JP5004239B2 - マンガン酸化物、二次電池用電極活物質、及びそれらの製造方法、並びに二次電池用電極活物質を用いたリチウム二次電池 - Google Patents

マンガン酸化物、二次電池用電極活物質、及びそれらの製造方法、並びに二次電池用電極活物質を用いたリチウム二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、マンガン酸化物、二次電池用電極活物質、及びそれらの製造方法、並びに二次電池用電極活物質を用いたリチウム二次電池に関する。
現在我が国においては、携帯型ゲーム機、カメラ用のアルカリ電池、リチウム電池、或いは、携帯電話、ノートパソコンなどの携帯型電子機器に搭載されているリチウム二次電池において、多くのマンガン酸化物が電極材料として使用されている。今後、これまでの携帯用電子機器としての需要以外にも、非常用バックアップ電源、分散型電源として、電池の重要性はますます高まっている。
このリチウム二次電池は、リチウム含有遷移金属複合酸化物を活物質とする正極と、リチウム金属、リチウム合金、金属酸化物、カーボンといった、リチウムを吸蔵・放出することが出来る材料を活物質とする負極と、非水系電解液を含むセパレータ又は固体電解質を主要構成要素とする。
これらの構成要素のうち、正極活物質として検討されているのは、層状岩塩型リチウムコバルト酸化物(LiCoO)、層状岩塩型リチウムニッケル酸化物(LiNiO)、スピネル型リチウムマンガン酸化物(LiMn)などが挙げられる。
特に、リチウムコバルト酸化物LiCoO正極活物質と炭素材料を負極とした組み合わせた電池において、4V近い電圧が可能となり、また充放電容量(正極から脱離・挿入可能なリチウム量)も大きいことから、リチウムコバルト酸化物正極が、現行のリチウム二次電池において広く採用されている。
しかしながら、LiCoOのコバルトは希少金属であり、コバルト価格高騰からリチウム二次電池の価格上昇の原因になっている。加えて、全世界のコバルト生産量の約20%を電池産業が占めており、今後の需要拡大に対応ができないと予想される。
これに対して、LiNiOはコバルトよりも安価なニッケルを用いており、価格的にはリチウムコバルト酸化物よりも有利であり、また、電池容量もリチウムコバルト酸化物より高容量が可能となることから、LiCoOの有力な代替材料と考えられている。
しかしながら、このLiNiOを正極材料として用いたリチウム二次電池は、充電状態での正極活物質の不安定性から、高温に保持すると分解、発熱、発火などの危険性があり、解決すべき問題が多くある。
一方、スピネル型のリチウムマンガン酸化物LiMnはリチウムコバルト酸化物やリチウムニッケル酸化物と比較すると、容量が小さいという欠点があるが、コバルトやニッケルよりも安価なマンガンを用いており、かつ充電時の安全性という点でも優れている。このことから、安全性が重要になる携帯型ゲーム機や、自動車用の電池材料として注目されている。
しかしながら、このスピネル型のリチウムマンガン酸化物は、電池の充放電を繰り返すと電池容量が著しく減少する、つまり充放電サイクル特性が悪いという問題点があった。さらに、60℃以上の高温で電池を長期間保存しておくと、電池容量が著しく減少する、という高温貯蔵劣化の問題点もあった。
今後、リチウム二次電池やキャパシタ等の充放電可能な二次電池は、自動車用電源や大容量のバックアップ電源、定置型電源など、大型で長寿命のものが必要となることが予測されることから、資源的に豊富なマンガン酸化物を活用した長寿命化に資する電極活物質が必要とされていた。
そこで、結晶構造の安定性がスピネル構造よりも高く、高電位で充放電可能であり、かつ高容量が可能となるトンネル構造を有するNaMnTi18型の材料が検討されてきた。(特許文献1から4、非特許文献1及び2参照)
上記材料は、イオン交換合成法により、ナトリウムをリチウムに交換することで作製可能であり、低コストで、かつ高電位・高容量のリチウム二次電池用の電極材料として注目されている。
また、マンガンの一部をチタンで置き換えることによって、更なる高容量化が可能であることが明らかとなっている。
しかしながら、上記材料を正極として使用したリチウム二次電池においては、充放電に伴うサイクル劣化が顕著であり、初期サイクルにおける高容量を長期にわたり維持できないことが問題であった。
また、上記材料の出発原料であるナトリウムマンガン酸化物について、ナトリウムをカルシウムに置換した化合物Na1.1Ca1.8Mn18が報告されているが、カルシウム置換量がナトリウムより多く、この化学組成では電池用には適さず、またこのカルシウム置換体中のナトリウムをリチウムに交換した化合物の合成、及びその二次電池正極活物質への適用について開示したものはない。(非特許文献3)
