JP4413623B2 - タイヤ用トレッド - Google Patents

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Description

本発明は、タイヤ用トレッド及びそのトレッドの製造の為に使用されるゴム組成物に関する。特に、低いローリング抵抗を有し、多量の無機充填剤で強化されたトレッドであって、特に、モーターサイクル、乗用車、バンの様な車両又は重量車両に装着されるタイヤ用のトレッドに関する。
燃料節約及び環境保護の必要性から、低減されたローリング抵抗と高い耐摩耗性の両方を有するタイヤを製造する事の必然性が明らかとなってきている。これは、特に、強化の観点から従来のカーボンブラックに対抗する事ができ、更に、タイヤトレッドの低いローリング抵抗と同義である低ヒステリシスを与える、「強化」充填剤と言われる特定の無機充填剤で強化された新しいゴム組成物の発見によって可能とされた。シリカ質又はアルミナ質タイプの強化無機充填剤をベースとしたその様な組成物は、例えば、特許又は特許出願EP−A−0501227、EP−A−0735088、EP−A−0810258、EP−A−0881252、WO−99/02590、WO99/02601、WO99/02602、WO99/28376、WO00/05300、WO00/05301、WO01/96442、WO02/30939、WO02/31041及びWO02/083782に開示されている。
然しながら、理想的には、タイヤトレッドは、特に、乾燥地面及び湿潤地面の両方、雪で覆われた又は氷の地面において極めて良好なグリップを有し、一方、極めて良好な水準の自動車の道路挙動(ハンドリング)、特に、高い横滑り推力(コーナリング)をタイヤに与えるその他の技術的要求であってその内の幾つかは矛盾する要求を満たさなければならない。
この道路挙動を改善する為には、トレッドの大きな剛性が必要である事は公知であり、この剛性化は、例えば、強化充填剤の量を増加させるか、或種の強化樹脂を、トレッドを構成するゴム組成物に導入する事によって得る事が可能である。
然しながら、トレッドのその様な剛性化は、タイヤのローリング中に地面と接触するトレッドの表面部分に極僅かではあっても、湿潤地面、雪で覆われた地面又は氷の地面でのグリップの性質にしばしば壊滅的な方法で障害を与える事が知られている。
この事が、これら二つの矛盾する要求、即ち、道路挙動とグリップに合致させる為に、異なる剛性の二つの放射状に重ね合わされた層(キャップベース構造)で形成された、異なる組成の二つのゴム組成物で形成された複合トレッド(即ち、ハイブリッドトレッド)、即ち、道路と接触する放射状の外側層は、グリップ要件に合致させる為により可撓性の組成物で形成され、放射状の内側層は、道路挙動要件に合致させる為により硬い組成物で形成されている複合トレッドを使用する事が提案されている理由である。
その様な解決方法は、然しながら、多くの欠点を有する。
第1に、複合トレッドの製造は、より複雑な定義によるので通常のトレッドよりもよりコストが掛り、特に、複合押出し装置の使用を必要とする。
製造中に、一度正確な寸法にトレッドを切断し押出機から出された後に、更に、異なる性質の材料の処分を管理する必要があり、これは更に実質的に製造コストを増加させる。
最後に、そしてこれは欠点とは言えないが、一度、トレッドの放射状の外側(可撓性の)部分が摩耗してしまうと、道路と接触する事になるのがトレッドの最初の内側部分であり、その結果、初めに意図した技術的調和の観点からは不充分な性能を伴う、過度に硬いトレッドの欠点を持つことになる。
本発明者は、研究の過程において、多量の強化無機充填剤とビスマレイミド化合物をベースとした特定のゴム組成物が、予期せぬ「自己調節」現象によって、トレッドの表面から内側に向けて放射状に増加する真の剛性勾配を有するトレッドを得る事を可能とする事を見出した。この剛性勾配は、簡単且つ経済的であるばかりでなく永続的に得られ、従って、タイヤの寿命の間中、極めて高い水準でタイヤのグリップと道路挙動との間の調和を維持する事を可能にする。
従って、本発明の第1の対象は、少なくとも、(i)ジエンエラストマー、(ii)60phrを超える強化無機充填剤、(iii)2〜15phrのカップリング剤及び(iv)4〜12phrのビスマレイミド化合物をベースとしたゴム組成物を含むタイヤトレッドに関する(phr=エラストマー100部当りの質量部)。
ビスマレイミド化合物が、重合によって、硬化操作に基づいて三次元強化樹脂格子(以後、ビスマレイミド格子と称する)を形成する能力を持つ事は当業者には公知である。それらは、ゴム組成物、特にタイヤ用ゴム組成物において、接着、補強、引裂き抵抗及び加硫と言った様々に変化する用途の為に使用されている。これらの化合物、それらを得る為の方法又はそれらの様々な用途、特にタイヤゴム組成物における用途の詳細については、次の文献を参照にしても良い:FR−A−1257913、FR−A−2611209、EP−A−0345825、EP−A−0410152、EP−A−0475222、EP−A−0536701、EP−A−0564966、EP−A−1083199、US−A−2,289,504、US−A−3,219,091、US−A−4,803,250、US−A−4,818,601、US−A−5,109,055、US−A−5,153,248、US−A−5,262,488、US−A−5,300,585、US−A−5,985,963、JP1989/62338、JP1989/278543及びJP1991/54235。
然しながら、本発明者が知る限りでは、タイヤトレッドにおいて、ここに示された割合(4〜12phr)でビスマレイミド化合物を、多量の(60phrを超え、好ましくは70phrを超える)シリカの様な強化無機充填剤と組合せて使用する事を開示する先行文献は存在しない。カーボンブラックで多量に充填されたゴム組成物の分野において本質的に獲得される当業者の知識は、特に、上述のグリップ性に関して大きな欠点と思われる、このタイプのビスマレイミド化合物の剛性化能力による使用からは逆に懸け離れている。この見解を例証する為には、例えば、実施態様の実施例が、1〜4phrの範囲内のビスマレイミド化合物の量に限定されていて、あらゆるタイプの強化充填剤が使用されている前述のEP−A−1083199が参照されても良い。
又、本発明の対象は、新しいタイヤの製造又は摩耗タイヤの再生の為のその様なトレッドの使用にある。本発明のトレッドは、乗用車、4x4車両(4つの駆動車輪を有する)、モーターサイクル、バン及び重量車両(即ち、地下鉄、バス、路上運搬機械、オフ−ロード車両)に装着する為のタイヤ用として特に適している。
又、本発明の対象は、本発明のトレッドを含むタイヤそれ自身である。特に、雪で覆われた道路または氷の道路の為の「冬」型タイヤに関する。
本発明のその他の対象は、タイヤトレッドを含むタイヤの硬化後で且つ機械的慣らし運転をした後に、トレッドの表面から内側に向けて放射状に増加する剛性勾配を有するタイヤトレッドの製造方法であり、この方法は、(1)「非生産的」第1工程において、60phrを超える強化無機充填剤、2〜15phrのカップリング剤及び4〜12phrのビスマレイミド化合物を、混合機中で、ジエンエラストマーに導入し、130℃〜200℃の最大温度に達するまで、1段階以上で全体の混合物を熱機械的に混練する工程、(2)全体の混合物を100℃未満の温度まで冷却する工程、(3)次いで、「生産的」第2工程において加硫系を導入する工程、(4)120℃未満の最大温度に達するまで全体の混合物を混練する工程及び(5)得られたゴム組成物をタイヤトレッドの形態で押出す工程又はカレンダーに掛ける工程、を含む事を特徴とする方法である。
本発明及びその利点は、以下の記述並びに実施例に沿って容易に理解されるであろう。
I.使用された測定方法及びテスト
トレッド及びこれらのトレッドを構成するゴム組成物は以下に示される様に特徴付けられ、テストされた。

