JP5051770B2 - リチウム二次電池用正極材料及びその製造方法、ならびにそれを用いたリチウム二次電池 - Google Patents

リチウム二次電池用正極材料及びその製造方法、ならびにそれを用いたリチウム二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、リチウム二次電池用正極材料及びその製造方法、ならびにその材料を正極活物質として含むリチウム二次電池に関する。
現在我が国においては、携帯電話、ノートパソコンなどの携帯型電子機器に搭載されている二次電池のほとんどは、リチウム二次電池である。また、リチウム二次電池は、今後電気自動車、電力負荷平準化システムなどの大型電池としても実用化されるものと予測されており、その重要性はますます高まっている。
このリチウム二次電池は、リチウム含有遷移金属複合酸化物を活物質とする正極と、リチウム金属、リチウム合金、金属酸化物あるいはカーボンのような、リチウムを吸蔵・放出することが可能な材料を活物質とする負極と、非水系電解液を含むセパレータまたは固体電解質を主要構成要素とする。
これらの構成要素のうち、正極活物質として検討されているものには、層状岩塩型リチウムコバルト酸化物(LiCoO)、層状岩塩型リチウムニッケル酸化物(LiNiO)、スピネル型リチウムマンガン酸化物(LiMn)等が挙げられる。
特に、層状岩塩型リチウムコバルト酸化物LiCoOは、これを正極に用いた二次電池の作動電圧(正極中の遷移金属の酸化還元電位と負極元素の酸化還元電位との差)、充放電容量(正極から脱離・挿入可能なリチウム量)などの電池性能に優れ、リチウム二次電池の正極構成材料として今後の需要が一層増大するものと予測されている。
しかしながら、この化合物は、稀少金属であるコバルトを主成分として含むために、リチウム二次電池の高コストの要因の一つとなっている。さらに、現在すでに全世界のコバルト生産量の約20%が電池産業において用いられていることを考慮すれば、LiCoOからなる正極材料のみでは、今後の需要拡大に対応可能かどうかは、不明である。
また、コバルトよりも安価なニッケルを用いた層状岩塩型リチウムニッケル酸化物LiNiOは、コスト的にも容量的にも有利であり、リチウムコバルト酸化物の有力な代替材料として開発が進められている。しかしながら、このリチウムニッケル酸化物を正極活物質に用いたリチウム二次電池は、充電状態での正極活物質の不安定性から、高温に保持すると分解、発熱、発火などの危険性を有しており、安全性に関して解決しなければならない問題が多く残っている。
また、前記コバルト系酸化物代替の材料という観点からは、資源的な制約が少なくかつ安価なマンガン酸化物を原料として使用し、さらに、Mn3+とMn4+の酸化還元反応に伴うマンガンと酸素の化学結合の変化に耐えるようなマンガン系正極材料が、有望な材料である。
このうち、スピネル型リチウムマンガン酸化物LiMnは、コバルトやニッケルよりもさらに安価なマンガンを用いており、かつ充電状態での安全性にも優れていることから、一部はLiCoOに代替して実用化されている。しかしながら、LiCoOやLiNiOと比べて容量が小さいことが問題となっている。また、50℃以上におけるマンガンの電解液への溶解に起因する顕著な特性劣化という問題点も有しているので、この材料によるLiCoOの代替は、予期された程には進展していない。
一方、結晶構造の特徴として、一次元のトンネル構造をとるNa0.44MnOを出発原料として、イオン交換法によってLi0.44MnOを合成する研究も行われている。この化合物は、2種類のサイズの異なるトンネルを有することからイオン拡散が容易と考えられ、例えば高出力(急速な充放電が可能)の正極材料として注目されている。(非特許文献1,2参照)
しかしながら、これまで報告されていた電池電圧は約3V程度であり、電池容量も100mAh/g程度であることから、実用的なレベルには達していなかった。
A.R.Armstrong,H.Huang,R.A.Jennings,P.G.Bruce,J.Mater.Chem.,8,255−259(1998) M.M.Doeff,A.Anapolsky,L.Edman,T.J.Richardson,L.C.De Jonghe,J.Electrochem.Soc.,148,A230−A236(2001)
したがって、現行のリチウム二次電池において、LiCoOに代替しうる正極材料であるか否かは、4V付近にマンガンの3価−4価の酸化還元反応に伴う電圧平坦部を有し、安定に充放電可能なマンガン酸化物系正極材料であるか否かが、その判断基準となる。
本発明者らは、前記のイオン交換処理の温度を上昇させることで、4V領域においても充放電可能で、かつ高容量である新規リチウムマンガン酸化物、およびそのチタン置換体(LiMn1−yTi(0.4<x<0.5、0≦y<0.56)を見出し、先に提案した。(特許文献1〜3参照)