特開2005−259362号公報 特開2005−263583号公報 特開2005−268127号公報 特願2007−524578号公報 J.Akimoto,J.Awaka,Y.Takahashi,N.Kijima,M.Tabuchi,A.Nakashima,H.Sakaebe,K.Tatsumi,Electrochemical and Solid−State Letters,8,A554−A557(2005) J.Awaka,J.Akimoto,H.Hayakawa,Y.Takahashi,N.Kijima,M.Tabuchi,H.Sakaebe,K.Tatsumi,Journal of Power Sources,174,1218−1223(2007) N.Floros,C.Michel,M.Hervieu,B.Raveau,Journal of Solid State Chemistry,162,34−41(2001)
本発明は、上記のような既存の正極材料の課題を解決して、長期にわたる充放電サイクルに優れ、高容量が期待でき、かつ低価格な電池電極材料として重要なマンガン酸化物、二次電池用電極活物質、及びそれらの製造方法、並びに二次電池用電極活物質を用いたリチウム二次電池を提供することにある。
本発明者らは、上記特許文献1〜4に記載された発明を含む上記従来技術の問題に鑑みて鋭意検討を重ねてきた。その結果、構成元素としてカルシウムを加えた系で新化合物NaCaMn9−zTi18(組成範囲:0<x<9、0<y<1.8、かつ0≦z≦5)が生成すること、及びそれを出発原料として、ナトリウムをリチウムに交換した化合物が生成可能なこと、及びその化学組成、結晶構造、製造方法を明らかにし、合成されたLiCaMn9−zTi18(組成範囲:0<x<9、0<y<1.8、かつ0≦z≦5)を活物質として用いた正極を構成部材として含むリチウム二次電池を作製し、優れた初期放電容量と良好なサイクル特性を確認できたことで、本発明は完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記に示す(1)〜(11)の構成をとるものである。
(1)一般式としてLixCayMn9-zTiz18(組成範囲:0<x<9、0<y<1.8、かつ0≦z≦5)なる化学組成をとり、リチウム、カルシウム、マンガン、チタン、酸素を主成分として含有することを特徴とするマンガン酸化物。
(2)一般式としてLixCayMn9-zTiz18(組成範囲:0<x<9、0<y<1.8、かつ0≦z≦5)なる化学組成をとり、出発原料由来のナトリウムの残留量がNa/Liのモル比で0以上0.1以下であることを特徴とするマンガン酸化物。
(3)一般式としてLixCayMn9-zTiz18(組成範囲:0<x<9、0<y<1.8、かつ0≦z≦5)なる化学組成をとるとともに、結晶構造の特徴として、斜方晶系の結晶格子を有し、Na4Mn4Ti518型のリチウムとカルシウムイオンが占有したトンネル構造を有することを特徴とするマンガン酸化物。
(4)一般式としてLixCayMn9-zTiz18(組成範囲:0<x<9、0<y<1.8、かつ0≦z≦5)なる化学組成をとる化合物を含むリチウム二次電池用電極活物質。
(5)ナトリウム、カルシウム、マンガン、チタン、酸素から構成される化合物であるNa x Ca y Mn 9-z Ti z 18 (組成範囲:0<x<9、0<y<1.8、かつ0≦z≦5)を出発原料として、イオン交換処理によって製造することを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載のマンガン酸化物の製造方法。
(6)イオン交換処理を、リチウム化合物を含有する溶融塩中において行うことを特徴とする(5)に記載のマンガン酸化物の製造方法。
(7)イオン交換処理を、リチウム化合物を溶解した有機溶媒中か水溶液中で行うことを特徴とする(5)に記載のマンガン酸化物の製造方法。
(8)ナトリウム、カルシウム、マンガン、チタン、酸素から構成される化合物であるNa x Ca y Mn 9-z Ti z 18 (組成範囲:0<x<9、0<y<1.8、かつ0≦z≦5)を出発原料として、イオン交換処理によって製造することを特徴とする(4)に記載の二次電池用電極活物質の製造方法。
(9)イオン交換処理を、リチウム化合物を含有する溶融塩中において行うことを特徴とする(8)に記載の二次電池用電極活物質の製造方法。
(10)イオン交換処理を、リチウム化合物を溶解した有機溶媒中か水溶液中で行うことを特徴とする(8)に記載の二次電池用電極活物質の製造方法。
(11)正極及び負極として使用する2つの電極と、電解質からなるリチウム二次電池であって、(4)に記載の電極活物質を正極の構成部材として用いたリチウム二次電池。
本発明によれば、マンガン酸化物LiCaMn9−zTi18(組成範囲:0<x<9、0<y<1.8、かつ0≦z≦5)が製造可能であり、このマンガン酸化物を正極材料の活物質として使用することによって、優れた特性を有するリチウム二次電池が可能となる。
本発明のマンガン酸化物LiCaMn9−zTi18(組成範囲:0<x<9、0<y<1.8、かつ0≦z≦5)は、その結晶構造の特徴として、斜方晶系の結晶格子を有し、NaMnTi18型のリチウムとカルシウムイオンが占有したトンネル構造を有することを特徴とする化合物である。
