JP4414010B2 - ポンプ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、請求項1の前提部分に記載されたポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
ここで述べる種類のポンプは知られている。このポンプはポンプユニットを収容するハウジングを有する。ポンプユニットは第1及び第2の圧力板を具備し、その間にリングが配設されている。従って媒質の吸引と圧縮のための可動部材を具備するポンプ挿入物を内設したポンプ室が形成される。ポンプ挿入物の可動部材は運動の際にリングないしは圧力板の内側に沿って移動する。圧縮された媒質が圧力板を変形することが明らかになった。特に圧力板がその際外側へ湾曲させられる。こうしてポンプ挿入物の可動部材と圧力板の間にギャップが生じる。それによってポンプの圧力領域と吸込み領域の間にいわば短絡が発生するので、搬送される媒質が圧力領域から吸込み領域へ流出する可能性がある。これはポンプの体積効率に悪影響を及ぼす。
【0003】
公知のポンプの効率を改善するために、一方の圧力板のポンプ室と反対の側に圧力領域から流体圧を作用させた。他方の圧力板はハウジングの面に支えられる。ハウジングのこの面は、圧力板が均一に支えられるように、特に平坦に形成しなければならない。その場合ハウジングはカップ形のハウジング半体と、この平坦な面を有する平らなハウジングカバーからなる。この場合カバーの平坦な面は多大な費用をかけなければ製造できないのが欠点である。しかも圧力板の受座の役割をすることができるように、全ハウジング特にカバーを特に高い剛性を持たせて設計しなければならない。
【0004】
別の公知のポンプでは効率の改善のために、両方の圧力板のポンプ室と反対の側に圧力領域から流体圧を作用させる。この場合は圧力板に外側から加圧媒質を供給することができるように、余計な密封費用を費やさねばならないことが欠点である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこでこれらの欠点がない冒頭に上げた種類のポンプを示すのが発明の課題である。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この課題は請求項1の特徴を有するポンプによって解決される。このポンプはポンプユニットが内設されたハウジングを有する。ポンプユニットは第1及び第2の圧力板を具備し、貫通孔を有するリングが圧力板の間に配設されている。圧力板は夫々少なくともリングの外側平面区域に接するから、内部にポンプ室が形成される。またポンプは第2の圧力板とハウジングの間に形成された圧力室を有する。特に本発明に基づくポンプは、第1の圧力板をハウジングに対して間隔をおいて支えるスぺーサが設けられているのが特徴である。また本発明に基づきスぺーサが少なくとも区域的に圧力板の、貫通孔と相対する内側平面区域に配属された構成となっている。
【0007】
ポンプの運転時に圧力室から流体圧が働く第2の圧力板はリングの方へ押しやられる。リングは第1の圧力板の、リングに面した側を押圧し、他方の側はスぺーサに支えられるから、第1の圧力板はさらばねのように変形させられる。その場合第1の圧力板は特にポンプ室に面した内側平面区域がポンプ挿入物の方へ押しやられようにして変形されるから、第1の圧力板とポンプ挿入物の間のギャップ形成が回避される。それによってポンプの体積効率が高められる。またスぺーサがあるので、第1の圧力板がスぺーサに支えられる区域ではハウジングの特に精密な加工を省略することができるという利点がある。公知のポンプでは第1の圧力板がリング及びポンプ挿入物に均一に接し又は押し付けられるように、この区域を特に平坦に形成することが必要であった。
【0008】
また本発明に基づくポンプでは、圧力領域から両方の圧力板へもはや流体圧を作用させる必要がない利点がある。それによって両方の圧力板のために公知のポンプで必要な密封の費用を掛けないでよいから、ポンプが簡単かつ安価に製造される。
【0009】
