JPH10120420A - 抗菌性チタン酸化合物およびその製造方法 - Google Patents

抗菌性チタン酸化合物およびその製造方法

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JPH10120420A
JPH10120420A JP9218872A JP21887297A JPH10120420A JP H10120420 A JPH10120420 A JP H10120420A JP 9218872 A JP9218872 A JP 9218872A JP 21887297 A JP21887297 A JP 21887297A JP H10120420 A JPH10120420 A JP H10120420A
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antibacterial
alkali metal
treatment
titanate
ions
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JP9218872A
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Kenji Azuma
健司 東
Masafumi Yasuda
雅文 安田
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Kubota Corp
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Kubota Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】抗菌作用およびその持続性等にすぐれ、耐熱
性,耐摩耗性,補強性等を有し、一般細菌,真菌,藻類
等の微細物の発生・増殖の抑制防止を必要とする各種分
野で種々の形態で適用できる無機系抗菌剤を提供する。 【解決手段】この抗菌剤は、チタン酸アルカリ金属〔A
2 Tin 2n+1〕(Aはアルカリ金属)の層状構造もし
くはトンネル型構造,または両者が混在した結晶構造を
有し、結晶内のアルカリ金属イオンの一部ないし全量
が、抗菌性金属イオン(Ag,Cu,Zn,Sn等)で
置換された組成と構造を有するチタン酸化合物である。
チタン酸アルカリ金属を原料とし、イオン交換処理(A
イオンの溶出処理とBイオンの導入処理)、および加熱
処理(乾燥処理または結晶構造変換処理)からなる工程
により製造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗菌性チタン酸化
合物、詳しくは一般細菌,真菌,藻類等の微生物の発生
・増殖を抑制防止し、人体に対する安全性が高く、また
耐熱性,断熱性,耐摩耗性,補強性等にすぐれ、医療機
器,建材,厨房,化粧料,衣類,塗料,水防腐・防藻等
の多方面の分野において種々の形態で利用される抗菌性
チタン酸化合物およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の抗菌剤の多くは有機系抗菌剤であ
り、有機系抗菌剤は耐熱性に乏しく、比較的低い温度域
で分解・蒸発等により抗菌作用を減少ないし消失するも
のも多い。また人体に対する安全性が完全であるとは断
言し得ない等の問題も指摘され始めている。他方、銀
(Ag),銅(Cu)、亜鉛(Zn)等の金属イオンが
抗菌作用を有することはよく知られており、近時はこれ
らの抗菌性金属なしいその塩を、ゼオライト,燐酸ジル
コニウム,ハイドロアパタイト,活性炭,アルミナ,シ
リカゲル,炭酸塩等に吸着等により担持させた無機系抗
菌剤が開発されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】抗菌性金属またはその