さらに、上記新化合物LiCaMn9−zTi18(組成範囲:0<x<9、0<y<1.8、かつ0≦z≦5)は、電池用の正極材料の活物質として使用できることを特徴とする。
本発明のうち、出発原料であるNaCaMn9−zTi18(組成範囲:0<x<9、0<y<1.8、かつ0≦z≦5)の製造方法は、ナトリウム、カルシウム、マンガン、チタン、酸素から構成される化合物を出発原料として、空気中600℃〜1300℃の高温焼成によって合成されることを特徴とする方法である。
また、本発明のLiCaMn9−zTi18(組成範囲:0<x<9、0<y<1.8、かつ0≦z≦5)の製造方法は、上記NaCaMn9−zTi18を出発原料として、出発原料中に含有するナトリウムを、リチウムイオン交換処理及びリチウム挿入処理によって、ほぼ完全にリチウムに置き換えることを特徴とする方法である。
すなわち、本発明のLiCaMn9−zTi18(組成範囲:0<x<9、0<y<1.8、かつ0≦z≦5)は、リチウム、カルシウム、マンガン、チタン、及び酸素を主要構成元素として含有することを特徴とするが、本発明の効果を妨げない範囲内でナトリウム等の不純物元素を含有してもよい。
また、本発明のLiCaMn9−zTi18(組成範囲:0<x<9、0<y<1.8、かつ0≦z≦5)は、リチウム量を0<x<9の範囲内で自由に選択できることを特徴とする。リチウム量は、本発明の結晶構造の特徴から、同じトンネル空間に占有するカルシウム量によっても制限されるが、カルシウムが無い場合において、0<x≦9の範囲でイオン交換処理条件に依存して変化できることが特許文献1〜4において明らかとされている。
さらに、本発明のLiCaMn9−zTi18(組成範囲:0<x<9、0<y<1.8、かつ0≦z≦5)は、カルシウム量を0<y<1.8の範囲内で自由に選択できることを特徴とする。カルシウムを置換することは、ナトリウムやリチウム等のアルカリ元素よりも酸素との結合力が強く、トンネル空間の構造的な安定性を増大させる効果がある。しかしながら、yが1.8以上であると、トンネル空間に占有可能なリチウム量が極端に減少してしまい、逆効果となってしまう。好ましいカルシウム量は、構造中のリチウム量と相関があるが、0<y<1.8、より好ましくは0<y<0.8の範囲内にある。
また、本発明のLiCaMn9−zTi18(組成範囲:0<x<9、0<y<1.8、かつ0≦z≦5)は、マンガンとチタンの量を0≦z≦5の範囲内で自由に選択できることを特徴とする。チタンを置換することは、骨格の結晶構造の安定性を高めると共に、充放電反応に伴う電圧変化を緩やかにさせる効果があることが特許文献1〜4において確認されている。一方、チタン量が多いと、平均放電電圧の減少が見られることも確認されており、目的とするリチウム二次電池の構成・用途に応じて、自由に選択することができる。
本発明のLiCaMn9−zTi18(組成範囲:0<x<9、0<y<1.8、かつ0≦z≦5)を活物質として含有する電極を構成部材として用いたリチウム二次電池は、特許文献1〜4に係る技術的な問題点を解決し、高容量で、かつ充放電サイクルに伴う劣化が少ない、長寿命が期待できる二次電池である。
本発明のマンガン酸化物LiCaMn9−zTi18(組成範囲:0<x<9、0<y<1.8、かつ0≦z≦5)の有する一次元のトンネル構造とは、図1に示すように、(Mn、Ti)O及び(Mn、Ti)O多面体が連結することによって構築された骨格構造によって、サイズの異なる2種類のトンネル空間を有する結晶構造であることを特徴とする。この結晶構造をとることから、トンネル内に大量のリチウムイオンを吸蔵することが可能となり、また一次元の伝導パスが確保されていることから、トンネル方向のイオンの移動が容易であり、かつカルシウムがトンネル構造を安定化する、という特徴がある。
本発明に係わる製造方法を更に詳しく説明する。
(マンガン酸化物LiCaMn9−zTi18の合成)
本発明のうち、マンガン酸化物NaCaMn9−zTi18(組成範囲:0<x<9、0<y<1.8、かつ0≦z≦5)は、原料としてナトリウム化合物の少なくとも1種、カルシウム化合物の少なくとも1種、マンガン化合物の少なくとも1種、及びチタン化合物の少なくとも1種を、上記組成範囲内で自由に選択された割合となるように秤量・混合し、空気中などの酸素ガスが存在する雰囲気中で加熱することによって、製造することができる。
ナトリウム原料としては、ナトリウム(金属ナトリウム)及びナトリウム化合物の少なくとも一種を用いる。ナトリウム化合物としては、ナトリウムを含有するものであれば特に制限されず、例えば、NaO,NaNO等の酸化物、NaCO、NaNO等の塩類、NaOHなどの水酸化物が挙げられる。これらの中でも、特にNaCO等が好ましい。
