JP4411657B2 - 残留塩素濃度測定用組成物およびこの組成物を使用する残留塩素濃度測定方法 - Google Patents

残留塩素濃度測定用組成物およびこの組成物を使用する残留塩素濃度測定方法 Download PDF

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この発明は、被測定水の残留塩素濃度測定に使用される残留塩素濃度測定用組成物およびこの組成物を使用する残留塩素濃度測定方法に関する。


水道水や井戸水などの生活用水,あるいはプール水には、次亜塩素酸ナトリウムなどの塩素剤が添加されている。この塩素剤は、酸化作用によって殺菌や消毒などの効果を有するが、水中に懸濁物,有機物,金属イオンなどが存在すると、これらの物質との反応によって、その効果が低減する場合がある。また、プールや貯水タンクなどの開放系においては、大気中への拡散により、経時的にその効果が失われる場合もある。このため、水中の残留塩素濃度を定期的に測定し、所定の濃度が維持されているか否かを確認する必要がある。
一方、逆浸透膜やナノ濾過膜などの分離膜を使用する水処理システムにおいては、分離膜が塩素剤の酸化作用によって劣化することを防止するため、被処理水の残留塩素濃度が高い場合、前段に活性炭フィルタなどを設置している。この場合、活性炭フィルタを通過した水の残留塩素濃度を定期的に測定し、塩素剤が確実に除去されているか否かを確認する必要がある。
従来、水中の残留塩素濃度の測定には、酸化発色試薬を使用した比色測定法が広く応用されている。たとえば、特許文献1には、o−トリジンを用いる携帯型の残留塩素濃度測定装置が記載されており、この装置は、o−トリジンと残留塩素の反応による被測定水の黄色の発色度合いを青色光の透過率に基づいて検出し、測定を行うものである。また、特許文献2には、DPD(N,N−ジエチルフェニレンジアミン)を用いる簡易測定装置が記載されており、この装置は、DPDと残留塩素の反応による被測定水の赤色の発色度合いを緑色光の透過率に基づいて検出し、測定を行うものである。さらに、近年では、DPDよりも安全性および水溶性に優れたジアルキルベンジジン化合物やテトラアルキルベンジジン化合物を用いる方法も提案されており、たとえば特許文献3には、ジアルキルベンジジン化合物のスルホアルキル誘導体の残留塩素濃度測定への適用が記載されている。
また、現場における残留塩素濃度の測定には、一般に携帯型の測定装置や簡易型の測定キットが使用されることが多い。しかしながら、これらの装置やキットは、測定操作に習熟する必要があるため、自動的,かつ連続的な測定装置の要望も高まっている。たとえば、特許文献4には、残留塩素濃度を光学的に測定する装置が記載されている。この装置は、被測定水の採取工程から残留塩素濃度の測定工程までの一連の操作を自動で行うように構成されており、連続的な測定を可能にしている。
特開平9−243629号公報 特開平9−236549号公報 特開2002−350416号公報 特開2001−318057号公報
ところで、o−トリジン,DPD,ジアルキルベンジジン化合物およびテトラアルキルベンジジン化合物などの酸化発色試薬は、被測定水に残留塩素が含まれない場合、発色しない(すなわち、特定波長に吸収ピークを示さない)物質である。光学式の自動測定装置においては、測定の信頼性を高めるためには、酸化発色試薬が確実に被測定水へ供給されていることが重要である。しかしながら、測定工程において、被測定水に対する透過率が100%付近(あるいは,吸光度がゼロ付近)であった場合、残留塩素濃度がゼロであるために発色していないのか,あるいは酸化発色試薬が供給されていないために発色していないのかを区別することができない。このため、貯蔵されている酸化発色試薬がなくなった場合や、酸化発色試薬の供給機構に不具合を生じた場合には、正確な測定が行えなくなる可能性があった。
また、光学式の自動測定装置においては、新たな測定を行う際に、通常、前回の被測定水を測定セルなどの容器から排出し、この容器の洗浄を行ったのちに、改めて被測定水の採取を行うようになっている。前回の測定時に被測定水が発色している場合、透過率の上昇,もしくは吸光度の低下を検出することによって、容器の洗浄の程度および被測定水の置換を確認することができる。一方、前回の測定時に被測定水が発色していない場合、透過率や吸光度が変化しないため、容器の洗浄が十分に行われたのか,あるいは被測定水が置換されたのかを判断することができない。したがって、被測定水の採取機構や排出機構に不具合を生じた場合には、正確な測定が行えなくなる可能性があった。
この発明が解決しようとする課題は、被測定水の残留塩素濃度を光学的に測定する際に、発色試薬の供給を確認できるようにすることである。また、新たな測定を行う際に、被測定水を貯留する容器の洗浄状態および被測定水の置換状態を確認できるようにすることである。
この発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、(A)試薬としてN,N’−ビス(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,3’−ジメチルベンジジン二ナトリウム、(B)色素としてニューコクシン、(C)リン酸、(D)リン酸ナトリウム、および(E)水を含み、pHが0.6に調整されていることを特徴とする残留塩素濃度測定用組成物である。
