JP4422861B2 - クレーンのフック吊下げ長さ維持装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フックブロックの吊下げ長さを略一定に維持しつつ伸縮ブームを縮小駆動するクレーンのフック吊下げ長さ維持装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車載式クレーン等の伸縮ブームを備えたクレーンでは、伸縮ブームがブーム伸縮用シリンダによって伸縮可能に構成されており、更に当該伸縮ブームの基端部あるいは伸縮ブームを起伏自在に支持する旋回ポスト部に取付けたウインチ装置で巻上げ巻下げ駆動されるワイヤロープにより伸縮ブーム先端部からフックブロックが吊下げられている。
【0003】
このため、伸縮ブーム先端部から吊下げられたフックブロックは、伸縮ブームの伸縮動に伴って吊下げ長さ(伸縮ブーム先端部とフックブロック間の距離)が変化、すなわち伸縮ブームの伸長動に伴って吊下げ長さが減少し、伸縮ブームの縮小動に伴って吊下げ長さが増大するようになっている。従って、この種の伸縮ブームを伸縮動させる場合には、フックブロックの吊下げ長さが過度に変化してフックブロックが過巻き状態になったり他の部材に接触しないようにするため、伸縮ブームの伸縮操作に連動してウインチ装置の巻下げ巻上げ操作を行う必要があった。このような同時操作は、オペレータにとって煩雑で熟練を要するものであった。
【0004】
このため、この種のクレーンには、例えば特開平11−171474号公報に記載された如きフック吊下げ長さ維持装置が取付けられていた。すなわち、当該フック吊下げ長さ維持装置は、図4に示す如き油圧ポンプ1からの圧油をブーム伸縮用シリンダ3に給排制御して伸縮ブーム2を伸縮駆動する伸縮制御弁4と、圧油をウインチ装置6に給排制御してフックブロック5を巻上げ巻下げ駆動するウインチ制御弁7、前記伸縮制御弁4とブーム伸縮用シリンダ3の縮小側油室3bとを接続する縮小油路8に介装され当該油路8の前段油路8aと後段油路8bを接続してブーム伸縮用シリンダ3を単独で駆動する単独駆動位置sと、前記縮小油路8の前段油路8aをウインチ装置6の巻上げ側油路6aに接続すると共に後段油路8bを巻下げ側油路6bに接続してブーム伸縮用シリンダ3とウインチ装置6を連動駆動する連動駆動位置vとを備えた連動切換弁9とで構成されている。
【0005】
そして、当該フック吊下げ長さ維持装置は、前記連動切換弁9を連動駆動位置vに切換えた状態では、ブーム伸縮用シリンダ3の縮小側油室3bとウインチ装置6の巻下げ側油路6bが接続されると共にウインチ装置6の巻上げ側油路6aと伸縮制御弁4の縮小ポート4bが接続されるようになっている。このため、伸縮制御弁4を伸長側aに操作してブーム伸縮用シリンダ3を伸長駆動すれば、当該シリンダ3の伸長駆動に伴い縮小側油室3bから排出される戻り油は連動切換弁9を経過してウインチ装置6の巻下げ側油路6bに供給されて当該ウインチ装置6を連動して巻下げ駆動するようになっている。また、伸縮制御弁4を縮小側bに操作すれば、伸縮制御弁4からの圧油は連動切換弁9を経過してウインチ装置6の巻上げ側油路6aに供給されて当該ウインチ装置6を巻上げ駆動すると共に、当該ウインチ装置6の巻上げ駆動に伴い巻下げ側油路6bから排出される戻り油は連動切換弁9を経過してブーム伸縮用シリンダ3の縮小側油室3bに供給されて当該シリンダ3を連動して縮小駆動するようになっている。このように従来のフック吊下げ長さ維持装置は、連動切換弁9を連動駆動位置vに切換えて伸縮制御弁4を伸縮操作するだけで、ブーム伸縮用シリンダ3の伸長駆動に連動してウインチ装置6を巻下げ駆動、あるいはブーム伸縮用シリンダ3の縮小駆動に連動してウインチ装置6を巻上げ駆動し、フックブロック5の吊下げ長さを略一定に維持した状態で伸縮ブーム2を伸縮駆動可能になっている。
【0006】
