JP4802940B2 - 被測定水中の被検成分濃度の測定方法 - Google Patents
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〔1〕 被測定水と、呈色試薬および色素を含有する薬液とを反応させ、得られた呈色反応液の発色度合を検出することで被測定水中の被検成分濃度を測定するにあたり、あらかじめ、前記薬液の薬注量のばらつきを考慮した許容最大薬注量と許容最小薬注量を設定し、前記色素の光吸収波長で呈色反応液の発色度合を測定することで、基準水中の被検成分濃度と呈色反応液の発色度合との関係について、発色度合の大きい検量線と発色度合の小さい検量線をそれぞれ作成し、該検量線で囲まれる領域を薬注判定領域として設定しておき、被測定水の測定プロセスにおいて、前記色素の光吸収波長で呈色反応液の発色度合を測定し、得られた発色度合が、前記薬注判定領域の被検成分濃度のうち、被測定水中の被検成分濃度に対応した発色度合の領域内にあるか否かを判定する薬注判定ステップを含むことを特徴とする被測定水中の被検成分濃度の測定方法、
〔2〕 前記薬注判定領域が、水温,Mアルカリ度および測定波長から選択される1種以上の発色に影響する因子を選択して、発色度合として許容可能な高発色条件と低発色条件を設定し、薬液の薬注量が許容最大薬注量のときは高発色条件を組み合わせ、薬液の薬注量が許容最小薬注量のときは低発色条件を組み合わせて、発色度合の大きい検量線と発色度合の小さい検量線をそれぞれ作成して設定されたものである、前記〔1〕記載の方法、
〔3〕 前記被検成分が残留塩素であり、前記呈色試薬がジアルキルベンジジン化合物である、前記〔1〕または〔2〕記載の方法。
の光透過窓部7,7が対向して形成されている。これらの各光透過窓部7には、ガラスや
アクリル樹脂などの透明材料を平板状に成形した窓板8,8がそれぞれ装着されている。
前記各窓板8は、とくに後述する薬液に酸,アルカリ,あるいは有機溶媒などが含まれる
場合、その材料に石英ガラスを使用すると、材質劣化による破損のおそれがなく、好適で
ある。
蔵容器9は、その内部に被測定水中の残留塩素と反応して発色する呈色試薬が配合された
薬液が貯蔵されており、前記測定セル2の上部と薬液供給経路11で接続されている。こ
の薬液供給経路11には、前記ローラポンプ10が設けられており、このローラポンプ1
0の下流側には、逆止弁12が設けられている。前記薬液供給経路11は、たとえば弾性
材料で形成されたチューブであって、このチューブを前記ローラポンプ10で扱くことに
より、前記薬液貯蔵容器9から前記測定セル2内へ呈色試薬を含む薬液が吐出される。
された発光回路基板15と、それぞれ透過光を検出する第一受光素子16および第二受光
素子17が装着された受光回路基板18とを備えている。ここで、前記各発光素子13,
14は、たとえばLEDであり、また前記各受光素子16,17は、たとえばフォトダイ
オードである。前記発光回路基板15は、前記各発光素子13,14が一方の前記光透過
窓部7へ臨むように、前記測定セル2の外側に配置されている。そして、前記受光回路基
板18は、前記各受光素子16,17が他方の前記光透過窓部7へ臨むように、前記測定
セル2の外側に配置されている。すなわち、この実施形態における前記投受光部4は、所
定の発光波長に設定された光を前記各発光素子13,14から照射するとともに、前記測
定セル2を透過した光を前記各受光素子16,17で検出するように構成されている。
けられており、この採水口22は、給水配管や貯水タンクなどの監視対象水系(図示省略
)と採水経路23で接続されている。この採水経路23には、前記採水口22側から順に
電磁弁24,定流量弁25およびフィルタ26が設けられている。一方、前記測定セル2において、前記各光透過窓部7よりも上方の側壁には、排水口27が設けられており、こ
の排水口27には、排水ピット(図示省略)へ延びる排水経路28が接続されている。
れている。この実施形態において、前記水温検出部5は、いわゆる温度センサであって、
その検出部位が前記採水経路23中の被測定水と接触するように取り付けられている。こ
こにおいて、前記採水経路23を構成するパイプやチューブなどの肉厚が比較的薄い(た
とえば、3mm以下)場合、前記水温検出部5は、前記採水経路23の外周面の温度を検出
するように構成してもよい。あるいは、前記水温検出部5は、前記測定セル2内に貯留さ
