JP5512451B2 - 台タイヤの加硫成型装置 - Google Patents
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Description
トレッドは、例えば、帯状に成型された未加硫のゴム部材が加硫成型されたものであって、一方の面にタイヤ踏面の溝が成型され、他方の面に組み付け対象の台タイヤの外周面と対応する形状が成型される。
台タイヤは、ビードと、カーカスと、複数のベルトによって構成されるベルト層とによって形成されるタイヤの骨格に、ビードを補強する未加硫のビードフィラーと、カーカスの内周面を被う未加硫のインナーライナと、タイヤ側面に対応するビード及びカーカスを覆う未加硫のサイドウォールと、左右のサイドウォールと連続するようにベルト層の径方向外側に配設される未加硫のカバーゴムとにより構成される。つまり、台タイヤは、トレッドと台タイヤとが一体に加硫成型される通常のタイヤにおいてトレッドを備えない構成である。
台タイヤは、台タイヤとトレッドとを含む通常のタイヤを一体に加硫成型する加硫成型装置によって加硫成型される。
具体的には、台タイヤのビード部が加硫成型装置の備える一対の円環状のビードリングにより成型され、サイド部がビードリングと隣接する一対の円盤状のサイド部金型により成型され、クラウン部が所定の曲率の曲面形状に形成された成型面を内周面に有し、環状に配置される複数のクラウン部金型により成型される。そして、サイド部金型が固着されるプラテンによってサイド部金型が直接加熱されるとともにサイド部金型を介してビードリングが加熱されることにより台タイヤのビード部及びサイド部が加硫される。また、台タイヤのクラウン部は、クラウン部金型の外周面に配設される環状の加熱手段によって加熱されることにより加硫される。さらに、台タイヤの内周面にブラダーを配設し、ブラダーを膨張させることにより台タイヤを内側からビードリング、サイド部金型及びクラウン部金型に押圧、加熱することにより台タイヤが加硫成型される。
しかしながら、上記加硫成型装置により台タイヤを加硫成型すると、台タイヤのクラウン部が過加硫となってしまう虞がある。即ち、上記加硫成型装置により台タイヤとトレッドとを含む通常のタイヤを加硫成型する場合には、タイヤのハンプ部(ショルダー部近傍)に相当する位置のゴム厚さが最厚となり、加硫の最遅点となるため、ハンプ部の加硫が最適となるように加硫成型されるが、台タイヤを加硫成型する場合には、台タイヤのハンプ部を含むクラウン部が薄肉となり、ビード部が加硫の最遅点となるため、従来のタイヤを加硫成型するように台タイヤの加硫を行うと台タイヤのクラウン部が過加硫となってしまう虞があった。
本構成によれば、第2加熱手段がビードリングを介してビード部を加熱することによりビード部の加硫不足を抑制することができる。また、ビード部、サイド部、サイド部の熱が伝導するクラウン部の順に加硫が進行し、ビード部の加硫不足を防止するとともにサイド部及びクラウン部の過加硫を防止することができる。よって、本発明の加硫成型装置は、台タイヤを好適に加硫成型することができる。
また、他の構成として、加硫成型装置は、第2加熱手段よりもタイヤ半径方向外側に配置され、第1加熱手段から金型の成型面まで延長する第1断熱手段と、第2加熱手段よりもタイヤ幅方向外側に配置され、第1断熱手段からタイヤ半径方向内側の全域を断熱する第2断熱手段とを備える構成とした。
本構成によれば、タイヤ半径方向外側に配置され、第1加熱手段から金型の成型面まで延長する第1断熱手段と、第2加熱手段よりもタイヤ幅方向外側に配置され、第1断熱手段からタイヤ半径方向内側の全域を断熱する第2断熱手段とにより第2加熱手段が包囲されることにより、第2加熱手段の加熱による熱と、第1加熱手段の加熱による熱とがそれぞれ独立した状態となるので、第2加熱手段により加熱されるビード部と第1加熱手段により加熱されるサイド部とを個別に加熱し、加硫することができる。また、第2加熱手段が第1加熱手段よりもタイヤ幅方向内側に位置し、台タイヤに近い位置にあるので、第2加熱手段により加熱されるビード部は、第1加熱手段により加熱されるサイド部よりも先に加熱される。つまり、台タイヤのうち、サイド部よりも肉厚の厚いビード部から加硫される。よって、ビード部、サイド部、サイド部の熱が伝導するクラウン部の順に加硫が進行し、ビード部の加硫不足を防止するとともにサイド部及びクラウン部の過加硫を防止することができる。よって、本発明の加硫成型装置は、台タイヤを好適に加硫成型することができる。
また、他の構成として、第1断熱手段を金型に設ける構成とした。
