JP3467447B2 - ケイ酸カルシウム類を用いた無機系抗菌材 - Google Patents

ケイ酸カルシウム類を用いた無機系抗菌材

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JP3467447B2
JP3467447B2 JP2000130657A JP2000130657A JP3467447B2 JP 3467447 B2 JP3467447 B2 JP 3467447B2 JP 2000130657 A JP2000130657 A JP 2000130657A JP 2000130657 A JP2000130657 A JP 2000130657A JP 3467447 B2 JP3467447 B2 JP 3467447B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はスメクタイト等の改
質による微粒性のケイ酸カルシウム類の製造により得ら
れる、白色度並びに陽イオン交換容量及び吸着能の優れ
たケイ酸カルシウム類に、抗菌性金属を担持させた抗菌
に関する。
【0002】
【従来の技術】合成樹脂等に混合して雑菌等の繁殖を防
止するのに用いられている抗菌剤には、有機窒素系抗菌
剤と、抗菌性金属を無機系粉末に担持させた無機系抗菌
剤がある。従来の有機窒素系抗菌剤は、抗菌作用が強力
すぎるために、人体や自然環境に対し悪影響を及ぼすと
いう問題があった。一方、抗菌作用が強すぎず、安全な
抗菌剤を用いた場合には、合成樹脂製品等の表面付近で
の抗菌剤の濃度が十分高くなるように調整しないと抗菌
効果が不足するという問題があった。
【0003】銀や銅などの金属やそのイオンが殺菌・抗
菌作用を有することは、従来より知られているが、無機
系抗菌剤は、このような金属のイオンや金属粒子、金属
化合物などを無機物に担持させ、そこから徐放させるこ
とにより抗菌能を発揮させるものである。無機系抗菌剤
の担体としては、ゼオライトをはじめとして、アパタイ
ト、リン酸塩、粘土鉱物、ガラスなどが用いられてい
る。これらは担体が無機物であるので、従来の有機系抗
菌剤に比べ、耐久性、耐熱性などの点で優れており、人
体等への影響も少なく安全といえる。ところで、従来の
無機系抗菌剤に用いられていた抗菌性金属のうち最も多
様な細菌に抗菌力を示し、かつ、強い抗菌力を有するの
は銀であるが、銀は溶解性が低いという難点がある。ま
た、これを用いた抗菌剤は着色があり、合成樹脂、塗
料、ゴム等に混練、混合等によって配合する場合の用途
が限られ、また、これらの表面に付着する細菌を抑制す
るに十分な銀イオンを供給することができず、結果とし
て十分な抗菌力を有するものとすることが困難であっ
た。また、スメクタイト等の層状ケイ酸塩を、そのまま
それ自体の、陽イオン交換能力を利用して、銀、銅など
と置換して殺菌性ケイ酸塩を製造することが提案されて
いるが(特開平2−19308号、同3−193707
号)、利用しうる層状ケイ酸塩は精製したものである
が、性能及び白色度の点で十分とは言えなかった。ま
た、従来の天然のケイ酸カルシウム塩は風化が進むと、
陽イオン交換能や吸着能、抗菌剤の担持力などが低下し
てしまう。そのためこのような粘土鉱物は全く利用価値
の低いものとなってしまい、本来の結晶性粘土鉱物の各
種の用途に適さないものとなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】したがって本発明の目
的は風化が進んで陽イオン交換能や吸着能が低下してし
まった粘土鉱物を再生、処理して製造しうる前記の各性
能の優れる微粒状化の容易なケイ酸カルシウム類に抗菌
剤を担持させる。そして、安全性に優れ、かつ、白色度
が高く、抗菌剤の担持力に優れ、合成樹脂、塗料、ゴム
等に使用して十分な抗菌力を発揮することのできる無機
抗菌材を提供することを目的とする。さらに本発明
は、種々の用途に使用でき、十分な抗菌力を有する無機
