JP2016030698A - チタン酸化物及びその製造方法、二次電池用活物質及びその製造方法、並びにチタン酸化物を活物質として用いた二次電池 - Google Patents

チタン酸化物及びその製造方法、二次電池用活物質及びその製造方法、並びにチタン酸化物を活物質として用いた二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】従来よりも高容量かつ長寿命の二次電池用活物質として重要なチタン酸化物及びその製造方法、当該チタン酸化物を主成分とする二次電池用活物質及びその製造方法、並びに当該チタン酸化物を活物質として用いた二次電池を提供すること。【解決手段】本発明のチタン酸化物は、式A2Ti3O7(式中、Aは、Na、Li及びHから選択された1種又は2種以上を示し、Hを必ず含むものとする。)で表され、結晶構造が斜方晶系のNaLiTi3O7型のトンネル構造であることを特徴とする。【選択図】 図1

Description

本発明は、チタン酸化物及びその製造方法、二次電池用活物質及びその製造方法、並びにチタン酸化物を活物質として用いた二次電池に関する。
近年、携帯電話やノートパソコン等の多くの携帯型電子機器に二次電池が搭載されており、そのほとんどはリチウム二次電池である。また、リチウム二次電池をはじめとする二次電池は、今後、ハイブリッド車両や電力負荷平準化システム等の大型電池としての実用化も期待されており、その重要性はますます高まっている。
例えば、リチウム二次電池は、いずれもリチウムを可逆的に吸蔵・放出することが可能な材料を含有する正極及び負極からなる電極と、非水系電解液を含むセパレータ又は固体電解質とを主要構成要素とする。
これらの構成要素のうち、電極用活物質として、リチウムコバルト酸化物(LiCoO)、リチウムマンガン酸化物(LiMn)、リチウムチタン酸化物(LiTi12)等の酸化物系、金属リチウム、リチウム合金、スズ合金等の金属系、及び黒鉛、MCMB(メソカーボンマイクロビーズ)等の炭素系材料の使用が検討されている。
これらの材料について、それぞれの活物質中のリチウム含有量における化学ポテンシャルの差によって電池の電圧が決定される。特に、活物質の組み合わせによって大きな電位差を形成できることが、エネルギー密度に優れるリチウム二次電池の特徴である。
今後、自動車用電源や高容量のバックアップ電源、緊急用電源等の用途を想定した場合には、より高容量かつ長寿命の二次電池が必要となることが予測される。そのため、種々の活物質を組み合わせることで、さらに高容量かつ長寿命の二次電池の開発が求められている。
例えば、式ATi(式中、Aは、Na、Li及びHから選択された1種又は2種以上を示す)で表される複合チタン酸化物を主成分とし、結晶構造が単斜晶系のNaTi型の層状構造であることを特徴とするリチウム二次電池用活物質が提案されている(特許文献1、非特許文献1参照)。また、式LiTiで表され、斜方晶系に属するNaLiTi型の結晶構造を有するチタン酸化物をリチウム二次電池用活物質として用いることも提案されている(非特許文献2参照)。
特開2007−234233号公報
K.Chiba,N.Kijima,Y.Takahashi,Y.Idemoto,J.Akimoto,Solid State Ionics,178,1725(2008) 千葉一毅 他、第81回電気化学会、1R12、P370(2014)
しかしながら、特許文献1や非特許文献1に記載の二次電池用活物質をもってしても、長期にわたる充放電サイクル特性が不良であり、特に初期容量が低いのが現状である。また、本発明者らが非特許文献2に記載のチタン酸化物の電気化学特性を評価したところ、二次電池の容量及び充放電サイクル特性は良好であるものの、更なる改善の余地があると考えられる。このように、従来よりも高容量かつ長寿命の二次電池用活物質の開発が求められている。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、従来よりも高容量かつ長寿命の二次電池用活物質として重要なチタン酸化物を提供することを目的とする。また、本発明は、当該チタン酸化物の製造方法、当該チタン酸化物を主成分とする二次電池用活物質及びその製造方法、当該チタン酸化物を活物質として用いた二次電池を提供することも目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、式ATi(式中、Aは、Na、Li及びHから選択された1種又は2種以上を示し、Hを必ず含むものとする。)で表され、結晶構造が斜方晶系のNaLiTi型のトンネル構造であることを特徴とするチタン酸化物に関する。
式ATiで表されるチタン酸化物のうち、結晶構造が斜方晶系のNaLiTi型のトンネル構造であり、Hを含むものはこれまで知られていなかった。また、このようなチタン酸化物を電極用活物質として適用することについて開示したものもなかった。
本発明のチタン酸化物においては、結晶構造を斜方晶系のトンネル構造とすることで、特許文献1や非特許文献1に記載されている活物質のような層状のものと比べてより構造安定性が高くなる。そのため、二次電池用活物質として用いた場合、二次電池のサイクル特性が向上し、長寿命化できる。
さらに、本発明のチタン酸化物は、NaやLiと比べてイオン半径の小さいHが必ず含まれるため、トンネル構造内により大きな空間が形成される。そのため、負極活物質としての使用を考えた場合、充電時に、結晶構造中の空間内により多くのリチウムイオンが電気化学的に挿入される結果、非特許文献2に記載されているチタン酸化物よりも高容量化できる。
