JP4415403B2 - 立体構造ネット空隙材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、繊維素材によって、上面部と下面部、並びにこれらを連結する連結部とで形成される一体構造の立体構造ネット空隙材に関する。
詳しくはカーシートやチャイルドシート、スポーツシューズ、或いは寝具、敷物、更には医療用材料、土木・建築用等に使用される立体構造ネット空隙材であって、上、下面部が透孔部を有するネット組織で形成され、しかも、多方向からの圧縮力に対し最適な耐圧性と確実な回復力を有する、高通気性の立体構造ネット空隙材に関する。
【0002】
【従来の技術】
上面部と下面部、並びにこれらを連結する連結部とからなる一体構造の立体構造ネット空隙材に関しては種々の提案がなされており、これらの立体構造ネット空隙材は繊維素材を2列針床の経編機で編成することによって形成されることが主流となっている。
上面部と下面部に透孔部を有するネット組織を使用し、連結に関しては、(1)、上、下面部に対し、ほぼ直交状態で連結される直交連結部を有するもの、或いは、(2)、上、下面部に斜交して連結される斜交連結部と前記直交連結部を同時に併せ持つトラス構造のものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
(1)については、上、下面部に同形状、同寸法のネット組織を上下同位置に対向させ、これらを連結部で連結する手段が用いられるが、これらについては上下からの圧力に対して直交連結部が挫屈する以前に上、下面部が互いに横ずれしてしまい、期待するクッション性が損なわれ、空隙部が保証されない問題がある。
【0004】
この横ずれで問題が発生するケースとしては、裁断や縫製工程が挙げられる。
一般に、裁断は部材を多枚数重ねて行われるが、裁断圧により横ずれが発生すると正確な裁断寸法が得られず均一な縫製品が得られない。
また、縫製時に横ずれが発生すると縫製品の仕上がりに多大な悪影響を及ぼすのである。
【0005】
更に他の問題としては、これらの部材をカーシート、椅子ばり、床ずれ防止材等に使用する際、人が着座、或いは横臥した時の加重により横ずれが発生すると適度な反発力を失いへたりとなり不快感を生ずる。
また製品の曲線部分では多方向からの力が加わるため、特に大きな横ずれが発生し、製品に変形をもたらし見栄えが悪くなるばかりか性能低下の問題が発生する。
【0006】
そこで、この横ずれを防止する手段として前記(2)のように直交連結部と斜交連結部を併用することが提案(特開平10−102363号、特許2762052号等参照)されている。
つまり、上、下面部のネット組織を左右または上下いずれかへ、ほぼ半分ずらして斜交連結部を形成する手段を用いており、上下からの圧力を直交連結部で受け止め、同時に横ずれを斜交連結部で防ぐトラス構造となっている。
【0007】
ところが、これらの場合は、上、下面部の透孔部密度が同じであり、連結部の斜交の角度や、直交との組み合わせパターンが限定されてしまう。
さらに同一コース上にトラス構造を有していないので、横ずれ防止の効果は満足できるものではない。
【0008】
本発明は、例えば図1、図2、及び図3に示すように、上面部11と下面部12に透孔部2を有するネット組織を用い、直交連結部31と斜交連結部32からなる連結部3を効果的に配した高耐圧縮性及び高通気性を有する立体構造ネット空隙材1を提供することを目的とする。
【0009】
【問題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の立体構造ネット空隙材1においては上面部11と下面部12のそれぞれの透孔部密度と透孔部面積率とを特定の範囲に設定すると同時に直交連結部31と斜交連結部32とを一方に偏ることなく効果的に配して、上、下、多方向からの圧力に対し最適な耐圧縮性と確実な回復力を有する高通気性の立体構造ネット空隙材1を得るものである。
【0010】
即ち、本発明は、(1)、透孔部2を有する上面部11と下面部12とを連結部3で連結してなる繊維素材で形成された立体構造ネット空隙材1であって、上面部11と下面部12との各透孔部2が貫通しており、上面部11と下面部12の透孔部密度が異なり、上面部11の一個の透孔部21に対して下面部12の透孔部22が2〜4個入る関係にあり、連結部3が直交連結部31と斜交連結部32とからなる立体構造ネット空隙材に存する。
