JP2013220601A - 未加硫タイヤトレッド及びタイヤトレッドの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】タイヤトレッド内に配設される補強体が金型凸部による加圧時に窪みが発生するように変形することを防止し、タイヤ再更生時に補強体の下部を切削した場合に補強体の一部が切断されないようにすることが可能な未加硫タイヤトレッド及びタイヤトレッドの製造方法を提供する。
【解決手段】内部に補強体を有し、加硫により踏面側に溝が形成される未加硫タイヤトレッドであって、タイヤトレッドの踏面側には、加硫済みタイヤトレッドが有する溝に対応する浅底の凹部が形成される構成とした。
【選択図】図1
【解決手段】内部に補強体を有し、加硫により踏面側に溝が形成される未加硫タイヤトレッドであって、タイヤトレッドの踏面側には、加硫済みタイヤトレッドが有する溝に対応する浅底の凹部が形成される構成とした。
【選択図】図1
Description
本発明は、未加硫タイヤトレッド及びタイヤトレッドの製造方法に関し、特に内部に補強体が配設されたタイヤトレッドに関する。
従来、台タイヤの外周面に加硫済みタイヤトレッドを一体化して形成される更生タイヤの製造方法が知られている。ここで、図8(a)に示すように、タイヤトレッド100は、未加硫のものを加硫して成形される。この加硫過程では、トレッドパターンとしての溝120を金型300の凸部310で加圧して成形している。
しかしながら、上記成形方法にあっては、上記金型300の凸部310の加圧力で上記溝120が形成されるものの、補強体70の一部にも加圧力が作用して、この補強体70が部分的に窪んでしまい、全体としてうねり形状に変形されてしまう。
このため、波打った補強体70が配設されるタイヤトレッドを台タイヤと一体化して更生タイヤを製造した場合、この更生タイヤを長期間使用後、再度更生タイヤとして更生する際にタイヤトレッドに配設される補強体70の下面側を切削して取除くことで新たな台タイヤを形成する必要があるが、補強体70がタイヤの半径方向に波打った状態であることから、補強体70の下面側の切削時に補強体70がうねって下方に突出した部位Tにあらかじめ想定される切削面Zが触れて余分に切削されてしまい、補強体70に薄肉部が生じて補強体70本来の補強機能が損なわれてしまう。金型300の凸部310でタイヤトレッド表面の一部を加圧して溝120を形成したときに補強体70の一部が窪む理由としては、タイヤトレッドの補強体70より上部のゴム厚さが比較的厚いために、この部分が溝120を形成する際に加圧されると、補強体70にも圧力が加わってしまい、補強体70の変形につながることが挙げられる。
このため、特許文献1では、ゴム押出機により押出したリボン状のゴムを直接、あるいはアキュムレータ及びトラバーサを介して巻付体の円周面にらせん状に巻付け、この巻付過程で上記トレッドパターンとしての溝を金型成形で加圧することなく形成するものが提案されているが、リボン状のゴムの巻付けだけでは上記溝が所定の断面形状に保形できにくく、場合によっては、溝の傾斜面が段状となってしまい、排水性の低下を引き起こす問題が懸念される。
しかしながら、上記成形方法にあっては、上記金型300の凸部310の加圧力で上記溝120が形成されるものの、補強体70の一部にも加圧力が作用して、この補強体70が部分的に窪んでしまい、全体としてうねり形状に変形されてしまう。
このため、波打った補強体70が配設されるタイヤトレッドを台タイヤと一体化して更生タイヤを製造した場合、この更生タイヤを長期間使用後、再度更生タイヤとして更生する際にタイヤトレッドに配設される補強体70の下面側を切削して取除くことで新たな台タイヤを形成する必要があるが、補強体70がタイヤの半径方向に波打った状態であることから、補強体70の下面側の切削時に補強体70がうねって下方に突出した部位Tにあらかじめ想定される切削面Zが触れて余分に切削されてしまい、補強体70に薄肉部が生じて補強体70本来の補強機能が損なわれてしまう。金型300の凸部310でタイヤトレッド表面の一部を加圧して溝120を形成したときに補強体70の一部が窪む理由としては、タイヤトレッドの補強体70より上部のゴム厚さが比較的厚いために、この部分が溝120を形成する際に加圧されると、補強体70にも圧力が加わってしまい、補強体70の変形につながることが挙げられる。
