JP4435754B2 - 路面反力トルク演算装置 - Google Patents

路面反力トルク演算装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4435754B2
JP4435754B2 JP2006130274A JP2006130274A JP4435754B2 JP 4435754 B2 JP4435754 B2 JP 4435754B2 JP 2006130274 A JP2006130274 A JP 2006130274A JP 2006130274 A JP2006130274 A JP 2006130274A JP 4435754 B2 JP4435754 B2 JP 4435754B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
road surface
surface reaction
torque
reaction force
force torque
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2006130274A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007302047A (ja
Inventor
考平 森
敏英 佐竹
隆徳 松永
英之 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
Priority to JP2006130274A priority Critical patent/JP4435754B2/ja
Publication of JP2007302047A publication Critical patent/JP2007302047A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4435754B2 publication Critical patent/JP4435754B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Power Steering Mechanism (AREA)
  • Steering Control In Accordance With Driving Conditions (AREA)

Description

この発明は、ハンドル操舵などにより走行中の車両のタイヤが転舵する時に、タイヤが路面から受ける路面反力トルクを演算する路面反力トルク演算装置に関するものである。
路面反力トルク演算装置は、ハンドル操舵を補助する電動式パワーステアリング制御装置のアシストトルク制御や、車両状態検出装置の車両挙動制御などに用いられている。
特許文献1に示す従来の電動パワーステアリング制御装置は、操舵トルク信号及びモータ電流信号、車速信号、モータ速度信号より、路面反力トルク推定値を演算している。前記特許文献1では、更に、演算した路面反力トルク推定値より、ハンドル戻し電流を演算し、電動パワーステアリング制御装置のアシスト制御にハンドル戻しトルクを付加することで、操舵フィーリングの向上を行っている。
また、特許文献2に示す従来の車両状態検出装置では、ロードセル等により直接計測した実路面反力トルクと、操舵角信号より演算する規範路面反力トルクを、比較することにより、車両状態を判定している。
特開2003−312521号公報 特開2003−341538号公報
ここで、車両の各速度における操舵角と実路面反力トルクの位相関係について、少し検討してみる。
図8は、ドライバーが操舵を行った場合の操舵角θと、実路面反力トルクTalignとの関係を示す図で、ドライバーの操舵(操舵角θ)と、操舵に対する実路面反力トルクTalignの変化を、それぞれ時間tを横軸にして示している。この図8において、操舵角θは右旋回操舵時に発生する操舵角を正としている。また実路面反力トルクTalignは右旋回操舵時に、ドライバーが左方向へ受ける反力トルクを正としている。
車速が40km/hの場合、操舵角θは2.5秒付近で0度になり、実路面反力トルクTalignも同じく2.5秒付近で0Nmとなる。これより、車速40km/hでは、操舵角θと実路面反力トルクTalignの位相が等しいことがわかる。しかし、車速を30km/h・20km/hと低下させ、同じ操舵を行った場合、実路面反力トルクTalignは2.5秒付近よりも早期に0Nmになる。このことから、車速の低下に伴い、実路面反力トルクTalignの周波数特性における位相は、操舵角θの周波数特性における位相より進むことがわかる。この現象について、以下に説明する。
