JP4410279B2 - 自動変速装置の制御装置及び制御方法 - Google Patents
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Description
次にクラッチを係合するためクラッチストローク量を変化させる。クラッチは完全に開放されている状態にあるため、モータを回転させるようにモータ駆動回路に所定の駆動パターンを与える。モータ駆動回路に所定の駆動パターンを与えた後、いくらかの遅れ時間をもってモータは回転を開始する。このモータ回転開始までの区間においてもモータのトルクを管理する必要があるが、従来のモータ制御技術ではモータ回転に同期して電流検出を行うため、モータが停止している状態や制御装置が検出できないような極低回転でモータが回転している状態では電流検出を行うことができない。そのため、モータのトルクを管理することができず、モータトルクを精度良く制御することができない。
次にモータが回転を開始し、クラッチストローク量が変化を始める。この時はモータが回転しているため、モータの回転角に応じて検出した電流によって精度良いモータトルク制御を行うことができる。
さらにモータ回転速度が上昇し、クラッチストローク量の変化が速くなる。この時に同じようにモータ回転角に応じて電流を検出していた場合には、単位時間あたりのマイコンでの電流検出回数や電流演算回数が増えるため、マイコンの負荷が増大するという問題点がある。
その後、クラッチ係合の際にはショックが発生しないようにするため、クラッチストローク量の変化を徐々に小さくしてモータの回転速度徐々に低下させる。モータの回転速度が低下すればモータ回転角に応じた電流検出を行ってもマイコンの負荷は過大とならないので、特に問題はない。
クラッチが係合するとクラッチストローク量の変化はなくなり、運転状態に応じたクラッチ係合力の調整が必要となる。クラッチ係合時にはモータは回転していないため、モータの回転角に応じたモータ電流の検出はできない。よって上記同様にモータトルクを制御することができず、クラッチ係合力を調整することができないことになる。
図1は本発明の実施の形態における自動変速装置の制御装置システム構成を示した概略図である。
図1において、101はエンジン、102はエンジンに結合された自動変速機、103は自動変速機の入力部分に取り付けられエンジン101からの動力の伝達を行うためのクラッチ、104は自動変速機の変速段を変更するための変速機構、105は自動変速機のクラッチの係合及び変速機構の構成変更を行い自動変速機の変速段を制御するための変速制御手段、106は変速制御手段の指示により変速時のエンジントルク量を制御するためのエンジントルク制御手段、107は変速制御手段105の指示により変速時のクラッチ制御及びクラッチ係合力の制御を行うためのクラッチ制御手段、108は変速制御手段105の指示により変速機構の変速段の制御を行うための変速機構制御手段である。
図2において、201はモータ制御手段、202はクラッチまたは変速機構を駆動するためのモータであり3相ブラシレスモータの例を示している。203はモータ駆動回路でUH、UL、VH、VL、WH、WLの6個のFET(電界効果トランジスタ)から構成される。204はモータ駆動回路203の電源である。205はモータ202に流れる電流を検出するためのシャント抵抗、206はシャント抵抗の両端電圧を平均化するためのフィルタ回路、207はシャント抵抗205の両端電圧からモータ202に流れる電流を検出する第1のモータ電流検出手段、208はシャント抵抗205の両端電圧からモータ202に流れる電流を検出する第2のモータ電流検出手段、209は変速状態や車両の運転状態に応じて目標のモータ電流を演算するための目標モータ電流演算手段、210は電流検出手段で検出した実電流と目標モータ電流演算手段で演算した目標電流によってモータ駆動回路203に与える駆動デューティを演算するモータ駆動デューティ演算手段である。モータ202のトルクはモータ電流量と比例関係にあるため、モータ電流量をフィードバック制御することで目標とするモータトルク量を調整する。211はモータ202の回転位置を検出するためのモータ回転位置検出センサである。212はモータ回転位置検出センサ211で検出したモータ位置に応じて駆動するFETを選択して、そのFETに対してモータ駆動デューティ演算手段で演算した駆動デューティに応じてモータ駆動回路203を駆動するためのドライバ駆動手段である。
例えば、Aの場合では、モータ位置検出センサ211の出力パターンが
