JP4427864B2 - Ovd転写箔及び磁気情報媒体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、偽造防止効果を必要とするクレジットカードやキャッシュカード等の磁気情報を有した磁気情報記録媒体の作製に用いる転写箔媒体に関する。さらに詳しくは前記情報記録媒体に偽造防止効果を付与するためOVD画像を形成したOVDを有する転写箔媒体に関わる。
【0002】
【従来の技術】
光の干渉を用いて立体画像や特殊な装飾画像を表現し得る、ホログラムや回折格子、光学特性の異なる薄膜を重ねることにより、見る角度により色の変化(カラーシフト)を生じる多層薄膜のようなOVD(Optical Variable Device)の開発が進められている。
【0003】
ホログラムや回折格子のごときOVDは、微細な凹凸パターンや、屈折率の異なる縞状パターンなどの回折構造からなっており、これにより光の回折と干渉により見る角度(すなわち、ホログラムを形成している角度)に応じて、固有の像や色の変化(カラーシフト)を生じる。
一方、多層薄膜は光学特性の異なるセラミックスや金属材料を幾重にも積層した構造でなる。この多層薄膜は構成する材料の光学特性と膜厚により得られる光の干渉作用を利用した表示技術であり、特定の波長域に反射・透過特性を有しいるため、観察する角度によりカラーシフトを生じる。
本明細書においてはホログラムおよび回折格子や多層薄膜などの光の干渉を利用した表示技術を総称してOVDと称することとする。
【0004】
これらOVDは立体画像やカラーシフトといった独特な印象を与えるため、優れた装飾効果を有しており各種包装材や絵本、カタログ等の一般的な印刷物に利用されている。
さらに、このOVDは高度な製造技術を要することから有効な偽造防止手段としてクレジットカード、有価証券、証明書類等に形成され使用されている。最近では、OVDの有する装飾効果に着目し媒体の全面に形成したものも現れてきている。
【0005】
一方、磁気情報記録部を有する情報媒体であるキャッシュカードやクレジットカードは黒色あるいは茶褐色でなる磁気テープの色を隠蔽し、デザイン制限ないカードを作ることが試みられてきた。その方法としては、カードの色自体を磁気テープの色と合わせる手法や白色、黒色あるいは銀色等の隠蔽インキを上から塗布した後に白色層を設け絵柄の印刷を施す手法が取られている。
前者のカードを磁気テープの色に合わせる場合色が制限されるために、デザインが限定されてしまうという問題がある。後者の白色層を設ける方法ではデザインの幅が広がるが、その隠蔽および印刷の厚みが厚くなるため、磁気出力が低下するという問題があった。
【0006】
特に絵柄印刷上に前述のOVDを形成した場合に、OVD分の厚みが増すためにより出力が低下し、読みとりエラーを生じやすいという問題を有していた。具体例を挙げるならば磁気ストライプを有するクレジットカード等の磁気カードは磁気テープの性能にもよるが、一般に約6μm程度の印刷が限界であり、それ以下にしなければならないという問題がある。
【0007】
このような、偽造防止効果の高いOVDを付与した磁気情報記録媒体は読み取り難い媒体であった。特開平9−29443号によれば隠蔽層をAlやNi等の金属薄膜で形成することにより薄膜化し、光回折画像(ホログラムや回折格子)を形成しても出力が低下しない構成が提案されている。
しかしながら、この構成はその情報媒体上に導電体である金属と絶縁体であるプラスチック材料を積層した構造であり、電荷のたまりやすい構造のため、加工時に静電気による様々な不具合を起こすほか、磁気情報を書き込むあるいは読み出す際に電荷の放電によりエラーを生じやすい構成であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたもので、装飾性に優れているOVDを磁気情報媒体の製造において使用される転写箔であって、静電気による磁気情報の書き込み、読み取りエラーや加工時の不具合を防止出来る転写箔、及びこの転写箔を使用して作製された磁気情報媒体を提供することを課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を達成するためになされた発明であり、請求項1に記載の発明は、磁気層を有してなる情報記録媒体の基体に転写し、磁気層部分を目視できぬよう隠蔽可能とするOVD転写箔に関し、転写箔支持体に少なくともOVD層および誘電体からなる薄膜を有した隠蔽層を具備してなり、該隠蔽層が、粗い面を有するプラスチック材料と、該プラスチック材料の粗い面に形成されたTiO2、Si2O3、ZnSのいずれかからなる薄膜から構成され、該隠蔽層は反射光の散乱によって白色化してなることを特徴としたOVD転写箔である。