なお、伸縮ブーム2を単独で駆動する場合、あるいはフックブロック5の吊下げ長さの変動が許容し得る場合には、前記連動切換弁9を単独駆動位置sに切換えることで、縮小油路8の前段油路8aと後段油路8bを接続してブーム伸縮用シリンダ3を単独で伸縮駆動することができるようになっている。
【0007】
このように従来のフック吊下げ長さ維持装置は、連動切換弁9を連動駆動位置vに切換え伸縮制御弁4を伸縮操作するだけで、フックブロック5の吊下げ長さを略一定に維持した状態で伸縮ブーム2を伸縮駆動することができ、操作性が大きく向上するものであった。
【0008】
一方、この種のクレーンには、作業中にフックブロック5が伸縮ブーム先端部2aに当接してフックブロック5やブーム先端部2a等が損傷するのを未然に防止するため、フックブロック5が伸縮ブーム先端部2aに接近した過巻き位置Kまで巻上げられたことを検出してウインチ装置6の巻上げ駆動を停止させる従来周知の過巻き停止装置10が取付けられていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のフック吊下げ長さ維持装置は、伸縮ブーム2の伸縮駆動時にフックブロック5の吊下げ長さが略一定に維持されるようブーム伸縮用シリンダ3の伸縮速度とウインチ装置6の巻上げ巻下げ速度が設計的に調節されていたが、何らかの理由により両者の駆動速度に差が生じた場合には、次の如き問題が生じていた。すなわち、何らかの理由によりブーム伸縮用シリンダ3の縮小速度に対しウインチ装置6の巻上げ速度が勝った場合には、連動制御中にフックブロック5が過巻き位置kまで巻上げられることがあり、この場合には前記過巻き停止装置10が作動して連動駆動が停止するようになっていた。この過巻き停止装置10により連動駆動が停止した状態からの復帰操作(以下、過巻き復帰操作という)は、一旦伸縮制御弁4を中立位置に戻して連動駆動を停止させた状態でウインチ制御弁7を巻下げ側bに操作しフックブロック5を巻下げ駆動して過巻き状態を解除した上で、再び伸縮制御弁4を縮小側bに操作して連動制御を再開する必要があった。このため、過巻き復帰操作は煩雑で、オペレータに苦痛を強いるものであった。
【0010】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑み、過巻き復帰操作を容易にして、操作性を向上させたクレーンのフック吊下げ長さ維持装置を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。
すなわち、請求項1におけるクレーンのフック吊下げ長さ維持装置は、ブーム伸縮用シリンダで伸縮駆動される伸縮ブームと、ウインチ装置で巻上げ巻下げ駆動されるワイヤロープにより当該伸縮ブームの先端部から吊下げられたフックブロック、前記ブーム伸縮用シリンダに圧油を給排する伸縮制御弁、当該伸縮制御弁からの圧油をブーム伸縮用シリンダに供給して当該シリンダを単独で駆動する単独駆動位置と、伸縮制御弁からの圧油をブーム伸縮用シリンダとウインチ装置に同時に供給あるいはブーム伸縮用シリンダとウインチ装置のいずれか一方を駆動した戻り油を他方に供給してフックブロックの吊下げ長さを略一定に維持しつつ伸縮ブームを縮小駆動する連動駆動位置とに切換え可能な連動切換弁とで構成したクレーンのフック吊下げ長さ維持装置を対象にしている。
【0012】
そして、請求項1におけるフック吊下げ長さ維持装置は、フックブロックが伸縮ブーム先端部に近接した過巻き位置まで巻上げられたことを検出する過巻き検出手段を設け、連動切換弁を連動駆動位置に切換えて伸縮制御弁からの圧油でブーム伸縮用シリンダを縮小並びにウインチ装置を巻上げ駆動中に前記過巻き検出手段が作動した際に、前記連動切換弁を強制的に単独駆動位置に切換えるよう過巻き検出手段と連動切換弁を関連させて構成している。
【0013】
