JP4436840B2 - 振動抑制装置、および振動抑制装置を備えたディスク装置 - Google Patents
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Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動を吸収して抑制する振動抑制装置、および振動抑制装置を備えたディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばCD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)、HD(Hard Disk)などのディスク状記録媒体を回転駆動し、情報を適宜読み出しあるいは記録するディスク装置が広く利用されている。このディスク状記録媒体の回転の際、回転振動のためにディスク状記録媒体が振動し、情報の読み出しあるいは記録に支障をきたす場合がある。そこで、ディスク状記録媒体の回転振動を低減する構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載のディスク装置は、回転振動するスピンドルが設けられたベースシャシをゴム製の第1のダンパを介して、マウントねじによりメインシャシに取り付け、また、ベースシャシに第2のダンパおよび第2のダンパを圧縮または弛緩する圧電アクチュエータを介して動吸振子を取り付けている。このような装置では、圧電アクチュエータにより第2のダンパを圧縮または弛緩することで第2のダンパを変形させ、スピンドルの回転振動に対する第1次共振周波数を変化させる。これにより、ベースシャシと動吸振器との振動を逆位相にしてベースシャシの振動を低減している。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−256762号公報(第3頁右欄−第4右欄)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載のようなディスク装置では、第1のダンパの弾力性を確保するために剛性を小さくする、すなわち柔らかくすると、ディスク装置のトレイに載置されるディスク状記録媒体とトレイの壁との相対位置にばらつきが生じるという問題が起こりうる。また、ディスク状記録媒体の載置面を水平面に対して略垂直に立てる、いわゆる縦置き時には、ディスク状記録媒体とトレイ壁とが干渉してしまうおそれもある。
[0006]
このような問題に対して、第1のダンパの剛性を強くする、すなわち硬くしたり、第1のダンパに損失係数の大きい素材、すなわち振動の吸収率が大きい素材を適用したりする構成が考えられる。第1のダンパを硬くする構成では、ダンパを硬くすればするほど、スピンドルの回転振動により発生するベースシャシの振動の振幅が小さくなり、ディスク状記録媒体とトレイ壁との相対位置のばらつきが小さくなる。しかしながら、ベースシャシの振動の量が多くなってしまうため、振動G値が大きくなる、すなわちベースシャシの振動量が多くなるという問題が一例として挙げられる。
[0007]
また、第1のダンパを損失係数の大きい素材を用いると、スピンドルを高回転させたときにベースシャシと動吸振器とが略同位相に振動してしまい、動吸振器の効果が薄れてしまう。このため高回転時にベースシャシの振動G値が大きくなるという問題も一例として挙げられる。
[0008]
本発明の目的は、このような実情に鑑みて、効果的に振動を抑制する振動抑制装置、および振動抑制装置を備えたディスク装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
[0009]
本発明の振動抑制装置は、少なくとも1箇所に振動源を有し、複数の第1の弾性体を介して筐体に移動可能に取り付けられる振動体と、この振動体に第2の弾性体を介して取り付けられるとともに前記振動体の振動を抑制する動吸振器を備えた振動抑制装置であって、前記複数の第1の弾性体は、第1の硬度を有する弾性体と、前記第1の硬度に対して相対的に小さな硬度を有する弾性体との2種類で構成され、前記複数の第1の弾性体のうち、前記硬度が最も高い第1の弾性体は、前記振動体の振動源の近傍に配設されたことを特徴とする。
本発明の振動抑制装置は、少なくとも1箇所に振動源を有し、複数の第1の弾性体を介して筐体に移動可能に取り付けられる振動体と、この振動体に第2の弾性体を介して取り付けられるとともに前記振動体の振動を抑制する動吸振器を備えた振動抑制装置であって、前記複数の第1の弾性体のうち、少なくとも2つの第1の弾性体は、損失係数が互いに異なる素材にて形成され、前記損失係数が最も大きい第1の弾性体は、前記振動源の近傍に配設されたことを特徴としてもよい。
[0010]
本発明のディスク装置は、前述した本発明の振動抑制装置と、前記筐体の正面に形成され、ディスク状の記録媒体を出し入れ可能な記録媒体挿入口と、ディスク状の記録媒体に記録された情報を少なくとも再生あるいは記録する記録再生処理部と、を備えたディスク装置であって、前記振動源は、前記記録媒体を回転させる回転駆動部、および前記ディスク状の記録媒体を係合する係合部を備え、前記振動体は、前記回転駆動部をディスク状の記録媒体のディスク面に対して進退させることを特徴とする。
[0011]
本発明の振動抑制装置は、少なくとも1箇所に振動源を有し、複数の第1の弾性体を介して筐体に取り付けられる振動体と、この振動体に第2の弾性体を介して取り付けられ、前記振動体の振動を抑制する動吸振体と、を備えた振動抑制装置であって、前記複数の第1の弾性体は、損失係数が相対的に大きい素材と、損失係数が相対的に小さい素材との2種類で構成され、前記複数の第1の弾性体のうち、損失係数が最も大きい第1の弾性体は、前記振動体の前記振動源の近傍に配置されたことを特徴としてもよい。
[0012]
本発明のディスク装置は、前述した本発明の振動抑制装置と、前記筐体に形成され、ディスク状の記録媒体を出し入れ可能な記録媒体挿入口と、ディスク状の記録媒体に記録された情報を少なくとも再生あるいは記録する記録再生処理部と、を備えたディスク装置であって、前記振動源は、前記記録媒体を回転する回転駆動部を備え、前記振動体は、前記回転駆動部をディスク面に対して進退させることを特徴としてもよい。
【図面の簡単な説明】
[0013]
[図1]本発明の第1実施形態におけるディスクドライブの分解斜視図である。
[図2]前記第1実施形態における、ディスクドライブの枠体に回路基板および下ケースを取り付けた斜視図である。
[図3]前記第1実施形態における、台座部を構成するベース部および動吸振部の斜視図である。
[図4]前記第1実施形態における、枠体とベース部との取り付け箇所を示す断面図である。
[図5]前記第1実施形態における、ベース部におけるフロートゴムの配置位置を模式的に示した概念図である。
[図6]前記第1実施形態における、全てのフロートゴムの硬度を増大させた場合におけるベース部材の振動G値とターンテーブルの回転数との関係を示したグラフである。
[図7]前記第1実施形態における、ディスク回転駆動手段の近傍の1つのフロートゴムの硬度を増大させた場合におけるベース部材の振動G値とターンテーブルの回転数との関係を示したグラフである。
[図8]前記図7の状態において、動吸振部の振動抑制効果が加わった場合におけるベース部材の振動G値とターンテーブルの回転数との関係を示したグラフである。
[図9]前記図8の状態において、ディスク回転駆動手段の近傍の1つのフロートゴムの損失係数を増大させた場合におけるベース部材の振動G値とターンテーブルの回転数との関係を示したグラフである。
【図10】前記第1実施形態の変形例を示すフロートゴムの配置位置を模式的に示した概念図である。
【図11】本発明の第2実施形態における、ベース部におけるフロートゴムの配置位置を模式的に示した概念図である。
【図12】前記第2実施形態における、全てのフロートゴムの硬度を増大させた状態におけるベース部材の振動G値とターンテーブルの回転数との関係を示したグラフである。
【図13】前記図12の状態において、全てのフロートゴムの損失係数を増大させた場合の振動G値とターンテーブルの回転数との関係を示したグラフである
【図14】前記図12の状態において硬度を増大させたうえで、1つのフロートゴムの損失係数を増大させた場合の振動G値と回転数との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0014】
15……筐体としての枠体
21……振動抑制装置としての台座部
25……回転駆動部としてのディスク回転駆動部
28……ディスク状の記録媒体としての光ディスク
45……記録再生処理部としてのピックアップ
100……ディスク装置としてのディスクドライブ
200……振動体としてのベース部
210……動吸振体としての動吸振部
211,212,213,214…第1の弾性体としてのフロートゴム
221……第2の弾性体としての弾性支持部
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態では、ディスク状記録媒体として光ディスクに情報を記録および読み出すディスク装置としてのディスクドライブを例示して説明するが、例えば携帯型のディスク装置やディスクドライブを備えた例えば映像データの録画などの記録や再生のための処理をする再生装置、記録装置あるいはゲーム機など、光ディスクに限らず、磁気ディスク、光磁気ディスクなどのいずれのディスク状記録媒体に各種情報を記録あるいは読み出すいずれのディスク装置を対象とすることができる。また、ディスク状記録媒体の平面が略水平方向に沿って装着される利用形態で説明するが、平面が略鉛直方向に沿って装着される利用形態でも適用できる。
【0016】
(ディスクドライブの構造)
図1ないし図3において、100はディスクドライブで、このディスクドライブは、金属製のケース体10を有している。このケース体10は、下面および前面が2面に亘って開口する上ケース11と、この上ケース11の下面を閉塞する下ケース12と、上ケース11の前面を閉塞する化粧板13とを有している。
【0017】
そして、上ケース11は、長方形平板状の天板部11aと、天板部11aの長手方向の両側縁に略垂直で一連に折曲形成された側板部11bと、天板部11aの長手方向の一端縁に側板部11bと同方向に略垂直で一連に折曲形成された図示しない端板部とにより、下面および前面を開口して形成されている。この上ケース11の側板部11bの下端縁には、複数箇所、例えば2箇所内方に向けて折曲形成され図示しないねじ孔が穿設された取付片部11dが設けられている。
【0018】
また、下ケース12は、上ケース11の天板部11aと略同形状の長方形平板状に形成されている。この下ケース12には、天板部11aの取付片部11dに対応して上方に向けて膨出するように屈曲され、ねじ孔12aが穿設された取付ダボ12bが設けられている。
【0019】
さらに、化粧板13は、例えばアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS;Acrylonitrile-Butadiene-Styrene)などの合成樹脂製の略板状に形成されている。この化粧板13には、一面に略垂直に突出され、先端部にそれぞれ上ケース11の側板部11bおよび下ケース12に係脱可能に係合する図示しない係合爪部が突設されている。また、化粧板13には、長手方向となる左右方向に長手状の窓部13aが開口形成されている。さらに、化粧板13には、スイッチ操作部13bと、動作確認窓13cとが設けられている。
【0020】
また、ケース体10は、図2に示すような、剛性および絶縁性を有した例えばABSなどの合成樹脂製の筐体としての枠体15を備えている。この枠体15は、上ケース11、下ケース12および化粧板13にて内部に区画される内部空間内に配設されている。そして、枠体15は、上ケース11の側板部11bの内面に密着する側面部15aと、上ケース11の端板部の内面に密着する端面部15bと、側面部15aおよび端面部15bの内面側に内方に向けて突出する支持リブ15cと、側面部15aの端面部15bと反対側の端部に架橋するように設けられた開閉駆動配設部15dとを有し、軸方向の両端面を開口する略四角枠状に形成されている。また、枠体15の側面部15aには、上ケース11の取付片部11dおよび下ケース12の取付ダボ12b間に挾持されてねじ止めされる取付リブ部15eが設けられている。
【0021】
また、この枠体15には、本体部20が配設されている。この本体部20は、例えば金属製の平板枠状に形成された振動抑制装置としての台座部21を有している。この台座部は、一縁が上下方向に回動可能に他縁が枠体15の支持リブ15cに取り付けられている。この枠体15と台座部21との間には、台座部21の一縁に沿って、回動案内部22が取り付けられている。この回動案内部22は、台座部21が一体的にねじにて取り付けられる台座部21の一縁に沿って長手状の取付保持部22aと、この取付保持部22aの長手方向の両端部に略垂直に一体的に突設され先端が枠体15の側面部15aから突出する支持リブ15cに回動可能に軸支される一対の回動腕部22bとを有している。そして、台座部21は、回動案内部22により、回動が案内される。
【0022】
また、台座部21は、図3に示すように、枠体15の支持リブ15cに取り付けられる振動体としてのベース部200と、ベース部200に対向して配設される動吸振体としての動吸振部210と、を備えている。
【0023】
ベース部200は、略矩形平板枠状に形成され、図3に示すように、4隅に第1の弾性体としてのフロートゴム211,212,213,214が設けられている。このフロートゴム211,212,213,214は、所定の肉厚寸法を有する略円筒状に形成されていて中心軸に取付孔部215が形成されている。また、フロートゴム211,212,213,214の両端面には、図4に示すように、円筒軸の径方向に対して所定の肉厚寸法を有して突出する鍔部216が形成され、これらの一対の鍔部216でベース部200を上下方向から挟み込んでいる。さらに、鍔部216には、複数の当接突起部217が形成されている。
