JP5947019B2 - タイヤ - Google Patents
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Description
加硫装置内に投入されたグリーンタイヤは、ブラダーと呼ばれる押圧手段によりトレッドゴム層の表面が金型側に押圧された状態で加熱され、トレッドゴム層が金型に形成された所定形状の複数の凹部に流れ込むことにより、タイヤの回転方向に沿って互いに所定の間隔をもって突出する複数のラグを有するラグ付きタイヤが形成される。
また、上記製造方法においては、トレッドゴム層の一部のゴムが金型内に流れ込むことによりラグ付きタイヤのタイヤ本体とラグとが一体的に成型されることから、ラグ同士のゴム質を自在に変更することや、ラグの形成箇所及び円周方向に対する傾斜角度等を任意に設定することができず、より高いトラクション性能を有するタイヤ等の種々の用途に応じたラグ付きタイヤの設計が困難であった。
本構成によれば、ラグ部材が、タイヤケースと個別に形成されていることによって、タイヤに内挿されるベルトの波打ちによってタイヤの内面やサイド部に凹凸が生じることを確実に防止することができる。
また、ラグ部材とタイヤケースとが個別に形成されていることから、タイヤケース自体の形状、及び、ラグ部材自体の形状を個別に設定することが可能となるとともに、ラグ部材をタイヤケースのラグ貼付面に配置する際の位置(ピッチ)及び円周方向に対する傾斜角度を容易に変更することができ、タイヤを設計する際の自由度を向上させることができる。
また、タイヤケース上に配置される複数のラグ部材がゴム質の異なる2種類以上のラグ部材を含むことから、使用環境や用途に応じて充分な性能を発揮するタイヤを得ることが可能となる。
なお、上記発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となり得る。
同図においてラグ付きタイヤ10は、概略、タイヤの土台となるタイヤ本体部11と、タイヤ本体部11の外周面11A上において円周方向に沿って互いに所定の間隔離間して形成された複数のラグ15とから構成される。
本実施形態におけるラグ付きタイヤ10は、タイヤ本体部11に対応する加硫済みのタイヤケース21と、ラグ15に対応する加硫済みのラグ部材25とを後述のクッションゴム30を介して加硫装置内で一体化することにより形成される。以下、図1及び図2を参照し、本実施形態におけるタイヤケース21及びラグ部材25の構造について説明する。
同図に示すように、タイヤケース21は、概略、一対のビードコア12;12の周囲において折り返され、ビードコア12;12の間をトロイダル状に跨って延長し、サイド部Ts及びトレッド部Ttを形成するカーカスプライ13、トレッド部Ttにおいてカーカスプライ13上に積層されたベルト14、及び、半径方向最外に位置する最外ゴム16を備える。カーカスプライ13及びベルト14は、未加硫のゴムシートに有機繊維やスチールコードを埋設して形成され、製造対象となるタイヤの種類に応じて材質や枚数等を適宜選択することが可能である。なお、説明の便宜上、トレッド部Tt及びサイド部Tsを規定したが、トレッド部Tt及びサイド部Tsの範囲は、タイヤの用途,種別,サイズ等によって異なるものであり、さらに細分化した領域に設定することも可能である。
また、ラグ部材25の踏面27は、路面と接地する面であって、タイヤケース21と一体化された状態において、タイヤケース21のセンター付近からショルダー側にかけて徐々に半径方向内側に傾斜する面として形成される。なお、ラグ部材25の全体形状は、上記例に限られるものではなく、製造対象となるタイヤの種類や用途に応じて適宜変更可能である。
図2(a)に示すように、加硫済みのタイヤケース21は、切削工程において、例えば予め加硫成型された新品タイヤケースの外周面や、使用済みタイヤのラグを図外の切削装置によって切削することにより形成される。切削工程を経たタイヤケース21の外周面のうち、加硫済みのラグ部材25が貼付される位置には、ラグ貼付面21Aが形成される。ラグ貼付面21Aは、タイヤケース21の円周方向に沿って所定の間隔をもって形成される。ラグ貼付面21Aは、ラグ部材25を貼付可能な面であって、後述する未加硫のクッションゴム30が定着しやすいように目粗しされた状態である。
