JP4429525B2 - エレベータ案内シュー - Google Patents

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Description

【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載のエレベータ案内シューに関するものである。
【0002】
案内シューをエレベータカーに使用して、エレベータカーをエレベータシャフト内の案内レールに沿って案内する。案内シューには、摺動または転動に基づくベアリング要素が設けられ、これは、案内レールに対して載置される。しかし、案内レール上のこのようなベアリングが装着されたエレベータカーは、走行中騒音を発生し、これは、構体伝搬騒音としてカー内部に伝搬する。このような騒音は乗客にとって不快であり、エレベータ使用中の乗り心地の度合いを損なう。
【0003】
従来技術では、いくつかの方法を用いてこれらの問題をなくしていた。日本特許明細書第 7196273号では、これらの問題を、サーボ制御磁気コイルを用いてエレベータカーを浮上させることによって、対処している。これは、含まれる制御技術系に関して非常に困難な方式であり、したがって費用がかかる。
【0004】
日本特許明細書第55-25589号では、エレベータシャフトに固定された永久磁石と、エレベータ側でこれに近接配置された永久磁石ガイドとを用いるエレベータが提示されている。エレベータカーは、永久磁石ガイドと案内レールとの間の磁気反発力に基づく浮上方式で支持されている。これは、困難で費用のかかる方式である。しかも、この方式でエレベータシャフトに必要な長い磁気案内レールは、あらゆる種類のごみを吸引してしまう。
【0005】
本発明の目的は、上述の欠点をなくすことである。本発明の具体的な目的は、構造が単純で信頼性があり、案内レールおよび案内シューで発生する音波を効果的に減衰し、これらがエレベータカー内に伝搬しないようにし、したがってエレベータを一層、使用しやすいものにする新しいタイプの案内シューを開示することにある。
【0006】
本発明の特徴については、特許請求の範囲の記載を参照されたい。
【0007】
本発明の案内シューは、エレベータカーに取りつけられた支持フレームと、エレベータシャフト内の案内レールに対して載置されるガイドとを含む。このガイドは、主として摺動または転動に基づく様々な公知のベアリング要素からなっていてよい。本発明によれば、案内シューは、ガイドが取りつけられた中間フレームを含み、支持フレームおよび中間フレームには永久磁石が設けられ、これは、互いに対向するように適切に配置されて、支持フレームと中間フレームとの間にある水平距離を維持、すなわちこれらを離隔状態に保って、これらが直接接触しないようにしている。したがって、支持フレームおよび中間フレームは、互いに水平方向において接触せず、常時、空隙で離間されている。しかも、本発明によれば、支持フレームおよび中間フレームは、垂直方向では互いに懸架系によって接続され、これによって構体を伝搬する音波を減衰させる。
【0008】
本発明の好ましい実施例では、支持フレームは、その横側の1つが開放した箱体からなり、中間フレームは、この箱体の内部に配設されている。中間フレームは、支持フレームの開放側の方向で案内レールと向かい合う。中間フレームは、たとえばU字形または類似の形状の箱体でよく、案内レールを実質的にレールの3方から囲繞する。
【0009】
支持フレームと中間フレームとの間の垂直懸架部は、好ましくは、弾性懸架系からなり、これによって中間フレームと支持フレームとの間における水平および垂直の両方向の相対的な微動が可能になる。さらに、この懸架部は、好ましくは、ガイドと案内レールとの間で発生する騒音がエレベータカーに伝搬するのを防ぐ音伝達能力の低い構体または材料で実現される。
【0010】
この懸架部は、たとえば適切な螺旋バネ、およびこれに接続された懸架ケーブルを用いて実現され、これらはまた、音の伝搬を阻止する補助構体を含んでもよい。この弾性懸架部はまた、支持フレームと中間フレームとの間に配設された、たとえばコルクからなる支持ブロック、ピローまたはジャケットを用いて実現してもよい。
【0011】
本発明の実施例では、案内シューには、支持フレームと中間フレームとの間の偏位を測定する検出器が設けられている。この偏位は、たとえばエレベータカーが大きな偏心負荷を有するときに比較的大きくなることがあり、その場合、案内シューには、サーボ接続した電磁石を設けることが好ましく、これを用いて支持フレームと中間フレームとの間の好ましくない偏位を補償することができる。
【0012】
矩形または円形断面の磁石は常に、主バネ方向に垂直な、かなりの寄生バネ定数を有するので、双方向磁気浮動にはあまり適していない。この寄生バネ定数は、走行を機械的に制限する方向に集中させるべきである。この理由から、使用する永久磁石は好ましくは、長い断面を有する磁石とし、磁化方向すなわち主バネ方向に垂直な各縁部のうち、水平縁部を垂直縁部よりかなり長くする。そうすれば、ここで使用する永久磁石は、長い永久棒磁石であり、その磁極はその長い対向する端部に位置する。
