JP2009040361A - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】 高速耐久性能と操縦安定性能とをバランスよく両立させた空気入りラジアルタイヤ、特にネガティブキャンバー角の付与された車両への装着に好適な空気入りラジアルタイヤを提供する。
【解決手段】 車両への装着方向が指定された空気入りラジアルタイヤ1におけるサイドウォール部3、3を形成するサイドトレッドゴム3g、3gのタイヤ径方向外側端3a、3aをそれぞれベルト層7の両端部7a、7aの内周側まで延在させると共に、サイドトレッドゴム3g、3gの100℃における100%モジュラスをベルト層5のコートゴムのモジュラスと同等以下で、かつ車両外側において車両内側よりも大きくし、さらに60℃におけるtanδを車両外側において車両内側よりも大きく、かつ車両外側において0.14〜0.24、車両内側において0.07〜0.17にした。
【選択図】 図1
【解決手段】 車両への装着方向が指定された空気入りラジアルタイヤ1におけるサイドウォール部3、3を形成するサイドトレッドゴム3g、3gのタイヤ径方向外側端3a、3aをそれぞれベルト層7の両端部7a、7aの内周側まで延在させると共に、サイドトレッドゴム3g、3gの100℃における100%モジュラスをベルト層5のコートゴムのモジュラスと同等以下で、かつ車両外側において車両内側よりも大きくし、さらに60℃におけるtanδを車両外側において車両内側よりも大きく、かつ車両外側において0.14〜0.24、車両内側において0.07〜0.17にした。
【選択図】 図1
Description
本発明は空気入りラジアルタイヤに関し、さらに詳しくは、高速耐久性能と操縦安定性能とをバランスよく両立させた空気入りラジアルタイヤ、特にネガティブキャンバー角の付与された車両への装着に好適な空気入りラジアルタイヤに関する。
近年の高性能車両のように、大きなネガティブキャンバー角が付与された車両に装着するタイヤの場合には、車両内側における負荷荷重が車両外側に比して大きくなるため、車両内側ではタイヤの発熱が大きくなり、ベルト層の端部にセパレーションが発生したり、サイドウォール部におけるゴムとカーカス層との間にセパレーションが発生し易くなり、高速耐久性が低下するという問題があった。
従来、高速耐久性を向上させるために、タイヤを構成する各パーツにtanδの小さい低発熱性のゴムを配置する提案がある(例えば、特許文献1参照)。しかし、ベルト層の端部に端部に低発熱性ゴムを配置したり、サイドウォール部に低発熱性ゴムを配置した場合には、高速走行時のレーンチェンジや旋回走行などにおける操縦安定性の低下を招くという問題があった。特にネガティブキャンバー付き車両に装着するタイヤの場合には、高速耐久性と操縦安定性とを両立させることが極めて困難であった。
特開2003−237313号公報
本発明の目的は、かかる従来の問題点を解消するもので、高速耐久性能と操縦安定性能とをバランスよく両立させた空気入りラジアルタイヤ、特にネガティブキャンバー角の付与された車両への装着に好適な空気入りラジアルタイヤを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の空気入りラジアルタイヤは、左右一対のビード部と該ビード部に連なるサイドウォール部と該サイドウォール部を連結するトレッド部とを備え、前記ビード部に埋設されたビードコアの周りにカーカス層の端部を巻き上げると共に、前記トレッド部における前記カーカス層の外周にベルト層を配置した、ネガティブキャンバー付き車両に装着する装着方向が指定された空気入りラジアルタイヤにおいて、前記サイドウォール部を形成するサイドトレッドゴムのタイヤ径方向外側端をそれぞれ前記ベルト層の両端部の内側まで延在させると共に、前記サイドトレッドゴムの100℃における100%モジュラスを、前記ベルト層のコートゴムの100℃における100%モジュラスと同等以下で、かつ車両外側において車両内側よりも大きくし、前記サイドトレッドゴムの60℃におけるtanδを、車両外側において車両内側よりも大きく、かつ車両外側において0.14〜0.24、車両内側において0.07〜0.17にしたことを特徴とする。
さらに、上述する構成において、以下(1)〜(4)に記載するように構成することが好ましい。
(1)前記カーカス層におけるコード角度をタイヤ周方向に対して90〜75°にすると共に、該カーカス層のうちの少なくとも車両外側の巻き上げ端部を前記ベルト層の内周側まで延在させる。
(2)前記トレッド部におけるキャップトレッドゴムを、タイヤ幅方向に隣接する少なくとも2種類のtanδの異なるゴム組成物で構成すると共に、該ゴム組成物の60℃におけるtanδを車両内側から車両外側に向けて段階的に大きくなるようにする。