【0024】
また、これらのフロートゴム211,212,213,214のうち、フロートゴム211は、鍔部216に設けられる当接突起部217が、他のフロートゴム212,213,214よりも多く形成されている。これにより、フロートゴム211は、硬度が他のフロートゴム212,213,214より大きくなり、硬くなるように形成されている。
なお、ここでは、フロートゴム211の鍔部216に形成される当接突起部217の数量を多くすることで硬度を大きくしたが、これに限定されるものではない。フロートゴム211の硬度を大きくするためにはフロートゴム211と枠体15との接触面積を大きくすればよく、例えば鍔部216に形成される当接突起部217の体積を大きくして枠体15との当接面を増大させる構成としてもよい。
また、フロートゴム211の硬度を変更する構成としては、その他に鍔部216の厚み寸法を変更してもよい。この場合、例えば鍔部216の厚み寸法を大きくすると、硬度が減少し、鍔部216の厚み寸法を小さくすると硬度が増大する。さらには、フロートゴム211を構成する材料を変更することで、硬度を変更してもよい。
【0025】
さらに、フロートゴム211は、他のフロートゴム212,213,214に比べて振動に対する損失係数が大きい素材、すなわち振動を効率よく吸収する素材で形成されていることが好ましい。損失係数の大きい素材としては、例えばスチレン系エラストマーなどが挙げられる。また、これに対して、フロートゴム212,213,214は、損失係数の小さい素材で形成されていることが好ましい。損失係数の小さい素材としては、例えばシリコンゴムやブチルゴムなどが挙げられる。
【0026】
そして、これらのフロートゴム211,212,213,214は、枠体15の端面部15bから突出する支持リブ15cに設けられる支持ボス15fを取付孔部215に嵌挿させ、支持ボス15fの先端側からビス止めなどして、枠体15に取り付けられる。
この時、フロートゴム211,212は端面部15b側に形成される支持ボス15fに嵌挿され、フロートゴム213,214は化粧板13側の支持ボス15fに嵌挿される。ベース部200は、化粧板13側の一縁が上下方向に回動可能に取り付けられる。そして、この回動により、光ディスク28をディスクトレイ16に載置して装置に格納した際に、ベース部200に設けられる後述する記録再生手段41のピックアップ45は、フォーカス方向、すなわち光ディスク28のディスク面に対して略垂直となる方向に移動可能となる。
また、フロートゴム211,212,213,214は、ディスクドライブを駆動させた際に、光ディスク28がトレイ16の壁面や光ディスク28格納するカートリッジなどに干渉しないサイズに形成されている。
【0027】
ベース部200には、化粧板13側の一縁側に位置して回転駆動部としてのディスク回転駆動手段25が配設されている。
ディスク回転駆動手段25は、例えばスピンドルモータなどの回転用電動モータ26と、この回転用電動モータ26の図示しない出力軸に一体的に設けられた一方の挾持部材としてのターンテーブル27とを有している。このターンテーブル27は、光ディスク28の中心に開口形成された軸孔28aに嵌挿する略円柱状の回転軸27aと、この回転軸27aの外周面にフランジ状に突設され光ディスク28の軸孔28a周縁が載置される鍔部27bとを有している。そして、ターンテーブル27の回転軸27aの先端部には、図示しない磁石が埋設されている。
【0028】
また、ベース部200には、移動手段31が配設されている。
移動手段31は、一対のガイドシャフト32および移動用電動モータ33を備えている。そして、一対のガイドシャフト32は、台座部21の軸支された他縁から回動側の一縁へ向けた方向に軸方向を有して配設されている。さらに、移動用電動モータ33は、図示しない出力軸の軸方向がガイドシャフト32の軸方向に沿う状態で配設されている。この移動用電動モータ33の出力軸の外周面には、螺旋状に図示しない係合溝が設けられている。
【0029】
さらに、移動手段31には、記録再生手段41が配設されている。
記録再生手段41は、一対のガイドシャフト32に架橋する状態で保持された図示しない移動保持部を有している。この移動保持部には、ガイドシャフト32を移動可能に嵌挿する図示しない保持部と移動用電動モータ33の出力軸の係合溝に係合する図示しない移動規制爪部が設けられている。また、記録再生手段41の移動保持部には、図示しない光源と、この光源からの光を収束するレンズと、光ディスク28から反射された光を検出する図示しない光センサとを備えた記録再生処理部としてのピックアップ45が配設されている。
【0030】
動吸振部210は、金属製の平板枠状に形成されている。また動吸振部210の角部には、図示しない孔部が形成されており、これと対応してベース部200の角部にも図示しない孔部が形成されている。そして、第2のダンパ部材としての弾性支持部材221を介して、これらの孔部をビス止めし、動吸振部210をベース部200に取り付けている。また、弾性支持部材221は、高反発系のシリコンゴムなどの弾性を有するゴム部材で形成されている。そして、ベース部200が振動すると、弾性支持部材221はこの振動を吸収して、ベース部200の振動とは略逆位相の振動が動吸振部210に伝達される。これにより、動吸振部210の振動とベース部200の振動とは互いに打ち消しあい、ベース部200の振動G値が低減される。
【0031】
また、枠体15には、この枠体15の内側に支持リブ15cの上方側で水平方向に進退可能に移動するディスクトレイ16が配設されている。
ディスクトレイ16は、図1に示すように、例えば合成樹脂にて略長方形板状に形成されたトレイであるトレイ部16aを有している。このトレイ部16aの一面には、上方に向けて拡開する略円形凹状で光ディスク28が載置可能な平面部である平面16aaを有し光ディスク28を収容する載置凹部16a1が設けられている。また、トレイ部16aには、載置凹部16a1の略中央から外周縁に亘って本体部20のディスク回転駆動手段25および記録再生手段41に対応して開口する開口部16a2が形成されている。さらに、トレイ部16aには、移動するピックアップ45が接触することなく挿入可能な凹状で、開口部16a2の載置凹部16a1の外周側にこの開口部16a2に連続する開口部としての凹状の外側開口部としての凹部16a3が切欠形成されている。この凹部16a3は、収容空間18に収容された光ディスク28の最外周に記録された情報を読み取りあるいは最外周の位置に情報を記録する際にピックアップ45が光ディスク28の最外周に対応して位置してもトレイ部16aに当接しないように形成されている。そして、このトレイ部16aの長手方向の一縁には、化粧板13と同材質にて形成され、ケース体10の化粧板13の窓部13aを閉塞する長手板状の窓閉塞板部16bが着脱可能に取り付けられている。
【0032】
そして、枠体15には、図1に示すように、開閉駆動配設部15dに位置して開閉駆動手段50が配設されている。
開閉駆動手段50は、互いに係合して開閉駆動配設部15dに回転自在に軸支された駆動伝達プーリ52、この駆動伝達プーリ52に係合する駆動伝達ギヤ53、およびこの駆動伝達ギヤ53に係合するとともにディスクトレイ16に係合する移動ギヤ54を有している。また、開閉駆動手段50には、出入用電動モータ55を備えている。この出入用電動モータ55の出力軸55aには、プーリ56が一体的に設けられている。このプーリ56と駆動伝達プーリ52とには無端ベルト57が掛け渡され、出入用電動モータ55の駆動により、プーリ56、駆動伝達プーリ52、駆動伝達ギヤ53および移動ギヤ54が回転し、ディスクトレイ16が化粧板13の窓部13aから進退可能に移動される。
【0033】
また、開閉駆動手段50は、枠体15の開閉駆動配設部15dに側面部15aの対向方向に沿って移動可能に配設された移動カム58を有している。この移動カム58は、台座部21に一体的に取り付けられた回動案内部22に係合するとともに、駆動伝達ギヤ53に係合し、出入用電動モータ55の駆動にて駆動伝達ギヤ53が回転すると、移動カム58が移動して台座部21を上下方向に回動させる。なお、移動カム58は、ディスクトレイ16が後退して枠体15内に位置する状態で台座部21を上方に回動させ、ディスクトレイ16が進退移動する際には、台座部21が下方に回動されてディスクトレイ16と干渉しないようになっている。
【0034】
そして、上述したディスク回転駆動手段25、移動手段31、記録再生手段41および開閉駆動手段50により、本体部20が構成される。
【0035】
また、枠体15には、側面部15a間に架橋する状態でねじにて固定される覆い体としての支持部材である回転子支持部材17が設けられている。
回転子支持部材17は、図1に示すように、例えば金属板がプレス加工されて形成され、周縁が一面側に拡開する状態に傾斜して略薄型皿状に形成されている。そして、回転子支持部材17の一縁がディスクトレイ16の載置凹部16a1に対応する円弧状に形成され、載置凹部16a1を略覆って光ディスク28が収容される収容空間18を区画形成する。また、回転子支持部材17には、円弧状の一縁の中心と略同位置となる略中央に、ディスク回転駆動手段25のターンテーブル27に対向する位置に上方に向けて凹状の支持凹部17aが設けられている。この支持凹部17aの略中央には、支持孔17bが開口形成されている。この回転子支持部材17の支持凹部17aには、他方の挾持部材としての回転子29が回転可能に載置されている。そして、回転子29は、略円盤状で、外周縁が支持孔17bの周縁に係合可能に形成されている。また、この回転子29には例えば金属板などの図示しない磁性材料が一体的に取り付けられ、回転子29はターンテーブル27の磁石の磁力にて光ディスク28をターンテーブル27とにより挾持する。
【0036】
また、枠体15には、図1に示すように、回路基板60が取り付けられている。
回路基板60は、枠体15に設けられた図示しない基板取付爪部により係脱可能に取り付けられる。回路基板60は、ケース体10の下ケース12と略同寸法の平板状で、枠体15の下面を閉塞して本体部20を覆うように取り付けられる。この回路基板60には、本体部20の動作を制御する制御回路が搭載されている。
【0037】
(フロートゴムの特性と配置位置)
次に、ベース部200と枠体15との間に設けられるフロートゴムの特性と配置位置について図面に基づいて説明する。
以下の説明で、振動G値とは、ベース部200の振動の量を示す値であり、振動G値が増大するとベース部200の振動の量が多くなり、光ディスク28に記録された情報の再生処理、または情報の記録処理においてエラーの原因となるおそれがある。
【0038】
図6において、実線は4つのフロートゴム211,212,213,214の硬度を低く設定した場合の回転数と振動G値との関係を示し、破線は、4つのフロートゴム211,212,213,214の硬度を増大させた場合の回転数と振動G値との関係を示している。
図7において、実線はフロートゴム211の硬度のみを増大させたときの回転数と振動G値との関係を示し、一点鎖線は4つのフロートゴム211,212,213,214の硬度を低く設定した場合の回転数と振動G値との関係を示し、破線は図6で示した破線と同様に4つのフロートゴム211,212,213,214の硬度を増大させた場合の回転数と振動G値との関係を示している。
図8において、実線は動吸振部210の振動抑制効果を加味した回転数と振動G値との関係を示し、破線は図7の実線と同様にフロートゴム211の硬度のみを増大させた場合の回転数と振動G値との関係を示している。
図9において、破線は図8に示す実線と同様、動吸振部210の振動抑制効果を加味した回転数と振動G値との関係を示し、実線は、フロートゴム211の硬度を増大させたうえに損失係数を増大させた場合の回転数と振動G値との関係を示している。
[0039]
図6に示すように、4つのフロートゴム211,212,213,214の硬度を増大させると、ターンテーブル27の回転数が低回転の時は、ベース部200の振動G値が低下するが、ターンテーブル27の回転数が中回転以上になるとベース部200の振動G値が大きくなってしまう。このため、フロートゴム211,212,213,214の全ての硬度を大きくすると、ベース部200の振動の量が増大し、光ディスク28の情報の読書きの際に読み込みエラーや書き込みエラーなどの障害を引き起こすおそれがある。
[0040]
また、図7に示すように、全てのフロートゴム211,212,213,214の硬度を増大させた場合に対して、フロートゴム211,212,213,214のうちターンテーブル27に近いフロートゴム211の硬度のみを増大させた場合、ターンテーブル27の中回転時および高回転時におけるベース部200の振動G値の増加を抑えられる。
[0041]
また、フロートゴム211のみの硬度を増大させることで、ベース部200はこのフロートゴム211を回転軸とした安定した振幅で振動する(図5中の矢印Sに示す振動)。このようにベース部200の振動を安定させることにより、振動量、振幅が低減される。なお、ここでは、フロートゴム211の硬度を増大させる例を示したが、これに限定されない。例えば振動源であるターンテーブル27からの距離が近いフロートゴム212の硬度を増大させる構成であってもよい。
[0042]
さらに、図7に示した実線の状態、すなわちターンテーブル27に近いフロートゴム211の硬度のみを増大させた状態において、動吸振部210の上述したような振動抑制効果が作用することにより、図8に示すように、ターンテーブル27の高回転時におけるベース部200の振動G値が抑制される。
