニスカス位置の、(b)は浸漬ノズル吐出孔位置の溶鋼の流動分布を説明する図である。 リニア型電磁コイルの適用例(特許文献1)を示した図である。
符号の説明
1 浸漬ノズル
1a 吐出孔
2 溶鋼
2a 上昇流
2b 下降流
3 鋳型
3a 短辺
3b 長辺
5a〜5d コイル
6 コア
6a ティース
11 コア部
11a ヨーク部
11b ティース部
12 内側巻き線
13 外側巻き線

Claims (2)

  1. メニスカスから浸漬ノズルの吐出孔を含む鉛直方向の範囲に設置された電磁コイルにより、鋳型内溶鋼に水平断面で電磁力を作用させて電磁攪拌しつつ、吐出孔位置の溶鋼流を加速しすぎることなく、メニスカス位置においても鋳型に沿った一様な巡回流を形成させてスラブを連続鋳造する方法において、
    前記電磁コイルとして、
    リニア型電磁コイルを使用する場合、
    このリニア型電磁コイルの、鋳型短辺から鋳型長辺の中心方向に130mm以内の吐出孔領域に位置する短辺側のコイル電流位相の進行方向を逆転して電磁攪拌することで、前記吐出孔位置の水平断面において、鋳型短辺から鋳型長辺の中心方向に50mm以上、100mm以内の領域における鋳型短辺に沿う方向の電磁力を、鋳型長辺に沿う方向の電磁力以上となるようにして電磁攪拌することを特徴とするスラブの連続鋳造方法。
  2. メニスカスから浸漬ノズルの吐出孔を含む鉛直方向の範囲に設置された電磁コイルにより、鋳型内溶鋼に水平断面で電磁力を作用させて電磁攪拌しつつ、吐出孔位置の溶鋼流を加速しすぎることなく、メニスカス位置においても鋳型に沿った一様な巡回流を形成させてスラブを連続鋳造する方法において、
    前記電磁コイルとして、
    ヨーク部から2個のティース部を突出状に設け、
    これら各ティース部は、夫々内側巻き線を施し、かつこれら内側巻き線を施した2個のティース部の外側に外側巻き線を施してひとまとめにしたものに、直流電流又は3相以上の交流電流を通電することにより、鋳型内の溶鋼に電磁ブレーキ又は電磁攪拌を行わせることを選択可能とした電磁ブレーキ・電磁攪拌兼用コイルを、
    幅が1300mm以上、1740mm以下の鋳型に使用する場合、
    前記吐出孔位置の水平断面、鋳型短辺から鋳型長辺の中心方向に、鋳型幅に応じて56.2mm以上、87.3mm以下となる点から鋳型短辺に至る領域において、鋳型短辺に沿う方向の電磁力が鋳型長辺に沿う方向の電磁力以上となるようにして電磁攪拌することを特徴とするスラブの連続鋳造方法。
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