しかしながら、この材料で実現できている放電容量は、炭素負極を使用した電池で4V領域の充放電容量は、初期放電容量において約60mAh/g程度、リチウム負極を使用した電池で150mAh/g程度であり、理論容量(193mAh/g)の実現のためには、さらに容量の改善が必要であった。
特願2004−065402号 特願2004−080970号 特願2004−080971号
一方、電池の更なるエネルギー密度向上の観点から、負極材料にリチウム金属、或いはリチウム合金を使用した電池の検討が行われている。例えば、電池の安全性を確保するために、電解質として固体高分子を使用した「リチウムポリマー二次電池」に関する検討などが多くなされている。この目的のために、リチウム負極の使用において、最大限、性能が発揮されるような正極材料が求められており、高電圧かつ高容量の新規材料開発も合わせて進められている。
また、携帯電子機器等の電源として用いるために、電池自体の軽量化を目的として、各種の負極材料と共に使用可能な正極材料酸化物の構成元素をできるだけ原子量の小さい軽元素に置き換える開発も、合わせて進められている。
前述のスピネル型リチウムマンガン酸化物LiMnは、リチウム負極を使用した電池においては、LiMnの化学組成までリチウム挿入が可能であるが、挿入反応が構造変化を伴うために、急速に容量劣化を引き起こすことが知られており、上記の目的には合致しない。
したがって、本発明は、資源的な制約が少なくかつ安価なマンガン酸化物原料を使用して、上記のような現状の課題を解決し、上述のようなLi0.44MnO型のトンネル構造を有し、かつ、既存の実用正極材料と同等の作動電圧領域(約4V)において、高容量で安定に充放電させることができる新規な正極材料、その製造方法、及びこの材料を正極活物質として含み、各種負極材料を用いたリチウム二次電池を提供することにある。
本発明者は、上記特許文献1〜3に記載された先願発明(以下、これらをまとめて単に「先願発明」という)を含む上記従来技術の問題に鑑みて鋭意検討を重ねてきた。その結果、上記先願発明に係わるリチウムマンガンチタン酸化物LiMn1−yTi(0.4<x<0.5、0≦y<0.56)を原料として、リチウム挿入処理を施すことによって、元の結晶構造を維持したままで、酸化物中のリチウム量を増大させ、ほぼ理論容量に近い値まで、4V領域における容量を大幅に増加させることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記1〜6に示すリチウムマンガンチタン酸化物正極材料、その製造方法、およびそれを用いたリチウム二次電池を提供する。
1.化学組成式としてLixMn1-yTiy2(0.5≦x≦1、0≦y<0.56)で表記され、結晶構造として斜方晶系に属し、リチウムが占有するトンネル構造を有するリチウム、マンガン、チタン、酸素から、又は、リチウム、マンガン、酸素から構成されるリチウム二次電池正極材料。
2.あらかじめ作製されたLixMn1-yTiy2(0.40<x<0.50、0≦y<0.56)を出発原料として、リチウム挿入処理によって製造することを特徴とする1に記載のリチウム二次電池正極材料の製造方法。
3.前記リチウム挿入処理を、リチウム化合物を含有する溶融塩中、或いはリチウム化合物を溶解した有機溶剤または水溶液中において行うことを特徴とする2に記載の正極材料の製造方法。
4.正極、負極及び電解質物質を有するリチウム二次電池の正極を1に記載の正極材料により構成したことを特徴とするリチウム二次電池。
5.電池の負極としてリチウム又はリチウム合金負極を使用し、4Vの電圧範囲で安定に充放電できることを特徴とする4に記載のリチウム二次電池。
6.電池の負極として炭素負極を使用し、4Vの電圧範囲で安定に充放電できることを特徴とする4に記載のリチウム二次電池。
本発明によれば、安価な原料を使用して、リチウム二次電池において、既存のリチウムコバルト酸化物系正極材料と同等の高い作動電圧領域(約4V)において安定に充放電させることができると共に、既存正極リチウムマンガン酸化物スピネルより大きい容量を有する、新規なリチウムマンガンチタン酸化物正極材料を得ることができる。
また、上記リチウムマンガンチタン酸化物正極材料を使用する本発明のリチウム二次電池は、高電圧かつ高容量で、優れた充放電サイクル特性をも発揮することができ、実用性の高いものである。
本発明のリチウム二次電池の1例を示す模式図である。 実施例1及び2で得られた本発明の正極材料のX線粉末回折図形である。 実施例1及び比較例1で得られた電池の初期放電特性を示す図である。 実施例1及び比較例2で得られた電池の初期放電特性を示す図である。 実施例3及び比較例3、4で得られた電池の初期放電特性を示す図である。 実施例4で得られた電池の放電出力特性を示す図である。
符号の説明
1 ボタン型リチウム二次電池
2 負極端子
3 負極
4 セパレータ+電解液