I−1.ショアA硬度
硬化後の組成物のショアA硬度は、ASTM D2240−86により評価された。

I−2.引張りテスト
引張りテストは、硬化後の破断点における弾性応力と性質を決めることを可能とする。特に指示のない限り、それらは、1988年9月のフランス基準NF−T−46−002により行われた。10%伸び(ME10)、100%伸び(ME100)及び300%伸び(ME300)での名目上の割線モジュラス(又は見掛けの応力(MPa))が二番目の伸び(即ち、それ自身の測定の為に用意された延伸の量に対する調節のサイクルの後)で測定された。
又、名目上の割線モジュラスは、先のモジュラスME10の10%に代えて、15%の調節後に(即ち、15%までの延伸とその後の0%までの緩和)10%伸びで測定された。この所謂「調節された」モジュラスは、ME10ACとして参照される。全ての引張り測定は、温度及び湿度の名目上の条件で行われた(23±2℃及び50±5%の相対湿度、1979年のフランス基準NF−T−40−101による)。
I−3.機械的調節
「機械的調節」とは、タイヤのトレッドが、ローリング中に地面と接触する状態に、即ち、数十秒間又は最大限数分間作業状態に置かれる方法によるタイヤの単純な走行を意味するものと理解される。この走行操作は、自動ローリング装置又は自動車で行っても良い。それは、様々な方法で、例えば、数十メートルの直線上で単純にローリングさせることによって、長さ方向のブレーキを掛けるこによって、或いは、タイヤの横滑り(ベンド)によって行われても良く、重要な事は、使用の正常な条件下でトレッド「作業」が行われる様に開始する事である。
例えば、その様な機械的調節は、タイヤに課される横滑り又はキャンバリング無しに、一定の自動車について、60km/hの速度で、400mの長さの直線を単純に走行する事から成る、所謂「標準」走行と、その車両を停止させる為のその後の緩やかな長さ方向のブレーキング(30〜40メートルの距離のブレーキング)によって達成されても良い。この標準走行は、更に、圧力(使用される車両の製造業者により推奨される圧力)と荷重(車両に搭乗するのが一人だけ)の正常な条件下で行われる。
II.本発明の詳細な説明
本発明のトレッドは、少なくとも部分的には、少なくとも、(i)(少なくとも一種の)ジエンエラストマー、(ii)強化充填剤として(少なくとも一種の)多量の(60phrを超える)無機充填剤、(iii)強化無機充填剤とこのジエンエラストマーとの間の結合を与える(2〜15phrの)(少なくとも一種の)カップリング剤及び(iv)((4〜12phrの)(少なくとも一種の)ビスマレイミド化合物をベースとしたゴム組成物で形成される。
勿論、「ベースとした」と言う組成物の表現は、使用される種々の構成成分(これらのベースの構成成分の幾つか(例えば、強化無機充填剤、カップリング剤、ビスマレイミド化合物)は、少なくとも部分的に、トレッドの製造の異なる段階で、特に、その加硫即ち硬化中に一緒に反応する傾向にあるか反応させる積りのものである)のその場での反応混合物及び/又は生成物を含む組成物を意味するものと理解されるべきである。。
本明細書では、特に明示的に指示されない限り、指示された全ての(%)は質量(%)である。

II−1.ジエンエラストマー
「ジエン」エラストマー又はゴムとは、一般的に、少なくとも部分的にジエンモノマー(共役であるか否かに拘らず、二つの二重炭素−炭素結合を有するモノマー)から得られるエラストマー(即ち、ホモポリマー又はコポリマー)を意味するものと理解される。「本質的に不飽和」なジエンエラストマーとは、少なくとも部分的に、15%(モル%)を超えるジエン源(共役ジエン)の数又は単位の含有量を有する共役ジエンモノマーから得られるジエンエラストマーを意味するものと理解される。従って、例えば、ブチルゴムの様なジエンエラストマー又はEPDMタイプのジエンとα−オレフィンとのコポリマーは、この定義の内には入らず、逆に、「本質的に飽和した」ジエンエラストマー(常に15%未満のジエン源の単位の低い又は極めて低い含有量)と記述される。「本質的に不飽和」なジエンエラストマーの範疇の内で、「高度に不飽和」なジエンエラストマーとは、特に、50%を超えるジエン源(共役ジエン)の単位の含有量を有するジエンエラストマーを意味するものと理解される。
与えられたこれらの一般的な定義から、タイヤに係る当業者は、先ず第1に、本発明では高度に不飽和なジエンエラストマーが使用されること、特に、(a)4〜12個の炭素原子を有する共役ジエンエラストマーの重合によって得られるホモポリマー、及び(b)一種以上の共役ジエン相互の共重合によって、又は8〜20個の炭素原子を有する1種以上のビニル芳香族化合物との共重合によって得られるコポリマーが使用される事を理解するであろう。
適当な共役ジエンは、特に、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジ(C1〜C5)アルキル−1,3−ブタジエン、例えば、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジエチル−1,3ブタジエン、2−メチル−3−エチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−3−イソプロピル−1,3−ブタジエン、アリール−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン及び2,4−ヘキサジエンである。適当なビニル芳香族化合物は、例えば、スチレン、o−、m−及びp−メチルスチレン、市販の混合物の「ビニルトルエン」、p−t−ブチルスチレン、メトキシスチレン、クロロスチレン、ビニルメシチレン、ジビニルベンゼン及びビニルナフタレンである。
コポリマーは、99質量%〜20質量%のジエン単位と1質量%〜80質量%のビニル芳香族単位を含んでも良い。エラストマーは、任意のミクロ構造を有しても良く、これは、使用される重合条件の関数であり、特に、変性剤及び/又はランダム化剤の存在又は不在及び使用される変性剤及び/又はランダム化剤の量の関数である。エラストマーは、例えば、ブロック、統計的、順次的またはミクロ順次的エラストマーであっても良く、分散又は溶液で調製されても良い。それらは、カップリング及び/又はスター化されても良く、或いは、カップリング及び/又はスター化剤又は機能化剤で機能化されても良い。
ポリブタジエン、特に、4%〜80%の1,2−単位の含有量を有するもの、又は、80%を超えるシス−1,4の含有量を有するもの、ポリイソプレン、ブタジエン/スチレンコポリマー、特に、5質量%〜50質量%、好ましくは20質量%〜40質量%のスチレン含有量、4%〜65%のブタジエン画分の1,2−結合の含有量及び20%〜80%のトランス−1,4−結合の含有量を有するもの、ブタジエン/イソプレンコポリマー、特に、5質量%〜90質量%のイソプレン含有量と−40℃〜−80℃のガラス転移温度(「Tg」:ASTM D3418−82により測定される)を有するもの、イソプレン/スチレンコポリマー、特に、5質量%〜50質量%のスチレン含有量と−25℃〜−50℃のTgを有するものが好ましい。ブタジエン/スチレン/イソプレンコポリマーの場合で適当なものは、特に、5質量%〜50質量%、好ましくは10%〜40%のスチレン含有量、15質量%〜60質量%、好ましくは20%〜50%のイソプレン含有量、5質量%〜50質量%、好ましくは20%〜40%のブタジエン含有量、4%〜85%のブタジエン画分の1,2−結合の含有量、6%〜80%のブタジエン画分のトランス−1,4−単位の含有量、5%〜70%のイソプレン画分の1,2−単位+3,4−単位の含有量、及び10%〜50%のイソプレン画分のトランス−1,4−単位の含有量を有するものであり、そしてより一般的には、−20℃〜−70℃のTgを有するブタジエン/スチレン/イソプレンコポリマーである。
要するに、本発明のトレッドに使用される組成物のジエンエラストマーは、特に好ましくは、ポリブタジエン(BR)、合成ポリイソプレン(IR)、天然ゴム(NR)、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマー及びこれらのエラストマー混合物によって構成される高度に不飽和なジエンエラストマーの群から選ばれる。その様なコポリマーは、更に好ましくは、ブタジエン/スチレンコポリマー(SBR)、ブタジエン/イソプレンコポリマー(BIR)、イソプレン/スチレンコポリマー(SIR)、イソプレン/ブタジエンスチレンコポリマー(SBIR)及びその様なコポリマーの混合物から成る群から選ばれる。
本発明のトレッドは、好ましくは乗用車タイヤ用として使用される。その様な場合、ジエンエラストマーは、SBRコポリマー、特に、溶液で調製されたSBRが好ましく、好ましくは、ポリブタジエンとの混合物で使用される。更に好ましくは、このSBRは、20質量%〜30質量%のスチレン含有量、15%〜65%のブタジエン画分のビニル結合の含有量、15%〜75%のトランス−1,4−結合の含有量及び−20℃〜−55℃のTgを有し、ポリブタジエンが90%を超えるシス−,14結合を有する。
本発明のトレッドの組成物は、単独のジエンエラストマー又は幾つかのジエンエラストマーの混合物を含んでも良く、ジエンエラストマーは、ジエンエラストマー以外の任意のタイプの合成エラストマーと組合せて、或いは、熱可塑性ポリマーの様なエラストマー以外のポリマーと組合せても使用できる。

