JP4406465B2 - 成型体用硬化性樹脂組成物、成型体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、このような製造方法で得られる熱硬化性樹脂組成物は、光学用途等で用いることができるだけの充分な透明性は得られない。そのため、粗大な無機粒子を完全に消失させて一次粒子として充分に分散させ、これにより、可視光を無機粒子によって散乱されることなく、透明性を充分なものとすることが求められている。また、上記文献には、乾式シリカを溶媒分散した分散体と脂環式エポキシとからなる樹脂が開示されているが、このような樹脂組成物は、柔軟性、耐破壊性、増粘抑制効果、ビーズミルの混合等の際における不純物の混入防止等を適当なものとしたうえで、更に、透明性等の光学特性を充分に向上させるための工夫の余地があった。また、このような樹脂組成物を金型等を用いて成型加工するときには、硬化物を金型から取り出す際の離型性を向上させて成型体を生産性よく製造することが望まれていた。
したがって、従来においては、耐熱性等の基本性能を備えたものであって、透明性等の光学特性を向上させ、また生産性の面では、硬化物を金型から取り出す際の離型性が向上された、種々の光学部材に好適に適用できるものが見いだされていないといえる。成型体が優れた特性を示し、そのような成型体の生産性を改善することができれば、工業製品としての有用性が格段に高まることから、そのような成型体用硬化性樹脂組成物が求められるところであった。
更に、この成型体用硬化性樹脂組成物を、微小な形状を有する微小成型体の製造等のように、短時間で硬化が完了する系に適用すると、上記特定の化合物の蒸発を防いで成型体中に特定の化合物を含むことができ、これにより、金型からの離型性を更に優れたものとすることができることも見いだした。そして、本発明の成型体用硬化性樹脂組成物は、特に、携帯電話用、デジカメ用等の撮像レンズ、ピックップレンズ等の微小光学系用として有用であることを見いだし、本発明に到達したものである。
ここで、熱硬化性樹脂は、熱により硬化し得る樹脂を意味するものであって、硬化方法を特定するものではない。したがって、本発明の成型体用硬化性樹脂組成物の硬化には、熱硬化と光硬化の両方を使用することができる。本発明の成型体用硬化性樹脂組成物が含む硬化性樹脂としては、熱硬化性樹脂として知られているものが好適に使用できる。
本発明はまた、上記成型体用硬化性樹脂組成物を成型してなる成型体でもある。
本発明はまた、上記成型体用硬化性樹脂組成物から得られた成型体中に、1気圧下で260℃以下の沸点を持つ化合物を含有する成型体でもある。
本発明は更に、熱硬化性樹脂を含有する成型体用硬化性樹脂組成物から成型体を製造する方法であって、上記製造方法は、1気圧下で260℃以下の沸点を持つ化合物を必須成分として含有させた成型体用硬化性樹脂組成物を成型する工程を含む成型体の製造方法でもある。
なお、本明細書中において、化合物等を「更に含有する」とは、工程手順を意味するものではなく、例えば従来の成型体用硬化性樹脂組成物に含有されるエポキシ樹脂と区別するために、「更に、もう1つの成分を含有する」ことを意味するものである。化合物等を「必須成分として含有する」、「必須成分とする」とは、本発明の効果を奏することになるように該化合物等を含有することを意味するものである。
以下に本発明を詳述する。
本発明の成型体用硬化性樹脂組成物は、このような特定の化合物を更に必須成分として含有することによって、金型成型において硬化物を金型から取り出す際の離型性を向上させることができ、本願発明の作用効果が充分に発揮されることになる。
離型性が向上する理由としては、以下の理由が考えられる。上記化合物は、沸点が260℃以下であるため、加熱したときに状態変化し易いものである。すなわち、気化し易く、エネルギーの高い状態になりやすい化合物である。また、このような上記化合物は、熱硬化性樹脂に対する溶媒としての作用も有するものであり、樹脂成分との相溶性を有する。したがって、金型成型時において、加熱により樹脂組成物が溶融状態にある時には、樹脂成分や離型剤等の添加剤と共に均一に混合された状態にある。そして、溶融した樹脂組成物を金型に充填(射出・塗出)して硬化するときには、上記のように状態変化し易く、樹脂組成物中で金型の表層側に移行して析出したり、凝集したりする、いわゆるブリードアウトを生じ、これにより離型性を発揮する。
本発明においては、樹脂組成物中に上記した特定の沸点を持つ化合物が含まれていると、該化合物がブリードアウトを生じる時に離型剤も共に金型の表層側へ移行させる作用を発揮し、これにより、離型剤のブリードアウト速度が高まり、短時間での硬化であっても離型性を充分に発揮して生産性の向上が図れる。また、離型剤が金型の表層側に析出し易くなることで、離型剤の効果がより発現し易くなると考えられる。更に、離型剤の離型性が向上することから離型剤の使用量を減少させることができる。
このように、上記特定の沸点を持つ化合物は、離型剤の効果を格段に高めることができるものであり、該化合物と共に用いる離型剤の好適な形態については、後述する。
なお、1気圧下で260℃以下の沸点を持つ化合物において好ましい化合物は、沸点のみで決まるわけではなく、樹脂組成物に対する相溶性や、成形加工時の移動速度等(ブリードアウト速度)も考慮したうえで、本発明の作用効果をより発揮できることにより決まるものである。
このような化合物を必須成分として含有することにより、成型体用硬化性樹脂組成物及び成型体の透明性を充分なものとしたうえで、金型を用いて硬化する際に、離型性を向上させて成型体を容易に金型から剥がすことができることとなる。これにより、成型体の表面に傷をつけることなく連続生産が可能となり、電気・電子部品材料や光学用途における材料として特に有用なものとなる。このような上記特定の沸点を持つ化合物は、熱硬化性樹脂に対する溶媒としての作用があることから、上述したように成型体の表層に移行するブリードアウトを生じて離型性等を発揮すると考えられる。
また、上記化合物の構造としては、直鎖状、分岐状、環状等のいずれの構造であってもよい。
上記1気圧下で沸点150℃以下の化合物(A−1)は、上記1気圧下で沸点が150℃を超える化合物(A−2)よりも気体化しやすいものであり、その沸点は、130℃以下であることが好ましい。より好ましくは、沸点110℃以下である。
1気圧下での沸点が150℃以下の化合物(A−1)としては、アルコール類が好ましい。1気圧下での沸点が150℃を超える化合物(A−2)としては、1気圧下で沸点が150℃を超え、260℃以下である化合物であればよいが、アルコール類であることが好ましい。より好ましくは、総炭素数6以上の脂肪族1価アルコール類である。
このような加熱脱泡処理時には、比較的沸点の低い化合物(A−1)は蒸発してしまうことがあり、金型へ溶融した樹脂を充填(射出・塗出)したときに樹脂組成物中の化合物(A−1)の量が少なくなったり、場合によっては化合物(A−1)が含まれなくなり、化合物(A−1)自体が有する離型性や上記した離型剤のブリードアウト速度を高める効果が得られない恐れがある。
したがって、成型体中に特定の沸点を持つ化合物が含まれていなくても充分な離型性が得られる場合や、低温での加熱脱泡処理が可能である場合には、化合物(A−1)のみであっても良い。しかし、成型体中に特定の沸点を持つ化合物が含まれていることが好ましい場合や、上記のように加熱脱泡処理を必要とする光学用途用として用いる場合には、化合物(A−2)が含まれていることが好ましく、化合物(A−1)と化合物(A−2)とが共に含まれていることがより好ましい。また、化合物(A−1)と化合物(A−2)とを併用することにより、これらを含有する樹脂組成物が、成型加工条件によらずに特定の化合物を含有させる効果を充分に発揮するものとなる。