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、前記プラスチック材料が塗布された後細かく荒らしてなることを特徴とした請求項1に記載のOVD転写箔である。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、前記プラスチック材料が粒子を分散したプラスチック材料を塗布してなることを特徴とした請求項1に記載のOVD転写箔である。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は請求項1〜3に記載のいずれかに記載のOVD転写箔を加熱・加圧により転写して製造した、少なくとも誘電体からなる薄膜を有した隠蔽層およびOVD画像を具備してなることを特徴とした磁気情報媒体である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態によって図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明のOVD転写箔の基本構成となる転写箔の断面図である。
転写箔支持体(11)に支持体からOVD層を含む転写層が転写する際、剥がれ易くするための剥離性表面保護層(12)、この剥離性表面保護層上に図形、文字等を印刷して印刷層(16)部、この印刷層部上に、OVD層(13)、隠蔽層(14)及び接着層(15)を順に設けた構成になっている。
この剥離性表面保護層(12)は、転写時には転写層が支持体から剥がれ易くし、更に磁気情報媒体に転写されると最表面となりOVD層等を保護する機能を有している。
【0015】
図2は、磁気情報媒体基材(21)に磁気層(22)が設けられている磁気情報媒体(20)に転写箔(10)を使用してOVD等の転写層を転写する場合を説明する斜視図である。
転写箔(10)の接着層(15)を磁気情報媒体(20)側に向けて加熱/加圧させて転写させた後、転写箔支持体(15)を剥離させる。
【0016】
図3は、このように本発明のOVD転写箔により製造された磁気情報媒体の一実施例を示すものであり、図3(A)は斜視図であり、図3(B)は(A)の磁気情報媒体のX−X線における構成断面図ある。また、図4および図5は本発明のOVD転写箔の一実施例を示す構成断面図である。
【0017】
図3示した磁気情報記録媒体は、磁気層(22)を有する磁気情報媒体基材(21)に転写箔(10)から転写された接着層(15)、隠蔽層(14)、OVD層(13)、印刷層(16)、表面保護層(12)に覆われており、外見では印刷層(16)部の絵柄『☆』や文字『IDCARD』およびOVD層(13)である『BANK』のパターンしか確認できない。
【0018】
この磁気情報媒体は、図1に示したOVD転写箔を転写形成することにより得られた媒体である。上述した様に本発明の転写箔は支持体(11)に剥離性表面保護層(12)、印刷層(16)、OVD層(13)、隠蔽層(14)、接着層(15)を積層してなり、図4及び図5に示す転写箔はOVD層部をホログラムあるいは屈折率の異なる物質を積層させてカラーシフト等を生じさせた一実施例を示す断面図である。
【0019】
以降、これらの材質及び構成をさらに詳しく説明する。
【0020】
転写箔支持体(11、31、41)としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン等の合成樹脂、天然樹脂、紙、合成紙などを単独で又は組合わせた複合体が使用可能である。
