JP4619189B2 - ベーンポンプ - Google Patents

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Description

本発明は、例えば車両のパワーステアリング装置の流体圧源として用いられるベーンポンプの改良に関するものである。
従来、この種のベーンポンプとして、特許文献1に開示されたものは、ボディに回転可能に収められるロータと、このロータから摺動可能に突出する複数のベーンと、各ベーンの先端部を摺接させてベーン室を画成するカムリングと、各ベーンの一方の側端部を摺接させてベーン室を画成するサイドプレートと、各ベーンの他方の側端部を摺接させてベーン室を画成するカバーと、ロータの回転に伴ってベーン室が拡がる吸込行程でベーン室に作動流体を流入させる吸込通路と、ロータの回転に伴ってベーン室が収縮する吐出行程でベーン室から作動流体を流出させる吐出通路と、この吐出通路に導かれる作動流体圧力によってサイドプレートをロータとカムリングを介してカバーに押し付けるプレッシャローディング機構とを備えている。
このプレッシャローディング機構によってサイドプレートの側面がロータの一方の側面に押し付けられるとともに、ロータの他方の側面がカバーに押し付けられ、ベーン室を画成するロータとカムリングに対するサイドプレートとカバーの隙間を小さくし、ベーン室からこれらの隙間を通って作動流体がボディ内に洩れ出すことを抑えている。
特開2001−020871号公報
しかしながら、このような従来のベーンポンプにあっては、プレッシャローディング機構がポンプ吐出圧力によってサイドプレートをロータの回転軸方向に駆動し、サイドプレートがロータとカムリングをカバーに押し付けるとともに、ベーン室で高圧となる作動流体圧力を付与することによってカバーの側面を凹状に変形させるため、カバーとカムリングの隙間が部分的に大きくなり、また、カバーとロータとの隙間が大きくなり、ベーン室で高圧となった作動流体がこれらの隙間を通ってボディ内に洩れ出し、ベーンポンプの容積効率を低下させる原因になった。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、カバーとカムリング間の隙間を減らしてベーンポンプの容積効率を高めることを目的とする。
本発明は、ボディに回転可能に収められるロータと、回転するこのロータから摺動可能に突出する複数のベーンと、各ベーンの先端部を摺接させてベーン室を画成するカムリングと、各ベーンの一方の側端部を摺接させてベーン室を画成するサイドプレートと、各ベーンの他方の側端部を摺接させてベーン室を画成するカバーと、ロータの回転に伴ってベーン室が拡がる吸込行程でベーン室に作動流体を流入させる吸込通路と、ロータの回転に伴ってベーン室が収縮する吐出行程でベーン室から作動流体を流出させる吐出通路と、この吐出通路に導かれる作動流体圧力によってサイドプレートをロータとカムリングを介してカバーに押し付けるプレッシャローディング機構とを備えたベーンポンプを前提とする。
そして、本発明は、互いに対向するカムリングの側面とカバーの側面との少なくとも一方に膨出する凸部を形成し、この凸部のまわりに凹部を形成し、作動時にプレッシャローディング機構の駆動力及び作動流体圧力を受けて変形するカバーとカムリング間の隙間を凹部を介して形成するとともに凸部を介して減らす構成とした。
本発明によると、カムリングの側面とカバーの側面との少なくとも一方に形成した凸部がプレッシャローディング機構の駆動力及び作動流体圧力によって変形するカバーに対応して膨出しているため、ベーンポンプの作動時にカバーとカムリング間の隙間が減らされる。そして、カバーの変形に合わせてカムリングが追従するため、カバーとロータ間の隙間が減らされる。これにより、ベーン室で高圧となる作動流体がカバーとカムリング間、カバーとロータ間の隙間を通ってボディ内に洩れ出すことが抑えられ、ベーンポンプの容積効率を高められる。
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
まず、図1、図2に本発明が適用可能なベーンポンプの一例を示す。