上記アルコール類としては、脂肪族アルコール類、ベンジルアルコール等の芳香環を有する芳香族アルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、カルビトール、グリセリン等の多価アルコール類が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、化合物(A−2)としては、炭素数6〜12の脂肪族アルコール類が挙げられ、特に、炭素数6〜12の脂肪族1価アルコール類が好ましい。具体的には、1−ヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、シクロヘキサノール等の炭素数6である化合物、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、メチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール等の炭素数7である化合物、オクチルアルコール(1−オクタノール)、2−エチルヘキサノール(2−エチルヘキシルアルコール)等の炭素数8である化合物、1−ノニルアルコール、イソノニルアルコール等の炭素数9である化合物、1−デシルアルコール、2−デシルアルコール等の炭素数10である化合物、1−ウンデシルアルコール等の炭素数11である化合物、1−ドデカノール(ラウリルアルコール)等の炭素数12である化合物が挙げられる。これらの中でも、炭素数が6〜8である、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、オクチルアルコール、2−エチルヘキサノールが特に好ましい。
上記した化合物(A−1)及び化合物(A−2)は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記多価アルコール誘導体の具体例として、例えば、化合物(A−1)としては、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、化合物(A−2)としては、酪酸、ペンタン酸(吉草酸)、ヘキサン酸(カプロン酸)、オクタン酸(カプリル酸)、2,2−ジメチルプロピオン酸(ピバリン酸)等の炭素数4〜9の脂肪族カルボン酸等が挙げられる。これらの中でも、炭素数4〜9の脂肪族カルボン酸等が好ましい。
これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、化合物(A−2)としては、酢酸−n−ヘキシル、酢酸−2−エチルヘキシル、酢酸シクロヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸オクチル等の炭素数6以上の脂肪族アルコールの酢酸エステル;プロピオン酸イソアミル、プロピオン酸ベンジル等の炭素数5以上の脂肪族アルコールのプロピオン酸エステル;ギ酸ヘキシル、ギ酸ベンジル等の炭素数6以上の脂肪族アルコールのギ酸エステル;等の他、カプチル酸メチル、カプチル酸プロピル、カプチル酸アミル、カプリン酸メチル、カプリン酸エチル等が挙げられる。
これらのなかでも、酢酸イソプロピル、酢酸オクチル等が好ましい。特に好ましくは、酢酸イソプロピルである。
これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
化合物(A−1)としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−ブロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、4−メチル−3−ペンテン−2−オン(メチルオキシド)、ジエチルケトン、ジ−n−プロピルケトン、ジイソプロピルケトン、エチル−n−ブチルケトン、アセチルアセトン(2,4−ペンタジオン)、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
また、化合物(A−2)としては、ジイソブチルケトン、メチル−n−アミルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、メチル−n−ヘブチルケトン、ジアセトンアルコール(4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン)、ホロン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、イソホロン(イソアセトフェノン)、アセトフェノン等が挙げられる。
これらの中でも、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N−メチルピロリドン等が好ましく、特に、メチルエチルケトンが好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記芳香族炭化水素類としては、1気圧下で260℃以下の沸点を持ち、一つ以上の芳香族基を有する炭化水素であればよいが、総炭素数は7〜12であることが好ましい。
脂肪族、芳香族炭化水素類において、化合物(A−1)としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、シクロヘキセン、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、スチレン等が挙げられ、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン等が好ましい。また、化合物(A−2)としては、ノナン、デカン、ドデカン、デカリン、ジペンテン、テトラリン、シクロヘキシルベンゼン、ジエチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、アミルベンゼン、シメン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
特定の沸点を持つ化合物の含有量が0.01質量%未満であると、該化合物を添加する効果である離型性向上効果を充分に発揮することができない恐れがあり、また、含有量が5質量%を超えると、金型成型時において、樹脂組成物の金型への追従性が損なわれ、成型体に膨れが生じて光学用の成型体として使用する場合に、透明性や屈折率が低下してしまうと共に、成型体としての均質性が失われる恐れがあるためである。特定の沸点を持つ化合物の含有量は、0.05質量%以上4質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上3質量%以下であることが更に好ましい。
上記離型剤は、該技術分野において通常用いられる離型剤であって、熱硬化性樹脂に溶解(相溶)又は分散するものであればよいが、熱硬化性樹脂に溶解(相溶)し得るものが好ましい。また、離型剤が硬化物(成型体)の表層に存在して離型性を発揮することを考慮すると、1気圧下で260℃を超える沸点を持つ化合物を必須成分とすることが本発明の好ましい実施形態である。なお、本明細書中、「1気圧下で260℃を超える沸点を持つ」とは、1気圧下で沸点を有しない不揮発性のものを含む。
本発明の成型体用硬化性樹脂組成物における上記離型剤は、1気圧下で260℃を超える沸点を持つ化合物を必須成分とし、更に、下記(1)〜(4)の形態のいずれか一つ又はこれらの組み合わせであることが好ましい。
上記(1)の形態は、離型剤が、アルコール類、カルボン酸類、カルボン酸エステル類、カルボン酸塩類及びカルボン酸無水物類からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を必須成分とするものである。この形態では、離型剤がアルコール類、カルボン酸類、カルボン酸エステル類及びカルボン酸塩類からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を必須成分とすることがより好ましく、アルコール類、カルボン酸類及びカルボン酸エステル類からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を必須成分とすることが更に好ましく、カルボン酸類を必須成分とする形態が特に好ましい。
このような範囲の総炭素数を有することにより、ある程度の長鎖を有する化合物であれば、本発明の作用効果を発揮し、耐熱性等の基本性能や、透明性等の光学特性を損なうことなく、優れた剥離性を示すことができる。また、このような炭素数を有する上記化合物は、入手が比較的容易であり、経済性にも優れたものである。
なお、これらの化合物の構造は、直鎖状、分岐状、環状等のいずれの構造であってもよいが、中でも直鎖状であるものが好ましい。
上述の化合物の中でもより好ましくは、ステアリン酸及びステアリン酸エステル等のステアリン酸系化合物である。このように、本発明の成型体用硬化性樹脂組成物は、ステアリン酸系化合物を含有するものが好ましい。より好ましくは、ステアリン酸である。
なお、上記離型剤が1気圧下で260℃を超える沸点を持ち、総炭素数が13以上であるカルボン酸エステル類が20℃で固体状である形態は、本発明の好ましい実施形態の一つである。これは言い換えれば、1気圧下で260℃を超える沸点を持ち、総炭素数が13以上であるカルボン酸エステル類が好ましい形態であることになる。
