JP4405686B2 - 新規サイトカインzalpha11リガンド - Google Patents

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Description

【0001】
発明の背景:
多細胞生物の細胞の増殖及び分化は、ホルモン及びポリペプチド成長因子により調節される。それらの拡散性分子は、細胞のお互いの連絡を可能し、そして細胞、組織及び器官の形成、そして損傷された組織の修復に関して作用する。ホルモン及び成長因子の例は、ステロイドホルモン(例えば、テストステロン)、副甲状腺ホルモン、卵胞刺激ホルモン、インターロイキン、血小板由来の成長因子(PDGF)、上皮成長因子(EGF)、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、エリトロポエチン(EPO)及びカルシトニンを包含する。
【0002】
ホルモン及び成長因子は、受容体に結合することによって細胞代謝に影響を及ぼす。受容体は、細胞内のシグナル化経路、例えば第2メッセンジャーシステムに結合される内在性膜タンパク質であり得る。他の種類の受容体は、可溶性分子、例えば転写因子である。
【0003】
サイトカインは一般的に、造血系の細胞の増殖又は分化を刺激し、又は身体の免疫及び炎症応答に関係している。造血に影響を及ぼすサイトカインの例は、赤血球細胞の成長を刺激するエリトロポエチン(EPO);巨核球系の細胞の成長を刺激するトロンボポエチン(TPO);及び好中球の成長を刺激する顆粒球−刺激因子(G−CSF)である。それらのサイトカインは、貧血、血小板減少症及び好中球減少症を有する患者における正常な血液細胞レベルの回復、又は癌のための化学療法の受容において有用である。
【0004】
インターロイキンは、免疫学的応答、例えば炎症を仲介するサイトカインのファミリーである。インターロイキンは、広範囲の種類の炎症病理学を仲介する。免疫応答の中枢は、多くのサイトカイン及び抗原に対する適合できる免疫性を生成するT細胞である。T細胞により生成されるサイトカインは、タイプ1及びタイプ2として分類されて来た(Kelso, A. Immun. Cell Biol. 76: 300-317, 1998)。
【0005】
タイプ1サイトカインは、IL−2、IFN−γ、LT−αを包含し、そして炎症応答、ウィルス免疫性、細胞内寄生体免疫性及び同種移植拒絶に包含される。タイプ2サイトカインは、IL-4, IL-5, IL-6, IL-10及びIL-13を包含し、そして体液性応答、寄生虫免疫性及びアレルギー応答に関与する。タイプ1とタイプ2との間の共有されるサイトカインは、IL-3, GM-CSF及びTNF−αを包含する。T細胞集団を生成するタイプ1及びタイプ2が異なった型の炎症組織中に選択的に移動することを示すある証拠が存在する。
成熟T細胞は、例えばサイトカイン、生化学的シグナル分子、又はT細胞集団の運命にさらに影響を及ぼす受容体を生成するために、抗原又は他の刺激物により活性化され得る。
【0006】
B細胞は、補助細胞機能、例えばサイトカインの生成を行うために、それらの細胞表面上の受容体、例えばB細胞受容体及び他の補助分子を通して活性化され得る。
天然のキラー(NK)細胞は、T細胞及びB細胞と共に、共通する前駆体細胞を有し、そして免疫監視において役割を演じる。15%までの血液リンパ球を含んで成るNK細胞は、抗原受容体を発現せず、そして従って、標的細胞への結合のために、必要なら、MHC認識を使用しない。インビボで、NK細胞は、活性化を必要とすると思われるが、しかしながら、インビトロで、NK細胞は、活性化を伴なわないで、いくつかのタイプの腫瘍細胞を殺害することが示されている。
【0007】
サイトカインファミリーの例示されたインビボ活性は、他のサイトカイン、サイトカインアゴニスト及びサイトカインアンタゴニストの莫大な臨床学的可能性及びそれらの必要性を説明する。本発明は、造血細胞系の細胞を刺激する新規サイトカイン、並びに関連する組成物及び方法を提供することにより、それらの必要性と取り組む。
本発明は、当業者に明らかであるそれらの及び他の使用のために、そのようなポリペプチドを提供する。
【0008】
発明の特定の記載:
本発明を詳細に記載する前、次の用語を定義することで本発明の理解を助けることができる:
“親和性標識”とは、第2ポリペプチドの精製又は検出を提供し、又は基質への第2ポリペプチドの結合のための部位を供給するために、第2ポリペプチドに結合され得るポリペプチドセグメントを示すために本明細書において使用される。主に、抗体又は、他の特異的結合剤が利用できるいずれかのペプチド又はタンパク質が親和性標識として使用され得る。
【0009】
親和性標識は、ポリ−ヒスチジン系、すなわちプロテインA (Nilsson など., EMBO J. 4: 1075, 1985; Nilsson など., Methods Enzymol. 198: 3, 1991), グルタチオンS トランスフェラーゼ(Smits and Johnson, Gene 67; 31, 1988), Glu-Glu親和性標識 (Grussenmeyerなど., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82: 7952-4, 1985), 物質P、すなわちFlagTM ペプチド(Hoppなど., Biotechnology 6: 1204-1210, 1988)、ストレプタビジン結合ペプチド、又は他の抗原性エピトープ又は結合ドメインを包含する。一般的に、Ford など., Protein Expression and Purification 2:95-107, 1991を参照のこと。親和性標識をコードするDNAは、商品供給者(例えばPharmacia Biotech, Piscataway, NJ; Eastman Kodak, New Heven, CT; New England Biolabs, Beverly, MA)から入手できる。
【0010】
用語“対立遺伝子変異体”とは、同じ染色体遺伝子座を占める遺伝子の複数の遺伝子の二者択一形のいずれかを示すために、本明細書において使用される。対立遺伝子変異は、突然変異を通して天然では生じ、そして集団内の表現型多型現象をもたらすことができる。遺伝子突然変異は、サイレントであり(コードされたポリペプチドにおいて変化がない)、又は変更されたアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードすることができる。用語、対立遺伝子変異体はまた、遺伝子の対立遺伝子変異体によりコードされるタンパク質を示すために本明細書において使用される。
【0011】
用語“アミノ−末端”及び“カルボキシル−末端”とは、ポリペプチド内の位置を示すために本明細書において使用される。その情況が可能である場合、それらの用語は、接近性又は相対的位置を示すためにポリペプチドの特定の配列又は一部に関して使用される。例えば、ポリペプチド内の対象配列のカルボキシル末端側に位置する一定の配列は、その対象配列のカルボキシル末端に隣接して位置するが、しかし完全なポリペプチドのカルボキシル末端では必ずしも必要ではない。
【0012】
用語“相補体/抗−相補体対”とは、適切な条件下で、非共有的に会合して安定した対を形成する非同一性成分を示す。例えば、ビオチン及びアビジン(又はストレプタビジン)は、相補体/抗−相補体対の基本型メンバーである。他の典型的な相補体/抗−相補体対は、受容体/リガンド対、抗体/抗原(又はハプテン又はエピトープ)対、センス/アンチセンス ポリヌクレオチド対、及び同様のものを包含する。相補体/抗−相補体対の続く解離が所望される場合、その相補体/抗−相補体対は好ましくは、<109-1の結合親和性を有する。
【0013】
用語“ポリヌクレオチド分子の相補体”とは、相補的塩基配列、及び対照配列に比較して逆の配向を有するポリペプチド分子である。例えば、配列5’ ATGCACGGG 3’ は、5’ CCCGTGCAT 3’に対して相補的である。
用語“縮重ヌクレオチド配列”とは、1又は複数の縮重コドンを含むヌクレオチドの配列(ポリペプチドをコードする対照ポリヌクレオチドに比較して)を示す。縮重コドンは、ヌクレオチドの異なったトリプレットを含むが、しかし同じアミノ酸残基をコードする(すなわち、GAU及びGACトリプレットはそれぞれAspをコードする)。
【0014】
用語“発現ベクター”とは、その転写を提供する追加のセグメントに操作可能的に連結される興味あるポリペプチドをコードするセグメントを含んで成る線状又は環状DNA分子を示すために使用される。そのような追加のセグメントは、プロモーター及びターミネーター配列及び複製の1又は複数の起点、1又は複数の選択マーカー、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル、及び同様のものを包含する。発現ベクターは一般的に、プラスミド又はウィルスDNAから誘導され、又は両者の要素を含むことができる。
【0015】
用語“単離された”とは、ポリヌクレオチドに適用される場合、ポリヌクレオチドがその天然の遺伝的環境から除去され、そして従って、他の無関係な又は所望しないコード配列を有さず、そして遺伝子的に構築されたタンパク質生成システム内での使用のために適切な形で存在することを示す。そのような単離された分子は、それらの天然の環境から分離され、そしてcDNA及びゲノム クローンを含む分子である。本発明の単離されたDNA分子は、通常関係しない他の遺伝子を含まないが、しかし天然において存在する5’及び3’ 未翻訳領域、例えばプロモーター及びターミネーターを含むことができる。関連する領域の同定は、当業者に明らかであろう(例えば、Dynan and Tijan, Nature 316: 774―78, 1985を参照のこと)。
【0016】
“単離された”ポリペプチド又はタンパク質は、その生来の環境以外の条件、例えば血液及び動物組織とは別の条件下で見出されるポリペプチド又はタンパク質である。好ましい形においては、単離されたポリペプチドは、他のポリペプチド、特に動物起源の他のポリペプチドを実質的に含まない。高く精製された形、すなわち95%以上の純度、より好ましくは99%以上の純度でポリペプチドを供給することが好ましい。この情況下で使用される場合、用語“単離された”とは、他の物理的形、例えばダイマー形又は他のグリコシル化された又は誘導体化された形での同じポリペプチドの存在を排除しない。
【0017】
用語“腫瘍性”とは、細胞を言及する場合、新規で且つ異常な増殖を受ける細胞、特に増殖において、制御できなく、且つ前進性であり、特に新形成をもたらす組織を示す。腫瘍性細胞は、悪性、すなわち侵襲性で且つ転移性であるか、又は良性であり得る。
“作用可能に連結された”とは、DNAセグメントに適用される場合、前記セグメントが、それらの意図された目的のために協力して機能し、例えば転写がプロモーターにおいて開始し、そしてコードセグメントを通してターミネーターに進行するよう配列されることを示す。
【0018】
用語“オルト体(orthology)”とは、異なった種からのポリペプチド又はタンパク質の機能的相対物である、1つの種から得られるポリペプチド又はタンパク質を示す。オルト体間の配列の差異は、特定化の結果である。
“パラ体(paralogs)”とは、生物によって製造される、異なっているが,しかし構造的に関連するタンパク質である。パラ体は、遺伝子重複を通して生じると思われる。例えば、α−グロビン、β−グロビン及びミオグロビンは、お互いパラ体である。
【0019】
“ポリヌクレオチド”は、5’末端から3’末端に読み取られるデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチド塩基の一本鎖又は二本鎖ポリマーである。ポリヌクレオチドは、RNA及びDNAを包含し、そして天然源から単離され、インビトロで合成され、又は天然及び合成分子の組み合わせから調製され得る。ポリヌクレオチドのサイズは、塩基対(略語“bp”)、ヌクレオチド(“nt”)、又はキロ塩基(“kb”)として表される。ここで、後者の2つの用語は、一本鎖又は二本鎖であるポリヌクレオチドを記載する。この用語が二本鎖分子に適用される場合、それは全体の長さを示すために使用され、そして用語、“塩基対”に等しいことが理解されるであろう。二本鎖ポリヌクレオチドの二本の鎖は長さにおいてわずかに異なり、そしてその末端が酵素分解の結果として異なることは、当業者により理解されており;従って、二本鎖ポリヌクレオチド分子内のすべてのヌクレオチドは一対に成り得ない。
【0020】
“ポリペプチド”は、天然において生成されても又は合成的に生成されてもいずれにせよ、ペプチド結合により連結されるアミノ酸残基のポリマーである。約10個以下のアミノ酸残基のポリペプチドが、通常“ポリペプチド”として言及される。
用語“プロモーター”とは、RNA ポリメラーゼの結合及び転写の開始を提供するDNA配列を含む遺伝子の部分を示すために本明細書において使用される。プロモーター配列は通常、遺伝子の5’ 非コード領域に見出されるが、しかし必ずしもそうではない。
【0021】
用語“タンパク質”は、1又は複数のポリペプチド鎖を含んで成る高分子である。タンパク質はまた、非ペプチド成分、例えば炭水化物基を含むことができる。炭水化物及び他の非ペプチド置換基は、タンパク質が生成される細胞により付加され、そして細胞型により変化するであろう。タンパク質は、それらのアミノ酸主鎖により本明細書において定義され;置換基、例えば炭水化物基は一般的に、特定されないが、しかしそれにもかかわらず、存在することができる。
【0022】
用語“受容体”は、生物活性分子(すなわち“リガンド”)に結合し、そして細胞上のリガンドの効果を仲介する細胞関連タンパク質を示す。膜結合受容体は、細胞外リガンド結合ドメイン、及び典型的には、シグナルトランスダクションに関与する細胞内エフェクタードメインを含んで成る多ペプチド構造により特徴づけられる。受容体へのリガンドの結合は、細胞におけるエフェクタードメインと他の分子との間の相互作用を引き起こす受容体におけるコンホメーション変化をもたらす。この相互作用は、細胞の代謝の変更を誘導する。
【0023】
受容体−リガンド相互作用に連結される代謝現象は、遺伝子転写、リン酸化、脱リン酸化、AMP生成の上昇、細胞カルシュウムの代謝、膜脂質の代謝、細胞付着、イノシトール脂質の加水分解、及びリン脂質の加水分解を包含する。一般的に、受容体は、膜結合され、シトソール性又は核性であり;モノマー(例えば甲状腺刺激ホルモン受容体、β−アドレナリン性受容体)、又はマルチマー(例えばPDGF受容体、成長ホルモン受容体、IL−3受容体、GM―CSF受容体、G−CSF受容体、エリトロポイエチン受容体及びIL―6受容体)であり得る。
【0024】
用語“分泌シグナル配列”とは、それが合成される細胞の分泌路を通してより大きなポリペプチドを、より大きなポリペプチドの成分として方向ずけるポリペプチド(“分泌ペプチド”)をコードするDNA配列を示す。前記のより大きなポリペプチドは、分泌路を通しての移動の間、分泌ペプチドを除去するために通常分解される。
【0025】
用語“スプライス変異体”とは、遺伝子から転写されるRNAの二者択一の形を示すために、本明細書において使用される。スプライス変異は、転写されたRNA分子内の、又は通常低いが、別々に転写されたRNA分子間の二者択一のスプライシング部位の使用を通して天然において生じ、そして同じ遺伝子から転写されるいくつかのmRNAをもたらすことができる。スプライス変異体は、変更されたアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードすることができる。用語スプライス変異体はまた、遺伝子から転写されるmRNAのスプライス変異体によりコードされるタンパク質を示すために本明細書において使用される
【0026】
不正確な分析方法(例えば、ゲル電気泳動)により決定されるポリマーの分子量及び長さは、おおよその値であることが理解されるであろう。そのような値が“約”X又は“おおよそ”Xとして表される場合、その言及されたXの値は、正確には±10%であることが理解されるであろう。
本明細書に引用されるすべての文献はそれらのすべてを引用により組み込まれる。
【0027】
本発明は、4−ヘリカル−束のサイトカインの構造を有するタンパク質をコードする新規DNA配列の発見に一部、基づかれている。本明細書に詳細に記載されるクローニング、増殖アッセイ及び結合研究の工程を通して、これまでの孤児受容体zalpha11に対して高い特異性を有するリガンドである新規リガンドポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列が同定された。zalpha11リガンドと称するこのポリペプチドリガンドは、CD3に対して選択された、活性化されたヒト末梢血液細胞(hPBC)から生成されたcDNAライブラリーから単離された。CD3は、リンパ球起源の細胞、特にT細胞に対してユニークな細胞表面マーカーである。
【0028】
次の例においては、他の成長因子の不在下で生存及び増殖のためにzalpha11孤児受容体−結合経路に依存性である細胞系が、zalpha11リガンドをコードするcDNAの源についてスクリーンするために使用された。zalpha11リガンドのトランスフェクション及び発現のために使用された好ましい成長因子−依存性細胞系はBaF3であった(Palacio and Steinmetz, Cell 41: 727-734, 1985; Mathey-Prevotなど., Mol. Cell Biol. 6: 4133-4135, 1986)。しかしながら、他の成長因子−依存性細胞系、例えばFDC−P1(Hapelなど., Blood 64:786-790, 1984)、及びMO7e (Kiss など., Leukemiz 7: 235-240, 1993) が、この目的のために適切である。
【0029】
zalpha11リガンドのアミノ酸配列は、クラスIサイトカイン受容体サブファミリーに属するコードされた受容体が、IL-2, IL-4, IL-7, IL-15, EPO, TPO, GM-CSF及びG-CSFについての受容体を包含する(但し、それらだけには限定されない)ことを示した(再考のためには、Cosman, “The Hematopoietin Receptor Superfamily” in Cytokine 5 (2): 95-106, 1993 を参照のこと)。zalpha11リガンドは、共通して所有されているPCT特許出願US99/21149号に十分に記載されている。
【0030】
zalpha11リガンドのmRNAの組織分布の分析は、リンパ節、末梢血液リンパ球(PBL)、脾臓、骨髄及び胸腺における発現を示した。さらに、mRNAは、Burkittリンパ腫に由来するRaji細胞系(ATCC No. CCL-86)において富んでいた。受容体の組織分布は、予測されるzalpha11リガンド標的が造血系細胞、特にリンパ球前駆体細胞及びリンパ球細胞であることを示す。リンパ球細胞に対して作用する他の既知の4−ヘリカル−束のサイトカインは、IL-2, IL-4, IL-7及びIL-15を包含する。4−ヘリカル−束のサイトカインの再考については、Nicolaなど.,Advances in Protein Chemistry 52: 1-65, 1999及びKeiso, A., Immunol. Cell Biol. 76:300-317,1998を参照のこと。
【0031】
CD3+選択された、PMA/イノマイシン−刺激されたヒト末梢血液細胞からのならし培地(CM)は、zalpha11リガンドを発現し、そして他方では、IL-3に依存するBaF3細胞の増殖を支持した。1)PMA/イノマイシン−刺激されなかったか、又は2)CD選択されなかった(PMA/イノマイシン刺激を伴なって、又は伴なわないで)細胞からのならし培地は、BaF3/zalpha11リガンド細胞の増殖を支持しなかった。対照実験は、この増殖活性が他の既知の増殖因子に帰因せず、そしてzalpha11リガンド−発現細胞の増殖を刺激するそのようなならし培地の能力が受容体の可溶形により中和され得ることを示した。
【0032】
CD3+選択された、PMA/イノマイシン−刺激されたヒト末梢血液細胞からのCMに暴露されたzalpha11リガンド−発現BaF3細胞の増殖が、培養物の眼での観察及び/又は増殖アッセイにより同定された。多くの適切な増殖アッセイが当業界において知られており、そして色素、例えばalamarBlueTM (AccuMed International, Inc. Westlake, Ohio);3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロマイド(Mosman, J. Immunol. Meth. 65: 55-63, 1983);3−(4,5−ジメチル−チアゾール−2−イル)−5,3−カルボキシメトキシフェニル−2H−テトラゾリウム;2,3−ビス(2−メトキシ−4−ニトロ−5−スルホフェニル)−5−[(フェニルアミノ)カルボニル]−2H−テトラゾリウムヒドロキシド;及びシアノジトリイル−テトラゾリウムブロマイド(Polysciences, Inc., Warrington, PA から市販されている)の還元についてのアッセイ;有糸分裂誘発アッセイ、例えば3H−チミジンの組み込みの測定;例えばナフタレンブラック又はトリパンブルーを用いての色素排除アッセイ;ジアセチルフルオレセインを用いての色素摂取;及びクロム開放を包含する。一般には、Freshney, Culture of Animal Cells: A Manual of Basic Technique, 3rd ed., Wiley-Liss, 1994 (引用により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。
【0033】
cDNAライブラリーが、CD3+選択された、PMA−及びイノマイシン−刺激された一次ヒト末梢血液細胞から調製された。そのCD3+選択された、PMA−及びイノマイシン−刺激されたヒト末梢血液細胞cDNAライブラリーが、複数のcDNA分子を含むプールに分けられ、そして宿主細胞系、例えばBHK570細胞(ATCC受託番号10314号)中にトランスフェクトされた。トランスフェクトされた宿主細胞が、外因性増殖因子を含まない培地において培養され、そしてならし培地が集められた。そのならし培地が、zalpha11リガンドによりトランスフェクトされたBaF3細胞の増殖を刺激する能力についてアッセイされた。
【0034】
BaF3/zalpha11リガンド細胞を刺激したならし培地を生成するcDNAプールが同定された。このプールされたプラスミドcDNAが、E.コリ中にエレクトロポレートされた。cDNA が単一のコロニーから単離され、そしてBHK570細胞中にそれぞれトランスフェクトされた。陽性クローンが、BaF3/zalpha11リガンド増殖アッセイにおける陽性結果により同定され、そして特異性が可溶性zalpha11リガンドを用いての増殖の中和により試験された。
【0035】
陽性クローンが単離され、そして配列分析は、プラスミドDNA内に含まれるポリヌクレオチド配列が新規であることを示した。分泌シグナル配列は、アミノ酸残基1(Met)〜31(Gly)から構成され、そして成熟ポリペプチドは、アミノ酸残基32(Gln)〜162(Ser)(配列番号2に示されるような)から構成される。
一般的に、4−αヘリックス構造を有することが予測され、ここでヘリックスA, C及びDがリガンド−受容体相互作用において最も重要であり、そしてそのファミリーのメンバー間でより高く保存される。
【0036】
配列番号2に示されるヒトzalpha11リガンドアミノ酸配列、すなわちヒトzalpha11リガンド、ヒトIL-15, ヒトIL-4及びヒトGM-CSFアミノ酸配列の一列整列に関しては、好ましくは、配列番号2に示されるように、zalpha11リガンドヘリックスAはアミノ酸残基41−56により定義され;ヘリックスBはアミノ酸残基69−84により定義され;ヘリックスCはアミノ酸残基92−105により定義され;そしてヘリックスDはアミノ酸残基135−148により定義される。構造分析は、A/Bループが長く、B/Cループが短く、そしてC/Dループが平行して長いことを示す。このループ構造は、アップ−アップ−ダウン−ダウンヘリカル構成をもたらす。
【0037】
システイン残基が、図1に示されるように、zalpha11リガンドとIL−15との間に絶対的に保存される。IL-15とzalpha11リガンドとの間に保存されるシステイン残基は、配列番号2のアミノ酸残基71, 78, 122及び125に対応する。システイン残基のいくつかの保存がまた、図1に示されるように、配列番号2のアミノ酸残基78及び125に対応する、IL-2, IL-4, GM-CSF及びzalpha11リガンドに見出される。一致したシステイン配置は、4−ヘリカル−束構造のさらなる確認である。図1におけるように、残基136−138での配列番号2に示されるようなGlu−Phe−Leu配列がまた、IL-15, IL-2, IL-4, GM-CSF及びzalpha11リガンドを含んで成るファミリーに高く保存される。
【0038】
複数の一列整列(図1に示されるような)に基づいてのzalpha11リガンドのさらなる分析は、アミノ酸残基44, 47及び135(配列番号2に示されるような)が、その同起源の受容体へのzalpha11リガンド結合において重要な役割を演じることを予測する。さらに、ネズミzalpha11リガンドの予測されるアミノ酸配列は、その予測されるヒトタンパク質に対して57%の同一性を示す。ヒト及びネズミzalpha11リガンドの配列間の比較に基づけば、良く保存された残基が、αヘリックスA及びDをコードすることが予測される領域に見出された。本明細書に記載されるzalpha11リガンドポリペプチド領域、ドメイン、モチーフ、残基及び配列をコードするその対応するポリヌクレオチドは、配列番号1に示される通りである。
【0039】
詳細な突然変異分析が、zalpha11リガンドに高く関係しているIL-4及びIL-2の両者について行われた。ネズミIL-2の分析(Zurawskiなど., EMBO J. 12: 5113-5119,1993)は、ヘリックスA及びCにおける残基がIL-2Rβへの結合のために重要であり;決定的な残基がAsp34,Asn99及びAsn103であることを示す。ネズミIL-2ループA/B及びヘリックスルB内の複数の残基は、IL-2Rα結合のために重要であり、そしてヘリックスDにおける単一の残基、すなわちGln141のみが、IL-2Rαとの結合のために活動的である。
【0040】
同様に、ヘリックスA及びCは、IL-4及びIL-4Rα(IL-2Rαに構造的に類似する)間の相互作用の部位であり、そしてヘリックスD内の残基は、IL-2Rα相互作用のために活動的である(Wangなど., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94: 1657-1662, 1997; Kruseなど., EMBO J. 11:3237-3244, 1992)。特に、ヒトIL-4における突然変異(Tyr121→Asp)は、IL−4Rαと結合するが、しかしIL-2Rαとは結合せず、そして従って、シグナルであり得ないアンタゴニストを創造する(Kruseなど., 前記、1992)。
【0041】
ヘリックスAはヒト及びネズミzalpha11リガンド間に比較的良く保存されるが、ヘリックスルCとはより異なる。両種は、この領域において卓越した酸性アミノ酸を有するが、その差異はzalpha11リガンドと、その“β”型受容体、すなわちzalpha11との間の相互作用における種特異性を説明することができる。zalpha11リガンドのプールA/B及びヘリックスBは、種間で良く保存され;IL-2Rαに対応する受容体サブユニットはまだ同定されていないが、この領域を通しての保存は、それが機能的に有意であることを示す。
【0042】
ヒト及びネズミzalpha11リガンドのDヘリックスもまた、高く保存される。zalpha11リガンドアンタゴニストは、zalpha11リガンドヘリックスD内の突然変異を通して企画され得る。それらは、残基Glu145(配列番号2)からのタンパク質の切断、又は残基、例えばAla又はAspへのGln145又はIle148(配列番号2;ヒトIL-4においてTyr124に対応する)の突然変異を包含する。zalpha11リガンドヘリカル構造を破壊するいずれかの突然変異誘発は、その受容体との結合を破壊し、そして従ってシグナル化を阻害する。
【0043】
4−ヘリカル束サイトカインはまた、それらの成分ヘリックスの長さにより分類される。“長い−ヘリックス”形のサイトカインは一般的に、24〜30個の残基のヘリックスから成り、そしてIL-6、繊毛好中球因子(CNTF)、白血病阻害因子(LIF)及びヒト成長ホルモン(hGH)を包含する。“短い−ヘリックス”形のサイトカインは一般的に、18〜21個の残基のヘリックスから成り、そしてIL−2, IL-4及びGM-CSFを包含する。zalpha11リガンドは、短い−ヘリックス形のサイトカイングループの新規メンバーであると思われる。CNTF及びIL-6を用いての研究は、CNTFヘリックスがIL-6における相当のヘリックスにより交換され得、キメラにCTNF−結合性質を付与することを示した。
【0044】
従って、4−ヘリカルサイトカインの機能的ドメインが配列同一性に関係なく、構造的相同性に基づいて決定され、そしてキメラにおいて機能的に組み込みを維持することができると思われる(Kallenなど., J. Biol. Chem. 274: 11859-11867, 1999)。従って、zalpha11リガンドのヘリカルドメインは、受容体結合特異性を決定し、そして調節するために他の短い−ヘリックス形のサイトカインを有するキメラ融合分子を調製するために有用であろう。ヘリックスA及び/又はヘリックスDにより構築された融合タンパク質、及び他の短い形のサイトカイン、IL-2, IL-4, IL-15及びGM-CSFからのヘリカル及びループドメインを結合する融合タンパク質が特に興味の対象である。zalpha11リガンドIl-2, IL-4, IL-15及びGM-CSFのためのA, B, C及びD, 並びにループA/B, B/C及びC/Dを含んで成るアミノ酸残基が表1に示される。
【0045】
【表1】
Figure 0004405686
【0046】
本発明はまた、ポリヌクレオチド分子、例えば本明細書に開示されるzalpha11リガンドポリペプチドをコードするDNA及びRNA分子を提供する。当業者は、遺伝子コードの縮重の観点から、相当の配列変動がそれらのポリヌクレオチド分子間で可能であることを容易に認識するであろう。配列番号3は、配列番号2のzalpha11リガンドポリペプチドをコードするすべてのDNAを包含する縮重DNA配列である。当業者はまた、配列番号3の変性配列がUとTとを置換することによって、配列番号2をコードするすべてのRNA配列も供給することを理解するであろう。
【0047】
従って、配列番号3のヌクレオチド1又は97−486を含んで成るzalpha11リガンドポリペプチド−コードのポリヌクレオチド及びそれらのRNA相当物は、本発明により包含される。表2は、縮重ヌクレオチド位置を示すために、配列番号3内に使用される1文字コードを示す。“決定”は、コード文字により示されるヌクレオチドである。“補体”とは、相補的ヌクレオチドのためのコードを示す。例えば、コードYはC又はTのいずれかを示し、そしてその補体RはA又はGを示し、AはTに対して相補的であり、そしてGはCに対して相補的である。
【0048】
【表2】
Figure 0004405686
与えられたアミノ酸のためのすべての可能なコドンを包含する配列番号3に使用される縮重コドンが表3に示される。
【0049】
【表3】
Figure 0004405686
【0050】
当業者は、いくらかのあいまいさが、個々のアミノ酸をコードするすべての可能なコドンの代表である縮重コドンの決定において導入されることを理解するであろう。例えば、セリン(WSN)のための縮重コドンは、ある環境下で、アルギニン(AGR)をコードすることができ、そしてアルギニン(MGN)のための縮重コドンは、ある環境下で、セリン(AGY)をコードすることができる。類似する関係が、フェニルアラニン及びロイシンをコードするコドン間に存在する。従って、縮重配列により包含されるいくつかのポリヌクレオチドは、変異体アミノ酸配列をコードすることができるが、しかし当業者は、配列番号2のアミノ酸配列への参照によりそのような変異体配列を容易に同定することができる。変異体配列は、本明細書に記載のようにして官能性について容易に試験され得る。
【0051】
当業者はまた、異なった種が“選択的コドン使用法”を示すことも理解するであろう。一般的には、Grantham,など., Nuc. Acids Res. 8: 1893−912, 1980; Haas, など., Curr. Biol. 6: 315−24, 1996; Wain−Hobson、など.,Gene 13:355−64,1981;Grosjean and Fiera,Gene 18:199−209、1982;Holm,Nuc.Acids Res.14:3075−87、1986;Ikemura,J.Mol.Biol.158:573−97,1982を参照のこと。本明細書において使用される場合、用語、“選択的コドン使用法”又は“選択的コドン”とは、一定の種の細胞に最も頻繁に使用され、従って個々のアミノ酸をコードする可能なコドンの1又は少数の代表を好むタンパク質翻訳コドンを言及する技術的用語である(表3を参照のこと)。
【0052】
例えば、アミノ酸トレオニン(Thr)は、ACA、ACC、ACG、又はACTによりコードされるが、しかし哺乳類細胞においては、ACCが最も通常に使用されるコドンであり;他の種においては、例えば昆虫細胞、酵母、ウィルス又は細菌においては、異なったThrコドンが好ましい。特定の種のための選択的コドンは、当業界において知られている種々の方法により、本発明のポリヌクレオチド中に導入され得る。
【0053】
例えば、組換えDNA中への選択的コドン配列の導入は、特定の細胞型又は種内でタンパク質の翻訳により効果的にすることによって、そのタンパク質の生成を増強する。従って、配列番号3に開示される縮重コドン配列は、当業界において通常使用され、そして本明細書において開示される種々の細胞型及び種においてポリペプチドの発現を最適化するための鋳型として作用する。選択コドンを含む配列は、種々の種における発現について試験され、そして本明細書に開示される官能性について試験され得る。
【0054】
前で示されたように、本発明の単離されたポリヌクレオチドは、DNA及びRNAを包含する。DNA及びRNAを調製するための方法は、当業界において良く知られている。一般的には、RNAは、多量のzalpha11リガンドRNAを生成する組織又は細胞から単離される。そのような組織及び細胞は、ノザンブロット(Thomas, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77: 5201, 1980)により、又は標的細胞又は組織上の活性についての種々の細胞型からのならし培地のスクリーニングにより同定される。前記活性、又はRNA生成細胞又は組織が同定されると、全RNAは、グアニジウム HCl抽出、続くCsClグラジエントにおける遠心分離による単離により調製され得る(Chirgwinなど.,Biochemistry 18:52−94, 1979)。
【0055】
ポリ(A)+ RNAは、Aviv and Leder (Proc.Natl. Acad. Sci.USA 69: 1408−1412, 1972 )の方法を用いて全RNAから調製される。相補的DNA(cDNA)は、既知の方法を用いて、ポリ(A)+ RNAから調製される。他方では、ゲノムDNAが単離され得る。次に、zalpha11リガンドポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが、例えばハイブリダイゼーション又はポリメラーゼ鎖反応により同定され、そして単離される。
【0056】
zalpha11リガンドをコードする十分な長さのクローンは、従来のクローニング方法により得られる。相補的DNA(cDNA)クローンが好ましいが、但し、いくつかの用途(例えば、トランスジェニック動物における発現)に関しては、ゲノムクローンを使用し、又は少なくとも1つのゲノムイントロンを含むようcDNAクローンを修飾することが好ましい。cDNA及びゲノムクローンを調製するための方法は、よく知られており、そして当業者のレベルの範囲内であり、そしてライブラリーをプローブし又は感作するために、本明細書に開示される配列又はその一部の使用を包含する。発現ライブラリーは、zalpha11受容体フラグメントに対する抗体、受容体フラグメント、又は他の特定の結合パートナーによりプローブされ得る。
【0057】
本明細書に開示されるzalpha11リガンドポリヌクレオチド配列はまた、zalpha11リガンド遺伝子の5’非コード領域をクローン化するためにプローブ又はプライマーとしても使用され得る。zalpha11リガンドについて観察される組織−特異的発現の観点においては、この遺伝子領域は、造血−及びリンパ球−特異的発現を提供することが予測される。従ってzalpha11リガンド遺伝子からのプロモーター要素は、例えばトランスジェニック動物、又は遺伝子療法により処理された動物における異種遺伝子の組織−特異的発現を方向づけるために使用され得る。5’側フランキング配列のクローニングはまた、アメリカ特許第5,641,670号に開示されるように、“遺伝子活性化”によるzalpha11リガンドタンパク質の生成を促進する。
【0058】
手短に言及すれば、細胞における内因性zalpha11リガンド遺伝子の発現が、zalpha11リガンド遺伝子中に、少なくとも1つの標的化配列、調節配列、エキソン、及びスプライスドナー部位を含んで成るDNA構造体を導入することによって変更される。前記標的化配列は、内因性zalpha11リガンド遺伝子座による前記構造体の相同組換えを可能にし、それにより、前記構造体内の配列が内因性zalpha11リガンドコード配列と操作可能的に連結されるようになる、zalpha11リガンド5’非コード配列である。この場合、内因性zalpha11リガンドプロモーターが、増強された組織−特異的又は他方では、調節された発現を提供するために、他の調節配列により置換され得るか又はそれにより補充され得る。
【0059】
本発明はさらに、他の種(オルト体)からの相対物リガンド及びポリヌクレオチドを供給する。これらの種は、哺乳類、鳥類、両性類、ハ虫類、魚類、昆虫及び他の脊椎及び無脊椎動物種を包含するが、但しそれらだけには限定されない。特に興味あるものは、他の哺乳類種、例えばネズミ、ブタ、羊、ウシ、犬、ネコ、馬及び他の霊長類リガンドからのzalpha11リガンドポリペプチドである。
【0060】
ヒトzalpha11リガンドポリペプチドのオルト体は、従来のクローニング技法と組合して、本発明により供給される情報及び組成物を用いてクローン化され得る。例えば、cDNAは、zalpha11リガンドを発現する組織又は細胞型から得られるmRNAを用いてクローン化され得る。mRNAの適切な源は、本明細書に開示される配列から企画されたプローブによりノザン ブロットをプローブすることによって同定され得る。次に、ライブラリーが陽性の組織又は細胞系のmRNAから調製される。次に、zalpha11リガンドポリペプチドコードのcDNAが種々の方法、例えば完全な又は部分的なヒトcDNAにより、又は前記開示される配列に基づく1又は複数の変性プローブにより、プローブすることによって単離され得る。
【0061】
cDNAはまた、本明細書に開示される代表的なヒトzalpha11リガンドポリペプチド配列から企画されたプライマーを用いて、ポリメラーゼ鎖反応(PCR)(Mullis, アメリカ特許第4,683,202号)を用いてもクローン化され得る。さらなる方法においては、cDNAライブラリーが宿主細胞を形質転換し、又はトランスフェクトするために使用され、そして興味あるcDNAの発現がzalpha11リガンドポリペプチドに対する抗体により検出され得る。類似する技法がまた、ゲノム クローンの単離に適用され得る。
【0062】
zalpha11リガンドのマウスオルト体についてのポリヌクレオチド配列は、同定されており、そして配列番号55に示され、そしてその対応するアミノ酸配列は配列番号56に示されている。zalpha11リガンドの配列番号2における残基30〜153及び配列番号56の残基23〜146に対応する124個のアミノ酸において、マウスとヒト配列との間に62%の同一性が存在する。マウスzalpha11リガンドのための成熟配列は、推定的には、His18 (配列番号56に示されるような)で 開始し、これは、ヒト配列におけるHis25(配列番号2に示されるような)に対応する。ヒトポリペプチドの切断された形は活性的であるので、たぶん、マウスzalpha11リガンドの同等のポリペプチドは(すなわち、配列番号56の残基His18−Pro32を有さない)は同様に活性的である。組織分析は、マウスzalpha11リガンドの発現が精巣、脾臓及び胸腺に見出されることを示した。
【0063】
当業者は、配列番号1に開示される配列がヒトzalpha11リガンドの単一の対立遺伝子を表し、そして対立遺伝子変動及び交互のスプライシングが生じることが予測されることを認識するであろう。この配列の対立遺伝子変異体は、標準の方法に従って、異なった個人からのcDNA又はゲノムライブラリーをプローブすることによってクローン化され得る。配列番号1に示されるDNA配列の対立遺伝子変異体、例えばサイレント突然変異を含むそれらの変異体及び突然変異がアミノ酸配列変更をもたらすそれらの変異体は、配列番号2の対立遺伝子変異体であるタンパク質と同じように、本発明の範囲内である。
【0064】
zalpha11リガンドポリペプチドの性質を保持する、もう1つのスプライスされたmRNAから生成されるcDNAは、そのようなcDNA及びmRNAによりコードされるポリペプチドと同じように、本発明の範囲内に包含される。それらの配列の対立遺伝子変異体及びスプライス変異体は、当業界において知られている標準の方法に従って、異なった個人又は組織からのcDNA又はゲノムライブラリーをプローブすることによってクローン化され得る。
【0065】
zalpha11リガンド遺伝子は、IL-2マーカーから約180kbの位置にzalpha11リガンドを位置決定する、IL-2フレームワークマーカーSHGC−12342に対してマッピングされている。周囲マーカーの使用は、組み込まれたLDB染色体4地図(The Genetic Location Database, University Southhampton)上の4q42領域におけるzalpha11リガンド遺伝子を位置決定する。本発明はまた、診断用途に使用できる試薬も提供する。例えば、zalpha11リガンド遺伝子、zalpha11リガンドDNA又はRNAを含んで成るプローブ、又はそれらの副配列が、zalpha11リガンド遺伝子がヒト染色体、例えば染色体4上に存在するかどうか、又は遺伝子突然変異が生じたかどうか決定するために使用され得る。
【0066】
zalpha11リガンドゲノムDNA(Genbank 受託番号AC007458号)の一部を含むヒトゲノムDNAのフラグメントの注釈に基づいて、zalpha11リガンドは、染色体4の4q27領域に位置する。zalpha11リガンド遺伝子座での検出できる染色体異常型は、異数体、遺伝子コピー数の変化、異質性の損失(LOH)、トランスロケーション、挿入、欠失、制限部位の変化及び転位を包含するが、但しそれらだけには限定されない。そのような異常型は、分子遺伝子技法、例えば制限フラグメント長さ多型現象(RFLP)分析、PCRを用いての短いタンデム反復体(STR)分析、及び当業界において知られている他の遺伝子連鎖分析技法を用いることによって、本発明のポリヌクレオチドを用いて検出され得る(Sambrookなど., 前記;Ausubelなど., 前記;Marian, Chest 108: 255-65, 1995)。
【0067】
遺伝子の位置の正確な知識は、多くの目的、例えば1)配列が存在するコンティグ(contig)の一部であるかどうかを決定し、そして追加の周囲遺伝子配列を種々の形、例えばYAC、BAC又はcDNAクローンの形で得るために;2)同じ染色体領域への連鎖を示す遺伝性疾病のための可能な候補体遺伝子を供給するために;及び 3)特定遺伝子が何の機能を有するかの決定を助けることができるモデル生物、例えばマウスを相互参照するために有用である。
【0068】
前で言及されたように、ヒトzalpha11リガンド遺伝子は、いくつかのファミリーにおいて、炎症性腸疾患(IBD)(クローン病(CD)及び潰瘍性大腸炎を包含する)に対する感受性との連鎖を有することが示されている染色体4qの領域に存在するIL-2遺伝子の近くに存在する(Hampeなど. Am. J. Hum. Gent. 64: 808-816, 1999; Cho など., Proc. Natl. Acad. Sci. 95: 7502-7607, 1988)。さらに、zalpha11受容体遺伝子は、16p11、すなわちCDに対する感受性と関連するもう1つのゲノム領域を位置づける(Hugot など., Nature 379: 821-823, 1996; Ohmen など., Hum. Mol. Genet. 5: 1679-1683, 1996)。
【0069】
CDは、時おり全身性関与を伴なっての腸の慢性炎症であり;正確な病因学は知られていないが、通常の腸抗原に対する耐性の不全を包含する免疫調節機能不全が主要成分である(再考のためには、Braeggerなど., Annals Allergy 72: 135-141, 1994; Sartor, Am. J. Gastroenterol. 92: 5S-11S, 1997を参照のこと)。
【0070】
いくつかの研究が、CD患者において異常NK活性を見出しており(例えば、Egawaなど., J. Clin. Lab. Immunol. 20: 187-192, 1986; Aparicio-Pagesなど. J. Clin. Lab. Immunol. 29: 119-124, 1989; ran Tolなど., Scand. J. Gastroenterol. 27: 999-1005, 1992 を参照のこと)、そして欠陥性記憶B細胞形成がまた、記録されている(Broganなど., J. Clin. Lab. Immunol. 24: 69-74, 1987)。zalpha11リガンドは免疫調節において役割を演じ、そして受容体及びリガンドの両者についての遺伝子はCD感受性領域内に存在するので、受容体及びリガンドの両者はクローン病の遺伝的素因のための候補体遺伝子である。
【0071】
IBDの病理学におけるzalpha11受容体及び/又はzalpha11リガンドの関与の決定は、いくつかの方法により達成され得る。ゲノムDNAからのエキソンの配列決定は、cDNAの配列決定のように、コード突然変異(例えば、ミスセンス、ナンセンス、及びフレームシフト突然変異)を示すことができる。ゲノムDNAからの配列決定の追加の利点は、スプライス結合がまた、配列決定されたフラグメント内に含まれ、そしてミススプライシングされたRNAが急速に分解される場合、cDNAサンプルに出現しないスプライシング異常性を示すことができることである。
【0072】
zalpha11リガンドのゲノム構造は決定されている。IBD患者におけるzalpha11リガンド及び受容体の分析のための他の方法は、(1)患者対正常な対照からの活性化されたT細胞からのリガンド生成の評価(すなわち、バイオアッセイによる);(2)正常な対照からの類似する切片に比較して、IBDの患者からの炎症の腸の切片へのzalpha11受容体又はzalpha11リガンドRNAの現場ハイブリダイゼーション;(3)IBD患者対正常な対照からの切片に対する免疫組織化学;及び(4)有糸分裂誘発アッセイにより測定されるように、zalpha11リガンドに対する患者の末梢B細胞の応答性の評価を包含する。
【0073】
診断は、疾病のタイプ及び適切な関連する治療の決定において医者を助けることができるか、又は遺伝的カウンセリングを助けることができる。それ自体、本発明の抗−zalpha11リガンド抗体、ポリヌクレオチド及びポリペプチドは、zalpha11リガンドポリペプチド、mRNA又は抗−zalpha11リガンド抗体の検出のために使用され、従って当業界において知られており、そして本明細書において記載される方法を用いて、本明細書に記載されるようにして、遺伝的疾病又は癌の検出のためのマーカーとして作用し、そしてそのために直接的に使用される。さらに、zalpha11リガンドポリヌクレオチドプローブは、本明細書に記載されるように、染色体4q27に関与する異常性を検出するために使用され得る。それらの異常性は、ヒト疾病又は腫瘍形成、自然流産又は他の遺伝的障害に関与している。従って、zalpha11リガンドポリヌクレオチドプローブは、それらの欠陥に関連する異常性又は遺伝子型を検出するために使用され得る。
【0074】
上記で論じられるように、zalpha11リガンド遺伝子自体における欠陥は、遺伝性ヒト疾病状態をもたらすことができる。本発明の分子、例えば本発明のポリペプチド、アンタゴニスト、アゴニスト、ポリヌクレオチド及び抗体は、zalpha11リガンド遺伝子欠陥に関連する疾病の検出、診断予防及び処理を助ける。さらに、zalpha11リガンドポリペプチドプローブは、zalpha11リガンド染色体遺伝子座で、疾病又は非疾病の個人間での対立遺伝子差異を検出するために使用され得る。それ自体、zalpha11リガンド配列は、法的なDNAプロフィーリングにおける診断として使用され得る。
【0075】
一般的に、患者における遺伝子異常性又は異常型を検出するために、遺伝子連鎖分析に使用される診断方法は、当業界において知られている。ほとんどの診断方法は、
【0076】
(i)潜在的に疾病の患者、疾病の患者又は劣性疾病対立遺伝子の可能性ある非疾病キャリヤーから遺伝子サンプルを得;
(ii)zalpha11リガンドポリヌクレオチドプローブと共に遺伝子サンプルをインキュベートすることにより(ここで、前記ポリヌクレオチドは、RFIP分析においては、相補的ポリヌクレオチド配列にハイブリダイズするであろう)、又は適切なPCR反応条件下でPCR反応において、センス及びアンチセンスプライマーと共に遺伝子サンプルをインキュベートすることにより、第1反応生成物を生成し;
【0077】
(iii)前記第1反応生物を、電気泳動及び/又は他の既知方法により可視化し、例えば、前記第1反応生成物を、zalpha11リガンドポリヌクレオチドプローブ(ここで、前記ポリヌクレオチドは第1反応の相補的ポリヌクレオチド配列にハイブリダイズするであろう)により可視化し、そして
(iv)正常又は対照の個人からの遺伝子サンプルの第2対照反応生成物と、前記可視化された第1反応生成物とを比較する段階を含んで成る。
【0078】
第1反応生成物と対照反応生成物との間の差異は、疾病又は潜在的に疾病の患者における遺伝子異常性の、又は非疾病患者についてのヘテロ接合性劣性キャリヤー表現型の存在の、又は疾病患者からの腫瘍における遺伝子欠陥の存在の、又は胎児又は移植前胚における遺伝子異常性の存在の表示である。例えば、制限フラグメントパターン、PCR生成物の長さ、zalpha11リガンド遺伝子座の反復性配列の長さ、及び同様のもの差異は、遺伝子異常性、遺伝子異常型、又は正常な対照に比較しての対立遺伝子差異の表示である。対照は、サンプルの試験及び利用性に依存して、影響されていないファミリーメンバー又は無関係の個人からであり得る。
【0079】
本発明内への使用のための遺伝子サンプルは、患者からのいずれかの組織又は他の生物学的サンプル、例えば血液、唾液、精子、胚細胞、羊水及び同様のもの(但し、それらだけには限定されない)から単離されたゲノムDNA、mRNA及びcDNAを包含する。ポリヌクレオチドプローブ又はプライマーは、RNA又はDNAであり得、そして配列番号1の一部、配列番号1の補体、又はそれらのRNA同等物を含んで成る。ヒト疾病表現型ヘの遺伝子連鎖分析を示すそのような方法は、当業界において良く知られている。
【0080】
診断における、PCRに基づく方法の参照のためには、一般的、次の文献を参照のこと:Mathew (ed.), Protocols in Human Molecular Genetics (Humana Press, Inc. 1991), White (ed), PCR Protocols; Current Methods and Applications (Humana Press, Inc, 1993), Cotter (ed), molecular Diagnosis of Cancer (Humana Press, Inc. 1996), Hanausek and Walaszek (eds.), Tumor Marker Protocols。(Humana Press, Inc. 1998). Lo (ed), Clinical Application of PCR (Humana Press, Inc. 1998), 及びMeltzer (ed), PCR in Bioanalysis (Humana Press. Inc. 1998))。
【0081】
zalpha11リガンド遺伝子座に関連する突然変異は、直接的な突然変異分析のための標準方法、例えば制限フラグメント長さ多型現象分析、RCR技法を用いての短いタンデム反復体分析、増幅―無反応性突然変異システム分析、一本鎖コンホメーション多型現象検出、RNアーゼ分解方法、変性グラジエントゲル電気泳動、蛍光−助力のミスマッチ分析、及び当業界において知られている他の遺伝子分析技法を用いることにより、本発明の核酸分子を用いて検出され得る(例えば、次の文献を参照のこと:
【0082】
Mathew (ed), Protocols in Human Molecular Genetics (Humana Press, Inc. 1991),Marian, Chest 108:255 (1995). Coleman and Tsongalis, molecular Diagnostics (Human Press, Inc. 1996), Elles (ed.) Molecular Diagnosis of Genetic Diseases (Humana Press. Inc. 1996), Landegren (ed.) Laboratory Protocols for Mutation Detection (Oxford University Press 1996), Birren など. (eds.) Genome Analysis Vol. 2: Detecting Genes (Cold Spring Harbor Laboratory Press 1998). Dracopoli など. (eds.) Current Protocols in Human Genetics (John Wiley & Sons 1998). 及びRichards and Ward, “Molecular Diagnostic Testing,” in Preineiples of Molecular Medicine, pages 83-88 (Humana Press , luc. 1998)。 突然変異についてのzalpha11リガンド遺伝子の直接的な分析は、対象のゲノムDNAを用いて行われ得る。例えば、末梢血液リンパ球から得られるゲノムDNAを増幅するための方法は、当業者に良く知られている(例えば、Dracopoliなど. (eds.), Current Protocols in Human Genetics, p7.1.6-7.1.6 (John Wiley & Sons 1998) を参照のこと。
【0083】
zalpha11リガンド遺伝子におけるイントロンの位置は、ゲノムクローンの同定、イントロン/エキソン連結部分の続く配列決定により検出された。第1のイントロンは、配列番号2におけるアミノ酸残基56(Leu)及び残基57(Val)間に存在し、そして115個の長さの塩基対である。第2イントロンは、多くとも4.4kbであり、そして配列番号2におけるアミノ酸残基68(Glu)と残基69(Thr)との間に存在する。第3イントロンは2.5kbであり、そして配列番号2におけるアミノ酸残基120(Leu)と残基121(Thr)との間に存在する。最終イントロンは89塩基対であり、そして配列番号2におけるアミノ酸残基146(Lys)と残基147(Met)との間に存在する。完全な遺伝子は、約8kbに及ぶ。
【0084】
zalpha11リガンド遺伝子の構造は、IL-2遺伝子の構造に類似するが(Fujitaなど., Proc. Natl. Acad. Sci. 80: 7437-7441, 1983)、但しzalpha11リガンド遺伝子は1つの追加のイントロン(イントロン4)を含む。短い第1イントロン及び長い第2イントロン、及び第3イントロンのパターンは、それらの2種の遺伝子間に保存すが、但しIL-2遺伝子は全体的にわずかに小さい(約6kb)。他方では、IL-15は、8個のエキソンから成り、そして少なくとも34kbに及ぶ(Andersonなど. Genomics 25: 701-706, 1995)。従って、zalpha11リガンド遺伝子は、IL-15遺伝子に対してよりもIL-2遺伝子に対して構造的により類似する。
【0085】