5 絶縁パッキング
6 正極
7 正極缶
(リチウム二次電池用正極材料及びその製造方法)
本発明の基礎となった上記先願発明に係わるリチウムマンガンチタン酸化物LiMn1−yTi(0.40<x<0.50、0≦y<0.56)正極材料および本発明によるLiMn1−yTi(0.5≦x≦1、0≦y<0.56)正極材料は、出発原料であるNaMn1−yTi(0.40<x<0.50、0≦y<0.56)化合物と同様のトンネル構造を有し、マンガンとチタンの割合を上記の組成範囲内で自由に選択できることを特徴とする。
ナトリウム化合物の場合、構造中のナトリウムイオンの静電エネルギーによる反発が原因で、0.40<x<0.50程度しかナトリウムを吸蔵できず、そのことが原因で、ナトリウムをリチウムにイオン交換した先願発明の正極材料においては、必然的にリチウム量は、ナトリウム量とほぼ同じ値であった。しかしながら、ナトリウムと比べて、イオン半径の小さいリチウムの場合、より密にリチウムを吸蔵することが可能となるため、結晶学的に予想される最大リチウム吸蔵量(理論容量)は、x=0.66である。
また、リチウム挿入処理を施した場合、結晶学的に予測されるリチウム席に比して、より多くのリチウムが吸蔵されることが、インターカレーション化学においては、よく知られており、そのようなリチウムも電池反応に寄与することができれば、電池容量の増大が可能となる。
本発明のLiMn1−yTi(0.5≦x≦1、0≦y<0.56)正極材料は、上記先願発明に係わるリチウムマンガンチタン酸化物LiMn1−yTi(0.40<x<0.50、0≦y<0.56)正極材料にリチウム挿入処理を施すことにより、作製可能である。このリチウム挿入処理により、正極材料中の全リチウム量は0.4<x≦1とすることができるが(ただし、xは出発原料中のxよりは大きな値となる)、0.5≦x≦1、特に0.6<x≦1とすることが好ましい。
本発明の正極材料は、結晶構造および製造工程の特徴から、出発原料中に含有するナトリウムを、イオン交換処理およびリチウム挿入処理によって、ほぼ完全にリチウムに置き換えることが可能であることを特徴とする。但し、通常このような方法では、有意、或いは不純物程度のナトリウムが残留してしまうことが知られている。
すなわち、本発明のLiMn1−yTi(0.5≦x≦1、0≦y<0.56)正極材料は、リチウム、マンガン、チタン、及び酸素を主要構成元素として含有することを特徴とするが、本発明の効果を妨げない範囲内でナトリウム等の不純物元素を含有していてもよい。
本発明のLiMn1−yTi(0.5≦x≦1、0≦y<0.56)正極材料は、マンガンとチタンの量を0≦y<0.56の範囲内で自由に選択できることを特徴とする。チタンを置換することは、結晶構造の安定性を高めると共に、充放電反応に寄与する3価のマンガンを増大させる効果があることが先願発明において確認されている。好ましいチタン量は、構造中のリチウム量と相関があるが、0≦y<0.56、より好ましくは0≦y<0.4の範囲内にある。
また、本発明のLiMn1−yTi(0.5≦x≦1、0≦y<0.56)正極材料は、その全体がLi0.44MnO型のトンネル構造を有することが望ましいが、本発明の効果を妨げない範囲内で他の結晶構造が一部含まれていても良い。
つぎに、本発明の製造方法をさらに詳しく説明する。
本発明のLiMn1−yTi(0.5≦x≦1、0≦y<0.56)正極材料は、上記先願発明に係わるリチウムマンガンチタン酸化物LiMn1−yTi(0.40<x<0.50、0≦y<0.56)正極材料を出発原料として作製される。
また、出発原料となるリチウムマンガンチタン酸化物LiMn1−yTi(0.40<x<0.50、0≦y<0.56)正極材料は、ナトリウムマンガンチタン酸化物NaMn1−yTi(0.40<x<0.50、0≦y<0.56)を原料として作製される。
NaMn1−yTi(0.40<x<0.50、0≦y<0.56)化合物は、例えば(1)ナトリウム及びナトリウム化合物の少なくとも1種、(2)マンガン及びマンガン化合物の少なくとも1種、(3)チタン及びチタン化合物の少なくとも1種を含有する混合物を焼成することによって製造することができる。
ナトリウム原料としては、ナトリウム(金属ナトリウム)およびナトリウム化合物の少なくとも1種を用いる。ナトリウム化合物としては、ナトリウムを含有するものであれば特に制限されず、例えばNaO、Na等の酸化物、NaCO、NaNO等の塩類、NaOHなどの水酸化物等が挙げられる。これらの中でも、特にNaCO等が好ましい。
マンガン原料としては、マンガン(金属マンガン)及びマンガン化合物の少なくとも1種を用いる。マンガン化合物としては、マンガンを含有するものであれば特に制限されず、例えばMn、Mn、MnO等の酸化物、MnCO、MnCl等の塩類、Mn(OH)等の水酸化物、MnOOH等の酸化水酸化物等が挙げられる。これらの中でも、特にMn、MnO等が好ましい。