なお、本実施形態では、ラグ貼付面21Aに対してクッションゴム30を配置する形態として説明したが、クッションゴム30をラグ部材25の非踏面26側に貼付してから、クッションゴム30が貼付されたラグ部材25をラグ貼付面21Aに配置してもよい。
ラグ貼付工程を経て予備的に一体化されたタイヤケース21及びラグ部材25は、加硫工程へと搬送される。加硫工程は、未加硫のクッションゴム30を加硫することにより予備的に一体化されたタイヤケース21と複数のラグ部材25とを強固に結合して一体化する工程である。
加硫工程においては、まず、クッションゴム30を介して予備的に一体化されたタイヤケース21とラグ部材25とをエンベロープ31に投入する。エンベロープ31は、タイヤケース21とラグ部材25とを外周から被服可能な袋体であって、エンベロープ31を密栓した状態で内部の空気を吸引して減圧することによりラグ部材25の非踏面26をタイヤケース21のラグ貼付面21Aに押し付ける。
所定の圧力及び温度下で所定時間の加硫が終了すると、タイヤケース21及びラグ部材25は、クッションゴム30の架橋反応により一体化され、冷却時間を経た後に製品としての性能を発揮し得る製品タイヤとしてのラグ付きタイヤ10が完成する。
また、タイヤケース21とラグ部材25とを予め個別に加硫成型することにより、タイヤケース21及びラグ部材25の形状や、タイヤケース21のラグ貼付面21Aにラグ部材25を配置する際の位置及び傾斜角度を自在に設定することができ、タイヤを設計する際の自由度を向上させることができる。その一例としては、タイヤケース21の最外ゴム16の厚さを通常よりも薄く設定することにより、回転(使用)中にラグ付きタイヤ10の内部に生じる熱を外部へと逃がし易くすることが可能となる。
図3は、タイヤケース21´とラグ部材25とを加硫接着する加硫装置40の断面図である。本実施形態に係るラグ付きタイヤ10は、未加硫のタイヤケース21´を加硫装置40において加硫接着する点で上記実施形態と異なる。即ち、本実施形態におけるラグ付きタイヤ10は、未加硫のタイヤケース21´のラグ貼付面21A´に対し、予め加硫成型されたラグ部材25を加硫装置40内において加硫接着することにより成型される。
ブラダー47には、加硫時に高温高圧の加熱媒体が図外の熱源供給装置から供給される。加熱媒体が供給されるとブラダー47は、タイヤケース21´の内部において、タイヤケース21´の内周面に沿って密着しながら外側に膨張する。これにより、下金型42、下ビードリング43、上金型44、上ビードリング46及び後述のトレッド金型48によって形成される加硫空間内に配置されたタイヤケース21´は、加硫時にブラダー47の膨張に伴って、下金型42、下ビードリング43、上金型44、上ビードリング46及びトレッド金型48に押し付けられながら加熱され、トレッド金型48の凹部55内に予め嵌め込まれたラグ部材25と加硫接着される。
各トレッド金型48の内周面には、タイヤケース21´の外周面と対向する型付面48Aと、予め加硫成形されたラグ部材25が嵌め込まれる単数又は複数の凹部55が形成される。なお、凹部55の数は、ラグ部材25の間隔によって適宜設定可能である。
型付面48Aは、トレッド部Ttの幅方向端部から幅方向中央位置まで延長する面である。型付面48Aは、タイヤケース21´の外周面を囲繞するように湾曲した面として形成され、加硫完了後におけるタイヤ本体部11の外周面11Aを形成する面である。
つまり、傾斜面49Aと傾斜面50Bとは、同一勾配の傾斜面であって、加硫開始動作に伴って昇降機構52が降下を開始し、固定盤51を介して一体的に取り付けられたアウターリング50の傾斜面50Bがトレッドセグメント49の傾斜面49Aと摺接することにより、複数のトレッドセグメント49が径方向内側に縮径され、トレッド金型48がタイヤケース21´の外周面を囲繞した状態となる。一方で、加硫が終了し、昇降機構52が上昇を開始すると、複数のトレッドセグメント49が径方向外側に拡径され、タイヤケース21´がトレッド金型48より開放された状態となり加硫完了後のラグ付きタイヤ10を脱型することができる。
加硫空間内に収容された未加硫のタイヤケース21´、及び、予め凹部55内に嵌め込まれた加硫済みのラグ部材25は、下プラテン41、上プラテン45及びアウターリング50から供給される熱によって徐々に加硫が進行し、タイヤケース21´のラグ貼付面21A´と接する複数のラグ部材25がタイヤケース21´の円周方向に沿って加硫接着され、加硫完了後にはタイヤケース21´とラグ部材25とが一体化されたラグ付きタイヤ10を得ることができる。