れた被測定水や前記排水経路28からの排水の水温を検出するように構成してもよい。
すように、演算部29と入出力ポート30とを主に備えている。前記演算部29は、中央
処理装置31(以下、「CPU31」と云う。),読取り専用記憶装置32(以下、「ROM32」と云う。)および読み書き可能な記憶装置33(以下、「RAM33」と云う。)を主に備えている。
よび前記受光回路基板18などの入力機器が接続されている。一方、前記入出力ポート3
0の出力側には、測定結果などを表示する液品ディスプレイ35(以下、「LCD35」
と云う。),前記ローラポンプ10,前記発光回路基板15,前記ステータ21および前
記電磁弁24などの出力機器が接続されている。
9が前記入出力ポート30を介して入力された各種の情報を前記RAM33に適宜保存し
ながら演算処理する。そして、前記演算部29は、得られた演算結果に基づいて、前記入
出力ポート30を介して各種の動作指令を前記出力機器に対して出力する。
基準検量線に基づいて、被測定水中の被検成分濃度を1次判定する判定処理が組み込まれている。ここで、基準検量線とは、基準水と、呈色試薬および色素を含有する薬液とを反応させ、基準水中の被検成分と薬液中の呈色試薬との反応により得られた呈色反応物の吸収極大付近の波長で呈色反応液の吸光度(または、透過率)を測定することで、基準水中の被検成分濃度と呈色反応液の吸光度(または、透過率)との関係を求めたものをいう。ここで、基準水とは、被検成分を水中に溶解させて所定の濃度範囲に調整したもの(例えば、被検成分が残留塩素の場合、Cl2換算で0〜2.5ppm)をいい、さらに所定のMアルカリ度を有するように調整したものを用いることもできる。
残留塩素濃度を測定するための一液型の組成物であり、表1に示す配合例のように、呈色
試薬として、ジアルキルベンジジン化合物を含んでいる。ここで、利用可能なジアルキル
ベンジジン化合物としては、たとえばN,N’−ビス(2−スルホエチル)−3,3’−
ジメチルベンジジン;N,N’−ビス(3−スルホプロピル)−3,3’−ジメチルベン
ジジン;N,N’−ビス(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,3’−ジメチル
ベンジジン;N,N’−ビス(4−スルホブチル)−3,3’−ジメチルベンジジン;N
,N’−ビス(3−スルホプロピル)−N,N’−ジエチル−3,3’−ジメチルベンジ
ジン;N,N’−ビス(2,4−ジスルホベンジル)−3,3’−ジメチルベンジジンおよびこれらのアルカリ金属塩などを挙げることができる。
ニューコクシン(食用赤色102号)を含んでいる。また、薬液は、前記色素の溶剤として、プロパン−1,2−ジオールおよび界面活性剤を含んでいる。これらの溶剤は、前記残留塩素濃度測定装置1が使用される5℃の低温条件において、薬液内で前記色素が析出することを防止する作用を有しており、薬液の安定注入に寄与している。同時に、界面活性剤は、被測定水中の汚れ成分が前記窓板8,8へ付着することを抑制する洗浄剤としての作用も有している。さらに、薬液は、前記残留塩素濃度測定装置1が使用される5〜50℃の温度条件で約1年問保存した場合に、呈色試薬が発色したときの吸収極大付近における吸光度のバックグラウンドの上昇が抑制されるように、硫酸およびリン酸−リン酸ナトリウム系の緩衝剤を使用してpH0.6に調節されている。ここで、リン酸は、被測定水中の六価クロムイオンや第二鉄イオンなどの酸化性金属イオンと錯体を形成することが可能であり、マスキング剤としての作用も有している。また、溶媒である水には、通常、蒸留水やイオン交換水などを使用する。
長360〜380nm付近,450〜470nm付近および640〜660nm付近に吸収極大を示して黄〜青緑色に発色する酸化発色性の呈色試薬である。前記第一発光素子13は、これらの吸収極大のうち、640〜660nmを測定波長とする透過光強度を測定するために、たとえば発光波長が655nmに設定された赤色LEDを使用している。一方、ニューコクシンは、波長505nm付近に吸収極大を示し、測定波長として選択した640〜660nmと異なる波長領域に吸収を示す色素である。前記第二発光素子14は、505nm付近の透過光強度を測定するために、たとえば発光波長が470nmに設定された青色LEDを使用している。
グラムは、まずステップS1において、前記ステータ21の電磁誘導コイル(図示省略)
への通電を停止し、前記電磁弁24を閉状態にするなどの初期設定動作を実施する。