(H1, H2, H3)=(H, L, H) の時、モータ駆動回路203B
Bの場合では、モータ位置検出センサ211の出力パターンが
(H1, H2, H3)=(H, L, L) の時、モータ駆動回路203の UHとWLをONにする。
このように、モータ位置検出センサ211の出力パターンに対して、モータ駆動回路通電パターン302を切り換えていくことで、モータ202を一方向へ回転させることができる。
S901はモータ電流A/D取得を行うステップであり、フィルタ後電圧403のA/D値を読み込みフィルタ後電圧を検出する。
S902は第1のモータ電流を演算するステップであり、901で読み込んだフィルタ後電圧403とシャント抵抗205の抵抗値から第1のモータ電流を演算する。
S1001はモータ回転位置検出センサ211のパターンの読み込みを行う。
S1002はS1001で読み込んだモータ位置検出センサ211のパターンが正常であるかを判断する。図3で示した通り、モータ位置検出センサ211の出力パターンは全部で6通りであり、特定パターンから正転、逆転した場合のパターンは1つずつしかないため、それ以外のパターンを検出した場合には異常であると判断することができる。
S1002でパターンが正常であると判断した場合にはS1003に進む。S1003はモータ電流A/D取得を行うステップであり、フィルタ後電圧403のA/D値を読み込みフィルタ後電圧を検出する。
S1004は第2のモータ電流を演算するステップであり、S1003で読み込んだフィルタ後電圧403とシャント抵抗205の抵抗値からモータ電流を演算する。
S1005ではモータ202の電流検出が終了したため、モータ駆動回路通電パターン401をS1001で読み込んだモータ回転位置検出センサ211に応じたパターンに切り替えを行う。
なお、S1002でパターンが正常でないと判断した場合には、S1006で所定の異常検出処理を行う。
時間t1は、時間0以降初めて第1の電流検出手段の演算タイミングであり、そのタイミングのフィルタ回路の検出電圧に応じて、図9に示す手順で第1のモータ電流を演算する。以降、時間t1から時間t2の間はモータは所定回転方向に回転開始しており、第1のモータ電流検出手段では所定のタイミング毎にフィルタ後電圧の検出を行い、第1のモータ電流を演算する。この区間は、回転開始初期であるためモータ回転速度が遅いため図示していないモータ回転位置検出センサの出力は変化がなく、モータ駆動回路の通電パターンも一定である。そのため、第2の電流検出手段での電流検出は実施しない。
時間t2では、モータ駆動を開始してから初めて図示していないモータ回転位置検出センサ出力の変化があり、モータ駆動回路通電パターンの切り替えを実施している。この時には図10に示す手順で、このタイミングのフィルタ回路の出力電圧に応じて、第2のモータ電流を演算する。時間t2以降においても、第1のモータ検出手段では所定のタイミング毎にモータ電流を検出し、第2のモータ検出手段ではモータ回転位置検出センサ出力の変化タイミングに応じてモータ電流を検出する。
時間t3以降はモータ回転速度が高く、モータ駆動回路通電パターンの切り替え周期が短い状態である。この時シャント抵抗電圧のフィルタ後電圧は、時間t3以前のモータ回転速度が低い状態と比較して、電圧の変動量が小さくなる。そのため、第1の電流検出手段で検出するフィルタ回路の出力電圧変動も小さくなり、第2の電流検出手段で検出するフィルタ回路の出力電圧変動と同等の変動量となる。また、モータ回転速度が高いため、モータ回転位置検出センサ出力切り替わり周期が第1のモータ電流検出手段の所定の演算タイミング毎よりも短く、第1のモータ電流検出手段に対して第2のモータ電流検出手段でのモータ電流演算更新周期が短くなっている。
このように、精度良好なモータ電流検出を行う場合は、以下に示す電流を選択して制御に用いる。モータが停止している場合、もしくは回転速度が低い場合(図7中 0≦t<t2)には第1のモータ電流を選択する。モータ回転速度が中速の場合(t2≦t<t3)には第2のモータ電流を選択する。モータ回転速度が高速の場合(t≧t3)には第1のモータ電流を選択する。
時間t0からt1の間は車速0km/hで停車している状態である。この時、スロットル開度はアイドル回転速度を維持するアイドル開度であり、目標変速段と実変速段及びギア位置は1速となっている。
時間t1からt5は停車からの発進時の挙動を示している。時間t1では図示しないアクセル踏み込みがあり、クラッチ103を接続しながらスロットル開度を大きくしエンジントルクを増加させる区間である。