【0013】
そしてまた、(2)、上面部11の透孔部密度が10〜40個/インチ2で、上面部透孔部面積率が30〜70%、下面部透孔部面積が上面部透孔部面積の5〜70%である上記(1)の立体構造ネット空隙材1に存する。
【0014】
そしてまた、(3)、9〜28ゲージのダブルラッシェル地であり、その厚みが2〜30mmである上記(1)の立体構造ネット空隙材1に存する。
【0015】
そしてまた、(4)、染色されている上記(1)記載の立体構造ネット空隙材1に存する。本発明の立体構造ネット空隙材は、横ズレのない高耐圧縮性と十分な高通気性を有するものである。本発明は、この目的に沿ったものであれば、上記1〜4の中から選ばれた2つ以上を組み合わせた構成も採用可能である。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の立体構造ネット空隙材1は、透孔部を有する上面部と下面部とを連結部で連結してなる繊維素材で形成された立体構造ネット空隙材である。
そして、上面部と下面部の透孔部密度が異なり、連結部が直交連結部と斜交連結部とからなる。
詳しくは立体構造ネット空隙材1は、上面部透孔部密度が、10〜40個/インチ2であり、その透孔部面積率が30〜70%から構成される。
ここに、透孔部密度はメッシュ密度ともいわれ単位面積(1平方インチ)内に存在する透孔部の数を言う。
また、透孔部面積率=(透孔部面積/平方インチ)/(布帛面積/平方インチ)である。
【0017】
上面部透孔部密度を10個/インチ2 未満とすると通気性の点から好ましくなく、透孔部面積率が70%をこえると、連結部3は直交するものが多くなり、斜め方向から加わる圧力に対し、期待する横ずれ防止効果、高耐圧縮性効果が得られない。
透孔部面積率が30%未満、透孔部密度が40個/インチ2 をこえると斜交連結部32の角度が垂直に近づき、やはり斜め方向から加わる圧力に対し、期待する横ずれ防止効果、高耐圧縮性効果が得られない。
透孔部面積率は40〜60%の範囲が好ましい。
【0018】
また、本発明は上面部透孔部21の面積に対する下面部透孔部22の面積が5〜70%の比率の大きさが好ましく、更に20〜50%がより好ましい。
上面部透孔部面積に対する下面部透孔部面積の比率が5%未満であると、ネット組織の形成が困難となり、また逆に上面部透孔部面積に対する下面部透孔部面積の比率が70%を超えると連結に関する断面パターンが限定され、本発明の最大の特徴である横ずれ防止効果が発現されない。
【0019】
そして、上面部11の一個の透孔部21に対して下面部12の透孔部22が1.1〜6個入る関係(上面部と下面部との透孔部密度の比)にあることが好ましく、2〜4個であることがより好ましい。
上面部11の一個の透孔部21に対して下面部12の透孔部数が6個を越えると、メッシュ組織の形成が困難となり、また上面部11の一個の透孔部21に対して下面部12の透孔部数が1.1個未満であると、連結に関する断面パターンが限定され、本発明の最大の特徴である横ずれ防止効果が十分でない。
【0020】
更に、本発明の立体構造ネット空隙材1は、その厚みが2〜30mmの範囲であることが好ましく、2〜20mmの範囲であることがより好ましい。
厚みが2mm未満、あるいは30mmを越えると、横ずれ防止効果と高い耐圧縮性が十分でなくなる。
また、上面部11と下面部12をつなぐ連結部3は、20dtex以上のモノフィラメント又はモノマルチフィラメントであることが好ましい。
20dtexに満たないと、立体構造ネット空隙材1の厚みが保持できず、期待する高い圧縮性が得にくい。
【0021】
また、本発明の立体構造ネット空隙材1は、繊維素材からなるもので、ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ビニロン、アラミド等の合成繊維や、その他、炭素繊維、再生繊維等が採用され、特に限定されるものではない。
また、合成繊維であれば、モノフィラメントやマルチフィラメントが使用され、その断面は種々の異形断面のものが採用される。
空隙材1の糸は、繊維製造時に着色した原着繊維、あるいは先染糸などいずれでも良い。