このように構成した請求項1におけるフック吊下げ長さ維持装置は、フックブロックの吊下げ長さが略一定に維持されるよう連動切換弁を連動駆動位置に切換えてブーム伸縮用シリンダを縮小並びにウインチ装置を巻上げ駆動中に何らかの理由によりウインチ装置の巻上げ駆動速度が勝りフックブロックが過巻き状態になった場合には、フックブロックが過巻き状態になったことを過巻き検出手段が検出して連動切換弁を強制的に単独駆動位置に切換え、ブーム伸縮用シリンダとウインチ装置の連動駆動を解除して単独でブーム伸縮用シリンダを縮小駆動し、過巻き状態を解除するようになっている。そして、過巻き状態が解除されれば、再び連動切換弁を連動駆動位置に切換えて連動駆動を再開するようになっている。これにより、フックブロックが何らかの理由により過巻き状態になっても、自動的に過巻き状態の解除が行われ、操作性が向上するのである。
【0014】
また、請求項2におけるクレーンのフック吊下げ長さ維持装置は、ブーム伸縮用シリンダで伸縮駆動される伸縮ブームと、ウインチ装置で巻上げ巻下げ駆動されるワイヤロープにより当該伸縮ブームの先端部から吊下げられたフックブロック、前記ブーム伸縮用シリンダに圧油を給排制御する伸縮制御弁、前記ウインチ装置に圧油を給排制御するウインチ制御弁、前記伸縮制御弁を縮小側に操作すると共にウインチ制御弁を巻上げ側に操作してフックブロックの吊下げ長さを略一定に維持しつつ伸縮ブームを縮小駆動する連動制御手段とで構成したクレーンのフック吊下げ長さ維持装置を対象にしている。
【0015】
そして、請求項2におけるフック吊下げ長さ維持装置は、フックブロックが伸縮ブーム先端部に近接した過巻き位置まで巻上げられたことを検出する過巻き検出手段を設け、連動制御手段を作動させて伸縮制御弁を縮小側にウインチ制御弁を巻上げ側に同時に切換えて連動駆動中に前記過巻き検出手段が作動した際に、連動制御手段によるウインチ制御弁の巻上げ操作を規制するよう構成している。
【0016】
このように構成した請求項2におけるフック吊下げ長さ維持装置は、フックブロックの吊下げ長さが略一定に維持されるよう連動制御手段を作動させて伸縮制御弁を縮小側にウインチ制御弁を巻上げ側に同時に切換えて連動駆動中に何らかの理由によりウインチ装置の巻上げ駆動速度が勝りフックブロックが過巻き状態になった場合には、フックブロックが過巻き状態となったことを過巻き検出手段が検出して連動制御手段によるウインチ制御弁の巻上げ側への操作を規制して伸縮制御弁のみを縮小側に操作することで、ブーム伸縮用シリンダの縮小駆動のみを行い過巻き状態を解除するようになっている。そして、過巻き状態が解除されれば、再びウインチ制御弁を巻上げ操作して連動駆動を再開するようになっている。これにより、フックブロックが何らかの理由により過巻き状態になっても、自動的に過巻き状態の解除が行われ、操作性が向上するのである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図1及び図3に基づき本発明の具体的な実施形態について説明する。
なお、図1は請求項1に対応した第1の実施形態が、図2は請求項1に対応した第2の実施形態が、図3は請求項2に対応した第3の実施形態が夫々示されている。
【0018】
まず、図1に基づき第1の実施形態について説明する。
第1の実施形態におけるフック吊下げ長さ維持装置は、前述した従来のフック吊下げ長さ維持装置における連動切換弁の制御方法を変更したものであり、以下の説明ではその相違点を中心に説明するものとする。
【0019】
11は連動切換弁であり、弁構造及び油圧回路構成は従来の連動切換弁9と同一構成である。すなわち、当該連動切換弁11は、伸縮制御弁4とブーム伸縮用シリンダ3の縮小側油室3bを接続する縮小油路8の前段油路8a、後段油路8b、ウインチ装置6の巻上げ側油路6a、及び巻下げ側油路6b間に介装されており、前段油路8aと後段油路8bを接続して伸縮制御弁4から給排される圧油でブーム伸縮用シリンダ3を単独で伸縮駆動する単独駆動位置sと、前段油路8aをウインチ装置6の巻上げ側油路6aに接続すると共に後段油路8bを巻下げ側油路6bに接続して伸縮制御弁4から給排される圧油でブーム伸縮用シリンダ3とウインチ装置6を連動駆動する連動駆動位置vとに切換え可能に構成されている。