好適な実施例ではスぺーサが平坦に形成されている。即ち第1の圧力板が接するスぺーサの面は1つの平面にある。それによってポンプの運転中に第1の圧力板が均一に変形させられる。しかし代案としてスぺーサの高さを区域的に変化することも可能である。こうして第1の圧力板の変形をポンプの吸込み領域及び圧力領域に適応させることが可能である。即ち吸込み領域ではスぺーサは圧力領域より小さな高さを有する。それによってポンプ室又は吸込み及び圧力領域にある圧力に応じてギャップ補償を適応させることができる。またスぺーサを様々な高さに形成した場合、スぺーサの低い部分を第1の圧力板の外側の平面区域に配属することができる。その場合第1の圧力板の最大所望のたわみに達したときに、この低い部分が第1の圧力板に対するストップとして利用される。もちろんスぺーサの位置を変化することも可能である。即ちスぺーサの位置をポンプの駆動軸との間隔に関連して変化することができる。それによってリングの支持区域とスぺーサの間の有効応力中心距離が変化させられる。こうして圧力板の変形度を変えることができる。
【0010】
好適な実施例ではハウジングがカップ形の凹陥部を有し、この凹陥部が第1の圧力板の少なくとも一部を収容するように構成されている。ハウジングは2つのハウジング部分からなるから、ポンプユニットを収容するカップ形凹陥部の深さを変化して、ハウジング部分の間の接合面を変位させることができる。本発明に基づくポンプでは第1の圧力板の受座を形成するためにカップ底部の特に平坦な面は必要でない。本発明に基づくポンプのハウジングを特に高い剛性を持たせて設計しないでよいことも好都合である。ハウジングの変形がポンプ挿入物の可動部材と圧力板の間のギャップ形成を増加させないからである。即ち第2の圧力板がリングに作用し、他方リングが第1の圧力板に力を働かせることによって、ハウジング内のポンプユニットの変位が可能であるから、変形によるハウジングの偏りがポンプユニットの追従によって補償されるのである。
【0011】
また好適な実施例ではスぺーサが円周状に、特に閉じた曲線として形成されている。
それによって特に均一な接触面が設けられるから、第1の圧力板はポンプの運転中に均一に変形させられる。特にスぺーサが環状又は楕円形の曲線形状を有するように構成することができる。それによってリング又は貫通孔の種々の横断面又は輪郭への適応が可能である。もちろん円周状のスぺーサの半径を変化することができるから、この場合も有効応力中心距離を変化することが可能になる。
【0012】
好適な実施例では第1の圧力板とハウジング及びスぺーサが半径方向に1つの空間を画成し、流体連絡路によってこの空間と圧力領域を連絡するように構成されている。こうして−運転中に−リングによって力を働かせるだけでなく、第1の圧力板を変形することができる。それとともに特に高い流体圧でもギャップ補償が可能である。
【0013】
特に好適な実施例では、ポンプはスぺーサに取り囲まれた空間とポンプの圧力室とを連絡する流体連絡路を第1の圧力板に設けたことが特徴である。こうして第1の圧力板に特に簡単に圧力を働かせることができる。
【0014】
また好適な実施例では流体連絡路が第1の圧力板の半径方向外側の区域に配設され、ポンプの取付け位置で流体連絡路がポンプ挿入物の中心軸の上側にあるように構成されている。ポンプの最初の始動の際に空気抜きの問題が起こらない点でこの実施例は有利である。
【0015】
特に好適な実施例ではスぺーサがカップ形凹陥部の底部から出た膨出部からなるように構成されている。その場合特に膨出部をハウジングと一体に作ることができる。代案としてスぺーサ特に膨出部が第1の圧力板と一体に実現されるように構成することができる。
【0016】
好適な実施例では膨出部がシールを収容するように構成されている。特に圧力室から圧力板の背後の空間へ圧力が導かれる実施例で、これが好都合である。
【0017】
別の特に好適な実施例では、スぺーサがカップ形凹陥部の底部と第1の圧力板の間にあるリングからなるように構成されている。ポンプの運転中に圧力板が運動させられる場合に、これが好都合である。その場合圧力板は好ましくは開放したリングの上で転動することができるからである。これは摩擦の減少により圧力板の寿命にとって特に好ましい影響を及ぼす。
【0018】
別の特に好適な実施例はリングが角形、特に四角形又は台形の横断面を有するのが特徴である。その場合角形横断面のリングの一辺が第1の圧力板に面している。それによってスぺーサと第1の圧力板の間に直線状の支持面が得られる。こうして所望の応力中心距離を特に正確に調整することができる。
【0019】
好適な実施例ではポンプがベーンポンプとして構成され、リングはカムリングをなす。ポンプ挿入物は回転可能に支承されたロータからなり、ロータは半径方向可動の羽根を少なくとも部分的に収容する。
【0020】
その他の好適な実施例は従属請求項で明らかである。
【0021】
次に図面を参照しつつ実施例に基づいて本発明を詳述する。