カルシウム原料としては、カルシウム(金属カルシウム)及びカルシウム化合物の少なくとも一種を用いる。カルシウム化合物としては、カルシウムを含有するものであれば特に制限されず、例えば、CaO等の酸化物、CaCO、Ca(NO等の塩類、Ca(OH)などの水酸化物が挙げられる。これらの中でも、特にCaCO等が好ましい。
マンガン原料としては、マンガン(金属マンガン)及びマンガン化合物の少なくとも一種を用いる。マンガン化合物としては、マンガンを含有するものであれば特に制限されず、例えば、Mn,Mn,MnO等の酸化物、MnCO,MnCl等の塩類、Mn(OH)等などの水酸化物,MnOOH等の酸化水酸化物が挙げられる。これらの中でも特にMn等が好ましい。
チタン原料としては、チタン(金属チタン)及びチタン化合物の少なくとも一種を用いる。チタン化合物としては、チタンを含有するものであれば特に制限されず、例えば、TiO、Ti、TiO等の酸化物等が挙げられる。これらの中でも特にTiO等が好ましい。
或いは、ナトリウム、カルシウム、マンガン、チタンの中で、あらかじめ複数の構成元素からなる複合化合物を原料としてもよい。たとえば、ナトリウムマンガン複合化合物、ナトリウムチタン複合化合物、マンガンチタン複合化合物、カルシウムチタン複合化合物等を出発原料として用いることができる。具体的には、NaMnO、NaTiO、MnTiO、CaTiO等の複合酸化物等や、複合炭酸塩、複合酢酸塩、複合シュウ酸塩等の塩類、複合水酸化物、複合酸化水酸化物等が挙げられる。これらの中でも特にマンガンチタン複合酸化水酸化物等が好ましい。
はじめに、これらを含む混合物を調整する。ナトリウム原料とカルシウム原料及びマンガン原料の混合割合は、前記NaCaMn9−zTi18(組成範囲:0<x<9、0<y<1.8、かつ0≦z≦5)の組成範囲内となるように自由に選択された化学組成で混合することが望ましい。また、加熱時にナトリウムは揮発し易く、生成物中のナトリウム量が仕込み組成よりも少なくなることが多いので、ナトリウム量は、モル%で数%〜10数%程度過剰に加えた方が好ましい。
また、混合方法は、これらを均一に混合できる限り特に限定されず、例えばミキサー等の公知の混合機を用いて、湿式又は乾式で混合すればよい。
次いで、混合物を焼成する。焼成温度は、混合物の組成等に応じて設定することが出来るが、通常は600℃〜1300℃程度、好ましくは700℃〜1100℃とすればよい。また焼成雰囲気も特に限定されず、通常は酸化性雰囲気又は大気雰囲気で実施すればよい。焼成時間は、焼成温度に応じて適宜変更することができる。冷却方法も特に限定されないが、通常は自然放冷(炉内放冷)又は徐冷すればよい。
焼成後は、必要に応じて焼成物を公知の方法で粉砕し、さらに上記の焼成工程を実施してもよい。すなわち、本発明方法では、上記混合物の焼成、冷却及び粉砕を1回以上実施することが好ましい。なお、粉砕の程度は、焼成温度などに応じて適宜調節すればよい。
次いで、焼成されたNaCaMn9−zTi18(組成範囲:0<x<9、0<y<1.8、かつ0≦z≦5)に、リチウム化合物を含む溶融塩中、或いは有機溶剤又は水溶液中でイオン交換処理を施すことにより、NaMnTi18型の結晶構造を有し、化学組成式LiCaMn9−zTi18(組成範囲:0<x<9、0<y<1.8、かつ0≦z≦5)で表される新化合物が得られる。
この場合に、リチウム含有化合物を含む溶融塩中において、粉砕されたNaCaMn9−zTi18(組成範囲:0<x<9、0<y<1.8、かつ0≦z≦5)を分散させながら、イオン交換処理を施すことが好適である。溶融塩としては、硝酸リチウム、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、水酸化リチウム等の低温で溶融する塩類のうちで、いずれか1種以上を含む溶融塩を用いることができる。好ましい方法としては、リチウム化合物とNaCaMn9−zTi18焼成物の粉末をよく混合しておく。混合比は、通常、溶融塩中のLi/NaCaMn9−zTi18中のNaのモル比で2〜40、好ましくは5〜30である。
イオン交換の温度は、260℃〜330℃である。イオン交換の温度が260℃よりも低い場合は、NaCaMn9−zTi18(組成範囲:0<x<9、0<y<1.8、かつ0≦z≦5)中のナトリウムがリチウムに完全に交換されず、相当量のナトリウムが生成物中に残存する。一方、イオン交換温度が330℃よりも高い場合は、一部がスピネル構造に変化するため、均一な結晶構造を得ることができない。処理時間は、通常2〜20時間、好ましくは5〜15時間である。
さらに、イオン交換処理の方法として、リチウム化合物を溶解した有機溶剤又は水溶液中で処理する方法も適する。この場合、リチウム含有化合物を溶解させた有機溶剤中に、粉砕されたNaCaMn9−zTi18(組成範囲:0<x<9、0<y<1.8、かつ0≦z≦5)を投入し、その有機溶剤の沸点以下の温度で処理する。イオン交換速度を高めるため、水又は有機溶剤の沸点付近で、溶媒を還流させながら、イオン交換することが好ましい。処理温度は通常30℃〜200℃、好ましくは60℃〜180℃で処理される。また、処理時間は、特に制限されないが、低温であると反応時間が必要であることから、通常5〜50時間、好ましくは10〜20時間である。