本発明の態様においては、単離されたzalpha11リガンド−コードの核酸分子は、緊縮条件下で、配列番号1のヌクレオチド配列を有する核酸分子、配列番号1のヌクレオチド47〜532のヌクレオチド配列を有する核酸分子、又は配列番号1に対して相補的なヌクレオチド配列を有する核酸分子にハイブリダイズすることができる。一般的に、緊縮条件は、定義されたイオン強度及びpHで、特定の配列のための熱溶融点(Tm)よりも約5℃低くなるよう選択される。Tmは、標的配列の50%が好ましく適合されたプローブにハイブリダイズする温度(定義されたイオン強度及びpH下で)である。
【0086】
1対の核酸分子、例えばDNA-DNA, RNA-RNA及びDNA-RNAは、ヌクレオチド配列がいくらかの程度の相補性を有する場合、ハイブリダイズすることができる。ハイブリッド二重ヘリックスにおけるミスマッチ塩基対を許容できるが、しかしハイブリッドの安定性はミスマッチの程度により影響される。ミスマッチハイブリッドのTmは、1〜1.5%の塩基対ミスマッチごとに1℃低下する。ハイブリダイゼーション条件の緊縮性の変更は、ハイブリッドに存在するであろうミスマッチの程度に対する制御を可能にする。緊縮性の程度は、ハイブリダイゼーション温度が上昇し、そしてハイブリダイゼーション緩衝液のイオン強度が低下するにつれて、上昇する。
【0087】
特定のポリヌクレオチドハイブリッドとの使用のためのそれらの条件を適合することは、当業者の能力内である。特定標的配列のためのTmは、標的配列の50%が完全に適合されたプローブ配列にハイブリダイズするであろう温度(定義された条件下で)である。Tmに影響を及ぼすそれらの条件は、ポリヌクレオチドプローブのサイズ及び塩基対含有率、ハイブリダイゼーション溶液のイオン強度、及びハイブリダイゼーション溶液における不安定化剤の存在を包含する。Tmを計算するための多くの等式は、当業界において知られており、そしてDNA, RNA及びDNA-RNAハイブリッド、及び種々の長さのポリヌクレオチドプローブに対して特異的である:
【0088】
(例えば、Sambrookなど., Molecular Cloing: A Lavoratory Manual, Second Edition (Cold Spring Harbor Press 1989); Ausubel など., (eds.), Current Protocols in Molecular Biology (John Wiley and Sons, Inc. 1987); Berger and Kimmel (eds.), Guide to Molecular Cloning Techniques, (Academic Press, Inc. 1987); 及びWetmur, Crit. Rev. Biochem. Mol. Biol. 26: 227 (1990) を参照のこと)。配列分析ソフトウェア、例えばOLIGO6.0 (LSR; Long Lake, MN) 及びPrimer Premier 4.0 (Premier Biosoft Inter National; Palo Alto, CA), 並びにインターネット上のサイトが、所定の配列を分析し、そして使用者の定義された基準に基づいてTmを計算するための入手できる手段である。そのようなプログラムはまた。
【0089】
定義された条件下で所定の配列を分析し、そして適切なプローブ配列を同定することもできる。典型的には、50個以上の塩基対の長いポリヌクレオチド配列のハイブリダイゼーションは、計算されたTmよりも約20〜25℃低い温度で行われる。より小さなプローブ、すなわち50個以下の塩基対のプローブに関しては、ハイブリダイゼーションは典型的には、Tm又はそれよりも5〜10℃低い温度で実施される。これは、DNA-DNA及びDNA-RNAハイブリッドに関するハイブリダイゼーションの最大の速度を可能にする。
【0090】
ハイブリダイゼーションに続いて、核酸分子は、緊縮条件下で、又は高い緊縮条件下で、ハイブリダイズされなかった核酸分子を除去するために洗浄され得る。典型的な緊縮洗浄条件は、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含む0.5×〜2×SSC溶液による55〜65%での洗浄を包含する。すなわち、変異体zalpha11リガンドポリペプチドをコードする核酸分子は、緊縮洗浄条件下で、配列番号1のヌクレオチド配列(又はその補体)を有する核酸分子とハイブリダイズし、ここで前記洗浄緊縮性は、55〜65℃での、0.1%SDSを含む0.5×〜2×SSC溶液、例えば55℃での、0.1%SDSを含む0.5×SSC溶液、又は65℃での0.1%SDSを含む2×SSC溶液に等しい。当業者は、例えば洗浄溶液におけるSSCをSSPEにより置換することによって同等の条件を容易に製造することができる。
【0091】
典型的な高い緊縮洗浄条件は、50〜65℃での0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含む0.1×〜0.2×SSCの溶液による洗浄を包含する。換言すれば、変異体zalpha11リガンドポリペプチドをコードする核酸分子は、高い緊縮洗浄条件下で、配列番号1のヌクレオチド配列(又はその補体)を有する核酸分子とハイブリダイズし、ここで前記洗浄緊縮性は、50〜65℃での、0.1%SDSを含む0.1×〜0.2×SSC溶液、例えば50℃での、0.1%SDSを含む0.1×SSC溶液、又は65℃での0.1%SDSを含む0.2×SSC溶液に等しい。
【0092】
本発明はまた、配列番号2のポリペプチド又はそれらのオルト体に対して実質的に類似する配列同一性を有する単離されたzalpha11リガンドポリペプチドも提供する。用語“実質的に類似する配列同一性”とは、配列番号2で示される配列又はそれらのオルト体に対して少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも95%以上の配列同一性を有するポリペプチドを示すために本明細書において使用される。本発明はまた、配列番号2のアミノ酸残基1−162又は33−162の配列に対して少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んで成るポリペプチドも包含する。本発明はさらに、そのようなポリペプチドをコードする核酸分子も包含する。%同一性を決定するための方法は、下記に記載される。
【0093】
本発明はまた、2種の次の基準を用いて同定され得る変異体zalpha11リガンド核酸分子を企画する:上記記載のような、配列番号2のアミノ酸配列とコードされたポリペプチドとの間の類似性の決定、及びハイブリダイゼーションアッセイ。そのようなzalpha11リガンド変異体は、(1)55〜65℃での0.1%SDSを含む0.5×〜2×SSC溶液に等しい緊縮洗浄条件下で、配列番号1のヌクレオチド配列(又はその補体)を有する核酸分子とハイブリダイズし、そして(2)配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%又は95%以上の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子を包含する。
【0094】
他方では、zalpha11リガンド変異体は、(1)50〜65℃での0.1%SDSを含む0.1×〜0.2×SSC溶液に等しい、高い緊縮洗浄条件下で、配列番号1のヌクレオチド配列(又はその補体)を有する核酸分子とハイブリダイズし、そして(2)配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%又は95%以上の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子として特徴づけられ得る。
【0095】
%配列同一性は、従来の方法により決定される。例えば、Altschulなど., Bull. Math. Bio. 48 : 603−616, 1986及びhenikoff and Henikoff, Pruc.Natl. Acad. Sci. USA 89 :10915−10919, 1992を参照のこと。手短に言及するば、2種のアミノ酸配列が、10のギャップ開始ペナルティー、1のギャップ拡張ペナルティー、及び表4(アミノ酸は標準の1文字コードにより示される)に示されるようなHenikoff and Henikoff (前記)の“blosum 62”評点マトリックスを用いて、その整合評点を最適化するために整合される。次に、%同一性が次のようにして計算される:
【0096】
【数1】
Figure 0004405686
【0097】
【表4】
Figure 0004405686
【0098】
当業者は、2種のアミノ酸配列を整列するために多くの確立されたアルゴリズムが存在することを理解している。Pearson and Lipmanの“FASTA”類似性調査アルゴリズムは、本明細書に開示されるアミノ酸配列及び推定上の変異体zalpha11リガンドのアミノ酸配列により共有される同一性のレベルを試験するための適切なタンパク質整列方法である。前記FASTAアルゴリズムは、Pearson and Lipman, Proc. Nat’l Acad. Sci. USA 85: 2444 (1988), 及びPearson, Meth. Enzymol. 183: 63 (1990) により記載される。
【0099】
手短には、FASTAがまず、問題の配列(例えば、配列番号2)及び保存性アミノ酸置換、挿入又は欠失を考慮しないで、最高密度の同一性(ktup変数が1である場合)又は対の同一性(ktup=2である場合)のいずれかを有する試験配列により共有される領域を同定することによって配列を特徴づける。次に、最高密度の同一性を有する10の領域が、アミノ酸置換マトリックスを用いて、すべての対合されたアミノ酸の類似性を比較することによって再評価され、そして前記領域の末端が、最高の評点に寄与するそれらの残基のみを含むよう“整えられる”。“カットオフ”値(配列の長さ及びktup値に基づいて予定された式により計算される)よりも高い評点を有するいくつかの領域が存在する場合、その整えられた初期領域が、その領域がギャップとのおおよその一列配列を形成するために結合され得るかどうかを決定するために試験される。
【0100】
最終的に、2種のアミノ酸配列の最高評点領域が、アミノ酸挿入及び欠失を可能にする、Needleman-Wunsch アルゴリズム(Needleman and winsch, J. Mol. Biol. 48: 444, 1970; Sellers, SIAM J. Appl. Math. 26: 787, 1974)の変法を用いて整列される。FASTA 分析のための例示的なパラメーターは次のものである:ktup=1、ギャップ開始ペナルティー=10、ギャップ拡張ペナルティー=1及び置換マトリックス=BLOSUM62。それらのパラメーターは、Appendix 2 of Pearson, 1990 (前記)に説明されるように、評点マトリックスを調節することによってFASTAプログラム中に導入され得る。
【0101】
FASTAはまた、上記に開示されるような割合を用いて、核酸分子の配列同一性を決定するためにも使用され得る。ヌクレオチド配列比較のためには、ktup値は、誤りとして設定される他のパラメーターを伴って、1〜6、好ましくは4〜6であり得る。
【0102】
変異体zalpha11リガンドポリペプチド及び実質的に類似する配列同一性は、1又は複数のアミノ酸置換、欠失又は付加を有するものとして特徴づけられる。それらの変化は、好ましくは、保存性アミノ酸置換(表5を参照のこと)及びタンパク質及びポリペプチドの折りたたみ又は活性に実質的に影響を及ぼさない他の置換;小さな欠失、典型的には1〜約30個のアミノ酸の欠失;及び小さなアミノ−又はカルボキシル−末端の延長、例えばアミノ−末端メチオニン残基、約20〜25個までの残基の小さなリンカーペプチドの延長、又は親和性標識の延長である。
【0103】
従って、本発明は、配列番号2のその対応する領域に対して、少なくとも70%、好ましくは少なくとも90%、およびより好ましくは95%又はそれ以上の同一性を有する配列を含んでなる、約108〜216個のアミノ酸残基のポリペプチドを包含する。親和性標識を含んで成るポリペプチドはさらに、zalpha11リガンドポリペプチドと親和性標識との間にタンパク質分解部位を含む。好ましいそのような部位は、トロンビン分解部位及び第Xa因子分解部位を含む。
【0104】
【表5】
Figure 0004405686
【0105】
構造統合性の維持に対して決定的である領域又はドメインを含んで成るアミノ酸残基の決定が行われ得る。それらの領域内で、多かれ少なかれ、変化に耐性であり、そして分子の全体的な三次構造を維持するであろう特定の残基を決定することができる。配列構造を分析するための方法は、高いアミノ酸又はヌクレオチド同一性を有する複数配列の一列整列、二次構造性質、二元パターン、相補的パッケージング及び埋もれた極性相互作用を包含するが、但しそれらだけには限定されない(Barton, Current Opin. Struct. Biol. 5:372-376, 1995及びCordesなど., Current Opin. Struct. Biol. 6: 3-10, 1996)。一般的に、分子への修飾を企画するか又は特定のフラグメントを同定する場合、構造の決定は、修飾された分子の活性を評価することによって付随されるであろう。
【0106】
アミノ酸配列の変更が、生物学的活性に対して必須である高次構造体の破壊を最少にするためにzalpha11リガンドポリペプチドにおいて行われる。例えば、zalpha11リガンドポリペプチドが1又は複数のヘリックスを含む場合、アミノ酸残基の変更が、分子のヘリックス幾何学的及び他の成分を破壊しないよう行われ、ここでコンホメーションの変化が、いくらかの決定的な機能、例えば分子の、その結合パートナー、例えばA及びDヘリックス、すなわち配列番号2の残基44, 47及び135への結合を妨害する。アミノ酸配列の変更の効果は、例えば上記に開示されるようなコンピューターモデルにより予測され得、又は結晶構造の分析により決定され得る(例えば、Lapthornなど., Nat. Struct. Biol. 2: 266-268, 1995)。
【0107】
当業界において良く知られている他の技法は、標準の分子(例えば、生来のタンパク質)と変異体タンパク質の折りたたみを比較する。例えば、変異体及び標準の分子におけるシステインパターンの比較が行われ得る。質量分光及び還元及びアルキル化を用いての化学的修飾は、ジスルフィド結合に関連するか又はそのような関連を有さないシステイン残基を決定するための方法を提供する(Beanなど., Anal. Biochem. 201: 216-226, 1992; Gray, Protein Sci. 2: 1732-1748, 1993: 及びPattersonなど., Anal. Chem. 66: 3727-3732, 1994)。一般的に、修飾された分子が標準の分子と同じシステインパターンを有さない場合、折りたたみが影響を及ぼされると思われる。
【0108】
折りたたみを測定するためのもう1つの良く知られており、且つ許容できる方法は、円ニ色性(CD)である。修飾された分子及び標準の分子により生成されるCDスペクトルの測定及び比較は、通常のことである(Johnson, Protein 7:205-214, 1990)。結晶学は、折りたたみ及び構造を分析するためのもう1つの良く知られた方法である。核磁気共鳴(NMR)、消化ペプチドマッピング及びエピトープマッピングはまた、タンパク質とポリペプチドとの間の折りたたみ及び構造的類似性を分析するための既知方法でもある(Schaananなど., Science 257: 961-964, 1992)。
【0109】
配列番号2に示されるようなzalpha11リガンドタンパク質配列のHopp/Woods親水性プロフィールが生成され得る(Hoppなど.,Proc Natl. Acad. Sci. 78: 3828, 1981; Hopp, J. Immun. Meth. 88: 1-18, 1986及びTriquierなど., Protein Engineering 11: 153-169, 1998)。前記プロフィールは、スライドする6−残基窓(sliding six-residue window)に基づかれている。埋もれたG, S及びT残基及び暴露されたH, Y及びW残基は無視された。例えば、zalpha11リガンドにおいては、親水性領域は、配列番号2のアミノ酸残基114−119、配列番号2のアミノ酸残基101−105、配列番号2のアミン酸残基126−131、配列番号2のアミノ酸残基113−118及び配列番号2のアミノ酸残基158−162を含む。
【0110】
当業者は、親水性又は疎水性が、全体的な構造及び生物学的プロフィールを破壊しないよう、zalpha11リガンドポリペプチドのアミノ酸配列における修飾を企画する場合、考慮されるであろうことを認識するであろう。Val, Leu及びIleから成る群、又はMet, Gly, Ser, Ala, Tyr及びTrpから成る群から選択された疎水性残基の置換が特に興味の対象である。例えば、置換に耐性の残基は、配列番号2に示されるように、残基100及び103を包含する。配列番号2の位置71, 78, 122及び125でのシステイン残基は、置換に対して比較的耐性ではないであろう。
【0111】
必須アミノ酸の正体はまた、zalpha11リガンドによる、IL-15, IL-2, IL-4及びGM−CSF間の配列類似性の分析から推定され得る。前に記載された“FASTA”分析のような方法を用いて、高い類似性の領域が、タンパク質ファミリー内に同定され、そして保存された領域のためのアミノ酸配列を分析するために使用される。構造に基づいて変異体zalpha11リガンドオリゴヌクレオチドを同定するためのもう1つのアプローチは、可能性ある変異体zalpha11リガンド遺伝子をコードする核酸分子が、上記で論じられたように、配列番号1のヌクレオチド配列を有する核酸分子にハイブリダイズできるかどうかを決定することである。
【0112】
本発明のポリペプチドにおける必須アミノ酸を同定する他の方法は、当業界において知られている方法、例えば特定部位の突然変異誘発又はアラニン走査突然変異誘発である(Cunningham and Wells. Science 244: 1081 (1989);Bass など., Pro. Nat. Acad. Sci. USA 88: 4498 (1991); Coombs and Gorey, “Site-Directed Mutagenesis and Protein Engineering”, in Proteins. Aualysis and Design, Angeletti (ed.), P. 259-311 (Academic Press, Inc. 1998))。後者の技法においては、単一のアラニン突然変異が分子におけるあらゆる残基で導入され、そして得られる変異体分子が、分子の活性に対して決定的であるアミノ酸残基を同定するために、下記に開示されるように、生物学的又は生化学的活性について試験される。また、Hiltonなど., J. Biol. Chem. 271: 4699 (1996) を参照のこと。
【0113】
本発明はまた、zalpha11リガンドポリペプチドの機能的フラグメント及びそのような機能的フラグメントをコードする核酸分子を包含する。本明細書に定義されるように、“機能的”zalpha11リガンド又はフラグメントは、その増殖又は分化活性により、特殊化された細胞機能を誘発し、又は阻害するその能力により、又は抗−zalpha11リガンド抗体又はzalpha11受容体(可溶性であるか又は固定されている)に対して特異的に結合するその能力により特徴づけられる。本明細書においてこれまでに記載されたように、zalpha11リガンドは、配列番号2に示されるように、ヘリックスA(アミノ酸残基41−56)、ヘリックスB(アミノ酸残基69−84)、ヘリックスC(アミノ酸92−105)及びヘリックスD(アミノ酸残基135−148)を含んで成る4−ヘリカル−束構造により特徴づけられる。
【0114】
従って、本発明はさらに、(a)上記に記載される1又は複数のヘリックスを含んで成るポリペプチド分子;及び(b)1又は複数のそれらのヘリックスを含んで成る機能的フラグメントを包含する融合タンパク質を提供する。融合タンパク質の他のポリペプチド部分は、もう1つの4−ヘリカル−束サイトカイン、例えばIL-15, IL-2, IL-4及びGM-CSFにより、又は融合タンパク質の分泌を促進する、非生来の及び/又は関連しない分泌シグナルペプチドにより寄与され得る。
【0115】
従って、本発明は、少なくとも4種のポリペプチドを含んで成る融合タンパク質を提供し、ここでN−末端からC−末端への前記ペプチドの順序が、(a)配列番号111のIL−2ヘリックスA残基36−46;(b)配列番号112のIL−4ヘリックスA残基29−43;(c)配列番号113のIL−15ヘリックスA残基45−68;(d)配列番号114のGMCSFヘリックスA残基30−44;及び(e)配列番号2のアミノ酸残基41−56から成る群から選択されたアミノ残基の配列を含んで成る第1ポリペプチド;
【0116】
6〜27個のアミノ酸残基の第1スペーサー;(a)配列番号111のIL−2ヘリックスB残基53−75;(b)配列番号112のIL−4ヘリックスB残基65−83;(c)配列番号113のIL−15ヘリックスB残基84−101;(d)配列番号114のGMCSFヘリックスB残基72−81;及び(e)配列番2のアミノ酸残基69−84から成る群から選択されたアミノ酸残基の配列を含んで成る第2ポリペプチド;
5〜11個のアミノ酸残基の第2スペーサー;(a)配列番号111のIL−2ヘリックスC残基87−99;(b)配列番号112のIL−4ヘリックスC残基95−118;(c)配列番号113のIL−15ヘリックスC残基107−119;(d)配列番号114のGMCSFヘリックスC残基91−102;及び(e)配列番号2のアミノ酸残基92−105から成る群から選択されたアミノ酸残基の配列を含んで成る第3ポリペプチド;
【0117】
3〜29個のアミノ酸残基の第3スペーサー;及び(a)配列番号111のIL−2ヘリックスD残基103−121;(b)配列番号112のIL−15ヘリックスD残基134−157;(c)配列番号113のIL−4ヘリックスD残基134−160;(d)配列番号114のGMCSFヘリックスD残基120−131;及び(e)配列番号2のアミノ酸残基135−148から成る群から選択されたアミノ残基の配列を含んで成る第4ポリペプチドであり、ここで前記4個のポリペプチドのすくなくとも1つがzalpha11リガンドからである。他の態様においては、スペーサーペプチドは、表1に記載されるように、zalpha11リガンド、IL-2, IL-4, IL-15又はGM-CSFのA/B, B/C及びC/Cループから選択されるであろう。
【0118】
核酸分子の通常の欠失分析は、zalpha11リガンドポリペプチドをコードする核酸分子の機能的フラグメントを得るために行われ得る。例示されるように、配列番号1のヌクレオチド配列又はそのフラグメントを有するDNA分子は、一連の欠失を得るためにBal3 Tヌクレアーゼにより消化され得る。次に、それらのDNAフラグメントが正しい読み取り枠を整合して発現ベクター中に挿入され、そして発現されたポリペプチドが単離され、そしてzalpha11リガンドについて、又はzalpha11リガンド抗体又はzalpha11受容体を結合する能力について試験される。エキソヌクレアーゼ消化のための1つの方法は、欠失を導入するためにオリゴヌクレオチド−指図された突然変異誘発を使用し、又は所望するzalpha11リガンドフラグメントの生成を特定するために停止コドンを使用することである。他方では、zalpha11リガンド遺伝子の特定のフラグメントは、ポリメラーゼ鎖反応を用いて合成され得る。
【0119】
機能的ドメインを同定するための標準の方法は、当業者に良く知られている。例えば、インターフェロンのいずれかの又は両末端での切断に対する研究が、Horisberger and Di Marco, pharmac. Ther. 66: 507 (1995) により要約されている。さらに、タンパク質の機能的分析のための標準技法は、例えばTreulterなど., Molec. Gen. Genet. 240: 113 (1993), Content など., “Expression and preliminary deletion analysisi of the 42 kDa 2-5A synthetase induced by human interferon”, in Biological Interferon Systems, Proceedings of ISIR-TNO Meeting on Interferon Systems, Cantell (ed.), Pages 65-72 (Nijhoff 1987), Herschman, “The EGF Enzyme”, in Cortrol of Animal Cell Proliferation, Vol. 1, Boynton など., (eds.) pages 169-199 (Academic Press 1985), Counailleau など., J. Biol. Chem. 270: 29270 (1995); Fukunaga など., J. Biol. Chem. 270: 25291 (1995); Yamaguchi など., Biochem. Pharmacol. 50: 1295 (1995); 及びMeiselなど., Plant Molec. Biol. 30: 1 (1996)により記載される。
【0120】
複数アミノ酸置換は、突然変異誘発及びスクリーニングの既知方法、例えばReidhaar−Olson and Sauer (science 241: 53−57, 1988)又はBowie and Sauer( Proc. Natl. Acad. Sci. USA86:2152−2156,1989 )により開示される方法を用いて行われ、そして試験される。手短に言及すれば、それらの著者は、ポリペプチドにおける複数の位置を同時ランダム化し、機能的ポリペプチドをスクリーンし、そして次に個々の位置での可能な置換の範囲を決定するために、突然変異誘発されたポリペプチドを配列決定するための方法を開示する。使用され得る他の方法は、ファージ表示(例えば、Lowman など., Biochem. 30 : 10832−10837,1991; Ladner など., アメリカ特許第5,223,409号; Huse, WIPO公開WO 92/06204号)、及び領域−指図された突然変異誘発(Derbyshire など., Gene 46 : 145, 1986; Ner など., DNA 7 : 127, 1988 )を包含する。
【0121】
開示されるzalpha11リガンドヌクレオチド及びポリペプチド配列の変異体は、Stemmer, Nature 370 : 389−91, 1994, Stemmer, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91: 10747−51, 1994及びWIPO公開WI97/20078により開示されるように、DNA シャフリングを通して生成され得る。手短に言及すれば、変異体DNA分子が、ランダムに導入された点突然変異をもたらす、親DNAのランダム断片化、続く、PCRを用いてのアセンブリーによるインビトロ相同組換えにより生成される。
【0122】
この技法は、前記工程中に追加の変動性を導入するために、親DNAのファミリー、例えば異なった種からの対立遺伝子変異体又はDNAを用いて改良され得る。所望する活性の選択又はスクリーニング、突然変異誘発及びアッセイの続くさらなる相互作用が、有害な変化に対して同時に選択しながら、所望する突然変異について選択することによって、配列の急速な“進化”を提供する。
【0123】
本明細書に開示されるような突然変異誘発方法は、宿主細胞におけるクローン化された突然変異誘発されたポリペプチドの活性を検出するために高処理量の自動化されたスクリーニング方法と組み合わされ得る。生物学的に活性のポリペプチド又は抗−zalpha11リガンド抗体又は可溶性zalpha11受容体と結合するポリペプチドをコードする突然変異誘発されたDNA分子が、宿主細胞から回収され、そしてすぐに、近代的装置を用いて配列され得る。それらの方法は、興味あるポリペプチドにおける個々のアミノ酸残基の重要性の急速な決定を可能にし、そして未知の構造のポリペプチドに適用され得る。
【0124】
さらに、本発明のタンパク質(又はそのポリペプチドフラグメント)は、多機能分子を供給するために、他の生物活性分子、特に他のサイトカインに連結され得る。例えば,zalpha11リガンドからの1又は複数のヘリックスが、それらの生物学的性質又は生成の効率を高めるために、他のサイトカインに連結され得る。
【0125】
従って、本発明は、zalpha11リガンドの1又は複数のヘリックスを含んで成るセグメントが他のポリペプチドに融合されている一連の新規ハイブリッド分子を提供する。融合は好ましくは、組換え生成システムにおけるキメラ分子の発現を可能にするためにDNAレベルをスプライシングすることにより行われる。次に、その得られる分子は、改良された溶解性、改良された安定性、延長されたクリアランス半減期、改良された発現及び分泌レベル、及び薬物力学についてアッセイされる。そのようなハイブリッド分子はさらに、成分タンパク質又はポリペプチド間に追加のアミノ酸残基(例えば、ポリペプチドリンカー)を含んで成る。
【0126】
天然に存在しないアミノ酸は、トランス−3−メチルプロリン、2,4−メタプロリン、シス−4−ヒドロキシプロリン、トランス−4−ヒドロキシプロリン、N−メチルグリシン、アロ−トレオニン、メチルトレオニン、ヒドロキシエチルシステイン、ヒドロキシエチルホモシステイン、ニトログルタミン、ホモグルタミン、ピペコリン酸、チアゾリジンカルボン酸、デヒドロプロリン、3−及び4−メチルプロリン、3,3−ジメチルプロリン、tert−ロイシン、ノルバリン、2−アザフェニルアラニン、3−アザフェニルアラニン、4−アザフェニルアラニン、及び4−フルオロフェニルアラニンを包含する。
【0127】
天然に存在しないアミノ酸残基をタンパク質中に導入するためのいくつかの方法が当業界において知られている。例えばナンセンス突然変異が化学的にアミノアシル化されたサプレッサーtRNAを用いて抑制されるインビトロシステムが使用され得る。アミノ酸を合成し、そしてtRNAをアミノアシル化するための方法は、当業者において知られている。
【0128】
ナンセンス突然変異を含むプラスミドの転写及び翻訳は、E.コリS30抽出物及び市販の酵素及び他の試薬の含んで成る細胞フリーシステムにおいて実施される。タンパク質は、クロマトグラフィーにより精製される。例えば、Rovertsonなど., J. Am. Chem. Soc. 113:2722, 1991; Ellman など., Meth. Enzymol. 202: 301,1991; Chung など., Science 259: 806−09, 1993; 及びChungなど., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 10145−49, 1993を参照のこと。
【0129】
第2の方法においては、翻訳は、突然変異誘発されたmRNA及び化学的にアミノアミル化されたサプレッサ−tRNAのマイクロインジェクションによりアフリカツメガエル卵母細胞において行われる( Turcatti など., J. Biol. Chem. 271: 1991−98, 1996 )。 第3の方法においては、E.コリ細胞が、置換される予定である天然のアミノ酸(例えば、フェニルアラニン)の不在下で及び所望する天然に存在しないアミノ酸(例えば、2−アザフェニルアラニン、3−アザフェニルアラニン、4−アザフェニルアラニン又は4−フルオロフェニルアラニン)の存在下で培養される。
【0130】
天然に存在しないアミノ酸は、その天然の相対物の代わりにタンパク質中に導入される。Koide など., Biochem. 33: 7470−46, 1994を参照のこと。天然に存在するアミノ酸残基は、インビトロ化学的に修飾により天然に存在しない種に転換され得る。化学的修飾は、置換の範囲をさらに拡張するために特定部位の突然変異誘発と組み合わされ得る(Wynn and Richards,Protein Sci. 2: 395−403, 1993)。 分子の半減期を延長するために、特に、活性状態で代謝持続性を延長するために、zalpha11リガンドを安定化することは好都合である。延長された半減期を達成するためには、zalpha11リガンド分子は、本明細書に記載される方法を用いて、化学的に修飾され得る。
【0131】
PEG化は、血漿半減期、高められた安定性、及び低められた抗原性及び免疫原性を高めるために示されて来た、通常使用される1つの方法である(Nucciなど., Advantage Drug Dilivery Reviews 6: 133-155, 1991及びLuなど., Int. J. Peptide Protein Res. 43: 127-138, 1994)。
限定された数の非保存性アミノ酸、遺伝子コードによりコードされないアミノ酸、天然に存在しないアミノ酸、及び不自然なアミノ酸が、zalpha11リガンドアミノ酸により置換され得る。
【0132】
本発明はまた、本明細書に記載されるzalpha11リガンドポリペプチドのエピトープ−担持の部分を含んで成るポリペプチドフラグメント又はペプチドも提供する。そのようなフラグメント又はペプチドは、完全なタンパク質が免疫原として使用される場合、抗体応答を誘発するタンパク質の一部である“免疫原性エピトープを含んで成る。免疫原性エピトープ−担持のペプチドは、標準方法を用いて同定され得る。(例えば、Geysenなど., Proc. Natl. Acad Sci. USA81: 3988, 1983を参照のこと)。
【0133】
対照的に、ポリペプチドフラグメント又はペプチドは、抗体が特異的に結合することができるタンパク質分子の領域である“抗原性エピトープ”を含んで成る。一定のエピトープは、線状又は連続した範囲のアミノ酸から成り、そしてそのようなエピトープの抗原性は、変性剤により破壊されない。タンパク質のエピトープを模倣する比較的短い合成ペプチドがタンパク質に対する抗体の生成を刺激するために使用され得ることは、当業界において知られている(例えば、Sutcliffeなど., Science 219: 660, 1983を参照のこと)。
【0134】
従って、本発明の抗原性エピトープ−担持のペプチド及びポリペプチドは、本明細書に記載されるポリペプチドと結合する抗体を生ぜしめるために有用である。Hopp/Woods親水性プロフィールは、最も抗原性の可能性を有する領域を決定するために使用され得る(Hoppなど., 1981, 前記;及びHopp、1986、前記)。Zalpha11リガンドおいては、それらの領域は、配列番号2のアミノ酸残基114-119, 101-105, 126-131, 113-118, 及び158-162を包含する。
【0135】
抗原性エピトープ−担持のペプチド及びポリペプチドは好ましくは、配列番号2又は56の少なくとも4〜10個のアミノ酸、少なくとも10〜14個のアミノ酸、又は約14〜約30個のアミノ酸を含む。そのようなエピトープ−担持のペプチド及びポリペプチドは、本明細書に記載されるように、zalpha11リガンドポリペプチドのフラグメント化又は化学的ペプチド合成により生成され得る。さらに、エピトープは、ランダムペプチドライブラリーのファージ表示により選択され得る(例えば、Lane and Stephen, Curr. Opin. Immunol. 5: 268, 1993, 及びCortese など., Curr. Opin. Biotechnol. 7: 616, 1996を参照のこと)。
【0136】
エピトープを含んで成る小さなペプチドからエピトープを同定し、そして抗体を生成するための標準の方法は、例えばMole, “Epitope Mapping,” in Methods in Molecular Biology, Vol. 10, Manson (ed.), Pages 105-16 (The Humana Press, Inc., 1992), Price, “Production and Characterization of Synthetic Peptide-Derived Antibodies,” in Monoclonal Antibodies: Production, Engineering, and Clinical Application, Ritter and Ladyman (eds.), page 60-84 (Cambridge University Press 1995), 及びColigan など. (eds.), Current Protocols in Immunology, pages 9.3.1-9.3.5 and pages 9.4.1-9.4.11 (John Wiley & Sons, 1997)により記載される。
【0137】
変異体zalpha11リガンドポリヌクレオチドの特定のヌクレオチド配列にもかかわらず、そのポリヌクレオチドは、その増殖又は分化活性、特殊化された細胞機能を誘発するか又は阻害する能力、又は抗−zalpha11リガンド抗体又はzalpha11受容体に対して特異的に結合する能力に特徴づけられるポリペプチドをコードする。より特定には、変異体zalpha11リガンドポリヌクレオチドは、配列番号2に示されるようなポリペプチドの活性の少なくとも50%及び好ましくは、70%, 80%又は90%以上の活性を示すポリヌクレオチドをコードするであろう。
変異体及び融合タンパク質を包含するいずれかのzalpha11リガンドポリペプチドに関しては、当業者は、上記表1及び2に示される情報を用いて、その変異体をコードする、十分な縮重ポリヌクレオチド配列を容易に生成することができる。
【0138】
本発明はさらに、種々の他のポリペプチド融合体(及びい又は複数のポリペプチド融合体を含んで成る関連するマルチマータンパク質)を提供する。例えば、zalpha11リガンドポリペプチドは、アメリカ特許第5,155,027号及び第5,567,584号に開示されるようなダイマータンパク質への融合として調製され得る。それに関しての好ましいダイマータンパク質は、免疫グロブリン不変領域ドメインを包含する。免疫グロブリン−zalpha11リガンドポリペプチド融合体は、(種々のマルチマーzalpha11リガンド類似体を生成するために)、遺伝子的に構築された細胞において発現され得る。
【0139】
補助ドメインは、特定の細胞、組織又は高分子に対してそれらを標的化するためにzalpha11リガンドポリペプチドに融合され得る。例えば、zalpha11リガンドポリペプチド又はタンパク質が、標的細胞の表面上の受容体又は受容体に特異的に結合するリガンドにzalpha11リガンドポリペプチドを融合せしめることによって、予定された細胞型に標的化され得る。この場合、ポリペプチド及びタンパク質は、治療又は診断目的のために標的化され得る。zalpha11リガンドポリペプチドは、複数の成分、例えば精製のための親和性標識及び標的化ドメインに融合され得る。ポリペプチド融合はまた、特にドメイン間に、1又は複数の切断部位を含むことができる。Tuanなど., Connective Tissue Research 34: 1-9, 1996を参照のこと。
【0140】
本明細書において論じられた方法を用いて、当業者は、配列番号2の残基1-162又は33-162に対して実質的に類似する配列同一性を有する種々のポリペプチド、又はその機能的フラグメント及び融合体を同定し、そして/又は調製することができ、ここでそのようなポリペプチド、又はフラグメント又は融合体は野生型タンパク質の性質、例えば増殖、分化を刺激し、特殊化された細胞機能を誘発し、又はzalpha11リガンド抗体を結合する能力を保持する。
【0141】
本発明のzalpha11リガンドポリペプチド、例えば十分な長さのポリペプチド、機能的フラグメント及び融合ポリペプチドは、従来の技法に従って、遺伝的に構築された宿主細胞において生成され得る。適切な宿主細胞は、外因性DNAにより形質転換又はトランスフェクトされ得、そして培養において増殖され得るそれらの細胞型であり、そして細菌、菌類細胞、及び培養された高等真核細胞を包含する。真核細胞、特に多細胞生物の培養された細胞が好ましい。クローン化されたDNA分子を操作し、そして種々の宿主細胞中に外因性DNAを導入するための技法は次の文献に開示される:Sambrool など., Molecular Cloning : A Laboratory Manual, 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989, 及びAusubel など., eds., Current Protocol in Molecular Biology, John Wiley and Sons, Ins., NY, 1987。
【0142】
一般的に、本発明のzalpha11リガンドポリペプチドをコードするDNA配列は、その発現のために必要とされる他の遺伝子的要素、例えば一般的に、発現ベクター内の転写プロモーター及びターミネーターに操作可能的に連結される。ベクターはまた、通常、1又は複数の選択マーカー及び1又は複数の複製の起点を含むであろうが、しかし当業者は、一定のシステム内で、選択マーカーが別のベクター上に供給され得、そして外因性DNAの複製が宿主細胞ゲノム中への組み込みにより供給され得ることを認識するであろう。プロモーター、ターミネーター、選択マーカー、ベクター及び要素の選択は、当業者のレベルの範囲内の通常のことである。多くのそのような要素は文献に記載されており、そして商業的供給者を通して入手できる。
【0143】
zalpha11リガンドポリペプチドを、宿主細胞の分泌路中に方向づけるためには、分泌シグナル配列(又は、シグナル配列、リーダー配列、プレプロ配列又はプレ配列としても知られている)が、発現ベクターに供給される。分泌シグナル配列は、zalpha11リガンドの配列であり得、又はもう1つの分泌されたタンパク質(例えばt−PA )に由来し、又は新たに合成され得る。
【0144】
分泌シグナル配列は、zalpha11リガンドDNA配列に操作可能的に連結され、すなわち2つの配列は正しく読み取り枠を整合して連結され、そして宿主細胞の分泌経路中に新しく合成されたポリヌクレオチドを方向づけるように配置される。分泌シグナル配列は通常、興味あるポリペプチドをコードするDNA配列の5’ 側に位置するが、但し一定の分泌シグナル配列は、興味あるDNA配列の他の場所に位置することもできる(例えば、Welchなど.,アメリカ特許第5,037,743号;Hollandなど., アメリカ特許第5,143,830号を参照のこと)。
【0145】
他方では、本発明のポリペプチドに含まれる分泌シグナル配列は、分泌路中に他のポリペプチドを方向づけるために使用される。本発明はそのような融合ポリペプチドを提供する。シグナル融合ポリペプチドが製造され得、ここで配列番号2のアミノ酸残基1−31に由来する分泌シグナル配列が当業界において知られている方法及び本明細書に開示される方法を用いて、もう1つのポリペプチドをコードするDNA配列に操作可能的に連結されている。
【0146】
本発明の融合ポリペプチドに含まれる分泌シグナル配列は好ましくは、分泌路中い追加のペプチドを方向づけるためにその追加のペプチドにアミノ末端的に融合される。そのような構造体は、当業界において知られている多くの用途を有する。例えば、それらの新規の分泌シグナル配列融合構造体は通常分泌されないタンパク質の活性成分、例えば受容体の分泌を方向づけることができる。そのような融合は、分泌路を通してペプチドを方向づけるためにインビボ又はインビトロで使用され得る。
【0147】
培養された哺乳類細胞または、本発明内の適切な宿主である。外因性DNAを 、哺乳類宿主細胞中に導入するための方法は、リン酸カルシュウム−仲介トランスフェクション(Wiglerなど., Cell 14 : 725, 1978; Corsaro and Pearson, Somatic Cell Genetics 7 :603, 1981; Graham など., Virology 52; 456, 1973),エレクトロポレーション( Neumann など., EMBO J. 1: 841−845, 1982 ); DEAE−デキストラン仲介トランスフェクション(Ausubel など., 前記)、及びリポソーム−仲介トランスフェクション(Hawley −Nelson など., Focus 15: 73, 1993; Ciccarone など.,Focus 15: 80, 1993 )を包含する。
【0148】
培養された哺乳類細胞における組換えポリペプチドの生成は、例えばlevinson など., アメリカ特許第4,713,339 号; Hagen など., アメリカ特許第4,784,950 号; Palmiter など., アメリカ特許第 4,579,821 号; 及びRingold, アメリカ特許第 4,656,134 号により開示される。培養された適切な哺乳類細胞は、COS−1(ATCC No. CRL 165)、COS−7(ATCC No. CRL 1651)、BHK(ATCC No. CRL 1632)、BHK 570 (ATCC No. CRL 10314 )、293(ATCC No. CRL 1573 ; Graham など., J. Gen. Viro. 36: 59−72, 1977 )、及びチャイニーズ ハムスター卵巣(例えば CHO−K1; ATCC No. CCL61 )細胞系を包含する。
【0149】
追加の適切な細胞系は当業界において知られており、そして公的な寄託所、例えば American Type Culture Collection,Manassas,VAから入手できる。一般的に、強い転写プロモーター、例えばSV−40 又はサイトメガロウィルスからのプロモーターが好ましい。例えば、アメリカ特許第4,956,288 号を参照のこと。他の適切なプロモーターは、メタロチオネイン遺伝子からのプロモーター(アメリカ特許 4,579,821 号及び第 4,601,978 号)、アデノウィルス主要後期プロモーターを包含する。
【0150】
薬物選択は一般的に、外来性DNAが挿入されている、培養された哺乳類細胞を選択するために使用される。そのような細胞は通常、“トランスフェクタント”として言及される。選択剤の存在下で培養され、そしてそれらの子孫に興味ある遺伝子を伝達することができる細胞は、“適切なトランスフェクタント”として言及される。好ましい選択マーカーは、抗生物質ネオマイシンに対する耐性をコードする遺伝子である。選択は、ネオマイシン型薬物、例えばG−418又は同様のもの存在下で実施される。
【0151】
“増幅”として言及される方法である選択システムは、興味ある遺伝子の発現レベルを高めるためにも使用される。増幅は、低レベルの選択剤の存在下でトランスフェクタントを培養し、そして次に、導入された遺伝子の生成物を高レベルで生成する細胞を選択するために選択剤の量を高めることによって実施される。好ましい増幅可能選択マーカーは、メトトレキセートに対する耐性を付与するジヒドロ葉酸レダクターゼである。他の耐薬物性遺伝子(例えば、ヒグロマイシン耐性、複数薬物耐性、ピューロマイシン アセチルトランスフェラーゼ)もまた、使用され得る。
【0152】
変更された表現型を導入する他のマーカー、例えば緑色蛍光タンパク質、又は細胞表面タンパク質、例えばCD4, CD8,クラスI MHC、胎盤アルカリホスファターゼが、FACS分類又は磁気ビース分離技法のような手段により、トランスフェクトされていない細胞とトランスフェクトされた細胞とを分類するために使用され得る。
【0153】
他の高等真核細胞、例えば植物細胞、昆虫細胞、及び鳥類細胞もまた、宿主として使用され得る。植物細胞において遺伝子を発現するためのベクターとしてのアグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes )の使用は、Sinkarなど.、J. Biosci. ( Bangalore ) 11: 47−58, 1987 により再考されている。昆虫細胞の形質転換、及びそこにおける外来性ポリペプチドの生成は、Guarino など.,アメリカ特許第5,162,222号;及びWIPO公開WO94/06463号により公開される。昆虫細胞は、オートグラファ・カリホルニカ( Autographa californica )核多角体病ウィルス(AcNPV)に通常由来する組換えバキュロウィルスにより感染され得る。
【0154】
King, L. A. and Possee, R.D., The Baculovirus Exprossion System: A Laboratory Guide, London, Chapman & Hall; O’Reilly, D. R. ., Baculovirus Expression Vector: A Laboratory Manual, New York, Oxford University Press., 1994; 及びRichardson, C. D., Ed., Baculovirus Expression Protocols. Methods in Molecular Biology, Totowa, NJ, Humana Press, 1995を参照のこと。
【0155】
組換えバキュロウィルスを製造するための第2の方法は、Luckow ( Luckow, VA, など., J. Virol 67: 4566−79, 1993 ) により記載されるトランスポゾンに基づくシステムを利用する。このシステムは、Bac−to−BacTMキット(Life Technologies, Rockville, MD)として市販されている。このシステムは、“bacmid” と呼ばれる大きなプラスミドとして、E.コリに維持されるバキュロウィルスゲノム中に、zalpha11リガンドポリペプチドをコードするDNAを移動せしめるために、Tn7トランスポゾンを含むトランスファーベクター、pFastBacI TM (Life Technologies )を利用する。
【0156】
pFastBaclTM トランスファーベクターは、興味ある遺伝子、この場合、zalpha11リガンドの発現を誘導するためにAcNPVポリヒドリンプロモーターを使用する。しかしながら、pFastBaclTMは相当の程度まで修飾され得る。前記ポリヒドリンプロモーターは、除去され、そしてバキュロウィルス感染において早めに発現され、そして分泌されたタンパク質を発現するために好都合であることが知られているバキュロウィルス塩基性タンパク質プロモーター(また、Pcor, p6.9又はMPプロモーターとしても知られている)により置換され得る。Hill−Perkins, M.S. and Possee, R.D., J. Gen. Virol. 71: 971−6, 1990; Bonning, B.C. など., J. Gen. Virol. 75: 1551−6, 1994; 及びChazenbalk, G. D., and Rapoport, B., J. Biol Chem. 270: 1543−9,1995 を参照のこと。
【0157】
そのようなトランスファーベクター構造体においては、塩基性タンパク質プロモーターの短いか又は長いバージョンが使用され得る。さらに、昆虫タンパク質に由来する分泌シグナル配列により天然のzalpha11リガンド分泌シグナル配列を置換しているトランスファーベクターが構成さえ得る。例えば、エクジステロイド・グルコシルトランスフェラーゼ(EGT)、ミツバチMelittin (Invitrogen, Carlsbad, CA) 又はバキュロウィルスgp67(PharMingem, San Diego, CA)は、生来の分泌シグナル配列を置換するために、構造体に使用され得る。さらに、トランスファーベクターは発現されたzalpha11リガンドポリペプチドのC−又はN−末端でエピトープ標識、例えばGlu−Glu エピトープ標識をコードするDNAとのイン−フレーム融合体を含むことができる(Grussenmeyer, T. など., Peoc. Natl. Acad. Sci. 82: 7952−6, 1985)。
【0158】
当業界において知られている技法を用いて、zalpha11リガンドを含むトランスファーベクターにより、E.コリが形質転換され、そして組換えバキュロウィルスの表示である断続的lacZ遺伝子を含むbacmida についてスクリーンされる。組換えバキュロウィルスゲノムを含むbacmid DNA が、通常の技法を用いて単離され、そしてスポドプテラ・フルギペルダ( Spodoptera frugiperda )細胞、例えばSf9 細胞をトランスフェクトするために使用される。zalpha11リガンドを発現する組換えウィルスが結果的に生成される。組換えウィルス ストックは、当業者において通常使用される方法により製造される。
【0159】
組換えウィルスは、宿主細胞、典型的には、アワヨトウの幼虫、スポドプテラ・フルギペルダに由来する細胞系を感染せしめるために使用される。一般的には、Glick and Pasternak, Molecular Biotechnology: Principles and Application of Recombinant DNA, ASM Prss, Washington, D.C., 1994を参照のこと。もう1つの適切な細胞系は、トリコプルシア・ニ(Trichoplusia ni)に由来するHigh FiveOTM細胞系(Invitrogen)である(アメリカ特許第5,300,435号)。
【0160】
菌類細胞、例えば酵母細胞はまた、本発明内で使用され得る。これに関して、特に興味ある酵母種は、サッカロミセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae), ピチア・パストリス(Pichia pastoris)及びピチア・メタノリカ(pichia methanolica) を包含する。外因性DNAによりS. セレビシアエ細胞を形質転換し、そしてそれから組換えポリペプチドを生成するための方法は、例えばKawasaki, アメリカ特許第4,599,311号;Kawasaki など., アメリカ特許第4,931,373号;Brake, アメリカ特許第4,870,008号;Welchなど., アメリカ特許第5,037,743号;及びMurray など., アメリカ特許第4,845,075号により開示される。形質転換された細胞は、選択マーカー、通常、耐薬物性、又は、特定の栄養物(例えばロイシン)の不在下で増殖する能力により決定される表現型により選択される。
【0161】
サッカロミセス・セレビシアエへの使用のための好ましいベクターシステムは、グルコース含有培地における増殖により形質転換された細胞の選択を可能にする、Kawasaki など. (アメリカ特許第4,931,373号)により開示されるPOT1ベクターシステムである。酵母への使用のための適切なプロモーター及びターミネーターは、解糖酵素遺伝子(例えば、Kawasaki, アメリカ特許第4,599,311号;Kingsmanなど., アメリカ特許第4,615,974号;及びBitter, アメリカ特許第4,977,092 号を参照のこと)及びアルコール デヒドロゲナーゼ遺伝子からのものを包含する。また、アメリカ特許第4,990,446 号;第5,063,154号;第5,139,936 号;及び第4,661,454号を参照のこと。
【0162】
他の酵素、例えばハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、シゾサッカロミセス・ポンベ( Schizosaccharomyces pombe )、クルイベリミセス・ラクチス( Kluyveromyces lactis )、クルイベリミセス・フラギリス(Kluyveromyces fragilis )、ウスチラゴ・マイジス(Ustilago maydis )、ピチア・パストリス( Pichia pastoris )、ピチア・メタノリカ(Pichia methanolica)、ピチア・グイレルモンジ( Pichia guillermondii )、及びカンジタ・マルトサ(Candida maltosa )のための形質転換システムは、当業界において知られている。
【0163】
例えば、Gleeson など., J. Gen. Microbiol. 132: 3459−3465, 1986 及びCregg, アメリカ特許第4,882,279 号を参照のこと。アスペルギラス細胞は、Mcknight など.,アメリカ特許第4,935,349号の方法に従って使用され得る。アクレモニウム・クリソゲナム(Acremonium chrysogenum)を形質転換するための方法は、Sumino ., アメリカ特許第5,162,228号により開示される。ニューロスポラ(Neurospora)を形質転換するための方法は、Lambowitz, アメリカ特許第4,486,533号により開示される。
【0164】