上記(2)の形態は、離型剤が、20℃で固体状であるものである。この形態において、離型剤は、25℃で固体状であることがより好ましく、30℃で固体状であることが更に好ましく、50℃で固体状であることが特に好ましい。
このような特性を有する離型剤を用いると、金型成型の硬化時において、本発明における特定の化合物による離型剤のブリードアウト速度の向上効果が顕著になる。例えば、成型温度が低い場合には、融点の高い離型剤は通常はブリードアウトし難いが、上記1気圧下で260℃以下の沸点を持つ化合物と併用することで、該化合物によって離型剤がより成型体の表面側に移行されやすくなり、ブリードアウト速度が格段に向上するためであると考えられる。また、成型体の表面側に析出、凝集した離型剤は、上記のような特性を有することで、成型体の温度が下がるにつれてより固化しやすくなり、表面に析出した状態となって離型性を格段に高めることになると考えられる。これにより、耐熱性等の基本性能、透明性等の光学特性を充分に維持しながら、離型性を格段に優れたものとすることができる。
上記(3)の形態は、離型剤が、珪素化合物(B−4)を必須成分とするものである。この形態において、珪素化合物(B−4)は、ポリシロキサン化合物であることが好ましい。すなわち、上記離型剤がポリシロキサン化合物を必須成分とすることが本発明の好ましい形態である。
上記ポリシロキサン化合物は、通常は50℃で液状である。
上記ポリシロキサン化合物は、後述する、2置換シロキサンからなる構造単位を有するポリシロキサンであることが好ましい。言い換えれば、2置換シロキサン単位を構造単位とするポリシロキサン化合物であることが好ましい。上記2置換シロキサン単位とは、珪素原子の4本の結合手のうち、2本がシロキサンを形成する酸素と結合し、残りの2つがポリオキシアルキレン鎖、アリール基又はその他の有機基(官能基)と結合するものを意味する。なお、上記「2置換シロキサン」は、「2置換シロキサン単位」、「2官能シロキサン」、「2官能シロキサン単位」ともいう。
該珪素化合物(B−4)は、例えば、1つの珪素原子を有するもの(本明細書中、モノマーともいう。)であってもよく、2つ以上の珪素原子を有するもの(本明細書中、ポリマーともいう。)であってもよい。
また、ポリオキシアルキレン鎖及び/又はアリール基が3個結合した3置換体(例えば、トリアルコキシシラン等)、ポリオキシアルキレン鎖及び/又はアリール基が2個と他の置換基が1個結合した3置換体、ポリオキシアルキレン鎖1個と他の置換基が2個結合した3置換体、アリール基1個と他の置換基が2個結合した3置換体であってもよい(例えば、モノアルコキシシラン等)。これらの2置換体又は3置換体の中でも、ポリオキシアルキレン鎖及び/又はアリール基を有するジアルコキシシラン、ポリオキシアルキレン鎖及び/又はアリール基を有すモノアルコキシシランが好ましく、これらは、単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。具体的には、トリフェニルメトキシシラン及び/又はフェニルメチルジエトキシシランが特に好適である。
該珪素化合物のポリマーとしては、シロキサン結合を有する2個以上の珪素原子を有し、シロキサン結合を構成する少なくとも1個の珪素原子にポリオキシアルキレン鎖及び/又はアリール基が結合したポリシロキサン化合物(本明細書中、ポリシロキサンともいう。)であることが好ましい。
更に、上記珪素化合物におけるポリオキシアルキレン鎖とアリール基との合計含有量は、モノマー1個当たり(珪素原子当たり)、1〜4であることが好ましい。より好ましくは、2〜4であり、更に好ましくは、3又は4である。
具体的には、フェニルトリメトキシシラン及び/又はフェニルメチルジエトキシシランが特に好適である。
最も小さいポリマーは、2量体であり、例えば下記式(1)で表されるものである。
上記珪素化合物(B−4)におけるポリマーの構造としては、例えば、鎖状、ラダー状、かご状、粒子状が挙げられる。鎖状としては、分岐のない線状のもの、分岐した線状のものが挙げられるが、本発明においては、分子構造が鎖状である形態が好ましい。より好ましくは、分岐のない線状である形態である。このような構造を有する珪素化合物(B−4)のポリマーは、例えば、下記の方法で製造されたものであることが好ましい。
鎖状(分岐のない線状);ジアルコキシシラン(主鎖)の加水分解・縮合物、又は、必要に応じてジアルコキシシラン(主鎖)とモノアルコキシシラン(末端)との加水分解・縮合物。
鎖状(分岐した線状);ジアルコキシシラン(主鎖)とトリアルコキシシランとの共加水分解した縮合物、ジアルコキシシラン(主鎖)とテトラアルコキシシランとの共加水分解した縮合物、ジアルコキシシラン(主鎖)とトリアルコキシシランとテトラアルコキシシランとの共加水分解した縮合物。必要に応じて、共加水分解の前又は共加水分解中にモノアルコキシシランを添加。
ラダー状;トリアルコキシシラン(主鎖)の加水分解・縮合物。
かご状;トリアルコキシシラン(主鎖)の加水分解・縮合物。
粒子状;テトラアルコキシシラン及び/又はトリアルコキシシランを必須として、好ましくはこれらを主成分とした加水分解・縮合物。
上記した何れの場合も、ポリオキシアルキレン鎖及び/又はアリール基が結合した珪素原子を有するアルコキシシランを必須として、上記構造のポリマーを製造するものであることが好ましい。上記アルコキシシランは、モノアルコキシシラン、ジアルコキシシラン及びトリアルコキシシランからなる群より選ばれる少なくとも1種以上である。
上記(4)の形態は、上記離型剤が、重量平均分子量が500以上、10万以下である物質を含むものである。重量平均分子量が500未満であると、本発明の効果を充分に発揮することができなくなる恐れがある。10万を超えると、樹脂成分との相溶性が不良となり、本発明の効果を充分に発揮することができなくなる恐れがある。より好ましくは、1000以上10000以下である。
このような重量平均分子量を有する物質を含むことにより、耐熱性等の基本性能、透明性等の光学特性を充分に維持しながら、離型性を格段に優れたものとすることができる。これは、上記1気圧下で260℃以下の沸点を持つ化合物が、このような重量平均分子量を有する物質を含む離型剤のブリードアウト速度を格段に向上させて、離型性が顕著なものとなるためであると考えられる。
なお、離型剤の重量平均分子量の測定方法としては、例えば下記の方法を用いることができる。
なお、重量平均分子量の測定方法としては、例えば下記の方法を用いることができる。
上記離型剤の重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。HLC−8220GPC(商品名、東ソー社製)を用い、下記の条件で測定することが好ましい。
<重量平均分子量の測定条件>
カラム:東ソー社製「TSK−GEL SUPER HZM−N 6.0*150」×4本
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:0.6mL/分
温度:40℃
検量線:ポリスチレン標準サンプル(東ソー社製)を用いて作成。
その存在については、成型加工により得られた成型体に熱分解GC−Mass(ガスクロマトグラフ質量)スペクトルでの測定を行うことにより確認することが可能である。
すなわち、本発明は、本発明の成型体用硬化性樹脂組成物から得られた成型体中に、1気圧下で260℃以下の沸点を持つ化合物が含有されることを特徴とする成型体でもある。
その好ましい形態は、本発明の成型体用硬化性樹脂組成物及び成型体における好ましい形態と同様である。
本発明の成型体用硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂を含有するものである。上記熱硬化性樹脂としては、本発明の作用効果を発揮する限り特に限定されないが、樹脂組成物中の熱硬化性樹脂以外の成分との相溶性に優れ、該成分が熱硬化性樹脂に均一に分散されるものであることが好ましい。熱硬化性樹脂は、熱可塑性樹脂に比べて、加工の面に困難さを伴うことから現在は普及していないが、本発明においては、例えば、上記特定の化合物や特定の離型剤等を用いることで、熱硬化性樹脂であっても好適に用いることができる。したがって、本発明の樹脂組成物は、例えば、プラスチックレンズ用途等にも適用できるようになり、無機ガラス等からなるレンズに比べて加工が容易であり、大きさや形状を自由に変えられ、大量生産にも好適である。
上記カチオン硬化性樹脂とは、カチオン重合性基を分子中に少なくとも1個有する化合物であり、本発明においては、カチオン重合性基を2個以上有する化合物であることが好ましい。より好ましくは、カチオン重合性基を2個以上有する多官能カチオン硬化性化合物である。