【0013】
懸架系は好ましくは、複数の水平永久棒磁石を含み、これは、並んで平行な方向に互いに垂直な間隔で配置されている。こうして、中間フレームおよび支持フレームの両方とも、等しい大きさの長い水平永久棒磁石を同じ数だけ有し、支持フレームおよび中間フレームに対向して配置された永久棒磁石は、互いに反発する永久磁石対を形成している。
【0014】
好ましくは、支持フレームおよび中間フレームの両方ともに、強磁性バッキングが設けられ、永久磁石がこれに固定され、または支持されている。このようにして、永久磁石の高さ、すなわち主バネ方向における寸法を半減させることができ、しかも磁界はほぼ同じままである。
【0015】
これらの極性については、永久磁石対は好ましくは、隣接する永久磁石対を反対極性にして配置する。これによってかなりの利点が生ずるが、これは、次の対と交差する磁力も反発力となり、したがって同極性を隣接させる場合のようにバネ定数が減少しないで、増加するからである。
【0016】
これらの永久磁石対は好ましくは、案内レールを中心として180 o アーチを形成するように、すなわち永久磁石対の反発力が2つの対向方向から互いに相殺され、これらの間の垂直な水平方向における各永久磁石対の反発力で中間フレームがエレベータシャフトの案内レールに押圧されるように配置されている。
【0017】
本発明の案内シューは、従来技術に比較してかなりの利点を有する。本発明によれば、エレベータ案内レールにおける構体伝搬騒音がエレベータカーに伝搬するのを防ぐ単純で低コストの方法が提供される。エレベータシャフトには、長い磁化案内レールを設ける必要がなく、本構造によれば、必ずしも何らの通常の調整も必要としない。本発明によれば、案内レールとエレベータカーとの間で、これまで音波の伝搬経路を構成していたような堅固な機械的接続を必要としないエレベータを達成できる。このように、より騒音の少ない、満足できるエレベータ走行が達成される。
【0018】
以下に、本発明を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
各図において同一または対応する部分は同じ参照数字で示す。この案内シューは、箱状支持フレーム2を含み、これは、一方の側が開放し、またエレベータカー1に取り付けられている。支持フレーム2の上面14および下面15には、案内レール3のための空間を形成するスロットが設けられている。支持フレーム2の内部には中間フレーム5が配置され、これは、支持フレーム内部の空間に実質的に対応する形状を有し、また案内レール用の同様のスロットが設けられている。
【0020】
中間フレームの案内レールスロットの周囲には、ガイド4が、すなわち本実施例では摺動ベアリング面が配設され、これは、案内レール3に接している。中間フレーム5は、支持フレーム2から垂直方向および横方向の両方にある距離だけ離間している。換言すれば、両フレームの隣接面の間には、いずれの方向にも接触がない。
【0021】
垂直方向では、中間フレーム5は支持フレーム2にバネ懸架要素9を介して支持フレームの上側および下側の両方から接続されている。これらの懸架要素によって、中間フレームは、支持フレームに対して垂直方向および水平方向の両方にわずかに動くことができる。
【0022】
支持フレーム内の中間フレーム5の3つの垂直外面には強磁性板12が設けられ、また支持フレーム2の対応する内面にも同様の強磁性バッキング板13が設けられている。これらの強磁性バッキング板には、長い永久棒磁石6aおよび6b、7aおよび7b、8aおよび8bが取り付けられている。これらの永久磁石は長い断面を有し、各永久磁石対における磁化方向に垂直なこれらの長い平面が互いに対向するようになっている。さらに、複数の永久磁石対が並んで垂直方向に配置され、隣接永久磁石対の磁化方向が互いに反対になるようにしてある。換言すれば、いずれの2つの隣接する永久磁石対をとっても、一方の対の磁石はS極が互いに対向し、他方の対はN極が互いに対向するようにする。
【0023】
図2に示すように、このU字形角度の実施例では、各永久磁石は3面すべてにそれらの全幅にわたって配設されている。永久磁石対6a、6bは永久磁石対8a、8bの反発力に等しい反発力を有し、これらの反発力が互いに相殺され、中間フレームを案内レール3の周囲の位置に保持するようにしておく。これと異なり、永久磁石対7a、7bは、中間フレームを案内レール3に対して押圧する反発力を発生する。この反発力は、案内レール3によって摺動ベアリング4を介して受容され、したがって案内シューは、正確にその位置に留まり、案内レール3に対して押圧される。
【0024】
