JP5626505B2 - 空気入りタイヤの製造方法 - Google Patents

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本発明は、例えば乗用車、トラック、バス等に用いられる空気入りタイヤの製造方法に関するものである。
一般に、この種の空気入りタイヤとしては、トレッド部にタイヤ周方向に延びる複数の溝が設けられ、各溝の間にブロックやリブ等の陸部を形成したものが知られている。
この空気入りタイヤを成形する場合、トロイダル状に成形した未加硫タイヤを金型で加硫成型することにより、トレッド部に溝を形成するようにしているが、未加硫タイヤのトレッド部に金型を押し付けると、溝となる部分にあったゴムが金型の溝成型用突部によって他の部分に押し込まれる。特に、主溝は断面積が大きいため、ゴムの押し込みによってトレッド層の内側にあるベルト層が波状に変形し、ベルト層による耐久性を低下させるなどの不具合を生じていた。
そこで、未加硫タイヤを成形した後にトレッド部に溝を彫ることにより、溝となる部分のゴムをトレッド部から予め削り取るようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2007−261093号公報
しかしながら、前述のように溝となる部分のゴムをトレッド部から削り取るようにした場合は、未加硫タイヤの表面から溝のゴムを除去するといった煩雑な工程が必要となり、生産性を低下させるとともに、除去したゴムも無駄になるという問題点があった。
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、生産性の低下や無駄なゴムの発生を来すことなく溝部分のゴムをトレッド部から予め除去しておくことのできる空気入りタイヤの製造方法を提供することにある。
本発明は前記目的を達成するために、未加硫タイヤを金型で加硫成型することにより、トレッド部にタイヤ周方向に延びる溝を形成する空気入りタイヤの製造方法において、前記第1のトレッド部材及び各第2のトレッド部材を押出成形によって形成するとともに、第1のトレッド部材及び各第2のトレッド部材を同時に押出機から押し出しながら第1のトレッド部材と各第2のトレッド部材とを重ね合わせることにより、シート状に形成された第1のトレッド部材のタイヤ径方向外側に、タイヤ周方向に延びる複数の第2のトレッド部材を互いにタイヤ幅方向に間隔をおいて配置し、第1のトレッド部材及び各第2のトレッド部材によって形成される加硫成型前の溝のタイヤ径方向の断面積が前記金型の溝成型用突部のタイヤ径方向の断面積に対して70%以上100%以下となるようにして、各第2のトレッド部材の間に前記金型の溝成型用突部が位置するように未加硫タイヤを加硫成型することにより、各第2のトレッド部材の間にトレッド部の溝を形成するようにしている。
これにより、互いに幅方向に間隔をおいて配置された複数の第2のトレッド部材の間にトレッド部の溝が形成されることから、加硫成型後に溝となる部分のゴムが予めトレッド部から除去されるとともに、溝部分のゴムを別工程で削り取る必要もない。また、加硫成型前の溝のタイヤ径方向の断面積が金型の溝成型用突部のタイヤ径方向の断面積に対して80%よりも大きく100%以下であることから、加硫成型前の溝の断面積が小さすぎて第2のトレッド部材が溝成型用突部によって横方向に位置ずれや変形を生ずることがなく、加硫成型前の溝の断面積が大きすぎてゴム量が不足することもない。更に、第1のトレッド部材及び各第2のトレッド部材がそれぞれ押出機から同時に押し出されながら各トレッド部材が重ね合わされることから、各トレッド部材を温度の高い押し出し直後に貼り合わせることができる。各トレッド部材8,9間の接着力を高めることができる。
本発明によれば、加硫成型後に溝となる部分のゴムを予めトレッド部から除去しておくことができるので、溝部分のゴムの押し込みによる他の部分の変形を防止することができる。この場合、溝部分のゴムを別工程で削り取る必要がないので、生産性を低下させることがないという利点がある。また、本来不要であった溝部分のゴムが存在しないので、無駄なゴムを発生させることがなく、しかもゴムの使用量を低減することができ、低コスト化及び軽量化を図ることができる。また、加硫成型前の溝の断面積が小さすぎて第2のトレッド部材が溝成型用突部によって横方向に位置ずれや変形を生ずることがなく、加硫成型前の溝の断面積が大きすぎてゴム量が不足することもないという利点がある。更に、第1及び第2のトレッド部材を温度の高い押し出し直後に貼り合わせることができるので、各トレッド部材間の接着力を高めることができる。