また、支持体上には剥離性表面保護層(12、32、42)、印刷層(16、36、46)、OVD層(13、33、43)、隠蔽層(14、34、44)、接着層(15、35、45)が積層され、更にその後、熱転写がおこなわれるため、その加工に耐えうる、強度、耐熱性や使用方法に応じた耐性が要求される。そのため材料は、加工方法に応じて選択さる。
一方、厚みは、転写シートとしてのハンドリング性を考慮し2〜100μmが使用可能であり、望ましくは4〜50μmである。
【0021】
剥離性保護層(12、32、42)としては、容易に支持体から剥がれる材料であれば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線あるいは電子線硬化性樹脂のいずれであっても良い。
例を挙げるならば、ポリアクリル酸エステル樹脂、塩化ゴム系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、セルロース系樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリカーボネイト系樹脂等熱可塑性樹脂やメラミン、エポキシ等の熱硬化性樹やラジカル重合性不飽和基を有する紫外線あるいは電子線硬化性樹脂等を単独あるい複合して用いることができる。
【0022】
また、箔切れ性や耐摩性を考慮し、石油系ワックス、植物系ワックス等の各種ワックス、ステアリン酸等の脂肪酸やその金属塩、シリコンオイル等の滑剤や、テフロンパウダー、ポリエチレンパウダー、シリコーン系微粒子やアクリルニトリル系微粒子等の有機フィラーおよび、シリカ微粒子等の無機フィラーを添加することもできる。これらの材料は、例えばグラビア印刷法、スクリーン印刷法、ノズルコーター法等の既知の塗布手段により支持体に塗布される。
【0023】
尚、剥離性表面保護層は支持体自体が剥離性を有している場合、あるいは基材自体に離型処理を施してある場合は設ける必要はない。しかし、その場合には転写後、最表面にあたる層に耐摩擦性付与するか、あるいは転写後に剥離性表面保護層を設けることもできる。
【0024】
印刷層(16、36、46)は、図3において『IDCARD』や『☆』で示した部分であり、文字や記号あるいはキャラクター等絵柄の目視確認可能な情報や背景が印刷される。この印刷層は公知の材料・印刷方法にて設けられるが、厚く形成すると磁気ヘッドとの間隔が大きくなり磁気出力の低下の原因となるため1〜3μm程度で設けることが好ましい。
【0025】
OVD層(13、33、43)は、前述した光の干渉を利用したOVD画像を形成する層であり、立体画像の表現や見る角度により色が変化するカラーシフトを生じる表示体を形成する層である。その中でホログラムや回折格子のごときOVDとしては、光の干渉縞を微細な凹凸パターンとして平面に記録するレリーフ型や体積方向に干渉縞を記録する体積型が挙げられる。
一方、ホログラムや回折格子と手法が異なり、光学特性の異なるセラミックスや金属材料の薄膜を積層し、見る角度により色の変化(カラーシフト)を生じる多層膜方式もその例である。これらは一例であり、光の干渉を利用した固有の像や色の変化を生じる
【0026】
これら、OVDの中でも量産性やコストを考慮した場合には、レリーフ型ホログラム(回折格子)や多層薄膜方式のものが好ましい。
【0027】
以降、これらのOVDに関して詳しく説明する。
【0028】
図4に示したレリーフ型のホログラム(回折格子)を有する転写箔は、光学的な撮影方式により、微細な凹凸パターンからなるレリーフ型のマスター版を作製し、電気メッキ法によりパターンを複製したニッケル製のプレス版にて量産を行う。すなわち、このプレス版を加熱しOVD形成層(33a)に押し当て、凹凸パターンを複製する。
それ故、OVD形成層(33a)は熱による成形性が良好で、プレスムラが生じ難く、明るい再生像が得られる材料であって、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂、あるいは、ラジカル重合性不飽和基を有する紫外線や電子線硬化性樹脂を単独あるい複合して用いることができる。また、上記以外ものでも、OVDレリーフパターンを形成可能な安定性を有する材料であれば使用可能である。