図1、図2に示すように、ベーンポンプは、ボディ1に回転可能に収められるロータ6と、このロータ6から摺動可能に突出する複数のベーン7と、各ベーン7の先端部を摺接させてベーン室(ポンプ室)を画成するカムリング4と、各ベーン7の一方の側端部を摺接させてベーン室を画成するサイドプレート3と、各ベーン7の他方の側端部を摺接させてベーン室を画成するカバー10と、ロータ6の回転に伴ってベーン室が拡がる吸込行程でベーン室に作動流体を流入させる吸込通路12と、ロータ6の回転に伴ってベーン室が収縮する吐出行程でベーン室から作動流体を流出させる吐出通路14とを主体として構成される。
吸込通路12は図示しないタンクに連通し、吐出通路14は図示しない流体圧アクチュエータに連通している。
ロータ6にはその中心部にシャフト9が貫通して連結される。このシャフト9はその途中がボディ1に軸受8を介して回転可能に支持されるとともに、その先端部がカバー10に軸受11を介して回転可能に支持される。
カムリング4は各ベーン7を摺接させてラジアル方向に変位させる内周面4aを有する。シャフト9が図示しない駆動源によって回転されると、シャフト9と共にロータ6が回転し、各ベーン7がロータ6のラジアル方向に出入りしながらそれぞれの外周端部をカムリング4の内周面4aに摺接させてベーン室を拡縮する。
ロータ6は図2に矢印Kで示すように左回り方向に回転し、2つの吐出領域Tにて収縮するベーン室から作動流体が吐出通路14に吐出される一方、2つの吸込領域Sにて拡がる吸込通路12からベーン室へと作動流体が吸い込まれる。
吸込通路12はカバー10において二股状に分岐し、2つの吸込領域Sに開口している。カムリング4にロータ6の回転軸方向に貫通する連通孔13が形成され、この連通孔13が吸込通路12に連通し、作動流体がカバー10側だけでなく、ボディ1側からも各ベーン室に吸い込まれる。
サイドプレート3の背面とボディ1の間に画成される吐出通路14は、サイドプレート3に駆動圧を付与する圧力室として働き、サイドプレート3をロータ6とカムリング4を介してカバー10に押し付けるプレッシャローディング機構を構成する。このプレッシャローディング機構によってサイドプレート3の側面がロータ6の一方の側面に押し付けられるとともに、ロータ6の他方の側面がカバー10の側面に押し付けられ、ベーン室を画成するカムリング4に対するサイドプレート3とカバー10の隙間を小さくし、ベーン室からこれらの隙間を通って作動流体がボディ1内に洩れ出すことを抑えられる。
サイドプレート3とカムリング4はボディ1の内壁部2に対してロータ6の回転軸方向に摺動可能に収められる。サイドプレート3とカムリング4とカバー10を貫通する2本の位置決めピンが設けられる。カムリング4にはロータ6の回転軸方向に延びる2つの穴5が形成され、各穴5にこの位置決めピンが嵌合する。
ボディ1には4つのボルト穴16が形成されるとともに、カバー10にも同じく4つのボルト穴(図示せず)が形成される。4本のボルトがカバー10の各ボルト穴を挿通し、ボディ1の各ボルト穴16に螺合することによって、カバー10がボディ1に4カ所で締結される。
ところで、プレッシャローディング機構は吐出通路14に導かれる作動流体圧力によってサイドプレート3をロータ6の回転軸方向に駆動し、サイドプレート3がロータ6とカムリング4をカバー10を押し付け、4カ所のボルト締結部に対してカバー10の側面を凹状に変形させる。このため、カバー10とカムリング4の隙間が部分的に大きくなり、ベーン室で高圧となった作動流体がこの隙間を通ってボディ1内に洩れ出す可能性がある。
以下、上記したベーンポンプの問題点を図3〜6に基づいて詳述する。
図3はプレッシャローディング機構の駆動力及び作動流体圧力によるカバー10の変形量の分布を有限要素法によって解析した結果を示す。
図4は図3の解析結果を基にカバー10の変形量分布を模式的に表した図である。カバー10の変形量は、図4に示すハッチング領域101、ハッチング領域102、ハッチング領域103の順に大きくなる。
