JP6154036B1 - 抗菌触媒入りコーティング剤及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】室内での塗装が可能な水性塗料であって、塗装によって暗所でも高い抗菌・抗ウイルス・防黴活性を示し、明所では紫外線領域だけでなく可視光領域の光によって、抗菌、抗ウイルス、防黴、消臭、防汚、大気浄化活性を有する抗菌触媒入りコーティング剤及びその製造方法を提供する。【解決手段】酸化物の色が互いに補色の関係にある遷移金属の2つ以上をドープし、表面をペルオキソ基で修飾した二酸化チタンの微粒子と、抗菌活性のある金属イオンを担持した二酸化珪素の微粒子とを水にコロイド状態で分散したことを特徴とする。酸化物の色が互いに補色の関係にある遷移金属の一方がネオジムであり、他方がタングステン及びレニウムからなる群から選ばれた1つ以上の組み合わせであるか、もしくは、一方がマンガン又はニッケルであり、他方が銅、鉄及びバナジウムからなる群から選ばれた1つ以上の組み合わせであることが好ましい。【選択図】図4

Description

本願発明は、抗菌触媒入りコーティング剤及びその製造方法に係り、より詳しくは、昼夜を問わず抗菌、抗ウイルス、防黴作用を有し、屋内の床、天井、壁等に噴霧塗装することが可能な抗菌触媒入りコーティング剤及びその製造方法に関する。
二酸化チタン(TiO)は白色顔料や紫外線吸収料としてペンキ、化粧品などの原料に広く使われ、食品添加物としても認められている安価で安全な材料である。チタン含有物質を床や壁、窓ガラス等の建材へ塗布し、乾燥あるいは低温で焼き付けると、二酸化チタンからなる保護被膜を形成し、この保護被膜は二酸化チタンの光触媒反応により、殺菌・抗菌効果、防汚効果、消臭・大気浄化効果を示すことが知られている。
二酸化チタンの光触媒作用は、波長が400nm以下の紫外線によって引き起こされ、350nmに最大の吸収帯がある。そのため太陽光や白熱灯・蛍光灯など通常の生活空間における光源では、そのごく一部しか光触媒反応に寄与していない。二酸化チタンが可視光を吸収するようにすれば、飛躍的に性能向上が期待できることから、光触媒の稼働域を可視光領域にまで広げようとする研究が数多くなされてきた。可視光応答化の技法の代表的なものは、少量の不純物を加えるもので、ドープ(ドーピング)と呼ばれる。さまざまな物質がこれまでにドープされている。その中には可視光での光触媒活性を持つものも報告されている。(例えば、特許文献1,2参照)
ドープされた元素としては窒素(N)のような例外もあるが、その多くは金属原子であり、遷移金属が大半を占める。例えば、2002年に発行された「J.Phys.Chem.B., Vol.106,No.3」には、DI PAOLA A.らの研究として、500℃で焼成した二酸化チタン(アナターゼ型)にそれぞれ1重量%のタングステン(W)、鉄(Fe)、モリブデン(Mo)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、銅(Cu)、コバルト(Co)をドープさせ、200〜800nmにおける反射率(%)と、p−ニトロフェノールの水溶液中での光分解速度を測定した結果が記載されている。その結果を表1に示した。反射率は基準値としてドープしていない二酸化チタンの600nm(黄色領域)における反射率を100%としたときの相対反射率で示した。p−ニトロフェノールの水溶液中での光分解速度は、ドープしていないアナターゼの光分解速度定数(r=1.4×10−10mol/L・s)を100%としたときの相対光分解速度(%)で示した。
Figure 0006154036

表1に示したとおり、これらの金属をドープしたアナターゼは600nmにおける反射率が低下、即ち吸光度が上昇しており、可視光域での光触媒活性向上が期待されたが、p−ニトロフェノールの水溶液中での光分解速度はタングステン(W)とモリブデン(Mo)を除き低下し、光触媒性能としては悪化した。
本願発明者は、このタングステン(W)をドープする技術に注目した。タングステンの酸化物としては、三酸化タングステン(WO)が安定型として知られている。三酸化タングステン(WO)は、レモンイエローと呼ばれる黄色の色素である。三酸化タングステンが黄色を示すのは、三酸化タングステンが黄色以外の波長の光を吸収しているためであり、最大吸収域が黄色と補色の関係にある紫色の波長領域にあることを意味している。事実、タングステンをドープさせた二酸化チタンは420nm付近にあった光の吸収限界を紫色の波長である460nm付近にまで拡大しただけで、可視光の全領域にまで拡大するものではなかった(特許文献3参照)。本願発明は、酸化物の色が三酸化タングステンとの補色、即ち紫色を有する金属を三酸化タングステンと共に二酸化チタンにドープさせることにより、光触媒の光の吸収域が、可視光の全領域にまで拡大するとの仮説に基づき本願発明の検討が進められ、鋭意検討の末、本願発明を完成させたものである。
特開2003−265966号公報 特開2004−209472号公報 特開2002−211928号公報 特開平10−067516号公報
本願発明は、かかる問題点を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、室内での塗装が可能な水性塗料であって、塗装によって暗所でも高い抗菌・抗ウイルス・防黴活性を示し、明所では紫外線領域だけでなく可視光領域の光によって、抗菌、抗ウイルス、防黴、消臭、防汚、大気浄化活性を有する抗菌触媒入りコーティング剤及びその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するためになされた、本願発明の抗菌触媒入りコーティング剤は、酸化物の色が互いに補色の関係にある遷移金属の2つ以上をドープし、表面をペルオキソ基で修飾した二酸化チタンの微粒子と、抗菌活性のある金属イオンを担持した二酸化珪素の微粒子とを水にコロイド状態で分散したことを特徴とする。
本願発明の抗菌触媒入りコーティング剤は、酸化物の色が互いに補色の関係にある遷移金属の一方が、ネオジムであり、他方がタングステン及びレニウムからなる群から選ばれた1つ以上の組み合わせであることが好ましい。
酸化物の色が互いに補色の関係にある遷移金属の一方が、マンガン又はニッケルであり、他方が銅、鉄及びバナジウムからなる群から選ばれた1つ以上の組み合わせであることが好ましい。
酸化物の色が互いに補色の関係にある遷移金属が、ネオジムとタングステンの組み合わせ又はニッケルと鉄の組み合わせであることがよい。
酸化物の色が互いに補色の関係にある遷移金属の添加量は、2つ以上の金属の合計が、二酸化チタンの0.1〜10モル%の範囲であることが好ましい。
酸化物の色が互いに補色の関係にある2つ以上の遷移金属のそれぞれの添加量のモル比は、一方の金属の量を1としたとき、他方の金属の量が1/2〜2の範囲であることが好ましい。