ゼロに設定し、つぎのステップS3において、経過時間tが所定時間t1に到達したか否
かを判断する。経過時間tが所定時間t1になると、プログラムはステップS4へ移行し
、経過時間tを再びゼロにリセットする。ここにおいて、所定時間t1は、前記残留塩素
濃度測定装置1の測定間隔時間に相当し、通常、0.1〜24時問の範囲である。
つぎに、プログラムは、ステップS5において、前記第二発光素子14を点灯したのち
、ステップS6へ移行し、前記測定セル2の洗浄を実施する。前記電磁弁24を開状態に
すると、被測定水が洗浄水として、前記採水経路23を経由して前記採水口22から前記
測定セル2内へ流入する。このとき、被測定水に含まれるゴミや濁質などの夾雑物は、前
記フィルタ26により除去される。また、前記測定セル2内へ流入する被測定水の流量は
、前記定流量弁25により制御される。前記測定セル2内へ連続的に流入する被測定水は
、前回の測定に係る着色,もしくは発色した被測定水を押し出しながら前記測定セル2内
を満たし、前記排水経路28から系外へ連続的に排出される。このとき、前記電磁誘導コ
イルが通電され、それによって生じる磁場を前記撹拌子20内の磁石(図示省略)が受け
る。これにより、前記撹拌子20が回転し、前記測定セル2内へ流入した被測定水が撹拌
される。この結果、前記測定セル2内は、連続的に流入する新たな被測定水により置換さ
れるとともに洗浄される。
二受光素子17で検出し、その透過光強度が所定値(たとえば、前記測定セル2内に蒸留
水を貯留した場合の青色光の透過光強度に対して、その10〜90%に相当する範囲にお
いて任意に設定される値)になるまでの時間を測定する。つぎに、この時間に基づいて、
被測定水の流量をあらかじめ前記ROM32に記憶されたデータから推定し、この推定さ
れた流量に応じて、一定量の被測定水が供給される所定時問を決定する。そして、この所
定時間が経過するまで洗浄状態を保持する。
へ移行し、洗浄確認準備を実施する。ここでは、前記電磁誘導コイルの通電を止め、被測
定水の撹拌を停止する。
前記洗浄動作が終了すると、プログラムは、ステップS8へ移行し、前記測定セル2を
透過する青色光を前記第二受光素子17で検出し、その透過光強度(A)を測定する。続
いて、ステップS9では、ステップS8で測定した透過光強度(A)が、基準値(B)を
超えるか否かを判断する。ここで、基準値(B)は、前記測定セル2内に蒸留水を貯留し
た場合の青色光の透過光強度に対して、たとえばその90%以上に相当する範囲において
任意に設定される値である。
定に係る前記色素で赤色に着色された被測定水が残留しているか,もしくは前記測定セル
2に青色光の透過を妨げる汚れがあると判断し、プログラムは、ステップS5へ戻り、前記洗浄動作から改めて実施する。一方、透過光強度が基準値(B)を超えるときは、前記
測定セル2内が新たな被測定水で置換され,かつ前記測定セル2に汚れがないと判断し、
プログラムは、ステップS10へ移行する。
3を点灯する。そして、つぎのステップS11おいて、前記測定セル2を透過する赤色光
を前記第一受光素子16で検出し、その透過光強度(C)を測定する。続いて、ステップ
S12において、ステップS11で測定した赤色光の透過光強度(C)が、基準値(D)
を超えるか否かを判断する。ここで、基準値(D)は、前記容器2内に蒸留水を貯留した
場合の赤色光の透過光強度に対して、たとえばその90%以上に相当する範囲において任
意に設定される値である。
過を妨げる汚れがあるか,もしくは被測定水に濁りがあると判断し、プログラムは、ステ
ップS5へ戻り、前記洗浄動作から改めて実施する。一方、透過光強度(C)が基準値(
D)を超えるときは、前記測定セル2に汚れがなく,かつ被測定水に濁りがないと判断し
、プログラムは、ステップS13へ移行する。
つぎに、ステップS13において、プログラムは、被測定水の貯留動作を実施する。こ
の動作では、前記電磁弁24は、ステップS6〜S12に引き続いて開状態のまま維持さ
れており、被測定水が前記採水経路23を経由して前記採水口22から前記測定セル2内
へ流入する。このとき、被測定水に含まれるゴミや濁質などの來雑物は、前記フィルタ2
6により除去される。また、前記測定セル2内へ流入する被測定水の流量は、前記定流量
弁25により制御される。前記測定セル2内へ連続的に流入する被測定水は、前記測定セ
ル2内を満たしながら、前記排水経路28から系外へ連続的に排出される。そして、この