請求項1に記載の発明によれば、前記組成物を容器に貯留された被測定水へ供給すると、前記試薬は、被測定水中の残留塩素と反応して発色し、特定波長に吸収を示す。被測定水の発色度合い(すなわち、前記吸収の高さ)は、残留塩素濃度と相関があるため、この発色度合いを検出すると、残留塩素濃度を特定することができる。また、前記組成物が供給された被測定水は、前記色素により変色する。前記色素は、前記特定波長とは異なる波長領域に吸収を示す物質であるため、被測定水の変色を検出すると、前記試薬が発色していない場合においても前記組成物の供給,すなわち前記試薬の供給を確認することができる。さらに、新たな測定を行う際に前記容器の洗浄を行った場合、前記色素による被測定水の変色は消失した状態になる。このため、洗浄の前後において、被測定水の変色を検出すると、前記容器の洗浄状態および被測定水の置換状態を確認することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の組成物を使用する残留塩素濃度測定方法であって、被測定水を容器2に貯留する貯留工程と、前記容器2内へ前記組成物を供給する供給工程と、被測定水の波長470nmにおける透過率に基づいて、前記試薬の供給を確認する供給確認工程と、被測定水の波長655nmにおける透過率に基づいて、残留塩素濃度を測定する測定工程とを含むことを特徴とする残留塩素濃度測定方法である
請求項2に記載の発明によれば、被測定水は前記容器に貯留され、ついでこの容器内へ前記組成物が供給される。この組成物が供給された被測定水は、前記色素により変色するため、被測定水の波長470nmにおける透過率を検出すると、前記試薬の供給を確認することができる。また、被測定水残留塩素が含まれる場合、前記試薬はこの残留塩素との反応により発色するため、被測定水の波長655nmにおける透過率を検出すると、残留塩素濃度を測定することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項2において、前記測定工程後の前記容器を所定時間洗浄する洗浄工程と、被測定水の波長470nmおよび655nmにおける透過光強度に基づいて、前記容器の洗浄状態を確認する洗浄確認工程を含むことを特徴とする残留塩素濃度測定方法である
請求項3に記載の発明によれば、新たな測定を行う際に前記容器の洗浄を行った場合、前記色素による被測定水の変色は消失した状態になる。このため、被測定水の波長470nmにおける透過光強度を検出すると、前記容器の洗浄状態および被測定水の置換状態を確認することができる。
この発明によれば、被測定水の残留塩素濃度を光学的に測定する際に、発色試薬の供給を確認することができる。また、新たな測定を行う際に、被測定水を貯留する容器の洗浄状態および被測定水の置換状態を確認することができる。この結果、とくに自動化された残留塩素濃度測定装置において、測定値の信頼性を高めることができる。
つぎに、この発明の実施の形態について説明する。まず、この実施の形態に係る残留塩素濃度測定用組成物は、被測定水に含まれる残留塩素と反応して発色する試薬と、被測定水を着色可能な色素とを含んでいる。ここで、被測定水は、水道水,地下水,工業用水,工業排水,プール水などを対象にすることができる。
前記試薬は、被測定物質の種類によって選択される化合物であり、残留塩素を被測定物質とする場合は、酸化発色性のo−トリジン;N,N−ジエチルフェニレンジアミン(DPD);ジアルキルベンジジン化合物;テトラアルキルベンジジン化合物などを例示することができる
ここにおいて、前記残留塩素濃度測定用組成物の溶媒に水を使用する場合前記ジアルキルベンジジン化合物は、たとえばN,N’−ビス(2−スルホエチル)−3,3’−ジメチルベンジジン;N,N’−ビス(3−スルホプロピル)−3,3’−ジメチルベンジジン;N,N’−ビス(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,3’−ジメチルベンジジン;N,N’−ビス(4−スルホブチル)−3,3’−ジメチルベンジジン;N,N’−ビス(3−スルホプロピル)−N,N’−ジエチル−3,3’−ジメチルベンジジンなどのアルカリ金属塩(典型的には、ナトリウム塩)が水溶性が高く、好適に使用することができる。
同様に、前記残留塩素濃度測定用組成物の溶媒に水を使用する場合テトラアルキルベンジジン化合物は、たとえばN−(2−スルホエチル)−3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン;N−(3−スルホプロピル)−3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン;N−(4−スルホブチル)−3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン;N−(3−スルホプロピル)−3,3’,5,5’−テトラエチルベンジジン;N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン;N,N’−ビス(2−スルホエチル)−3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン;N,N’−ビス(3−スルホプロピル)−3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン;N,N’−ビス(4−スルホブチル)−3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン;N,N’−ビス(3−スルホプロピル)−3,3’,5,5’−テトラエチルベンジジン;N,N’−ビス(2−ヒドロキシ−2−スルホエチル)−3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン;N,N’−ビス(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジンなどのアルカリ金属塩(典型的には、ナトリウム塩)が水性が高く、好適に使用することができる。