このため、特許文献1では、ゴム押出機により押出したリボン状のゴムを直接、あるいはアキュムレータ及びトラバーサを介して巻付体の円周面にらせん状に巻付け、この巻付過程で上記トレッドパターンとしての溝を金型成形で加圧することなく形成するものが提案されているが、リボン状のゴムの巻付けだけでは上記溝が所定の断面形状に保形できにくく、場合によっては、溝の傾斜面が段状となってしまい、排水性の低下を引き起こす問題が懸念される。
そこで本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、未加硫タイヤトレッドの表面に周方向主溝を成形するときに、補強体に加圧力が作用することを抑制するとともに、補強体が変形することを防止し、補強体の一部が台タイヤ形成時の切削時に切除されないようにする未加硫タイヤレッド及びタイヤトレッドの製造方法を提供する。
上記課題を解決するための未加硫タイヤトレッドの構成として、内部に補強体を有する未加硫タイヤトレッドであって、タイヤトレッドの踏面側には、加硫済みタイヤトレッドが有するトレッドパターンとしての溝に対応する凹部が形成される構成とした。
本構成によれば、この凹部により加圧部分のタイヤトレッドの肉厚が薄くなるので、この凹部を溝形成のために加圧したときに、加圧力が補強体に作用することを抑制できるので、タイヤ再更生時に、タイヤトレッドに配設される補強体の一部を切削してしまうおそれがなく、補強体の補強機能を損なうことがない。
本構成によれば、この凹部により加圧部分のタイヤトレッドの肉厚が薄くなるので、この凹部を溝形成のために加圧したときに、加圧力が補強体に作用することを抑制できるので、タイヤ再更生時に、タイヤトレッドに配設される補強体の一部を切削してしまうおそれがなく、補強体の補強機能を損なうことがない。
他の未加硫タイヤトレッドの構成として、凹部の深さが、加硫済みタイヤトレッドの溝の深さよりも浅い構成とした。
本構成によれば、未加硫タイヤトレッドの凹部を金型凸部で加圧するときに深さの浅い凹部全体が加圧力を受けて金型の外形に対応する加硫済みタイヤトレッドの溝が形成される。即ち、凹部の形状の一部が溝の形状に残留するおそれがなくなる。
本構成によれば、未加硫タイヤトレッドの凹部を金型凸部で加圧するときに深さの浅い凹部全体が加圧力を受けて金型の外形に対応する加硫済みタイヤトレッドの溝が形成される。即ち、凹部の形状の一部が溝の形状に残留するおそれがなくなる。
他の未加硫タイヤトレッドの構成として、タイヤトレッドの非踏面から補強体の下面までの厚さが、凹部の底面から補強体の表面までの厚さよりも薄く設定される構成とした。
本構成によれば、補強体下部側のゴム部材が薄肉であるので、補強体の変形をより効果的に防止することができる。
本構成によれば、補強体下部側のゴム部材が薄肉であるので、補強体の変形をより効果的に防止することができる。
他の未加硫タイヤトレッドの構成として、凹部の踏面側の開口幅が、加硫済みタイヤトレッドの溝の踏面側の開口幅よりも大きい構成とした。
本構成によっても、金型の凸部とタイヤトレッドの凹部との間の空気を加圧中に外部へと追い出すことができ、加硫済みタイヤトレッドに空気が混入する可能性を低減することができる。
本構成によっても、金型の凸部とタイヤトレッドの凹部との間の空気を加圧中に外部へと追い出すことができ、加硫済みタイヤトレッドに空気が混入する可能性を低減することができる。
他の未加硫タイヤトレッドの構成として、ゴム部材を巻付部材の円形外周面に巻付け積層されて形成された継ぎ目のない円環状である構成とした。
本構成によれば、巻付部材が剛体コアよりなるため、タイヤトレッドを巻付け成形後、そのまま加硫装置で加硫しつつ金型成形できるので、加硫,成形の作業効率が良好となり、しかも加硫後のタイヤトレッドが台タイヤから剥離し難くなる。
本構成によれば、巻付部材が剛体コアよりなるため、タイヤトレッドを巻付け成形後、そのまま加硫装置で加硫しつつ金型成形できるので、加硫,成形の作業効率が良好となり、しかも加硫後のタイヤトレッドが台タイヤから剥離し難くなる。
他の未加硫タイヤトレッドの構成として、補強体が、有機繊維のコードを含み、コードが、タイヤトレッドの円周方向に沿って配置される構成とした。
本構成によれば、補強体の剛性を向上することができ、補強体が変形することをより効果的に防止することが可能となる。
また、補強体の補強コードの有機繊維は、伸縮性や復元力が高いので、補強体が変形してしまうことをより確実に防止することが可能となる。