2つ以上の遷移金属をドープし、表面をペルオキソ基で修飾した二酸化チタンの一次粒子の体積分布メジアン径は10〜100nmであることが好ましい。
抗菌活性のある金属イオンを担持した二酸化珪素の微粒子が水にコロイド状態に分散した二酸化珪素(コロイダルシリカ)であることを特徴とする。
抗菌活性のある金属イオンを担持した二酸化珪素の一次粒子の体積分布メジアン径は10〜100nmであることが好ましい。
抗菌活性のある金属イオンが、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、鉛(Pb),白金(Pt)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)及び鉄(Fe)から選ばれた1つ以上の金属のイオンであることが好ましい。
抗菌活性のある金属イオンが、銀イオン(Ag)及び/又は銅イオン(Cu++)であることがよい。
抗菌活性のある金属イオンの添加合計量は、二酸化珪素の乾燥重量を基準として0.001〜1重量%であることが好ましい。
2つ以上の遷移金属をドープし、表面をペルオキソ基で修飾した二酸化チタンと、抗菌活性のある金属イオンを担持した二酸化珪素との混合割合は、二酸化チタンの乾燥重量を1として、二酸化珪素の重量が乾燥重量換算で1〜20であることが好ましい。
本願発明の抗菌触媒入りコーティング剤の製造方法は、酸化物の色が互いに補色の関係にある2つ以上の遷移金属及びチタンを含む塩のそれぞれを水又はアルコール又はアセトン又はエーテルに溶解するステップ、2つ以上の遷移金属を含むそれぞれの溶液を混合した後、混合水溶液をチタンを含む溶液に加え、2つ以上の遷移金属とチタンを含む溶液を調整するステップ、2つ以上の遷移金属とチタンを含む溶液にアンモニア水を滴下し、遷移金属をドープした水酸化チタンを沈殿させるステップ、水酸化チタンの沈殿物を濾別し、水で洗浄するステップ、洗浄後濾別した水酸化チタンを水に分散させ、過酸化水素水を加えて攪拌し、水酸化チタンの表面をペルオキソ基で修飾するステップ、余剰の過酸化水素を分解した後、水酸化チタンの分散液を80〜200℃で加熱処理し、水酸化チタンをアナターゼ型の二酸化チタンに変換するステップ、抗菌活性のある金属イオンを含む水溶液を一次粒子の体積分布メジアン径が10〜100nmのコロイド状態の二酸化珪素(コロイダルシリカ)に加えて二酸化珪素に金属イオンを担持させるステップ、抗菌活性のある金属イオンを担持したコロイド状態の二酸化珪素に、遷移金属をドープし、表面をペルオキソ基で修飾したアナターゼ型二酸化チタンの分散液を混合するステップを順次行うことを特徴とする。
本願発明によると、本願発明の抗菌触媒入りコーティング剤は、人体に有害な物質を含まないため、室内塗料として好ましく使用することができる。
本願発明の抗菌触媒入りコーティング剤は、抗菌活性のある金属イオンを担持した二酸化珪素の微粒子を含むため、塗装によって暗所においても金属イオンの働きにより高い抗菌作用、防黴作用、抗ウイルス作用を有することができる。
本願発明の抗菌触媒入りコーティング剤は、酸化物の色が互いに補色の関係にある遷移金属の2つ以上をアナターゼ型二酸化チタンにドープした光触媒を含有するため、塗装によって明所では紫外線領域だけでなく可視光領域の光によって、抗菌、抗ウイルス、防黴、消臭、防汚、大気浄化等の活性を有する効果を有する。
幅広い波長の光を利用することができることから、微弱な光でも光触媒活性を示すことができる。
本願発明の抗菌触媒入りコーティング剤は、二酸化珪素の微粒子が水にコロイド状態に分散した二酸化珪素(コロイダルシリカ)を含有し、コロイダルシリカがアナターゼ型二酸化チタンの分散剤及びコロイド状態を維持する安定剤として働くため、本願発明のコーティング剤を長期間安定した状態で維持することができる。
又、このコロイダルシリカが塗装の際に接着剤として働くため、水性塗料の付着性を高め、更に塗装対象物が直接二酸化チタンに接し光触媒によって浸食されることを緩衝して塗装面を長期間維持することができる。
さらに、本願発明の抗菌触媒入りコーティング剤は、表面をペルオキソ基で修飾した二酸化チタンを含有するため、ペルオキソ基の分極により粒子間に斥力が働くため、分散性に優れ、塗装した際に光触媒としての活性が高く、又、その製造方法において、200℃以下てアナターゼ型の二酸化チタンを生成することができるため、従来の光触媒の製造に不可欠であった焼成工程を省くことができ、焼成炉の設備投資も不要になったため、安価に簡便に製造することができる効果を有する。
ネオジムとタングステンをドープした二酸化チタンの紫外可視拡散反射スペクトルである。 ニッケルと鉄をドープした二酸化チタンの紫外可視拡散反射スペクトルである。 高圧水銀ランプ照射下におけるp‐ニトロフェノールの減少を示すグラフである。 紫外線をカットしたキセノンランプ照射下におけるp‐ニトロフェノールの減少を示すグラフである。
本願発明は、抗菌触媒入りコーティング剤に関する発明であり、紫外線領域だけでなく可視光領域の光により励起する光触媒と高い抗菌及び抗ウイルス活性を有する金属イオンを併せ持つことを特徴とする。
光触媒活性を示す物質として、多くの化合物が知られているが、代表的な光触媒活性物質として、二酸化チタン(TiO)が知られている。
二酸化チタンの結晶形には、ルチル、ブルカイト、アナターゼの3種類が知られている。本願発明の光触媒としてはこれらルチル型、ブルカイト型、アナターゼ型の二酸化チタンの何れも使用が可能であるが、ブルカイト型の二酸化チタンは製造が難しいため、一般に利用可能な二酸化チタンはルチル型とアナターゼ型である。光触媒としては、アナターゼ型がルチル型に比べて10倍程高い活性を示すことから、アナターゼ型の二酸化チタンがより好ましく利用できる。
従来、結晶形状の二酸化チタンを光触媒として使う場合、焼結により得られた二酸化チタンの結晶を微粉末になるまで摩砕し、得られた微粉末の二酸化チタンを水等に分散させてスラリーを作成し、これを塗装又は噴霧により対象物に塗布する方法がなされてきた。二酸化チタンにドープする遷移金属は、スラリーを作成する段階で添加することができる。しかしながら、この物理的な方法は、摩砕して得られる微粉末の大きさに限界があり、さらに、摩砕して得られた微粒子が再凝集するという問題もあった。
近年、二酸化チタン被膜を製造する方法として、粉末の二酸化チタンを使用しないでチタンアルコキシドを出発原料としてゾルゲル法により作製した分散液を塗布乾燥する方法や、チタンアルコキシドを直接に塗布、乾燥した後に、焼成する方法が開発され普及してきた。むろんこのゾルゲル法による被膜の製造方法も本願発明のコーティング剤の製造に応用できる。ドープする遷移金属は、予めチタンアルコキシドに混合しておけばよい。但し、このゾルゲル法の問題点は、原料に酸や有機物質を含むので、塗布膜を焼成する際には高温に加熱してこれらの有機物質を除去することが必要であること、及び、原料のチタンアルコキシドが高価である点である。
