JP6395051B2 - リチウム複合酸化物、リチウム複合酸化物の製造方法、リチウム二次電池用正極活物質、及び、リチウム二次電池 - Google Patents

リチウム複合酸化物、リチウム複合酸化物の製造方法、リチウム二次電池用正極活物質、及び、リチウム二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、リチウム複合酸化物、リチウム複合酸化物の製造方法、リチウム二次電池用正極活物質、及び、リチウム二次電池に関する。
近年、携帯電話やノートパソコン等の多くの携帯型電子機器に二次電池が搭載されており、そのほとんどはリチウム二次電池である。また、リチウム二次電池は、今後、ハイブリッド車両や電力負荷平準化システム等の大型電池としての実用化も期待されており、その重要性はますます高まっている。
リチウム二次電池は、いずれもリチウムを可逆的に吸蔵・放出することが可能な材料を含有する正極及び負極からなる電極と、非水系電解液を含むセパレータ又は固体電解質とを主要構成要素とする。
これらの構成要素のうち、電極用活物質として、リチウムコバルト酸化物(LiCoO)、リチウムマンガン酸化物(LiMn)、リチウムチタン酸化物(LiTi12)等の酸化物系、金属リチウム、リチウム合金、スズ合金等の金属系、及び黒鉛、MCMB(メソカーボンマイクロビーズ)等の炭素系材料の使用が検討されている。
これらの材料について、それぞれの活物質中のリチウム含有量における化学ポテンシャルの差によって電池の電圧が決定される。特に、活物質の組み合わせによって大きな電位差を形成できることが、エネルギー密度に優れるリチウム二次電池の特徴である。
今後、自動車用電源や高容量のバックアップ電源、緊急用電源等の用途を想定した場合には、より高容量かつ長寿命のリチウム二次電池が必要となることが予測される。そのため、種々の活物質を組み合わせることで、さらに高容量かつ長寿命のリチウム二次電池の開発が求められている。
新たな正極活物質用の材料として、例えば、リチウムニッケルマンガン酸化物であるLi2/3Ni1/3Mn2/3の結晶構造及び電気化学特性がこれまでに調べられている。上記リチウムニッケルマンガン酸化物は、出発物質であるNa2/3Ni1/3Mn2/3のナトリウムをリチウムに交換するイオン交換によって合成される。出発物質であるNa2/3Ni1/3Mn2/3には、複数の積層構造が存在し、例えば、P3構造の出発物質を用いた場合、イオン交換体であるLi2/3Ni1/3Mn2/3は、O3構造となることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
また、Li2/3Ni1/3Mn2/3については、遷移金属の一部を異種元素に置換することで電気化学特性が改善することも知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、LiMnTiNi1−y−z(ただし式中、0<x≦1.0、0.5≦y<1.0、0<z≦0.5、0.5<y+z≦1.0)なる化学組成を有することを特徴とするリチウムマンガンチタンニッケル複合酸化物が開示されており、上記複合酸化物をリチウム二次電池の正極活物質として用いることも開示されている。
特開2012−209242号公報
J.M.Paulsen et al.,J.Electrochem.Soc.,147,2478(2000)
O3構造のリチウムニッケルマンガン酸化物に着目した場合、非特許文献1に記載の正極活物質では、リチウム二次電池の初期リチウム挿入容量や電圧が低いのが現状である。一方、特許文献1に記載の正極活物質では、ニッケルの一部をチタンに置換する方法でリチウム二次電池の電気化学特性が改善されているが、他の方法で電気化学特性を改善する方法は知られていない。また、特許文献1に記載の正極活物質は、リチウム二次電池の初期リチウム挿入容量は高いものの、リチウム挿入時の電圧が低いため、エネルギー密度が小さい。さらに、従来のリチウムニッケルマンガン酸化物を用いた正極活物質では、リチウム二次電池の長寿命化に対しても改善の余地がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、高エネルギー密度(高容量及び高電圧)かつ長寿命のリチウム二次電池用正極活物質として重要なリチウム複合酸化物を提供することを目的とする。また、本発明は、当該リチウム複合酸化物の製造方法、当該リチウム複合酸化物を主成分とするリチウム二次電池用正極活物質、当該リチウム複合酸化物を正極活物質として用いたリチウム二次電池を提供することも目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、式(LiNa)NiMn1−y2−z(式中、0≦v<0.2、0≦w<0.04、0.4<x<0.8、0.6<x+v+w<0.8、0.2≦y≦0.5、0≦z<0.13)で表され、結晶構造が菱面体晶系で空間群R−3mの層状岩塩型構造であり、六方晶格子を用いた格子定数が2.86Å<a<2.91Å、14.1Å<c<14.4Åを満たすことを特徴とするリチウム複合酸化物に関する。
式(LiNa)NiMn1−y2−zで表され、結晶構造が菱面体晶系で空間群R−3mの層状岩塩型構造であるリチウム複合酸化物のうち、六方晶格子を用いた格子定数が2.86Å<a<2.91Å、14.1Å<c<14.4Åを満たすものは、これまで知られていなかった。また、このようなリチウム複合酸化物を正極活物質として適用することについて開示したものもなかった。
本発明のリチウム複合酸化物においては、結晶構造が、菱面体晶系で空間群R−3mの層状岩塩型構造(O3構造)であり、立方晶系で空間群Fd−3mのスピネル構造に近い。そのため、構造安定性が高く、リチウム二次電池用正極活物質として用いた場合、サイクル特性が向上し、長寿命化できる。
さらに、本発明のリチウム複合酸化物においては、六方晶格子を用いた格子定数が2.86Å<a<2.91Å、14.1Å<c<14.4Åであり、層状岩塩型構造を有する従来のリチウム複合酸化物とは異なるLi−O配位が存在していると考えられる。そのため、従来のリチウム複合酸化物よりも高容量化及び高電圧化でき、エネルギー密度の向上が可能となる。
したがって、本発明によれば、従来よりも高エネルギー密度かつ長寿命のリチウム二次電池用正極活物質として使用可能なリチウム複合酸化物を提供できる。
このように、上記リチウム複合酸化物を主成分とするリチウム二次電池用正極活物質もまた、本発明の1つである。
本発明のリチウム複合酸化物において、上記格子定数は、4.89<(c/a)<5.00を満たすことが好ましい。
本発明のリチウム複合酸化物は、下記前駆体を熱処理することによって合成される。このようなリチウム複合酸化物の製造方法もまた、本発明の1つである。
前駆体:式(LiNa)NiMn1−y(式中、0≦v<0.25、0≦w<0.04、0.4<x<0.8、0.6<x+v+w<0.8、0.2≦y≦0.5)で表され、結晶構造が菱面体晶系で空間群R−3mの層状岩塩型構造であり、六方晶格子を用いた格子定数において、熱処理後よりもc軸長が長いリチウム複合酸化物。
これまで、式(LiNa)NiMn1−y(式中、0≦v<0.25、0≦w<0.04、0.4<x<0.8、0.6<x+v+w<0.8、0.2≦y≦0.5)で表され、結晶構造が菱面体晶系で空間群R−3mの層状岩塩型構造であるリチウム複合酸化物に対して熱処理を行うことにより、どのような構造になるかは明らかではなかった。本発明においては、上記リチウム複合酸化物に対して熱処理を行うことにより、少なくともc軸長が短くなることが明らかとなった。これは、熱処理によってLi−O配位が変化するためと考えられる。その結果、従来よりも高エネルギー密度かつ長寿命のリチウム二次電池用正極活物質として使用可能なリチウム複合酸化物を提供できる。
本発明の製造方法において、上記前駆体の熱処理は、300℃以上800℃以下の温度範囲で行われることが好ましい。
本発明の製造方法において、上記前駆体は、下記出発物質のナトリウムをリチウムに交換するイオン交換によって合成されることが好ましい。
出発物質:式(Na)NiMn1−y(式中、0≦v<0.1、0.6<x+v<0.8、0.2≦y≦0.5)で表され、結晶構造が菱面体晶系で空間群R3mの層状岩塩型構造であるナトリウム複合酸化物。
一実施形態において、上記イオン交換は、上記出発物質とリチウム化合物とを混合して加熱することで行われる。また、他の実施形態において、上記イオン交換は、リチウム化合物を含む溶液中に上記出発物質を加えることで行われる。いずれの実施形態においても、上記イオン交換に用いられるリチウム化合物は、硝酸リチウム、塩化リチウム、臭化リチウム、水酸化リチウム及びヨウ化リチウムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明は、正極と、負極と、電解質と、を含んで構成されるリチウム二次電池に関し、上記リチウム複合酸化物を主成分とする正極活物質を上記正極に含有することを特徴とする。