塩等をゼオライト,活性炭,その他の担体に吸着等で担
持させた従来の無機系抗菌剤は、抗菌効果の持続性,必
要な量の抗菌剤の安定保持等に一長一短あり、また耐熱
性や化学的安定性等の点においても十分なものとはいえ
ず、利用分野や適用形態等に種々の制約を受けるもので
あった。本発明は、無機系抗菌剤として、抗菌性金属イ
オンを安定に保持し、抗菌や殺菌,防黴が効果的に行わ
れ、抗菌効果の持続性,抗菌物質の安定性等にすぐれて
いると共に、耐熱性,化学的安定性,補強性等をも具備
し、広範な分野への適用および多様な使用態様を可能と
する抗菌性チタン酸化合物およびその製造方法を提供す
るものである。
【0004】
〔式中,A: アルカリ金属であるLi,Na,K,Rb,Cs等〕
上記抗菌性金属は、銀(Ag),銅(Cu)、亜鉛(Z
n),水銀(Hg),錫(Sn),鉛(Pb),ビスマ
ス(Bi),カドムウム(Cd),クロム(Cr),タ
リウム(Tl)等であり、その1種または2種以上が層
状またはトンネル枠内に含有されている。
【0005】
【発明の実施の形態】チタン酸アルカリ金属化合物
〔1〕において、層状結晶構造を有するもの(n: 2〜
4)は、二チタン酸アルカリ金属〔A2 Ti2 5 〕,
三チタン酸アルカリ金属〔A2 Ti3 7 , 四チタン
酸アルカリ金属〔A2 Ti4 9 〕等であり、二チタン
酸アルカリ金属は、TiO5 三角両錐体の連鎖が積層し
て構成される層間にアルカリ金属イオンが配位した層状
構造を有し、三チタン酸アルカリ金属および四チタン酸
アルカリ金属は、TiO6 八面体の連鎖が積層した層間
にアルカリ金属イオンが配位した層状構造を有する。他
方、トンネル型結晶構造を有するもの(n: 6〜8)
は、六チタン酸アルカリ金属,八チタン酸アルカリ金属
等であり、このものはTiO6 八面体の連鎖により構成
されるトンネル枠内にアルカリ金属イオンが配位したト
ンネル型構造を有する。
【0006】チタン酸アルカリ金属化合物の結晶層間ま
たはトンネル枠内に抗菌性金属イオンを保持させた本発
明の抗菌性チタン酸化合物は、結晶内から抗菌性金属イ
オンが溶出し抗菌作用を発現する。本発明は、チタン酸
アルカリ金属の結晶構造を利用して抗菌性金属イオンを
含有させた構造であるので、従来の抗菌剤、例えばゼオ
ライト等の表面に抗菌性金属イオンを吸着等で保持させ
た抗菌剤と異なって、抗菌性金属イオンが安定に保持さ
れ、抗菌作用の持続性にすぐれている。
【0007】上記層状またはトンネル型の結晶構造は熱
的・化学的に安定であり、高温環境下にも抗菌作用の衰
えはなく、種々の使用環境・使用態様のもとに高い抗菌
作用が安定に維持される。特に、トンネル型構造では、
層状構造のものと比べて結晶内の抗菌性金属イオンが安
定に保持され、長期に亘り一定の抗菌作用を持続させる
ことができる。更に、酸化チタンは、よく知られている
ように光の照射を受けて強い酸化力を持つ正孔と強い還
元力をもつ電子を生成し、その酸化還元作用により空気
中の酸素や水分を活性酸素に変化させると共に、生成し
た活性酸素が細菌等を死滅させ、汚れや悪臭の物質を分
解する作用をなす。本発明の抗菌性チタン酸化合物は、
このように抗菌性金属イオンの抗菌作用のほか、酸化チ
タンの上記光触媒作用が重畳し、抗菌作用をより効果的
なものとすることができる。
【0008】本発明の抗菌性チタン酸化合物は、層状構
造を有するチタン酸アルカリ金属化合物(式〔1〕中、
n=2〜4)を原料とし、これをイオン交換処理に付し
てアルカリ金属イオンの一部ないし全量を抗菌性金属イ
オンに置換することにより目的組成を有する水和チタン
酸化合物に組成変化する工程を経由して製造するこがで
きる。この場合において、目的とする抗菌性チタン酸化
合物が層状結晶構造のものである場合は、イオン交換処