車両の旋回時に発生する前輪タイヤの横滑り角をβfとすると、前輪タイヤの横滑り角βfは、前輪タイヤの実舵角δ及び車両に発生するヨーレートγ、車両の向きと車両の進行方向のなす角である車両の横滑り角βより、数式1となる。数式1のVは車速、lfは車両重心位置から前軸までの距離を示す。
Figure 0004435754
次に前輪タイヤの横滑り角βfと実路面反力トルクTalignの関係を数式2に示す。ドライバーのハンドル操作により前輪タイヤが転舵された場合、前輪タイヤは、キャスター角の影響により、タイヤの接地中心より「キャスタートレール分」前方向にある点(前輪タイヤのキングピン軸方向の延長と地面の交わる点)を中心に転舵回転運動を行う。一方、転舵によってタイヤに発生するコーナリングフォースは、タイヤの接地中心より「ニューマチックトレール分」後方向に発生する。転舵により発生するタイヤの反力トルクは、「キャスタートレール」と「ニューマチックトレール」の合計ζと、前輪タイヤの横滑り角βfとの積に比例した値となる。ここでCaはタイヤの横滑り角に対するコーナリングフォースの比を表す。実路面反力トルクTalignは前記反力トルク2輪分を合計したものである。
Figure 0004435754
前記数式2の前輪タイヤの横滑り角βfに、前記数式1を代入すると数式3となる。
Figure 0004435754
実舵角δと操舵角θの関係はδ=Grp・θ(Grp:ラックアンドピニオンのギア比)である。これを数式3に代入すると数式4となる。
Figure 0004435754
図9は、前記数式4をもとに演算した「操舵角θに対する実路面反力トルクTalignのボード線図」を示す。ゲイン及び位相は、それぞれ車速20km/h・30km/h・40km/hの場合について示している。周波数に対する位相の変化を見ると、ドライバーが通常行う操舵の周波数帯域では、車速の低下に伴い実路面反力トルクTalignの位相は、正の方向に増加している。つまり、車速が低下するに伴い、実路面反力トルクTalignは、操舵角θに対し位相が進むことを示している。
ここで、上述したドライバーが通常行う操舵の周波数とは、例えばハンドルを中心から左に切り、1度中心に戻し、さらに右に切り、中心に戻す、といった一連の操舵を、1秒間で行ったときに、この技術分野では通常これを1Hzの操舵と呼んでいる。これは左右に30度ずつ切った場合(合計120度ハンドル回転)も、左右に90度ずつ切った場合(合計360度ハンドル回転)も、これらの操舵を1秒間で行ったときは1Hzの操舵である。また上記操舵を10秒間で行った場合は0.1Hzの操舵となる。ドライバーが、ハンドルを周期的に操舵する場合、最大でも5.0Hzが限界であり、そこで、0〜5.0Hzの操舵を、「ドライバーが通常行う操舵の周波数帯域」としている。
以上のように、実際の実路面反力トルクTalignは、車速の低下に伴って操舵角θに対し位相が進むようになる。これに対して特許文献1に示す従来の装置では、路面反力トルクを操舵角θに比例した値として演算する構成となっており、ヨーレートγ及び車両の横滑り角βの位相の影響を考慮していない。そのため、従来の装置より求められる路面反力トルク推定値Talign_estは車速によらず操舵角θと同位相になるという課題がある。
したがって特許文献1に示す従来の装置では、前記路面反力トルク推定値Talign_estをもとにハンドル戻し制御を行っているため、ドライバーが通常操舵を行う周波数領域では、実路面反力トルクTalignに対し遅れてハンドル戻し制御を行うことになる。特に低速では、実路面反力トルクTalignの位相進み拡大の影響により、操舵フィーリングを悪化させるといった課題があった。
また、特許文献2に示す従来の装置は、ロードセル等により直接計測した実路面反力トルクTalignと、操舵角信号より演算する規範路面反力トルクTalign_refを比較することにより、車両状態を判定している。このとき、前述の通り規範路面反力トルクTalign_refは操舵角θに対し同じ位相となる。しかし、ロードセル等により直接計測した実路面反力トルクTalignは、車速の低下に伴い、操舵角θに対し位相が進む。よって、低速では、規範路面反力トルクと実路面反力トルクTalignの位相が異なってしまい、車両状態を誤判定するといった課題があった。
この発明の路面反力トルク演算装置は、上記のような従来の課題を解決するために、走行中の車両のタイヤ転舵時に、タイヤが路面から受ける路面反力トルクを検出する路面反力トルク検出手段と、前記路面反力トルク検出手段が検出した路面反力トルクの位相を車速に応じて補正する路面反力トルク補正手段とを備え、前記路面反力トルク補正手段は、車速に応じて変化する第1の時定数と第2の時定数を演算する時定数演算装置と、前記第1の時定数と第2の時定数により伝達関数を設定する位相補償フィルタにより構成され、前記位相補償フィルタに前記路面反力トルク検出手段で検出した路面反力トルクを入力するようにしたものである。