なお、上記の例においては、横方向(すなわち、ベース部200の主面と平行な方向)に対して、フロートゴム211〜214の硬度を調整したが、フォーカス方向の共振周波数f0は揃っていることが好ましい。これにより水平置き時に安定した姿勢を保つことができる。
【0043】
そして、フロートゴム211を振動に対する損失係数の大きい素材で形成すると、ターンテーブル27の低回転時および中回転時においても、ベース部200の振動G値が低減される。このようなフロートゴム211,212,213,214の素材例としては、前述したように、フロートゴム211には例えばスチレン系エラストマーなどが使用でき、フロートゴム212,213,214には例えばシリコンゴムやブチルゴムなどが使用できる。このような構成により、ターンテーブル27の全回転数域において、安定した振動G値が得られる。なお、ここで、全てのフロートゴム211,212,213,214の損失係数を大きくすると、ターンテーブル27の高回転時において、ベース部200の振動と動吸振部210の振動とが略同位相となり、振動を強めてしまうため、振動G値が大きくなってしまう。このため、本実施形態では、フロートゴム211のみを損失係数の大きい素材にて形成することが好ましい。
【0044】
(ディスクドライブの動作)
次に、上記一実施形態のディスクドライブ100の動作を説明する。
まず、ディスクドライブ100に電力を供給する。そして、利用者は、化粧板13のスイッチ操作部13bを操作する。このスイッチ操作部13bの操作により、回路基板60に設けられた図示しないスイッチが開閉し、回路基板60の制御回路が開閉駆動手段50の出入用電動モータ55を駆動させる。この出入用電動モータ55の駆動により、プーリ56、駆動伝達プーリ52、駆動伝達ギヤ53および移動ギヤ54が回転し、移動ギヤ54に係合するディスクトレイ16が化粧板13の窓部13aから進出する方向に移動する。この移動の際、開閉駆動手段50の移動カム58も移動し、この移動カム58に係合する回動案内部22が下方に向けて回動し、台座部21が下方に向けて回動され、本体部20が進出するディスクトレイ16と干渉しないように待避する。
【0045】
この進出したディスクトレイ16の載置凹部16a1に光ディスク28を、この光ディスク28の記録面が下方に向く状態で載置する。この後、再び化粧板13のスイッチ操作部13bを操作し、開閉駆動手段50の出入用電動モータ55を回転駆動させ、ディスクトレイ16を窓部13a内に後退させホームポジションに位置させる。このディスクトレイ16の後退の際、下方に待避状態の本体部20が台座部21とともに移動カム58に係合する回動案内部22により上方に向けて移動される。この本体部20の上方への回動により、台座部21のベース部200に設けられたディスク回転駆動手段25のターンテーブル27の回転軸27aが光ディスク28の軸孔28aに嵌挿する。さらに、ターンテーブル27の磁石の磁力により、ターンテーブル27と回転子29との間に光ディスク28が挟持固定される。
【0046】
この状態で、回路基板60の制御回路が本体部20を制御し、ディスク回転駆動手段25の回転用電動モータ26にて回転される光ディスク28に記録された情報を、移動手段31にて適宜移動される記録再生手段41のピックアップにて読み取る、あるいは記録する。
【0047】
(ディスクドライブにおける作用効果)
上述したような本実施形態のディスクドライブ100では、ディスク回転駆動手段25を備えたベース部200と枠体15との間に設けられるフロートゴム211,212,213,214のうち、ディスク回転駆動体25から距離が近いフロートゴム211の硬度を増大させ、そしてその他のフロートゴム212,213,214の硬度を変更しないで低いままに設定した。このため、硬度の高いフロートゴム211により、ターンテーブル27の自重による変位量を制限でき、振幅を抑制できる。したがって、光ディスク28の相対位置を安定させることができ、光ディスク28がトレイ16の壁面や、光ディスク28を格納するカートリッジの壁面などに干渉することがない。これにより、光ディスク28の良好な振動を支援でき、光ディスク28の情報の読み取りや書き込みにおけるエラーを回避できる。
【0048】
そして、本実施形態では、ディスク回転駆動手段25から距離の近いフロートゴム211のみの硬度を変更した。このため、ベース部200には、フロートゴム211を回動中心とした振動Sにより振幅の安定した振動が得られる。したがって、安定した振幅の振動により、光ディスク28の相対位置を安定させることができ、光ディスク28の情報の読み取り、または書き込みのエラーを防止できる。
【0049】
さらに、ディスク回転駆動手段25から距離の近い位置にフロートゴム211が配設されるので、ディスク回転駆動手段25のターンテーブル27の回転による振動を硬度の高いフロートゴム211で抑制して、振幅を制御できる。
【0050】
そして、このようなフロートゴム211,212,213,214の硬度は、枠体15と当接する鍔部216の当接突起部217の数や体積により調整している。すなわち、当接突起部217の数量を多くしたり、体積を大きくしたりすることで当接面積を増加させることで容易に硬度を増大させることができる。また、鍔部216の厚み寸法を薄くすることでも容易に硬度を増大させることができる。このようにフロートゴム211,212,213,214は、その形状により容易に硬度を変更することができ、製作にかかるコストや手間などを低減できる。
【0051】
また、これらのフロートゴム211,212,213,214を構成する原料などの構成物の配合比を変更することで硬度を変更することも可能である。さらに、フロートゴム211,212,213,214の素材を変更することでも硬度を変更することが可能である。このようにフロートゴム211,212,213,214を構成する原料の配合比を詳細に設定することにより、さらに良好な硬度が得られる。したがって、さらにベース部200の振動を安定させることができる。
【0052】
さらに、フロートゴム211は、振動に対する損失係数の大きい素材で形成されている。このため、フロートゴム211の硬度を増大させることにより増加した、ターンテーブル27の中回転域におけるベース部200の振動G値を損失係数の大きいフロートゴム211によりベース部200の振動を吸収させて低減させることができる。したがって、ベース部200の振動G値を全体的に低減でき、安定した振動が得られる。これにより、光ディスク28の相対位置のばらつきを防止できるとともに、ベース部の振動を抑えて光ディスク28の情報の読み取り、または書き込みのエラーを防止できる。
【0053】
〔第1実施形態の変形〕
なお、本発明は、上述した第1実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲で以下に示される変形をも含むものである。
すなわち、本発明のディスクドライブ100としては、上述したように、光ディスク28を対象とした構成に限らず、磁気ディスク、光磁気ディスクなど、光や磁気などにより情報を再生あるいは記録可能ないずれのディスクを対象とすることができる。
【0054】
また、前記第1実施形態では、動吸振部210は平板枠状に形成されるとしたが、これに限らない。例えば、動吸振部は、平板状に形成されていれば、その形状は特に限定されない。すなわち、動吸振部は、ベース部の重心に対して均等に配設されていればよく、このようにすることで、ベース部の振動に対して逆位相の振動運動によりベース部の振動量を低減できる。
[0055]
また、前記第1実施形態では、フロートゴム211は、硬度および損失係数を増大させる例を示したが、これに限らない。例えばフロートゴム212の硬度のみを高く設定した構成であってもよい。この場合、他のフロートゴム、例えばフロートゴム212の損失係数を低下させたものであってもよく、全ての損失係数が同一であるものであってもよい。ただし、4つのフロートゴムの損失係数を同一で、損失係数が大きい場合、ターンテーブルの高回転時に十分に振動を吸収できず、高回転時における振動G値が増大する虞がある。
[0056]
さらに、フロートゴム211のゴムの硬度を高くして他のフロートゴム212,213,214の硬度を低くする構成を示したが、これに限らない。例えば図10に示すようにフロートゴム211、212の硬度を増大させる構成としてもよい。この場合、ベース部200のターンテーブル27側の一縁の振動Aの振幅を容易に抑えることができる。一方、フロートゴム213,214にて硬度が増大しすぎて振動G値が増加するのを防止できる。
[0057]
また、上記の構成に限らず、フロートゴム211,212,213,214がそれぞれ異なる硬度に構成されていてもよい。この場合、これらの硬度の異なるフロートゴム211,212,213,214の組み合わせにより、ベース部200の振動G値を効果的に抑制するとともに、光ディスク28の相対位置のばらつきを防止して、安定した振動を得ることができる。この場合でも、振動源であるターンテーブル27から距離が近い位置に配設されるフロートゴムの硬度を高く設定することで、ベース部200の振動の振幅を効果的に減衰させることができ、安定した振動が得られる。さらに、ターンテーブル27から距離が近い位置に配設されるフロートゴムの損失係数を増大させることで振動G値を減少させて良好な振動とすることができる。
これに対して、前記第1実施形態のようにフロートゴム211のみの硬度を増大させ、フロートゴム212,213,214の硬度を変更しない構成とすることで、各フロートゴム211,212,213,214の構成を個別に設定する必要がなく、2種類のフロートゴムを用意するのみでよいため、構成が容易になり、生産性も良好に維持できる。
[0058]
さらに、前記第1実施形態では、4つのフロートゴム211,212,213,214を用いた構成を示したが、これに限らない。例えば5つ以上のフロートゴムを用いた構成としてもよく、4つ未満のフロートゴムを用いた構成としてもよい。
その他、本発明の実施の際の具体的な構造および手順は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などに適宜変更できる。
【0059】
〔第1実施形態の効果〕
第1実施形態のディスクドライブ100では、ディスク回転駆動手段25を備えたベース部200と枠体15との間に設けられるフロートゴム211,212,213,214のうち、ディスク回転駆動体25から距離が近いフロートゴム211の硬度を増大させ、そしてその他のフロートゴム212,213,214の硬度を変更しないで低いままに設定した。
このため、硬度の高いフロートゴム211により、ターンテーブル27の自重による変位量の大きさを制限でき、振幅を抑制できる。したがって、光ディスク28の相対位置を安定させることができ、光ディスク28がトレイ16の壁面や、光ディスク28を格納するカートリッジの壁面などに干渉することがない。これにより、光ディスク28の良好な振動を支援でき、光ディスク28の情報の読み取りや書き込みにおけるエラーを回避できる。
【0060】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について図面を用いて説明する。
本実施形態は、基本構造が前記第1実施形態と同様である。このため、重複する構成については同符号を付し、重複する説明は省略する。そして、以下には前記第1実施形態と異なる構成について説明する。
【0061】
(フロートゴムの構成)
図11において、フロートゴム211,212,213,214のうち、フロートゴム211は損失係数が大きい素材、例えばスチレン系エラストマーなどにて形成され、フロートゴム212,213,214は損失係数が小さい素材、例えばシリコンゴムやブチルゴムなどにて形成されている。このように、ターンテーブル27からの最も近い位置、すなわちフロートゴム211の位置に損失係数の大きい配設されることで最も振動を受けやすい箇所での振動を抑制している。なお、フロートゴム211,212の双方が損失係数の大きい素材としてもよい。
【0062】
そして、これらのフロートゴム211,212,213,214は、枠体15の端面部15bから突出する支持リブ15cに設けられる支持ボス15fを取付孔部215に嵌挿させ、支持ボス15fの先端側からビス止めなどして、枠体15に取り付けられる。この時、フロートゴム211,212は端面部15b側に形成される支持ボス15fに嵌挿され、フロートゴム213,214は化粧板13側の支持ボス15fに嵌挿される。ベース部200は、化粧板13側の一縁が上下方向に回動可能に取り付けられる。そして、この回動により、光ディスク28をディスクトレイ16に載置して装置に格納した際に、ベース部200に設けられる後述する記録再生手段41のピックアップ45は、フォーカス方向、すなわち光ディスク28のディスク面に対して略垂直となる方向に移動可能となる。また、フロートゴム211,212,213,214は、ディスクドライブを駆動させた際に、光ディスク28がトレイ16の壁面や光ディスク28格納するカートリッジなどに干渉しないサイズに形成されている。
[0063]
以下、ディスク回転駆動手段25、移動手段31、記録再生手段41、開閉駆動手段50、本体部20、回路基板60は、前述した第1実施形態と同様である。
[0064]
(フロートゴムの特性と配置位置)
次に、ベース部200と枠体15との間に設けられるフロートゴムの特性と配置位置について図面に基づいて説明する。図12は、全てのフロートゴムの硬度を増大させた状態におけるベース部材の振動G値とターンテーブルの回転数との関係を示したグラフである。図13は、図12の状態において、全てのフロートゴムの損失係数を増大させた場合の振動G値とターンテーブルの回転数との関係を示したグラフである。図14は、図12の状態において硬度を増大させたうえで、1つのフロートゴムの損失係数を増大させた場合の振動G値と回転数との関係を示すグラフである。ここで、振動G値とは、ベース部200の振動の量を示す値であり、振動G値が増大するとベース部200の振動の量が多くなり、光ディスク28に記録された情報の再生処理、または情報の記録処理においてエラーの原因となるおそれがある。