本発明の一実施形態を示す空気入りタイヤの部分正面断面図 トレッド部材の正面図 トレッド部材の押出工程を示す概略斜視図 タイヤの加硫成型工程を示す部分正面断面図 金型の溝成型用突部及びトレッド部材の溝を示す部分正面断面図 金型の溝成型用突部及びトレッド部材の溝を示す部分正面断面図
以下、本発明の一実施形態について、図1乃至図6を参照して説明する。図1に示す空気入りタイヤは、タイヤ外周面側に形成されるトレッド部1と、タイヤ幅方向両側に形成される一対のサイドウォール部2と、タイヤ幅方向両側に形成される一対のビード部3とから構成され、トレッド部1にはタイヤ周方向に延びる複数の溝1aが互いにタイヤ幅方向に間隔をおいて設けられている。
この空気入りタイヤは、タイヤ内面側に配置されるインナーライナ4と、インナーライナ4の外側に配置されるカーカス部材5と、タイヤ幅方向両側に配置される一対のビード部材6と、カーカス部材5の外側に配置されるベルト7と、ベルト7のタイヤ外周面側に配置される第1のトレッド部材8と、第1のトレッド部材8のタイヤ外周面側に配置される複数の第2のトレッド部材9と、タイヤ両側面側に配置される一対のサイドウォール部材10とから形成されている。
インナーライナ4は気体透過性の低いシート状のゴムからなり、カーカス部材5の内周面側に配置される。
カーカス部材5は複数本の補強コードをシート状のゴムで被覆してなり、両端側をビード部材を巻き込むようにタイヤ幅方向内側から外側に向けてサイドウォール部2側に折り返されている。
ビード部材6は、金属線等のワイヤを束ねてなるビードコア6aと、断面略三角形状のゴムからなるビードフィラー6bとからなり、ビードフィラー6bはビードコア6aの外周側に配置される。
ベルト7はスチールや高強度繊維等からなるベルトコードをシート状のゴムで被覆してなり、カーカス部材5の外周面側に配置される。
第1のトレッド部材8は押出成形によって形成されたシート状のゴムからなり、ベルト7の外周面側を覆うように配置される。
各第2のトレッド部材9は押出成形によって形成された帯状のゴムからなり、図2(a)(b)に示すように互いに幅方向に間隔をおいて第2のトレッド部材9の外周面上に配置される。
サイドウォール部材10は押出成形によって形成されたゴムからなり、カーカス部材5のタイヤ幅方向両側を覆うように配置される。
前記第1及び第2のトレッド部材8,9を成形する場合、図3に示すように第1のトレッド部材8は第1の押出機11によって押出成形され、第2のトレッド部材9は第2の押出機12によって押出成形される。その際、第1の押出機11のダイ11aの上方に第2の押出機12のダイ12aが配置され、各ダイ11a,12aから第1及び第2のトレッド部材8,9がそれぞれ同時に押し出される。これにより、第1のトレッド部材8の上面に各第2のトレッド部材9が重ね合わされ、各トレッド部材8,9は所定の長さに切断される。この場合、各第2のトレッド部材9は互いに幅方向に間隔をおいて配置されるため、各第2のトレッド部材9間には加硫成型後にトレッド部1の溝1aとなる仮溝1a′が形成され、各仮溝1a′間の第2のトレッド部材9は加硫成型後にブロックやリブ等の陸部となる。
ここで、本実施形態のタイヤ製造方法について説明する。尚、以下に説明する工程はタイヤ製造工程の一部を示すもので、他の工程については従来と同等であるため省略する。
まず、前述のように形成された第1及び第2のトレッド部材8,9を、図示しない成形ドラムでトロイダル状に成形された他の構成部材の外周面に巻き付けることにより、未加硫タイヤTを成形する。
次に、この未加硫タイヤTを加硫成型機の金型20によって成型することにより、金型20の溝成型用突部21によって未加硫タイヤTの外周面にトレッド部1の溝1aを形成する。その際、金型20は、図4(a)(b)に示すように溝成型用突部21が各第2のトレッド部材9間の仮溝1a′に位置するように未加硫タイヤTの外周面に押し付けられることから、溝成型用突部21によって溝部分のゴムが他の部分に押し込まれることがない。この場合、図5に示すように、加硫成型前の仮溝1a′は、タイヤ径方向の断面積S1 が溝成型用突部21のタイヤ径方向の断面積S2 に対して70%以上100%以下となるように形成されている。また、図6に示すように、タイヤの幅方向中心線CLから各トレッド部材8,9の仮溝1a′の中心線までの距離L1 と、タイヤの幅方向中心線CLからトレッド部1の溝1aの中心線までの距離L2 との誤差αは、±5mm以内であることが好ましい。
