JP4431786B2 - リチウム二次電池用正極材料及びその製造方法、ならびにそれを用いたリチウム二次電池 - Google Patents

リチウム二次電池用正極材料及びその製造方法、ならびにそれを用いたリチウム二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、リチウム二次電池用正極材料及びその製造方法、ならびにその材料を正極活物質として含むリチウム二次電池に関する。
現在我が国においては、携帯電話、ノートパソコンなどの携帯型電子機器に搭載されている二次電池のほとんどは、リチウム二次電池である。また、リチウム二次電池は、今後電気自動車、電力負荷平準化システムなどの大型電池としても実用化されるものと予測されており、その重要性はますます高まっている。
このリチウム二次電池は、リチウム含有遷移金属複合酸化物を活物質とする正極と、リチウム金属、リチウム合金、金属酸化物あるいはカーボンのような、リチウムを吸蔵・放出することが可能な材料を活物質とする負極と、非水系電解液を含むセパレータまたは固体電解質を主要構成要素とする。
これらの構成要素のうち、正極活物質として検討されているものには、層状岩塩型リチウムコバルト酸化物(LiCoO)、層状岩塩型リチウムニッケル酸化物(LiNiO)、スピネル型リチウムマンガン酸化物(LiMn)等が挙げられる。
特に、層状岩塩型リチウムコバルト酸化物LiCoOは、電池の作動電圧(正極中の遷移金属の酸化還元電位と負極元素の酸化還元電位との差)、充放電容量(正極から脱離・挿入可能なリチウム量)などの電池性能に優れ、リチウム二次電池の正極構成材料として今後の需要が一層増大するものと予測されている。
しかしながら、この化合物は、稀少金属であるコバルトを主成分として含むために、リチウム二次電池の高コストの要因の一つとなっている。さらに、現在すでに全世界のコバルト生産量の約20%が電池産業において用いられていることを考慮すれば、LiCoOからなる正極材料のみでは、今後の需要拡大に対応可能かどうかは、不明である。
また、コバルトよりも安価なニッケルを用いた層状岩塩型リチウムニッケル酸化物LiNiOは、コスト的にも容量的にも有利であり、リチウムコバルト酸化物の有力な代替材料として開発が進められている。しかしながら、このリチウムニッケル酸化物を正極活物質に用いたリチウム二次電池は、充電状態での正極活物質の不安定性から、高温に保持すると分解、発熱、発火などの危険性を有しており、安全性に関して解決しなければならない問題が多く残っている。
また、スピネル型リチウムマンガン酸化物LiMnは、コバルトやニッケルよりもさらに安価なマンガンを用いており、かつ充電状態での安全性にも優れていることから、一部はLiCoOに代替して実用化されている。
しかしながら、LiCoOやLiNiOと比べて容量が小さいことが問題となっている。また、50℃以上におけるマンガンの電解液への溶解に起因する顕著な特性劣化という問題点も有しているので、この材料によるLiCoOの代替は、予期された程には進展していない。
一方、結晶構造の特徴として、一次元のトンネル構造をとるNa0.44MnOを出発原料として、イオン交換法によってLi0.44MnOを合成する研究も行われている。(非特許文献1参照)
M.M.Doeff,K−T.Hwang,A.Anapolsky,T.J.Richardson,Electrochem.Soc.Proceedings Volume,99−24,48−56(2000).