図3、図4から、カバー10の変形量はロータ6に対峙する中心部が最も大きく、中心部から離れるのにしたがって小さくなるとともに、カムリング4の周方向についてボルト穴16に近い部位がボルト穴16に遠い部位より小さくなっていることがわかる。
図5はカバー10に対してカムリング4が対峙する領域をカムリング接合部104として示すカムリング配置図である。
図6は図4の変形量分布図と図5のカムリング配置図を重ねて図示したものである。クロスハッチング部105は、カムリング接合部104においてカバー10の変形量が中程度のハッチング領域102と重なっている領域である。クロスハッチング部106は、カムリング接合部104においてカバー10の変形量が比較的小さいハッチング領域102と重なっている領域である。
クロスハッチング部106はクロスハッチング部105に比べて変形量が小さいため、カムリング4とカバー10は主にクロスハッチング部106で接合する一方、クロスハッチング部105は隙間が生じる可能性がある。クロスハッチング部105に隙間が生じると、ベーン室で高圧となる作動流体がこの隙間を通ってボディ1内に洩れ出し、ベーンポンプの容積効率が低下する。
そこで、本発明は、互いに対向するカムリング4の側面とカバー10の側面との少なくとも一方に膨出した凸部を形成し、ベーンポンプの作動時にプレッシャローディング機構の駆動力及び作動流体圧力を受けて変形するカバー10とカムリング4間の隙間を減らす構成としたことを要旨とする。
以下、ベーンポンプの具体的な例につき図7に示した実施の形態を説明する。
本実施の形態では、図7の(a),(b)に示すように、カムリング4のカバー10に対向する側面に、プレッシャローディング機構の駆動力及び作動流体圧力によって変形するカバー10に沿って膨出した凸部41を形成する。
凸部41はカムリング4の内周面4aの縁部に沿って環状に形成する。凸部41のまわりに凹部42が環状に形成される。この凹部42はプレッシャローディング機構の駆動力及び作動流体圧力を受けて変形するカバー10に沿って延びる
図7の(a)に示すように、凸部41は前記のカバー10の変形量が比較的大きい図6に示すクロスハッチング部105に対峙する領域に形成し、凹部42は前記のカバー10の変形量が比較的小さい図6に示すクロスハッチング部106に対峙する領域に形成する。
環状の凹部42は凸部41を全周に渡って囲み、ロータ6の回転径方向の幅が図6に示すクロスハッチング部106の幅に近似するように変化している。
図7の(b)に示すように、凸部41と凹部42はロータ6の回転軸方向に対して直交する平面状に形成される。凹部42は凸部41に対して所定値hの段差43を持つ。なお、図示した寸法差は、便宜上実際よりも誇張して大きくしてあるが、実際には段差43の寸法hは、変形により凹部42と図6に示すクロスハッチング部106の接触を避けられる程度とし、例えば数10μ〜数100μ程度である。
以上のように構成されて、次に作用及び効果について説明する。
ロータ6の回転に伴って各ベーン7の間に画成されるベーン室は吸込領域Sで拡大して吸込通路12から作動流体を吸込み、吐出領域Tで収縮して作動流体を吐出通路14に吐出する。
プレッシャローディング機構は吐出通路14に導かれる作動流体圧力によってサイドプレート3をロータ6の回転軸方向に駆動し、サイドプレート3をロータ6とカムリング4を介してカバー10に押し付けるが、その駆動力及び作動流体圧力によりカバー10の中央部を4カ所のボルト締結部に対して凹状に変形させるため、カバー10とカムリング4の隙間が部分的に大きくなる可能性がある。
これに対処して、本実施の形態では、カムリング4のカバー10に対向する側面に形成した凸部41がプレッシャローディング機構の駆動力及び作動流体圧力によって変形するカバー10に沿って膨出していることによって、ベーンポンプの作動時にカバー10に対する凸部41の面圧を均一に分布させる。このため、ベーンポンプの作動時にカムリング4の側面とカバー10の側面との間に局部的に面圧が高まる部位が生じることがなく、カバー10とカムリング4間の隙間を減らすことができる。そして、カバー10の変形に合わせてカムリング4が追従するため、カバー10とロータ6間の隙間を減らすことができる。これにより、ベーン室で高圧となる作動流体がカバー10とカムリング4間の隙間を通ってボディ1内に洩れ出すことを抑えられ、ベーンポンプの容積効率を高められる。