特許文献4には、チタン含有液体から化学反応によって沈殿形成した水酸化チタン、もしくはチタン酸化物を水中に分散した液に、過酸化物を添加してペルオキソチタン溶液とした後に、ペルオキソチタン溶液を、85℃〜200℃において、40時間〜2時間の加熱処理を行うアナターゼ型二酸化チタンのスラリー製造方法が報告されている。この方法において、出発原料のチタン含有液体にドープする遷移金属を溶液として混合しておけば、本願発明の目的である酸化物の色が互いに補色の関係にある遷移金属の2種以上をドープした二酸化チタンのスラリーを作成することができる。
この方法で使用可能な、チタン原料としては、金属チタン、酸化チタン、水酸化チタン、二塩化チタン、三塩化チタン、四塩化チタン、四フッ化チタン、硝酸チタン、硫酸第一チタン、硫酸第二チタン、硫酸チタンアンモニウム、硫酸チタンカリウム、チタン酸鉛、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウムチタン酸リチウム等の無機チタン化合物、及びテトラ−i−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、セタノセンジカルボニル等のチタニウムステアレート等の有機チタン化合物を挙げることができる。又、イルメナイト、ぺロブスカイト、タウソナイト等のチタン鉱石を挙げることができる。
これらの何れの化合物も本願発明の二酸化チタン製造の原料として使用できるが、有機チタン化合物は高価なため、無機チタン化合物がより好ましく使用することができる。中でも、硫酸第二チタンは好ましく利用可能であり、金属チタン、酸化チタン及びチタン鉱石等から粒子径が制御された二酸化チタンを製造する中間体としても有用であり、好ましく利用できる。硫酸第二チタンを経由することにより、本願発明の課題であるナノサイズの粒子径を有する二酸化チタンを製造することができる。
本願発明では硫酸第二チタンの水溶液に2つ以上の遷移金属の水溶液を混合した後、チタン含有水溶液をアンモニア、又は水酸化ナトリウム等と反応させることによってゲル状の水酸化チタンを得ることができ、この段階で光触媒置となる二酸化チタンの一次粒子径が決定される。
本願発明で、遷移金属とは、周期表で第3族元素から第11族元素の間に存在する元素に第12族元素の亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、水銀(Hg)の亜鉛族元素を加えたものをいう。
遷移金属は、d起動又はf軌道の内核に空位の軌道を有しており、同一元素でいくつかの酸化数を有することが多く、酸化数により様々な色を持った化合物が多く存在する。
遷移金属の安定な酸化物を色毎に分類すると、その粉末又は結晶が赤色を示す酸化物として、酸化第一銅(CuO)、三酸化クロム(CrO)、酸化第二鉄(Fe)、等を例示できる。
又、その粉末又は結晶が赤褐色を示す酸化物として、一酸化カドミウム(CdO)、五酸化二バナジウム(V)等を例示することができる。
更に、その粉末又は結晶が黄色を示す酸化物として、三酸化第二水銀(HgO)、三酸化タングステン(WO)、三酸化レニウム(ReO)等を例示することができる。
一方、その粉末又は結晶が緑色を示す酸化物として、三酸化二クロム(Cr)、一酸化マンガン(MgO)、一酸化ニッケル(NiO)等を例示することができる。更に、青色から青紫色を呈する固体酸化物として三酸化二ネオジム(Nd)等を例示することができる。
本願発明は、酸化物の色が互いに補色の関係にある遷移金属の2つ以上を二酸化チタンにドープすることにより、紫外線領域から可視光領域の幅広い光に応答する抗菌触媒入りコーティング剤を提供することを課題とする。
ここで補色の関係とは、色相環(color circle)で正反対に位置する関係の色の組合せをいい、二つの色を適当な割合で混合した結果、光の場合は白色光、絵の具などの場合は無彩色(灰色)になる組み合わせの関係をいう。
互いに補色の関係にある遷移金属の組み合わせとしては、一方が、ネオジムであり、他方が、タングステン及びレニウムからなる群から選ばれた1つ以上の組み合わせを一つの例として挙げることができる。この組み合わせはネオジムの酸化物である三酸化二ネオジム(Nd)の色調が青から青紫であり、一方、タングステン及びレニウムのそれぞれの酸化物である三酸化タングステン(WO)及び三酸化レニウム(ReO)の色が黄色であり互いに補色の関係になる。
更に、他の補色の関係にある遷移金属の組み合わせの他に例としては、一方が、マンガン又はニッケルであり、他方が銅、鉄及びバナジウムからなる群から選ばれた1つ以上の組み合わせを例示することができる。この組み合わせは一方のマンガン及びニッケルのそれぞれの酸化物である一酸化マンガン(MgO)及び一酸化ニッケル(NiO)の色調が緑色から青緑色であり、他方の銅、鉄及びバナジウムそれぞれの酸化物である、酸化第一銅(CuO)、酸化第二鉄(Fe)及び五酸化二バナジウム(V)の色調が赤色から赤褐色であることから互いに補色の関係になる。
この他の遷移金属にあっても酸化物の色が、黄色や赤色や緑色を示すものがある。例えば、三酸化第二水銀(Hg)の色が黄色であり、上記三酸化二ネオジム(Nd)青紫色とは補色の関係になる。又、三酸化二クロム(Cr)の色は緑色であり、赤色を呈する三酸化第二水銀(Hg)、三酸化タングステン(WO)、三酸化レニウム(ReO)とは補色の関係になる。更に、一酸化カドミウム(CdO)、の色は褐色であり、一酸化二カドミウム(CdO)の色は緑色であることから、同一金属でありながら酸化数により互いに補色の関係にある。しかしながらこれらの水銀、カドミウム、クロムは、人体に対する毒性及び環境毒性が強いため、本願発明の目的である室内での塗装が可能な水性塗料としては適当でない。
酸化物の色が互いに補色の関係にある遷移金属の添加量は、2つ以上の金属の合計が、二酸化チタンの0.1〜10モル%の範囲であることが好ましく、0.5〜5モル%であることがより好ましい。ドープした2つ以上の金属の合計が、二酸化チタンの0.1モル%以下であると、遷移金属のドープによる可視光の吸収を十分に行えない虞があり、10モル%以上であると、二酸化チタンの光吸収によって生じた正孔を遷移金属の動きやすい電子が塞いでしまい、光触媒としての効果が十分に発揮されない虞がある。
酸化物の色が互いに補色の関係にある2つ以上の遷移金属のそれぞれの添加量のモル比は、一方の金属の量を1としたとき、他方の金属の量が0.5〜2の範囲であることが好ましい。一方の金属の量を1としたとき、他方の金属の量が0.5以下又は2以上であると少ない配合の遷移金属酸化物が吸収する波長の光の吸収量が少なくなり、可視光領域での光の吸収バランスが悪くなる虞がある。
これらのドープする遷移金属は、該当金属を含み水溶液もしくはアルコールやアセトン又はエーテル等の溶液になるものであれば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩等、いかなる化合物も使用することができる。