このLi0.44MnO型のトンネル構造を有する材料は、前記コバルト系酸化物代替の材料という観点からは、資源的な制約が少なくかつ安価なマンガン酸化物を原料として使用し、さらに、Mn3+とMn4+の酸化還元反応に伴うマンガンと酸素の化学結合の変化に耐え、かつ、充放電に伴ってスピネル構造へ変化しないような構造の安定性の観点から、有望な材料である。
しかしながら、非特許文献1では、原料とするナトリウム化合物の結晶性が低く、イオン交換処理の反応温度が200℃以上に上げることができず、その結果、出発原料に含まれるナトリウムがイオン交換処理で完全に取り除くことができず、期待される性能が実現できていなかった。報告されている残留するナトリウム量は、Na/Liのモル比で0.057程度であり、有意の残留したナトリウムが、トンネル内でのリチウムイオン伝導を阻害し、さらには理論容量の実現を困難なものとしている。
したがって、本発明は、上記のような現状の課題を解決し、上述のようなLi0.44MnO型のトンネル構造を有し、かつ、リチウム二次電池のより軽量化を図るためにMnの一部をTiで置き換え、かつ、充放電容量が大きく、サイクル特性が良好な新規な正極材料、及びその製造方法、ならびに該正極材料を使用したリチウム二次電池を提供することにある。
本発明者は出発物質、合成条件等を鋭意検討した結果、非特許文献1の焼成温度よりも高い900℃〜1400℃での焼成によって、高い結晶性の原料結晶材料が合成可能であり、かつ、高温で焼成したNa0.44Mn1−yTi結晶材料を原料とすれば、より高温でのイオン交換処理が可能となり、結果的に残留するナトリウム量を著しく低減させることが可能となること、さらにその結果得られた、イオン交換処理を施したリチウム化合物を、リチウムイオン二次電池の正極材料として使用する場合には、これまで発現されていなかった4V領域でも安定に充放電可能で、しかも充放電容量が大きく、サイクル特性も良好であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記に示す1〜6の構成をとるものである。
1.化学組成式としてLiMn1−yTi(0.40<x<0.50、0<y<0.56)で表記され、結晶構造として斜方晶系に属し、リチウムが占有するLi 0.44 MnO 型のトンネル構造を有するリチウム、マンガン、チタン、酸素から構成され、ナトリウムの含有量がNa/Liのモル比で0.05以下であることを特徴とするリチウム二次電池正極材料。
2.化学組成式としてNaMn1−yTi(0.40<x<0.50、0<y<0.56)で表記され、結晶構造として斜方晶系に属し、ナトリウムが占有するLi 0.44 MnO 型のトンネル構造を有するナトリウム、マンガン、チタン、酸素から構成される化合物を出発物質として、イオン交換処理によって製造することを特徴とする1に記載の正極材料の製造方法。
3.イオン交換処理を、リチウム化合物を含有する溶融塩中において行うことを特徴とする2に記載の正極材料の製造方法。
4.イオン交換処理を、リチウム化合物を溶解した有機溶剤または水溶液中において行うことを特徴とする請求項2に記載の正極材料の製造方法。
5.正極、負極及び電解質物質を有するリチウム二次電池の正極を1に記載の正極材料により構成したことを特徴とするリチウム二次電池。
6.電池の作動電圧として、4V以上の領域で安定に充放電が可能であることを特徴とする5に記載のリチウム二次電池。
本発明によれば、安価な原料を使用して、高い作動電圧領域(4V以上)において安定に充放電させることができる新規なリチウムマンガンチタン酸化物正極材料を得ることができる。
この正極材料を使用した本発明のリチウム二次電池は、高電圧・高容量で、優れた充放電サイクル特性をも発揮することができ、実用性の高いものである。
1)ナトリウム遷移金属酸化物結晶材料及びその製造方法
本発明の正極材料の原料となるNaMn1−yTi(0.40<x<0.50、0<y<0.56)化合物は、ナトリウム化合物、マンガン化合物、チタン化合物を出発原料として作製され、公知のNa0.44MnO、或いはNaMnTi18(=Na0.44Mn0.44Ti0.56)と同様のトンネル構造をとり、マンガンとチタンの割合を上記の組成範囲内で自由に選択できることを特徴とする化合物である。
この化合物は、例えば(1)ナトリウム及びナトリウム化合物の少なくとも1種、(2)マンガン及びマンガン化合物の少なくとも1種、(3)チタン及びチタン化合物の少なくとも1種を含有する混合物を焼成することによって製造することができる。