この発明にかかる路面反力トルク演算装置によれば、車両のタイヤ転舵時に、タイヤが路面から受ける路面反力トルクを車両の内部状態量から演算し、この演算した路面反力トルク推定値を、実際にタイヤが路面から受ける路面反力トルクと同じ位相に補正することが可能であり、この発明の路面反力トルク演算装置を電動パワーステアリング制御装置に適用することにより、補正後の路面反力トルク推定値による適切なハンドル戻しトルクをアシストトルクに付加することで、フィーリングのよい運転が可能となる。
この発明にかかる路面反力トルク演算装置によれば、走行中の車両のタイヤ転舵時に、タイヤに発生する路面反力トルクを計測する路面反力トルク計測装置によって計測した実路面反力トルクを、操舵角より演算した規範路面反力トルクと同じ位相に補正することが可能であり、この発明の路面反力トルク演算装置を車両状態検出装置に適用すれば、位相の偏差による車両状態の誤判定を防ぐことが出来る。
実施の形態1
以下に、この発明の実施の形態1に係わる路面反力トルク演算装置について説明する。図1は路面反力トルク演算装置を用いた電動パワーステアリング制御装置の全体構成図、図2は電動パワーステアリング制御装置の構成ブロック図、図3は路面反力トルク演算装置の構成ブロック図、図4は路面反力トルク補正器の構成ブロック図である。
図1において、電動パワーステアリング制御装置は、ステアリング機構1と制御装置2と車両の走行速度を検出する車速検出装置3から構成されている。ステアリング機構1は、ドライバーにより操舵されるハンドル11と、このハンドル11に上端が連結されたステアリング軸12と、ステアリング軸12の下端に連結され、ステアリング軸12の回転をタイヤ13に伝達するピニオンギア14およびラック軸15と、ステアリング軸12に加わるトルクを検出するトルクセンサ16と、ドライバーによる操舵トルクを補助するアシストトルクを発生する電動のアシストモータ17と、このアシストモータ17の回転を減速してステアリング軸12に伝達するモータギア18を有している。
ピニオンギア14は、ドライバーがハンドル11を回転させることにより発生するステアリング軸12回転方向の運動を、ラック軸15垂直方向への運動に変化させ、ラック軸15両端に備え付けたタイヤ13を左右に回転させることで、車両の進行方向を変化させる仕組みになっている。
図1において、ハンドル11にはドライバーによる操舵トルクThdlが加えられ、この操舵トルクThdlはステアリング軸12に伝達される。トルクセンサ16はステアリング軸2に結合され、操舵トルクThdlに応じた操舵トルク検出信号Thdl_sを発生する。アシストモータ17は、これもステアリング軸12にモータギア18を介して結合され、ステアリング軸12に操舵トルクThdlをアシストするアシストトルクTassistを与える。
ステアリング軸12に与えられる操舵トルクThdlとアシストトルクTassistとを加え合わせた合成トルクが、ピニオンギア14を通じて数倍にされ、ラック軸15を通じて、タイヤ13を操作する。符号Talignはタイヤ13に与えられる路面反力トルクであり、Ttranはこの路面反力トルクTalignに基づき、ステアリング軸12に作用するステアリング軸反力トルクである。ステアリング軸反力トルクTtranは、ステアリング軸12に換算された路面反力トルクである。
制御装置2は、ステアリング機構1に電気的に組み合わされたEPS(Electric PowerSteering)用制御ユニットで、トルクセンサ16からの操舵トルク検出信号Thdl_sと、アシストモータ17からのモータ電流検出信号Imtr_sおよびモータ速度信号Vmtr_sと、車速検出装置3からの車速信号V_sとが入力される。
制御装置2では、前記した操舵トルク信号Thdl_sとモータ電流検出信号Imtr_sとモータ速度信号Vmtr_sと車速信号V_sに基づき、ドライバーの操舵に最適なアシストトルク量を演算し、アシストトルク量に応じた出力電流Imtr_tをアシストモータ17に供給する。アシストモータ17は出力電流Imtr_tにもとづきアシストトルクTassistを発生させる。アシストモータ17によって発生したアシストトルクTassistはステアリング軸12上のモータギア18を経て、ハンドル11からドライバーが入力した操舵トルクをアシストし、車両の旋回方向へタイヤ13を回転させる。電動パワーステアリング制御装置はこのような構成でドライバーの操舵をアシストする。