前記試薬は、通常、残留塩素と未反応の状態では無色であるが、残留塩素と反応すると、所定のpH条件において、表1に示す特定波長に吸収ピークを示して発色する。ここで、吸収ピークとは、化学的試料によって電磁波が吸収される際、吸収が極大となる波長のことである。
Figure 0004411657
前記残留塩素濃度測定用組成物における前記試薬の配合割合は、とくに限定されず、通常、0.1〜2.0重量%の範囲で適宜設定することができる。
一方、前記色素は、前記試薬が発色した場合における特定波長の吸収と異なる波長領域に吸収を示す着色物質の中から選択される。たとえば、前記試薬が一つの吸収ピークを示す場合、この吸収ピークの波長を特定波長に設定し、この特定波長と異なる波長領域に吸収ピークを示す着色物質を選択する。また、前記試薬が複数の吸収ピークを示す場合、いずれかの吸収ピークの波長を特定波長に設定し、この特定波長と異なる波長領域に吸収ピークを示す着色物質を選択する。この色素は、有機系の合成色素や天然色素,あるいは無機系の色素を使用することができ、通常、単独で配合されるが、二種類以上を併用することもできる。
前記合成色素は、たとえばアマランス(食用赤色2号),エリスロシン(食用赤色3号),ニューコクシン(食用赤色102号),フロキシンB(食用赤色104号),ローズベンガル(食用赤色105号),アシッドレッド(食用赤色106号),タートラジン(食用黄色4号),サンセットイエローFCF(食用黄色5号),ファストグリーン(食用緑色3号),ブリリアントブルーFCF(食用青色1号),インジゴカルミン(食用青色2号)などを例示することができる。一方、前記天然色素は、一般に植物から抽出され、一種類または二種類以上の着色成分を含むものであり、たとえばガーデニアレッド(クチナシ赤色素),コチニールイクストラクト(コチニール色素),カーサマスイエロー(ベニバナ黄色素)などを例示することができる。
ここにおいて、前記色素は、残留塩素の濃度測定に影響を与えないように、つぎの条件を満足することが望ましい。
(1)酸化または還元により色相が変化しないこと。
(2)酸またはアルカリにより色相が変化しないこと。
(3)金属イオンなどの特定イオンと反応して発色しないこと。
(4)色素自身が酸化性または還元性を示さないこと。
(5)温度変化により色相が変化しないこと。
(6)溶液状態で高温(たとえば、50℃)の保存に耐えること。
また、前記色素は、この色素による被測定水の変色を光学的に検出するために、市販LEDの発光波長付近に吸収ピークを示すものが好ましい。さらに、前記色素は、前記残留塩素濃度測定用組成物の溶媒や被測定水に対する溶解度が0.5重量%以上であることが好ましく、1重量%以上であることがより好ましい。溶解度が0.5重量%未満の場合には、前記残留塩素濃度測定用組成物の保存中に前記色素が結晶化しやすくなり、また被測定水を変色させることが困難になる。
一例として、前記試薬にN,N’−ビス(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,3’−ジメチルベンジジン二ナトリウムを選択した場合(吸収の特定波長:674nm付近)、前記の各種条件を満足する色素は、ニューコクシン(食用赤色102号)およびアシッドレッド(食用赤色106号)などを挙げることができる。ニューコクシンの吸収ピークは505nm付近であり、発光波長440〜490nmの青色LEDを使用すると、被測定水の変色を光学的に検出できる。また、アシッドレッドの吸収ピークは570nm付近であり、発光波長520〜570nmの緑色LEDを使用すると、被測定水の変色を光学的に検出できる。
前記残留塩素濃度測定用組成物における前記色素の配合割合は、とくに限定されないが、通常、0.01〜0.5重量%の範囲で適宜設定することができる。ちなみに、この配合割合は、前記残留塩素濃度測定用組成物を被測定水へ供給したときに、前記色素の吸収波長付近における透過率を5〜90%低下させる範囲で設定される。
前記残留塩素濃度測定用組成物には、前記試薬および前記色素以外に、必要に応じてpH調整剤やマスキング剤などを配合することもできる。前記pH調整剤は、前記試薬の発色性や保存安定性を高めるために使用され、通常、酸,アルカリおよび緩衝剤のいずれかが選択される。前記マスキング剤は、被測定水中の金属イオンの作用により、前記試薬の発色が妨害されることを抑制するために使用される。
つぎに、前記残留塩素濃度測定用組成物を使用する残留塩素濃度測定装置について説明する。この残留塩素濃度測定装置は、容器と、供給装置と、確認手段と、検出手段とを主に備えている。