系抗菌材を廉価に提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
に鑑み鋭意検討した結果、粘土鉱物を酸分解して得た非
晶質ケイ酸ゲルに所定比率のカルシウム化合物(例え
ば、生石灰)を反応させて処理することにより、陽イオ
ン交換能の高い新しい微粒状のケイ酸カルシウム類が得
られることを見い出し、この知見に基づき本発明をなす
に至った。
【0006】すなわち本発明は、 (1)酸性白土、ベントナイト又はハロイサイトから選
ばれる少なくとも一種の粘土鉱物を酸分解して得られた
非晶質ケイ酸ゲルを含有したケイ酸類と、前記ケイ酸類
SiOに対しCaO換算でモル比0.10〜0.7
0のカルシウム化合物を反応させ調製した平均粒径が
0.5〜20μmの結晶質ケイ酸カルシウム類に、銀イ
オン又は銀の錯イオンをイオン交換により担持させてな
白色の無機系抗菌材、 (2)前記銀の錯イオンがジシアノ銀(I)酸イオン、
ジチオスルファト銀酸イオン及びジクロロ銀(I)酸イ
オンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とす
る(1)項記載の無機系抗菌材、 (3)銀イオン又は銀の錯イオンを含む水溶液に抗黴性
を有する有機化合物を加え、キレート化してイオン交換
により担持させたことを特徴とする(1)又は(2)項
記載の無機系抗菌材、及び、 (4)前記結晶質ケイ酸カルシウム類が粘土鉱物を酸分
解して得た非晶質ケイ酸ゲルとカルシウム化合物を反応
させたのち、酸で中和してなることを特徴とする(1)
〜(3)のいずれか1項に記載の無機系抗菌材 を提供す
るものである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明のケイ酸カルシウム類の製
造方法をまず説明する。まず、粘土鉱物より得られる、
非晶質ケイ酸ゲルを含有するケイ酸類について説明す
る。本発明で用いる非晶質ケイ酸ゲルの原料として用い
ることのできる粘土鉱物は、酸分解して非晶質系ケイ酸
を生成させるものであればよく、具体的にはスメクタイ
ト系の酸性白土、ベントナイト、カオリン系のカオリナ
イト、ハロイサイト、蛇紋石などがあり、好ましくは酸
性白土、ベントナイト又はハロイサイトである。これら
は、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いても
よい。これらの粘土鉱物より非晶質ケイ酸ゲルを酸分解
により生成させることができる。例えば塩酸、硫酸、硝
酸、リン酸などの無機酸や、酢酸、シュウ酸などの有機
酸を用いて行うことができ、これらの酸は単独でも2種
以上を混合して用いてもよい。好ましくは塩酸又は硫酸
を用いる。酸分解の処理条件は用いる粘土鉱物の種類な
どによって異なるが、例えば酸性白土を硫酸で酸処理す
る場合には、温度70〜120℃、硫酸濃度15〜45
重量%で12〜24時間反応させるのが好ましい。ま
た、使用する粘土鉱物によっては、必要に応じ、酸分解
の前に熱処理、化学処理などを行うことができる。酸分
解の程度はX線回折により容易に判定することができ、
X線回折でスメクタイトのピークの消失と非晶質化を確
認することにより、酸分解処理の条件を設定することが
できる。なお、この非晶質ケイ酸ゲルには、本発明で用
いる担体としての作用に影響しない範囲内で、未分解の
粘土鉱物が若干含まれてもよい。
【0008】このようにして酸分解により得られるケイ
酸類は、比表面積が高いほうがよく、好ましくは150
2/g以上、さらに好ましくは300m2/g以上(B
ET法による)である。本発明においてケイ酸類と反応
させるカルシウム化合物としては、例えば塩化カルシウ
ム、消石灰、石灰乳、硝酸カルシウム、酢酸カルシウ
ム、生石灰などがあげられ、好ましくは塩化カルシウ
ム、消石灰、生石灰、特に好ましくは石灰岩をカ焼して
得た生石灰を用いる。カルシウム化合物の使用量は、C
aO換算で、SiO2に対するモル比が好ましくは0.