(3)前記トレッド部の表面にタイヤ周方向に延びる少なくとも1本の主溝を形成すると共に、接地領域内における溝面積比率をタイヤ赤道を中心にした車両内側において車両外側よりも大きくする。
(4)扁平率を50%以下にする。
(1)前記カーカス層におけるコード角度をタイヤ周方向に対して90〜75°にすると共に、該カーカス層のうちの少なくとも車両外側の巻き上げ端部を前記ベルト層の内周側まで延在させる。
(2)前記トレッド部におけるキャップトレッドゴムを、タイヤ幅方向に隣接する少なくとも2種類のtanδの異なるゴム組成物で構成すると共に、該ゴム組成物の60℃におけるtanδを車両内側から車両外側に向けて段階的に大きくなるようにする。
(3)前記トレッド部の表面にタイヤ周方向に延びる少なくとも1本の主溝を形成すると共に、接地領域内における溝面積比率をタイヤ赤道を中心にした車両内側において車両外側よりも大きくする。
(4)扁平率を50%以下にする。
本発明によれば、左右のサイドウォール部を形成するサイドトレッドゴムのタイヤ径方向外側端をそれぞれベルト層の両端部の内周側まで延在させると共に、これらサイドトレッドゴムの100℃における100%モジュラスをベルト層のコートゴムのモジュラスと同等以下で、かつ車両内側において車両外側より小さくし、しかも60℃におけるtanδを車両内側において車両外側より小さくしたので、ネガティブキャンバー角の付与された車両に装着した場合であっても、車両内側における低モジュラスかつ低tanδのサイドトレッドゴムのタイヤ径方向外側端がベルト層の端部における発熱を抑えてベルトセパレーションを抑制しながら、サイドウォール部における発熱を抑えてサイドトレッドゴムとカーカス層との間のセパレーションを抑制し、高速耐久性を向上することができる。
しかも、車両外側におけるサイドトレッドゴムを高tanδにしたので、車両外側のベルト層端部でのサイドトレッドゴムの剛性とタイヤのサイド剛性とを適正に確保して、高速走行時のレーンチェンジや旋回走行における操縦安定性を向上することができる。
以下、本発明の構成につき添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態からなる空気入りラジアルタイヤの要部を示す断面図である。
図1において、空気入りラジアルタイヤ1は、左右一対のビード部2、2と、これらビード部2、2に連なるサイドウォール部3、3と、これらサイドウォール部3、3を連結するトレッド部4とを備えている。ビード部2、2に埋設されたビードコア5、5の周りにはカーカス層6の両端部6a、6aが巻き上げられ、トレッド部4におけるカーカス層6の外周にはベルト層7、8が配置されると共に、車両に対する空気入りラジアルタイヤの装着方向が指定されている。
本発明の空気入りラジアルタイヤ1では、サイドウォール部3、3を形成するサイドトレッドゴム3g、3gのタイヤ径方向外側端3a、3aをそれぞれベルト層7の両端部7a、7aの内側まで延在させている。これにより、サイドトレッドゴム3g、3gがベルト層7の両端部の内周側に配置されるベルトエッジクッションゴムと一体化された構造に形成されている。
そして、サイドトレッドゴム3gの100℃における100%モジュラスを、ベルト層7のコートゴム(図示省略)の100℃における100%モジュラスと同等又はそれ以下にすると共に、車両外側において車両内側よりも大きくしている。さらに、サイドトレッドゴム3g、3gの60℃におけるtanδを車両外側において車両内よりも大きくすると共に、車両外側において0.14〜0.24、好ましくは0.15〜0.19、車両内側において0.07〜0.17、好ましくは0.12〜0.16にしている。
これにより、ネガティブキャンバー角の付与された車両に装着した場合であっても、低モジュラスかつ低tanδからなる車両内側のサイドトレッドゴム3gのタイヤ径方向外側端がベルト層7の両端部7a、7aにおける発熱を抑えてベルトセパレーションを抑制しながら、サイドウォール部3における発熱を抑えてサイドトレッドゴム3gとカーカス層6との間のセパレーションを抑制し、高速耐久性を向上することができる。
しかも、車両外側におけるサイドトレッドゴム3gを高tanδにしたので、車両外側のベルト層端部7aでのサイドトレッドゴム3gの剛性とタイヤのサイド剛性とを適正に確保して、高速走行時のレーンチェンジや旋回走行における操縦安定性を向上することができる。