本発明に用いられるリチウム含有化合物としては、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、ハロゲン化物、ブチルリチウム等が好ましく、これらは単独又は必要に応じて2種以上を組み合わせて用いられる。また、本発明に用いられる有機溶剤としては、ヘキサノール、エトキシエタノール等の高級アルコール、ジエチレングルコールモノエチルエーテル等のエーテル、もしくは沸点が140℃以上の有機溶剤が、作業性が良好である点で好ましい。これらは単独又は必要に応じて2種以上組み合わせて用いられる。
有機溶剤又は水溶液中におけるリチウム含有化合物の濃度は、通常3〜10モル%、好ましくは5〜8モル%である。また、有機溶剤又は水溶液中でのNaCaMn9−zTi18の分散濃度は、特に制限されないが、操作性及び経済性の観点から1〜20重量%が好ましい。
イオン交換処理の後、得られた生成物を、蒸留水でよく洗浄した後、メタノール、エタノールで洗浄後、乾燥させることによって、目的とするLiCaMn9−zTi18(組成範囲:0<x<9、0<y<1.8、かつ0≦z≦5)が得られる。洗浄方法、乾燥方法については、特に制限されず、通常の方法が用いられる他、デシケーター内における自然乾燥でも良い。
乾燥後、必要に応じてイオン交換処理物を公知の方法で粉砕し、さらに上記のイオン交換処理工程を実施してもよい。すなわち、本発明方法では、上記イオン交換処理を2回以上実施することが好ましい。
(リチウム二次電池)
本発明のリチウム二次電池は、マンガン酸化物LiCaMn9−zTi18(組成範囲:0<x<9、0<y<1.8、かつ0≦z≦5)活物質を含有する正極を構成部材として用いるものである。すなわち、正極材料に本発明のLiCaMn9−zTi18(組成範囲:0<x<9、0<y<1.8、かつ0≦z≦5)活物質を用いる以外は、公知の二次電池(コイン型、ボタン型、円筒型、全固体型等)の電池要素をそのまま採用することができる。
図2は、本発明の二次電池を、コイン型リチウム二次電池に適用した1例を示す模式図である。このコイン型二次電池1は、負極端子2、負極3、(セパレータ+電解液)4、絶縁パッキング5、正極6、正極缶7により構成される。
本発明では、上記本発明のLiCaMn9−zTi18(組成範囲:0<x<9、0<y<1.8、かつ0≦z≦5)活物質に、必要に応じて導電剤、結着剤等を配合して電極合材を調製し、これを集電体に圧着することにより電極が作製できる。集電体としては、好ましくはステンレスメッシュ、アルミ箔等を用いることができる。導電剤としては、好ましくはアセチレンブラック、ケッチェンブラック等を用いることができる。結着剤としては、好ましくはテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等を用いることができる。
電極合材におけるLiCaMn9−zTi18(組成範囲:0<x<9、0<y<1.8、かつ0≦z≦5)活物質、導電剤、結着剤等の配合も特に限定的ではないが、通常は導電剤が1〜30重量%程度(好ましくは5〜25重量%)、結着剤が0〜30重量%(好ましくは3〜10重量%)とし、残部をLiCaMn9−zTi18(組成範囲:0<x<9、0<y<1.8、かつ0≦z≦5)活物質となるようにすればよい。
本発明のリチウム二次電池において、上記正極に対する対極としては、例えば黒鉛、MCMB(メソカーボンマイクロビーズ)等の炭素系材料、スズ系材料等の合金系材料、リチウム金属、リチウム合金などのリチウムを吸蔵可能な公知のものを採用することができる。
また、本発明のリチウム二次電池において、セパレータ、電池容器等も公知の電池要素を採用すればよい。
さらに、電解質としても公知のリチウム二次電池用の電解液、固体電解質等が適用できる。例えば、電解液としては、過塩素酸リチウム、6フッ化リン酸リチウム等の電解質を、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)等の溶媒に溶解させたものが使用できる。
以下に、実施例を示し、本発明の特徴とするところをより一層明確にする。本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
(マンガン酸化物Li2.5Ca0.3Mn18の合成)
炭酸ナトリウム(NaCO),炭酸カルシウム(CaCO),酸化マンガン(MnO)をNa:Ca:Mnのモル比が3.4:0.3:9の割合となるように秤量した。これらを乳鉢中で均一に混合したのち、混合物をアルミナるつぼ(JIS規格品SSA−S)に充填し、電気炉を用いて、空気中1000℃で10時間加熱した。その後、炉内で徐冷し、得られた焼成体を粉砕することによって、化学組成式Na3.4Ca0.3Mn18の出発物質を得た。