上記カチオン硬化性樹脂としては、特に限定されないが、エポキシ樹脂(以下、「エポキシ化合物」、「エポキシ基含有化合物」ともいう)が好適である。
上記カチオン重合性基の中でも、レンズ等の光学用樹脂組成物においては、脂環式エポキシ基、飽和脂肪族環状炭化水素に直接的又は間接的に結合したグリシジルエーテル基が好ましい。これらのカチオン重合性基を有することで、硬化速度に優れる硬化性樹脂組成物とすることができる。特に、脂環式エポキシ基が好ましい。脂環式エポキシ基の中でもエポキシシクロヘキサン基が好ましい。なお、カチオン重合性基の硬化特性は、基の種類のみならず、該基が結合した有機骨格にも影響される。
上記エポキシ基含有化合物は、脂肪族エポキシ化合物、水添エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、及び、芳香族エポキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも一つを含むものであることが好ましい。
上記脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG600)、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(PPG)、グリセロール、ジグリセロール、テトラグリセロール、ポリグリセロール、トリメチロールプロパン及びその多量体、ペンタエリスリトール及びその多量体、グルコース、フルクトース、ラクトース、マルトース等の単/多糖類等とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるもの、プロピレングリコール骨格、アルキレン骨格、オキシアルキレン骨格を有するもの等が好適である。
中でも、中心骨格にプロピレングリコール骨格、アルキレン骨格、オキシアルキレン骨格を有する脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂等が好適である。
より好ましくは、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールS型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂等である。更に好ましくは、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂等である。また、芳香族エポキシ化合物の完全又は部分水添物等が好ましい。なお、芳香族エポキシ化合物は、芳香族グリシジルエーテル化合物を含む。
上記エポキシシクロヘキサン骨格を有するエポキシ樹脂としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、イプシロン−カプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル3´,4´−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート等が好ましい。
上記エポキシシクロヘキサン骨格を有するエポキシ樹脂以外の脂環式エポキシ化合物としては、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物、トリグリシジルイソシアヌレート等のヘテロ環含有のエポキシ樹脂等の脂環式エポキシド等が挙げられる。
具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フルオレンエポキシ(大阪ガスケミカル社製)オンコート EX−1020又はオグソールEG210、フルオレンエポキシ(大阪ガスケミカル社製)オンコート EX−1010又はオグソールPG等が好ましく、これらの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。より好ましくは、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フルオレンエポキシ(大阪ガスケミカル社製)オグソールEG−210である。
中でも、後述のように成型体の硬化時に光照射等を行う場合に、光照射時の外観劣化抑制を目的とする場合には、上記脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂やエポキシシクロヘキサン骨格を有するエポキシ樹脂が、より好適に用いられる。
具体的には、脂環式エポキシ化合物としては、脂環式エポキシ基を有する多官能脂環式エポキシ化合物(以下、単に「多官能脂環式エポキシ化合物」とも言う。)が好適である。
水添エポキシ化合物としては、飽和脂肪族環状炭化水素骨格に直接的又は間接的に結合したグリシジルエーテル基を有する多官能グリシジルエーテル化合物(以下、単に「多官能グリシジルエーテル化合物」とも言う。)が好適である。
脂肪族エポキシ化合物としては、脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂が好適である。脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂の好ましい形態は、上述した通りである。
上記エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール等のビスフェノール類とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるものが好適である。
上記高分子量エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、上記エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂を上記ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール等のビスフェノール類と更に付加反応させることにより得られるものが好適である。
上記アッベ数が45以上である熱硬化性樹脂の含有量としては、全熱硬化性樹脂中に1質量%以上含まれることが好ましい。アッベ数が45以上の熱硬化性樹脂の含有量としてより好ましくは、全熱硬化性樹脂中に5質量%以上であり、更に好ましくは、10質量%以上である。特に、高アッベ数が要求される光学用途に対しては、アッベ数が45以上の熱硬化性樹脂の含有量は、全熱硬化性樹脂中に60質量%以上であることが好ましく、より好ましくは70質量%以上である。低アッベ数でもよい光学用途に対しては、アッベ数が45以上の熱硬化性樹脂の含有量は、全熱硬化性樹脂中に1〜70質量%であることが好ましい。より好ましくは10〜60質量%であり、更に好ましくは20〜50質量%である。
上記アッベ数が45以上である熱硬化性樹脂としては、カチオン重合性基を分子中に少なくとも1個有する化合物であることが好ましいが、より好ましくは、エポキシ化合物である。上記アッベ数が45以上であるエポキシ樹脂の好ましい形態としては、エポキシ化合物の好ましい形態として上述した通りである。
これらの中でも、より好ましくは脂環式エポキシ化合物;水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールS型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂等であり、更に好ましくは、脂環式エポキシ化合物である。また、上記珪素化合物を用いる場合は、硬化性樹脂組成物の安定性と硬化させる際の硬化特性の点からも、脂環式エポキシ化合物が好適である。
上記脂環式エポキシ樹脂としては、CELL−2021P、セロキサイド2081、EHPE−3150(商品名、いずれもダイセル化学工業社製)等が好ましい。このように、脂環式エポキシ樹脂を必須とする成型体用硬化性樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。脂環式エポキシ樹脂は、成型体用硬化性樹脂組成物を構成する熱硬化性樹脂に含まれていればよく、その含有量は特に限定されないが、総熱硬化性樹脂中40質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、60質量%以上であり、更に好ましくは、80質量%以上であり、特に好ましくは、実質的にすべてが脂環式エポキシ樹脂であることである。これにより、本発明の効果をより充分に発揮することができる。