例えば、ネオジムであれば、酸化ネオジム(NdО)水酸化ネオジム(Nd(OH))、塩化ネオジム(NdCl)、硫酸ネオジム(Nd(SO・8HO)等を利用できる。
例えば、タングステンであれば、酸化タングステン(WO)、塩化タングステン(WCl)、タングステン酸ナトリウム(NaWO)、タングステン酸カルシウム(CaWO)、タングステン酸マグネシウム(MgWO)、タングステン酸鉄(Fe酸化タングステンWO)、パラタングステン酸アンモニウム((NH10(H1242)・4HO)、フッ化タングステン(WF)、二硫化タングステン(WS)等のいずれか1つ以上を利用できる。
例えば、レニウムであれば、塩化レニウム(ReCl)、二酸化レニウム(ReO)、三酸化レニウム(ReO)、七酸化二レニウム(Re)、三酸化メチルレニウム(CHReO)、ノナヒドリドレニウム(VII)酸カリウム(KReH)、デカカルボニル二レニウム(Re(CO)10)、二ホウ化レニウム(ReB)、二硫化レニウム(ReS)、過レニウム酸(HReO)、過レニウム酸アンモニウム(HNORe)等のいずれか1つ以上を利用できる。
例えば、マンガンであれば、二酸化マンガン(MnO)、炭酸マンガン(MnCO)、マンガン酸ナトリウム(NaMnO)、マンガン酸カリウム(KMnO)、過マンガン酸カリウム(KMnO)、水酸化マンガン(Mn(OH))、二塩化マンガン(MnCl)、ヨウ化マンガン(MnI)、硝酸マンガン(Mn(NО)、硫酸マンガン(MnSO)、酢酸マンガン(Mn(OCOCH)、硫化マンガン(MnS)等のいずれか1つ以上を利用できる。
例えば、ニッケルであれば、酸化二ッケル(NiО)、炭酸ニッケル(Ni(CO))、水酸化ニッケル(Ni(OH))、二塩化ニッケル(NiCl)、ヨウ化ニッケル(NiI)、硝酸ニッケル(Ni(NО)、硫酸ニッケル(NiSO)、スルファミン酸ニッケル(Ni(NHSO)、ニッケル酸リチウム(LiNiО)等のいずれか1つ以上を利用できる。
例えば、銅であれば、酸化二銅(CuО)、酸化銅(CuО)、一塩化銅(CuCl)、二塩化銅(CuCl)、ヨウ化銅(CuI)水酸化銅(Cu(ОH))、硫化銅(CuS)、硝酸銅(Cu(NО)、硫酸銅(CuSO)、等のいずれか1つ以上を利用できる。
例えば、鉄であれば、酸化鉄(FeО)、四酸化三鉄(FeО)、塩化鉄(FeCl)、三塩化鉄(FeCl)、硝酸第一鉄(Fe(NО)、硝酸第二鉄(Fe(NО、硫酸第一鉄(FeSO)、硫化鉄(FeS)、ヘキサシアニド鉄(II)酸カリウム(K〔Fe(CN)〕)、ヘキサシアニド鉄(III)酸カリウム(K〔Fe(CN)〕)等のいずれか1つ以上を利用できる。
例えば、バナジウムであれば、五酸化バナジウム(VО)、三酸化バナジウムアンモニウム(NHVО)、三酸化バナジウムナトリウム(NaVО)、四酸化バナジウム三ナトリウム(NaVО)、三塩化バナジウム(VCl)、二塩化バナジウム(VCl)、三臭化バナジウム(VBr)、四フッ化バナジウム(VF)、五フッ化バナジウム(VF)、硫酸バナジウム(III)アンモニウム((NH)V(SО)、硫酸バナジウム(II)カリウム(KV(SО)等のいずれか1つ以上を利用できる。
これらの遷移金属化合物は水もしくはアルコール、アセトン、エーテル等有機溶剤に溶解し、溶液としてチタン含有の化合物と混合されることがよい。これらの遷移金属化合物を水に溶解するために、水のpHを酸性又はアルカリ性に調整してもよい。
二酸化チタンにドープされる遷移金属のそれぞれの溶液は互いに混合されて、硫酸第二チタン(Ti(SО)の水溶液、又は、金属チタン、酸化チタン、水酸化チタン等のチタン原料を濃硫酸に溶解した溶液、又は、チタン鉱石よりチタンを取り出すための中間体としての硫酸第二チタン溶液に加えられ、均一に混合される。むろん遷移金属のそれぞれの溶液を直接硫酸第二チタンの水溶液に加えてもよい。所定量の遷移金属が均一に混合された硫酸第二チタンの水溶液には塩基性物質の水溶液が滴下され、水酸化チタンの沈殿が生成する。
硫酸第二チタンがアルカリとの反応によって水酸化チタンになる段階で、遷移金属が水酸化チタンにドープされる。
ここでの反応に使用される塩基性物質に特に制限はなく、一般的に使用される、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等を挙げることができる。中でもアンモニアは、後工程において水による洗浄以外にも気体として過剰な塩基性物質が除去されることから好ましく利用できる。
ここで使用するアルカリの量はチタンのモル数の5倍以上であることが好ましく、通常5〜10倍量である。
塩基性物質の滴下により硫酸第二チタンは水酸化チタンとなって沈殿する。沈殿した水酸化チタンを濾過し、反応により生じた塩が検出されなくなるまで、十分に水洗した後、再び水に懸濁させて過酸化水素水を加え、攪拌すると、黄色のペルオキソチタン酸溶液が得られる。
過剰の過酸化水素水を加えることにより、二酸化チタンにドープされた繊維金属はその安定な酸化物に変化する。と同時に、二酸化チタンの表面をペルオキソ基で修飾する。水中に分散したナノサイズの二酸化チタンの粒子は、その表面のペルオキソ基の分極によって粒子間の電気的斥力が働くために、凝集することなく長期にわたり安定に存在することができる。
ここで使用される過酸化水素水は、有効成分濃度が3〜50%であることが好ましい。有効成分濃度が3%以下では、二酸化チタンの表面が十分にペルオキソ基で修飾できない虞がある。又、有効成分濃度が50%を超えると急激な反応が起こることがあり、危険を伴う虞がある。
二酸化チタンに加える過酸化水素の量は、二酸化チタンの量より過剰であることがよく、通常、二酸化チタンのモル数の1.2倍から2.0倍量である。添加量が少ないと、二酸化チタンの表面が十分にペルオキソ基で修飾できない虞がある。大過剰になると、薬剤が無駄になるだけでなく、その後の過剰の過酸化水素を分解する過程に時間がかかり、無駄である。
過剰の過酸化水素を分解するためには、この反応液を一夜静置するとよい。過剰の過酸化水素を分解した後、80〜200℃において2〜40時間加熱処理することにより、表面がぺルオキソ基に修飾され、2種類以上の遷移金属にドープされたアナターゼ型二酸化チタン結晶の水分散液を得ることができる。
この一連の水酸化チタンの生成段階において、アナターゼ型二酸化チタン結晶の一次粒子のサイズが決定され、加熱処理の段階で二次粒子のサイズが決定される。
水に分散したアナターゼ型二酸化チタン結晶の一次粒子のメジアン径は、10〜100nmであることが好ましく、10〜50nmであることがより好ましく、10〜30nmであることがさらに好ましい。100nmよりも大きくなると、微粒子に作用する重力による効果が大きくなり、分散剤を使用したとしても沈降しやすくなる。50nm〜100nmであると、分散剤の助成により長期間の分散を維持することができる。10〜50nmであると、このアナターゼ分散液は、常温において非常に安定な分散液を形成し、溶媒である水以外には特別な助剤を必要とせず、長期間安定した分散液を維持することができる。さらに、30nm以下になると、光の散乱効果により透明となるため、コーティング剤を塗布した際の仕上がりが美しくなる。