図2は図1に示した制御装置2の構成ブロック図である。制御装置2は、モータ電流検出手段21、モータ速度検出手段22、操舵アシスト電流演算手段23、路面反力トルク演算装置24、ハンドル戻し電流演算手段25、モータ制御手段26を備えており、トルクセンサ16から操舵トルク信号Thdl_s、車速検出装置3から車速信号V_s、アシストモータ17よりモータ電流検出信号Imtr_s及びモータ速度信号Vmtr_sを入力する。
モータ電流検出手段21では、モータ電流検出信号Imtr_sよりモータ電流Imtrを演算し、モータ速度検出手段22では、モータ速度信号Vmtr_sよりモータ速度Vmtrを演算する。操舵アシスト電流演算手段23では、操舵トルク信号Thdl_s及び車速信号V_sをもとに、ドライバーの操舵に応じたアシストトルク量を演算し、アシストトルク量に応じた操舵アシスト電流Iassistを出力する。また、路面反力トルク演算装置24では、操舵トルク信号Thdl_s及び車速信号V_s、モータ電流Imtr、モータ速度Vmtrより路面反力トルク推定値Talign_estを演算し、さらに路面反力トルク推定値Talign_estを適切な周波数特性に補正し、路面反力トルク補正値Talign_est_correctを出力する。ハンドル戻し電流演算手段25は、路面反力トルク演算装置24から路面反力トルク補正値Talign_est_correctを入力し、前記路面反力トルク補正値Talign_est_correctをもとに適切なハンドル戻し電流Ibacを決定する。前記ハンドル戻し電流Ibacは、操舵アシスト電流Iassistから減算され、目標電流Itarとなる。モータ制御手段26では、前記目標電流Itarとモータ電流Imtrを比較し、比較結果にもとづきアシストモータ17の駆動に必要な出力電流Imtr_tを出力し、アシストモータ17を駆動させる。
図3は路面反力トルク演算装置24の構成ブロック図である。路面反力トルク演算装置24は、路面反力トルク推定器241及び路面反力トルク補正器242を備えており、操舵トルク信号Thdl_s、モータ電流Imtr、モータ速度Vmtr及び車速信号V_sを入力する。路面反力トルク推定器241は、操舵トルク信号Thdl_s、モータ電流Imtr、モータ速度Vmtr及び車速信号V_sをもとに、走行中の車両においてハンドル操舵によるタイヤ転舵時に、タイヤ13が路面から受ける路面反力トルクを演算し、路面反力トルク推定値Talign_estを出力する。なお、路面反力トルク推定器241は特許文献1に記載のものと同様のものであり説明を省略する。次に路面反力トルク補正器242は、前記路面反力トルク推定値Talign_est及び車速信号V_sを入力し、路面反力トルク推定値Talign_estの周波数特性を車速にもとづいて補正し、路面反力トルク補正値Talign_est_correctとして出力する。
図4は路面反力トルク補正器242の構成ブロック図である。路面反力トルク補正器242は、時定数τ1演算装置243、時定数τ2演算装置244及び位相補償フィルタ245を備えており、路面反力トルク推定値Talign_est及び車速信号V_sを入力する。時定数τ1演算装置243は、位相補償フィルタ245の第1の時定数τ1を求めるために車速信号V_sを入力し、車速に応じた時定数τ1を出力する。同じく、時定数τ2演算装置244は、位相補償フィルタ245の第2の時定数τ2を求めるために車速信号V_sを入力し、車速に応じた時定数τ2を出力する。位相補償フィルタ245は路面反力トルク推定値Talign_estを入力し、時定数τ1及び時定数τ2に応じて補正した後、路面反力トルク補正値Talign_est_correctを出力する。
次に位相補償フィルタ245、時定数τ1演算装置243、及び時定数τ2演算装置244について説明する。位相補償フィルタ245は、路面反力トルク推定値Talign_estを入力し、フィルタの伝達関数G(s)により路面反力トルクの周波数特性における位相を変化させ、数式5に基づき路面反力トルク補正値Talign_est_correctを出力する。フィルタの伝達関数G(s)は、第1の時定数τ1と第2の時定数τ2を用いて数式6に基づいて決められる。なお式中のsはラプラス演算子である。
Figure 0004435754
Figure 0004435754
位相補償フィルタ245のフィルタ伝達関数G(s)は、車両が低速で走行している場合は入力された路面反力トルクの位相を進ませ、車両が中速で走行している場合は入力された路面反力トルクの位相を変化させず、車両が高速で走行している場合は入力された路面反力トルクの位相を遅らせるように設定する。このため第1の時定数τ1及び第2の時定数τ2は、低速では位相が進み、中速では位相が変わらず、高速では位相が遅れるように設計する。すなわち、低速ではτ1<τ2、中速ではτ1=τ2、高速ではτ1>τ2とする。