したがって、本発明によれば、従来よりも高容量かつ長寿命の二次電池用活物質として使用可能な新規チタン酸化物を提供できる。
このように、上記チタン酸化物を主成分とすることを特徴とする二次電池用活物質もまた、本発明の1つである。
本発明のチタン酸化物においては、上記式ATiが、ALiTi(式中、Aは、Na、Li及びHから選択された1種又は2種以上を示し、Hを必ず含むものとする。)であることが好ましい。この場合、上記斜方晶系の格子定数は、a軸長が16.7〜16.8Å、b軸長が5.7〜5.8Å、c軸長が11.0〜11.2Åの範囲であることが好ましい。
また、本発明のチタン酸化物においては、上記式ATiが、AHTi(式中、Aは、Na、Li及びHから選択された1種又は2種以上を示し、Hを必ず含むものとする。)であることも好ましい。この場合、上記斜方晶系の格子定数は、a軸長が16.7〜17.1Å、b軸長が5.7〜5.9Å、c軸長が10.8〜11.2Åの範囲であることが好ましい。
さらに、本発明は、上記チタン酸化物の製造方法に関し、式BLiTi(式中、Bは、Na及びLiから選択された1種又は2種を示し、Liを必ず含むものとする。)で表され、結晶構造が斜方晶系のNaLiTi型のトンネル構造であるチタン酸化物を出発原料として、上記出発原料のNa及びLiの少なくとも1種をHに交換するプロトン交換によって合成されることを特徴とする。
また、本発明は、上記チタン酸化物の製造方法によって、本発明のチタン酸化物が合成されることを特徴とする二次電池用活物質の製造方法に関する。
これまで、結晶構造が斜方晶系のNaLiTi型のトンネル構造であるNaLiTiやLiTiに対してプロトン交換処理を行うことにより、どのような相が存在するかについては明らかではなかった。
本発明の製造方法によれば、上記チタン酸化物及び二次電池用活物質を製造することができ、従来よりも高容量かつ長寿命の二次電池用活物質を提供できる。
本発明の製造方法において、上記式BLiTiで表されるチタン酸化物は、ナトリウム原料とリチウム原料とチタン原料とから生成された複合チタン酸化物NaLiTiのNaをLiに交換するリチウムイオン交換によって合成されることが好ましい。
さらにまた、本発明は、正極と、負極と、電解質と、を含んで構成される二次電池に関し、正極及び負極のうち少なくとも一方に、上記チタン酸化物を主成分とする二次電池用活物質を含有することを特徴とする。
本発明によれば、従来よりも高容量かつ長寿命の二次電池を提供できる。
本発明によれば、新規チタン酸化物を製造することが可能であり、この化合物を電極材料の活物質として使用することによって、従来よりも高容量かつ長寿命の二次電池用活物質及び二次電池を提供できる。
斜方晶系のトンネル構造を有するNaLiTiの結晶構造を示す模式図である。 本発明の二次電池の一例を模式的に示す部分断面図である。 参考例1、参考例2、実施例1及び実施例2に係るチタン酸化物の粉末X線回折図形である。 実施例1に係るHLiTiの走査型電子顕微鏡写真である。 実施例2に係るHTiの走査型電子顕微鏡写真である。 実施例1、参考例2及び比較例1におけるリチウム挿入・脱離反応に伴う電圧変化を示す図である。 実施例1、参考例2及び比較例1に係るリチウム二次電池のサイクル数とLi挿入容量との関係を示す図である。 実施例2、参考例2及び比較例2におけるリチウム挿入・脱離反応に伴う電圧変化を示す図である。 実施例2、参考例2及び比較例2に係るリチウム二次電池のサイクル数とLi挿入容量との関係を示す図である。
本発明について、図面を参照しながら詳細に説明する。
[チタン酸化物]
本発明のチタン酸化物は、式ATi(式中、Aは、Na、Li及びHから選択された1種又は2種以上を示し、Hを必ず含むものとする。)で表され、結晶構造が斜方晶系のNaLiTi型のトンネル構造であることを特徴とする。
図1は、斜方晶系のトンネル構造を有するNaLiTiの結晶構造を示す模式図である。本発明のチタン酸化物は、結晶構造が、図1に示すような斜方晶系のNaLiTi型のトンネル構造である。
図1において、複数の三角形状の各面は、TiOの八面体を構成している。八面体の各頂点にはOが配置され、その中央はTiによって占有されている。図1中、八面体の近傍に位置する大きい方の球はNaを表しており、小さい方の球はLiを表している。このように、八面体のような三次元の骨格構造の隙間に、NaやLiのアルカリ金属イオンが一次元的に配置された構造は、トンネル構造と称される。
本発明のチタン酸化物は、結晶構造が斜方晶系のNaLiTi型のトンネル構造であり、式ATi中にHを含むものである。すなわち、図1において、Na及びLiの一部又は全部がHに交換された結晶構造を有している。
本発明のチタン酸化物は、式ATi中にNa、Li及びHから選択された1種又は2種以上を含み、かつ、Hが含まれている限り、その化学組成は特に限定されない。具体例としては、HTi、(Na,H)Ti、(H,Li)Ti、(Na,H,Li)Tiが挙げられる。
これらの中でも、本発明のチタン酸化物としては、式ALiTi(式中、Aは、Na、Li及びHから選択された1種又は2種以上を示し、Hを必ず含むものとする。)で表され、結晶構造が斜方晶系のNaLiTi型のトンネル構造であるチタン酸化物が好ましい。典型的には、AとしてHのみを含むHLiTiである。ただし、AとしてNa及びLiの少なくとも1種を少し含む(Na,Li)(1−x)LiTiであってもよく、この場合、xは0.1以下が好ましい。
本発明のチタン酸化物が上記式ALiTiで表される場合、上記斜方晶系の格子定数は、A元素の種類と量比によって決定される。具体的には、a軸長が16.7〜16.8Å、b軸長が5.7〜5.8Å、c軸長が11.0〜11.2Åの範囲であることが好ましい。