ナトリウム原料としては、ナトリウム(金属ナトリウム)およびナトリウム化合物の少なくとも1種を用いる。ナトリウム化合物としては、ナトリウムを含有するものであれば特に制限されず、例えばNaO、Na等の酸化物、NaCO、NaNO等の塩類、NaOHなどの水酸化物等が挙げられる。これらの中でも、特にNaCO等が好ましい。
マンガン原料としては、マンガン(金属マンガン)及びマンガン化合物の少なくとも1種を用いる。マンガン化合物としては、マンガンを含有するものであれば特に制限されず、例えばMn、Mn、MnO等の酸化物、MnCO、MnCl等の塩類、Mn(OH)等の水酸化物、MnOOH等の酸化水酸化物等が挙げられる。これらの中でも、特にMn、MnO等が好ましい。
チタン原料としては、チタン(金属チタン)及びチタン化合物の少なくとも1種を用いる。チタン化合物としては、チタンを含有するものであれば特に制限されず、例えばTiO、Ti、TiO等の酸化物、TiCl等の塩類等が挙げられる。これらの中でも、特にTiO等が好ましい。
はじめに、これらを含む混合物を調整する。ナトリウム原料とマンガン原料及びチタン原料の混合割合は、前記トンネル構造が生成するような割合で混合することが好ましい。具体的には、NaMn1−yTi(0.40<x<0.50、0<y<0.56)の化学組成式となるようにすれば良い。例えば、モル比でNa/(Mn+Ti)が0.4〜0.7程度、好ましくは0.43〜0.55となるように混合すればよい。通常、高温で焼成を行った場合、含有するナトリウムが揮発しやすく、生成物中のナトリウム量が仕込み組成よりも少なくなる場合が多いことから、モル%で数%〜10数%程度、ナトリウムの仕込み量を増やした方が好ましい。また、マンガンとチタンの割合は、(0<y<0.56)の範囲で任意に選択すればよい。
また、混合方法は、これらを均一に混合できる限り特に限定されず、例えばミキサー等の公知の混合機を用いて、湿式又は乾式で混合すれば良い。
次いで、混合物を焼成する。焼成温度は、混合物の組成等に応じて適宜設定することができるが、通常は600〜1400℃程度、好ましくは900〜1200℃とすればよい。また、焼成雰囲気も特に限定的ではないが、通常は酸化性雰囲気又は大気中で実施すれば良い。焼成時間は、焼成温度等に応じて適宜変更することができる。冷却方法は特に限定されないが、通常は自然放冷(炉内放冷)又は徐冷すれば良い。
焼成後は、必要に応じて焼成物を公知の方法で粉砕し、さらに上記の焼成工程を実施しても良い。すなわち、本発明方法では、上記混合物の焼成、徐冷及び粉砕を2回以上繰り返して実施することが好ましい。なお、粉砕の程度は、焼成温度などに応じて適宜調節すれば良い。
上記の工程により、目的とする化学組成式NaMn1−yTi(0.40<x<0.50、0<y<0.56)で表される、針状或いは繊維状結晶粒子(典型的なサイズ:10×10×1μm)、又は薄片状結晶粒子(典型的なサイズ:3×1×0.5μm)で、針状の場合は10×2×1μm程度、薄片状の場合は3×3×1μm程度が好ましく、さらに好適な20×3×1μm程度のサイズを有する結晶材料を得ることができる。
非特許文献1は、できるだけ小さい粒子のナトリウム遷移金属酸化物を得ようとするものであるが、得られるナトリウム化合物の結晶性が低く、所望の特性を有するリチウム二次電池用正極材料を製造する原料としては、不適当なものであった。これに対して、本発明によれば、逆に大きなサイズを有する結晶材料とすることによって、所望の特性を有するリチウム二次電池用正極材料を製造する原料として有用な、ナトリウム遷移金属酸化物結晶材料を得るものである。
2)リチウム二次電池用正極材料及びその製造方法
本発明では、上記で得られる化学組成式NaMn1−yTi(0.40<x<0.50、0<y<0.56)で表される結晶材料をイオン交換処理することによって、該結晶材料と同様のトンネル構造を有するLiMn1−yTi(0.40<x<0.50、0<y<0.56)正極材料を作製することができる。
本製造方法は、結晶構造の特徴から、トンネル内に規則的に配列したナトリウムを、イオン交換処理によって、ほぼ完全にリチウムに置き換えることが可能であることを特徴とする。
すなわち、本発明で得られれる化学組成式LiMn1−yTi(0.40<x<0.50、0<y<0.56)で表される正極材料は、リチウム、マンガン、チタン、及び酸素を主要構成元素とすることを特徴とするが、本発明の効果を妨げない範囲内での不純物元素が一部含まれていても良い。
このLiMn1−yTi(0.40<x<0.50、0<y<0.56)正極材料は、その全体がLi0.44MnO型のトンネル構造を有することが望ましいが、その効果を妨げない範囲内で他の結晶構造が一部含まれていても良い。