組換えタンパク質の生成のための宿主としてのピチア・メタノリカの使用は、WIPO公開WO97/17450, WO97/17451、WO98/02536及びWO98/02565に開示される。P.メタノリカの形質転換に使用するためのDNA分子は通常、形質転換の前、好ましくは線状化される、二本鎖の環状プラスミドとして調製されるであろう。P.メタノリカにおけるポリペプチド生成のためには、プラスミドにおけるプロモーター及びターミネーターは、P.メタノリカ遺伝子、例えばP.メタノリカ アルコール利用遺伝子(AUG1又はAUG2)のものであることが好ましい。他の有用なプロモーターは、ジヒドロキシアセトンシンターゼ(DHAS)、ギ酸デヒドロゲナーゼ(FMD)、及びカタラーゼ(CAT)遺伝子のものを包含する。
【0165】
宿主染色体中へのDNAの組み込みを促進するためには、宿主DNA配列を両端に有するプラスミドの完全な発現セグメントを有することが好ましい。ピチア メタノリカへの使用のための好ましい選択マーカーは、アデニンの不在下でade2宿主細胞の増殖を可能にする、ホスホリボシル−5−アミノイミダゾールカルボキシラーゼ(AIRC; EC. 4.1.1.21)をコードするP.メタノリカADE2遺伝子である。メタノールの使用を最少にすることが所望される大規模産業方法のためには、両メタノール利用遺伝子(AUG1及びAUG2)が欠失されている宿主細胞を使用することが好ましい。
【0166】
分泌されたタンパク質の生成のためには、液胞プロテアーゼ遺伝子(PEP4及びPRB1)を欠いている宿主細胞が好ましい。エレクトロポレーションが、P.メタノリカ細胞中への、興味あるポリペプチドをコードするDNAを含むプラスミドの導入を促進するために使用される。2.5〜4.5kV/cm,好ましくは約3.75kV/cmの電場の強さ、及び1〜40m秒、最も好ましくは約20m秒の時定数(t)を有する、指数的に減衰する、パルスされた電場を用いて、エレクトロポレーションによりP.メタノリカ細胞を形質転換することが好ましい。
【0167】
原核宿主細胞、例えば細菌E.コリ、バシラス及び他の属の菌株はまた、本発明において有用な宿主細胞である。それらの宿主を形質転換し、そしてそこにクローン化される外来性DNA配列を発現するための技法は、当業界において良く知られている(例えば、Sambrookなど., 前記を参照のこと)。細菌、例えばE.コリにおいてzalpha11リガンドポリペプチドを発現する場合、そのポリペプチドは、典型的には不溶性顆粒として細胞質に保持され得、又は細菌の分泌配列により細胞周辺腔に向けられ得る。前者の場合、細胞は溶解され、そして顆粒が回収され、そして例えばグアニジンイソチオシアネート又はウレアを用いて変性される。
【0168】
次に、変性されたポリペプチドが再生され、そして例えばウレア、及び還元された及び酸化されたグルタチオンの組み合わせの溶液に対する透析、続く緩衝溶液に対する透析により、前記変成体を希釈することによってニ量体化され得る。後者の場合、ポリペプチドは、細胞周辺腔の内容物を開放するために細胞を破壊し(例えば、音波処理又は浸透ショックにより)、そしてタンパク質を回収することによって、細胞周辺腔から可溶性及び機能性形で回収され、それにより、変性及び再生のための必要性を回避することができる。
【0169】
形質転換され又はトランスフェクトされた宿主細胞は、選択された宿主細胞の増殖のために必要とされる栄養物及び他の成分を含む培養培地において、従来の方法に従って培養される。種々の適切な培地、例えば定義された培地及び複合培地は、当業界において知られており、そして一般的には、炭素源、窒素源、必須アミノ酸、ビタミン及び鉱物を含む。培地はまた、必要とされる場合、成長因子又は血清のような成分も含むことができる。増殖培地は一般的に、外因的に付加されたDNAを含む細胞を、例えば発現ベクター上に担持される選択マーカーにより補足され、又は宿主細胞中に同時トランスフェクトされる必須栄養物における薬物選択又は栄養欠乏により選択するであろう。
【0170】
P.メタノリカ細胞は適切な炭素源、窒素源及び微量栄養物を含んでなる培地において、約25℃〜35℃の温度で培養される。液体培養物は、従来の手段、例えば小さなフラスコの振盪又は発酵器のスパージングにより十分なエアレーションを提供される。P.メタノリカのための好ましい培養培地は、YEPD(2%D−グルコース、2%のBactoTMペプトン(Difco Laboratories, Detroit, MI), 1%のBactoTM 酵母抽出物(Difco Laboratories), 0.004%のアデニン及び0.006%のL−ロイシン)である。
【0171】
本発明のポリペプチドを80%以上の純度、より好ましくは90%以上の純度、さらに好ましくは95%以上の純度に精製することが好ましく、そして汚染性高分子、特に他のタンパク質及び核酸に対して、99.9%以上の純度であり、そして感染性及び発熱性剤を有さない医薬的に純粋な状態が特に好ましい。好ましくは、精製されたポリペプチドは、他のポリペプチド、特に動物起源の他のポリペプチドを実質的に有さない。
【0172】
発現された組換え体zalpha11ポリペプチド(又はキメラzalpha11ポリペプチド)は、分別及び/又は従来の精製方法及び媒体を用いて精製され得る。硫酸アンモニウム沈殿及び酸又はカオトロピック剤抽出は、サンプルの分別のために使用される。典型的な精製段階は、ヒドロキシアパタイト、サイズ排除、FPLC及び逆相高性能液体クロマトグラフィーを包含する。適切なクロマトグラフィー用媒体は、誘導体化されたデキストラン、アガロース、セルロース、ポリアクリルアミド、特別なシリカ及び同様のものを包含する。PEI、DEAE、QAE及びQ誘導体が好ましい。
【0173】
典型的なクロマトグラフィー用媒体は、フェニル、ブチル又はオクチル基により誘導体化されたもの、例えばフェニル−Sepharose FF(pharmacia),Toyopearl ブチル650(Toso Haas, Montgomeryville, PA)、オクチル−Sepharrose (Pharmacia)及び同様のもの;又はポリアクリル樹脂、例えばAmberchrom CG71 (Toso Haas)及び同様のものを包含する。適切な固体支持体は、ガラスビーズ、シリカ基材の樹脂、セルロース樹脂、アガロースビーズ、架橋されたアガロースビーズ、ポリスチレンビーズ、架橋されたポリアクリルアミド樹脂及びそれらが使用される条件下で不溶性である同様のものを包含する。
【0174】
それらの支持体は、アミノ基、カルボキシル基、スルフヒドリル基、ヒドロキシル基及び/又は炭水化物成分によるタンパク質の結合を可能にする反応性基より変性され得る。カップリング化学物質の例は、臭化シアン活性化、N−ヒドロキシスクシンイミド活性化、エポキシド活性化、スルフヒドリル活性化、ヒドラジド活性化及びカルボジイミド カップリング化学物質のためのカルボキシル及びアミノ誘導体を包含する。
【0175】
それらの及び他の固体媒体は当業界において良く知られており、そして広く使用されており、そして商業的供給者から入手できる。支持媒体にリガンド又は受容体ポリペプチドを結合するための方法は当業界において良く知られている。特定方法の選択は、通常のことであり、そして選択された支持体の性質により一部決定される。例えば、Affinity Chromatograpy: Principles & Methods, Pharmacia LKB Biotechnology, Uppsala, Sweden, 1988を参照のこと。
【0176】
本発明のポリペプチドは、アニオン及びカチオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除、及び親和性クロマトグラフィーを包含する方法の組み合わせより単離され得る。例えば、固定された金属イオン吸着(IMAC)クロマトグラフィーが、ヒスチジンに富んでいるタンパク質、及びポリヒスチジン標識を含んでなるそれらのタンパク質を精製するために使用され得る。手短に言及すれば、ゲルがまず、二価金属イオンにより荷電され、キレートが形成される( Sulkowski, Trends in Biochem. 3: 1−7, 1985)。
【0177】
ヒスチジンに富んでいるタンパク質が、使用される金属イオンに依存して、異なった親和性を有するこのマトリックスに吸着され、そして競争溶出、pHの低下、又は強いキレート化剤の使用により溶出されるであろう。他の精製方法は、レクチン親和性クロマトグラフィー及びイオン交換クロマトグラフィーによるグリコシル化されたタンパク質の精製を包含する(Methods in Enzymol., Vol. 182, “Guide to Protein Purification”, M. Deutscher, ( ed.), Acad. Press, San Diego, 1990, pp. 529−39)。本発明のさらなる態様においては、興味あるポリペプチド、及び親和性標識(例えばマルトース−結合タンパク質、FLAG標識、Glu-Gku標識、免疫グロブリンドメイン)の融合体が、精製を促進するために構成され得る。
【0178】
さらに、当業界において記載される方法を用いて、ポリペプチド融合体又はハイブリッドzalpha11リガンドタンパク質が、他のヒトサイトカインファミリータンパク質(例えば、インターロイキン又はGM-CSF)、又は異種タンパク質と組合して、本発明のzalpha11リガンドの領域又はドメインを用いて構成される(Sambrook など., 前記;Altschul など., 前記;Picard, Cur. Opin. Biology, 5: 511-5, 1994及びそれらにおける引例)。それらの方法は、興味あるポリペプチドにおける大きなドメイン又は領域の生物学的重要性の決定を可能にする。そのようなハイブリッドは、反応運動学、結合を変更し、基質特異性を抑制し、又は拡張し、又はポリペプチドの組織及び細胞局在性を変更し、そして未知の構造のポリペプチドに適用される。
【0179】
融合タンパク質は、その融合タンパク質の個々の成分を調製し、そしてそれらを化学的に接合することによって、当業者に知られている方法により調製され得る。他方では、正しく読み取り枠を整合して融合タンパク質の両成分をコードするポリヌクレオチドは、既知の技法を用いて生成され、そして本明細書に記載される方法により発現され得る。例えば、生物学的機能を付与するヘリックスの一部又はすべてが、本発明のzalpha11リガンドと、もう1つのファミリーメンバー、例えばIL-15、IL-2、IL-4、又はGM-CSFからのその機能的に同等のヘリックスとの間で交換され得る。
【0180】
そのような成分は次のものを包含するが、但しそれらだけには限定されない:4−ヘリカル−束サイトカインの分泌シグナル配列;ヘリックスA、B、C、ループA/B、B/C、C/D。そのような融合タンパク質は、構成される融合体に依存して、本発明のポリペプチド又は他の既知の4−ヘリカル−束サイトカインファミリータンパク質と同じか又は類似する生物学的機能プロフィールを有することが予測される。さらに、そのような融合タンパク質は、本明細書に開示されるように、他の性質も示すことができる。
【0181】
標準の分子生物学及びクローニング技法が、zalpha11リガンドポリペプチドと、それらが融合されるそれらのポリペプチドとの間の同等のドメインを交換するために使用され得る。一般的に、興味あるドメイン、例えばzalpha11リガンドヘリックスA〜D、又は本明細書に記載される他のドメインをコードするDNAセグメントが、追加のポリペプチド(例えば、他のサイトカイン、例えばIL-2又は同様のものからのドメイン又は領域)をコードする少なくとも1つの他のDNAセグメントに読み取り枠を接合して操作可能的に結合され、そして本明細書に記載されるように、適切な発現ベクター中に挿入される。
【0182】
一般的に、DNA構造体は、ポリペプチドのその対応する領域をコードするいくつかのDNAセグメントが、完全な融合タンパク質又はその機能的部分をコードする単一の構造体を製造するために読み取り枠を整合して、操作可能的に連結されるように、製造される。例えばDNA構造体は、N−末端からC−末端側に、単一のポリペプチドを含んで成る融合タンパク質、続いて、ヘリックスA、ヘリックスB、ヘリックスC、ヘリックスDを含む成熟4−ヘリカル−束サイトカイン融合タンパク質をコードする。そのような融合タンパク質は、本明細書に記載されるように、発現され、単離され、そして活性についてアッセイされ得る。
【0183】
zalpha11リガンドポリペプチド又はそのフラグメントはまた、化学的合成を通して調製され得る。zalpha11リガンドポリペプチドはモノマー又はマルチマーであり得;グリコシル化されても又はグリコシル化されなくても良く;ペルギレ−ト化されても又はペルギレ−トされなくても良く;そして開始メチオニンアミノ酸残基を含んでも又は含まなくても良い、例えば、ポリペプチドは、Merrifield, J. Am. Chem. SOC. 85: 2149, 1963により記載されるように、固相ペプチド合成により調製され得る。
【0184】
本発明の分子の活性は、zalpha11 受容体を発現する細胞の増殖及び/又はその細胞への結合を側定する種々のアッセイを用いて測定され得る。zalpha11リガンド−依存性細胞における変化が特に興味の対象である。zalpha11リガンド−依存性である構築され得るべき適切な細胞系は、IL-3−依存性BaF3細胞系(Palacios and Steinmetz, Cell 41: 727-734, 1985; Mathey-Prevot など., Mol. Cell. Biol. 6: 4133-4135, 1986)、FDC−P1(Hapel など., Blood 64: 786-790, 1984)及びMO7e(Kissなど., Leukemia 7: 235-240, 1993)を包含する。成長因子−依存性細胞系は、公開された方法(例えば、Greenbergerなど., Leukemia Res. 8: 363-375, 1984; Dexterなど., in Baum など., Eds., Expermental Hematology Toda, 8th ann. Mtg. Int. Soc. Exp. Hematol. 1979, 145-156, 1980)に従って確立され得る。
【0185】
本発明のタンパク質は、造血機能及び免疫機能の関連する恒常性の細胞の特殊化された細胞機能の増殖、活性化、分化及び/又は誘発又は阻害を刺激するために有用である。特に、zalpha11リガンドポリペピチドは、造血系の細胞、例えばT細胞、B細胞、NK細胞、樹状細胞、単球及びマクロファージ、並びに上皮細胞(但し、それらだけには限定されない)の特殊化された細胞機能の増殖、活性化、分化、誘発又は阻害を刺激するために有用である。造血細胞の増殖及び/又は分化は、培養された細胞を用いてインビトロで、又は本発明の分子を適切な動物モデル中に投与することによって、インビトロで測定され得る。細胞増殖又は分化を測定するアッセイは、当業者において良く知られている。
【0186】
たとえば、増殖を測定するアッセイは、次のようなアッセイを包含する:中性赤色素に対する化学感受性(Caranaugh など., Investigational New Drags 8: 347-354, 1990; 引用により本明細書に組み込まれる)、放射性ラベルされたヌクレオチドの組み込み(CooK など., Analytical Biochem. 179: 1-7, 1989; 引用により本明細書に組み込まれる)、増殖する細胞のDNAへの5-ブロモー2’-デオキシウリジン(BrdU)の組み込み(Porstmann など., J. Immunol. Methods 82: 169-179, 1985; 引用により本明細書に組み込まれる)、及びテトラゾリウム塩の使用(Mosmann, J. Immunol. Methods 65: 55-63, 1983; Alley など., Cancer Res. 48: 589-601, 198; Marshall など., Growth Reg. 5: 69-84, 1995; 及びScudiero など., Cancer Res. 48: 4827-4833, 1988; すべては引用により本明書に組み込まれる)。
【0187】
分化を測定するアッセイは、たとえば組織の段階−特異的発現に関連する細胞表面マーカー、酵素活性、官能的活性、又は形態変化の測定を包含する(Watt, FASEB 5: 281-284, 1991; Francis, Differentiation 57 : 63-75, 1994; Raes, Adv. Anim. Cell Biol. Technol. Bioprocesses, 1i61-171, 1989; すべては引用により本明細書に組み込まれる)。
【0188】
本発明の分子は、ウィルス供給システムを用いて、インビボでアッセイされる。この目的のための典型的なウィルスは、アデノウィルス、ヘルペスウィルス、レトロウィルス、ワクシニアウィルス及びアデノ関連ウィルス(AAV)を包含する。アデノウィルス、すなわち二本鎖DNAウィルスは現在、異種核酸の供給のための最も研究されている遺伝子トランスファーベクターである(T. C. Becker など., Meth. Cell Bio. 43: 161−89, 1994; 及びJ. T. Douglas and D.T. Curiel, Science & Medicine 4: 44−53, 1997 を参照のこと)。
【0189】
リガンドとして、zalpha11リガンドポリペプチドの活性が、受容体結合及び続く生理学的細胞応答に関連する、細胞外酸性化速度又はプロトン排泄を測定する、珪素に基づくバイオセンサーのマイクロフィジオメーターにより測定され得る。典型的な装置は、Molecular Devices, Sunnyvale, CAにより製造されるCytosensorTM マイクロフィジオメーターである。種々の細胞応答、例えば細胞増殖、イオン輸送、エネルギー生成、炎症応答、調節及び受容体活性化及び同様のものが、この方法により測定され得る。例えば、McConnell, H.M.など., Science 257:1906-1912, 1992; Pitchford, S. など., Meth. Enzymol. 228: 84-108, 1997: Arimilli, S. など., J. Immunol. Meth. 212: 49-59, 1998; Van Liefde, I. など., Eur. J. Pharmacol. 346: 87-95, 1998を参照のこと。
【0190】
さらに、zalpha11リガンドは、zalpha11リガンドにより刺激された経路に対して応答する、細胞、組織又は細胞系を同定するために使用され得る。上記マイクロフィジオメーターは、リガンド−応答細胞、例えば本発明のzalpha11リガンドに対する応答性の細胞を同定するために使用され得る。細胞は、zalpha11リガンドポリペプチドの存在又は不在下で培養され得る。zalpha11リガンドの存在下で細胞外酸性化の測定できる変化を誘発するそれらの細胞は、zalpha11リガンドに対して応答性である。そのような細胞系は、上記のようなzalpha11リガンドポリペプチドのアンタゴニスト及びアゴニストを同定するために使用され得る。
【0191】
zalpha11受容体アゴニストに関して観察され組織分布の観点においては、アゴニスト(例えば、天然のzalpha11リガンド/基質/補因子/等)及びアンタゴニストは、インビトロ及びインビボ用途において莫大な可能性を有する。zalpha11リガンドアゴニストとして同定される化合物は、造血機能及び免疫機能の恒常性に関連する細胞の特殊化された細胞機能の拡張、増殖、活性化、分化及び/又は誘発又は阻害を刺激するために有用である。例えば、zalpha11リガンド及びアゴニスト化合物は、定義された細胞培養培地の成分として有用であり、そして細胞培養物において通常使用される血清を置換するために、単独で、又は他のサイトカインと組合して使用され得る。従って、アゴニストは、培養物におけるT-細胞、B-細胞、NK細胞、細胞毒性リンパ球、及びリンパ球及び骨髄系の増殖及び/又は成長を特異的に促進することにおいて有用である。
【0192】
アンタゴニストはまた、リガンド−受容体相互作用の部位を特徴づけるための研究試薬として有用である。アンタゴニストは、造血機能の調節に関与する細胞の拡張、増殖、活性化、及び/又は分化を阻害するために有用である。zalpha11リガンド活性のインヒビター(zalpha11リガンドアンタゴニスト)は、抗−zalpha11リガンド抗体、及び可溶性zalpha11リガンド受容体、並びに他のペプチド及び非ペプチド剤(例えば、リボザイム)を包含する。
【0193】
zalpha11リガンドはまた、その活性のインヒビター(アンタゴニスト)を同定するためにも使用され得る。試験化合物は、zalpha11リガンドの活性を阻害する化合物を同定するために、本明細書に開示されるアッセイに添加される。本明細書に開示されるそれらのアッセイの他に、サンプルは、受容体結合を測定するよう企画された種々のアッセイ内のzalpha11リガンド活性の阻害、zalpha11リガンド−依存性細胞応答の刺激/阻害、又はzalpha11受容体発現細胞の増殖について試験され得る。
【0194】
zalpha11リガンドポリペプチドは、免疫グロブリンH鎖不変領域、典型的には2つの不変領域ドメインを含み、そして可変領域を欠いているFcフラグメントとの融合体として発現され得る。そのような融合体を調製するための方法は、アメリカ特許第5,155,027号及び第5,567,584号に開示される。そのような融合体は典型的には、マルチマー分子として分泌され、ここで前記分子においては、Fc部分はお互いにジスルフィド結合され、そして2つの非Igポリペプチドはお互いに接近して配列されている。このタイプの融合体は、ニ量体化のために、安定性及びインビボ半減期を高めるために、リガンドを親和性精製するために、インビトロアッセイ手段又はアンタゴニストとして使用され得る。アッセイへの使用のためには、キメラは、Fc領域を通して支持体に結合され、そしてELISA形に使用される。
【0195】
zalpha11リガンド−結合ポリペプチドはまた、リガンドの精製のためにも使用される。前記ポリペプチドは、固体支持体、例えばアガロース、架橋されたアガロース、ガラス、セルロース樹脂、シリカ基材の樹脂、ポリスチレン、架橋されたポリアクリルアミド又は使用の条件下で安定している同様の材料のビーズ上に固定される。
【0196】
固体支持体にポリペプチドを結合するための方法は、当業界において知られており、そしてアミン化学、臭化シアノゲン活性化、N−ヒドロキシスクシンイミド活性化、エポキシド活性化、スルフヒドリル活性化及びヒドラジド活性化を包含する。得られる媒体は一般的に、カラムの形で形状化され、そしてリガンドを含む流体が、受容体ポリペプチドへのリガンドの結合を可能にするために、カラムに1又は複数回、通される。次に、リガンドが、塩濃度の変化、カオトロピック剤(グアニジンHCl)、又はリガンド−受容体結合を破壊するpHを用いて溶出される。
【0197】
リガンド−結合受容体(又は抗体、補体/抗補体対の1つのメンバー)、又はその結合フラグメント、及び市販のバイオセンサー装置(BIAcore, Pharmacia Biosensor, Piscataway, NJ)を用いるアッセイシステムが、好都合には、使用され得る。そのような受容体、抗体、補体/抗補体対のメンバー、又はフラグメントは、受容体チップの表面上に固定される。この装置の使用は、Karlsson, J. Immunol. Methods 145: 229−40, 1991 及びCunningham and Wells, J. Mol.Biol. 234: 554−63,1993により開示される。受容体、抗体、メンバー又はフラグメントは、アミン又はスルフヒドリル化学を用いて、流動細胞内の金フィルムに結合されるデキストラン繊維に共有結合される。
【0198】
試験サンプルが細胞に通される。リガンド、エピトープ又は補体/抗補体対の反対のメンバーがサンプルに存在する場合、それは、それぞれ固定された受容体、抗体又はメンバーに結合し、金フィルムの表面のプラズモン共鳴の変化として検出される、媒体の屈折率の変化を引き起こす。このシステムは、オン−及びオフ−速度の決定を可能にし、これから、結合親和性が計算され、そして結合の化学量の評価が可能にされる。他方では、リガンド/受容体結合は、SELDITM技術を用いて分析され得る(Ciphergen, Inc., Palo Alto, CA)。
【0199】
リガンド−結合受容体ポリペプチドはまた当業界において知られている他のアッセイシステム内でも使用され得る。そのようなシステムは、結合親和性の決定のためのスカチャード分析(Scatchard, Ann. NY. Acad. Sci. 51:660−72, 1949)及び熱量測定アッセイ(Cunningham など., Science 253: 545−48, 1991;Cunningham など., Science 245: 821−25, 1991)を包含する。
【0200】
zalpha11リガンドポリペプチドはまた、zalpha11リガンドエピトープ、ペプチド又はポリペプチドに特異的に結合する抗体を調製するためにも使用され得る。zalpha11リガンドポリペプチド又はそのフラグメントは、動物を接種し、そして免疫応答を誘発するための剤(免疫原)として作用する。当業者は、抗原性エピトープ担持のポリペプチドがzalpha11リガンドポリペプチド(例えば、配列番号2)の少なくとも6、好ましくは少なくとも9及びより好ましくは少なくとも15〜約30個の連続したアミノ酸残基を含むことを認識するであろう。zalpha11リガンドポリペプチドの大きな部分、すなわちアミノ酸配列の30〜10個の残基〜その全体の長さの残基を含んでなるポリペプチドが含まれる。
【0201】
抗原又は免疫原エピトープはまた、本明細書に記載されるように、結合された標識、アジュバンド及びキャリヤーを含むことができる。適切な抗原は、配列番号2のアミノ酸番号32〜アミノ酸番号162によりコードされるzalpha11リガンドポリペプチド、又は連続した9〜131個のそのAAアミノ酸フラグメントを含む。他の適切な抗原は、本明細書に記載されるように、zalpha11リガンド4−ヘリカル−束構造の十分な長さ及び成熟zalpha11リガンド、ヘリックスA−D,及び個々の又は複数のヘリックスA,B,C及びDを包含する。抗原として使用するための好ましいペプチドは、親水性ペプチド、例えば本明細書に記載されるように、疎水性プロットから当業者により予測されるそれらのもの、たとえばアミノ酸残基114-119, 101-105, 126-131, 113-118,及び158-162である。
【0202】
それらの抗原による動物の接種により生成される免疫応答からの抗体は、本明細書に記載のようにして単離され、そして精製され得る。ポリクローナル及びモノクローナル抗体を調製し、そして単離するための方法は、当業界において良く知られている。例えば、Current Protocols in Immunology, Cooligan, など., (eds.), National Institutes of Health, John Wiley and Sons, Inc., 1995; Sambrook など., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor, NY, 1989; 及びHurrell, J.G.R., Ed., Monoclonal Hybridoma Antibodies: Techniques and Applications, CRC Press, Inc., Boca Raton, FL, 1982 を参照のこと。
【0203】
当業者に明らかなように、ポリクローナル抗体は、種々の温血動物、例えば馬、ウシ、ヤギ、羊、犬、鶏、ウサギ、マウス、及びラットを、zalpha11リガンドポリペプチド又はそのフラグメントにより接種することにより生成され得る。zalpha11リガンドポリペプチドの免疫性は、アジュバント、例えばミヨウバン(水酸化アルミニュウム)又はフロイント完全又は不完全アジュバントの使用により高められ得る。
【0204】
免疫化のために有用なポリペプチドはまた、免疫グロブリン ポリペプチド又はマルトース結合タンパク質との融合体ポリペプチド、例えばzalpha11リガンド又はその一部の融合体を包含する。ポリペプチド免疫原は、十分な長さの分子又はその一部であり得る。ポリペプチド部分が“ハプテン−様”である場合、そのような部分は、免疫化のために、高分子キャリヤー(例えば、カサガイヘモシアニン(KLH)、ウシ血清アルブミン(BSA)又は破傷風トキソイド)に都合良く連結又は結合され得る。
【0205】
本明細書で使用される場合、用語“抗体”とは、ポリクローナル抗体、親和性精製されたポリクローナル抗体、モノクローナル抗体及び抗原結合フラグメント、例えばF(ab’)2及びFabタンパク質分解性フラグメントを包含する。遺伝子的に構築された損なわれていない抗体又はフラグメント、例えばキメラ抗体、Fvフラグメント、一本鎖抗体及び同様のもの、並びに合成抗原結合ペプチド及びポリペプチドもまた包含される。非ヒト抗体は、ヒト骨格及び不変領域上に非ヒトCDRのみを移植することによって、又は完全な非ヒト可変ドメインを組み込むことによって(任意には、暴露された残基の置換によってヒト−様表面によりそれらのドメインを“おおう(cloaking)”ことによって;ここで結果物は“張り合わされた”抗体である)、ヒト適合され得る。
【0206】
多くの場合、ヒト適合された抗体は、正しい結合特性を増強するために、ヒト可変領域骨格ドメイン内に非ヒト残基を保持することができる。ヒト適合化抗体を通して、生物学的半減期が高められ、そしてヒトへの投与に基づく有害な免疫反応の可能性が低められる。さらに、ヒト抗体は、WIPO公開WO98/24893号に開示されるように、ヒト免疫グロブリン遺伝子を含むよう構築されたトランスジェニック非−ヒト動物において生成される。好ましくは、それらの動物における内因性免疫グロブリン遺伝子は、相同組換えにより不活性化されるか又は排除される。
【0207】
抗体は、1)それらが限界レベルの結合活性を示す場合、及び2)それらが関連するポリペプチド分子と有意に交差反応しない場合、特異的に結合すると考えられる。限界レベルの結合は、本明細書における抗−zalpha11リガンド抗体が対照(非−zalpha11リガンド)ポリペプチドへの結合親和性よりも少なくとも10倍高い親和性を伴って、zalpha11リガンドポリペプチド、ペプチド又はエピトープに結合するかどうか決定される。好ましくは、抗体は、106M-1又はそれ以上、好ましくは107M-1又はそれ以上、より好ましくは108M-1又はそれ以上、及び最も好ましくは109M-1又はそれ以上の結合親和性(Ka)を示す。抗体の結合親和性は、例えばScatchard 分析(Scatchard, G., Ann. NY Acad. Sci. 51: 660-672, 1949)を用いて、当業者によって容易に決定され得る。
【0208】
抗−zalpha11リガンド抗体は関連するポリペプチド分子と有意に交差反応しないかどうかは、例えば、標準のウェスターンブロット分析を用いて、zalpha11リガンドポリペプチドであるが、しかし知られていない関連するポリペプチドを検出する抗体により示される(Ausubel など., 前記)。既知の関連するポリペプチドの例は、従来技術に開示されているそれらのもの、例えば既知のオルト体及びパラ体、及びタンパク質ファミリーの類似する既知メンバーである。スクリーニングはまた、非ヒトzalpha11リガンド及びzalpha11リガンド変異体ポチペプチドを用いて行われ得る。
【0209】
さらに、抗体は、zalpha11リガンドポリペプチドに対して特異的に結合する集団を単離するために、既知の関連するポリペプチドに“対してスクリーンされ得る”。例えば、zalpha11リガンドに対して生ぜしめられた抗体は不溶性マトリックスに付着される関連するポリペプチドに吸着され;zalpha11リガンドに対して特異的な抗体は適切な緩衝液条件下で前記マトリックスを通して流れるであろう。スクリーニングは、既知の溶接に関連するポリペプチドに対して交差反応しないポリクローナル及びモノクローナル抗体の単離を可能にする(Antibodies: A Laboratory Manual, Harlow and Lane (eds.), Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1988; Current Protocols in Immunology, Cooligan, など. (eds.), National Institutes of Health, John Wiley and Sons, Inc., 1995)。
【0210】
特異的抗体のスクリーニング及び単離は当業界において当業界において良く知られている。Fundamental Immunology, Paul (eds.), Raven Press, 1993; Getzoffなど., Adv.in Immunol. 43: 1-98, 1988; Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, Goding, J.W. (eds.), Academic Press Ltd., 1996; Benjamin など., Ann. Rev. Immunol. 2: 67-101, 1984を参照のこと。特異的に結合する抗−zalpha11リガンド抗体は、当業界において知られており、そして下記に開示される多くの方法により検出され得る。
【0211】
当業者に知られている種々のアッセイがzalpha11リガンドタンパク質又はペプチドに特異的に結合する抗体を検出するために使用され得る。典型的なアッセイは、Antibodies: A Laboratory Manual, Harlow and lane (Eds.), Cold Speing Harbor Laboratory Press, 1988 に詳細に記載されている。そのようなアッセイの代表的な例は次のものを包含する:同時免疫電気泳動、ラジオイムノアッセイ、ラジオイムノ沈殿、酵素結合の免疫吸着アッセイ(ELISA)、ドットブロット又はウェスターンブロットアッセイ、阻害又は競争アッセイ。及びサンドイッチアッセイ。さらに、野生型対変異体のzalpha11リガンドタンパク質又はペプチドに結合する抗体がスクリーンされ得る。
【0212】
zalpha11リガンドに対する抗体は、zalpha11リガンドを発現する細胞を標識するために;アフィニティー精製によりzalpha11リガンドを単離するために;zalpha11リガンドポリペプチドの循環レベルを決定するための診断アッセイのために;根本的な病理学のマーカーとして可溶性zalpha11リガンドを検出し又は定量化するために;FACS を使用する分析方法において、発現ライブラリーをスクリーニングするために;抗-インディオタイプ抗体を生成するために;及びインビトロでzalpha11リガンド介在性活性を阻止するための中和抗体又はアンタゴニスとして使用され得る。
【0213】
適切な直接的標識又はラベルは、放射性核種、酵素、基質、補因子、インヒビター、蛍光マーカー、化学発光マーカー、磁気粒子及び同様のものを包含し;間接的な標識又はラベルは、中間体としてのビオチン−アビジン又は他の補体/抗−補体対の使用を特徴とする。本発明書における抗体及び結合タンパク質はまた、薬物、トキシン、放射性核種、及び同様のものに直接的に又は間接的に接合され得、そしてそれらの接合体はインビボ診断又は治療用途のために使用され得る。さらに、zalpha11リガンド又はそのフラグメントに対する抗体は、アッセイ、例えば当業界において知られているウェスターンブロット又は他のアッセイにおいて、変性されたzalpha11リガンド又はそのフラグメントを検出するためにインビトロで使用され得る。
【0214】
適切な検出可能分子は、ポリペプチド又は抗体に直接的に又は間接的に結合され得、そして放射性核種、酵素、基質、補因子、インヒビター、蛍光マーカー、化学発光マーカー、磁気粒子、及び同様のものを包含する。適切な細胞毒性分子は、ポリペプチド又は抗体に直接的に又は間接的に結合され得、そして細菌又は植物毒性(例えば、ジフテリア毒素、プソイドモナシス内毒素、リシン、アブリン及び同様のもの)、及び治療用放射性核種、例えばI−131、レニウム−188又はイットニウム−90(ポリペプチド又は抗体に直接的に結合されるか、又はキレ−ト成分により間接的に結合される)を包含する。
【0215】
ポリペプチド又は抗体はまた、細胞毒性薬物、例えばアドリアマイシンに結合され得る。検出可能又は細胞毒性分子の間接的な結合に関しては、検出可能又は細胞毒性分子は相補的/抗相補的対のメンバーにより結合され得、ここで他のメンバーはポリペプチド又は抗体部分に結合される。それらの目的のためには、ビオチン/ストレプタビジンが典型的な相補的/抗相補的対である。
【0216】
結合ポリペプチドはまた、インビトロ又はインビボで、zalpha11リガンド結合及びシグナルトランスダクションを阻止するためにzalpha11リガンド“アンタゴニスト”としても作用することができる。それらの抗−zalpha11リガンド結合ポリペプチドは、zalpha11リガンド活性又はタンパク質−結合を阻害するために有用である。
【0217】
ポリペプチド−毒素融合タンパク質又は抗体−毒素融合タンパク質は、標的化された細胞又は組織阻害又は除去(例えば、癌細胞又は組織を処理するために)のために使用され得る。他方では、ポリペプチドが複数の機能ドメイン(すなわち、活性化ドメイン又はリガンド結合ドメイン、及び標的化ドメイン)を有する場合、標的化ドメインのみを包含する融合タンパク質は、検出可能分子、細胞毒性分子又は相補的分子を、興味ある細胞又は組織型に向けるために適切である。ドメインのみの融合タンパク質が相補的分子を含む場合、抗−相補的分子は検出可能又は細胞毒性分子に接合され得る。従って、そのようなドメイン−相補的分子融合タンパク質は、一般的抗−相補的−検出可能/細胞毒性分子接合体のための一般的標的化ビークルを表す。
【0218】
zalpha11リガンド−サイトカイン融合タンパク質又は抗体−サイトカイン融合タンパク質は、zalpha11リガンドポリペプチド又は抗−zalpha11リガンド抗体が過剰増殖性血液、又は骨髄細胞を標的化する場合、標的組織(例えば、血液、骨髄癌)のインビボ殺害を増強するために使用され得る(一般的には、Hornickなど., Blood 89: 4437-4447, 1997を参照のこと)。記載される融合タンパク質は、作用の所望する部位へのサイトカインの標的化を可能にし、それにより、サイトカインの高められた局部濃度を提供する。適切なzalpha11リガンドポリペプチド又は抗−zalpha11リガンド抗体は、所望しない細胞又は組織(例えば、腫瘍又は白血病)を標的化し、そして融合されたサイトカインはエフェクター細胞による改良された標的細胞溶解を仲介する。例えば、この目的のための適切なサイトカインは、インターロイキン−2及び顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSM)を包含する。
【0219】
分化は進行性で且つ動的な工程であり、多能性幹細胞で始まり、そして最終的に分化された細胞で終結する。拘束なしに系統に再生することができる多能性幹細胞は、細胞系統への拘束が行われる場合、失われる一組の分化マーカーを発現する。前駆体細胞は、細胞が成熟に向かって細胞系統路を進行する場合、発現され続けることができても又はできなくても良い一組の分化マーカーを発現する。成熟細胞により独占的に発現される分化マーカーは通常、機能的性質のもの、例えば細胞生成物、細胞生成物を生成するための酵素、及び受容体である。細胞集団の分化の段階は、細胞集団に存在するマーカーの同定によりモニターされる。
【0220】
最終分化又は脱分化の方の経路に特定細胞型を刺激する因子が、通常の前駆体又は幹細胞に起因する全細胞集団に影響を及ぼすことを示唆する証拠が存在する。従って、本発明は、リンパ球細胞、造血細胞及び上皮細胞の増殖を刺激するか又は阻害することを包含する。
【0221】
zalpha11リガンドは、重要な免疫学的機能を有することが知られており、そして免疫系において役割を演じる細胞を含む組織から単離される。zalpha11リガンドは、CD3+選択された、活性化された末梢血液細胞において発現され、そしてzalpha11リガンド発現は、T細胞活性化の後、上昇することが示されている。さらに、本明細書における例セクションに記載される実験の結果は、本発明のポリペプチドがNK細胞又はNK前駆体の増殖/拡張及び/又は分化された状態に対して効果を有することを示す。追加の証拠は、zalpha11リガンドがインビボでT細胞及びB細胞の増殖及び/又は分化に影響を及ぼすことを示す。造血前駆体の増殖を刺激し、そして成熟細胞を活性化する因子は一般的に知られている。
【0222】
NK細胞は単独でIL-2に対して応答性であるが、しかし増殖及び活性化は一般的に、追加の成長因子を必要とする。例えば、IL-7及びSteel因子(c−キットリガンド)がNK前駆体のコロニー形成のために必要とされたことが示されてる。IL-7及びSteel因子と組合してのIL-15+IL-2はより効果的であった(Mrozekなど., Blood 87:2640, 1996)。しかしながら、未確認のサイトカインが、NK細胞及び/又はNK前駆体の特定サブユニットの増殖のために必要である(Robertson など., Blood 76: 2451-2438, 1990)。zalpha11リガンド及びIL-15を含んで成る組成物は、NK前駆体及びNK細胞を刺激し、そしてこの組成物は、これまで記載されて来た因子および因子の組み合わせよりもより効果的である。
【0223】
分化を測定するアッセイは、例えば、組織の段階−特異的発現、酸素活性、機能的活性又は形態学的変化に関連する細胞マーカーを測定することを包含する(Watt, FASEB,5:281-284, 1991; Francis, Differentiation 57: 63-75, 1994; Raes, Adv. Anim. Cell Biol. Technol. Bioprocesses, 161-171, 1989; すべては、引用により本明細書に組み込まれる)。他方では、zalpha11リガンドポリペプチド自体は、組織の段階−特異的発現に関連する追加の細胞表面又は分泌されたマーカーとして作用することができる。それ自体、zalpha11リガンドポリペプチドの直接的な測定、又は分化するにつれて、組織における発現のその損失が、組織の分化のためのマーカーとして作用することができる。
【0224】
同様に、zalpha11リガンドポリペプチドの直接的な測定、又は組織における発現のその損失が、それらが腫瘍の進行を受けるにつれて、組織又は細胞において決定され得る。前癌又は癌状態における細胞の侵襲性及び運動性の上昇、又はzalpha11リガンドの発現の獲得又は損失が、正常な組織に比較して、腫瘍進行における形質転換、侵襲性及び転移についての診断として作用することができる。進行又は転移の腫瘍段階の知識は、所定の個々の癌患者のために、最も適切な治療又は処理の攻撃性を選択する上で医薬を助けるであろう。
【0225】
発現(mRNA又はタンパク質のいずれかの)の獲得及び損失を測定する方法は、当業界において良く知られており、そして本明細書に記載されており、そしてzalpha11リガンド発現に適用され得る。例えば、細胞運動性を調節するポリペプチドの出現又は消出が、前立腺癌の診断及び予後を助けるために使用され得る(Banyard, J. and Zetter, B. R., Cancer and Metast. Rev. 17: 449-458, 1999)。細胞運動性のエフェクターとして、発現のzalpha11リガンド獲得又は損失がリンパ球、B−細胞、上皮、造血及び他の癌についての診断分析として作用することができる。
【0226】
さらに、腫瘍進行及び転移に対するzalpha11リガンドの活性及び効果が、インビボで測定され得る。いくつかの同系マウスモデルが、腫瘍進行に対するポリペプチド、化合物又は他の処理の影響を研究するために開発されて来た。それらのモデルにおいては、培養継代された腫瘍細胞が、腫瘍ドナーと同じ株のマウス中に移植される。細胞は、受容体マウスにおいて類似する特徴を有する腫瘍中に増殖し、そして転移がまた、そのモデルのいくつかにおいて生じるであろう。本発明者の研究のための適切な腫瘍モデルは、中でも、Lewis肺癌(ATCC No. CRL-1642)及びB16黒色腫(ATCC No. Crl-6323)を包含する。それらは、インビトロで容易に培養され、そして操作される、C57BL6/Jマウスと同種の通常使用される腫瘍系である。
【0227】
それらの細胞系のいずれかの移植に起因する腫瘍は、C57BL6/Jマウスの肺に転移することができる。Lewis肺癌モデルが最近、脈管形成のインヒビターを同定するためにマウスに使用されている(O’Reilly MS, など. Cell 79: 315-328, 1994)。C57BL6/Jマウスが、組換えタンパク質、アゴニスト又はアンタゴニストの毎日の注入、又は組換えアデノウィルスの1回の注入を通して、実験剤により処理される。この処理に続いて3日で、105〜106個の細胞が背面の皮膚下に移植される。他方では、細胞自体が、タンパク質が全身的によりもむしろ腫瘍部位で又は細胞内で合成されるよう、移植の前、組換えアデノウィルス、例えばzalpha11リガンドを発現するアデノウィルスにより感染され得る。
【0228】
マウスは、通常5日以内に眼に見える腫瘍を進行する。腫瘍が3週間までの間、増殖され、この間、それらは対照の処理グループにおいて1500−1800mm3のサイズに達することができる。腫瘍サイズ及び体重が、その実験を通して注意してモニターされる。殺害の時点で、腫瘍が、肺及び肝臓と共に除去され、そして計量される。肺の重量が、転移性腫瘍負荷量と相互関係することが示された。さらなる測定として、肺表面転移が計数される。切除された腫瘍、肺及び肝臓が、当業界において知られており、そして本明細書に記載される方法を用いて、組織学的試験、免疫組織化学及び現場ハイブリダイゼーションのために調製される。
【0229】
従って血管構造を回復し、そして転移を受ける腫瘍の能力に対する、問題の発現されたポリペプチド、例えばzalpha11リガンドの影響が評価され得る。さらに、アデノウィルスとは別に、移植された細胞がzalpha11リガンドにより一時的にトランスフェクトされ得る。安定したzalpha11リガンドトランスフェクトの使用、及びインビボでのzalpha11リガンド発現を活性化する誘発性プロモーターの使用は、当業界において知られており、そして転移のzalpha11リガンド誘発を評価するためにこのシステムに使用され得る。さらに、精製されたzalpha11リガンド又はzalpha11リガンドならし培地が、このマウスモデルに直接的に注入され、そして従って、このシステムに使用される。一般的な文献については、O’Reilly MS, など. Cell 79: 315-328, 1994, 及びRusciano D, など、Murine Models of Liver Metastasis, Invasion Metastasis 14: 349-361,1995を参照のこと。
【0230】
zalpha11リガンドは、腫瘍形成を処理することにおいて有用であり、そして従って、癌の処理において有用である。zalpha11リガンドは、抗−IgM刺激された正常B−細胞のIL-4刺激された増殖を阻害し、そして類似する効果が、B−細胞腫瘍に観察され、このことは低い増殖状態にB細胞腫瘍細胞を誘発するために、zalpha11リガンドにより患者を処理することに治療有益性が存在することを示す。リガンドは、従来の化学治療剤及び免疫モジュレータ−、例えばインターフェロンαを包含する使用において、他の剤と組合して投与され得る。α/βインターフェロンは、いくつかの白血病及び動物疾病モデルの処理において効果的であることが示されており、そしてインターフェクトα及びzalpha11リガンドの増殖阻害効果が少なくとも1つのB−細胞腫瘍由来細胞系のために見られる。
【0231】
本発明は、腫瘍性B又はT細胞の増殖を低めるために十分な量のzalpha11リガンドの組成物を、B又はT細胞新生物を有する哺乳類に投与することを含んで成る、腫瘍性B又はT細胞の増殖を低めるための方法を提供する。他の態様においては、前記組成物はまた、IL-2, IL-15, IL-4, GM-CSF, Flt3リガンド及び幹細胞因子から成る群から選択された少なくとも1つの他のサイトカインを含んで成る。
【0232】
もう1つの観点においては、本発明は、腫瘍性B又はT細胞の増殖を低めるために十分な量のzalpha11リガンドアンタゴニストの組成物を、B又はT細胞新生物を有する哺乳類に投与することを含んで成る、腫瘍性B又はT細胞の増殖を低めるための方法を提供する。他の態様においては、前記組成物はまた、IL-2, IL-15, IL-4, GM-CSF, Flt3リガンド及び幹細胞因子から成る群から選択された少なくとも1つの他のサイトカインを含んで成る。さらに、前記zalpha11リガンドアンタゴニストは、リガンド/毒素融合タンパク質であり得る。
【0233】
zalpha11リガンド−サポリン融合毒素が、類似する組の白血病及びリンパ種に対して使用され得、これはzalpha11リガンドにより処理され得る白血病の範囲を拡張する。zalpha11リガンド受容体の融毒素介在性活性化は、標的細胞の増殖を阻害するために2種の独立した手段を提供し、ここで第1の手段は、リガンドのみにより見られる効果と同一であり、そして第2の手段は、受容体インターナリゼーションを通しての毒素の供給によるものである。zalpha11受容体のリンパ球制限された発現パターンは、リガンド−サポリン接合体が患者により許容され得ることを示す。
【0234】
悪性疾患のための処理が同種骨髄又は幹細胞移植を包含する場合、zalpha11リガンドは、移植片−対−腫瘍効果の増強において価値がある。zalpha11リガンドは、骨髄前駆体からの溶解性NK細胞の生成を刺激し、そして抗原受容体の活性化に続くT−細胞の増殖を刺激する。従って、患者が同種骨髄移植を受ける場合、zalpha11リガンドは、ドナーリンパ球の注入を伴なって又は伴なわないで、抗−腫瘍応答の生成を増強するであろう。
【0235】
所定のサイトカインのための受容体の組織分布は、そのサイトカインの作用の可能性ある部位の強い徴候を付与する。zalpha11受容体のノザン分析は、ヒト膵臓、胸腺、リンパ節、骨髄及び末梢血液リンパ球における転写体を示した。特定の細胞型がzalpha11受容体を発現する場合、強いシグナルが混合されたリンパ球反応(MLR)及びBurkittリンパ腫Rajiにおいて同定され、そして見られた。2種の単球細胞系、すなわちTHP-1 (Tsuchiyaなど., Int. J. Cancer 26: 171-176, 1980) 及びU937(Sundstramなど., Int. J. Cancer 17: 565-577, 1996)は、陰性であった。
【0236】
zalpha11受容体は、2人の個人からの末梢血液単核細胞(PBMNC)が混合されているMLRにおいて比較的高いレベルで発現され、相互活性化がもたらされる。休眠T又はB細胞集団においてではなく、MLRにおける高レベルの転写体の検出は、zalpha11受容体発現が、活性化の間、1又は複数の細胞型において誘発され得ることを示す。T及びB細胞の単離された集団の活性化は、PMA及びイノマイシンによる細胞の刺激により人工的に活性化され得る。選別された細胞がそれらの活性化状態にゆだねられる場合、zalpha11受容体転写体のレベルが、両細胞型において上昇し、免疫応答においては、特に活性化の間、オートクライン及びパラクラインT及びB細胞拡張において、この受容体及びzalpha11リガンドに関する役割を支持する。zalpha11リガンドはまた、リンパ球生成に関与するより初期の前駆体の拡張において役割を演じることができる。
【0237】
zalpha11受容体は、休止T及びB細胞において低レベルで存在することが見出され、そして両細胞型においては、活性化の間、アップレギュレートされた。興味あることには、B細胞はまた、T細胞よりもすばやく、情報をダウンレギュレートし、このことは、シグナルの振幅及びシグナルの消光のタイミングが、B細胞応答の適切な調節のために重要であることを示す。
【0238】
さらに、高い割合の腸固有層細胞が、zalpha11受容体による陽性ハイブリダイゼーションシグナルを示す。この組織は、リンパ球細胞、例えば活性化されたCD4+ T細胞及び活性化されたB細胞の混合された集団から成る。免疫不全、特に粘膜免疫応答の慢性活性化が、クローン病の病因に重要な役割を演じており;前炎症性サイトカインに対する異常応答及びそのサイトカインの生成がまた、想定される要因である(Braeggerなど., Annals Allergy 72: 135-141, 1994; Sartor RB, Am. J. Gastroenterol. 92: 5S-11S, 1997)。IL-15に関するzalpha11リガンドは、骨髄前駆体からNK細胞を拡張し、そしてNK細胞エフェクター機能を増強する。
【0239】
zalpha11リガンドはまた、抗−CD40抗体により刺激される成熟B細胞を同時刺激するが、しかしIgMを通してシグナルへのB細胞増殖を阻害する。zalpha11リガンドは、T細胞受容体を通してシグナルに関するT細胞を増強し、そしてトランスジェニックマウスにおける過剰発現がリンパ球減少、及び単球及び顆粒球の拡張を導く。zalpha11リガンドのそれらの多形質発現性効果は、それが免疫系の欠陥から生じる広範囲の種類の疾病、例えば全身性エリテマトーデス(SLE)、リウマチ様関節炎(RA)、多発性硬化症(MS)、重症筋無力症及び糖尿症(但し、それらだけには限定されない)のために治療有用性を提供することを示唆する。
【0240】
それらの疾病が免疫不全の複雑なネットワークの結果であり(SLEは、T及びB細胞の欠陥の明示である)、そして免疫細胞が、可能性ある免疫応答を誘発するためにお互いとの相互作用に依存することを注目することは重要である。従って、1つのタイプ以上の免疫細胞を操作するために使用され得るzalpha11リガンド(又は前記リガンドのアンタゴニスト)は、疾病の複数の段階での介入のための魅力ある治療候補体である。
【0241】
本発明のポリペプチド及びタンパク質はまた、エクスビボ、例えば自己由来の骨髄培養物においても使用され得る。手短に言及すれば、骨髄が、化学治療又は器官移植の前、患者から除去され、そして任意には、1又は複数の他のサイトカインと組合して、zalpha11リガンドにより処理される。次に、処理された骨髄が、骨髄の回復を早めるために化学治療の後、又は移植片−対−宿主疾病を抑制するために移植の後、患者に戻される。さらに、本発明のタンパク質はまた、骨髄又は末梢血液前駆体(PBPC)細胞のエクスビボ拡張のために使用され得る。
【0242】
処理の前、骨髄が、末梢循環中に初期前駆体細胞を解放するために、幹細胞因子(SCF)により刺激され得る。それらの前駆体が、末梢血液から集められ、そして濃縮され、そして次に、培養において、任意には、1又は複数の他のサイトカイン、例えばSCF, IL-2, IL-4, IL-7又はIL-15と組合して、zalpha11リガンドにより処理され、分化され、そして高密度リンパ球培養物中に増殖され、次に、化学治療又は移植に続いて、患者に戻され得る。
【0243】
本発明は、zalpha11リガンドの不在下で培養される骨髄又は末梢血液細胞に比較して、骨髄又は末梢血液細胞におけるリンパ球の数を高めるために十分な量のzalpha11リガンドを含んで成る組成物と共に、骨髄又は末梢血液細胞を培養することを含んで成る、造血細胞及び造血細胞前駆体の拡張方法を提供する。他の態様においては、造血細胞及び造血前駆体細胞は、リンパ球細胞である。もう1つの態様においては、リンパ球細胞はNK細胞又は細胞毒性T細胞である。さらに、前記組成物はまた、IL-2, IL-15, IL-4, GM-CSF, Flt3リガンド及び幹細胞因子から成る群から選択された少なくとも1つの他のサイトカインを含んで成る。
【0244】
他方では、zalpha11リガンドは、感染性疾病に対する免疫性を高めることにおいて、免疫無防備状態の患者、例えばHIV+患者の処理において、又はワクチンを改良することにおいて重要である免疫系を活性化することができる。特に、NK細胞又はそれらの前駆体のzalpha11リガンド刺激又は拡張は、ウィルス感染の処理において治療的価値を、及び抗−腫瘍因子として提供する。NK細胞は転移性腫瘍細胞の排除において重要な役割を演じると思われ、そして転移及び固形腫瘍を有する患者は、低められたレベルのNK細胞活性を有する(Whitesideなど., Curr. Top. Microbiol. Immunol. 230: 221-244, 1998)。
【0245】
同様に、ウィルス及び非ウィルス病原剤(例えば、細菌、原生動物及び菌類)に対する免疫応答のzalpha11リガンド刺激は、そのような感染剤の増殖を阻害することによって、そのような感染の処理において治療価値を提供するであろう。身体に存在する病原体又は抗原、例えば腫瘍細胞のレベルの直接的又は間接的決定は、当業界において知られており、そして本明細書に記載される多くの方法により達成され得る。
【0246】
