JP6335719B2 - 更生タイヤの製造方法 - Google Patents

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本発明は、更生タイヤの製造方法に関する。
タイヤ更生方法に関して、従来から、エンベロープで被覆された、加硫済みのトレッド付き台タイヤを加硫缶などで加熱することにより未加硫のクッションゴムを加硫し、更生タイヤを得る技術が知られている(例えば、特許文献1〜2参照)。
また、未加硫又は半加硫のトレッド付き台タイヤを加硫機の金型内に入れ、加熱することにより、トレッドを加硫、成型し、更生タイヤを得る技術が知られている(例えば、特許文献3参照)。
特開平7−246665 特開昭55−83605 特開平7−251421
特許文献1〜2の技術では、トレッド付き台タイヤ全体に熱を加える。したがって、熱が必要な未加硫クッションゴム以外のタイヤ部材(例えば、ビード部、サイドウォール部、プレキュアトレッドなど)を熱劣化させるため、更生タイヤがバーストしやすくなる。つまり、更生タイヤの耐久性が低下する。熱劣化するほど、タイヤ部材は弾性力を失い、脆くなり、セパレーションしやすくなるためである。
また、特許文献3の技術でも、熱が必要なトレッド以外のタイヤ部材(例えば、ビード部、サイドウォール部など)を熱劣化させるため、更生タイヤの耐久性が低下する。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、タイヤ部材の熱劣化を抑制することが可能で、耐久性に優れた更生タイヤを製造できる方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を備える。即ち本発明は、トレッド装着タイヤ、第1仕切部材及び第2仕切部材を備える容器に加温媒体を供給することにより、前記加温媒体から前記未加硫クッションゴムに熱を伝える工程を含む更生タイヤの製造方法、に関する。
容器は、第1ビード部、第1ビード部に対向した第2ビード部並びに第1及び第2ビード部よりタイヤ径方向外側に配置されたクラウン部を備える台タイヤ、クラウン部上に配置された未加硫クッションゴム、並びに未加硫クッションゴム上に配置されたプレキュアトレッドを備える。第1仕切部材は、第1ビード部と接した第1リム部を備える。第2仕切部材は、第2ビード部と接した第2リム部を備える。
本発明に係る製造方法では、トレッド装着タイヤ、第1仕切部材及び第2仕切部材を備える容器に加温媒体を供給することにより加温媒体から未加硫クッションゴムに熱を伝えるため、更生タイヤの外側部分(具体的には、プレキュアトレッドのタイヤ径方向外側部分、サイドウォール部のタイヤ幅方向外側部分、ビード部のタイヤ幅方向外側部分など)の熱劣化を抑制することが可能で、耐久性に優れた更生タイヤを製造できる。
また、本発明に係る製造方法では、加硫缶や加硫機が不要であるため、簡素な設備で更生タイヤを製造できる。多品種少量生産にも向いている。
加温媒体として、蒸気、温水、不活性ガスなどを使用可能であるので、製造環境に応じて加温媒体の種類を柔軟に変更できる。
トレッド装着タイヤ、第1仕切部材及び第2仕切部材を備える容器の概略断面図である。 トレッド装着タイヤ、第1仕切部材及び第2仕切部材を備える容器の概略斜視図である。 第1仕切部材及び第2仕切部材の概略斜視図である。 変形例1に係る製造方法で使用する容器の概略断面図である。 変形例2に係る製造方法で使用する容器の概略断面図である。 変形例3に係る製造方法で使用する容器の概略断面図である。
[実施形態1]
図1〜図2に示すように、実施形態1に係る更生タイヤの製造方法は、トレッド装着タイヤ1、第1仕切部材2及び第2仕切部材3を備える容器1001に加温媒体を供給することにより、加温媒体から未加硫クッションゴム12に熱を伝える工程を含む。
(容器1001)
まず、容器1001について説明する。
図1に示すように、容器1001は、トレッド装着タイヤ1、第1仕切部材2及び第2仕切部材3を備える。
トレッド装着タイヤ1は、クラウン部113を備える台タイヤ11、クラウン部113上に配置された未加硫クッションゴム12、及び未加硫クッションゴム12上に配置されたプレキュアトレッド13を備える。
