JP4437315B2 - 合成樹脂製ブロー成形容器。 - Google Patents

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本発明は、定形の外殻を形成する合成樹脂製の外層と、この外層に剥離自在に積層し、内袋を形成する可撓性合成樹脂製の内層とから成るブロー成形容器の内、特に容器の口筒部に、外層と内層との間に外気を導入する吸気孔を開設した、易剥離積層合成樹脂製ブロー成形容器に関するものである。
口筒部の外層部分に、外気導入用の吸気孔を開設した、易剥離積層合成樹脂製ブロー成形容器(以下、デラミボトルと記す)が知られているが、この口筒部に吸気孔を開設したデラミボトルにあっては、口筒部における内層部分の肉厚が他の部分に比べて大きいことから、外層部分に対する内層部分の密着程度が強く、このため口筒部における外層部分と内層部分との剥離が円滑に行われず、内部に発生した負圧により、デラミボトルに外観体裁の悪い不正陥没変形が発生する、と云う不都合があった。
上記した不都合を解消するものとして、特許文献1にはデラミボトルの口筒部における内層部分の上端部を、口筒部の外層部分の上端面との間に所望の隙間を空けてフランジ状に構成し、口筒部に対するポンプ付きキャップ等の組付けを利用して、口筒部における外層部分と内層部分との間にずれ変位を発生させて、この外層部分と内層部分との剥離を促進させ、かつ内層部分のフランジ状となった上端部を、キャップと外層部分との間で強固に挟持することにより、口筒部における外層部分に対する内層部分の安定した組付きを確保する技術が提案されている。なお、特許文献2には、ポンチカッタを用いて口筒部の外層部分に吸気孔を開口する方法についての記載がある。
特開平8−80929号公報 特開平8−310534号公報
しかしながら、上記した特許文献1に記載のある従来技術にあっては、口筒部の外層部分と内層部分との間に、強制的にずれ変位を発生させることにより、確かに外層部分と内層部分との剥離を促進させることができるのであるが、口筒部における内層部分の肉厚が、他の部分に比べて大きいことから、必ずしもその剥離動作が円滑に達成されるとは限らず、また剥離後に密着状態に復帰して、再剥離動作が円滑に行われない場合がある、と云う問題があった。
すなわち、口筒部における内層部分は、その肉厚が大きい分、剛性が高く、このため外層部分からの剥離を達成するための反転湾曲変形に、比較的大きな圧力を必要とし、また上記したように剛性が高いので、弾性復帰力も大きく、このため剥離後に密着状態に復帰してしまうことがある。
口筒部における内層部分が外層部分に再密着しても、外層部分と内層部分とは既に剥離したものであるので、状態に変化がなければ再剥離は容易に達成できるはずであるが、吸気孔に湯水が侵入すると、この湯水の表面張力の作用により、外層部分に対する内層部分の再剥離がきわめて困難となるのである。
そこで、本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく創案されたもので、デラミボトルの口筒部における外層部分に対して、内層部分を予め剥離させておくと共に、この剥離状態を保持することを技術的課題とし、もってデラミボトルにおける外層と内層との間への外気の導入通路を確保し、これにより内容液注出に伴う、容器の不正変形の発生を確実に防止することを目的とする。
上記技術的課題を解決する本発明の内、第1の発明の手段は、
定形の外殻を形成する合成樹脂製の外層と、この外層に剥離自在に積層し、内袋を形成する可撓性合成樹脂製の内層とから成るブロー成形容器であること、
口筒部の外層部分に吸気孔を貫通開口いていること、
外層部分の吸気孔開口縁の内表面近傍部分を反り返り状に塑性変形させて前記外層部分の内表面から突出する突出部を形成すること、
この突出部で吸気孔付近の内層部分を外層部分から押し離し状態とし、内層部分と外層部分との間に剥離空間を形成する構成とすること、
にある。