チタン原料としては、チタン(金属チタン)及びチタン化合物の少なくとも1種を用いる。チタン化合物としては、チタンを含有するものであれば特に制限されず、例えばTiO、Ti、TiO等の酸化物、TiCl等の塩類等が挙げられる。これらの中でも、特にTiO等が好ましい。
はじめに、これらを含む混合物を調整する。ナトリウム原料とマンガン原料及びチタン原料の混合割合は、前記トンネル構造が生成するような割合で混合することが好ましい。具体的には、NaMn1−yTi(0.40<x<0.50、0≦y<0.56)の化学組成式となるようにすれば良い。例えば、モル比でNa/(Mn+Ti)が0.4〜0.7程度、好ましくは0.43〜0.55となるように混合すればよい。通常、高温で焼成を行った場合、含有するナトリウムが揮発しやすく、生成物中のナトリウム量が仕込み組成よりも少なくなる場合が多いことから、モル%で数%〜10数%程度、ナトリウムの仕込み量を増やした方が好ましい。また、マンガンとチタンの割合は、(0≦y<0.56)の範囲で任意に選択すればよい。
また、混合方法は、これらを均一に混合できる限り特に限定されず、例えばミキサー等の公知の混合機を用いて、湿式又は乾式で混合すれば良い。
次いで、混合物を焼成する。焼成温度は、混合物の組成等に応じて適宜設定することができるが、通常は600〜1200℃程度、好ましくは800〜1050℃とすればよい。また、焼成雰囲気も特に限定的ではないが、通常は酸化性雰囲気又は大気中で実施すれば良い。焼成時間は、焼成温度等に応じて適宜変更することができる。冷却方法は特に限定されないが、通常は自然放冷(炉内放冷)又は徐冷すれば良い。
焼成後は、必要に応じて焼成物を公知の方法で粉砕し、さらに上記の焼成工程を実施しても良い。すなわち、本発明方法では、上記混合物の焼成、徐冷及び粉砕を2回以上繰り返して実施することが好ましい。なお、粉砕の程度は、焼成温度などに応じて適宜調節すれば良い。
次いで、焼成されたNaMn1−yTi(0.40<x<0.50、0≦y<0.56)に、リチウム化合物を含む溶融塩中、或いは有機溶剤または水溶液中でイオン交換処理を施すことにより、Li0.44MnO型の結晶構造を有し、化学組成式LiMn1−yTi(0.40<x<0.50、0≦y<0.56)で表される化合物が得られる。
この場合に、リチウム含有化合物を含む溶融塩中において、粉砕されたNaMn1−yTi(0.40<x<0.50、0≦y<0.56)を分散させながら、イオン交換処理を施すことが好適である。溶融塩としては、硝酸リチウム、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム等の低温で溶融する塩類のうちで、いずれか1種以上を含む溶融塩を用いることができる。好ましい方法としては、リチウム化合物とNaMn1−yTi焼成物の粉末をよく混合しておく。混合比は、通常、溶融塩中のLi/NaMn1−yTi中のNaのモル比で2〜40、好ましくは10〜30である。
イオン交換の温度は、260℃〜330℃である。イオン交換の温度が260℃よりも低い場合は、NaMn1−yTi(0.40<x<0.50、0≦y<0.56)中のナトリウムがリチウムに完全に交換されず、相当量のナトリウムが生成物中に残存する。一方、イオン交換温度が330℃よりも高い場合は、一部がスピネル構造に変化するため、均一な結晶構造を得ることができない。処理時間は、通常2〜20時間、好ましくは5〜15時間である。
さらに、イオン交換処理の方法として、リチウム化合物を溶解した有機溶剤または水溶液中で処理する方法も適する。この場合、リチウム含有化合物を溶解させた有機溶剤中に、粉砕されたNaMn1−yTi(0.40<x<0.50、0≦y<0.56)を投入し、その有機溶剤の沸点以下の温度で処理する。イオン交換速度を高めるため、水または有機溶剤の沸点付近で、溶媒を還流させながら、イオン交換することが好ましい。処理温度は通常30℃〜200℃、好ましくは60℃〜180℃で処理される。また、処理時間は、特に制限されないが、低温であると反応時間が必要であることから、通常5〜50時間、好ましくは10〜20時間である。
本発明に用いられるリチウム含有化合物としては、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、ハロゲン化物、ブチルリチウム等が好ましく、これらは単独または必要に応じて2種以上を組み合わせて用いられる。また、本発明に用いられる有機溶剤としては、ヘキサノール、エトキシエタノール等の高級アルコール、ジエチレングルコールモノエチルエーテル等のエーテル、もしくは沸点が140℃以上の有機溶剤が、作業性が良好である点で好ましい。これらは単独または必要に応じて2種以上組み合わせて用いられる。