【0029】
また、レリーフ型のホログラム(回折格子)を用いた場合、その回折効率を高めるためレリーフ面を構成する高分子材料と屈折率の異なる反射層(OVD効果層33b)を設けることが好ましい。
このOVD効果層(33b)を設けることにより、回折効率が向上し、より鮮明な画像や色の変化をもたらす。用いる材料としては、屈折率の異なるTiO2 、SiO2 、SiO、Fe2 3 、ZnS、などの高屈折率材料や反射効果の高いAl、Sn、Cr、Ni、Cu、Au等の金属材料の島状構造を有した薄膜があげられる。これら材料を単独あるいは積層して使用できる。これらの材料は真空蒸着法等の公知の薄膜形成技術にて形成され、その膜厚は用途によって異なるが、50〜10000Å程度で形成される。
【0030】
上記以外でも、OVD効果層(33b)を構成する材料としては、その屈折率が、OVD形成層(33a)で使用される高分子材料(屈折率n=1.3〜1.5)よりも高い材料であれば、上記の無機材料以外の有機系、有機無機複合体、有機系材料に無機系フィラーを分散したものであっても使用可能である。
これらの材料はグラビアコート、ダイコート、スクリーン印刷等の公知のコーティング法、や印刷法にて0.1μm〜10μm程度形成される。さらには、上記以外の材料であっても反射性を有した材料であれば、適宜使用することが可能である。
【0031】
一方、図5に示した多層薄膜方式にて形成されるOVD層(43)は、前述したように、異なる光学適性を有する多層薄膜層(43a、43b、43c)からなり、島状構造でなる金属薄膜、あるいは誘電体のセラミックス薄膜またはそれらを併設してなる複合薄膜として積層形成される。
例えば屈折率の異なる薄膜を積層する場合、高屈折率の薄膜と低屈折率の薄膜を組み合わせても良く、また特定の組み合わせを交互に積層するようにしてもよい。それらの組み合わせにより、所望の多層薄膜を得ることができる。
この多層薄膜層は、セラミックスや金属などの材料が用いられ、おおよそ2以上の高屈折率材料と屈折率が1.5程度の低屈折率材料を所定の膜厚で積層したものである。以下に用いられる材料の一例を挙げる。
まず、セラミックスとしては、Sb2 3 (3.0=屈折率n:以下同じ)、Fe2 3 (2.7)、TiO2 (2.6)、CdS(2.6)、CeO2 (2.3)、ZnS(2.3)、PbCl2 2.3)、CdO(2.2)、Sb2 3 (2.0)、WO3 (2.0)、SiO(2.0)、Si2 3 (2.5)、In2 3 (2.0)、PbO(2.6)、Ta2 3 (2.4)、ZnO(2.1)、ZrO2 (2.0)、MgO(1.6)、SiO2 (1.5)、MgF2 (1.4)、CeF3 (1.6)、CaF2 (1.3〜1.4)、AlF3 (1.6)、Al2 3 、GaO(1.7)等があり、金属単体もしくは合金の薄膜、例えばAl、Fe、Mg、Zn、Au、Ag、Cr、Ni、Cu、Si等がある。
【0032】
また、低屈折率の有機ポリマー、例えばポリエチレン(1.51)、ポリプロピレン(1.49)、ポリテトラフロロエチレン(1.35)、ポリメチルメタアクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.60)等がある。これらの高屈折率材料もしくは30%〜60%透過の金属薄膜より少なくとも一種、低屈折率材料より少なくとも一種選択し、所定の厚さで交互に積層させる事により、特定の波長の可視光に対する吸収あるいは反射を示すものである。
なお、金属から構成される薄膜は、構成材料の状態や形成条件などにより、屈折率などの光学特性が変わってくるため、本発明の実施例では一定の条件における値を用いている。
【0033】
上記した各材料から屈折率、反射率、透過率等の光学特性や耐候性、耐薬品性、層間密着性などに基づき適宜選択され、薄膜として積層され多層薄膜を形成する。形成方法は公知の手法を用いることができ、膜厚、成膜速度、積層数、あるいは光学膜厚(=n・d、n:屈折率、d:膜厚)などの制御が可能な、通常の真空蒸着法、スパッタリング法などの物理的気相析出法やCVD法などの化学的気相析出法を用いることができる。
【0034】