本実施の形態では、カムリング4の側面の突出高さを、凸部41と凹部42によって2段階に変化させているが、これに限らずカムリング4の側面の突出高さを3段階以上の多段階に変化させても良く、また、カムリング4の側面をテーパ状に傾斜させて形成しても良い。
次に図8に示す他の実施形態を説明する。なお、前記実施形態と同一構成部には同一符号を付す。
本実施の形態では、カムリング4の側面に、4つの凹部42を4本のボルト(各ボルト穴16)に近接する領域に形成する。
各凹部42は半月形に形成され、前記のカバー10の変形量が比較的小さい図6に示すクロスハッチング部106に対峙する領域に配置する。各凹部42はロータ6の回転中心軸について対称的に形成する。
この場合も、ベーンポンプの作動時にプレッシャローディング機構の駆動力及び作動流体圧力によりカバー10が変形するが、カバー10は各ボルトによってボディ1と締結される部位の変形量が比較的小さいことに対応して、4つの凹部42を4本のボルトに近接する領域にそれぞれ形成することにより、ベーンポンプの作動時にカムリング4の凸部41とカバー10の側面との間に局部的に面圧が高まる部位が生じることが抑えられ、カバー10とカムリング4間の隙間を減らすとともに、カバー10とロータ6間の隙間を減らし、ベーン室で高圧となる作動流体がこれらの隙間を通ってボディ1内に洩れ出すことを抑えられ、ベーンポンプの容積効率を高められる。
次に図9に示す他の実施形態を説明する。なお、前記実施形態と同一構成部には同一符号を付す。
本実施の形態では、図9の(a)に示すように、カムリング4の側面に、2つの凹部42を2本のボルト(各ボルト穴16)に近接する領域に形成するとともに、図9の(b)に示すように、カバー10の吸込通路12の開口部12aを2本のボルト(各ボルト穴16)に近接する領域に形成する。
各凹部42は概略半月形に形成され、前記のカバー10の変形量が比較的小さい図6に示すクロスハッチング部106に対峙し、かつ吸込通路12から離れている領域に配置する。
吸込通路12は概略V字形の溝状に形成され、その開口部12aが前記のカバー10の変形量が比較的小さい図6に示すクロスハッチング部106に配置される。
この場合も、ベーンポンプの作動時にプレッシャローディング機構の駆動力及び作動流体圧力によりカバー10が変形するが、カバー10は各ボルトによってボディ1と締結される部位の変形量が比較的小さいことに対応して、2つの凹部42を2本のボルトに近接する領域にそれぞれ形成するとともに、吸込通路12の開口部12aを2本のボルトに近接する領域に形成することにより、ベーンポンプの作動時にカムリング4の側面とカバー10の間に局部的に面圧が高まる部位が生じることが抑えられ、凸部41は図9の(b)に示すハッチング部105a,105bにてカバー10に十分な面圧を持って接触し、ベーン室で高圧となる作動流体がカバー10とカムリング4間の隙間を通ってボディ1内に洩れ出すことを抑えられ、ベーンポンプの容積効率を高められる。
次に図10に示す他の実施形態を説明する。なお、前記実施形態と同一構成部には同一符号を付す。
本実施の形態では、図10の(a),(b)に示すように、カバー10のカムリング4に対向する側面10aに、プレッシャローディング機構の駆動力及び作動流体圧力によって変形するカバー10に対応して環状の凹部52を形成し、この凹部52の内側に凸部51を形成し、カムリング4とカバー10間の隙間を減らす。
図10の(a)に示すように、凹部52は前記のカバー10の変形量が比較的小さい図6に示すクロスハッチング部106の領域に形成し、凸部51は前記のカバー10の変形量が比較的大きい図6に示すクロスハッチング部105とその内側の領域に渡って形成する。
図10の(b)に示すように、凸部51と凹部52はロータ6の回転軸方向に対して直交する平面状に形成される。凹部52は凸部51に対して所定値dの段差53を持つ。