本発明によれば、従来よりも高エネルギー密度かつ長寿命のリチウム二次電池を提供できる。
本発明によれば、新規リチウム複合酸化物を製造することが可能であり、この化合物をリチウム二次電池用正極活物質として使用することによって、従来よりも高エネルギー密度かつ長寿命の正極活物質及びリチウム二次電池を提供できる。
O3構造を有するLi2/3Ni1/3Mn2/3の結晶構造を示す模式図である。 P3構造を有するNa2/3Ni1/3Mn2/3の結晶構造を示す模式図である。 本発明のリチウム二次電池の一例を模式的に示す部分断面図である。 出発物質Na0.68Ni0.33Mn0.66、未熱処理Li0.66Ni0.33Mn0.66及び500℃熱処理Li0.66Ni0.33Mn0.68の粉末X線回折図形である。 未熱処理Li0.66Ni0.33Mn0.66の走査型電子顕微鏡写真である。 500℃熱処理Li0.66Ni0.33Mn0.68の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例1及び比較例1における充放電に伴う電圧変化を示す図である。 実施例1における充放電サイクル試験の結果を示す図である。 300〜800℃で熱処理を行った試料の粉末X線回折図形である。 実施例1〜6及び比較例1における充放電に伴う電圧変化を示す図である。 実施例1、実施例7及び実施例8における充放電に伴う電圧変化を示す図である。 実施例1、実施例9及び実施例10における充放電に伴う電圧変化を示す図である。 実施例1及び実施例11における充放電に伴う電圧変化を示す図である。 出発物質Na0.61Ni0.20Mn0.80、未熱処理Li0.49Na0.010Ni0.20Mn0.80及び500℃熱処理Li0.49Na0.010Ni0.20Mn0.80の粉末X線回折図形である。 実施例12及び比較例2における充放電に伴う電圧変化を示す図である。 実施例12における充放電サイクル試験の結果を示す図である。 出発物質Na0.76Ni0.50Mn0.50、未熱処理Li0.73Na0.038Ni0.50Mn0.50及び500℃熱処理Li0.73Na0.038Ni0.50Mn0.50の粉末X線回折図形である。 実施例13及び比較例3における充放電に伴う電圧変化を示す図である。 実施例13における充放電サイクル試験の結果を示す図である。 実施例7、実施例12及び実施例13における充放電に伴う電圧変化を示す図である。
本発明について、図面を参照しながら詳細に説明する。
[リチウム複合酸化物]
本発明のリチウム複合酸化物は、式(LiNa)NiMn1−y2−z(式中、0≦v<0.2、0≦w<0.04、0.4<x<0.8、0.6<x+v+w<0.8、0.2≦y≦0.5、0≦z<0.13)で表され、結晶構造が菱面体晶系で空間群R−3mの層状岩塩型構造であり、六方晶格子を用いた格子定数が2.86Å<a<2.91Å、14.1Å<c<14.4Åを満たすことを特徴とする。
図1は、菱面体晶系で空間群R−3mの層状岩塩型構造であるLi2/3Ni1/3Mn2/3の結晶構造を示す模式図である。図1に示す結晶構造は、O3構造ともいう。O3構造においては、リチウムの酸素配位が八面体であり(すなわち、リチウムが酸素八面体の中心に存在し)、かつ、単位格子あたり遷移金属酸化物層が3層存在する。
本発明のリチウム複合酸化物は、上記結晶構造を有し、かつ、式(LiNa)NiMn1−y2−z(式中、0≦v<0.2、0≦w<0.04、0.4<x<0.8、0.6<x+v+w<0.8、0.2≦y≦0.5、0≦z<0.13)で表される化学組成を有する。0<v<0.2のときは、リチウムサイトの一部に水素が存在することを表しており、0<w<0.04のときは、リチウムサイトの一部にナトリウムが存在することを表しており、0<z<0.13のときは、酸素欠損が存在することを表している。
リチウム複合酸化物の結晶構造は、粉末X線回折法により同定することができる。測定者によっては、2θ(°/CuKα)=65°付近のピーク本数が1本であると判断され、立方晶系で空間群Fd−3mのスピネル構造と同定される場合がある。しかし、2θ(°/CuKα)=65°付近のピーク本数が2本であると判断すれば、菱面体晶系で空間群R−3mの層状岩塩型構造と同定できる場合、測定したリチウム複合酸化物の結晶構造は、菱面体晶系で空間群R−3mの層状岩塩型構造であると同定するものとする。なお、空間群R−3mと空間群Fd−3mとが厳密に区別できない場合があることは、種々の文献により報告されている。(例えば、E. Rossen et al.,Solid State Ionics,62,53(1993)、R.J.Gummow et al.,Mat.Res.Bull.,28,235(1993)等参照)
また、本発明のリチウム複合酸化物には、副生相としてNiOが含まれていてもよい。
本発明のリチウム複合酸化物は、式(LiNa)NiMn1−y2−zで表され、0≦v<0.2、0≦w<0.04、0.4<x<0.8、0.6<x+v+w<0.8、0.2≦y≦0.5、0≦z<0.13を満たす。
リチウム複合酸化物には水素が少し含まれていてもよく、0≦v<0.1が好ましい。
リチウム複合酸化物にナトリウムが少し含まれていると、リチウム二次電池の電気化学特性が向上する。そのため、0≦w<0.04が好ましく、0.01<w<0.04がより好ましい。
また、リチウム複合酸化物に含まれるニッケルの量がリチウム二次電池の電気化学特性に寄与すると考えられ、0.2≦y≦0.5が好ましく、0.3<y≦0.5がより好ましい。
さらに、リチウム複合酸化物中の酸素欠損の量が少ないと、リチウム二次電池の電気化学特性が向上すると考えられる。そのため、0≦z<0.05が好ましく、z=0が最も好ましい。
本発明のリチウム複合酸化物においては、六方晶格子を用いた格子定数が2.86Å<a<2.91Å、14.1Å<c<14.4Åを満たし、2.88Å<a<2.91Å、
14.2Å<c<14.4Åを満たすことが好ましい。
さらに、本発明のリチウム複合酸化物においては、上記格子定数は、4.89<(c/a)<5.00を満たすことが好ましく、4.90<(c/a)<5.00を満たすことがより好ましい。
[リチウム複合酸化物の製造方法]
上述した本発明のリチウム複合酸化物は、下記前駆体を熱処理することによって合成されることを特徴とする。
前駆体:式(LiNa)NiMn1−y(式中、0≦v<0.25、0≦w<0.04、0.4<x<0.8、0.6<x+v+w<0.8、0.2≦y≦0.5)で表され、結晶構造が菱面体晶系で空間群R−3mの層状岩塩型構造であり、六方晶格子を用いた格子定数において、熱処理後よりもc軸長が長いリチウム複合酸化物。
上記前駆体は、本発明のリチウム複合酸化物と同様の化学組成及び結晶構造を有している。本発明者らは、上記前駆体を熱処理することによって、上記リチウム複合酸化物の少なくともc軸長が短くなることを見出したのである。
上記前駆体は、下記出発物質のナトリウムをリチウムに交換するイオン交換によって合成されることが好ましい。
出発物質:式(Na)NiMn1−y(式中、0≦v<0.1、0.6<x+v<0.8、0.2≦y≦0.5)で表され、結晶構造が菱面体晶系で空間群R3mの層状岩塩型構造であるナトリウム複合酸化物。
出発物質であるナトリウム複合酸化物は、式(Na)NiMn1−y(式中、0≦v<0.1、0.6<x+v<0.8、0.2≦y≦0.5)で表され、結晶構造が菱面体晶系で空間群R−3mの層状岩塩型構造である。
図2は、菱面体晶系で空間群R3mの層状岩塩型構造であるNa2/3Ni1/3Mn2/3の結晶構造を示す模式図である。図2に示す結晶構造は、P3構造ともいう。P3構造においては、ナトリウムの酸素配位が三角柱であり(すなわち、ナトリウムが酸素三角柱の中心に存在し)、かつ、単位格子あたり遷移金属酸化物層が3層存在する。
出発物質であるナトリウム複合酸化物は、上記結晶構造を有し、かつ、式(Na)NiMn1−y(式中、0≦v<0.1、0.6<x+v<0.8、0.2≦y≦0.5)で表される化学組成を有する。0<v<0.1のときは、ナトリウムサイトの一部に水素が存在することを表している。
ナトリウム複合酸化物の結晶構造は、粉末X線回折法により同定することができる。また、出発物質であるナトリウム複合酸化物には、副生相としてNiOが含まれていてもよい。