(正極材料の製造方法)
上記、1)で得られたNaMn1−yTi(0.40<x<0.50、0<y<0.56)に、(1)リチウム化合物を含む溶融塩中でイオン交換処理を施すか、或いは(2)有機溶剤または水溶液中でイオン交換処理を施すことにより、Li0.44MnO型の結晶構造を有し、化学組成式LiMn1−yTi(0.40<x<0.50、0<y<0.56)で表される化合物が得られる。
この場合に、(1)リチウム含有化合物を含む溶融塩中において、粉砕されたNaMn1−yTi(0.40<x<0.50、0<y<0.56)を分散させながら、イオン交換処理を施すことが好適である。溶融塩としては、硝酸リチウム、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム等の低温で溶融する塩類のうちで、いずれか1種以上を含む溶融塩を用いることができる。好ましい方法としては、リチウム化合物とNaMn1−yTi焼成物の粉末をよく混合しておく。混合比は、通常、溶融塩中のLi/NaMn1−yTi中のNaのモル比で2〜40、好ましくは10〜30である。
イオン交換の温度は、260℃〜330℃である。イオン交換の温度が260℃よりも低い場合は、NaMn1−yTi(0.40<x<0.50、0<y<0.56)中のナトリウムがリチウムに完全に交換されず、相当量のナトリウムが生成物中に残存する。一方、イオン交換温度が330℃よりも高い場合は、一部がスピネル構造に変化するため、均一な結晶構造を得ることができない。処理時間は、通常2〜20時間、好ましくは5〜15時間である。
また、イオン交換処理の方法として、(2)リチウム化合物を溶解した有機溶剤または水溶液中で処理する方法も適する。この場合、リチウム含有化合物を溶解させた有機溶剤中に、粉砕されたNaMn1−yTi(0.40<x<0.50、0<y<0.56)を投入し、その有機溶剤の沸点以下の温度で処理する。イオン交換速度を高めるため、有機溶剤の沸点付近で、溶媒を還流させながら、イオン交換することが好ましい。処理温度は通常100℃〜200℃、好ましくは140℃〜180℃で処理される。また、処理時間は、特に制限されないが、低温であると反応時間が必要であることから、通常5〜50時間、好ましくは10〜20時間である。
本発明に用いられるリチウム含有化合物としては、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、ハロゲン化物、ブチルリチウム等が好ましく、これらは単独または必要に応じて2種以上を組み合わせて用いられる。また、本発明に用いられる有機溶剤としては、ヘキサノール、エトキシエタノール等の高級アルコール、ジエチレングルコールモノエチルエーテル等のエーテル、もしくは沸点が140℃以上の有機溶剤が、作業性が良好である点で好ましい。これらは単独または必要に応じて2種以上組み合わせて用いられる。
有機溶剤または水溶液中におけるリチウム含有化合物の濃度は、通常3〜10モル%、好ましくは4〜6モル%である。また、有機溶剤または水溶液中でのNaMn1−yTiの分散濃度は、特に制限されないが、操作性及び経済性の観点から1〜20重量%が好ましい。
イオン交換処理の後、得られた生成物を、蒸留水でよく洗浄した後、メタノール、エタノールで洗浄後、乾燥させることによって、目的とするLiMn1−yTi(0.40<x<0.50、0<y<0.56)が得られる。洗浄方法、乾燥方法については、特に制限されず、通常の方法が用いられる他、デシケーター内における自然乾燥でも良い。
3)リチウム二次電池
本発明のリチウム二次電池は、前記リチウム二次電池用正極材料を用いることを特徴とするものである。すなわち、正極材料として本発明のリチウムマンガンチタン酸化物を用いる以外は、公知のリチウム二次電池(コイン型、ボタン型、円筒型等)の電池要素をそのまま採用することができる。
従って、例えば本発明のリチウムマンガンチタン酸化物に必要に応じて導電剤、結着剤等を配合してなる正極合材を調整し、これを集電体に圧着することにより正極を作製できる。集電体としては、好ましくはステンレスメッシュ、アルミ箔等を用いることができる。導電剤としては、好ましくはアセチレンブラック、ケッチェンブラック等を用いることができる。結着剤としては、好ましくはテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等を用いることができる。
正極合材におけるリチウムマンガンチタン酸化物、導電剤、結着剤等の配合も特に限定的でなく、公知の配合比とすれば良い。