10〜0.70、さらに好ましくは0.15〜0.45
である。カルシウム化合物は、ケイ酸類に水を加えてゾ
ル化したものに添加して撹拌、混合し、反応させること
ができる。あるいは、ケイ酸類とともに水中で撹拌、混
合したり、あらかじめ水溶液としたものをケイ酸類又は
ケイ酸類ゾル水溶液と混合したりしてもよい。
【0009】ケイ酸類とカルシウム化合物との反応は、
特に制限するものではないが、好ましくは40〜200
℃、さらに好ましく40〜180℃、特に好ましくはは
60〜150℃で行い、圧力は常圧〜10kg/cm2
が好ましい。
【0010】本発明においては、上記ケイ酸類とカルシ
ウム化合物の反応ののち、必要に応じ、酸による中和処
理を行うことができる。このときの酸としては、上記の
酸分解処理で用いることができるものとしてあげたもの
を使用することができ、pH6.0〜8.0とすること
が好ましく、pH7.0とすることがさらに好ましい。
また、中和処理の時間は60〜120分が好ましい。こ
の中和処理を行うことにより、微細な粒度で、比表面積
が増大したケイ酸カルシウム類を得ることができる。こ
のケイ酸カルシウム類は、陽イオン交換能が高く、抗菌
剤の担持力が高く、無機系抗菌材の製造に特に好適であ
る。本発明の無機系抗菌材においては、担体としてケイ
酸カルシウム類を用いる。ケイ酸カルシウムは、酸化カ
ルシウムと二酸化ケイ素の結合した組成の化合物で、両
者の割合は種々のものがある。本発明ではイオン交換能
を有するものであれば特に制限なく用いることができる
が、イオン交換能の高いものが好ましく、一般にCaO
/SiO(重量比)が0.03付近の組成で陽イオン
交換容量が大きい。また、本発明においては結晶質のケ
イ酸カルシウム類を好ましく用いることができる。本発
明で用いるケイ酸カルシウム類は、微粒状であり、平均
粒径が0.5〜20μmであり、2〜10μmがさらに
好ましい。
【0011】本発明で好ましく用いることのできるケイ
酸カルシウム類として、非晶質系ケイ酸類、好ましくは
非晶質ケイ酸ゲルとカルシウム化合物を反応させて得た
ケイ酸カルシウム類があげられる。通常行われているよ
うに化学薬品のケイ酸ナトリウムと塩化カルシウムを反
応させてケイ酸カルシウムを合成すると、副生物として
塩化ナトリウムができるため、これを水洗したのち乾
燥、粉砕して目的物を得るが、非晶質シリカとカルシウ
ム(水酸化カルシウム)を反応させた場合には、水洗工
程が省略でき、副生物も生成しない。また、非晶質ケイ
酸ゲルは撹拌により容易にコロイド溶液となり、かつ、
きわめて活性が高く反応性がよい。非晶質ケイ酸ゲルを
用いて得たケイ酸カルシウムの乾燥物は、極めて白い微
粒子の塊まりであり、手でつかめないほど軟らかく容易
に崩壊するので、粉砕工程を行わなくとも好適な白色微
粒子のケイ酸カルシウム(それ自体でゴム、化粧品、樹
脂、塗料などの増粘、チキソトロピー、補強剤として使
用できる)が得られる。このときの非晶質ケイ酸ゲルの
好ましいものとして粘土鉱物を原料として得られるもの
がある。
【0012】上記ケイ酸カルシウム類への銀イオン又は
銀錯イオンの担持は、ケイ酸カルシウム類を銀イオン又
は銀錯イオンを含む水溶液に浸漬し、必要に応じこれら
の水溶液の陰イオンをアルカリ塩やアルカリ水酸化物で
中和して、イオン交換させることにより行うことができ
る。このとき担持させる銀イオン又は銀の錯イオンの量
は、好ましくはケイ酸カルシウム類1g当りAg換算で
0.01〜0.1g、さらに好ましくは0.02〜0.