第1の発明の上記構成により、容器の口筒部の外層部分に開設された吸気孔開口縁の内表面近傍部分を反り返り状に塑性変形させて、外層部分の内表面から突出形成された突出部により、吸気孔付近の内層部分を外層部分内表面から押し離して、外気が自由に侵入する剥離空間を形成するので、この剥離空間により外層と内層との間への外気の侵入路が確実に、安定的に確保される。
第2の発明は、第1の発明において、外層部分の吸気孔開口縁の下部の内表面近傍部分を反り返り状に塑性変形させて、外層部分の内表面から斜め下方に突出する突出部を形成すること、にある。
第2の発明の上記構成により、突出部が内表面の開口縁の下部から斜め下方に突出するので、口筒部の下端部から肩部にかけての部分に剥離空間を予め形成することができ、使用時における内層部分の外層部分からの剥離をよりスムーズに進行させることができる。
第3の発明は、第2の発明において、口筒部の外層部分に横方向に貫通開口した吸気孔に棒状のピンを、外層部分の外側斜め上方から内側斜め下方に、この外層部分の吸気孔開口縁の上部外表面近傍部分と下部内表面近傍部分を塑性変形させながら強引に押し込んで、突出部を形成すること、にある。
この第3の発明の構成は、外層部分の吸気孔開口縁の下部において、内表面近傍部分を反り返り状に塑性変形させて、外層部分の内表面から斜め下方に突出する突出部を形成するための具体的な手段の一つである。口筒部の外層部分にポンチカッタ等で横方向に予め貫通開口した吸気孔に、金属製の棒状のピンを治具を使用して強引に押し込むことにより、外層部分の吸気孔開口縁の下部内表面近傍部分を反り返り状に塑性変形させながら、容易に外層部分内表面から斜め下方に突出する突出部を形成することができる。
本発明は、上記した構成となっているので、以下に示す効果を奏する。
第1の発明にあっては、外層部分の内表面から突出形成された突出部により、吸気孔付近の内層部分を外層部分内表面から押し離して、外気が自由に侵入する剥離空間を形成するので、この剥離空間により外層と内層との間への外気の侵入路が確実に、安定的に確保される。
第2の発明にあっては、突出部が開口縁の下部から斜め下方に突出するので、口筒部の下端部から肩部にかけての部分に剥離空間を予め形成することができ、使用時における内層部分の外層部分からの剥離をよりスムーズに進行させることができる。
第3の発明にあっては、横方向に予め貫通開口した吸気孔に、棒状のピンを、治具を使用して強引に押し込むことにより、外層部分の吸気孔開口縁の下部内表面近傍部分を反り返り状に塑性変形させながら、容易に外層部分内表面から斜め下方に突出する突出部を形成することができる。
以下、本発明の一実施例を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明による合成樹脂製ブロー成形容器の実施形態例を示す要部半縦断面図であり、注出ポンプ19を組付けた状態で示してある。デラミボトルである容器1は、定形の外殻を形成する合成樹脂製の外層2と、この外層2に剥離自在に積層し、内袋を形成する可撓性合成樹脂製の内層3との積層壁構造を有する。そして有底筒状の胴部7の上端に、上方に縮径したテーパー筒状の肩部6を介して、外周面に螺条を突設し、この螺条の下位の外層2部分に、吸気孔5を開設した口筒部4を連設した構成となっている。
容器1に対する、ノズルヘッド20を有する注出ポンプ19の組付けは、注出ポンプ19の本体部を容器1内に挿入した状態で、注出ポンプ19の本体部の上端部に形成された外鍔状の組付きフランジ21を、パッキング片22を介して口筒部4の上端面上に載置し、この組付きフランジ21を、口筒部4にその螺合筒壁17で外装螺合するキャップ16の内鍔状の頂壁片18で口筒部4の上端面に押付けて達成される。
図2は図1中の吸気孔5近傍を拡大して示す要部拡大縦断面図である。
外層2部分の吸気孔5開口縁の下部内表面近傍部分13aを反り返り状に塑性変形させて(図3(b)参照)、突出部11を外層2部分の内表面2aから斜め下方に突出して形成している。