本構成によれば、補強体の剛性を向上することができ、補強体が変形することをより効果的に防止することが可能となる。
また、補強体の補強コードの有機繊維は、伸縮性や復元力が高いので、補強体が変形してしまうことをより確実に防止することが可能となる。
以下、実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また、実施の形態の中で説明される特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1に示すように更生タイヤ3は、加硫済みタイヤトレッド10と、台タイヤ4とを接着層としての未加硫のクッションゴム5により一体化することにより形成される。
加硫済みタイヤトレッド10は、踏面1B側に円周方向に沿って連続して形成される複数の周方向主溝12と、加硫済みタイヤトレッド10内の非踏面1A側に配設される補強体7とを有する。
ここで補強体7は、加硫済みタイヤトレッド10の幅方向に延長し、加硫済みタイヤトレッド10の円周方向に沿って配設される。補強体7は、複数の補強コード8を、天然ゴムや合成ゴム等からなる補強ゴム9に接着,一体化してコーティングすることにより形成される。補強コード8は、補強体7と同様に、加硫済みタイヤトレッド10の円周方向に沿って延長し、例えばポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、セルロース系繊維等のいわゆる有機繊維により形成される。また、補強体7は、更生タイヤ3の土台となる台タイヤ4に内挿されるベルト層15と同様に、タガ効果を発揮する拘束部材であるとともに、ベルト層15に対して外傷が生じることを防止する。
加硫済みタイヤトレッド10は、踏面1B側に円周方向に沿って連続して形成される複数の周方向主溝12と、加硫済みタイヤトレッド10内の非踏面1A側に配設される補強体7とを有する。
ここで補強体7は、加硫済みタイヤトレッド10の幅方向に延長し、加硫済みタイヤトレッド10の円周方向に沿って配設される。補強体7は、複数の補強コード8を、天然ゴムや合成ゴム等からなる補強ゴム9に接着,一体化してコーティングすることにより形成される。補強コード8は、補強体7と同様に、加硫済みタイヤトレッド10の円周方向に沿って延長し、例えばポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、セルロース系繊維等のいわゆる有機繊維により形成される。また、補強体7は、更生タイヤ3の土台となる台タイヤ4に内挿されるベルト層15と同様に、タガ効果を発揮する拘束部材であるとともに、ベルト層15に対して外傷が生じることを防止する。
台タイヤ4は、通常、使用済みタイヤのタイヤトレッドを切削し、表面をバフ掛けして成形したものであり、円環状に形成されたスチールコードの集合体により形成される一対のビードコア13と、台タイヤ4の骨格を形成するカーカス14と、複数のベルトが半径外方向に積層された前記ベルト層15とを有する。なお、ベルト層15の上部側のベルトを台タイヤ表面に露出する場合もある。
上述したように、加硫済みタイヤトレッド10を台タイヤ4に一体化して製造される更生タイヤ3を使用した後、さらに再更生する場合には、治具により半径方向最外の加硫済みタイヤトレッド10に相当する部分を台タイヤ4から切削,除去したものが用いられる。そして、加硫済みタイヤトレッド10に相当する部分が切削,除去された台タイヤ4の貼付面4Aに、新たな加硫済みタイヤトレッド10を貼付して更生タイヤ3を形成する。
なお、台タイヤ4としては、加硫済みタイヤトレッド10が存在していないトレッド面(貼付面)4Aが略弓状となった新品タイヤが用いられることもある。
上述したように、加硫済みタイヤトレッド10を台タイヤ4に一体化して製造される更生タイヤ3を使用した後、さらに再更生する場合には、治具により半径方向最外の加硫済みタイヤトレッド10に相当する部分を台タイヤ4から切削,除去したものが用いられる。そして、加硫済みタイヤトレッド10に相当する部分が切削,除去された台タイヤ4の貼付面4Aに、新たな加硫済みタイヤトレッド10を貼付して更生タイヤ3を形成する。
なお、台タイヤ4としては、加硫済みタイヤトレッド10が存在していないトレッド面(貼付面)4Aが略弓状となった新品タイヤが用いられることもある。