状態で前記電磁弁24を閉状態にすると、前記測定セル2内への被測定水の流入が遮断さ
れ、前記測定セル2内に所定量(通常、4ミリリットル)の被測定水が貯留される。所定
量の被測定水が貯留されると、プログラムは、ステップS14へ移行する。
4を点灯する。そして、つぎのステップS15において、前記測定セル2を透過する青色
光を前記第二受光素子17で検出し、その透過光強度(E)を測定する。この透過光強度
(E)は、被測定水のブランク値として前記RAM33に記憶され、プログラムは、ステ
ップS16へ移行する。
3を点灯する。そして、つぎのステップS17において、前記測定セル2を透過する赤色
光を前記第一受光素子16で検出し、その透過光強度(F)を測定する。この透過光強度
(F)は、被測定水のブランク値として前記RAM33に記憶され、プログラムは、ステ
ップS18へ移行する。
ステップS18において、プログラムは、前記第一発光素子13を消灯するとともに、薬液の注入を実施する。ここでは、前記電磁誘導コイルが通電され、前記測定セル2内に貯留された被測定水が撹拌される。そして、この状態を継続しながら、前記ローラポンプ10を駆動させ、前記薬液供給経路11を構成するチューブを所定回数扱くことにより、前記薬液貯蔵容器9から前記測定セル2内へ所定量の薬液を吐出させる。このようにして注入された薬液は、前記色素によって被測定水を赤色に着色させる。また、注入された薬液は、前記呈色試薬が残留塩素により酸化を受けると、被測定水を青緑色に発色させる。ここにおいて、薬液の全注入量は、表1に示した薬液を利用する場合、たとえば2.5ppm以下の残留塩素濃度(Cl2換算)を測定可能な0.03gに設定されている。薬液の注入を終了すると、前記ローラポンプ10を停止させ、プログラムは、ステップS19へ移行する。
ステップS20では、前記第一発光素子13を点灯する。そして、つぎのステップS21において、前記測定セル2を通過する赤色光を前記第一受光素子16で検出し、その透過光強度(G),すなわち呈色反応液の発色度合を測定する。ここにおいて、透過光強度(G)を検出するタイミングは、呈色反応の速度が被測定水の水温により影響を受けることから、冬季などの低温条件(たとえば、5℃)においても、被測定水と薬液の反応が完結するタイミングに設定されている。具体的には、前記ローラポンプ10を停止させてからの経過時間をカウントし、この経過時間が所定時間(たとえぱ、1〜5分の範囲から選択される時間)に達したとき、透過光強度(G)を検出する。続いて、ステップS22において、透過光強度(G)と前記RAM33に記憶されている透過光強度(F)から、吸光度(log(F/G))を計算する。
ステップS24において、プログラムは、前記第一発光素子13を消灯するとともに、
前記第二発光素子14を点灯する。そして、つぎのステップS25において、前記測定セ
ル2を透過する青色光を前記第二受光素子17で検出し、その透過光強度(H),すなわ
呈色反応液の発色度合を測定する。続いて、ステップS26において、透過光強度(H)と前記RAM33に記憶されている透過光強度(E)から、吸光度(log(E/H))を計算する。この吸光度(log(E/H))は前記RAM33に記憶されるとともに、前記第二発光素子14を消灯して、ステップS27へ移行する。
60ppmのMアルカリ度を有し、残留塩素濃度が0ppm,1ppmおよび2.5ppm(それぞれCl2換算)に設定された3種類の基準水を調製した。これらの基準水40ミリリットルへ表1に記載した薬液0.03gを撹拌しながら2回添加し、室温で1分間静置して呈色反応を完結させたのち、発色した基準水の4ミリリットルを分光光度計用セルに移した。つぎに、前記分光光度計用セルを分光光度計(株式会社日立製作所製U−2010,石英セル長:10mm)にセットし、25℃における波長470nmの吸光度を測定した。基準水中の残留塩素濃度に対して吸光度をプロットして得られた検量線を基準検量線として以下の試験に用いた。上述した呈色反応条件と吸光度の測定条件をまとめて基準条件といい、各条件を簡略化すれば次のように表記される。
(基準条件)
波長:470nm
薬注量:0.03g×2回
水温:25℃
Mアルカリ度:60ppm