前記容器は、採取された被測定水の所定量を貯留するものであり、被測定水の発色や変色を光学的に検出できるように、アクリル樹脂や石英ガラスなどの透明材質で形成されている。この容器には、被測定水の導入路および排出路が接続されているとともに、外部に攪拌装置が設けられている。この攪拌装置は、前記容器内に貯留された被測定水を攪拌するためのものである。
前記供給装置は、前記残留塩素濃度測定用組成物の収容体と、この残留塩素濃度測定用組成物を前記容器内へ供給する吐出装置とを備えている。前記収容体は、たとえばパックやボトルなどであり、前記残留塩素濃度測定用組成物の更新を容易化するため、この収容体ごと交換可能なカートリッジ式に構成されていることが好ましい。また、前記吐出装置は、ローラ,ピストン,ダイアフラムなど利用したポンプ装置を使用することができる。
前記確認手段は、第一発光素子と第一受光素子とを備えており、この第一発光素子と第一受光素子とが前記容器を挟んで対向配置されている。すなわち、前記容器内に貯留された被測定水に対して前記第一発光素子から光を照射し、被測定水の透過光強度を前記第一受光素子で検出可能に構成されている。前記第一発光素子は、たとえば第一特定波長の光で発光可能なLEDであり、その第一特定波長が前記色素の吸収ピーク付近に設定されている。一方、前記第一受光素子は、たとえばフォトトランジスタである。ここにおいて、前記色素により被測定水が変色している場合、透過光強度は被測定水の変色度合いに対応して変化する。このため、第一特定波長の光の透過率または吸光度を測定すると、前記色素による被測定水の変色を確認することができる。
前記検出手段は、第二発光素子と第二受光素子とを備えており、この第二発光素子と第二受光素子とが前記容器を挟んで対向配置されている。すなわち、前記容器内に貯留された被測定水に対して前記第二発光素子から光を照射し、被測定水の透過光強度を前記第二受光素子で検出可能に構成されている。前記第二発光素子は、たとえば第二特定波長の光で発光可能なLEDであり、その第二特定波長が前記試薬が発色したときの吸収ピーク付近に設定されている。一方、前記第二受光素子は、たとえばフォトトランジスタである。ここにおいて、前記試薬が残留塩素と反応して発色している場合、透過光強度は被測定水の発色度合いに対応して変化する。このため、第二特定波長の光の透過率または吸光度を測定すると、前記試薬による被測定水の発色度合いを検出することができる。
さらに、前記検出手段は、第三発光素子と第三受光素子とを備えていてもよい。前記試薬が発色したときに複数の吸収ピークを示す場合、前記第二発光素子からの第二特定波長の光の透過率または吸光度と、前記第三発光素子からの第三特定波長の光の透過率または吸光度とを、たとえば最良の分解能が得られるように切り替えて測定するように構成することができる。
つぎに、前記残留塩素濃度測定用組成物を使用する残留塩素濃度測定方法について説明する。まず、前記容器内には、通常、前回の測定に係る被測定水が貯留されており、この被測定水は、前記色素により変色している。この状態で、前記導入路から被測定水を連続的に採取し、前回の測定に係る被測定水を押し出しながら、前記排出路を介して前記容器内から系外へ排出する。このとき、前記攪拌装置を作動させて被測定水を攪拌することにより、前記容器を洗浄する。ここにおいて、洗浄を開始したときから前記第一特定波長の光の透過光強度が所定値になるまでの時間を測定し、この時間に基づいて、被測定水の流量を推定する。そして、この推定された流量に応じて、一定量の被測定水が供給される時間を決定し、この時間が経過するまで洗浄状態を保持する(洗浄工程)。
洗浄工程を開始して所定時間が経過すると、この状態で前記第一特定波長の光の透過光強度を測定する。そして、この透過光強度をあらかじめ記憶されている基準値と比較する。ここで、透過光強度が基準値以下のときは、前回の測定に係る前記色素で変色した被測定水が残留しているなどの異常があると判断し、表示やブザーなどにより報知したのち、改めて前記洗浄工程を行う。一方、透過光強度が基準値を超えるときは、前記容器の洗浄および被測定水の置換が正常に行われ、前記色素による被測定水の変色が消失したと判断する(洗浄確認工程)。
前記容器の洗浄および被測定水の置換が正常に行われたと判断されると、前記攪拌装置を停止し、前記導入路を遮断する。すると、前記容器内への被測定水の流入が止まり、前記容器内が所定量の被測定水で満たされた状態となる。この状態で、前記第一特定波長の光の透過光強度を測定し、この透過光強度をブランク値として記憶しておく。また、前記第二特定波長の光の透過光強度を測定し、この透過光強度も同時にブランク値として記憶する(貯留工程)。
前記貯留工程を終えると、前記攪拌装置を作動させて被測定水を攪拌しながら、前記容器内へ前記残留塩素濃度測定用組成物の所定量を供給する。ここにおいて、前記残留塩素濃度測定用組成物は、前記試薬が残留塩素の当量以上含まれるように供給される。そして、前記残留塩素濃度測定用組成物の供給が完了すると、前記攪拌装置を停止する。このようにして供給された前記残留塩素濃度測定用組成物は、前記色素によって被測定水を変色させる。また、前記試薬が残留塩素と反応すると、被測定水を発色させる(供給工程)。