【0022】
【発明の実施の形態及び発明の効果】
以下では単なる一例として、ポンプはベーンポンプであることを前提とする。もちろんポンプの他の実施例、例えばローラポンプ又はいわゆるサイクロイドポンプとして構成することができる歯車ポンプも可能である。
【0023】
図1はベーンポンプ3として実現されたポンプ1を示す。ここで述べる種類のベーンポンプは知られているから、ここでは要点にだけ触れることにする。断面図で示すベーンポンプ3は2つのハウジング部分7及び9からなるハウジング5を有する。ハウジング部分7にカップ形の凹陥部11が穿設され、その底部13に段状の貫通孔15が設けられている。凹陥部11の底部13に軸方向に伸張するスぺーサ14が配設されている。スぺーサ14はここではハウジング部分7と一体に形成されている。スぺーサ14は円周状の膨出部14’として形成することが好ましい。膨出部14’は円周状の曲線として形成することができる。曲線は開いた又は閉じた構造とすることができる。もちろんスぺーサ14を少なくとも1個の点状突起として形成することも可能である。
【0024】
ハウジング部分9には環状段部19を具備する凹陥部17が設けられている。ハウジング部分7の凹陥部11とハウジング部分9の凹陥部17によって、ポンプユニット23を収容するハウジング内室21が実現される。しかしただ1つの凹陥部をハウジング部分7又は9に設け、これを平坦なカバーとして形成された第2のハウジング部分7又は9で覆うように、ハウジング部分7及び9を形成することも可能である。従ってハウジング部分7及び9の継目Tの位置は可変であり、必要に応じて選定することができる。即ち凹陥部11及び17の深さを変えることができる。その場合凹陥部11又は17の深さがゼロであってもよい。即ちカバーで覆われたカップ形凹陥部11又は17である。
【0025】
ポンプユニット23は貫通孔26を有するカムリング25を具備し、カムリング25の貫通孔の一方の側に第1の圧力板が、貫通孔の他方の側に第2の圧力板29が配属され、カムリング25の内部にポンプ室31が形成される。このようにして圧力板27及び29はカムリング25の外側平面区域25’に接する。第1の圧力板27のカムリング25と反対の側が膨出部14’に支えられる。膨出部14’又はスぺーサ14は、カムリング25の貫通孔26の反対側の第1の圧力板27の内側平面区域に配設することが好ましい。
【0026】
回転可能に支承されたロータ35を有するポンプ挿入物33がポンプ室31の中に配設されている。ロータ35は駆動軸37によって駆動される。駆動軸37は貫通孔15及び第1の圧力板27に形成された貫通孔39を貫いて伸張し、駆動軸37とロータ35を係合させることができる。回転軸41に対して半径方向に走るスロットがロータ35に穿設され、ここに半径方向可動の羽根43が挿入されている。カムリング25の中でロータ35が回転すると、少なくとも1つの吸込み又は圧力領域を形成する部分室の拡大又は縮小が生じる。ロータ35の回転とともに媒質例えば油が、吸込み接続端と連結された吸込み室45から圧力接続端と連結され消費手段(図示せず)と連結された圧力室47へ送られる。圧力室47は図示しない機器と連絡している。圧力室47は第2の圧力板29に挿着されたシール48によって吸込み室45に対して密封される。圧力室47に始動板49が配設されている。始動板49の一方の側は第2の圧力板29に接する。始動板49の他方の側はばね装置51を介して凹陥部17の底部53に支えられる。ばね装置51は第2の圧力板29を図1の左へ押しやる。従って第2の圧力板29は環状段部19の上に支えられない。
【0027】
ベーンポンプ3の運転時に圧力室47に使用圧p0がある。使用圧p0は第2の圧力板29に作用するから、−図で左への−力の作用が起こる。この力はカムリング25へ、カムリング25から第1の圧力板27の半径方向外側区域へ伝達される。それによって第1の圧力板27が変形し、半径方向外側区域が図で左側へ押しやられる。第1の圧力板27は凹陥部11の底部13に対して間隔をおいて膨出部14’の上に支えられるから、これが可能である。このようにして第1の圧力板27の半径方向外側区域が左へ移動するから、第1の圧力板27の半径方向内側区域はさらばねのように変形する。即ち半径方向内側区域は右へ押しやられ、ロータ35又は羽根43に密着して当接される。こうしてロータ35又は羽根43と第1の圧力板27の間のギャップ形成がおおむね阻止される。このためポンプ室31の圧力領域にある油は、ポンプ室31の吸込み領域へおおむね流出することができない。こうして圧力領域と吸込み領域の間の油の流れが困難になる。従ってこのポンプ1は高い体積効率を有する。