得られた試料について、X線粉末回折装置(リガク製、商品名RINT2500V)により、良好な結晶性を有する、斜方晶系、空間群Pbamに属するトンネル構造の単一相であることが明らかとなった。
またエネルギー分散型元素分析装置を付加した走査型電子顕微鏡(日本電子製SEM−EDX、商品名JSM5400)により、粉体試料の粒子形態と化学組成について調べた。その結果、試料は、長さ約1〜5μm程度の柱状の一次粒子から構成され、また各粒子の化学分析スペクトルから、カルシウムが検出され、試料中に均質にカルシウムが置換できていることが確認された。
次に、上記で得られた試料を出発原料として、硝酸リチウムの溶融塩中でイオン交換処理を行った。Na3.4Ca0.3Mn18粉体試料を、重量比で試料の約100倍量の硝酸リチウム(純度99%以上)と混合し、アルミナ製るつぼに入れ、空気中270℃で10時間加熱処理を行うことによって、イオン交換を行った。
イオン交換後、純水で洗浄・乾燥を行い、目的とするイオン交換体を得ることができた。
得られた試料について、X線粉末回折装置(リガク製、商品名RINT2500V)により、良好な結晶性を有する、斜方晶系、空間群Pbamに属するトンネル構造の単一相であることが明らかとなった。得られたイオン交換体の粉末X線回折パターンを図3に示す。また、観測されたX線回折ピークについて、斜方晶系で指数付けを行い、最小自乗法で格子定数を算出したところ、カルシウム置換により、a、b軸長が長く、c軸長は短くなることが確認された。
a=8.928Å(誤差:±0.001Å)
b=24.265Å(誤差:±0.006Å)
c=2.8267Å(誤差:±0.004Å)
またエネルギー分散型元素分析装置を付加した走査型電子顕微鏡(日本電子製SEM−EDX、商品名JSM5400)により、粉体試料の粒子形態と化学組成について調べた。その結果、試料は、出発原料であるNa3.4Ca0.3Mn18の粒子形状を維持しており、長さ約1〜5μm程度の柱状の一次粒子から構成されていることが確認された。図4に、試料の走査型電子顕微鏡写真を示す。
さらに、この試料について、ICP発光分析法により、化学組成を分析した結果、Li:Ca:Mn=2.45:0.29:9のモル比であり、化学組成式として、Li2.5Ca0.3Mn18であることが確認された。また、出発原料に由来するナトリウム量は、Na/Liのモル比で0.025であった。
(リチウム二次電池)
このようにして得られたLi2.5Ca0.3Mn18を正極活物質とし、導電剤としてアセチレンブラック、結着剤としてテトラフルオロエチレンを、重量比20:5:1となるように配合して電極を作製し、対極にリチウム金属を用いて、6フッ化リン酸リチウムをエチレンカーボネート(EC)とヂエチルカーボネート(DEC)との混合溶媒(体積比1:1)に溶解させた1M溶液を電解液とする、図2に示す構造のリチウム二次電池を作製し、その充放電特性を試験した。電池の作製は、公知のセルの構成・組み立て方法に従って行った。
作製されたリチウム二次電池について、25℃の温度条件下で、電流密度30mA/g、カットオフ電位4.8−2.0Vで充放電試験を行ったところ、初期放電容量127mAh/g程度で、3.0V付近に放電平坦部を有し、かつ、可逆的に充放電可能であることが判明した。サイクルに伴う放電容量の容量維持率を図5に示す。
(マンガン酸化物Li2.2Ca0.5Mn18の合成)
炭酸ナトリウム(NaCO),炭酸カルシウム(CaCO),酸化マンガン(MnO)をNa:Ca:Mnのモル比が3.0:0.5:9の割合となるように秤量した。これらを乳鉢中で均一に混合したのち、混合物をアルミナるつぼ(JIS規格品SSA−S)に充填し、電気炉を用いて、空気中1000℃で10時間加熱した。その後、炉内で徐冷し、得られた焼成体を粉砕することによって、化学組成式Na3.0Ca0.5Mn18の出発物質を得た。
得られた試料について、X線粉末回折装置(リガク製、商品名RINT2500V)により、良好な結晶性を有する、斜方晶系、空間群Pbamに属するトンネル構造の単一相であることが明らかとなった。
またエネルギー分散型元素分析装置を付加した走査型電子顕微鏡(日本電子製SEM−EDX、商品名JSM5400)により、粉体試料の粒子形態と化学組成について調べた。その結果、試料は、長さ約1〜5μm程度の柱状の一次粒子から構成され、また各粒子の化学分析スペクトルから、カルシウムが検出され、試料中に均質にカルシウムが置換できていることが確認された。
次に、上記で得られた試料を出発原料として、硝酸リチウムの溶融塩中でイオン交換処理を行った。Na3.0Ca0.5Mn18粉体試料を、重量比で試料の約100倍量の硝酸リチウム(純度99%以上)と混合し、アルミナ製るつぼに入れ、空気中270℃で10時間加熱処理を行うことによって、イオン交換を行った。
イオン交換後、純水で洗浄・乾燥を行い、目的とするイオン交換体を得ることができた。