【0022】
また、上記に使用した上面部11、下面部12の用語は便宜上使用したに過ぎず、上面部11を必ずしも上にして使用するというものではない。
更に、透孔部2については、その形状も特に限定されるものではなく、円形、楕円形、ひし形、四角形、六角形、八角形など適宜に選択することができ、また上面部11、下面部12においてその形状が同じでも、異なっていても良い。
以下、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明は、必ずしも実施例に限定されることはない。
【0023】
本実施例においては立体構造ネット空隙材1を形成する手段として2列針床からなる経編機であるダブルラッシェル機を使用する。
経編機において、組織的に糸抜き部を繰り返し形成すれば、この糸抜き部が開口して透孔部を形成しネット地を得ることは既に周知であり、透孔部の形状は組織の設定により6角形や4角形など所要の形状を得ることが可能である。
このように編成時に糸抜き部が開口することを応用し、上面部11、下面部12の透孔部密度を異ならせて透孔部2の開口度を変化させれば、連結部3が種々の角度をもって上面部11、下面部12を連結することとなる。
つまり、直交連結部31と多様な斜交連結部32の組み合わせが可能となり、横ずれのない耐圧縮性、通気性の優れた立体構造ネット空隙材1を得るものである。
【0024】
更に念のため、実施例の理解を容易にするためにネット組織の構成概念を説明する。
図1(A)に模式的に示すように、六角形の透孔部2をハニカム状に有するネット地は直線部41と斜行部42で形成される。
つまり、1本の直線部41から2本の斜行部42に分離して、互いに隣接する2本の斜行部42を連結して次の直線部41を形成する。
これを順次繰り返してネット地は形成される。
ここで、便宜的に、1本の直線部41から2本の斜行部42に分離するところを分離部43と呼び、2本の斜行部が1本の直線部に連結するところを連結部44と呼ぶことにする。
【0025】
以下、本発明の各実施例を具体的に説明していく。
【実施例1】
マイヤー製ダブルラッセル機(RD・PLM−22G)を用いて、図1(A)に示すように、8コースからなる六角形の透孔部21(26個/インチ2 )をハニカム状に有するネット地を、1リピ−ト16コース、直線部4ウエールのネット組織で編成して上面部11を形成し、4コースからなる六角形の透孔部22(52個/インチ2 )をハニカム状に有するネット地を、1リピート8コース、直線部4ウエールのネット組織で編成して下面部12を形成した(使用糸:上面部11、下面部12共ポリエステル110dtexモノフィラメント糸)。
同時に、連結部3として33dtexモノフィラメント糸2本を供給した2枚オサを使用し、上面部11、下面部12の相対するすべてのウエールを連結編成して、厚み5mmの立体構造ネット空隙材1を作成した。
【0026】
本実施例においては、上方から見て一個の上面部透孔部21の中に、二個の下面部透孔部22が入る位置関係となっている。
この場合の連結状態の特性をその断面図、図1(B)に基づいて説明する。
一個の上面部透孔部21と、その範囲内に存在する下面部透孔部22との連結断面特性は7つのラインで切断された断面パターンで示すことができる。
つまり、一個の上面部透孔部21において、その上方に位置する上方連結部44を通過する箇所で切断したライン〈1〉、上方に位置する上方斜行部42を通過する箇所で切断したライン〈2〉、上方の上方分離部43を通過する箇所で切断したライン〈3〉、直線部41を通過する箇所で切断したライン〈4〉、下方の連結部44を通過する箇所で切断したライン〈5〉、下方に位置する下方斜行部42を通過する箇所で切断したライン〈6〉、下方の下方分離部43を通過する箇所で切断したライン〈7〉、の7つのラインで切断された断面パターンでその特性を知ることができる。
【0027】
図1(B)に模式的に示すように、ライン〈1〉においては上面部11、下面部12との交差角度が異なる2つの斜交連結部32を有する変則斜交連結型P1となり、ライン〈2〉においては直交連結型P2となり、ライン〈3〉においては、ライン〈1〉と同様の変則斜交連結型P1、ライン〈4〉においては交差角度の異なる2組の斜交連結部32を対称形に有する複数斜交連結型P3、ライン〈5〉においては、ライン〈1〉、〈3〉とは逆向きの変則斜交連結型P1、ライン〈6〉においてはライン〈2〉と同様の直交連結型P2、ライン〈7〉においてはライン〈5〉と同様の変則斜交連結型P1となる。