理の後、脱水乾燥処理し、他方目的物がトンネル型結晶
構造の抗菌性チタン酸化合物である場合は、イオン交換
処理後の脱水乾燥処理につづいて、結晶構造を調整する
ための焼成処理(層状構造からトンネル型構造への変換
処理)を実施することより、それぞれ目的とする抗菌性
チタン酸化合物を得る。
【0009】以下、本発明の抗菌性チタン酸化合物の製
造法について工程順に説明する。原料として使用される
層状構造のチタン酸アルカリ金属化合物には、二チタン
酸アルカリ金属(K2 Ti2 5,Li2 Ti2
5 等)、三チタン酸アルカリ金属(Na2 Ti3
7 等),四チタン酸アルカリ金属(K2 Ti4 9,Li
2 Ti4 9 等)が挙げられる。これらの原料物質は、
イオン交換処理を効率よく行うことができるように、比
較的細粒の粉末(約0.1〜100μm)に調整された
ものを使用するのが好ましい。
【0010】チタン酸アルカリ金属化合物のイオン交換
処理は、アルカリ金属イオンの溶出処理と抗菌性金属イ
オンの導入処理との2つの工程からなる処理法を採用す
ることができる。アルカリ金属溶出処理は、水,加熱
水,または酸水溶液(例えば,塩酸,硫酸,酢酸等の水
溶液)を処理液として原料化合物粉末を浸漬することに
より行われる。酸水溶液の使用は、溶出処理を短時間で
効率よく達成するのに有利である。また、処理液に緩和
な攪拌を加えることにより、溶出反応を促進することが
できる。この溶出処理で、目的とする製品化合物中の抗
菌性金属イオン含有量に対応する量のアルカリ金属イオ
ンを溶出することにより、原料化合物は下式〔2〕で表
される水和チタン酸化合物に組成変換される。アルカリ
金属イオンの溶出量は、処理液のpH調整,処理時間,
液量等により調整される。 (A1-X X 2 Tin 2n+1・mH2 O…〔2〕 〔式中,A: アルカリ金属 n: 2〜4 0<x≦1 m: 正数 〕
【0011】アルカリ金属溶出処理につづく抗菌性金属
イオンの導入処理は、抗菌性金属の塩類の1種ないし2
種以上を含有する溶液を処理液として行われる。その処
理は、アルカリ金属溶出処理で生成した水和チタン酸化
合物を含む溶出処理液に抗菌性金属塩溶液を添加し、ま
たはその水和チタン酸化合物を溶出処理液から回収し脱
水乾燥した後、これを抗菌性金属塩溶液と接触させるこ
とにより行うことができる。
【0012】抗菌性金属イオン導入処理に供される抗菌
性金属塩溶液は、目的とする抗菌性チタン酸化合物の組
成に応じて各種塩類の溶液が適宜採用される。例えば、
銀(Ag)イオンは,硝酸銀,硫酸銀,過塩素酸銀,酢
酸銀,ジアミン銀硝酸塩等、銅(Cu)イオンは,硫酸
銅,過塩素酸銅,酢酸銅等、亜鉛(Zn)イオンは,硝
酸亜鉛,硫酸亜鉛,過塩素酸亜鉛,チオシアン酸亜鉛,
酢酸亜鉛等、水銀(Hg)イオンは,硝酸水銀,過塩素
酸水銀,酢酸水銀等,錫(Sn)イオンは,硫酸錫、鉛
(Pb)イオンは,硫酸鉛,硝酸鉛等,ビスマス(B
i)イオンは,塩化ビスマス,沃化ビスマス等,カドミ
ウム(Cd)イオンは,過塩素酸カドミウム,硫酸カド
ミウム,硝酸カドミウム等、クロム(Cr)イオンは,
過塩素酸クロム,硫酸クロム,硫酸アンモニウムクロ
ム,硝酸クロム等、タリウム(Tl)イオンは,硫酸タ
リウム,過塩素酸タリウム,硝酸タリウム,酢酸タリウ
ム等の塩類の溶液が使用される。
【0013】上記抗菌性金属イオン導入処理により、結
晶内のアルカリ金属イオンおよび水素イオンの一部ない
し全量が抗菌性金属イオンに置き換えられた水和チタン
酸化合物〔3〕を得る。 (A,B,H)2 Tin 2n+1・mH2 O …〔3〕 〔式中,A: アルカリ金属 B: 抗菌性金属 n: 2〜8 m: 正数 〕 このものは、例えば(A1-X-Z X/Y Z ) 2 Tin
2n+1・mH2 O〔式中,0<X ≦1,0≦Z ≦1−X ,