得られた試料について、X線粉末回折装置(リガク製、商品名RINT2500V)により、良好な結晶性を有する、斜方晶系、空間群Pbamに属するトンネル構造の単一相であることが明らかとなった。得られたイオン交換体の粉末X線回折パターンを図6に示す。また、観測されたX線回折ピークについて、斜方晶系で指数付けを行い、最小自乗法で格子定数を算出したところ、カルシウム置換量の増大に伴い、a、b軸長がさらに長く、c軸長はさらに短くなることが確認された。
a=8.929Å(誤差:±0.001Å)
b=24.384Å(誤差:±0.006Å)
c=2.8262Å(誤差:±0.004Å)
またエネルギー分散型元素分析装置を付加した走査型電子顕微鏡(日本電子製SEM−EDX、商品名JSM5400)により、粉体試料の粒子形態と化学組成について調べた。その結果、試料は、出発原料であるNa3.0Ca0.5Mn18の粒子形状を維持しており、長さ約1〜5μm程度の柱状の一次粒子から構成されていることが確認された。図7に、試料の走査型電子顕微鏡写真を示す。
さらに、この試料について、ICP発光分析法により、化学組成を分析した結果、Li:Ca:Mn=2.20:0.49:9のモル比であり、化学組成式として、Li2.2Ca0.5Mn18であることが確認された。また、出発原料に由来するナトリウム量は、Na/Liのモル比で0.027であった。
(リチウム二次電池)
このようにして得られたLi2.2Ca0.5Mn18を正極活物質とし、実施例1と同様のリチウム二次電池を作製し、25℃の温度条件下で、電流密度30mA/g、カットオフ電位4.8−2.0Vで充放電試験を行ったところ、初期放電容量121mAh/g程度で、3.0V付近に放電平坦部を有し、かつ、可逆的に充放電可能であることが判明した。サイクルに伴う放電容量の容量維持率を図5に示す。
(比較例1)
(Li2.5Mn18の合成)
炭酸ナトリウム(NaCO)と酸化マンガン(MnO)をNa:Mnのモル比で4.0:9の割合となるように秤量した。これらを乳鉢中で均一に混合したのち、混合物をアルミナるつぼ(JIS規格品SSA−S)に充填し、電気炉を用いて、空気中900℃で10時間加熱した。その後、炉内で徐冷し、得られた焼成体を粉砕することによって、化学組成式Na4.0Mn18の出発物質を得た。
得られた試料について、X線粉末回折装置(リガク製、商品名RINT2500V)により、良好な結晶性を有する、斜方晶系、空間群Pbamに属するトンネル構造の単一相であることが明らかとなった。
またエネルギー分散型元素分析装置を付加した走査型電子顕微鏡(日本電子製SEM−EDX、商品名JSM5400)により、粉体試料の粒子形態と化学組成について調べた。その結果、試料は、長さ約1〜5μm程度の柱状の一次粒子から構成されていることが確認された。
次に、上記で得られた試料を出発原料として、硝酸リチウムの溶融塩中でイオン交換処理を行った。Na4.0Mn18粉体試料を、重量比で試料の約100倍量の硝酸リチウム(純度99%以上)と混合し、アルミナ製るつぼに入れ、空気中270℃で10時間加熱処理を行うことによって、イオン交換を行った。
イオン交換後、純水で洗浄・乾燥を行い、目的とするイオン交換体を得ることができた。
得られた試料について、X線粉末回折装置(リガク製、商品名RINT2500V)により、良好な結晶性を有する、斜方晶系、空間群Pbamに属するトンネル構造の単一相であることが明らかとなった。得られたイオン交換体の粉末X線回折パターンを図8に示す。また、観測されたX線回折ピークについて、斜方晶系で指数付けを行い、最小自乗法で格子定数を算出したところ、既報とよく一致していた。実施例1及び2と比較することで、カルシウム置換量に依存した格子定数の連続的な変化が確認され、固溶体が形成されていることが確認された。
a=8.908Å(誤差:±0.001Å)
b=24.071Å(誤差:±0.005Å)
c=2.8277Å(誤差:±0.005Å)
またエネルギー分散型元素分析装置を付加した走査型電子顕微鏡(日本電子製SEM−EDX、商品名JSM5400)により、粉体試料の粒子形態と化学組成について調べた。その結果、試料は、出発原料であるNa4.0Mn18の粒子形状を維持しており、長さ約1〜5μm程度の柱状の一次粒子から構成されていることが確認された。図9に、試料の走査型電子顕微鏡写真を示す。
さらに、この試料について、ICP発光分析法により、化学組成を分析した結果、Li:Mn=2.48:9のモル比であり、化学組成式として、Li2.5Mn18であることが確認された。また、出発原料に由来するナトリウム量は、Na/Liのモル比で0.025であった。
(リチウム二次電池)
このようにして得られたLi2.5Mn18を正極活物質とし、実施例1及び2と同様のリチウム二次電池を作製し、25℃の温度条件下で、電流密度30mA/g、カットオフ電位4.8−2.0Vで充放電試験を行ったところ、初期放電容量は187mAh/g程度と最も高容量であったが、サイクルに伴う容量低下が顕著であり、サイクル特性に問題があることが確認された。サイクルに伴う放電容量の容量維持率の低下は、図5に示すように、本発明の実施例1、及び実施例2と比べて、最も顕著であり、本発明のカルシウムを構成元素とすることの有効性が確認された。