II−2.強化無機充填剤
「強化無機充填剤」とは、その色及びその源(天然か合成か)に拘りなく、無機又は鉱物充填剤を意味するものと理解されるべきであり、又、カーボンブラックとは対照的に、それ自身で、中間体のカップリング剤以外の手段無しで、タイヤトレッドの製造の為のゴム組成物を強化する事のできる、換言すれば、その強化機能において通常のタイヤグレードのカーボンブラック(トレッド用)を置換えることのできる、「白色」充填剤、又は、時に「透明」充填剤とも称される。
好ましくは、強化無機充填剤は、シリカ質(例えば、シリカ)又はアルミナ質(例えば、アルミナ)タイプの充填剤、又はこれら二つのタイプの充填剤の混合物である。
使用されるシリカ(SiO2)は、当業者に公知の強化用シリカであっても良く、特に、BET表面積とCTAB比表面積の両方が450m2/g未満、好ましくは30〜400m2/gを有する沈降又はヒュームドシリカであっても良い。特に、本発明が、低いローリング抵抗を有するタイヤの製造の為に使用される時は、高度に分散性の沈降シリカ(「HDS」と称される)が好ましい。「高度に分散性のシリカ」とは、エラストマーマトリックス中で、薄片の電子又は光学顕微鏡によって観察する事のできる実質的な解膠及び分散能力を有するシリカを意味するものと理解される。その様な好ましいHDシリカの例としては、デグッサ社のUltrasil 7000及びUltrasil 7005、ローディア社のZeosil 1165MP及び1115MP、PPG社のHi-Sil Ez150G、フーバー社のZeopol 8715及び8755、及び、前述の出願EP−A−0735088に記述されている様な処理された沈降シリカ、例えば、アルミニウムをドープしたシリカが挙げられる。
好ましく使用される強化用アルミナ(Al23)は、前述の出願EP−A−0810258に記述されている様な、30〜400m2/g、更に好ましくは60〜250m2/gのBET表面積と、せいぜい500nmまで、更に好ましくはせいぜい200nmまでの平均粒径を有する高度に分散性のアルミナである。その様な強化用アルミナの例としては、特に、Baikalox、A125又はCR125(Baikowski社製)、APA-100RDX(Condea社製)、Aluminoxid C(Degussa社製)又はAKP-G015(Sumitomo Chemicals社製)が挙げられる。又、本発明は、強化用無機充填剤として、WO99/28376に記載されている様な特定のアルミニウム(オキシド−)ヒドロキシドを使用して実施する事もできる。
強化無機充填剤が存在しても良い物理的状態が、粉末、マイクロビーズ、粒状、ペレット、球状形態又はその他の適当な緻密化形態であるかどうかは重要ではない。
勿論、「強化無機充填剤」は又、異なる強化無機充填剤の混合物、特に、上述の高度に分散性のシリカ質及び/又はアルミナ質充填剤の混合物も意味するものと理解される。
本発明のトレッドが低ローリング抵抗のタイヤに使用される場合は、使用される強化無機充填剤、特に、それがシリカの場合は、好ましくは、60〜250m2/g、更に好ましくは80〜230m2/gのBET表面積を有する。
強化充填剤として使用される無機充填剤は、多量に、60phrを超えて、好ましくは70phr超えて存在しなければならず、これは本発明の本質的な特徴の一つであり、この強化無機充填剤は、全強化充填剤の全部又は大部分を構成し、後者の場合は、例えば、少量(好ましくは、20phr未満、更に好ましくは15phr未満)のカーボンブラックと一緒に構成する。
その最適量は、使用される強化無機充填剤の性質及び該当のタイヤのタイプ、例えば、モーターサイクル用か、乗用車用か、バン又は重量車両の様な実用車両用のタイヤのタイプによって異なることを当業者は容易に理解するであろう。好ましくは、強化無機充填剤の量は、70〜120phr、更に好ましくは、約80〜110phrの範囲内、例えば、乗用車タイヤ用のトレッドの特定の場合では80〜105phrである。
好ましくは、本発明のトレッドにおいては、強化無機充填剤は、全強化充填剤の80質量%を超え、更に好ましくは全強化充填剤の90質量%を超えて(又は全部)構成する。然しながら、所望の機械的効果に著しく影響を及ぼさなければ、少量のカーボンブラック、好ましくは、全強化充填剤の量の20質量%未満、更に好ましくは10質量%未満の量のカーボンブラックが使用されても良い。
カーボンブラックが使用される場合は、好ましくは、2〜15phr、更に好ましくは4〜12phrの量で存在する。それは特に単純な黒色化剤として使用する事もできれば、オゾン、酸化又は紫外放射線の様な異なる大気性老化源からトレッドを保護する為に使用する事もできる。一方、或種のゴム形成添加剤、特に、或種のカップリング剤は、カーボンブラックに担持された形態で利用可能である。従って、その様な添加剤の使用は、カーボンブラックの少量の導入を含む。適当なカーボンブラックは、特に、HAF、ISAF及びSAFタイプのブラックであり、これらは通常のタイヤ及びこれらのタイヤ用のトレッドに使用される。その様なブラックの非限定的例としては、N115、N134、N234、N339、N347及びN375が挙げられる。
本明細書では、BET比表面積は、"The Journal of the American Chemical Society", Vol. 60, page 309に記載されているBrunauer-Emett-Tellerの方法を使用するガスの吸着による公知の方法で、更に正確には、フランス基準 NF ISO 9277(1996年12月)[多点容量法(5点)−ガス:窒素−脱気:160℃で1時間−相対圧力(p/poの範囲:0.05〜0.17]によって決定された。CTAB比表面積は、フランス基準 NF T 45−007(1987年11月)(B法)により決定された外側表面積である。
最後に、その様な強化無機充填剤に相当する充填剤として、有機タイプの強化充填剤、特に、少なくとも部分的に無機層(例えば、シリカ層)(その部分に対して、エラストマーへの結合を用意する為にカップリング剤の使用を必要とする)で被覆されたカーボンブラックが使用できる。