【0020】
そして、当該連動切換弁11を連動駆動位置vに切換えた状態で伸縮制御弁4を伸長側aに操作すれば、伸縮制御弁4からの圧油はブーム伸縮用シリンダ3の伸長側油室3aに供給されて当該シリンダ3が伸長駆動すると共に、当該伸長駆動に伴って縮小側油室3bから排出される戻り油が連動切換弁11の弁内油路を介してウインチ装置6の巻下げ側油路6bに供給されて当該ウインチ装置6が連動して巻下げ駆動するようになっている。また、伸縮制御弁4を縮小側bに操作すれば、伸縮制御弁4からの圧油は連動切換弁11の弁内油路を介してウインチ装置6の巻上げ側油路6aに供給されて当該ウインチ装置6を巻上げ駆動すると共に、当該巻上げ駆動に伴って巻下げ側油路6bから排出される戻り油が連動切換弁11の弁内油路を介してブーム伸縮用シリンダ3の縮小側油室3bに供給されて当該シリンダ3が連動して縮小駆動するようになっている。このため、連動切換弁11を連動駆動位置vに切換えて伸縮制御弁4を伸縮操作すれば、ブーム伸縮用シリンダ3の伸長駆動とウインチ装置6の巻下げ駆動、あるいはブーム伸縮用シリンダ3の縮小駆動とウインチ装置6の巻上げ駆動が同時に行われフックブロック5の吊下げ長さを略一定に維持した状態で伸縮ブーム2を伸縮駆動することができるのである。
【0021】
11aは、連動切換弁11を切換制御するソレノイドであり、当該ソレノイド11aは連動制御を行う際にオペレータが手動操作する連動切換スイッチ12と、後述するフックブロック5が過巻き位置Kまで巻上げられたことを検出する過巻き検出手段10aの検出信号で励磁されるリレー13のB接点13bを直列に接続した回路で制御されるようになっている。すなわち、フックブロック5が通常作業状態(過巻き位置Kまで巻上げられていない状態)でオペレータが連動切換スイッチ12を操作すれば、リレー13のB接点13bは接状態であるためソレノイド11aが励磁されて連動切換弁11が連動駆動位置vに切換わり、フック吊下げ長さ維持制御が行えるようになっている。一方、フック吊下げ長さ維持制御中に何らかの理由によりフックブロック5が過巻き位置Kまで巻上げられた場合には、過巻き検出手段10aが作動してリレー13のB接点13bが断となるので、ソレノイド11aが非励磁状態となり連動切換弁11が単独駆動位置sに切換えられるようになっている。このため、ブーム伸縮用シリンダ3とウインチ装置6の同時駆動が一時的に解除されてブーム伸縮用シリンダ3の縮小駆動(伸縮制御弁4の縮小操作時)のみが行われ、フックブロック5の過巻き状態が解除されるのである。そして、フックブロック5の過巻き状態が解除されれば、過巻き検出手段10aが非作動状態となって、再び連動切換弁11が連動駆動位置vに切換わってフック吊下げ長さ維持制御が行われるのである。
【0022】
前記過巻き検出手段10aは、従来周知のものであり、検出スイッチ10aと当該検出スイッチ10aから検出用ワイヤ10bにより吊下げられた検出用重錘10cとで構成されており、フックブロック5が過巻き位置Kに巻上げられた際に前記検出用重錘10cがフックブロック5に当接して検出用ワイヤ10bの吊下げ力が低下するのを検出スイッチ10aで検出して検出信号を出力するよう構成されている。
【0023】
このように構成された第1の実施形態におけるフック吊下げ長さ維持装置によれば、連動切換スイッチ12を操作して連動切換弁11を連動駆動位置vに切換えフックブロック5の吊下げ長さを略一定に維持しつつ伸縮ブーム2を縮小駆動している最中に何らかの理由によりフックブロック5が過巻き状態になった場合には、フックブロック5が過巻き状態になったことを過巻き検出手段10aが検出して連動切換弁11が自動的に単独駆動位置sに切換わるので、フックブロック5の吊下げ長さ維持制御が一時的に解除されブーム伸縮用シリンダ3のみが縮小駆動してフックブロック5の過巻き解除の制御が行われるのである。このため、オペレータが過巻き解除操作を行う必要がなく、操作性を向上させることができるのである。なお、フックブロック5の過巻き状態が解除されれば、再び連動切換弁11が連動駆動位置vに切換えられてフックブロック5の吊下げ長さ維持制御が再開されるようになっている。