なお上記の低速、中速、高速と言った速度は、一例として低速は30Km/h未満、中速は30Km/h以上80Km/h未満、高速は80Km/h以上として区分する。但し、上記数値は一般的な小型乗用車(乗員1名程度)の場合であり、車種・車重などにより変わるので、上記速度の区分はこれに限定されるものではない。
また第1の時定数τ1及び第2の時定数τ2は、一般的な小型乗用車(乗員1名程度)の場合、下表のような値とする。なお、この時定数τ1及び時定数τ2も、上記速度区分と同様に車種・車重などにより変わるので、時定数τ1、時定数τ2はこの表の数値に限定されるものではない。
Figure 0004435754
このようにしてこの発明の実施の形態1では、路面反力トルク補正器242において、路面反力トルク推定値Talign_estを位相補償フィルタ245に通過させ、路面反力トルク推定値Talign_estの位相を補正するようにしたから、補正後の路面反力トルク補正値Talign_est_correctをもとにハンドル戻し制御を行うことで、実路面反力トルクTalignとの位相差を感じることのない、フィーリングのよい電動パワーステアリング制御装置が得られる。
実施の形態2
以下、この発明の実施の形態2に係わる路面反力トルク演算装置について説明する。図5は路面反力トルク演算装置を用いた車両状態検出装置の全体構成図、図6は演算装置の構成ブロック図、図7は路面反力トルク演算装置の構成ブロック図である。
図5に示す車両状態検出装置は、ステアリング機構1と車両の走行速度を検出する車速検出装置3と演算装置4と走行中のタイヤ13に発生する路面反力トルクを計測する路面反力トルク計測装置5とから構成されている。ステアリング機構1は、ドライバーにより操舵されるハンドル11と、このハンドル11に上端が連結されたステアリング軸12と、ステアリング軸12の下端に連結され、ステアリング軸12の回転をタイヤ13に伝達するピニオンギア14およびラック軸15と、ハンドル11の操舵角を検出する操舵角センサ19と、を有している。
ピニオンギア14は、ドライバーが、ハンドル11を回転させることにより発生するステアリング軸12回転方向の運動を、ラック軸15垂直方向への運動に変化させ、ラック軸15両端に備え付けたタイヤ13を左右に回転させることで、車両の進行方向を変化させる仕組みになっている。路面反力トルク計測装置5は、ラック軸15の片側若しくは両方の、ラック軸端とタイヤ13との中間に設け、タイヤ13に与えられる実路面反力トルクTalignを計測する。演算装置4は、車速検出装置3から車速信号V_s、操舵角センサ19から操舵角信号θ_s、及び路面反力トルク計測装置5から実路面反力トルク信号Talign_sをそれぞれ入力し、車両状態を判定する。
図6は演算装置4の構成ブロック図である。演算装置4は規範路面反力トルク演算器41、路面反力トルク演算装置42及び車両挙動安定性判定器43を備えており、操舵角センサ19から操舵角信号θ_s、車速検出装置3から車速信号V_s、路面反力トルク計測装置5から実路面反力トルク信号Talign_sを入力する。
規範路面反力トルク演算器41は、操舵角信号θ_s及び車速信号V_sをもとに、数式7にもとづいて規範路面反力トルクTalign_refを演算する。数式7に示すKalignは、車速ごとに設定した「操舵角θに対する実路面反力トルクTalignの比」であり、操舵周波数による実路面反力トルクTalignの位相変化は考慮していない。よって、数式7より求められる規範路面反力トルクTalign_refは操舵角θと同位相になる。車速信号V_sは前記Kalignを決定するために使用される。
Figure 0004435754
路面反力トルク演算装置42は、実路面反力トルク信号Talign_s及び車速信号V_sをもとに実路面反力トルク補正値Talign_correctを出力する。車両挙動安定性判定器43は、「規範路面反力トルクTalign_refと実路面反力トルク補正値Talign_correctの偏差絶対値」及び車速信号V_sより、車両状態の判定を行う。
図7は路面反力トルク演算装置42の構成ブロック図である。路面反力トルク演算装置42は、路面反力トルク検出器421及び路面反力トルク補正器422を備えており、車速信号V_s及び実路面反力トルク信号Talign_sを入力する。路面反力トルク検出器421は、実路面反力トルク信号Talign_sより、走行中の車両においてタイヤ転舵時に、タイヤ13が路面から受ける実路面反力トルクTalignを演算する。路面反力トルク補正器422は、前記実路面反力トルクTalignと車速信号V_sを入力し、車速にもとづいて実路面反力トルクTalignを規範路面反力トルクTalign_refと同じ位相にそろえ、実路面反力トルク補正値Talign_correctとして出力する。