上記出発物質は、原料として、ナトリウム原料の少なくとも1種と、ニッケル原料の少なくとも1種と、マンガン原料の少なくとも1種とを、式NaNiMn1−y(式中、0.6<x<0.8、0.2≦y≦0.5)で表される化学組成となるように秤量・混合し、空気中等の酸素ガスが存在する雰囲気中で加熱することによって、製造することができる。
あるいは、上記出発物質は、原料として、ナトリウム、ニッケル及びマンガンの中の2種類以上からなる化合物を用いて、式NaNiMn1−y(式中、0.6<x<0.8、0.2≦y≦0.5)で表される化学組成となるように秤量・混合し、空気中等の酸素ガスが存在する雰囲気中で加熱することによって、製造することができる。
ナトリウム原料としては、ナトリウム(金属ナトリウム)及びナトリウム化合物の少なくとも1種を用いる。ナトリウム化合物としては、ナトリウムを含有するものであれば特に制限されず、例えばCHCOONa、CHCOONa・3HO等の酢酸塩、NaNO等の硝酸塩、NaCO等の炭酸塩、NaOH等の水酸化物、NaO、Na等の酸化物等が挙げられる。これらの中では、酢酸塩が好ましく、CHCOONaがより好ましい。
ニッケル原料としては、ニッケル(金属ニッケル)及びニッケル化合物の少なくとも1種を用いる。ニッケル化合物としては、ニッケルを含有するものであれば特に制限されず、例えばNiO等の酸化物、NiOH、Ni(OH)、NiOOH等の水酸化物等が挙げられる。これらの中では、ニッケル水酸化物が好ましく、Ni(OH)がより好ましい。
マンガン原料としては、マンガン(金属マンガン)及びマンガン化合物の少なくとも1種を用いる。マンガン化合物としては、マンガンを含有するものであれば特に制限されず、例えばMnO、Mn、Mn、MnO等の酸化物、MnOH、MnOOH等の水酸化物等が挙げられる。これらの中では、マンガン酸化物等が好ましく、Mnがより好ましい。
あるいは、原料として、NaMnO等のナトリウムマンガン酸化物、NaNiO等のナトリウムニッケル酸化物、マンガンニッケル水酸化物等を用いてもよい。
はじめに、これらの原料を含む混合物を調製する。各構成元素の混合割合は、式NaNiMn1−y(式中、0.6<x<0.8、0.2≦y≦0.5)で表される化学組成となるように混合することが好ましい。加熱時にナトリウムが揮発しやすいので、若干過剰の仕込み量としてもよい。また、混合方法は、これらを均一に混合できる限り特に限定されず、例えばミキサー等の公知の混合機を用いて、湿式又は乾式で混合すればよい。
次いで、混合物を焼成する。焼成温度は、原料によって適宜設定することができ、通常は、400℃〜900℃程度、好ましくは450℃〜800℃である。また、焼成雰囲気も特に限定されず、通常は酸化性雰囲気又は大気中で実施すればよい。
焼成時間は、焼成温度等に応じて適宜変更することができる。冷却方法も特に限定されず、通常は自然放冷(炉内放冷)又は徐冷とすればよい。冷却の際、ナトリウムが空気中の水分のプロトンと交換される場合がある。
焼成後は、必要に応じて焼成物を公知の方法で粉砕し、さらに上記の焼成工程を実施してもよい。すなわち、上記混合物の焼成、冷却及び粉砕を2回以上繰り返して実施してもよい。ただし、ナトリウムの揮発を抑えるためには、1回の焼成とすることが好ましい。なお、粉砕の程度は、焼成温度等に応じて適宜調節すればよい。
また、上記の方法により目的とする化学組成の出発物質を製造することが困難又は不可能である場合、目的とする化学組成よりもナトリウム過剰の仕込み量とした混合物を焼成した後、ヨウ素等を用いて焼成物を化学的に酸化することにより、目的とする化学組成を有する出発物質を生成してもよい。この場合、焼成温度は、通常700〜900℃程度、好ましくは750〜850℃である。
上記により得られた出発物質に対してリチウムイオン交換反応(以下、単にイオン交換ともいう)を適用することにより、出発物質中のナトリウムのほぼすべてがリチウムに交換された前駆体が得られる。上述のとおり、前駆体においては、結晶構造が菱面体晶系で空間群R−3mの層状岩塩型構造である。
上述のとおり、前駆体は、少なくともc軸長が熱処理後よりも長いことを除いて、熱処理後(本発明)のリチウム複合酸化物と同様の化学組成及び結晶構造を有している。ただし、後述するように、前駆体を熱処理することで、リチウム複合酸化物中に酸素欠損が導入される場合がある。
熱処理後(本発明)のリチウム複合酸化物のc軸長をc、前駆体のc軸長をcとしたとき、1.00c<c<1.03cを満たすことが好ましく、1.00c<c<1.02cを満たすことがより好ましい。
前駆体においては、六方晶格子を用いた格子定数が14.2Å<c<14.6Åを満たすことが好ましく、2.85Å<a<2.91Å、14.3Å<c<14.6Åを満たすことがより好ましい。ただし、上述のとおり、前駆体のc軸長は、熱処理後のc軸長よりも長い。
さらに、前駆体においては、上記格子定数は、4.94<(c/a)<5.07を満たすことが好ましい。また、前駆体の(c/a)の値は、熱処理後の(c/a)の値よりも大きいことが好ましい。
イオン交換の方法としては、粉砕した出発物質をリチウム化合物と混合して加熱することで、リチウム溶融塩によるリチウムイオン交換反応を進行させる方法、リチウム化合物を含む溶液中に粉砕した出発物質を加えることで、還流加熱等によるリチウムイオン交換反応を進行させる方法等が挙げられる。
イオン交換に用いられるリチウム化合物としては、硝酸リチウム、塩化リチウム、臭化リチウム、水酸化リチウム、ヨウ化リチウム等の比較的低温で溶融する塩類が好ましく、これらを単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
リチウム溶融塩によるイオン交換において、混合比は、通常、出発物質の重量に対するリチウム化合物全体の重量の割合として、出発物質:リチウム化合物全体=1:2〜1:50、好ましくは1:3〜1:15である。
リチウム溶融塩によるイオン交換において、リチウムイオン交換処理の温度は、通常50〜500℃、好ましくは200〜450℃の範囲である。処理時間は、通常30分間〜60時間、好ましくは1〜24時間、より好ましくは1〜10時間である。
溶液を用いたイオン交換において、溶媒としては、水、エタノール、メタノール、ブタノール、ヘキサノール、プロパノール、テトラヒドロフラン、アセトン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、酢酸、ギ酸等の極性溶媒が好ましく、これらを単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中では、エタノール又はメタノールを用いることが好ましく、メタノールを用いることがより好ましい。
溶液を用いたイオン交換としては、リチウム化合物を溶解させた溶液中において、粉砕した出発物質の粉末を分散させながら、イオン交換処理を施す方法が好適である。混合比は、通常、出発物質の重量に対するリチウム化合物全体の重量の割合として、出発物質:リチウム化合物全体=1:2〜1:50、好ましくは1:3〜1:10である。
溶液を用いたイオン交換において、リチウムイオン交換処理の温度は、通常50〜300℃、好ましくは60〜200℃の範囲である。処理時間は、通常1〜60時間、好ましくは3〜24時間である。
イオン交換処理後、得られた生成物をエタノール又はメタノール等でよく洗浄し、乾燥させることによって、目的とする前駆体が得られる。洗浄方法については、イオン交換水等の水で洗浄してもよい。ただし、この場合には、リチウムがプロトンと交換されてしまうため、容量低下の原因となる。また、熱処理時に脱水反応を引き起こし、酸素欠損の原因となる。乾燥方法については、特に制限されず、通常の方法が用いられる。
なお、イオン交換処理の条件によっては、完全にナトリウムがリチウムに交換されず、前駆体中に有意の量のナトリウムが含まれていてもよい。イオン交換の方法として、リチウム化合物を含む溶液中に粉砕した出発物質を加える方法では、粉砕した出発物質をリチウム化合物と混合して加熱する方法よりも、前駆体中にナトリウムが残留しやすくなる。上記のとおり、ナトリウムが少し残留しているとリチウム二次電池の電気化学特性が向上するため、リチウム化合物を含む溶液中に粉砕した出発物質を加える方法を用いることが好ましい。
また、前駆体中に含まれるナトリウム量を減らすために、イオン交換処理を2回以上繰り返してもよい。この場合、同じ方法のイオン交換処理を行ってもよいし、異なる方法のイオン交換処理を行ってもよい。
上記により得られた前駆体に対して熱処理を行うことにより、本発明のリチウム複合酸化物が得られる。すなわち、格子定数が2.86Å<a<2.91Å、14.1Å<c<14.4Åを満たすリチウム複合酸化物が得られる。