08gである。銀イオンを含む水溶液としては例えば、
銀の硝酸塩、フッ化物、塩素酸塩、過塩素酸塩、酢酸
塩、硫酸塩などの水溶液があげられ、硫酸銀、酢酸銀及
び硝酸銀から選ばれる少なくとも1種の可溶性銀塩の水
溶液が好ましい。銀の錯イオンを含む水溶液としては、
ジシアノ銀(I)酸イオン、ジチオスルファト銀酸イオ
ン及びジクロロ銀(I)酸イオンを含む水溶液が好まし
い。これらの水溶液の濃度は10〜50g/リットルが
好ましい。
【0013】このときの水溶液には、必要に応じ、さら
に他の有機化合物を配合することができる。このような
ものとしては、例えば、抗黴効果を有する2−(4−チ
アゾリル)ベンズイミダゾール、塩化セチルトリメチル
アンモニウムなどがあげられる。これらの有機化合物の
使用量は、本発明の目的を損ねない範囲内で適宜定めら
れる。このような有機化合物を使用する場合には、銀イ
オン又は銀の錯イオンを含む水溶液に含有させ、キレー
ト化したのちイオン交換によって担持させる。
【0014】上記の担持処理ののち、洗浄、乾燥し、好
ましくは平均粒径0.5〜30μmに粉砕して本発明の
無機系抗菌材を得ることができる。乾燥は好ましくは水
分量が5重量%以下となるまで行い、通常の加熱による
方法のほか、凍結乾燥などによっても行うことができ
る。
【0015】本発明によれば、白色のケイ酸カルシウム
抗菌材を得ることができ、種々の用途に好適に使用
できる。本発明の無機系抗菌材は分散安定性が高く、さ
らなる担体を用いることなく合成樹脂、塗料、ゴムなど
に混練、混合して使用することができる。本発明の抗菌
材を合成樹脂中に混練した場合、樹脂を着色、変色させ
ることなく、その透明性や樹脂表面の平滑性もそのまま
維持することができるという優れた作用がある。塗料な
ど液状のものに混合して使用する場合には平均粒径の小
さいもののほうが安定性の高い懸濁状態を作ることがで
き好ましい。また、本発明の抗菌材は薄片状の粒形とす
ることができ、これはフィルムや塗膜に配合するのに適
している。この薄片状の抗菌材は、溶液状態ではいわゆ
るカード・ハウス構造をとり、安定な懸濁、分散状態を
保つことができる。さらに、本発明の無機系抗菌材は耐
薬品性にも優れている。本発明の無機系抗菌材は、十分
な量の銀イオン又は銀錯イオンを担持して、抗菌対象の
合成樹脂等に安定に分散するので、少量で十分な抗菌作
用を得ることができ、安全である。本発明によれば、抗
菌材は白色のケイ酸カルシウム塩からなるため、合成樹
脂等を不要に着色して商品価値を低下させることがな
く、また、抗菌材自体の日光等による変色、着色させる
ことも少ない。したがって抗菌材を用いた上に合成樹脂
等を任意色に着色して使用することもできる。さらに本
発明の抗菌材は、合成樹脂等の透明性や表面平滑性を損
なうことなく使用できる。より分散性、懸濁性に優れた
薄片状の粒形の抗菌材とすることもでき、フィルムや塗
膜などにも好適に使用することができる。また、ケイ酸
とカルシウム化合物の反応後に酸で中和処理して得たケ
イ酸カルシウム類を用いた本発明の抗菌材は、微細な粒
状で分散性が高く、比表面積が大きいのでより多量の銀
イオン又は銀の錯イオンを担持させることができ、銀イ
オン又は銀の錯イオンの量の調節ができるという優れた
効果を奏する。さらに詳しくは本発明は、樹脂組成物、
フィルム、包装材、繊維、ろ過材、塗料等に用いること
ができ、優れた抗菌能を付与することができる。本発
よれば、白色度が高く種々の用途に好適に使用でき、
十分な抗菌力を有する無機系抗菌材を製造できる。
【0016】
【実施例】次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細
に説明する。なお、実施例中の組成を示す%は特に断ら
ない限り重量%を示す。
【0017】実施例1 粘土鉱物として、宮城県刈田郡遠刈田産酸性白土(Si
2:77.64%、Al23:13.25%、Fe2
3:2.00%、MgO:3.64%、CaO:1.4
8%、Na2O:1.32%、K2O:0.33%)の含
水原鉱(水分38.7%)2kgに水を加えて、固形分
濃度23.8%としてボールミルで湿式粉砕し、水簸し