加硫済みタイヤトレッド10は、図2,図3に示すように、未加硫のゴム部材11よりなる未加硫タイヤトレッド(いわゆる生タイヤトレッド)1を下金型としての剛体コア24とトレッド上金型30とで加硫,成形することにより形成される。各図において、未加硫タイヤトレッド1は、未加硫のゴム部材11よりなるベースゴム6と、上述した補強体7と、踏面1B側に形成される複数の凹部2とを有する。
この場合、未加硫タイヤトレッド1の踏面1Bには、図1,図5に示す加硫,成形後の加硫済みタイヤトレッド10の周方向主溝12に対応して、あらかじめ台タイヤ4の円周方向に沿って、略断面視V字状の凹部2が形成される。この凹部2に、後述するようにトレッド上金型30を剛体コア24に押圧合体させてトレッド上金型30より突出する断面視U字状の金型凸部31を先端から除々加圧して、図1,図5に示す所定のトレッドパターンをなす周方向主溝12等を含む溝を形成する。
なお、トレッド上金型30,下金型としての剛体コア24は、加硫装置を構成するものであって、図外の加熱手段により加熱されることで、未加硫タイヤトレッド1は、加硫されつつ、金型凸部31による凹部2の加圧により未加硫タイヤトレッド1の踏面1Bに周方向主溝12を形成する。
なお、トレッド上金型30,下金型としての剛体コア24は、加硫装置を構成するものであって、図外の加熱手段により加熱されることで、未加硫タイヤトレッド1は、加硫されつつ、金型凸部31による凹部2の加圧により未加硫タイヤトレッド1の踏面1Bに周方向主溝12を形成する。
この場合、図3,図5に示すように、未加硫タイヤトレッド1の凹部2の踏面1Bに対する深さD1は、加硫済みタイヤトレッド10の周方向主溝12の踏面1Bに対する深さD11よりも浅く形成される。ここで、深さD1は、未加硫タイヤトレッド1における各凹部2の最深底面B1までの深さであり、深さD11は、加硫済みタイヤトレッド10における周方向主溝12の最深底面B11の深さである。
また、未加硫タイヤトレッド1における凹部2の踏面1B側の開口幅W1は、加硫済みタイヤトレッド10における周方向主溝12の踏面1B側の開口幅W11よりも広く形成される。
加硫済みタイヤトレッド10の周方向主溝12は、金型凸部31の外形を反転して形成されたものであり、金型凸部31は周方向主溝12と同一形状で深さD11と同じ長さ、開口幅W11と同じ根元側の幅を有する。
また、未加硫タイヤトレッド1における凹部2の踏面1B側の開口幅W1は、加硫済みタイヤトレッド10における周方向主溝12の踏面1B側の開口幅W11よりも広く形成される。
加硫済みタイヤトレッド10の周方向主溝12は、金型凸部31の外形を反転して形成されたものであり、金型凸部31は周方向主溝12と同一形状で深さD11と同じ長さ、開口幅W11と同じ根元側の幅を有する。
このように、未加硫タイヤトレッド1における凹部2の深さD1を、金型凸部31で加圧して形成される加硫済みタイヤトレッド10における周方向主溝12の深さD11よりも浅く設定することにより、トレッド上金型30に形成される金型凸部31が周方向主溝12を型付けする際に、凹部2全体が金型凸部31で加圧されるので、凹部2の形状が残ることなく、周方向主溝12が正確に形成される。
また、未加硫タイヤトレッド1における各凹部2の開口幅W1が、加硫済みタイヤトレッド10における各周方向主溝12の開口幅W11の長さよりも広く設定されることにより、トレッド上金型30に形成される金型凸部31が周方向主溝12を型付けする際に、トレッド上金型30の金型凸部31と未加硫タイヤトレッド1の凹部2との間に隙間が形成されつつ加圧され、加圧時に空気が外部に逃げるので、加硫済みタイヤトレッド10に空気が押込まれて混入することを防止することができる。
次に、図4を用いて、金型凸部31を未加硫タイヤトレッド1の凹部2に嵌入して周方向主溝12を形成する挙動を説明する。図4(a)において、トレッド上金型30の下降に伴い、金型凸部31が凹部2に近接し、図4(b)で示すように、金型凸部31が凹部2の最深底面B1に着地する。図4(c)では、金型凸部31の先端が徐々に上記最深底面B1から未加硫タイヤトレッド1中に入り込み、図4(d)においては、金型凸部31が、未加硫タイヤトレッド1の凹部2内に完全に嵌り込むことで、加硫済みタイヤトレッド10に周方向主溝12が形成される。