熱処理温度が高くなるほど、リチウム複合酸化物のc軸長が短くなる傾向がある。ただし、c軸長が短くなりすぎると、リチウム二次電池の電気化学特性が低下する。そのため、熱処理温度は、300℃以上800℃以下であることが好ましく、300℃以上800℃未満であることがより好ましく、400℃以上750℃以下であることがさらに好ましく、500℃以上700℃以下であることが特に好ましい。
熱処理雰囲気は特に限定されず、大気中(空気雰囲気)、真空、酸化性雰囲気、還元性雰囲気、不活性雰囲気等が挙げられる。上記のとおり、リチウム複合酸化物中の酸素欠損の量が少ないとリチウム二次電池の電気化学特性が向上すると考えられ、熱処理雰囲気中の酸素量を多くすることによって、リチウム複合酸化物中の酸素欠損の量を少なくすることができる。そのため、空気雰囲気下又は酸化性雰囲気下で熱処理を行うことが好ましく、酸化性雰囲気下で熱処理を行うことがより好ましく、酸素雰囲気下で熱処理を行うことがさらに好ましい。なお、酸素雰囲気とは、実質的に酸素のみを含む雰囲気を意味する。
熱処理時間は、熱処理温度に応じて適宜設定することができ、通常は1〜10時間程度、好ましくは2〜8時間である。なお、熱処理時間とは、熱処理温度を保持する時間を意味する。
熱処理後の冷却方法としては、自然放冷(炉内放冷)、徐冷等が挙げられる。冷却速度を小さくする、すなわち熱処理後の試料をゆっくり冷却することで、リチウム二次電池の電気化学特性が向上すると考えられる。これは、冷却速度を小さくすることによって、リチウム複合酸化物中の酸素欠損の量を少なくすることができるためではないかと推測される。
必要に応じて、熱処理を2回以上繰り返して実施してもよい。その際、熱処理条件(温度、雰囲気、時間等)はすべて同じであってもよく、異なっていてもよい。
なお、前駆体におけるx+wの合計値及びyの値は、それぞれ出発物質におけるxの値及びyの値とほぼ同じ値となるが、多少の誤差は許容される。一方、前駆体におけるvの値は、出発物質におけるvの値と同じであってもよく、異なっていてもよい。また、熱処理後(本発明)のリチウム複合酸化物におけるw、x及びyの値は、前駆体におけるw、x及びyの値とほぼ同じ値となるが、多少の誤差は許容される。熱処理後のリチウム複合酸化物におけるvの値は、前駆体におけるvの値よりも小さい。
[リチウム二次電池用正極活物質]
本発明のリチウム二次電池用正極活物質は、リチウム二次電池の正極に用いられ、上記リチウム複合酸化物を主成分とする。すなわち、本発明のリチウム二次電池用正極活物質は、式(LiNa)NiMn1−y2−z(式中、0≦v<0.2、0≦w<0.04、0.4<x<0.8、0.6<x+v+w<0.8、0.2≦y≦0.5、0≦z<0.13)で表され、結晶構造が菱面体晶系で空間群R−3mの層状岩塩型構造であり、六方晶格子を用いた格子定数が2.86Å<a<2.91Å、14.1Å<c<14.4Åを満たすことを特徴とするリチウム複合酸化物を主成分として構成される。
本発明のリチウム二次電池用正極活物質において、リチウム複合酸化物を「主成分とする」とは、当該リチウム複合酸化物の含有量が51重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%、さらに好ましくは100重量%であることを意味する。本発明の機能を損なわない限りにおいて、リチウム二次電池用正極活物質には、主成分以外の成分が含まれていてもよい。
本発明のリチウム複合酸化物は、[リチウム複合酸化物]において説明したとおりであるので、その詳細な説明は省略する。
なお、本発明のリチウム二次電池用正極活物質は、本発明のリチウム複合酸化物を主成分とする限り、本発明のリチウム複合酸化物が1種のみ含まれていてもよく、本発明のリチウム複合酸化物が2種以上含まれていてもよい。
本発明のリチウム二次電池用正極活物質は、本発明のリチウム複合酸化物を用いて製造することができる。本発明のリチウム複合酸化物の製造方法は、[リチウム複合酸化物の製造方法]において説明したとおりであるので、その詳細な説明は省略する。
上述のとおり、本発明のリチウム複合酸化物は、結晶構造が、菱面体晶系で空間群R−3mの層状岩塩型構造(O3構造)であり、立方晶系で空間群Fd−3mのスピネル構造に近い。そのため、構造安定性が高く、リチウム二次電池のサイクル特性が向上する結果、長寿命化できる。
さらに、本発明のリチウム複合酸化物においては、六方晶格子を用いた格子定数が2.86Å<a<2.91Å、14.1Å<c<14.4Åであり、層状岩塩型構造を有する従来のリチウム複合酸化物とは異なるLi−O配位が存在していると考えられる。そのため、従来のリチウム複合酸化物を主成分とする正極活物質よりもリチウム二次電池を高容量化及び高電圧化でき、エネルギー密度を向上させることができる。
[リチウム二次電池]
本発明のリチウム二次電池は、正極と、負極と、電解質と、必要に応じて他の電池要素とを含んで構成されるリチウム二次電池であり、上述した本発明のリチウム複合酸化物を主成分とする正極活物質を正極に含有することを特徴としている。
本発明のリチウム二次電池は、本発明のリチウム複合酸化物を主成分とする正極活物質を正極に含有する以外は、従来公知のリチウム二次電池の電池要素をそのまま採用することができる。本発明のリチウム二次電池は、コイン型、ボタン型、円筒型、全固体型のいずれの構成であってもよい。
以下、本発明のリチウム二次電池の一例として、コイン型リチウム二次電池について説明する。以下で説明する各電池要素は、コイン型以外のリチウム二次電池に対しても同様に適用することができる。
図3は、本発明のリチウム二次電池の一例を模式的に示す部分断面図である。図3では、本発明のリチウム二次電池をコイン型リチウム二次電池とした一例を示している。このリチウム二次電池1は、負極端子2と、負極3と、電解液が含浸されたセパレータ4と、絶縁パッキング5と、正極6と、正極缶7とにより構成される。
図3に示すように、正極缶7は下側に配置され、負極端子2は上側に配置される。正極缶7と負極端子2とにより、リチウム二次電池1の外形が形成される。
正極缶7と負極端子2との間には、下側から順に正極6と負極3とが層状に設けられる。
正極6と負極3との間には、双方を互いに隔てる電解液が含浸されたセパレータ4が介在している。
正極缶7と負極端子2は、絶縁パッキング5で電気的に絶縁されている。
本発明のリチウム二次電池においては、上述した本発明のリチウム二次電池用正極活物質に対して、必要に応じて導電剤や結着剤等を配合して正極合材を調製し、これを集電体に圧着することにより正極を作製することができる。集電体としては、好ましくはステンレスメッシュ、アルミ箔等を用いることができる。導電剤としては、好ましくはアセチレンブラック、ケッチェンブラック等を用いることができる。結着剤としては、好ましくはテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等を用いることができる。
正極合材における正極活物質、導電剤及び結着剤等の配合は特に限定されない。通常、導電剤が1〜30重量%程度(好ましくは5〜25重量%)、結着剤が0〜30重量%(好ましくは3〜10重量%)とし、残部が正極活物質となるように配合することが好ましい。
本発明のリチウム二次電池において、上記正極に対する対極としては、例えば金属リチウム、リチウム合金等の金属系材料、及び、黒鉛、MCMB(メソカーボンマイクロビーズ)等の炭素系材料等、負極として機能し、リチウムを吸蔵・放出可能な公知のものを採用することができる。
また、セパレータや電池容器等も、公知の電池要素を採用することができる。
さらに、電解質としても公知の電解液や固体電解質等を採用することができる。例えば、電解液としては、過塩素酸リチウム、6フッ化リン酸リチウム等の電解質を、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)等の溶媒に溶解させたものを用いることができる。
また、全固体型リチウム二次電池についても、本発明のリチウム複合酸化物を主成分とする正極活物質を用いる以外は、公知の全固体型リチウム二次電池と同様の構造とすればよい。
全固体型リチウム二次電池の場合、電解質としては、例えば、ポリエチレンオキサイド系の高分子化合物、ポリオルガノシロキサン鎖もしくはポリオキシアルキレン鎖の少なくとも一種以上を含む高分子化合物等のポリマー系固体電解質の他、硫化物系固体電解質、酸化物系固体電解質等を用いることができる。
全固体型リチウム二次電池の正極については、例えば、上記した正極活物質、導電剤及びバインダーに加えて固体電解質を含む正極合剤をアルミニウム、ニッケル、ステンレス等の正極集電体に担持させればよい。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
[出発物質Na0.68Ni0.33Mn0.66の合成]