本発明のリチウム二次電池において、上記正極に対する対極としては、例えば金属リチウム、カーボン系材料、合金系材料等の公知のものを採用することができる。また、セパレータ、電池容器等も公知の電池要素を採用すれば良い。
また、電解液としても公知のものが適用できる。例えば、過塩素酸リチウム、6フッ化リン酸リチウム等の電解質を、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、プロピレンカーボネート(PC),ジエチルカーボネート(DEC)等の溶媒に溶解させたものを電解液として使用できる。
以下に、実施例を示し、本発明の特徴とするところをより一層明確にするが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
[ナトリウム遷移金属酸化物の製造]
炭酸ナトリウム(NaCO)、酸化マンガン(Mn)、酸化チタン(TO)をモル比で1:1:2の割合で均一に混合した。混合物を空気中1000℃で15時間焼成した後、炉内で徐冷した。得られた焼成体を粉砕するという一連の操作(焼成、徐冷及び粉砕)を再度繰り返し、ほぼ単一相の目的とするLi0.44MnO型の結晶構造を有する出発原料を得た。得られた生成物のX線粉末回折図形を図1に示す。また、この結晶の横断面を示す模式図を図3に示す。図3において、黒丸はリチウムを表す。長方形で囲まれた部分の中央には、紙面に垂直方向にS字形の大きなトンネル構造が、またその上下には歪んだ六角形の小さなトンネル構造が認められる。
Li0.44MnO型の結晶構造を仮定して、斜方晶系の格子定数を求めると、a=9.2329(6)A(図3の長方形で囲まれた部分の横の長さ)、b=26.3938(19)A(図3の長方形で囲まれた部分の縦の長さ)、c=2.8928(3)Aである。この試料をICP発光分析法により、化学組成を分析した結果、Na0.44Mn0.5Ti0.5で妥当であることが確認された。
[正極材料の製造]
次に、上記で得られた試料を、硝酸リチウムと塩化リチウムを88:12のモル比で混合した溶融塩中でイオン交換処理を行った。Na0.44Mn0.5Ti0.5の溶融塩中における量は、モル比で、溶融塩中のLi:試料中のNa=20:1とし、溶融塩の温度は300℃とした。処理時間10時間で、イオン交換処理を行い、得られた固体を蒸留水、メタノール、エタノール等で洗浄、乾燥して試料を得た。この試料をICP発光分析法により、化学組成を分析した結果、Li0.44Mn0.5Ti0.5の化学式で妥当であり、残存して含有するナトリウム量は、モル比でNa/Liのモル比で0.005であった。また、得られた試料のX線粉末回折図形を図2に示す。出発物質としたNa0.44Mn0.5Ti0.5と同構造であると仮定して、斜方晶系の格子定数(a=9.0313(10)A、b=24.681(4)A、c=2.8863(5)A)を有するほぼ単一相であることが確認された。
[リチウム二次電池]
得られたLi0.44Mn0.5Ti0.5試料を正極材料1とし、金属リチウムを負極材料3、6フッ化リン酸リチウムをエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)との混合溶媒に溶解させた1M溶液を電解液2とする、図4に示すようなリチウム二次電池(電気化学セル)を作製し、その充放電特性を測定した。電池の作製は、公知の電気化学セルの構成・組み立て方法に従って行った。
このリチウム二次電池について、室温で、電流密度0.057mA/cm、4.8V−2.5Vのカットオフ電位で充放電試験を行ったところ、平均放電電圧3.48V、初期放電容量163mAh/gで安定に充放電可能なことが判明した。10サイクル後の放電容量も150mAh/g程度を維持しており、サイクル特性も良好であった。10サイクルまでの充放電特性および充放電容量を図5及び図6に示す。
(実施例2)
[ナトリウム遷移金属酸化物の製造]
上記、実施例1と同様の条件で、出発原料である酸化マンガン(Mn)と酸化チタン(TiO)のモル比を変化させ、実施例1と同様に処理して得られたNa0.44Mn1−yTi焼成体(y=0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.56)の格子定数を求めたところ、図7に示すような、チタン量yに依存した系統的な格子体積の変化が確認され、固溶体組成を有する系であることが確認された。
[正極材料の製造]
実施例1と同様にして、イオン交換処理を各試料について行い、Li0.44Mn1−yTi試料を作製した。それぞれの格子定数は、図8に示すようにナトリウム化合物の場合と同様に、チタン量yに依存して系統的な変化を示すことが確認された。