【0028】
以上のように、本実施例の立体構造ネット空隙材1は、その断面に4種の断面パターンを有し、しかもライン〈1〉と〈3〉、ライン〈2〉と〈6〉、ライン〈5〉と〈7〉は断面パターンは同型であるものの、その位置が異なるので結局は7つの断面パターンを有する耐圧縮効果が発揮される。
このことは従来の空隙材には全く見られなかった構造による効果である。
【0029】
以上の立体構造ネット空隙材1を、190℃で1分間プレセットした後、130℃にて染色、乾燥し、150℃で1分間セットした結果、全厚4.2mm、上面部11の透孔部面積率50%、上面部11の透孔部面積に対する下面部12の透孔部面積の比率は25%であった。
【0030】
【実施例2】
マイヤー製ダブルラッシェル機(RD・PLM−22G)を用いて、図2(A)に模式的に示すように、8コースからなる六角形の透孔部21(26個/インチ2)をハニカム状に有するネット地を、1リピ−ト16コース、直線部4ウエールのネット組織で編成して上面部11を形成し、2コースからなる六角形の透孔部22(104個/インチ2 )をハニカム状に有するネット地を、1リピート4コース、直線部4ウエールのネット組織で編成して下面部12を形成した(使用糸:上面部11、下面部12共ポリエステル110dtexモノフィラメント糸)。
同時に、連結部3として33dtexモノフィラメント糸2本を供給した2枚オサを使用して、上面部11、下面部12の相対する、すべてのウエールを連結編成して、厚み5mmの立体構造ネット空隙材1を作成した。
【0031】
本実施例においては、上方から見て一個の上面部透孔部21の中に、四個の下面部透孔部22が入る位置関係となっている。
この場合の連結状態の特性をその断面図、図2(B)に基づいて説明する。
一個の上面部透孔部21と、その範囲内に存在する下面部透孔部22との連結断面特性は7つのラインで切断された断面パターンで示すことができる。
つまり、一個の上面部透孔部21において、その上方に位置する上方連結部44を通過する箇所で切断したライン〈1〉、上方の上方分離部43を通過する箇所で切断したライン〈2〉、直線部41であって、下面部透孔部22の連結部44を通過する箇所で切断したライン〈3〉、直線部41であって、下面部透孔部22の直線部41を通過する箇所で切断したライン〈4〉、直線部41であって、下面部透孔部22の分離部43を通過する箇所で切断したライン〈5〉、下方の連結部44を通過する箇所で切断したライン〈6〉、下方の下方分離部43を通過する箇所で切断したライン〈7〉、の7つのラインで切断された断面パターンでその特性を知ることができる。
【0032】
図2(B)に模式的に示すように、ライン〈1〉、〈2〉、〈6〉、〈7〉においては、直交連結部31と、相対する2本の斜交連結部32とを有する複合連結型P4、ライン〈3〉、〈4〉、〈5〉においては、上面部11、下面部12との交差角度が異なる2組の斜交連結部32を対称形に有する複数斜交連結型P3となる。
以上のように本実施例の立体構造ネット空隙材1は、その断面に2種の断面パターンに分類されるが、実際には4つの形態で使用され、これらの断面パターンが極めて効果的に繰り返し配列されているので多方向からの力に対して、実施の形態1同様もしくはそれ以上に充分な耐圧力効果が発揮される。
【0033】
以上の立体構造ネット空隙材1を、190℃で1分間プレセットした後、130℃にて染色、乾燥し、150℃で1分間セットした結果、全厚4.2mm、上面部11の透孔部面積率50%、上面部11の透孔部面積に対する下面部12の透孔部面積の比率は8%であった。
【0034】
【実施例3】
マイヤー製ダブルラッシェル機(RD・PLM−22G)を用いて、図3(A)に模式的に示すように、8コースからなる六角形の透孔部21(26個/インチ2 )をハニカム状に有するネット地を、1リピ−ト6コース、直線部4ウエールのネット組織で編成して上面部11を形成し、3コースからなる六角形の透孔部22(62個/インチ2 )をハニカム状に有するネット地を、1リピート6コース、直線部4ウエールのネット組織で編成して下面部12を形成した(使用糸:上面部11、下面部12共ポリエステル110dtexモノフィラメント糸)。