上記アッベ数が45以上であるエポキシ化合物以外の脂環式化合物としては、例えば、脂環式変性ネオペンチルグリコール(メタ)アクリレート(日本化薬社製の「R−629」又は「R−644」);テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、モルフォリノエチル(メタ)アクリレート等の構造中に酸素原子及び/又は窒素原子を有する脂環式アクリレート;N−シクロヘキシルマレイミド等の脂環式単官能マレイミド類;N,N´−メチレンビスマレイミド、N,N´−エチレンビスマレイミド、N,N´−トリメチレンビスマレイミド、N,N´−ヘキサメチレンビスマレイミド、N,N´−ドデカメチレンビスマレイミド、1,4−ジマレイミドシクロヘキサン等の脂環式ビスマレイミド等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記成型体用硬化性樹脂組成物においては、本発明の効果を損なわない範囲であれば、可とう性成分を、機械的強度の改善等を目的として適宜含有させることができる。可とう性成分を含むことにより、一体感のある成型体用硬化性樹脂組成物とすることができる。上記可とう性成分としては、(1)上記エポキシ樹脂とは異なる化合物からなる可とう性成分である形態、(2)エポキシ樹脂の1種が可とう性成分である形態のいずれの形態であっても好適に適用することができる。
可とう性成分の含有量は特に限定されず、適宜選択すればよい。通常は、成型体用硬化性樹脂組成物100質量%に対して、0.01〜50質量%の範囲から選択され、好ましくは、0.1〜20質量%の範囲から選択される。
上記可とう性成分としては、具体的には、−〔−(CH2)n−O−〕m−で表されるオキシアルキレン骨格を有する化合物(nは2以上、mは1以上の整数である。好ましくは、nは2〜12、mは1〜1000の整数である。より好ましくは、nは3〜6、mは1〜20の整数である。)である。上記可とう性成分としては、オキシアルキレン骨格を有し、エポキシ基を有する化合物が好ましい。中でも、オキシブチレン骨格を有し、エポキシ基を有する化合物が好ましく、工業製品としては、例えば、ジャパンエポキシレジン社製のYL−7217(エポキシ当量437、液状エポキシ樹脂)が挙げられる。
ジャパンエポキシレジン社製のYL−7170(YX−8040)、ジャパンエポキシレジン社製のJER1007は、高分子量である点からも好ましく使用し得る。
その他、液状ニトリルゴム等の液状ゴム、ポリブタジエン等の高分子ゴム、粒径100nm以下の微粒子ゴム等も好ましい。
より好ましくは、末端や側鞘や主鎖骨格等に硬化性の官能基を含む化合物である。このように、上記可とう性成分として硬化性の官能基を含んでなる成型体用硬化性樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。なお、上記「硬化性の官能基」とは、「エポキシ基等の熱又は光で硬化する官能基(樹脂組成物を硬化反応をさせる基)」をいう。
本発明の成型体用硬化性樹脂組成物としては、上述のように、可とう性成分を含むことが好適である。より好ましくは、可とう性材料(エポキシが好ましい)を含んでなる脂環式硬化性物質を含む形態がより好ましい。可とう性成分としては、エポキシ樹脂が特に好ましい。
上記エポキシ樹脂の1分子当たりの平均エポキシ基数としては、通常は2個のものを使用するが、場合によっては3個以上のものを使用することもできる。
上記2種以上の熱硬化性樹脂としては、2種以上のエポキシ樹脂であることが好ましい。中でも、脂環式エポキシ樹脂を含むことが好適である。
上記樹脂組成物及び成型体において、低アッベ数、高屈折率のものを得る場合、不飽和結合量が多い熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。すなわち、熱硬化性樹脂を含む硬化性樹脂組成物であって、上記硬化性樹脂組成物は、硬化後の硬化体100質量%に対して不飽和結合量が40質量%以上である硬化性樹脂組成物が好ましい。
ここでいう「不飽和結合量」とは、硬化体に含有される不飽和結合量の総量を意味する。熱硬化性樹脂以外の成分(その他の成分)が不飽和結合を有する場合、その他の成分が有する不飽和結合も上記総量に含まれる。
また炭素原子が芳香環を形成する場合、不飽和結合量は、硬化体100質量%中に含まれる芳香環の質量%を表すものとする。すなわち、芳香環が置換基を有する場合に不飽和結合の合計量を求めるには、不飽和結合を有さない置換基の質量は含めずに、炭素原子と水素原子とによって構成される芳香環の質量のみを不飽和結合の合計量の計算に算入する。なお、芳香環にハロゲン原子が置換基として結合している場合は、上記定義よりハロゲン原子の質量も含めて、不飽和結合の合計量を算出する。本発明においては、不飽和結合が芳香環によって構成される形態が好ましい形態の一つである。
上記芳香族エポキシ化合物の含有量としては、熱硬化性樹脂100質量%中において、60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、99質量%であることが特に好ましい。
上記アッベ数は、屈折率計を用いて評価することができる。屈折率計としては、例えばDR−M2(商品名、アタゴ社製)を用いて20℃にて評価することが好ましい。
上記多価フェノール化合物としては、フェノール性水酸基を少なくとも1つ有する芳香族骨格同士が、総炭素数が2以上の有機骨格を介して結合してなる構造を有するものを好適に使用することができる。上記多価フェノール化合物において、芳香族骨格とは、フェノール性水酸基を少なくとも1つ有する芳香環である。この芳香族骨格は、フェノール型等の構造を有する部位であり、フェノール型、ハイドロキノン型、ナフトール型、アントラセノール型、ビスフェノール型、ビフェノール型等が好適である。これらの中でもフェノール型が好ましい。また、これらフェノール型等の構造を有する部位は、アルキル基、アルキレン基、アラルキル基、フェニル基、フェニレン基等によって適宜置換されていてもよい。
また、熱可塑性樹脂等の非硬化性成分と低分子量の硬化性化合物とを併用する場合には、上記熱硬化性樹脂の割合は、成型体用硬化性樹脂組成物100質量%に対して、90質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、95質量%以上であり、更に好ましくは、98質量%以上である。
(R1 aR2 bR3 cR4 dZ)+m(AXn)−m (2)
(式中、Zは、S、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、N及びハロゲン元素からなる群より選ばれる少なくとも一つの元素を表す。R1、R2、R3及びR4は、同一又は異なって、有機基を表す。a、b、c及びdは、0又は正数であり、a、b、c及びdの合計はZの価数に等しい。カチオン(R1 aR2 bR3 cR4 dZ)+mはオニウム塩を表す。Aは、ハロゲン化物錯体の中心原子である金属元素又は半金属元素(metalloid)を表し、B、P、As、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn及びCoからなる群より選ばれる少なくとも一つである。Xは、ハロゲン元素を表す。mは、ハロゲン化物錯体イオンの正味の電荷である。nは、ハロゲン化物錯体イオン中のハロゲン元素の数である。)で表されるものであることが好ましい。
また硬化条件としては、硬化温度を段階的に変化させてもよい。例えば、樹脂組成物の硬化物を製造する上での生産性を向上する目的で型内に所定の温度・時間で保持した後、型から取り出して空気又は窒素等の不活性ガス雰囲気内に静置して熱処理することも可能である。この場合の硬化温度としては、型内保持温度を25〜250℃とすることが好ましい。より好ましくは60〜200℃であり、更に好ましくは80〜180℃である。保持時間は、例えば10秒〜5分が好ましい。より好ましくは30秒〜5分であり、更に好ましくは1分〜3分である。
更に一般式AXn(OH)−で表される陰イオンも用いることができる。また、その他の陰イオンとしては、過塩素酸イオン(ClO4 −)、トリフルオロメチル亜硫酸イオン(CF3SO3 −)、フルオロスルホン酸イオン(FSO3 −)、トルエンスルホン酸イオン、トリニトロベンゼンスルホン酸イオン等が挙げられる。
