JPH09175819A - アニオン性銀錯イオン含有ハイドロタルサイト類化合物及び抗菌剤 - Google Patents

アニオン性銀錯イオン含有ハイドロタルサイト類化合物及び抗菌剤

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JPH09175819A
JPH09175819A JP7340912A JP34091295A JPH09175819A JP H09175819 A JPH09175819 A JP H09175819A JP 7340912 A JP7340912 A JP 7340912A JP 34091295 A JP34091295 A JP 34091295A JP H09175819 A JPH09175819 A JP H09175819A
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silver complex
complex ion
ion
anionic
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JP7340912A
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Susumu Sakata
進 坂田
Ryusuke Kawamura
隆介 河村
Kimihisa Sugiyama
公寿 杉山
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Rengo Co Ltd
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Rengo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 式(I) 〔M2+ 1-x 3+ x (OH)2 x+y- x/y ・mH2 O 〔式中、M2+は2価の陽イオン、N3+は3価の陽イオ
ン、Ay-は陰イオンを示し、0.2≦x≦0.33、y
≧1、m>0である〕で表されるハイドロタルサイト類
化合物の層間に、アニオン性銀錯イオンを担持してなる
アニオン性銀錯イオン含有ハイドロタルサイト類化合
物。当該アニオン性銀錯イオン含有ハイドロタルサイト
類化合物を有効成分として含有してなる抗菌剤。 【効果】 本発明のアニオン性銀錯イオン含有ハイドロ
タルサイト類化合物及びこれを有効成分として含有する
抗菌剤は、銀吸着性が高いため製造工程が単純化できか
つ廉価であり、水溶液中での銀イオンの溶出が少なく安
全性に優れ、かつ抗菌性、耐熱性、白色度に優れる。ま
た、層構造中に亜鉛、銅を含有する場合も、銀イオンと
ともに亜鉛、銅イオンの溶出が少なく安全である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アニオン性銀錯イ
オンを層間域に吸着してなるアニオン性銀錯イオン含有
ハイドロタルサイト類化合物、及び抗菌性金属イオン
(特に銀イオン)の溶出が極めて少なく、かつ抗菌性に
優れた抗菌剤に関する。より詳細には、本発明は、抗菌
性、耐熱性、白色度等に優れ、アニオン性銀錯イオンを
含有した無機層状化合物、及びそれを含有してなる抗菌
剤に関する。
【0002】
【従来の技術】無機イオン交換体の最も代表的なものと
してゼオライトがよく知られている。ゼオライトは、結
晶内部のナトリウムイオンやカルシウムイオン等の陽イ
オンと水溶液中の他の金属陽イオンとが陽イオン交換反
応することにより、数多くの金属を担持することができ
る。また、その比表面積、耐熱性、耐水性及び機械的強
度等に優れた特性を有することから、ガス吸着分離剤、
重金属含有廃液処理剤、イオン固定化剤及び金属触媒の
担体等に広く利用されている。これらの特性を利用し
て、銀、銅、亜鉛等の金属陽イオンをイオン交換法によ
り担持させた抗菌性ゼオライトが開発されている。そし
て、このようなゼオライト等の無機イオン交換体(即
ち、担体)に抗菌性金属を担持させた抗菌剤として一般
的なものは、抗菌性金属含有物として金属陽イオンを担
体に担持させたものである。かかる抗菌剤のうち、A型
ゼオライトを担体としたものが溶出性が少なく持続的に
抗菌作用を発揮する。