本構成によれば、第2加熱手段の熱が金型を介して台タイヤのサイド部を加熱することがないので、サイド部の過加硫を抑制することができる。
また、他の構成として、第2断熱手段が金型と第1加熱手段とが接触する領域に配置される構成とした。
本構成によれば、第2断熱手段が金型と第1加熱手段とが接触する領域に配置されることにより、第1加熱手段の熱が、第2断熱手段により遮断されるので、ビード部を第2加熱手段のみによって加熱することができる。
また、他の構成として、第2断熱手段が、ビード部を成型するビードリングと金型とが接触する領域に配置される構成とした。
本構成によれば、金型の熱が、ビード部を成型するビードリングに伝導しないので、ビード部を第2加熱手段により個別に加硫することができる。
また、他の構成として、第1断熱手段が、ビード部を構成するカーカスプライの端部に対応する位置に配置される構成とした。
本構成によれば、肉厚のビード部のうちもっとも薄肉となるカーカスプライの端部に対応する位置に第1断熱手段を配置することにより、ビード部の加硫不足を抑制し、台タイヤのサイド部及びクラウン部を好適に加硫することができる。
また、他の構成として、第1断熱手段及び第2断熱手段は、断熱材又は空隙により構成されるようにした。
本構成によれば、第1断熱手段及び第2断熱手段を断熱材又は空隙により構成することにより、第2加熱手段の熱と第1加熱手段の熱とを好適に遮断し、台タイヤのビード部とサイド部とを個別に加硫することができる。
図1は、台タイヤの加硫成型に用いられる一例としての加硫成型装置1の断面図を示す。
図1に示すように、加硫成型装置1は、概略、台タイヤ10を加硫するための上,下プラテン21,22と、台タイヤ10のサイド部12の両側を成型し、ビード部11を加熱するビードジャケット5,6を有する環状の上,下金型23,24と、台タイヤ10のクラウン部13を成型するクラウン部金型25と、ビード部11を成型するビードリング26と、台タイヤ10を内側から押圧するブラダー27と、台タイヤ10を加熱するための熱源供給手段100とにより構成される。つまり、加硫成型装置1は、トレッドとともに台タイヤ10を加硫成型する従来の加硫成型装置のようなクラウン部金型25を直接的に加熱する加熱手段を備えていない構成である。
加硫成型装置1により加硫成型される台タイヤ10は、ビード51、ビードフィラー52、カーカス53、複数のベルト54〜56により構成されるベルト層により骨格が形成され、カーカスの内周面にインナーライナ57、タイヤの側面を保護するサイドウォール58、ベルト層の半径方向外側にベルト層を保護するカバーゴム59を備える。つまり、台タイヤ10は、クラウン部13が薄肉のカバーゴム59により平坦面状に形成され、通常のタイヤのうちトレッドを備えない構成である。
上,下金型23,24は、台タイヤ10の側面10bを成型する成型面23a,24aを一方の面に備え、台タイヤ10の側面10bに対応するように円環状に形成される。上,下金型23,24は、成型面23a,24aが互いに対向するように上,下プラテン21,22にそれぞれ配置される。詳細には、下金型23が、下プラテン21の上面21aに環状の流路7と同心円となるように固着され、上金型24が上プラテン22の下面22aに環状の流路8と同心円となるように固着される。
断熱手段2は、少なくとも10mm程度の厚さに形成され、上,下金型23,24の成型面23a,24aから上,下金型23,24と上,下プラテン21,22とが接触する上面21a及び下面22aまで延長する高さに形成される。また、断熱手段2は、カーカス53のカーカス端部53Aよりもタイヤ半径方向外側のうち近傍となるように配置される。
断熱手段3は、上,下プラテン21,22と接触する領域に配設され、断熱手段2から上,下金型23,24の半径方向内側の端部23A,24Aまでの幅に形成され、少なくとも10mm程度の高さに形成される。
即ち、断熱手段2は、ビードジャケット5,6よりもタイヤ半径方向外側に配置され、上,下プラテン21,22から上,下金型23,24の成型面23a,24aまで延長される。断熱手段3は、ビードジャケット5,6よりもタイヤ幅方向外側に配置され、上,下プラテン21,22からタイヤ半径方向内側の全域を断熱可能な大きさに配設される。
よって、ビードジャケット5,6は、断熱手段2と断熱手段3とにより包囲されるので、ビードジャケット5,6の熱が、タイヤ半径方向外側やタイヤ幅方向外側に伝導されることがない。
なお、断熱手段2及び断熱手段3は、断熱材に換えて空隙により構成し、ビードジャケット5,6の熱がタイヤ半径方向外側やタイヤ幅方向外側に直接的に伝導されないようにしても良い。