また、低屈折率有機ポリマーの成膜方法としては、公知のグラビア印刷方、オフセット印刷方、スクリーン印刷方などの印刷方法やバーコート法、グラビア法、ロールコート法等などの塗布方法等を用いることができる。なお、本発明ではセラミックス・金属のみを開示しているが、セラミックス・金属と同等、あるいは類似する屈折率と反射率を有するものであれば、用いることが可能である。
【0035】
この多層薄膜層の具体例を挙げるならば、その層厚が50〜20000Åの範囲であり、また薄膜の層構成は上記した高屈折率の材料もしくは金属材料からなる薄膜、例えばZnS、TiO2 、ZrO2 、In2 3 、SnO、ITO、CeO2 、ZnO、Ta2 3 、Al、Fe、Mg、Zn、Au、Ag、Cr、Ni、Cu、Siなどと、上記した低屈折率の材料からなる薄膜、例えばMgF2 、SiO2 、CaF2 、MgO、Al2 3 などとの組み合わせであり、それらを交互に積層し、その積層数が2層以上であり、好ましくは2層〜9層であるものが挙げられる。尚、用いられる材料、組み合わせにより多層膜の光学特性が異なるため、これに限定されるものではない。
【0036】
尚、これらOVD層は、転写して作製した磁気情報媒体において、必ずしも印刷層の下にある必要はなく、OVD層が透明で印刷層の絵柄、文字等が判読できるならば、OVD層(13、33、43)と隠蔽層(14、34、44)の間に有っても構わない。また、これらOVD層が十分に隠蔽性を有する薄膜で成るならば、後述の隠蔽層を兼ねることもできる。
【0037】
隠蔽層(14、34、44)は、磁気層(22)を隠蔽する層であり導電性のない薄膜でなる。例えば島状構造でなる金属薄膜やセラミックス材料からなる薄膜が挙げられる。
【0038】
以降、この隠蔽層に関してさらに詳しく説明する。
【0039】
島状構造でなる金属薄膜とは、図6に示すようにサイズ200Å〜1μmの粒子が間隔10Å〜5000Å程度で各々が孤立した島状に形成された薄膜であり、島同士が離れているため、薄膜全体には導電性を示さない。また、その間隔も非常に小さいため、膜全体では光を反射する特性を示し、磁気層を隠蔽することが可能となる。この薄膜は真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の薄膜形成法により直接形成する方法(特公平6−6783号)があり、Sn、Sn−Al合金、Sn−Si合金、Ti、Cr、Fe、Ni、Co、Si、Ge等がが挙げられるが、融点の低い金属や貴金属が加工に適しており、Sn、Sn−Al合金、Sn−Si合金が好ましい。
【0040】
その他に島状構造の薄膜を形成する方法としては、Alのような島状構造の蒸着が難しい材料であっても、一旦連続した薄膜を形成した後、島状構造となるようにエッチングにより部分的に薄膜を除去し製造することも可能である。これら以外の方法であっても各々が独立した島構造の薄膜が形成できる公知の手法であれば利用可能であり、限定される物ではない。
【0041】
一方、金属酸化物、硫化物等の誘電体材料を用いた隠蔽層は例えばTiO2 、Si2 3 、SiO、SiO2 、Fe2 3 、ZnS、MgO、Al2 3 、AlF3 等のセラミックス材料が挙げられる。これら材料は色調や光透過性の程度から様々ではあるが200Å〜10000Åの範囲にて公知の真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の薄膜形成法で設けられる。
【0042】
これらの材料は導電性を示さず、静電気による不具合を生じにくい媒体が得られるが、いずれも透明性が高く隠蔽性に劣る。しかしながらTiO2 、Si2 3 、ZnS等の材料はプラスチック材料と屈折率が異なるため、プラスッチック材料と積層した場合その境界で光を反射する特性を有している。この特性を利用し薄膜を形成する前にプラスッチック材料を塗布し、その面を予め細かく荒らすしておく、あるいは粒子を分散したプラスッチック材料を塗布し粗い面を作っておく。そしてその後、薄膜を形成すれば、光の反射面積がより多くなり、かつ反射光が散乱し易くなるためより白色の隠蔽層を得ることが可能である。
【0043】