【0003】しかし、銀、銅或いは亜鉛等を担持させた
上記ゼオライトは、原材料費、製造工程の複雑さ等の点
から、無機材料の特徴ともいえる廉価であることの条件
を満たせず、非常に高価な材料となっているだけでな
く、特に銀イオンを担持させたゼオライトは光や熱によ
り、或いはプラスチックとの接触により、徐々に黒色或
いは褐色に変色するという短所を有している。
【0004】また、これを解決すべく、様々な無機化合
物或いは無機系イオン交換体、例えば層状珪酸塩(モン
モリロナイト、スメクタイト)、ポリ層状珪酸アルカリ
(マガディアイト、ケニアイト)等に、上記金属を担持
させた無機系抗菌剤が開発されている。しかし、抗菌性
金属イオン担持能が十分でなかったり、水溶液中での抗
菌性金属イオンの過剰溶出があったり、Ag+ としてカ
チオン交換しているため塩素等と反応し易く、銀イオン
の還元等による変色があったり、また意図した抗菌力の
発現が計れない等の多くの問題点を抱えている。
【0005】一方、アニオン性銀錯イオンをシリカゲル
担体に担持してなる抗菌剤が知られているが、銀イオン
の過剰溶出の防止や、アニオン性銀錯イオンの安定性の
改善のために、当該抗菌剤はその表面を有機珪素化合物
でコーティングしなければ実用に供しえないものであ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
のような従来の問題点を解決し、廉価で、水溶液中での
抗菌性金属イオンの溶出が少なく安全性に優れ、抗菌剤
表面をコーティングする必要がなく、かつ抗菌性、耐熱
性、白色度に優れる新規抗菌剤、及びそれに用いられる
新規化合物を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らが鋭意研究し
た結果、ハイドロタルサイト類化合物の層間に1種以上
のアニオン性銀錯イオンを強固に吸着させたアニオン性
銀錯イオン含有ハイドロタルサイト類化合物によって、
上記課題を解決できることを見出した。また、白色度、
銀吸着性等を鋭意研究した結果、アニオン性銀錯イオ
ン、特にチオスルファト銀酸イオンが、ハイドロタルサ
イト類化合物の熱処理体に選択的に吸着担持され、これ
により上記課題を解決できることを見出した。特にハイ
ドロタルサイト類化合物の2価イオン構成元素であるマ
グネシウムの一部或いは全部を銅及び/又は亜鉛に置換
することによって、抗菌効果が著しく増強されることを
見出した。
【0008】即ち、本発明は、式(I) 〔M2+ 1-x 3+ x (OH)2 x+y- x/y ・mH2 O 〔式中、M2+は2価の陽イオン、N3+は3価の陽イオ
ン、Ay-は陰イオンを示し、0.2≦x≦0.33、y
≧1、m>0である〕で表されるハイドロタルサイト類
化合物の層間に、アニオン性銀錯イオンを担持してなる
アニオン性銀錯イオン含有ハイドロタルサイト類化合物
に関する。
【0009】また、本発明は、アニオン性銀錯イオンが
チオスルファト銀酸イオンである上記アニオン性銀錯イ
オン含有ハイドロタルサイト類化合物;ハイドロタルサ
イト類化合物の層構造中に銅及び/又は亜鉛を含有する
上記アニオン性銀錯イオン含有ハイドロタルサイト類化
合物;式(I)においてM2+がMg2+、Mg2+Zn2+
はZn2+で、N3+がAl3+であり、アニオン性銀錯イオ
ンがチオスルファト銀酸イオンである上記アニオン性銀
錯イオン含有ハイドロタルサイト類化合物に関する。さ
らに、本発明は、上記アニオン性銀錯イオン含有ハイド
ロタルサイト類化合物を有効成分として含有してなる抗
菌剤に関する。
【0010】ハイドロタルサイト類化合物は、陰イオン
粘土鉱物に属しており、式(I)〔M2+ 1-x 3+ x (O
H)2 x+y- x/y ・mH2 Oで表される。ここで、x
は0.2≦x≦0.33、yはy≧1、mはm>0であ
る。当該ハイドロタルサイト類化合物は、1種でも2種
以上でも用いることができる。
【0011】また、M2+は2価の陽イオン、N3+は3価
の陽イオン、Ay-は陰イオンを示し、例えば以下のよう
なものが挙げられる。また、それぞれ単独、或いは2種
類以上の固溶状態で入る。 M2+:Mg2+,Mn2+,Fe2+,Co2+,Ni2+,Zn
2+,Cu2+,Ca2+,Cd2+等 N3+:Al3+,Fe3+,Cr3+,Co3+,In3+等 Ay-:F- ,Cl- ,Br- ,I- ,NO3 - ,ClO