[0065]
図12において、実線はフロートゴム211,212,213,214の硬度を低く保ったときの振動G値とターンテーブル27の回転数との関係を示し、破線はフロートゴム211,212,213,214の硬度を増大させたときの振動G値とターンテーブル27の回転数との関係を示している。図13において、実線は、4つのフロートゴム211,212,213,214の損失係数を増大させた場合の振動G値とターンテーブル27の回転数との関係を示し、破線は、図12におけるフロートゴム211,212,213,214の硬度を増大させたときの振動G値とターンテーブル27の回転数との関係を示している。図14において、実線は、図11に示したようなフロートゴム211,212,213,214の構成とした場合の振動G値とターンテーブル27の回転数との関係を示し、破線は図13における4つのフロートゴム211,212,213,214の損失係数を増大させた場合の振動G値とターンテーブル27の回転数との関係を示している。
[0066]
光ディスクの相対位置のディスクトレイ16に対する相対位置のずれやディスクトレイのトレイ壁と光ディスク28との干渉を避けるために、フロートゴム211,212,213,214の硬度を大きくすることが考えられる。
[0067]
なお、この硬度は、例えばフロートゴム211,212,213,214および支持リブ15cが当接する当接面積の大きさや、フロートゴム211,212,213,214の鍔部216の厚み寸法を変更することにより変更可能である。例えば硬度を大きくするためには、例えばフロートゴム211,212,213,214の当接突起部217の数や支持リブ15cとの当接面の大きさを増大させたり、鍔部216の厚み寸法を小さくしたりすることで容易に硬度を大きくすることができる。また、フロートゴム211,212,213,214を構成する材料を変更することで、硬度を変化させる構成としてもよい。
[0068]
なお、損失係数は、フロートゴムに用いられる素材により決定する固有の値である。したがって、損失係数を変更するには素材を変更すればよい。例えば、損失係数を増大させるには、フロートゴム211,212,213,214の素材としてスチレン系エラストマーなどを用いればよく、損失係数を小さくするには、フロートゴム211,212,213,214の素材としてシリコンゴムやブチルゴムなどを用いればよい。
[0069]
しかし、このように4つのフロートゴム211,212,213,214の硬度を全て増大させると、振動の吸収率が低下し、図12に示すように、振動G値が増大する。このように振動G値が増大すると、ベース部200の振動が吸収されず、光ディスク28への記録再生の処理に支障がでるおそれがある。
[0070]
ここで、4つのフロートゴム211,212,213,214の素材を、損失係数の大きい素材に変更すると、図13に示すように、ターンテーブル27の回転が低回転時および中回転時における振動G値が低下する。しかし、ターンテーブル27が高回転時には、ベース部の振動と動吸振部210の振動とが逆位相にならず、動吸振部210の振動抑制効果を低下させてしまい、振動G値が増大してしまう。
[0071]
これに対して、図11に示すように、4つのフロートゴム211,212,213,214の硬度を大きく設定し、さらにターンテーブル27の近傍に損失係数の大きい素材を配設し、その他のフロートゴム212,213,214は、損失係数を小さくすると、フロートゴム211にてベース部200の振動を吸収するため、ベース部200のターンテーブル27側の一縁の振動Aの振動は抑制される。また、フロートゴム212,213,214は、損失係数が小さいので、振動Bの抑制はされないが、ターンテーブル27の高回転時において動吸振部210の振動抑制作用を促し、振動G値を抑制する。このように損失係数の異なる素材を組み合わせると、図14に示すように、ターンテーブル27の低回転時から高回転時において、安定して振動G値を抑制する特性が得られる。
[0072]
なお、上記の例においては、横方向(すなわち、ベース部200の主面と平行な方向)に対して、フロートゴム211〜214の硬度を調整したが、フォーカス方向の共振周波数f0は揃っていることが好ましい。これにより水平置き時に安定した姿勢を保つことができる。
[0073]
(ディスクドライブの動作)
本実施形態のディスクドライブ100の動作は前記第1実施形態と同様である。
[0074]
(ディスクドライブにおける作用効果)
上述したような本実施形態のディスクドライブ100では、ディスク回転駆動手段25を備えたベース部200と枠体15との間に設けられるフロートゴム211,212,213,214のうち、ディスク回転駆動手段25の近くに配置されたフロートゴム211の損失係数を大きくして、その他のフロートゴム212,213,214の損失係数を小さくした。このため、損失係数の大きいフロートゴム211によりターンテーブル27の低速回転時および中速回転時における振動G値を低減でき、損失係数の小さいフロートゴム212,213,214によりターンテーブル27の高速回転時における振動G値の増大を抑制できる。したがって、ターンテーブルの低速回転時から高速回転時において安定して振動G値を抑制する特性を得ることができるので、効果的にベース部200の振動を抑制できる。
【0075】
また、本実施形態では、ディスク回転駆動手段25のターンテーブル27から距離が近いフロートゴム211を損失係数が大きい素材で形成している。このため、ターンテーブル27の振動が最も伝達する位置に損失係数の大きいフロートゴム211が位置しているので、この振動を効果的に減衰できる。したがって、ベース部200の振動G値を効率よく低減できる。
【0076】
さらに、フロートゴム211,212,213,214は、硬度が大きくなるように設定されている。このため、これらのフロートゴム211,212,213,214によりベース部200の振動の振幅が最小限に押えられるので、光ディスク28とディスクトレイ16の壁面またはディスクのカートリッジなどとの相対位置にばらつきを抑えることができ、光ディスク28がトレイ壁やカートリッジに干渉することもない。
【0077】
そして、このフロートゴム211,212,213,214の硬度を設定するために、このフロートゴム211,212,213,214の当接突起部217の数を増加させたり、当接突起部217の面積を大きくしたりして、硬度を変更している。このため、フロートゴムの形状によって容易に硬度を変更できる。
【0078】
また、フロートゴム211,212,213,214の材料配合比を変更することでも硬度を変更することができる。このように配合比を変更して硬度を変更することで、詳細な硬度の設定ができる。また、フロートゴムの形状にあわせて複数の金型を用意する必要がなく、生産性の向上が図れる。
【0079】
〔第2実施形態の変形〕
なお、本発明は、前記第2実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲で以下に示される変形をも含むものである。
すなわち、本発明のディスクドライブ100としては、上述したように、光ディスク28を対象とした構成に限らず、磁気ディスク、光磁気ディスクなど、光や磁気などにより情報を再生あるいは記録可能ないずれのディスクを対象とすることができる。
【0080】
また、前記第2実施形態では、動吸振部210は平板枠状に形成されるとしたが、これに限らない。例えば、動吸振部は、平板状に形成されていれば、その形状は特に限定されない。すなわち、動吸振部は、ベース部の重心に対して均等に配設されていればよく、このようにすることで、ベース部の振動に対して逆位相の振動運動によりベース部の振動量を低減できる。
【0081】
さらに、前記第2実施形態では、ターンテーブルは図12において4つのフロートゴム211,212,213,214のうち、フロートゴム211は損失係数が大きい素材、例えばスチレン系エラストマーなどにて形成され、フロートゴム212,213,214は損失係数が小さい素材、例えばシリコンゴムやブチルゴムなどにて形成されているとしたが、これに限らない。例えば、フロートゴム212が損失係数の大きい素材で形成され、その他のフロートゴム211,213,214が損失係数の小さい素材で形成されている構成であってもよい。また、フロートゴム211,212が損失係数の大きい素材で形成され、残りのフロートゴム213,214が損失係数の小さい素材で形成されているものであってもよい。
【0082】
また、前記第2実施形態では、図11中の右上のフロートゴム211のみを損出係数の大きな素材で形成したが、本発明では、左上のフロートゴム212のみ損失係数を大きくするものでもよく、あるいは、左右上側のフロートゴム211,212の双方の損出係数を大きくするものでもよい。
【0083】
さらに、それぞれ損失係数が異なる素材で形成されているものであってもよい。例えば、フロートゴム211に損失係数の大きい素材を用い、フロートゴム213,214に損失係数の小さい素材を用い、フロートゴム212に損失係数が中程度の素材を用いる。このように、複数種類の素材を用いて、これらのフロートゴムの配置位置を変更することで、より詳細にベース部200の損失係数を設定でき、ベース部200の振動G値をより効果的に低減させることができる。
これに対して、前記第2実施形態のようにフロートゴム211の損失係数のみを増大させ、他のフロートゴム212,213,214の損失係数を変更しない構成とすると、各フロートゴムに対して素材を変更する必要がない。したがって、損失係数の大きい素材のフロートゴム211と、その他の損失係数の小さい素材のフロートゴム212,213,214との2種類を用意すればよい。このため、生産性を良好に維持でき、コストの高騰を抑えることができる。
【0084】
また、前記第2実施形態では、4つのフロートゴム211,212,213,214の硬度を大きくしたが、これに限らない。例えば、フロートゴム211,212,213,214の硬度を硬度は低いまま、フロートゴム211の損失係数のみを変更する構成であってもよい。この様な場合でも、ターンテーブルの低回転時から高回転時における振動G値を抑制できる。また、硬度が低いために体的に振動G値が低下し、より安定な振動G値が得られ、すなわち振動を少なくできる。
【0085】
前記第2実施形態では、ベース部200に4つのフロートゴム211,212,213,214が配設された構成を示したが、これに限られない。例えば、6つのフロートゴムが配設されている構成であってもよく、またフロートゴムの数が少ない構成であってもよい。
その他、本発明の実施の際の具体的な構造および手順は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などに適宜変更できる。
【0086】
〔第2実施形態の効果〕
ディスクドライブ100は、ディスク回転駆動手段25を備えたベース部200と枠体15との間に設けられるフロートゴム211,212,213,214のうち、ディスク回転駆動手段25の近くに配置されたフロートゴム211の損失係数を大きくして、その他のフロートゴム212,213,214の損失係数を小さくした。
このため、損失係数の大きいフロートゴム211によりターンテーブル27の低速回転時および中速回転時における振動G値を低減でき、損失係数の小さいフロートゴム212,213,214によりターンテーブル27の高速回転時における振動G値の増大を抑制できる。したがって、ターンテーブルの低速回転時から高速回転時において安定した振動G値を得ることができるので、効果的にベース部200の振動を抑制できる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、振動を吸収して抑制する振動抑制装置、および振動抑制装置を備えたディスク装置として利用できる。
【0001】
本発明は、振動を吸収して抑制する振動抑制装置、および振動抑制装置を備えたディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばCD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)、HD(Hard Disk)などのディスク状記録媒体を回転駆動し、情報を適宜読み出しあるいは記録するディスク装置が広く利用されている。このディスク状記録媒体の回転の際、回転振動のためにディスク状記録媒体が振動し、情報の読み出しあるいは記録に支障をきたす場合がある。そこで、ディスク状記録媒体の回転振動を低減する構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載のディスク装置は、回転振動するスピンドルが設けられたベースシャシをゴム製の第1のダンパを介して、マウントねじによりメインシャシに取り付け、また、ベースシャシに第2のダンパおよび第2のダンパを圧縮または弛緩する圧電アクチュエータを介して動吸振子を取り付けている。このような装置では、圧電アクチュエータにより第2のダンパを圧縮または弛緩することで第2のダンパを変形させ、スピンドルの回転振動に対する第1次共振周波数を変化させる。これにより、ベースシャシと動吸振器との振動を逆位相にしてベースシャシの振動を低減している。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−256762号公報(第3頁右欄−第4右欄)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載のようなディスク装置では、第1のダンパの弾力性を確保するために剛性を小さくする、すなわち柔らかくすると、ディスク装置のトレイに載置されるディスク状記録媒体とトレイの壁との相対位置にばらつきが生じるという問題が起こりうる。また、ディスク状記録媒体の載置面を水平面に対して略垂直に立てる、いわゆる縦置き時には、ディスク状記録媒体とトレイ壁とが干渉してしまうおそれもある。