[リチウム二次電池]
このようにして得られたLi0.44Mn1−yTi焼成体(y=0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.56)の各試料を正極材料として、前項と同様にリチウム二次電池を作製し、同条件で充放電試験を行ったところ、いずれも平均放電電圧約3.5V、初期放電容量150〜180mAh/gで安定に充放電可能であることが確認された。図9に、化学組成(チタン含有量)に依存した初期放電容量の変化を示す。
本発明によれば、高い作動電圧領域(4V以上)において安定に充放電させることができるリチウムマンガンチタン酸化物正極材料の原料などとして有用な、化学組成式としてNaMn1−yTi(0.40<x<0.50、0<y<0.56)で表記され、結晶構造として斜方晶系に属し、ナトリウムが占有するトンネル構造を有する結晶材料を得ることができる。
また、この結晶材料から得られる本発明の化学組成式としてLiMn1−yTi(0.40<x<0.50、0<y<0.56)で表記されリチウムマンガンチタン酸化物は、高電圧かつ高容量で、サイクル劣化の少ない、かつ、低コストで、さらには軽量のリチウム二次電池正極材料として有用である。
また、上記リチウムマンガンチタン酸化物材料を正極材料(正極活物質)とする本発明のリチウム二次電池は、高電圧かつ高容量で、優れた充放電サイクル特性をも発揮することができ、実用性の高いものである。
本発明は、平成15年度「燃料電池自動車等用リチウム電池技術開発」(NEDO受託研究)、高性能リチウム電池要素技術開発『ベースメタル元素を活用した新規化合物正極材料開発』の成果である。
本発明により得られるリチウムマンガンチタン酸化物は、高電圧かつ高容量で、かつ、サイクル劣化の少ない、低コストのリチウム二次電池正極材料として有用である。
また、上記リチウムマンガン酸化物材料を正極材料(正極活物質)とする本発明のリチウム二次電池は、高電圧かつ高容量で、優れた充放電サイクル特性をも発揮することができ、実用性の高いものである。
実施例1で得られたNa0.44Mn0.5Ti0.5のX線粉末回折図である。 実施例1で得られたLi0.44Mn0.5Ti0.5のX線粉末回折図である。 本発明の結晶材料の、Li0.44MnO型のトンネル構造を説明するための模式図である。 本発明のリチウム二次電池(電気化学セル)の1例を示す模式図である。 実施例1のリチウム二次電池の10サイクルまでの充放電特性を示す図である。 実施例1のリチウム二次電池の10サイクルまでの充放電容量を示す図である。 実施例2で得られたNa0.44Mn1−yTiのチタン量yに依存した格子体積の変化を示す図である。 実施例2で得られたLi0.44Mn1−yTiのチタン量yに依存した格子体積の変化を示す図である。 実施例2で得られたLi0.44Mn1−yTiを正極材料とし、金属リチウムを負極材料としたリチウム二次電池の初期放電容量のチタン量依存性を示す図である。
符号の説明
1 正極材料
2 電解液
3 負極材料

Claims (6)

  1. 化学組成式としてLiMn1−yTi(0.40<x<0.50、0<y<0.56)で表記され、結晶構造として斜方晶系に属し、リチウムが占有するLi 0.44 MnO 型のトンネル構造を有するリチウム、マンガン、チタン、酸素から構成され、ナトリウムの含有量がNa/Liのモル比で0.05以下であることを特徴とするリチウム二次電池正極材料。
  2. 化学組成式としてNaMn1−yTi(0.40<x<0.50、0<y<0.56)で表記され、結晶構造として斜方晶系に属し、ナトリウムが占有するLi 0.44 MnO 型のトンネル構造を有するナトリウム、マンガン、チタン、酸素から構成される化合物を出発物質として、イオン交換処理によって製造することを特徴とする請求項1に記載の正極材料の製造方法。
  3. イオン交換処理を、リチウム化合物を含有する溶融塩中において行うことを特徴とする請求項2に記載の正極材料の製造方法。
  4. イオン交換処理を、リチウム化合物を溶解した有機溶剤または水溶液中において行うことを特徴とする請求項2に記載の正極材料の製造方法。
  5. 正極、負極及び電解質物質を有するリチウム二次電池の正極を請求項1に記載の正極材料により構成したことを特徴とするリチウム二次電池。
  6. 電池の作動電圧として、4V以上の領域で安定に充放電が可能であることを特徴とする請求項5に記載のリチウム二次電池。
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