4 - ,CO3 2-,PO4 3-,SO4 2-等 M2+は、好ましくはMg2+,Mg2+Zn2+,Zn2+,M
2+Cu2+,Cu2+,Zn2+Cu2+,Mg2+Zn2+Cu
2+であり、より好ましくはMg2+,Mg2+Zn 2+,Zn
2+である。N3+は、好ましくはAl3+である。Ay-は、
好ましくはCO 3 2-,NO3 - ,SO4 2-,Cl- であ
る。
【0012】上記ハイドロタルサイト類化合物のうち最
も広く知られているのは、式〔Mg6 Al2 (O
H)16〕(CO3 )・4H2 Oで表されるマグネシウム
ハイドロタルサイト類化合物である。これはMg(O
H)2 ブルーサイト構造を基本構造とし、このMg(O
H)2 はMg2+八面体(OH- の6配位)が無限のシー
トを形成するように稜を共有する。このマグネシウムの
一部をアルミニウムで置換することにより生ずる正電荷
八面体層の層間に、陰イオンである炭酸イオンがインタ
ーカレート(層間挿入)した化合物が、当該マグネシウ
ムハイドロタルサイト類化合物である。これを400℃
付近で熱分解するとNaCl型のマグネシウム−アルミ
ニウム酸化物固溶体になり、さらにこれを水溶液中に浸
すと水溶液中の陰イオンを取り込み、ハイドロタルサイ
ト構造を再生するという特徴を有している。
【0013】ハイドロタルサイト類化合物の特に好まし
いものとしては、例えばマグネシウムハイドロタルサイ
ト類化合物の2価イオン構成元素であるマグネシウムの
一部或いは全部を銅及び/又は亜鉛に置換したもの等が
挙げられる。なお、当該銅、亜鉛イオンは、正電荷八面
体層構造中に含有されるものである。
【0014】当該ハイドロタルサイト類化合物は、例え
ば、マグネシウム塩水溶液(或いはマグネシウム・亜鉛
塩水溶液、亜鉛塩水溶液等)−アルミニウム塩水溶液
と、水酸化ナトリウム−炭酸ナトリウム水溶液とを、純
水中で、室温において混合、撹拌すること等により製造
することができる。より具体的には、例えばマグネシウ
ム−亜鉛ハイドロタルサイト類化合物を製造する場合、
硝酸マグネシウム六水和物、硝酸亜鉛六水和物及び硝酸
アルミニウム九水和物を純水に溶解したものと、水酸化
ナトリウム及び炭酸ナトリウムを純水に溶解したものと
を、純水中に撹拌下で徐々に加えてpHを約10に保
ち、共沈させ、結晶を熟成させた後、洗浄、脱水、乾
燥、粉砕等して得られる。このように、当該ハイドロタ
ルサイト類化合物は、ゼオライトの代表的合成法である
水熱反応等を利用する必要がなく、開放系で室温でも容
易に合成できる。
【0015】本発明のアニオン性銀錯イオン含有ハイド
ロタルサイト類化合物は、ハイドロタルサイト類化合物
の上述の特徴を利用して、上記ハイドロタルサイト類化
合物を担体とし、この層間にアニオン性銀錯イオンを吸
着担持させたものである。また、特に層構造中の少なく
とも一部に抗菌性金属(銅、亜鉛等)を含有させたハイ
ドロタルサイト類化合物の熱処理体が、担体として好適
に用いられる。
【0016】アニオン性銀錯イオンとしては、例えば
〔Ag(CN)2 - (ジシアノ銀酸イオン)、〔Ag
(Cl)2 - (ジクロロ銀酸イオン)、〔Ag(S2
3 n (2n-1)- (チオスルファト銀酸イオン)等が
挙げられ、好ましくはチオスルファト銀酸イオンであ
る。また、当該アニオン性銀錯イオンは1種でも2種以
上でも用いることができる。
【0017】当該アニオン性銀錯イオンは、例えば、チ
オスルファト銀酸イオン溶液の場合、可溶性銀塩の水溶
液に亜硫酸塩を反応させ、次いでチオ硫酸塩を加えるこ
とにより調製することができる。
【0018】当該アニオン性銀錯イオン含有ハイドロタ
ルサイト類化合物は、例えば次のようにして製造するこ
とができる。まず、上記ハイドロタルサイト類化合物を
約500〜550℃で約0.5〜2時間熱処理する。こ
うして得られた担体と、アニオン性銀錯イオン含有溶液
とを、撹拌下で約5〜30℃、約0.5〜4時間反応さ
せた後、固液分離し、洗浄、乾燥して、アニオン性銀錯
イオン含有ハイドロタルサイト類化合物を得る。このよ
うに、アニオン性銀錯イオン担持工程においては、室温
のようなマイルドな条件で吸着反応が速やかに進行し、
これは非常に単純な工程である。
