JP4418992B2 - 暗反応硬化組成物の硬化方法 - Google Patents

暗反応硬化組成物の硬化方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術範囲】
本発明は、暗反応硬化組成物硬化方法に関するものであり、その目的とするところは、光照射により硬化反応が開始し、その後被着体の貼り合わせ等により酸素を遮断することにより硬化反応が進行する光硬化開始組成物の硬化方法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から接着剤は多種多様なものがあり、その中には加熱硬化型、2液混合型などが知られている。加熱硬化は加熱することができない部品への使用は制限され、2液混合型は混合の計量や行程が煩雑であった。
【0003】
また、加熱や混合の必要のない1液性室温硬化性樹脂としては紫外線硬化性樹脂が知られており、紫外線などの光を照射することにより瞬時に重合硬化する光硬化性樹脂が公知である。光硬化性樹脂は硬化性の早さや、1液性であるがために混合行程を必要としない取り扱い性の良さ、保存安定性の良さなどから表面の被覆やポッティングなどいろいろな場面で使用されてきた。光硬化性樹脂は一般的に光を照射することにより活性ラジカルなどの重合要件物質が発生し、ラジカル重合性のモノマーやオリゴマーが重合するという原理である。よって、光照射を停止すると活性ラジカルの発生は停止して重合性モノマーやオリゴマーの重合反応も停止する。また、陰影部や狭隙部などの光が到達できない部分は硬化しない。よって、貼合せなどの接着には被着体が透明なものであり、紫外線などの活性エネルギーが接着組成物に直接照射する必要があった。
【0004】
一方、1液性室温硬化性樹脂として、被着体の貼合せ等には酸素の遮断により硬化反応が進行する、嫌気性接着剤と呼ばれる接着剤が周知である。嫌気性接着剤は被着体に塗布して貼合せることにより酸素が遮断され、重合硬化をする。しかし、嫌気性接着剤の硬化には金属イオンの存在が必要であり、被着体から遊離する金属イオンが不可欠であるため、被着体が金属でない場合や不活性金属の場合には、接着剤が硬化しなかったり、硬化しても硬化までの時間が非常に長くなったり、硬化が不十分であったりした。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記問題を解決するため、金属錯体を利用することが、これまで提案されてきている。例えば、特開昭53−75288号によれば、フェロセン成分を添加することにより硬化速度を飛躍的に向上させ得る旨の発明が報告されている。確かに、フェロセン成分を添加することにより硬化速度は飛躍的に向上する。しかしながら、1液型の組成物とした場合、その保存安定性が損なわれる問題を抱えている。仮に、保存安定性を損なわないように、フェロセン成分の添加量を減らした場合、発明の趣旨である硬化速度の向上は期待できない。
【0006】
また、特開昭58−215473号では、有機過酸化物とフェロセン化合物の組み合わせからなる硬化開始剤を用いた接着剤組成物についての発明が報告されている。しかしこの発明は、2液混合型にしか使用できなく、1液性として使用するには製品の保存安定性が全くない。
【0007】
特開昭60−199006号では、フェロセン化合物からなるフェリセニウム塩あるいはフェロセン化合物とトリフェニルメチル塩の組み合わせからなる開始剤を含む硬化性組成物に関する発明が報告されている。しかしこの発明組成物も1液性接着剤とした場合、保存安定性に課題が残されている。
【0008】
特開昭60−243108号では、アクリル単量体組成物とその使用方法に関し、フェロセン、有機過酸化物開始剤、及び強酸開始物質を利用する組成物に関する発明が報告されている。この組成物は、フェロセン化合物、強酸及びペルオキシ化合物の組み合わせがアクリル単体の有効な開始剤であることを利用し、ビニルエーテル単量体、光照射により分解して強酸を形成するヨードニウム、スルホニウム、チオピリリウム及びジアゾニウム陽イオンからなる錯ハロゲン化物の塩を用い、光活性嫌気硬化性接着剤組成物としている。この発明組成物も1液性接着剤とした場合、保存安定性に課題が残されている。更に、光照射により金属イオンを発生させる化合物としてフェロセン化合物を用いる本発明とは根本的に異なる。
【0009】
特開昭52−10395号では、低重合炭酸アクリル酸エステル、重合阻止剤としてビス−(5−メチル−3−第三級ブチル−2−オキシフェニル)−メタン、重合開始剤として過酸化ベンゾイル及び重合促進剤としてフェロセン等からなる嫌気性組成物に関する発明が報告されている。しかし、この組成物もまた基本的には2液型であり、1液型組成物とした場合には、その保存安定性に課題が残っている。
【0010】
特開平3−47288号には、銅エチルアセトアセテートを含有する嫌気性組成物の硬化方法ついての発明が報告されている。この発明によれば嫌気性接着剤に銅エチルアセトアセテートを添加することによりゲル化及び硬化までの時間が大幅に改善されるが、嫌気性組成物中に含有させた場合は、製品の保存安定性に課題が残される。
【0011】
特開平2−263880号には、硬化促進剤としてフタロシアニン化合物あるいはポルフィリン錯体を用いた2液型の接着剤組成物についての発明が報告されている。当然の事ながらこの2液性接着剤組成物を1液化した場合には、製品の保存安定性に課題が残る。
【0012】
特開平3−95285号には、クロロフィル金属置換体を含有する接着剤組成物に関する発明が報告されている。しかしながら、この発明では製品の保存安定性を保つために有機過酸化物をカプセル化して添加している。このため、被着体がネジ部であれば接着剤塗布後ネジの締め込みによりカプセルが破壊され接着剤は硬化するが、被着体が平面であるような場合には、カプセルの完全な破壊は期待できず、接着性に問題が生じる。
【0013】