路面反力トルク補正器422は、実路面反力トルクTalignと車速信号V_sを入力し、実路面反力トルク補正値Talign_correctを出力する。路面反力トルク補正器422の構成は、実施の形態1の図4において説明した内容と同様であり、時定数τ1演算装置、時定数τ2演算装置及び位相補償フィルタを備えている。ただし、実施の形態2では、位相補償フィルタのフィルタ伝達関数G(s)は、車両が低速で走行している場合は入力された路面反力トルクの位相を遅らせ、車両が中速で走行している場合は入力された路面反力トルクの位相を変化させず、車両が高速で走行している場合は入力された路面反力トルクの位相を進ませるように設定する。このため第1の時定数τ1及び第2の時定数τ2は、低速では位相が遅れ、中速では位相が変わらず、高速では位相が進むように設計する。すなわち、低速ではτ1>τ2、中速ではτ1=τ2、高速ではτ1<τ2とする。
なお上記の低速、中速、高速と言った速度は、一例として実施の形態1と同様に、低速は30Km/h未満、中速は30Km/h以上80Km/h未満、高速は80Km/h以上として区分する。但し、上記数値は一般的な小型乗用車(乗員1名程度)の場合であり、車種・車重などにより変わるので、上記速度の区分はこれに限定されるものではない。
また第1の時定数τ1及び第2の時定数τ2は、実施の形態2の場合は実施の形態1と位相の進みと遅れが逆となるので、表1とは異なった値となる。
車両挙動安定性判定器43は、規範路面反力トルクTalign_refと実路面反力トルク補正値Talign_correctの偏差絶対値、及び車速信号V_sを入力し、車速信号V_sより車速ごとに設定した所定値を演算する。前記所定値を「規範路面反力トルクTalign_refと実路面反力トルク補正値Talign_correctの偏差絶対値」が上回った場合、車両挙動安定性判定器43は車両状態が不安定であると判定する。なお、前記所定値は設計する車種によって、個別に設定する。
このようにして、この発明の実施の形態2では、路面反力トルク補正器422において、路面反力トルク検出器421によって得た実路面反力トルクTalignを補正するようにしたから、補正後の実路面反力トルク補正値Talign_correctを規範路面反力トルクTalign_refと同じ位相にそろえ、車両状態の判定においてより正確な判定を行うことが可能となる。
なお、実施の形態2では、この発明の路面反力トルク演算装置を、図5に示すようなステアリング機構を用いて説明したが、ステアリング機構自体は、電動パワーステアリング制御装置、又は油圧パワーステアリング装置などであってもよい。
また、実施の形態2では、ハンドル11からタイヤ13まで機械的に連結したステアリング機構1で説明したが、ハンドル11とタイヤ13が機械的に連結しない機構、例えばステアバイワイヤーなどのステアリング機構であってもよい。ただし、その場合、ハンドル11の操舵角θではなく、タイヤ13の実舵角δを計測できる構成が必要となる。
この発明の実施の形態1である路面反力トルク演算装置を用いた電動パワーステアリング制御装置の全体構成図。 この発明の実施の形態1である路面反力トルク演算装置を用いた電動パワーステアリング制御装置の構成ブロック図。 この発明の実施の形態1の路面反力トルク演算装置の構成ブロック図。 この発明の実施の形態1の路面反力トルク演算装置に用いられる路面反力トルク補正器の構成ブロック図。 この発明の実施の形態2である路面反力トルク演算装置を用いた車両状態検出装置の全体構成図。 この発明の実施の形態2である路面反力トルク演算装置を用いた車両状態検出装置の演算装置の構成ブロック図。 この発明の実施の形態2の路面反力トルク演算装置の構成ブロック図。 この発明の路面反力トルク演算装置の効果を説明する上で必要な、各車速における操舵角θと実路面反力トルクTalignの位相関係を示した図。 この発明の路面反力トルク演算装置の効果を説明する上で必要な、操舵角θに対する実路面反力トルクTalignのボード線図。
符号の説明
1:ステアリング機構 2:制御装置
3:車速検出装置 4:演算装置
5:路面反力トルク計測装置 11:ハンドル
12:ステアリング軸 13:タイヤ
14:ピニオンギア 15:ラック軸
16:操舵トルクセンサ 17:アシストモータ
18:モータギア 19:操舵角センサ
21:モータ電流検出器 22:モータ速度検出器
23:操舵アシスト電流演算手段 24:路面反力トルク演算装置
25:ハンドル戻し電流演算手段 26:モータ制御回路
41:規範路面反力トルク演算器 42:路面反力トルク演算装置
43:車両挙動安定性判定器
241:路面反力トルク推定器 242:路面反力トルク補正器
243:時定数τ1演算装置 244:時定数τ2演算装置
245:位相補償フィルタ
421:路面反力トルク検出器 422:路面反力トルク補正器