【0028】
ハウジングの変形にポンプユニット23が追従するように全ポンプユニット23をハウジング5の中で変位させることができ、しかもロータ35と圧力板27及び29の間のギャップ補償が行われることは直ちに明らかである。従ってポンプ1のハウジング5は特に高い剛性を持たせて設計しないでよい。
【0029】
ベーンポンプ3’として構成されたポンプ1’の別の実施例を図2に示す。ここで図1の実施例と同じ部分は同じ参照符号を付したから、その限りでその説明を参照することができる。従って以下では図1の実施例との相違だけに触れる。
【0030】
ポンプユニット23はこの場合もカムリング25を有し、貫通孔26の片側でカムリング25に第1の圧力板27が配属されている。他方の側に第2の圧力板29が設けられている。第2の圧力板29は貫通孔39を有し、これを駆動軸37が貫通する。駆動軸はポンプユニット23のポンプ室31に配設されたロータ35を駆動する。ロータ35に羽根33が半径方向可動に配設されている。
【0031】
第1図の実施例に比して、第1の圧力板27はハウジング部分9に配属されている。従って第2の圧力板29は他方のハウジング部分7に配属される。第2の圧力板29は環状段部を有する凹陥部17及びハウジング部分7とともに圧力室47を形成する。圧力室47はポンプ室31の圧力側と流体を連絡するから、−ポンプの運転時に−圧力室47に使用圧p0がある。圧力室47から駆動軸37とハウジング部分7の間に油が逸出しないように、圧力室47は円周状の密封装置57を有する。さらに駆動軸37に密封装置59が配属されている。
【0032】
ポンプの運転中に圧力室47にある使用圧p0が第2の圧力板29を押圧するから、カムリング25に対して右側へ力の作用が起こる。カムリングの外側平面区域25’はこの力を第1の圧力板27の半径方向外側区域に伝達する。第1の圧力板27の半径方向内側区域は、この場合膨出部14’として形成されたスぺーサ14に支えられる。従ってこの圧力板27でもさらばねのようなたわみが生じる。即ち第1の圧力板27の半径方向外側区域が右へ押しやられるので、半径方向内側区域がロータ35及び羽根43に密接する。こうしてこの場合もロータ35又は羽根43と第1の圧力板27との間のギャップ形成が回避される。
【0033】
図3にベーンポンプ3’が示されている。このベーンポンプ3’は第1の圧力板27に流体連絡路65が設けられていることが図2の実施例と相違する。流体連絡路65は圧力ポケット61からベーンポンプ3’の回転軸41の方向へ斜め内側に伸張する。従って流体連絡路65は一方では圧力ポケット61に、他方ではカップ形凹陥部11の底部13に面した第1の圧力板27の表面に開口する。底部13がスぺーサ14又は膨出部14’を有することにより、第1の圧力板27と底部13の間に空間67が形成される。空間67に使用圧p0を働かせることができる。それによってポンプ1’の運転中に圧力室47にある使用圧p0によって引き起こされるギャップ補償が一層促進される。その場合第1の圧力板27は半径方向内側区域に使用圧p0を受けるから、左側へのさらばね状のたわみが助長される。こうして現存する使用圧p0に応じて、液圧によりギャップ補償を促進することができる。油が凹陥部11に流出しないように、膨出部14’に円周状のシール69が挿着されている。ハウジング5及び第1の圧力板27に使用される材料によってはシール69がなくてもよい。
【0034】
代案として円周状の環状溝63から空間67に伸張する流体連絡路を実現することもできる。この円周状の環状溝63は使用圧p0を有することができ、羽根43のいわゆる翼下給油のために利用される。即ち羽根43を収容するスロットにほぼ使用圧p0を有する油が、環状溝63を経て羽根43の下へ送り込まれるのである。それによって羽根43の外向きの運動が促進される。なお図2と同じ部材は同じ参照符号が付してあるので、再度の説明は差控える。
【0035】
翼下給油のために環状溝63の代わりに複数個の圧力ポケットを設け、液圧抵抗を介してこれらの圧力ポケットを互いに連絡することもできる。流体連絡は使用圧p0と連絡する第2の圧力板29の翼下ポケット63’と相対する区域で優先的に行われる。流体連絡63”(鎖線で示す)はほぼ使用圧p0を有する少なくとも1個の圧力ポケットから空間67へと行われる。もちろん翼下給油のために両方の圧力板27及び29に圧力ポケット又は環状溝を設けることができる。