純度98.5%以上の酢酸ナトリウム(CHCOONa)粉末と、純度99.9%以上の水酸化ニッケル(II)(Ni(OH))粉末と、純度99.9%以上の酸化マンガン(III)(Mn)とを、モル比Na:Ni:Mn=0.697:0.333:0.667となるように秤量した。これらを乳鉢にてエタノールに分散させ混合した。その後、ペレット化し、JIS規格金製るつぼに充填した。管状電気炉を用いて、酸素雰囲気中、650℃、10時間の条件で焼成した。
得られた試料について、ICP発光分光分析装置(島津製作所製、商品名ICPS−8000)により化学組成を分析したところ、Na:Ni:Mn=0.68:0.33:0.66であり、Na2/3Ni1/3Mn2/3の化学式で妥当であることが確認された。
さらに、粉末X線回折装置(ブルカー製、商品名D8 ADVANCE)により試料のX線回折パターンを測定したところ、菱面体晶系で空間群R3mの層状岩塩型構造であることが確認された。この粉末X線回折図形を図4に示す。図4中、横軸は2θ(°/CuKα)を表し、縦軸は任意単位のピーク強度を表しており、数値は各ピークの面指数を表している。また、図4中、副生相であるNiOのピークを三角で示している。
各指数とその面間隔を用いて、最小二乗法により格子定数を求めたところ、以下の値となり、P3構造を有する公知のNa2/3Ni1/3Mn2/3の値と良く一致していた(例えば、Z.Lu et al.,Chem.Mater.,12,3583(2000)参照)。
a=2.8865Å(誤差:0.0001Å以内)
c=16.781Å(誤差:0.001Å以内)
以上により、P3構造を有するNa0.68Ni0.33Mn0.66多結晶体(図2)を得た。
[前駆体Li0.66Ni0.33Mn0.66の合成]
上記で合成された出発物質Na0.68Ni0.33Mn0.66多結晶体と、純度99%以上の硝酸リチウム(LiNO)粉末及び純度99%以上の塩化リチウム(LiCl)の混合物(モル比88:12)とを、重量比でNa0.68Ni0.33Mn0.66:(LiNO+LiCl)=1:7となるように秤量した。次いで、これらを乳鉢中で混合した後、アルミナ製るつぼに充填し、電気炉を用いて空気雰囲気下、260℃で1時間保持することにより、リチウムイオン交換処理を実施した。その後、熱したイオン交換水でよく洗浄し、自然乾燥した。
得られた試料について、化学組成を分析したところ、Na:Li:Ni:Mn:=0.0018:0.66:0.33:0.66であり、Li2/3Ni1/3Mn2/3の化学式で妥当であることが確認された。
さらに、粉末X線回折測定により、菱面体晶系で空間群R−3mの層状岩塩型構造であることが確認された。この粉末X線回折図形を図4に示す。また、各指数とその面間隔を用いて、最小二乗法により格子定数を求めたところ、以下の値となり、O3構造を有する公知のLi2/3Ni1/3Mn2/3の値と良く一致していた(例えば、Z.Lu et al.,Chem.Mater.,12,3583(2000)参照)。
a=2.8666Å(誤差:0.0001Å以内)
c=14.470Å(誤差:0.001Å以内)
c/a=5.048
以上により、O3構造を有するLi0.66Ni0.33Mn0.66多結晶体(図1)を得た。
このようにして得られた前駆体Li0.66Ni0.33Mn0.66の粒子形状を走査型電子顕微鏡(SEM)(キーエンス製、商品名VE−8800)により調べたところ、前駆体Li0.66Ni0.33Mn0.66は、一次粒子径が500nm程度の一次粒子から構成されていることが明らかとなった。前駆体Li0.66Ni0.33Mn0.66の走査型電子顕微鏡写真を図5に示す。
[500℃熱処理Li0.66Ni0.33Mn0.68の作製]
上記により得られた前駆体Li0.66Ni0.33Mn0.66多結晶体を粉砕し、その粉砕物をアルミナ製るつぼに充填し、電気炉を用いて空気雰囲気下、500℃で5時間保持することにより、熱処理を行った。なお、400℃までの冷却速度を6℃/minとし、その後、炉内放冷により室温に戻した。
得られた試料について、化学組成を分析したところ、Na:Li:Ni:Mn:=0.0019:0.66:0.33:0.68であり、Li2/3Ni1/3Mn2/3の化学式で妥当であることが確認された。
さらに、粉末X線回折測定により、菱面体晶系で空間群R−3mの層状岩塩型構造であることが確認された。この粉末X線回折図形を図4に示す。また、各指数とその面間隔を用いて、最小二乗法により格子定数を求めたところ、以下の値となった。
a=2.8855Å(誤差:0.0002Å以内)
c=14.238Å(誤差:0.002Å以内)
c/a=4.934
以上により、O3構造を有する500℃熱処理Li0.66Ni0.33Mn0.68を得た。
このようにして得られた500℃熱処理Li0.66Ni0.33Mn0.68の粒子形状を走査型電子顕微鏡(SEM)(キーエンス製、商品名VE−8800)により調べたところ、500℃熱処理Li0.66Ni0.33Mn0.68は、前駆体Li0.66Ni0.33Mn0.66の形状が維持されており、一次粒子径が500nm程度の一次粒子から構成されていることが明らかとなった。500℃熱処理Li0.66Ni0.33Mn0.68の走査型電子顕微鏡写真を図6に示す。
実施例1の500℃熱処理Li0.66Ni0.33Mn0.68を用いて、以下の方法でリチウム二次電池を作製し、電気化学特性を評価した。また、比較例1として、実施例1で熱処理を行う前の前駆体Li0.66Ni0.33Mn0.66多結晶体(以下、「未熱処理Li0.66Ni0.33Mn0.66」とする)を用いて電気化学特性を評価した。
[リチウム二次電池の作製]
実施例1の500℃熱処理Li0.66Ni0.33Mn0.68及び比較例1の未熱処理Li0.66Ni0.33Mn0.66をそれぞれ活物質とし、導電剤としてアセチレンブラック、結着剤としてテトラフルオロエチレンを、重量比で5:5:1となるように混合し、Alメッシュに圧着させ電極を作成した。それぞれの電極に対して、リチウム金属を対極、6フッ化リン酸リチウムをエチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)との混合溶媒(体積比1:2)に溶解させた1M溶液を電解液とする、図3に示す構造のリチウム二次電池(コイン型セル)を作製した。電池の作製は、公知のセルの構成・組み立て方法に従って行った。以下の実施例でも同様である。
[充放電試験]
作製した各リチウム二次電池について、25℃の温度条件下で、電流密度15mA/g、4.8V〜2.0Vのカットオフ電位で充放電試験(電気化学的リチウム挿入・脱離試験)を行い、充放電特性を評価した。以下の実施例でも同様である。
[充放電サイクル試験]
作製した各リチウム二次電池について、充放電サイクル試験を行い、サイクル特性を評価した。測定条件は、25℃の温度条件下で電流密度を15mA/gとし、4.8V〜2.0Vのカットオフ電位とした。サイクル数は2とした。以下の実施例でも同様である。
図7に、実施例1及び比較例1における充放電に伴う電圧変化を示す。図7においては、容量が大きくなるに従ってセル電圧が低くなる曲線が放電時(リチウム挿入時)の電圧変化を示し、容量が大きくなるに従って電圧が高くなる曲線が充電時(リチウム脱離時)の電圧変化を示している(以下の図も同様)。
図7に示すように、未熱処理Li0.66Ni0.33Mn0.66(比較例1)を用いたリチウム二次電池では、初期放電容量が193mAh/gであった。また、4.0V付近に電位平坦部を有しているものの、リチウム挿入時の電圧降下が大きいことが判明した。
これに対し、500℃熱処理Li0.66Ni0.33Mn0.68(実施例1)を用いたリチウム二次電池では、初期放電容量が257mAh/gという高容量が得られることが判明した。また、4.6V付近に電位平坦部を有し、リチウム挿入時の電圧降下が小さいことも判明した。
図7に示す結果から、O3構造を有するリチウム複合酸化物に対して熱処理を行うことで、リチウム二次電池を高容量かつ高電圧にすることができ、エネルギー密度を向上できることが確認された。
図8に、実施例1における充放電サイクル試験の結果を示す。図8においては、1サイクル目の電圧変化を実線で示し、2サイクル目の電圧変化を点線で示している(以下の図も同様)。
図8に示すように、500℃熱処理Li0.66Ni0.33Mn0.68(実施例1)を用いたリチウム二次電池では、2サイクル後においても放電容量がそれほど低下しないことが判明した。
図8に示す結果から、O3構造を有するリチウム複合酸化物に対して熱処理を行うことで、リチウム二次電池のサイクル特性を向上させることができ、長寿命化できることが確認された。
(実施例2〜6)