時間t1ではスロットルの開側駆動開始を行い、クラッチ位置を変化させるために目標クラッチモータトルクを増加させる。
時間t1からt2の間ではまだクラッチモータは回転を開始していない。そのため、選択電流812はハイであり、第1の電流810をモータ電流として制御に使用する。
時間t2からt3の間はクラッチモータが回転を開始し、クラッチモータ回転速度が所定回転速度未満の区間である。この区間では選択電流812はローであり、第1のモータ電流810よりもばらつきの少ない第2のモータ電流811をモータ電流として制御に使用する。
時間t3からt4の間はクラッチ103のストローク量を早く変化させるため、モータ回転速度が所定回転速度以上の区間である。この区間では選択電流812はハイであり、第2のモータ電流811よりもマイコン処理負荷の少ない第1のモータ電流810を制御に使用する。この区間ではモータ回転速度が高いためモータ電流の変化が少なく、第1のモータ電流を制御に用いても影響は少ない。
時間t4からt5の間はクラッチを係合するためにクラッチの移動速度を低減しており、クラッチモータ回転速度が所定回転速度未満の区間である。この区間では選択電流812はローであり、第1のモータ電流810よりもばらつきの少ない第2のモータ電流811を制御に使用する。
時間t5からt6の間は1速で加速している状態である。この時クラッチ103は係合しているため、クラッチモータは回転しておらず、第1の電流810を使用する。
時間t6からt7の間は変速準備期間であり、この図に示す情報の中には変化はない。クラッチモータは回転しておらず、第1のモータ電流810を制御に使用する。
時間t7からt8の間はクラッチ103の切断を行うため、まずスロットルを閉じてエンジントルクを低減するとともに、クラッチ位置を変化させるために目標クラッチモータトルクを増加させる。この時もクラッチモータは回転しておらず、第1のモータ電流810を制御に使用する。
時間t8からt9の間はクラッチモータが回転を開始し、クラッチモータ回転速度が所定回転速度未満の区間である。この区間では選択電流812はローであり、第1のモータ電流810よりもばらつきの少ない第2のモータ電流811を制御に使用する。
時間t9からt10の間はクラッチ103のストローク量を早く変化させるため、モータ回転速度が所定回転速度以上の区間である。この区間では選択電流812はハイであり、第2のモータ電流811よりもマイコン処理負荷の少ない第1のモータ電流810を制御に使用する。この区間ではモータ回転速度が高いためモータ電流の変化が少なく、第1のモータ電流810を制御に用いても影響は少ない。
時間t10からt11の間はクラッチ103が完全開放位置に近づいたためにクラッチ103の移動速度を低減しており、クラッチモータ回転速度が所定回転速度未満の区間である。この区間では選択電流812はローであり、第1のモータ電流810よりもばらつきの少ない第2のモータ電流811をモータ電流として制御に使用する。
時間t11からt13の間はクラッチ103を完全に解放している状態であり、モータ202を駆動しないためモータ電流は流れない。時間t12においては、クラッチ103が切断されたので変速機のギア位置を1速から2速に変更する。
時間t13からt14の間はクラッチの係合を行うため、目標クラッチモータトルクを増加させる。この時はクラッチモータは回転しておらず、第1のモータ電流810を制御に使用する。
時間t14からt15の間はクラッチモータが回転を開始し、クラッチモータ回転速度が所定回転速度未満の区間である。この区間では選択電流812はローであり、第1のモータ電流810よりもばらつきの少ない第2のモータ電流811を制御に使用する。
時間t15からt16の間はクラッチ103のストローク量を早く変化させるため、モータ回転速度が所定回転速度以上の区間である。この区間では選択電流812はハイであり、第2のモータ電流811よりもマイコン処理負荷の少ない第1のモータ電流810を制御に使用する。この区間ではモータ回転速度が高いためモータ電流の変化が少なく、第1のモータ電流810を制御に用いても影響は少ない。
時間t16からt17の間はクラッチ103を係合するためにクラッチ103の移動速度を低減しており、クラッチモータ回転速度が所定回転速度未満の区間である。この区間では選択電流812はローであり、第1のモータ電流810よりもばらつきの少ない第2のモータ電流811を制御に使用する。
時間t17からt18の間はクラッチ係合後の所定時間であり、時間t18で変速が終了したと判断して実変速段を2速に変更する。