【0024】
次に、図2に基づき第2の実施形態におけるフック吊下げ長さ維持装置について説明する。前記した第1の実施形態におけるフック吊下げ長さ維持装置は、ブーム伸縮用シリンダ3とウインチ装置6の一方を駆動した戻り油で他方を連動駆動させるよう構成しているが、第2の実施形態におけるフック吊下げ長さ維持装置は伸縮制御弁4からの圧油を分流してブーム伸縮用シリンダ3とウインチ装置6を連動駆動させるよう構成している。
【0025】
14は、連動切換弁であり、第1の切換弁14aと第2の切換弁14bとで構成されている。第1の切換弁14aは、伸縮制御弁4とブーム伸縮用シリンダ3の縮小側油室3bとを接続する縮小油路8に介装されており、弁非切換状態の時には当該縮小油路8の前段油路8aと後段油路8bを弁内接続し、弁切換状態の時には前段油路8aと後段油路8bを遮断するように構成されている。また、第2の切換弁14bは、前記前段油路8aに入力ポート15aを接続した分・集弁15の一方の出力ポート15b、ブーム伸縮用シリンダ3の伸長油路16、ウインチ装置6の巻上げ側油路6a、及び巻下げ側油路6b間に介装されており、弁非切換状態の時には全ての弁内接続を断ち、弁切換状態の時には一方の出力ポート15bと巻上げ側油路6aを弁内接続すると共に伸長油路16と巻下げ側油路6bを弁内接続するように構成されている。なお、分・集弁15の他方の出力ポート15cは、ブーム伸縮用シリンダ3の縮小側油室3bに接続されている。
【0026】
このように構成したことにより連動切換弁14の第1の切換弁14aと第2の切換弁14bを共に弁切換状態に切換えた状態で伸縮制御弁4を伸長側aに操作すれば、伸縮制御弁4からの圧油の一部はブーム伸縮用シリンダ3の伸長側油室3aに供給され、縮小側油室3bからの戻り油は第1の切換弁14aが閉弁状態であるため分・集弁15の他方の出力ポート15cから分・集弁15を経過して伸縮制御弁4に戻り当該シリンダ3を伸長駆動すると共に、伸縮制御弁4からの圧油の残りは第2の切換弁14bの弁内油路を介してウインチ装置6の巻下げ側油路6bに供給され、巻上げ側油路6aからの戻り油は第2の切換弁14bの弁内油路を介して一方の出力ポート15bから分・集弁15を経過して伸縮制御弁4に戻りウインチ装置6を巻下げ駆動するようになっている。また、伸縮制御弁4を縮小側bに操作すれば、第1の切換弁14aが閉弁状態であるため伸縮制御弁4からの圧油は分・集弁15で分流されて圧油の一部が他方の出力ポート15cからブーム伸縮用シリンダ3の縮小側油室3bに供給されて当該シリンダ3を縮小駆動すると共に、残りが一方の出力ポート15bから第2の切換弁14bの弁内油路を介してウインチ装置6の巻上げ側油路6aに供給され、巻下げ側油路6bからの戻り油は第2の切換弁14bの弁内油路を介して伸縮制御弁4に戻りウインチ装置6を巻上げ駆動するようになっている。このため、伸縮制御弁4の伸長側aへの操作でブーム伸縮用シリンダ3の伸長駆動とウインチ装置6の巻下げ駆動が同時に行われ、また伸縮制御弁4の縮小側bへの操作でブーム伸縮用シリンダ3の縮小駆動とウインチ装置6の巻上げ駆動が同時に行われて、フックブロック5の吊下げ長さを略一定に維持した状態で伸縮ブーム2を伸縮駆動することができるのである。
【0027】
なお、第1の切換弁14aと第2の切換弁14bを共に弁非切換状態に切換えた場合には、前記縮小油路8の前段油路8aと後段油路8bが接続され、ブーム伸縮用シリンダ3とウインチ装置6間の相互連通が遮断されるので、ブーム伸縮用シリンダ3を単独で伸縮駆動することができるのである。