アナターゼ型二酸化チタン結晶の一次粒子の粒子径は細かくなる程、比表面積が大きくなり、光触媒の効果が上がり有利であるが、10nm未満のナノサイズになると、走査型電子顕微鏡で粒子径を測定できる限界となる。
酸化物の色が互いに補色の関係にある遷移金属の2つ以上をドープし、表面をペルオキソ基で修飾した二酸化チタンの微粒子の水分散液は、抗菌活性のある金属イオンを担持した二酸化珪素の微粒子を水分散液に添加され混合されることを特徴とする。
抗菌活性のある金属イオンを担持した二酸化珪素の微粒子の水分散液は、抗菌活性のある金属イオンを担持した二酸化珪素(コロイダルシリカ)であることが好ましい。
コロイダルシリカは、ケイ酸ソーダをイオン交換し、活性ケイ酸を調製後、これを加熱下において、水酸化ナトリウム(NaOH)でpH調整した微粒子含有水溶液中に添加し、粒子成長させる水ガラス法により調整したものでも、ケイ酸アルキル(テトラアルコキシシラン)を塩基性触媒の存在下で加水分解すると同時に縮合・粒子成長を行いながらシリカ粒子を製造するストーバー(Stoeber)法により合成したものでもよく、その他の方法で合成したコロイド状の二酸化珪素の何れであっても本願発明のコロイダルシリカとして利用できる。又、市販のコロイダルシリカも問題なく利用できる。
抗菌活性のある金属イオンを担持した二酸化珪素の一次粒子の体積分布メジアン径は10〜100nmであることが好ましく、10〜50nmであることがより好ましく、10〜30nmであることがさらに好ましい。メジアン径が100nmよりも大きくなると、微粒子に作用する重力による効果が大きくなり、沈降しやすくなる。メジアン径が50nm以下になると、このコロイダルシリカは、常温において非常に安定な分散液を形成し、溶媒である水以外には特別な助剤を必要とせず、長期間安定した分散液を維持することができる。さらに、30nm以下になると、光の散乱効果により透明となるため、コーティング剤を塗布した際の仕上がりが美しくなる。
コロイダルシリカが担持する抗菌活性のある金属イオンとしては、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、鉛(Pb),白金(Pt)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)及び鉄(Fe)から選ばれた1つ以上であることが好ましい。
これらの他にも、抗菌活性のある金属イオンも存在するが、例えば、水銀(Hg)イオンは高い抗菌活性を有するが、人体に対する毒性も強いため、本願発明の課題である室内での塗装が可能な水性塗料としては適当でない。
コロイダルシリカに抗菌活性のある金属イオンを担持させるには、そのイオンに抗菌活性のある金属の塩化物、硝酸塩、又は硫酸塩等を水に溶解して、コロイダルシリカに混合してやればよい。例えば、銀(Ag)であれば硝酸銀(AgNО)の水溶液をコロイダルシリカに加えて、混合すればよいがこれに限定されない。この他の抗菌活性のある金属イオンについても、水に溶解し水中でその金属イオンになる金属化合物を水溶液として加えればよい。コロイダルシリカはその表面において周囲の水と水和しており、水の水素と二酸化珪素の酸素の間で分極しているため、金属イオンをその表面に担持することができる。
硝酸銀を添加した場合、残った硝酸イオンは、次工程で混合される2種以上の遷移金属のドープした二酸化チタン粒子に残留するアルカリ成分と反応して、例えば、硝酸アンモニウム等の塩を形成するが、その量は微量であるため、最終製品の物理的性状に影響を及ぼすことはない。
コロイダルシリカに加える抗菌活性の有る金属イオンは、一種類だけでなく2つ以上を担持させてもよい。抗菌活性としては列記した金属イオンの中では銀イオン(Ag)が最も効果が高いが、抗ウイルス作用としては銅イオン(Cu++)の効果が高い。このため、一つのコロイダルシリカに銀イオン(Ag)と銅イオン(Cu++)を同時に担持させることにより、抗菌活性と抗ウイルス作用に優れるコロイダルシリカを提供することができる。例えば、銅(Cu)であれば、塩化第二銅(CuCl)の水溶液を添加すればよいがこれに限定されない。
コロイダルシリカに加える抗菌活性のある金属イオンのそれぞれの量は、二酸化珪素の乾燥重量を基準として0.001〜1重量%であることが好ましい。抗菌活性のある金属イオンを担持したコロイダルシリカは、上記の酸化物の色が互いに補色の関係にある遷移金属の2つ以上をドープし、表面をペルオキソ基で修飾した二酸化チタンの微粒子の水分散液と混合され、屋内の床、天井、壁等に噴霧塗装される。この塗装された面から、抗菌活性及び/又は抗ウイルス作用のある金属イオンが5〜50ppm程度滲み出ることがよい。
抗菌活性のある金属イオンの担持量が二酸化珪素の乾燥重量の0.001重量%以下であると、抗菌作用のある金属イオンの消失が速く、効果が長続きしない虞がある。一方、金属イオンの担持量が二酸化珪素の乾燥重量の1重量%を超えると、過剰な金属イオンが放出されることから、環境中の微生物バランスを崩す虞がある。
酸化物の色が互いに補色の関係にある2つ以上の遷移金属をドープし、表面をペルオキソ基で修飾した前記二酸化チタンと、表面を抗菌活性のある金属イオンを担持した二酸化珪素との混合割合は、二酸化チタンの乾燥重量を1として、二酸化珪素の重量が乾燥重量換算で1〜20であることが好ましい。二酸化チタンの乾燥重量1に対し、二酸化珪素の重量が乾燥重量換算で1以下であると、金属イオンによる抗菌効果が弱まり、暗所での抗菌効果が不十分になる虞がある。一方、二酸化チタンの乾燥重量1に対し、二酸化珪素の重量が乾燥重量換算で20を超すと、光触媒による抗菌、抗ウイルス、防黴、消臭、防汚、空気清浄の効果が不十分になる虞がある。
2つ以上の遷移金属をドープし、表面をペルオキソ基で修飾した前記二酸化チタンと、抗菌活性のある金属イオンを担持した二酸化珪素との混合物はコーティング剤として、室内の床、壁、天井などに塗布又は噴霧により塗装される。
〔実施例1〕
以下に好ましい抗菌触媒入りコーティング剤の実施例を示す。
(イ)タングステンとネオジムをドープし、表面をペルオキソ基で修飾した二酸化チタン
24mLの30%硫酸チタン(和光純薬社製)の水溶液に脱塩水を加え1000mLとした。
1gの六塩化タングステン(Aldrich社製)を10mLのエーテルに溶解させた。一方、470mgの三塩化ネオジム六水和物(和光純薬社製)を10mLのエタノールに溶解させた。それぞれの溶液を同時に上記硫酸チタンの水溶液に攪拌しながら滴下した。
次いで、六塩化タングステン、三塩化ネオジム及び硫酸チタンを含む水溶液を氷冷下攪拌しながら、10%アンモニア水(日本薬局方第3塁医薬品)の25mLを250mlに希釈して滴下した。アンモニア水の滴下と共に、チタンを含む水溶液は白濁し、タングステンとネオジムをドープした状態で水酸化チタンが生成していることが観察された。水酸化チタンを分散した反応液は次第に粘性が増した。