そしてこの突出部11が吸気孔5近傍から肩部6にかけての内層3部分を外層2部分から強制的に剥離させながら押し離して、内層3部分と外層2部分との間に剥離空間Sが形成されている。
ここで、突出部11はそれほど大きくはないので、形成される剥離空間Sは肩部6にかけて大きく広がってはいないが、小さな空間であってもこの剥離空間Sによって剥離進行の起点としての機能が発揮され、使用時における内層3部分の外層2部分からの剥離をスムーズに進行させることができる。
図3は、上記実施例の突出部11を形成する方法の一例を示す説明図である。図3(a)はポンチカッタで口筒部4の外層2部分に横方向に吸気孔5を貫通開口した状態である。そして図3(b)はこの吸気孔5に、外側斜め上方から内側斜め下方に向かって、外層2部分の吸気孔5開口縁の上部外表面近傍部分12を
押し潰しながら金属製の棒状のピンPを強引に押し込んだ状態を示すものであり、外層2部分の、吸気孔5開口縁の下部内表面近傍部分13aを反り返り状に(図3(b)中の黒矢印参照)塑性変形させながら、突出部11が形成される。
図3(c)は、図3(b)の状態からピンPを引き抜いた状態であり、塑性変形により形成された突出部11はその形状を保持したままであるので、ピンPを引き抜いた状態でも、内層3部分が再び外層2部分との密着状態に復帰することなく、剥離空間Sが形成した状態を確実に維持することができる。
以上、実施例を用いて本願発明を説明したが、本願発明はこの実施例に限定されるものではない。たとえば突出部は外層部分の内表面から突出した状態であればその機能を発揮できるので、上記実施例のように必ずしも突出部を吸気孔開口縁の下部から斜め下方に突出させる必要はない。また、ポンチカッタ自体の先端部を適宜な形状とすることにより、吸気孔を貫通開口すると同時に突出部を形成することも可能である。また、本実施例では本発明のブロー成形容器に注出ポンプを取り付けた状態のものについて記載したが、本発明の容器はポンプを使用しないスクイズタイプのデラミ容器としても使用することができる。
以上説明したように本発明の合成樹脂製ブロー成形容器は、突出部の作用により外層と内層との間への外気の侵入路を容易に確保することができ、使い勝手の良いデラミ容器を提供でき、より広い分野での展開が期待される。
本発明の容器の一実施例を示す要部縦半断面図である。 図1中の吸気孔近傍を拡大して示す要部拡大縦断面図である。 突出部を形成する方法の一例を示す説明図である。
1 ; 容器
2 ; 外層
2a ; 内表面
3 ; 内層
4 ; 口筒部
5 ; 吸気孔
6 ; 肩部
7 ; 胴部
11 ;突出部
12;上部外表面近傍部分
13;内表面近傍部分
13a;下部内表面近傍部分
16 ; キャップ
17 ; 螺合筒壁
18 ; 頂壁片
19 ; 注出ポンプ
20 ; ノズルヘッド
21 ; 組付きフランジ
22 ; パッキング片
S ; 剥離空間
P ; ピン

Claims (2)

  1. 定形の外殻を形成する合成樹脂製の外層(2)と、該外層(2)に剥離自在に積層し、内袋を形成する可撓性合成樹脂製の内層(3)とから成るブロー成形容器であって、口筒部(4)の外層(2)部分に吸気孔(5)を貫通開口し、前記外層(2)部分の吸気孔(5)開口縁の下部において内表面近傍部分(13)を反り返り状に塑性変形させて前記外層(2)部分の内表面(2a)から斜め下方に突出する突出部(11)を形成し、該突出部(11)で前記吸気孔(5)付近の内層(3)部分を外層(2)部分から押し離し状態とし、該内層(3)部分と外層(2)部分との間に剥離空間(S)を形成する構成とした合成樹脂製ブロー成形容器。
  2. 口筒部(4)の外層(2)部分に横方向に貫通開口した吸気孔(5)に棒状のピン(P)を、前記外層(2)部分の外側斜め上方から内側斜め下方に、該外層(2)部分の吸気孔(5)開口縁の上部外表面近傍部分(12)と下部内表面近傍部分(13a)を塑性変形させながら強引に押し込んで、突出部(11)を形成した請求項記載の合成樹脂製ブロー成形容器。
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