同時に、連結部3として33dtexモノフィラメント糸2本を供給した2枚オサを使用して、上面部11、下面部12の相対するすべてのウエールを連結編成して、厚み6mmの立体構造ネット空隙材1を作成した。
【0035】
本実施例においては、上方から見て、一個の上面部透孔部21の中に、下面部透孔部22が、経方向に2個、横方向に1/2ずつが2個入る位置関係になっている。この場合の連結状態の特性をその断面図、図3(B)に基づいて説明する。一個の上面部透孔部21と、その範囲内に存在する下面部透孔部22との連結断面特性は11本のラインで切断された断面パターンで示すことができる。
【0036】
つまり、一個の上面部透孔部21において、上方の連結部44を通過する箇所で切断したライン〈1〉、上方の斜行部42を通過する箇所で切断したライン〈2〉、上方の分離部43を通過する箇所で切断したライン〈3〉、直線部41であって、下面部透孔部22の連結部44を通過する箇所で切断したライン〈4〉、直線部41であって、下面部透孔部22の分離部43を通過する箇所で切断したライン〈5〉、直線部41であって、下面部透孔部22の直線部41を通過する箇所で切断したライン〈6〉、直線部41であって、下面部透孔部22の連結部44を通過する箇所で切断したライン〈7〉、直線部41であって、下面部透孔部22の分離部43を通過する箇所で切断したライン〈8〉、下方の連結部44を通過する箇所で切断したライン〈9〉、下方の斜行部42を通過する箇所で切断したライン〈10〉、下方の分離部43を通過する箇所で切断したライン〈11〉の11本のラインで切断された断面パターンでその特性を知ることができる。
【0037】
図3(B)に模式的に示すように、ライン〈1〉、〈3〉、〈9〉、〈11〉においては、斜交連結部32を対称形に有する斜交連結型P5、ライン〈2〉、〈10〉においては、変則斜交連結型P1、ライン〈4〉、〈8〉においては複合連結型P4、ライン〈5〉、〈7〉においては複数斜交連結型P3、ライン〈6〉においては斜交連結型P5となる。
以上のように本実施例の立体構造ネット空隙材1はその断面に4種の断面パターンに分類されるが、実際には6つの形態で使用され、これらの断面パターンが極めて効果的に繰り返し配列されているので多方向からの力に対して充分な耐圧縮性効果が発揮される。
【0038】
この立体構造ネット空隙材1を、190℃で1分間プレセットした後、130℃にて染色、乾燥し、150℃で1分間セットした結果、全厚5.2mm、上面部11の透孔部面積率50%、上面部11の透孔部面積に対する下面部12の透孔部面積の比率は20%であった。
【0039】
以下比較例を示す。
【比較例1】
マイヤー製ダブルラッシェル機(RD・PLM−22G)を用いて、ポリエステル110dtexモノフィラメント糸にて、上面部、下面部ともに、8コースからなる六角形の透孔部(26個/インチ2 )をハニカム状に有するネット地を透孔部が上下一致するように編成し、同時に、連結糸には、33dtexモノフィラメント糸2本を供給した2枚オサを使用して、厚み5mmの空隙材料を作成した。
これを190℃で1分間プレセットした後、130℃にて染色、乾燥し、150℃で1分間セットした結果、全厚4.1mm、上面部の透孔部面積率50%、上面部の透孔部面積に対する下面部の透孔部面積の比率は100%であった。
【0040】
【比較例2】
マイヤー製ダブルラッシェル機(RD・PLM−22G)を用いて、ポリエステル110dtexモノフィラメント糸にて、上面部、下面部ともに、8コースからなる六角形の透孔部(26個/インチ2 )をハニカム状に有するネット地を、透孔部をコース方向に4コース(半分)ずらして編成し、同時に、連結糸には、33dtexモノフィラメント糸2本を供給した2枚オサを使用して、厚み5mmの空隙材料を作成した。
これを190℃で1分間プレセットした後、130℃にて染色、乾燥し、150℃で1分間セットした結果、全厚4.2mm、上面部の透孔部面積率50%、上面部の透孔部面積に対する下面部の透孔部面積の比率は100%であった。