本発明は、抗原又は病原体に暴露される哺乳類における免疫応答を刺激するための方法を提供し、ここで前記方法は、(1)前記哺乳類に存在する抗原又は病原体のレベルを直接的又は間接的に決し;(2)医薬的に許容できるビークルにおけるzalpha11リガンドポリペプチドを含んで成る組成物を投与し;(3)前記哺乳類に存在する抗原又は病原体のレベルを直接的又は間接的に決し;そして(4)段階3における抗原又は病原体レベルに、段階1における抗原又は抗原体レベルを比較し、ここで前記レベルの変化が免疫応答の刺激の表示である段階を含んで成る。もう1つの態様においては、前記zalpha11リガンド組成物は、再投与される。他の態様においては、抗原はB細胞腫瘍;ウィルス;寄生体又は細菌である。
【0247】
もう1つの観点において、本発明は抗原又は病原体に暴露される哺乳類における免疫応答を刺激するための方法を提供し、ここで前記方法は、(1)抗原−又は病原体−特異的抗体のレベルを決定し;(2)許容できる医薬ビークルにzalpha11リガンドポリペプチドを含んで成る組成物を投与し;そして(3)抗原−又は病原体−特異的抗体の後投与レベルを決定し;(4)段階(3)における抗体のレベルに、段階(1)における抗体のレベルを比較し、ここで抗体レベルの上昇が免疫応答の刺激の表示であることを含んで成る。
【0248】
zalpha11リガンドポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、zalpha11リガンド活性を高め、又は阻害することが所望される遺伝子治療用途内で有用である。哺乳類が突然変異誘発されたzalpha11リガンド遺伝子を有するか、又はそれを欠いている場合、zalpha11リガンド遺伝子が哺乳類の細胞中に導入され得る。1つの態様においては、zalpha11リガンドポリペプチドをコードする遺伝子がウィルスベクターにおいてインビボで導入される。そのようなベクターは、弱毒化された又は欠陥DNAウィルス、例えばヘルペス単純ウィルス(HSV)、乳頭種ウィルス、エプスタイン−バールウィルス(EBV)、アデノウィルス、アデノ関連ウィルス(AAV)及び同様のものを包含するが、但しそれらだけには限定されない。
【0249】
ウィルス遺伝子を完全に又はほとんど完全に欠いている欠陥ウィルスが好ましい。欠陥ウィルスは、細胞中への導入の後、感染性ではない。欠陥ウィルスベクターの使用は、ベクターが他の細胞を感染することを心配しないで、特定の局在化された領域における細胞への投与を可能にする。特定のベクターの例は、次のものを包含するが、但しそれらだけには限定されない:欠陥ヘルペスウィルス1(HSV1)ベクター(Kaplitt など., Molc. Cell. Neurosci. 2: 320-30, 1991)、弱毒化されたアデノウィルス ベクター、例えばStratford-Perricaudat など. (J. Clin. Invest. 90: 626-30, 1992) により記載されるベクター、及び欠陥アデノ−関連ウィルスベクター(Samulski など., J. Virol. 61: 3096-101, 1987; Samulski など., J. Virol. 63: 3822-28,1989)。
【0250】
zalpha11リガンド遺伝子は、次の文献に記載のようにして、レトロウィルスベクターに導入され得る:Anderson など., アメリカ特許第5,399,346号;Mann など., Cell 33: 153, 1983; Temin など., アメリカ特許第4,650,764号;Temin など., アメリカ特許第4,980,289号;Markowitz など., J. Virol. 62: 1120, 1988; Temin など., アメリカ特許第5,124,263 号;Dougherty など., WIPO Publication WO95/07358 号;及びkuo など., Blood 82: 845-52, 1993。 他方では、ベクターは、リポソームを用いてのインビボリポフェクションにより導入され得る。合成カチオン脂質が、マーカーをコードする遺伝子のインビボトランスフェクションのためのリポソームを調製するために使用され得る(Felgner など., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84: 7413-17, 1987; 及びMackey など., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85: 8027-31, 1988)。
【0251】
インビボで特定の器官中に外因遺伝子を導入するためへのリポフェクションの使用は、一定の実際的な利点を有する。特定細胞へのリポソームの分子標的化は、1つの領域の利点を表す。特定細胞へのトランスフェクションの方向づけが1つの領域の利点を表すことは明白である。特定細胞型へのトランスフェクションの方向づけが、細胞異質性を有する組織、例えば膵臓、肝臓、腎臓及び脳において特に好都合であることは明白である。脂質は、標的化のために他の分子に科学的に得られる。標的化されたペプチド、(例えばホルモン又は神経伝達物質)、及びタンパク質、例えば抗体又は非ペプチド分子は、化学的にリポソームに結合され得る。
【0252】
身体から細胞を除去し、そして裸DNAプラスミドとしてベクターを導入し、そして次に、身体中に形質転換された細胞を再移植することは可能である。遺伝子治療のための裸DNAベクターは、所望する宿主細胞中に、当業界において知られている方法、例えばトランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、トランスダクション、細胞融合、DEAEデキストラン、リン酸カルシウム沈殿、遺伝子ガンの使用、又はDNAベクタートランスポーターの使用により導入され得る(例えば、Wu など., J. Biol. Chem. 267: 963-7, 1992; Wu など., J. Biol. Chem. 263: 14621-24, 1988)。
【0253】
アンチセンス方法は、zalpha11リガンド遺伝子転写を阻害するために、例えばインビボでの細胞増殖を阻害するために使用され得る。zalpha11リガンド−コードのポリヌクレオチドのセグメントに対して相補的であるポリヌクレオチド(例えば、配列番号1に示されるようなポリヌクレオチド)は、zalpha11リガンド−コードのmRNAに結合し、そしてそのようなmRNAの翻訳を阻害するよう企画される。そのようなアンチセンスポリヌクレオチドは、細胞培養物又は対象において、zalpha11リガンドポリペプチド−コードの遺伝子の発現を阻害するために使用される。
【0254】
“トランスジェニックマウス”として言及される、zalpha11リガンド遺伝子を発現するように構築されたマウス、及び“ノックアウトマウス”として言及される、zalpha11リガンド遺伝子機能の完全な不在を示すマウスがまた、生成され得る(Snouwaertなど., Science 257: 1083, 1992; Lowellなど., Nature 366: 740-742, 1993; Capecchi, Science 244: 1288-1292, 1989; Palmiterなど., Annu. Rev. Genet. 20: 465-499, 1986)。例えば、偏在的に、又は組織−特異的又は組織−制限されたプロモーター下でzalpha11リガンドを過剰発現するトランスジェニックマウスは、過剰発現が表現型を引き起こすかどうかを決定するために使用さえ得る。
【0255】
例えば、野生型zalpha11リガンドポリペプチド、そのポリペプチドフラグメント又は変異体の過剰発現は、正常な細胞工程を変更することができ、zalpha11リガンド発現が機能的に適切であり、そしてzalpha11リガンド、そのアゴニスト又はアンタゴニストのための治療標的物を示すことができる組織を同定する表現型をもたらす。例えば、構築する好ましいトランスジェニックマウスは、成熟zsig zalpha11リガンド(配列番号2のアミノ酸残基32−162)を過剰発現するものである。さらに、そのような過剰発現は、ヒト疾病との類似性を示す表現型をもたらすことができる。同様に、ノックアウトzalpha11リガンドマウスは、zalpha11リガンドがインビボで絶対的に必要とされる場所を決定するために使用され得る。
【0256】
ノックアウトマウスの表現型は、zalpha11リガンドアンタゴニスト、例えば本明細書に記載されるそれらのもののインビボ効果を予測することができる。ヒト又はマウスzalpha11リガンドcDNAは、ノックアウトマウスを生成するために使用される。それらのマウスは、zalpha11リガンド遺伝子及びそれによりコードされるタンパク質をインビボシステムにおいて研究するために使用され得、そして対応するヒト疾病のためのインビボモデルとして使用され得る。さらに、本明細書に記載される、zalpha11リガンドに対して向けられた、zalpha11リガンドアンチセンスポリヌクレオチド又はリボザイムのトランスジェニックマウス発現がまた、上記トランスジェニックマウスと同じようにして使用され得る。研究が、精製されたzalpha11リガンドタンパク質の投与により行われ得る。
【0257】
医薬使用のためには、本発明のタンパク質は、従来の方法に従って、非経口、特に静脈内又は皮下供給のために配合される。本明細書に記載される生物活性ポリペプチド又は抗体接合体は、静脈内、動脈内又は管内供給され得、又は作用の意図された部位で局部的に導入され得る。静脈内投与は、1〜数時間の典型的な期間、ボーラス注射又は注入により行われるであろう。一般的に、医薬製剤は、zalpha11リガンドタンパク質を、医薬的に許容できるビークル、例えば塩溶液、緩衝溶液、水中、5%デキストロース、又は同様のものと共にを含むであろう。
【0258】
製剤はさらに、1又は複数の賦形剤、保存剤、溶解剤、緩衝剤、バイアル表面上のタンパク質損失を妨げるためのアルブミン、等を含むことができる。配合方法は、当業界において良く知られており、そして例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Gennaro, ed., Mack Publishing Co., Easton, PA, 19th ed., 1995に開示される。治療用量は、一般的に、0.1〜100μg/kg患者の体重/日、好ましくは0.5〜20mg/kg/日の範囲であり、そして正確な用量は処理される病状の性質及び重症度、患者の特徴、等を考慮して、許容できる標準に従って、臨床医により決定される。
【0259】
用量の決定は、当業者のレベル内である。タンパク質は、急性処理のために、1週間又はそれ以下にわたって、しばしば1〜3日間にわたって投与され得、又は慢性処理のためには、数ヶ月〜数年にわたって使用され得る。一般的に、zalpha11リガンドの治療的有効量は、造血又は免疫機能における臨床的に有意な変化を生成するのに十分な量である。
【0260】
本発明は、次の非制限的な例によりさらに例示される。
実施例
例1
MPL-zalpha11 ポリペプチドキメラ、すなわち zalpha11 細胞内シグナル化ドメインに融合される MPL 細胞外及び TM ドメインの構成
ネズミMPL受容体の細胞外及びトランスメンブランドメインを、ネズミMPL受容体を含むプラスミド(PHZ1/MPLプラスミド)から、プライマーZC17,212(配列番号5)及びZC19,914(配列番号6)によるPCRを用いて単離した。
【0261】
反応条件は次の通りであった:95℃で1分;95℃で1分、45℃で1分、72℃で2分(35サイクル);続いて、72℃で10分;次に10℃でのソーキング。PCR生成物を、1%低融点アガロース(Boerhinger Mannheim,Indianapolis,IN)上に負荷し、そして約1.5kbのMPL受容体フラグメントを、QiaquickTM ゲル抽出キット(Qiagen)を用いて、製造業者の説明書に従って単離した。
【0262】
ヒトzalpha11の細胞内ドメインを、zalpha11受容体cDNAを含むプラスミドから、プライマーZC19,913(配列番号8)及びZC20,097(配列番号9)によるPCRを用いて単離した。zalpha11受容体コード配列に対応するポリヌクレオチドは、配列番号7に示され、そしてその対応するアミノ酸配列が配列番号115に示される。反応条件は上記の通りであった。PCR生成物を、1%低融点アガロース(Boerhinger Mannheim)上に負荷し、そして約900bpのzalpha11フラグメントを、Qiaquickゲル抽出キットを用いて、製造業者の説明に従って単離した。
【0263】
上記の単離されたフラグメントの個々を、1:1の体積比で混合し、そしてZC17,212(配列番号5)及びZC20,097(配列番号9)を用いてのPCR反応に使用し、MPL−zalpha11キメラを創造した。反応条件は次の通りであった;95℃で1分;95℃で1分、55℃で1分、72℃で2分(35サイクル);続いて、72℃で10分;次に10℃でのソーキング。全PCR生成物を、1%低融点アガロース(Boehringer Mannheim)上に負荷し、そして約2.4kbのMPL−zalpha11キメラフラグメントを、Qiaquickゲル抽出キット(Qiagen)を用いて、製造業者の説明書に従って単離した。
【0264】
MPL−zalpha11キメラフラグメントを、EcoRI(BRL)及びXbaI (Boerhringer Mannheim) により、製造業者の説明書に従って消化した。全消化物を、1%低融点アガロース(Boehringer Mannheim)上に負荷し、そいて分離されたMPL−zalpha11キメラを、QiaquickTM ゲル抽出キット(Qiagen)を用いて、製造業者の説明書に従って単離した。その得られる分解されたMPL−zalpha11キメラを、下記のようにして発現ベクター中に挿入した。
【0265】
受容体発現ベクターpZP−5Nを、EcoRI(BRL)及びHindIII(BRL)により、製造業者の説明書に従って消化し、そして上記のようにしてゲル精製した。このベクターフラグメントを、上記で単離された、EcoRI及びXbaI切断されたMPL−zalpha11キメラ及び、XbaI/HindIIIリンカーフラグメントと共に連結反応において組合した。この連結は、T4リガーゼ(BRL)を用いて、15℃で一晩、行われた。連結のサンプルを、DH10B ElectroMAXTM エレクトロコンピテントE.コリ細胞においてエレクトロポレートした(25μF、200Ω、2.3V)。形質転換体を、LB+Ampicillinプレート上にプレートし、そして単一のコロニーを、上記のようなPCRコロニーを用いて、ZC17,212(配列番号5)及びZC20,097(配列番号9)を用いてのPCRによりスクリーンし、MPL−zalpha11キメラを調べた。
【0266】
MPL−zalpha11キメラ配列の確認を、次のプライマーを用いての配列分析により行った:ZC12,700(配列番号10)、ZC5,020(配列番号11)、ZC6,675(配列番号12)、ZC7,727(配列番号13)、ZC8,290(配列番号14)、ZC19,572(配列番号15)、ZC6,622(配列番号16)、ZC7,736(配列番号17)及びZC9,273(配列番号18)。この挿入体は、約2,4bpであり、そして十分な長さであった。
【0267】
例2
Alamar Blue を用いての BAF3 アッセイにおける、 MPL zalpha11 キメラに基づく増殖
A. BaF3 細胞発現の MPL zalpha11 キメラの構成
BaF3、すなわちネズミ骨髄に由来するインターロイキン−3 (IL-3) 依存性プレ−リンパ球細胞系(Palacios and Steinmetz, Cell 41: 727-734, 1985; Mathey-Prevot など.,Mol. Cell. Biol. 6:4133-4135, 1986)を、10%熱−不活性化されたウシ胎児血清、2ng/mlのネズミIL-3 (mIL-3) (R&D. Minneapolis, MN)、2mMのL-glutaMax-1TM (Gibco BRL), 1mMのピルビン酸ナトリウム(Gibco BRL)及びPSN抗生物質(Gibco BRL)により補充された完全倍地(RPMI培地(JRH Bioscience Inc., Lenexa, KS))において維持した。
【0268】
エレクトロポレーションの前、pZP-5N/MPL−zalpha11プラスミドDNA(例1)を調製し、そしてQiagen Maxi Prepキット(Qiagen)を用いて、製造業者の説明書に従って精製した。エレクトロポレーションのためのBaF3細胞を、RPMI培地により1度洗浄し、そして次に、RPMI培地に107個の細胞/mlの細胞密度で再懸濁した。1mlの再懸濁されたBaF3細胞を、30μgのpZP-5N/MPL−zalpha11プラスミドDNAと共に混合し、そして別々の使い捨てエレクトロポレーションチャンバー(GIBCO BRL)に移した。室温での15分間のインキュベーションの後、細胞に、エレクトロポレーション装置(CELL−PORATORTM;GIBCO BRL)により供給される2回の連続したショック(800 1Fad/300V;1180 1Fad/300V)を与えた。
【0269】
5分間の回復時間の後、エレクトロポレートされた細胞を、50mlの完全培地に移し、そしてインキュベーターに、15−24時間(37℃、5%CO2)配置した。次に、細胞を回転沈降せしめ、そしてT−162フラスコにおける、GeneticinTM (Gibco) 選択(500μg/mlのG418)を含む完全培地50mlに再懸濁し、G418−耐性プールを単離した。この後、BaF3/MPL−zalpha11細胞と呼ばれる、トランスフェクトされたBaF3細胞のプールを、下記のようにして、シグナル化能力についてアッセイした。
【0270】
B. Alamar Blue 増殖アッセイを用いての BaF3/MPL zalpha11 細胞のシグナル化能力の試験
BaF3/MPL−zalpha11細胞を、回転沈降し、そして上記のようであるが、しかしIL-3を含まない完全培地(この後“mIL-3フリー培地”と称する)により洗浄した。細胞を回転せしめ、そして3度洗浄し、mIL-3の除去を確かにした。次に、細胞を、血球計により計数した。細胞を、mIL-3フリー培地を用いて、ウェル当たり100μlの体積に5000個の細胞を含むような96−ウェル形式でプレートした。
【0271】
BaF3/MPL−zalpha11細胞の増殖を、mIL-3フリー培地により、500ng/ml, 250ng/ml, 125ng/ml, 62ng/ml, 30ng/ml, 15ng/ml, 7.5ng/ml, 3.75ng/ml, 1.8ng/ml, 0.9ng/ml, 0.5ng/ml及び0.25ng/mlの濃度に希釈されたネズミmトロンボポエチン(mTPO)を用いて評価した。100μlの希釈されたmTPOを、BaF3/MPL−zalpha11細胞に添加した。全アッセイ体積は200μlである。負の対照を、mTPOの添加を伴なわないで、mTL-3フリー培地のみを用いて同時に実験した。アッセイプレートを、37℃で、5%CO2において3日間、インキュベートし、この時点で、Alamar Blue (Accumed, Chicago, IL) を、20μl/ウェルで添加した。
【0272】
Alamar Blueは、細胞の代謝活性に基づいて蛍光計読み取りを与え、そして従って、負の対照に比較しての細胞増殖の直接的な測定である。プレートを再び、37℃で、5%CO2において、24時間インキュベートした。プレートを、SoftMaxTM Proプログラムを用いて、544 (励起) 及び590 (放射)の波長で、FmaxTM プレートリーダー(Molecular Devices Sunnyralc, CA)上で読み取った。
結果は、トロンボポエチンが、62ng/ml及びそれ以上のmTPO濃度でバックグラウンドよりも約10倍、増殖を誘発するので、zalpha11受容体の細胞内部分のシグナル化能力を確かめた。
【0273】
例3
完全な長さの zalpha11 を発現する発現ベクターの構成
完全zalpha11受容体を、プライマーZC19,905(配列番号19)及びZC19,906(配列番号20)を用いてのPCRにより、zalpha11受容体cDNA(配列番号7)を含むプラスミドから単離した。反応条件は次の通りであった:95℃で1分;95℃で1分、55℃で1分、72℃で2分(35サイクル);続い72℃で10分;次に10℃でのソーキング。PCR生成物を、1%の低融点アガロース(Beerhinger Mannheim)ゲル上に負荷し、そしてQiaquickTM 抽出キット(Qiagen)を用いて、製造業者の説明に従って、約1.5kbのzalpha11 cDNAを単離した。
【0274】
精製されたzalpha11 cDNAを、BamHI(Boerhinger Mannheim)及びEcoRI(BRL)により、製造業者の説明書に従って、消化した。全消化物を、1%低融点アガロース(Boerhinger Mannheim)ゲル上に負荷し、そして切断されたzalpha11フラグメントを、QiaquickTM 抽出キットを用いて、製造業者の説明書に従って精製した。その得られる切断されたzalpha11フラグメントを、下記のようにして、発現ベクター中に挿入した。
【0275】
受容体発現ベクターpZP-5Nを、BamHI(Boerhinger Mannheim)及びEcoRI(BRL)により、製造業者の説明書に従って消化し、そしてゲルを上記のようにして精製した。このベクターフラグメントを、T4リガーゼ(BRL)を用いての連結反応において、上記のようにして単離された、BamHI及びEcoRI切断されたzalpha11フラグメントと共に組合した。この連結物を、15℃で一晩インキュベートした。連結物のサンプルを、DH10B electroMAcTM エレクトロコンピテントE.コリ細胞中にエレクトロポレートした(25μF、200Ω、2.3V)。形質転換体を、LB+アンピシリンプレート上にプレートし、そして単一のコロニーを、上記のようなPCR条件を用いて、ZC19,905(配列番号19)及びZC19,906(配列番号20)を用いてのPCRによりスクリーンし、zalpha11配列について調べた。
【0276】
zalpha11配列の確認を、次のプライマーを用いての配列分析により行った:ZC12,700(配列番号10)、ZC5,020(配列番号11)、ZC20,114(配列番号21)、ZC19,459(配列番号32)、ZC19,954(配列番号23)及びZC20,116(配列番号24)。挿入体は約1.6kbであり、そして完全な長さであった。
【0277】
例4
Alamar Blue を用いての BaF3 アッセイにおける zalpha11 に基づく増殖
A. zalpha11 受容体を発現する BaF3 細胞の構成
完全な長さのzalpha11受容体を発現するBaF3細胞を、上記例3に記載されるzalpha11発現ベクター30μlを用いて、上記例2Aに従って構成した。zalpha11リガンド受容体mRNAを発現するBaF3細胞を、BaF3/zalpha11として命名した。それらの細胞を、例5及び6に記載のようにして、zalpha11リガンドについてスクリーンするために使用した。
【0278】
例5
Alamar Blue 増殖アッセイによる、 BaF3/zalpha11 細胞を用いての zalpha11 リガンドについてのスクリーニング
A.zalpha11 リガンドの存在について試験するための一次モンキー脾臓細胞の活性化
モンキー脾臓細胞を、インビトロで刺激し、ならし培地を生成し、下記のようにして、zalpha11リガンド活性の存在について試験した。モンキー脾臓は、8歳の雌のM.ネセストリアン(M. nesestrian)モンキーから得られた。脾臓を細かく切り、単一の細胞懸濁液を生成した。
【0279】
単核細胞を、Ficoll-Paque(商標)PLUS (Pharmacia Biotech, Uppsala, Sweden) 密度グラジエントにより単離した。単核細胞を、10%FBSにより補充されたRPMI-1640培地に、2×104個の細胞/mlで接種し、そして5ng/mlのホルボール−12−ミリステート−13−アセテート(PMA)(Calbiochem, San Diego, CA)及び0.5mg/mlのIonomycinTM (Calbiochem) により48時間、活性化した。前記刺激されたモンキー脾臓細胞からの上清液を用いて、下記のようにして、BaF3/zalpha11細胞の増殖をアッセイした。
【0280】
B. Alamar Blue 増殖アッセイによる、 BaF3/zalpha11 細胞を用いての zalpha11 リガンドについてのスクリーニング
BaF3/zalpha11細胞を回転沈降し、そしてmIL-3フリー培地により洗浄した。細胞を回転せしめ、そして3度洗浄し、mIL-3の除去を確保した。次に、細胞を血球計により計数した。細胞を、mIL−3フリー培地を用いて、ウェル当たり100μlの体積に5000個の細胞を含むような96−ウェル形式でプレートした。
【0281】
Baf3/zalpha11細胞の増殖を、活性化されたモンキー脾臓(例5A)からのならし培地を用いて評価した。ならし培地は、mIL-3フリー培地により、50%、25%、12.5%、6.2%、3.12%、1.5%、0.75%及び0.375%の濃度に希釈した。希釈されたならし培地100μlを、BaF3/zalpha11細胞に添加した。合計アッセイ体積は200μlである。アッセイプレートを37℃で、5%CO2下で3日間インキュベートし、この時点で、Alamar Blue (Accumed, Chicago, IL) を、20μl/ウェルで添加した。プレートを再び、37℃で、5%CO2下で24時間インキュベートした。プレートを、上記(例2)のようにして、FmaxTM プレートリーダー(Molecular Devices)上で読み取った。
【0282】
結果は、活性化されたモンキー脾臓ならし培地に存在する因子に対するBaF3/zalpha11細胞の増殖応答を確かめた。その応答は、測定される場合、50%の濃度でバックグラウンドの約4倍であった。トランスフェクトされていないBaF3細胞は、この因子に対する応答において増殖せず、このことは、この因子がzalpha11受容体に対して特異的であることを示す。
【0283】
C. zalpha11 リガンドを単離するために使用されるヒト一次源
100mlの血液を、6人のドナーの個々から採血した。血液を、ヘパリンを含む10×10mlのバキュティナー(vacutainer)を用いて採集した。血液を、6人のドナーからプールL(600ml)、PBSにより1:1に希釈し、そしてFicoll−Paque(商標)PLUS (Pharmacia Biotech) を用いて、分離した。単離された一次ヒト細胞収量は、Ficollグラジエント上での分離の後、1.2×104個の細胞であった。
【0284】
細胞を、9.6mlのMACS緩衝液(PBS、0.5%EDTA, 2mMのEDTA)に懸濁した。細胞懸濁液1.6mlを除き、そして0.4mlのCD3微小ビーズ(Miltenyi Biotec, Auburn, CA)を添加した。その混合物を4℃で15分間インキュベートした。CD3ビーズによりラベルされたそれらの細胞を、30mlのMACS緩衝液により洗浄し、そして次に、2mlのMACS緩衝液に懸濁した。
【0285】
VS+カラム(Miltenyi)を、製造業者の説明書に従って調製した。次に、VS+カラムを、VarioMACSTM 磁場(Miltenyi)に配置した。カラムを、5mlのMACS緩衝液により平衡化した。次に、単離された一次ヒト細胞を、カラムに適用した。CD3陰性細胞を通過した。カラム9ml(3×3ml)のMACS緩衝液によりすすいだ。次に、カラムを磁石から除去し、そして15mlのファルコン管上に配置した。CD3+細胞を、カラムに5mlのMACS緩衝液を添加することにより溶出し、そして結合された細胞を、製造業者により提供されるプランジャーを用いて、フラッシュした。細胞とCD3磁気ビーズとのインキュベーション、洗浄、及び上記VS+カラム段階(インキュベーション〜溶出)を、さらに5度、反復した。6種のカラム分離からのその得られるCD3+選択されたヒト細胞の収量は、合計3×108個の細胞であった。
【0286】
プールされたCD3+選択されたヒト細胞のサンプルを、それらの純度を評価するために、蛍光抗体細胞ソーター(FACS)に基づいて、染色し、そして分類するために除去した。ヒトCD3+選択された細胞は、91%のCD3+細胞であった。
ヒトCD3+選択された細胞を、RPMI+5%FBS+10ng/mlのPMA及び0.5μg/mlのIonomycin (Calbiochem) において37℃で13時間インキュベートすることにより活性化した。それらの活性化されたCD3+選択されたヒト細胞からの上清液を、下記のようにして、zalpha11リガンド活性について試験した。さらに、前記活性化されたCD3+選択されたヒト細胞を、下記例6に記載のようにして、cDNAライブラリーを調製するために使用した。
【0287】
D. BaF3/zalpha11 細胞及び Alamar Blue 増殖アッセイを用いての zalpha11 リガンドについての活性化された CD3 +選択されたヒト細部からの上清液
BaF3/zalpha11細胞を回転沈降し、そしてmIL-3フリー培地により洗浄した。細胞を回転せしめ、そして3度洗浄し、mIL-3の除去を確保した。次に、細胞を血球計により計数した。細胞を、mIL−3フリー培地を用いて、ウェル当たり100μlの体積に5000個の細胞を含むような96−ウェル形式でプレートした。
【0288】
BaF3/zalpha11細胞の増殖を、mIL-3フリー培地により50%、25%、12.5%、6.25%、3.125%、1.5%、0.75%及び0.375%濃度に希釈された、活性化されたCD3+選択されたヒト細胞(例5Cを参照のこと)からのならし培地を用いて評価した。希釈されたならし培地100μlを、BaF3/zalpha11細胞に添加した。合計のアッセイ体積は200μlである。アッセイプレートを、例5Bに記載のようにしてインキュベートし、そしてアッセイした。
【0289】
結果は、活性化されたCD3+選択されたヒト細胞ならし培地に存在する因子に対するBaF3/zalpha11細胞の増殖応答を確かめた。前記応答は、測定される場合、50%濃度で、バックグラウンドよりも約10倍、高かった。トランスフェクトされていないBaF3細胞は、この因子に対する応答において増殖せず、このことは、この因子がzalpha11受容体に対して特異的であることを示す。さらに、可溶性のzalpha11受容体は、BaF3/zalpha11細胞においてこの増殖活性を阻止した(例11を参照のこと)。
【0290】
例6
ヒト CD3 +選択された細胞ライブラリーからの連結されるヒト zalpha11 のクローニング:
一次ヒト活性化された、CD3+選択された細胞cDNAライブラリーのスクリーニングは、4−ヘリックス−束サイトカインファミリーの新規メンバーである単離されたcDNAを示した。このcDNAは、zalpha11リガンドをコードした。このcDNAは、zalpha11受容体を用いてzalpha11リガンドの活性についてスクリーニングすることにより同定された。
【0291】
A. CD3 +選択されたライブラリー構成のためのベクター:
CD3+選択されたライブラリー構成のためのベクターは、pZP7NXであった。前記pZP7NXベクターを次の通りにして構成した:ベクターpZP7におけるDHFR選択マーカーについてのコード領域を、NcoI及びPstI制限酸素(Boehringer Mannheim)によるDNA消化により除去した。消化されたDNAを、1%アガロースゲル上に負荷し、切断し、そしてQiagenゲル抽出キット(Qiage)を用いて、製造業者の説明書に従ってゲル精製した。
【0292】
Zeocin選択マーカーのコード領域を表すDNAフラグメントを、鋳型として、プライマーZC13,946 (配列番号25) 及びZC13,945(配列番号26)、及びpZcoSV2(+)を用いてのPCR方法により増殖した。プライマーZC13,946(配列番号25)に追加のPstI及びBclI制限部位、及びプライマーZC13,945(配列番号26)に追加のNcoI及びSfuI部位が存在する。PCRフラグメントを、PstI及びNcoI制限酸素により切断し、そして同じ2種の酸素により分離し、そして続いてゲル精製することによって調製されたpZP7ベクター中にクローン化した。このベクターをpZP7Zと命名した。
【0293】
次に、Zeocinコード領域を、BclI及びSfuI制限酸素によるベクターpZP7ZのDNA消化により除去した。消化されたDNAを、1%アガロース上に負荷し、切断し、そしてゲル精製し、そして次に、同じ酸素(BclI及びSfuI)によりpZem228ベクター(American Type Culture Collection (ATCC), Manassas, VAに寄託されている;ATCC寄託番号69446号)から切断されたネオマイシンコード領域のDNAフラグメントにより連結した。
【0294】
この新規ベクターをpZP7Nと命名し、ここでDHFR選択マーカーのためのコード領域を、ベクターpZem228からのネオマイシン選択マーカーのためのコード領域により置換した。XhoI部位を包含するスタッファーフラグメントを、cDNAの高い効率の方向ずけクローニングのために適切なベクターを創造するためにpZP7Nに付加し;この新規ベクターをpZP7NXと命名した。cDNAのためのベクターを調製するために、20μgのpZP7NXを、20単位のEcoRI(Life Technologies gaithersberg, MD)及び20単位のXhoI(Boehringer Mannheim Indianapolis,IN)により、37℃で5時間、次に68℃で15分間、消化した。
【0295】
次に、その消化物を、0.8%低融点アガロースIXTAEゲル上に負荷し、ベクターから前記スタッファーを分離した。ベクターバンドを切出し、そして“β−アガラーゼ”(New England Biolabs. Beverly, MA)により、製造業者の推薦に従って消化した。エタノール沈殿の後、消化されたベクターを、下記のCD3+選択されたcDNAライブラリーの連結のための調製において、水に再懸濁し、45ng/mlの濃度にした。
【0296】
B. 一次ヒト活性化された CD3 +選択された細胞 cDNA ライブラリーの調製:
イノマイシン/PMAにおいて刺激された、約1.5×108個の一次ヒトCD3+選択された細胞を、37℃で13時間の培養(例5C)の後、遠心分離により単離した。全RNAを、Qiagen, Inc. (Valencia, CA) からの“NNeasy Midi”キットを用いて、細胞ペレットから単離した。mRNAを、CPG Inc. (Lincoln Park, NJ) からの“MPG mRNA精製キット”を用いて、全RNA225μgから単離した。3.4μgのmRNAを単離し、そして次の方法を用いて、二本鎖cDNAに転換した。
【0297】
刺激されたヒトCD3+選択された細胞からの第1鎖cDNAを、次の通りに合成した。0.34μg/μlの濃度での9μlのOligo d(T)−選択されたポリ(A)CD3+ RNA, 及びXhoI制限部位を含む1μg/μlの第1プライマーZC18,698(配列番号27)1.0μlを、混合し、そして65℃で4分間、加熱し、そして氷上での急冷により冷却した。第1鎖cDNA合成を、RNA−プライマー混合物への9μlの第1鎖緩衝液(5×SUPERSCRIPT(商標)緩衝液;Life Technologies)、4μlの100mMジチオトレイトール、及びそれぞれ10mMのdATP, dGTP, dTTP及び5−メチル−dCTPを含むデオキシヌクレオチドミリン酸溶液(Pharmacia Biotech Inc.)2μlの添加により開始した。
【0298】
反応混合物を、45℃で4分間インキュベートし、続いて、200U/μlのSuperscript II(商標), RNアーゼII−逆転写酵素(Life Technologies)8μlを添加した。反応を45℃で45分間インキュベートし、続いて、50℃まで2分ごとに1℃のインキュベーション傾斜を伴ない、ここで反応は10分間、維持された。いずれかの二次構造を変性し、そしてcDNAの追加の延長を可能にするために、反応を70℃に2分間加熱し、次に55℃に4分間、下げ、この後、2μlのSuperscript II(商標)RTを添加し、そしてさらに15分間インキュベートし、続いて、70℃まで1分/1℃の傾斜を伴なった。組み込まれなかったヌクレオチドを、2μgのグリコーゲンキャリヤー、2.0Mの酢酸アンモニウム及び2.5体積のエタノールの存在下で2度、沈殿せしめ、続いて70%エタノールにより洗浄することにより、cDNAから除去した。cDNAを、第2鎖合成への使用のために、98μlの水に再懸濁した。
【0299】
第2鎖合成を、DNAヘパリン形成をもたらす第2鎖合成の第1鎖プライミングを促進する条件下で、第1鎖cDNAに対して行った。第2鎖反応は、98μlの前記第1鎖cDNA、30μlの5×ポリメラーゼI緩衝液(100mMのトリス−HCl, pH7.5, 500mMのKCL, 25mMのMgCl2, 50mMの(NH4)2 SO4)、2μlの100Mジチオトレイトール、それぞれ10mMのデオキシヌクレオチド三リン酸を含む溶液6μl、5mMのb-NAD5μl、30/μlのE.コリDNAリガーゼ(New England Biolabs Inc.)1μl、及び10U/μlのE.コリDNAポリメラーゼI(New England Biolabs Inc.)4μlを含んだ。
【0300】
反応を、室温でアッセンブリーし、そして室温で2分間インキュベートし、続いて、3.8U/μlのRNアーゼH(Life Technologies)4μlを添加した。反応を、15℃で2時間、続いて室温で15分間インキュベートした。1MのTRIS(pH7.4)10μlを反応に添加し、そしてフェノール/クロロホルムにより2度及びクロロホルムにより1度、抽出し、次に有機相を50μlのTE(10mMのTRISl、pH7.4、1mMのEDTA)により戻し抽出し、他の水性物と共にプールし、そして0.3Mの酢酸ナトリウムの存在下でエタノール沈殿した。ペレットを、70%エタノール100μlにより洗浄し、空気乾燥し、そして水40μlに懸濁した。
【0301】
ヘアーピン構造の1本鎖のDNAを、ヤエナリヌクレアーゼを用いて切断した。反応混合物は、40μlの第2鎖cDNA、5μlの10×ヤエナリヌクレアーゼ緩衝液(Life Technologies)、1×ヤエナリヌクレアーゼ緩衝液により1U/μlに希釈されたヤエナリヌクレアーゼ(Phamacia Biotech Corp.)5μlを含んだ。反応を37℃で45分間インキュベートした。反応を、1Mのトリス−HCl(pH7.4)10μlの添加により停止し、続いて、上記のように、連続的フェノール/クロロホルム及びクロロホルム抽出を行った。抽出に続いて、cDNAを、0.3Mの酢酸ナトリウムの存在下でエタノール沈殿した。ペレットを、70%エタノール100μlにより洗浄し、空気乾燥し、そして38μlの水に再懸濁した。
【0302】
前記再懸濁されたcDNAを、T4 DNAポリメラーゼによりフラグメント末端化した。水38μlに再懸濁されたcDNAを、12μlの5×T4 DNAポリメラーゼ懸濁液(250mMのトリス−HCl、pH8.0、250mMのKCl、25mMのMgCl2)、2μlの0.1Mジチオトレイトール、それぞれ10mMのデオキシヌクレオチド三リン酸を含む溶液6μl、及び1U/μlのT4 DNAポリメラーゼ(Boehringer Mannheim Corp.)2μlと共に混合した。15℃で45分間のインキュベーションの後、反応を、30μlのTEの添加により停止し、続いて、連続的フェノール/クロロホルム及びクロロホルム抽出を行い、そして上記のように、20μlのTEにより戻し抽出を行った。DNAを、2μlのPellet PaintTM (Novagen) キャリヤー及び0.2Mの酢酸ナトリウムの存在下でエタノール沈殿し、そして水11μlに再懸濁した。
【0303】
EcoRIアダプターを、発現ベクター中へのクローニングを可能にするために、上記cDNAの5’末端上に連結した。11μlのcDNA及び65pモル/μlのEcoRIへミリン酸化されたアダプター(Pharmacia Biotech Corp.)4μlを、5μlの5×リガーゼ緩衝液(Life Technologies)、10mMのATP2μl及び1U/μlのT4 DNAリガーゼ(Life Technologies)3μl、1μlの10×連結緩衝液(Promega Corp)、9μlの水と共に混合した。1×緩衝液による特別な希釈は、ペレットペイントの沈殿を妨げることであった。反応を、10℃〜22℃の水浴温度傾斜を伴なって、9時間、続いて25℃で45分間インキュベートした。反応を、68℃で15分間のインキュベーションにより停止した。
【0304】
発現ベクター中へのcDNAの方向ずけクローニングを促進するために、cDNAをXhoIにより消化し、5’側EcoRI付着端及び3’側XhoI付着端を有するcDNAをもたらした。cDNAの3’末端でのXhoI制限部位を、ZC18698(配列番号27)プライマーを用いて、前もって導入した。制限酵素消化を、上記連結混合物35μl、10×H緩衝液(Boehringer Mannheim Corp.)6μl、2mg/mlのBSA(Biolabs Corp.)1μl、水17μl及び40U/μlのXhoI(Boehringer Mannheim)10μlを含む反応混合物において行った。消化は、37℃で1時間、行われた。反応を、68℃での15分間のインキュベーションにより停止し、続いてエタノール沈殿し、上記のようにして洗浄乾燥し、そして水30μlに再懸濁した。
【0305】
再懸濁されたcDNAを、65℃に5分間、加熱し、そして氷上で冷却し、4μlの5×ゲル負荷色素(Research Genetics Cor.)を添加し、cDNAを0.8%低溶融アガロース1×TAEゲル(SEA PLAQUE GTGTM 低溶融アガロース;FMC Corp.)上に負荷し、そして電気泳動した。汚染性アダプター及び長さ0.6kb以下のcDNAをゲルから切除した。電極を逆にし、溶融されたアガロースを添加し、ウェルを満たし、緩衝液を変え、そしてcDNAを、レーン起点近くで濃縮されるまで、電気泳動した。濃縮されたcDNAを含むゲルの部分を切除し、そして微小遠心分離管に配置し、そしてアガロースを、65℃に15分間、加熱することにより溶解した。
【0306】
45℃にサンプルを平衡化した後、2μlの1U/μlのβ−アガロースI(Biolabs, Inc.)を添加し、そしてその混合物を45℃で90分間インキュベートし、アガロースを消化した。インキュベーションの後、1/10体積の3Mの酢酸ナトリウムをサンプルに添加し、そしてその混合物を15分間、氷上でインキュベートした。サンプルを、室温で14,000×gで15分間、遠心分離し、消化されなかったアガロースを除去し、cDNAをエタノール沈殿し、70%エタノールにより洗浄し、空気乾燥し、そして水40μlにおいて再懸濁した。
【0307】
ベクターに対するcDNAの最適比を決定するために、いくつかの連結をアセンブルし、そしてエレクトロポレートした。手短に言及すると、2μlの5×T4リガーゼ緩衝液(Life Tehnologies)、10mMのATP 1μl、EcoRI−XhoIにより消化されたpZP7NX、0.25μg/μlに希釈されたT4 DNAリガーゼ(Life Technologies)1μl、10μlまでの水、及び0.5、1.2又は3μlのcDNAを、4回の別々の連結において混合し、22℃で4時間、68℃で20分間インキュベートし、酢酸ナトリウム−エタノール沈殿し、洗浄し、乾燥せしめ、そして再懸濁した。
【0308】
1μlの個々の連結物を、0.1cmのキュベット(Biorad)及び2.5KV, 251F, 200Ωに設定されたGenepulser, Pulse ControllerTM (Biorad) を用いて、40μlのDH10b ElectroMaxTM エレクトロコンピテント細菌(Life Technologies)中にエレクトロポレートした。それらの細胞をすぐに、1mlのSOCブイヨン(Manniatis, など. 前記)に再懸濁し、続いて、保存剤としての50%グリセロール−SOS500を添加した。それらの“グリセロール原液”を、いくつかのアリコートに分け、−70℃で凍結した。個々のアリコートを融解し、そして100μg/mlでのアンピシリンにより補充されたLB−寒天プレート上に連続的にプレートした。コロニー数は、pZP7NXベクターに対するCD3+cDNAの最適割合が1μl〜45ngであることを示し;その連結は4.5百万の一次クローンを生成した。
【0309】
上記からのBaF3−zalpha11に基づく増殖アッセイ(例5)を用いてこのライブラリーのスクリーニングのために、上記からのグリセロール原液を、深いウェルのマイクロタイタープレートにおいてプレート当たり100又は250個のクローンの液体培養物中に希釈し、振盪しながら37℃で24時間、増殖し、そしてプラスミドを、Qiagenキットを用いて、製造業者の説明書に従って単離した。続いて、そのようなDNAを、BHK細胞中にトランスフェクトし、培地を72時間、条件づけ、収穫し、そして5K BaF3−zalpha11細胞上に72時間、配置し、その後、増殖を、“Alamar ブルー”蛍光アッセイ(例5B及び例2B)を用いて評価した。
【0310】
分泌トラップクローニングによるライブラリーのスクリーニングのためには、ライブラリーの増幅された形が、COS−7細胞をトランスフェクトするために必要とされた。約4.8百分のクローンを、100μg/mlのアンピシリン、10μg/mlのメチシリンにより補充された110の15cm−LB−寒天プレート上にプレートした。プレートを37℃で一晩、増殖した後、細菌を、削ることにより収穫し、そしてペレット化した。プラスミドDNAを、前記ペレット化された細菌から、Nucleobond-gigaTM (Clonetech)を用いて、製造業者の説明者に従って抽出した。次に、このプラスミドを用いて、スライド上のCOS−7細胞(ATCC No. CRL1651)をトランスフェクトし、そして下記の分泌トラップ技法(例12)を用いてスクリーンした。
【0311】
例7:
ヒト zalpha11 リガンドの発現クローニング:
活性化されたヒトCD3+選択された細胞ライブラリー(例6)からのグリセロール原液を、800μl当たり250個の細胞の濃度で、Super Broth IITM (Becton Dicknson, Cockeysville, MD) +0.1mg/mlのアンピシリン(amp)に添加した。E.コリ細胞を、室温で24時間、平衡化した。接種の時点で、100μlを、LB+ampプレートにプレートし、接種の実際の力価を決定した。24時間後、プレートを計数し、そして次に、SuperBrothIITM +E.コリの最終濃度を、その最終濃度が1.2ml当たり250個の細胞になるよう調節した。
【0312】
3×2lが接種された(合計6l)。次に、培地を、96−ウェルの深いウェルブロック(Qiagen)中にプレートした。プレート化は、8−チャンネルQ−Fill2TM ディスペンサー(Genetic, Christchurch, Dorset, UK)上で行われた。E.コリを、New Brunswick Scientific Innova 4900複数列振盪機上で、250回転/分で振盪しながら、37℃で一晩、増殖した。E.コリを、Beckman GS-6KR 遠心分離機を用いて、3000rpmで溶液から回転沈殿せしめた。それらのE.コリペレットを、−20℃で凍結し、又はプラスミドDNAをミニ−調製する前、新たに使用した。個々のペレットは、ヒトCD3+選択された細胞ライブラリーからの約250個のcDNAクローンを含む。
【0313】
次に、250個のcDNAクローンのそれらのプールを、QIAprepTM 96Turbo Miniprep キット(Qiagen)を用いてミニ−調製した。プラスミドDNAを、125μlのTE(10mMのトリス、pH8, 1mMのEDTA)を用いて溶出した。次に、このプラスミドDNAを用いて、BHK細胞をトランスフェクトした。
【0314】
BHK トランスフェクション;
BHK細胞を、ウェル当たり100μlの体積において、ウェル当たり12,000個の細胞の密度で96−ウェル組織培養プレートにプレートした。培養培地は、DMEM(GibcoBRL)、5%の熱不活性化されたウシ胎児血清、2mMのL−グルタミン(GibcoBRL)、1×PSN(Gibco BRL),1mMのNaPyruvate(GibcoBRL)を含んだ。
次の日、BHK細胞を、100μlのSFAにより1度、洗浄した。SFAは、DMEM/F12(Gibco/BRL)、2mMのGlutaMaXTM (Gibco/BRL)、1mMのNaPyruvate, 10μg/mlのトランスフェリン、5μg/mlのインスリン、10μg/mlフェチュイン、2μg/mlのセレニウム、25mMのHEPES(Gibco/BRL)、100μMの非必須アミノ酸(Gibco/BRL)を含む血清フリー培地である。
【0315】
DNA/LipofectamineTM 混合物を次の通りにして製造した:22μlのLipofectamineTM 試薬(Gibco/BRL)を、102.8μlのSFAと共に室温で組合し;次に、約μlのプラスミドDNA(200ng/μl)を、LipofectamineTM/SFAに添加し、DNA/LifofectamineTM 混合物を形成し、これを室温で30分間インキュベートした。SFAをBHK細胞から除去し、そして細胞を50μlのDNA/LipofectamineTM 混合物と共に37℃で、5%CO2下で5時間、インキュベートした。50μlのDNA/LipofectamineTM 混合物を、BHK細胞の2つのウェルの個々に添加し、その結果、トランスフェクションを二重反復して行った。
【0316】
BHK細胞をDNA/LipofectamineTM 混合と共に5時間インキュベートした後、DNA/LipofectamineTM 混合物を除去し、そして100μlの培養培地を添加した。細胞を一晩インキュベートし、培地を除去し、そして100μlの培養培地により置換した。細胞を72時間、培養した後、ならし培地を除去し、−80℃で最少20分間、凍結し、融解し、そして次に、その50μlを、例2B及び5に記載されるzalpha11/BaF3増殖アッセイによりアッセイし、リガンド活性を有する250個のクローンのプールを同定した。
【0317】
35個の96ウェルプレートを、単一のアッセイにおいてスクリーンした。これは、約250個のcDNA/ウェル又は合計840,000個のcDNAを表した。それらのうち、54個のウェル(ウェル当たり250個のcDNAを表す)からのならし培地が、増殖アッセイにおいて陽性であることを試験した。それらの陽性プールからのならし培地を、可溶性受容体(例12を参照のこと)を伴なって及びそれを伴なわないで、第2のアッセイ(分泌トラップ)において再び試験した。zalpha11 CEE可溶性受容体(例10A)を、約1μg/mlの最終濃度で使用した。54個の陽性プールに関しては、実質的にすべての活性が可溶性zalpha11受容体の添加により中和され、このことは、それらのプールがzalpha11からのcDNAを含んだことを示す。それらの陽性プールのうち4個のプールが、zalpha11をコードする単一のcDNAを分解し、そして単離するために選択された。それらは、45C5, 46G11, 40H12及び60A1であった。
【0318】
それらの4個のプールの個々に関しては、1μgのDNAを使用して、エレクトロポレーションによりElectroMaxTM DH10B細胞(Gibco/BRL)を形質転換した。形質転換体を、LB+amp(100μg/ml)+メチシリン(10μg/ml)プレート上にプレートし、単一のコロニーを得た。個々のエレクトロポレートされたプールに関しては、960個の個々のコロニーを、ウェル当たり1.2mlのSuperBrothIITM を含む96−ウェルプレート中につま楊枝により入れた。それらのプレートは、分解プール(45C5, 46G11, 40H12及び60A1)の個々のために#1−10の番号を付けられた。それらを一晩、培養し、そしてプラスミドDNAを上記のようにしてミニ調製した。46G11、40H12及び60A1に関しては、前記分解プレートからのプラスミドDNAを、上記のようにして、BHK細胞中にトランスフェクトした。
【0319】
45C5に関しては、“ファーストトラック(fast track)”プロトコールを用いて、zalpha11リガンドcDNAの同定を促進した。BHK細胞を、上記のような分解プレートからのプラスミドDNAによりトランスフェクトし、DNA/LipofectamineTM混合物を、5時間のインキュベーションの後に除去し、そして培養培地を添加した。トランスフェクションは二重反復して行われたので、培養培地を、トランスフェクトされたBHKプレートの1つから、48時間後に収穫した。24時間のならし培地を、本明細書に記載のような増殖アッセイを用いて、zalpha11リガンド活性について、上記のようにしてアッセイした。
【0320】
45C5分解プレート#1−4からのプラスミドDNAをプールし、そして“分泌−トラップ”プロトコール(下記例12を参照のこと)により、zalpha11可溶性受容体のリガンドへの結合についてアッセイした。8個の陽性クローンを、全384個の配列から同定した。増幅アッセイからの結果は、zalpha11リガンドの活性を確かめ、そして分泌トラップアッセイ(例12を参照のこと)の結果と相互関係した。同時に、45C5プール分解のプレート#1−4からミニ調製されたプラスミドDNAを配列決定し、384個のクローンの個々のDNA配列を決定した。
【0321】
増幅及び分泌トラップアッセイにおいて陽性として同定されたいくつかのクローンを、次のプライマーを用いて配列決定した:ZC14,063(配列番号28)、ZC7,764a(配列番号38)、ZC7,764b(配列番号39)、ZC22,034(配列番号40)及びZC22,035(配列番号41)。zalpha11リガンドのポリヌクレオチド配列は、完全な長さであり(配列番号1)、そしてその対応するアミノ酸配列は示されている(配列番号2)。
【0322】
例8
次の zalpha11 可溶性受容体を発現する哺乳類発現ベクターの構成: zalpha11 CEE, zalpha11 CFLG zalpha11 CHIS 及び zalpha11 Fc4
A. zalpha11 CEE, zalpha11 CFLG 及び zalpha11 CHIS を含む zalpha11 哺乳類発現ベクターの構成:
発現ベクター、すなわちpC4zalpha11 CEEを、zalpha11ポリペプチドの可溶性、細胞外ドメインの発現のために調製し、ここで前記構造体は、予測される開始メチオニンから成り、そして予測されるトランスメンブランドメインに隣接して切断され、そしてC−末端Glu−Glu標識(配列番号29)を有するzalpha11ポリペプチドを発現するよう企画されている。
【0323】
700bpのPCR生成されたzalpha11 DNAフラグメントを、Asp718及びBamHI制限部位を付加するために、PCRプライマーとしてZC19,931(配列番号30)及びZC19,932(配列番号31)を用いて創造した。zalpha11受容体cDNA(配列番号7)を含むプラスミドを、鋳型として使用した。zalpha11フラグメントのPCR増幅を次の通りにして行った:94℃で0.5分(25サイクル);94℃で10秒、50℃で30秒、68℃で45秒(5サイクル)、続いて4℃での維持。反応物を、クロロホルム/フェノール抽出及びイソプロパノール沈殿により精製し、そしてAsp718は及びBamHI(Gibco BRL)により、製造業者のプロトコールに従って消化した。予測されるサイズ、すなわち700bpのバンドを、1%アガロースゲル電気泳動により可視化し、切除し、そしてDNAを、QiaexIITM 精製システム(Qiagen)を用いて、製造業者の説明書に従って精製した。
【0324】
切断されたDNAを、BamHI及びAsp718により切断されたプラスミドpC4EE中にサブクローン化した。pC4zalpha11 CEE 発現ベクターは、生来のzalpha11シグナルペプチドを使用し、そしてGlu-Glu標識(配列番号29)を、zalpha11ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列の細胞外部分のC−末端に結合せしめる。プラスミドpC4EEは、マウスメタロチオネイン−1プロモーター、コード配列の挿入のための複数の制限部位、停止コドン及びヒト成長ホルモンターミネーターを有する発現カセットを含む哺乳類発現ベクターである。前記プラスミドはまた、複製のE.コリ起点、SV40プロモーター、エンハンサー及び複製の起点を有する哺乳類選択マーカー発現単位、DHFR遺伝子及びSV40ターミネーターを有する。
【0325】