このように、本実施形態によれば、シート状に形成された第1のトレッド部材8のタイヤ径方向外側に、タイヤ周方向に延びる複数の第2のトレッド部材9を互いにタイヤ幅方向に間隔をおいて配置し、各第2のトレッド部材9間の仮溝1a′に金型20の溝成型用突部21が位置するように未加硫タイヤTを加硫成型することにより、各第2のトレッド部材9間にトレッド部1の溝1aを形成するようにしたので、トレッド部1の溝1aを金型20で成型する際、溝成型用突部21によって溝部分のゴムが他の部分に押し込まれることがなく、ゴムの押し込みによるベルト層の変形を防止することができる。
この場合、各第2のトレッド部材9を互いに幅方向に間隔をおいて配置することにより、溝部分のゴムを予めトレッド部から除去しておくことができるので、従来のように別工程で溝部分のゴムを削り取る必要がなく、生産性を低下させることがないという利点がある。また、本来不要であった溝部分のゴムが存在しないので、無駄なゴムを発生させることがなく、しかもゴムの使用量を低減することができ、低コスト化及び軽量化を図ることもできる。
更に、第1のトレッド部材8及び各第2のトレッド部材9をそれぞれ第1及び第2の押出機11,12から同時に押し出しながら各トレッド部材8,9を重ね合わせるようにしたので、各トレッド部材8,9を温度の高い押し出し直後に貼り合わせることができ、各トレッド部材8,9間の接着力を高めることができる。
また、各トレッド部材8,9は別個に押出成形されるので、第1のトレッド部材8と第2のトレッド部材9に互いに異なった種類のゴムを用いたり、或いは一部の第2のトレッド部材9に他の第2のトレッド部材9と異なる種類のゴムを用いることにより、タイヤの用途や性能に応じた複数種類のゴムからなるトレッド1を形成することができる。例えば、第1のトレッド部材8に低発熱性のゴムを用い、各第2のトレッド部材9に高発熱性のゴムを用いるようにすれば、トレッド部1の接地面のグリップ性能を高めるとともに、トレッド部1の内側の耐久性を高めることができる。また、タイヤ幅方向両側の第2のトレッド部材9に高発熱性のゴムを用い、タイヤ幅方向中央側の第2のトレッド部材9に低発熱性のゴムを用いるようにすれば、トレッド部1のタイヤ幅方向両側の制駆動性を高めるとともに、トレッド1のタイヤ幅方向中央側の転がり抵抗を低減して低燃費化を図ることができる。
更に、各トレッド部材8,9によって形成される加硫成型前の仮溝1a′のタイヤ径方向の断面積S1 が金型20の溝成型用突部21のタイヤ径方向の断面積S2 に対して70%以上100%以下となるようにしたので、仮溝1a′の断面積S1 が小さすぎて第2のトレッド部材9が溝成型用突部21によって横方向に位置ずれや変形を生ずることがなく、仮溝1a′の断面積S1 が大きすぎてゴム量が不足することもないという利点がある。
また、互いに幅寸法や高さ寸法の異なる複数種類の第1及び第2のトレッド部材を任意に組み合わせるようにすれば、幅方向のサイズやトレッドパターンの異なる複数種類のトレッドを形成する場合に極めて有利である。
1…トレッド部、1a…溝、1a′…仮溝、8…第1のトレッド部材、9…第2のトレッド部材、T…未加硫タイヤ。

Claims (1)

  1. 未加硫タイヤを金型で加硫成型することにより、トレッド部にタイヤ周方向に延びる溝を形成する空気入りタイヤの製造方法において、
    前記第1のトレッド部材及び各第2のトレッド部材を押出成形によって形成するとともに、
    第1のトレッド部材及び各第2のトレッド部材を同時に押出機から押し出しながら第1のトレッド部材と各第2のトレッド部材とを重ね合わせることにより、シート状に形成された第1のトレッド部材のタイヤ径方向外側に、タイヤ周方向に延びる複数の第2のトレッド部材を互いにタイヤ幅方向に間隔をおいて配置し、
    第1のトレッド部材及び各第2のトレッド部材によって形成される加硫成型前の溝のタイヤ径方向の断面積が前記金型の溝成型用突部のタイヤ径方向の断面積に対して70%以上100%以下となるようにして、各第2のトレッド部材の間に前記金型の溝成型用突部が位置するように未加硫タイヤを加硫成型することにより、各第2のトレッド部材の間にトレッド部の溝を形成する
    ことを特徴とする空気入りタイヤの製造方法。
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