図4(b)に示すように、開口幅W1が広く設定されているため、金型凸部31の先端が凹部2の最深底面B1に最初に着地し、空気を外方に追い出しながら図4(c),図4(d)に示すように徐々に凹部2に嵌入していくので、空気を未加硫タイヤトレッド1中に押し込むおそれがない。金型凸部31が加圧され凹部2に嵌入する過程で、凹部2は比較的浅いので、凹部2の開口側は徐々に小幅となるように縮小変形し、金型凸部31の根元側に密着し、凹部2の開口側は金型凸部31の外形と同一となり、金型凸部31との間に、間隙が発生することがなく、金型凸部31を引抜くことで、金型凸部31と同形の周方向主溝12が形成される。
本構成によれば、凹部2の深さD1を、加硫済みタイヤトレッド10における周方向主溝12の深さD11よりも浅く形成したので、この凹部2を周方向主溝12を形成するために加圧したときに、加圧力が補強体7にほとんど作用することがなくなり、補強体7が波打つように変形することを防止できる。したがって、補強体7の波打ち変形を防止することができるので、更生タイヤ3の再更生時に未加硫タイヤトレッド1に配設される補強体7の一部を切削してしまうおそれがなく、補強体7の機能を損なうことがない。
図3において、未加硫タイヤトレッド1は、厚さL1が、厚さL2よりも薄い寸法に設定される。ここで、厚さL1は、ベースゴム6の肉厚寸法、厚さL2は、未加硫タイヤトレッド1のゴム部材11における各凹部2の最深底面B1から、ゴム部材11の下面(補強体7の表面)までの厚さである。
このように、厚さL1を厚さL2よりも薄く設定することにより、ベースゴム6の方が、凹部2の下部のゴム部材11より弾性力が小さいので、金型凸部31により凹部2側が押圧力を受けてもベースゴム6が撓みにくく、補強体7の窪み変形を効果的に低減することが可能となる。
このように、厚さL1を厚さL2よりも薄く設定することにより、ベースゴム6の方が、凹部2の下部のゴム部材11より弾性力が小さいので、金型凸部31により凹部2側が押圧力を受けてもベースゴム6が撓みにくく、補強体7の窪み変形を効果的に低減することが可能となる。
また、本実施形態によれば、補強体7が、未加硫タイヤトレッド1の円周方向に沿って配列される補強コード8を含むので、補強体7自体の剛性を向上することができ、トレッド上金型30の加圧により周方向主溝12が形成された場合であっても、補強体7が波打つことを防止することができる。
さらに、補強体7の補強コード8が、伸縮性や復元力の高い有機繊維により形成されるので、トレッド上金型30の加圧により周方向主溝12が形成された場合であっても、補強体7が波打つことを確実に防止することができる。
さらに、補強体7の補強コード8が、伸縮性や復元力の高い有機繊維により形成されるので、トレッド上金型30の加圧により周方向主溝12が形成された場合であっても、補強体7が波打つことを確実に防止することができる。
また、本実施形態において、補強体7は、補強コード8及び補強ゴム9により形成されるとしたが、必ずしも補強コード8を補強ゴム9と一体化する必要はなく、ベースゴム6の表面に対して補強コード8を直接貼り付けてもよい。
また、補強コード8は、円周方向に沿って延長する形態としたが、これに限定されない。例えば、補強コード8を未加硫タイヤトレッド1の周方向に沿って所定の角度傾斜した状態で配列することや、未加硫タイヤトレッド1の周方向に蛇行するように形成することにより、補強体7の剛性をより向上させることが可能となる。
また、補強コード8は、円周方向に沿って延長する形態としたが、これに限定されない。例えば、補強コード8を未加硫タイヤトレッド1の周方向に沿って所定の角度傾斜した状態で配列することや、未加硫タイヤトレッド1の周方向に蛇行するように形成することにより、補強体7の剛性をより向上させることが可能となる。
次に、未加硫タイヤトレッド1を環状とする方法について説明する。
まず第1の方法として、幅がトレッドの幅と同一で、補強体7を含み、所定の厚さを有する多層のシート状の一定長さに形成された1枚のゴム部材を、剛体コア24の円形外周面に巻付けて、このゴム部材の両端を加硫,金型成形で接合する方法がある。上記ゴム部材には、凹部2があらかじめ形成され、加硫,金型成形により、金型凸部31で上記凹部2を加圧して周方向主溝12を形成する。これによれば、一定長さのタイヤトレッドとしてのゴム部材11を巻付体である剛体コア24の円形外周面に巻付けてからゴム部材11の両端同士を接合して継ぎ目を形成するだけで環状に形成できるので、作業が容易となる。この方法により、継ぎ目が形成された未加硫タイヤトレッド1が形成される。