【0041】
【比較例3】
マイヤー製ダブルラッシェル機(RD・PLM−22G)を用いて、ポリエステル165dtexモノフィラメント糸にて、7コースからなる六角形の透孔部(26個/インチ2 )をハチス状に有する上面部と、7コースからなるひし形の透孔部(26個/インチ2 )をハニカム状に有する下面部とを編成し、同時に、連結糸を全体でトラス型の構造となるように33dtexモノフィラメント糸2本を供給した1枚オサを使用して、厚み5mmの空隙材料を作成した。
190℃で1分間プレセットした後、130℃にて染色、乾燥し、150℃で1分間セットした結果、全厚4.1mm、上面部の透孔部面積率50%、上面部の透孔部面積に対する下面部の透孔部面積の比率は100%であった。
【0042】
上記の立体構造ネット空隙材について、表1に示す耐圧縮性評価(厚み保持率)、表2に示すズレ性評価(連結糸のズレ幅)、縫製性評価(縫い易さと仕上がり)を行った。
以下に立体構造ネット空隙材の測定評価の基準について述べる。
1)厚み保持率確認試験
材料を7cm×7cmの大きさにし、厚みの変化がわかりやすいように4枚重ねて、その上に直径7cmの円柱型の重り5kgを載せる。
この状態で、厚みの変化がでやすいように100℃で2時間放置した。
2時間後、重りを取り除いた直後の厚みを試験後の厚みL2とし、重りを載せる前の厚みをL1として
厚み保持率(%)=L2/L1×100
の値を得た。
【0043】
▲2▼連結糸横ズレ確認試験
マイクロスコープで、荷重を加える前と加えた後の、連結糸の状態を撮影する。
その際、印を付けたある一本の連結糸に注目して、荷重を加える前と加えた後の横ずれ状態を写真上で測定した。
【0044】
▲3▼加工時の縫製性確認試験
立体構造ネット空隙材1の上面部11と上面部11を重ね合わせて縫い合わせ、その時の縫い易さとその後開いた時の、縫い目の綺麗さで縫製性を評価した。
そして、表3に示す耐圧縮性評価(厚み保持率)については、下記のように符号で区別した。
【0045】
・厚み保持率
75%以上 ・・○
70〜75%以上 ・・△
70%以下 ・・×
またズレ性評価(連結糸のズレ幅)については下記のように符号で区別した。
【0046】
・連結糸のズレ幅
2mm以下 ・・○
7〜10mm ・・△
10mm以上 ・・×
また縫製性評価(縫い易さと仕上り)については下記のように符号で区別した。
【0047】
・縫い易さと仕上り
非常に縫い易く、縫い目も美しい ・・○
やや縫い難いが、直線状に縫うことができる ・・△
縫い難く、縫い目も直線状にならない ・・×
また総合評価については下記のように符号で区別した。
【0048】
・総合評価
耐圧縮性、ズレ防止性、縫製性評価の○が2つ以上 ・・◎
耐圧縮性、ズレ防止性、縫製性評価の○が1つで△が2つ ・・○
耐圧縮性、ズレ防止性、縫製性評価の上記以外で△が1つ以上 ・・△
耐圧縮性、ズレ防止性、縫製性評価の×が2つ以上 ・・×
【0049】
〔結果〕
・厚み保持率確認試験の結果
表3より明らかなように、比較例1が圧倒的に厚み保持率が悪く、あとは大差がなく耐圧縮性に優れている。
これは、比較例1が同一形状の上下の透孔部が相対する同じ位置に構成されることで、どの箇所を切断しても連結糸4は直交もしくはそれに近い角度を示すので、負荷された圧力に対してたちまち連結糸が横倒れをして、上面部と下面部が横ずれし、厚みの確保が困難となるからである。
【0050】
・連結糸横ズレ確認試験の結果
表3より明らかなように、本発明の立体構造ネット空隙材1の横ずれ防止効果が優れていることが分かる。
これは、先に述べたように立体構造ネット空隙材1を切断したそのライン上で、連結糸の断面パターンが多いことと、種々のトラス型の連結糸が現れることで、様々な方向から負荷される圧力を、バランス良く分散吸収し連結糸の横ずれを防ぐからである。
【0051】
・加工時の縫製性確認試験の結果
【0052】
本発明の立体構造ネット空隙材1の縫製性が良い理由として、上面部11、下面部12の透孔部2の大きさが異なっているということが原因である。
透孔部2の大きさが異なることによって、上面部11と下面部12の素地部の面積に差が生じ、縫い針が上面部11と下面部12の透孔部を同時に貫く確率が、上面部11、下面部12の透孔部の大きさが同じものより格段に低いからである。
