JP4409963B2 - 船外機の操舵装置 - Google Patents

Description

本発明は、船外機の操舵装置に関する。

船外機の操舵装置は、クランプブラケットを介して船体の船尾板に取付けられた船外機を鉛直なスイベル軸廻りに左右に回動させて推進方向を変更する。このような船外機の操舵装置の駆動装置として、従来、油圧シリンダが用いられていた。しかしながら、油圧シリンダは操舵装置周辺に油圧配管スペースが必要となり構造が複雑になる。

このような油圧シリンダに代えて、操舵駆動装置として電動モータを用いた操舵装置が提案されている（例えば特許文献１参照）。この特許文献１に記載の操舵装置は、ラックピニオン機構の直線動作をリンク機構を介して回転動作に変えてステアリングブラケットを回動させ、このステアリングブラケットの回動により船外機本体を操舵する。この操舵装置では、ラックピニオン機構のピニオン回転の駆動源として電動モータを用いている。

しかしながら、上記特許文献１の操舵装置の電動モータは、ラックピニオン機構に併設して船尾板の内部側に設けられるため、狭い船体内で設置スペースを必要とし他の部材等のレイアウトの制約となる。

特許第２９５９０４４号公報

本発明は、上記従来技術を考慮したものであって、簡単な構成でコンパクトで小型なレイアウトが実現できる船外機の操舵装置の提供を目的とする。

前記目的を達成するため、請求項１の発明では、クランプブラケットを介して船尾板に取付けられた船外機本体と、該船外機本体を前記クランプブラケットに対しスイベル軸廻りに回転可能に保持するスイベルブラケットと、前記船外機本体のチルト動作の回転軸となるチルト軸と、前記スイベル軸に固定されたステアリングブラケットと、前記チルト軸と平行な水平方向に直線往復動作する操舵駆動装置と、該操舵駆動装置と前記ステアリングブラケットとを連結する連結手段とを備え、前記クランプブラケットは、前記チルト軸の中央からほぼ対称位置の２ヵ所で該チルト軸を保持し、前記スイベルブラケットは、前記クランプブラケットの２ヵ所のチルト軸保持位置の間で該チルト軸を保持する船外機の操舵装置において、前記操舵駆動装置は、前記水平方向に配設されたネジ部材と、該ネジ部材に装着されたＤＤ型モータと、該ＤＤ型モータを保持するハウジングユニットとからなり、前記ネジ部材の両端部が支持部材を介して前記スイベルブラケットに固定され、該ネジ部材上を前記ＤＤ型モータがハウジングユニットとともにスライドし、前記連結手段は、前記ネジ部材に沿った長手方向の中央からほぼ対称位置の少なくとも２ヵ所で前記ハウジングユニットに固定された板状の連結ブラケットからなり、該連結ブラケットは、前記ハウジングユニットへの２ヵ所の固定部間の中間部が両側の固定部より凹んでいることを特徴とする船外機の操舵装置を提供する。

請求項１の発明によれば、操舵に必要なストローク長さを有するネジ部材に直接ＤＤ（Direct Drive）型モータを装着して、ネジ部材を軸方向に固定してＤＤ型モータを軸方向に摺動させることにより、この軸方向の直線運動を連結手段を介してステアリングブラケットの回転動作に変換して船外機本体をスイベル軸廻りに回動させることができる。これにより簡単な構造でコンパクトで小型な操舵装置が実現できる。また、ネジ部材をスイベルブラケットに固定することにより、組立作業が容易に確実にでき、堅固な構造の操舵装置が得られる。
また、本発明によれば、チルト軸の長さを短くでき、コンパクトな構成が得られる。

さらに、本発明によれば、連結ブラケットの凹んだ中央部で船外機本体側に取付けられたステアリングブラケットと連結することにより、船外機本体の取付位置を低くすることができ重心が低くなって、安定した走行ができる。

図１は、本発明が適用される船外機の全体平面図である。
船体１の船尾板２にクランプブラケット４を介して船外機本体３が取付けられる。船外機本体３はスイベル軸６廻りに回転可能である。スイベル軸６の上端部にステアリングブラケット５が固定される。ステアリングブラケット５の端部５ａに操舵駆動装置１５が連結される。本発明では、この操舵駆動装置１５は後述のようにＤＤ型モータにより構成される。船体１の運転席にハンドル７が備わり、その操作角度がハンドル軸８を介して検出器９により検出される。検出されたハンドル操作角度は、電気信号の操舵角信号としてケーブル１０を介して船外機のコントローラ１１に送られる。コントローラ１１は、この操舵角信号に基づいて、操舵駆動装置１５を駆動して船外機本体３をスイベル軸６廻りに回動させて船体１を操舵する。