まず第1の方法として、幅がトレッドの幅と同一で、補強体7を含み、所定の厚さを有する多層のシート状の一定長さに形成された1枚のゴム部材を、剛体コア24の円形外周面に巻付けて、このゴム部材の両端を加硫,金型成形で接合する方法がある。上記ゴム部材には、凹部2があらかじめ形成され、加硫,金型成形により、金型凸部31で上記凹部2を加圧して周方向主溝12を形成する。これによれば、一定長さのタイヤトレッドとしてのゴム部材11を巻付体である剛体コア24の円形外周面に巻付けてからゴム部材11の両端同士を接合して継ぎ目を形成するだけで環状に形成できるので、作業が容易となる。この方法により、継ぎ目が形成された未加硫タイヤトレッド1が形成される。
第二の方法としては、図6に示すように、回転手段21で回転可能な剛体コア24の円形外周面に押出機22のノズル23より、リボン状のゴム部材11を押出して、剛体コア24に巻付け,積層して未加硫タイヤトレッド1を得る方法が挙げられる。具体的には、同方法でベースゴム6を形成し、その上に補強体7を配置してから、再度ゴム部材11を巻付ける。このゴム部材11を巻付ける過程でリボン状の巻付空間をV字状の凹部2とすることで、凹部2を形成できる。凹部2を形成してから、剛体コア24を加硫装置に供給し、トレッド上金型30の金型凸部31を用いて周方向主溝12を形成する。この方法によれば、環状に成形された未加硫タイヤトレッド1に継ぎ目が生じることがないので、未加硫タイヤトレッド1の外周を平滑化でき、走行が円滑となる。
上記巻付方法では、未加硫タイヤトレッド1を剛体コア24から脱離することなく、未加硫タイヤトレッド1が巻付けられた剛体コア24をそのまま加硫装置に供給して未加硫タイヤトレッド1を加硫,金型成形できるので、加硫,成形作業が容易となる。
なお、凹部2の形成方法としては、リボンの巻付け過程と同時に形成することに限定されず、巻付け完了後、リボンを接着剤で固めて未加硫タイヤトレッド1を形成し、未加硫タイヤトレッド1の踏面1Bに切欠きにより凹部2を形成してもよい。また、ゴム部材11が押出直後は軟化しているので、これを冷却しないまま巻付けて、固まり状の未加硫タイヤトレッド1を得たのち、当該未加硫タイヤトレッド1の踏面1BをV字状に切欠いて、凹部2を形成してもよい。
なお、凹部2の形成方法としては、リボンの巻付け過程と同時に形成することに限定されず、巻付け完了後、リボンを接着剤で固めて未加硫タイヤトレッド1を形成し、未加硫タイヤトレッド1の踏面1Bに切欠きにより凹部2を形成してもよい。また、ゴム部材11が押出直後は軟化しているので、これを冷却しないまま巻付けて、固まり状の未加硫タイヤトレッド1を得たのち、当該未加硫タイヤトレッド1の踏面1BをV字状に切欠いて、凹部2を形成してもよい。
次に、加硫済みタイヤトレッド10を台タイヤ4と接合することにより製品タイヤ(更生タイヤ)3として成形する方法について再度図1を用いて概説する。
加硫成形を終えた加硫済みタイヤトレッド10は、貼付工程及び加硫工程を経て、製品タイヤ(更生タイヤ)3として成形される。加硫済みタイヤトレッド10と接合される台タイヤ4は、バフ掛け工程においてあらかじめ台タイヤ4の外周面が図外のバフ掛け機によって研磨され、表面のゴムが目粗しされた状態の貼付面4Aが形成される。
加硫成形を終えた加硫済みタイヤトレッド10は、貼付工程及び加硫工程を経て、製品タイヤ(更生タイヤ)3として成形される。加硫済みタイヤトレッド10と接合される台タイヤ4は、バフ掛け工程においてあらかじめ台タイヤ4の外周面が図外のバフ掛け機によって研磨され、表面のゴムが目粗しされた状態の貼付面4Aが形成される。
トレッド貼付工程においては、台タイヤ4を保持する図外のタイヤ保持手段に対して台タイヤ4に内圧を加えた状態で保持させ、貼付面4Aに対して接着層としての未加硫のクッションゴム5を塗布,貼着し、当該クッションゴム5を介して加硫済みタイヤトレッド10を台タイヤ4の貼付面4Aに配置する。具体的には、円環状の加硫済みタイヤトレッド10の直径を台タイヤ4の直径よりも拡径した状態で台タイヤ4の外周面に配置する。
加硫済みタイヤトレッド10が配置された台タイヤ4は、加硫缶と呼ばれる加硫装置に搬入され、台タイヤ4と加硫済みタイヤトレッド10との間に介在する未加硫のクッションゴム5が加硫される。これにより台タイヤ4と加硫済みタイヤトレッド10とが一体化され、製品としての性能を発揮し得る製品タイヤ(更生タイヤ)3として製造される。