材料に無機フィラ−や着色顔料等の粒子を混入することにより表面を荒らすとともに着色し隠蔽効果を向上することも可能である。以上は例であり表面の荒れた面に薄膜を形成する方法であれば、これらに限定されるものではない。
また、この手法は隠蔽力を向上し散乱によって白色化あるいは着色する効果があり、前述の島構造を有する金属薄膜にも適用可能である。さらに隠蔽性を高めるため、隠蔽用の印刷層を設けたり、磁気情報媒体基材(21)の色を磁気層(22)の色と合わせることにより、磁気層を目立ちにくくした上で、本発明のOVD転写箔を形成することも考えられる。
【0044】
接着層(15、35、45)としては、隠蔽層(14、34、44)と磁気情報媒体基材(21)とを接着させるという性能が要求される。その材質としては熱可塑性樹脂が好ましくアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ビニル系樹脂等の単体あるいは共重合体を、単独もしくは複合して使用可能である。また、ブロッキングの防止および箔切れ性を考慮し、石油系ワックス、植物系ワックス等の各種ワックス、ステアリン酸等の脂肪酸やその金属塩、シリコンオイル等の滑剤や、テフロンパウダー、ポリエチレンパウダー、シリコーン系微粒子やアクリルニトリル系微粒子等の有機フィラーおよび、シリカ微粒子等の無機フィラーを添加することもできる。これら接着層材料は、例えばグラビア印刷法、スクリーン印刷法、ノズルコーター法等の既知の塗布手段により塗布される。
【0045】
以上に説明した構成は、一例であり、商品の形態あるいは製造方法により各層の上に接着層や印刷層を適宜設けることは可能である。また、その積層する順もこれに示した限りでなく、例えばOVD層と隠蔽層上に印刷層を有する構成やOVD効果層(33b)が隠蔽層を兼ねる構成であっても良い。
さらには、偽造防止を向上させるべく蛍光発色インキや赤外線インキおよび液晶高分子等にて潜像を付与した構成等を付け加えることも可能である。
【0046】
【実施例】
本発明を、具体的な実施例を挙げて詳細に説明する。
[実施例1]
図4に示した本発明のOVD転写箔を用いた磁気情報記録媒体の一実施例を示す。
まず、転写箔支持体(31)となる25μmの透明ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに以下の組成の剥離性表面保護層(32)塗料をグラビア法を用いて形成した後、グラビア印刷を施した上に、OVD形成層(33a)塗料グラビア法を用いて形成した。尚、各々塗布厚1.0μmで形成した。
【0047】
次いで、OVDレリーフパターンを有するニッケル製のOVD画像金型を100℃に加熱し、公知のロールエンボス法により、OVD形成層(33a)上に押圧することで、OVD形成層上にOVDレリーフパターンを形成した。
本実施例では、2ステップ法により撮影したレインボーホログラムをOVD画像に用いた。
【0048】
さらに、上記方法でOVDレリーフパターンを形成したOVD形成層(33a)上に、真空蒸着法を用いて膜厚0.05μmのZnSを形成してOVD効果層(33b)を設けた後、隠蔽層(34)としてSnの島蒸着を0.05μm、接着層(35)をグラビア法にて1.0μm設け、OVD転写箔(30)を得た。
【0049】
以下に、潜像を有するOVD転写箔製造に使用した塗料について示す。
(剥離性表面保護層塗料)
アクリル樹脂 …10部
メチルエチルケトン …80部
トルエン …80部
(OVD形成層塗料)
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 …15部
ウレタン樹脂 …10部
メチルエチルケトン …50部
トルエン …25部
(接着層塗料)
アクリル樹脂 …15部
ポリエステル樹脂 … 5部
メチルエチルケトン …30部
トルエン …50部
【0050】
以上にして得られた転写箔をホットスタンプにて80℃、0.5秒、9.8MPa(100kg/cm2 )の条件にて転写を行った。
尚、被転写体としては厚さ0.8mmの磁気テープを有する塩化ビニールカードを用いた。
【0051】