実施例1で得られた前駆体Li0.66Ni0.33Mn0.66多結晶体に対して、熱処理温度をそれぞれ300℃、400℃、600℃、700℃及び800℃として熱処理を行った。熱処理温度以外の条件は実施例1と同じである。
得られた試料について、化学組成を分析したところ、すべての実施例がLi2/3Ni1/3Mn2/3の化学式で妥当であることが確認された。各実施例の結果を表1に示す。
さらに、粉末X線回折測定により、すべての実施例が菱面体晶系で空間群R−3mの層状岩塩型構造であることが確認された。実施例1〜6の粉末X線回折図形を図9に示す。また、各指数とその面間隔を用いて、最小二乗法により格子定数を求めた。
実施例1〜6及び比較例1の化学組成及び格子定数を表2に示す。なお、a軸長の誤差は0.0002Å以内(実施例1〜4)又は0.0001Å以内(実施例5及び6、比較例1)であり、c軸長の誤差は0.002Å以内(実施例1〜6)又は0.0001Å以内(比較例1)である。
図9及び表2に示す結果から、熱処理温度が高くなるほどc軸長が短くなることが判明した。
図10に、実施例1〜6及び比較例1における充放電に伴う電圧変化を示す。
図10に示すように、300〜800℃で熱処理を行った実施例1〜6では、初期放電容量が240〜260mAh/g程度の高容量が得られることが判明した。また、熱処理温度が高くなるほどリチウム挿入時の電圧降下が大きくなる傾向があるものの、熱処理を行っていない比較例1よりも電圧降下の程度は小さいことも判明した。
図10に示す結果から、熱処理温度を変更しても、リチウム二次電池を高容量かつ高電圧にすることができ、エネルギー密度を向上できることが確認された。
また、実施例2〜6について充放電サイクル試験を行ったところ、実施例1と同様に、2サイクル後においても放電容量がそれほど低下しないことが確認された。
(実施例7)
[前駆体Li0.60Na0.011Ni0.33Mn0.66の合成]
純度99.9%以上の臭化リチウム(LiBr)粉末を純度99.5%の脱水エタノールに溶解させた溶液を準備し、この溶液へ、上記で合成された出発物質Na0.68Ni0.33Mn0.66多結晶体を投入した。このとき、重量比でNa0.68Ni0.33Mn0.66:LiBr=1:5となるように溶液を調製した。次いで、ジムロート冷却器を用いて140℃で5時間還流加熱することにより、リチウムイオン交換処理を実施した。その後、イオン交換水でよく洗浄し、自然乾燥した。
得られた試料について、化学組成を分析したところ、Na:Li:Ni:Mn:=0.011:0.60:0.33:0.66であった。実施例1と比べて、出発物質中のナトリウムがリチウムに交換される量が少なく、ナトリウムが残留していると考えられる。また、アルカリ金属の化学組成が合わないのは、イオン交換水で洗浄した際に、ナトリウム又はリチウムの一部が水素(プロトン)と交換されるためと考えられる。なお、エタノールで洗浄した際には化学組成は一致する。
さらに、粉末X線回折測定により、菱面体晶系で空間群R−3mの層状岩塩型構造であることが確認された。また、各指数とその面間隔を用いて、最小二乗法により格子定数を求めたところ、以下の値となった。
a=2.8679Å(誤差:0.0001Å以内)
c=14.486Å(誤差:0.001Å以内)
c/a=5.051
以上により、O3構造を有するLi0.60Na0.011Ni0.33Mn0.66多結晶体(図1)を得た。
[500℃熱処理Li0.59Na0.010Ni0.33Mn0.66の作製]
上記により得られた前駆体Li0.60Na0.011Ni0.33Mn0.66多結晶体に対して、実施例1と同じ条件で熱処理を行った。
得られた試料について、化学組成を分析したところ、Na:Li:Ni:Mn:=0.010:0.59:0.33:0.66であった。
さらに、粉末X線回折測定により、菱面体晶系で空間群R−3mの層状岩塩型構造であることが確認された。また、各指数とその面間隔を用いて、最小二乗法により格子定数を求めたところ、以下の値となった。
a=2.8859Å(誤差:0.0002Å以内)
c=14.227Å(誤差:0.002Å以内)
c/a=4.930
以上により、O3構造を有する500℃熱処理Li0.59Na0.010Ni0.33Mn0.66を得た。
(実施例8)
[前駆体Li0.64Na0.034Ni0.33Mn0.66の合成]
純度99.9%以上の臭化リチウム(LiBr)粉末を純度99.8%の脱水メタノールに溶解させた溶液を準備し、この溶液へ、上記で合成された出発物質Na0.68Ni0.33Mn0.66多結晶体を投入した。このとき、重量比でNa0.68Ni0.33Mn0.66:LiBr=1:5となるように溶液を調製した。次いで、ジムロート冷却器を用いて110℃で5時間還流加熱することにより、リチウムイオン交換処理を実施した。その後、エタノールでよく洗浄し、自然乾燥した。
得られた試料について、化学組成を分析したところ、Na:Li:Ni:Mn:=0.034:0.64:0.33:0.66であった。
さらに、粉末X線回折測定により、菱面体晶系で空間群R−3mの層状岩塩型構造であることが確認された。また、各指数とその面間隔を用いて、最小二乗法により格子定数を求めたところ、以下の値となった。
a=2.8645Å(誤差:0.0001Å以内)
c=14.251Å(誤差:0.001Å以内)
c/a=4.975
以上により、O3構造を有するLi0.64Na0.034Ni0.33Mn0.66多結晶体(図1)を得た。
[500℃熱処理Li0.64Na0.034Ni0.33Mn0.66の作製]
上記により得られた前駆体Li0.64Na0.034Ni0.33Mn0.66多結晶体に対して、実施例1と同じ条件で熱処理を行った。
得られた試料について、化学組成を分析したところ、Na:Li:Ni:Mn:=0.034:0.64:0.33:0.66であった。
さらに、粉末X線回折測定により、菱面体晶系で空間群R−3mの層状岩塩型構造であることが確認された。また、各指数とその面間隔を用いて、最小二乗法により格子定数を求めたところ、以下の値となった。
a=2.8838Å(誤差:0.0002Å以内)
c=14.225Å(誤差:0.002Å以内)
c/a=4.932
以上により、O3構造を有する500℃熱処理Li0.64Na0.034Ni0.33Mn0.66を得た。
図11に、実施例1、実施例7及び実施例8における充放電に伴う電圧変化を示す。
図11に示すように、リチウム複合酸化物にナトリウムが含まれている実施例7及び8では、初期放電容量がそれぞれ264mAh/g及び268mAh/gという高容量が得られることが判明した。
図11に示す結果から、残留するナトリウムの量がリチウム二次電池の電気化学特性に寄与することが示唆されている。
(実施例9)
実施例1で得られた前駆体Li0.66Ni0.33Mn0.66多結晶体に対して、アルゴン雰囲気下で熱処理を行った。また、400℃までの冷却速度を3℃/minとした。熱処理雰囲気及び冷却速度以外の熱処理雰囲気条件は実施例1と同じである。
得られた試料について、化学組成を分析したところ、Na:Li:Ni:Mn:=0.0019:0.66:0.33:0.68であった。
さらに、粉末X線回折測定により、菱面体晶系で空間群R−3mの層状岩塩型構造であることが確認された。また、各指数とその面間隔を用いて、最小二乗法により格子定数を求めたところ、以下の値となった。
a=2.8880Å(誤差:0.0002Å以内)
c=14.201Å(誤差:0.002Å以内)
c/a=4.917
(実施例10)
実施例1で得られた前駆体Li0.66Ni0.33Mn0.66多結晶体に対して、酸素雰囲気下で熱処理を行った。また、400℃までの冷却速度を3℃/minとした。熱処理雰囲気及び冷却速度以外の熱処理雰囲気条件は実施例1と同じである。
得られた試料について、化学組成を分析したところ、Na:Li:Ni:Mn:=0.0019:0.66:0.33:0.68であった。
さらに、粉末X線回折測定により、菱面体晶系で空間群R−3mの層状岩塩型構造であることが確認された。また、各指数とその面間隔を用いて、最小二乗法により格子定数を求めたところ、以下の値となった。
a=2.8852Å(誤差:0.0002Å以内)
c=14.232Å(誤差:0.002Å以内)
c/a=4.933
図12に、実施例1、実施例9及び実施例10における充放電に伴う電圧変化を示す。
図12に示すように、アルゴン雰囲気下で熱処理を行った実施例9では、初期放電容量は254mAh/gであり、空気雰囲気下で熱処理を行った実施例1よりも僅かに小さいことが判明した。一方、酸素雰囲気下で熱処理を行った実施例10では、初期放電容量は263mAh/gであり、実施例1よりも大きいことが判明した。