つぎに、前記色素による被測定水の変色に基づいて、前記試薬の供給を確認する。具体的には、前記第一特定波長の光の透過光強度を測定し、この透過光強度と前記洗浄確認工程における前記第一特定波長の光の透過光強度(ブランク値)とから透過率または吸光度を求める。そして、透過率が基準値未満のとき(たとえば、90%未満のとき),もしくは吸光度が基準値を超えるとき(たとえば、0.04を超えるとき)には、前記残留塩素濃度測定用組成物(すなわち、前記試薬)が正常に供給されていると判断する。一方、透過率が基準値以上のとき(たとえば、90%以上のとき),もしくは吸光度が基準値以下のとき(たとえば、0.04以下のとき)には、前記残留塩素濃度測定用組成物(すなわち、前記試薬)の供給に異常があると判断し、表示やブザーなどにより報知する(供給確認工程)。
前記試薬が正常に供給されていると判断したときは、続いて前記試薬による被測定水の発色度合いに基づいて、残留塩素濃度を測定する。具体的には、前記第二特定波長の光の透過光強度を測定し、この透過光強度と前記洗浄確認工程における前記第二特定波長の光の透過光強度(ブランク値)とから透過率または吸光度を求める。そして、あらかじめ作成された透過率または吸光度と残留塩素濃度との関係に基づいて、残留塩素濃度を特定する(測定工程)。
以上説明したように、この発明の実施の形態によれば、被測定水の残留塩素濃度を光学的に測定する際に、発色試薬の供給を確認することができる。また、新たな測定を行う際に、被測定水を貯留する容器の洗浄状態および被測定水の置換状態を確認することができる。この結果、とくに自動化された残留塩素濃度測定装置において、測定値の信頼性を高めることができる。
以下、この発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図1に示す残留塩素濃度測定装置1は、水道水,井戸水,工業用水,あるいはプール水など被測定水の残留塩素濃度を測定する装置であり、容器2と、測定部3と、供給装置4と、制御部5とを主に備えている。
前記容器2は、透明な合成樹脂(たとえば、アクリル樹脂),もしくは石英ガラスなどを筒状に形成したものであり、上部に開口部6を有している。また、前記容器2の底部近くの側面には、被測定水を採取する採取ライン7と接続された導入路8が設けられている。この導入路8は、前記採取ライン7側から順にフィルタ9,定流量弁10および電磁弁11をそれぞれ備えており、被測定水を前記容器2内へ供給可能になっている。また、前記容器2の上部近くの側面には、被測定水を系外へ排出する排出路12が設けられている。
さらに、前記容器2の底部には、攪拌装置13が設けられている。この撹拌装置13は、攪拌子14とステータ15とを備えている。前記攪拌子14は、前記容器2の底部において回転可能に配置されており、磁石(図示省略)をフッ素樹脂などで被覆したものである。前記ステータ15は、前記攪拌子14を取り囲むように、前記容器2の外側に配置されており、電磁誘導コイル(図示省略)を備えている。この電磁誘導コイルに電流を供給すると、前記攪拌子14が回転する。
前記測定部3は、前記容器2内に貯留された被測定水の透過光強度を測定するものであり、確認手段16と、検出手段17とを備えている。前記確認手段16は、第一発光素子18と第一受光素子19とからなり、この第一発光素子18と第一受光素子19とが前記容器2を挟んで対向配置されている。さらに、前記検出手段17は、第二発光素子20と第二受光素子21とからなり、この第二発光素子20と第二受光素子21とが前記容器2を挟んで対向配置されている。ここで、前記第一発光素子18は、青色光(発光波長470nm)のLEDであり、前記第二発光素子20は、赤色光(発光波長655nm)のLEDである。また、前記各受光素子19,21は、フォトトランジスタである。
前記供給装置4は、前記開口部6に着脱自在に装着されている。前記供給装置4は、図2(前記供給装置4を図1のII方向から見た縦断面図)に示すように、薬液カセット22と、薬液カートリッジ23と、吐出装置24とを主に備えている。前記薬液カセット22は、装着具(図示省略)により底部が前記開口部6にそれぞれ気密状態を維持するように装着されている。前記薬液カセット22の壁面には、上下方向へ延びるスリット25が形成されている。また、前記薬液カセット22の内部には、前記スリット25と対向する内面に上下方向へ延びる押圧部材26が装着されている。
前記薬液カートリッジ23は、ケース27と薬液の収納体28とを主に備えている。前記ケース27は、前記薬液カートリッジ23の上部に装着されており、前記収納体28は、前記ケース27内に収容されている。前記収納体28は、残留塩素濃度測定用組成物貯蔵された貯蔵部29と、この貯蔵部29内の残留塩素濃度測定用組成物を外部へ吐出する吐出部30とを備えている。この吐出部30は、たとえばフッ素ゴム製のチューブからなり、前記貯蔵部29から延び,かつ先端部にノズル31を備えている。前記吐出部30は、前記薬液カートリッジ23内を上下方向へ延びており、前記ノズル31が前記開口部6から前記容器2内へ挿入される。また、前記ノズル31は前記容器2内の被測定水が前記貯蔵部29内へ逆流することを防止する逆止弁(図示省略)を内蔵している。
ここで、前記残留塩素濃度測定用組成物は、表2に示すように、試薬としてN,N’−ビス(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,3’−ジメチルベンジジン二ナトリウム(株式会社同仁化学研究所の商品名:SAT−3)と、色素としてニューコクシン(食用赤色102号)とを主に含んでいる。この残留塩素濃度測定用組成物は、5〜50℃の温度条件で約1年間保存した場合に、前記試薬が発色したときの吸収ピーク付近における吸光度のバックグラウンドの上昇が抑制されるように、硫酸,リン酸およびリン酸ナトリウムを使用してpH0.6に調節されている。ここで、リン酸は、被測定水中の六価クロムイオンや第二鉄イオンなどの酸化性金属イオンと錯体を形成し、マスキングする作用を有している。また、溶媒である純水には、通常、蒸留水やイオン交換水などを使用する。