上述の技術はすべて、ラジカル重合性物質と有機過酸化物および還元剤にレドックス反応の促進剤として、金属錯体を添加することが提案されているにすぎない。つまり、1液性である嫌気性組成物に金属錯体を添加した場合は保存性がなく、過酸化物などの硬化開始剤や硬化促進剤と別形態として保存する必要が生じる。これらは2液混合型となり、使用時に2液混合の工程が必要となる。また、プライマー的に使用する際には、希釈溶剤が必要となると同時にプライマー塗布工程が必要となる。いずれにしろ、工程上、作業環境上問題がある。更に、1液型にした場合には、製品の保存安定性に問題が生じるという欠点があった。
【0014】
さらに、光を照射することにより最終的には重合反応を起こし硬化するものではあるが、光照射時には硬化反応がほとんど進行せず、光照射後硬化反応が徐々に進行し硬化する、いわゆる暗反応性樹脂組成物も公知である。暗反応性樹脂組成物は予め光を照射することにより、光照射を停止しても重合反応は停止せず、前記した非透明部の貼合せ接着や影部の硬化も可能である。しかしながら、暗反応性樹脂組成物は特公平4−26333号に示されるよう公知であるが、これら従来のものはグリシジル基を持つエポキシ樹脂に光照射することによりカチオンを発生する化合物を添加することにより達成される。しかし、カチオン重合触媒は酸成分を含み、被着体などの暗反応性樹脂組成物の使用箇所を腐食するという問題を抱えているために、その使用箇所に制限がある。
【0015】
また、従来の暗反応性樹脂組成物はエポキシ樹脂であるために、硬化物性に制限が多く、多種多様なニーズに要求できる硬化物性を満たす樹脂構造の設計が困難であった。一方、比較的所望の分子構造設計が可能な(メタ)アクリル樹脂は、光硬化性樹脂として数多くのものが上市されているが、これを用いた暗反応性樹脂組成物の例はほとんど報告されていなかった。
【0016】
暗反応樹脂は非金属や不活性金属の被着体の貼合せや接着に使用でき加熱等の必要もなくあらゆるものを接着できるものであるためアクリル系の暗反応型の1液樹脂組成物が望まれてきた。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、所望の分子構造設計が可能な(メタ)アクリレート系樹脂である(A)重合可能不飽和二重結合を有する化合物、(B)スルフィミド化合物およびアミン化合物からなる重合促進剤及び(C)メタロセン錯体、β−ジケトン金属錯体、フタロシアニン金属錯体から選ばれる金属錯体であり、かつ、配位結合される金属がVIII属、Ib属、IIb属から選ばれる遷移金属である金属錯体、からなり、(C)成分の添加量は(A)〜(C)を混合した状態では硬化反応は起きないが、紫外線を照射することにより重合する量であり、かつ有機過酸化物を(A)成分100重量部に対し0.1部より多く含有しないものである暗反応硬化組成物を、被着体に塗布前または塗布後に光照射し、次いで被着体を貼り合わせて嫌気状態にして硬化を進行させることを特徴とする暗反応硬化組成物の硬化方法、を提供するものである。
【0018】
ここで、本発明でいう暗反応硬化とは紫外線、可視光線などの活性を持つ光を照射することにより硬化反応を開始する組成物であり、光硬化性樹脂との大きな違いは光硬化性樹脂は光が直接照射された部分のみが硬化し光の未照射部分は未硬化であり、光照射を停止すると組成物の硬化反応も停止する。それに対し暗反応硬化とは一度光を照射して組成物の反応硬化性を惹起すると光を停止しても徐々にあるいは急速に重合反応が持続するものである。よって、直接光が照射しない部分であっても硬化することができるものである。当業者では暗反応硬化性を光暗反応硬化やダーキュキュアとも呼ぶこともあるが同じ意味を表すものである。
【0019】
本発明の組成物および硬化方法によれば、暗反応硬化組成物に光照射を行い硬化開始反応を開始し、その後被着体の貼り合わせ等による酸素の遮断により硬化反応が進行し最終的に硬化する。従って、これまでエポキシ樹脂でのみ可能であった暗反応性樹脂組成物が、(メタ)アクリレート樹脂でも暗反応性樹脂として利用できるだけでなく、2液混合型やプライマー硬化型に頼らなければならなかった嫌気性接着剤を用いた非金属被着体や不活性金属被着体の接着が1液型の接着剤組成物で対応できるようになる。
【0020】
本発明において重合可能な不飽和二重結合を有する化合物(A)は、分子中に重合可能な不飽和二重結合を有する化合物であれば分子量が小さい化合物であろうと高分子量のものでもよい。その例を示せば次の化合物があげられる。
【0021】
(イ)下記一般式で表される単量体またはこれとイソシアネート化合物との反応生成物。
【0022】
【化3】
Figure 0004418992
【0023】
ただし、Rは水素または−CHを示し、Rは−CH−CH、−CH−CH−CH、または−CH(CH)CHのうち任意の箇所の水素が脱離して、OH基または/及びハロゲン原子と結合するための手を形成したものを示し、nは1〜3の整数を示す。
このような一般式(3)の単量体の具体例として、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,2−ジヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタアクリレート等が挙げられる。
【0024】
(ロ)下記一般式で表される化合物
【0025】
【化4】
Figure 0004418992
【0026】
ただし、R、Rは水素または−CHを示し、R、Rは水素、−CH、−C、−CHOHまたは−CH−O−CO−CR=CHを示し、mは1〜8の整数を示し、nは1〜20の整数を示し、pは0または1を示す。
このような一般式(4)の化合物の具体例として、例えばジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,2−プロピレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ジ−(ペンタメチレングリコール)ジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレートテトラエチレングリコールジ−(クロロ−アクリレート)、ジ−グリセロールジアクリレート、グリセリントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジ−グリセロールテトラメタクリレート等が挙げられる。