図12に示す結果から、熱処理雰囲気がリチウム二次電池の電気化学特性に寄与することが示唆されている。酸素雰囲気下で熱処理を行った場合に高容量が得られていることから、リチウム複合酸化物中の酸素欠損の量が少ないほど、リチウム二次電池を高容量にできるのではないかと推察される。
(実施例11)
実施例1で得られた前駆体Li0.66Ni0.33Mn0.66多結晶体に対して、400℃までの冷却速度を3℃/minとして熱処理を行った。冷却速度以外の条件は実施例1と同じである。
得られた試料について、化学組成を分析したところ、Na:Li:Ni:Mn:=0.0019:0.66:0.33:0.68であった。
さらに、粉末X線回折測定により、菱面体晶系で空間群R−3mの層状岩塩型構造であることが確認された。また、各指数とその面間隔を用いて、最小二乗法により格子定数を求めたところ、以下の値となった。
a=2.8876Å(誤差:0.0002Å以内)
c=14.213Å(誤差:0.002Å以内)
c/a=4.922
図13に、実施例1及び実施例11における充放電に伴う電圧変化を示す。
図13に示すように、冷却速度を3℃/minとして熱処理を行った実施例11では、初期放電容量は263mAh/gであり、冷却速度を6℃/minとして熱処理を行った実施例1よりも大きいことが判明した。
図13に示す結果から、冷却速度がリチウム二次電池の電気化学特性に寄与することが示唆されている。ここで、実施例11(冷却速度3℃/min)では、実施例10(酸素雰囲気)と同等の初期放電容量が得られている。また、実施例11の結晶構造を検討したところ、実施例10の結晶構造であることが確認された。そのため、実施例11においても、酸素欠損の量が少ない構造となっているのではないかと推察される。
(実施例12)
[出発物質Na0.61Ni0.20Mn0.80の合成]
純度98.5%以上の酢酸ナトリウム(CHCOONa)粉末と、純度99.9%以上の水酸化ニッケル(II)(Ni(OH))粉末と、純度99.9%以上の酸化マンガン(III)(Mn)とを、モル比Na:Ni:Mn=0.70:0.20:0.80となるように秤量した。これらを乳鉢にてエタノールに分散させ混合した。その後、ペレット化し、JIS規格金製るつぼに充填した。管状電気炉を用いて、酸素雰囲気中、650℃、10時間の条件で焼成した。
得られた試料について、化学組成を分析したところ、Na:Ni:Mn=0.61:0.20:0.80であった。ナトリウムの化学組成が合わないのは、酢酸ナトリウムが蒸発したため、及び、室温まで徐冷した際に、空気中の水分のプロトンとナトリウムがイオン交換されたためと考えられる。
さらに、粉末X線回折測定により、菱面体晶系で空間群R3mの層状岩塩型構造であることが確認された。この粉末X線回折図形を図14に示す。
また、各指数とその面間隔を用いて、最小二乗法により格子定数を求めたところ、以下の値となり、P3構造を有する公知のNa0.7Ni0.2Mn0.8の値と良く一致していた(例えば、M.Dolle et al.,Chem.Mater.,17,1036(2000)参照)。
a=2.8708Å(誤差:0.0001Å以内)
c=16.886Å(誤差:0.001Å以内)
以上により、P3構造を有するNa0.61Ni0.20Mn0.80多結晶体を得た。
[前駆体Li0.49Na0.010Ni0.20Mn0.80の合成]
純度99.9%以上の臭化リチウム(LiBr)粉末を純度99.5%の脱水エタノールに溶解させた溶液を準備し、この溶液へ、上記で合成された出発物質Na0.61Ni0.20Mn0.80多結晶体を投入した。このとき、重量比でNa0.61Ni0.20Mn0.80:LiBr=1:5となるように溶液を調製した。次いで、ジムロート冷却器を用いて140℃で5時間還流加熱することにより、リチウムイオン交換処理を実施した。その後、イオン交換水でよく洗浄し、自然乾燥した。
得られた試料について、化学組成を分析したところ、Na:Li:Ni:Mn:=0.010:0.49:0.20:0.80であった。前駆体においては、出発物質中のナトリウムがリチウムに交換される量が少なく、ナトリウムが残留していると考えられる。また、アルカリ金属の化学組成が合わないのは、イオン交換水で洗浄した際に、ナトリウム又はリチウムの一部が水素(プロトン)と交換されるためと考えられる。
さらに、粉末X線回折測定により、菱面体晶系で空間群R−3mの層状岩塩型構造であることが確認された。この粉末X線回折図形を図14に示す。また、各指数とその面間隔を用いて、最小二乗法により格子定数を求めたところ、以下の値となった。
a=2.8670Å(誤差:0.0001Å以内)
c=14.529Å(誤差:0.001Å以内)
c/a=5.068
以上により、O3構造を有するLi0.49Na0.010Ni0.20Mn0.80多結晶体(図1)を得た。
[500℃熱処理Li0.49Na0.010Ni0.20Mn0.80の作製]
上記により得られた前駆体Li0.49Na0.010Ni0.20Mn0.80多結晶体を粉砕し、その粉砕物をアルミナ製るつぼに充填し、電気炉を用いて空気雰囲気下、500℃で5時間保持することにより、熱処理を行った。なお、400℃までの冷却速度を6℃/minとし、その後、炉内放冷により室温に戻した。
得られた試料について、化学組成を分析したところ、Na:Li:Ni:Mn:=0.010:0.49:0.20:0.80であった。
さらに、粉末X線回折測定により、菱面体晶系で空間群R−3mの層状岩塩型構造であることが確認された。この粉末X線回折図形を図14に示す。また、各指数とその面間隔を用いて、最小二乗法により格子定数を求めたところ、以下の値となった。
a=2.8868Å(誤差:0.0002Å以内)
c=14.165Å(誤差:0.003Å以内)
c/a=4.907
以上により、O3構造を有する500℃熱処理Li0.49Na0.010Ni0.20Mn0.80を得た。
実施例12の500℃熱処理Li0.49Na0.010Ni0.20Mn0.80を用いて、実施例1と同じ方法でリチウム二次電池を作製し、電気化学特性を評価した。また、比較例2として、実施例12で熱処理を行う前の前駆体Li0.49Na0.010Ni0.20Mn0.80多結晶体(以下、「未熱処理Li0.49Na0.010Ni0.20Mn0.80」とする)を用いて電気化学特性を評価した。
図15に、実施例12及び比較例2における充放電に伴う電圧変化を示す。
図15に示すように、未熱処理Li0.49Na0.010Ni0.20Mn0.80(比較例2)を用いたリチウム二次電池では、初期放電容量が241mAh/gであった。また、リチウム挿入時の電圧降下が大きいことが判明した。
これに対し、500℃熱処理Li0.49Na0.010Ni0.20Mn0.80(実施例12)を用いたリチウム二次電池では、初期放電容量が265mAh/gという高容量が得られることが判明した。また、4.7V付近に電位平坦部を有し、リチウム挿入時の電圧降下が小さいことも判明した。
図15に示す結果から、実施例1よりもニッケル量が少ないリチウム複合酸化物についても、熱処理を行うことで、リチウム二次電池を高容量かつ高電圧にすることができ、エネルギー密度を向上できることが確認された。
図16に、実施例12における充放電サイクル試験の結果を示す。
図16に示すように、500℃熱処理Li0.49Na0.010Ni0.20Mn0.80(実施例12)を用いたリチウム二次電池では、2サイクル後において放電容量が低下することが判明した。
図16に示す結果から、サイクル特性については、ニッケル量が少ない実施例12よりもニッケル量が多い実施例1の方が良好であることが確認された。
(実施例13)
[出発物質Na0.76Ni0.50Mn0.50の合成]
純度98.5%以上の酢酸ナトリウム(CHCOONa)粉末と、純度99.9%以上の水酸化ニッケル(II)(Ni(OH))粉末と、純度99.9%以上の酸化マンガン(III)(Mn)とを、モル比Na:Ni:Mn=1.05:0.500:0.500となるように秤量した。これらを乳鉢にてエタノールに分散させ混合した。その後、ペレット化し、白金製ボートに充填した。管状電気炉を用いて、空気雰囲気中、800℃、20時間の条件で焼成した後、液体窒素を用いてクエンチ(急冷)を行った。
得られた試料について、粉末X線回折測定を行ったところ、菱面体晶系で空間群R−3mの層状岩塩型構造であることが確認された。また、各指数とその面間隔を用いて、最小二乗法により格子定数を求めたところ、以下の値となり、O3構造を有する公知のNa1.0Ni0.5Mn0.5の値と良く一致していた(例えば、Xin Xia et al.,J.Electrochem.Soc.,159,A1048(2012)参照)。
a=2.9650Å(誤差:0.0003Å以内)
c=15.9031Å(誤差:0.004Å以内)