Figure 0004411657
前記N,N’−ビス(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,3’−ジメチルベンジジン二ナトリウムは、酸性領域で残留塩素と反応したときに、波長370nm,470nmおよび674nmに吸収ピークを示す酸化発色性の試薬である。前記第二発光素子20は、これらの吸収ピークのうち、674nmを特定波長として、この波長付近の透過光強度を測定するために、発光波長が655nmに設定されている。一方、ニューコクシンは、505nmに吸収ピークを示し、特定波長として設定した674nmと異なる波長領域に吸収を示す色素である。前記第一発光素子18は、505nm付近の透過光強度を測定するために、発光波長が470nmに設定されている。
さて、前記吐出装置24は、前記貯蔵部29内の前記残留塩素濃度測定用組成物を吐出させるものであり、モータ(図示省略)に接続された回転駆動軸32,駆動アーム33,押圧ローラ34を主に備えている。前記回転駆動軸32は、前記スリット25の外側に配置されており、図2の反時計方向へ回転可能である。前記駆動アーム33は、一端が前記回転駆動軸32に連結されており、他端に前記押圧ローラ34が回転自在に装着されている。前記駆動アーム33は、前記回転駆動軸32の回転により、図2に二点鎖線で示すように、反時計方向へ回転可能であり、この回転により、前記スリット25の部分において、前記押圧ローラ34が前記薬液カセット22に対して出入り可能に構成されている。
ちなみに、前記供給装置4は、本特許出願人の特許第3186577号「液体吐出装置」とほぼ同様の構成となっており、同公報には、さらに詳細な説明が記載されている。
前記制御部5は、前記残留塩素濃度測定装置1の動作を制御するものであり、図3に示すように、演算装置35と入出力ポート36とを主に備えている。前記演算装置35は、中央処理装置37(以下、「CPU37」と云う。),読取り専用記憶装置38(以下、「ROM38」と云う。)および読み書き可能な記憶装置39(以下、「RAM39」と云う。)を主に備えている。
前記入出力ポート36の入力側には、操作者が動作条件などを入力するスイッチ40および前記各受光素子19,21などが接続されている。一方、前記入出力ポート36の出力側には、測定結果などを表示する液晶ディスプレイ41(以下、「LCD41」と云う。),前記各発光素子18,20,前記電磁弁11,前記ステータ15,前記回転駆動軸32を駆動するモータ(符号省略)などが接続されている。
前記制御部5は、前記ROM38に記憶させた動作プログラムにしたがって、前記演算装置35が前記入出力ポート36を介して入力された各種の情報を前記RAM39に適宜保存しながら演算処理する。そして、前記演算装置35は、得られた演算結果に基づいて、前記入出力ポート36を介して各種の動作指令を各部材に対して出力する。
つぎに、図4〜図6に示す動作フローチャートにしたがって、前記残留塩素濃度測定装置1の動作を詳細に説明する。
前記残留塩素濃度測定装置1の電源が投入されると、プログラムは、まずステップS1において、前記電磁弁11を閉状態にし、前記ステータ15の電磁誘導コイル(図示省略)への通電を停止するなどの初期設定動作を実施する。
プログラムは、ステップS2において、前記制御部5の内部タイマーの経過時間tをゼロに設定し、つぎのステップS3において、経過時間tが所定時間t1に到達したか否かを判断する。経過時間tが所定時間t1になると、プログラムはステップS4へ移行し、経過時間tを再びゼロにリセットする。ここにおいて、所定時間t1は、前記残留塩素濃度測定装置1の測定間隔時間に相当し、通常0.1〜24時間である。
洗浄工程
つぎに、プログラムは、ステップS5において、前記第一発光素子18を点灯したのち、ステップS6へ移行し、前記容器2の洗浄を実施する。前記電磁弁11を開状態にすると、被測定水が前記採水ライン7を経由して前記導入路8から前記容器2内へ流入する。このとき、被測定水に含まれる塵などの夾雑物は、前記フィルタ9により除去される。また、前記容器2内へ流入する被測定水の流量は、前記定流量弁10により制御される。前記容器2内へ連続的に流入する被測定水は、前回の測定に係る変色,もしくは発色した被測定水を押し出しながら前記容器2内を満たし、前記排出路12から系外へ連続的に排出される。このとき、前記電磁誘導コイルが通電され、それによって生じる磁場を前記攪拌子14内の磁石(図示省略)が受ける。これにより、前記容器2内の前記攪拌子14が回転し、前記容器2内へ流入した被測定水が攪拌される。この結果、前記容器2内は、連続的に流入する新たな被測定水により置換されるとともに洗浄される。
この過程において、洗浄を開始したときから前記容器2を透過する青色光を前記第一受光素子19で受光し、その透過光強度が所定値(たとえば、前記容器2内に純水を貯留した場合の青色光の透過光強度に対して、その10〜90%に相当する範囲において任意に設定される値)になるまでの時間を測定する。つぎに、この時間に基づいて、被測定液の流量をあらかじめ前記ROM38に記憶されたデータから推定し、この推定された流量に応じて、一定量の被測定液が供給される所定時間を決定する。そして、この所定時間が経過するまで洗浄状態を保持する。