[0006]
このような問題に対して、第1のダンパの剛性を強くする、すなわち硬くしたり、第1のダンパに損失係数の大きい素材、すなわち振動の吸収率が大きい素材を適用したりする構成が考えられる。第1のダンパを硬くする構成では、ダンパを硬くすればするほど、スピンドルの回転振動により発生するベースシャシの振動の振幅が小さくなり、ディスク状記録媒体とトレイ壁との相対位置のばらつきが小さくなる。しかしながら、ベースシャシの振動の量が多くなってしまうため、振動G値が大きくなる、すなわちベースシャシの振動量が多くなるという問題が一例として挙げられる。
[0007]
また、第1のダンパを損失係数の大きい素材を用いると、スピンドルを高回転させたときにベースシャシと動吸振器とが略同位相に振動してしまい、動吸振器の効果が薄れてしまう。このため高回転時にベースシャシの振動G値が大きくなるという問題も一例として挙げられる。
[0008]
本発明の目的は、このような実情に鑑みて、効果的に振動を抑制する振動抑制装置、および振動抑制装置を備えたディスク装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
[0009]
本発明の振動抑制装置は、少なくとも1箇所に振動源を有し、複数の第1の弾性体を介して筐体に移動可能に取り付けられる振動体と、この振動体に第2の弾性体を介して取り付けられるとともに前記振動体の振動を抑制する動吸振器を備えた振動抑制装置であって、前記複数の第1の弾性体は、第1の硬度を有する弾性体と、前記第1の硬度に対して相対的に小さな硬度を有する弾性体との2種類で構成され、前記複数の第1の弾性体のうち、前記硬度が最も高い第1の弾性体は、前記振動体の振動源の近傍に配設されたことを特徴とする。
本発明の振動抑制装置は、少なくとも1箇所に振動源を有し、複数の第1の弾性体を介して筐体に移動可能に取り付けられる振動体と、この振動体に第2の弾性体を介して取り付けられるとともに前記振動体の振動を抑制する動吸振器を備えた振動抑制装置であって、前記複数の第1の弾性体のうち、少なくとも2つの第1の弾性体は、損失係数が互いに異なる素材にて形成され、前記損失係数が最も大きい第1の弾性体は、前記振動源の近傍に配設されたことを特徴としてもよい。
[0010]
本発明のディスク装置は、前述した本発明の振動抑制装置と、前記筐体の正面に形成され、ディスク状の記録媒体を出し入れ可能な記録媒体挿入口と、ディスク状の記録媒体に記録された情報を少なくとも再生あるいは記録する記録再生処理部と、を備えたディスク装置であって、前記振動源は、前記記録媒体を回転させる回転駆動部、および前記ディスク状の記録媒体を係合する係合部を備え、前記振動体は、前記回転駆動部をディスク状の記録媒体のディスク面に対して進退させることを特徴とする。
[0011]
本発明の振動抑制装置は、少なくとも1箇所に振動源を有し、複数の第1の弾性体を介して筐体に取り付けられる振動体と、この振動体に第2の弾性体を介して取り付けられ、前記振動体の振動を抑制する動吸振体と、を備えた振動抑制装置であって、前記複数の第1の弾性体は、損失係数が相対的に大きい素材と、損失係数が相対的に小さい素材との2種類で構成され、前記複数の第1の弾性体のうち、損失係数が最も大きい第1の弾性体は、前記振動体の前記振動源の近傍に配置されたことを特徴としてもよい。
[0012]
本発明のディスク装置は、前述した本発明の振動抑制装置と、前記筐体に形成され、ディスク状の記録媒体を出し入れ可能な記録媒体挿入口と、ディスク状の記録媒体に記録された情報を少なくとも再生あるいは記録する記録再生処理部と、を備えたディスク装置であって、前記振動源は、前記記録媒体を回転する回転駆動部を備え、前記振動体は、前記回転駆動部をディスク面に対して進退させることを特徴としてもよい。
【図面の簡単な説明】
[0013]
[図1]本発明の第1実施形態におけるディスクドライブの分解斜視図である。
[図2]前記第1実施形態における、ディスクドライブの枠体に回路基板および下ケースを取り付けた斜視図である。
[図3]前記第1実施形態における、台座部を構成するベース部および動吸振部の斜視図である。
[図4]前記第1実施形態における、枠体とベース部との取り付け箇所を示す断面図である。
[図5]前記第1実施形態における、ベース部におけるフロートゴムの配置位置を模式的に示した概念図である。
[図6]前記第1実施形態における、全てのフロートゴムの硬度を増大させた場合におけるベース部材の振動G値とターンテーブルの回転数との関係を示したグラフである。
[図7]前記第1実施形態における、ディスク回転駆動手段の近傍の1つのフロートゴムの硬度を増大させた場合におけるベース部材の振動G値とターンテーブルの回転数との関係を示したグラフである。
[図8]前記図7の状態において、動吸振部の振動抑制効果が加わった場合におけるベース部材の振動G値とターンテーブルの回転数との関係を示したグラフである。
[図9]前記図8の状態において、ディスク回転駆動手段の近傍の1つのフロートゴムの損失係数を増大させた場合におけるベース部材の振動G値とターンテーブルの回転数との関係を示したグラフである。
【図10】前記第1実施形態の変形例を示すフロートゴムの配置位置を模式的に示した概念図である。
【図11】本発明の第2実施形態における、ベース部におけるフロートゴムの配置位置を模式的に示した概念図である。
【図12】前記第2実施形態における、全てのフロートゴムの硬度を増大させた状態におけるベース部材の振動G値とターンテーブルの回転数との関係を示したグラフである。
【図13】前記図12の状態において、全てのフロートゴムの損失係数を増大させた場合の振動G値とターンテーブルの回転数との関係を示したグラフである
【図14】前記図12の状態において硬度を増大させたうえで、1つのフロートゴムの損失係数を増大させた場合の振動G値と回転数との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0014】
15……筐体としての枠体
21……振動抑制装置としての台座部
25……回転駆動部としてのディスク回転駆動部
28……ディスク状の記録媒体としての光ディスク
45……記録再生処理部としてのピックアップ
100……ディスク装置としてのディスクドライブ
200……振動体としてのベース部
210……動吸振体としての動吸振部
211,212,213,214…第1の弾性体としてのフロートゴム
221……第2の弾性体としての弾性支持部
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態では、ディスク状記録媒体として光ディスクに情報を記録および読み出すディスク装置としてのディスクドライブを例示して説明するが、例えば携帯型のディスク装置やディスクドライブを備えた例えば映像データの録画などの記録や再生のための処理をする再生装置、記録装置あるいはゲーム機など、光ディスクに限らず、磁気ディスク、光磁気ディスクなどのいずれのディスク状記録媒体に各種情報を記録あるいは読み出すいずれのディスク装置を対象とすることができる。また、ディスク状記録媒体の平面が略水平方向に沿って装着される利用形態で説明するが、平面が略鉛直方向に沿って装着される利用形態でも適用できる。
【0016】
(ディスクドライブの構造)
図1ないし図3において、100はディスクドライブで、このディスクドライブは、金属製のケース体10を有している。このケース体10は、下面および前面が2面に亘って開口する上ケース11と、この上ケース11の下面を閉塞する下ケース12と、上ケース11の前面を閉塞する化粧板13とを有している。
【0017】
そして、上ケース11は、長方形平板状の天板部11aと、天板部11aの長手方向の両側縁に略垂直で一連に折曲形成された側板部11bと、天板部11aの長手方向の一端縁に側板部11bと同方向に略垂直で一連に折曲形成された図示しない端板部とにより、下面および前面を開口して形成されている。この上ケース11の側板部11bの下端縁には、複数箇所、例えば2箇所内方に向けて折曲形成され図示しないねじ孔が穿設された取付片部11dが設けられている。
【0018】
また、下ケース12は、上ケース11の天板部11aと略同形状の長方形平板状に形成されている。この下ケース12には、天板部11aの取付片部11dに対応して上方に向けて膨出するように屈曲され、ねじ孔12aが穿設された取付ダボ12bが設けられている。
【0019】
さらに、化粧板13は、例えばアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS;Acrylonitrile-Butadiene-Styrene)などの合成樹脂製の略板状に形成されている。この化粧板13には、一面に略垂直に突出され、先端部にそれぞれ上ケース11の側板部11bおよび下ケース12に係脱可能に係合する図示しない係合爪部が突設されている。また、化粧板13には、長手方向となる左右方向に長手状の窓部13aが開口形成されている。さらに、化粧板13には、スイッチ操作部13bと、動作確認窓13cとが設けられている。
【0020】
また、ケース体10は、図2に示すような、剛性および絶縁性を有した例えばABSなどの合成樹脂製の筐体としての枠体15を備えている。この枠体15は、上ケース11、下ケース12および化粧板13にて内部に区画される内部空間内に配設されている。そして、枠体15は、上ケース11の側板部11bの内面に密着する側面部15aと、上ケース11の端板部の内面に密着する端面部15bと、側面部15aおよび端面部15bの内面側に内方に向けて突出する支持リブ15cと、側面部15aの端面部15bと反対側の端部に架橋するように設けられた開閉駆動配設部15dとを有し、軸方向の両端面を開口する略四角枠状に形成されている。また、枠体15の側面部15aには、上ケース11の取付片部11dおよび下ケース12の取付ダボ12b間に挾持されてねじ止めされる取付リブ部15eが設けられている。
【0021】
また、この枠体15には、本体部20が配設されている。この本体部20は、例えば金属製の平板枠状に形成された振動抑制装置としての台座部21を有している。この台座部は、一縁が上下方向に回動可能に他縁が枠体15の支持リブ15cに取り付けられている。この枠体15と台座部21との間には、台座部21の一縁に沿って、回動案内部22が取り付けられている。この回動案内部22は、台座部21が一体的にねじにて取り付けられる台座部21の一縁に沿って長手状の取付保持部22aと、この取付保持部22aの長手方向の両端部に略垂直に一体的に突設され先端が枠体15の側面部15aから突出する支持リブ15cに回動可能に軸支される一対の回動腕部22bとを有している。そして、台座部21は、回動案内部22により、回動が案内される。
【0022】
また、台座部21は、図3に示すように、枠体15の支持リブ15cに取り付けられる振動体としてのベース部200と、ベース部200に対向して配設される動吸振体としての動吸振部210と、を備えている。
【0023】
ベース部200は、略矩形平板枠状に形成され、図3に示すように、4隅に第1の弾性体としてのフロートゴム211,212,213,214が設けられている。このフロートゴム211,212,213,214は、所定の肉厚寸法を有する略円筒状に形成されていて中心軸に取付孔部215が形成されている。また、フロートゴム211,212,213,214の両端面には、図4に示すように、円筒軸の径方向に対して所定の肉厚寸法を有して突出する鍔部216が形成され、これらの一対の鍔部216でベース部200を上下方向から挟み込んでいる。さらに、鍔部216には、複数の当接突起部217が形成されている。
【0024】
また、これらのフロートゴム211,212,213,214のうち、フロートゴム211は、鍔部216に設けられる当接突起部217が、他のフロートゴム212,213,214よりも多く形成されている。これにより、フロートゴム211は、硬度が他のフロートゴム212,213,214より大きくなり、硬くなるように形成されている。
なお、ここでは、フロートゴム211の鍔部216に形成される当接突起部217の数量を多くすることで硬度を大きくしたが、これに限定されるものではない。フロートゴム211の硬度を大きくするためにはフロートゴム211と枠体15との接触面積を大きくすればよく、例えば鍔部216に形成される当接突起部217の体積を大きくして枠体15との当接面を増大させる構成としてもよい。
また、フロートゴム211の硬度を変更する構成としては、その他に鍔部216の厚み寸法を変更してもよい。この場合、例えば鍔部216の厚み寸法を大きくすると、硬度が減少し、鍔部216の厚み寸法を小さくすると硬度が増大する。さらには、フロートゴム211を構成する材料を変更することで、硬度を変更してもよい。
【0025】
さらに、フロートゴム211は、他のフロートゴム212,213,214に比べて振動に対する損失係数が大きい素材、すなわち振動を効率よく吸収する素材で形成されていることが好ましい。損失係数の大きい素材としては、例えばスチレン系エラストマーなどが挙げられる。また、これに対して、フロートゴム212,213,214は、損失係数の小さい素材で形成されていることが好ましい。損失係数の小さい素材としては、例えばシリコンゴムやブチルゴムなどが挙げられる。
【0026】
そして、これらのフロートゴム211,212,213,214は、枠体15の端面部15bから突出する支持リブ15cに設けられる支持ボス15fを取付孔部215に嵌挿させ、支持ボス15fの先端側からビス止めなどして、枠体15に取り付けられる。