Y : 抗菌性金属Bの原子価数, A,B,n,mは上記と
同義〕で表される。
【0014】水和チタン酸化合物〔3〕は、最終目的物
である抗菌性チタン酸化合物の組成と結晶構造に相応し
た化学組成に調整される。目的物として層状結晶構造の
抗菌性チタン酸化合物を製造する場合の水和チタン酸化
合物〔3〕は、その「TiO 2 / (A,B,H) 2 O 」モル比が
2〜4である化学組成を有し、トンネル型結晶構造の抗
菌性チタン酸化合物を目的とする場合の水和チタン酸化
合物〔3〕は、「TiO 2 / (A,B,H) 2 O 」モル比が6〜
8である化学組成が与えられている。また、このモル比
が上記2つの中間の値に調整された水和チタン酸化合物
である場合は、層状結晶とトンネル型結晶との混合物か
らなる抗菌性チタン酸化合物を生成する。水和チタン酸
化合物〔3〕の化学組成の調整は、抗菌性金属イオン導
入処理における処理液濃度、pH、処理時間等の制御に
より行われる。
【0015】抗菌性金属イオンを含有する水和チタン酸
化合物〔3〕を脱水・乾燥処理し、または脱水・乾燥処
理後、更に焼成処理することにより目的物である抗菌性
チタン酸化合物を得る。水和チタン酸化合物〔3〕が、
「TiO 2 / (A,B,H) 2 O 」モル比2〜4の化学組成に調
整されたものである場合は、脱水乾燥処理されて、下式
〔4〕で示される層状構造の抗菌性チタン酸化合物が収
得される。乾燥処理は、室温または加熱下(約1000
℃以下)に行われる。 (A1-X-Z X/Y Z ) 2 Tin 2n+1 …〔4〕 〔式中,n: 2〜4,A, B, X,Y,Z: 前記と同
義〕
【0016】水和チタン酸化合物〔3〕が、「TiO 2 /
(A,B,H) 2 O 」モル比6〜8の組成を有するものである
場合は、脱水・乾燥処理の後、約700〜1300℃で
焼成処理することにより、下式〔5〕で示されるトンネ
ル型構造の抗菌性チタン酸化合物を得る。 (A1-X X/Y ) 2 Tin 2n+1 …〔5〕 〔式中,n: 6〜8,A, B, X,Y: 前記と同義〕 焼成処理は、水和チタン酸化合物〔3〕の結晶構造を層
状構造からトンネル型構造に変換するための熱処理であ
り、処理温度を約700以上とするのは、結晶構造変換
を完全に達成させるためであり、約1300℃を上限と
するのは、これを超えると、熱分解を生じ結晶構造の健
全性が損なわれるからである。
【0017】また、水和チタン酸化合物〔3〕の「TiO
2 / (A,B,H) 2 O 」のモル比が上記の中間に調整された
組成を有するものである場合は、脱水・乾燥処理後、約
700〜1000℃で加熱処理することにより、前記式
〔4〕の層状結晶と式〔5〕のトンネル型結晶との混合
物からなる抗菌性チタン酸化合物を生成する。
【0018】本発明の抗菌性チタン酸化合物は、原料と
して使用したチタン酸アルカリ金属の粉末形態とほぼ同
じ形態を有する粉末として収得される。このものは、粉
末形態のまま、または圧粉成形体として、あるいはその
粉末に樹脂,その他の異材種を配合して調製される組成
物・混合物等として、種々の形態で使用することができ
る。
【0019】本発明の抗菌性チタン酸化合物は、一般細
菌,真菌,藻類等,微生物の発生増殖防止,防臭,防汚
等を必要とする種々の分野に利用することができ、例え
ば、水系分野では、浄水器,クーリングタワー水,各種
冷却水の抗菌・防藻剤として使用され、塗料分野では、
油性塗料,樹脂塗料,水系・粉体系等の各種塗料に混合
し,または塗膜表面にコーティングして塗膜に抗菌・抗
黴・抗藻機能等を付与し、建築分野では、目地材,壁
材,タイル等に混合し,もしくはその表面にコーティン
グして抗菌・抗黴・抗藻機能をもたせ、製紙分野では、
濡れティッシュ,包装紙,ダンボール,電気掃除器用パ
ックフィルタ,敷紙,鮮度保持紙に混抄し、もしくは表