II−3.カップリング剤

公知の方法で、強化無機充填剤の存在下で、カップリング剤又は結合剤を使用する事が必要であり、その機能は、無機充填剤(その粒子の表面)とジエンエラストマーとの間の十分な化学的及び/又は物理的結合を付与する事にある。
その様なカップリング剤、従って、少なくとも二官能であるカップリング剤は、例えば、簡単な一般式:Y−T−Xを有する(式中、Yは、官能基(Y官能)を表し、無機充填剤と物理的に及び/又は化学的に結合する事ができ、その様な結合は、例えば、カップリング剤の珪素原子と無機充填剤の表面ヒドロキシル(OH)基(例えば、シリカの場合は、表面シラノール)との間に確立される;Xは、官能基(X官能)を表し、例えば、硫黄原子によってジエンエラストマーと物理的に及び/又は化学的に結合できる;TはYとXを結合させる事のできる二価の基を表す)。
カップリング剤は、特に、無機充填剤に関しては活性であるY官能を含むが、エラストマーに関して活性なX官能を欠く、無機充填剤を被覆する為の単純な試薬と混同されてはならない。
有効性が様々に変化する(シリカ/ジエンエラストマー)カップリング剤は、極めて多数の文献に記載されていて当業者には周知のものである。タイヤトレッドの製造の為に使用可能なジエンゴム組成物において、シリカの様な強化無機充填剤とジエンエラストマーとの間の有効な結合を確立する事のできるカップリング剤、特に、X官能及びY官能を有するオルガノシラン又は多官能ポリオルガノシロキサンが使用されても良い。
特に、特許又は特許出願のFR2149339、FR2206330、US3,842,111、US3,873,489、US3,978,103、US3,997,581、US4,002,594、US4,072,701、US4,129,585、US5,580,919、US5,583,245、US5,650,457、US5,663,358、US5,663,395、US5,663,396、US5,674,932、US5,675,014、US5,684,171、US5,684,172、US5,696,197、US5,708,053、US5,892,085、EP1043357又はWO02/083782に記載されている様な、その特定の構造に依って「対称」又は「非対称」と言われる多硫化シランが使用される。
本発明の実施に当って特に適当なものは、次の一般式(I)を満足させる、所謂「対称」多硫化シランであるが、これらに限定されない。
(I)Z−A−Sn−A−Z
[式中、nは、2〜8の整数(好ましくは2〜5)であり、Aは、二価の炭化水素基(好ましくは、C1〜C18のアルキレン基又はC6〜C12のアリーレン基、更に好ましくはC1〜C10のアルキレン、特にC1〜C4のアルキレン、特にプロピレン)であり、Zは、以下の式の一つを表す:
−Si(R12(R2); −Si(R1)(R22; −Si(R23
(式中、基R1は、置換されていてもいなくても良く、同じか異なっていても良く、C1〜C18のアルキル基、C5〜C18のシクロアルキル基又はC6〜C18のアリール基(好ましくは、C1〜C6のアルキル基、シクロヘキシル又はフェニル、特に、C1〜C4のアルキル基、特にメチル及び/又はエチル)を表し、
基R2は、置換されていてもいなくても良く、同じか異なっていても良く、C1〜C18のアルコキシ基又はC5〜C18のシクロアルコキシ基(好ましくは、C1〜C8のアルコキシ及びC5〜C8のシクロアルコキシの中から選ばれた基、更に好ましくは、C1〜C4のアルコキシ、特にメトキシ及び/又はエトキシの中から選ばれた基)を表す)]。
上記式(I)による多硫化アルコキシシランの混合物の場合、特に普通の市販の混合物の場合、「n」の平均値は分数であり、好ましくは2〜5の間の、更に好ましくは4に近い分数である。然しながら、又、本発明は、例えば、二硫化アルコキシシラン(n=2)で有利に行われても良い。
多硫化シランの例としては、ビス−((C1〜C4)アルコキシ−(C1〜C4)アルキルシリル(C1〜C4)アルキル)のポリスルフィド(特に、ジスルフィド、トリスルフィド又はテトラスルフィド)、例えば、ビス−(3−トリメトキシシリルプロピル)又はビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)のポリスルフィドが挙げられる。これらの化合物で、特に、式[(C25O)3Si(CH2322のビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(TESPTと略称する)又は式[(C25O)3Si(CH23S]2のビス−(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(TESPDと略称する)が使用される。
TESPDは、例えば、デグッサ社から、Si75(75質量%のジスルフィドとポリスルフィドとの混合物の形態で)の名称で、或いは、ウイットコ社から、Silquest A1589の名称で市販されている。TESPTは、例えば、デグッサ社から、Si69(又は、それがカーボンブラック上に50質量%まで担持されている時はX50S)の名称で、或いは、オシスペシャリティー社からSilquest A1289の名称で市販されている(両方共、nが4に近い平均値を有するポスルフィドの市販混合物である)。
又、有利なカップリング剤としては、ビス−(モノ(C1〜C4)アルコキシ−ジ(C1〜C4)アルキルシリルプロピル)のポリスルフィド(特に、ジスルフィド、トリスルフィド又はテトラスルフィド)、特に、前述の出願WO02/083732に記載されているビス−モノエトキシジメチルシリルプロピルテトラスルフィドが挙げられる。
前述の多硫化アルコキシシラン以外のカップリング剤の例としては、前述の出願WO99/02602又はWO01/96442に記載されている様な二官能ポリオルガノシロキサン、又は、前述の出願WO02/30939及びWO02/31041に記載されているヒドロキシシランポリスルフィドが挙げられる。
本発明のトレッドにおいて、カップリング剤の含有量は、好ましくは、4〜12phr、更に好ましくは3〜8phrである。然しながら、一般的には、できる限りそれらの少量の使用が望ましい。強化無機充填剤の質量に関わるカップリング剤の量は、一般的に、強化無機充填剤の量当り0.5〜15質量%である。例えば、乗用車用のタイヤトレッドの場合では、カップリング剤は、強化無機充填剤のこの量当り12質量%未満、或いは10質量%未満の好ましい量で使用される。
カップリング剤は、本発明の組成物のジエンエラストマーに前以って(「X」官能を介して)グラフトする事ができ、この様にして官能化又は「予めカップリングされた」エラストマーは、強化無機充填剤に対する遊離の「Y」官能を含む。又、カップリング剤は、強化無機充填剤にも前以って(「Y」官能を介して)グラフトする事ができ、この様にして「予めカップリングされた」充填剤は、遊離の「X」官能によってジエンエラストマーに結合できる。然しながら、特に未加硫状態にある組成物のより良い加工の為には、カップリング剤を、強化無機充填剤にグラフトさせるか、或いは、遊離の状態で(即ち、グラフトさせないで)使用する事が好ましい。
適当な「カップリング活性剤」、即ち、カップリング剤と混合した時にカップリング剤の有効性を増加させる物(単独化合物又は化合物の組合せ)をカップリング剤と組合せることは可能である。多硫化アルコキシシラン用のカップリング活性剤は、例えば、前述の国際出願WO00/05300及びWO00/05301に記載されていて、置換グアニジン、特に、N,N′−ジフェニルグアニジン(「DPG」と略称される)とエナミン又はジチオリン酸亜鉛との組合せから成る。これらのカップリング活性剤の存在は、例えば、カップリング剤の量を、強化無機充填剤の量に関して10質量%未満、或いは8質量%未満の好ましい水準に維持するか、或いは、ジエンエラストマーとの改善されたカップリングによって強化無機充填剤の量を減少させる事を可能とする。