また、本発明のチタン酸化物としては、式AHTi(式中、Aは、Na、Li及びHから選択された1種又は2種以上を示し、Hを必ず含むものとする。)で表され、結晶構造が斜方晶系のNaLiTi型のトンネル構造であるチタン酸化物も好ましい。典型的には、AとしてHのみを含むHTiである。ただし、AとしてNa及びLiの少なくとも1種を少し含む(Na,Li)(2−y)Tiであってもよく、この場合、yは0.1以下が好ましい。
本発明のチタン酸化物が上記式AHTiで表される場合、上記斜方晶系の格子定数は、A元素の種類と量比によって決定される。上記のとおり、Aは、Na、Li及びHから選択された1種又は2種以上であり、具体的には、a軸長が16.7〜17.1Å、b軸長が5.7〜5.9Å、c軸長が10.8〜11.2Åの範囲であることが好ましい。
[チタン酸化物の製造方法]
本発明のチタン酸化物は、式BLiTi(式中、Bは、Na及びLiから選択された1種又は2種を示し、Liを必ず含むものとする。)で表され、結晶構造が斜方晶系のNaLiTi型のトンネル構造であるチタン酸化物を出発原料として、上記出発原料のNa及びLiの少なくとも1種をHに交換するプロトン交換によって合成されることを特徴とする。
(出発原料BLiTiの合成)
上記式BLiTiで表されるチタン酸化物は、典型的には、BとしてLiのみを含むLiTiである。ただし、BとしてNaを少し含むNaLi(2−z)Tiであってもよく、この場合、zは0.2以下が好ましい。
上記式BLiTiで表されるチタン酸化物は、ナトリウム原料とリチウム原料とチタン原料とから生成された複合チタン酸化物NaLiTi(以下、NaLiTi多結晶体ともいう)のNaをLiに交換するリチウムイオン交換によって合成されることが好ましい。
NaLiTi多結晶体は、原料として、ナトリウム原料の少なくとも1種、リチウム原料の少なくとも1種、及びチタン原料の少なくとも1種を、NaLiTiの化学組成となるように秤量・混合し、空気中などの酸素ガスが存在する雰囲気中で加熱することによって、製造することができる。
ナトリウム原料としては、ナトリウム(金属ナトリウム)及びナトリウム化合物の少なくとも1種を用いる。ナトリウム化合物としては、ナトリウムを含有するものであれば特に制限されず、例えばNaO、Na等の酸化物、NaCO、NaNO等の塩類、NaOHなどの水酸化物等が挙げられる。これらの中でも、特にNaCO等が好ましい。
リチウム原料としては、リチウム(金属リチウム)及びリチウム化合物の少なくとも1種を用いる。リチウム化合物としては、リチウムを含有するものであれば特に制限されず、例えばLiO、Li等の酸化物、LiCO、LiNO等の塩類、LiOHなどの水酸化物等が挙げられる。これらの中でも、特にLiCO等が好ましい。
チタン原料としては、チタン(金属チタン)及びチタン化合物の少なくとも1種を用いる。チタン化合物としては、チタンを含有するものであれば特に制限されず、例えばTiO、Ti、TiO等の酸化物、TiCl等の塩類等が挙げられる。これらの中でも、特にTiO等が好ましい。
はじめに、これらを含む混合物を調整する。ナトリウム原料、リチウム原料及びチタン原料の混合割合は、NaLiTiの化学組成となるように混合することが好ましい。また、加熱時にナトリウム及びリチウムは揮発しやすいので、ナトリウム量及びリチウム量は上記化学式における1よりも若干過剰な仕込み量としてもよく、それぞれ、チタン量の1/3に対して1.0〜1.1の範囲とすることが好ましい。また、混合方法は、これらを均一に混合できる限り特に限定されず、例えばミキサー等の公知の混合機を用いて、湿式又は乾式で混合すればよい。
次いで、混合物を焼成する。焼成温度は、原料によって適宜設定することができ、通常は、600℃〜1200℃程度、好ましくは700℃〜1050℃とすればよい。また、焼成雰囲気も特に限定されず、通常は酸化性雰囲気又は大気中で実施すればよい。焼成時間は、焼成温度等に応じて適宜変更することができる。冷却方法も特に限定されず、通常は自然放冷(炉内放冷)又は徐冷とすればよい。
焼成後は、必要に応じて焼成物を公知の方法で粉砕し、さらに上記の焼成工程を実施してもよい。すなわち、上記混合物の焼成、冷却及び粉砕を2回以上繰り返して実施してもよい。なお、粉砕の程度は、焼成温度などに応じて適宜調節すればよい。
このようにして得られたNaLiTiは、結晶構造が、図1に示すような斜方晶系のNaLiTi型のトンネル構造である。
次いで、上記により得られたNaLiTiに対してリチウムイオン交換反応を適用することにより、NaLiTi中のナトリウムのほぼすべてがリチウムに交換されたBLiTiが得られる。
この場合、粉砕されたNaLiTiをリチウム化合物と混合して加熱することで、リチウム溶融塩によるリチウムイオン交換反応を進行させることが好適である。リチウム化合物としては、硝酸リチウム、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム等の比較的低温で溶融する塩類が好ましく、これらを単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。混合比は、通常、NaLiTiの重量に対するリチウム化合物全体の重量の割合として、NaLiTi:リチウム化合物全体=1:2〜1:50、好ましくは1:2〜1:15である。
リチウムイオン交換処理の温度は、30℃〜500℃、好ましくは200℃〜450℃の範囲である。処理時間は、通常2〜72時間、好ましくは2〜50時間、より好ましくは2〜10時間である。