この場合も、ベーンポンプの作動時にプレッシャローディング機構の駆動力及び作動流体圧力によりカバー10が変形するが、カバー10の側面10aに形成した凸部51がこのカバー10の変形に対応して膨出していることによって、ベーンポンプの作動時にカムリング4に対する凸部51の面圧を均一に分布させる。これにより、ベーンポンプの作動時にカムリング4の側面とカバー10の側面10aとの間に局部的に面圧が高まる部位が生じることがなく、カバー10とカムリング4間の隙間を減らすとともに、カバー10とロータ6間の隙間を減らし、ベーン室で高圧となる作動流体がこれらの隙間を通ってボディ1内に洩れ出すことを抑えられ、ベーンポンプの容積効率を高められる。
なお、凹部52は必ずしも環状に形成する必要はなく、図8に示す凹部42のように4本のボルト(各ボルト穴16)に近接する領域に独立して形成してもよい。
以下、図11〜14に示すベーンポンプの問題点を基づいて詳述する。なお、前記図3〜6に示すベーンポンプに対応する部位には同一符号を付す。
図11はプレッシャローディング機構の駆動力及び作動流体圧力によるカバー10の変形量の分布を有限要素法によって解析した結果を示す。
図12は図11の解析結果を基にカバー10の変形量分布を模式的に表した図である。カバー10の変形量は、図12に示すハッチング領域101、ハッチング領域102、ハッチング領域103の順に大きくなる。
図11、図12から、カバー10の変形量はロータ6に対峙する中心部が最も大きく、中心部から離れるのにしたがって小さくなるとともに、カムリング4の周方向についてボルト穴16に近い部位がボルト穴16に遠い部位より小さくなっていることがわかる。
図13はカバー10に対してカムリング4が対峙する領域をカムリング接合部100a,100bとして示すカムリング配置図である。
図14は図12の変形量分布図と図13のカムリング配置図を重ねて図示したものである。クロスハッチング部105a,105bは、カムリング接合部100a,100bにおいてカバー10の変形量が中程度のハッチング領域102と重なっている領域である。クロスハッチング部106は、カムリング接合部100a,100bにおいてカバー10の変形量が比較的小さいハッチング領域102と重なっている領域である。
クロスハッチング部106はクロスハッチング部105に比べて変形量が小さいため、カムリング4とカバー10は主にクロスハッチング部106で接合する一方、クロスハッチング部105は隙間が生じる可能性がある。クロスハッチング部105に隙間が生じると、ベーン室で高圧となる作動流体がこの隙間を通ってボディ1内に洩れ出し、ベーンポンプの容積効率が低下する。
そこで、カムリング4に対するカバー10の接触部のまわりに凹状に窪む溝を形成し、ベーンポンプの作動時にプレッシャローディング機構の駆動力及び作動流体圧力を受けてカバー10の接触面60a,60bが変形することを抑え、カバー10とカムリング4間の隙間を減らす構成としても良い。
以下、ベーンポンプの具体的な例につき図15に示した参考例を説明する。
この参考例では、図15に示すように、カバー10のカムリング4に対向する側面10aにカムリング4に接触する接触面60a,60bを囲む溝17,61をそれぞれ形成し、ベーンポンプの作動時にプレッシャローディング機構の駆動力及び作動流体圧力を受けて接触面60a,60bが変形することを抑える。
V字形の溝17は二股状に分岐した吸込通路12を画成している。この溝17は前記のカバー10の変形量が比較的小さい図12に示すクロスハッチング部101とカムリング4が重合する領域に配置される。
溝61は図15にハッチングを入れて示す領域に形成される。溝61は前記のカバー10の変形量が比較的小さい図12に示すクロスハッチング部101とカムリング4が重合する図14に示すクロスハッチング部106に配置される。
溝61の外周縁部61bはカムリング4の外周縁部に沿って円弧状に形成する。
溝61の内周縁部61aは溝17の内周縁部17aとロータ6の回転中心軸について対称的に形成する。
溝17,61はロータ6の回転中心軸を含む中心線Xについて対称的に形成される。カバー10の接触面60a,60bは回転中心軸について対称的に形成される。