II−4.ビスマレイミド化合物
本発明のトレッドのゴム組成物は、少なくとも、4〜12phrの量で、その場で、トレッドの加硫後に、一方の(無機充填剤/エラストマー)格子と今一方の(エラストマ−/硫黄)格子(架橋剤が硫黄の場合)とが重ね合わされ且つ互いに浸透しあった三次元樹脂格子を形成させる為のビスマレイミド化合物を含む。
本発明は、好ましくは、一般式:
Figure 0004413623
(式中、Rは、置換又は非置換の芳香族又は脂肪族、環状又は非環式炭化水素基であり、O、N及びSから選ばれるヘテロ原子を含んでも良く、この基Rは好ましくは2〜24個の炭素原子を含む)のビスマレイミド化合物で実施される。
上記のビスマレイミド化合物の例としては、N,N′−(エチレン)−ビスマレイミド、N,N′−(ヘキサメチレン)−ビスマレイミド、N,N′−(ドデカメチレン)−ビスマレイミド、N,N′−(2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレン)−ビスマレイミド、N,N′−(オキシ−ジプロピレン)−ビスマレイミド、N,N′−(アミノ−ジ−プロピレン)−ビスマレイミド、N,N′−(1,3−シクロヘキシレン)−ビスマレイミド、N,N′−(1,4−シクロ−ヘキシレン)−ビスマレイミド、N,N′−(メチレン−1,4−ジシクロヘキシレン)−ビスマレイミド、N,N′−(3,3′−ジメチル−4,4′−ビフェニレン)−ビスマレイミド、N,N′−(m−フェニレン)−ビスマレイミド、N,N′−(p−フェニレン)−ビスマレイミド、N,N′−(o−フェニレン)−ビスマレイミド、N,N′−(1,3−ナフタレン)−ビスマレイミド、N,N′−(1,4−ナフタレン)−ビスマレイミド、N,N′−(1,5−ナフタレン)−ビスマレイミド、N,N′−(4,6−ジメチル−1,3−フェニレン)−ビスマレイミド、N,N′−(2,4−トルイレン)−ビスマレイミド、N,N′−(2,6−トルイレン)−ビスマレイミド、N,N′−(メチレン−ジ−p−フェニレン)−ビスマレイミド、N,N′−(オキシ−ジプロピレン)−ビスマレイミド、N,N′−(オキシ−ジ−p−フェニレン)−ビスマレイミド、N,N′−(4,4′−ジフェニルメタン)−ビスマレイミド、N,N′−(4,4′−ジフェニルエーテル)−ビスマレイミド、N,N′−(4,4′−ジフェニルスルホン)−ビスマレイミド及びN,N′−(4,4′−ジフェニルジチオ)−ビスマレイミドが挙げられる。
又、「ビスマレイミド化合物」とは、ポリ−ビスマレイミド化合物(ビスマレイミドポリマー又はオリゴマー)をも意味するものと理解される。
好ましく選択されるビスマレイミドは、N,N′−(m−フェニレン)−ビスマレイミド(「MPBM」と略称される)及びN,N′−(4,4′−ジフェニルメタン)−ビスマレイミド(「DPBM」と略称される)である。
ビスマレイミド化合物の量は、4〜12phrの範囲内で、使用されるジエンエラストマーの性質及び強化無機充填剤の量の関数として変動しても良い。示された最小値以下では所望の技術的効果が得られず、反対に、示された最大値を超えると、過剰の可撓性、ヒステリシスの過剰の調和及びコストの著しい増加が存在する。5〜10phrの範囲内の量は、特に、乗用車タイヤ用のトレッドの場合に適している。
ラジカル開始剤(遊離基発生剤)、例えば、有機過酸化物は、ゴム組成物に極めて少量で添加して、その加硫中に、ビスマレイミド樹脂格子の形成を活性化する事ができる。