リチウムイオン交換処理の後、得られた生成物をエタノール等で洗浄後、乾燥させることによって、目的とする式BLiTiで表されるチタン酸化物が得られる。洗浄方法については特に限定されないが、LiTiの場合にはリチウム塩に高い溶解性を有する有機溶媒を用いることが好ましい。例えば、メタノール、エタノール、ヘキサノール等が挙げられる。乾燥方法については、特に限定されず、通常の方法が用いられる他、デシケータ内等における自然乾燥でもよい。
このようにして得られたBLiTiは、その交換処理の条件を変化させることによって、出発原料に由来して残存するナトリウム量を制御することが可能である。ナトリウム量は、例えば、化学分析の検出限界以下とすることもできるし、有意な量を残すこともできる。
また、このようにして得られたBLiTiの結晶構造は、リチウムイオン交換反応前のNaLiTiと同じであり、斜方晶系のNaLiTi型のトンネル構造である。すなわち、図1において、大きい方の球で表されるNaがLiに交換された結晶構造を有している。
(ATiの合成)
上記により得られたBLiTiに対してプロトン交換反応を適用することにより、出発原料中のNa及びLiの一部又は全部がHに交換されたATiが得られる。
なお、LiTi等のBLiTiに対してプロトン交換を行う場合、プロトン交換の詳細については明らかではないが、Naサイト(図1中、大きい方の球)に位置するNa又はLiが優先的にHに交換され、その後、Liサイト(図1中、小さい方の球)に位置するLiがHに交換されると推測される。
このようにして得られるATiは、その交換処理の条件に依存して、H(プロトン)の交換量を適宜変化させることが可能である。つまり、Hの交換量を少なくすればHLiTi等のALiTiを得ることができ、Hの交換量を多くすればHTi等のAHTiを得ることができる。
HLiTi等のALiTiを得る場合、イオン交換水等の水、又は、酢酸等の弱酸を含む水溶液を用いてプロトン交換を行うことが好ましく、イオン交換水を用いてプロトン交換を行うことがより好ましい。また、塩酸等の強酸を含む水溶液を用いてプロトン交換を行う場合でも、酸濃度を下げる、処理時間を短くする、処理温度を低くする等の方法で、ALiTiを得ることが可能である。
Ti等のAHTiを得る場合、酸を含む水溶液を用いてプロトン交換を行うことが好ましい。
プロトン交換処理においては、粉砕されたBLiTiを、上述した酸を含む水溶液等やイオン交換水等の中に分散させ、一定時間保持した後、乾燥することが好適である。乾燥は、公知の乾燥方法が適用可能であるが、真空乾燥などがより好ましい。
HLiTi等のALiTiを得る場合、処理時間としては、通常、10時間〜10日間、好ましくは、1日〜7日間である。また、処理時間を短縮するために、適宜、イオン交換水等を新しいものと交換することが好ましい。さらに、交換反応を進行しやすくするために、処理温度を室温よりも高く、30℃〜100℃とすることが好ましい。
Ti等のAHTiを得る場合、無機酸を含む水溶液、有機酸を含む水溶液、無機酸及び有機酸の両方を含む水溶液のいずれも使用することができるが、任意の濃度の塩酸、硫酸、硝酸等のうちで、いずれか1種以上を含む水溶液を使用することが好ましい。このうち、塩酸の使用が好ましく、濃度10〜12Nの塩酸の使用がより好ましい。処理時間としては、通常、10時間〜10日間、好ましくは、1日〜7日間である。また、処理時間を短縮するために、適宜、酸を含む水溶液を新しいものと交換することが好ましい。さらに、交換反応を進行しやすくするために、処理温度を室温よりも高く、30℃〜100℃とすることが好ましい。
[二次電池用活物質]
本発明の二次電池用活物質は、二次電池の電極(正極及び負極)に用いられ、上記チタン酸化物を主成分とする。すなわち、本発明の二次電池用活物質は、式ATi(式中、Aは、Na、Li及びHから選択された1種又は2種以上を示し、Hを必ず含むものとする。)で表され、結晶構造が斜方晶系のNaLiTi型のトンネル構造であることを特徴とするチタン酸化物を主成分として構成される。
本発明の二次電池用活物質において、チタン酸化物を「主成分とする」とは、当該チタン酸化物の含有量が51重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%、さらに好ましくは100重量%であることを意味する。本発明の機能を損なわない限りにおいて、二次電池用活物質には、主成分以外の成分が含まれていてもよい。
本発明のチタン酸化物は、[チタン酸化物]において説明したとおりであるので、その詳細な説明は省略する。
なお、本発明の二次電池用活物質は、本発明のチタン酸化物を主成分とする限り、本発明のチタン酸化物が1種のみ含まれていてもよく、本発明のチタン酸化物が2種以上含まれていてもよい。
本発明の二次電池用活物質は、本発明のチタン酸化物を用いて製造することができる。本発明のチタン酸化物の製造方法は、[チタン酸化物の製造方法]において説明したとおりであるので、その詳細な説明は省略する。
上述のとおり、本発明のチタン酸化物は、結晶構造が斜方晶系のNaLiTi型のトンネル構造である。そのため、本発明の二次電池用活物質は、層状構造のチタン酸化物を主成分とする二次電池用活物質と比べて構造安定性が高くなり、二次電池のサイクル特性が向上する。
さらに、本発明のチタン酸化物は、NaやLiと比べてイオン半径の小さいHが必ず含まれており、トンネル構造内により大きな空間が形成される。そのため、本発明の二次電池用活物質は、Hが含まれていないチタン酸化物を主成分とする二次電池用活物質と比べて、二次電池を高容量にすることができ、特にリチウム挿入容量を高くすることができる。なお、ATi中にHが多く含まれるほど、二次電池の容量が高くなる傾向がある。