【0027】
(ハ)下記一般式で表せられる化合物
【0028】
【化5】
Figure 0004418992
【0029】
ただし、Rは水素または−CHを示し、Rは水素または炭素数1〜4のアルキル基を示し、Rは炭素数2〜4のアルキレン基を示し、mは2〜8の整数を示す。
前記一般式(5)を有する化合物の具体例として、例えば2,2−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシトリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシテトラエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシヘキサエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシヘプタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシオクタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシジプロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシトリプロポキシフェニル)プロパン、2,2,−ビス(4−メタクリロキシオクタプロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシジブトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシトリブトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシオクタブトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アクリロキシジブトキシフェニル)プロパン、2−(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)−2−(4−メタクリロキシトリエトキシフェニル)プロパン、2−(4−メタクリロキシジプロポキシフェニル)−2−(4−メタクリロキシトリエトキシフェニル)プロパン等が挙げられる。
【0030】
(ニ)下記一般式で表される化合物。
【00031】
【化6】
Figure 0004418992
【0032】
ただし、R10は水素または−CHを示し、R11は−CH−、−C−または−C−または−CH−CH(CH)−であり、nは0および1〜10の整数である。
前記一般式(6)を有する化合物の具体例として、例えばジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシメチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0033】
(ホ)下記一般式で示される化合物。
【0034】
【化7】
Figure 0004418992
【0035】
ただし、R12は水素または−CHを示し、R13は炭素数5〜20のシクロアルキル基、フェニル基、テトラヒドロフルフリル基またはこれらの基を含む5〜20のアルキル基を示す。
前記一般式(7)を有する化合物の具体例として、例えばシクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、t−ブチルフェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0036】
(ヘ)下記一般式で示される化合物。
【0037】
【化8】
Figure 0004418992
【0038】
ただし、R14は水素または−CHを示し、R15は炭素数2〜40のアルキレン、R16は炭素数2〜40のアルキル基かR15と同じ基を示す。ただしR15とR16の炭素数の和は40を超えない。
前記一般式(8)を有する化合物の具体例として、例えばフェノキシ−β−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキサノキシ−β−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフロキシ−β−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ノニルオキシ−β−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0039】
(ト)下記一般式で示される化合物。
【0040】
【化9】
Figure 0004418992
【0041】
ただし、R17は水素または−CHを示し、R18は炭素数1〜20のアルキル基、ビニル基、アリール基、アルコキシアルキル基を示す。
前記一般式(9)を有する化合物の具体例として、例えばメトキシカルボニルメチル(メタ)アクリレート、エトキシカルボニルメチル(メタ)アクリレート、ヘプトキシカルボニルメチル(メタ)アクリレート、イソプロポキシカルボニルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0042】
(チ)下記一般式で示される化合物。
【0043】
【化10】
Figure 0004418992
【0044】
ただし、R19は水素または−CHを示す。
前記一般式(10)の具体例として、例えばメタクリル酸、アクリル酸等が挙げられる。
【0045】
(リ)下記一般式で表される化合物
【化11】
Figure 0004418992
【0046】
【化12】