【0036】
図4に図2のベーンポンプ3’の部分拡大図を示す。ここでは第1の圧力板27がスぺーサ14又は膨出部14’に支えられることが特に明らかである。こうして第1の圧力板27は平面E1にあるスぺーサ14の面に支えられるから、凹陥部11の底部13に対して均一な間隔にある。それによって第1の圧力板27はポンプの運転中に半径方向外側区域が矢印方向71へ押しやられ、その際圧力板はさらばねのように振舞う。即ち半径方向内側区域が矢印方向73へ移動するから、ポンプの運転中に羽根43又はロータ35と圧力板27の間にギャップ形成が回避される。
【0037】
図5は図2のベーンポンプ3’の変型の部分拡大図を示す。ここではスぺーサ14が円周状のリング14”として形成されている。リング14”は開いたリングとして実現され、円形横断面を有することが好ましい。ハウジング部分9の底部13に円周状の溝75が穿設され、その中にリング14”がある。溝75は−横断面で見て−ほぼ半円形の輪郭を有する。第1の圧力板27はリング14”に支えられる。図1ないし4に関連してすでに説明したように、ベーンポンプ3’の運転中に第1の圧力板27のたわみが生じる。その際リング14”があるので圧力板27は運動するときに開いたリング14”の上で転動することができる。こうして第1の圧力板27の摩耗が減少される。ポンプ1が特に頻繁な荷重変動をこうむり、従って第1の圧力板27’も頻繁に運動させられる場合は、これが特に有利である。なおその他の図1ないし4と同じ部材には同じ参照符号を付した。その限りでその説明を参照することができる。
【0038】
リング14”の円形横断面の代案として、角形特に台形の横断面を使用することも可能である。その場合角形横断面のリングの一辺は第1の圧力板27に支えられる。それによってスぺーサ又はリングと第1の圧力板27との間に好ましくは円形の接触線が得られる。それによって接触線と第1の圧力板27の外側の平面領域との間の所望の応力中心距離を特に正確に予定することができる。特にリングを鋼で製造した構成とすることができる。従ってリングの縁が圧力板に食い込むので、密封効果を得ることができる。その場合十分に小さな表面圧力が得られるまで、リングが圧力板に食い込むことができる。
【0039】
以上述べたことから直ちに明らかなように、スぺーサは第1の圧力板がハウジング5に対して間隔を保つようにするために使用される。こうしてカムリングとして形成されたリングがポンプの運転中に第1の圧力板に力を働かせると、第1の圧力板のさらばねのような変形が可能になる。またスぺーサをハウジングにも一方の圧力板にも形成し得ることは直ちに明らかである。別個の部材即ちリングがスぺーサをなすことも可能である。またスぺーサの高さ又は厚さが可変であることはもちろんである。さらにスぺーサの位置も変化することができる。即ちスぺーサと駆動軸との間隔は可変である。それによって有効応力中心距離が調整される。
【0040】
また円周状の閉じたスぺーサの場合は、空間67と圧力領域との間に流体連絡がなくても、空間67と吸込み室45の間に密封効果が得られる。図1による実施態様で空間67は、ポンプ室から流出して駆動軸37と貫通孔39の間にある油のための漏油室の役割をする。スぺーサの密封効果によってポンプの運転中に吸込み室45から空間67に油が流入することはできない。従ってスぺーサ14は空間67と吸込み室45の間のシールをなす。このことは特にポンプの回転数が高く、吸込み室45と空間67の間に特に大きな差圧がある場合に重要である。
【0041】
さらにスぺーサがベーンポンプだけでなく、歯車ポンプ又はサイクロイドポンプでも使用されることは直ちに明らかである。この場合はポンプユニットのリングは輪歯車からなる
【図面の簡単な説明】
【図1】ポンプの一実施例の図。
【図2】ポンプの一実施例の図。
【図3】ポンプの一実施例の図。
【図4】図2のポンプの拡大部分図。
【図5】ポンプの別の実施例の部分図。
【符号の説明】
5 ハウジング
14 スぺーサ
26 貫通孔
27 第1の圧力板
Claims (24)
- ハウジングと、ハウジングの中に配設されたポンプユニットとを設け、ポンプユニットが第1及び第2の圧力板並びに圧力板の間に配設され貫通孔を有するリングを具備し、リングが2枚の圧力板の少なくとも外周区域に接しており、また第2の圧力板とハウジングの間に形成された圧力室を設けたポンプにおいて、第1の圧力板(27)をハウジング(5)から隔てて支えるスペーサ手段(14)が設けてあり、スペーサ手段(14)が少なくとも区域的に第1の圧力板(27)の、貫通孔(26)の反対側の内側平面区域に配属され、かつ、該スペーサ手段の高さが場所により変えられていることを特徴とするポンプ。