溝61の内周縁部61aと溝17の内周縁部17aは4本の各ボルト(各ボルト穴16)に対向して直線状に延びる部位をそれぞれ有する。
溝61と溝17の輪郭と溝深さは、要求されるカバー10の剛性の分布に応じて任意に設定される。
以上のように構成されて、次に作用及び効果について説明する。
ロータ6の回転に伴って各ベーン7の間に画成されるベーン室は吸込領域Sで拡大して吸込通路12から作動流体を吸込み、吐出領域Tで収縮して作動流体を吐出通路14に吐出する。
プレッシャローディング機構は吐出通路14に導かれる作動流体圧力によってサイドプレート3をロータ6の回転軸方向に駆動し、サイドプレート3をロータ6とカムリング4を介してカバー10に押し付けるが、その駆動力及び作動流体圧力によりカバー10の中央部を4カ所のボルト締結部に対して凹状に変形させるため、カバー10とカムリング4間、カバー10とロータ6間の隙間が部分的に大きくなる可能性がある。
これに対処して、この参考例では、カバー10のカムリング4に対向する側面10aにカムリング4に接触する接触面60a,60bを囲む溝17,61をそれぞれ形成しているため、カバー10はベーンポンプの作動時にプレッシャローディング機構の駆動力及び作動流体圧力を受けて溝17,61が開口した部位が4カ所のボルト締結部に引っ張られて変形することによって、接触面60a,60bを有して島状に隆起した部位が変形することを抑え、接触面60a,60bが変形することを抑える。このため、ベーンポンプの作動時にカムリング4の側面10aとカバー10の側面との間に局部的に面圧が高まる部位が生じることがなく、カバー10とカムリング4間の隙間を減らすことができる。そして、カバー10の中央部に変形を抑制することにより、カバー10とロータ6間の隙間を減らすことができる。これにより、ベーン室で高圧となる作動流体がカバー10とカムリング4間、カバー10とロータ6間の隙間を通ってボディ1内に洩れ出すことを抑えられ、ベーンポンプの容積効率を高められる。
溝61の内周縁部61aと溝17の内周縁部17aは4本の各ボルトに対向して直線状に延びる部位をそれぞれ有することにより、ベーンポンプの作動時にプレッシャローディング機構の駆動力及び作動流体圧力を受けて接触面60a,60bを有して島状に隆起した部位が4カ所のボルト締結部に引っ張られて変形することを有効に抑え、カバー10とカムリング4間の隙間を減らすことができる。
溝61の内周縁部61aと溝17の内周縁部17aとは、ロータ6の回転中心軸について対称的に形成することにより、接触面60a,60bを有して島状に隆起した部位がロータ6の回転中心軸について対称的に形成され、接触面60a,60bの剛性がロータ6およびカムリング4から受ける荷重に対してバランスよく高められ、接触面60a,60bが変形することを有効に抑え、カバー10とカムリング4間の隙間を減らすことができる。
他の参考例として、図16に示すように、金属製カバー10の溝61に樹脂材62を充填し、樹脂材62からなる接触面62aをカムリング4に接触させる。樹脂材62は図16にクロスハッチングを入れて示す領域に形成される。
この場合、溝61を埋める樹脂材62はその剛性が金属製カバー10より大幅に低いため、ベーンポンプの作動時にプレッシャローディング機構の駆動力及び作動流体圧力を受けて接触面60a,60bを有して島状に隆起した部位が溝61を介して各ボルト締結部に引っ張られて変形しないようにする作用を損なうことがなく、カバー10とカムリング4間の隙間を減らすことができる。
樹脂材62からなる接触面62aがカムリング4に接触することにより、カバー10とカムリング4間の密封性を高められる。
樹脂材62が吸込通路12の端部を画成することにより、吸込通路12における作動流体の流れを円滑にし、ベーンポンプの作動効率を高められる。
他の参考例として、図17に示すように、金属製カバー10の溝61の両端部に吸込通路12を画成する堤部63を形成する。
この場合、堤部63が吸込通路12の端部を画成することにより、吸込通路12における作動流体の流れを円滑にし、ベーンポンプの作動効率を高められる。堤部63は図17にクロスハッチングを入れて示す領域に形成される。