加硫済みタイヤトレッド10が配置された台タイヤ4は、加硫缶と呼ばれる加硫装置に搬入され、台タイヤ4と加硫済みタイヤトレッド10との間に介在する未加硫のクッションゴム5が加硫される。これにより台タイヤ4と加硫済みタイヤトレッド10とが一体化され、製品としての性能を発揮し得る製品タイヤ(更生タイヤ)3として製造される。
図7は、金型凸部31の他の実施形態を示す図である。本実施形態において、金型凸部31は、断面視台形状である点で上記実施形態と異なる。
本実施形態においても、凹部2の踏面1B側の開口幅W1は、加硫済みタイヤトレッド10における周方向主溝12の踏面1B側の開口幅W11、即ち、金型凸部31の開口幅W11よりも広く形成される。また、凹部2の踏面1Bに対する深さD1は、加硫済みタイヤトレッド10の周方向主溝12の踏面1Bに対する深さD11、即ち、金型凸部31の深さD11よりも浅く形成される。
よって、金型凸部31が、周方向主溝12を形成するときに、凹部2内に入り込み、金型凸部31の加圧力が補強体7に対してほとんど作用することがないので、補強体7が波打つように変形することを防止でき、補強体7の機能を損なうことがない。
本実施形態においても、凹部2の踏面1B側の開口幅W1は、加硫済みタイヤトレッド10における周方向主溝12の踏面1B側の開口幅W11、即ち、金型凸部31の開口幅W11よりも広く形成される。また、凹部2の踏面1Bに対する深さD1は、加硫済みタイヤトレッド10の周方向主溝12の踏面1Bに対する深さD11、即ち、金型凸部31の深さD11よりも浅く形成される。
よって、金型凸部31が、周方向主溝12を形成するときに、凹部2内に入り込み、金型凸部31の加圧力が補強体7に対してほとんど作用することがないので、補強体7が波打つように変形することを防止でき、補強体7の機能を損なうことがない。
以下、上記実施形態に係る製造方法により製造された加硫済みタイヤトレッド10に内挿される補強体7の波打ち量Mの結果を説明する。
図8(a)は、従来の製造方法により製造されたタイヤトレッド100に内挿される補強体70を示す比較例である。同図に示すように、補強体70は、半径方向に大きく波打ち変形していることが分かる。
また、図8(c)に示すように比較例における補強体70の波打ち量Mは、3.0mmである。ここで、補強体70の波打ち量Mは、補強体70のうち、最も半径方向外側の位置と、最も半径方向内側に波打った位置との間の長さにより求めた。なお、波打ち量Mの値は、小さいほど補強体7が波打っていないことを示している。
図8(a)は、従来の製造方法により製造されたタイヤトレッド100に内挿される補強体70を示す比較例である。同図に示すように、補強体70は、半径方向に大きく波打ち変形していることが分かる。
また、図8(c)に示すように比較例における補強体70の波打ち量Mは、3.0mmである。ここで、補強体70の波打ち量Mは、補強体70のうち、最も半径方向外側の位置と、最も半径方向内側に波打った位置との間の長さにより求めた。なお、波打ち量Mの値は、小さいほど補強体7が波打っていないことを示している。
図8(b)は、本実施形態の製造方法を適用した加硫済みタイヤトレッド10に内挿される補強体7を示す実施例である。同図に示すように、周方向主溝12が形成される位置に対応する部分の補強体7は、半径方向に僅かに波打ち変形しているものの、加硫前後でほとんど変化がないことが分かる。
また、図8(c)に示すように実施例における補強体7の波打ち量Mは、1.0mmであり、比較例よりも極めて小さい値であることが分かる。なお、補強体7の波打ち量Mは、上記同様、補強体7のうち、最も半径方向外側の位置と、最も半径方向内側に波打った位置との間の長さにより求めた。
以上により、本実施形態の製造方法を適用することで、補強体7の波打ち量Mが約67%改善されたことが確認された。
また、図8(c)に示すように実施例における補強体7の波打ち量Mは、1.0mmであり、比較例よりも極めて小さい値であることが分かる。なお、補強体7の波打ち量Mは、上記同様、補強体7のうち、最も半径方向外側の位置と、最も半径方向内側に波打った位置との間の長さにより求めた。
以上により、本実施形態の製造方法を適用することで、補強体7の波打ち量Mが約67%改善されたことが確認された。
1 未加硫タイヤトレッド、2 凹部、3 更生タイヤ、4 台タイヤ、