アンモニア水の滴下終了後、1時間攪拌を続けた後、反応物を吸引濾過した。濾別した水酸化チタンは脱塩水懸濁し、吸引濾過して洗浄する作業を3回繰り返した。
洗浄後、白色固形物を集め、水300mLを加え、白色の懸濁液を調製した。この水酸化チタンの懸濁液に30%過酸化水素水(三菱ガス化学社製)20mLを加えて攪拌した。1時間攪拌を続けた後、10℃以下で、24時間静置して余剰の過酸化水素水を分解させ、黄色粘性液体400mlを得た。
次いで、得られた黄色粘性液体を95〜100℃で6時間加熱し、薄黄色半透明の分散液を得た。
(ロ)銀イオンと銅イオンを担持したコロイド状二酸化珪素
硝酸銀(東洋化学社製)0.64g(Agとして0.4g)を水5mLに溶解し、
塩化第二銅二水和物(昭和化学社製)1.0g(Cuとして0.38g)を水5mLに溶解した液に加え、これを二酸化珪素無機コロイド(日産化学工業社製 成分:SiО 40%、商品名:スノーテックス(登録商標)、品番:N−40、粒子径:20〜30nm、)の1000mLに混合し2時間攪拌を続けた。
(ハ)抗菌触媒入りコーティング剤(1)
タングステンとネオジウムをドープし、表面をペルオキソ基で修飾した二酸化チタンの懸濁液110mLと銀イオンと銅イオンを担持したコロイダルシリカの100mLを混合し室内塗装用のコーティング剤とした。
〔実施例2〕
(イ)ニッケルと鉄をドープし、表面をペルオキソ基で修飾した二酸化チタン
24mLの30%硫酸チタン(和光純薬社製)の水溶液に脱塩水を加え1000mLとした。
1gの硝酸第二鉄・九水塩(Aldrich社製)及び470mgの硫酸ニッケル六水和物(和光純薬社製)をそれぞれ10mLの水に溶解させた後、その両者を混合して均一な溶液を調製した。この溶液を攪拌しながら上記硫酸チタンの水溶液に滴下した。
次いで、硝酸第二鉄と硫酸ニッケルを含む硫酸チタンの溶液を氷冷下攪拌しながら、10%アンモニア水(日本薬局方第3類医薬品)の25mLを250mlに希釈して滴下した。アンモニア水の滴下と共に、チタンを含む水溶液は白濁しニッケルと鉄をドープした状態で水酸化チタンが生成していることが観察された。
アンモニア水の滴下終了後、1時間攪拌を続けた後、反応物を吸引濾過した。濾別した水酸化チタンは脱塩水に懸濁し、吸引濾過して洗浄する作業を3回繰り返した。
洗浄後、白色固形物を集め、水300mLを加え、白色の懸濁液を調製した。この水酸化チタンの懸濁液に30%過酸化水素水(三菱ガス化学製)20mLを加えて攪拌した。1時間攪拌を続けた後、10℃以下で、24時間静置して余剰の過酸化水素水を分解させ、黄色粘性液体400mlを得た。
次いで、得られた黄色粘性液体を95〜100℃で6時間加熱し、薄黄色半透明の分散液を得た。
(ロ)銀イオンと銅イオンを担持したコロイド状二酸化珪素
銀イオンと銅イオンを担持したコロイド状二酸化珪素は実施例1で用いたものと同じものを使用した
(ハ)抗菌触媒入りコーティング剤(2)
ニッケルと鉄をドープし、表面をペルオキソ基で修飾した二酸化チタンの懸濁液110mLと銀イオンと銅イオンを担持したコロイダルシリカの100mLを混合し室内塗装用のコーティング剤とした。
〔比較例〕
タングステンとネオジムをドープせずに、実施例1と同様にして表面をペルオキソ基で修飾した二酸化チタンに、実施例1(ロ)で製造した銀と銅を担持した二酸化珪素を混合して比較例1とした。
実施例1と同様にしてタングステンをドープし、ネオジムはドープせずに、実施例1と同様にして表面をペルオキソ基で修飾した二酸化チタンに、実施例1(ロ)で製造した銀と銅を担持した二酸化珪素を混合して比較例2とした。
実施例1と同様にしてネオジムをドープし、タングステンはドープせずに、実施例1と同様にして表面をペルオキソ基で修飾した二酸化チタンに、実施例1(ロ)で製造した銀と銅を担持した二酸化珪素を混合して比較例3とした。
実施例2と同様にしてニッケルをドープし、鉄はドープせずに、実施例2と同様にして表面をペルオキソ基で修飾した二酸化チタンに、実施例1(ロ)で製造した銀と銅を担持した二酸化珪素を混合してを比較例4とした。
実施例2と同様にして鉄をドープし、ニッケルはドープせずに、実施例2と同様にして表面をペルオキソ基で修飾した二酸化チタンに、実施例1(ロ)で製造した銀と銅を担持した二酸化珪素を混合して比較例5とした。
〔紫外線領域から可視光領域における拡散反射スペクトルの測定(1)〕
図1に、実施例1で得られたタングステンとネオジムをドープした二酸化チタンと、銀イオンと銅イオンを担持したコロイダルシリカと混合して製造した抗菌触媒入りコーティング剤の紫外可視拡散反射スペクトルを示した。
又、参考として、タングステンとネオジムをドープしていない二酸化チタンから製造したコーティング剤(比較例1)、タングステンだけをドープしたコーティング剤(比較例2)、及びネオジムだけをドープしたコーティング剤(比較例3)の紫外線領域から可視光領域における拡散反射スペクトルも図1に示した。
なお、図1の横軸は波長(nm)、縦軸は紫外可視拡散反射スペクトルから得られた反射率(%)であり、反射率の小さいところは光の吸収があることを表す。又、紫外−可視領域拡散反射スペクトルの測定には、(株)島津製作所製UV−2450,ISR240A(積分球付属装置)を使用した。
図1から明らかなように、実施例1のタングステンとネオジムをドープした二酸化チタンから製造したコーティング剤の紫外から可視領域の拡散反射スペクトルは、ドープしないで紫外線領域だけに吸収帯を有する比較例1と、タングステンのみをドープして青紫色の可視領域まで吸収帯が広がった比較例2と、ネオジムのみをドープして黄色の波長域にも吸収がある比較例3を合わせた紫外から可視領域の光吸収を示す。
〔紫外線領域から可視光領域における拡散反射スペクトルの測定(2)〕
図2に、実施例2で得られたニッケルと鉄をドープした二酸化チタンと、銀イオンと銅イオンを担持したコロイダルシリカと混合して製造した抗菌触媒入りコーティング剤の紫外可視拡散反射スペクトルを示した。
又、参考として、ニッケルと鉄をドープしていない二酸化チタンから製造したコーティング剤(比較例1)、ニッケルだけをドープしたコーティング剤(比較例4)、及び鉄だけをドープしたコーティング剤(比較例5)の紫外線領域から可視光領域における拡散反射スペクトルも図2に示した。
図1から明らかなように、実施例1のニッケルと鉄をドープした二酸化チタンから製造したコーティング剤の紫外線領域から可視光領域の拡散反射スペクトルは、ドープしないで紫外線領域だけに吸収帯を有する比較例1と、ニッケルのみをドープして赤色の可視領域にも吸収帯がある比較例4と、鉄のみをドープして紫外線領域と緑色の波長域にも吸収がある比較例5を合わせた紫外線領域から可視光領域での光吸収を示すことがわかる。