上記成型体用硬化性樹脂組成物において、4×10−2N/m2以下の強度で離型するとは、該技術分野において容易に剥離し、製造工程で生産性よく製造することができ、成型体の連続生産ができると評価されることを意味する。離型強度が、4×10−2N/m2を超えると生産性よく製造できず、経済性に優れたものとならない恐れがある。剥離強度として好ましくは、2×10−2N/m2以下であり、より好ましくは、1×10−2N/m2以下であり、更に好ましくは、1×10−3N/m2以下であり、特に好ましくは、1×10−4N/m2以下である。
なお、上述したように短時間で硬化反応が進行する条件下においても本発明の効果を充分に発揮することができることから、カチオン硬化が好ましい。
上記硬化方法においては、金型から取り出し、形状を保てる程度の硬度であればよく、1×10−3N/m2以上の力で押し出したときの形状変化の割合が10%以下の硬化強度(硬度)であることが好ましい。上記形状変化の割合として好ましくは、1%以下であり、より好ましくは、0.1%以下であり、更に好ましくは、0.01%以下である。
上記ポストキュアにおいて、硬化温度及び硬化時間は、硬化させる樹脂組成物等に応じて適宜設定することができる。例えば、硬化温度としては、80〜200℃であることが好ましい。より好ましくは、100〜180℃であり、更に好ましくは、110〜150℃である。ポストキュアの硬化時間は、硬化温度にも依存するが、1〜48時間であることが好ましい。より好ましくは、1〜10時間であり、更に好ましくは、2〜5時間である。
本発明の樹脂組成物の熱硬化性樹脂として、例えばエポキシ樹脂を含有する場合は、上述のように、硬化剤を用いて熱硬化することにより、硬化物とすることができる。上記硬化剤としては、上述した熱潜在性カチオン硬化触媒を用いることが好ましい。また、熱潜在性カチオン硬化触媒以外の硬化剤としては、例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、無水ピロメリット酸、メチルナジック酸等の酸無水物類;フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、テルペンフェノール樹脂等の種々のフェノール樹脂類;種々のフェノール類とヒドロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキザール等の種々のアルデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂等の各種のフェノール樹脂類;BF3錯体、スルホニウム塩類、イミダゾール類等の1種又は2種以上を用いることができる。また、上記エポキシ樹脂を多価フェノール化合物で硬化することもできる。
上記重合性不飽和化合物を含有する樹脂組成物の硬化においては、上述した添加剤を更に添加して硬化してもよい。
本発明の成型体用硬化性樹脂組成物は、上述する硬化方法によって成型体を得ることができる。
本発明はまた、上述した成型体用硬化性樹脂組成物を成型してなる成型体でもある。
本発明の成型体の原料樹脂組成物、硬化方法等の好ましい形態は、それぞれ本発明の成型体用硬化性樹脂組成物、その硬化方法の好ましい形態と同様である。
本発明の成形体の製造方法の原料、反応条件等の好ましい形態は、本発明の成型体用硬化性樹脂組成物、成型体において上述した好ましい形態と同様である。
透明性としては、成型体の可視光領域(波長が360〜780nmの領域)の光透過率が75%以上であることが好ましい。より好ましくは80%以上であり、更に好ましくは85%以上であり、特に好ましくは87%以上である。
上記成型体のPCT(プレッシャークッカーテスト)後の吸湿率(30℃、相対湿度40%の空気中における飽和吸湿率)は、硬化条件により変化するが、硬化条件を最適化することにより.1.0%以下にすることが好ましい。より好ましくは0.5%以下であり、更に好ましくは0.2%以下である。
上記硬化物の形状としては、用途に応じて適宜設定することができ、特に限定されず、異形品等の成形体、フィルム、シート、ペレット等の形態も挙げられる。
なお、上記離型表面積(mm2)とは、樹脂組成物の硬化後、金型から取り出す前に、金型と硬化物とが接している面積を意味する。
上記体積に対する表面積の大きな硬化物としては、例えば、微小な硬化物、薄膜等が挙げられる。
成型体用硬化性樹脂組成物の調製
ガスインレット、冷却管、攪拌棒付きの四つ口フラスコに、熱硬化性樹脂として液状のエポキシ樹脂CELL−2021P(脂環式エポキシ樹脂、商品名、ダイセル化学工業社製)30部、EHPE−3150(脂環式エポキシ樹脂、商品名、ダイセル化学工業社製)20部、及び、オグソールEG210(芳香族エポキシ樹脂、商品名、大阪ガスケミカル株式会社製)50部と、離型剤としてステアリン酸0.5部とを仕込み、130℃でよく攪拌して均一にした。その後、70℃まで降温した。次いで、1気圧下で260℃以下の沸点を持つ化合物として酢酸イソプロピル0.5部を投入し、均一に攪拌した。冷却後、微黄色で透明な粘凋性を有する液体を得た。
この液体を40℃に冷却した後、熱潜在性カチオン硬化触媒としてサンエイドSI−80L(商品名、三新化学工業社製)を全質量に対して0.6部となるように投入し、均一に混合した。
上記調製を行った樹脂組成物(以下、調製液ともいう。)に、必要に応じて50℃の熱を加えて減圧脱泡処理を行い、金型に注入して140℃で3分の硬化を行った。そして、硬化物を金型から剥離させて、成型体である250μm厚の注型板(塗膜)を得た。
この実施例1における樹脂組成物の組成を下記表3に示す。
物性
<離型性>
本発明における成型体には、成型体の連続生産時に必要な条件として、副反応が生じる250℃以下の温度で短時間にある程度の材料硬度を達成することが要求される。そこで、上記調製液を、アプリケータを用いてSUS304基板上に高さ(厚み)1mmとなるように塗工し、140℃、2.5分の条件下で硬化した。そして、硬化した樹脂(塗膜)とSUS304基板との界面にカッター(エヌティー社製、本体型番:L−500、刃の型番:BL−150P)を4×10−2N/m2の力で押し当てて硬化した樹脂を剥離させ、剥離のし易さを評価することにより、離型性の評価とした。
剥離強度4×10−2N/m2の力は、SUS304基板上に形成された、高さ(厚み)1mm、長さ2cmの樹脂と、SUS304基板との界面に、1.5kgの荷重をカッターを用いて加えたときの値として算出している。なお、カッターの刃先の荷重が加わる面積は、0.04cm2とした。また、塗膜の幅は2cmであり、離型表面積と単位体積の割合(表面積)/(体積)は、1mm2/mm3である。
離型性の評価は、下記の8段階で行った。
8(強い、はがすことが困難)>7>6>5>4>3>2>1(弱い、容易に剥離)
すなわち、上記試験においては、数値が低い程、離型性に優れている。また、上記評価のランクが7以下の数値であれば、数μmオーダーでの精密な表面形状が要求されるレンズ等の光学製品として光学用途に適用可能なレベルであり、該光学製品の連続製造が可能なレベルであると判断した。
透明性は、硬化前の樹脂組成物(調製液)と硬化後の樹脂組成物(硬化物)とについて、濁度計(日本電色社製、NDH2000)を用いて、25℃におけるヘイズ値(透過率)を測定し、下記のように5段階で評価をした。なお、目視にて明らかに光学用途として不適な濁りが観察されたものは、調製液については液濁、硬化物については固濁と、下記評価と合わせて下記表中に記載した。また、上記評価のランクが4以下の数値であれば、数μmオーダーでの精密な表面形状が要求されるレンズ等の光学製品として光学用途に適用可能なレベルであると判断した。
(調製液):光路長1cmのセルに上記調製液を注ぎ入れ、上記濁度計を用いてヘイズを測定した。
(硬化物):上記した250μm厚の成型体のヘイズを、上記濁度計を用いて測定した。
(評価):上記のように測定した調製液及び硬化物の両方のヘイズ値を考慮して、下記のように5段階で透明性の評価を行った。
5(濁っている)>4>3>2>1(透明)
粘度の測定は、硬化剤を加える前の樹脂組成物について、R/Sレオメーター(米国ブルックフィールド社製)を用いて、40℃、回転速度D=1/sの条件下で行った。なお、粘度20Pa・s以上では、RC25−1の測定治具を使用し、粘度20Pa・s未満では、RC50−1の治具を使用した。
また、回転速度D=1/s時点の粘度が測定できないものについては、回転速度D=5〜100/sの値を外挿して、樹脂組成物の粘度として評価した。
屈折率及びアッベ数の測定は、JIS K7142に準拠した方法で、下記の方法によりそれぞれ測定を行った。
屈折率は、上記硬化物(250μm厚の成型体)について、屈折率計(アタゴ社製、DR−M2)を用いて、測定波長を486nm、589nm、656nmとして、20℃の条件下で測定した。