II−5.種々の添加剤
勿論、本発明のトレッドのゴム組成物は、又、トレッドの製造の為の硫黄架橋可能なジエンゴム組成物で通常使用される添加剤、例えば、可塑剤、顔料,酸化剤タイプの保護剤、耐オゾン剤、抗菌剤、その他の補強樹脂、硫黄または硫黄及び/又は過酸化物ドナーをベースとした架橋系、加硫促進剤、加硫活性剤、エクステンダー油等の全部又は一部を含む。又、強化無機充填剤と一緒であっても良く、必要に応じて、通常の非強化白色充填剤、例えば、粘土粒子、ベントナイト、タルク、チョーク、カオリン又は酸化チタンと一緒であっても良い。
又。本発明のトレッドのゴム組成物は、カップリング剤に加えて、強化無機充填剤(例えば、単独のY官能を含む)を被覆する為の試薬、又は、ゴムマトリックス中での無機充填剤の分散の改善及び未加硫状態でのそれらの加工性を改善する為の極一般的な加工助剤を含んでも良く、0.5〜3phrの間の好ましい量で使用されるこれらの試薬は、例えば、アルキルアルコキシシラン(特に、アルキルトリエトキシシラン)、ポリオール、ポリエーテル(例えば、ポリエチレングリコール)、第1級、第2級又は第3級アミン、ヒドロキシル化又は加水分解性ポリオルガノシロキサン、例えば、α、ω−ジヒドロキシポリオルガノシロキサン(特に、α、ω−ジヒドロキシ−ポリジメチルシロキサン)である。
II−6.トレッドの製造
本発明のトレッドのゴム組成物は、当業者に周知の一般的な方法によって二つの連続調製段階を使用して、適当な混合機中で製造される:130℃〜200℃、好ましくは145℃〜185℃の最大温度までの高温での熱機械的作業又は混練の第1段階(時に、「非生産的」段階と称せられる)、続いて、低温、一般的には120℃未満、例えば、60℃〜100℃の低温での機械的作業の第2段階(時に、「生産的」段階と称される)。仕上げ段階中に、架橋又は加硫系が導入される。
そのトレッドが使用されるタイヤの加硫及び機械的な慣らし運転後に、トレッドの表面から内側に向けて放射状に増加する剛性勾配を有するタイヤトレッドを調製する為の本発明方法は、以下の工程を含む:(1)「非生産的」と言われる第1工程において、60phrを超える強化無機充填剤、2〜15phrのカップリング剤及び4〜12phrのビスマレイミド化合物を、混合機中で、ジエンエラストマーに導入し、130℃〜200℃の最大温度に達するまで、1段階以上で全体の混合物を熱機械的に混練する工程、(2)全体の混合物を100℃未満の温度まで冷却する工程、(3)次いで、「生産的」と言われる第2工程において加硫系を導入する工程、(4)120℃未満の最大温度に達するまで全体の混合物を混練する工程及び(5)得られたゴム組成物をタイヤトレッドの形態で押出す工程又はカレンダーに掛ける工程。
好ましい実施態様によれば、加硫系とラジカル開始剤を除く本発明のトレッドの組成物の全てのベース構成成分、即ち、強化無機充填剤、カップリング剤及びビスマレイミド化合物は、第1の、所謂「非生産的」段階中に、ジエンエラストマー中に混練によって密接に導入される、即ち、少なくともこれらの異なるベース構成成分が、混合機に導入され、1段階以上で、130℃〜200℃、好ましくは145℃〜185℃の最大温度に到達するまで熱機械的に混練される。然しながら、又、ビスマレイミド化合物の全部又は一部は生産的段階中に導入される。
例えば、第1(非生産的)段階は、単独の熱機械的工程で行われ、その間に、全ての必要な構成成分、補完的な被覆剤又は加工剤及び様々なその他の添加剤が、加硫系を除いて、適当な混合機、例えば、通常の密閉式混合機に導入される。熱機械的作業の第2段階は、この密閉式混合機中に、例えば、中間の冷却段階(好ましくは、100℃未満の温度まで)
の後で、補完的な加熱処理を受ける組成物を作る目的で、特に、強化無機充填剤、カップリング剤及びビスマレイミド化合物のエラストマーマトリックス中での分散を改善する為に付加する事ができる。
第1の非生産的段階の最後で得られた混合物を冷却後に、加硫系が、開放ミルの様な外部混合機に低温で導入される。次いで、全体の混合物は、数分間、例えば、5〜15分間混合される(生産的段階)。
適当な加硫系は、好ましくは硫黄及び第1加硫促進剤、特に、スルフェンアミドタイプの促進剤をベースとする。この加硫系に対して、第1の非生産的段階中に、及び/又は生産的段階中に、様々な公知の第2加硫促進剤又は加硫活性剤、例えば、酸化亜鉛、ステアリン酸、グアニジン誘導体(特に、ジフェニルグアニジン)が添加され導入される。硫黄の量は、好ましくは、0.5〜3.0phrであり、第1促進剤の量は、好ましくは0.5〜5.0phrである。
この様にして得られた最終組成物は、次いで、例えば、特に実験室での特徴としてフィルム又はシートの形態でカレンダーに掛けられるか、さもなければ、タイヤトレッドとして直接に使用できるゴム形状要素の形態で押出される。
加硫(又は硬化)は、公知の方法で、一般的に130℃〜200℃の温度で、特に、硬化温度、適用される加硫系及び当該組成物の加硫動力学並びに当該タイヤのサイズによって変動しても良い十分な時間、例えば5〜90分間行われる。
要するに、本発明方法では、先に与えられた全ての詳細に基づき、好ましくは少なくとも一つ、更に好ましくは全ての以下の特徴が満足される。
−強化無機充填剤の量は70phrを超える。
−カップリング剤の量は4〜12phrである。
−ビスマレイミド化合物の量は5〜10phrである。
−最大の熱機械的混練温度は145℃〜180℃である。
−強化無機充填剤はシリカ質又はアルミナ質充填剤である。
−カーボンブラックの量は20phr未満、好ましくは2〜15phrである。
−少なくとも二官能のカップリング剤はオルガノシラン又はポリオルガノシロキサンである。
−ビスマレイミド化合物は、N,N′−(m−フェニレン)−ビスマレイミド又はN,N′−(4,4′−ジフェニルメタン)−ビスマレイミドである。
−ジエンエラストマーは、ブタジエン/スチレンコポリマー(SBR)で、好ましくはポリブタジエンとの混合物で使用される。
−強化無機充填剤は全強化充填剤の80質量%より多くを占める。
更に好ましくは、本発明方法では、少なくとも一つ、更に好ましくは全ての以下の特徴が満足される。
−無機充填剤の量は80〜110phrの範囲内にある。
−カップリング剤は3〜8phrである。
−強化無機充填剤はシリカである。
−カーボンブラックの量は15phr未満、好ましくは4〜12phrである。
−カップリング剤はオルガノシランである。
−ビスマレイミド化合物はN,N′−(4,4′−ジフェニルメタン)−ビスマレイミドである。
−ジエンエラストマーは、シス−1,4結合を90%(モル)より多く有するポリブタジエンとの混合物で使用される、溶液で調製されたSBRである。
−強化無機充填剤は、全強化充填剤の90質量%より多くを占める。
勿論、本発明は、未硬化状態(即ち、硬化前)と硬化状態(即ち、架橋又は加硫後)の両方の前述のトレッドに関する。