5 クッションゴム、6 ベースゴム、7 補強体、8 補強コード、9 補強ゴム、
10 加硫済みタイヤトレッド、11 ゴム部材、12 周方向主溝、
24 剛体コア、30 トレッド上金型、31 金型凸部。
5 クッションゴム、6 ベースゴム、7 補強体、8 補強コード、9 補強ゴム、
10 加硫済みタイヤトレッド、11 ゴム部材、12 周方向主溝、
24 剛体コア、30 トレッド上金型、31 金型凸部。
Claims (14)
- 内部に補強体を有し、加硫により踏面側に溝が形成される未加硫タイヤトレッドであって、
前記タイヤトレッドの踏面側には、加硫済みタイヤトレッドが有する溝に対応する凹部が形成されることを特徴とする未加硫タイヤトレッド。 - 前記凹部の深さが、前記加硫済みタイヤトレッドの溝の深さよりも浅いことを特徴とする請求項1記載の未加硫タイヤトレッド。
- 前記タイヤトレッドの非踏面から前記補強体の下面までの厚さが、前記凹部の底面から前記補強体の表面までの厚さよりも薄く設定されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の未加硫タイヤトレッド。
- 前記凹部の踏面側の開口幅が、前記加硫済みタイヤトレッドの溝の踏面側の開口幅よりも大きく形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の未加硫タイヤトレッド。
- 前記タイヤトレッドが、ゴム部材を巻付部材の円形外周面に巻付け積層されて形成された継ぎ目のない円環状であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の未加硫タイヤトレッド。
- 前記補強体が、有機繊維のコードを含み、
前記コードが、タイヤトレッドの円周方向に沿って配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の未加硫タイヤトレッド。 - 非踏面側に補強体を設けた未加硫タイヤトレッドを加硫しつつ、踏面に溝を金型により加圧成形してタイヤトレッドを製造する方法であって、
前記未加硫タイヤトレッドの踏面側に、前記溝に対応する凹部をあらかじめ形成する工程を含むタイヤトレッドの製造方法。 - 前記凹部の深さを、加硫済みタイヤトレッドの前記溝の深さよりも浅く形成することを特徴とする請求項7記載のタイヤトレッドの製造方法。
- 前記タイヤトレッドの非踏面から前記補強体の下面までの厚さを、前記凹部の底面から前記補強体の表面までの厚さよりも薄く設定することを特徴とする請求項7または請求項8に記載のタイヤトレッドの製造方法。
- 前記凹部の踏面側の開口幅を、加硫済みタイヤトレッドの前記溝の踏面側の開口幅よりも大きく形成することを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれかに記載のタイヤトレッドの製造方法。
- 前記未加硫タイヤトレッドを、ゴム部材を巻付部材の円形外周面に巻付け積層することにより円環状に形成することを特徴とする請求項7乃至請求項10のいずれかに記載のタイヤトレッドの製造方法。
- 前記巻付部材は、剛体コアよりなることを特徴とする請求項11に記載のタイヤトレッドの製造方法。
- 前記補強体が、タイヤトレッドの円周方向に沿って配置される補強コードを含むことを特徴とする請求項7乃至請求項12のいずれかに記載のタイヤトレッドの製造方法。
- 前記補強コードを、有機繊維により形成することを特徴とする請求項13に記載のタイヤトレッドの製造方法。
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JP2012093920A JP2013220601A (ja) | 2012-04-17 | 2012-04-17 | 未加硫タイヤトレッド及びタイヤトレッドの製造方法 |
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JP2018008406A (ja) * | 2016-07-12 | 2018-01-18 | 住友ゴム工業株式会社 | 空気入りタイヤの製造方法 |
-
2012
- 2012-04-17 JP JP2012093920A patent/JP2013220601A/ja active Pending
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