たスラリー(固形分濃度20.4%)を、硫酸濃度35
%に調整した後、温浴上で70℃に加熱し、36時間反
応を行った。この途中で少量のサンプルを取り、水洗、
乾燥してX線回折の測定を行った。この結果を図1に示
す(下から硫酸処理0時間、1時間、3時間、6時間、
9時間、13時間、24時間、28時間、32時間、3
6時間後のX線回折の測定結果である)。図1より、硫
酸処理24時間後に、スメクタイトのピークがほとんど
消失し、不純物として石英が認められるが、非晶質化し
ていることがわかる。36時間硫酸処理後、比表面積
(BET法)465m2/gで白色の非晶質ケイ酸が得
られた。この非晶質ケイ酸のヒドロゲルをSiO2
0.0g/100mlとなるように水で調整し、ボール
ミルでゾル化するまで湿式粉砕した。このシリカゾル5
00mlに、石灰乳(CaO 6.50g/100m
l)をCaO/SiO2のモル比0.2、0.3、また
は0.4となるように加え、70℃の温浴上で常圧下、
90分間反応させ、ろ過し、105〜110℃の恒温乾
燥機で乾燥させた後、サンプルミル(不二パウダル社
製)で粉砕して、担体とする結晶質ケイ酸カルシウムの
試料No.1〜3を得た。このようにして得られた結晶
質ケイ酸カルシウムである試料No.2の陽イオン交換
容量は106.8であった。この結果を原料及び中間体
のものとともに下記表に示した。
【0018】
【表1】
【0019】実施例2 実施例1で用いたのと同じシリカゾル500mlに、石
灰乳(CaO 6.50g/100ml)をCaO/S
iO2のモル比0.3となるように加え、70℃の温浴
上で常圧下、90分間反応させた。ここに10%塩酸を
pH7.0になるまで加え、70℃で60分間攪拌した
後、水洗、ろ過し、105〜110℃の恒温乾燥機で乾
燥させた後、サンプルミルで粉砕して、担体とする結晶
質ケイ酸カルシウムの試料No.4を得た。
【0020】試料No.1〜4の平均粒径と比表面積を
表2に示す。No.2に比べNo.4は平均粒径が小さ
く、比表面積が著しく増加しており、カルシウム化合物
と反応させたのち酸で中和したことにより、より好適な
ケイ酸カルシウムが得られたことがわかる。
【0021】
【表2】
【0022】実施例3 1%の硝酸銀水溶液100mlに実施例1で得た結晶質
ケイ酸カルシウムの試料No.1 10gを加え、撹拌
しながら1%のアンモニア水を滴下してpH8にし、さ
らに30分間撹拌した後、ろ過し、100mlの脱イオ
ン水、次いで100mlのメチルアルコールで洗浄し
た。70℃で水分1%以下に乾燥し、シングルトラック
ジェットミル(セイシン企業社製)で平均粒径3.0μ
mに粉砕して、無機系抗菌材(白色、銀の担持量は担体
1g当りAg換算で約0.04g)を得た。自記分光光
度計U−3200型(日立製作所製)で白色度を測定し
た。その結果、きわめて白色度が高いことが分かった。
【0023】
【表3】
【0024】実施例4 脱イオン水300gを40℃に加熱し、これに酢酸銀
2.3gを加えて撹拌し、酢酸銀を溶解させ、撹拌しな
がら1%亜硫酸ナトリウム9.8gを加え、さらに6.
4gのチオ硫酸ナトリウムを加えた後、実施例1で得た
結晶質ケイ酸カルシウムの試料No.2 48gを加
え、30分間撹拌を続け、60℃で水分1%以下に乾燥
し、シングルトラックジェットミル(セイシン企業社
製)で平均粒径2.0μmに粉砕して、本発明の無機系
抗菌材(白色、銀の担持量は担体1g当りAg換算で約
0.05g)を得た。
【0025】実施例5 5%の硝酸銀水溶液と2−(4−チアゾリル)ベンズイ
ミダゾール(TBZ)を、硝酸銀:TBZのモル比が
1:2となるよう混合撹拌して、銀TBZキレート水溶
液とした。実施例1で得た結晶質ケイ酸カルシウム試料
No.3の陽イオン交換容量と当量分の銀TBZキレー
トを含む水溶液を加え、80℃で75時間撹拌した後、
ろ過し、脱イオン水で洗浄した後、水分3%に凍結乾燥
して、平均粒径2.0μmの本発明の無機系抗菌材(白
色、銀の担持量は担体1g当りAg換算で約0.05
g)を得た。
【0026】実施例6 結晶質ケイ酸カルシウムの試料No.1に代えて実施例
2で得た試料No.4を用いた以外は実施例3と全く同