【0019】本発明のアニオン性銀錯イオン含有ハイド
ロタルサイト類化合物の結晶構造図を図1に示す。即
ち、抗菌成分としてのアニオン性銀錯イオンは層間域に
強固に吸着されており、また抗菌成分としての銅、亜鉛
成分を導入する場合は正電荷八面体層内に導入される。
これらのことより両成分とも非常に溶出しにくく、人体
及び自然環境等に対して安全性が高い。また、当該アニ
オン性銀錯イオン含有ハイドロタルサイト類化合物は、
優れた抗菌性、耐熱性を有し、かつ高い白色度を有す
る。
【0020】当該アニオン性銀錯イオン含有ハイドロタ
ルサイト類化合物において、抗菌成分としての銀、銅、
亜鉛成分の含有量は、アニオン性銀錯イオン含有ハイド
ロタルサイト類化合物を100重量%としたとき、銀成
分(アニオン性銀錯イオンではなく銀そのものの重量%
で)は好ましくは0.1〜4重量%、銅及び亜鉛成分は
その合計で好ましくは2〜50重量%であり、用途に応
じて種々組み合わせてコントロールできる。また、銅及
び亜鉛成分の合計の含有量を5〜10重量%に調製した
ものは、チオスルファト銀酸イオンを極めて選択的に吸
着担持できるため、抗菌成分である銀の溶液中からの回
収効率が非常に高く、工程をより単純化できる。なお、
銀成分の他に、銅及び/又は亜鉛成分を含有させること
により、抗菌性の面でも白色度の面でも優れたものを得
ることができる。
【0021】上記アニオン性銀錯イオン含有ハイドロタ
ルサイト類化合物は、バクテリア(大腸菌、淋菌等のグ
ラム陰性菌;芽胞形成菌、結核菌、らい菌、ジフテリア
菌、黄色ブドウ球菌等のグラム陽性菌等)、真菌(藻菌
類、子のう菌類、担子菌類、不完全菌類、黒コウジカビ
等)等に抗菌活性を示す。そこで、当該アニオン性銀錯
イオン含有ハイドロタルサイト類化合物を有効成分とし
て用いて、抗菌剤とすることができる。なお、抗菌剤に
おける当該アニオン性銀錯イオン含有ハイドロタルサイ
ト類化合物の含有量は特に制限されないが、例えば抗菌
性塗料に用いた場合、好ましくは5〜30重量%(抗菌
性塗料を100重量%としたとき)である。
【0022】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0023】実施例1 まず、ハイドロタルサイト類化合物を以下のようにして
調製した。 市販の試薬特級の硝酸マグネシウム六水和物26重量
部、硝酸亜鉛六水和物6重量部及び硝酸アルミニウム九
水和物15重量部を純水200重量部に溶解し、I液と
した。市販の試薬特級の水酸化ナトリウム13重量部及
び炭酸ナトリウム2重量部を純水200重量部に溶解
し、II液とした。70℃に保った純水500重量部中
に、撹拌下でI液とII液を徐々に加え、pHを約10に
保ち、共沈させた。さらに1時間かけて結晶を熟成させ
た後、結晶を多量の温水で洗浄し、脱水した。次いで、
80℃で18時間かけて乾燥させた後、粉砕して、マグ
ネシウム−亜鉛ハイドロタルサイト類化合物を得た。
【0024】市販の試薬特級の硝酸亜鉛六水和物36
重量部及び硝酸アルミニウム九水和物15重量部を純水
200重量部に溶解し、III 液とした。市販の試薬特級
の水酸化ナトリウム13重量部及び炭酸ナトリウム2重
量部を純水200重量部に溶解し、IV液とした。70℃
に保った純水500重量部中に、撹拌下でIII 液とIV液
を徐々に加え、pHを約10に保ち、共沈させた。さら
に1時間かけて結晶を熟成させた後、結晶を多量の温水
で洗浄し、脱水した。次いで、80℃で18時間かけて
乾燥させた後、粉砕して、亜鉛ハイドロタルサイト類化
合物を得た。
【0025】市販の試薬特級の硝酸マグネシウム六水
和物31重量部及び硝酸アルミニウム九水和物15重量
部を純水200重量部に溶解し、V液とした。市販の試
薬特級の水酸化ナトリウム13重量部及び炭酸ナトリウ
ム2重量部を純水200重量部に溶解し、VI液とした。
70℃に保った純水500重量部中に、撹拌下でV液と
VI液を徐々に加え、pHを約10に保ち、共沈させた。
さらに1時間かけて結晶を熟成させた後、結晶を多量の
温水で洗浄し、脱水した。次いで、80℃で18時間か
けて乾燥させた後、粉砕して、マグネシウムハイドロタ
ルサイト類化合物を得た。
【0026】次に、上記で得られたハイドロタルサイト