Claims (5)

  1. 走行中の車両のタイヤ転舵時に、タイヤが路面から受ける路面反力トルクを検出する路面反力トルク検出手段と、前記路面反力トルク検出手段が検出した路面反力トルクの位相を車速に応じて補正する路面反力トルク補正手段とを備え、前記路面反力トルク補正手段は、車速に応じて変化する第1の時定数と第2の時定数を演算する時定数演算装置と、前記第1の時定数と第2の時定数により伝達関数を設定する位相補償フィルタにより構成され、前記位相補償フィルタに前記路面反力トルク検出手段で検出した路面反力トルクを入力するようにした路面反力トルク演算装置。
  2. 路面反力トルク検出手段は、ハンドル操作による操舵トルクと、ハンドル操作による操舵トルクをアシストするアシストモータのモータ速度およびモータ電流と、車両の走行速度(車速)を入力して、路面反力トルク推定値を演算する路面反力トルク推定器で構成されたことを特徴とする請求項1に記載の路面反力トルク演算装置。
  3. 路面反力トルク補正手段は、
    車両が低速で走行している場合、入力された路面反力トルクの位相を進ませて出力し、車両が中速で走行している場合、入力された路面反力トルクの位相を変化させず出力し、車両が高速で走行している場合、入力された路面反力トルクの位相を遅らせて出力することを特徴とする請求項2に記載の路面反力トルク演算装置。
  4. 路面反力トルク検出手段は、走行中のタイヤに発生する路面反力トルクを計測する路面反力トルク計測装置を有し、前記路面反力トルクを計測することを特徴とする請求項1に記載の路面反力トルク演算装置。
  5. 路面反力トルク補正手段は、
    車両が低速で走行している場合、入力された路面反力トルクの位相を遅らせて出力し、車両が中速で走行している場合、入力された路面反力トルクの位相を変化させず出力し、車両が高速で走行している場合、入力された路面反力トルクの位相を進ませて出力することを特徴とする請求項4に記載の路面反力トルク演算装置。
JP2006130274A 2006-05-09 2006-05-09 路面反力トルク演算装置 Active JP4435754B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006130274A JP4435754B2 (ja) 2006-05-09 2006-05-09 路面反力トルク演算装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006130274A JP4435754B2 (ja) 2006-05-09 2006-05-09 路面反力トルク演算装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007302047A JP2007302047A (ja) 2007-11-22
JP4435754B2 true JP4435754B2 (ja) 2010-03-24