様にして平均粒径3.0μmの本発明の無機系抗菌材
(白色、銀の担持量は担体1g当りAg換算で約0.0
5g)を得た。
【0027】試験例 実施例3~6の無機系抗菌材10gを蒸留水300gに
加え、撹拌した後、ろ過してろ液に含まれる銀の量を原
子吸光分光光度計SAS7500型(セイコー電子工業
製)で測定した。その結果、表に示す通り銀はろ液中に
はほとんど含まれておらずしっかり担持されていること
が分かった。
【0028】
【表4】
【0029】比較例1 結晶質ケイ酸カルシウム試料No.2に代えて実施例1
で用いたのと同じ宮城県刈田郡遠刈田産酸性白土を用い
た以外は実施例4と全く同様にして無機系抗菌材を得
た。 比較例2 結晶質ケイ酸カルシウム試料No.3に代えてベントナ
イト(クニゲルV1(商品名、クニミネ工業社製))を
用いた以外は実施例5と全く同様にして無機系抗菌材を
得た。
【0030】比較例3 結晶質ケイ酸カルシウム試料No.3に代えて実施例1
で用いたのと同じ宮城県刈田郡遠刈田産酸性白土を用い
た以外は実施例5と全く同様にして無機系抗菌材を得
た。 比較例4 結晶質ケイ酸カルシウム試料No.4に代えてベントナ
イト(クニゲルV1(商品名、クニミネ工業社製))を
用いた以外は実施例4と全く同様にして無機系抗菌材を
得た。 比較例5、6 それぞれのベントナイトのクニゲルV1を同社のベント
ナイトクニピアに代えた以外は、比較例2、4と全く同
様にして無機系抗菌材を調製した。
【0031】比較例1〜6で得られた抗菌材はいずれも
粒径が50〜100μmと粗く、さらに白色のものは得
られなかった。実施例3〜6及び比較例1〜6で得られ
た無機系抗菌材の白色度をA(白色)〜D(濃いグレ
イ)の4段階で評価した。その結果を下記の表5に示し
た。
【0032】
【表5】
【0033】試験例1 実施例3〜5で得た無機系抗菌材の抗菌能、分散安定性
及び変色性を以下の方法で試験した。 抗菌能 各試料を蒸留水中に分散させ、1%分散液を調製し、細
菌用の培地20ml中で50〜1000ppmとなるよ
うに調整して、固化させた。次に、それぞれの培地に大
腸菌又は黄色ブドウ球菌を、培地表面に1白耳塗抹し
て、2日間28±2℃に調整した恒温槽に入れて培養
し、生育の認められない最小の抗菌材添加濃度(最小発
育阻止濃度)を測定した。結果を表6に示した。なお、
培地は肉エキス3g、ペプトン10g、塩化ナトリウム
5g、寒天15gを蒸留水1000mlに溶解させた
後、121℃、15分のオートクレーブで滅菌した肉汁
培地を用いた。
【0034】分散安定性及び変色性 実施例3〜5で得た無機系抗菌材各々1重量部をABS
(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂99
重量部に配合し、タンブラーミキサーで約20分間混合
した後、混練機で約200℃に加熱し、混練した。次
に、混練機より取り出されたストランドを水中で浸漬冷
却した後、十分に水を切り、約φ20mm×3mmのペ
レットに切断加工した。これを成型機中で220℃に加
熱し、2cm×3cm×2mmの成型金型に射出成型
し、樹脂中の各抗菌材の分散安定性と変色性を目視で観
察して以下の基準で評価した。 (分散安定性) ◎:均一に分散し、分離、沈殿はみられない。 ○:極わずかに分離、沈殿がみられる。 △:分離、沈殿がみられる。 ×:全体に分離、沈殿がみられる。 (変色性) ◎:変色はみられない。 ○:極わずかに変色がみられる。 △:変色がみられる。 ×:樹脂に黒変がみられる。
【0035】比較として市販のゼオライトを担体とした
無機系抗菌材(比較例7)、実施例1で得た結晶質ケイ
酸カルシウム試料No.2(比較例8)についても同じ
測定を行い、結果を表6に示した。
【0036】
【表6】
【0037】表6の結果からわかるように、本発明の無
機系抗菌材は、低い濃度で有効に菌の繁殖を阻止でき
る。実施例3〜5で得られた抗菌材はいずれも白色であ
るため、樹脂に混合しても着色はなく、また、分散安定
性が高く、樹脂に混練したときの変色もみられなかっ
た。
【0038】試験例2 実施例4〜6で得た無機系抗菌材の抗菌力を以下の方法