面にコーティングして抗菌・抗黴・抗藻機能を付与する
ことができ、その他、化粧料分野(メイクアップ料,フ
ァンデーション等)、衣料分野(病院衣,スポーツウエ
アー,作業衣等)、空気調和装置のフィルタ、厨房機器
類等の分野において種々の形態で適用し,抗菌,防黴,
防臭,防汚機能を付与することすることができる。
【0020】
〔実施例1〕
(トンネル型結晶構造の抗菌性チタン酸化合物の製造) (1)原料…二チタン酸カリウム(K 2 Ti2 O 5 ) 、粒
径: 0.1 〜10μm (2)イオン交換処理 (2.1) アルカリ金属イオン溶出処理 二チタン酸カリウム粉末100gを蒸留水400mL に浸漬し、
これに1mol/L の硝酸をpHを確認しながら徐々に添加
し、緩和な攪拌流下、2Hr を要して結晶層間のカリウム
イオンの一部を溶出すると共に、pH 7.0まで中和す
る。
【0021】(2.2) 抗菌性金属イオン導入処理 上記スラリーに 1 mol/Lの硝酸銀溶液20mlを加え、緩和
な攪拌流下に1Hrを要して銀イオンを導入することによ
り、目的製品の化学組成を有するチタン酸化合物(TiO
2 / (K,Ag,H) 2 Oモル比≒6 )に組成変換する。 (3)焼成処理 上記処理液から粉末を濾別し、乾燥後、電気炉内で熱処
理(800 ℃×1Hr)する。得られた粉末の銀イオン含有量
および結晶構造は次のとおりである。 銀イオン濃度(蛍光X線分析): 約3.7重量% 結晶構造(X線回折): 六チタン酸カリウム(K 2 Ti6
O 13) の結晶構造に準ずるトンネル型構造
【0022】〔実施例2〕 (トンネル型結晶構造の抗菌性チタン酸化合物の製造) (1)原料…三チタン酸ナトリウム(Na2 Ti3 O 7 ) 、
粒径: 0.1 〜10μm (2)イオン交換処理 (2.1) アルカリ金属イオン溶出処理 三チタン酸ナトリウム粉末100gを蒸留水4.5 L に浸漬
し、これに1 mol/L の硝酸 500mlを添加する。緩和な攪
拌流下に、4Hrを要して結晶層間のナトリウムイオンの
一部を溶出して水和三チタン酸ナトリウムに組成変換
し、これを液中から濾別し乾燥する。
【0023】(2.2) 抗菌性金属イオン導入処理 上記乾燥粉末を蒸留水400ml に浸漬し、これに1 mol/L
の硝酸銀溶液 10ml を加える。緩和な攪拌下に5 Hrを要
して銀イオンを導入し、目的組成を有するチタン酸化合
物(TiO 2 / (Na,Ag,H) 2 O モル比≒6 )に組成変換す
る。 (3)焼成処理 上記処理液から粉末を濾別し、乾燥後、電気炉内で熱処
理(900 ℃×1 Hr) して製品粉末を得る。 銀イオン濃度(蛍光X線分析): 約1.1重量% 結晶構造(X線回折): 六チタン酸ナトリウム(Na2 Ti
6 O 13) の結晶構造に準ずるトンネル型構造
【0024】〔実施例3〕 (層状結晶構造の抗菌性チタン酸化合物の製造) (1)原料…三チタン酸ナトリウム(Na2 Ti3 O 7 ) 、
粒径: 0.1 〜10μm (2)イオン交換処理 (2.1) アルカリ金属イオン溶出処理 三チタン酸ナトリウム粉末100gを蒸留水 10Lに浸漬し、
これに工業用硫酸(約65%) 200mlを添加する。攪拌流下
に 4Hrを要して結晶層間のナトリウムイオンの全量を溶
出し水和三チタン酸に組成変換し、液中から濾別し乾燥
する。
【0025】(2.2) 抗菌性金属イオン導入処理 上記乾燥粉末を蒸留水 400mlに浸漬し、これに1mol/Lの
硝酸銀溶液 10ml を加える。緩和な攪拌流下に 5Hrを要
して銀イオンを導入することにより、目的製品の化学組
成を有するチタン酸化合物(TiO 2 / (Ag,H) 2 Oモル比
≒3 )に組成変換する。 (3)乾燥処理 処理液から粉末を濾別し、乾燥処理(200 ℃×4 Hr) し