【0028】
以上の如く、本実施形態における第1の切換弁14aと第2の切換弁14bとで構成した連動切換弁14は、前記第1の実施形態における連動切換弁11と同等な機能を有している。このため、第1の切換弁14aと第2の切換弁14bは、前記第1の実施形態における連動切換11の励磁回路と同様に連動切換スイッチ12と過巻き検出手段10aの検出信号で作動するリレー13のB接点13bを直列に接続した励磁回路で切換制御するようになっている。このため、前記第1の実施形態におけるフック吊下げ長さ維持装置と同じ作用・効果を奏するものであり、詳細な作用・効果の説明は省略する。
【0029】
なお、本実施形態では、第1の切換弁14aをブーム伸縮用シリンダ3の縮小側油室3bに接続した縮小油路8に介装し、その前段の圧油を分・集流15を用いてブーム伸縮用シリンダ3とウインチ装置6に給排して両者を連動駆動させるよう構成したが、第1の切換弁14aをブーム伸縮用シリンダ3の伸長側油室3aに接続した伸長油路16に介装し、その前段の圧油を分・集流15を用いてブーム伸縮用シリンダ3とウインチ装置6に給排して両者を連動駆動させるよう構成することも可能である。
【0030】
次に、図3に基づき第3の実施形態におけるフック吊下げ長さ維持装置について説明する。当該第3の実施形態におけるフック吊下げ長さ維持装置は、伸縮制御弁4とウインチ制御弁7をコントローラ16からの弁切換信号によって切換制御可能な電磁切換弁で構成したクレーンに適応されるフック吊下げ長さ維持装置である。
【0031】
伸縮制御弁4は、電磁切換弁で構成されており手動操作手段17の操作信号に基づきコントローラ16から出力される弁切換信号によって伸長あるいは縮小側に切換制御され、油圧ポンプ1からの圧油をブーム伸縮用シリンダ3に給排して当該シリンダ3を伸縮駆動するように構成されている。また、ウインチ制御弁7も、電磁切換弁で構成されており手動操作手段17の操作信号に基づきコントローラ16から出力される弁切換信号によって巻上げあるいは巻下げ側に切換制御され、圧油をウインチ装置6に給排して当該ウインチ装置6を巻上げ巻下げ駆動するように構成されている。
【0032】
前記コントローラ16は、上記の如く手動操作手段17からの操作信号に基づき前記伸縮制御弁4を切換制御してブーム伸縮用シリンダ3を単独で伸縮駆動、あるいはウインチ制御弁7を切換制御してウインチ装置6を単独で巻上げ巻下げ駆動するよう構成した通常の単独制御と、連動切換スイッチ12が操作された状態での手動操作手段17からの操作信号に基づき前記伸縮制御弁4を伸長側に切換制御しウインチ制御弁7を巻下げ側に切換制御、あるいは前記伸縮制御弁4を縮小側に切換制御しウインチ制御弁7を巻上げ側に切換制御してフックブロック5の吊下げ長さを略一定に維持しつつ伸縮ブーム2を伸縮駆動する連動制御が可能になっている。更に当該コントローラ16には、過巻き検出手段10aの検出信号が入力されており、次の如く制御するよう構成されている。すなわち、連動切換スイッチ12を操作し手動操作手段17からの操作信号で前記伸縮制御弁4を縮小側にウインチ制御弁7を巻上げ側に切換制御してフックブロック5の吊下げ長さを略一定に維持しつつ伸縮ブーム2を縮小駆動している最中にフックブロック5が過巻き状態となって過巻き検出手段10aから検出信号が出力された場合に、前記伸縮制御弁4とウインチ制御弁7の連動制御を一時的に解除してウインチ制御弁7の巻上げ側への切換を規制し、伸縮ブーム2の縮小駆動のみを行ってフックブロック5の過巻き解除を行う過巻き解除制御が可能になっている。
【0033】
このように構成した第3の実施形態のフック吊下げ長さ維持装置も、第1及び第2の実施形態のものと同様に、オペレータが過巻き解除操作を行う必要がなく、操作性を向上させることができるのである。そして過巻き状態が解除されれば、再びウインチ制御弁7が巻上げ側に切換えられ、連動制御が再開されるようになっている。