前記容器2の洗浄を開始して所定時間が経過すると、プログラムは、ステップS7へ移行し、洗浄確認準備を実施する。ここでは、前記電磁誘導コイルの通電を止め、被測定水の攪拌を停止する。
洗浄確認工程
前記洗浄工程が終了すると、プログラムは、ステップS8へ移行し、前記容器2を透過する青色光を前記第一受光素子19で受光し、その透過光強度(A)を測定する。続いて、ステップS9において、ステップS9で測定した透過光強度(A)が、基準値(B)を超えるか否かを判断する。ここで、基準値(B)は、前記容器2内に純水を貯留した場合の青色光の透過光強度に対して、その90%以上に相当する範囲において任意に設定される値である。
ここで、透過光強度(A)が基準値(B)以下のときは、前記容器2内に前回の測定に係る前記色素で赤色に変色された被測定水が残留しているか,もしくは前記容器2に青色光の透過を妨げる汚れがあると判断し、プログラムは、ステップS5へ戻り、前記洗浄工程から改めて実施する。一方、透過光強度が基準値(B)を超えるときは、前記容器2内が新たな被測定水で置換され,かつ前記容器2に汚れがないと判断し、プログラムは、ステップS10へ移行する。
ステップS10では、前記第一発光素子18を消灯するとともに、前記第二発光素子20を点灯する。そして、つぎのステップS11おいて、前記容器2を透過する赤色光を前記第二受光素子21で受光し、その透過光強度(C)を測定する。続いて、ステップS12において、ステップS11で測定した赤色光の透過光強度(C)が、基準値(D)を超えるか否かを判断する。ここで、基準値(D)は、前記容器2内に純水を貯留した場合の赤色光の透過光強度に対して、その90%以上に相当する範囲において任意に設定される値である。
ここで、透過光強度(C)が基準値(D)以下のときは、前記容器2に赤色光の透過を妨げる汚れがあるか,もしくは被測定水に濁りがあると判断し、プログラムは、ステップS5へ戻り、前記洗浄工程から改めて実施する。一方、透過光強度(C)が基準値(D)を超えるときは、前記容器2に汚れがなく,かつ被測定水に濁りがないと判断し、プログラムは、ステップS13へ移行する。
貯留工程
つぎに、ステップS13において、プログラムは、被測定水の貯留工程を実施する。この工程では、前記電磁弁11は、ステップS6〜S12に引き続いて開状態のまま維持されており、被測定水が前記採水ライン7を経由して前記導入路8から前記容器2内へ流入する。このとき、被測定水に含まれる塵などの夾雑物は、前記フィルタ9により除去される。また、前記容器2内へ流入する被測定水の流量は、前記定流量弁10により制御される。前記容器2内へ連続的に流入する被測定水は、前記容器2内を満たしながら、前記排出路12から系外へ連続的に排出される。そして、この状態で前記電磁弁11を閉状態にすると、前記容器2内への被測定水の流入が遮断され、前記容器2内において、図1に一点鎖線で示す位置まで所定量(通常、4ミリリットル)の被測定水が貯留される。また、前記ノズル31の先端部は、貯留された被測定水中に位置することになる。所定量の被測定水が貯留されると、プログラムは、ステップS14へ移行する。
ステップS14では、前記第二発光素子20を消灯するとともに、前記第一発光素子18を点灯する。そして、つぎのステップS15において、前記容器2を透過する青色光を前記第一受光素子19で受光し、その透過光強度(E)を測定する。この透過光強度(E)は、被測定水のブランク値として前記RAM39に記憶され、プログラムは、ステップS16へ移行する。
ステップS16では、前記第一発光素子18を消灯するとともに、前記第二発光素子20を点灯する。そして、つぎのステップS17において、前記容器2を透過する赤色光を前記第二受光素子21で受光し、その透過光強度(F)を測定する。この透過光強度(F)は、被測定水のブランク値として前記RAM39に記憶され、プログラムは、ステップS18へ移行する。
供給工程
ステップS18において、プログラムは、前記残留塩素濃度測定用組成物の供給を実施する。ここでは、前記電磁誘導コイルが通電され、前記容器2内に貯留された被測定水が攪拌される。そして、この状態を継続しながら、前記供給装置4における前記吐出装置24のモータを駆動させて前記回転駆動軸32を回転させる。すると、前記駆動アーム33が図2の反時計方向へ回転し、それにともなって前記押圧ローラ34が前記吐出部30を前記押圧部材26へ押し付けながら下方向へしごく。この結果、前記容器2内の被測定水へは、前記貯蔵部29内に貯蔵された前記残留塩素濃度測定用組成物の一定量が供給される。そして、前記駆動アーム33の回転運動を繰り返すと、この駆動アーム33の回転動作ごとに、一定量の前記残留塩素濃度測定用組成物が被測定水へ断続的に供給される。このようにして注入された前記残留塩素濃度測定用組成物は、配合されている前記色素により、被測定水を赤色に変色させる。また、配合されている前記試薬が残留塩素により酸化を受けると、被測定水を青緑色に発色させる。
前記駆動アーム33の回転動作が所定回数に到達すると、この駆動アーム33の回転作動を停止する。これにより、被測定水への前記残留塩素濃度測定用組成物の追加供給が停止される。ここにおいて、前記残留塩素濃度測定用組成物の全供給量は、たとえば2mg/リットル以下の残留塩素を測定可能な30マイクロリットルに設定されている。前記残留塩素濃度測定用組成物の供給を終了すると、プログラムは、ステップS19へ移行する。