有機溶剤または水溶液中におけるリチウム含有化合物の濃度は、通常3〜10モル%、好ましくは5〜8モル%である。また、有機溶剤または水溶液中でのNaMn1−yTiの分散濃度は、特に制限されないが、操作性及び経済性の観点から1〜20重量%が好ましい。
イオン交換処理の後、得られた生成物を、蒸留水でよく洗浄した後、メタノール、エタノールで洗浄後、乾燥させることによって、目的とするLiMn1−yTi(0.40<x<0.50、0≦y<0.56)が得られる。洗浄方法、乾燥方法については、特に制限されず、通常の方法が用いられる他、デシケーター内における自然乾燥でも良い。
次いで、イオン交換処理で作製されたLiMn1−yTi(0.40<x<0.50、0≦y<0.56)に、さらに、リチウム化合物を含む溶融塩中、或いは有機溶剤または水溶液中でイオン挿入処理を施すことにより、Li0.44MnO型の結晶構造を有し、化学組成式LiMn1−yTi(0.5≦x≦1、0≦y<0.56)で表される化合物が得られる。
この場合に、リチウム含有化合物を含む溶融塩中において、あらかじめ作製されたLiMn1−yTi(0.40<x<0.50、0≦y<0.56)を分散させながら、リチウム挿入処理を施すことが好適である。溶融塩としては、硝酸リチウムを使用し、さらに添加剤として水酸化リチウム、ヨウ化リチウム、臭化リチウム、酸化リチウム、過酸化リチウム、炭酸リチウム、塩化リチウム等の塩類のうちで、いずれか1種以上を加える。好ましい方法としては、添加剤とLiMn1−yTi粉末をよく混合しておく。混合比は、通常、溶融塩中の添加剤/LiMn1−yTiのモル比で0.01〜10、好ましくは0.1〜3である。
リチウム挿入処理の温度は、260℃〜330℃である。処理温度が330℃よりも高い場合は、一部がスピネル構造に変化するため、均一な結晶構造を得ることができない。処理時間は、通常2〜20時間、好ましくは5〜15時間である。挿入処理は、数回、好ましくは2〜3回繰り返した方が効果的である。
さらに、リチウム挿入処理の方法として、リチウム化合物を溶解した有機溶剤または水溶液中で処理する方法も適する。この場合、リチウム含有化合物を溶解させた有機溶剤中に、あらかじめイオン交換されたLiMn1−yTi(0.40<x<0.50、0≦y<0.56)を投入し、その有機溶剤の沸点以下の温度で処理する。リチウム挿入速度を高めるため、有機溶剤の沸点付近で、溶媒を還流させながら、挿入処理することが好ましい。処理温度は通常30℃〜200℃、好ましくは60℃〜180℃で処理される。また、処理時間は、特に制限されないが、低温であると反応時間が必要であることから、通常5〜50時間、好ましくは10〜20時間である。
本発明に用いられるリチウム含有化合物としては、水酸化物、酸化物、過酸化物、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、ハロゲン化物、ブチルリチウム等が好ましく、これらは単独または必要に応じて2種以上を組み合わせて用いられる。また、本発明に用いられる有機溶剤としては、ヘキサノール、エトキシエタノール等の高級アルコール、ジエチレングルコールモノエチルエーテル等のエーテル、もしくは沸点が140℃以上の有機溶剤が、作業性が良好である点で好ましい。これらは単独または必要に応じて2種以上組み合わせて用いられる。
有機溶剤または水溶液中におけるリチウム含有化合物の濃度は、通常3〜10モル%、好ましくは5〜8モル%である。また、有機溶剤または水溶液中でのLiMn1−yTiの分散濃度は、特に制限されないが、操作性及び経済性の観点から1〜20重量%が好ましい。
リチウム挿入処理の後、得られた生成物を、蒸留水でよく洗浄した後、メタノール、エタノールで洗浄後、乾燥させることによって、目的とするLiMn1−yTi(0.5≦x≦1、0≦y<0.56)が得られる。洗浄方法、乾燥方法については、特に制限されず、通常の方法が用いられる他、デシケーター内における自然乾燥でも良い。
(リチウム二次電池)
本発明のリチウム二次電池は、前記リチウム二次電池用正極材料を用いるものである。すなわち、正極材料として本発明のリチウムマンガンチタン酸化物を用いる以外は、公知のリチウム二次電池(コイン型、ボタン型、円筒型等)の電池要素をそのまま採用することができる。
図1は、本発明のリチウム二次電池を、ボタン型電池に適用した1例を示す模式図である。このボタン型電池1は、負極端子2、負極3、(セパレータ+電解液)4、絶縁パッキング5、正極6及び正極缶7により構成される。
本発明では、上記した本発明のリチウムマンガンチタン酸化物に、必要に応じて導電剤、結着剤等を配合して正極合材を調製し、これを集電体に圧着することにより正極を作製できる。集電体としては、好ましくはステンレスメッシュ、アルミ箔等を用いることができる。導電剤としては、好ましくはアセチレンブラック、ケッチェンブラック等を用いることができる。結着剤としては、好ましくはテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等を用いることができる。