台タイヤ11は、第1ビード部111A、第1ビード部111Aに対向した第2ビード部111B、第1ビード部111Aのタイヤ径方向外側に配置された第1サイドウォール部112A、第2ビード部111Bのタイヤ径方向外側に配置された第2サイドウォール部112B、並びに第1サイドウォール部112A及び第2サイドウォール部112Bよりタイヤ径方向外側に配置されたクラウン部113を備える。第1ビード部111A及び第2ビード部111Bは、円環状である。
円盤状の第1仕切部材2は、第1中央部21及び第1中央部21の周辺に配置され、第1ビード部111Aと接した第1リム部22を備える。第1中央部21は、第1本体部211、第1本体部211を貫く第1供給管212、第1本体部211を貫く第1放出管213及び第1本体部211から第2仕切部材3に向かって延びる第1継ぎ手214を備える。
円盤状の第2仕切部材3は、第2中央部31及び第2中央部31の周辺に配置され、第2ビード部111Bと接した第2リム部32を備える。第2中央部31は、第2本体部311、第2本体部311を貫く第2供給管312、第2本体部311を貫く第2放出管313及び第2本体部311から第1仕切部材2に向かって延びる第2継ぎ手314を備える。
図3に示すように、第1継ぎ手214は雌ねじ部と雄ねじ部のいずれか一方を備え、第2継ぎ手314は雌ねじ部と雄ねじ部のいずれか他方を備える。図1に示すように、雄ねじ部が雌ねじ部に設けられたねじ孔に嵌められている。これにより、第1仕切部材2と第2仕切部材3が繋がれている。
(加温媒体から未加硫クッションゴム12に熱を伝える工程)
次に、容器1001に加温媒体を供給することにより、加温媒体から未加硫クッションゴム12に熱を伝える工程について説明する。
容器1001を準備した後、第1供給管212及び第2供給管312から容器1001に加温媒体を供給することにより、未加硫クッションゴム12に熱を伝え、未加硫クッションゴム12を加硫する。なお、容器1001に供給された加温媒体は、第1放出管213及び第2放出管313から容器1001の外部に放出される。
加温媒体として、例えば、蒸気、温水、不活性ガスなどを使用できる。不活性ガスとしては、例えば、窒素ガスなどが挙げられる。
加温媒体の温度は適宜設定できる。加温媒体の温度は、好ましくは100℃以上、より好ましくは110℃以上である。加温媒体の温度は、好ましくは130℃以下、より好ましくは120℃以下である。
加温媒体の圧力は適宜設定できる。加温媒体の圧力は、好ましくは0.2MPa〜0.7MPaである。
加熱時間(加温媒体の供給時間)は適宜設定できる。加熱時間は、例えば150分〜200分である。
以上のとおり、実施形態1に係る製造方法では、容器1001に加温媒体を供給することにより加温媒体から未加硫クッションゴム12に熱を伝えるため、プレキュアトレッド13のタイヤ径方向外側部分、サイドウォール部(第1サイドウォール部112A及び第2サイドウォール部112B)のタイヤ幅方向外側部分、ビード部(第1ビード部111A及び第2ビード部111B)のタイヤ幅方向外側部分などの熱劣化を抑制することが可能で、耐久性に優れた更生タイヤを製造できる。
また、加硫缶や加硫機が不要であるため、簡素な設備で更生タイヤを製造できる。多品種少量生産にも向いている。
加温媒体として、蒸気、温水、不活性ガスなどを使用可能であるので、製造環境に応じて加温媒体の種類を柔軟に変更できる。
また、トレッド装着タイヤ1に第1仕切部材2及び第2仕切部材3を嵌めることにより容器1001を形成可能であるので、容器1001を簡単に準備できる。よって、作業効率の向上が期待できる。
(変形例1)
図4に示すように、変形例1は、第2中央部31が第2本体部311及び第2継ぎ手314からなる点以外は実施形態1と同様である。
(変形例2)
図5に示すように、変形例2は、第1中央部21が第1本体部211、第1供給管212及び第1継ぎ手214からなり、第2中央部31が第2本体部311、第2放出管313及び第2継ぎ手314からなる点以外は実施形態1と同様である。
(変形例3)
図6に示すように、変形例3は、容器1001の内部に配置されたエンベロープ601の内部に加温媒体を供給することにより、加温媒体から未加硫クッションゴム12に熱を伝える点以外は実施形態1と同様である。
以上のとおり、実施形態1に係る製造方法は、例えば、容器1001を形成する工程、第1供給管212から容器1001に加温媒体を供給することにより、加温媒体から未加硫クッションゴム12に熱を伝える工程などを含む。