約30ngの制限消化されたzalpha11挿入体及び約12ngの消化されたベクターを、16℃で一晩、連結した。1μlの個々の連結反応物を個々に、DH10Bコンピテント細胞(GIBCO BRL, Gaithersburg, MD)中に、製造業者の説明書に従ってエレクトロポレートし、そして50mg/mlのアンピシリンを含むLbプレート上にプレートし、そして一晩インキュベートした。コロニーを、個々のコロニーの2ml液体培養物から調製されたDNAの制限分析によりスクリーンした。
【0326】
陽性クローンの挿入体配列を、配列分析により確かめた。大規模プラスミド調製を、QIAGEN(商標)Maxi prepキット(Qiagen)を用いて、製造業者の説明書に従って行った。
同じ方法を用いて、一列に並んでの6個のHis残基から成るC−末端his標識及びC−末端フラッグ(配列番号37)標識、すなわちzalpha11 CF1.AGを有するzalpha11可溶性受容体を調製した。それらの構造体を調製するためには、前記ベクターは、glu-glu標識(配列番号29)の変わりにHIS又はFLAG(商標)標識のいずれかを有する。
【0327】
B. 可溶性 zalpha11 受容体 zalpha11 Fc4 の哺乳類発現構造体;
zalpha11をコードするポリヌクレオチドのすべて又は一部を含む発現プラスミドを、相同組換えを通して構成した。zalpha11受容体の細胞外ドメインを、Fc受容体をもはや結合しないような突然変異を含む、“Fc4”呼ばれる、ヒトIgGに由来するFc領域(配列番号33)に融合した。zalpha11 cDNAのフラグメントを、zalpha11受容体の細胞外ドメインからのポリヌクレオチド配列を包含するPCRを用いて単離した。
【0328】
zalpha11フラグメントの生成に使用される2種のプライマーは次のものであった:PCRのためのプライマーは、それぞれ、5’側から3’側の方に向かって、(1)ベクターを端に有する配列(挿入体の5’末端)の40bp及びzalpha11細胞ドメインの3’末端に対応する17bp(配列番号34)を包含し;そして(2)Fc4ポリヌクレオチド配列の5’末端の40bp(配列番号33)及びzalpha11細胞外ドメインの3’末端に対応する17bp(配列番号34)を包含する。zalpha11との融合のためのFc4のフラグメントを、類似する態様でPCRにより生成した。Fc4フラグメントの生成に使用される2種のプライマーは、次のものであった:(1)zalpha11細胞外ドメインの3’末端からの40bpの配列及びFc4の5’末端からの17bpの配列(配列番号35)から成る5’プライマー;及び(2)ベクター配列(挿入体の3’側)の40bpの配列及びFc4の3’末端の17bpの配列(配列番号36)から成る3’プライマー。
【0329】
上記反応の個々のPCR増幅を次の通りにして行った:94℃で2分(1サイクル);94℃で30秒、60℃で30秒、72℃で1分(25サイクル);72℃で5分(1サイクル);続いて4℃での維持。100μlのPCR反応10μlを、分析のための1×TBE緩衝液を用いて、0.8%LMPアガロースゲル(SeaplaqueGTG)上に負荷した。PCR反応の残る90μlを、1MのNaCl 5μl及び無水エタノール250μlの添加により沈殿せしめた。使用される発現ベクターを、pZP9(ATCC寄託番号98668号)に由来するプラスミドpCZR199から誘導し、そしてSamI(BRL)により切断した。
【0330】
発現ベクターを、プラスミドpCZR199から誘導し、そしてそれは、CMV即時初期プロモーター、マウス免疫グロブリンH鎖遺伝子座の可変領域からのコンセンサスイントロン、コード配列の挿入のための複数の制限部位、停止コドン及びヒト成長ホルモンターミネーターを有する発現カッセイトを含む哺乳類発現ベクターである。発現ベクターはまた、複製のE.コリ起点、SV40プロモーター、エンハンサー及び複製の起点を有する哺乳類選択マーカー発現単位、DHFR遺伝子及びSV40ターミネーターを有する。使用される発現ベクターを、CMV即時初期プロモーターによるメタロチオネインプロモーターの置換によりpCZR199から構成した。
【0331】
100μlのコンピテント酵母細胞(S.セレビシアエ)を、それぞれ約1μgのzalpha11及びFc4挿入体を含む液体10μl及びSmaI(BRL)消化された発現ベクター100ngと共に組合し、そして0.2cmのエレクトロポレーションキュベットに移した。酵母/DNA混合物を、0.75kV(5kV/cm)、“無限”Ω、25μFで、電気パルスした。個々のキュベットに、1.2Mのソルビトール600μlを添加し、そして酵母を、2種のURA−Dプレート上の2つの300μlアリコートにプレートし、そして30℃でインキュベートした。
【0332】
約48時間後、単一のプレートからのUra+酵母形質転換体を、1mlの水に再懸濁し、そして短時間、回転せしめ、酵母細胞をペレット化した。その細胞ペレットを、1mlの溶融緩衝液(2%Triton X-100, 1%SDS, 100mMのNaCl、10mMのトリス、pH8.0,1mMのEDTA)に再懸濁した。この溶融混合物500μlを、300μlの酸洗浄されたガラスビーズ及び200μlのフェノール−クロロホルムを含むEppendorf管に添加し、1分間、2又は度、かき混ぜ、続いて5分間、最大速度で、Eppendorf遠心分離機において回転せしめた。300μlの水性相を、新しい管に移し、そしてDNAを600μlのエタノール(EtOH)により沈殿せしめ、続いて、4℃で10分間、遠心分離した。DNAペレットを、水100μlに再懸濁した。
【0333】
エレクトロコンピテントE.コリ細胞(DH10B、GibcoBRL)の形質転換を、0.5−2mlの酵母DNA調製物及び40μlのDH10B細胞により行った。細胞を、2.0kV, 25mF及び400オームで電気パルスした。エレクトロポレーションの後、1mlのSOC(2%BuctoTM Trypton (Difco, Detroit, MI), 0.5%酵母抽出物(Difco)、10mMのNaCl、2.5mMのKCl、10mMのMgCl2、10mMのMgSO4、20mMのグルコース)を、250μlのアリコートで、4個のLB AMPプレート(LBブイヨン(Lennox)、1.8%Bato Agar (Difco)、100mg/Lのアンピシリン)上にプレートした。
【0334】
zalpha11−Fc4のための正しい発現構造体を有する個々のクローンを、制限消化により同定し、zalpha11−Fc4挿入体の存在を確かめ、そして種々のDNA配列がお互いに正しく連結されていることを確かめた。陽性クローンの挿入体を配列分析した。大規模プラスミドDNAを、Qiagen Maxiキット(Qiagen)を用いて、製造業者の説明書に従って単離する。
【0335】
実施例9
zalpha11 可溶性レセプターポリペプチドのトランスフェクションおよび発現
A.可溶性 zalpha11 レセプター zalpha11CEE zalpha11CFLG 、および zalpha11CHIS の哺乳動物での発現
BHK570細胞(ATCC No.CRL-10314)、継代27、を、無血清(SF)DMEM培地(DMEM、Gibco/BRL High Glucose)(Gibco BRL、ゲイサーズバーグ、MD) 800μLに、1.2x10細胞/ウェル(6ウェル平板)で平板培養した。
【0336】
この細胞を、無血清(SF)DMEM中Lipofectin(商標)(Gibco BRL)を使用して、上記の(実施例8を参照されたい)zalpha11CEE、zalpha11CFLG、またはzalpha11CHISを含む発現プラスミドでトランスフェクトした。三つの微生物zalpha11CEE、zalpha11CFLG、またはzalpha11CHISのそれぞれを別々に1.5mL試験管中に希釈して、最終総体積100μLのSF DMEMとした。別の試験管で、Lipofectin(商標)(Gibco BRL)15μLをSF DMEM 100μLと混合した。このLipofectin(商標)混合物を室温で30−45分間インキュベートし、次いでDNA混合物を加え、室温でおよそ10−15分間インキュベートした。
【0337】
このDNA:Lipofectin(商標)混合物の全量を、平板培養した細胞に加え、その上に均一に広げた。この細胞を37℃でおよそ5時間インキュベートし、次いで別の150mm MAXI平板に移し、最終体積30mLのDMEM/5%牛胎児血清(FBS)(Hyclone、ローガン、UT)とした。この平板を37℃、5%COで一夜インキュベートし、翌日、DNA:Lipofectin(商標)混合物を選択培地(1μMメソトレキサート(MTX)を添加した5%FBS/DMEM)に交換した。
【0338】
トランスフェクションのおよそ10−12日後、平板を10mLのSF DMEMで洗浄した。洗浄した培地を吸引し、7.25mLの無血清DMEMに交換した。次に、前もってSF DMEMに浸漬しておいた無菌テフロン製メッシュ(Spectrum Medical Industries、ロサンゼルス、CA)をクローン細胞コロニー上に配置した。次いで、前もってSF DMEMに浸漬しておいた無菌ニトロセルロースフィルターをこのメッシュ上に配置した。ニトロセルロース上の方向のマークを培養皿に移した。次いで平板を37℃、5%COのインキュベーター中で5−6時間インキュベートした。
【0339】
インキュベーションの後、フィルター/メッシュを取り除き、培地を吸引し、1μM MTXを添加した5%FBS/DMEMに交換した。次にフィルターを10%脱脂粉乳/ウェスタンA緩衝液(ウェスタンA:50mMトリスpH7.4、5mM EDTA、0.05%NP-40、150mM NaClおよび0.25%ゼラチン)中、回転振盪機上で室温で15分間ブロックした。次いで2.5%脱脂粉乳/ウェスタンA緩衝液中、それぞれ抗Glu-Glu、抗FLAG(商標)、または抗HIS抗体−HRPコンジュゲートと共に、回転振盪機上、室温で1時間インキュベートした。次にこのフィルターをウェスタンAにより、1回の洗浄につき5−10分間かけて3回洗浄した。フィルターを製造者の指示に従ってウルトラECL試薬(Amershem Corp.、アーリントンハイツ、IL)で現像し、Lumi-Imager(Roche Corp.)で視覚化した。
【0340】
正の発現をしているクローンのコロニーをMTX 5μLを添加した5%FCS/DMEM 1mLを入れた12ウェル平板へと機械的に選び取り、密集成長となるまで増殖させた。次に、SDS-PAGEおよびウェスタン分析によって条件培地試料を発現レベルについて試験した。各組み立て物について最も高度に発現しているクローン3個を選び取り、3個のうち2個をバックアップとして凍結し、1個をマイコプラズマ試験および工場での大規模播種用に拡張した。
【0341】
B.可溶性 zalpha11 レセプター zalpha11-Fc4 の哺乳動物での発現
BHK570細胞(ATCC NO:CRL-10314)を10cmの組織培養皿に蒔き、DMEM/FBS培地(DMEM、Gibco/BRL High Glucose、(Gibco BRL、ゲイサーズバーグ、MD)、5%牛胎児血清(Hyclone、ローガン、UT)、1mM L−グルタミン(JRH Biosciences、レネクサ、KS)、1mMピルビン酸ナトリウム(Gibco BRL))中、37℃、5%COでほぼ50ないし70%の密集成長となるまで一夜増殖させた。
【0342】
次にこの細胞を、Lipofectamine(商標)(Gibco BRL)を用いて、無血清(SF)培地調製物(DMEM、10mg/mLトランスフェリン、5mg/mLインスリン、2mg/mLフェチュイン、1%L−グルタミンおよび1%ピルビン酸ナトリウム)中で、zalpha11-Fc4(実施例8を参照されたい)を含むプラスミドでトランスフェクトさせた。zalpha11-Fc4を含むプラスミドを、SF培地で15mL試験管中に最終体積640mLとなるまで希釈した。Lipofectamine(商標)(Gibco BRL) 35mLをSF培地605mLと混合した。このLipofectamin(商標)混合物をDNA混合物に加え、室温でおよそ30分間インキュベートさせた。SF培地5mLをDNA:Lipofectamine(商標)混合物に加えた。
【0343】
細胞をSF培地5mLで1回すすぎ、吸引し、DNA:Lipofectamine(商標)混合物を加える。この細胞を37℃で5時間インキュベートし、次いで6.4mLのDMEM/10%FBS、1%PSN培地を各平板に加えた。平板を37℃で一夜インキュベートし、翌日、DNA:Lipofectamine(商標)混合物を新鮮な5%FBS/DMEM培地に交換した。トランスフェクションの2日後、細胞を、150mm平板に入れた選択培地(上記由来のDMEM/FBS培地に1μMメソトレキサートを加えたもの(Sigma Chemical Co.、セントルイス、Mo))に、1:10、1:20および1:50で分割した。トランスフェクション後5日目に、この細胞の培地を新鮮な選択培地に交換した。トランスフェクションのおよそ10日後、各トランスフェクションから得たメソトレキサート耐性コロニーの入った150mm培養皿2個をトリプシン処理し、細胞をプールし、T−162フラスコ中に蒔き、大規模培養へと移した。
【0344】
実施例 10
BHK570 細胞からの zalpha11 可溶性
レセプターの精製
A. BHK570 からの zalpha11CEE ポリペプチドの精製
別途記載の無い限り、全ての作業は4℃で実施した。以下の操作を、C末端GluGlu(EE)タグを含むzalpha11ポリペプチドの精製に使用した。ProFlux A30上のAmicon S10Y3らせんカートリッジを用いて細胞工場条件培地30リットルを1.6リットルに濃縮した。
【0345】
トランスフェクトされたBHK570細胞(実施例9を参照されたい)由来の濃縮された細胞工場条件培地1.6リットルにプロテアーゼインヒビター溶液を加え、2.5mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA、Sigma Chemical Co.、セントルイス、MO)、0.003mMロイペプチン(Boehringer-Mannheim、インディアナポリス、IN)、0.001mMペプスタチン(Boehringer-Mannheim)および0.4mM Pefabloc(Boehringer- Mannheim)の最終濃度とした。分析のため試料を取り、大半は精製を開始するまで−80℃で凍結した。濃縮した細胞工場条件培地の合計標的蛋白濃度を抗EE HRPコンジュゲート抗体を用いてSDS-PAGEおよびウェスタンブロット分析で決定した。
【0346】
100mLカラムの抗EE G−セファロース(下記のごとく調製)を、Waters AP-5、5cmx10cmガラスカラムに注いだ。カラムをフロー充填し、燐酸緩衝化食塩水(PBS)pH7.4を用いてBioCad Sprint(PerSeptive BioSystems、フラミンガム、MA)上で平衡化した。濃縮した細胞工場条件培地を融解し、0.2ミクロン無菌濾過し、pHを7.4に調節し、次いでこのカラムに1mL/分の流速で一夜ロードした。カラムを10カラム体積(CV)の燐酸緩衝化食塩水(PBS、pH7.4)で洗浄し、0.5mg/mLのEEペプチド(Anaspec、サンノゼ、CA)を含有するPBS(pH6.0)200mLを用いて5mL/分で押出し溶出した。使用したEEペプチドは配列EYMPME(配列番号29)を有している。
【0347】
カラムを10CVのPBSで洗浄し、次いで5CVの0.2Mグリシン(pH3.0)で溶離した。グリシンで溶離したカラムのpHを2CVの5X PBSで7.0に調節し、次いでPBS(pH7.4)で平衡化した。溶離クロマトグラフィー全体を通じて5mLの画分を集め、280および215nMの吸光度を監視した。パススルーおよび洗液もまた保存し分析した。EE−ポリペプチド溶離ピーク画分を、SDS-PAGE銀染色および抗EE HRPコンジュゲート抗体を用いるウェスタンブロッティングによって標的蛋白について分析した。興味の持たれるポリペプチド溶離画分をプールし、製造者の指示に従い10000ダルトン分子量カットオフ膜遠沈濃縮機(Millipore、ベッドフォード、MA)を用いて60mLから5.0mLに濃縮した。
【0348】
zalpha11CEEを他の同時精製蛋白から分離するため、濃縮されたポリペプチド溶離液をプールした画分を、pH8.0でPOROS HQ-50(PerSeptive BioSystems、フラミンガム、MA由来の強アニオン交換樹脂)に付した。1.0x6.0cmカラムを注ぎ、BioCadSprint上でフロー充填した。カラムに対イオンをチャージし、次いで20mMトリスpH8.0(トリス(ヒドロキシメチルアミノメタン))で平衡化した。試料を1:13に希釈し(PBSのイオン強度を低減させるため)、次いでPoros HQカラムに5mL/分でロードした。
【0349】
このカラムを10CVの20mMトリスpH8.0で洗浄し、次に20mMトリス/1M塩化ナトリウム(NaCl)の40CV勾配を用いて10mL/分で溶離した。クロマトグラフィー全体を通じて1.5mLの画分を集め、280および215nMの吸光度を監視した。溶出ピークの画分をSDS-PAGE銀染色によって分析した。興味の持たれる画分をプールし、製造者の指示に従い10000ダルトン分子量カットオフ膜遠沈濃縮機(Millipore、ベッドフォード、MA)を用いて1.5−2mLに濃縮した。
【0350】
遊離EEペプチドおよび混入しているかも知れない同時精製蛋白からzalpha11CEEポリペプチドを分離するため、プールされた濃縮画分を、PBSで平衡化しこれをロードした1.5x90cm Sephadex S200(Pharmacia、ピスカタウェイ、NJ)カラム上で、BioCad Sprintを使用し流速1.0mL/分のクロマトグラフィーに付した。クロマトグラフィー全体を通じて1.5mLの画分を集め、280および215nMの吸光度を監視した。ピーク画分をSDS-PAGE銀染色によって特性決定し、最も純粋な画分のみをプールした。この物質は精製zalpha11CEEポリペプチドであった。
【0351】
この精製された物質を、最後に4mLのActiClean Etox(Sterogene)カラムに付し、残留しているかも知れないエンドトキシンを除去した。この試料をPBS平衡化した重力カラムに4回通し、次いで3mL体積のPBSで1回洗浄し、これを、「清浄化した」試料と共にプールした。次にこの物質を0.2ミクロン無菌濾過し、アリコート化するまで−80℃で保存した。
ウェスタンブロッティングし、クマシーブルーおよび銀染色したSDS-PAGEゲル上で、zalpha11CEEポリペプチドは、見掛けの分子量が約50000ダルトンの、1個の主たるバンドであった。このバンドの移動度は還元および非還元ゲル上で同一であった。
【0352】
この精製物質の蛋白濃縮をBCA分析(Pierce、ロックフォード、IL)により実施し、蛋白をアリコート化し、本発明者等の標準法に従い−80℃で保存した。IEF(等電点電気泳動)ゲル上でこの蛋白は4.5未満のPIで移動する。zalpha11CEEポリペプチドの濃度は1.0mg/mLであった。
【0353】
抗EEセファロースを製造するため、カラム床体積100mLの蛋白G−セファロース(Pharmacia、ピスカタウェイ、NJ)を、500mLのNalgene 0.45ミクロンフィルターユニットを用いて0.02%アジドナトリウムを含有するPBS 100mLで3回洗浄した。ゲルを6.0体積の200mMトリエタノールアミン(pH8.2)(TEA、Sigma、セントルイス、MO)で洗浄し、抗体900mgを含有する等体積のEE抗体溶液を加えた。4℃で一夜インキュベートした後、樹脂を5体積の200mM TEAで上記のように洗浄することにより、未結合の抗体を除去した。
【0354】
樹脂を2体積のTEAに再懸濁し、適当な容器に移し、TEAに溶解したジメチルピミリミダート−2HCl(Pierce、ロックフォード、IL)を36mg/mL(蛋白G−セファロースゲル)の最終濃度となるまで加えた。ゲルを室温で45分間振盪し、上記のフィルターユニットを用いて液体を除去した。次に、200mM TEA中の20mMエタノールアミン5体積と共に室温で10分間インキュベートすることにより、ゲル上の非特異部位をブロックした。次いで0.02%アジドナトリウムを含有する5体積のPBSでゲルを洗浄し、
【0355】
B. BHK570 からの zalpha11CFLAG ポリペプチドの精製
別途記載の無い限り、全ての作業は4℃で実施した。以下の操作を、C末端FLAG(商標)(FLG)(Sigma-Aldrich Co.)タグを含むzalpha11ポリペプチドの精製に使用した。ProFlux A30上のAmicon S10Y3らせんカートリッジを用いて細胞工場条件培地30リットルを1.7リットルに濃縮した。トランスフェクトされたBHK570細胞(実施例9を参照されたい)由来の濃縮された細胞工場条件培地1.7リットルにプロテアーゼインヒビター溶液を加え、2.5mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA、Sigma Chemical Co.、セントルイス、MO)、0.003mMロイペプチン(Boehringer-Mannheim、インディアナポリス、IN)、0.001mMペプスタチン(Boehringer-Mannheim)および0.4mM Pefabloc(Boehringer-Mannheim)の最終濃度とした。
【0356】
分析のため試料を取り、大半は精製を開始するまで−80℃で凍結した。細胞工場条件培地の合計標的蛋白濃度を抗FLAG(商標)(Kodak) HRPコンジュゲート抗体を用いてSDS-PAGEおよびウェスタンブロット分析で決定した。125mLカラムの抗FLAG(商標)M2−アガロース親和ゲル(Sigma-Aldrich Co.)を、Waters AP-5、5cmx10cmガラスカラムに注いだ。カラムをフロー充填し、燐酸緩衝化食塩水(PBS)pH7.4を用いてBioCad Sprint(PerSeptive BioSystems、フラミンガム、MA)上で平衡化した。
【0357】
濃縮した細胞工場条件培地を融解し、0.2ミクロン無菌濾過し、pHを7.4に調節し、次いでこのカラムに1mL/分の流速で一夜ロードした。カラムを10カラム体積(CV)の燐酸緩衝化食塩水(PBS、pH7.4)で洗浄し、次いで0.5mg/mLのFLAG(商標)(Sigma-Aldrich Co.)ペプチドを含有するPBS(pH6.0)250mLを用いて5mL/分で押出し溶出した。使用したFLAG(商標)ペプチドは配列DYKDDDDK(配列番号37)を有している。カラムを10CVのPBSで洗浄し、次いで5CVの0.2Mグリシン(pH3.0)で溶離した。
【0358】
グリシンで溶離したカラムのpHを2CVの5X PBSで7.0に調節し、次いでPBS(pH7.4)で平衡化した。溶離クロマトグラフィー全体を通じて5mLの画分を集め、280および215nMの吸光度を監視した。パススルーおよび洗液もまた保存し分析した。FLAG(商標)−ポリペプチド溶離ピーク画分を、SDS-PAGE銀染色および抗FLAG HRPコンジュゲート抗体を用いるウェスタンブロッティングによって標的蛋白について分析した。興味の持たれるポリペプチド溶離画分をプールし、製造者の指示に従い10000ダルトン分子量カットオフ膜遠沈濃縮機(Millipore、ベッドフォード、MA)を用いて80mLから12mLに濃縮した。
【0359】
zalpha11CFLGを他の同時精製蛋白から分離するため、ポリペプチド溶離液をプールした画分を、pH8.0でPOROS HQ-50(PerSeptive BioSystems、フラミンガム、MA由来の強アニオン交換樹脂)に付した。1.0x6.0cmカラムを注ぎ、BioCad Sprint上でフロー充填した。カラムに対イオンをチャージし、次いで20mMトリスpH8.0(トリス(ヒドロキシメチルアミノメタン))で平衡化した。試料を1:13に希釈し(PBSのイオン強度を低減させるため)、次いでPoros HQ-50カラムに5mL/分でロードした。
【0360】
このカラムを10カラム体積(CV)の20mMトリスpH8.0で洗浄し、次に20mMトリス/1M塩化ナトリウム(NaCl)の40CV勾配を用いて10mL/分で溶離した。クロマトグラフィー全体を通じて1.5mLの画分を集め、280および215nMの吸光度を監視した。溶出ピークの画分をSDS-PAGE銀染色によって分析した。興味の持たれる画分をプールし、製造者の指示に従って10000ダルトン分子量カットオフ膜遠沈濃縮機(Millipore、ベッドフォード、MA)を用いて1.5−2mLに濃縮した。
【0361】
遊離FLAG(商標)ペプチドおよび混入しているかも知れない同時精製蛋白からzalpha11CFLAGペプチドを分離するため、プールされた濃縮画分を、PBSで平衡化しこれをロードした1.5x90cm Sephacryl S200(Pharmacia、ピスカタウェイ、NJ)カラム上で、BioCad Sprintを使用し流速1.0mL/分のクロマトグラフィーに付した。クロマトグラフィー全体を通じて1.5mLの画分を集め、280および215nMの吸光度を監視した。ピーク画分をSDS-PAGE銀染色によって特性決定し、最も純粋な画分のみをプールした。この物質は精製zalpha11CFLAGポリペプチドであった。
【0362】
この精製された物質を、最後に4mLのActiClean Etox(Sterogene)カラムに付し、残留しているかも知れないエンドトキシンを除去した。この試料をPBS平衡化した重力カラムに4回通し、次いで3mL体積のPBSで1回洗浄し、これを、「清浄化した」試料と共にプールした。次にこの物質を0.2ミクロン無菌濾過し、アリコート化するまで−80℃で保存した。
【0363】
ウェスタンブロッティングし、クマシーブルーおよび銀染色したSDS-PAGEゲル上で、zalpha11CFLAGポリペプチドは、見掛けの分子量が約50000ダルトンの、1個の主たるバンドであった。このバンドの移動度は還元および非還元ゲル上で同一であった。
この精製物質の蛋白濃縮をBCA分析(Pierce、ロックフォード、IL)により実施し、蛋白をアリコート化し、本発明者等の標準法に従い−80℃で保存した。IEF(等電点電気泳動)ゲル上でこの蛋白は4.5未満のPIで移動する。zalpha11CFLAGポリペプチドの濃度は1.2mg/mLであった。
【0364】
C.トランスフェクトされた BHK570 細胞からの zalpha11-Fc4 ポリペプチドの精製
別途記載の無い限り、全ての作業は4℃で実施した。以下の操作を、ヒトIgG/FcへのC末端融合を含むzalpha11ポリペプチド(zalpha11-Fc4;実施例8および9)の精製に使用した。zalpha11-Fc4でトランスフェクトしたBHK570細胞由来の条件培地12000mL(実施例9)を0.2mm滅菌フィルターで濾過し、次にプロテアーゼインヒビター溶液を加え、0.001mMロイペプチン(Boehringer-Mannheim、インディアナポリス、IN)、0.001mMペプスタチン(Boehringer-Mannheim)および0.4mM Pefabloc(Boehringer- Mannheim)の最終濃度とした。
【0365】
蛋白Gセファロース(6mLカラム床体積、Pharmacia Biotech)を充填し、PBS(Gibco/BRL)500mLで洗浄した。補足条件培地を10mL/分の流速でカラムに流し、引き続きPBS(BRL/Gibco)1000mLで洗浄した。0.1MグリシンpH3.5を用いてzalpha11-Fc4をカラムから溶出させ、2mL画分を2Mトリス(pH8.0) 0.2mL中に直接集め、画分の最終pHを7.0に調節した。
【0366】
溶出した画分をSDS-PAGEおよび抗ヒトFc(Amersham)抗体を用いるウェスタンブロッティングにより特性決定した。還元SDS-PAGEゲルのウェスタンブロット分析は、画分2−10に約80000KDaの免疫反応性蛋白を示す。銀染色SDS-PAGEゲルもまた、画分2−10に80000KDaのzalpha11:Fcポリペプチドを示した。画分2−10をプールした。
プールした画分の蛋白濃縮をBCA分析(Pierce、ロックフォード、IL)によって実施し、この物質をアリコート化し、本発明者等の標準法に従って−80℃で保存した。プールされた画分の濃度は0.26mg/mLであった。
【0367】
実施例 11
競合的阻害検定に zalpha11 可溶性レセプター zalpha11CEE zalpha11CFLG および zalpha11-Fc4 (突然変異体)可溶性レセプターを使用する検定
BaF3/Zalpha11細胞を遠沈し、mIL-3を含有しない培地で洗浄した。この細胞を遠沈し、mIL-3の除去を確実とするため3回洗浄した。次に細胞を血球計で計数した。mIL-3を含有しない培地を用いて、細胞を、ウェル当たり100μLの体積で、ウェル当たり5000細胞を96ウェルフォーマットに蒔いた。
【0368】
10μg/mLのzalpha11可溶性レセプター(CEF、C−flag、およびFc4組み立て物;実施例9および10を参照されたい)有りまたは無しで、実施例5に記載の、サル脾臓細胞活性化およびヒトCD3+選択細胞の両者から得られた条件培地を、別々の実験において50%、25%、12.5%、6.25%、3.125%、1.5%、0.75%および0.375%の濃度で加えた。合計の検定体積は200μLであった。
【0369】
検定平板を37℃、5%COで3日間インキュベートし、この時点で20μL/ウェルのAlamar Blue(Accumed)を添加した。平板を再度37℃、5%COで24時間インキュベートした。平板を実施例2に記載のようにFmax(商標)平板読み取り機(Molecular Devices)で読み取った。結果は、異なるzalph11可溶性レセプター組み立て物の各々からの細胞増殖を、10μg/mLで完全に阻害する事を証明し、この事は、各試料中の当該因子がzalpha11レセプターに特異的であることを確認するものであった。
【0370】
可溶性レセプターを希釈する滴定曲線もまた上述の検定を用いて作製した。zalpha11CEEおよびzalpha11CFLG可溶性zalpha11レセプターはいずれも20ng/mLという低濃度で増殖を完全に阻害することができた。突然変異体zalpha11-Fc4可溶性レセプターは1.5μg/mLで同様に有効であるに過ぎなかった。
【0371】
実施例 12
分泌トラップ検定
分泌トラップ検定を用いてこのcDNAをzalpha11リガンドと同定した。実施例7に記載の発現クローニングの結果、陽性のDNAプールを得た。
250クローンのDNAプールを96ウェルフォーマットでBHK細胞中にトランスフェクトさせ、実施例4および実施例5に記載のBaF3/zalpha11細胞を用いてこの条件培地を増殖検定に付した。幾つかのDNAプールが正の活性を示し、これを反復しzalpha11可溶性レセプターで中和した(実施例11を参照されたい)。
【0372】
陽性のDNAプールの一つ、45C5を、下記のLipofectamine(商標)法を用いて12ウェルフォーマットでCOS細胞中にトランスフェクトさせた。次にzalpha11可溶性レセプターを用いて分泌トラップ検定を実施し(C末端Glu-Gluタグを付けた(ビオチニル化有りまたは無し);C末端Flagタグを付けた;またはFc4 zalpha11可溶性レセプター融合物)(実施例9)、プール45C5のzalpha11レセプターの潜在的リガンドとzalpha11可溶性レセプターとの直接結合を試験した(下記参照)。
【0373】
結果は陽性であった。したがって、プール45C5のDNAを電気穿孔によってE.coli内に入れ、シングルコロニーを10枚の96ウェル平板に選び取った。平板を37℃で24時間振盪し、次いで、TomTech Quadra9600を用いてDNAミニプレプ(QiaPrep(商標)96 Turbo Miniprepキット;Qiagen)を96ウェルフォーマットで作製した。次にこのプラスミドDNAを縦横の列のフォーマットにプールし、COS細胞中にトランスフェクトし、次いで下記のような分泌トラップにより陽性プールを決定した。
【0374】
COS 細胞トランスフェクション
COS細胞トランスフェクションを以下のように実施した:プールしたDNA 3uLおよび無血清DMEM培地(DMEM 500mLに入れたピルビン酸ナトリウム55mg、L−グルタミン146mg、トランスフェリン5mg、インスリン2.5mg、セレニウム1μgおよびフェチュイン5mg)92uL中のLipofectamine(商標)5μLを混合し、室温で30分間インキュベートし、次いで無血清DMEM培地400uLを加える。この混合物500uLを、12ウェル組織培養平板上に蒔いた1.5x10COS細胞/ウェルに添加し、37℃で5時間インキュベートする。20%FBS DMEM培地(DMEM 500mLに入れたFBS 100mL、ピルビン酸ナトリウム55mgおよびL−グルタミン146mg)500uLを加え、一夜インキュベートする。
【0375】
分泌トラップ検定
分泌トラップは以下のように実施した:培地をPBSですすいで細胞を洗い流し、次いでPBS中1.8%ホルムアルデヒドで15分間固定した。次に細胞をTNT(水中0.1Mトリス−HCl、0.15M NaCl、および0.05%トゥイーン−20)で洗浄し、PBS中0.1%トリトン−Xを浸透させ、TNTで再度洗浄した。細胞をTNB(水中0.1Mトリス−HCl、0.15M NaClおよび0.5%ブロッキング試薬(NEN Renaissance TSA−Directキット))で1時間ブロックし、TNTで再度洗浄した。ビオチニル化蛋白を使用する場合は、細胞を、アビジンとの15分間のインキュベーション、および中間にTNTを用いるその後のビオチン(Vector Labs)洗浄でブロックした。
【0376】
いずれの可溶性レセプターを使用するかに応じて、細胞は、TNBに入れた、(A)1−3μg/mLのzalpha11可溶性レセプターzalpha11-Fc4融合蛋白(実施例10);(B)3μg/mLのzalpha11可溶性レセプターC末端FLAGタグを付けたzalpha11CFLG(実施例10);(C)3μg/mLのzalpha11可溶性レセプターC末端GluGluタグを付けたzalpha11CEE(実施例10);または(D)3μg/mLのビオチニル化zalpha11可溶性レセプターzalpha11CEE、と共に1時間インキュベートした。次に細胞をTNTで洗浄した。
【0377】
いずれの可溶性レセプターを使用するかに応じて、細胞は、TNBに入れた、(A)1:200希釈のヤギ抗ヒトIg−HRP(Fc特異的);(B)1:1000希釈のM2−HRP;(C)1:1000希釈の抗GluGlu抗体−HRP;または(D)1:300希釈のストレプトアビジン−HRP(NENキット)、と共にさらに1時間インキュベートした。細胞を再びTNTで洗浄した。
【0378】
希釈緩衝液(NENキット)で1:50に希釈したフルオレセインチラミド試薬を用いて陽性の結合を検出し、4−6分間インキュベートし、そしてTNTで洗浄した。細胞を、TNTで1:5に希釈したVectashield Mounting Media(Vector Labs Burlingame、CA) と共に保存した。細胞をFITCフィルターを使用して蛍光顕微鏡で視覚化した。
【0379】
実施例 13
zalpha11 リガンドの遺伝子の染色体割り当ておよび配置
「スタンフォードG3放射状ハイブリッドマッピングパネル」(Research Genetics,Inc.、ハンツヴィル、AL)の市販版を用いてzalpha11リガンドの遺伝子を第4染色体にマッピングした。「スタンフォードG3 RHパネル」は、ヒトの全ゲノムの83個の放射状ハイブリッドクローンの各々由来のDNAに、2個の対照DNA(RMドナーおよびA3レシピエント)を加えたものを含んでいる。公的に利用可能なWWWサーバー(http://shgc-www.stanford.edu)によりマーカーの染色体位置決定が可能である。
【0380】
「スタンフォードG3 RHパネル」を用いるzalpha11リガンド遺伝子のマッピングのためには、96ウェル微量滴定板(Stratagene、ラホーヤ、CA)に20μLの反応を準備し、「RoboCycler Gradient 96」熱循環器(Stratagene)中で使用する。85のPCR反応の各々は、2μLの10X KlenTaq PCR反応緩衝液(CLONTECH Laboratories,Inc.、パロアルト、CA)、1.6μLのdNTP混合物(各2.5mM、PERKIN-ELMER、フォスターシティー、CA)、1μLのセンスプライマーZC22050(配列番号42)、1μLのアンチセンスプライマーZC22051(配列番号43)、2μLの「RediLoad」(Research Genetics,Inc.、ハンツヴィル、AL)、0.4μLの50X Advantage Klen Taqポリメラーゼミックス(Clontech Laboratories,Inc.)、個々のハイブリッドクローンまたは対照由来のDNA 25ng、および総体積20μLとするためのddH2Oで構成されていた。
【0381】
この反応を等量の鉱油で覆い、封入した。PCR循環器の条件は以下の通りであった:最初94℃5分間の変性を1サイクル、94℃45秒間の変性、60℃45秒間のアニーリング、および72℃1分15秒間の伸長を35サイクル、その後72℃7分間の伸長を1サイクル。反応を2%アガロースゲル上の電気泳動により分離した(Life Technologies、ゲイサーズバーグ、MD)。
【0382】
結果は、zalpha11リガンド遺伝子が、LOD評点>12で、そしてマーカーから6cR 10000(およそ180kb)の距離で、IL2フレームワークマーカーSHGC-12342に連鎖していることを示した。周囲のマーカーの使用は、zalpha11リガンド遺伝子を、統合されたLDB染色体4の地図上の4q27領域に位置させる(遺伝子位置データベース、サザンプトン大学、WWWサーバー:http://cedar.genetics.soton.ac.uk/public html/)。
【0383】
実施例 14
マウス全長 zalpha11 リガンドを取得するための、 EST 配列を使用するマウス zalpha11 リガンドの同定およびクローニング
A.マウス zalpha11 リガンドの EST 配列
ヒトzalpha11リガンドcDNA配列(配列番号1)を検索対象としてデータベースを検索することにより、マウスzalpha11リガンドの潜在的部分配列としてマウスEST(EST1483966)を同定した。EST1483966はマウスゲノムフラグメントであって、2個の潜在的エクソンから誘導されたペプチド配列が、ヒトzalpha11リガンドのペプチドセグメントと高い配列一致を有していた(配列番号2のアミノ酸13(Ile)からアミノ酸80(Gln)まで)。
【0384】
B.マウスマラソン cDNA パネルの PCR スクリーニング
11個のマウスマラソンcDNA(Clontech)試料を下記のようにPCRによってスクリーニングした。マウスマラソンcDNA試料は、脳、膵臓、腎臓、胎盤、唾液腺、皮膚、精巣、子宮、胚、および脾臓組織から調製した。これらはMarathon(商標)cDNA増幅キット(Clontech)を使用し、製造者の指示に従ってin-houseで調製した。EST配列に基づき、2個のPCRプライマーZC22056(配列番号44)およびZC22057(配列番号45)を使用してPCRによりマウスzalpha11リガンドの起源を同定した。
【0385】
PCR反応条件は以下の通りであった:94℃2分間;94℃30秒間、68℃2分間で35サイクル;引き続き68℃4分間;次いで10℃での浸漬。このPCR生成物を1%アガロースゲルにかけた。増幅されたcDNAフラグメントを表す強い150bpバンドが視覚化された。ここに示されたマウス脾臓マラソンcDNAが、マウスzalpha11リガンドcDNAクローニングの起源である。このマウス脾臓マラソンcDNAは陽性cDNAを含んでおり、その後これを配列分析によってマウスzalpha11リガンドの部分的cDNAであると同定した。
【0386】
C.マウス全長 cDNA の複合配列を 5 ’−および 3 ’− RACE によって作製した
マウスzalpha11リガンドの部分的cDNA配列の5’および3’フランキング配列を、5’および3’RACE増幅によって取得した。さらなる遺伝子特異的オリゴプライマーZC22205(配列番号46)およびZC22206(配列番号47)、ZC22056(配列番号44)およびZC22057(配列番号45)、ならびに2個のアダプターオリゴプライマーZC9739(配列番号48)およびZC9719(配列番号49)を使用して、2ラウンドの入れ子状PCR増幅を実施した。
【0387】
このPCR反応は以下のように実施した:94℃2分間;94℃30秒間、68℃2分間で35サイクル;引き続き68℃4分間;次いで10℃での浸漬。このPCR生成物を1%アガロースゲルにかけ、およそ300bpの5’RACE生成物およびおよそ800bpの3’RACE生成物が同定された。これらのフラグメントはQiaquick(商標)ゲル抽出キット(Qiagen)を用いて単離した。
【0388】
精製されたPCR生成物を以下のプライマーを用いて配列決定した:ZC9719(配列番号49)、ZC22205(配列番号46)、およびZC22206(配列番号47)。予備の複合全長マウスzalpha11リガンド配列を、5’および3’RACEフラグメントを合することによって同定した。マウス全長クローンを下記の実施例15に記載のように単離した。
【0389】
実施例 15
活性化マウス脾臓ライブラリーからのマウス zalpha11cDNA クローンの単離
A.マウス zalpha11 リガンドを単離するために使用するマウス一次供給源
Balb/Cマウス由来のマウス脾臓を採取し、艶消し末端スライドの間ですりつぶし、細胞懸濁液を調製した。単離された一次マウス細胞の収量は、下に記載する選択を行う前には6.4x10細胞であった。
この脾臓細胞を9.6mLのMACS緩衝液(PBS、0.5%EDTA、2mM EDTA)に懸濁した。細胞懸濁液1.6mLを取り、0.4mLのCD90(Thy1.2)マイクロビーズ(Miltenyi Biotec)を加えた。混合物を4℃で15分間インキュベートした。CD90ビーズで標識したこれらの細胞をMACS緩衝液30mLで洗浄し、次いでMACS緩衝液2mLに再懸濁した。
【0390】
VS+カラム(Miltenyi)を製造者の指示に従って調製した。次にこのVS+カラムをVarioMACS(商標)磁場(Miltenyi)に置いた。カラムをMACS緩衝液5mLで平衡化した。次いで、単離された一次マウス細胞をカラムに適用した。CD3陰性細胞を通過させた。カラムをMACS緩衝液9mL(3X3mL)ですすいだ。次いでカラムを磁石から取り除き、15mLファルコン管上に置いた。MACS緩衝液5mLをカラムに加えることによってCD90+細胞を溶出させ、製造者により供給されるプランジャーを用いて、結合した細胞を流出させた。上記の、CD90磁性ビーズと共に細胞をインキュベートすること、洗浄、およびVS+カラム工程(インキュベーションから溶離まで)を再度反復した。2回のカラム分離より得られたCD90+画分をプールした。CD90+選択されたマウス脾臓細胞の収量は、計1X10細胞であった。
【0391】
プールしたCD90+選択されたマウス細胞の試料を、染色および蛍光抗体セルソーター(FACS)上で分類するために取り、それらの純度を評価した。このCD90+選択細胞の染色および分類のためには、PE−コンジュゲートしたハムスター抗マウスCD3ε抗体(PharMingen)を使用した。このマウスCD90+選択細胞は93%CD3+細胞であって、この事により、当該細胞は93%T細胞であることが示唆された。
【0392】
マウスCD90+選択細胞を、RPMI+5%FBS+PMA 10ng/mLおよびイオノマイシン0.5μg/mL(Calbiochem)中、3X10細胞/mLで一夜37℃でインキュベートすることにより活性化した。この活性化されたCD90+選択されたマウス細胞由来の上清を、下に記載するようにzalpha11リガンド活性について試験した。さらに、活性化されたCD90+選択マウス細胞を使用して、下記実施例16に記載のようにcDNAライブラリーを調製した。
【0393】
実施例 16
マウス CD90+ 選択細胞ライブラリーからのマウス zalpha 11 リガンドのクローニング
初代マウス活性化CD90+選択細胞cDNAライブラリーのスクリーニングにより、4-フェリックスバンドル構造のサイトカインファミリーの新規メンバーである単離cDNAが明らかになった。このcDNAはヒトzalpha 11リガンドのマウスオーソログをコードしており、ハイブリダイゼーションスクリーニングにより同定された。
【0394】
A. CD90+ 選択ライブラリー構築用のベクター
CD3+選択ライブラリーの構築にはベクターpZP7Nを用いた(実施例6Aを参照)。
【0395】
B. 初代マウス活性化 CD90+ 選択細胞 cDNA ライブラリーの作成
イオノマイシン/PMA中で刺激した約1.5×108個の初代マウスCD90+選択細胞(実施例15)を遠心で単離した。細胞ペレットから全RNAを単離し、実施例6Bの要領で2本鎖cDNAへと転換した。次いでこのDNAを実施例6Bの要領でBHK細胞に導入し、Alamar blue蛍光検定法(実施例2B)で増殖を評価した。
【0396】
セクリーショントラップ・クローニング法によるライブラリースクリーニングの目的のためには、ライブラリーの複雑な増殖態をCOS-7細胞に導入する必要があった。100μg/mlアンピシリンと10μg/mlメチシリンを添加した110個の15 cm LB寒天プレート上で480万個のクローンを培養した。37℃で一晩増殖させた後、バクテリアをかき取って収穫しペレット化した。Nuclobond-gigaTM (Clontech)を使用してメーカーの説明書に従って、ペレット化したバクテリアからプラスミドDNAを抽出した。次いでこのプラスミドをスライド上のCOS-7細胞への導入に使用し、以下に説明するセクリーショントラップ法(実施例17)を用いてスクリーニングした。
【0397】
C. 活性化されたマウス cDNA ライブラリーのスクリーニング
約5×105個のクローンを10個のLB/Amp Maxiプレート上で培養した。標準手順(前掲Sambrook, J. et al.)を用いてコロニーをフィルターに移し取り、変性させ、無力化し、クロスリンクさせた。Prime-Itr RmTランダムプライマー標識キット(Stratagene)を用いて50 ngの300 bp 5’ RACE PCRフラグメント(実施例14)を32Pで標識した。ExpressHybTMハイブリダイゼーション液(Clontech)を用いて10フィルターをこの標識プローブと65℃で一晩ハイブリダイズさせた。
【0398】
次にフィルターを順次、0.2xSSC(30 mM NaCl、3 mMクエン酸ナトリウムpH 7.0)、1%SDSにより60℃で1時間にわたり3回、次いで65℃で1時間、それぞれ洗った。フィルターを−80℃で一晩露出し、ついでX線フィルムを現像した。陽性コロニーを含む寒天プラグを抜き取り、クローンを10 cm LB/Ampプレート上で培養した。次いで前と同じ要領でコロニーをフィルターに移し取りハイブリダイズさせた。
【0399】
M11L/pZP7と名づけたDNAクローンを単離し、以下のプライマーを用いて配列を調べた:ZC14,063(配列番号:50)、ZC5,020(配列番号:51)、ZC22,421(配列番号:52)、ZC22,604 (配列番号:53)およびZC22,641 (配列番号:54)。このクローンのポリヌクレオチド配列は完全長マウスzalpha 11リガンド(配列番号:55)であり、また5’および3’ RACE産物由来のコンポジットシークエンスと合致する。マウスzalpha 11リガンドの対応するアミノ酸配列は配列番号:56に示す。
【0400】
実施例 17
マウス zalpha 11 リガンドはセクリーショントラップ検定ではヒト zalpha 11 可溶性レセプターに結合する
マウスDNAクローンM11L/pZP7をCOS細胞に導入し、DNA導入後のCOS細胞に対するヒトzalpha 11可溶性レセプターzalpha 11-Fc4(実施例10C)の結合をセクリーショントラップ検定(実施例12)で調べ、マウスzalpha 11リガンドがヒトzalpha 11可溶性レセプターに結合することを確認した。
COS細胞への導入は3μlに溶かした0.7μgのM11L/pZP7 DNA(実施例16)を用いて実施例12の要領で実施した。
【0401】
セクリーショントラップ検定は1μg/mlのzalpha 11可溶性レセプター-Fc融合タンパク質(実施例10C)TNB溶液を用いて実施例12の要領で行い、また検出可能な抗体については(Fc特異的)ヤギ抗ヒトIg-HRPの1:200希釈TNB溶液を用いて行った。可溶性ヒトzalpha 11レセプターの調製済み固定化細胞への陽性結合はフルオレセインチラミド試薬により実施例12の要領で検出した。細胞は保存し実施例12の要領で視覚化した。
陽性結果はマウスzalpha 11リガンドがヒトzalpha 11可溶性レセプターに結合することを示した。
【0402】
実施例 18
マウス zalpha 11 リガンドの哺乳動物細胞中での発現
A. 発現ベクター M11L/pZP9 の構築
マウスzalpha 11リガンドの哺乳動物細胞中での発現を目的に発現ベクターを調製した。マウスzalpha 11リガンドとXhoIおよびXbaI制限酵素認識部位のコード領域を増幅するためにZC22,283 (配列番号:57)とZC22,284(配列番号:58)をPCRプライマーとして使用してPCRにより、500 bpのzalpha 11リガンドDNAフラグメントを生成した。鋳型にはマウスzalpha 11リガンドのクローンM11L/pZP7(実施例16)を使用した。
【0403】
PCR条件は次のとおりであった:94℃ 2分;94℃ 30秒、68℃ 2分を25サイクル;68℃ 4分;10℃ソーク。予想サイズ(約500 bp)のバンドを1%アガロースゲル電気泳動で視覚化し、切り出し、QiaexllTM精製システム(Qiagen)を用いてメーカーの説明書に従ってDNAを精製した。精製したDNAをXhoIとXbaI(Boehringer Mannheim)により37℃で2時間消化した。次いでDNAを前述の要領によりゲル電気泳動で単離し精製した。
【0404】
切り出したDNAを、XhoIとXbaI(Boehringer Mannheim)で切断しておいたプラスミドpZP9にサブクローンニングした。プラスミドpZP9は、マウスメタロチオネイン1(MT-1)プロモーター、コード配列挿入用の複数の制限酵素認識部位、およびヒト成長ホルモンターミネーターを備える発現カセットを収めた哺乳動物の発現ベクターである。このプラスミドはまた、E. coli複製起点、哺乳動物選択マーカー発現ユニット(SV40プロモーター、エンハンサーおよび複製起点を備える)、DHFR遺伝子およびSV40ターミネーターも収めている。
【0405】
約30 ngの制限酵素切断zalpha 11リガンドフラグメントと約10 ngの制限酵素切断pZP9ベクターを室温で2時間かけて連結した。2μgの連結反応系をトランスフォーメンション法でINVaF’コンピテント細胞(Invitogen)へとメーカーのプロトコルに従って導入し、50μg/mlアンピシリンを含むLBプレートにまき、37℃で一晩インキュベートした。コロニーを、個別コロニーの培養液から調製したDNAのXhoIとXbaI(Boehringer Mannheim)を用いた制限分析によりスクリーニングした。
【0406】
陽性クローンの挿入配列は配列分析によりマウスzalpha 11リガンド配列であると検証された。Qiagen(商標)Maxiプレップキット(Qiagen)を使用してメーカーの説明書に従ってプラスミドの大量調製を行った。マウスzalpha 11リガンドを収めたこの発現ベクターをM11L/pZP9と命名した。
【0407】
B. マウス zalpha11 リガンドの哺乳動物での発現
BHK 570細胞(ATCC No. CRL-10314)を10cm組織培養ディッシュにまき一晩37℃、5% CO2で5%ウシ胎児血清(Hyclone, Logan, UT)、1 mM L-グルタミン(JRH Biosciences, Lenexa, KS)、1 mMピルビン酸ナトリウム(Gibco BRL, Gaithersburg, MD)を含むDMEM/FBS培地(DMEM, Gibco/BRL High Glucose培地; Gibco BRL)内で約20%コンフルエンスまで増殖させた。次いで、哺乳動物の安定CaPO4トランスフェクションキット(Stratagene)を用いてメーカーの説明書に従ってこれらの細胞にプラスミドM11L/ pZP9(実施例18A)を導入した。
【0408】
トランスフェクションの1日後に、これらの細胞を1:10および1:20に分割して、150 mmプレート内の選択培地[1μMのメトトレキサート(Sigma Chemical Co., St. Louis, MO)を加えたDMEM/ FBS培地]に移した。トランスフェクション後5日目に培地を新鮮な選択培地に取り換えた。トランスフェクションの約10日後にメトトレキサート耐性コロニーをトリプシン処理し、細胞をプールし大量培養フラスコで培養した。細胞は約90%コンフルエンスまで増殖したらPBSで3回すすぎ洗いし、無血清ESTEP2[DMEM (Gibco BRL)、0.11 g/Lピルビン酸ナトリウム、3.7 g/L NaHCO3、2.5 mg/Lインスリン、5 mg/Lトランスフェリン、pH7.0]ならし培地で培養した。3日後にならし培地を集めて、次の実施例19で説明するAlamar Blue使用のBaF3増殖検定にかけた。
【0409】
実施例 19
マウス zalpha 11 リガンドは Alamar Blue 使用の BaF3 増殖検定ではヒト zalpha 11 レセプターを活性化する
Ba3F/zalpha 11細胞(実施例4および5B)の増殖を、マウスzalpha 11リガンド(実施例18)を発現するBHK細胞からの無血清ならし培地を使用して評価した。
BaF3/zalpha 11細胞は遠心で集め、洗浄し、無mIL-3培地で実施例5Bの要領で培養した。
【0410】
Ba3F/zalpha 11細胞の増殖を、マウスzalpha 11リガンド(実施例18)を発現するBHK細胞からの無血清ならし培地を使用して評価した。ならし培地は無mIL-3培地で濃度50%、25%、12.5%、6.25%、3.125%、1.5%、0.75%および0.375%へと希釈した。増殖検定は実施例5Bの要領で実施した。
結果はマウスzalpha 11リガンドに対するBaF3/zalpha 11細胞の増殖応答を確認するものであった。この応答は、測定したままの状態では、50%濃度でバックグラウンドに対し約5倍であった。
【0411】
実施例 20
zalpha 11 リガンドはルシフェラーゼアッセイではヒト zalpha 11 レセプターを活性化する
A. BaF3/KZ134/zalpha 11 細胞株の構築
KZ134プラスミドを、4遺伝子由来のSTAT転写因子結合配列を収めた相補オリゴヌクレオチドZC12,749(配列番号:59)およびZC12,748(配列番号:60)で構築した。これらの配列は修飾c-fos Sis誘導配列(m67SIEまたはhSIE)(Sadowski, H. et al., Science 261: 1739-1744, 1993)、p21 WAF1遺伝子由来のp21 SIE1(Chin, Y. et al., Science 272: 719-722, 1996)、β-カゼイン遺伝子の乳腺応答配列(Schmitt-Ney, M. et al., Mol. Cell. Biol. 11:3745-3755, 1991)およびFcg RI遺伝子のSTAT誘導配列(Seidel, H. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 92:3041-3045, 1995)であった。
【0412】
両オリゴヌクレオチドはAsp718-XhoI適合末端を備えており、c-fosプロモーター(Poulsen, L.K. et al., J. Biol. Chem. 273: 6229-6232, 1998)をもつ受容体ホタル由来ルシフェラーゼレポーターベクターへと標準方法を用いて連結した。このベクターはあらかじめ同じ酵素で切断しておいたものであり、ネオマイシン選択適性マーカーをもっていた。KZ134プラスミドは、標準トランスフェクションおよび選択方法を用いてBaF3細胞へ安定的に導入してBaF3/KZ134細胞株を作製するのに使用した。
【0413】
zalpha 11レセプターを発現する安定したBaF3/KZ134指標細胞株を実施例2Aの要領で、実施例3に記載したzalpha 11発現ベクターを約30μg使用して構築した。標準手法を用いてクローンを希釈、培養、選別した。クローンの選別はルシフェラーゼアッセイにより、ヒトzalpha 11リガンドならし培地を誘導物質として用いて行った。選別したのは(STATルシフェラーゼによる)ルシフェラーゼ応答が最も大きくバックグラウンドが最も小さいクローンである。安定したトランスフェクタント細胞株が得られた。この細胞株はBaF3/KZ134/zalpha 11と命名した。
【0414】