図２は、本発明の参考となる技術を示す船外機の操舵装置の構成図である。
船外機本体３は、チルト軸１２廻りに回動してチルト動作可能である。このチルト軸１２は、後述のようにクランプブラケット及びスイベルブラケットを挿通する。チルト軸１２の両端部に支持部材１８を介してボールネジ１６が固定される。このボールネジ１６上にＤＤ型モータ１７が装着される。このＤＤ型モータ１７は、ハウジングユニット２０に保持され、このハウジングユニット２０とともにボールネジ１６上を、矢印Ａのように、スライドする。

このボールネジ１６、ＤＤ型モータ１７及びハウジングユニット２０により本発明の操舵駆動装置１５を構成する。
ハウジングユニット２０に板状の連結ブラケット１９が固定される。連結ブラケット１９は、連結ピン１３を介してステアリングブラケット５の端部に連結される。連結ブラケット１９がハウジングユニット２０とともに矢印Ａのようにスライドすると、連結ピン１３が、ステアリングブラケット５に設けた長孔１４内を移動しながら、このステアリングブラケット５をスイベル軸６廻りに回転動作させる。

図３、図４及び図５は、それぞれ本発明の参考となる第１参考例の平面図、正面図及び側面図である。

図３に示すように、チルト軸１２は、その中央より左右両側でスイベルブラケット２１及びクランプブラケット２２を挿通し、左右のクランプブラケット２２の外側からナット２３で固定される。両側のナット２３の外側にスペーサ２４を介して支持部材１８が装着されナット２５で固定される。

ハウジングユニット２０は、操舵角ゼロの状態（図３、図４に示す状態）で、左右両外側のボールネジ１６の長さが等しく、左右方向のストローク長さは均等である。

連結ブラケット１９は、４本のボルト２６でハウジングユニット２０から突出するボス４８に固定される。これによりハウジングユニット２０とステアリングブラケット５が連結される。この連結ブラケット１９は、図４に示すように、左右両側のボルト２６による固定部１９ａ間の中間部１９ｂが、左右の固定部１９ａより凹んでいる。この凹んだ中間部１９ｂで、ボルトナットからなる連結ピン１３を介してステアリングブラケット５に連結される。これにより、船外機本体の取付位置を低くすることができ重心が低くなって、安定した走行ができる。図４において、２７はクランプブラケット２２を船尾板に取付けるためのボルト挿通孔、２８はチルトシリンダ、２９は油圧タンク、３０は油圧駆動用モータである。

図６は、上記第１参考例のチルトアップした状態の要部側面図である。
図示したように、スイベルブラケット２１が船外機本体３（図２）とともにチルト軸１２廻りに回動して持ち上げられチルトアップしている。このチルト動作は、船尾板２に固定されたクランプブラケット２２に装着されたチルトシリンダ２８（図４）により行われる。

図７及び図８はそれぞれ、本発明の参考となる第２参考例の平面図及び正面図である。
この第１実施例は、ＤＤ型モータ１７のハウジングユニット２０をチルト軸１２に固定し、ＤＤ型モータ１７を挿通するボールネジ１６をその軸方向に移動可能としたものである。ボールネジ１６の端部に、リンクロッド３１の一端がボルトナットからなる連結ピン３２及びボールジョイント３３を介して自在回転可能に連結される。リンクロッド３１の他端は、ステアリングブラケット５に対し、ボルトナットからなる連結ピン３４及びボールジョイント３５を介して自在回転可能に連結される。

ＤＤ型モータ１７を駆動すると、これを挿通するボールネジ１６がその軸方向にスライドし、リンクロッド３１を介してステアリングブラケット５をスイベル軸６廻りに回転させ船を操舵する。リンクロッド３１は、ボールジョイント３３，３５を介してボールネジ１６及びステアリングブラケット５にそれぞれ連結されるため、取付誤差による傾きやチルト動作及びトリム動作による傾きを吸収して安定した伝達機能が得られる。その他の構成及び作用効果は上記第１参考例と同様である。

図９及び図１０はそれぞれ、本発明の実施例の平面図及び正面図である。図９及び図１０に示す操舵装置が本発明に係る操舵装置を構成している。
この実施例は、ボールネジ１６の両端部をそれぞれ支持部材１８を介してボルト３６によりスイベルブラケット２１に固定したものである。これにより、支持部材１８は、チルト軸１２を保持する左右のクランプブラケット２２の外側に突出するチルト軸部分に装着されないため、この部分が不要になり、チルト軸１２の長さを短くでき、コンパクトな構成が得られる。その他の構成及び作用効果は上記第１参考例と同様である。