その後、得られた試料に対して化学的酸化処理を行った。具体的には、ヨウ素(I)をアセトニトリル中に溶解させた0.10mol/kg溶液中に得られた試料を投入し、25℃、4時間、500rpmにて撹拌した。
化学的酸化処理を行った試料について、化学組成を分析したところ、Na:Ni:Mn=0.76:0.50:0.50であった。
さらに、粉末X線回折測定により、菱面体晶系で空間群R3mの層状岩塩型構造であることが確認された。この粉末X線回折図形を図17に示す。
また、各指数とその面間隔を用いて、最小二乗法により格子定数を求めたところ、以下の値となり、P3構造を有する公知のNa0.7Ni0.5Mn0.5の値と良く一致していた(例えば、S.Komaba et al.,Inorg.Chem.,51,6211(2012)参照)。
a=2.8822Å(誤差:0.0002Å以内)
c=16.723Å(誤差:0.003Å以内)
以上により、P3構造を有するNa0.76Ni0.50Mn0.50多結晶体を得た。
[前駆体Li0.73Na0.038Ni0.50Mn0.50の合成]
純度99.9%以上の臭化リチウム(LiBr)粉末を純度99.5%の脱水エタノールに溶解させた溶液を準備し、この溶液へ、上記で合成された出発物質Na0.76Ni0.50Mn0.50多結晶体を投入した。このとき、重量比でNa0.76Ni0.50Mn0.50:LiBr=1:5となるように溶液を調製した。次いで、ジムロート冷却器を用いて140℃で5時間還流加熱することにより、リチウムイオン交換処理を実施した。その後、イオン交換水でよく洗浄し、自然乾燥した。
得られた試料について、化学組成を分析したところ、Na:Li:Ni:Mn:=0.038:0.73:0.50:0.50であった。
さらに、粉末X線回折測定により、菱面体晶系で空間群R−3mの層状岩塩型構造であることが確認された。この粉末X線回折図形を図17に示す。また、各指数とその面間隔を用いて、最小二乗法により格子定数を求めたところ、以下の値となった。
a=2.8965Å(誤差:0.0001Å以内)
c=14.327Å(誤差:0.001Å以内)
c/a=4.946
以上により、O3構造を有するLi0.73Na0.038Ni0.50Mn0.50多結晶体(図1)を得た。
[500℃熱処理Li0.73Na0.038Ni0.50Mn0.50の作製]
上記により得られた前駆体Li0.73Na0.038Ni0.50Mn0.50多結晶体を粉砕し、その粉砕物をアルミナ製るつぼに充填し、電気炉を用いて空気雰囲気下、500℃で5時間保持することにより、熱処理を行った。なお、400℃までの冷却速度を6℃/minとし、その後、炉内放冷により室温に戻した。
得られた試料について、化学組成を分析したところ、Na:Li:Ni:Mn:=0.038:0.73:0.50:0.50であった。
さらに、粉末X線回折測定により、菱面体晶系で空間群R−3mの層状岩塩型構造であることが確認された。この粉末X線回折図形を図17に示す。また、各指数とその面間隔を用いて、最小二乗法により格子定数を求めたところ、以下の値となった。
a=2.8952Å(誤差:0.0001Å以内)
c=14.316Å(誤差:0.001Å以内)
c/a=4.945
以上により、O3構造を有する500℃熱処理Li0.73Na0.038Ni0.50Mn0.50を得た。
実施例13の500℃熱処理Li0.73Na0.038Ni0.50Mn0.50を用いて、実施例1と同じ方法でリチウム二次電池を作製し、電気化学特性を評価した。また、比較例3として、実施例13で熱処理を行う前の前駆体Li0.73Na0.038Ni0.50Mn0.50多結晶体(以下、「未熱処理Li0.73Na0.038Ni0.50Mn0.50」とする)を用いて電気化学特性を評価した。
図18に、実施例13及び比較例3における充放電に伴う電圧変化を示す。
図18に示すように、未熱処理Li0.73Na0.038Ni0.50Mn0.50(比較例3)を用いたリチウム二次電池では、初期放電容量が163mAh/gであった。また、リチウム挿入時の電圧降下が大きいことが判明した。
これに対し、500℃熱処理Li0.73Na0.038Ni0.50Mn0.50(実施例13)を用いたリチウム二次電池では、初期放電容量が218mAh/gであり、比較例3よりも高くなることが判明した。また、比較例3に比べて、リチウム挿入時の電圧降下が小さいことも判明した。
図18に示す結果から、実施例1よりもニッケル量が多いリチウム複合酸化物についても、熱処理を行うことで、リチウム二次電池を高容量かつ高電圧にすることができ、エネルギー密度を向上できることが確認された。
図19に、実施例13における充放電サイクル試験の結果を示す。
図19に示すように、500℃熱処理Li0.73Na0.038Ni0.50Mn0.50(実施例13)を用いたリチウム二次電池では、2サイクル後において放電容量がそれほど低下しないことが判明した。
図19に示す結果から、実施例1よりもニッケル量が多いリチウム複合酸化物についても、熱処理を行うことで、リチウム二次電池のサイクル特性を向上させることができ、長寿命化できることが確認された。
図20に、実施例7、実施例12及び実施例13における充放電に伴う電圧変化を示す。
図20に示す結果から、ニッケル量がリチウム二次電池の電気化学特性に寄与することが示唆されている。
以上の結果から、式(LiNa)NiMn1−y2−z(式中、0≦v<0.2、0≦w<0.04、0.4<x<0.8、0.6<x+v+w<0.8、0.2≦y≦0.5、0≦z<0.13)で表され、結晶構造が菱面体晶系で空間群R−3mの層状岩塩型構造であり、六方晶格子を用いた格子定数が2.86Å<a<2.91Å、14.1Å<c<14.4Åを満たすリチウム複合酸化物を用いたリチウム二次電池は、従来のリチウム二次電池よりも高エネルギー密度かつ長寿命にすることが可能であると考えられる。
1 リチウム二次電池
2 負極端子
3 負極
4 電解液が含浸されたセパレータ
5 絶縁パッキング
6 正極
7 正極缶

Claims (10)

  1. 式(LiNa)NiMn1−y2−z(式中、0≦v<0.2、0≦w<0.04、0.4<x<0.8、0.6<x+v+w<0.8、0.2≦y≦0.5、0≦z<0.13)で表され、結晶構造が菱面体晶系で空間群R−3mの層状岩塩型構造であり、六方晶格子を用いた格子定数が2.86Å<a<2.91Å、14.1Å<c<14.4Åを満たすことを特徴とするリチウム複合酸化物。
  2. 前記格子定数は、4.89<(c/a)<5.00を満たす請求項1に記載のリチウム複合酸化物。
  3. 請求項1又は2に記載のリチウム複合酸化物の製造方法であって、
    前記リチウム複合酸化物は、下記前駆体を熱処理することによって合成されることを特徴とするリチウム複合酸化物の製造方法。
    前駆体:式(LiNa)NiMn1−y(式中、0≦v<0.25、0≦w<0.04、0.4<x<0.8、0.6<x+v+w<0.8、0.2≦y≦0.5)で表され、結晶構造が菱面体晶系で空間群R−3mの層状岩塩型構造であり、六方晶格子を用いた格子定数において、熱処理後よりもc軸長が長いリチウム複合酸化物。
  4. 前記前駆体の熱処理は、300℃以上800℃以下の温度範囲で行われる請求項3に記載のリチウム複合酸化物の製造方法。
  5. 前記前駆体は、下記出発物質のナトリウムをリチウムに交換するイオン交換によって合成される請求項3又は4に記載のリチウム複合酸化物の製造方法。
    出発物質:式(Na)NiMn1−y(式中、0≦v<0.1、0.6<x+v<0.8、0.2≦y≦0.5)で表され、結晶構造が菱面体晶系で空間群R3mの層状岩塩型構造であるナトリウム複合酸化物。
  6. 前記イオン交換は、前記出発物質とリチウム化合物とを混合して加熱することで行われる請求項5に記載のリチウム複合酸化物の製造方法。
  7. 前記イオン交換は、リチウム化合物を含む溶液中に前記出発物質を加えることで行われる請求項5に記載のリチウム複合酸化物の製造方法。
  8. 前記イオン交換に用いられるリチウム化合物が、硝酸リチウム、塩化リチウム、臭化リチウム、水酸化リチウム及びヨウ化リチウムからなる群より選択される少なくとも1種である請求項6又は7に記載のリチウム複合酸化物の製造方法。
  9. 請求項1又は2に記載のリチウム複合酸化物を主成分とすることを特徴とするリチウム二次電池用正極活物質。
  10. 正極と、負極と、電解質と、を含んで構成されるリチウム二次電池であって、
    請求項1又は2に記載のリチウム複合酸化物を主成分とする正極活物質を前記正極に含有することを特徴とするリチウム二次電池。
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