アッベ数は、上記硬化物(250μm厚の成型体)について、屈折率計(アタゴ社製、DR−M2)を用いて、20℃の条件下で測定した。
上記した各種物性の測定及び評価結果を、下記表4に示す。
実施例2〜15、実施例17〜23は、特定の沸点を持つ化合物に加えて特定の有機基を持つ珪素化合物を用い、樹脂組成物の組成を表3及び表5に示すようにした。珪素化合物は、エポキシ樹脂と同様に仕込み、130℃で良く攪拌して均一にした。そして、それ以外は実施例1と同様にして成型体用硬化性樹脂組成物及び成型体の調製を行って、上記した各種物性を測定した。
また、実施例16は、特定の有機基を持つ珪素化合物を用いずに樹脂組成物の組成を表5に示すようにした。そして、それ以外は実施例1と同様にして成型体用硬化性樹脂組成物及び成型体の調製を行って、上記した各種物性を測定した。
実施例2〜23において、得られた評価結果を、下記表6及び表8に示す。
本発明における特定の沸点を有する化合物を用いずに、樹脂組成物の組成を表4に示すようにした。そして、それ以外は実施例1と同様にして成型体用硬化性樹脂組成物及び成型体の調製を行って、上記した各種物性を測定した。得られた評価結果を、下記表7に示す。
(装置)
GC−Mass:サーモクエスト社製 Polaris Q
熱分解装置:フロンティアラボ社製 PY2020D
(条件)
熱分解温度:260℃、ガス:He 1ml/mm
カラム(0.25mm内径×30m、膜厚0.25μm、TRACETM TR−5MS GCカラム)
(結果)
実施例10、12、及び、20の成型体には、ドデカノール、ステアリン酸、エポキシ分解物のピークが観測された。
また、元素分析によりケイ素が確認できた。
この測定結果より、実施例10、12、及び、20の成型体中には、本発明における特定の化合物、離型剤、及び、熱硬化性樹脂が含まれていることが明らかになった。また、実施例実施例10、12、及び、20の成型体は、表6及び表8から明らかなように、いずれも離型性に優れている。
特定の沸点を持つ化合物の種類を表9に示すように変更し、樹脂組成物の組成を表9に示すようにした。そして、それ以外は実施例1と同様にして成型体用硬化性樹脂組成物及び成型体の調製を行って、上記した各種物性を測定した。得られた評価結果を、下記表9に示す。
特定の沸点を持つ化合物に代えて、1気圧下で260℃を超える沸点を持つ化合物であるヘキサデカノール(1−ヘキサデカノール、沸点344℃)を用い、樹脂組成物の組成を表9に示すようにした。そして、それ以外は実施例1と同様にして成型体用硬化性樹脂組成物及び成型体の調製を行って、上記した各種物性を測定した。得られた評価結果を、下記表9に示す。
特定の有機基を持つ珪素化合物としてシロキサン化合物を用い、樹脂組成物の組成を表10に示すようにした。シロキサン化合物は、実施例37ではBYK−333(ビックケミー・ジャパン社製、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン溶液)を用い、実施例38ではBYK−307(ビックケミー・ジャパン社製、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン)を用いた。これらのシロキサン化合物は、エポキシ樹脂と同様に仕込み、130℃で良く攪拌して均一にした。
そして、それ以外は実施例1と同様にして成型体用硬化性樹脂組成物及び成型体の調製を行って、上記した各種物性を測定した。得られた評価結果を、下記表11に示す。
オキセタン化合物を配合して樹脂組成物の組成を表10に示すようにし、下記のようにして、樹脂組成物の調製を行った。
オクタノール0.5部、オグソールEG−210(大阪瓦欺社製、フルオレンエポキシ樹脂)50部、JER828EL(ジャパンエポキシレジン社製、ビスフェノールAエポキシ樹脂)45部、EHO(宇部興産株式会社製、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン)5部、ステアリン酸0.5部を100℃下で混合を行った。冷却後、サンエイドSI−80L(三新化学工業社製、熱酸発生剤)1部を加えて自公転式遠心混合装置(シンキー社製、あわとり練太郎)を用いて混合脱泡を行うことによって、樹脂組成物を作成した。この樹脂組成物を用いて、上記と同様に成型体を調製し、各種物性等を測定した。
得られた測定結果を表11に示す。
特定の有機基を持つ珪素化合物としてシロキサン化合物であるBYK−333(ビックケミー・ジャパン社製、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン溶液)0.1部を用い、樹脂組成物の組成を表10に示すようにした。そしてそれ以外は実施例39と同様にして成型体を調製し、各種物性等を測定した。
得られた測定結果を表11に示す。
オキセタン樹脂、ラジカル重合発生剤、及びシロキサン化合物を加えて樹脂組成物の組成を表10に示すようにし、下記のようにして成型体を調製し、各種物性等を測定した。
オクタノール0.5部、オグソールEA−0200(大阪ガスケミカル社製、フルオレンアクリレート)50部、JER828EL(ジャパンエポキシレジン社製、ビスフェノールAエポキシ樹脂)30部、Eternacoll@OXBP(宇部興産社製、オキセタン樹脂)20部、及び、ステアリン酸0.5部を100℃下で混合を行った。冷却後、サンエイドSI−80L(三新化学工業社製、熱酸発生剤)0.5部、BYK−333(ビックケミー・ジャパン社製、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン溶液)0.1部及び、パープチルO(日油社製、ラジカル発生剤)1部を加えて、自公転式遠心混合装置(シンキー社製、あわとり練太郎)を用いて混合脱泡を行うことによって、樹脂組成物を作成した。
得られた樹脂組成物を用いて、上記実施例1と同様に成型体を調製し、各種物性等を測定した。なお、樹脂組成物の硬化は、窒素雰囲気下で行った。
得られた測定結果を表11に示す。
芳香族エポキシ樹脂(JER828EL、ジャパンエポキシレジン社製、ビスフェノールAエポキシ樹脂)、オキセタン樹脂、及び、熱潜在性カチオン硬化触媒(サンエイドSI−80L、三新化学工業社製)を配合せず、樹脂組成物の組成を表10に示すようにした。そしてそれ以外は、実施例41と同様にして、樹脂組成物及び成型体の調製を行い、各種物性等を測定した。なお、樹脂組成物の硬化は、窒素雰囲気下で行った。
得られた測定結果を表11に示す。
ラジカル重合開始剤及び熱潜在性カチオン硬化触媒(サンエイドSI−80L、三新化学工業社製)を配合せず、スルホニウム塩SP−172(商品名、旭電化社製)及び重合開始剤(イルガキュア189溶液、チバ・ガイギー社製)を加えて、樹脂組成物の組成を表10に示すようにした。そしてそれ以外は、実施例41と同様にして、樹脂組成物及び成型体の調製を行い、各種物性等を測定した。ただし、樹脂組成物の硬化は、窒素雰囲気下で光硬化により行った。すなわち、高圧水銀ランプを光源とする露光機(MA−60F、ミカサ社製)を用いて、照度10mW/cm2で15分間、露光エネルギー9J/cm2の紫外線照射により行った。
得られた測定結果を表11に示す。
特定の沸点を持つ化合物であるオクタノールを配合せずに、樹脂組成物の組成を表10に示すようにした。そしてそれ以外は実施例39と同様にして成型体を調製し、各種物性等を測定した。
得られた測定結果を表11に示す。
特定の沸点を持つ化合物であるオクタノール、及び、オキセタン化合物を配合せずに、樹脂組成物の組成を表10に示すようにした。そしてそれ以外は実施例39と同様にして成型体を調製しようとしたが、樹脂組成物は硬化しなかった。
得られた測定結果を表11に示す。
(1気圧下で260℃以下の沸点を持つ化合物)
MEK:メチルエチルケトン
(熱潜在性カチオン硬化触媒)
SI−80L:サンエイドSI−80L(熱潜在性カチオン硬化触媒〔芳香族スルホニウム塩〕、商品名、三新化学工業株式会社製)
SI−100L:サンエイドSI−100L(熱潜在性カチオン硬化触媒〔芳香族スルホニウム塩〕、商品名、三新化学工業株式会社製)
CELL−2021P(脂環式エポキシ樹脂、商品名、ダイセル化学工業社製)
セロキサイド2081(脂環式エポキシ樹脂、商品名、ダイセル化学工業社製)
EHPE−3150(脂環式エポキシ樹脂、商品名、ダイセル化学工業社製)
オグソールEG210(芳香族エポキシ樹脂(フルオレンエポキシ化合物)、商品名、大阪ガスケミカル株式会社製)
オグソールPG100(芳香族エポキシ樹脂(フルオレンエポキシ化合物)、商品名、大阪ガスケミカル株式会社製)