図１１及び図１２はそれぞれ、本発明の参考となる第３参考例の平面図及び正面図である。
この第３参考例は、ＤＤ型モータ１７のハウジングユニット２０をチルト軸１２を保持するスイベルブラケット２１に固定し、ＤＤ型モータ１７を挿通するボールネジ１６をその軸方向に移動可能としたものである。ボールネジ１６の端部に、リンクロッド３１の一端がボルトナットからなる連結ピン３２及びボールジョイント３３を介して自在回転可能に連結される。リンクロッド３１の他端は、ステアリングブラケット５に対し、ボルトナットからなる連結ピン３４及びボールジョイント３５を介して自在回転可能に連結される。

ＤＤ型モータ１７を駆動すると、これを挿通するボールネジ１６がその軸方向にスライドし、リンクロッド３１を介してステアリングブラケット５をスイベル軸６廻りに回転させ船を操舵する。リンクロッド３１は、ボールジョイント３３，３５を介してボールネジ１６及びステアリングブラケット５にそれぞれ連結されるため、取付誤差による傾きやチルト動作及びトリム動作による傾きを吸収して安定した伝達機能が得られる。

また、ハウジングユニット２０は、クランプブラケット２２ではなく、スイベルブラケット２１に固定されるため、上記本発明の実施例と同様に、チルト軸１２を保持する左右のクランプブラケット２２の外側に突出するチルト軸部分には何も装着されないため、この部分が不要になり、チルト軸１２の長さを短くでき、コンパクトな構成が得られる。その他の構成及び作用効果は上記第１参考例と同様である。

本発明が適用される船外機の全体平面図。 本発明の参考となる第１参考例に係る船外機の操舵装置の構成図。 本発明の第１参考例の平面図。 本発明の第１参考例の正面図。 本発明の第１参考例の側面図。 第１参考例のチルトアップした状態の要部側面図。 本発明の参考となる第２参考例の平面図。 本発明の第２参考例の正面図。 本発明の実施例の平面図。 本発明の実施例の正面図。 本発明の第３参考例の平面図。 本発明の第３参考例の正面図。

符号の説明

１：船体、２：船尾板、３：船外機本体、４：クランプブラケット、５：ステアリングブラケット、５ａ：端部、６：スイベル軸、
７：ハンドル、８：ハンドル軸、９：検出器、１０：ケーブル、１１：コントローラ、１２：チルト軸、１３：連結ピン、１４：長孔、
１５：操舵駆動装置、１６：ボールネジ、１７：ＤＤ型モータ、１８：支持部材、１９：連結ブラケット、２０：ハウジングユニット、
２１：スイベルブラケット、２２：クランプブラケット、２３：ナット、２４：スペーサ、２５：ナット、２７：ボルト挿通孔、
２８：チルトシリンダ、２９：油圧タンク、３０：油圧駆動用モータ、３１：リンクロッド、３２：連結ピン、３３：ボールジョイント、
３４：連結ピン、３５：ボールジョイント、３６：ボルト、３７：ボルト、４８：ボス。

Claims (1)

1. クランプブラケットを介して船尾板に取付けられた船外機本体と、
   該船外機本体を前記クランプブラケットに対しスイベル軸廻りに回転可能に保持するスイベルブラケットと、
   前記船外機本体のチルト動作の回転軸となるチルト軸と、
   前記スイベル軸に固定されたステアリングブラケットと、
   前記チルト軸と平行な水平方向に直線往復動作する操舵駆動装置と、
   該操舵駆動装置と前記ステアリングブラケットとを連結する連結手段とを備え、
   前記クランプブラケットは、前記チルト軸の中央からほぼ対称位置の２ヵ所で該チルト軸を保持し、
   前記スイベルブラケットは、前記クランプブラケットの２ヵ所のチルト軸保持位置の間で該チルト軸を保持する船外機の操舵装置において、
   前記操舵駆動装置は、前記水平方向に配設されたネジ部材と、該ネジ部材に装着されたＤＤ型モータと、該ＤＤ型モータを保持するハウジングユニットとからなり、
   前記ネジ部材の両端部が支持部材を介して前記スイベルブラケットに固定され、該ネジ部材上を前記ＤＤ型モータがハウジングユニットとともにスライドし、
   前記連結手段は、前記ネジ部材に沿った長手方向の中央からほぼ対称位置の少なくとも２ヵ所で前記ハウジングユニットに固定された板状の連結ブラケットからなり、
   該連結ブラケットは、前記ハウジングユニットへの２ヵ所の固定部間の中間部が両側の固定部より凹んでいることを特徴とする船外機の操舵装置。

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