薬液の薬注量のばらつきを考慮した薬注判定領域を作成することを目的として、前記基準条件のうち、薬注誤差としての許容値を基準薬注量±20%(最大薬注量:0.036g×2回,最小薬注量:0.024g×2回)とし、これ以外の条件は前記「1.基準条件における検量線の作成」と同様にして呈色反応および吸光度測定を行った。得られた検量線を前記基準検量線とともに図6に示す。図6より、薬注量が増加した場合、傾きは一定で、切片は増加することが分かった。また、薬注誤差を考慮した薬注判定領域は、実線で示した2つの検量線で囲まれた領域となる。
呈色反応液の吸光度に及ぼす波長の影響をみるため、前記基準条件のうち、波長誤差としての許容値を基準波長±5nm(長波長:475nm,短波長:465nm)とし、これ以外の条件は前記「1.基準条件における検量線の作成」と同様にして呈色反応および吸光度測定を行った。得られた検量線を前記基準検量線とともに図7に示す。図7より、波長は発色に影響する因子であり、測定波長が長波長側へシフトした場合、傾きが減少し、切片は増加することが分かった。すなわち、本試験では、長波長条件が高発色条件に相当し、短波長条件が低発色条件に相当するといえる。しかし、本試験で設定した条件では、それぞれの検量線にわずかな違いが認められるだけであり、発色への影響がそれほど大きいとは認められなかった。
呈色反応液の吸光度に及ぼす水温の影響をみるため、前記基準条件のうち、水温変化としての許容値を高温側で40℃,低温側で15℃とし、これ以外の条件は前記「1.基準条件における検量線の作成」と同様にして呈色反応および吸光度測定を行った。得られた検量線を前記基準検量線とともに図8に示す。図8より、水温は発色に影響する因子であり、呈色反応を高温で行った場合、傾きは増加するが、切片は一定であることが分かった。すなわち、本試験では、高温条件が高発色条件に相当し、低温条件が低発色条件に相当するといえる。
呈色反応液の吸光度に及ぼすMアルカリ度の影響をみるため、前記基準条件のうち、Mアルカリ度の変化としての許容値を高濃度側で500ppm,低濃度側で0ppmとし、これ以外の条件は前記「1.基準条件における検量線の作成」と同様にして呈色反応および吸光度測定を行った。得られた検量線を前記基準検量線とともに図9に示す。図9より、Mアルカリ度は発色に影響する因子であり、基準水中のMアルカリ度が増加した場合、傾きは減少するが、切片は一定であることが分かった。すなわち、本試験では、高濃度条件が低発色条件に相当し、低濃度条件が高発色条件に相当するといえる。
薬注誤差と、発色に影響する因子としての波長,水温およびMアルカリ度の各変化とを考慮した薬注判定領域を作成することを目的として、以下の2つの条件で呈色反応および吸光度測定を行った。得られた検量線を前記基準検量線とともに図10に示す。図10の薬注判定領域は、図6の薬注判定領域に比べて、上限側と下限側がともに大きくなることが確認された。
波長:475nm
吐出量:0.036g×2回
水温:40℃
Mアルカリ度:0ppm
波長:465nm
吐出量:0.024g×2回
水温:15℃
Mアルカリ度:500ppm
Claims (3)
- 被測定水と、呈色試薬および色素を含有する薬液とを反応させ、得られた呈色反応液の発色度合を検出することで被測定水中の被検成分濃度を測定するにあたり、
あらかじめ、前記薬液の薬注量のばらつきを考慮した許容最大薬注量と許容最小薬注量を設定し、前記色素の光吸収波長で呈色反応液の発色度合を測定することで、基準水中の被検成分濃度と呈色反応液の発色度合との関係について、発色度合の大きい検量線と発色度合の小さい検量線をそれぞれ作成し、該検量線で囲まれる領域を薬注判定領域として設定しておき、
被測定水の測定プロセスにおいて、前記色素の光吸収波長で呈色反応液の発色度合を測定し、得られた発色度合が、前記薬注判定領域の被検成分濃度のうち、被測定水中の被検成分濃度に対応した発色度合の領域内にあるか否かを判定する薬注判定ステップ
を含むことを特徴とする被測定水中の被検成分濃度の測定方法。 - 前記薬注判定領域が、水温,Mアルカリ度および測定波長から選択される1種以上の発色に影響する因子を選択して、発色度合として許容可能な高発色条件と低発色条件を設定し、薬液の薬注量が許容最大薬注量のときは高発色条件を組み合わせ、薬液の薬注量が許容最小薬注量のときは低発色条件を組み合わせて、発色度合の大きい検量線と発色度合の小さい検量線をそれぞれ作成して設定されたものである、請求項1記載の方法。
- 前記被検成分が残留塩素であり、前記呈色試薬がジアルキルベンジジン化合物である、請求項1または2記載の方法。
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