堤部63を樹脂等のカバー10より低い硬度を有する材質で形成される。この場合、堤部63の表面をカムリング4に接触させて、カバー10とカムリング4間の密封性を高めることが可能となる。
なお、堤部63を樹脂等のカバー10と同等もしくはカバー10より高い硬度を有する材質で形成される場合、堤部63の表面をカバー10の接触面60bに対して凹状に窪ませて形成する。これにより、堤部63によって接触面60bが変形することを抑えられ、カバー10とカムリング4間の隙間を減らすことができる。
なお、前記各実施形態において、カバー10をボディ1に締結するボルトの本数を4本としたが、これに限らずボルトの本数は任意に設定される。
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
本発明のベーンポンプは、例えばパワーステアリング装置の流体圧源や、他の流体圧源等に用いられる。
本発明が適用されるベーンポンプの断面図。 同じくベーンポンプの側面図。 同じくカバーの変形量の分布を解析した結果を示す図。 同じくカバーの変形量の分布を模式的に表した形量分布図。 同じくボディに対するカムリング配置図。 同じく変形量分布図とカムリング配置図を重ねて示した図。 本発明の実施の形態を示すカムリングの側面図と平面図。 他の実施の形態を示すカムリングの側面図。 他の実施の形態を示すカムリングの側面図とカバーの側面図。 他の実施の形態を示すカバーの側面図と断面図。 同じくカバーの変形量の分布を解析した結果を示す図。 同じくカバーの変形量の分布を模式的に表した形量分布図。 同じくボディに対するカムリング配置図。 同じく変形量分布図とカムリング配置図を重ねて示した図。 参考例を示すカバーの側面図。 他の参考例を示すカバーの側面図。 他の参考例を示すカバーの側面図。
符号の説明
1 ボディ
3 サイドプレート
4 カムリング
6 ロータ
7 ベーン
10 カバー
10a カバー側
1 凸部
42 凹部
51 凸部
52 凹部
60a,60b 接触

Claims (5)

  1. ボディに回転可能に収められるロータと、回転するこのロータから摺動可能に突出する複数のベーンと、この各ベーンの先端部を摺接させてベーン室を画成するカムリングと、前記各ベーンの一方の側端部を摺接させてこのベーン室を画成するサイドプレートと、前記各ベーンの他方の側端部を摺接させて前記ベーン室を画成するカバーと、前記ボディとこのカバーを締結する複数のボルトと、前記ロータの回転に伴って拡がるベーン室に作動流体を流入させる吸込通路と、前記ロータの回転に伴って収縮する前記ベーン室から作動流体を流出させる吐出通路と、この吐出通路に導かれる作動流体圧力によって前記サイドプレートと前記カバーを前記ロータに押し付けるプレッシャローディング機構とを備えたベーンポンプにおいて、
    互いに対向する前記カムリングの側面と前記カバーの側面との少なくとも一方に膨出する凸部を形成し、この凸部のまわりに凹部を形成し、作動時に前記プレッシャローディング機構の駆動力及び作動流体圧力を受けて変形する前記カバーと前記カムリング間の隙間を前記凹部を介して形成するとともに前記凸部を介して減らすことを特徴とするベーンポンプ。
  2. 前記カムリングの側面に、前記カムリングの内周縁部に沿って延びる前記凸部と、前記プレッシャローディング機構の駆動力及び作動流体圧力を受けて変形する前記カバーに沿って延びる前記凹部を形成したことを特徴とする請求項1に記載のベーンポンプ。
  3. 前記凹部をこの前記各ボルトに近接する領域に形成したことを特徴とする請求項2に記載のベーンポンプ。
  4. 前記カバーの側面に対する前記吸込通路の開口部を前記プレッシャローディング機構の駆動力及び作動流体圧力を受けて変形する前記カバーに沿ってこの各ボルトに近接する領域に形成したことを特徴とする請求項1または2に記載のベーンポンプ。
  5. 前記カバーの側面に環状に延びる凹部を形成し、この凹部の内側に前記凸部を形成したことを特徴とする請求項1に記載のベーンポンプ。
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