Figure 0004418992
【0047】
【化13】
Figure 0004418992
【0048】
【化14】
Figure 0004418992
【0049】
ただし、R20は水素または−CHを示し、R21は−CH−、−C−、−C−、−CH−CH(CH)−、−CH−C(CH−CH−であり、mは1〜10の整数、nは1または2である。
前記一般式(11)〜(14)の化合物の具体例として、例えばアシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0050】
(ヌ)下記(16−i)、(16−ii)、(16−iii)で表される(メタ)アクリロイルオキシ基を有するウレタンプレポリマー化合物。
(16−i) 水酸基を有する(メタ)アクリレート、有機ポリイソシアネートとの反応生成物である(メタ)アクリロイルオキシ基を有するウレタンプレポリマ(16−ii) 水酸基を有する(メタ)アクリレート、有機ポリイソシアネート及び三価以上のポリオールまたはジオールとの反応生成物である(メタ)アクリロイルオキシ基を有するウレタンプレポリマー
(16−iii) 水酸基を有する(メタ)アクリレート、有機ポリイソシアネート及び三価以上のポリオールまたはジオールと三価以上のポリオールからなるポリオールとの反応生成物である(メタ)アクリロイルオキシ基を有するウレタンプレポリマー
【0051】
上記(16−i〜iii)における(メタ)アクリロイルオキシ基を有するウレタンプレポリマーの製造原料のうち、水酸基を有する(メタ)アクリレートの具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0052】
他の原料である有機ポリイソシアネートの具体例としては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタジイソシアネート、シアニジンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、オクタデカメチレンジイソシアネート、2−クロロプロパンジイソシアネート、2,2’−ジエチルエーテルジイソシアネート、テトラクロロフェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート及び1,4,3−ヘプテンジイソシアネート等の低分子量有機ポリイソシアネートを挙げることができる。
【0053】
更に、過剰量のこれら低分子量有機ポリイソシアネートを、既存の方法により第1級アミン、第2級アミンまたは多価アルコール例えばグリセロール、ポリオキシエチレントリオール、ポリオキシプロピレントリオール、ポリオキシエチレンテトラオール、ポリオキシプロピレンテトラオール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ビスフェノールAに酸化エチレン及び/または酸化プロピレンを付加して得られるエーテル型グリコールのような多価アルコールと反応させて得られる高分子量有機ポリイソシアネートなどを挙げることができる。
【0054】
更に他の原料であるポリオールの具体例としては、ジオールとしてはポリオキシエチレンジオール、ポリオキシプロピレンジオール、ポリオキシブチレンジオール、ポリカプロラクトンジオール、ヘキサンジオール及び1,4−ブタンジオール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、水添ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドランダム付加物等を挙げることができ、また、三価以上のポリオールとしてはトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ポリオキシエチレントリオール、ポリオキシプロピレントリオール、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレート、ポリオキシエチレンテトラオール、ポリオキシプロピレンテトラオール、グリセリン、ポリリン酸等が挙げられる。
【0055】
上記化合物はいずれも純粋物であることが好ましいが、微量の抑制剤、安定剤等を含む工業品位のものであっても良い。
また上記の(メタ)アクリル系化合物は単独でも、2種以上の混合物で使用しても差し支えない。所望の硬化物性を達成するためには2種以上混合することが好ましい。
【0056】
本発明で用いられる(B)は、嫌気硬化性を促進するためのものであり、スルフィミド化合物およびアミン化合物である。嫌気性促進剤としては次亜塩素酸、臭素酸カリウムまたは塩化水素などのハロゲン類、チオシアン酸、ハロゲン化酢酸なども例示されるる。(B)成分は好適にはO−ベンゾイックスルフイミドやO−ベンゾイックスルフィミドの1,2,3,4−テトラヒドロキノリン塩などの有機スルフィミド系化合物や第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、複素環式アミン及びポリアミン類が用いられる。さらに、好適にはジメチル−p−トルイジンの如きアルキルアリルアミン類や、O−ベンゾイックスルフイミドである。より好適には、ヘテロシクリック第2級アミンまたはt−N,N−ジアルキルアリルアミンとベンゾイックスルフイミドを組み合わせて使用するのが効果的である。これはスルフィミド化合物とアミン化合物を1種づつ用いた混合物であるが、2種以上混合して用いても良い。
【0057】
(C)成分は(B)成分との組み合わせにより光照射により暗反応が可能にする化合物である。金属錯体(C)は遷移金属メタロセン化合物、β−ジケトン系金属錯体、フタロシアニン化合物より選ばれる金属錯体であり、かつ、配位結合される金属がVIII属、Ib属、IIb属から選ばれる遷移金属である金属錯体である。
【0058】