時間t18以降はクラッチ103が係合している状態でモータ202の回転は停止しているので第1の電流810を制御に使用する。
ステップ1103に移り、モータ電流として第1のモータ電流を選択する。ステップ1102でモータ回転速度(Nm)が所定値の範囲(Nm1≦Nm<Nm2)の場合にはステップ1106に移り、モータ電流として第2のモータ電流を選択する。ステップ1102でモータ回転速度(Nm)が所定値以上(Nm≧Nm2)の場合にはステップ1107に移り、モータ電流として第1のモータ電流を選択する。ステップ1104では運転状態に応じて適当なモータトルクとするための目標モータ電流を演算する。ステップ1105はモータ制御デューティを演算するステップで、ステップ1104で演算した目標モータ電流に対して、ステップ1103、1106、1107のいずれかで決定したモータ電流と比較してフィードバック演算を行い、モータ制御デューティを演算するものである。ここではモータ回転速度に応じて選択した制度良好な電流値を用いて電流フィードバック制御を行うようにしているため、モータの運転状態に関わらず常に精度良いモータ制御を実施することができるものである。
なお、上記の実施の形態においては、クラッチ制御手段の制御操作を実行するモータの出力制御を行う場合について説明したが、変速機構部を制御する変速機構制御手段をモータによって制御する場合にも同様に適用できる。
106:エンジントルク制御手段 107:クラッチ制御手段 108:変速機構制御手段
201:モータ制御手段 202:モータ 203:モータ駆動回路 204:モータ駆動回路の電源
205:シャント抵抗 206:フィルタ回路 207:第1の電流検出手段
208:第2の電流検出手段 209:目標モータ電流演算手段
210:モータ駆動デューティ演算手段 211:モータ回転位置検出センサ
212:ドライバ駆動手段
Claims (5)
- エンジンに結合され、変速機構部と前記エンジンからの動力を前記変速機構部に伝達するためのクラッチを有する自動変速機と、前記クラッチの接続及び切断を行うクラッチ制御手段と、前記クラッチ制御手段の制御操作を実行するモータの出力制御を行うモータ制御手段とを備えた自動変速装置の制御装置において、
前記モータ制御手段は、所望の運転状態に対応して目標モータ電流を演算する目標モータ電流演算手段と、複数の検出タイミングに対応した複数のモータ電流を検出するモータ電流検出手段と、検出された複数のモータ電流から前記所望の運転状態に対応したモータ電流を選択する選択手段と、前記目標モータ電流と前記選択されたモータ電流の差に応じて前記モータの出力をフィードバック制御するモータ駆動手段とを備えたことを特徴とする自動変速装置の制御装置。 - 前記モータ駆動手段は、前記フィードバック制御に使用する検出モータ電流をモータ回転速度によって切り換えることを特徴とする請求項1記載の自動変速装置の制御装置。
- 前記モータ駆動手段は、特定の時間間隔でモータ電流の検出を行う第一のモータ電流検出手段と、モータ回転角度位置に同期してモータ電流の検出を行う第二のモータ電流検出手段を備え、モータ停止から第一のモータ回転速度に至るまでの間は前記第一のモータ電流検出手段で得た検出モータ電流をフィードバック制御に使用し、所定のモータ回転速度以上では前記第二のモータ電流検出手段で得た検出モータ電流をフィードバック制御に使用することを特徴とする請求項2記載の自動変速装置の制御装置。
- 前記モータ駆動手段は、モータ回転速度が前記第一のモータ回転速度よりも高い第二のモータ回転速度以上の場合には、前記第一のモータ電流検出手段で得た検出電流をフィードバック制御に使用することを特徴とする請求項3記載の自動変速装置の制御装置。
- エンジンに結合され、変速機構部と前記エンジンからの動力を前記変速機構部に伝達するためのクラッチを有する自動変速機と、前記クラッチの接続及び切断を行うクラッチ制御手段と、前記クラッチ制御手段の制御操作を実行するモータの出力制御を行うモータ制御手段とを備えた自動変速装置の制御方法において、
前記モータ制御手段として、所望の運転状態に対応して目標モータ電流を演算するステップと、複数の検出タイミングに対応した複数のモータ電流を検出するステップと、検出された複数のモータ電流から前記所望の運転状態に対応したモータ電流を選択するステップと、前記目標モータ電流と前記選択されたモータ電流の差に応じて前記モータの出力をフィードバック制御するステップとを含むことを特徴とする自動変速装置の制御方法。
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