- 前記スペーサ手段の高さは、吸込み領域では圧力領域より小さい高さであることを特徴とする請求項1に記載のポンプ。
- 前記スペーサ手段の高さの低い部分は、前記第1の圧力板の半径方向外側の平面区域に配属され、前記スペーサ手段の高さの高い部分は、前記第1の圧力板の半径方向内側の平面区域に配属されることを特徴とする請求項1に記載のポンプ。
- スペーサ手段(14)が平面を有し、該平面上に第1の圧力板(27)が支えられることを特徴とする請求項1に記載のポンプ。
- ハウジング(5)が2個の部分(7、9)を有し、これらの部分が夫々深さが場所により変えられている凹陥部(11;17)を有することを特徴とする請求項1に記載のポンプ。
- スペーサ手段(14)が円周状に形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポンプ。
- スペーサ手段(14)が環状又は楕円形に形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポンプ。
- スペーサ手段(14)の半径が場所により変えられていることを特徴とする請求項7に記載のポンプ。
- スペーサ手段(14)が複数個の点状突起として実現されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポンプ。
- 第1の圧力板(27)、ハウジング(5)及びスペーサ手段(14)によって形成される空間であって、ポンプ(1)の圧力領域への連絡路を有する空間(67)を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のポンプ。
- スペーサ手段(14)が、第1の圧力板(27)、ハウジング(5)及び前記スペーサ手段(14)によって形成される空間のシールの働きをすることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のポンプ。
- 前記空間(67)と圧力室(47)を連絡する流体連絡路(65)が第1の圧力板(27)に設けられていることを特徴とする請求項10に記載のポンプ。
- 前記空間(67)と翼下給油部の間に媒質連絡路が設けられていることを特徴とする請求項10に記載のポンプ。
- 流体連絡路(65)が第1の圧力板(27)の半径方向外側に配設され、ポンプ(1)が取付けられた位置で流体連絡路(65)がポンプ挿入物(33)の中心軸(回転軸(41))の上側にあることを特徴とする請求項12に記載のポンプ。
- スペーサ手段(14)がカップ形凹陥部(11)の底部(13)から出ている膨出部(14’)からなることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載のポンプ。
- スペーサ手段(14)が第1の圧力板(27)と一体に形成された膨出部からなることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載のポンプ。
- 膨出部(14’)がシール(69)を収容することを特徴とする請求項15又は16に記載のポンプ。
- スペーサ手段(14)が底部(13)と第1の圧力板(27)の間にあるリング(14”)からなることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載のポンプ。
- リング(14”)が開いた構造になっていることを特徴とする請求項18に記載のポンプ。
- リング(14”)が円形の横断面を有することを特徴とする請求項18又は19に記載のポンプ。
- リング(14”)が角形の横断面を有することを特徴とする請求項18又は19に記載のポンプ。
- リング(14”)の横断面が四角形であることを特徴とする請求項21に記載のポンプ。
- リング(14”)の横断面が台形であることを特徴とする請求項21に記載のポンプ。
- ポンプ(1)がベーンポンプ(3)であり、そのカムリング(25)が上記のリングをなし、ポンプ挿入物(33)が回転可能に支承されたロータ(35)からなり、ロータ(35)が半径方向に可動の羽根(43)を少なくとも部分的に収容することを特徴とする請求項1〜23のいずれか1項に記載のポンプ。
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