正極合材におけるリチウムマンガンチタン酸化物、導電剤、結着剤等の配合も特に限定的でないが、通常は導電剤が1〜30重量%程度(好ましくは5〜25重量%)、結着剤が0〜30重量%程度(好ましくは3〜10重量%)とし、残部をリチウムマンガンチタン酸化物となるようにすれば良い。
本発明のリチウム二次電池において、上記正極に対する対極としては、例えば黒鉛、MCMB(メソカーボンマイクロビーズ)等の炭素系材料、スズ系材料等の合金系材料、リチウム金属、リチウム合金などのリチウムを吸蔵可能な公知のものを採用することができる。また、セパレータ、電池容器等も公知の電池要素を採用すれば良い。
また、電解液としても公知のものが適用できる。例えば、過塩素酸リチウム、6フッ化リン酸リチウム等の電解質を、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、プロピレンカーボネート(PC),ジエチルカーボネート(DEC)等の溶媒に溶解させたものを電解液として使用できる。
次に、実施例により本発明の特徴とするところをさらに説明するが、以下の具体例は本発明を限定するものではない
(実施例1)
[正極材料の製造]
炭酸ナトリウム(NaCO)、酸化マンガン(Mn)、酸化チタン(TiO)をモル比でNaMn1−yTi(x=0.5;y=0、0.055、0.11、0.22)の各組成割合で均一に混合した。混合物を空気中900℃〜1000℃で12時間焼成した後、炉内で徐冷した。得られた焼成体を粉砕するという一連の操作(焼成、徐冷及び粉砕)を再度繰り返し、ほぼ単一相の目的とするLi0.44MnO型の結晶構造を有する出発原料Na0.44Mn1−yTiを得た。
次に、これらの試料を、硝酸リチウムと塩化リチウムを88:12のモル比で混合した溶融塩中でイオン交換処理を行った。Na0.44Mn1−yTiの溶融塩中における量は、モル比で、溶融塩中のLi:試料中のNa=20:1とし、溶融塩の温度は300℃とした。処理時間10時間で、イオン交換処理を行い、得られた固体を蒸留水、メタノール、エタノール等で洗浄、乾燥して試料を得た。この試料をICP発光分析法により、化学組成を分析した結果、LiMn1−yTi(0.43≦x≦0.44;y=0、0.055、0.11、0.22)の化学式で妥当であり、残存して含有するナトリウム量は、Na/Liのモル比で0.005であった。さらに、X線粉末回折法により、Li0.44MnO型の斜方晶系のトンネル構造を有するほぼ単一相であることが明らかとなり、各試料の格子定数は表1のとおりであった。また、作製された試料のうち、Li0.44MnO(y=0)のX線粉末回折図形を図2(a)に示す。
Figure 0005051770
次に、表1に記載された各試料各1gを、硝酸リチウム22gと水酸化リチウム1gとよく混合した後、空気中、300℃で10時間加熱し、リチウム挿入処理を行った。得られた固体を蒸留水、メタノール、エタノール等で洗浄、乾燥して試料を得た。この試料をICP発光分析法により、化学組成を分析した結果、リチウム量xは0.59≦x≦0.72程度となり、挿入反応を確認した。また、残存して含有するナトリウム量は、ICPの検出限界(0.01wt%)以下であり、リチウム挿入処理は、残存するナトリウム量のさらなる低減にも有効であることが確認された。さらに、作製された試料のうち、Li0.63MnO(y=0)のX線粉末回折図形を図2(b)に示す。出発原料としたLi0.44MnOと同構造であると仮定して、計算された格子定数を表2に示す。リチウム挿入処理により、元のLiMn1−yTi(0.43≦x≦0.44)と比べて、格子定数の変化が明らかとなった。
Figure 0005051770
[リチウム二次電池]
得られたLiMn1−yTi(0.59≦x≦0.72;y=0、0.055、0.11、0.22)の各試料20mgに導電剤としてアセチレンブラック5mg、結着剤としてテトラフルオロエチレン0.5mgを配合して正極を作製し、リチウム金属を負極材料、6フッ化リン酸リチウムをエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)との混合溶媒(体積比1:1)に溶解させた1M溶液を電解液とする、図1に示す構造のリチウム二次電池(コイン型セル)を作製し、その充放電特性を測定した。電池の作製は、公知のセルの構成・組み立て方法に従って行った。
得られたリチウム二次電池について、30℃の温度条件下で、電流密度30mA/g(Cレートで0.2C相当)、4.8V−2.5Vのカットオフ電位で充放電試験を行ったところ、平均放電電圧3.55〜3.64V、初期放電容量173〜184mAh/gで安定に充放電可能なことが判明した。(ここで、Cレートは放電レート、すなわち放電電流の大きさのことであり、1Cは1時間で放電しきることができる電流量を指し、1時間率という。例えば、容量が1Ahの電池の1Cは1Aということになる。)