この時、フロートゴム211,212は端面部15b側に形成される支持ボス15fに嵌挿され、フロートゴム213,214は化粧板13側の支持ボス15fに嵌挿される。ベース部200は、化粧板13側の一縁が上下方向に回動可能に取り付けられる。そして、この回動により、光ディスク28をディスクトレイ16に載置して装置に格納した際に、ベース部200に設けられる後述する記録再生手段41のピックアップ45は、フォーカス方向、すなわち光ディスク28のディスク面に対して略垂直となる方向に移動可能となる。
また、フロートゴム211,212,213,214は、ディスクドライブを駆動させた際に、光ディスク28がトレイ16の壁面や光ディスク28格納するカートリッジなどに干渉しないサイズに形成されている。
【0027】
ベース部200には、化粧板13側の一縁側に位置して回転駆動部としてのディスク回転駆動手段25が配設されている。
ディスク回転駆動手段25は、例えばスピンドルモータなどの回転用電動モータ26と、この回転用電動モータ26の図示しない出力軸に一体的に設けられた一方の挾持部材としてのターンテーブル27とを有している。このターンテーブル27は、光ディスク28の中心に開口形成された軸孔28aに嵌挿する略円柱状の回転軸27aと、この回転軸27aの外周面にフランジ状に突設され光ディスク28の軸孔28a周縁が載置される鍔部27bとを有している。そして、ターンテーブル27の回転軸27aの先端部には、図示しない磁石が埋設されている。
【0028】
また、ベース部200には、移動手段31が配設されている。
移動手段31は、一対のガイドシャフト32および移動用電動モータ33を備えている。そして、一対のガイドシャフト32は、台座部21の軸支された他縁から回動側の一縁へ向けた方向に軸方向を有して配設されている。さらに、移動用電動モータ33は、図示しない出力軸の軸方向がガイドシャフト32の軸方向に沿う状態で配設されている。この移動用電動モータ33の出力軸の外周面には、螺旋状に図示しない係合溝が設けられている。
【0029】
さらに、移動手段31には、記録再生手段41が配設されている。
記録再生手段41は、一対のガイドシャフト32に架橋する状態で保持された図示しない移動保持部を有している。この移動保持部には、ガイドシャフト32を移動可能に嵌挿する図示しない保持部と移動用電動モータ33の出力軸の係合溝に係合する図示しない移動規制爪部が設けられている。また、記録再生手段41の移動保持部には、図示しない光源と、この光源からの光を収束するレンズと、光ディスク28から反射された光を検出する図示しない光センサとを備えた記録再生処理部としてのピックアップ45が配設されている。
【0030】
動吸振部210は、金属製の平板枠状に形成されている。また動吸振部210の角部には、図示しない孔部が形成されており、これと対応してベース部200の角部にも図示しない孔部が形成されている。そして、第2のダンパ部材としての弾性支持部材221を介して、これらの孔部をビス止めし、動吸振部210をベース部200に取り付けている。また、弾性支持部材221は、高反発系のシリコンゴムなどの弾性を有するゴム部材で形成されている。そして、ベース部200が振動すると、弾性支持部材221はこの振動を吸収して、ベース部200の振動とは略逆位相の振動が動吸振部210に伝達される。これにより、動吸振部210の振動とベース部200の振動とは互いに打ち消しあい、ベース部200の振動G値が低減される。
【0031】
また、枠体15には、この枠体15の内側に支持リブ15cの上方側で水平方向に進退可能に移動するディスクトレイ16が配設されている。
ディスクトレイ16は、図1に示すように、例えば合成樹脂にて略長方形板状に形成されたトレイであるトレイ部16aを有している。このトレイ部16aの一面には、上方に向けて拡開する略円形凹状で光ディスク28が載置可能な平面部である平面16aaを有し光ディスク28を収容する載置凹部16a1が設けられている。また、トレイ部16aには、載置凹部16a1の略中央から外周縁に亘って本体部20のディスク回転駆動手段25および記録再生手段41に対応して開口する開口部16a2が形成されている。さらに、トレイ部16aには、移動するピックアップ45が接触することなく挿入可能な凹状で、開口部16a2の載置凹部16a1の外周側にこの開口部16a2に連続する開口部としての凹状の外側開口部としての凹部16a3が切欠形成されている。この凹部16a3は、収容空間18に収容された光ディスク28の最外周に記録された情報を読み取りあるいは最外周の位置に情報を記録する際にピックアップ45が光ディスク28の最外周に対応して位置してもトレイ部16aに当接しないように形成されている。そして、このトレイ部16aの長手方向の一縁には、化粧板13と同材質にて形成され、ケース体10の化粧板13の窓部13aを閉塞する長手板状の窓閉塞板部16bが着脱可能に取り付けられている。
【0032】
そして、枠体15には、図1に示すように、開閉駆動配設部15dに位置して開閉駆動手段50が配設されている。
開閉駆動手段50は、互いに係合して開閉駆動配設部15dに回転自在に軸支された駆動伝達プーリ52、この駆動伝達プーリ52に係合する駆動伝達ギヤ53、およびこの駆動伝達ギヤ53に係合するとともにディスクトレイ16に係合する移動ギヤ54を有している。また、開閉駆動手段50には、出入用電動モータ55を備えている。この出入用電動モータ55の出力軸55aには、プーリ56が一体的に設けられている。このプーリ56と駆動伝達プーリ52とには無端ベルト57が掛け渡され、出入用電動モータ55の駆動により、プーリ56、駆動伝達プーリ52、駆動伝達ギヤ53および移動ギヤ54が回転し、ディスクトレイ16が化粧板13の窓部13aから進退可能に移動される。
【0033】
また、開閉駆動手段50は、枠体15の開閉駆動配設部15dに側面部15aの対向方向に沿って移動可能に配設された移動カム58を有している。この移動カム58は、台座部21に一体的に取り付けられた回動案内部22に係合するとともに、駆動伝達ギヤ53に係合し、出入用電動モータ55の駆動にて駆動伝達ギヤ53が回転すると、移動カム58が移動して台座部21を上下方向に回動させる。なお、移動カム58は、ディスクトレイ16が後退して枠体15内に位置する状態で台座部21を上方に回動させ、ディスクトレイ16が進退移動する際には、台座部21が下方に回動されてディスクトレイ16と干渉しないようになっている。
【0034】
そして、上述したディスク回転駆動手段25、移動手段31、記録再生手段41および開閉駆動手段50により、本体部20が構成される。
【0035】
また、枠体15には、側面部15a間に架橋する状態でねじにて固定される覆い体としての支持部材である回転子支持部材17が設けられている。
回転子支持部材17は、図1に示すように、例えば金属板がプレス加工されて形成され、周縁が一面側に拡開する状態に傾斜して略薄型皿状に形成されている。そして、回転子支持部材17の一縁がディスクトレイ16の載置凹部16a1に対応する円弧状に形成され、載置凹部16a1を略覆って光ディスク28が収容される収容空間18を区画形成する。また、回転子支持部材17には、円弧状の一縁の中心と略同位置となる略中央に、ディスク回転駆動手段25のターンテーブル27に対向する位置に上方に向けて凹状の支持凹部17aが設けられている。この支持凹部17aの略中央には、支持孔17bが開口形成されている。この回転子支持部材17の支持凹部17aには、他方の挾持部材としての回転子29が回転可能に載置されている。そして、回転子29は、略円盤状で、外周縁が支持孔17bの周縁に係合可能に形成されている。また、この回転子29には例えば金属板などの図示しない磁性材料が一体的に取り付けられ、回転子29はターンテーブル27の磁石の磁力にて光ディスク28をターンテーブル27とにより挾持する。
【0036】
また、枠体15には、図1に示すように、回路基板60が取り付けられている。
回路基板60は、枠体15に設けられた図示しない基板取付爪部により係脱可能に取り付けられる。回路基板60は、ケース体10の下ケース12と略同寸法の平板状で、枠体15の下面を閉塞して本体部20を覆うように取り付けられる。この回路基板60には、本体部20の動作を制御する制御回路が搭載されている。
【0037】
(フロートゴムの特性と配置位置)
次に、ベース部200と枠体15との間に設けられるフロートゴムの特性と配置位置について図面に基づいて説明する。
以下の説明で、振動G値とは、ベース部200の振動の量を示す値であり、振動G値が増大するとベース部200の振動の量が多くなり、光ディスク28に記録された情報の再生処理、または情報の記録処理においてエラーの原因となるおそれがある。
【0038】
図6において、実線は4つのフロートゴム211,212,213,214の硬度を低く設定した場合の回転数と振動G値との関係を示し、破線は、4つのフロートゴム211,212,213,214の硬度を増大させた場合の回転数と振動G値との関係を示している。
図7において、実線はフロートゴム211の硬度のみを増大させたときの回転数と振動G値との関係を示し、一点鎖線は4つのフロートゴム211,212,213,214の硬度を低く設定した場合の回転数と振動G値との関係を示し、破線は図6で示した破線と同様に4つのフロートゴム211,212,213,214の硬度を増大させた場合の回転数と振動G値との関係を示している。
図8において、実線は動吸振部210の振動抑制効果を加味した回転数と振動G値との関係を示し、破線は図7の実線と同様にフロートゴム211の硬度のみを増大させた場合の回転数と振動G値との関係を示している。
図9において、破線は図8に示す実線と同様、動吸振部210の振動抑制効果を加味した回転数と振動G値との関係を示し、実線は、フロートゴム211の硬度を増大させたうえに損失係数を増大させた場合の回転数と振動G値との関係を示している。
[0039]
図6に示すように、4つのフロートゴム211,212,213,214の硬度を増大させると、ターンテーブル27の回転数が低回転の時は、ベース部200の振動G値が低下するが、ターンテーブル27の回転数が中回転以上になるとベース部200の振動G値が大きくなってしまう。このため、フロートゴム211,212,213,214の全ての硬度を大きくすると、ベース部200の振動の量が増大し、光ディスク28の情報の読書きの際に読み込みエラーや書き込みエラーなどの障害を引き起こすおそれがある。
[0040]
また、図7に示すように、全てのフロートゴム211,212,213,214の硬度を増大させた場合に対して、フロートゴム211,212,213,214のうちターンテーブル27に近いフロートゴム211の硬度のみを増大させた場合、ターンテーブル27の中回転時および高回転時におけるベース部200の振動G値の増加を抑えられる。
[0041]
また、フロートゴム211のみの硬度を増大させることで、ベース部200はこのフロートゴム211を回転軸とした安定した振幅で振動する(図5中の矢印Sに示す振動)。このようにベース部200の振動を安定させることにより、振動量、振幅が低減される。なお、ここでは、フロートゴム211の硬度を増大させる例を示したが、これに限定されない。例えば振動源であるターンテーブル27からの距離が近いフロートゴム212の硬度を増大させる構成であってもよい。
[0042]
さらに、図7に示した実線の状態、すなわちターンテーブル27に近いフロートゴム211の硬度のみを増大させた状態において、動吸振部210の上述したような振動抑制効果が作用することにより、図8に示すように、ターンテーブル27の高回転時におけるベース部200の振動G値が抑制される。
なお、上記の例においては、横方向(すなわち、ベース部200の主面と平行な方向)に対して、フロートゴム211〜214の硬度を調整したが、フォーカス方向の共振周波数f0は揃っていることが好ましい。これにより水平置き時に安定した姿勢を保つことができる。
【0043】
そして、フロートゴム211を振動に対する損失係数の大きい素材で形成すると、ターンテーブル27の低回転時および中回転時においても、ベース部200の振動G値が低減される。このようなフロートゴム211,212,213,214の素材例としては、前述したように、フロートゴム211には例えばスチレン系エラストマーなどが使用でき、フロートゴム212,213,214には例えばシリコンゴムやブチルゴムなどが使用できる。このような構成により、ターンテーブル27の全回転数域において、安定した振動G値が得られる。なお、ここで、全てのフロートゴム211,212,213,214の損失係数を大きくすると、ターンテーブル27の高回転時において、ベース部200の振動と動吸振部210の振動とが略同位相となり、振動を強めてしまうため、振動G値が大きくなってしまう。このため、本実施形態では、フロートゴム211のみを損失係数の大きい素材にて形成することが好ましい。
【0044】
(ディスクドライブの動作)
次に、上記一実施形態のディスクドライブ100の動作を説明する。
まず、ディスクドライブ100に電力を供給する。そして、利用者は、化粧板13のスイッチ操作部13bを操作する。このスイッチ操作部13bの操作により、回路基板60に設けられた図示しないスイッチが開閉し、回路基板60の制御回路が開閉駆動手段50の出入用電動モータ55を駆動させる。この出入用電動モータ55の駆動により、プーリ56、駆動伝達プーリ52、駆動伝達ギヤ53および移動ギヤ54が回転し、移動ギヤ54に係合するディスクトレイ16が化粧板13の窓部13aから進出する方向に移動する。この移動の際、開閉駆動手段50の移動カム58も移動し、この移動カム58に係合する回動案内部22が下方に向けて回動し、台座部21が下方に向けて回動され、本体部20が進出するディスクトレイ16と干渉しないように待避する。
【0045】