〔光触媒性能評価〕
実施例1,2及び比較例1で得られた抗菌触媒入りコーティング剤の紫外線領域から可視光領域の光照射下での光触媒活性を以下の方法で比較した。光源として紫外線領域から可視光領域の光源として高圧水銀ランプ(岩崎電気製、品番:HF100X)及び、可視光領域の光源として紫外線を遮断するUVカットフィルム(リンテックコマース社製、品番:RT−05)を透過させたキセノンランプ(浜松ホトニクス社製高安定キセノンランプ、品番:L2173)を使用した。光照射時の水溶液中のp‐ニトロフェノール濃度を吸光度計(日本分光社製、型番:V−730)で定量することで行った。
まず、評価用サンプル0.03gを500mLの脱塩水に懸濁し、1L容のビーカーに入れ、ビーカーの中心部に高圧水銀ランプ又はキセノンランプを設置した。攪拌しながら、最終濃度が0.05mmоl/Lとなるように、p‐ニトロフェノールのアルコール溶液を加え、ランプ点灯した。継時的に水溶液を採取し吸光度計で吸光度を測定した。
結果を図3と4に示した。図3は、高圧水銀ランプ照射下における実施例1、2及び比較例1で製造した抗菌触媒入りコーティング剤の光触媒性能をp‐ニトロフェノールの減少速度によって評価したものであり、図4は、紫外線領域の光をカットしたキセノンランプ照射下における実施例1、2及び比較例1で製造した抗菌触媒入りコーティング剤の光触媒性能をp‐ニトロフェノールの減少速度によって評価したものである。
図3,4のグラフから分かる通り、紫外線を含む高圧水銀ランプ照射下においては、実施例1、2及び比較例1で製造した抗菌触媒入りコーティング剤に光触媒性能に差は見られず、何れも、高い光触媒活性を示した。一方、紫外線領域の光をカットしたキセノンランプ照射下における実施例1、2及び比較例1で製造した抗菌触媒入りコーティング剤の光触媒活性は、2つ以上の遷移金属をドープしていない比較例1では明らかに、遷移金属をドープした実施例1,2のコーティング剤に劣るものであった。
<抗菌力試験>
実施例1で得られたタングステンとネオジムをドープした二酸化チタンと銀と銅を担持したコロイダルシリカを含む抗菌触媒入りコーティング剤の抗菌活性をJIS L 1902:2008「繊維製品の抗菌性試験方法及び抗菌効果」10定量試験 10.1菌液吸収法により抗菌力試験を行った。試験菌として、黄色ぶどう球菌、肺炎かん菌、メシチリン耐性黄色ぶどう球菌(MRSA)を使用し、培地には1/20濃度のニュートリエント培地を使用した。生菌数の測定は混釈平板培養法を採用した。
試験の結果を表2に示した。
Figure 0006154036

実施例1で得られた抗菌触媒入りコーティング剤は、高い抗菌活性を示し、何れの試験菌も18時間後に生菌は検出されなかった。標準布(綿)の試験菌接種直後の生菌数の常用対数値(平均値)と検体の18時間培養後の生菌数の常用対数値(平均値)の差から求めた殺菌活性値は、黄色ぶどう球菌で3.2以上、肺炎かん菌で2.9以上、メシチリン耐性黄色ぶどう球菌(MRSA)で3.5以上であると計算された。
<インフルエンザウイルスに対する不活化試験>
実施例1で得られたタングステンとネオジムをドープした二酸化チタンと銀と銅を担持したコロイダルシリカを含む抗菌触媒入りコーティング剤のインフルエンザウイルスに対する不活化試験を行った。検体にインフルエンザウイルスのウイルス浮遊液を添加混合し、作用液とした。室温で作用させ、5分、30分、1時間、24時間後に作用液のウイルス感染価を測定した。試験の詳細は以下のとおりである。
インフルエンザウイルスはInfluenza A virus(HINI) A/PR/8/34 ATCC VR−1469を使用した。イーグルMEM培地「ニッスイ」(1)(日本製薬社製)に牛胎仔血清を10%加えた増殖培地で単層培養したMDCK(NBL−2)細胞のATCC CCL−34株に上記ウイルスを摂取し、37℃の炭酸ガスインキュベータ(炭酸ガス濃度:5%)内で1〜5日間培養した。培養液を遠心分離(3000r/min、10分)し、得られた上澄み液を精製水で10倍に希釈してウイルス浮遊液とした。
実施例1で得られた抗菌触媒入りコーティング剤を精製水で10倍に希釈した検体1mLにウイルス浮遊液0.1mLを添加、混合し、室温で作用させた。5分、30分、1時間、24時間後に上述の培地を用いて1000倍に希釈し、ウイルス感染価を測定した。なお、精製水について同様に処理した対照区を設けた。
ウイルス感染価の測定は、1000倍に希釈した被検査液の0.1mLを単層培養した上記細胞に添加し、37℃の炭酸ガスインキュベータ(炭酸ガス濃度:5%)内で4〜7日間培養した後、倒立位相差顕微鏡を用いて細胞の形態変化を観察し、リードミュンヒ(Reed−Muench)法により50%細胞培養感染量(TCID50)を算出して作用液1mL当たりのウイルス感染価に換算した。
試験の結果を表3に示した。表3では、リードミュンヒ法により求めた50%細胞培養感染量(TCID50)を常用対数値に換算してウイルス感染価として示した。
Figure 0006154036

ウイルス感染価は、試験開始から5分後までは検体区と対照区との間に差は見られなかったが、30分後から徐々に差が現れ始め、24時間後には明確な差が認められ、実施例1で製造した抗菌触媒入りコーティング剤がインフルエンザウイルスに対して不活性化作用を有することが確認された。
<ネコカリシウイルスに対する不活化試験>
実施例1で得られたタングステンとネオジムをドープした二酸化チタンと銀と銅を担持したコロイダルシリカを含む抗菌触媒入りコーティング剤のノロウイルスの代替ウイルスとしてのネコカリシウイルスに対する不活化試験を行った。検体希釈液にネコカリシウイルスのウイルス浮遊液を添加混合し、作用液とした。室温で作用させ、30分、1、3、24時間後に作用液のウイルス感染価を測定した。試験の詳細は以下のとおりである。
ネコカリシウイルスはFeline calicivirus F−9 ATCC VR−782を使用した。イーグルMEM培地「ニッスイ」(1)(日本製薬社製)に牛胎仔血清を10%加えた増殖培地で単層培養したCRFK細胞(日本製薬社製)に上記ウイルスを摂取し、37℃の炭酸ガスインキュベータ(炭酸ガス濃度:5%)内で1〜5日間培養した。培養液を遠心分離(3000r/min、10分)し、得られた上澄み液を精製水で10倍に希釈してウイルス浮遊液とした。
実施例1で得られた抗菌触媒入りコーティング剤を精製水で10倍に希釈した検体1mLにウイルス浮遊液0.1mLを添加、混合し、室温で作用させた。30分、1時間、3時間、24時間後に上述の培地を用いて1000倍に希釈し、ウイルス感染価を測定した。なお、精製水について同様に処理した対照区を設けた。
ウイルス感染価の測定は、上記のインフルエンザウイルスに対する不活化試験と同様に行った。
試験の結果を表4に示した。
Figure 0006154036