類化合物をそれぞれ500〜550℃で2時間熱処理
し、これらを担体素材とした。また、可溶性銀塩の水溶
液に亜硫酸塩を反応させ、次いでチオ硫酸塩を加えるこ
とによって、チオスルファト銀酸イオン溶液を調製し
た。さらに、銀濃度で5〜30mMの任意濃度に調製し
た上記チオスルファト銀酸イオン溶液20mlに、上記
担体素材1gを混合し、25℃の恒温水槽内で撹拌しな
がら、十分平衡濃度に達するように24時間反応させ
た。反応後、固液分離し、アニオン性銀錯イオン含有ハ
イドロタルサイト類化合物を得た。
【0027】このとき、上記ハイドロタルサイト類化合
物の銀吸着能を検討するため、上記反応(上記担体素材
とチオスルファト銀酸イオン溶液との反応)の前後の溶
液中の銀量をICP発光分析法により定量した。その結
果(吸着等温線:銀取込量と平衡濃度(反応後に溶液中
に残っている銀濃度)との関係)を図2に示す。なお、
比較物質1、2として、無機層状化合物である珪酸カル
シウム(トバモライト)及び珪酸ナトリウム(マガディ
アイト)についても、硝酸銀水溶液を用いて同様の方法
で銀イオン交換性を検討し、その結果も図2に示す。図
2の吸着等温線は、縦軸に近づくほど吸着性が高いこと
を示し、担体素材であるマグネシウム−亜鉛或いはマグ
ネシウムハイドロタルサイト類化合物の熱処理体は、測
定全濃度域で比較物質より優れた銀吸着性を示すことが
わかる。
【0028】実施例2 上記実施例1中で得られた担体素材10gと、銀濃度に
換算して2mM、4mM、20mMのチオスルファト銀
酸イオン溶液200mlとを、25℃、撹拌下で4時間
反応させた。これを固液分離し、洗浄して、80℃で乾
燥した後、表1に示すアニオン性銀錯イオン含有ハイド
ロタルサイト類化合物(試料A〜G)を得た。
【0029】表1に上記反応の際の銀の反応率も示す。
また、図3、4に、チオスルファト銀酸イオンの吸着挙
動の経時変化を示す。さらに、得られた化合物の同定を
粉末X線回折法により行い、その結果を図5に示す。な
お、図3、4において、Cは経時後の溶液中のアニオン
性銀錯イオン(〔Ag(S2 3 n (2n-1)- )の濃
度を、C0 は時間0における溶液中のアニオン性銀錯イ
オンの濃度を示す。
【0030】
【表1】
【0031】表1及び図3、4の結果より、マグネシウ
ムハイドロタルサイト類化合物、マグネシウム−亜鉛ハ
イドロタルサイト類化合物の熱処理体では、銀濃度に換
算して20mMまでの範囲で、また亜鉛ハイドロタルサ
イト類化合物の熱処理体では、銀濃度に換算して4mM
までの範囲で、短時間で、溶液中の91%以上の銀を回
収できるという優れた銀吸着特性を示すことがわかる。
また、得られた化合物の粉末X線回折図形(図5)で
は、炭酸銀、酸化銀等の不純物に由来する回折ピークは
認められず、ハイドロタルサイト類化合物特有の回折ピ
ークを示した。即ち、チオスルファト銀酸イオンは他の
銀塩等に変化することなく、ハイドロタルサイト類化合
物の層間域に安定に吸着されていることがわかる。
【0032】実験例1 抗バクテリア試験は、試験菌株としてEscherichia coli
IFO 3972 (大腸菌)を使用し、シェークフラスコ法に
基づいて行った。即ち、普通ブイヨン培地にて前培養し
たEscherichia coliを、0.05Mリン酸緩衝液70m
l中に5.4×104 個/ml浮遊させ、これらに上記
実施例2で得られたアニオン性銀錯イオン含有ハイドロ
タルサイト類化合物(試料A,C,D,F,G)をそれ
ぞれ100ppm 、1000ppm となるように添加し、3
6℃で1時間、300rpm の条件で振盪した。1時間後
の振盪液の10倍希釈液をリン酸緩衝液を用いて作り、
これらを標準寒天培地に接種し、36℃で48時間平板
培養した後、コロニーカウントして生菌数を測定し、滅
菌率を算出した。試料無添加(コントロール)のものに
ついても同様の試験を行った。また、1時間振盪後の添
加試料濃度100ppm 溶液中での銀、亜鉛溶出量を、原
子吸光法及びICP発光分析法により定量した。さら
に、各試料の白色度をカラーコンピューターにより測定
した。また、比較物質3、4として、銀含有層状珪酸ナ
トリウム(銀含有率3重量%)及び銀含有溶解性ガラス
(アルカリ−珪酸系ガラス;銀含有率1.6重量%)を
用い、これらについても同様の試験を行った。結果を表