(C)成分として使用される遷移金属メタロセン化合物の電子系配位子としては、η−シクロペンタジエニルである。さらに、各々の配位子に結合する置換基として、ハロゲン原子、もしくは炭素数1〜20の非置換またはハロゲン原子、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、リン含有基で置換された炭化水素基があげられる。各々配位子に結合される置換基は、同一でも異なっていてもよく、置換基同士が架橋していてもよい。この遷移金属メタロセン化合物は下記化学式1で表される。
【0059】
【化1】
Figure 0004418992
【0060】
(式中、MはVIII属、Ib属、IIb属から選ばれる遷移金属を示す。Rは、ハロゲン原子、炭素数1〜20の非置換またはハロゲン原子、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、リン含有基で置換された炭化水素基である。各Rは、同一でも非同一でもよく、R同士が架橋していてもよい。また、aは0〜5の整数である。)
【0061】
本発明に用いられるメタロセン錯体の遷移金属具体例を挙げると鉄、オスミウム、ルテニウム、ニッケル、コバルト、白金、銅、銀、亜鉛等が挙げられるが、これらは1種を単独で使用してもよく、また、数種を混合して使用してもよい。特に好適には鉄、銅が選択される。
【0062】
本発明で使用できる遷移金属メタロセン化合物の具体例としては以下のものが挙げられる。なお、以下のものはすべて配位結合される金属が元素番号26の鉄元素を例示したが同様にニッケル、銅、ルテニウム、コバルト等上記した金属元素に置き換えることができる。
(イ)置換基Rがハロゲン原子の化合物として、
4−アセチル−1’−ブロモ−1,2−ジエチルフェロセン、1’−ブロモ−1,2,3−トリエチルフェロセン、1−アセチル−1’−ブロモ−2,3−ジエチルフェロセン、1−ヨード−1’−(4−メトキシフェニル)フェロセン、1−ブロモ−1’−(エトキシカルボニル)フェロセン等が挙げられる。
【0063】
(ロ)置換基Rが炭素数1〜20の非置換の炭化水素基である化合物として、
n−ブチルフェロセン、t−ブチルフェロセン、エチルフェロセン、
1,1’−ジメチルフェロセン、1,1’−ジ−n−ブチルフェロセン、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)アイロン、1,1’−ジエチルフェロセン、1,1’−ジ−プロピルフェロセン、1,1’−ジ−n−ペンチルフェロセン、1,1’−ジ−n−ヘキシルフェロセン、1,1’,2−トリメチルフェロセン、1,1’,2−トリエチルフェロセン、1,1’,2−トリ−プロピルフェロセン、1,1’,2−トリ−n−ブチルフェロセン、1,1’,2−トリ−n−ペンチルフェロセン、1,1’,2−トリ−n−ヘキシルフェロセン、1,1’,3−トリメチルフェロセン、1,1’,3−トリエチルフェロセン、1,1’,3−トリープロピルフェロセン、1,1’,3−トリ−n−ブチルフェロセン、1,1’,3−トリ−n−ペンチルフェロセン、1,1’,3−トリ−n−ヘキシルフェロセン、1,1’,2,3’−テトラメチルフェロセン、1,1’,2,3’−テトラエチルフェロセン、1,1’,2,3’−テトラ−プロピルフェロセン、1,1’,2,3’−テトラ−n−ブチルフェロセン等が挙げられる。
【0064】
(ハ)置換基Rがハロゲン原子で置換された炭素数1〜20の炭化水素基である化合物として、
1−メチル−1’−(クロロメチル)フェロセン、1−クロロ−1’−(クロロメチル)フェロセン、1−メチル−1’−(ブロモメチル)フェロセン、1−メチル−1’−(ヨウドメチル)フェロセン、1,1’−ジ−(クロロメチル)フェロセン、1,1’,2−トリ−(クロロメチル)フェロセン、1,1’,2,2’−テトラ−(クロロメチル)フェロセン、ビス(ペンタクロロメチルシクロペンタジエニル)アイロン、ビス(ペンタブロモメチルシクロペンタジエニル)アイロン等が挙げられる。
【0065】
(ニ)置換基Rがケイ素含有基で置換された炭素数1〜20の炭化水素基である化合物として、
1−メチル−1’−(トリメチルシリルメチル)フェロセン、1−メチル−1’−(トリメチルシリルエチル)フェロセン、1−メチル−1’−(トリメチルシリルプロピル)フェロセン、1,1’−ジ−(トリメチルシリルメチル)フェロセン、1,1’−ジ−(トリメチルシリルエチル)フェロセン、1,1’−ジ−(ジメチルシリルメチル)フェロセン、1−アセチル−1’−(トリメチルシリルメチル)フェロセン、1,1’−ジアセチル−2−(トリメチルシリルメチル)フェロセン、1,1’−ジアセチル−3−(トリメチルシリルメチル)フェロセン等が挙げられる。
【0066】
(ホ)置換基Rが酸素含有基で置換された炭素数1〜20の炭化水素基である化合物として、
アセチルフェロセン、ブチロフェロセン、α−ヒドロキシエチルフェロセン、ヒドロキシメチルフェロセン、1,1’−ジ(アセチルシクロペンタジエニル)アイロン、1,1’−ジベンゾイルフェロセン、1,1’−ビス(1−オキソニル)フェロセン、1,1’−ビス(1−オキソオクタデシル)フェロセン、1,1,−ビス(1−オキソヘキシル)フェロセン、1−アセチル−1’−エチニルフェロセン、フェロセニルビニルケトン、フェロセニルメチルメタクリレート、フェロセニルビニルエーテル等が挙げられる。
【0067】
(ヘ)置換基Rがイオウ含有基で置換された炭素数1〜20の炭化水素基である化合物として、
1,1’−ビス(4−メルカプト−1−オキソブチル)フェロセン、1−(2−フェニルエチル)−1’−(2−チエニルカルボニル)フェロセン、1−エチル−3−(1−ヒドロキシエチル)−1’−(2−チエニルカルボニル)フェロセン、1−(フェニルアセチル)−1’−(2−チエニルカルボニル)フェロセン、1−ベンゾイル−1’−(2−チエニルカルボニル)フェロセン、1−アセチル−1’−(メトキシサルフォニル)フェロセン、1−アセチル−1’−サルフォフェロセン等が挙げられる。
【0068】
(ト)置換基Rがリン含有基で置換された炭素数1〜20の炭化水素基である化合物として、