オグソールEA−0200(フルオレンアクリレート、商品名、大阪ガスケミカル株式会社製)
JER828EL(芳香族エポキシ樹脂(ビスフェノールAエポキシ樹脂)、商品名、ジャパンエポキシレジン社製)
(アリール基及び/又ポリアルキレングリコール鎖を有する珪素化合物)
KF−56(ポリシロキサンの側鎖の一部がフェニル基であるストレートシリコーンオイル〔離型剤〕、重量平均分子量1.75×103、商品名、信越シリコーン社製)
KF−6004(両末端にポリオキシエチレン鎖とポリオキシプロピレン鎖とを有する有機基を導入した変性シリコーンオイル〔離型剤〕、重量平均分子量7.7621×104、商品名、信越シリコーン社製)
HIVAC−F−4(ポリシロキサンの側鎖の一部がフェニル基であるストレートシリコーンオイル〔離型剤〕、重量平均分子量1.51×103、商品名、信越シリコーン社製)
BYK−333(商品名、ビックケミー・ジャパン社製、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン溶液〔シロキサン化合物〕)
BYK−307(商品名、ビックケミー・ジャパン社製、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン〔シロキサン化合物〕)
KS−707(溶液型シリコーンオイル、商品名、信越シリコーン社製)
KF−96(オイル型シリコーンオイル、商品名、信越シリコーン社製)
KF−412(オイル型シリコーンオイル、商品名、信越シリコーン社製)
KF−53(ポリシロキサンの側鎖の一部がフェニル基であるストレートシリコーンオイル、商品名、信越シリコーン社製)
KF−54(商品名、ポリシロキサンの側鎖の一部がフェニル基であるストレートシリコーンオイル、重量平均分子量2.27×104、信越シリコーン社製)
X−22−169AS(商品名、両末端に脂環式エポキシ骨格を導入した両末端型/脂環式エポキシ変性シリコーンオイル、重量平均分子量6.85×103、信越シリコーン社製)
X−22−163(商品名、両末端に脂肪族エポキシ骨格を導入した両末端型/エポキシ変性シリコーンオイル、重量平均分子量1.15×105、信越シリコーン社製)
SF 8421(商品名、シリコーンオイル、東レ・ダウ・コーニングシリコーン社製)
EHO(商品名、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、宇部興産株式会社製)
OXBP(商品名、4,4´−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル、オキセタン樹脂、宇部興産株式会社製)
(ラジカル硬化触媒)
パープチルO(商品名、日油社製、ラジカル発生剤)
(光潜在性カチオン硬化触媒)
SP−172(商品名、旭電化社製)
(光潜在性ラジカル硬化触媒)
イルガキュア189(商品名、チバ・ガイギー社製)
(分散剤)
プラクセルFM−1(ダイセル化学工業株式会社製)
実施例1では、離型性が5であるが、それに対して、比較例2及び比較例17では、いずれも離型性が8である。
このように、実施例1では、成型体の連続製造が可能であるレベルであるが、比較例2及び比較例17では、成型体を連続製造することができない。
また、特定の沸点を有する化合物が含まれていない比較例15において離型性が2という評価が得られているが、透明性に劣っており、上記した光学用途等に利用できるものではない。
これらの実施例39、40、41、及び、43において得られた硬化物は、1気圧下で260℃以下の沸点を持つ化合物を含む樹脂組成物からなるために、いずれも離型性の評価が3以下のランクと優れた離型性を有するものであり、しかも透明性にも優れるものであった。
また、実施例40は、樹脂組成物に更にオキシアルキレン鎖を有する珪素化合物(シロキサン化合物)を含有させているために、実施例39に比べて離型性に優れる結果となった。
比較例19の樹脂組成物は、硬化性樹脂が芳香族エポキシ樹脂(フルオレンエポキシ樹脂及びビスフェノールAエポキシ樹脂)のみからなるが、上記した硬化条件、すなわち、140℃で3分という短時間の加熱では、充分に硬化しない結果となった。
Claims (8)
- エポキシ樹脂を含有する成型体用硬化性樹脂組成物であって、
該成型体用硬化性樹脂組成物は、1気圧下で260℃以下の沸点を持つ化合物を必須成分とし、離型剤を更に含有し、
該1気圧下で260℃以下の沸点を持つ化合物は、アルコール、多価アルコール誘導体、1価アルコールとカルボン酸とから得られるカルボン酸エステル及びケトンからなる群より選択される少なくとも1種の化合物であり、
該多価アルコール誘導体は、多価アルコールエーテル化合物、多価アルコールエーテルエステル又は多価アルコールエステル化合物(ただし、多価アルコールエーテルエステルに該当するものは、多価アルコールエステル化合物から除くものとする。)であり、
該1気圧下で260℃以下の沸点を持つ化合物の含有量は、成型体用硬化性樹脂組成物100質量%に対し、0.01〜5質量%であって、
該離型剤は、1気圧下で260℃を超える沸点を持ち、かつ炭素数13以上のアルコール、炭素数13以上のカルボン酸、炭素数13以上のカルボン酸エステル、炭素数13以上のカルボン酸塩及び炭素数13以上のカルボン酸無水物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を必須成分とし、
該離型剤は、更に、重量平均分子量が500以上、10万以下であるポリシロキサン化合物を含み、
該離型剤の含有量は、成型体用硬化性樹脂組成物100質量%に対し、0.01質量%以上、10質量%以下であることを特徴とする成型体用硬化性樹脂組成物。 - 前記成型体用硬化性樹脂組成物は、熱潜在性カチオン硬化触媒及び/又は光潜在性カチオン硬化触媒を更に含有することを特徴とする請求項1に記載の成型体用硬化性樹脂組成物。
- 前記成型体用硬化性樹脂組成物は、熱潜在性カチオン硬化触媒を更に含有することを特徴とする請求項1に記載の成型体用硬化性樹脂組成物。
- 前記成型体用硬化性樹脂組成物は、レンズに用いられるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の成型体用硬化性樹脂組成物。
- 前記レンズは、撮像レンズ又はピックアップレンズであることを特徴とする請求項4に記載の成型体用硬化性樹脂組成物。
- 前記1気圧下で260℃以下の沸点を持つ化合物は、総炭素数3〜12のアルコールを含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の成型体用硬化性樹脂組成物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の成型体用硬化性樹脂組成物を成型してなることを特徴とする成型体。
- エポキシ樹脂を含有する成型体用硬化性樹脂組成物から成型体を製造する方法であって、
該製造方法は、エポキシ樹脂及び離型剤を含む組成物に1気圧下で260℃以下の沸点を持つ化合物を必須成分として含有させる工程と、該化合物を含有する成型体用硬化性樹脂組成物を成型する工程とを含み、
該離型剤は、1気圧下で260℃を超える沸点を持ち、かつ炭素数13以上のアルコール、炭素数13以上のカルボン酸、炭素数13以上のカルボン酸エステル、炭素数13以上のカルボン酸塩及び炭素数13以上のカルボン酸無水物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を必須成分とし、
該離型剤は、更に、重量平均分子量が500以上、10万以下であるポリシロキサン化合物を含み、
該離型剤の含有量は、成型体用硬化性樹脂組成物100質量%に対し、0.01質量%以上、10質量%以下であって、
該1気圧下で260℃以下の沸点を持つ化合物は、アルコール、多価アルコール誘導体、1価アルコールとカルボン酸とから得られるカルボン酸エステル及びケトンからなる群より選択される少なくとも1種の化合物であり、
該多価アルコール誘導体は、多価アルコールエーテル化合物、多価アルコールエーテルエステル又は多価アルコールエステル化合物(ただし、多価アルコールエーテルエステルに該当するものは、多価アルコールエステル化合物から除くものとする。)であり、
該1気圧下で260℃以下の沸点を持つ化合物の含有量は、成型体用硬化性樹脂組成物100質量%に対し、0.01〜5質量%であることを特徴とする成型体の製造方法。
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