本発明のチタン酸化物が、式ALiTi(式中、Aは、Na、Li及びHから選択された1種又は2種以上を示し、Hを必ず含むものとする。)で表される場合、当該チタン酸化物を活物質として用いた二次電池は、高容量及び長寿命である。
本発明のチタン酸化物が、式AHTi(式中、Aは、Na、Li及びHから選択された1種又は2種以上を示し、Hを必ず含むものとする。)で表される場合、当該チタン酸化物を活物質として用いた二次電池は、電池の容量(特に、リチウム挿入容量)を非常に高くすることができる。
[二次電池]
本発明の二次電池は、正極と、負極と、電解質と、必要に応じて他の電池要素を含んで構成される二次電池であり、正極及び負極のうち少なくとも一方に、上述した本発明のチタン酸化物を主成分とする二次電池用活物質を含有することを特徴としている。
本発明の二次電池は、正極及び負極のうち少なくとも一方に、本発明のチタン酸化物を主成分とする二次電池用活物質を含有する以外は、従来公知の二次電池の電池要素をそのまま採用することができる。本発明の二次電池は、コイン型、ボタン型、円筒型、全固体型のいずれの構成であってもよい。
本発明の二次電池としては、リチウム二次電池が好ましいが、リチウム二次電池以外の金属二次電池であってもよく、例えば、ナトリウム二次電池、カリウム二次電池、マグネシウム二次電池、カルシウム二次電池等を挙げることができる。
以下、本発明の二次電池の一例として、リチウム二次電池(コイン型リチウム二次電池)について説明するが、各電池要素は、リチウム二次電池以外の二次電池に対しても同様に適用することができる。
図2は、本発明の二次電池の一例を模式的に示す部分断面図である。図2では、本発明の二次電池をコイン型リチウム二次電池とした一例を示している。このリチウム二次電池1は、負極端子2と、負極3と、電解液が含浸されたセパレータ4と、絶縁パッキング5と、正極6と、正極缶7とにより構成される。
図2に示すように、正極缶7は下側に配置され、負極端子2は上側に配置される。正極缶7と負極端子2とにより、リチウム二次電池1の外形が形成される。
正極缶7と負極端子2との間には、下側から順に正極6と負極3とが層状に設けられる。
正極6と負極3との間には、双方を互いに隔てる電解液が含浸されたセパレータ4が介在している。
正極缶7と負極端子2は、絶縁パッキング5で電気的に絶縁されている。
本発明の二次電池においては、上述の本発明の二次電池用活物質に対して、必要に応じて導電剤や結着剤等を配合して電極合材を調整し、これを集電体に圧着することにより電極を作製することができる。
集電体としては、好ましくはステンレスメッシュ、アルミ箔等を用いることができる。
導電剤としては、好ましくはアセチレンブラック、ケッチェンブラック等を用いることができる。
結着剤としては、好ましくはテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等を用いることができる。
電極合材における二次電池用活物質、導電剤及び結着剤等の配合は特に限定されない。通常、導電剤が1〜30重量%程度(好ましくは5〜25重量%)、結着剤が0〜30重量%(好ましくは3〜10重量%)とし、残部が二次電池用活物質となるように配合することが好ましい。
また、セパレータや電池容器等も、公知の電池要素を採用することができる。
さらに、電解質としても公知の電解液や固体電解質等を採用することができる。例えば、電解液としては、過塩素酸リチウム、6フッ化リン酸リチウム等の電解質を、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)等の溶媒に溶解させたものを用いることができる。
本発明の二次電池がリチウム二次電池である場合、上記電極に対する対極としては、例えば金属リチウム、リチウム合金等、負極として機能し、リチウムを吸蔵している公知のものを採用することができる。あるいは、対極として、リチウムコバルト酸化物(LiCoO)やスピネル型リチウムマンガン酸化物(LiMn)等の、正極として機能し、かつリチウムを吸蔵している公知のものも採用することもできる。すなわち、組み合わせる電極構成材料によって、本発明の活物質を含有する電極は、正極としても負極としても機能できる。なかでも、本発明の活物質を負極活物質として用いることが好ましい。
本発明の二次電池がリチウム二次電池以外である場合においても、本発明の活物質を含有する電極は、正極としても負極としても機能でき、本発明の活物質を負極活物質として用いることが好ましい。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[参考例1:NaLiTi多結晶体(トンネル構造)の製造]
純度99%以上の炭酸ナトリウム(NaCO)粉末、純度99.99%以上の炭酸リチウム(LiCO)及び純度99.99%以上の二酸化チタン(TiO)粉末をモル比Na:Li:Ti=1.00:1.03:3.00となるように秤量した。これらを乳鉢中で混合した後、JIS規格金製るつぼに充填し、電気炉を用いて、空気中、高温条件下で加熱した。焼成温度は950℃で、焼成時間は24時間とした。これにより、トンネル型NaLiTi多結晶体(図1)を得た。
得られた試料について、ICP発光分光分析法(島津製作所製、商品名ICPS−8000)により、化学組成を分析したところ、Na:Li:Ti=1.0:1.0:3.0となり、NaLiTiの化学式で妥当であることが確認された。