て製品粉末を得る。 銀イオン濃度(蛍光X線分析): 約1.8重量% 結晶構造(X線回折): 三チタン酸ナトリウム(Na2 Ti
3 O 7 ) の結晶構造に準ずる層状構造
【0026】〔実施例4〕 (層状結晶構造の抗菌性チタン酸化合物の製造) (1)原料…四チタン酸カリウム(K 2 Ti4 O 9 ) 、粒
径: 0.1 〜10μm (2)イオン交換処理 (2.1) アルカリ金属イオン溶出処理 四チタン酸カリウム粉末100gを蒸留水 10Lに浸漬し、工
業用硫酸(約65%) 200mlを添加する。緩和な攪拌流下に
4Hrを要して結晶層間のカリウムイオンの全量を溶出
し、水和四チタン酸に組成変換した後、液中から濾別し
乾燥する。
【0027】(2.2) 抗菌性金属イオン導入処理 上記乾燥粉末を蒸留水 400mlに浸漬し、1mol/Lの硝酸銀
溶液 20mL を加え、更に2mol/Lの硝酸亜鉛溶液 60ml を
添加する。緩和な攪拌流下に 5Hrを要して銀イオンを導
入することにより、目的製品の組成を有する有するチタ
ン酸化合物(「TiO 2 / (Ag,Zn,H) 2 O 」モル比≒4 )
に組成変換する。 (3)乾燥処理 処理液から粉末を濾別し、乾燥(200 ℃×4Hr)して製品
粉末を得る。 銀イオン濃度(蛍光X線分析) : 約3.2重量% 亜鉛イオン濃度(蛍光X線分析): 約10.8重量% 結晶構造(X線回折): 四チタン酸カリウム(K 2 Ti4
O 9 ) の結晶構造に準ずる層状構造。
【0028】
【参考例】(チタン酸アルカリ金属の製造) 〔参考例1〕(二チタン酸カリウム粉末の製造) 酸化チタン(TiO2 )粉末(精製アナターゼ粉末)と
炭酸カリウム(K2 CO3 )粉末とを、TiO2 /K2
O(モル比)が2となる割合に混合し、これを電気炉中
で焼成処理(800℃×1Hr)する。焼成反応生成物
は、二チタン酸カリウム(K 2 Ti2 O 5 ) の結晶粒から
なる固形物である。これを高速ハンマーミルで粉砕する
ことにより、粒径0.1 〜10μmの二チタン酸カリウム粉
末を得る。
【0029】〔参考例2〕(三チタン酸ナトリウム粉末
の製造) 酸化チタン(TiO2 )粉末(精製アナターゼ粉末)と
炭酸ナトリウム(Na 2 CO3 )粉末とを、TiO2
Na2 Oのモル比が3となる割合に混合し、これを電気
炉中で焼成処理(1000℃×1Hr)する。焼成反応
生成物は、三チタン酸ナトリウム(Na2 Ti3 O 7 )の結
晶粒かなる固形物である。これを高速ハンマーミルで粉
砕し、粒径0.1 〜10μmの三チタン酸ナトリウム粉末を
得る。
【0030】〔参考例3〕(四チタン酸カリウム粉末の
製造) 前記参考例1で得られた二チタン酸カリウム粉末を蒸留
水に浸漬し、緩和な攪拌流下に 2Hrを要して、結晶層間
のカリウムイオンを、四チタン酸カリウム組成になるま
で溶出する。これを液中から濾別し乾燥の後、電気炉中
で焼成処理(1000℃×1Hr)して、粒径 0.1〜10μmの四
チタン酸カリウム粉末(K 2 Ti4 O 9 )を得る。
【0031】〔抗菌性試験〕上記実施例の抗菌剤および
比較抗菌剤について、菌に対する最少発育阻止濃度(Mi
nimum Inhibitory Concentration: MIC )を測定し、表
1に示す結果を得た。比較例 No.1 およびNo.2は、それ
ぞれ前記参考例2および3で得た抗菌性金属イオンを含
まないチタン酸アルカリ金属化合物(ブランクテス
ト)、比較例No.3は、ゼオライトに銀イオンを吸着担持
した市販品無機系抗菌剤(銀ゼオライト)である。本発
明の抗菌剤は、すぐれた抗菌作用を有している。
【0032】(試験菌株) 大腸菌 (Escherihia coli) IFO 3301 緑膿菌 (Pseudomonas aeruginosa)IFO 3452 黄色ブドウ球菌 (Staphylococcus aureus) IFO 12732 黒こうじカビ(Aspergillus niger) IFO 6341 オーレオバシディウム (Aureobasidium pululans) IF