このようにして得られた磁気カードは外見では磁気層が確認されず、わずか500ÅのSn蒸着にて隠蔽可能であった。また磁気出力も、その磁気テープ上の印刷の厚みが4μm程度であるため良好な出力が得られた。また、積み重ねた状態で電荷をためることもなく、電気を急激に放電することもないので、作業がしやすく、磁気情報の数十回書込読出を行ってもエラーは生じなかった。
一方、本実施例ではOVD層(33)が形成されているため、見る角度により色が変化する視認性の高いカードが得られた。以上のように本発明の転写箔は転写という容易な工程で磁気テープを隠蔽したカードが得られた。
【0052】
[実施例2]
図5に示した本発明のOVD転写箔を用いた磁気情報記録媒体の一実施例を示す。
OVD層(43)として多層薄膜にした以外は実施例1と同様な方法で転写箔を得た。
【0053】
この多層薄膜として、ZnS−400Å、SiO2 −5800Å、ZnS−800Åを順に形成してOVD層(43)とした。
【0054】
得られた転写箔を実施例1と同様に磁気テープを有した塩ビカードに転写し、カードを得た。
【0055】
このようにして得られた磁気カードは外見では磁気層が確認されず、わずか500ÅのSn蒸着にて隠蔽可能であった。また磁気出力も、その磁気テープ上のOVDが形成されているにも関わらず、その厚みが4.0μm程度であるため良好な出力が得られた。また、積み重ねた状態で電荷をためることもなく、電気を急激に放電することもないので、作業がしやすく、磁気情報の数十回書込読出を行ってもエラーは生じない磁気情報媒体であった。
【0056】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の転写箔は、磁気情報記録媒体は導電性を示さない薄膜にて磁気層を隠蔽する隠蔽層を有しており、OVDが形成されているにもかかわらず、十分な磁気出力が得られるとともに、取り扱い時の不具合や、磁気情報の書込読出時にもエラーを生じない意匠性の高い磁気記録媒体を容易に作製可能とする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のOVD転写箔の基本構造を示す断面図である。
【図2】磁気情報媒体に転写する状態を説明する斜視図である。
【図3】本発明のOVD転写箔にて作製された磁気情報媒体を示し、
(A)は斜視図、(B)はxーx部の構成断面図である。
【図4】本発明のレリーフ型OVD転写箔の一実施例を示す構成断面図である。
【図5】本発明の多重薄膜型OVD転写箔の一実施例を示す構成断面図である。
【図6】島状金属薄膜の概念平面図である。
【符号の説明】
10、30、40…転写箔
11、31、41…転写箔支持体
12、32、42…剥離性表面保護層
13、33、43…OVD層
33a…OVD形成層
33b…OVD効果層
43a、43b、43c…多層薄膜
14、34、44…隠蔽層
15、35、45…接着層
16、36、46…印刷層
20…磁気情報媒体
21…磁気情報媒体基材
22…磁気層
50…島状金属薄膜
51…島

Claims (4)

  1. 磁気層を有してなる情報記録媒体の基体に転写し、磁気層部分を目視できぬよう隠蔽可能とするOVD転写箔に関し、転写箔支持体に少なくともOVD層および誘電体からなる薄膜を有した隠蔽層を具備してなり、
    該隠蔽層が、粗い面を有するプラスチック材料と、該プラスチック材料の粗い面に形成されたTiO2、Si2O3、ZnSのいずれかからなる薄膜から構成され
    該隠蔽層は反射光の散乱によって白色化してなることを特徴としたOVD転写箔。
  2. 前記プラスチック材料が塗布された後細かく荒らしてなることを特徴とした請求項1に記載のOVD転写箔。
  3. 前記プラスチック材料が粒子を分散したプラスチック材料を塗布してなることを特徴とした請求項1に記載のOVD転写箔。
  4. 請求項1〜3に記載のいずれかに記載のOVD転写箔を加熱・加圧により転写して製造した、少なくとも誘電体からなる薄膜を有した隠蔽層およびOVD画像を具備してなることを特徴とした磁気情報媒体。
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