図3は、本発明による懸架系9のさらに詳細な図である。この実施例では、支持フレーム2と中間フレーム5との間の懸架部はケーブル16よりなり、これは、支持フレーム2における孔17を通って補助ブロック18に至り、補助ブロックは、支持フレーム2の外側にある距離で配置されている。補助ブロック18は、支持フレーム2に取り付けられたバネ19によってその位置に支持されている。さらに、補助ブロック18は、良好な音減衰特性を有する材料で作ることができる。中間フレーム5は、支持フレーム2にこの方法で、異なる4点によって懸架されている。こうして、弾性懸架部によって中間フレームは支持フレーム2に対して垂直方向および水平方向の両方にわずかに動くことができ、なおかつ中間フレームと支持フレームとの間の直接接触を防いでいる。したがって、中間フレームと案内レール3との間の走行により発生する音波は、構体伝搬騒音がエレベータカーにかなり伝達される程度ほどは伝達されない。
【0025】
また、図2の実施例では、支持フレーム2は検出器10を含み、これを用いて中間フレーム5の支持フレーム2に対する位置を測定またはモニタする。さらに、支持フレーム2には電磁石11が設けられ、中間フレーム5が、たとえばカー荷重の不平衡に起因して偏位して支持フレームに近づきすぎると、その状態を電磁石11によって修正することができる。電磁石11を使ってまた、エレベータカーの何らかの揺れを減衰することもできる。
【0026】
以上のように、本発明を例を挙げて添付図面を参照して説明したが、本発明の様々な実施例は、特許請求の範囲に記載の発明思想の範囲内で可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による案内シューの概略斜視図である。
【図2】 図1と実質的に同じ案内シューの水平断面図である。
【図3】 本発明による案内シューの部分開放側面図である。

Claims (11)

  1. エレベータカーに取り付けられた支持フレームと、案内レールに対して載置されるガイドと、該ガイドが取り付けられた中間フレームと、前記支持フレームおよび中間フレームに配置され該支持フレームと中間フレームとの間に水平距離を維持する永久棒磁石とを含み、エレベータカーをエレベータシャフト内のガイドレールに沿って案内するエレベータ案内シューにおいて、
    −前記支持フレームと中間フレームとの間に該支持フレームの上側および下側から前記中間フレームを懸架し該支持フレームに関して垂直方向および水平方向の前記中間フレームの微動を許容する垂直な懸架要素があることを特徴とするエレベータ案内シュー。
  2. 請求項1に記載の案内シューにおいて、前記支持フレームは箱体からなり、該箱体は、その横側のうちの1つが開放し、前記中間フレーム5は、該箱体の内部に配設されていることを特徴とするエレベータ案内シュー。
  3. 請求項1または2に記載の案内シューにおいて、前記中間フレームは、実質的にU字形体であり、前記案内レールを3方から囲繞していることを特徴とするエレベータ案内シュー。
  4. 請求項1に記載の案内シューにおいて、前記懸架要素は弾性懸架系からなり、微動を許容することを特徴とするエレベータ案内シュー。
  5. 請求項4に記載の案内シューにおいて、前記懸架要素は低い音伝搬特性を有する構体からなり、前記ガイドと前記案内レールとの間に発生する騒音の前記エレベータカーへの伝達を防ぐことを特徴とするエレベータ案内シュー。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載の案内シューにおいて、該案内シューは、前記支持フレームと中間フレームとの間の偏位を測定する検出器を含むことを特徴とするエレベータ案内シュー。
  7. 請求項6に記載の案内シューにおいて、該案内シューは、サーボ接続された電磁石を含み、前記支持フレームと中間フレームとの間の偏位を補償することを特徴とするエレベータ案内シュー。
  8. 請求項1ないし7のいずれかに記載の案内シューにおいて、使用する電磁石は長尺状永久棒磁石であり、磁極が該棒磁石の対向する長い側に位置していることを特徴とするエレベータ案内シュー。
  9. 請求項8に記載の案内シューにおいて、該案内シューは、複数の永久棒磁石を含み、該棒磁石は、前記中間フレームおよび支持フレーム上に並んで平行な方向に互いからある水平距離で配置されていることを特徴とするエレベータ案内シュー。
  10. 請求項1ないし9のいずれかに記載の案内シューにおいて、前記支持フレームおよび中間フレームにはそれぞれ、強磁性バッキングが設けられ、これに前記永久磁石が取り付けられていることを特徴とするエレベータ案内シュー。
  11. 請求項1ないし10のいずれかに記載の案内シューにおいて、永久磁石対は、それらの極性について、隣接永久磁石対が反対極性をとるように配設されていることを特徴とするエレベータ案内シュー。
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