【0034】
【発明の効果】
本発明のクレーンのフック吊下げ長さ維持装置は、ブーム伸縮用シリンダを縮小駆動しウインチ装置を巻上げ駆動してフックブロックの吊下げ長さを略一定に維持しつつ伸縮ブームを縮小駆動している最中に何らかの理由によりフックブロックが過巻き状態となっても、自動的に連動制御が解除され伸縮ブームの縮小駆動のみが行われて過巻き状態が解除されるので、オペレータが過巻き解除操作を行う必要がなく、操作性が向上するのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるクレーンのフック吊下げ長さ維持装置の説明図である。
【図2】同、第2の実施形態におけるクレーンのフック吊下げ長さ維持装置の説明図である。
【図3】同、第3の実施形態におけるクレーンのフック吊下げ長さ維持装置の説明図である。
【図4】従来のクレーンのフック吊下げ長さ維持装置の説明図である。
【符号の説明】
1;油圧ポンプ、2;伸縮ブーム、3;ブーム伸縮用シリンダ、3a;伸長側油室、
3b; 伸長側油室、4;伸縮制御弁、5;フックブロック、6;ウインチ装置、
6a;巻上げ側油路、6b; 巻下げ側油路、7;ウインチ制御弁、8;縮小油路、
8a;前段油路、8b;後段油路、9,11;連動切換弁、10a;過巻き検出手段、
12;連動切換スイッチ、13;リレー、13b;B接点、14;連動切換弁、
14a;第1の切換弁、14b;第2の切換弁、15;分・集流弁、16;伸長油路、
16;コントローラ、;手動操作手段、
Claims (2)
- ブーム伸縮用シリンダで伸縮駆動される伸縮ブームと、ウインチ装置で巻上げ巻下げ駆動されるワイヤロープにより当該伸縮ブームの先端部から吊下げられたフックブロック、前記ブーム伸縮用シリンダに圧油を給排する伸縮制御弁、当該伸縮制御弁からの圧油をブーム伸縮用シリンダに供給して当該シリンダを単独で駆動する単独駆動位置と、伸縮制御弁からの圧油をブーム伸縮用シリンダとウインチ装置に同時に供給あるいはブーム伸縮用シリンダとウインチ装置のいずれか一方を駆動した戻り油を他方に供給してフックブロックの吊下げ長さを略一定に維持しつつ伸縮ブームを縮小駆動する連動駆動位置とに切換え可能な連動切換弁とで構成したクレーンのフック吊下げ長さ維持装置において、
フックブロックが伸縮ブーム先端部に近接した過巻き位置まで巻上げられたことを検出する過巻き検出手段を設け、前記連動切換弁を連動駆動位置に切換えて前記伸縮制御弁からの圧油でブーム伸縮用シリンダを縮小並びにウインチ装置を巻上げ駆動中に前記過巻き検出手段が作動した際に、前記連動切換弁を強制的に単独駆動位置に切換えるよう過巻き検出手段と連動切換弁を関連させたことを特徴とするクレーンのフック吊下げ長さ維持装置。 - ブーム伸縮用シリンダで伸縮駆動される伸縮ブームと、ウインチ装置で巻上げ巻下げ駆動されるワイヤロープにより当該伸縮ブームの先端部から吊下げられたフックブロック、前記ブーム伸縮用シリンダに圧油を給排制御する伸縮制御弁、前記ウインチ装置に圧油を給排制御するウインチ制御弁、前記伸縮制御弁を縮小側に操作すると共にウインチ制御弁を巻上げ側に操作してフックブロックの吊下げ長さを略一定に維持しつつ伸縮ブームを縮小駆動する連動制御手段とで構成したクレーンのフック吊下げ長さ維持装置において、
フックブロックが伸縮ブーム先端部に近接した過巻き位置まで巻上げられたことを検出する過巻き検出手段を設け、前記連動制御手段を作動させて伸縮制御弁を縮小側にウインチ制御弁を巻上げ側に同時に切換えて連動駆動中に前記過巻き検出手段が作動した際に、前記連動制御手段によるウインチ制御弁の巻上げ操作を規制するよう構成したことを特徴とするクレーンのフック吊下げ長さ維持装置。
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