さらに、X線粉末回折装置(ブルカー製、商品名D8 ADVANCE)により、斜方晶系のトンネル構造の単一相であることが明らかとなった。参考例1に係るNaLiTiの粉末X線回折図形を図3(a)に示す。図3中、横軸は2θ(°/CuKα)を表し、縦軸は任意単位のピーク強度を表しており、数値は各ピークの面指数を表している。
また、各指数とその面間隔を用いて、最小二乗法により格子定数を求めたところ、以下の値となり、公知のNaLiTiの値と良く一致していた(例えば、V.B.Nalbandyan,Solid State Sci.9,329(2007)参照)。
a=16.4781Å(誤差:0.0004Å以内)
b=5.7356Å(誤差:0.0002Å以内)
c=11.2226Å(誤差:0.0003Å以内)
[参考例2:Na0.1Li1.9Ti多結晶体(トンネル構造)の製造]
参考例1で合成したNaLiTi多結晶体を乾燥した後に粉砕した。その粉砕物と、純度99%以上の硝酸リチウム(LiNO)粉末及び純度99%以上の塩化リチウム(LiCl)の混合物(モル比88:12)とを、重量比でNaLiTi:(LiNO+LiCl)=1:7.5となるように秤量した。次いで、これらを乳鉢中で混合した後、アルミナ製るつぼに充填し、電気炉を用いて空気雰囲気下、400℃で5時間保持することにより、リチウムイオン交換処理を実施した。その後、エタノールでよく洗浄した後、自然乾燥してから再度、リチウムイオン交換処理を実施することによりNa0.1Li1.9Ti多結晶体を得た。
得られた試料について、ICP発光分光分析法により、化学組成を分析したところ、Na:Li:Ti=0.10:1.9:3.0となり、Na0.1Li1.9Tiの化学式であることが確認された。さらに、X線粉末回折装置により、斜方晶系のトンネル構造の単一相であることが明らかとなった。参考例2に係るNa0.1Li1.9Tiの粉末X線回折図形を図3(b)に示す。公知のLiTiの粉末回折図形と良く一致していた(例えば、非特許文献2参照)。また、各指数とその面間隔を用いて、最小二乗法により格子定数を求めたところ、以下の値となった。
a=16.7306Å(誤差:0.0002Å以内)
b=5.7186Å(誤差:0.0001Å以内)
c=11.0919Å(誤差:0.0002Å以内)
このようにして得られたNa0.1Li1.9Ti多結晶体の粒子形状を走査型電子顕微鏡(SEM)(キーエンス製、商品名VE−8800)により調べたところ、参考例2に係るNa0.1Li1.9Ti多結晶体は、参考例1に係るNaLiTiの形状が維持されており、約1ミクロン角の等方的な形状を有する一次粒子から構成されていることが明らかとなった。
[実施例1:HLiTi多結晶体(トンネル構造)の製造]
参考例2で得られたNa0.1Li1.9Ti多結晶体を粉砕し、その粉砕物1.0gをイオン交換水50ml中に投入し、湯煎しながら90℃にて3日間保持することにより、プロトン交換処理を実施した。その後、90℃にて真空乾燥することにより、新規チタン酸化物であるHLiTi多結晶体を得た。
化学組成の妥当性について、ICP発光分光分析を行った結果、Li量が前駆体であるNa0.1Li1.9Tiと比べて低下していた。また、熱分析(TGA)(島津製作所製、商品名DTG−60)の結果、650℃までの加熱により、3.0wt%の重量減少が確認された。このことは、以下の分解反応(計算値3.4wt%)で説明される。したがって、Naがやや残留しているが、化学式としてはHLiTiで妥当であることが確認された。
2HLiTi → HO↑ + LiTi13
さらに、X線粉末回折装置により、斜方晶系の単一相であることが明らかとなった。実施例1に係るHLiTiの粉末X線回折図形を図3(c)に示す。また、各指数とその面間隔を用いて、最小二乗法により格子定数を求めたところ、以下の値となった。
a=16.7510Å(誤差:0.0005Å以内)
b=5.7621Å(誤差:0.0002Å以内)
c=11.1136Å(誤差:0.0004Å以内)
このようにして得られたHLiTi多結晶体の粒子形状を走査型電子顕微鏡により調べたところ、参考例1に係るNaLiTiO7、参考例2に係るNa0.1Li1.9Tiの形状が維持されており、約1ミクロン角の等方的な形状を有する一次粒子から構成されていることが明らかとなった。実施例1に係るHLiTiの走査型電子顕微鏡写真を図4に示す。
さらに、粉末X線回折装置で測定した強度データを用いて粉末X線構造解析法(プログラム TOPAS ver. 4.2使用)により、結晶構造解析を行ったところ、公知の物質であるナトリウムリチウムチタン酸化物NaLiTiと同じ骨格構造を有するトンネル構造であることが明らかとなった。
[比較例1:LiTi(層状構造)の製造]
純度99%以上の炭酸ナトリウム(NaCO)粉末と純度99.99%以上の二酸化チタン(TiO)粉末をモル比でNa:Ti=2.0:3.0となるように秤量した。これらを乳鉢中で混合した後、JIS規格に基づいた金製るつぼに充填し、電気炉を用いて空気雰囲気の高温条件下で焼成した。焼成温度は800℃で、焼成時間は20時間とした。その後、電気炉中で自然放冷した後、再度、乳鉢中で粉砕・混合を行い、800℃で20時間再焼成を行った。これにより、層状ナトリウムチタン酸化物NaTiを得た。
次いで、合成された層状ナトリウムチタン酸化物NaTiの粉砕乾燥物を、予め280℃で溶融させた硝酸リチウムと塩化リチウムの混合溶融塩(モル比88:12)中に投入し、空気中の260℃下で10時間保持することによって、リチウムイオン交換処理を行った。その後、エタノールでよく洗浄し、自然乾燥することによって層状リチウムチタン酸化物LiTiを得た。