ウイルス感染価は試験開始から30分後には検体区と対照区との間に差認められ、30分後から徐々に差が現れ始め、検体区では、1時間後から24時間後までウイルスに感染した培養細胞は検出されなかった。一方、対象区では試験期間を通じて、10個前後の感染細胞が検出され、実施例1で製造した抗菌触媒入りコーティング剤がネコカリシウイルスに対して不活性化作用を有することが確認された。
なお、ネコカリシウイルスは細胞培養が不可能なノロウイルスの代替ウイルスとして広く使用されている。
<かび抵抗性試験>
実施例1で得られたタングステンとネオジムをドープした二酸化チタンと銀と銅を担持したコロイダルシリカを含む抗菌触媒入りコーティング剤のかび抵抗性をJIS Z 2911:2010「かび抵抗性試験方法」繊維製品の試験、乾燥法を参考に試験を行った。試験菌として、Aspergillus niger NBRC 105649、Penicillium citrium NBRC 6352、Chactomium globosum NBRC 6347、Myrothecium verrucaria NBRC 6113を使用し、それぞれをポテトデキストロース寒天培地(栄研化学社製〕を用いて26℃で10〜14日間培養し、胞子を採取し、10個/mLの単一胞子懸濁液を調製した。各単一胞子懸濁液の等量を混合し、混合胞子懸濁液を作った。この懸濁液に乾熱滅菌したろ紙(直径12cm)を浸し、室温で乾燥したものを胞子担体とした。
実施例1で得られた抗菌触媒入りコーティング剤を吹付塗装したケント紙を50mm×50mmに切断し、試験片としてシャーレに入れ、その中央に胞子担体を重ね、シャーレの蓋をした。シャーレをリン酸二水素アンモニウム飽和水溶液を内部に収容したデシケータに入れ、26℃で培養した。培養1,2,3,4週間後に、試験片表面の菌糸の発育状態を肉眼で観察した。
培養1,2,3,4週間後に行った菌糸発育状態の観察結果、何れのサンプルにおいても、試験片表面に菌糸の発育は認められず、実施例1で得られた抗菌触媒入りコーティング剤がかびの生育に抵抗性を示すことが確認された。
本願発明の抗菌触媒入りコーティング剤は、塗装によって暗所でも高い抗菌・抗ウイルス・防黴活性を示し、明所では紫外線領域だけでなく可視光領域の光によって、高い抗菌、抗ウイルス、防黴、消臭、防汚、大気浄化活性を有することから、室内での塗装が可能な水性塗料として好ましく利用できる。

Claims (11)

  1. 酸化物の色が互いに補色の関係にある2つの遷移金属をドープし、
    表面をペルオキソ基で修飾した二酸化チタンの微粒子と、
    抗菌活性のある金属イオンを担持した二酸化珪素の微粒子とを水にコロイド状態で分散した抗菌触媒入りコーティング剤であって、
    前記酸化物の色が互いに補色の関係にある遷移金属の一方がネオジムであり、他方がタングステンの組み合わせであるか、又は、
    遷移金属の一方がニッケルであり、他方が鉄の組み合わせであることを特徴とする抗菌触媒入りコーティング剤。
  2. 前記酸化物の色が互いに補色の関係にある遷移金属の添加量は、2つの金属の合計が、前記二酸化チタンの0.1〜10モル%の範囲であることを特徴とする請求項に記載の抗菌触媒入りコーティング剤。
  3. 前記酸化物の色が互いに補色の関係にある2つの遷移金属のそれぞれの添加量のモル比は、一方の金属の量を1としたとき、他方の金属の量が1/2〜2の範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載の抗菌触媒入りコーティング剤。
  4. 前記2つの遷移金属をドープし、前記表面をペルオキソ基で修飾した二酸化チタンの一次粒子の体積分布メジアン径は10〜100nmであることを特徴とする請求項1に記載の抗菌触媒入りコーティング剤。
  5. 前記抗菌活性のある金属イオンを担持した二酸化珪素の微粒子が水にコロイド状態に分散した二酸化珪素(コロイダルシリカ)であることを特徴とする請求項1に記載の抗菌触媒入りコーティング剤。
  6. 前記抗菌活性のある金属イオンを担持した二酸化珪素の一次粒子の体積分布メジアン径は10〜100nmであることを特徴とする請求項に記載の抗菌触媒入りコーティング剤。
  7. 前記抗菌活性のある金属イオンが、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、鉛(Pb),白金(Pt)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)及び鉄(Fe)から選ばれた1つ以上の金属のイオンであることを特徴とする請求項1に記載の抗菌触媒入りコーティング剤。
  8. 前記抗菌活性のある金属イオンが、銀イオン(Ag)及び/又は銅イオン(Cu++)であることを特徴とする請求項に記載の抗菌触媒入りコーティング剤。
  9. 前記抗菌活性のある金属イオンの添加合計量は、前記二酸化珪素の乾燥重量を基準として0.001〜1重量%であることを特徴とする請求項7又は8に記載の抗菌触媒入りコーティング剤。
  10. 前記2つの遷移金属をドープし、表面をペルオキソ基で修飾した前記二酸化チタンと、
    抗菌活性のある金属イオンを担持した前記二酸化珪素との混合割合は、前記二酸化チタンの乾燥重量を1として、二酸化珪素の重量が乾燥重量換算で1〜20であることを特徴とする請求項1に記載の抗菌触媒入りコーティング剤。
  11. 請求項1に記載の前記抗菌触媒入りコーティング剤の製造方法であって、
    酸化物の色が互いに補色の関係にある2つの遷移金属及びチタンを含む塩のそれぞれを水又はアルコール又はアセトン又はエーテルに溶解するステップ、
    2つの前記遷移金属を含むそれぞれの溶液を混合した後、該混合水溶液を前記チタンを含む溶液に加え、2つの遷移金属と前記チタンを含む溶液を調整するステップ、
    前記2つの遷移金属と前記チタンを含む前記溶液にアンモニア水を滴下し、前記遷移金属をドープした水酸化チタンを沈殿させるステップ、
    前記水酸化チタンの沈殿物を濾別し、水で洗浄するステップ、
    洗浄後濾別した前記水酸化チタンを水に分散させ、過酸化水素水を加えて攪拌し、前記水酸化チタンの表面をペルオキソ基で修飾するステップ、
    余剰の過酸化水素を分解した後、前記水酸化チタンの分散液を80〜200℃で加熱処理し、前記水酸化チタンをアナターゼ型の二酸化チタンに変換するステップ、
    抗菌活性のある金属イオンを含む水溶液を一次粒子の体積分布メジアン径が10〜100nmのコロイド状態の二酸化珪素(コロイダルシリカ)に加えて二酸化珪素に担持させるステップ、
    前記抗菌活性のある金属イオンを担持した前記コロイド状態の二酸化珪素に、前記遷移金属をドープし、表面をペルオキソ基で修飾した前記アナターゼ型二酸化チタンの分散液を混合するステップを順次行うことを特徴とする請求項1記載の前記抗菌触媒入りコーティング剤の製造方法
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