II−7.トレッドの性質
多量の強化充填剤の使用(60phrを超える又は70phrを超える)は、使用される充填剤のタイプ(カーボンブラックか無機充填剤か)に拘らず、DPBMの様なビスマレイミド化合物の4phrより多い量との組合せで、組成物の硬化後に、低い変形でのモジュラスの大きな増加(ME10の値が、例えば、2倍になる)及びショアA硬度での大きな増加(例えば、10〜20%増加)を伴う事が容易に確認できる。
予想された、剛性のその様な増加は、自動車に装着されるタイヤ(そのトレッドはその様な組成物で構成されている)に対して、増加した剛性、従って、増加した横滑り推力による道路挙動の改善、然し又、中でも、湿潤地面、雪で覆われた地面又は氷の地面でのグリップ性能の極端に不利な低下を予測する事を当業者に明らかに可能とさせる。
グリップ性能におけるその様な低下は、カーボンブラックで充填ざれた比較のトレッドでは観察されたが、本発明のトレッドの場合には観察されなかった。本発明のトレッドは、驚くべき事に、上記のグリップ性能に逆に影響を及ぼす事なしに、改善された道路挙動からの恩恵を受ける。
トレッドのゴム組成物においてビスマレイミド化合物によって与えられる樹脂格子は、これらの組成物がカーボンブラックで従来通りに充填されているか、逆に、推奨された高い量で、シリカの様な強化無機充填剤で充填さているかによって別々に表現される事がこのことから推論されなければならない。
補完的なテストは、以下において、挙動での上記相違が説明される本発明のトレッドの予期されなかった性質を明らかにした。
これらのトレッドは、ローリング後の自動的調節の予期せぬ現象によって、放射状方向において極めて顕著な剛性勾配を有し、この剛性は、本発明の無機充填剤とビスマレイミドとで強化された組成物を含むトレッド、或いは、適用可能であれば、ハイブリッドトレッドの少なくともその部分の全体の厚さにわたって、連続形態でトレッドの表面から内側に向けて放射状に増加する。その様な特徴は、カーボンブラックとビスマレイミド化合物とで強化された対照のトレッドの場合には存在しない。
上記の結果の全てから、ビスマレイミド化合物によって形成される硬化三次元格子は、カーボンブラックで充填された従来のトレッドの場合よりもシリカで充填されたトレッドの場合の方が硬さが少ないと考えられる。この相対的な脆弱性によって、一般的にトレッドの表面部分でローリング中に経験される低い振幅の応力は、表面のビスマレイミド樹脂格子を破壊し、従って、トレッドの表面部分を一層可撓性で且つ硬くなくして、従って、ビスマレイミドが存在しない場合にトレッドが有する優れたグリップ性能を回復するのに十分である。一方、深さにおいては、この格子樹脂はローリングによって殆ど影響を受けず、このトレッドを内側に侵入させる事が殆どなく、従って、改善された道路挙動(大きな横滑り推力)にとって十分な付加的剛性を保証する。
従って、表面において可撓性であり且つ一度調節された(慣らし運転で)その深さにおいて硬い本発明のトレッドは、道路挙動と、湿潤地面、雪で覆われた地面又は氷の地面でのグリップの二つの矛盾する要求を兼ね備える。
上記の剛性勾配は、地面と接触するトレッドの放射状的に最も外側の部分と、ビスマレイミド樹脂格子の存在によって硬くされた、トレッドの放射状的に最も内側の部分(又は、例えば、ハイブリッドトレッドの場合のトレッド部分)との間の、特に、低い変形でのモジュラス又はショア硬度における極めて顕著な相違によって示される。
本発明の乗用車タイヤの標準的な慣らし運転の後に、割線モジュラスME10(10%伸び)は、トレッドの表面(一般的に、タイヤのタイプによって2〜8MPa)と放射状的に最も内側の部分(一般的に、タイヤのタイプによって4〜16MPa)との間で、1〜2倍に有利に変動しても良い。
本発明による場合とそうでない場合のトレッドの表面で行われた比較ショア硬度測定は、以下の結果をもたらした。
−カーボンブラック充填剤:
−ビスマレイミド無し、新しいタイヤ: 60〜70ポイント;
−ビスマレイミド(6phr)有り、新しいタイヤ: 70〜80ポイント;
−ビスマレイミド(6phr)有り、標準的な慣らし運転後: 70〜80ポイント;
−シリカ充填剤:
−ビスマレイミド無し、新しいタイヤ: 60〜70ポイント;
−ビスマレイミド(6phr)有り、新しいタイヤ: 70〜80ポイント;
−ビスマレイミド(6phr)有り、標準的な慣らし運転後: 60〜70ポイント。
カーボンブラックとビスマレイミドで強化されたトレッドの従来のタイヤは慣らし運転後にその表面剛性を保持したが、シリカとビスマレイミドで強化されたトレッドの本発明のタイヤは、慣らし運転後に初期の硬度のその範囲を取り戻した。これは、先にコメントされたモジュラスME10における変化を確証するものである。
従って、本発明は、トレッドの表面とその放射状的に内側の部分との間の剛性の差を調節する事、従って、グリップ/道路挙動の望ましい調和を調整する事を、予期に反して可能とする。
これからは、トレッド(例えば、少なくとも、「キャップ−ベース」タイプのハイブリッドトレッドの場合では、ビスマレイミド化合物を含むトレッドの部分に対して)が、表面において低く(例えば、乗用車タイヤの場合では2〜8MPa)、深さにおいて高い(例えば、同じ乗用車タイヤで、その放射状的に最も内側の部分で8〜16MPa)、連続形態で放射状に増加するモジュラスを有する、低いローリング抵抗のタイヤを製造することが可能である。
好ましくは、従来の乗用車タイヤ(夏用)の場合では、従って、モジュラスME10は、表面で5〜8MPa(特に、5.5〜7.5MPa)、深さ(放射状的に最も内側の部分)において8〜14MPa(特に、9〜13MPa)である。好ましくは、雪で覆われた道路又は氷の道路の為の「冬用」タイヤの場合では、モジュラスME10は、表面で3〜6MPa(特に、3.5〜5.5MPa)、深さにおいて6〜12MPa(特に、7〜11MPa)である。

III.実施態様の例

III−1.ゴム組成物及びトレッドの製造
以下のテストの為の手順は次の通りである:強化充填剤、カップリング剤、ジエンエラストマー又はジエンエラストマーの混合物、ビスマレイミド化合物及び加硫系を除く種々のその他の添加剤が、連続して密閉式混合機に導入され容量の70%まで充填された。混合機の初期タンク温度は凡そ60℃であった。次いで、熱機械的作業(非生産的段階)が、1段階で、165℃の最大「落下」温度が得られるまで、全部で約3〜4分間行われた。次いで、この様にして得られた混合物を回収し、冷却し、次いで、硫黄とスルフェンアミド促進剤が、5〜12分の適当な時間、すべてのものを混合する事によって(生産的段階)30℃で外部混合機(ホモフィニッシャー)で導入された。
この様にして得られた組成物は、次いで、その物理的又は機械的性質を測定する為に、ゴムのプレート状(2〜3mm厚)又は薄いシート状にカレンダー加工されるか、又は、ラジアルカーカス乗用車タイヤ(寸法:195/65R15−速度指数H)用トレッドの形態で押出された。

III−2.テスト
このテストでは、乗用車用の夏用タイヤのトレッドとして使用できる、公知のSBR及びBRジエンエラストマーをベースとした、カーボンブラック又はシリカで強化された7つのゴム組成物が比較された。
これらの組成物C−1〜C−7は、以下の特徴によって本質的に区別される。
−C−1:70phrのカーボンブラックで強化された。ビスマレイミド無し。
−C−2:70phrのカーボンブラック+6phrのビスマレイミドで強化された。
−C−3:80phrのシリカで強化された。ビスマレイミド無し。
−C−4:80phrのシリカ+6phrのビスマレイミドで強化された。
−C−5:80phrのシリカ+8phrのビスマレイミドで強化された。
−C−6:80phrのシリカ+2phrのビスマレイミドで強化された。
−C−7:60phrのシリカ+2phrのビスマレイミドで強化された。