B. ヒトおよびマウス zalpha 11 リガンドは BaF3/KZ134 /zalpha 11 ルシフェラーゼアッセイではヒト zalpha レセプターを活性化する
BaF3/ZK134/zalpha11細胞を遠心で集め、無mIL-3培地で洗った。細胞は遠心にかけ3回洗浄してmIL-3が確実に除去されるようにした。次いで計算盤で細胞をカウントしてから、96穴フォーマットにまいた。細胞数はウェル当たり100μlの無mIL-3培地につき約3万個とした。同じ手順をトランスフェクトしていないBaF3/KZ134細胞にも適用し、後続アッセイで対照として使用できるようにした。
【0415】
ならし培地を用いてBaF3/KZ134/zalpha 11細胞のSTAT活性化を培地だけの対照の応答と比較評価した。ならし培地は、(1)ヒトzalpha 11リガンドをトランスフェクトしたBHK 570細胞(実施例7)、(2)マウスzalpha 11リガンドをトランスフェクトしたBHK 570細胞(実施例18)または(3)無mIL-3培地に由来した。ならし培地はRPMI 無mIL-3培地で希釈し濃度を50%、25%、12.5%、6.25%、3.125%、1.5%、0.75%および0.375%とした。このならし培地100μlをBaF3/KZ134/zalpha 11細胞に加えた。
【0416】
ならし培地使用のアッセイは、トランスフェクトしていない対照BaF3/KZ134細胞にも平行して実施した。総アッセイ分量は200μlであった。アッセイプレートを37℃、5% CO2で24時間インキュベートしてから2000 rpmで10分、遠心にかけてペレット化し、培地を吸引し、25μlの溶解緩衝液(Promega)を添加した。室温で10分後に、ルシフェラーゼアッセイ基質(Promega)を5秒間に40μl注入する発光測定装置(Labsystems Luminoskan, model RS)でプレートを測定してSTATレポーターコンストラクトの活性化を調べた。
【0417】
結果はヒトzalpha 11リガンドに対するBaF3/ZK134/zalpha 11細胞のSTATレポーター応答を確認するものであった。応答は、測定したままの状態で、濃度50%で培地だけの対照に対し約50倍であった。トランスフェクトしていないBaF3/KZ134対照細胞にはヒトzalpha 11リガンドに応答したSTAT活性化は見られなかったが、これはこの応答がzalpha 11レセプターによって仲介されることを示している。
【0418】
結果はまた、マウスzalpha 11リガンドに対するBaF3/ZK134 /zalpha 11細胞のSTATレポーター応答を確認するものであった。応答は、測定したままの状態で、濃度50%で培地だけの対照に対し約40倍であった。さらに、トランスフェクトしていないBaF3/ KZ134対照細胞でもマウスzalpha 11リガンドに応答するSTAT活性化が明白(約5倍)であったが、これはマウスBaF3細胞が内生マウスレポーターをもっている可能性があることを示唆するものであった。
【0419】
実施例 21
マウス zalpha 11 はマウス骨髄細胞検定で活性を示す
A. 非接着性低密度骨髄細胞の単離
6〜10週齢のオスBalb/CまたはC57BL/6マウスから新鮮な大腿骨吸引骨髄を採取した。採取した骨髄はRPMI+10% FBS(JRH, Lenexa, KS; Hylone, Logan, UT)で洗浄し、RPMI+10% FBS中に全骨髄細胞懸濁液として懸濁させた。
【0420】
この全骨髄細胞懸濁液を密度勾配(Nycoprep, 1.077, Animal; Gibco BRL)にかけて単核球主体の低密度細胞を次のようにして濃縮した:全骨髄細胞懸濁液(約8 ml)を、15 mlコニカルチューブに入れた約5 mlのNycoprep勾配液面に慎重にピペットで重層し、次いで600X gで20分、遠心にかけた。低密度単核球を含む界面層を取り出し、過剰RPMI+10% FBSで洗浄し、400X gで5〜10分、遠心にかけてペレット化した。このペレットをRPMI+10% FBSに再懸濁させ、T-75フラスコに約106細胞/mlまき、37℃、5% CO2で約2時間インキュベートした。得られた懸濁細胞は非接着性低密度(NA LD)骨髄細胞であった。
【0421】
B. 96 穴検定
NA LDマウス骨髄細胞を96穴組織培養プレートにウェル当たり25,000〜45,000個まいた。培地はRPMI+10% FBS+1 ng/mlマウス幹細胞因子(mSCF)(R&D Sytems, Mineapolis, MN)+次のうちいずれかに由来する5%ならし培地から成った:(1)マウスzalpha 11リガンドを発現するBHK 570細胞(実施例18)(2)ヒトzalpha 11リガンドを発現するBHK 570細胞(実施例7)、または(3)いずれのリガンドも発現しないベクターをもつ対照BHK 570細胞。
【0422】
次いで、これらの細胞を種々のサイトカインで処理して造血細胞の増殖または骨髄からの分化を調べた。この検定では培養したNA LDマウス骨髄細胞をヒト・インターロイキン15(hIL-15)(R&D Systems)または他のさまざまなサイトカイン(R&D Systems)のうちの1つにさらした。hIL-15または他サイトカインの連続希釈を約50 ng/ml濃度から約6025 ng/ml濃度まで2倍連続希釈法で試験した。8〜12日後に、実施例5Bに記載したAlamar Blue法で細胞増殖を採点した。
【0423】
C. 96 NA LD マウス骨髄検定の結果
マウス、ヒト両zalpha 11リガンドを発現するBHK細胞からのならし培地はhIL-15と相乗的に作用してNA LDマウス骨髄中の造血細胞群の増殖を促進した。造血細胞のこうした増殖は対照BHKならし培地+hIL-15では見られなかった。マウスzalpha 11リガンド+hIL-15によって増殖させた造血細胞群とヒトzalpha 11リガンド+hIL-15によって増殖させた造血細胞群を細胞培養でさらに増殖させた。これらの造血細胞をフィコエリスリン標識抗Pan NK細胞抗体(Pharmingen)で染色してフローサイトメトリーにかけたが、それにより増殖細胞はこのナチュラルキラー(NK)細胞マーカーに陽性的に染まることが判明した。
【0424】
同じ96穴検定を、Poietic Technologies社(Gaithersburg, MD)から購入した新鮮ヒト骨髄細胞を使用して実施した。やはり、マウスおよびヒトzalpha 11リガンドはIL-15と共同して造血細胞群を増殖させ、前述の抗体を使用するとNK細胞マーカーに陽性的に染まるようにすることが判明した。
【0425】
実施例 22
ヒト zalpha 11 リガンド・トランスジェニックマウスを生成するためのコンストラクト
A. 肝特異的 MT-1 プロモーターからヒト zalpha 11 リガンドを発現させるためのコンストラクト
コンセンサスKozak配列とヒトzalpha 11リガンドコード領域を収めたPCRフラグメントを生成するためのオリゴヌクレオチドを設計した。これらのオリゴヌクレオチドは、5’末端にFseI部位を、また3’末端にAseI部位をそれぞれ配置して、(a)われわれの標準トランスジェニックベクターであるpMT12-8または(b)リンパ特異的トランスジェニックベクターであるpKFO51(実施例22B)へのクローニングを行いやすくするよう設計した。
【0426】
PCR反応は200 ngのヒトzalpha 11リガンド鋳型(実施例7)とオリゴヌクレオチドZC22,143(配列番号:61)およびZC22,144 (配列番号:62)で行った。PCR反応条件は次のとおりであった:95℃ 5分−ここでAdvantageTM cDNAポリメラーゼ(Clontech)を加えた;95℃ 60秒、60℃ 60秒、72℃ 90秒を15サイクル;72℃ 7分。PCR産物はアガロースゲル電気泳動で分離し、QiaQuickTM(Qiagen)ゲル抽出キットを用いて精製した。
【0427】
単離された488 bpのDNAフラグメントはFseIとAseI(Boerhinger- Mannheim)で消化し、エタノール沈殿させ、あらかじめFseIとAseIで消化しておいたpMT12-8に連結した。プラスミドpMT12-8はトランスジェニックマウスの肝臓や他組織で目的の遺伝子を発現させるよう設計してあり、10 kbのMT-1 5’ DNAと7 kbのMT-1 3’ DNAにはされまた発現カセットを収めている。この発現カセットはMT-1プロモーター、ラットのインスリンIIイントロン、所望クローン挿入用のポリリンカー、およびヒト成長ホルモン(hGH)ポリA配列を含んでいる。
【0428】
各連結反応系1μl程度をDH10B ElectroMaxTMコンピテント細胞(GIBCO BRL, Gaithersburg, MD)へとメーカーの説明書に従ってエレクトロポレーションにより導入し、100μg/mlアンピシリンを含むLBプレートにまいて一晩インキュベートした。コロニーを選別し、100μg/mlアンピシリンを加えたLB培地で増殖させた。選別したコロニーからミニプレップDNAを調製し、EcoRI単独またはFseIとAselの組み合わせによる制限消化および後続のアガロースゲル電気泳動でスクリーニングを行いヒトzalpha 11リガンドインサートを求めた。
【0429】
正しいpMT-ヒトzalpha 11リガンドのマキシプレップを行った。5’および3’フランキング配列、MT-1プロモーター、ラットのインスリンIIイントロン、ヒトzalpha 11リガンドcDNAおよびhGHポリA配列を収めたSalIフラグメントを調製して、マウス受精卵母細胞へのマイクロインジェクションへの使用に備えた。マイクロインジェクションとトランスジェニックマウスの作製はHogan, B. et al., Manipulating the Mouse Embryo, 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, NY, 1994に記載の要領で行った。
【0430】
B. リンパ特異的 E μ LCK プロモーターからヒト zalpha 11 リガンドを発現させるためのコンストラクト
コンセンサスKozak配列とヒトzalpha 11リガンドコード領域を収めたPCRフラグメントを生成するためのオリゴヌクレオチドを設計した。これらのオリゴヌクレオチドは、5’末端にFseI部位を、また3’末端にAseI部位をそれぞれ配置して、リンパ特異的トランスジェニックベクターであるpKFO51(実施例22B)へのクローニングを行いやすくするよう設計した。
【0431】
PCR反応は200 ngのヒトzalpha 11リガンド鋳型(実施例7)とオリゴヌクレオチドZC22,143(配列番号:61)およびZC22,144 (配列番号:62)で行った。PCR反応はAdvantageTM cDNAポリメラーゼ(Clontech)を用いて、次の条件で行った:95℃ 5分;95℃ 60秒、60℃ 60秒、72℃ 90秒を15サイクル;72℃ 7分。PCR産物は前述の要領で精製した。
【0432】
単離された488 bpのDNAフラグメントはFseIとAseI(Boerhinger-Mannheim)で消化し、エタノール沈殿させ、あらかじめFseIとAseIで消化しておいたpKFO51に連結した。pKFO51トランスジェニックベクターはp1026X (Iritani, B.M., et al., EMBO J. 16:7019-31, 1997)から派生させており、T細胞特異的lck近位プロモーター、B/T細胞特異的免疫グロブリンμ重鎖エンハンサー、所望クローン挿入用のポリリンカー、および不活性成長ホルモンタンパク質をコードする突然変異hGH遺伝子(3’イントロンとポリアデニル化シグナルを提供)を含んでいる。
【0433】
各連結反応系1μl程度について前述の要領でエレクトロポレーション、プレーティング、クローンの選別、制限消化によるスクリーニングを行い、ヒトzalpha 11リガンドインサートを求めた。正しいpKFO51-ヒトzalpha 11リガンドを配列決定により検証し、このクローンのマキシプレップを行った。lck近位プロモーターと免疫グロブリンμエンハンサー(EμLCK)、zalpha 11リガンドcDNAおよび突然変異hGH遺伝子を収めたNotIフラグメントを調製して、マウス受精卵母細胞へのマイクロインジェクションへの使用に備えた。
【0434】
実施例 23
マウス zalpha 11 リガンドの組織分布
マウスの多組織ノーザンブロット(Mouse, Mouse Embryo, Clontech; MB1010, MB1012, Origene)をプローブしてマウスzallpha 11リガンド発現の組織分布を調べた。プラスミドM11L/ pZP7(実施例16)を鋳型として、またオリゴヌクレオチドZC22,283 (配列番号:57)およびZC22,284(配列番号:58)をプライマーとしてそれぞれ用いて約484 bpのPCR生成プローブを増幅した。PCR増幅は次の要領で実施した:94℃ 1.0分を1サイクル;94℃ 30秒、50℃ 30秒、72℃ 30秒を35サイクル;72℃ 10分を1サイクル。
【0435】
PCR産物はアガロースゲル電気泳動で視覚化し、Gel Extraction Kit(Qiagen)を用いてメーカーの説明書に従って約484 bpのPCR産物を精製した。REDIPRIMETMラベリングキット(Amersham)を用いてメーカーの説明書に従ってプローブに放射線標識した。プローブはNUCTRAPTMプッシュカラム(Stratagene)を用いて精製した。EXPRESSHYBTM(Clontech)液をプレハイブリダイゼーションに、またノーザンブロット用ハイブリダイゼーション液として、使用した。
【0436】
ハイブリダイゼーションは106 cpm/mlの標識プローブを使用して65℃で一晩実施した。次いでブロットを2xSSCと0.1% SDSにより室温で3回洗い、その後0.1xSSCと0.1% SDSにより55℃で2回洗った。約1.2 kbと約3.5 kbの2転写産物が精巣に見られた。胸腺には大きいほうの転写産物だけが見られた。
8ハウスキーピング遺伝子へと標準化された、種々の組織に由来するRNAを収めたマウスRNA Master Dot Blot(Clontech)もまた前述の要領でプローブし、ハイブリダイズした。発現は精巣で見られた。
【0437】
実施例 24
BHK 570 由来の無標識ヒトおよびマウス zalpha 11 リガンドの精製
特に明記しない限り操作はすべて4℃で実施した。ヒトzalpha 11リガンド(実施例25)またはマウスzalpha 11リガンド(M11L/pZP9)(実施例18)を発現するコンストラクトをトランスフェクトしたBHK 570細胞に由来するならし培地からヒトおよびマウスzalpha 11リガンドを精製するために以下の手順を用いた。ならし培地を標準手法で濃縮した。
【0438】
濃縮したならし培地(CM)は0.45および0.22ミクロンフィルターでフィルター滅菌した。次いで培地をpH 7.0の0.01 M HEPES(JRH Biosciences, Lenexa, KS)で低イオン強度(≦2 mS)へと希釈した。低イオン強度の希釈CMをBioCAD SPRINT(PerCeptive BioSystems, Framingham, MA)で10x66 mm(6 ml)のPoros HSカラム(PerCeptive BioSystems)に一晩、4 ml/minで注入した。0.01 M HEPES(pH 7.0)を10〜20カラム量(CV)通してカラムを洗った。
【0439】
次いで、結合タンパク質を 0.01 M HEPES(pH 7.0)に溶かした1M NaClにより5 ml/minで溶出した。2 ml画分を全クロマトグラフィーにわたって収集し、280および215 nmでの吸光度をモニターした。ピーク吸光度画分をバイオアッセイにより、またSDS-PAGE銀(Geno Technology, St Louis, MO)染色およびクマッシー(Sigma, St Louis, MO)染色により分析した。ピーク画分をプールし、フィルター滅菌し、pH 7.2のリン酸塩緩衝生理食塩水(PBS, Gibco BRL)で≦19 mSへと希釈した。
【0440】
次にこの希釈試料を、zalpha 11CFLAG可溶性レセプター(実施例10B)またはzalpha 11-Fc4融合可溶性レセプター(実施例10C)をすでに樹脂に固定化しおいた(以下を参照) 0.8 ml Poros ALカラムにBioCAD SPRINTにより2 ml/minで注入した。次いでカラムを少なくとも20 CVのPBS(10 ml/min)で洗った。次にカラムをBioCAD 700Eにより0.1 Mグリシン[=アミノ酢酸;グリセロール (Spectrum, Gardena, CA)](pH 2.5) 600μlを流量10 ml/minのPBSと共に注入し溶出した。1 ml画分をそれぞれ6秒間収集し、2 M TRIS[トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(EM Science, Gibbstown, NJ)]55μl(pH 8.8)でただちに中和した。280および215 nmでの吸光度を全クロマトグラフィーにわたってモニターした。
【0441】
ピーク吸光度画分をバイオアッセイにより、またSDS-PAGE銀(Geno Technology)染色およびクマッシー(Sigma)染色により分析した。マウスzalpha 11リガンドでは銀染色ゲル、Coomassie染色ゲルのどちらでも約24 kDと18 kDの2つのバンドが見られた。ヒトzalpha 11リガンドでは銀染色ゲル、クマッシー染色ゲルのどちらでも約18 kDの単一バンドが見られた。
【0442】
Poros AL 媒体へのヒト zalpha 11 可溶性レセプターポリペプチドの固定化
zalpha 11 CFLAG可溶性レセプター(実施例10B)またはzalpha 11-Fc4融合可溶性レセプター(実施例10C)を固定化したPoros ALカラムを調製した。これには約3 mgのzalpha 11 CFLAG可溶性レセプターと約10 mgのzalpha 11-Fc4融合可溶性レセプターを使用した。操作はすべて室温でBioCAD 700E上で行った。Poros AL媒体を4.5 x 50 mmカラムに2 M NaClによりメーカーの説明書に従ってフローパックした。
【0443】
次いでカラムを1.1 M Na2SO4/50 mM リン酸ナトリウム (pH 7.2)で平衡させた。レセプターをミリポア(Millipore)30 kD MWKO遠心濃縮機で4 mg/mlに濃縮し、次いで1.1 M Na2SO4/ 50 リン酸ナトリウム (pH 7.2)で1:1に希釈した。カラムに1.1 M Na2SO4/50 リン酸ナトリウム (pH 7.2)を2 ml/minで通し、希釈リガンド100μlの注入を定常飽和状態または漏出点に到達するまで9 CVにわたって行った。次いで62 CV密度勾配を1.1 M Na2SO4/ 50 mM リン酸ナトリウム (pH 7.2)から550 mM Na2SO4/ 50 mM リン酸ナトリウム (pH 7.2)/5 mg/ml Sodium Cyanoborohydrideまで実施した。
【0444】
次いでカラムを約2時間保持し固定化反応を完了させた。カラムを0.2 M TRIS(pH 7.2)中で5mg/ml Sodium Cyanoborohydrideにより平衡させ、1時間静置しカラムにキャップを形成させた。最後にカラムをPBS/0.02% アジ化ナトリウムにより平衡させ、4℃で保存し使用に備えた。カラムは使用に先立ち0.1 Mグリシンで再溶出して、非特異性タンパク質が確実に除去されるように、またカラムが固定化ヒトzalpha 11可溶性レセプターを浸出させることのないようにした。
【0445】
実施例 25
哺乳動物細胞におけるヒト zalpha 11 リガンドの発現
A. 発現ベクター pZMP11/zalpha 11Lig の構築
ヒトzalpha 11リガンドをコードするポリヌクレオチドの全部または一部を含む発現プラスミドを相同的組み換えにより調製した。ヒトzalpha 11リガンドcDNAフラグメント(配列番号:63)をPCR法で単離した。PCR法でのヒトzalpha 11リガンドフラグメントの生成には2つのプライマーを使用した。
【0446】
すなわち、(1)40 bpのベクターフランキング配列とヒトzalpha 11リガンドのアミノ末端に対応する17 bpを含むプライマーZC22,052(配列番号:64)と(2)フランキングベクター配列に対応する40 bpの3’末端とヒトzalpha 11リガンドのカルボキシル末端に対応する17 bpを含むプライマーZC22,053(配列番号:65)である。PCR反応条件は次のとおりであった:94℃2分を1サイクル;94℃ 30秒、60℃ 30秒、72℃ 30秒を25サイクル;72℃ 5分を1サイクル;4℃ソーク。
【0447】
100μl PCR反応系のうち10μlを1 x TBE緩衝液を加えた0.8% LMPアガロースゲル(Seaplaque GTG)にかけて分析すると、約560 bpのフラグメントが予想どおり見られた。残り90μl のPCR反応系は5μl の1 M NaClと250μl の無水エタノールを加えて沈殿させ、以下に説明する受容体ベクターpZMP11への組み換えへの使用に備えた。この受容体プラスミドpZMP11はあらかじめSmaIで切断しておいた。
【0448】
プラスミドpZMP11をプラスミドpCZR199(本書では実施例8などに記載)から派生させた。プラスミドpCZR199は哺乳動物の発現ベクターであり、CMV前初期プロモーター、マウス免疫グロブリン重鎖座の可変領域に由来するコンセンサスイントロン、コード配列挿入用の複数の制限酵素認識部位、終結コドンおよびヒト成長ホルモンターミネーターをもつ発現カセットを収めている。
【0449】
このプラスミドはまたE. coli複製起点、哺乳動物選択マーカー発現ユニット(SV40プロモーター、エンハンサーおよび複製起点を備える)、DHFR遺伝子およびSV40ターミネーターも収めている。ベクターpZMP11はpCZR199から構築したが、CMV前初期プロモーターの代わりとしてメタロチオネインプロモーターを、また読み取り枠の5’末端にKozac配列を含んでいる。
【0450】
100μlのコンピテントサッカロミセス・セレビシエー(S. cerevisiae)を、ヒトzalpha 11リガンドインサート約1μgとSmaI消化pZMO11ベクター100 ngを含む10μl混合物と混ぜて、0.2 cm幅のエレクトロポレーションキュベットに移した。酵母/DNA混合物に0.75 kV(5 kV/cm)、無限Ω、25μFで電気パルスを与えた。各キュベットに600μlの1.2 Mソルビトールを加え、次いで酵母300μl x 2を2個のURA-Dプレートに分注し、30℃でインキュベートした。
【0451】
約48時間後、単一プレートからのUra+酵母トランスフォーマントを1 ml H2Oに懸濁させ、ざっと遠心にかけ酵母細胞をペレット化した。細胞ペレットを1 ml溶解緩衝液[2% Triton X-100、1% SDS、100 mM NaCl、10 mM Tris(pH 8.0)、1 mM EDTA]に再懸濁させた。500μlの溶解混合物を、酸洗浄済みガラスビーズ300μlとフェノール−クロロホルム200μlを入れたエッペンドルフ型チューブに加え、1分間ずつ2〜3回ボルテックスし、次いで5分間、最高速で遠心にかけた。水相300μlを新しいチューブに移し、600μlエタノール(EtOH)でDNAを沈殿させてから4℃で10分間遠心にかけ、DNAペレットを100μl H2Oに再懸濁させた。
【0452】
エレクトロコンピテントE. coli細胞(DH10B, Gibco BRL)の形質転換を、0.5〜2 ml酵母DNAプレップと40μl DH10B細胞を用いて行った。細胞に2.0 kV、25 mF、400Ωで電気パルスを与えた。エレクトロポレーションに続いて、1 ml SOC[2% BactoTM トリプトン(Difco, Detroit, MI)、0.5%酵母エキス(Difco)、10 mM NaCl、2.5 mM KCl、10 mM MgCl2、10 mM MgSO4、20 mMグルコース]を250μlに分けて、4個のLB AMPプレート[LBブロス(Lennox)、1.8% BactoTM Agar(Difco)、100 mg/Lアンピシリン]にまいた。
【0453】
ヒトzalpha 11リガンドの正しい発現コンストラクトを収めた個別クローンを制限消化によって特定し、インサートの存在を検証すると同時に種々のDNA配列が互いに正しく結合していることを確認した。陽性クローンのインサートを配列分析にかけた。より大きいプラスミドDNAを、Qiagen Maxiキット(Qiagen)を用いてメーカーの説明書に従って単離した。
【0454】
B. ヒト zalpha 11 リガンドの哺乳動物での発現
BHK 570細胞(ATCC NO:CRL-10314)を10 cm細胞培養ディッシュにまいて、DMEM/FBS培地[DMEM, Gibco/BRL High Glucose(Gibco BRL,Gaithersburg,MD)、5%ウシ胎児血清(Hylone, Logan, UT)、1 mM L-グルタミン(JRH Biosciences, Lenexa, KS)、1 mMピルビン酸ナトリウム(Gibco BRL)]で一晩37℃、5% CO2で約50〜70%コンフルエンスまで増殖させた。次いでこの細胞にプラスミドpZMP11/zalpha 11Lig(実施例25A)を、LipofectamineTM(Gibco BRL)を使用して無血清(SF)培地(DMEM、10 mg/mlトランスフェリン、5 mg/mlインスリン、2 mg/mlフェチュイン、1% L-グルタミンおよび1%ピルビン酸ナトリウム)中でトランスフェクトした。
【0455】
zalpha 11-Fc4/pZMP6(実施例8B)を15 mlチューブ中でSF培地により希釈し総最終容量を640μlとした。35μlのLipofectamineTM(Gibco BRL)を605μlのSF培地と混合した。このLipofectamineTMミックスをDNAミックスに加え約30分、室温でインキュベートした。DNA /LipofectamineTM混合物にSF培地5 mlを加えた。細胞をSF培地で1回すすぎ、吸引し、DNA/LipofectamineTM混合物を加えた。細胞を37℃で5時間インキュベートし、次いで各プレートにDMEM/10% FBS、1% PSN培地を6.4 ml加えた。
【0456】
プレートを37℃で一晩インキュベートし翌日DNA/LipofectamineTM混合物を新しい5% FBS/DMEM培地と交換した。トランスフェクション後5日目に、細胞をT-162フラスコの選択培地(DMEM/ 5% FBS、1% L-GLU、1% NaPyr)に分割した。トランスフェクションの約10日後に、各トランスフェクションに由来する2つの150 mm培養ディッシュのメトトレキサート耐性コロニーをトリプシン処理し、細胞をプールし、T-162フラスコにまき、大量培地へと移した。大量培養由来のならし培地を使用して、実施例24に記載した要領でヒトzalpha 11リガンドポリペプチドを精製した。
【0457】
実施例 26
マウス zalpha 11 リガンド・トランスジェニックマウス生成用のコンストラクト
A. リンパ特異的 E μ LCK プロモーターからマウス zalpha 11 リガンドを発現させるためのコンストラクト
コンセンサスKozak配列とマウスzalpha 11リガンドコード領域を収めたPCRフラグメントを生成するためのオリゴヌクレオチドを設計した。これらのオリゴヌクレオチドは、5’末端にFseI部位を、また3’末端にAseI部位をそれぞれ配置して、(a)リンパ特異的トランスジェニックベクターであるpKFO51、または(b)われわれの標準トランスジェニックベクターであるpTG12-8へのクローニングを行いやすくするよう設計した。
【0458】
PCR反応は200 ngマウスzalpha 11リガンド鋳型(実施例16)とオリゴヌクレオチドZC23,115(配列番号:66)およびZC23,116 (配列番号:67)で行った。PCR反応は実施例22Bに記載したPCR条件の下で、AdvantageTM cDNAポリメラーゼ(Clontech)を使用して行った。PCR産物は実施例22Bの要領で単離した。単離した440 bpのDNAフラグメントは実施例22Bの要領で消化し、あらかじめFseIとAseIで消化しておいたpKFO51に連結した。
【0459】
各連結反応系1μl程度について、実施例22の要領でエレクトロポレーション、プレーティング、クローン選別、制限消化によるスクリーニングを行い、マウスzalpha 11リガンドインサートを求めた。正しいpKFO51-zalpha 11リガンドクローンを配列決定により検証し、このクローンのマキシプレップを行った。lck近位プロモーター、免疫グロブリンμエンハンサー、zalpha 11リガンドcDNAおよび突然変異hGH遺伝子を収めたNotIフラグメントを調製して、マウス受精卵母細胞へのマイクロインジェクションへの使用に備えた。
【0460】
B. 肝特異的 MT-1 プロモーターからマウス zalpha 11 リガンドを発現させるためのコンストラクト
実施例26Aに由来するこの同じマウスzalpha 11リガンドインサートを実施例22Aの要領でpTG12-8ベクターにサブクローニングにした。このコンストラクトでは、約10 mgのpKFO51-zalpha 11リガンドマキシプレップDNAをFseIとAseIで消化し、エタノール沈殿させ、マウスzalpha 11リガンドフラグメントを実施例22の要領で精製した。
【0461】
次いでこのフラグメントを、FseIとAseIであらかじめ消化しておいたpTG12-8に実施例22Aの要領で連結した。エレクトロポレーション、クローンのスクリーニング、およびマキシプレップを実施例22の要領で実施した。5’および3’フランキング配列、MT-1プロモーター、ラットのインスリンIIイントロン、マウスzalpha 11リガンドcDNAおよびhGHポリA配列を収めたSalIフラグメントを調製して、マウス受精卵母細胞へのマイクロインジェクションへの使用に備えた。
【0462】
実施例 27
マウス zalpha 11 リガンドに対するポリクローナル抗体
メスのニュージーランドシロウサギ2匹に精製処理した組み換えタンパク質muzalpha 11L/MBP-6H(実施例32)で免疫性を与えてポリクローナル抗体を調製した。ウサギにはそれぞれ、フロイント完全アジュバントに溶かした200 mg精製タンパク質の初回腹腔内(ip)注射とフロイント不完全アジュバントに溶かした100 mgペプチドの3週間ごとのブースターip注射を行った。2回目のブースター注射(合計3回の投与)の7〜10日後に、ウサギから採血し血清を集めた。その後、3週間ごとにブースター注射と採血を繰り返した。
【0463】
CNBr-SEPHAROSE 1 g当たり10 mgの精製組み換えマルトース結合タンパク質(MBP)を用いて調製したCNBr-SEPHAROSE 4Bタンパク質カラム(Pharmacia LKB)を使用して、muzalpha 11L/MBP-6H特異的ウサギ血清に抗MBP抗体を予備吸着させた。組み換えMBPを、自家製アミロースカラムを使用して技術上周知の方法で調製、精製した。特異抗原精製組み換えタンパク質muzalpha 11L/MBP-6H(実施例32) 10 mgを用いて調製したCNBr-SEPHAROSE 4Bタンパク質カラム(Pharmacia LKB)を使用してウサギ血清からmuzalpha 11リガンド特異的ポリクローナル抗体をアフィニティー精製し、次いでPBS中で一晩20X透析を行った。
【0464】
muzalpha 11リガンド特異的抗体の特性解明はELISA法により1μg/mlの精製組み換えタンパク質muzalpha11L/MBP-6H(実施例32)またはhuzalpha 11L/MBP-6H(実施例32)を抗体標的として用いて行った。ウサギ抗muzalpha 11L/MBP-6Hアフィニティー精製抗体の検出下限値(LLD)は、その特異性精製組み換え抗原muzalpha 11L/MBP-6Hでは100 pg/ml、精製組み換えhuzalpha 11L/MBP-6Hでは500 pg/mlである。
【0465】
実施例 28
哺乳動物発現ベクターの構築と CHO DG44 細胞中でのヒト zalpha 11 リガンドの大量発現
cDNAの5’末端にSalI部位を、また3’末端にPmeI部位をそれぞれ追加するために設計されたヒトzalpha 11リガンド(配列番号:1)用哺乳動物発現ベクターを、ヒトzalpha 11リガンドを含むプラスミド(実施例7)から、オリゴヌクレオチドZC22,054(配列番号:70)およびZC22,055(配列番号:71)をプライマーとするPCR増幅により構築した。
【0466】
PCR反応条件は次のとおりであった:94℃ 4分;94℃ 45秒、50℃ 45秒、72℃ 3分を25サイクル;72℃ 10分。PCR産物は本書記載の要領で単離し、本書記載の標準方法によりSalIとPmeIで切断してからポリリンカーの適当な制限酵素認識部位であらかじめ切断しておいたプラスミドpDC312に連結した。プラスミドpDC312についてはMorris, A. et al., “Expression Augumenting Sequece Element(EASE) isolated from Chinese Hamster Ovary Cells,” in Animal Cell Technology, Carrondo, MJT et al.(eds.)(1997), Kluwer Academic Publishers, The Netherlands, p. 529-534.に記載されている。
【0467】
連結ベクターは、懸濁適性をもたせたCHO DG44細胞(Novo Nordisk, Denmark自家製)に、LipofectaminePlusTM試薬を用いてメーカーの説明書に従ってリポフェクションにより導入した。トランスフェクタントはヒポキサンチンを添加した無チミジンPFCHO培地(JRH, Lenexa, KS)で選別してから、200 nmメトトレキサレート(Sigma, St. Louis, MO)で選別した。メトトレキサレート耐性細胞を希釈によりクローニングし、BaF3活性検定(実施例5B)によりzalpha 11リガンドの生成を調べた。
【0468】
精製用原料の生産を目的に増殖性のクローンをスケールアップし、7〜20 Lバイオリアクター(Applikon Bioreactors, Schiedam, The Netherlands)内のPFCHO培地で増殖させた(実施例29)。
【0469】
実施例 29
BHK および CHO 哺乳動物発現細胞株からの無標識ヒトおよびマウス zalpha 11 リガンドの大量精製
A. CHO 発現ヒト zalpha 11 リガンド
特に明記しない限り操作はすべて4℃で実施した。少なくとも30リットルのCHOならし培地(実施例28を参照)からヒトzalpha 11リガンドを精製するために以下の手順を用いた。濃縮または非濃縮ならし培地(CM)を0.45および0.22ミクロンフィルターでフィルター滅菌した。
【0470】
次いで培地を0.01 M MES(Fluka BioChemika、Switzerland)で緩衝剤処理し、pHを6.0に調整してから、BioCAD SPRINT(Perceptive BioSystems, Framingham, MA)を用いて50 x 100 mm (196 ml)のPoros 50 HSカラム(強陽イオン交換体、Perceptive BioSystems)に一晩、4〜10 ml/minで注入した。0.01 M MES/0.130 M NaCl(Mallinckrodt, Paris, KY)(pH 6.0)を10〜20カラム量(CV)通してカラムを洗った。
【0471】
次いで、結合タンパク質を 0.01 M MES(pH 6.0)に溶かした0.130 M〜1 M NaClの10 CV密度勾配により30 ml/minで溶出した。25 ml画分を全クロマトグラフィーにわたって収集し、280および215 nmでの吸光度をモニターした。ピーク吸光度画分をSDS-PAGE銀(Geno Technology, St. Louis, MO)染色、クマッシー(Sigma, St. Louis, MO)染色、およびヒトzalpha 11リガンド抗体を使用するウェスタンブロット法により分析した(実施例33および実施例34)。
【0472】
ピーク画分をプールし、次いでかく拌細胞濃縮機によりYM10メンブラン(Millipore/Amicon, Bedford, MA)上で少量(1〜10 ml)へと濃縮した。次いで試料を、PBS(Gibco BRL)で平衡させた適当なSephacryl S-200 (Pharmacia, Uppsala, Sweden)高性能サイズ排除カラム(52〜600 ml)に流量1〜2 ml/minで注入し、1〜2 ml画分を全クロマトグラフィーにわたって収集し、280および215 nmでの吸光度をモニターした。ピーク画分をSDS-PAGE銀(Geno Technology)染色およびクマッシー(Sigma)染色により分析した。
【0473】
目的とする画分をプールしMillipore 5 kD MWKO遠心濃縮機で最小量へと濃縮した。次いで最終産物をSDS-PAGE クマッシー染色法(Sigma)、ウェスタンブロット法、N-末端配列決定、アミノ酸分析、およびBCA(Pierce, Rockford, IL)で分析し、タンパク質の純度と濃度を調べた。
【0474】
B. BHK 570 発現マウス zalpha 11 リガンド
特に明記しない限り操作はすべて4℃で実施した。BHKならし培地(実施例18を参照)からマウスzalpha 11リガンドを精製するために以下の手順を用いた。濃縮または非濃縮ならし培地(CM)を0.45および0.22ミクロンフィルターでフィルター滅菌した。次いで培地を0.01 M MES(Fluka BioChemika)で緩衝剤処理し、pHを6.0に調整した。CMを実施例29Aの要領で分析し、ASカラムを用いて注入、溶出した。
【0475】
目的とする画分をプールし、実施例29Aの要領でかく拌細胞濃縮機で容積20〜30 mlへと濃縮した。pHを7.0に調整してから試料をBioCAD SPRINT上で、約3 mgのzalpha 11 CFLAG標識可溶性レセプター(実施例10B)または約10 mgのzalpha 11-Fc4融合レセプター(実施例10C)を樹脂に固定化した(以下の方法を参照)0.8 ml Poros ALカラムに1 ml/minで注入した。次いでカラムを、少なくとも20 CVの0.3 M NaCl/PBS(Gibco BRL)/0.01 M MESを10 ml/minで通して洗った。
【0476】
次いでカラムを、BioCAD SPRINT上で0.1 Mグリシン[=アミノ酢酸;Glycocol (Spectrum, Gardena, CA)](pH 2.5) 600μlを流量10 ml/minでPBSと共に注入し溶出した。1 ml画分をそれぞれ6秒間収集し、2 M TRIS[トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(EM Science, Gibbstown, NJ)]55μl(pH 8.8)でただちに中和した。280および215 nmでの吸光度を全クロマトグラフィーにわたってモニターした。ピーク画分を前述の要領でSDS-PAGE銀染色法(Geno Technology)、クマッシー染色法(Sigma)、およびウェスタンブロット法により分析した。
【0477】
ピーク画分をプールし、次いで実施例29Aの要領でかく拌細胞濃縮機により最小量(1〜10 ml)へと濃縮した。次いで試料を、実施例29Aの要領で適当なSephacryl S-200 (Pharmacia)高性能サイズ排除カラムに注入、平衡化、分析した。ピーク画分をSDS-PAGE銀(Geno Technology)染色とクマッシー(Sigma)染色により分析した。目的とする画分をプールし、実施例29Aの要領で濃縮し分析した。
【0478】
C. Poros AL 媒体へのタンパク質の固定化
操作はすべて室温でBioCAD 700E上で行った。Poros AL媒体を4.5 x 50 mmカラムに、2 M NaClを使用してメーカーの説明書に従ってフローパックした。次いでカラムを1.1 M Na2SO4/50 mM リン酸ナトリウム (pH 7.2)で平衡させた。レセプターをMillipore 30 kD MWKO遠心濃縮機で4 mg/mlに濃縮し、次いで1.1 M Na2SO4 /50 mM リン酸ナトリウム (pH 7.2)で1:1に希釈した。カラムに1.1 M Na2SO4/50 mM リン酸ナトリウム (pH 7.2)を2 ml/minで通し、希釈リガンド100μlの注入を定常飽和状態または漏出点に到達するまで9 CVにわたって行った。
【0479】
次いで62 CV密度勾配を1.1 M Na2SO4/ 50 mM リン酸ナトリウム (pH 7.2)から550 mM Na2SO4/50 mM リン酸ナトリウム (pH 7.2)/5 mg/ml Sodium Cyanoborohydrideまで実施してからカラムを約2時間保持し固定化反応を完了させた。カラムを0.2 M TRIS(pH 7.2)中で5mg/ml Sodium Cyanoborohydrideにより平衡させ、1時間静置した。最後にカラムをPBS中で0.02% アジ化ナトリウムにより平衡させ、4℃で保存し使用に備えた。カラムは使用に先立ち0.1 Mグリシンで再溶出して、非特異性タンパク質が確実に除去されるように、またカラムが固定化ヒトzalpha 11可溶性レセプターを浸出させることのないようにした。
【0480】
実施例 30
バキュロウィルスからの無標識ヒトおよびマウス zalpha 11 リガンドの発現ベクター構築、発現および精製
A. バキュロウィルスでヒト zalpha 11 リガンドを発現させるためのコンストラクト
ヒトzalpha 11リガンドポリペプチドを昆虫細胞中で発現させるための発現ベクターpzalpha 11Lを調製した。
【0481】
ヒトzalpha 11リガンドに対応する配列とコード化されたBamH1およびXhoI制限酵素認識部位をそれぞれ5’末端と3’末端に含む517 bpフラグメントを、ヒトzalpha 11リガンドcDNAを含むプラスミド(実施例7)からPCR増幅により、プライマーZC23,444(配列番号:74)およびZC23,445(配列番号:75)を使用して精製した。PCR反応条件は次のとおりであった:94℃ 4分を1サイクル;94℃ 45秒、50℃ 45秒、72℃ 2分を25サイクル;72℃ 10分を1サイクル;4℃ソーク。
【0482】
フラグメントをゲル電気泳動(1% SeaPlaque/1%NuSieve)で視覚化した。バンドを切り出し2 mM MgCl2添加5%アガロースへと希釈し65℃で融解し、BamH1とXhoL(Boerhinger Mannheim)で消化し、BamH1/XhoL消化済みバキュロウィルス発現ベクターpZBV3Lに連結した。pZBV3LベクターはpFastBacITM発現ベクター(Life Technologies)の変形であり、ポリヘドロンプロモーターを除去し、その代わりに遅れて活性化する塩基性タンパク質プロモーターを入れてある。約14 ngの制限酵素切断zalpha 11リガンドインサートと約40 ngの対応ベクターを一晩、16℃で連結した。
【0483】
この連結ミックスをTE(10 mM Tris-HCl, pH 7.5および1 mM EDTA)で3倍に希釈し、約4 fmolの希釈連結ミックスをDH5α Library Efficiencyコンピテント細胞(Life Technologies)へとメーカーの説明書に従ってトランスフォーメンション法で、42℃ウォーターバス中での約45秒間の熱ショックにより導入した。形質転換DNAおよび細胞を450μlのSOC培地(2%BactoTMトリプトン 、0.5%Bacto酵母エキス、10 ml 1M NacCl、1.5 mM KCl、10 mM MgCl2、10 mM MgSO4および20 mMグルコース)で希釈し、100μg/mlアンピシリンを含むLBプレートにまいた。
【0484】
クローンを制限消化により分析し、陽性クローン1μlを20μl DH10Bac Max Efficencyコンピテント細胞(Gibco-BRL, Gaithersburg, MD)へとメーカーの説明書に従ってトランスフォーメンション法で、前述の熱ショックにより導入した。次いで形質転換細胞を980μl SOC培地(2%BactoTMトリプトン 、0.5%Bacto酵母エキス、10 ml 1M NaCl、1.5 mM KCl、10 mM MgCl2、10 mM MgSO4および20 mMグルコース)で希釈し、シェイキングインキュベイターに入れて37℃で4時間増殖させてから、50μg/mlカナマイシン、7μg/mlゲンタマイシン(Life Technologies)、10μg/mlテトラサイクリン、IPTG(Pharmacia Biotech)およびBluo-Gal(Life Technologies)を含むLuria Agarプレートにまき、37℃で48時間インキュベートした。
【0485】
カラーセレクション法で、あらかじめプラスミド(以下、バクミドという)に組み込んでおいた供与体インサートをコードするヒトzalpha 11リガンドをもつ細胞を特定するようにした。色が白のコロニーを選別して分析した。陽性コロニーから、QiaVac Miniprep8システム(Qiagen)を用いてメーカーの説明書に従ってヒトzalpha 11リガンドバクミドDNAを単離した。
【0486】
ZC447(配列番号:76)とZC976(配列番号:77)をプライマーとするPCR法で、バクミド中の転移性因子へのプライマーを使用してDNAを増幅することにより、正しいインサートを求めてクローンをスクリーニングした。PCR反応条件は次のとおり:94℃ 45秒、50℃ 45秒、72℃ 5分を35サイクル;72℃ 10分を1サイクル;4℃ソーク。PCR産物を1%アガロースゲルにかけてインサートのサイズを調べた。正しいインサートをもつクローンはトランスフェクション法によるスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(Sf9)細胞への導入に使用した。
【0487】
B. バキュロウィルスからのヒト zalpha 11 リガンドの発現と精製用原料の生成
Sf9細胞を35 mmプレート当たり5 x 106個まき、27℃で1時間にわたり付着させた。5μlのヒトzalpha 11リガンドバクミドDNA(前述)を100μlのSf-900IISFM(Life Tehnologies)で希釈した。6μlのCellFECTIN試薬(Life Technologies)を100μlのSf-900IISFMで希釈した。
【0488】
バクミドDNAと脂質溶液を静かに混ぜ、室温で30〜45分間インキュベートした。1個の細胞プレートから培地を吸引し、細胞を2 mlの新しいSf-900IISFM培地で1回洗った。脂質-DNA混合物に800μlのSf-900IISFM培地を加えた。洗浄培地を吸引しDNA-脂質混合物を細胞に加えた。細胞を27℃で4〜5時間インキュベートした。DNA-脂質混合物を吸引し、2 mlのSf-900II培地を各プレートに加えた。プレートを27℃、湿度90%で96時間インキュベートしてから、ウィルスを収穫した。
【0489】
一次増幅では、Sf9細胞を125 ml振とうフラスコ内の50 ml Sf-900IISFM中で約0.41〜0.52 x 105個/mlの密度へと増殖させた。次いで細胞に前記ウィルス株150μlを感染させ、27℃で3日間インキュベートしてから、技術上周知の方法でウィルスを収穫した。500μlの試料をBaF3検定(実施例5)にかけて活性を調べ、それに生物活性があることを証明するようにした。
【0490】
二次増幅では、Sf9細胞を2800 ml振とうフラスコ内の1 L Sf-900IISFM中で約0.5 x 105個/mlの密度へと増殖させた。この細胞に前記一次増幅のウィルス株500μlを感染させ、27℃で4日間インキュベートしてから技術上周知の方法でウィルスを収穫した。ウィルスは力価を調べ、以下の実施例30Cおよび実施例30Dに記載する要領でバキュロウィルス産生ヒトzalpha 11リガンド(huzalpha 11L-Bv)の精製を目的に大量増殖させた。
【0491】
C. バキュロウィルス発現ヒト zalpha 11 リガンドの大量精製
特に明記しない限り操作はすべて4℃で行った。BVならし培地からヒトzalpha 11リガンド(huzalpha 11L-Bv)(実施例30B)を精製するために以下の手順を用いた。ならし培地(CM)を0.45および0.22ミクロンフィルターでフィルター滅菌し、ついで0.01 M MES (Fluka BioChemika, Switzerland)で緩衝剤処理し、さらにpHを6.0に調整した。次いでCMを実施例29Aの要領でPoros 50 HSカラムに注入、溶出し、画分を収集し、分析した。
【0492】
ピーク画分をプールし、高性能サイズ排除カラムで濃縮し、実施例29Aの要領で分析した。
サイズ排除カラムからの目的とする画分をプールし、5 kD MWCO Millipore遠心濃縮機で最小量に濃縮した。次いで最終産物を実施例29Aの要領でSDS-PAGE Coomassie(Sigma, St. Louis, MO)染色法、ウェスタンブロット法、N末端配列決定、アミノ酸分析およびBCA(Pierce, Rockford, IL)により分析し、タンパク質の純度と濃度を求めた。バルクタンパク質は−80℃で保存した。
【0493】
D. バキュロウィルス発現ヒト/マウス zalpha 11 リガンドの少量 (< 2 mg) 精製
特に明記しない限り操作はすべて4℃で行った。BVならし培地から2 mg未満のヒトまたはマウスzalpha 11リガンドを精製するために以下の手順を用いた。CMを実施例30Cの要領でフィルター滅菌し、ついで緩衝剤処理し、さらにpH調整した。次いでCMを実施例30Cの要領で注入、溶出し、Poros 50 HSクロマトグラフィーを分析した。
【0494】
画分をプールし、次いでかく拌細胞濃縮機でYM10メンブラン(10 kD MWCO)(Millipore.Amicon, Bedford, MA)によるダイアフィルトレーションにより少量(20〜30 ml)へと濃縮した。pHを7.0に調整してから、BioCAD SPRINT上で約3 mgのzalpha 11 CFLAG可溶性レセプター(実施例10B)または約10 mgのzalpha 11-Fc4融合可溶性レセプター(実施例10C)を樹脂に固定化した0.8 ml Poros ALカラムに試料を1 ml/minで注入した。
【0495】
次いでカラムを少なくとも20 CVの0.3 M NaCl/PBS(Gibco BRL)/0.01 M MESにより10 ml/minの流量で洗った。次いでカラムを、BioCAD SPRINT上で0.1 Mグリシン[=アミノ酢酸;Glycocol (Spectrum, Gardena, CA)](pH 2.5) 600μlを流量10 ml/minでPBSと共に注入して急速溶出した。1 ml画分をそれぞれ6秒間収集し、2 M TRIS[トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(EM Science, Gibbstown, NJ)](pH 8.8) 55μlでただちに中和した。280および215 nmでの吸光度を全クロマトグラフィーにわたってモニターした。画分の分析を前記の要領で行った。
【0496】
ピーク画分をプールし、YM10メンブラン(10 kD MWCO) (Millipore/Amicon, Bedford, MA)によるダイアフィルトレーションにより1〜2 mlへと濃縮した。次いで試料を、PBS(Gibco BRL)で平衡させた適当なSephacryl S-200 (Pharmacia, Uppsala, Sweden)高性能サイズ排除カラムに最適流量で注入し、画分を全クロマトグラフィーにわたって収集し、280および215 nmでの吸光度をモニターした。画分の分析を前記の要領で行った。
【0497】
目的とする画分をプールし、5 kD MWCO Millipore遠心濃縮機で少量に濃縮した。次いで最終産物をSDS-PAGE Coomassie (Sigma, St. Louis, MO)染色法、ウェスタンブロット法、N末端配列決定、アミノ酸分析およびBCA(Pierce, Rockford, IL)により分析し、タンパク質の純度と濃度を求めた。バルクタンパク質は−80℃で保存した。
【0498】
E. バキュロウィルスでマウス zalpha 11 リガンドを発現させるためのコンストラクト: pzalpha 11lig.M
マウスzalpha 11リガンドポリペプチドを昆虫細胞中で発現させるための発現ベクターpzalpha 11LMを調製した。マウスzalpha 11リガンドに対応する配列とコード化されたBspE1およびXba1制限酵素認識部位をそれぞれ5’末端と3’末端に含む413 bpフラグメントを、マウスzalpha 11リガンドcDNAを含むプラスミド(実施例16)から、ZC25,970(配列番号:109)およびZC25,969(配列番号:110)をプライマーとしてPCR増幅により精製した。
【0499】
このPCRにはExpand High Fidelity PCR System(Boerhinger Mannheim)をメーカーの説明書に従って用いた。PCR反応条件は次のとおりであった:94℃ 2分を1サイクル;94℃ 15秒、50℃ 30秒、72℃ 2分を35サイクル;72℃ 10分を1サイクル;4℃ソーク。PCR産物の小部分はゲル電気泳動(1%NuSieveアガロース)で視覚化し、残りのフラグメントはQiagen PCR精製キットを用いてメーカーの説明書に従って精製し、30μlのH2Oに溶出した。次いでフラグメントをBspe1およびXba1(Boerhinger Mannheim)制限酵素により37℃で2時間消化してから、前述のようにアガロースゲルにかけた。
【0500】
バンドを切り出し、精製し、Qiagenゲル抽出キットを用いてメーカーの説明書に従って溶出した。精製フラグメントをBspe1/Xba1消化バキュロウィルス発現ベクターpZBV37Lへと連結した。pZBV37LベクターはpFastBacITM発現ベクター(Life Technologies)の変形であり、ポリヘドロンプロモーターを除去して、その代わりに遅れて活性化する塩基性タンパク質プロモーターとそれに続くエクジステロイドUDP-グルコシルトランスフェラーゼ(EGT)由来分泌シグナル配列を入れてある。約5μlの制限酵素切断zalpha 11リガンドインサートと対応する切断ベクター約100 ngを一晩、16℃で連結し約20μlの連結ミックスとした。
【0501】
そのうち5μlをエレクトロポレーション法により50μlのDH12Sエレクトロコンピテント細胞(Life Technologies)に、2 mmキュベットを用いて2kV、25μF、400Ωの設定条件で導入した。導入後の細胞は1 mlのSOC培地(2%BactoTMトリプトン 、0.5%Bacto酵母エキス、10 ml 1M NacCl、1.5 mM KCl、10 mM MgCl2、10 mM MgSO4および20 mMグルコース)(Gibco BRL)に移し、37℃で約1時間増殖させ、100μg/mlアンピシリンを含むLBプレートにまいた。
【0502】
クローン由来のDNAを単離し、制限消化により分析して陽性クローンを特定した。陽性クローン由来のDNA約5 ngを20μl DH10Bac Max Efficencyコンピテント細胞(Gibco-BRL, Gaithersburg, MD)へとメーカーの説明書に従ってトランスフォーメンション法で、42℃ウォーターバス中での45秒間の熱ショックにより導入した。次いで形質転換細胞を実施例30Aの要領で希釈し増殖させた。マウスzalpha 11リガンドインサートを含むバクミドを実施例30Aの要領で特定し単離した。
【0503】
ZC447(配列番号:76)とZC976(配列番号:77)をプライマーとするPCRによりバクミド中の転移性因子へのプライマーを使用してDNAを増幅することにより、正しいインサートを求めてクローンをスクリーニングした。PCR反応条件は次のとおりであった:94℃ 45秒、50℃ 45秒、72℃ 5分を35サイクル;72℃ 10分を1サイクル;4℃ソーク。PCR産物を1%アガロースゲルにかけてインサートのサイズを調べた。正しいインサートをもつクローンをトランスフェクション法によるスポドプテラ・フルキペルダ(Spodoptera frugiperda)(Sf9)細胞への導入に使用した。
【0504】
F. バキュロウィルスからのマウス zalpha 11 リガンドの発現と精製用原料の生成
Sf9細胞を35 mmプレート当たり100万個まき、27℃で1時間にわたり付着させた。マウスzalpha 11リガンドバクミドDNAを実施例30Bの要領でトランスフェクション法により導入し、ウィルスを収穫した。
一次増幅では、Sf9細胞を前述のようにまき、トランスフェクション後72時間の上清500μlを加え、培養を96時間進行させてから、標準方法でウィルスを収穫した。