2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】表2の結果から、試料無添加の溶液では細
菌は殆ど死滅していないのに対し、試料A,C,D,F
では優れた抗菌性を示すこと、またその抗菌力は試料G
に比べて強いことがわかる。これは銀成分だけでなく、
銀、亜鉛両成分により、抗菌力が強められていることを
示唆している。また、銀や亜鉛の抗菌性金属の溶出は極
めて少量であることがわかる。即ち、本発明化合物であ
る試料A〜Gは比較物質と比べて同等以上の抗菌力を有
し、かつ銀、亜鉛溶出量は極めて少量であること、また
特に試料A,Dについては白色度が高いこと等がわか
る。
【0035】実験例2 抗カビ試験は、試験菌株としてAspergillus niger IFO
4407(黒コウジカビ)を使用し、ハロー法(生育阻止帯
観察法)によって行った。即ち、前培養した黒コウジカ
ビを、抗菌試験培地(ポテトデキストロース寒天培地)
10mlに、菌数104 〜105 個/mlとなるよう調
製した。上記実施例2で得られたアニオン性銀錯イオン
含有ハイドロタルサイト類化合物(試料A〜G)を用い
て、直径13mmの面が平らな試料を作成し、抗菌試験
培地に密着するように置き、28℃で7日間培養し、生
育阻止帯の有無を観察した。実験例1で挙げた比較物質
3、4についても同様の試験を行った。その結果を表3
に示す。
【0036】
【表3】
【0037】表3から、本発明化合物である試料A〜G
は真菌に対しても抗菌性を有することがわかる。特にそ
の効果は、層構造中に亜鉛を導入したアニオン性銀錯イ
オン含有ハイドロタルサイト類化合物(試料A〜F)で
顕著であった。
【0038】
【発明の効果】本発明のアニオン性銀錯イオン含有ハイ
ドロタルサイト類化合物及びこれを有効成分として含有
する抗菌剤は、銀吸着性が高いため製造工程が単純化で
きかつ廉価であり、水溶液中での銀イオンの溶出が少な
く安全性に優れ、かつ抗菌性、耐熱性、白色度に優れ
る。また、層構造中に亜鉛、銅を含有する場合も、銀イ
オンとともに亜鉛、銅イオンの溶出が少なく安全であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】ハイドロタルサイト類化合物の結晶構造図であ
る。
【図2】各試料の銀吸着等温線である。
【図3】〔Ag(S2 3 n (2n-1)- 濃度の経時変
化を示すグラフである。
【図4】〔Ag(S2 3 n (2n-1)- 濃度の経時変
化を示すグラフである。
【図5】アニオン性銀錯イオン含有ハイドロタルサイト
類化合物の粉末X線回折図形である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(I) 〔M2+ 1-x 3+ x (OH)2 x+y- x/y ・mH2 O 〔式中、M2+は2価の陽イオン、N3+は3価の陽イオ
    ン、Ay-は陰イオンを示し、0.2≦x≦0.33、y
    ≧1、m>0である〕で表されるハイドロタルサイト類
    化合物の層間に、アニオン性銀錯イオンを担持してなる
    アニオン性銀錯イオン含有ハイドロタルサイト類化合
    物。
  2. 【請求項2】 アニオン性銀錯イオンがチオスルファト
    銀酸イオンである請求項1記載のアニオン性銀錯イオン
    含有ハイドロタルサイト類化合物。
  3. 【請求項3】 ハイドロタルサイト類化合物の層構造中
    に銅及び/又は亜鉛を含有する請求項1又は2記載のア
    ニオン性銀錯イオン含有ハイドロタルサイト類化合物。
  4. 【請求項4】 式(I)においてM2+がMg2+、Mg2+
    Zn2+又はZn2+で、N3+がAl3+であり、アニオン性
    銀錯イオンがチオスルファト銀酸イオンである請求項1
    記載のアニオン性銀錯イオン含有ハイドロタルサイト類
    化合物。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載のアニオ
    ン性銀錯イオン含有ハイドロタルサイト類化合物を有効
    成分として含有してなる抗菌剤。
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