まず、上,下金型23,24及びクラウン部金型25により形成される成型前の成型空間に加硫前の台タイヤ10を横向きに配置する。
次に、放射状に配置されたクラウン部金型25を縮径することにより台タイヤ10のクラウン部13を型締めし、次いで上金型24を下降させることによりクラウン部金型25の上端面に上金型24を当接させることにより加硫前の台タイヤ10の外周面を成型するための型付け成型面が形成される。さらに、台タイヤ10の内側にブラダー27が配置される。
上,下金型23,24には、ビード部11に対応する位置に断熱手段2,3が配置されていることにより、台タイヤ10のサイド部12と接触する領域に対応する上,下金型23,24が上,下プラテン21,22により加熱される。また、上,下金型23,24の半径方向外側では、クラウン部金型25が上,下金型23,24を跨ぐように接触しているため、上,下プラテン21,22により加熱された上,下金型23,24の熱は、クラウン部金型25に伝達される。
つまり、薄肉のクラウン部13への加熱が最適となるまでの間に、厚肉のビード部11がビードジャケット5,6の熱によってのみ加硫されるため、クラウン部13の加硫が最適となったときに、ビード部11の加硫も最適に行われるので、ビード部11の加硫不足を抑制するとともに、クラウン部13の過加硫が抑制される。
図3(a)〜(c)は、本発明の台タイヤ10の加硫成型装置1による効果を検証するための実験結果を示す。図3(a),(b)は、上,下プラテン21,22の流路7,8に供給する熱源の温度を141℃に固定し、ビードジャケット5,6に供給する熱源の温度を141℃とした場合と、熱源の温度を156℃とした場合とを比較し、それぞれビード部11のカーカス端部53Aの温度の変化を示すグラフ(図3(a))と、クラウン部13の最外層に位置するベルト端部56Aの温度の変化とを示したグラフ(図3(b))である。図3(c)は、本発明の加硫成型装置1による台タイヤ10の加硫時間を考察したグラフである。
図3(a)に示すように、ビード部11のカーカス端部53Aでは、ビードジャケット5,6の温度を15℃上げたことにより、加熱が終了する40分後に、約9.4℃の温度差が得られた。一方、図3(b)に示すように、クラウン部13のベルト端部56Aでは、ビードジャケット5,6の温度を15℃上げたにも関わらず、加熱が終了する40分後では温度差がほとんど見られなかった。
即ち、加硫成型装置1のビードジャケット5,6を包囲するように断熱手段2,3を配置したことにより、ビードジャケット5,6の温度に依存することなくクラウン部13の加硫が行われたことがわかる。よって、クラウン部13は、上,下プラテン21,22の温度によってのみ加硫されることが検証された。つまり、本発明の加硫成型装置による台タイヤ10の加硫においては、従来のタイヤの加硫成型装置のようなクラウン部金型25を加熱する加熱手段を必要とせず、またクラウン部金型25を加熱する加熱手段を設けないことで台タイヤ10のクラウン部13の過加硫を防止することができる。
図3(c)は、ビードジャケット5,6を備えていない従来の加硫成型装置を用い、上,下プラテン21,22の温度を141℃に設定して台タイヤ10を所謂低温加硫により加硫成型したときにビード部11及びクラウン部13の加硫にかかる時間と、本発明の加硫成型装置1を用い、上,下プラテン21,22の温度を141℃に設定し、ビードジャケット5,6の温度を141℃に設定したときにビード部11及びクラウン部13の加硫にかかる時間と、上,下プラテン21,22の温度を141℃に設定し、ビードジャケット5,6の温度を156℃に設定したときにビード部11及びクラウン部13の加硫にかかる時間とを比較したグラフである。
図3(c)からわかるように、従来の加硫成型装置による台タイヤ10の加硫にかかる時間は、ビード部11及びクラウン部13ともに加硫終了まで約40分を要していた。本発明の加硫成型装置により上,下プラテン21,22の流路7,8とビードジャケット5,6との温度を同一とした場合に加硫に要する時間は、クラウン部13で約31分、ビード部11で約38分である。つまり、上,下プラテンのみで加硫を行うよりも、ビードジャケット5,6を用いて加硫することにより、クラウン部13の加硫時間が約10分短縮されることが検証された。
つまり、本発明の加硫成型装置1により台タイヤ10を加硫成型することにより、台タイヤ10のクラウン部13の過加硫を防止するとともに、ビード部11の加硫不足を防止することができ、さらに、加硫時間を短縮できることが分かった。