図4(a)は、図1におけるラグ付きタイヤ10のラグ15を拡大して示す斜視図であって、後述するラグ15の他の形成パターンと比較するために示す。同図に示すように、タイヤ本体部11の外周面11Aには、図1中に示すラグ15に対応するラグ15Aが円周方向に沿って複数形成される。ラグ15Aは、タイヤ本体部11の円周方向に対して所定の角度傾斜し、ラグ15A同士の間隔が均等となるように一定間隔(ピッチ)で形成される。また、ラグ15Aは、タイヤ本体部11と同一のゴム質(組成)からなるゴムにより構成され、タイヤ本体部11と同等の硬度を有する。
本変形例に示すように、ラグ15Aと、ラグ15Aよりも高い硬度を有するラグ15Bとが交互に形成されることにより、ラグ付きタイヤ10の耐摩耗性を向上させることができ、所望の摩擦係数に設定することが可能となる。
即ち、ラグ15Aは、図4(a)と同様に、外周面11Aに沿って所定の角度傾斜した状態で複数形成される。また、ラグ15Aは、外周面11Aのセンター付近から、ショルダー(幅方向両端)まで形成される。これに対して、ラグ15Aよりも高い硬度を有するラグ15Bは、外周面11Aの円周方向に対し直交した(横向き)状態で形成され、一対のラグ15A;15Aと互い違いとなるように形成される。また、ラグ15Bは、外周面11Aのセンター付近に形成され、ラグ15Bの踏面27は、センター付近からショルダー側にかけて徐々に半径方向内側に傾斜する。
本変形例に示すように、ラグ付きタイヤ10のセンター付近に高い硬度を有するラグ15Bを形成したことにより、摩耗の激しいセンター付近の耐摩耗性をより向上することが可能となる。
本変形例に示すように、円周方向に対するラグ15Aの傾斜角度を大きくすることにより、ラグ付きタイヤ10のトラクション性能をより増大させることが可能となる。
なお、ラグ15の形成パターン、及び円周方向に対する傾斜角度は、上述した変形例に限定されない。例えば、互いに異なるゴム質(組成)からなるラグを3種類以上とすることや、隣接するラグ15同士の円周方向に対する傾斜角度をそれぞれ個別に設定することも可能である。
15,15A,15B ラグ、
21,21´ タイヤケース、21A,21A´ ラグ貼付面、25 ラグ部材、
26 非踏面、27 踏面、30 クッションゴム、31 エンベロープ、
40 加硫装置、55 凹部。
Claims (3)
- ラグ貼付面を有するタイヤケースと、
前記タイヤケースと個別に形成され、前記ラグ貼付面上にタイヤケースの円周方向に対して所定の角度傾斜して配置された複数のラグ群と、
を備えたタイヤであって、
前記ラグ群は、
前記タイヤケースの円周方向に沿って配置され、前記タイヤケースの幅方向中心側から一方の幅方向端側まで延長し、互いに硬度の異なる複数のゴムのラグ部材により構成される第1のラグ群と、
前記第1のラグ群と互い違いに配置され、前記第1のラグ群を構成するラグ部材と同一形状であると共に前記タイヤケースの幅方向中心側から他方の幅方向端側まで延長し、
互いに硬度の異なる複数のゴムのラグ部材により構成される第2のラグ群と、
を有することを特徴とするタイヤ。 - 外周側に形成されたラグ貼付面を有するタイヤケースと、
前記タイヤケースと個別に形成され、前記外周側のラグ貼付面上にタイヤケースの円周方向に対して所定の角度傾斜して配置された複数のラグ群と、
を備えたタイヤであって、
前記ラグ群は、
前記タイヤケースの円周方向に沿って配置され、前記タイヤケースの幅方向中心側から一方の幅方向端側まで延長する複数のゴムのラグ部材により構成される第1のラグ群と、
前記第1のラグ群と互い違いに配置され、前記タイヤケースの幅方向中心側から他方の幅方向端側まで延長し、
前記第1のラグ群と同一の硬度に設定された複数のゴムのラグ部材により構成される第2のラグ群と、
前記タイヤケースの円周方向に沿って配置され、前記タイヤケースの円周方向に対して直交する方向に延長し、前記第1のラグ群及び第2のラグ群を構成するラグ部材の硬度よりも高い硬度の複数のゴムのラグ部材により構成される第3のラグ群と、
を有することを特徴とするタイヤ。 - 前記ラグ貼付面と前記ラグ部材との間にクッションゴムが介在することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のタイヤ。
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