ここで、車両外側におけるサイドトレッドゴム7gの60℃におけるtanδが0.14未満では操縦安定性が低下することになり、0.24超ではタイヤ発熱によりベルト層7の端部7aやサイドウォール部3にセパレーションが発生し易くなって、高速耐久性が低下することになる。また、車両内側におけるサイドトレッドゴム3gの60℃におけるtanδが0.07未満では良好な操縦安定性を確保することが難しくなり、0.17超ではタイヤ発熱によりベルト層7の端部7aやサイドウォール部3にセパレーションが発生し易くなって、高速耐久性が低下することになる。
上述するサイドトレッドゴム3g、3gのtanδとは、粘弾性スペクトロメーター(岩本製作所製)を使用して、周波数20Hz、初期歪み10%、動歪み±2%、温度60℃の条件下で測定したときの値をいう。
図1の実施形態では、カーカス層が1層からなり、ベルト層が2層からなる場合を示したが、カーカス層及びベルト層の層数はこれに限られるものではない。しかし、軽量化を図る観点から、カーカス層を少数層で構成する場合がある。カーカス層を少数層で構成する場合には、カーカス層のコード角度をタイヤ周方向に対して90〜75°にし、少なくとも車両外側のカーカス層6の巻き上げ端部6aを、図1に示すように、ベルト層7の内周側まで延在させるとよい。これにより、タイヤのケーシング剛性を高めて高速走行時における操縦安定性を確実に向上させることができる。
上述するようにカーカス層6の巻き上げ端部6aをベルト層5の内周側まで延在するようにした空気入りタイヤ1は、タイヤのケーシング剛性が向上するため、これを大きなキャンバー角が付与された車両に装着した場合には、ベルト層7の両端部7a、7aの内周側のゴムに歪みが生じ易くなる。本発明では、サイドトレッドゴム3gのタイヤ径方向外側端をベルト層7の両端部7a、7aの内側まで延在させたので、ベルト層7の両端部7a、7aにおける剛性を確保して、歪みを効率よく抑制することができる。
なお、上述するサイドトレッドゴム3gは、タイヤ径方向の外側端3a、3aをそれぞれベルト層7の両端部7a、7aの内側に位置させて、タイヤ径方向の内側端をタイヤ最大幅の位置よりも内径側のビード部2の上方域まで延在するように配置されている。
本発明において、好ましくは、図2に示すように、トレッド部4におけるキャップトレッドゴム4Gを、タイヤ幅方向に隣接する少なくとも2種類(図では3種類)のtanδの異なるゴム組成物4a、4b、4cで構成すると共に、これらゴム組成物4a、4b、4cの60℃におけるtanδを車両内側から車両外側に向けて段階的に大きくなるようにするとよい。これにより、キャンバー角が付与された車両に装着した場合において、車両内側におけるトレッド部4の発熱を効率的に抑制して、高速耐久性をさらに向上させることができる。
本発明において、さらに好ましくは、トレッド部4にタイヤ周方向に延びる少なくとも1本の主溝を形成すると共に、接地領域内における溝面積比率をタイヤ赤道を中心にした車両内側と車両外側とで異ならせ、これら溝面積比率を車両内側において車両外側よりも大きくするとよい。これにより、キャンバー角が付与された車両に装着した場合において、車両内側におけるトレッド部4の路面に対するグリップ力が増強されるので、操縦安定性をさらに向上させることができる。
本発明において、カーカス層3及びベルト層5に使用するコード材料は、それぞれ限定されるものではないが、カーカス層3としてはレーヨンを使用し、ベルト層5としてはスチールを使用するとよい。
上述するように、本発明の空気入りラジアルタイヤ1は、左右のサイドウォール部3を形成するサイドトレッドゴム3gのタイヤ径方向外側端をそれぞれベルト層7の両端部7a、7aの内周側まで延在させると共に、これらサイドトレッドゴム3gのモジュラスをベルト層7のコートゴムのモジュラスより低く、かつ車両内側において車両外側より小さくすることにより、ネガティブキャンバー角の付与された車両に装着した場合であっても、高速耐久性と操縦安定性とをバランスよく両立させるもので、特に扁平率を50%以下とする扁平タイヤの場合に優れた効果を発揮する。
タイヤサイズを235/40R18、タイヤ構造を図1、サイドトレッドゴム3g、3gを除く全ての仕様を共通にして、サイドトレッドゴム3g、3gのモジュラス及びtanδを表1のように異ならせて、従来タイヤ(従来例1、2)、本発明タイヤ(実施例1〜3)及び比較タイヤ(比較例1〜3)をそれぞれ作製した。なお、各タイヤにおいて、トレッドパターンは左右対称にすると共に、ベルト層7のコートゴムの100℃における100モジュラスを4.7Mpaとした。
これら8種類のタイヤについて、それぞれ以下の試験方法により、高速耐久性及び操縦安定性を評価し、その結果を表1に併記した。
〔高速耐久性〕