1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、1−アセチル−1’−((ジフェニルフォスフィノ)アセチル)フェロセン、1,1’−ビス((ジフェニルフォスフィノ)アセチル)フェロセン、1−(ジフェニルホスフィノ)−1,−ホルミルフェロセン、1−アセチル−1’−(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、1−アセチル−1’−(ジフェニルホスフィニル)フェロセン等が挙げられる。
【0069】
(チ)置換基R同士が架橋している化合物として、
1,1’−ジアセチル−2,3’−(1,3−プロパネジイル)フェロセン、1,2−ジアセチル−1,4’−(1,4−ブタネジイル)フェロセン、1,1’−ビス(メトキシカルボニル)−2,2’−(オキシビス(メチレン))フェロセン、1,1’−ビス(エトキシカルボニル)−2,2’−(オキシビス(メチレン))フェロセン等が挙げられる。
【0070】
(C)成分として使用される金属錯体であるβ−ジケトン系金属錯体は下記化学式2で表される。
【0071】
【化2】
Figure 0004418992
【0072】
(式中、MはVIII属、Ib属、IIb属の金属を表し、nは金属の価数を表す。R、Rは水素原子、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、環状脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、またはこれらのオキシ基であり、その一部がフッ素に置換されていてもかまわず、RとRは同一でも異なっていても良い。)
【0073】
このβ−ジケトン系金属錯体の具体例としては、例えばアセチルアセトン、エチルアセトアセテート、ベンゾイルアセトン、ベンゾイルメタン、トリフルオロアセチルアセトン、ヘキサフルオロアセチルアセトン等のジケトン化合物と、ニッケル(II)、コバルト(II)、コバルト(III)、鉄(II)、鉄(III)、銅(II)、銅(III)、亜鉛(II)、パラジウム(II)、カドミウム(II)、白金(II)、白金(III)、等の金属が配位結合により構成される錯体等を挙げることができる。これらの錯体はCo(C(HO)、Zn(C(HO)の様に水和物を含有してもい。
【0074】
成分(C)として使用される金属錯体としてはフタロシアニン化合物の金属錯体化合物があげられる。遷移金属は上記同様である。具体例としては、例えば、フタロシアニンコバルト、フタロシアニン銅、フタロシアニン鉄、フタロシアニン銀、フタロシアニン亜鉛等を挙げることができる。
【0075】
(C)成分の最適添加量は、錯体の金属原子などの種類の選択や、配合物の保存性、硬化性、物性等をどの程度にするかの選択の兼ね合いになるが、簡単なルーチンテストでその最適配合量は容易に決定できる。ただし、本発明は各必須成分を混合したときに保存性を有していなければならない。基本的には各金属錯体の添加量が多くなると1液での保存性がなくなる反面、暗反応性は強くなる。金属錯体にはそれぞれ紫外線や可視光線などの光エネルギーに対する活性度が若干違うため添加量は一概にはいえないが重合性不飽和二重結合を有する化合物10000重量部に対し0.1〜30重量部である。
【0076】
本発明の組成物はさらに有機過酸化物を含有させることにより硬化性が向上する場合がある。有機過酸化物は一般の嫌気性組成物の重合開始剤として不可欠であることは周知であるが、本願発明では有機過酸化物は必ずとも必須成分ではなく、促進助剤的なはたらきを持つ。よって、(C)成分の種類や量により不要であったり少量の添加を必要とするものである。有機過酸化物を添加することにより硬化性を向上させることができるが保存性は低下するので、所望により適宜の量を添加することができる。有機過酸化物としては公知のものが使用でき、例えばクメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、テトラメチルハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサンハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル等の化合物が挙げられるが、これは単独で用いても良いし、2種以上混合して用いても良い。
【0077】
本発明の組成物は以上述べた各成分の他に種々の目的で各種物質を添加しても良い。例えば、保存安定性を得るためにラジカル重合禁止剤を添加しても良く、具体的なラジカル重合禁止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、β−ナフトキノン、2−メトキシ−1,4−ナフトキノン、p−ベンゾキノン等のキノン類、フェノチアジン、ジニトロソレゾルシノール等が挙げられる。所望により組成物に工業的に望ましい性質を与えるために使用できる他の代表的有用な成分としては、シックナー、着色剤、粘着剤、充填剤、揺変剤及び可塑剤等が挙げられる。
【0078】
かかる有用な物質は、組成物の性能及び本質的性質を不利にしなければ、望ましい組み合わせと割合で添加できる。場合によっては例外もあり得るが、上記物質は一般に単独で全組成物の約50重量%以上を含有させることはなく、好ましくは組成物の約20重量%以下で添加、使用される。
本組成物は一般に通常の混合技術を用いて調整することができる。添加する物質が直ぐに溶解しないような場合は、組成物が変性しない程度の加熱攪拌を行うが、高せん断攪拌器を用いた混合攪拌を行うことが望ましい。また、金属錯体添加時及び添加攪拌時、組成物の容器充填時、保存時には、組成物に光が当たらないように遮光しなければならない。
【0079】
本発明組成物は、従来の嫌気硬化性組成物には必要であったラジカル発生成分である有機過酸化物の不存在下でありながら、紫外線や可視光線等の光照射により、その硬化反応が開始し、被着材の貼り合わせ等による酸素の遮断により硬化反応が進行するものである。本発明の組成物は光を照射しない状態では貼合せ等の嫌気状態にしても硬化反応は進行しない。また、光照射後も嫌気状態にしないと硬化反応は非常に遅い。