Family

ID=38836369

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006130274A Active JP4435754B2 (ja) 2006-05-09 2006-05-09 路面反力トルク演算装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4435754B2 (ja)

Families Citing this family (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010052657A (ja) * 2008-08-29 2010-03-11 Mitsubishi Electric Corp 車両制御装置
JP5262754B2 (ja) * 2009-01-26 2013-08-14 日産自動車株式会社 ステアリング装置、ステアリング制御方法
JP5342715B2 (ja) * 2009-01-26 2013-11-13 久 高橋 車両用ステアバイワイヤシステムと車両用ステアバイワイヤシステムの制御方法
JP5025686B2 (ja) * 2009-05-28 2012-09-12 三菱電機株式会社 車両挙動制御装置
JP2011057214A (ja) * 2010-10-01 2011-03-24 Mitsubishi Electric Corp 車両制御装置
JP5289408B2 (ja) * 2010-10-01 2013-09-11 三菱電機株式会社 車両制御装置
JP2011057215A (ja) * 2010-10-01 2011-03-24 Mitsubishi Electric Corp 車両制御装置
JP5962312B2 (ja) 2012-08-03 2016-08-03 株式会社デンソー 電動パワーステアリング制御装置
JP6314752B2 (ja) * 2014-08-28 2018-04-25 株式会社デンソー 電動ステアリング制御装置
BR102022010548A2 (pt) * 2021-06-09 2022-12-27 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Dispositivo de controle de direção do veículo

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007302047A (ja) 2007-11-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4435754B2 (ja) 路面反力トルク演算装置
JP5429142B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP4852964B2 (ja) 電動パワーステアリング装置の制御装置
US20140005894A1 (en) Electric power steering apparatus
US20080021614A1 (en) Controller for electric power steering apparatus
JP5272905B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP5028960B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP2009062036A (ja) 車両用舵角推定装置及びそれを搭載した電動パワーステアリング装置
JP5034765B2 (ja) 電動パワーステアリング装置の制御装置
JP5780229B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP2008024073A (ja) 電動パワーステアリング装置
JP4499145B2 (ja) 車両用操舵制御装置
KR20170136765A (ko) 조향 제어 장치와 조향 제어 방법 및 그를 위한 조향상태 판단장치
JP5640930B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP2009143365A (ja) 電動パワーステアリング装置
JP5768865B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP2008254602A (ja) 電動パワーステアリング装置の制御装置
JP5025686B2 (ja) 車両挙動制御装置
JP2010188933A (ja) 電動パワーステアリング装置
KR102263187B1 (ko) 차량의 후륜 조향장치 및 그 제어방법
JP5034764B2 (ja) 電動パワーステアリング装置の制御装置
JP5303920B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP4144759B2 (ja) 車両用操舵制御装置
JP2009143368A (ja) 電動パワーステアリング装置
JP5092726B2 (ja) 電動パワーステアリング装置

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080925

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080930

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081111

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090616

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090716

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20091215

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20091224

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4435754

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130108

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130108

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250