容器1001を形成する工程は、例えば、第1ビード部111Aのタイヤ径方向内側に位置する第1開口に第1仕切部材2を嵌めるステップ、第2ビード部111Bのタイヤ径方向内側に位置する第2開口に第2仕切部材3を嵌めるステップなどを含む。
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例などについて説明する。
[比較例1]
エンベロープで覆われた、トレッド装着タイヤ(台タイヤ、未加硫クッションゴム及びプレキュアトレッドを備えるトレッド装着タイヤ)をオーブンに入れ、加硫した。加熱温度は、120℃、加熱時間は180分であった。
[比較例2]
特開平7−251421の図2に記載の加硫金型を備える加硫機を用いて、サイズ295/80R22.5の更生タイヤを得た。具体的には、まず、トレッド装着タイヤを加硫金型の空所に装填した。次いで、トレッド装着タイヤの内腔に蒸気を注入し、トレッド装着タイヤの内側を加熱するとともに、トレッド装着タイヤの半径方向外側に設けた流体路に蒸気を送給し、トレッド装着タイヤの外側を加熱した。加熱温度は、120℃、加熱時間は180分であった。
[比較例3]
特開平7−246665の図1に記載のオーブンを用いて、サイズ295/80R22.5の更生タイヤを得た。具体的には、まず、トレッド装着タイヤをエンベロープで覆った。次いで、トレッド装着タイヤの内腔にチューブを配置した。チューブ内の圧力を正規内圧とした状態で、トレッド装着タイヤを加硫した。加熱温度は、120℃、加熱時間は180分であった。
[比較例4]
特開昭55−83605の図6に記載の加硫機を用いて、サイズ295/80R22.5の更生タイヤを得た。具体的には、まず、トレッド装着タイヤをエンベロープで覆った。次いで、トレッド装着タイヤの内腔にエアバッグを挿入した。次いで、エアバッグに空気を充填した状態で、トレッド装着タイヤを加硫機を用いて加熱加硫した。加熱温度は、120℃、加熱時間は180分であった。
[実施例1]
図1〜図2に示すように、実施形態1の製造方法によりサイズ295/80R22.5の更生タイヤを得た。具体的には、120℃の蒸気を180分、容器1001に注入することにより、トレッド装着タイヤ1を加硫した。
[耐久性の評価]
下記条件のドラム試験により、更生タイヤの耐久性を評価した。
(ドラム試験)
表面が平滑な鋼製の直径1700mmの回転ドラムを有するドラム試験機により、周辺温度38±3℃、タイヤ内圧900kPa、速度56km/hで一定として、JATMA規定の最大荷重の66%で4時間、次ぎに最大荷重の84%で16時間、最大荷重の101%で24時間、さらに最大荷重の110%で24時間走行させた後、12時間毎に荷重を10%ずつ増しながら故障が発生するまで走行させた。故障発生までの走行距離を、比較例1を100とする指数で表1に示した。指数が大きいほど耐久性に優れることを意味する。
Figure 0006335719
表1から実施例1の更生タイヤの耐久性が優れていることがわかる。

Claims (2)

  1. 第1ビード部、前記第1ビード部に対向した第2ビード部並びに前記第1及び第2ビード部よりタイヤ径方向外側に配置されたクラウン部を備える台タイヤ、前記クラウン部上に配置された未加硫クッションゴム、並びに前記未加硫クッションゴム上に配置されたプレキュアトレッドを備えるトレッド装着タイヤと、
    前記第1ビード部と接した第1リム部を備える第1仕切部材と、
    前記第2ビード部と接した第2リム部を備える第2仕切部材とを備える容器に
    加温媒体を供給することにより、前記加温媒体から前記未加硫クッションゴムに熱を伝え、前記未加硫クッションゴムを加硫する工程を含み、
    前記容器に前記加温媒体を供給することは、前記トレッド装着タイヤ、前記第1仕切部材及び前記第2仕切部材で仕切られた、前記トレッド装着タイヤの内側に前記加温媒体を供給することであり、
    前記第1仕切部材及び前記第2仕切部材の少なくとも一方が、前記加温媒体を供給するための供給管を備える、ことを特徴とする更生タイヤの製造方法。
  2. 前記加温媒体が蒸気、温水及び不活性ガスからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1に記載の更生タイヤの製造方法。
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