[実施例2:HTi多結晶体(トンネル構造)の製造]
参考例2で得られたNa0.1Li1.9Ti多結晶体を粉砕し、その粉砕物1.0gを12N−HCl溶液50ml中に投入し、湯煎しながら90℃にて3日間保持することにより、プロトン交換処理を実施した。その後、90℃にて真空乾燥することにより、新規チタン酸化物であるHTi多結晶体を得た。
化学組成の妥当性について、ICP発光分光分析を行った結果、Na量(wt%)はNaLiTiの1/20、Li量(wt%)は1/200であった。また、熱分析(TGA)の結果、650℃までの加熱により、6.4wt%の重量減少が確認された。このことは、以下の分解反応(計算値7.0 wt%)で説明される。したがって、Naがやや残留しているが、化学式としてはHTiで妥当であることが確認された。
Ti → HO↑ + 3TiO
さらに、X線粉末回折装置により、斜方晶系の単一相であることが明らかとなった。実施例2に係るHTiの粉末X線回折図形を図3(d)に示す。また、各指数とその面間隔を用いて、最小二乗法により格子定数を求めたところ、以下の値となった。
a=17.016Å(誤差:0.001Å以内)
b=5.8208Å(誤差:0.0003Å以内)
c=10.8793Å(誤差:0.0005Å以内)
このようにして得られたHTi多結晶体の粒子形状を走査型電子顕微鏡により調べたところ、参考例1に係るNaLiTiO7、参考例2に係るNa0.1Li1.9Tiの形状が維持されており、約1ミクロン角の等方的な形状を有する一次粒子から構成されていることが明らかとなった。実施例2に係るHTiの走査型電子顕微鏡写真を図5に示す。
さらに、粉末X線回折装置で測定した強度データを用いて粉末X線構造解析法により、結晶構造解析を行ったところ、公知の物質であるナトリウムリチウムチタン酸化物NaLiTiと同じ骨格構造を有するトンネル構造であることが明らかとなった。
[比較例2:HTi(層状構造)の製造]
まず、比較例1と同じ方法により、層状ナトリウムチタン酸化物NaTiを得た。
次いで、合成された層状ナトリウムチタン酸化物NaTiの粉砕乾燥物を、0.5N−HCl溶液に浸漬し、室温条件下で5日間保持して、プロトン交換処理を行った。その後、水洗いし、真空中120℃で24時間乾燥を行い、層状HTiを得た。
[評価]
(リチウム二次電池の作製)
各実施例、参考例及び比較例で得られたチタン酸化物を活物質とし、導電剤としてアセチレンブラック、結着剤としてテトラフルオロエチレンを、重量比で5:5:1となるように混合し、Alメッシュに圧着させ電極を作成した。それぞれの電極に対して、リチウム金属を対極、6フッ化リン酸リチウムをエチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)との混合溶媒(体積比1:2)に溶解させた1M溶液を電解液とする、図2に示す構造のリチウム二次電池(コイン型セル)を作製した。電池の作製は、公知のセルの構成・組み立て方法に従って行った。
(リチウム挿入・脱離試験)
作製した各リチウム二次電池について、25℃の温度条件下で、電流密度10mA/g、3.0V〜1.0Vのカットオフ電位で電気化学的リチウム挿入・脱離試験を行った。
(充放電サイクル試験)
作製した各リチウム二次電池について、充放電サイクル試験を実施した。測定条件は、25℃の温度条件下で電流密度を10mA/gとし、3.0V〜1.0Vのカットオフ電位とした。
図6は、実施例1、参考例2及び比較例1におけるリチウム挿入・脱離反応に伴う電圧変化を示す図である。図6においては、容量が大きくなるに従ってセル電圧が低くなる曲線がリチウム挿入時の電圧変化を示し、容量が大きくなるに従ってセル電圧が高くなる曲線がリチウム脱離時の電圧変化を示している(図8も同様)。
図6に示すように、トンネル型Na0.1Li1.9Ti(参考例2)を用いたリチウム二次電池は、1.5V及び1.3V付近に電位平坦部を有し、可逆的なリチウム挿入・脱離が可能であることが判明した。リチウム挿入容量は、Na0.1Li1.9Tiの化学式当たり1.68に相当し、活物質重量当たりの容量は167mAh/gであった。図6より、トンネル型Na0.1Li1.9Tiを用いたリチウム二次電池は、層状LiTi(比較例1)を用いたリチウム二次電池より高容量であることが確認された。
さらに、図6に示すように、トンネル型HLiTi(実施例1)を用いたリチウム二次電池についても、1.5V及び1.3V付近に電位平坦部を有し、可逆的なリチウム挿入・脱離が可能であることが判明した。リチウム挿入容量は、HLiTiの化学式当たり2.48に相当し、活物質重量当たりの容量は252mAh/gであった。したがって、トンネル型HLiTiを用いたリチウム二次電池は、トンネル型Na0.1Li1.9Ti用いたリチウム二次電池よりも高容量であることが確認された。
図6に示す結果から、チタン酸化物の結晶構造を斜方晶系のNaLiTi型のトンネル構造とすることで二次電池を高容量にすることができ、Na及びLiの一部をHに交換することで、さらに高容量にすることができることが確認された。
図7は、上述の充放電サイクル試験を実施して得られた、実施例1、参考例2及び比較例1に係るリチウム二次電池のサイクル数とLi挿入容量との関係を示す図である。
10サイクル後のLi挿入容量で比較した場合、トンネル構造を有するNa0.1Li1.9Ti(参考例2)及びHLiTi(実施例1)を用いたリチウム二次電池は、層状構造を有するLiTi(比較例1)を用いたリチウム二次電池より高いLi挿入容量を有していることが判明した。さらに、トンネル型HLiTiを用いたリチウム二次電池は、トンネル型Na0.1Li1.9Tiを用いたリチウム二次電池よりもさらに高いLi挿入容量を有していることが判明した。