また、上面部11と下面部12が横ずれしないということが縫製性の良い理由として当然挙げられる。
【0053】
以上、本発明についてその詳細を説明したが、本立体構造ネット空隙材1は、実施の形態に限定されることなく、その本質から逸脱しない範囲で他の変形、組み合わせが可能であることは言うまでもない。
【0054】
【発明の効果】
本発明の立体構造ネット空隙材1においては、上面部11、下面部12の透孔部密度を異ならせて透孔部2の開口度を変化させ、直交連結部31と多様な斜交連結部32との組み合わせにより、連結部3が種々の角度をもって上面部11、下面部12を連結する手段を講じているので、横ずれのない高耐圧縮性の立体構造ネット空隙材1を得ることができる。
【0055】
本発明の立体構造ネット空隙材1においては、その断面パターンが、直交連結型P2に加えて、斜交連結型P5、変則斜交連結型P1、複数斜交連結型P3、複合連結型P4に代表されるトラス構造を有し、これらの多様な断面パターンが効果的に配されているので、多方向からの力に対して充分な耐圧縮性を発揮できる。
【0056】
本発明の立体構造ネット空隙材1においては、上方から見て一個の上面部透孔部21の中に、複数の下面部透孔部22が入る位置関係となっているので、上面部11、下面部12の透孔部2が連結部3に阻害されることなく貫通しているので高通気性が得られる。
【0057】
本発明の立体構造ネット空隙材1においては、上面部11、下面部12の透孔部2の大きさが異なり、上面部11と下面部12の素地部の面積に差があるので、縫製の際、縫い針が上面部11と下面部12の透孔部2を同時に貫く確率が、上面部11、下面部12の透孔部2の大きさが同じものより格段に低いことから縫製時の問題、縫製品の品質の低下が見られない。
【0058】
本発明の立体構造ネット空隙材1において、本立体構造ネット空隙材1が繊維素材を使用したダブルラッシェル地である場合には、その組織、素材の選択が自由で製品の多様化が容易に図れる。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A)は、上面部透孔部内に2個の下面部透孔部が位置する立体構造ネット空隙材の上面図である。
図1(B)は、図1(A)の立体構造ネット空隙材を7つのラインで切断した際の断面図である。
【図2】図2(A)は、上面部透孔部内に4個の下面部透孔部が位置する立体構造ネット空隙材の上面図である。
図2(B)は、図2(A)の立体構造ネット空隙材を7つのラインで切断した際の断面図である。
【図3】図3(A)は、上面部透孔部内に経方向に2個、横方向に1/2ずつの下面部透孔部が2個、位置する立体構造ネット空隙材の上面図である。
図3(B)は、図3(A)の立体構造ネット空隙材を11本のラインで切断した際の断面図である。
【符号の説明】
1…立体構造ネット空隙材
11…上面部
12…下面部
2…透孔部
21…上面部透孔部
22…下面部透孔部
3…連結部
31…直交連結部
32…斜交連結部
41…直線部
42…斜行部
43…分離部
44…連結部
〈1〉〜〈11〉…切断ライン
P1…変則斜交連結型
P2…直交連結型
P3…複数斜交連結型
P4…複合連結型
P5…斜交連結型
Claims (4)
- 透孔部2を有する上面部11と下面部12とを連結部3で連結してなる繊維素材で形成された立体構造ネット空隙材1であって、
上面部11と下面部12との各透孔部2が貫通しており、
上面部11と下面部12の透孔部密度が異なり、
上面部11の一個の透孔部21に対して下面部12の透孔部22が2〜4個入る関係にあり、
連結部3が直交連結部31と斜交連結部32とからなることを特徴とする立体構造ネット空隙材。 - 上面部11の透孔部密度が10〜40個/インチ2 で、上面部透孔部面積率が30〜70%、下面部透孔部面積が上面部透孔部面積の5〜70%であることを特徴とする請求項1記載の立体構造ネット空隙材。
- 9〜28ゲージのダブルラッシェル地であり、その厚みが2〜30mmであることを特徴とする請求項1記載の立体構造ネット空隙材。
- 染色されている請求項1記載の立体構造ネット空隙材。
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