この進出したディスクトレイ16の載置凹部16a1に光ディスク28を、この光ディスク28の記録面が下方に向く状態で載置する。この後、再び化粧板13のスイッチ操作部13bを操作し、開閉駆動手段50の出入用電動モータ55を回転駆動させ、ディスクトレイ16を窓部13a内に後退させホームポジションに位置させる。このディスクトレイ16の後退の際、下方に待避状態の本体部20が台座部21とともに移動カム58に係合する回動案内部22により上方に向けて移動される。この本体部20の上方への回動により、台座部21のベース部200に設けられたディスク回転駆動手段25のターンテーブル27の回転軸27aが光ディスク28の軸孔28aに嵌挿する。さらに、ターンテーブル27の磁石の磁力により、ターンテーブル27と回転子29との間に光ディスク28が挟持固定される。
【0046】
この状態で、回路基板60の制御回路が本体部20を制御し、ディスク回転駆動手段25の回転用電動モータ26にて回転される光ディスク28に記録された情報を、移動手段31にて適宜移動される記録再生手段41のピックアップにて読み取る、あるいは記録する。
【0047】
(ディスクドライブにおける作用効果)
上述したような本実施形態のディスクドライブ100では、ディスク回転駆動手段25を備えたベース部200と枠体15との間に設けられるフロートゴム211,212,213,214のうち、ディスク回転駆動体25から距離が近いフロートゴム211の硬度を増大させ、そしてその他のフロートゴム212,213,214の硬度を変更しないで低いままに設定した。このため、硬度の高いフロートゴム211により、ターンテーブル27の自重による変位量を制限でき、振幅を抑制できる。したがって、光ディスク28の相対位置を安定させることができ、光ディスク28がトレイ16の壁面や、光ディスク28を格納するカートリッジの壁面などに干渉することがない。これにより、光ディスク28の良好な振動を支援でき、光ディスク28の情報の読み取りや書き込みにおけるエラーを回避できる。
【0048】
そして、本実施形態では、ディスク回転駆動手段25から距離の近いフロートゴム211のみの硬度を変更した。このため、ベース部200には、フロートゴム211を回動中心とした振動Sにより振幅の安定した振動が得られる。したがって、安定した振幅の振動により、光ディスク28の相対位置を安定させることができ、光ディスク28の情報の読み取り、または書き込みのエラーを防止できる。
【0049】
さらに、ディスク回転駆動手段25から距離の近い位置にフロートゴム211が配設されるので、ディスク回転駆動手段25のターンテーブル27の回転による振動を硬度の高いフロートゴム211で抑制して、振幅を制御できる。
【0050】
そして、このようなフロートゴム211,212,213,214の硬度は、枠体15と当接する鍔部216の当接突起部217の数や体積により調整している。すなわち、当接突起部217の数量を多くしたり、体積を大きくしたりすることで当接面積を増加させることで容易に硬度を増大させることができる。また、鍔部216の厚み寸法を薄くすることでも容易に硬度を増大させることができる。このようにフロートゴム211,212,213,214は、その形状により容易に硬度を変更することができ、製作にかかるコストや手間などを低減できる。
【0051】
また、これらのフロートゴム211,212,213,214を構成する原料などの構成物の配合比を変更することで硬度を変更することも可能である。さらに、フロートゴム211,212,213,214の素材を変更することでも硬度を変更することが可能である。このようにフロートゴム211,212,213,214を構成する原料の配合比を詳細に設定することにより、さらに良好な硬度が得られる。したがって、さらにベース部200の振動を安定させることができる。
【0052】
さらに、フロートゴム211は、振動に対する損失係数の大きい素材で形成されている。このため、フロートゴム211の硬度を増大させることにより増加した、ターンテーブル27の中回転域におけるベース部200の振動G値を損失係数の大きいフロートゴム211によりベース部200の振動を吸収させて低減させることができる。したがって、ベース部200の振動G値を全体的に低減でき、安定した振動が得られる。これにより、光ディスク28の相対位置のばらつきを防止できるとともに、ベース部の振動を抑えて光ディスク28の情報の読み取り、または書き込みのエラーを防止できる。
【0053】
〔第1実施形態の変形〕
なお、本発明は、上述した第1実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲で以下に示される変形をも含むものである。
すなわち、本発明のディスクドライブ100としては、上述したように、光ディスク28を対象とした構成に限らず、磁気ディスク、光磁気ディスクなど、光や磁気などにより情報を再生あるいは記録可能ないずれのディスクを対象とすることができる。
【0054】
また、前記第1実施形態では、動吸振部210は平板枠状に形成されるとしたが、これに限らない。例えば、動吸振部は、平板状に形成されていれば、その形状は特に限定されない。すなわち、動吸振部は、ベース部の重心に対して均等に配設されていればよく、このようにすることで、ベース部の振動に対して逆位相の振動運動によりベース部の振動量を低減できる。
[0055]
また、前記第1実施形態では、フロートゴム211は、硬度および損失係数を増大させる例を示したが、これに限らない。例えばフロートゴム212の硬度のみを高く設定した構成であってもよい。この場合、他のフロートゴム、例えばフロートゴム212の損失係数を低下させたものであってもよく、全ての損失係数が同一であるものであってもよい。ただし、4つのフロートゴムの損失係数を同一で、損失係数が大きい場合、ターンテーブルの高回転時に十分に振動を吸収できず、高回転時における振動G値が増大する虞がある。
[0056]
さらに、フロートゴム211のゴムの硬度を高くして他のフロートゴム212,213,214の硬度を低くする構成を示したが、これに限らない。例えば図10に示すようにフロートゴム211、212の硬度を増大させる構成としてもよい。この場合、ベース部200のターンテーブル27側の一縁の振動Aの振幅を容易に抑えることができる。一方、フロートゴム213,214にて硬度が増大しすぎて振動G値が増加するのを防止できる。
[0057]
また、上記の構成に限らず、フロートゴム211,212,213,214がそれぞれ異なる硬度に構成されていてもよい。この場合、これらの硬度の異なるフロートゴム211,212,213,214の組み合わせにより、ベース部200の振動G値を効果的に抑制するとともに、光ディスク28の相対位置のばらつきを防止して、安定した振動を得ることができる。この場合でも、振動源であるターンテーブル27から距離が近い位置に配設されるフロートゴムの硬度を高く設定することで、ベース部200の振動の振幅を効果的に減衰させることができ、安定した振動が得られる。さらに、ターンテーブル27から距離が近い位置に配設されるフロートゴムの損失係数を増大させることで振動G値を減少させて良好な振動とすることができる。
これに対して、前記第1実施形態のようにフロートゴム211のみの硬度を増大させ、フロートゴム212,213,214の硬度を変更しない構成とすることで、各フロートゴム211,212,213,214の構成を個別に設定する必要がなく、2種類のフロートゴムを用意するのみでよいため、構成が容易になり、生産性も良好に維持できる。
[0058]
さらに、前記第1実施形態では、4つのフロートゴム211,212,213,214を用いた構成を示したが、これに限らない。例えば5つ以上のフロートゴムを用いた構成としてもよく、4つ未満のフロートゴムを用いた構成としてもよい。
その他、本発明の実施の際の具体的な構造および手順は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などに適宜変更できる。
【0059】
〔第1実施形態の効果〕
第1実施形態のディスクドライブ100では、ディスク回転駆動手段25を備えたベース部200と枠体15との間に設けられるフロートゴム211,212,213,214のうち、ディスク回転駆動体25から距離が近いフロートゴム211の硬度を増大させ、そしてその他のフロートゴム212,213,214の硬度を変更しないで低いままに設定した。
このため、硬度の高いフロートゴム211により、ターンテーブル27の自重による変位量の大きさを制限でき、振幅を抑制できる。したがって、光ディスク28の相対位置を安定させることができ、光ディスク28がトレイ16の壁面や、光ディスク28を格納するカートリッジの壁面などに干渉することがない。これにより、光ディスク28の良好な振動を支援でき、光ディスク28の情報の読み取りや書き込みにおけるエラーを回避できる。
【0060】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について図面を用いて説明する。
本実施形態は、基本構造が前記第1実施形態と同様である。このため、重複する構成については同符号を付し、重複する説明は省略する。そして、以下には前記第1実施形態と異なる構成について説明する。
【0061】
(フロートゴムの構成)
図11において、フロートゴム211,212,213,214のうち、フロートゴム211は損失係数が大きい素材、例えばスチレン系エラストマーなどにて形成され、フロートゴム212,213,214は損失係数が小さい素材、例えばシリコンゴムやブチルゴムなどにて形成されている。このように、ターンテーブル27からの最も近い位置、すなわちフロートゴム211の位置に損失係数の大きい配設されることで最も振動を受けやすい箇所での振動を抑制している。なお、フロートゴム211,212の双方が損失係数の大きい素材としてもよい。
【0062】
そして、これらのフロートゴム211,212,213,214は、枠体15の端面部15bから突出する支持リブ15cに設けられる支持ボス15fを取付孔部215に嵌挿させ、支持ボス15fの先端側からビス止めなどして、枠体15に取り付けられる。この時、フロートゴム211,212は端面部15b側に形成される支持ボス15fに嵌挿され、フロートゴム213,214は化粧板13側の支持ボス15fに嵌挿される。ベース部200は、化粧板13側の一縁が上下方向に回動可能に取り付けられる。そして、この回動により、光ディスク28をディスクトレイ16に載置して装置に格納した際に、ベース部200に設けられる後述する記録再生手段41のピックアップ45は、フォーカス方向、すなわち光ディスク28のディスク面に対して略垂直となる方向に移動可能となる。また、フロートゴム211,212,213,214は、ディスクドライブを駆動させた際に、光ディスク28がトレイ16の壁面や光ディスク28格納するカートリッジなどに干渉しないサイズに形成されている。
[0063]
以下、ディスク回転駆動手段25、移動手段31、記録再生手段41、開閉駆動手段50、本体部20、回路基板60は、前述した第1実施形態と同様である。
[0064]
(フロートゴムの特性と配置位置)
次に、ベース部200と枠体15との間に設けられるフロートゴムの特性と配置位置について図面に基づいて説明する。図12は、全てのフロートゴムの硬度を増大させた状態におけるベース部材の振動G値とターンテーブルの回転数との関係を示したグラフである。図13は、図12の状態において、全てのフロートゴムの損失係数を増大させた場合の振動G値とターンテーブルの回転数との関係を示したグラフである。図14は、図12の状態において硬度を増大させたうえで、1つのフロートゴムの損失係数を増大させた場合の振動G値と回転数との関係を示すグラフである。ここで、振動G値とは、ベース部200の振動の量を示す値であり、振動G値が増大するとベース部200の振動の量が多くなり、光ディスク28に記録された情報の再生処理、または情報の記録処理においてエラーの原因となるおそれがある。
[0065]
図12において、実線はフロートゴム211,212,213,214の硬度を低く保ったときの振動G値とターンテーブル27の回転数との関係を示し、破線はフロートゴム211,212,213,214の硬度を増大させたときの振動G値とターンテーブル27の回転数との関係を示している。図13において、実線は、4つのフロートゴム211,212,213,214の損失係数を増大させた場合の振動G値とターンテーブル27の回転数との関係を示し、破線は、図12におけるフロートゴム211,212,213,214の硬度を増大させたときの振動G値とターンテーブル27の回転数との関係を示している。図14において、実線は、図11に示したようなフロートゴム211,212,213,214の構成とした場合の振動G値とターンテーブル27の回転数との関係を示し、破線は図13における4つのフロートゴム211,212,213,214の損失係数を増大させた場合の振動G値とターンテーブル27の回転数との関係を示している。
[0066]
光ディスクの相対位置のディスクトレイ16に対する相対位置のずれやディスクトレイのトレイ壁と光ディスク28との干渉を避けるために、フロートゴム211,212,213,214の硬度を大きくすることが考えられる。
[0067]
なお、この硬度は、例えばフロートゴム211,212,213,214および支持リブ15cが当接する当接面積の大きさや、フロートゴム211,212,213,214の鍔部216の厚み寸法を変更することにより変更可能である。例えば硬度を大きくするためには、例えばフロートゴム211,212,213,214の当接突起部217の数や支持リブ15cとの当接面の大きさを増大させたり、鍔部216の厚み寸法を小さくしたりすることで容易に硬度を大きくすることができる。また、フロートゴム211,212,213,214を構成する材料を変更することで、硬度を変化させる構成としてもよい。