図7に示す結果から、チタン酸化物の結晶構造を斜方晶系のNaLiTi型のトンネル構造とし、Na及びLiの一部をHに交換することで、二次電池の高容量にすることができるだけでなく、サイクル特性を向上できることが確認された。
図8は、実施例2、参考例2及び比較例2におけるリチウム挿入・脱離反応に伴う電圧変化を示す図である。
図8に示すように、トンネル型HTi(実施例2)を用いたリチウム二次電池は、可逆的なリチウム挿入・脱離が可能であることが判明した。リチウム挿入容量は、HTiの化学式当たり3.10に相当し、活物質重量当たりの容量は321mAh/gであった。図8より、トンネル型HTiを用いたリチウム二次電池は、層状HTi(比較例2)及びトンネル型Na0.1Li1.9Ti(参考例2)を用いたリチウム二次電池よりも高容量であることが確認された。
図8に示す結果から、トンネル型HTiについても、トンネル型HLiTiと同様に、二次電池を高容量にすることができることが確認された。また、図6と図8との比較から、トンネル型HTiを用いたリチウム二次電池は、トンネル型HLiTiを用いたリチウム二次電池よりも高容量であることが確認された。
図9は、上述の充放電サイクル試験を実施して得られた、実施例2、参考例2及び比較例2に係るリチウム二次電池のサイクル数とLi挿入容量との関係を示す図である。
10サイクル後のLi挿入容量で比較した場合、トンネル構造を有するNa0.1Li1.9Ti(参考例2)及びHTi(実施例2)を用いたリチウム二次電池は、層状構造を有するHTi(比較例2)を用いたリチウム二次電池より高いLi挿入容量を有していることが判明した。さらに、トンネル型HTiを用いたリチウム二次電池は、トンネル型Na0.1Li1.9Tiを用いたリチウム二次電池よりもさらに高いLi挿入容量を有していることが判明した。
図9に示す結果から、トンネル型HTiについても、トンネル型HLiTiと同様に、二次電池のサイクル特性を向上できることが確認された。また、図7と図9との比較から、トンネル型HTiを用いたリチウム二次電池は、トンネル型HLiTiを用いたリチウム二次電池よりもさらに高いLi挿入容量を有しており、サイクル特性に優れることが確認された。
以上より、トンネル型HLiTi及びHTiを用いたリチウム二次電池は、従来のリチウム二次電池よりも高容量かつ長寿命にすることが可能であることが確認された。したがって、式ATi(式中、Aは、Na、Li及びHから選択された1種又は2種以上を示し、Hを必ず含むものとする。)で表され、結晶構造が斜方晶系のNaLiTi型のトンネル構造であるチタン酸化物を用いたリチウム二次電池は、従来のリチウム二次電池よりも高容量かつ長寿命にすることが可能であると考えられる。
1 二次電池(リチウム二次電池)
2 負極端子
3 負極
4 電解液が含浸されたセパレータ
5 絶縁パッキング
6 正極
7 正極缶

Claims (10)

  1. 式ATi(式中、Aは、Na、Li及びHから選択された1種又は2種以上を示し、Hを必ず含むものとする。)で表され、結晶構造が斜方晶系のNaLiTi型のトンネル構造であることを特徴とするチタン酸化物。
  2. 上記式ATiが、ALiTi(式中、Aは、Na、Li及びHから選択された1種又は2種以上を示し、Hを必ず含むものとする。)である請求項1に記載のチタン酸化物。
  3. 上記斜方晶系の格子定数は、a軸長が16.7〜16.8Å、b軸長が5.7〜5.8Å、c軸長が11.0〜11.2Åの範囲である請求項2に記載のチタン酸化物。
  4. 上記式ATiが、AHTi(式中、Aは、Na、Li及びHから選択された1種又は2種以上を示し、Hを必ず含むものとする。)である請求項1に記載のチタン酸化物。
  5. 上記斜方晶系の格子定数は、a軸長が16.7〜17.1Å、b軸長が5.7〜5.9Å、c軸長が10.8〜11.2Åの範囲である請求項4に記載のチタン酸化物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のチタン酸化物を主成分とすることを特徴とする二次電池用活物質。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のチタン酸化物の製造方法であって、
    式BLiTi(式中、Bは、Na及びLiから選択された1種又は2種を示し、Liを必ず含むものとする。)で表され、結晶構造が斜方晶系のNaLiTi型のトンネル構造であるチタン酸化物を出発原料として、前記出発原料のNa及びLiの少なくとも1種をHに交換するプロトン交換によって合成されることを特徴とするチタン酸化物の製造方法。
  8. 上記式BLiTiで表されるチタン酸化物は、ナトリウム原料とリチウム原料とチタン原料とから生成された複合チタン酸化物NaLiTiのNaをLiに交換するリチウムイオン交換によって合成される請求項7に記載のチタン酸化物の製造方法。
  9. 二次電池用活物質の製造方法であって、
    請求項7又は8に記載の製造方法によって、請求項1〜5のいずれか1項に記載のチタン酸化物が合成されることを特徴とする二次電池用活物質の製造方法。
  10. 正極と、負極と、電解質と、を含んで構成される二次電池であって、
    正極及び負極のうち少なくとも一方に、請求項1〜5のいずれか1項に記載のチタン酸化物を主成分とする二次電池用活物質を含有することを特徴とする二次電池。

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