で試験した。 減菌数計測法による試験 減菌生理食塩水50mlに大腸菌1gを添加し、これに
試験菌(Echeria coli(IFO3806)
大腸菌)を接種して1時間振とう培養を行った。その
後、生菌計測を行い、接種菌数との差によって減菌率
(減菌率=[(接種菌の生菌数−1時間後の生菌数)/
接種菌の生菌数]×100)を求めて抗菌力を評価し
た。
【0039】ハロー法による試験 実施例4〜6で得た抗菌材を乳鉢ですりつぶした後に、
約8t/cm2の圧力をかけて錠剤を成形し、この錠剤
を試験菌(大腸菌)を接種した肉汁寒天板培地(ペプト
ン10g、食塩5g、肉エキス10g、寒天5gを蒸留
水1リットルに溶解させ、121℃、1atmの条件下
でオートクレーブで20分間滅菌した後、試験菌を接種
し、シャーレに流し固化させたもの)の中央に埋めた。
これを28±2℃の恒温槽で2日間培養した。培養後、
ハロー(阻止帯)を観察して抗菌力を評価した。
【0040】比較として市販のゼオライトを担体とした
無機系抗菌材(比較例5)、実施例2で得たケイ酸カル
シウム試料No.4(比較例7)についても同じ測定を
行い、結果を表7に示した。
【0041】
【表7】
【0042】表7の結果より明らかなように、比較例
7、9では阻止帯の形成がなく、減菌率も80%未満と
低いのに対し、実施例4〜6の抗菌材ではいずれも阻止
帯が形成され、100%減菌している。また、実施例4
〜6及び比較例7、9の試料を日光に7日間曝露したと
ころ、比較例7、9は黒灰色に変色したが、実施例4〜
6の抗菌材はほとんど変化がなかった。 実施例7 重金属の吸着能試験 重金属に対する吸着能は、バッチ法を用いて濃度変化に
より求めた。重金属としては、鉛及びカドミウムの塩化
物を用いた。溶液の各塩化物の溶液(100mg/l)
50mlにクニピアFおよび合成例1で得た結晶質ケイ
酸カルシウムを0.1gを加え、各時間放置後ろ過し
て、ろ液中に残存している重金属を分析して各重金属に
対する吸着能を求めた。その結果、実施例1で得た本発
明品(No.2)は、吸着能率が高くしかも吸着速度が
速い。
【0043】
【表8】
【0044】
【表9】
【図面の簡単な説明】
【図1】合成例1において酸性白土を硫酸処理したとき
の処理時間0〜36時間におけるX線回折の測定結果で
ある。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI A01N 59/16 A01N 59/16 A (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01B 33/20

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸性白土、ベントナイト又はハロイサイ
    トから選ばれる少なくとも一種の粘土鉱物を酸分解して
    得られた非晶質ケイ酸ゲルを含有したケイ酸類と、前記
    ケイ酸類のSiOに対しCaO換算でモル比0.10
    〜0.70のカルシウム化合物を反応させ調製した平均
    粒径が0.5〜20μmの結晶質ケイ酸カルシウム類
    に、銀イオン又は銀の錯イオンをイオン交換により担持
    させてなる白色の無機系抗菌材。
  2. 【請求項2】 前記銀の錯イオンがジシアノ銀(I)酸
    イオン、ジチオスルファト銀酸イオン及びジクロロ銀
    (I)酸イオンから選ばれる少なくとも1種であること
    を特徴とする請求項1記載の無機系抗菌材。
  3. 【請求項3】 銀イオン又は銀の錯イオンを含む水溶液
    に抗黴性を有する有機化合物を加え、キレート化してイ
    オン交換により担持させたことを特徴とする請求項1又
    は2記載の無機系抗菌材。
  4. 【請求項4】 前記結晶質ケイ酸カルシウム類が粘土鉱
    物を酸分解して得た非晶質ケイ酸ゲルとカルシウム化合
    物を反応させたのち、酸で中和してなることを特徴とす
    る請求項1〜3のいずれか1項に記載の無機系抗菌材。
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