【0505】
二次増幅では、Sf9細胞を前述のようにまき、一次増幅のウィルス株200μlを加えた。培養液を27℃で72時間インキュベートしてから、標準方法でウィルスを収穫した。
三次増幅では、二次増幅ウィルス株10μlを250 mlシェークフラスコ内の50 ml Sf-900II培地中のSf9にウェル当たり細胞50万を加え、6日後に前述の要領で収穫した。ウィルスは実施例30Cおよび実施例30Dの要領で力価を調べ、バキュロウィルス産生マウスzalpha 11リガンド(muzalpha 11L-Bv)精製用に大量培養した。
上清中の予想分子量タンパク質の存在は、抗muzalpha 11L/MBP-6Hポリクローナル抗体(実施例27)を用いてウェスタン法で判定した。分泌リガンドの活性はBaF3増殖検定(実施例5)でも示された。
【0506】
実施例 31
ヒトおよびマウス zalpha 11 リガンドの E. coli での発現
A. ヒト zalpha 11 リガンド -MBP 融合発現ベクター pTAP98/ zalpha 11 リガンド
N末端でマルトース結合タンパク質(MBP)に融合させたヒトzalpha 11リガンドの一部分をコードするポリヌクレオチドを収めた発現プラスミドを、相同的組み換えにより構築した。ヒトzalpha 11リガンドcDNA(配列番号:1)のフラグメントをPCR法で単離した。
【0507】
PCR法によるヒトzalpha 11リガンドフラグメントの産生に使用したプライマーは、(1)40 bpのベクターフランキング配列とヒトzalpha 11リガンドのアミノ末端に対応する26 bpとを含むプライマーZC22,128(配列番号:78)と(2)ベクターフランキング配列に対応する3’末端の40 bpとヒトzalpha 11リガンドのカルボキシル末端に対応する28 bpとを含むプライマーZC22,127 (配列番号:79)の2個である。
【0508】
PCR反応条件は次のとおりであった:(94℃ 30秒、50℃ 30秒、72℃ 1分を25サイクル;4℃ソーク)を2巡。100μl PCR反応系のうち2μlを、1xTBE緩衝液を加えた1%アガロースゲルにかけて分析すると、約472 bpの予想バンドが現れた。残り90μlのPCR反応系は第2 PCRチューブに混ぜ、400μl無水エタノールで沈殿させ、後述の要領でMBP-zalpha 11リガンド融合体をコードするコンストラクトを構築するためにSma1切断受容体ベクターpTAP98への組み換えに使用することにした。
【0509】
プラスミドpTAP98はプラスミドpRS316およびpMAL-c2から派生させた。プラスミドpRS316はサッカロミセス・セレビシエー(Saccharomyces cerevisiae)シャトルベクターである(Hieter, P. and Sikorski, R., Genetics 122: 19-27, 1998)。pMAL-c2(NEB)はE.coli発現プラスミドであり、tacプロモーター駆動MalE(MBPをコードする遺伝子)に続いてHisタグ、トロンビン切断部位、クローニング部位、およびrrnBターミネーターをもつ。ベクターpTAP98の構築には酵母菌相同組み換え法を用いた。
【0510】
100 ngのEcoR1切断pMAL-c2を1μgのPvu1切断pRS316、1μgのリンカー、1μgのSca1/EcoR1切断pRS316で組み換えた。リンカーはオリゴZC19,372(配列番号:80)(100 pmol)、ZC19,351(配列番号:81)(1 pmol)、ZC19,352(配列番号:82)(1 pmol)、ZC19,371(配列番号:83) (100 pmol)をPCRで結合したものである。PCR反応条件は次のとおりであった:94℃ 30秒、50℃ 30秒、72℃ 30秒を10サイクル;4℃ソーク。PCR産物は100%エタノール沈殿法で濃縮した。
【0511】
100μlのコンピテントサッカロミセス・セレビシエー(S. cerevisiae)を約1μgのヒトzalpha 11リガンドPCR産物と100 ngのSmaI消化pTAP98ベクターを含む混合物10μlと混ぜ、0.2 cm幅エレクトロポレーションキュベットに移した。この酵母/DNA混合物に0.75 kV(5 kV/cm)、無限Ω、25μFの設定条件で電気パルスを与えた。各キュベットに1.2 Mソルビトール600μlを加えた。次いで酵母を300μlずつ分取して2個のURA Dプレートにまき30℃でインキュベートした。
【0512】
約48時間後に、単一プレートからのUra+酵母トランスフォーマントを1 mlのH2Oに再懸濁させ、ざっと遠心にかけて酵母細胞をペレット化した。細胞ペレットを1%溶解緩衝液[2% Triton X-100、1% SDS、100 mM NaCl、10 mM Tris(pH 8.0)、1 mM EDTA]に再懸濁させた。500μlの溶解混合物を、酸洗ガラスビーズ300μlとフェノール−クロロホルム200μlを入れたエッペンドルフ型チューブに加え、1分間ずつ2〜3回ボルテックスし、続いてエッペンドルフ型チューブ用遠心に5分間、最高速でかけた。DNAペレットは100μlのH2Oに再懸濁させた。
【0513】
エレクトロコンピテントE. coli細胞(MC1061, Casadaban et al., J. Mol. Biol. 138, 179-207)のトランスフォーメーションを酵母DNAプレップ1μlとMC1061細胞40μl によって行った。2.0 kV、25μF、400Ωの設定条件で細胞に電気パルスを与えた。エレクトロポレーションに続いて、0.6 mlのSOC[2% BactoTM トリプトン(Difco, Detroit, MI)、0.5%酵母エキス(Difco)、10 mM NaCl、2.5 mM KCl、10 mM MgCl2、10 mM MgSO4、20 MMグルコース]を分取してLB AMPプレート[LBブロス(Lennox)、1.8% BactoTM Agar(Difco)、100 mg/Lアンピシリン]にまいた。
【0514】
正しいヒトzalpha 11リガンド発現コンストラクトを収める個別クローンを発現によって特定した。細胞を100μg/mlアンピシリン添加SuperbrothII(Becton Dickinson)中で一晩増殖させた。一晩培養物50μlを2 mlの新鮮なSuperbrothII+100μg/mlアンピシリンに植えた。培養物を37℃で2時間、振とうしながら増殖させた。
【0515】
培養物1 mlを1 mM IPTGで誘導した。2〜4時間後、各培養物250μlを250μl酸洗ガラスビーズおよび5%βME+染料添加Thorner緩衝液[8M尿素、100 mM Tris(pH 7.0)、10%グリセロール、2 mM EDTA、5%SDS]と混ぜた。試料を1分間ボルテックスし、65℃に5〜10分間加熱した。4%〜12%PAGEゲル(NOVEX)にレーン当たり20μlを注入した。ゲルを1xMES中で電気泳動した。陽性クローンをpTAP126と名づけ、配列分析にかけた。pTAP126内のMBP-ヒトzalpha 11リガンド融合体のポリヌクレオチド配列は配列番号:84で、また対応するポリペプチドは配列番号:85でそれぞれ示される。
【0516】
B. ヒト zalpha 11 リガンドのバクテリアでの発現
1μlの配列決定用DNAをW3110株(ATCC)のトランスフォーメーションに用いた。この細胞に2.0 kV、25μF、400Ωの設定条件で電気パルスを与えた。エレクトロポレーションに続いて、0.6 mlのSOC[2% BactoTM トリプトン(Difco, Detroit, MI)、0.5%酵母エキス(Difco)、10 mM NaCl、2.5 mM KCl、10 mM MgCl2、10 mM MgSO4、20 MMグルコース]を分取してLB AMPプレート[LBブロス(Lennox)、1.8% BactoTM Agar(Difco)、100 mg/Lアンピシリン]にまいた。
【0517】
正しいヒトzalpha 11リガンド発現コンストラクトを収める個別クローンを発現によって特定した。細胞を100μg/mlアンピシリン添加SuperbrothII(Becton Dickinson)中で一晩増殖させた。一晩培養物50μlを2 mlの新鮮なSuperbrothII+100μg/mlアンピシリンに植えた。培養物を37℃で2時間、振とうしながら増殖させた。
【0518】
培養物1 mlを1 mM IPTGで誘導した。2〜4時間後、各培養物250μlを250μl酸洗ガラスビーズおよび5%βME+染料添加Thorner緩衝液[8M尿素、100 mM Tris(pH 7.0)、10%グリセロール、2 mM EDTA、5%SDS]250μlと混ぜた。試料を1分間ボルテックスし、65℃に10分間加熱した。4%〜12%PAGEゲル(NOVEX)にレーン当たり20μlを注入した。ゲルを1xMES中で電気泳動した。陽性クローンを、huzalpha 11L/MBP-6H融合タンパク質(次の実施例32を参照)のタンパク質精製用の大量培養に使用した。
【0519】
C. マウス zalpha 11 リガンド -MBP 融合発現ベクター pTAP98/ マウス zalpha 11 リガンド
N末端でマルトース結合タンパク質(MBP)に融合させたマウスzalpha 11リガンドの一部分をコードするポリヌクレオチドを収めた発現プラスミドを、相同的組み換えにより実施例31Aの要領で構築した。マウスzalpha 11リガンドcDNA(配列番号:55)のフラグメントをPCR法で単離した。
【0520】
PCR法によるマウスzalpha 11リガンドフラグメントの産生に使用したプライマーは、(1)40 bpのベクターフランキング配列とマウスzalpha 11リガンドのアミノ末端に対応する24 bpとを含むプライマーZC22,849(配列番号:86)と(2)フランキング配列に対応する3’末端の40 bpとマウスzalpha 11リガンドのカルボキシル末端に対応する21 bpとを含むプライマーZC22,850 (配列番号:87)の2個である。PCR反応条件は前記のとおりであった。
【0521】
約450 bpのフラグメントを前述の要領でpTAP98へとクローニングした。クローンのトランスフォーメーション、特定、増殖を前述の要領で行った。陽性クローンをpTAP134と名づけ、配列分析にかけた。pTAP134内のMBP-マウスzalpha 11リガンド融合体のポリヌクレオチド配列は配列番号:88で、また対応するポリペプチド配列は配列番号:89で、それぞれ示される。陽性クローンは、muzalpha 11L/MBP-6H融合タンパク質(実施例32)のタンパク質精製用に、E. coli中で大量増殖させるために使用した。
【0522】
実施例 32
zalpha 11-MBP リガンドまたは zalpha 11-MBP レセプターの精製
特に明記しない限り操作はすべて4℃で行った。ヒトzalpha 11-MBPリガンド(huzalpha 11L/MBP-6H)用またはマウスzalpha 11-MBPリガンド(muzalpha 11L/MBP-6H)用zalpha 11-MBPリガンド融合体を大腸菌(E. coli)から精製するために以下の手順を用いた。ヒトまたはマウスzalpha 11-MBPレセプターの融合は同じ方法で行った。
【0523】
遠心分離前の凍結E. coliペーストを解凍して、2 Lの緩衝液B[0.02 M Tris(EM Science); 0.2 M NaCl(Mallincrodt); 0.01 M 2-メルカプト-エタノール(EM Science)pH 8.0に5 mg/mlペプスタチンA(Boerhinger Mannheim); 5 mg/Lアプロチニン(Boerhinger Mannheim); 1 mg/L PMSF(Kluka)プラス1〜2 mlの消泡試薬AF289アンチフォーム(Signa)を添加したもの]中に希釈した。この混合液を冷却前French Pressホモジェナイザー(Constant Systems LTD)で20〜30 kPSIの圧力により処理した。
【0524】
次いで溶解物を18,000 x g、4℃で45分間遠心にかけ、上清を取った。緩衝液Aで予備平衡処理したアミロース樹脂(New England BioLabs);0.2 M NaCl(Mallincrodt);0.01 M 2-メルカプト-エタノール(EM Science) pH 8.0スラリー200 mlを溶解物の上清に加え、21本のローラーボトルに入れて一晩インキュベートし、MBP融合タンパク質が最大限回分吸収されるようにした。樹脂を回分カラム方式で緩衝液Aを5カラム量以上通して洗い、次いで緩衝液C[緩衝液A+0.02 Mマルトース(Sigma)]で回分溶出した。粗画分を収集し280 nm吸光度をモニターした。
溶出タンパク質をSDS NuPAGE(NOVEX) クマッシー(Sigma)染色で分析した。試料とバルクタンパク質は−80℃で保存した。
【0525】
実施例 33
ヒト zalpha 11 リガンドに対するポリクローナル抗体
精製処理した組み換えタンパク質huzalpha 11L/MBP-6H(実施例32)または精製処理したCHO組み換えタンパク質huzalpha 11L-CHO(実施例29)でメスのニュージーランドシロウサギ2匹に免疫性を与えることにより、ヒトzalpha 11リガンドに対するポリクローナル抗体を調製した。
【0526】
ウサギにはそれぞれ、フロイント完全アジュバントに溶かした200 mg精製タンパク質の初回腹腔内(ip)注射とフロイント不完全アジュバントに溶かした100 mg精製タンパク質の3週間ごとのブースターip注射を行った。2回目のブースター注射(合計3回の投与)の7〜10日後に、ウサギから採血し血清を集めた。その後、3週間ごとにブースター注射と採血を繰り返した。
【0527】
CNBr-SEPHAROSE 1 g当たり10 mgの精製組み換えマルトース結合タンパク質(MBP)を用いて調製したCNBr-SEPHAROSE 4Bタンパク質カラム(Pharmacia LKB)を使用して、huzalpha 11L/MBP-6H特異的ウサギ血清に抗MBP抗体を予備吸着させた。組み換えMBPは自家製アミロースカラムを使用して技術上周知の方法で調製、精製した。huzalpha 11リガンド特異的ポリクローナル抗体は、CNBr-SEPHAROSE 1 g当たり10 mgの特異抗原精製組み換えタンパク質huzalpha 11L/MBP-6Hまたは10 mgの精製CHO組み換えタンパク質huzalpha 11L-CHOを使用して調製したCNBr-SEPHAROSE 4Bタンパク質カラム(Pharmacia LKB)を使用してウサギ血清からアフィニティー精製し、次いでPBS中で一晩20X透析を行った。
【0528】
huzalpha 11リガンド特異的抗体の特性解明はELISA法により、1μg/mlの精製組み換えタンパク質huzalpha 11L/MBP-6H(実施例32)、CHO組み換えヒトzalpha 11リガンド(huzalpha 11L-CHO)(実施例29)またはmuzalpha 11L/MBP-6H(実施例32)を抗体標的として用いて行った。
【0529】
ウサギ抗huzalpha 11L/MBP-6Hアフィニティー精製抗体の検出下限値(LLD)は、その特異性精製組み換え抗原huzalpha 11L/ MBP-6Hでは10 ng/ml、精製組み換えhuzalpha 11L-CHOでは500 pg/ml、精製組み換えmuzalpha 11L/MBP-6H(実施例32)では100 pg/mlであった。ウサギ抗huzalpha 11L-CHOアフィニティー精製抗体のLLDは、その特異性精製組み換え抗原huzalpha 11L-CHOでは20 pg/ml、精製組み換えhuzalpha 11L/MBP-6Hでは500 pg/ml、精製組み換えmuzalpha 11L/MBP-6Hでは50 ng/mlであった。
【0530】
実施例 34
ヒト zalpha 11 リガンドに対する抗ペプチド抗体
ヒトzalpha 11リガンドペプチドhuzalpha 11L-1(配列番号:72)またはhuzalpha 11L-3(配列番号:73)によりメスのニュージーランドシロウサギ2匹に免疫性を与えて、ヒトzalpha 11リガンドに対するポリクローナル抗ペプチド抗体を調製した。これらのペプチドはApplied Biosystems Model 431Aペプチドシンセサイザー(Applied Biosystems, Inc., Foster City, CA)を用いてメーカーの説明書に従って合成した。
【0531】
合成したペプチドはマレイミド活性化により担体タンパク質キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)に結合させた。ウサギにはそれぞれ、フロイント完全アジュバントに溶かした200 mgペプチドの初回腹腔内(ip)注射とフロイント不完全アジュバントに溶かした100 mgペプチドの3週間ごとのブースターip注射を行った。2回目のブースター注射(合計3回の投与)の7〜10日後に、ウサギから採血し血清を集めた。その後、3週間ごとにブースター注射と採血を繰り返した。
【0532】
ヒトzalpha 11リガンドペプチド特異的ウサギ血清の特性解明はELISA法力価チェックにより、抗体(配列番号:72または配列番号:73)の生成に用いた各ペプチド1μg/mlを抗体標的として使用して行った。2匹のウサギのhuzalpha 11L-1特異的血清は、1:5,000,000(1:5E6)の希釈比でその特異性ペプチドに対する力価を示した。2匹のウサギのhuzalpha 11L-3特異的血清は、1:5E6の希釈比でその特異性ペプチドに対する力価を示した。
【0533】
CNBr-SEPHAROSE 1 g当たり10 mgの各特異性ペプチド(配列番号:72または配列番号:73)を使用して調製したCNBr-SEPHAROSE 4Bタンパク質カラム(Pharmacia LKB)を使用して、ウサギ血清からヒトzalpha 11リガンドペプチド特異的ポリクローナル抗体をアフィニティー精製し、PBS中で一晩20X透析を行った。huzalpha 11リガンド特異的抗体の特性解明は、ELISA法力価チェックにより、適当な精製ペプチド抗原または精製組み換え完全長タンパク質1μg/mlを抗体標的として使用して行った。
【0534】
ウサギ抗huzalpha 11L-1アフィニティー精製抗体の検出下限値(LLD)は、その特異性ペプチド抗原huzalpha 11L-1(配列番号:72)では500 pg/ml、精製組み換えhuzalpha 11L/MBP-6H(実施例32)では500 pg/ml、精製CHO組み換えhuzalpha 11L-CHO(実施例29)では500 pg/mlであった。精製組み換えmuzalpha 11L/MBP-6H(実施例32)に対する交差反応性は見られなかった。
【0535】
ウサギ抗huzalpha 11L-3アフィニティー精製抗体のLLDは、その特異性ペプチド抗原huzalpha 11L-1(配列番号:73)では50 pg/ml、精製組み換えhuzalpha 11L/MBP-6Hでは50 pg/ml、精製CHO組み換えhuzalpha 11L-CHO(実施例29)では500 pg/ml、精製バキュロウィルス組み換えhuzalpha 11l-Bv(実施例30)では100 pg/mlであった。精製組み換えmuzalpha 11L-MBP-6H(実施例32)に対しては交差反応性が見られ、LLDは5 ng/mlであった。
【0536】
実施例 35
ヒト zalpha 11 レセプターに対するモノクローナル抗体
zalpha 11レセプターに対するモノクローナル抗体を、精製組み換え可溶性レセプタータンパク質zalpha 11CEE(huzalpha 11-CEE-BHK)(実施例10A)でオスのBalbCマウス5匹(Harlan Sprague Dawley, Indianapolis, IN)に免疫性を与えることにより調製した。マウスにはそれぞれ、フロイント完全アジュバント(Pierce, Rockford, IL)に溶かした20 mg精製タンパク質の初回腹腔内(IP)注射とフロイント不完全アジュバントに溶かした10 mg精製タンパク質の2週間ごとのブースターIP注射を行った。3回目のブースター注射の7〜10日後にマウスから採血し血清を集めた。
【0537】
huzalpha 11-CEE-BHK特異的マウス血清試料の特性解明をELISA法力価チェックにより、精製組み換えCHO huzalpha 11-Fcタンパク質(実施例10C)を抗体標的として使用して行った。1匹のマウスの血清試料は特異抗体標的に対し希釈比1:1,000,000 (1:1E6)で力価を示した。4匹のマウスの血清試料は特異抗体標的に対し希釈比1:100,000(1:1E5)で力価を示した。
【0538】
4匹の高力価マウスから脾臓細胞を取り出し、PEG 1500 (Boerhinger Mannheim, UK)を使用して2段階の融合手順によりマウスSP2/0骨髄腫細胞に、脾臓細胞対骨髄腫細胞の融合比を4:1として融合させた(Antibodies: A Laboratory Manual, E. Harlow and D. Lane, Cold Spring Harbor Press)。
【0539】
融合後10日間増殖させてから、特異抗体産生ハイブリドーマを、精製組み換えBHKヒトzalpha 11-Fc4タンパク質(実施例10C)を抗体標的として使用するELISA法により、またhuzalpha 11配列(実施例4および実施例2)を発現するBaf3細胞を抗体標的として使用するFACS法により同定した。結果的に両法で陽性とされた4つのハイブリドーマを限界希釈法で3回クローニングした。得られた抗体は249.28.2.1.2.2、247.10.2.15.4.6、249.19.2.2.3.5、249.15.2.4.2.7と命名した。
【0540】
実施例 36
zalpha 11 リガンド・トランスジェニックマウス
A. ヒトおよびマウス zalpha 11 リガンドを発現するトランスジェニックマウスの生成
トランスジェニックベクター由来のDNAフラグメント(実施例22と実施例26)、すなわち各プロモーター[MT-1肝特異的プロモーター(マウスzalpha 11リガンド、実施例26B)またはリンパ特異的LCKプロモーター(マウスおよびヒトzalpha 11リガンド、実施例26Aおよび22B)]の5’および3’フランキング配列、ラットのインスリンIIイントロン、zalpha 11リガンドcDNAおよびヒト成長ホルモンポリA配列を含むDNAフラグメントを調製し、受精したB6C3f1マウス卵母細胞(Taconic, Germantown, NY)への標準マイクロインジェクションプロトコールによるマイクロインジェクションに用いた。Hogan, B. et al.,Manipulating the Mouse Embryo, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1994を参照。
【0541】
44匹の仔マウスのなかから、ヒトzalpha 11リガンドをリンパ特異的EμLCKプロモーターから発現する8匹のトランスジェニックマウスを特定した。うち4匹は死に、4匹は成獣へと成長した。これらのマウスでは発現レベルがかなり低かった。77匹の仔マウスのなかから、マウスzalpha 11リガンドをリンパ特異的EμLCKプロモーターから発現する20匹のトランスジェニックマウスを特定した。
【0542】
20匹すべてが成獣へと成長した。これらのマウスでは発現レベルがかなり低かった。60匹の仔マウスのなかから、マウスzalpha 11リガンドを肝特異的MT-1プロモーターから発現する3匹のトランスジェニックマウスを特定した。うち2匹は死に、1匹は成獣へと成長した。これらのマウスでは発現レベルがかなり低かった。組織を以下の要領で調製し、組織学的に検査した。
【0543】
B. トランスジェニックマウス組織の顕微鏡評価
ヒトおよびマウスzalpha 11リガンドを発現するトランスジェニックマウス(実施例36A)から脾臓、胸腺、腸管膜リンパ節を取り出し、組織検査用に調製した。規定どおり取り出した他組織は肝臓、心臓、肺、腎臓、皮膚、乳腺、膵臓、胃、小・大腸、脳、唾液腺、気管、食道、副腎、下垂体、生殖路、オス副性腺、末梢神経を含む骨格筋、骨髄付きの大腿骨などである。
【0544】
組織は突然死した新生仔と数匹の成獣トランスジェニックマウスから以下に説明する要領で取り出した。試料は10%緩衝剤処理ホルマリンで固定し、規定どおりに処理し、パラフィンで包理し、5ミクロンの薄片とし、ヘマトキシリンとエオシンで染色した。遺伝子工学的処理について知らせていない有資格の獣医病理学者を通じて、これらのスライドを検査し、組織変化の度合いを採点(0=無、1=軽度、2=中度、3=重度)した。
【0545】
ヒトzalpha 11リガンドを発現する仔マウスと2匹のメス成獣マウス、およびマウスzalpha 11リガンドを発現する6匹のオス成獣マウスのうちの3匹では検査した数多くの組織で炎症性浸潤が見られた。患部器官は個体によりやや異なった。炎症性浸潤は主として好中球とマクロファージからなり、その数と割合はさまざまであったが、組織変化の度合いは概して軽〜中度であった。さらに、これらのマウスではリンパ器官の変化も見られた。
【0546】
たとえば、脾臓と胸腺における中〜重度のリンパ球減少症(ヒトおよびマウスzalpha 11リガンド発現トランスジェニックス);およびリンパ節における重度のリンパ球減少症(ヒトzalpha 11リガンド発現トランスジェニックス)、または軽〜重度の化膿性〜膿性肉芽腫性リンパ節炎(マウスzalpha 11リガンド発現トランスジェニックス)などである。加えて、脾臓では髄外造血の増加が明白であった。これらの変化は同齢の対照マウスでは見られなかった。
【0547】
C. zalpha 11 リガンド過剰発現トランスジェニックマウスに由来する組織のフローサイトメトリー分析
ヒトまたはマウスzalpha 11リガンドを過剰発現するトランスジェニックマウス(実施例36A)を犠牲にして、末梢血、胸腺、リンパ節、骨髄および脾臓のフローサイトメトリー分析を行った。
【0548】
脾臓、胸腺、リンパ節から細胞懸濁液をつくった。これには、氷で冷やした培地[500 ml RPMI 1640 Medium(JRH Biosciences, Lenexa, KS); 5 ml 100x L-グルタミン(Gibco BRL, Grand Island, NY); 5 ml 100xピルビン酸ナトリウム(Gibco BRL); 5 ml 100xペニシリン、ストレプトマイシン、ネオマイシン(PSN)(Gibco BRL)]中で鉗子により器官を細かく切断し、次いで細胞をセルストレーナー(Falcon, VWR Seattle, WA)に静かに押し付けて濾し出すという方法を用いた。末梢血(200 ml)はヘパリン添加チューブに収集し10 Uヘパリン/mlを含むHBSSで10 mlsに希釈した。
【0549】
脾臓と末梢血調製品から低張溶解により赤血球を除去した。氷で冷やした培地により大腿骨から骨髄を洗い出すという方法で骨髄細胞懸濁液をつくった。細胞をカウントし、Trypan Blue(Gibco BRL, Gaithersburg, MD)を用いて生存能を検査した。氷で冷やした染料(HBSS、1%ウシ胎仔血清、0.1%アジ化ナトリウム)中に細胞を10,000,000個/mlの濃度で懸濁させた。細胞懸濁液に10%正常ヤギ血清およびFcブロック(Pharmingen, La Jolla, CA)を加えて、Fcレセプターと細胞に対する抗体の非特異的結合とを遮断した。
【0550】
細胞懸濁液を等容量の蛍光色素標識モノクローナル抗体(Pharmingen)と混ぜ、氷上で60分インキュベートしてから、氷で冷やした洗浄緩衝液(PBS、1%ウシ胎仔血清、0.1%アジ化ナトリウム)で2回洗浄後、1 mg/ml 7-AAD(Molecular Probes, Eugene, OR)を一部試料の生存能マーカーとして含む400 ml洗浄緩衝液に再懸濁させた。フローデータはFACSCaliburフローサイトメトリー(BD Immunocytometry Systems, San Jose, CA)により得た。データはCellQuestソフトウェア(BD Immunocytometry Systems)を使用して収集、分析した。
【0551】
ヒトまたはマウスzalpha 11リガンドを最高度に発現するトランスジェニックマウスは、分析したすべてのリンパ器官で細胞集団を劇的に変性させた。見られた変化は胸腺細胞質の完全喪失、CD45R陽性B細胞の完全欠如、脾臓のサイズと細胞質の増大などであった。脾臓、骨髄いずれも骨髄性細胞数を増やしていたが、これは単球、好中球双方の増加によって説明された。数多くの集団でpan NK細胞マーカー(DX5)が増加した。
【0552】
中度発現創始者では、高度発現者に見られる表現型と呼応した、それほど劇的ではないがやはり有意の変化が見られた。発現レベルがもっも低いマウスでは骨髄性細胞の有意の増加もB細胞数の減少も見られなかった。ただしそれらのマウスは、胸腺細胞集団にCD4+CD8+二重陽性細胞の減少、CD4、CD8両一重陽性細胞の増加という有意の変化を確かに示した。
【0553】
実施例 37
精製組み換えヒト zalpha 11 リガンドタンパク質正常マウスにおける用量−反応研究
A. 概要
メスの6週齢正常C57Bl/6マウス(Harlan Sprague Dawley, Indianapolis, IN)を1日1回、4日間または8日間、精製組み換えヒトzalpha 11リガンド(実施例24)の、および対照としての賦形剤の、0.1、0.5、5または50μg/mouse/day腹腔内注射で処置した。体重と体温を毎日モニターした。4日目または9日目に各タンパク質処置群から8匹のうち4匹のマウスと賦形剤処置した対照群から10匹のうち5匹のマウスを犠牲にして、血液、骨髄および組織を取り出し分析して、リンパ組織および一般的な生理学的、毒物学的パラメーターへの影響を調べた。
【0554】
試験したいずれの用量でもヒトzalpha 11リガンドタンパク質の毒性を示す証拠はなにもなかった。体重と体温に変化はなかった。臨床化学パラメーターにも明白な変化は見られなかった。しかし、最高用量のzalpha 11リガンドで処置したマウスでは賦形剤処置した対照と比較して、骨髄、脾臓および末梢血中の骨髄性細胞比率が上昇しており、これに関しては研究結果に一貫性が見られた。高用量群では脾臓ホモジェネートのサイトメトリー分析により骨髄性細胞の統計上有意の増加が確認された。
【0555】
2最高用量群の脾臓は他群よりも統計上有意に大きかった。しかし、組織病理学検査では、最高用量群で髄外造血のごくわずかな増加が見られたにすぎない。最高用量群では他群に比して骨髄中の骨髄性細胞の赤芽球系細胞に対する比の統計上有意の上昇が見られた。最後に、同群では末梢血中の白血球総数と単球比率の両方の上昇が見られた。
【0556】
B. 投与溶液の調製
精製組み換えヒトzalpha 11リガンド(実施例24)を滅菌リン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)(Gibco BRL, Grand Island, NY)で希釈し、投与濃度が50、5、0.5または0.1 mg/0.1 ml-PBSとなるようにした。最初の4日間については用量を0日目に調製し−20℃フリーザーで凍結させ使用に備えた。5〜8日目については用量を5日目に調製し、前述の要領で凍結させた。賦形剤処置対照群用に同じPBSの等分量を同様に凍結させた。投与日に適量を解凍し、0.1 ml溶液をマウスに毎日、4日間または8日間投与した。
【0557】
C. 研究方案
マウスは研究開始時点で6週齢であった。各処置群は8匹からなった。ただし、対照群に限って10匹とした。各処置群につき4日間の処置後に半数のマウスを、8日間の処置後に残り半数のマウスをそれぞれ犠牲にした。
毎日の処置に先立って各マウスの体重を測定し、またPortable Programmable Notebook System(BMDS, Inc., Maywood, NJ)を用いて、マウスをスキャンして皮下に埋め込んだトラスポンダー(IPTT-100, BMDS, Maywood, NJ)からの識別番号および体温データを読み取るという方法で体温を記録した。
【0558】
マウスを犠牲にして白血球集団をフローサイトメトリー分析で評価するために取り出した組織は骨髄、胸腺、脾臓である。リンパ器官と骨髄のFACS分析はFACSCalibur(Becton Dickinson, Mansfield, MA)で行った。タンパク質毒性の徴候の有無に関する組織検査用に取り出した組織は脾臓、胸腺、肝臓、腎臓、副腎、心臓、肺などである。組織検査用に固定した組織はすべて10%規定緩衝生理食塩水(NBF)(Surgipath, Richmond, IL)に入れ、4℃で一晩保持した。翌日、NBFを70%エタノールに取り換え、細胞を4℃に戻し、組織検査用の処理に備えた。
【0559】
組織は社内で処理しヘマトキシリンとエオシンで染色してから、契約病理学者に送って組織病理学検査を求めた。血液は全血球計算(CBC)と血清化学プロフィールを目的に採取した。CBCはCell Dyn 3500 Hematology Analyzer(Abbott Diagnostics Division, Abbott Park, IL)を用いて社内で行い、マニュアル白血球分類はPhoenix Central Laboratory(Everett, WA)に依頼した。
【0560】
血清は、全血清化学パネルを求めてPhoenix Central Laboratoryに提出するまで−20℃で凍結保存しておいた。骨髄性細胞:赤芽球系細胞比を求めるために、1本の大腿骨に由来する骨髄をCytoSpinスライド(CYTOSPIN 3 CYTOCENTRIFUGEおよびCYTO SLIDES, Shandon, Pittsburgh, PA)にかけ、Phoenix Central Laboratoryに送って分析を求めた。
【0561】
D. 研究結果
用量50μg/day以下ではヒトzalpha 11リガンドの生理的効果または毒性の明白な臨床的徴候は見られなかった。処置期間中、体重、体温とも正常のままであった。血清化学パラメーターは正常範囲内であった。赤血球および血小板計算値は正常と見受けられた。50μg/dayの投与を8日間受けたマウスでは、単球比率が末梢血で高まり、全血球計算値もはっきり増加したことがマニュアル白血球分類により判明した。
【0562】
大腿骨由来の骨髄では、骨髄性対赤芽球系比が50μg/day用量群で上昇したし、8日間5μg/day用量群でもある程度の上昇が見られた。InStat(InStat MAC; GraphPad Software, Inc., San Diego, CA)を用いたノンパラメトリック・マルチプルコラム比較では、この差は統計的に有意であった(p≒.0049)。最高用量群と対照群の差もまた有意であった(p≒.0286)。したがって、末梢血における白血球の増加と骨髄における骨髄性前駆細胞の有意の増加には関連があるのかもしれない。
【0563】
以下に掲げる組織の組織検査では細胞学的または構造的変化、有糸分裂事象または壊死の明白な形跡は認められなかった:胸腺、肝臓、腎臓、副腎、十二指腸、膵臓、空腸、盲腸、結腸、腸管膜リンパ節、子宮、卵巣、唾液腺、心臓、気管、肺および脳。胸腺、腎臓、肝臓または脳の重量には処置群間に明白な差はなかった。検査したすべての組織のうち、脾臓の重量だけが著しい影響を受けた。
【0564】
各マウスの脾臓重量は脳重量に合わせて標準化した。50μg/day処置群では対照、0.1μg/day、0.5μg/day処置群と比較して、脾臓重量の平均値が4日間の処置後で50%近く上回り、また8日間の処置後でほぼ100%も上回った。4日間処置の場合では、5μg/day処置群もまた対照群、低用量群よりも脾臓重量が大きくなる傾向を示した。4日間処置と8日間処置データに見られる処置群による脾臓/脳重量の差は、InStatプログラム(GraphPad Software)を使用したKruskall-WallaceノンパラメトリックANOVAマルチプルコラム比較検定では統計上有意(p≒.0072)であった。
【0565】
最高用量群のマウスの脾臓では、4日間処置マウスの場合でさえ髄外造血の、とくに赤脾髄のわずかな増加が見られた。脾臓のフローサイトメトリー分析では最高用量群で骨髄性細胞比率の有意(p≒0.01、Student’s t検定)の上昇が認められたが、これは単球、好中球双方の増加を表す。この効果は前述のように、末梢血中の単球比率の上昇や骨髄中の骨髄性前駆細胞の明白な増加と関連があるかもしれない。さらに、ヒトzalpha 11遺伝子の挿入に由来するトランスジェニックマウスでは非トランスジェニック同腹子に比べて脾臓中での髄外造血が増加した。
【0566】
50μg/day用量群では対照群と比較していくつかの変化が見られたが、それは骨髄性細胞の生成または発達におけるzalpha 11リガンドの役割を示唆する。総合すれば、観察された種々の変化はzalpha 11が本書で述べるような癌や免疫疾患などのような専門医療分野における治療用タンパク質として有効であることを示唆している。
【0567】
実施例 38
精製 rhzalpha 11( 組み換えヒト zalpha 11) リガンドタンパク質の暫定的な排出および組織分布研究
A. 概要
精製rhzalpha 11リガンドの組織分布と排出パターンを解明するために、暫定的な薬物動力学的研究を行った。オスの9週齢C57Bl/6マウスに111インジウム(111In)(NEN, Boston, MA)で標識した精製rhzalpha 11リガンドタンパク質を3経路のうちの1経路で投与した。各マウスに対して1回の注射を静脈内(IV)、腹腔内(IP)または皮下(SC)のうちいずれかの経路で行った。
【0568】
皮下または腹腔内注射したマウスは注射の1時間後かまたは3時間後に犠牲にした。静脈内注射したマウスは注射の10分後かまたは1時間後に犠牲にした。血液、血しょう、および特定組織を種々の時点で取り出し、ガンマカウンターでカウントして、外来標識タンパク質のおおよその半減期と組織分布を推定した。カウント用に取り出す組織と犠牲時点は放射性核種で標識した他サイトカインの分布報告をもとに選定した。
【0569】
マウスから放射能カウント用に取り出した組織は胸腺、脾臓、腎臓、肺葉、膀胱などである。腹腔内注射を受けた群では、内蔵もカウントして注射が内蔵に到達した可能性を評価し、また皮下投与マウスでは注射領域内の皮膚と下部組織をカウントした。カウントした薄片と全器官重量に占める薄片の比率から全肝、全肺の単位時間当たりカウント数cpmを計算した。
【0570】
研究終了時に、採取した組織、全血および血しょうをCOBRAII AUTO-GAMMAガンマカウンター(Packard Instrument Company, Meriden, CT)でカウントした。標識した原投与溶液の分取量についても組織研究の終了時にカウントした。これは、各マウスについての総注射放射能率の計算と放射性崩壊に関する全カウント数の同時補正を可能にした。残留血液量と器官重量の概算値は、投与されたカウントの大半が説明されることを、したがって組織当たりカウント数率が各経路による標識zalpha 11リガンド投与後のカウント数分布を合理的に表示することを示唆した。
【0571】
B. zalpha 11 リガンドの 111 インジウム標識づけ
精製rhzalpha 11リガンド(実施例29)に10倍モル過剰量のDTPA(Pierce, Rockford, IL)を、PBS中で室温で30分インキュベートすることにより、結合させた。未反応DTPAと加水分解物をBiomax-5k NMWL(Ultrafree-15, Millipore, Bedford, MA)上で緩衝液交換により除去した。ボイド容積タンパク質ピークを5 mg/mlに濃縮し、バイオアッセイ(抗CD40のマウスB細胞刺激)(実施例44)による試験用にアリコートを分取した。
【0572】
DTPA結合体が完全な生物活性を依然として有することを確認してから、結合体を1 M酢酸ナトリウム(pH 6.0)で0.5 mg/mlに希釈した。2 mCiの111インジウムを0.5 mlの1 M酢酸ナトリウム(pH 6.0)に溶かし、DTPA -rhzalpha 11リガンドと30分間、室温で混合した。取り込まれなかった111インジウムはPD-10カラム(Pharmacia, Piscataway, NJ)上でPBSへの緩衝液交換により除去した。
【0573】
放射線標識試料を無標識ヒトzalpha 11リガンドで希釈して比活性が100 mCi/mgとなるようにし、フィルター滅菌後4℃で一晩保存した。100%の標識タンパク質がBiomax-5k NMWLメンブラン(Millipore)上に保持された。排出および薬物動力学研究では111In標識ヒトzalpha 11リガンドをマウスに投与した。各マウスには5μCiの111Inで標識した50μgのヒトzalpha 11リガンドタンパク質を0.1 mlのPBS賦形剤に混ぜて投与した。
【0574】
C. 暫定分布研究の結果
3経路すべてによる投与の1時間後と3時間後では、111In-ヒトzalpha 11リガンドの最高濃度が腎臓で、それに次ぐ濃度が尿と膀胱で認められた。それは、これらの組織でcpmが最高レベルであったことから明らかであった。腎臓での平均カウントは投与経路と犠牲時点次第で全肝カウント数の3〜8倍であった。たとえば、IV注射の60分後の平均腎pcmは同一群由来の全肝に関する計算平均カウント数の4.5倍であった。IV注射の10分後に犠牲にされた群でも、最高cpmとなったのやはり腎臓であり、肝臓、膀胱、尿がほぼ同一水準でそれに次いだ。
【0575】
D. 暫定薬物動力学研究
血液と血しょうの採取は3経路すべてによる投与の10分後、30分後、60分後に行った。IV注射を受けた別群のマウスからは2分後、5分後、10分後に血液、血しょう試料を採取した。IP経路かSC経路で注射を受けたやはり別群のマウスからは1時間後、2時間後および3時間後に血液、血しょう試料を採取した。これらの処置群については表6を参照。早い採取時点はIV注射後のIL-2の半減期報告値を念頭に置いている。そのT1/2報告値は2.5〜5.1分の範囲であった。生体内IL-2投与については、Donohue, J.H. and Rosenberg, S.A., J. Immunol. 130:2203, 1983を参照。遅い採取時点は予想される排出段階をカバーするために選定した。
【0576】
【表6】
Figure 0004405686
【0577】
無標識IL-2はIV注射後のマウスで約3分の半減期で血清から排出されると判明している。前掲Donohue, J.H. and Rosenberg, S.A.を参照。同量のIL-2をIPおよびSC注射した後では、血清中のIL-2活性持続時間はIV注射30分後の2 units/mlから同2時間後および6時間後の2 units/ml超へと伸びた。IL-2の主要クリアランス経路は腎臓であるように見受けられる。zalpha 11リガンドは本書で述べているようにIL-2と構造的に類似することが判明している。zalpha 11リガンド排出の暫定評価は、cpm値が腎臓で圧倒的に高く膀胱と尿での値がそれに続くという本研究の結果に基づく限り、腎臓によると思われるIL-2クリアランスと符合するように見える。
【0578】
薬物動態(PK)的パラメーターの推定を、血しょうから得られたcpmデータのノンコンパートメンタル分析をもとに、PK分析ソフトウェアWinNonLin, ver. 1.1(Scientific Consulting Inc., Cary, NC)を用いて行った。zalpha 11リガンドの血しょう中半減期は50μg用量のIV、SCおよびIP投与に関する終端排出速度定数の予測値を用いて推定した。薬物動力学研究の結果は血しょう中濃度と時間の関係を示すグラフの終端排出領域におけるデータポイントが少ないため推定となった。
【0579】
さらに、SCおよびIP投与に関する終端排出期のアテハメには、111In-zalpha 11リガンドの吸収がなお明らかに起きている時点で採取したデータを使用する必要があった。しかし、IV、SCおよびIP注射後の半減期推定値はそれぞれ13.6分、18.8分、34.3分であった。投与量の範囲が評価されていないので、可飽和または能動排出(Michaelis Mentenの速度論)が起きているのかどうかははっきりしなかった。したがって、これらの半減期計算値は推定である。
【0580】
標識タンパク質の生体利用率の推定は、SCまたはIP投与後の曲線下面積(AUC)をIV投与後のそれと比較して行った。SCおよびIP投与後の推定生体利用率はそれぞれ35.8%、63.9%であった。調べたのは1つのタンパク質用量だけなので、この生体利用率は用量の関数としては評価しなかった。(IV注射からのデータに基づく)クリアランスと分布量の推定値はそれぞれ0.48 ml/min、6.1 mlであった。
【0581】
これらのデータは暫定的なものではあるが、IV投与されたzalpha 11リガンドの結末は、同じ4ヘリックスバンドル・サイトカインの1種であるIL-2に関する報告結果(前掲Donohue, J.H. and Rosenberg, S.A.)と類似していた。IV投与zalpha 11リガンドはIL-2と同様に、血しょう中の半減期がわずか数分であり、腎臓が主クリアランス経路であった。投与の3時間後、腎臓から抽出された標識試料の大半はなおBiomax-5k NMWLメンブラン(Millipore)上に留まっていた。
【0582】
インジウムはリソソーム酵素による分解中でもタンパク質と会合した状態を保つとの報告(Staud, F. et al., J. Pharm. Sciences 88:577-585, 1999)があるため、zalpha 11リガンドは腎臓に蓄積し、そこで分解されるのであろう。この研究ではIL-2を含む多数の他タンパク質でも観察されているとおり(前掲Donohue, J.H. and Rosenberg, S.A.)、IPおよびSC投与がzalpha 11リガンドの血しょう中濃度を著しく長引かせることも判明した。
【0583】
実施例 39
NK 活性評価のための、 zalpha 11 リガンドを用いた新鮮ヒト骨髄 MNC CD34+ 画分の単離と増殖
A. ヒト骨髄からの CD34+ 細胞の選択と単離
新鮮ヒト骨髄単核球(MNC)を、集積培養しNK細胞活性をもつ細胞を得る目的で調製した。新鮮ヒトMNCはPoeitic Technologies(Gaithersburg, MD)から入手した。
【0584】
細胞懸濁液に10% HIA FBS (Hyclone, Logan, UT)と抗生物質1% PSC(Gibco, BRL, Grand Island, NY)を含むアルファMEM(JRL, Lenexa, KS) 10 mlを加え、細胞を100μmのふるいに通した。次いで細胞をカウントし、ペレット化し、2% FBSを含む10 mlのPBSで洗い、再ペレット化し、2% FBSを含む1 ml PBSに再懸濁させた。CD34細胞表面マーカー付き細胞(CD34+細胞)を、Dynabeads M-450 CD34 (Dynal, Oslo, Norway)を用いてメーカーの説明書に従って磁選した。CD34+細胞、CD34−細胞の両画分を、以下に示す要領でさらに分析した。
【0585】
B. zalpha 11 リガンドの使用による CD34+ 細胞の増殖
CD34+画分を24穴プレートの4ウェルにまいた。すなわち、ポジティブ選択した5万個の細胞を10% HIA FBS(Hyclone)と1% PSN (Gibco/BRL)、それに以下に述べる種々のサイトカインを混ぜた1 mlアルファMEM(JRL)に懸濁させ、4ウェル(#1〜4)のそれぞれにまいた。種々の試薬を使用して、CD34+選択骨髄MNCのzalpha 11リガンド誘導増殖を検査した。使用した試薬はヒトflt3 (R&D, Minneapolis, MN)、精製ヒトzalpha 11リガンド(実施例30Cおよび実施例30D)、ヒトIL-15(R&D)である。
【0586】
試薬は0日目に次のように混ぜた。ウェル#1には2 ng/mlのヒトflt3を加えた。ウェル#2には2 ng/mlのヒトflt3と15 ng/mlの精製ヒトzalpha 11リガンドを加えた。ウェル#3には2 ng/mlのヒトflt3と20 ng/mlのヒトIL-15を加えた。ウェル#4には2 ng/mlのヒトflt3、15 ng/ml精製ヒトzalpha 11リガンドおよび20 ng/mlのヒトIL-15を加えた。18日間インキュベートした後、各ウェルの懸濁細胞をペレット化し、次いで10% HIA FBS(Hyclone)と1% PSN (Gobco/BRL)を含む0.5 mlアルファMEM(JRL)に再懸濁させ、カウントしてCD34+細胞画分の増殖度合いを評価した。
【0587】
flt3だけ(対照ウェル#1)の存在下では低レベルの増殖が見られたが、flt3に加えてIL-15またはzalpha 11が存在しても、発現にはあまり影響しなかった(ウェル#2および#3)。しかし、flt3に加えて1L-15とzalpha 11の両方を含むウェル#4ではflt3対照ウェルをしのぐ発現が明白であった。この結果は、zalpha 11とIL-15が相乗的に作用してヒトCD34+細胞集団を増殖させることを示唆していた。さらに、この実験結果はマウスBMアッセイ(実施例21)においてマウスzalpha 11リガンドで見られた結果を支持するものであった。
次いで、すべての細胞集団を後述(実施例41)の要領でNK活性試験とフローサイトメトリー分析にかけた。
【0588】
C. zalpha 11 リガンドの使用と IL-15 の遅延添加による CD34+ または CD34 −細胞の発現
CD34+、CD34−の両画分を12穴プレートの6ウェル(#1〜6)に別々にまいた。6ウェルはそれぞれ、前述のように10% HIA FBSとPSNを混ぜた2 mlアルファMEMに懸濁させたポジティブ選択またはネガティブ選択した10万個の細胞を含んでいた。使用試薬は前記のとおりであった。ウェル#1には2 ng/mlのヒトflt3を0日目に加え、ウェル#2には2 ng/mlのヒトflt3を0日目に、また5日間のインキュベーション後に20 ng/mlのヒトIL-5を加えた。
【0589】
ウェル#3には2 ng/mlのヒトflt3と15 ng/mlのヒトzalpha 11リガンドを0日目に加えた。ウェル#4には2 ng/mlのヒトflt3と15 ng/mlヒトzalpha 11リガンドを0日目に、また5日間のインキュベーション後に20 ng/mlのヒトIL-15を加えた。ウェル#5には2 ng/mlのヒトflt3と20 ng/mlのヒトIL-15を0日目に加えた。ウェル#6には2 ng/mlのヒトflt3、15 ng/mlのヒトzalpha 11リガンド、それに20 mg/mlのヒトIL-15を0日目に加えた。実験開始から合計15日間のインキュベーション後に、各ウェルから細胞を取り出しカウントした。
【0590】
CD34+集団では、flt3だけ(対照ウェル#1)の存在下では低レベルの増殖が見られたが、flt3のほかにIL-15またはzalpha 11を0日目に加えても、発現にはあまり影響しなかった(ウェル#3および#5)。5日後にIL-15を加えるとflt3対照ウェルに比して若干の増殖効果が見られた(ウェル#1と比較した場合のウェル#2)。また、zalpha 11の存在下でも増殖効果が見られた(ウェル#3と比較した場合のウェル#4)。しかし、最高の発現が見られたのはflt3のほかに1L-15とzalpha 11を0日目に加えたウェル#6である。
【0591】
CD34−集団では、flt3だけ(対照ウェル#1)の存在下では増殖がまったく見られなかったばかりか、実際には細胞集団の減少が見られた。flt3のほかにzalpha 11を0日目に加えても(ウェル#3)、結果はflt3対照ウェルとほぼ同じだった。5日目に加えたIL-15の存在はzalpha 11リガンドの存在下(ウェル#4)または不在下(ウェル#2)で細胞の増殖効果を高めた。この場合もまた、最高の発現が明らかだったのはflt3のほかに1L-15とzalpha 11を0日目に加えたウェル#6である。
次いで、すべての細胞集団を後述(実施例41)の要領でNK活性試験とフローサイトメトリー分析にかけた。
【0592】
実施例 40
NK 活性と NK 細胞マーカーの評価のための、ヒトおよびマウス zalpha 11 リガンド の使用による新鮮マウス細胞の単離と増殖
A. ヒトおよびマウス zalpha 11 リガンドの使用による新鮮マウス低密度骨髄細胞の単離と増殖
新鮮マウス骨髄細胞は、マウス大腿骨の両端を切断し、骨の内側に2〜3 mlの増殖培地(以下を参照)を流し込んで採取チューブに流し出すという方法で単離した。
【0593】
増殖培地は500 ml RPMI 1640 Medium(JRH Biosciences, Lenexa, KS); 5 ml 100x L-グルタミン(Gibco BRL, Grand Island, NY); 5 ml 100xピルビン酸ナトリウム(Gibco BRL); 5 ml 100Xペニシリン、ストレプトマイシン、ネオマイシン(PSN)(Gibco BRL); 50 ml熱不活性化ウシ胎仔血清(FBS) (Hyclone Laboratories, Logan, UT)からなった。次いで、培地を数回ピペッティングして骨髄細胞をバラバラにした。次いで細胞をペレット化し、増殖培地で1回洗い、70ミクロンのふるいに通した。
【0594】
次いで、骨髄細胞を密度勾配遠心にかけて低密度単核球を単離した。遠心チューブに入れた5〜8 mlのNycoPrep 1.077 Animal (Nycomed, Oslo, Norway)上に5〜8 mlの増殖培地に混ぜた骨髄細胞をピペットで慎重に重層した。この勾配を600X gで20分間遠心にかけた。NycoPrepと培地の界面層から低密度単核球を得た。この単核球を約20 mlの増殖培地で希釈し、ペレット化し、洗浄した。次いで、単核球を標準組織培養フラスコ中の増殖培地にml当たり約0.5〜1.5 x 106個まき、37℃、5% CO2で2時間インキュベートした。
【0595】
次いで、この非接着性低密度(NA LD)骨髄細胞を収穫し、増殖培地にml当たり0.5〜2.0 x 105個まいた。増殖培地には2.5 ng/mlのマウスflt3(R&D Systems, Minneapolis, MN)、25〜50 ng/mlヒトIL-15(R&D Systems)を加えてあり、さらに50〜150 ng/mlのヒトzalpha 11リガンドを、または0.12〜10 ng/mlのマウスzalpha 11リガンドを加える場合と加えない場合があった。
【0596】
ヒトまたはマウスzalpha 11リガンドを加えない場合には、著しい増殖は見られなかった。非接着性細胞はマウスzalpha 11リガンドを0.12 ng/mlの低濃度で含む培地で、またヒトzalpha 11リガンドを22 ng/mlの低濃度で含む培地でも、増殖した。ヒト、マウス両zalpha 11リガンドを含む培地では、非接着性細胞の増殖は、マウスリガンドが約5〜10 ng/mlで飽和反応に至りかつヒトリガンドが200 ng/mlの最高用量でも飽和反応に至らない場合には、用量に比例して強まった。
【0597】
マウス細胞に対する効果はマウスzalpha 11リガンドのほうがヒトzalpha 11リガンドよりも約20〜100倍大きいように見受けられた。約5〜10日後に、zalpha 11リガンドで増殖させたマウス細胞を収穫し、フローサイトメトリー(FACSCalibur; Becton Dickinson, Mansfield, MA)で分析し、そのうちの何%がNK細胞抗原に対して陽性であるかを調べた。ちなみに、PanNK細胞マーカーDX5(Pharmingen)では46%が陽性であった。
【0598】
B. 新鮮なマウス lineage depleted 骨髄細胞の単離と増殖
新鮮なマウスlineage depleted(lin-)骨髄細胞を新鮮マウス骨髄細胞から、まず骨髄細胞を下記の抗体とインキュベートすることにより単離した:TER119、Gr-1、B220、MAC-1、CD3eおよびI-Ab (Pharmingen, San Diego, CA)。次いでDynabeads M-450ヒツジ抗ラットIgG(Dynal, Lake Success, NY)を用いて、メーカーの説明書に従ってlin-細胞を取り出した。
【0599】
次に、ネガティブ選択したlin-骨髄細胞を、2.5 ng/ml flt3(R&D Systems)と25 ng/ml IL-15(R&D Systems)を加えるか、またはflt3、IL-15およびマウスzalpha 11リガンド、2〜5% BHKマウスzalpha 11リガンドならし培地を加えるかした増殖培地に、前記の要領でまいた。6日間増殖させた後、培養物を収穫してカウントし、NK細胞活性検定(実施例41)にかけた。マウスzalpha 11リガンド存在下に増殖させた細胞は、zalpha 11リガンド不在下で増殖させた細胞に比して、NK細胞の標的細胞(YAC-1細胞)を溶解するうえで約2〜3倍有効であった。
【0600】
C. CD4 CD8 ( 二重陰性、 DN) 胸腺細胞の単離と増殖
3〜8週齢マウスから胸腺を切り取りふるいにかけるという方法で新鮮マウス胸腺細胞を単離した。次いで、胸腺細胞を抗CD4および抗CD8抗体(Pharmingen)と共にインキュベートし、次にCD4+ CD8+細胞をDynabeads M-450ヒツジ抗ラットIgG(Dynal)によりメーカーの説明書に従って除去するという方法で、CD4−CD8−(DN)細胞をネガティブ選択した。