【0080】
本発明の組成物の硬化方法は接着しようとする部材のどちらか一方にまたは両方に組成物を塗布し貼り合わす前に被着体の片面または両面に紫外線などの光を照射しその後貼り合わせることにより、硬化させることができる。また、特開昭61−98740号公報に記載の塗布機のノズルに光照射をして、塗布と同時に光を照射することも可能である。この方法は塗布機のノズルを光透過性材質にしてノズルの側面から光を照射することにより機械塗布と同時に重合反応を惹起することができる。本組成物は前述の他、光の透過する被着体であれば本組成物を塗布、貼合せ後光照射することにより硬化させることができる。
【0081】
光を照射することにより本組成物は嫌気硬化性を準備する。従って、本組成物は光を照射しないと貼合せにより硬化することはできない。また、光を照射した後に酸素を遮断しないと完全硬化させることはできない。酸素を遮断しなくても徐々に反応は進むがいわゆるゲル化状態であり本来の完全硬化は望めない。すなわち、本発明の硬化方法は予め光を照射する行程と貼り合わせをする行程との2つの行程があればよく、予め光を照射するところが塗布前であろうと塗布後であろうと、または光透過性部材に限られるが、貼り合わせ後であろうとかまわない。
【0082】
【発明の実施の形態】
実施例及び比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例、比較例の結果を表す表中の数値は、特に断らない限り重量部を表す。暗反応硬化による接着性の評価に用いた紫外線照射装置は、4kW高圧水銀灯(オーク製作所製)を用い、15cmの距離から試料に光照射を行った。一回の光照射の積算光量は1,000mJ/cmとし、実施例及び比較例中の積算光量値まで光照射を繰り返した。積算光量は積算光量計UV−350(オーク製作所製)を用い測定した値である。
暗反応硬化による接着性の評価は、金属イオンを含まず、組成物による溶解等のないガラスエポキシ樹脂製の試験片(25×100×2mm)を用い、所定の組成物を薄く塗布し、所定の光照射後、貼り合わせて遮光室温下で24時間養生し、その後硬化しているか判定した。
【0083】
保存性評価は、所定の組成物5gを内径13mm、高さ100mmのガラス製試験管に入れ、遮光80℃条件下に保存し、所定時間後にその状態を確認した。
なお、比較例及び実施例中に用いる略語は下記の通りである。
HEMA :2−ヒドロキシエチルメタアクリレート
BS :O−ベンゾイックスルフィミド(重合促進剤)
BHT :ベンゾヒドロキシトルエン(重合禁止剤)
CHP :クメンハイドロパーオキサイド(過酸化物)
メチルトルイジン:N,N−ジメチルパラトルイジン(重合促進剤)
エチルトルイジン:N,N−ジエチルパラトルイジン(重合促進剤)
Cp2Fe :フェロセン
(BzoCp)CpFe:ベンゾイルフェロセン
(AcCp)CpFe:アセチルフェロセン
(BzoCp)2Fe:1,1’−ジベンゾイルフェロセン
(AcCp)2Fe :1,1’−ジアセチルフェロセン
Cu(acac)2 :銅(II)2,4−ペンタンジオネート
Cu(TMHD)2 :銅(II)2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート
Cu(Bzoac)2:銅(II)ベンゾイルアセトネート
Cu(eacac)2:銅(II)エチルアセトアセテート
Ni(acac)2 :ニッケル(II)2,4−ペンタンジオネート
Pd(acac)3 :パラジウム(III)2,4−ペンタンジオネート
Co(acac)2 :コバルト(II)2,4−ペンタンジオネート水和物
Fe(acac)3 :鉄(III)2,4−ペンタンジオネート
Al(acac)3 :アルミニウム(III)2,4−ペンタンジオネート
Dy(acac)3 :ジスブロシウム(III)2,4−ペンタンジオネート
V(acac)3 :バナジウム(III)2,4−ペンタンジオネート
Ti(acac)2 :チタンオキサイド2,4−ペンタンジオネート
Sn(acac)2 :錫(II)2,4−ペンタンジオネート
Mn(acac)3 :マンガン(III)2,4−ペンタンジオネート
フタロシアニンAlCl :フタロシアニンクロロアルミニウム
フタロシアニンMg :フタロシアニンマグネシウム
【0084】
【実施例1〜6】
金属錯体としてメタロセン化合物を用い光硬化開始組成物を配合し、光照射後の接着性及び未照射保存性を評価した。各組成物をエポキシガラス樹脂に塗布し、所定の光を照射後貼り合わせたところ全て硬化した。ただし、光未照射の試験片については未硬化だった。また各組成物の保存性を確認したところ、80℃で1時間以上の保存性を持つことが確認された。また、光照射後貼り合わせないものは常温一時間後も硬化しなかった。
結果を表1に示す。以下、表中の接着性の欄において○は硬化×は未硬化であり、保存の欄の○は液状を保っているものであり、×は全体または一部にゲル状物が生成しているものを示す。
【0085】
【表1】
Figure 0004418992
【0086】
【実施例7〜16】
金属錯体としてフタロシアニン化合物を用い光硬化開始組成物を配合し、光照射後の接着性及び未照射保存性を評価した。各組成物をエポキシガラス樹脂に塗布し、所定の光を照射後貼り合わせたところ全て硬化した。ただし、光未照射の試験片については未硬化だった。また各組成物の保存性を確認したところ、80℃で1時間以上の保存性を持つことが確認された。
結果を表2に示す。
【0087】
【表2】
Figure 0004418992
【0088】
【実施例17〜42】
金属錯体としてβ−ジケトン化合物を用い光硬化開始組成物を配合し、光照射後の接着性及び未照射保存性を評価した。各組成物をエポキシガラス樹脂に塗布し、所定の光を照射後貼り合わせたところ全て硬化した。ただし、光未照射の試験片については未硬化だった。また各組成物の保存性を確認したところ、80℃で1時間以上の保存性を持つことが確認された。