Li0.69Mn0.89Ti0.11の場合、10サイクル後の放電容量も168mAh/g程度を維持しており、サイクル特性も良好であった。各電池の初期充電容量、初期放電容量、平均初期放電電圧を表3に示す。
Figure 0005051770
また、Li0.63MnOおよびLi0.72Mn0.78Ti0.22を正極材料として作製した電池の初期放電特性を、図3(a)、(b)に示す。比較のために図3(c)に記載した、Li挿入前のLi0.44MnOを正極材料として同様に作製した電池に対して、Li0.63MnOは、4V領域の放電容量が大幅に増大していることがわかる。さらに、(b)にみられるように、Mnの一部をチタンで置換することによって、放電曲線がなだらかになることが確認された。
(実施例2)
[正極材料の製造]
上記、実施例1で得られた表1に記載の各試料各1gを、硝酸リチウム22gとヨウ化リチウム1gとよく混合した後、空気中、300℃で10時間加熱し、リチウム挿入処理を行った。得られた固体を蒸留水、メタノール、エタノール等で洗浄、乾燥して試料を得た。これらの試料をICP発光分析法により、化学組成を分析した結果、リチウム量xは表4に示すように、0.67≦x≦0.76程度であり、挿入処理の有効性を確認した。また、残存して含有するナトリウム量は、ICPの検出限界(0.01wt%)以下であり、挿入処理は、残存するナトリウム量のさらなる低減にも有効であった。さらに、作製された試料のうち、Li0.76MnO(y=0)のX線粉末回折図形を図2(c)に示す。
出発原料としたLi0.44MnOと同構造であると仮定して、計算された格子定数を表4に示す。リチウム挿入処理により、元のLiMn1−yTi(0.43≦x≦0.44)と比べて、格子定数の変化が明らかとなった。また、ヨウ化リチウムの添加によるイオン挿入処理が、水酸化リチウムを添加した実施例1の場合と、ほぼ同等の効果があることが確認された。
Figure 0005051770
[リチウム二次電池]
このようにして得られたLiMn1−yTi(0.67≦x≦0.76)の各試料を用いて実施例1と同様にして正極を作製し、実施例1と同様にリチウム二次電池を作製し充放電試験を行ったところ、いずれも平均放電電圧3.54〜3.60V、初期放電容量168〜176mAh/gで安定に充放電可能であることが確認された。各試料の初期充電容量、初期放電容量、平均初期放電電圧を表5に示す。
Figure 0005051770
(比較例1)
上記、実施例1で得られた表1に記載のLiMn1−yTi(0.43≦x≦0.44)の各試料について、リチウム挿入処理を施さずにそのまま正極材料として使用し、実施例1と同様にリチウム二次電池を作製し充放電試験を行ったところ、いずれも平均放電電圧3.48〜3.54V、初期放電容量は141〜156mAh/g程度であった。比較のために、Li0.44MnOの場合の初期放電曲線を図3(c)に記載した。
(比較例2)
本発明による新規リチウムマンガンチタン酸化物を正極材料として使用したリチウム二次電池の特性を明確にするために、既存正極であるリチウムマンガンスピネルLi1.1Mn1.9を正極材料として、実施例1と同様にリチウム二次電池を作製し、同条件で充放電試験を行ったところ、平均放電電圧3.67V、初期放電容量は152mAh/gであった。
また、図4(b)に示すように、この正極材料を使用した電池は、スピネル型に特徴的な大きな2段の放電曲線を示した。これに対して、本発明の実施例1で得られた本発明のLi0.63MnOを正極材料とする電池は、図4(a)にみられるように、電圧・容量、すなわちエネルギー密度の観点で、スピネル材料に対する優位性が確認された。
(実施例3)
実施例1で得られたLiMn1−yTi(0.59≦x≦0.72、y=0、0.055、0.11、0.22)の各試料を用いて実施例1と同様にして正極を作製し、炭素(MCMB)を負極材料、6フッ化リン酸リチウムをエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)との混合溶媒(体積比1:1)に溶解させた1M溶液を電解液として、図1に示す構造のリチウムイオン二次電池(コイン型セル)を作製し、その充放電特性を測定した。電池の作製は、公知のセルの構成・組み立て方法に従って行った。
このリチウムイオン二次電池について、30℃の温度条件下で、電流密度30mA/g(Cレートで0.2C相当)、4.8V−2.5Vのカットオフ電位で充放電試験を行ったところ、平均放電電圧3.7〜3.8V、初期放電容量114〜120mAh/gで安定に充放電可能なことが判明した。Li0.63MnOの場合、10サイクル後の放電容量も79mAh/g程度を維持しており、サイクル特性も良好であった。各試料の初期充電容量、初期放電容量、平均初期放電電圧を表6に示す。また、Li0.63MnOの初期放電特性を図5(a)に示す。