O 6353
【0033】
【表1】
【0034】
【発明の効果】本発明の抗菌性チタン酸化合物は、抗菌
作用,抗菌効果の持続性等にすぐれ、結晶内の抗菌性金
属イオンの抗菌作用と、光触媒作用による酸化チタンの
抗菌作用の重畳効果としてより優れた抗菌作用を発現す
ることができ、また、有機系抗菌剤に比し熱的安定性が
高く、人体に対する安全性の点でも有利である。本発明
の抗菌性チタン酸化合物は、粉末,成形体として,また
樹脂,その他の異種材との混合物,組成物,その他各種
の形態で使用され、一般細菌,真菌,藻類等,微生物の
発生増殖防止,防臭,防汚等を必要とする種々の分野に
利用することができ、耐熱性,断熱性,強度,補強効果
に優れていることにより、例えば、建築分野、水系分
野、塗料分野、製紙分野、化粧料分野、衣料分野、空気
調和装置、厨房機器類等の分野において種々の形態で適
用し,抗菌,防黴,防臭,防汚機能を付与することする
ことができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 層間にアルカリ金属イオンが配位するチ
    タン酸アルカリ金属化合物〔A2 Tin 2n+1〕(式
    中,A: アルカリ金属,n: 2〜4)の層状結晶構造を
    有し、その層間のアルカリ金属イオンの一部ないし全量
    が抗菌性金属イオンであることを特徴とする抗菌性チタ
    ン酸化合物。
  2. 【請求項2】 トンネル枠内にアルカリ金属イオンが配
    位するチタン酸アルカリ金属化合物〔A2 Ti
    n 2n+1〕(式中,A: アルカリ金属,n: 6〜8)の
    トンネル型結晶構造を有し、そのトンネル枠内のアルカ
    リ金属イオンの一部ないし全量が抗菌性金属イオンであ
    ることを特徴とする抗菌性チタン酸化合物。
  3. 【請求項3】 抗菌性金属が、Ag,Cu,Zn,H
    g,Sn,Pb,Bi,Cd,Cr,Tlの群から選ば
    れる1種ないし2種以上の金属であることを特徴とする
    請求項1または請求項2に記載の抗菌性チタン酸化合
    物。
  4. 【請求項4】 下式: A2 Tin 2n+1 〔式中,A: アルカリ金属、 n: 2〜4〕で示される
    層状結晶構造を有するチタン酸アルカリ金属化合物をイ
    オン交換処理に付し、層間のアルカリ金属イオンの一部
    ないし全量を抗菌性金属イオンに置換することにより、
    目的組成を有する水和チタン酸化合物に組成変換した
    後、脱水乾燥することを特徴とする請求項1または請求
    項3に記載の抗菌性チタン酸化合物の製造方法。
  5. 【請求項5】 下式: A2 Tin 2n+1 〔式中,A: アルカリ金属、 n: 2〜4〕で示される
    層状結晶構造を有するチタン酸アルカリ金属化合物をイ
    オン交換処理に付し、トンネル枠内のアルカリ金属イオ
    ンの一部ないし全量を抗菌性金属イオンに置換すること
    により、目的組成を有する水和チタン酸化合物に組成変
    換し、脱水乾燥の後、焼成処理に付して結晶構造を層状
    構造からトンネル型構造に変換することを特徴とする請
    求項2または請求項3に記載の抗菌性チタン酸化合物の
    製造方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2001271428A (ja) * 2000-03-24 2001-10-05 Marukou Sangyo:Kk 床下調湿剤
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