各タイヤに空気圧250kPaを充填し、室内ドラム試験機(ドラム径:1707mm)を用いて、キャンバー角(−2.5°)を付与して試験機に取付け、JATMA規定の最大負荷能力の85%に相当する荷重を負荷し、初期速度を200km/hとして10分間走行させ、その後10分毎に速度を10km/hづつ段階的に上昇させ、故障が発生するまでの走行距離を測定した。その結果を従来例1を100とする指数により評価した。数値が大きいほど優れていることを示す。
各タイヤに空気圧250kPaを充填し、室内ドラム試験機(ドラム径:1707mm)を用いて、キャンバー角(−2.5°)を付与して試験機に取付け、JATMA規定の最大負荷能力の85%に相当する荷重を負荷し、初期速度を200km/hとして10分間走行させ、その後10分毎に速度を10km/hづつ段階的に上昇させ、故障が発生するまでの走行距離を測定した。その結果を従来例1を100とする指数により評価した。数値が大きいほど優れていることを示す。
〔操縦安定性〕
各タイヤに空気圧250kPaを充填し、車両(四輪駆動、排気量:4リットル)の前後輪に装着して、アスファルト路面からなる1周2kmのテストコースをレーンチェンジを繰り返しながら平均時速130km/hで4周走行させ、熟練したテストドライバーによる官能評価を行った。その結果を従来例1を3(基準)とする5点法(1:劣る、2:やや劣る、3:基準、4:やや優れる、5:優れる)により評価した。
各タイヤに空気圧250kPaを充填し、車両(四輪駆動、排気量:4リットル)の前後輪に装着して、アスファルト路面からなる1周2kmのテストコースをレーンチェンジを繰り返しながら平均時速130km/hで4周走行させ、熟練したテストドライバーによる官能評価を行った。その結果を従来例1を3(基準)とする5点法(1:劣る、2:やや劣る、3:基準、4:やや優れる、5:優れる)により評価した。
表1から、本発明タイヤは、従来タイヤ及び比較タイヤに比して、高速耐久性と操縦安定性とがバランスよく向上していることがわかる。
l 空気入りラジアルタイヤ
2 ビード部
3 サイドウォール部
3a サイドトレッドゴムのタイヤ径方向外側端
3g サイドトレッドゴム
4 トレッド部
5 ビードコア
6 カーカス層
7、8 ベルト層
7a ベルト層の端部
2 ビード部
3 サイドウォール部
3a サイドトレッドゴムのタイヤ径方向外側端
3g サイドトレッドゴム
4 トレッド部
5 ビードコア
6 カーカス層
7、8 ベルト層
7a ベルト層の端部
Claims (5)
- 左右一対のビード部と該ビード部に連なるサイドウォール部と該サイドウォール部を連結するトレッド部とを備え、前記ビード部に埋設されたビードコアの周りにカーカス層の端部を巻き上げると共に、前記トレッド部における前記カーカス層の外周にベルト層を配置した、ネガティブキャンバー付き車両に装着する装着方向が指定された空気入りラジアルタイヤにおいて、
前記サイドウォール部を形成するサイドトレッドゴムのタイヤ径方向外側端をそれぞれ前記ベルト層の両端部の内側まで延在させると共に、
前記サイドトレッドゴムの100℃における100%モジュラスを、前記ベルト層のコートゴムの100℃における100%モジュラスと同等以下で、かつ車両外側において車両内側よりも大きくし、
前記サイドトレッドゴムの60℃におけるtanδを、車両外側において車両内側よりも大きく、かつ車両外側において0.14〜0.24、車両内側において0.07〜0.17にした空気入りラジアルタイヤ。 - 前記カーカス層におけるコード角度をタイヤ周方向に対して90〜75°にすると共に、該カーカス層のうちの少なくとも車両外側の巻き上げ端部を前記ベルト層の内周側まで延在させた請求項1に記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 前記トレッド部におけるキャップトレッドゴムを、タイヤ幅方向に隣接する少なくとも2種類のtanδの異なるゴム組成物で構成すると共に、該ゴム組成物の60℃におけるtanδを車両内側から車両外側に向けて段階的に大きくなるようにした請求項1又は2に記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 前記トレッド部の表面にタイヤ周方向に延びる少なくとも1本の主溝を形成すると共に、接地領域内における溝面積比率をタイヤ赤道を中心にした車両内側において車両外側よりも大きくした請求項1、2又は3に記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 扁平率が50%以下である請求項1、2、3又は4に記載の空気入りラジアルタイヤ。
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