Figure 0005051770
(実施例4)
実施例2で得られたLiMn1−yTi(0.67≦x≦0.76)の各試料を用いて同様にして正極を作製し、実施例3と同様にリチウム二次電池を作製し充放電試験を行ったところ、いずれも平均放電電圧3.7〜3.8V、初期放電容量100〜119mAh/gで安定に充放電可能であることが確認された。各試料の初期充電容量、初期放電容量、平均初期放電電圧を表7に示す。
Figure 0005051770
(比較例3)
上記、実施例1で得られた表1に記載のLiMn1−yTi(0.43≦x≦0.44)の各試料について、リチウム挿入処理を施さずにそのまま正極材料として使用し、実施例3と同様にリチウム二次電池を作製し充放電試験を行ったところ、いずれも平均放電電圧3.8〜3.9V、初期放電容量は50〜60mAh/g程度であった。比較のために、Li0.44MnOの場合の初期放電曲線を図5(b)に記載した。
(比較例4)
本発明による新規リチウムマンガンチタン酸化物を正極材料として使用したリチウム二次電池の特性を明確にするために、既存正極であるリチウムマンガンスピネルLi1.1Mn1.9を正極材料として、実施例3と同様にリチウム二次電池を作製し、同条件で充放電試験を行ったところ、平均放電電圧3.84V、初期放電容量は94mAh/gであった。また、この電池における10サイクル後の放電容量は52mAh/g程度であり、本発明による正極材料の特性(平均放電電圧3.8V、初期放電容量120mAh/g、10サイクル後の放電容量79mAh/g)の優位性が確認された。この例で得られた電池の初期放電曲線を図5(c)に記載し、図5(a)の本発明の電池と比較した。
(実施例5)
実施例1で得られたLiMn1−yTi(x=0.44および0.63、y=0)について、実施例1と同様の正極構成部材をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)で希釈して、スラリーとし、定法に従い、塗布電極を作製した。混合割合は、酸化物活物質:導電剤:結着剤=89.5:4.5:6.0(wt%)とした。作製された正極の電極物性を、表8に示す。
Figure 0005051770
[リチウム二次電池]
このようにして得られた正極、MCMBを負極、セパレータとしてポリエチレン製微孔膜、実施例1と同様に6フッ化リン酸リチウム系電解液を用いてリチウム二次電池(単層アルミラミネートセル)を作製し、その出力特性を測定した。電池の作製は、公知のセルの構成・組み立て方法に従って行った。
得られたリチウム二次電池について、25℃の温度条件下で、30mA/g(Cレートで0.2C相当)の定電流で4.8Vまで充電し、放電をそれぞれ30mA/g、60mA/g、150mA/g、300mA/g、450mA/g、750mA/g、900mA/g、1050mA/gの定電流で2.5Vまで行うことにより、各試料の出力特性を評価した。各レートでの容量保持率をLi0.44MnOおよびLi0.63MnOの場合について、図6で比較した。Li0.44MnOの場合、7C相当の1050mA/gで40%程度の容量保持率であったものが、Li0.63MnOでは、70%を超える高い容量保持率であることが判明した。このことから、リチウム挿入処理によって、高容量化できるばかりでなく、高出力化が可能であることが確認された。

Claims (6)

  1. 化学組成式としてLixMn1-yTiy2(0.5≦x≦1、0≦y<0.56)で表記され、結晶構造として斜方晶系に属し、リチウムが占有するトンネル構造を有するリチウム、マンガン、チタン、酸素から、又は、リチウム、マンガン、酸素から構成されるリチウム二次電池正極材料。
  2. あらかじめ作製されたLixMn1-yTiy2(0.40<x<0.50、0≦y<0.56)を出発原料として、リチウム挿入処理によって製造することを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池正極材料の製造方法。
  3. 前記リチウム挿入処理を、リチウム化合物を含有する溶融塩中、或いはリチウム化合物を溶解した有機溶剤または水溶液中において行うことを特徴とする請求項2に記載の正極材料の製造方法。
  4. 正極、負極及び電解質物質を有するリチウム二次電池の正極を請求項1に記載の正極材料により構成したことを特徴とするリチウム二次電池。
  5. 電池の負極としてリチウム又はリチウム合金負極を使用し、4Vの電圧範囲で安定に充放電できることを特徴とする請求項4に記載のリチウム二次電池。
  6. 電池の負極として炭素負極を使用し、4Vの電圧範囲で安定に充放電できることを特徴とする請求項4に記載のリチウム二次電池。
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