[0068]
なお、損失係数は、フロートゴムに用いられる素材により決定する固有の値である。したがって、損失係数を変更するには素材を変更すればよい。例えば、損失係数を増大させるには、フロートゴム211,212,213,214の素材としてスチレン系エラストマーなどを用いればよく、損失係数を小さくするには、フロートゴム211,212,213,214の素材としてシリコンゴムやブチルゴムなどを用いればよい。
[0069]
しかし、このように4つのフロートゴム211,212,213,214の硬度を全て増大させると、振動の吸収率が低下し、図12に示すように、振動G値が増大する。このように振動G値が増大すると、ベース部200の振動が吸収されず、光ディスク28への記録再生の処理に支障がでるおそれがある。
[0070]
ここで、4つのフロートゴム211,212,213,214の素材を、損失係数の大きい素材に変更すると、図13に示すように、ターンテーブル27の回転が低回転時および中回転時における振動G値が低下する。しかし、ターンテーブル27が高回転時には、ベース部の振動と動吸振部210の振動とが逆位相にならず、動吸振部210の振動抑制効果を低下させてしまい、振動G値が増大してしまう。
[0071]
これに対して、図11に示すように、4つのフロートゴム211,212,213,214の硬度を大きく設定し、さらにターンテーブル27の近傍に損失係数の大きい素材を配設し、その他のフロートゴム212,213,214は、損失係数を小さくすると、フロートゴム211にてベース部200の振動を吸収するため、ベース部200のターンテーブル27側の一縁の振動Aの振動は抑制される。また、フロートゴム212,213,214は、損失係数が小さいので、振動Bの抑制はされないが、ターンテーブル27の高回転時において動吸振部210の振動抑制作用を促し、振動G値を抑制する。このように損失係数の異なる素材を組み合わせると、図14に示すように、ターンテーブル27の低回転時から高回転時において、安定して振動G値を抑制する特性が得られる。
[0072]
なお、上記の例においては、横方向(すなわち、ベース部200の主面と平行な方向)に対して、フロートゴム211〜214の硬度を調整したが、フォーカス方向の共振周波数f0は揃っていることが好ましい。これにより水平置き時に安定した姿勢を保つことができる。
[0073]
(ディスクドライブの動作)
本実施形態のディスクドライブ100の動作は前記第1実施形態と同様である。
[0074]
(ディスクドライブにおける作用効果)
上述したような本実施形態のディスクドライブ100では、ディスク回転駆動手段25を備えたベース部200と枠体15との間に設けられるフロートゴム211,212,213,214のうち、ディスク回転駆動手段25の近くに配置されたフロートゴム211の損失係数を大きくして、その他のフロートゴム212,213,214の損失係数を小さくした。このため、損失係数の大きいフロートゴム211によりターンテーブル27の低速回転時および中速回転時における振動G値を低減でき、損失係数の小さいフロートゴム212,213,214によりターンテーブル27の高速回転時における振動G値の増大を抑制できる。したがって、ターンテーブルの低速回転時から高速回転時において安定して振動G値を抑制する特性を得ることができるので、効果的にベース部200の振動を抑制できる。
【0075】
また、本実施形態では、ディスク回転駆動手段25のターンテーブル27から距離が近いフロートゴム211を損失係数が大きい素材で形成している。このため、ターンテーブル27の振動が最も伝達する位置に損失係数の大きいフロートゴム211が位置しているので、この振動を効果的に減衰できる。したがって、ベース部200の振動G値を効率よく低減できる。
【0076】
さらに、フロートゴム211,212,213,214は、硬度が大きくなるように設定されている。このため、これらのフロートゴム211,212,213,214によりベース部200の振動の振幅が最小限に押えられるので、光ディスク28とディスクトレイ16の壁面またはディスクのカートリッジなどとの相対位置にばらつきを抑えることができ、光ディスク28がトレイ壁やカートリッジに干渉することもない。
【0077】
そして、このフロートゴム211,212,213,214の硬度を設定するために、このフロートゴム211,212,213,214の当接突起部217の数を増加させたり、当接突起部217の面積を大きくしたりして、硬度を変更している。このため、フロートゴムの形状によって容易に硬度を変更できる。
【0078】
また、フロートゴム211,212,213,214の材料配合比を変更することでも硬度を変更することができる。このように配合比を変更して硬度を変更することで、詳細な硬度の設定ができる。また、フロートゴムの形状にあわせて複数の金型を用意する必要がなく、生産性の向上が図れる。
【0079】
〔第2実施形態の変形〕
なお、本発明は、前記第2実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲で以下に示される変形をも含むものである。
すなわち、本発明のディスクドライブ100としては、上述したように、光ディスク28を対象とした構成に限らず、磁気ディスク、光磁気ディスクなど、光や磁気などにより情報を再生あるいは記録可能ないずれのディスクを対象とすることができる。
【0080】
また、前記第2実施形態では、動吸振部210は平板枠状に形成されるとしたが、これに限らない。例えば、動吸振部は、平板状に形成されていれば、その形状は特に限定されない。すなわち、動吸振部は、ベース部の重心に対して均等に配設されていればよく、このようにすることで、ベース部の振動に対して逆位相の振動運動によりベース部の振動量を低減できる。
【0081】
さらに、前記第2実施形態では、ターンテーブルは図12において4つのフロートゴム211,212,213,214のうち、フロートゴム211は損失係数が大きい素材、例えばスチレン系エラストマーなどにて形成され、フロートゴム212,213,214は損失係数が小さい素材、例えばシリコンゴムやブチルゴムなどにて形成されているとしたが、これに限らない。例えば、フロートゴム212が損失係数の大きい素材で形成され、その他のフロートゴム211,213,214が損失係数の小さい素材で形成されている構成であってもよい。また、フロートゴム211,212が損失係数の大きい素材で形成され、残りのフロートゴム213,214が損失係数の小さい素材で形成されているものであってもよい。
【0082】
また、前記第2実施形態では、図11中の右上のフロートゴム211のみを損出係数の大きな素材で形成したが、本発明では、左上のフロートゴム212のみ損失係数を大きくするものでもよく、あるいは、左右上側のフロートゴム211,212の双方の損出係数を大きくするものでもよい。
【0083】
さらに、それぞれ損失係数が異なる素材で形成されているものであってもよい。例えば、フロートゴム211に損失係数の大きい素材を用い、フロートゴム213,214に損失係数の小さい素材を用い、フロートゴム212に損失係数が中程度の素材を用いる。このように、複数種類の素材を用いて、これらのフロートゴムの配置位置を変更することで、より詳細にベース部200の損失係数を設定でき、ベース部200の振動G値をより効果的に低減させることができる。
これに対して、前記第2実施形態のようにフロートゴム211の損失係数のみを増大させ、他のフロートゴム212,213,214の損失係数を変更しない構成とすると、各フロートゴムに対して素材を変更する必要がない。したがって、損失係数の大きい素材のフロートゴム211と、その他の損失係数の小さい素材のフロートゴム212,213,214との2種類を用意すればよい。このため、生産性を良好に維持でき、コストの高騰を抑えることができる。
【0084】
また、前記第2実施形態では、4つのフロートゴム211,212,213,214の硬度を大きくしたが、これに限らない。例えば、フロートゴム211,212,213,214の硬度を硬度は低いまま、フロートゴム211の損失係数のみを変更する構成であってもよい。この様な場合でも、ターンテーブルの低回転時から高回転時における振動G値を抑制できる。また、硬度が低いために体的に振動G値が低下し、より安定な振動G値が得られ、すなわち振動を少なくできる。
【0085】
前記第2実施形態では、ベース部200に4つのフロートゴム211,212,213,214が配設された構成を示したが、これに限られない。例えば、6つのフロートゴムが配設されている構成であってもよく、またフロートゴムの数が少ない構成であってもよい。
その他、本発明の実施の際の具体的な構造および手順は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などに適宜変更できる。
【0086】
〔第2実施形態の効果〕
ディスクドライブ100は、ディスク回転駆動手段25を備えたベース部200と枠体15との間に設けられるフロートゴム211,212,213,214のうち、ディスク回転駆動手段25の近くに配置されたフロートゴム211の損失係数を大きくして、その他のフロートゴム212,213,214の損失係数を小さくした。
このため、損失係数の大きいフロートゴム211によりターンテーブル27の低速回転時および中速回転時における振動G値を低減でき、損失係数の小さいフロートゴム212,213,214によりターンテーブル27の高速回転時における振動G値の増大を抑制できる。したがって、ターンテーブルの低速回転時から高速回転時において安定した振動G値を得ることができるので、効果的にベース部200の振動を抑制できる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、振動を吸収して抑制する振動抑制装置、および振動抑制装置を備えたディスク装置として利用できる。
Claims (11)
- 少なくとも1箇所に振動源を有し、複数の第1の弾性体を介して筐体に移動可能に取り付けられる振動体と、この振動体に第2の弾性体を介して取り付けられるとともに前記振動体の振動を抑制する動吸振器を備えた振動抑制装置であって、
前記複数の第1の弾性体は、第1の硬度を有する弾性体と、前記第1の硬度に対して相対的に小さな硬度を有する弾性体との2種類で構成され、
前記複数の第1の弾性体のうち、前記硬度が最も高い第1の弾性体は、前記振動体の振動源の近傍に配設された
ことを特徴とした振動抑制装置。 - 請求項1に記載の振動抑制装置であって、
前記硬度の相違は、前記筐体と当接する前記第1の弾性体の当接面積の相違により決定されてなる
ことを特徴とした振動抑制装置。 - 請求項1に記載の振動抑制装置であって、
前記硬度の相違は、前記筐体と前記振動体との間に挟まれる前記第1の弾性体の厚み寸法の相違により決定する
ことを特徴とした振動抑制装置。 - 請求項1に記載の振動抑制装置であって、
前記第1の弾性体は、複数の材料を配合することで構成され、
前記硬度の相違は、前記第1の弾性体の材料の配合の相違により決定する
ことを特徴とした振動抑制装置。 - 請求項1、または請求項4ないし請求項6のいずれかに記載の振動抑制装置であって、
前記複数の第1の弾性体のフォーカス方向の共振周波数は、前記複数の第1の弾性体間で揃っている
ことを特徴とした振動抑制装置。 - 少なくとも1箇所に振動源を有し、複数の第1の弾性体を介して筐体に移動可能に取り付けられる振動体と、この振動体に第2の弾性体を介して取り付けられるとともに前記振動体の振動を抑制する動吸振器を備えた振動抑制装置であって、
前記複数の第1の弾性体のうち、少なくとも2つの第1の弾性体は、損失係数が互いに異なる素材にて形成され、
前記損失係数が最も大きい第1の弾性体は、前記振動源の近傍に配設された
ことを特徴とした振動抑制装置。 - 請求項8に記載の振動抑制装置であって、
前記複数の第1の弾性体のフォーカス方向の共振周波数は、前記複数の第1の弾性体間で揃っている
ことを特徴とした振動抑制装置。 - 請求項1、または請求項4ないし請求項8のいずれか、または請求項14に記載の振動抑制装置と、
前記筐体の正面に形成され、ディスク状の記録媒体を出し入れ可能な記録媒体挿入口と、
ディスク状の記録媒体に記録された情報を少なくとも再生あるいは記録する記録再生処理部と、
を備えたディスク装置であって、
前記振動源は、前記記録媒体を回転させる回転駆動部、および前記ディスク状の記録媒体を係合する係合部を備え、
前記振動体は、前記回転駆動部をディスク状の記録媒体のディスク面に対して進退させる
ことを特徴としたディスク装置。 - 少なくとも1箇所に振動源を有し、複数の第1の弾性体を介して筐体に取り付けられる振動体と、この振動体に第2の弾性体を介して取り付けられ、前記振動体の振動を抑制する動吸振体と、を備えた振動抑制装置であって、
前記複数の第1の弾性体は、損失係数が相対的に大きい素材と、損失係数が相対的に小さい素材との2種類で構成され、
前記複数の第1の弾性体のうち、損失係数が最も大きい第1の弾性体は、前記振動体の前記振動源の近傍に配置された
ことを特徴とした振動抑制装置。 - 請求項16に記載の振動抑制装置であって、
前記複数の第1の弾性体のフォーカス方向の共振周波数は、前記複数の第1の弾性体間で揃っている
ことを特徴とした振動抑制装置。 - 請求項16または請求項19に記載の振動抑制装置と、
前記筐体に形成され、ディスク状の記録媒体を出し入れ可能な記録媒体挿入口と、
ディスク状の記録媒体に記録された情報を少なくとも再生あるいは記録する記録再生処理部と、
を備えたディスク装置であって、
前記振動源は、前記記録媒体を回転する回転駆動部を備え、
前記振動体は、前記回転駆動部をディスク面に対して進退させる
ことを特徴とした振動抑制装置。
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