供給確認工程
ステップS19において、プログラムは、前記電磁誘導コイルへの通電を停止し、前記第二発光素子20を消灯するとともに、前記第一発光素子18を点灯する。そして、つぎのステップS20おいて、前記容器2を通過する青色光を前記第一受光素子19で受光し、その透過光強度(G)を測定する。続いて、ステップS21において、透過光強度(G)と前記RAM39に記憶されている透過光強度(E)との比(透過率:G/E)を求め、この透過率(G/E)が基準値(H)未満か否かを判断する。ここで、基準値(H)は、前記容器2内に純水を貯留した場合の青色光の透過率を100%として、この透過率の90%以下に相当する範囲において任意に設定される透過率である。
ここで、透過率(G/E)が基準値(H)以上のときは、被測定水が前記色素により赤色に変色されていないと判断する。すなわち、ステップS18において、前記供給装置4の動作不良などにより、前記残留塩素濃度測定用組成物が供給されていないか,もしくは供給量が不足していると判断する。このとき、プログラムは、ステップS22へ移行し、前記LCD41に異常が発生した旨を表示するとともに、ブザー(図示省略)を鳴動させる。続くステップS23においては、操作者が確認スイッチ(図示省略)を押下したか否かを判断する。操作者が前記確認スイッチを押下したことを認識すると、プログラムは、ステップS5へ戻り、前記洗浄工程から改めて実施する。
一方、ステップS21において、透過率(G/E)が基準値(H)未満のときは、被測定水が前記色素により正常に赤く変色したと判断する。すなわち、ステップS18において、前記供給装置4が正常に作動し、前記残留塩素濃度測定用組成物が正常に供給されたと判断する。このときは、プログラムは、ステップS24へ移行する。
測定工程
ステップS24において、プログラムは、前記第一発光素子18を消灯するとともに、前記第二発光素子20を点灯する。そして、つぎのステップS25において、前記容器2を透過する赤色光を前記第二受光素子21で受光し、その透過光強度(I)を測定する。続いて、ステップS26において、透過光強度(I)と前記RAM39に記憶されている透過光強度(F)との比(透過率:I/F)を計算する。
つぎに、ステップS27において、プログラムは、あらかじめ前記ROM38に記憶された残留塩素濃度と透過率(I/F)の相関を示す検量線に基づいて、被測定水の残留塩素濃度を判定する。続いて、ステップS28では、その判定された測定値を前記LCD41に表示する。そして、プログラムは、ステップS3へ戻る。
ここで、ステップS27において使用する検量線(測定波長:655nm)は、たとえば図7に示したものである。図7において、三角印は、表2に示した配合の残留塩素濃度測定用組成物30マイクロリットルを、次亜塩素酸ナトリウムを使用して所定の残留塩素濃度に調製した被測定水4ミリリットルへ供給したときの透過率をプロットしたものである。一方、丸印は、表2の配合において、色素(ニューコクシン)の割合をゼロとし、純水を66.2重量%に変えた組成物を使用したときのデータであり、この組成物30マイクロリットルを、次亜塩素酸ナトリウムを使用して所定の残留塩素濃度に調製した被測定水4ミリリットルへ供給したときの透過率をプロットしたものである。図7によれば、色素を配合した場合の透過率(三角印)および色素を配合しない場合の透過率(丸印)は、よく一致しており、色素は残留塩素濃度の測定に影響を与えないことが分かる。
残留塩素濃度測定装置の概略構成を示す縦断面図。 残留塩素濃度測定装置を構成する供給装置の内部構造を示す縦断面図。 残留塩素濃度測定装置における制御部の概略構成を示すブロック図。 残留塩素濃度測定装置の動作を示すフローチャート。 残留塩素濃度測定装置の動作を示すフローチャート。 残留塩素濃度測定装置の動作を示すフローチャート。 残留塩素濃度測定装置における検量線の一例。
2 容器
4 供給装置
16 確認手段
17 検出手段

Claims (3)


  1. (A)試薬としてN,N’−ビス(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,3’−ジメチルベンジジン二ナトリウム、(B)色素としてニューコクシン、(C)リン酸、(D)リン酸ナトリウム、および(E)水を含み、pHが0.6に調整されていることを特徴とする残留塩素濃度測定用組成物。

  2. 請求項1に記載の組成物を使用する残留塩素濃度測定方法であって、被測定水を容器2に貯留する貯留工程と、前記容器2内へ前記組成物を供給する供給工程と、被測定水の波長470nmにおける透過率に基づいて、前記試薬の供給を確認する供給確認工程と、被測定水の波長655nmにおける透過率に基づいて、残留塩素濃度を測定する測定工程とを含むことを特徴とする残留塩素濃度測定方法。

  3. 前記測定工程後の前記容器2を所定時間洗浄する洗浄工程と、被測定水の波長470nmおよび655nmにおける透過光強度に基づいて、前記容器2の洗浄状態を確認する洗浄確認工程とを含むことを特徴とする請求項2に記載の残留塩素濃度測定方法。
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