本発明のマンガン酸化物LiCaMn9−zTi18(組成範囲:0<x<9、0<y<1.8、かつ0≦z≦5)は、一次元的なトンネル構造を有するという結晶構造の特徴から、現行のスピネル型リチウムマンガン酸化物よりも構造的な安定性が高く、リチウムイオンのスムーズな吸蔵・放出に有利であり、かつ充放電サイクル特性の観点でも優れた材料である。そのため、リチウム二次電池の正極活物質として実用的価値の高いものである。
また、その製造方法も、特別な装置を必要とせず、さらに、使用する原料も低価格であることから、低コストで高付加価値の材料を製造可能である。
さらに、本発明のマンガン酸化物LiCaMn9−zTi18(組成範囲:0<x<9、0<y<1.8、かつ0≦z≦5)を活物質として正極材料に適用したリチウム二次電池は、高容量で、かつ長期にわたる充放電サイクルに対応可能な二次電池である。
本発明のマンガン酸化物LiCaMn9−zTi18(組成範囲:0<x<9、0<y<1.8、かつ0≦z≦5)が有する結晶構造を示す模式図である。 二次電池の1例(コイン型リチウム二次電池)を示す模式図である。 実施例1で得られた本発明のマンガン酸化物Li2.5Ca0.3Mn18の粉末X線回折図形である。 実施例1で得られた本発明のマンガン酸化物Li2.5Ca0.3Mn18の粒子形態を示す走査型電子顕微鏡写真である。 本発明のリチウム二次電池における充放電サイクルに伴う放電容量維持率を示す図である。 実施例2で得られた本発明のマンガン酸化物Li2.2Ca0.5Mn18の粉末X線回折図形である。 実施例2で得られた本発明のマンガン酸化物Li2.2Ca0.5Mn18の粒子形態を示す走査型電子顕微鏡写真である。 比較例1で得られたLi2.5Mn18の粉末X線回折図形である。 比較例1で得られたLi2.5Mn18の粒子形態を示す走査型電子顕微鏡写真である。
符号の説明
a カルシウム
b リチウム
1 コイン型リチウム二次電池
2 負極端子
3 負極
4 セパレータ+電解液
5 絶縁パッキング
6 正極
7 正極缶

Claims (11)

  1. 一般式としてLixCayMn9-zTiz18(組成範囲:0<x<9、0<y<1.8、かつ0≦z≦5)なる化学組成をとり、リチウム、カルシウム、マンガン、チタン、酸素を主成分として含有することを特徴とするマンガン酸化物。
  2. 一般式としてLixCayMn9-zTiz18(組成範囲:0<x<9、0<y<1.8、かつ0≦z≦5)なる化学組成をとり、出発原料由来のナトリウムの残留量がNa/Liのモル比で0以上0.1以下であることを特徴とするマンガン酸化物。
  3. 一般式としてLixCayMn9-zTiz18(組成範囲:0<x<9、0<y<1.8、かつ0≦z≦5)なる化学組成をとるとともに、結晶構造の特徴として、斜方晶系の結晶格子を有し、Na4Mn4Ti518型のリチウムとカルシウムイオンが占有したトンネル構造を有することを特徴とするマンガン酸化物。
  4. 一般式としてLixCayMn9-zTiz18(組成範囲:0<x<9、0<y<1.8、かつ0≦z≦5)なる化学組成をとる化合物を含むリチウム二次電池用電極活物質。
  5. ナトリウム、カルシウム、マンガン、チタン、酸素から構成される化合物であるNa x Ca y Mn 9-z Ti z 18 (組成範囲:0<x<9、0<y<1.8、かつ0≦z≦5)を出発原料として、イオン交換処理によって製造することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のマンガン酸化物の製造方法。
  6. イオン交換処理を、リチウム化合物を含有する溶融塩中において行うことを特徴とする請求項5に記載のマンガン酸化物の製造方法。
  7. イオン交換処理を、リチウム化合物を溶解した有機溶媒中か水溶液中で行うことを特徴とする請求項5に記載のマンガン酸化物の製造方法。
  8. ナトリウム、カルシウム、マンガン、チタン、酸素から構成される化合物であるNa x Ca y Mn 9-z Ti z 18 (組成範囲:0<x<9、0<y<1.8、かつ0≦z≦5)を出発原料として、イオン交換処理によって製造することを特徴とする請求項4に記載の二次電池用電極活物質の製造方法。
  9. イオン交換処理を、リチウム化合物を含有する溶融塩中において行うことを特徴とする請求項8に記載の二次電池用電極活物質の製造方法。
  10. イオン交換処理を、リチウム化合物を溶解した有機溶媒中か水溶液中で行うことを特徴とする請求項8に記載の二次電池用電極活物質の製造方法。
  11. 正極及び負極として使用する2つの電極と、電解質からなるリチウム二次電池であって、請求項4に記載の電極活物質を正極の構成部材として用いたリチウム二次電池。
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