よって、本発明の加硫成型装置1によって加硫成型された台タイヤ10は、ビード部11〜クラウン部13まで最適に加硫されるので、転がり抵抗の少ない台タイヤ10となる。また、加硫時間が短縮されたことにより製造効率が向上し、製造にかかるエネルギー量を少なくすることができる。
また、ビードジャケット5,6を包囲するように断熱手段2,3を配置して、上,下プラテン21,22の熱と、ビードジャケット5,6の熱とが互いに干渉しないように分離して、ビード部11とサイド部12とを加熱するようにしたことで、ビード部11を加熱するビードジャケット5,6の温度を上げても、クラウン部13の加熱に影響がないので、クラウン部13の過加硫と、ビード部11の加硫不足とを防止することができ、かつ、加硫時間を短縮して加硫成型の効率を向上させることが可能となった。
実施形態2は、実施形態1に配設された断熱手段3の位置と、実施形態2で断熱手段3が配設された位置とで異なる点で異なる。即ち、実施形態1では、断熱手段3を上,下金型23,24に配設したが、図4に示すように、上,下プラテン21,22と上,下金型23,24とが接触する領域の上,下プラテン21,22に配設するようにして、断熱手段2と連続するように構成しても良い。
実施形態3は、実施形態1において上,下金型23,24にビードジャケット5,6を配設するようにしたが、ビード部11を成型するビードリング26,26に配設するようにしても良い。
ビードジャケット5,6をビードリング26,26に配設することにより、実施形態1及び実施形態2よりもビード部11に近い位置から加熱できるので、ビード部11を効率的に加熱して加硫不足を防止するとともに加硫時間を短縮することができる。
実施形態4は、実施形態3において断熱手段3を上,下金型23,24に配設したが、ビードリング26,26と、上,下金型23,24とが接触する領域に配設しても良い。
例えば、断熱手段3をビードリング26,26と、上,下金型23,24とが接触する領域の上,下金型23,24に配設しても、上記実施形態3と同様の効果が得られるとともに、クラウン部13の過加硫が防止された台タイヤ10を得ることができる。
10 台タイヤ、10b 側面、11 ビード部、12 サイド部、
13 クラウン部、21 下プラテン、22 上プラテン、
23 下金型、24 上金型、23a,24a 成型面、23A,24A 端部、
25 クラウン部金型、26 ビードリング、27 ブラダー、100 熱源供給手段。
Claims (7)
- 台タイヤのサイド部を成型する環状の金型と、前記金型と連接し、ビード部を成型するビードリングとを備える台タイヤの加硫成型装置であって、
前記金型に当接してタイヤ幅方向外側から加熱する第1加熱手段と、
前記第1加熱手段よりもタイヤ幅方向内側に配設され、前記台タイヤのビード部を加熱する第2加熱手段とを備え、
前記第2加熱手段がビードリングを介してビード部を加熱することを特徴とする台タイヤの加硫成型装置。 - 前記加硫成型装置は、前記第2加熱手段よりもタイヤ半径方向外側に配置され、前記第1加熱手段から前記金型の成型面まで延長する第1断熱手段と、
前記第2加熱手段よりもタイヤ幅方向外側に配置され、前記第1断熱手段からタイヤ半径方向内側の全域を断熱する第2断熱手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載の台タイヤの加硫成型装置。 - 前記第1断熱手段が、前記金型に設けられることを特徴とする請求項2に記載の台タイヤの加硫成型装置。
- 前記第2断熱手段が前記金型と前記第1加熱手段とが接触する領域に配置されることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の台タイヤの加硫成型装置。
- 前記第2断熱手段が、ビード部を成型するビードリングと前記金型とが接触する領域に配置されることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の台タイヤの加硫成型装置。
- 前記第1断熱手段が、前記ビード部を構成するカーカスプライの端部に対応する位置に配置されることを特徴とする請求項2乃至請求項5いずれかに記載の台タイヤの加硫成型装置。
- 前記第1断熱手段及び前記第2断熱手段は、断熱材又は空隙により構成されることを特徴とする請求項2乃至請求項6いずれかに記載の台タイヤの加硫成型装置。
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