結果を表3、表4に示す。
【0089】
【表3】
Figure 0004418992
【0090】
【表4】
Figure 0004418992
【0091】
【比較例1〜23】
金属錯体を含まない組成物を配合し、光照射後の接着性及び保存性を評価した。金属錯体を含まない組成物は、ガラスエポキシ樹脂に塗布し、所定の光を照射後貼り合わせても硬化は進行しなかった。また、VIII属、Ib属、IIb属以外の遷移金属を使用した場合を試験した。
結果を表5に示す。
【0092】
【表5】
Figure 0004418992
【0093】
【実施例43】
実施例2、実施例7、実施例27で使用した組成物を直径1mm管壁の厚さ0.3mmの石英管に圧入して通過せしめ、石英管の細部で紫外線ランプ((株)オーク製作所製ハンディー#300型で出力300wのランプを使用)からの紫外線エネルギーを約40mW/cm2のエネルギー量で照射した後石英管から吐出させ上記と同様にガラスエポキシ樹脂に塗布し貼り合わせを行ったところ、すべての組成物が接着することができた。
【0094】
【発明の効果】
本発明は、光硬化開始組成物の光硬化方法に関するものである。本発明による光硬化手法を用いることにより、従来エポキシ樹脂でのみ硬化が進行した暗反応を、様々な構造及び物性を持つものが上市されている(メタ)アクリレート樹脂に応用することが可能であり、更に、嫌気性接着剤が使用される分野に於いて、プライマーの使用なしに不活性金属及びプラスチック等の非金属の接着に応用することが可能になる。
また、光照射により金属イオンを発生する金属錯体を選択することにより、紫外光のみでなくより広範な光波長例えば可視光領域の光照射により光硬化を開始させることが可能である。

Claims (5)

  1. (A)(メタ)アクリレート化合物
    (B)スルフィミド化合物およびベンゾチアゾール
    (C)配位結合される金属がVIII、Ib属、IIb属から選ばれる遷移金属であるメタロセン金属錯体:
    を含有し、(C)成分の添加量は(A)〜(C)を混合した状態では硬化反応は起きないが、紫外線を照射することにより重合する量であり、かつ有機過酸化物を(A)成分100重量部に対し0.1重量部より多く含有しないものである暗反応硬化組成物を、被着体に塗布後に光照射し、次いで被着体を貼り合わせて嫌気状態にして硬化を進行させることを特徴とする暗反応硬化組成物の硬化方法。
  2. (A)(メタ)アクリレート化合物
    (B)スルフィミド化合物およびベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール、メチルトルイジン、エチルトルイジンの4者から選ばれる化合物
    (C)配位結合される金属がVIII属、Ib属、IIb属から選ばれる遷移金属であるβ−ジケトン系金属錯体
    を含有し、(C)成分の添加量は(A)〜(C)を混合した状態では硬化反応は起きないが、紫外線を照射することにより重合する量であり、かつ有機過酸化物を(A)成分100重量部に対し0.1重量部より多く含有しないものである暗反応硬化組成物を、被着体に塗布後に光照射し、次いで被着体を貼り合わせて嫌気状態にして硬化を進行させることを特徴とする暗反応硬化組成物の硬化方法。
  3. (A)(メタ)アクリレート化合物
    (B)スルフィミド化合物およびベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾールの2者から選ばれる化合物
    (C)配位結合される金属がVIII属、Ib属、IIb属から選ばれる遷移金属であるフタロシアニン金属錯体
    を含有し、(C)成分の添加量は(A)〜(C)を混合した状態では硬化反応は起きないが、紫外線を照射することにより重合する量であり、かつ有機過酸化物を(A)成分100重量部に対し0.1重量部より多く含有しないものである暗反応硬化組成物を、被着体に塗布後に光照射し、次いで被着体を貼り合わせて嫌気状態にして硬化を進行させることを特徴とする暗反応硬化組成物の硬化方法。
  4. (A)(メタ)アクリレート化合物
    (B)スルフィミド化合物およびベンゾチアゾール
    (C)配位結合される金属がVIII属、Ib属、IIb属から選ばれる遷移金属であるメタロセン金属錯体、または配位結合される金属がVIII属、Ib属、IIb属から選ばれる遷移金属であるフタロシアニン金属錯体:
    を含有し、(C)成分の添加量は(A)〜(C)を混合した状態では硬化反応は起きないが、紫外線を照射することにより重合する量であり、かつ有機過酸化物を(A)成分100重量部に対し0.1重量部より多く含有しないものである暗反応硬化組成物を、被着体に塗布する際に、塗布口において該組成物に光を照射して硬化反応を開始させてから被着体に塗布し、その後被着体貼り合わせにより嫌気状態にして硬化を進行させることを特徴とする暗反応硬化組成物の硬化方法。
  5. (A)(メタ)アクリレート化合物
    (B)スルフィミド化合物およびベンゾトリアゾール
    (C)配位結合される金属がVIII属、Ib属、IIb属から選ばれる遷移金属であるβ−ジケトン系金属錯体:
    を含有し、(C)成分の添加量は(A)〜(C)を混合した状態では硬化反応は起きないが、紫外線を照射することにより重合する量であり、かつ有機過酸化物を(A)成分100重量部に対し0.1重量部より多く含有しないものである暗反応硬化組成物を、被着体に塗布する際に、塗布口において該組成物に光を照射して硬化反応を開始させてから被着体に塗布し、その後被着体貼り合わせにより嫌気状態にして硬化を進行させることを特徴とする暗反応硬化組成物の硬化方法。
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