組成物C−1とC−3は、このテストの対照の「カーボンブラック」と「シリカ」を構成するものである。それらそれぞれの組成は、ビスマレイミドの導入前に、共のそれらを初期の等剛性(ショアA)とする為に調整された。
組成物C−3〜C−7は、更に、カップリング剤TESPT(シリカの量当り8質量%の量)とDPG(シリカの量当り凡そ2.6質量%)を含む。これらの組成物C−3〜C−7では、カーボンブラックは、黒色顔料剤として本質的に使用される極少量(6phr)で存在する。
従って、組成物C−4とC−5を含むトレッドだけが本発明によるものである。組成物C−6とC−7は、強化無機充填剤の量(60又は80phr)に拘らず、ビスマレイミドの不充分な量を含むので本発明によるものではない。
表1及び2は異なる組成物の組成(表1−phrで表される異なる生成物の量)及び硬化(150℃で40分)後のその性質を示す。
先ず初めに、対照組成物C−1とC−3(ビスマレイミドを欠く)の比較は、硬化後に、それらは等しい剛性(同じショアA硬度;極めて近い、低い変形ME10におけるモジュラス値)と同じ強化性(高い変形−ME100とME300における同じモジュラス)を有する事を示した。
十分な量(6又は8phr)のビスマレイミドの導入後に、両タイプの組成物では(C−2とC−1との比較と、C−4及びC−5とC−3との比較)、低い変形におけるモジュラスの値(ME10の値で特に2倍)とショア硬度(10〜20%の増加)において大きな上昇が観察された。
この剛性化は、先に説明した通り、予想通りのものと言えるかも知れない。
然しながら、組成物C−2とC−4又はC−5との間の一つの顕著な相違が注目されなければならない。この相違は、機械的調節後(15%)の低い変形でのモジュラス(ME10AC)の評価に関係するものである。
対照組成物C−2(カーボンブラック充填剤)の場合では、モジュラスME10ACは、調節後に非常な高さを残す(組成物C−1の初期5.5MPaと比較して9.1MPa、又は、凡そ65%の大きさ)。反対に、組成物C−4とC−5(シリカ充填剤)では、同じモジュラスME10ACは、実際には、ビスマレイミドを欠く対照組成物C−3で記録された初期値ME10(6.0MPa)を回復しつつ、極めて大きく低下する(11〜12MPa〜7〜7.5MPa)。%で表示される、表2の比(ME10AC/ME10)は、組成物C−2とC−4又はC−5との間の挙動の相違を明確に表している。
これらの結果は、ビスマレイミド格子は別々に発現される事、そして、組成物が、提唱された高い量で、カーボンブラックで充填されたか、又は、シリカの様な強化無機充填剤で充填されたによって異なる硬さを有する事を示す。
ビスマレイミドの少ない(不充分な)量(2phr)を含む、本発明に拘るものではないその他の組成物C−6とC−7に関しては、剛性の増幅率は低過ぎ、又は存在しない(モジュラスME10及びショア硬度を参照)。
上で示された割合で、ジエンエラストマー、強化無機充填剤、カップリング剤及びビスマレイミドをベースとした前述のゴム組成物は、本発明の全体のトレッドを有利に構成しても良い。
然しながら、又、本発明は、ビスマレイミド化合物を含むこれらの組成物が、例えば、タイヤの寿命中に、タイヤのローリング中に道路と接触する事になる、本明細書の冒頭において述べた様な、異なる剛性の少なくとも二つの放射状に重ね合わされた層で作られる複合トレッド(所謂、「キャップ−ベース構造)の部分だけを形成する場合にも適用する。ビスマレイミド化合物を含む部分は、次いで、新しいタイヤのローリングの開始から地面と接触するトレッドの放射状外側層を、又は、反対に、例えば、本発明によって与えられる自動調節の技術的効果を「遅延」させる事を望む場合には、その後に地面と接触する事になるその放射状の内側層を構成しても良い。
本発明のトレッド及びそのゴム組成物の特定の組成により、これからは、複雑で、コストの掛かる、或いは、本明細書の冒頭で述べた様な長持ちのしない解決手段を使用する事無しに、湿潤地面でのグリップと道路挙動を「満足させる」事が可能である。
本発明のトレッドは、特に、従来の複合トレッドと比較して、観察される自動調節の予期せぬ現象によって、タイヤの寿命の間中、性能の調和を維持する一方で、真の放射状剛性勾配であって、単純で、極めて局部的な「偶然の」剛性ではない剛性勾配を有する点で、大きな利益を提供する。この真の剛性勾配は、ローリング中に地面と接触するゴムのブロックとトレッドに伝わる多くの力の最適な「作業」、換言すれば、より良好に道路をグリップするタイヤとの同調性をもたらす。
この結果は、高分散性シリカの様な強化無機充填剤をベースとしたゴム組成物から期待する事ができる高水準でのローリング抵抗と摩耗抵抗の性能を維持しながら得られても良い。
本発明は、モーターサイクル、乗用車、バン又は重量車両の様な車両に装着されるタイヤ、特に、意図的により可撓性のトレッドによって、乾燥地面での低い動作の道路挙動を持つ事のできる「スノー」又は「アイス」タイヤ(又は、「冬用」タイヤとも言われる)の高グリップタイヤにおいて極めて有利な用途を見出す。

















表1

Figure 0004413623
(1)37.5質量%(26.25phr)のオイルで増量されたSBR(ドライSBRで表示される)(又は、合計で96.25phrの増量されたSBR);26.5%のスチレン、59.5%の1,2−ポリブタジエン単位と23%のトランス−1,4−ポリブタジエン単位(Tg=−29℃);
(2)4.3%の1,2、2.7%のトランス、93%のシスを持つBR(Tg=−106℃);
(3)カーボンブラックN234;
(4)ローディア社のシリカ"Zeosil 1165 MP"、タイプ"HDS"(BET及びCTAB:凡そ160m2/g);
(5)TESPTカップリング剤(デグッサ社の"Si69");
(6)N,N′−(m−フェニレン)−ビスマレイミド(デュポン社の"HVA2");
(7)合計の芳香族油(SBR用のエクステンダー油を含む);
(8)ジフェニルグアニジン(Flexsys社のPerkacit DPG);
(9)N−1,3−ジメチルブチル−N−フェニルパラフェニレンジアミン(Flexsys社のSantoflex 6-PPD);
(10)HMT(デグッサ社製);
(11)N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(Flexsys社のSantocure CBS)。













表2

Figure 0004413623
(r.u.:相対単位)

Claims (10)

  1. タイヤトレッドであって、少なくとも、(i)ジエンエラストマー、(ii)60phrを超える強化無機充填剤、(iii)2〜15phrのカップリング剤及び(iv)5〜10phrのビスマレイミド化合物をベースとしたゴム組成物を含む事を特徴とするタイヤトレッド(phr=ジエンエラストマー100部当りの質量部)。
  2. ジエンエラストマーが、ポリブタジエン、合成ポリイソプレン、天然ゴム、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマー及びこれらのエラストマーの混合物から成る群から選ばれる、請求項1記載のタイヤトレッド。
  3. 強化無機充填剤がシリカ質又はアルミナ質充填剤である、請求項1又は2記載のタイヤトレッド。
  4. 強化無機充填剤の量が、70phrを超える、請求項1〜3のいずれか1項記載のタイヤトレッド。
  5. ビスマレイミド化合物が、N,N′−(m−フェニレン)−ビスマレイミド又はN,N′−(4,4′−ジフェニルメタン)−ビスマレイミドである、請求項1〜4のいずれか1項記載のタイヤトレッド。
  6. ビスマレイミド化合物が、N,N′−(4,4′−ジフェニルメタン)−ビスマレイミドである、請求項5記載のタイヤトレッド。
  7. 請求項1記載のタイヤトレッドを含むタイヤ。
  8. 乗用車タイヤから成る請求項記載のタイヤであって、タイヤのトレッドが、タイヤの硬化後で且つ機械的ならし運転後に、トレッドの表面から内側に向けて放射状に増加する剛性勾配を有し、前記トレッドのモジュラスME10(10%伸びにおける割線係数)が表面において2〜8MPaであり、その放射状の最も内側の部分において8〜16MPaであるタイヤ。
  9. 夏用の乗用車タイヤから成る請求項記載のタイヤであって、トレッドのモジュラスME10が表面において5〜8MPaであり、その放射状の最も内側の部分において8〜14MPaであるタイヤ。
  10. 冬用の乗用車タイヤから成る請求項記載のタイヤであって、トレッドのモジュラスME10が表面において3〜6MPaであり、その放射状の最も内側の部分において6〜12MPaであるタイヤ。
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