【0601】
2.5 ng/ml flt3(R&D Systems)、25 ng/ml IL-15(R&D Systems)および10 ng/ml IL-7 (R&D Systems)を加えマウスzalpha 11リガンドをさらに加える場合も加えない場合もあった増殖培地で、マウスDN胸腺細胞を前述のように増殖させた。6日後に前述の要領で細胞を収穫し、カウントし、フローサイトメトリーにかけ、またNK細胞活性検定(実施例41)にもかけた。
【0602】
マウスzalpha 11リガンドを加えて増殖させると約48万個の細胞が得られたが、zalpha 11リガンドを加えないで増殖させると得られる細胞は16万個にとどまった。マウスを加えて増殖させた培養物はNK細胞抗原Pan NKマーカーDX5(Pharmingen)に対し約16.2%陽性であった。zalpha 11リガンド加えて増殖させた細胞はzalpha 11リガンドを加えないで増殖させた細胞よりもNK細胞の標的細胞YAC-1を約2倍も多く溶解した。増殖細胞はネガティブ対照標的細胞株EL4をあまり溶解しなかった。これらの結果はzalpha 11リガンドが細胞溶解性NK細胞を選択的に増殖させることを示唆した。
【0603】
実施例 41
NK 細胞毒性アッセイにおける、ヒトおよびマウスのザルファ 11 リガンド増大細胞および成熟マウス NK 細胞の活性度
A. NK 細胞アッセイ
NK細胞介在目標細胞分解を、標準51Cr放出アッセイにより検査した。目標細胞(ヒトアッセイにおいてK562細胞(ATCCNo.CCL-243)、およびマウスアッセイにおいてYAC-1細胞(ATCCNo.TIB-160))は、それらにNK細胞介在溶解を受けやすくする主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子の発現を欠いている。マウスアッセイにおけるネガテイブ対照目標細胞系列はMHC+胸腺腫EL4(ATCCNo.TIB-39)である。
【0604】
我々はK562、EL4、およびYAC-1細胞を、10%FBS(Hyclone,Logan,UT)、および4mMグルタミン(Gibco/BRL)、100 I.U./mlペニシリン+100MCG/mlストレプトマイシン(Gibco/BRL)、50μMβ−メルカプトエタノール(Gibco/BRL)および10mMHEPES緩衝剤(Gibco/BRL)を補足したRP10培地(標準RPMI1640(Gibco/BRL,Grand Island,NY))中で成長させた。
【0605】
アッセイの日に、1〜2×106目標細胞を採集し、RP10培地中に2.5〜5×106細胞/mlで再懸濁した。我々は、50〜100μlの5mCi/ml51Cr−クロム酸ナトリウム(NEN,Boston,MA)を直接細胞に添加し、それらを37℃で1時間にわたり培養し、その後、それらを12mlのPBSで2回洗浄し、それらを2mlのRP10培地中に再懸濁した。細胞を血球計算器で計算した後、目標細胞を0.5〜1×105細胞/mlに希釈し、100μl(0.5〜1×10細胞)を以下に説明するエフェクター細胞と混合した。
【0606】
ヒトアッセイにおいて、採取され、洗浄され、計算され、96穴丸底プレートの中において種々の濃度で51Cr標識目標細胞と混合されると共に、37℃で4時間培養された、選択され増大したヒトCD34+BM細胞(実施例39B)から、エフェクター細胞を作成した。エフェクター細胞と標識目標細胞との共培養の後、各穴から浮遊物の半分を収集し、1分/試料でガンマ計数管により計数した。特定51Cr放出の百分率を式100×(X-Y)/(Z-Y)から計算した。式中、Xはエフェクター細胞存在中の51Cr放出であり、Yはエフェクター細胞がない場合の自然の放出であり、Zは0.5%トリトンX-100により培養された目標細胞からの全51Cr放出である。データを各穴における特定溶解%対エフェクター/目標比でプロットした。
【0607】
B.ヒトザルファ 11 リガンド増大細胞の活性度
flt3+/-ザルファ11リガンドおよびflt3+IL-15+/-ザルファ11リガンド(実施例39)により培養された単離CD34ヒトHPCsを、上述の標準51Cr放出アッセイにおいてMHC-K562細胞を溶解するそれらの能力を評価すると共に、それらの表面表現型をフローサイトメトリにより分析するために、15日目細胞として採取した。
【0608】
以前のレポート(Mrozek,E et al.,Blood 87:2632〜2640,1996、およびYu.H et al.,Blood 92:3647〜3657,1998)から予期されたように、IL-15およびflt3Lの同時の添加は、CD56-細胞の小個体群の発生を誘発した。興味のあることに、同時にザルファ11リガンドとflt3Lとにより培養されたBM細胞は著しく増大はしないが、flt3L、ザルファ11リガンドおよびIL-15(実施例39を参照すること)の組み合わせを含む培養物中の全細胞数の著しい増加があった。
【0609】
これらヒトBM培養物の表面表現型評価のために、我々は、3色フローサイトメトリ分析のために、細胞の小さな分取試料を、抗CD3-FITC、抗CD56-PEおよび抗CD16-CyChrome mAbs(すべてPharMingenから、SanDiego, CA)により色づけし、CellQuestソフトウエアを用いるFACSCalibur(BectonDickinson,Mountain View,CA)により、それらを分析した。このフローサイトメトリ分析により、これらの培養物から生まれてくる細胞は、それらが大きく、顆粒状であり、CD56およびCD16の両方を発現すると共に、CD3-である(Lanier,LL Annu.Rev.Immunol.16:359〜393,1998)ような、NK細胞を分化することが確認された。
【0610】
さらに、これらの細胞は、IL-15およびflt3により生まれた細胞よりも有意により高いエフェクター機能を示した。さらに詳細には、すべて3種のサイトカインの中で生まれた細胞は、エフェクター対目標比率(E:T)1.5において40%より多くのK562目標を溶解し、一方でIL-15およびflt3の中で生まれた細胞は、E:T2において5%より少ない目標を溶解した。これらのデータは、ザルファ11リガンドは、IL-15と組み合わせて、CD34+BM細胞からのNK細胞の分化を刺激することを示す。
【0611】
C.マウスザルファ 11 リガンド増大細胞の活性度
ザルファ11リガンドのマウス造血原種細胞への影響を試験するために、C57B1/6マウスからの精製リネージ−ネガテイブ(Lin-)骨髄細胞を、実施例40Bに記載したように、flt3+IL-15+/-ザルファ11リガンド中で増大させた。培養6日目に、細胞(「エフェクター細胞」)を採取し、計数し、その後、0.4mlのRP10培地(実施例41A)中に再懸濁した。
【0612】
ザルファ11リガンドあり、またはなしで増大させた各試料の二つの分取試料(各0.15ml)(実施例41A)を順次3倍に希釈して、96穴丸底プレート中に2通り、各100μlの計6穴に準備した。残りの細胞100μlをNK細胞表面標識用にFITC-抗2B4およびPE-抗DX5mAbs(PharMingen)で色づけし、フローサイトメトリにより分析した。ザルファ11リガンドの存在あり、またはなしでflt3+IL-15に曝された細胞の各グループは、両方のNK標識に対して65〜75%ポジテイブの範囲で、2B4+DX5+細胞の類似の部分を有した。
【0613】
NK溶解アッセイのために、目標細胞(YAC-1およびEL4)を上述のように51Crで標識した。目標細胞を血球計算機で計算後、目標細胞を0.5〜1×105細胞/mlに希釈し、100μlのYAC-1またはEL4(0.5〜1×104細胞)を100μlのエフェクター細胞と混合し、37℃で4時間培養した。特定の溶解を、上述のように各穴に対して測定した。
【0614】
flt3+IL-15+ザルファ11リガンドの存在下で成長した細胞が、YAC-1目標に対して強化された溶解活性度(約2倍)を示すこと(しかしMHC+対照細胞系列EL4を殺さなかった)を、我々は見出した。エフェクター対目標比率(E:T)5において、すべての3サイトカイン(ザルファ11リガンド+flt3+IL-15)の存在下で生まれたNK細胞はYAC-1細胞の12%を溶解したが、一方でflt3+IL-15により増大されたNK細胞はYAC-1目標の6%を溶解した。続く実験によりこの傾向は確認された。
【0615】
マウスNK細胞に関するザルファ11リガンドの生物学的活性度を測定するための第2の手法において、我々は実施例40Cにおいて記載したように、未熟のCD4-CD8-(「ダブルネガテイブ」DN)を単離し、それらを、ザルファ11リガンドがあるか、またはなしで、IL-15+flt3+IL-7またはIL-15+flt3+IL-2により培養した。培養6日目に、細胞を採取し、上述のように、YAC-1およびEL4細胞に関するNK溶解活性度に対する検定を行った。我々は、ザルファ11リガンドの存在下で培養された細胞が、他のサイトカインの存在下で培養された細胞よりも、強化された溶解活性度を持つことにより、このアッセイで最大の溶解活性度を有することを見出した。
【0616】
特に、IL-15+flt3+IL-7により成長したDN胸腺細胞は、E:T24においてYAC-1細胞の18%を殺したが、一方でIL-15+flt3+IL-7プラスザルファ11リガンドの存在下で成長した細胞は同じE:Tにおいて目標の48%を殺した。IL-15+flt3+IL-2中で成長したDN胸腺細胞は、E:T6においてYAC-1目標の15%を殺したが、一方でこれら3サイトカインおよびザルファ11リガンドにより成長した細胞はE:T9においてYAC-1細胞の35%を殺した。
【0617】
NK溶解検定の1日前に、フローサイトメトリを培養細胞に対して実施した。骨髄培養物に対して真実であるように、ザルファ11リガンドの増殖効果(ザルファ11リガンドを添加する時、細胞数は約2倍に増加する)にもかかわらず、それは有意にDX5+細胞部分を高めることはしなかった(IL-7による培養物中の全細胞の17〜20%、およびIL-2による培養物中の全細胞の35〜46%)。これらのデータは、IL-15およびflt3と組み合わせたザルファ11リガンドは、マウス骨髄または胸腺から生まれるNK細胞の溶解活性度を高めることを意味している。
【0618】
D.成熟マウス NK 細胞へのマウスザルファ 11 リガンドの活性度
成熟NK細胞へのマウスザルファ11リガンドの影響を試験するために、我々は、4匹の5週齢C57B1/6マウス(Jackson Laboratories,Bar Harbor,ME)から脾臓を単離し、それらを末端すりガラスのスライドガラスですり潰して、細胞懸濁液を作成した。赤血球を以下のように低張溶解で除去した:細胞をペレット化し、浮遊物を吸引により除去した。我々は、緩い渦巻きによりペレットを破壊し、その後、震動を加えながら900μlの滅菌水を添加し、続いてすばやく(5秒未満内に)100μlの10XHBSS(Gibco/BRL)を添加した。
【0619】
その後、細胞を10mlの1XHBSS中に再懸濁し、細胞をナイロンメッシュ裏打ち細胞濾過器(Falcon)を通すことにより破片を除去した。その後、これらのRBC除去脾臓細胞をペレット化し、MACS緩衝剤(PBS+1%BSA+2mMEDTA)中に再懸濁し、計数した。我々は、300×106の細胞を抗DX5被覆磁気ビーズ(Miltenyi Biotec)で色づけし、製造業者の指示書に従い、明確にMACSVS+分離カラム上にDX5+NK細胞を選択し、8.4×106DX5+細胞および251×106DX5-細胞の回収をもたらした。
【0620】
これら細胞の各グループを、RP10培地(実施例41A)単独、または1)30ng/mlマウスザルファ11リガンド、2)30ng/ml組替え型マウスIL-2(R&D Systems,Inc.,Minneapolis,MN)、3)30ng/ml組替え型ヒトIL-15(R&D)、4)マウスザルファ11リガンドおよびhIL-15各30ng/ml、または5)mIL-2およびhIL-15各30ng/ml、と一緒の培地の中で24穴プレート(0.67×106細胞/穴、処理条件当たり2穴)中で培養した。細胞を21時間後に採取し、洗浄し、RP10培地中に再懸濁し、計数した。その後、細胞について、実施例41Aにおいて記載したように、51Cr標識YAC-1またはEL4目標細胞を溶解するそれらの能力に対して検定した。
【0621】
一般に、DX5-(非-NK細胞)グループからのNK活性は殆どなかったが、しかしザルファ11リガンドおよびhIL-15により培養されたDX5-細胞は、E:T82において、YAC-1目標細胞の25%を溶解した。比較として、hIL-15のみで培養したDX5-細胞は、E:T110において、YAC-1目標の14%を溶解した。これは、ザルファ11リガンドおよびhIL-15が、この細胞作成において、残留NK1.1+NK細胞上で一緒に作用していることを示唆する。
【0622】
DX5-細胞作成に関して、マウスザルファ11リガンドのみの処理では、有意にそれらのエフェクター機能を増大させなかった(それらのYAC-1細胞の溶解は未処理グループのそれと同様であった)。期待されたように、IL-2およびIL-15の両方は有意にNK活性度を改善した。しかし、溶解の最高のレベルは、ザルファ11リガンドおよびhIL-15で処理されたグループの中に検出された(hIL-15処理グループでE:T4において45%溶解に対してE:T3.3においてYAC-1細胞の65%溶解)。総合すれば、これらの結果は、ザルファ11リガンドのみではNK細胞溶解活性度を増大しえない場合があるが、それはIL-15と共に投与される時、成熟NK細胞のNK溶解活性度を高めることを示唆している。
【0623】
実施例 42
T細胞増殖アッセイにおけるヒトおよびマウスT細胞のザルファ 11 リガンド増殖
A.マウスT細胞のマウスザルファ 11 リガンド増殖
C57B1/6マウス(Jackson Laboratories,Bar Harbor,ME)からのT細胞を、腋の下、上腕部、鼠径部、頚部、および腸間膜部のリンパ節(LNs)から集めた脾細胞およびリンパ球から単離した。脾臓を末端すりガラスのスライドガラスですり潰して、細胞懸濁液を作成した。LNsを鉗子で薄くそいでばらばらにし、細胞濾過器を通して破片を除去した。集められた脾細胞およびリンパ節細胞を、製造業者の指示書(Miltenyi Biotec,Auburn,CA)に従い、2個の連続MACS磁気分離カラムを用いてCD8+およびCD4+サブセット中に分離した。全胸腺細胞を同じマウスから収集した。
【0624】
種々の濃度の抗CD3mAb2C11(PharMingen)により、4℃で1夜にわたり前被覆した96穴平底プレートの中で、精製マウスザルファ11リガンド(0〜30ng/ml)(実施例24および実施例29)の濃度を増しながら、3×105細胞/穴(胸腺細胞)または105細胞/穴(成熟T細胞)において、37℃で3日にわたり細胞を培養した。抗CD3抗体はT細胞受容体を通してマウスT細胞を活性化するのに役だった。2日目に、各穴に1μCi3H-チミジンでパルス標識をし、プレートから採取し、16時間後に計数して増殖を評価した。
【0625】
我々がT細胞増殖アッセイにおいてザルファ11リガンドを試験する時、我々は、それが抗CD3活性マウス胸腺細胞を共刺激してCD8+CD4-細胞の加速生成をもたらす(抗CD3+ザルファ11リガンドにより培養された胸腺細胞の大部分は培養3日目までにCD8+CD4-細胞であったが、一方、抗CD3のみで培養された細胞は5日目まで有意にこの表現型に合うようにはならなかった)ことを見出した。我々は、抗CD3がない場合にザルファ11リガンドに対して有意な胸腺細胞の増殖レベルを観察できなかった。
【0626】
興味のあることに、ザルファ11リガンド+抗CD3に反応するそれらの能力に対して、成熟末梢マウスT細胞を検定した時、我々は、CD4+サブセットではなくCD8のみが、ザルファ11リガンドに対して投与依存方式において反応することを見出した。我々は、また、ザルファ11リガンドのみに反応する、弱いが、しかし再現可能なCD8+細胞(しかしCD4-細胞ではない)の増殖を観察した。興味のあることに、これはヒトT細胞には観察されなかった(以下の実施例42Bを参照すること)。
【0627】
B.ヒトT細胞のヒトザルファ 11 リガンド増殖
ヒトCD4+およびCD8+T細胞を、実施例43(以下)に記載するように、PBMCから単離した。種々の濃度の抗ヒトCD3mAbUCHT1(PharMingen)により、4℃で1夜にわたり前被覆した96穴平底プレートの中で、精製ヒトザルファ11リガンド(0〜50ng/ml)(実施例24)の濃度を増しながら、約105細胞/穴において、37℃で3日にわたり細胞を培養した。2日目に、各穴に1μCi3H-チミジンでパルス標識をし、プレートから採取し、16時間後に計数した。マウスT細胞の結果とは異なり、我々の事前データは、ヒトザルファ11リガンドが、CD8+ではなくCD4+ヒトT細胞を、投与依存方式において共刺激することを示唆する。
【0628】
実施例 43
リアルタイム PCR はヒト CD4+ 細胞中のザルファ 11 リガンド発現を示す
A.ヒトザルファ 11 リガンド発現を評価するために用いられる主要源としての精製ヒトT細胞
全血(150ml)を健康なヒトドナーから集め、50mlの円錐管の中においてPBSと1:1で混合した。その後、30mlの希釈血液の下に15mlのフィコルパークプラス(Ficoll Paque Plus)(Amersham Pharmacia Biotech,Uppsala,Sweden)を置いた。これらの材料を500gで30分遠心分離し、ブレーキをかけることなく放置して止めた。界面でのRBC除去細胞(PBMC)を集め、PBSで3回洗浄した。単離ヒトPBMC収量は、以下に述べる選択前で200×106であった。
【0629】
PBMCsを1.5ml MACS緩衝剤(PBS、0.5%EDTA、2mM EDTA)中に懸濁し、3×106細胞を対照RNAおよびフローサイトメトリ分析のためにとっておいた。我々は次に0.25mlの抗ヒトCD8ミクロビーズ(Miltenyi Biotec)を添加し、混合物を4℃で15分間培養した。CD8ビーズで標識されたこれらの細胞を30ml MACS緩衝剤で洗浄し、その後、2ml MACS緩衝剤中に再懸濁した。
【0630】
VS+カラム(Miltenyi)を、製造業者の指示書に従って作製した。その後、VS+カラムをバリオ(Vario)MACS磁場(Miltenyi)中に置いた。カラムを5ml MACS緩衝剤により平衡状態に置いた。その後、単離初期マウス細胞をカラムに適用した。CD8ネガテイブ細胞は通過することが可能であった。カラムを9ml(3×3ml)MACS緩衝剤ですすぎ洗いした。
【0631】
その後、カラムを磁石から取り外し、15mlファルコン管上に置いた。5ml MACS緩衝剤をカラムに添加することにより、CD8+細胞を溶出し、結合細胞は製造業者により提供されたプランジャーを用いて流し出した。CD8+選択ヒト末梢T細胞の収量は約51×106全細胞であった。細胞を通してのCD8ネガテイブフローを集め、計数し、抗ヒトCD4被覆ビーズで色づけし、その後、培養し、上述と同じ濃度で新規のVS+カラム上を通過させた。CD4+選択ヒト末梢T細胞の収量は42×106全細胞であった。
【0632】
それらの純度を評価するための細胞自動解析分離装置(FACS)を用いて色づけし、分類するために、CD8+およびCD4+選択ヒトT細胞それぞれの試料を除去した。CD8+およびCD4+選択細胞を色づけするために、PE接合抗ヒトCD4抗体、抗ヒトCD8-FITC Ab、および抗ヒトCD19-CyChrome Ab(すべてPharMingenから)を用いた。この第1実験におけるCD8選択細胞は、80%CD8+であり、CD4選択細胞は85%CD4+であった。続く二つの実験(実施例43B)において、CD8+精製細胞は84%および81%純度であり、CD4+細胞はそれぞれ85%および97%純度であった。一つの実験において、我々は、非結合(通過する)細胞を抗ヒトCD19被覆ビーズ(Miltenyi)により色づけし、それらを第3磁気ビードカラム上に流してCD19+B細胞を単離した(これらは92%純度であった)。
【0633】
ヒトCD8+、CD4+およびCD19+選択細胞を、RPMI+5%ヒトウルトラセラム(Gemini Bioproducts,Calabasas,CA)+PMA10ng/mlおよびイオノマイシン0.5μg/ml(Calbiochem)中で、0.5×106細胞/mlを、37℃で約4、16、または24時間にわたり培養することにより活性化した。代わりに、5μg/mlでの可溶性抗CD28mAb(PharMingen)と共に、またはなしで、0.5μg/mlプレート結合抗CD3mAbUCHT1(PharMingen)により1夜にわたり前被覆された24穴プレートの中において、T細胞(2.5×106/穴)を刺激した。それぞれの時間ポイントにおいて、細胞を採取し、ペレット化し、PBSで1回洗浄し、再度ペレット化した。浮遊物を除去し、ペレットをドライアイス/エタノール浴の中で素早く凍結させ、その後、後日のRNA作成のために-80℃で貯蔵した。
【0634】
ヒトザルファ11リガンドおよび受容体発現を評価するために、以下の実施例43Bおよび43Cにおいて記載されるように、これらのヒトCD8+、CD4+およびCD19+選択細胞への、リアルタイムPCRを実施した。
【0635】
B.ヒトザルファ 11 リガンド発現のための定量 RT-PCR 用のプライマーおよびプローブ
ABIPRISM7700配列検出システム(PE Applied Biosystems,Inc.,Foster City,CA)を用いるリアルタイム定量RT-PCRが以前から説明されてきた(Heid,CA et al.,Genome Research 6:986〜994,1996、Gibson,UEM et al.,Genome Research 6:995〜1001,1996、およびSundaresan,S et al.,Endocrinology 139:4756〜4764,1998を参照すること)。この方法はレポーターおよびクエンチャー両方の色素を含有する遺伝子特定プローブの使用を包含する。プローブが無傷の時、レポーター色素放出はクエンチャー色素の接近のせいで否定される。付加的な遺伝子特定順方向および逆方向プライマーを用いるPCR範囲の間に、プローブは、レポーター色素を放出して蛍光放出の増加をもたらすTaqポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性により切断される。
【0636】
リアルタイム定量RT-PCR分析のために用いられるプライマーおよびプローブはプライマー設計ソフトウエアプライマーエキスプレスTM(PE Applied Biosystems)を用いて設計した。ヒトザルファ11リガンド用プライマーは、ゲノムDNAの遺伝子増幅を排除するためにイントロン−エキソン接合に及ぶように設計した。順方向プライマー、ZC22,281(配列番号:90)および逆方向プライマー、ZC22,279(配列番号:91)は、両方、80bp生成物を合成するために300nM濃度で用いた。対応するザルファ11リガンドTaqManプローブ、ZG32(配列番号:92)は、PE Applied Biosystemsにより合成した。
【0637】
5’末端でレポーター蛍光色素(6−カルボキシ−フルオレセイン)(FAM)(PE Applied Biosystems)および3’末端でクエンチャー蛍光色素(6−カルボキシ−テトラメチル−ローダミン)(TAMRA)(PE Applied Biosystems)で、プローブを標識した。すべてのRNA試料の結合性または品質を試験するために、それらをPE Applied Biosystems(cat No.4304483)に注文したプライマーおよびプローブセットを用いてrRNA用に選別した。このプローブ用レポーター蛍光色素はVIC(PE Applied Biosystems)である。rRNA結果はザルファ11リガンド結果の正常化を見込むことになる。
【0638】
RNAは製造業者の指示書に従い、RNeasy MiniprepTM Kit(Qiagen,Valencia,CA)を用いて、実施例43Aにおいて提供されたペレットから生成した。対照RNAを、ヒトザルファ11リガンドを発現する約10百万BHK細胞から作成した。
【0639】
C.ヒトザルファ 11 受容体発現のための定量 RT-PCR 用プライマーおよびプローブ
実施例43Aに詳述された条件下で作成された細胞、およびザルファ11受容体に特定のプローブを用いて、実施例43Bおよび実施例43Dにあるようにザルファ11受容体の発現を評価するために、リアルタイムPCRを実施した。順方向プライマー、ZC22,277(配列番号:93)および逆方向プライマー、ZC22,276(配列番号:94)を、143bp生成物を合成するために約300nM濃度で、PCR反応(上述)において用いた。ZG31(配列番号:95)と呼ばれる、対応するザルファ11 TaqMan(商標)プローブを合成し、PE Applied Biosystemsにより標識した。以下の実施例43Dに記載されるリアルタイムPCR用標準曲線のための適切な対照を作成するために、ヒトザルファ11受容体を発現するBaF3細胞からのRNAを用いた。
【0640】
D.リアルタイム定量 RT-PCR
ザルファ11リガンドRNAの相対レベルを、1段階RT-PCR法(PE Applied Biosystems)を用いる全RNA試料の分析により決定した。標準曲線を作製するために、ヒトザルファ11リガンドを発現するBHK細胞からのRNAを用いた。曲線は、各点で3重反復分析されて、rRNAスクリーンに対して2.5〜2.5×10-4ngおよびザルファ11リガンドスクリーンに対して25〜0.0025ngの範囲にある連続希釈溶液からなった。ヒトザルファ11リガンド転写レベルに対して、および内因性対照としてのrRNAレベルに対しても、また、3重反復試験で全RNA試料を分析した。
【0641】
1段階RT-PCR反応はそれぞれ、緩衝剤A(50mM KCl、10mMトリス−HCl、および内標準色素、ROX(PE Applied Biosystems))、適切なプライマー(rRNA試料に対して50nM、ザルファ11リガンド試料に対して300nM)およびプローブ(rRNAに対して50nM、ザルファ11リガンドに対して100nM)、5.5mM MgCl2、各300μMのd-CTP、d-ATP、およびd-GTPおよび600μMのd-UTP、逆転写酵素(0.25U/μl)、AmpliTaqDNAポリメラーゼ(0.025U/μl)およびRNase抑制剤(0.4U/μl)、全体積25μl中の全RNA25ngからなった。熱サイクル条件は、48℃で30分間の開始RT段階、95℃で10分間のAmpliTaqGold活性化段階、続く95℃で15秒間および60℃で1分の増幅40サイクルからなった。
【0642】
相対ザルファ11リガンドRNAレベルを、ザルファ11リガンドレベルを正常化するためにrRNA測定を用いる、User Bulletin No.2(PE Biosystems;User Bulletin#2:ABI Prism 7700 Sequence Detection System,Relative Quantitation of Gene Expression,December 11,1997)において記載されているような標準曲線法により決定した。試料を各実験内の較正物質を基準として比較した。良好品質RNAおよび他の試料が有意に比較することができる発現レベルに基づき、較正物質を任意に選択した。刺激された、および刺激されない細胞(実施例43A)におけるザルファ11リガンドおよびザルファ受容体の発現を分析する実験の結果は、以下の実施例43Eに記載される通りである。
【0643】
E. CD4+ CD8+ および CD19+ 細胞におけるヒトザルファ 11 受容体およびリガンドの発現
第1実験には、刺激後、0時間(非刺激(「休んでいる」)細胞)、および4時間、15.5時間および24時間の時間ポイントで、非刺激および抗CD3刺激CD4+およびCD8+試料におけるザルファ11受容体発現を評価するために、上述のRT-PCRを用いた。休んでいるCD4+試料を較正物質として任意に選択し、1.00値を与えた。4時間〜24時間の培養で非刺激CD4+細胞において約4倍の受容体発現の増加、および抗CD3刺激CD4+細胞において同じ時間内で約8倍の増加があった。CD8+細胞は、4時間目でピークとなりザルファ11受容体発現の7倍の増加を示し、後は時間と共に減少した。抗CD3刺激により、CD8+細胞は受容体発現を一定して8倍に増大させた。
【0644】
第1実験には、また、同じ抗CD3刺激および非刺激CD4+およびCD8+試料におけるザルファ11リガンド発現を評価するためにRT-PCRを用いた。4時間目の抗CD3刺激CD8+試料を較正物質として任意に選択し、1.00値を与えた。結果は、非刺激CD4+およびCD8+細胞はザルファ11リガンドを発現しないことを示した。我々は、4時間目の抗CD3刺激CD4+細胞における発現の有意な上昇を観察し、15.5時間目で約300倍の信号の増加を観察した。CD8+細胞は抗CD3刺激に際して少量のリガンドを発現したが、しかし、これは恐らく少ない数のCD4+細胞によるCD8+個体群の汚染のせいによるものである。
【0645】
第2実験には、活性化後、0時間および3.5時間、16時間および24時間での時間ポイントで、抗CD3刺激、PMA+イオノマイシン刺激および非刺激CD4+およびCD8+試料におけるザルファ11受容体発現を評価するためにRT-PCRを用いた。休んでいるCD8+試料を較正物質として任意に選択し、1.00値を与えた。休んでいるCD4+およびCD8+細胞は有意な受容体発現量を有しなかった。
【0646】
発現は、刺激後3.5時間、16時間および24時間でのPMA+イオノマイシン刺激CD4+試料において約3倍高かった。抗CD3活性化CD4+細胞における発現は、刺激後3.5時間で上述背景レベルの10倍のピークを示し、その後、刺激後16時間で上述背景の4倍レベルに落ちた。CD8+細胞は、PMA+イオノマイシン刺激後3.5時間で4倍の発現増加を示し、以降の時間ポイントでは発現は減少した。第1実験におけるように、抗CD3刺激CD8+細胞は、再度、上述背景の8倍の受容体発現誘導を示した。
【0647】
第2実験からのこれらの試料も、ザルファ11リガンド発現を評価するために用いた。24時間目のPMA+イオノマイシン刺激CD4+試料を較正物質として任意に選択し、1.00値を与えた。結果は、再度、非刺激細胞のいずれもがザルファ11リガンドを発現できないことを示した。前の実験(4時間目)で見られたように、3.5時間目で抗CD3により刺激されたCD4+細胞において、約30倍のリガンド発現の誘導があった。しかし、PMA+イオノマイシン刺激では3.5時間目でも約5倍の誘導しかなく、以降の時間ポイントでは落ちて行った。CD8+細胞は、恐らくCD4+細胞汚染に起因するごく微量のリガンドを、再度発現した。
【0648】
最後の実験には、刺激後、0時間および2時間、4時間、および16時間での時間ポイントで、抗CD3-および抗CD3/抗CD28-刺激および非刺激CD4+およびCD8+試料におけるザルファ11受容体発現を評価するためにRT-PCRを用いた。受容体発現に対して、PMA+イオノマイシンにより活性化されたCD19+細胞を、また同じ時間間隔で選別した。休んでいるCD4+試料を較正物質として任意に選択し、1.00値を与えた。2時間目の抗CD3刺激CD4+細胞は、前の実験の3.5時間目で見られた10倍の誘導に較べて、受容体の4倍の誘導しか有しなかった。
【0649】
抗CD3および抗CD28の組み合わせは、ザルファ11受容体発現を上述背景の8倍に増大させた。16時間目の抗CD3/抗CD28刺激CD8+細胞は、前の実験(上述)のCD8+細胞に見られるように、ごく低いザルファ11受容体発現レベルを有した。PMA+イオノマイシンにより刺激されたCD19+細胞は、2時間目で19倍増という最も大きなザルファ11受容体発現を有したが、しかし発現レベルは16時間目までに休んでいる細胞のレベルにまで落ちた。
【0650】
最後の実験からのこれらの試料も、RT-PCRによりザルファ11リガンドを評価するために用いた。16時間目の抗CD3/抗CD28刺激CD8+試料を較正物質として任意に選択し、1.00値を与えた。結果は、2時間目でCD4+細胞は抗CD3刺激によりザルファ11リガンド発現の約2倍の誘導、および抗CD3プラス抗CD28刺激により5倍の誘導を有することを示した。
これらの再度非刺激細胞のいずれもがザルファ11配位子を発現できないことを示した。これらの刺激条件は、時の経つにつれて、リガンド発現を誘導し、16時間目の刺激されたCD4+細胞は上述背景の70倍のリガンド発現レベルを示した。CD8+およびCD19+細胞は全くザルファ11リガンド発現を示さなかった。
【0651】
ある変動の幅が血液抜き取りの間に見込まれた(すなわち、同一患者から異なる時間での複数試料および複数の患者間)。従って、データ傾向をそれぞれの研究内で、または単一の血液試料から分析し、上述の3実験を全体結論のために比較した。上述のリアルタイムPCR実験からの傾向は、試験されたすべての細胞タイプの中で、PMA+イオノマイシンにより活性化されたCD19+B細胞が最も高いレベルのザルファ11受容体RNAを発現したことである。CD4+およびCD8+細胞も刺激されて、受容体を発現できるが、しかしB細胞におけるよりもより低いレベルである。
【0652】
ザルファ11リガンドは、殆ど排他的に、刺激CD4+T細胞において発現された(およびCD8+T細胞またはCD19+B細胞によるものではない)。PMA+イオノマイシンによる刺激は、このアッセイにおいて良好なザルファ11リガンド信号を誘導したが、抗CD3mAb、または抗CD3および抗CD28mAbsの組み合わせにより刺激されたCD4+T細胞から、有意により高い信号を得た。
【0653】
実施例 44
Bリンパ球細胞刺激抗 CD40 または抗 IgM のザルファ 11 リガンド依存増殖
A.ヒトB細胞の精製
1×108凍結血漿交換ヒト抹消血単核性細胞(PBMCs)を含有するバイアルを、素早く37℃水浴の中で解凍し、50ml管(Falcon VWR,Seattle,WA)の中の25mlB細胞培地(RPMI培地1640(JRH Biosciences.Lenaxa,KS)、10%熱不活性化胎児ウシ血清、5%L−グルタミン、5%ペン/ストレップ(Pen/Strep)(Gibco BRL))中に再懸濁した。トリパンブルー(Gibco BRL)を用いて、細胞の生存能力を試験した。
【0654】
10ミリリットルのフィコル/ハイパークプラス(Ficoll/HypaquePlus)(Pharmacia LKB Biotechnology Inc.,Piscataway,NJ)を、細胞懸濁液の下に層状に入れ、1800rpmで30分間回転させ、放置してブレーキをいれずに止めた。その後、界面を取り除き新しい50mlファルコン管に移し、PBSにより最終体積40mlに引き上げて、1200rpmで10分間回転させブレーキで止めた。単離細胞の生存能力を、再度トリパンブルーを用いて試験した。代わりとして、抜き取られた新鮮ヒト血液をPBS(Gibco BRL)で1:1に希釈し、フィコル/ハイパークプラス(Ficoll/HypaquePlus)(Pharmacia)上に層状に重ね、回転させ、上述のように洗浄した。新鮮源または凍結源いずれから単離された細胞も同等の結果を得た。
【0655】
製造業者の指示書に従い、抗CD19磁気ビーズ(Miltenyi Biotec,Auburn,CA)により、正常ヒトドナーのフィコル浮遊末梢血細胞(上述)から、B細胞を精製した。得られた標本の純度を、抗CD22FITC Ab(Pharmingen,SanDiego,CA)でのフローサイトメトリ分析により監視した。B細胞標本は一般に、>90%純度であった。
【0656】
B.マウスB細胞の精製
B細胞保存液中において曲がった針を用い、成熟C57B1/6マウス(Charles River Laboratories,Wilmington,MA)の脾臓を薄くそぎばらばらにすることにより、マウス脾臓細胞の懸濁液を作成した。RBCsを低張溶解により除去した。製造業者の指示書に従い、CD43磁気ビーズ(Miltenyi Biotec)により、CD43ポジテイブ細胞を除去した。得られた標本の純度を、抗CD45RFITC Ab(Pharmingen)でのフローサイトメトリ分析により監視した。B細胞標本は一般に、>90%純度であった。
【0657】
C.ヒトまたはマウスザルファ 11 リガンドの存在下における抗 CD40 刺激B細胞の増殖
ヒトまたはマウス源のいずれかからのB細胞を、B細胞保存液中において最終濃度1×10細胞/mlで再懸濁し、96穴U底プレート(Falcon,VWR)の中に100μl/穴で置き、種々の刺激条件を含めて最終体積は200μl/穴となった。抗CD40刺激に対して、ヒト培養物には1μg/ml抗ヒトCD40(Genzyme,Cambridge,MA)を補足し、マウス培養物には1μg/ml抗マウスCD40(Serotec,UK)を補足した。ヒトまたはマウスザルファ11リガンドを、1pg/ml〜100ng/mlの範囲の希釈液で添加した。ザルファ11リガンド効果の特殊性は、25mg/ml可溶性ヒトザルファ11 CEEでのザルファ11リガンドの抑制により確認された(実施例10A)。
【0658】
すべての処理を3重に実施した。その後、細胞を、加湿培養器の中において、37℃で120時間(ヒト)または72時間(マウス)にわたり培養した。採取の16時間前に、B細胞が増殖しているかどうかを評価するために、すべての穴に1μCi3H-チミジン(Amersham,Piscataway,NJ)を添加した。細胞採取器(Packard)を用いて96穴濾過プレート(UniFilter GF/C,Packard,Meriden,CT)中に、細胞を採取し、製造業者の指示書に従い収集した。プレートを55℃で20〜30分間乾燥し、穴の底を不透明なプレートシーラーでシールした。各穴に0.25mlのシンチレーション流体(Microscint-O,Packard)を添加し、トップカウント・マイクロプレーン・シンチレーション・カウンタ(Packard)を用いてプレートを解読した。
【0659】
3ng/ml以上の濃度でのザルファ11リガンドによる培養は、マウスおよびヒトB細胞両方で、投与依存方式において可溶性抗CD40により誘導される増殖を30倍までにも高めた。マウスおよびヒトB細胞は、同じようににそれら各々のザルファ11リガンドに反応した。両方の種において、それが培養物中の可溶性ザルファ11受容体の存在により逆転されるので、刺激はザルファ11リガンドに特有のものであった。
【0660】
D.ヒトまたはマウスザルファ 11 リガンドの存在下における抗 IgM 刺激B細胞の増殖
上述のような(実施例44Aおよび実施例44B)ヒトまたはマウス源のいずれかからのB細胞を、上述のように(実施例44C)プレートに置いた。ヒト細胞の抗IgM刺激のために、プレートを、10mg/ml F(ab’)2抗ヒトIgMAbs(Southern Biotec Associates,Birmingham,Alabama)で1夜にわたり前被覆し、使用直前に滅菌媒体で洗浄した。培養物を0〜10ng/ml hu rIL-4(R&D Systems,Minneapolis,MN)で補足した。
【0661】
マウス細胞の抗IgM刺激のために、可溶性抗IgM(Biosource,Camarillo,CA)を10mg/mlで培養物に添加した。前述の各抗IgM/IL-4状態に、ヒトまたはマウスザルファ11リガンドを、上述のように、1pg/ml〜100ng/mlの範囲の希釈液で添加した。ザルファ11リガンド効果の特殊性は、上述のように(実施例44C)、可溶性ヒトザルファ11受容体での抑制により確認された。すべての処理を3重に実施した。実施例44Cに述べたように、細胞を培養し、3H−チミジンで標識し、採取し、分析した。
【0662】
0.3ng/ml以上の濃度でのザルファ11リガンドによる培養は、投与依存方式において不溶性抗IgM(マウス)または抗IgMおよびIL-4(ヒト)により誘導される増殖を抑制した。それが培養物中の可溶性ザルファ11受容体の存在により逆転されるので、この抑制はザルファ11リガンドに特有のものであった。
【0663】
実施例 45
大腸菌におけるヒトザルファ 11 可溶性受容体の発現
A. hu ザルファ 11/MBP-6 H融合ポリペプチドを発現する発現ベクター pCZR225 の構築
C末端的にマルトース結合蛋白質(MBP)に融合されたヒトザルファ11可溶性受容体を符号化するポリヌクレオチドを含有する発現プラスミドを、相同の組替えを介して構築した。ヒトザルファ11cDNA(配列番号:7)の断片を、PCRを用いて単離した。MBP−ザルファ11可溶性受容体融合ポリペプチドに対するポリヌクレオチド配列は配列番号:96に示される。
【0664】
PCR反応でのヒトザルファ11断片の生成に、2種のプライマーを用いた:(1)ベクター側面配列の40bpおよびヒトザルファ11のアミノ末端に対応する25bpを含有するプライマーZC20,187(配列番号:98)、および(2)側面ベクター配列に対応する3’末端の40bpおよびヒトザルファ11のカルボキシル末端に対応する25bpを含有するプライマーZC20,185(配列番号:99)。PCR反応条件は以下のようであった:94℃で30秒間、50℃で30秒間、および72℃で1分間、続いて4℃での浸漬の25サイクルを2重に行った。100μlPCR反応物の2μlを、1×TBE緩衝剤と共に1.0%アガロースゲル上を走査させて分析にかけ、期待された約660bp断片が見られた。
【0665】
PCR反応物の残り90μlを第2PCR管と混合し、400μlの無水エタノールで沈殿させた。MBP−ザルファ11融合物を符号化する構成体を作成するために、Smalカット宿主ベクターpTAP98(実施例31)中に再結合するために、沈殿DNAを用いた。実施例31に述べたように、クローンを形質変換し、同定し、成長させた。ポジテイブクローンはpCZR225と呼ばれ、配列分析を受けた。MBP−ザルファ11可溶性受容体融合ポリペプチドのポリヌクレオチド配列は配列番号:96に示され、対応するポリペプチド配列は配列番号:97に示される。ポジテイブクローンは、huザルファ11/MBP-6H融合蛋白質(実施例46、以下)の蛋白質精製のために、実施例31において述べたように大腸菌の中で成長するように、用いられる。
【0666】
実施例 46
大腸菌発酵からの hu ザルファ 11/MBP-6H 可溶性受容体の精製
特記のない限り、すべての操作を4℃で行った。huザルファ11/MBP-6H可溶性受容体ポリペプチドを精製するために、以下の手順を用いた。pCZR225構成体を含有し、huザルファ11/MBP-6H可溶性受容体(実施例45)を発現する大腸菌細胞を、スーパーブロス(SuperBroth)II(12g/Lカゼイン、24g/L酵母菌抽出物、11.4g/L燐酸二カリウム、1.7g/L燐酸一カリウム;Becton Dickenson,Cockeysville,MD)中で成長させ、0.5%グリセリンの中で凍結させた。スーパーブロスII+グリセリン中の凍結細胞20グラムを蛋白質を精製するために用いた。
【0667】
凍結細胞を解凍し、細胞を溶解すると共にhuザルファ11/MBP-6H可溶性受容体蛋白質を放出する前に、プロテアーゼ抑制剤溶液(抽出緩衝剤)中で1:10に希釈した。希釈細胞は、20mMトリス(JT Baker,Philipsburg,NJ)100m塩化ナトリウム(NaCl,Mallinkrodt,Paris,KY)、0.5mM弗化フェニルメチルスルホニル(PMSF,Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO)、および2μg/mlアプロチニン(Sigma)の最終濃度を含有した。
【0668】
-7〜-10℃の温度および30KPSIでのフレンチプレス細胞破壊システム(Constant Systems Ltd.,Warwick,UK)を細胞溶解のために用いた。フレンチプレスの前後でのA600読取りにより、希釈細胞の破壊に対する確認を行った。溶解細胞を18,000Gで45分間遠心分離にかけて破壊細胞の破片を除去し、浮遊物は蛋白質を精製するために用いた。浮遊物の全体目標蛋白質濃度を、製造業者の指示書に従い、BCA蛋白質アッセイ(Pierce,Rockford, IL)を介して測定した。
【0669】
タロン・メタル・アフィニテイ樹脂(Clontech,Palo Alto,CA)(以下に述べるように作成される)の25mlカラムを、バイオ−ラド、2.5cmD×10cmHガラスカラムの中に注いだ。タロン平衡緩衝剤(20mMトリス、100mM NaCl、pH8.0)の10カラム容量(CVs)で、カラムを充填し、重力による平衡状態においた。浮遊物をタロン・メタル・アフィニテイ樹脂にバッチ装填し、1夜にかけて振動をかけた。樹脂をカラム中に注ぎ戻し、10CVのタロン平衡緩衝剤で重力により洗浄し、その後、140ml溶出緩衝剤(タロン平衡緩衝剤+200mMイミダゾール−Fluka Chemical)で重力溶出した。
【0670】
タロンカラムを、5CV分の20mM2-(N−モルホリーノ)エタンスルホン酸pH5.0(MES,Sigma)、5CV分の蒸留H2Oで洗い、その後、20%エタノール/0.1%アジ化ナトリウムの中で貯蔵した。14ml部を全溶出クロマトグラフィ上に集め、280および320nMおよびBCA蛋白質アッセイでの吸収部分を読取り、通過および洗浄プール分をまた集めて分析した。興味ある蛋白質溶出部分を集めて、アミローゼ樹脂(New England Biolabs,Beverly,MA)に直接装填した。
【0671】
より純度の高いhuザルファ11/MBP-6Hポリペプチドを得るために、タロン親和性溶出プール部分を、pH7.4でアミローゼ樹脂(22mls)で処理した。2.5cmD×10cmHバイオ−ラドカラムを、10CV分のアミローゼ平衡緩衝剤-20mMトリス(JT Baker)、100mM NaCl(Mallinkrodt)、1mM PMSF(Sigma)、10mMベータ−メルカプトエタノール(BME,ICN Biomedicals Inc.,Aurora,OH)pH7.4-の中に注ぎ、充填し、平衡状態においた。
【0672】
試料を、重力流量速度0.5ml/分で装填した。カラムを10CV分のアミローゼ平衡緩衝剤で洗浄し、その後、約2CVのアミローゼ平衡緩衝剤+10mMマルトース(Fluka Biochemical,Switzerland)で重力により溶出させた。5ml部を全溶出クロマトグラフィ上に集め、280および320nMでの吸収を読取った。アミローゼカラムを、1CVの蒸留H2O、5CV分の0.1%(w/v)SDS(Sigma)、5CV分の蒸留H2O、その後5CV分のアミローゼ平衡緩衝剤により再生した。
【0673】
興味のある部分を集め、低分子量不純物を除去し、緩衝剤を交換し、脱塩するために、4×4LPBSpH7.4(Sigma)により、スライド−A−ライザー(Pierce)中において透析を行った。PBSの変更後、採取された材料は精製されたhuザルファ11/MBP-6Hポリペプチドを示した。精製されたhuザルファ11/MBP-6Hポリペプチドを、抗ウサギHRP共役抗体(Rockland,Gilbertsville,PA)による、SDS-PAGEクマシー着色およびウエスタンブロット分析を介して分析した。huザルファ11/MBP-6Hポリペプチドの濃度は、BCA分析により測定される通り、1.92mg/mlであった。
【0674】
精製huザルファ11/MBP-6Hポリペプチドを、ウサギに注入するために作成し、抗体作成のためにR&R Research and Development(Stanwood,WA)に送付した。抗抗−huザルファ11/MBP-6H血清を作成するために、ウサギに注入した(実施例47、以下)。
【0675】
実施例 47
ザルファ 11 受容体ポリクロナール抗体
ポリクロナール抗体を、精製huザルファ11/MBP-6Hポリペプチド(実施例46)、または精製組替え型ザルファ11CEE可溶性受容体(実施例10A)で2匹の雌ニュージーランド白ウサギを免疫化することにより作成した。対応するポリクロナール抗体は、それぞれウサギ抗huザルファ11/MBP-6Hおよびウサギ抗huザルファ11-CEE-BHKと呼ばれる。
【0676】
ウサギには、それぞれ、完全フロインドのアジュバント(Pierce,Rockord,IL)中の200mg精製蛋白質の第1腹膜内(IP)注入を行い、次いで3週間毎に不完全フロインドアジュバント中の100mg精製蛋白質のブースターIP注入を行った。第3ブースター注入投与の7〜10日後、動物から血を抜き取り、血清を集めた。その後、3週間毎にウサギをブースターにかけ、血を抜き取った。
【0677】
CNBr-SEPHAROSEグラム当たり10mgの精製huザルファ11/MBP-6Hポリペプチド(実施例32)を用いて作成されたCNBr-SEPHAROSE4B蛋白質カラム(Pharmacia LKB)を用いてウサギ血清から、ザルファ11−特定ポリクロナール抗体を親和性精製し、次いで1夜にわたりPBS中において20回の透析を行った。ザルファ11−特定抗体を、1mg/mlの適切な蛋白質抗原を抗体目標として用いるエリザ滴定量検定により特性分析した。ウサギ抗huザルファ11/MBP-6H親和性精製抗体の検出下限界(LLD)は、500pg/mlの希釈度である。ウサギ抗huザルファ11-CEE-BHK親和性精製抗体のLLDは、50pg/mlの希釈度である。
【0678】
実施例 48
ザルファ 11 受容体分布
種々の細胞タイプ上のザルファ11受容体分布を評価するために、我々は、ヒト受容体(実施例35および実施例47)に向けられたウサギポリクロナール抗体およびマウスモノクロナール抗体(mAbs)の両方を作成すると共に、これらの抗体をフローサイトメトリに使用するためにビオチンに共役させた。我々は、最初に比較的低親和性であるポリクロナール抗体を用いて以下の細胞系列団を色づけした:IL-3依存マウス前−B細胞系列野性型BaF3細胞(Palacios and Steinmetz,ibid.;Mathey-Prevot et al.,ibid.);
【0679】
ヒトザルファ11によりトランスフェクトされたBaF3細胞(実施例4);ヒトバーキットリンパ腫細胞系列ラジ(Raji)(ATCCNo.CCL-86)、ラモス(Ramos)(ATCCNo.CRL-1596)、RPMI8226(ATCCNo.CCL-155)、およびダウジ(Daudi)(ATCCNo.CCL-213);ヒトT細胞白血病細胞系列ジャーカット(Jurkat)(ATCCNo.TIB-152);ヒト骨髄単球性白血病細胞系列Thp-1(ATCCNo.TIB-202)およびUT937(ATCCNo.CRL-1593.2);ヒト代−骨髄単球性細胞HLT60(ATCCNo.CCL-240);マウスB細胞リンパ腫細胞系列A20(ATCCNo.TIB-208);およびマウス胸腺腫細胞系列EL4(ATCCNo.TIB-39)。
【0680】
細胞を採取し、FACS血清含み洗浄緩衝剤(WBS)により1回洗浄した。WBSはハンクス液(Gibco/BRL)+10mM HEPES(Gibco/BRL)+1%BSA(Sigma)+10%正常ヤギ血清(Gemini Bioproducts,Woodland,CA)+10%正常ウサギ血清(Sigma)からなった。洗浄緩衝剤(WB)は、それが血清フリーであることを除けばWBSと同一であった。洗浄後、10μg/mlウサギ抗ザルファ11ポリクロナール抗体(実施例47)を含有する100μl WB中に、細胞を再懸濁した。
【0681】
細胞をAbと共に20分間氷上に維持し、その後、WBで洗浄し、ヤギ抗ウサギ−FITC(BioSource,International)を含有するWB中に再懸濁し、さらに20分間氷上で培養し、その後、洗浄し、FACSCaliburフローサイトメータ(Becton Dickinson)での分析のために400μl WB中に再懸濁した。対照試料は第2ヤギ抗ウサギ−FITC Abのみで色づけした。ポジテイブ着色は、第2のみでの着色より上へのシフトとして定義された。ポリクロナール抗体は低親和性のものであるが、我々は、確信を持って、BaF3/ザルファ11トランスフェクタント上、4種すべてのヒトバーキットリンパ腫(ラジ、ラモス、ダウジ、およびRPMI8226)上、およびジャーカットT細胞上のザルファ11発現を検出した。
【0682】
休んでいる(未分化の)HL-60細胞は抗ザルファ11抗体を結合しなかったが、しかし、我々は、HL-60細胞分化を単球様細胞中に誘導するPMA(Calbiochemla Jolla,CA)により24時間にわたり活性化されたHL-60細胞上にポジテイブ着色を検出した。我々は、また、この信号は非特定結合のせいでありえたが、UT937およびThp-1細胞上にポジテイブ信号を見出した。ポリクロナール抗体はマウスB細胞系列A20上で弱く交差反応を行ったが、しかし我々にはEL4マウス胸腺腫の着色は何も見られなかった。
【0683】
4種の抗ザルファ11モノクロナール抗体(実施例35)をビオチンに共役させ、上述の細胞サブセットをザルファ11受容体発現(BaF3、BaF3/ザルファ11、ラジ、ジャーカットおよび休んでいるHL-60)のために選別した。細胞を採取し、洗浄し、その後各4種のビオチン化mAbsの1種15μg/mlを含有する100μl WB中に再懸濁した。細胞をmAbにより20分間氷上で培養し、その後1.5ml WBで洗浄し、遠心分離器中でペレット化した。浮遊物を吸引により除去し、ペレットをCyChrome−共役ストレプトアビジン(streptavidin)(CyC--SAPharMingen)100μl中に再懸濁し、その後さらに20分間氷上で培養し、洗浄し、前のようにペレット化した。対照管はCyC-SAのみで色づけされた細胞を含有した。
【0684】
ペレットを400μl WB中に再懸濁し、フローサイトメトリを上述のように実施した。ポジテイブ着色は、CyC-SAのみでの着色の背景レベルを越える信号として定義された。我々は、BaF3/ザルファ11トランスフェクタントを対照として用いて、抗体親和性および/またはmAbsのビオチン化の程度を反映することができるそれらそれぞれの平均蛍光強度(MFI)によって4種のmAbsを分類することができた。mAbsを最高から最低MFIまで、以下のように分類した:249、28.2、1.2、2;247、10.2、15、4.6;249、19.2、2.3、5;および249、15.2、4.2、7。
【0685】
ラジ細胞はザルファ11モノクロナール抗体によりポジテイブに着色した。ジャーカット細胞はザルファ11モノクロナール抗体によりポジテイブに着色したが、しかしB細胞(ラジ)上のそれほど強いものではなかった。この結果、ザルファ11受容体はこれらのBおよびT細胞系列上に発現した。非活性化HL60細胞上の着色パターンはすべてのmAbsに同一であり、信号はごく弱かった。この信号はHL-60細胞による実際のザルファ11発現を反映していないが、しかしむしろ、恐らくFc受容体を介しての、マウスmAbsのヒト細胞への非特定結合のせいでありうる、と我々は信じている。
【0686】
実施例 49
B細胞およびザルファ 11 リガンド毒性サポリン( saporin )融合物へのヒトザルファ 11 リガンドの影響
以下のヒトB細胞系列:およびヒトバーキットリンパ腫細胞系列ラジ(ATCCNo.CCL-86)、およびラモス(ATCCNo.CRL-1596);ヒトEBVB細胞リンパ腫細胞系列RPMI1788(ATCCNo.CRL-156);ヒト骨髄腫/プラスマ細胞腫細胞系列IM-9(ATCCNo.CRL159);およびヒトEBV形質変換B細胞系列DAKIKI(ATCCNo.TIB-206)、およびHSサルタン細胞(ATCCNo.CRL-1484)への、ヒトザルファ11リガンドの影響に関する試験を行った。ザルファ11リガンドでの約2〜5日の処理後に、これらの細胞がザルファ11リガンドに反応しえることを示す、表面標識発現の変化がIM-9、ラジ、ラモス、およびRPMI1788細胞系列中に見出された。
【0687】
ザルファ11リガンドで処理されたヒトB細胞系列は、細胞培養皿に再設置される時、未処理細胞よりもごく緩やかに成長した。これらの細胞は、また、フローサイトメトリにより評価された通りのFASリガンドの増大した発現(実施例49Dおよび実施例49E)、および活性化しているFAS抗体に対して適度に増大した感度(実施例49A)を有した。
【0688】
この結果は、ザルファ11リガンドが、それらを誘導して増殖性のより少ない、および/またはFASリガンドへのより感度の高い状態に分化することにより、いくつかのタイプのB細胞新生物を制御できたことを示している。さらに、ザルファ11受容体をこれら細胞系列のいくつかの表面上に発現させた(実施例48を参照すること)。こうして、ザルファ11リガンドおよびヒトザルファ11リガンド−サポリン免疫毒性共役体(実施例49B、以下)、または他のザルファ11リガンド−毒素融合物を、B細胞白血病およびリンパ腫に治療的に用いることができた。
【0689】
A.B細胞系列へのヒトザルファ 11 リガンドの影響
IM-9細胞を、ml当たり約50,000細胞+/−50μg/ml精製ヒトザルファ11リガンド(実施例29)で植え付けた。3日間の成長後、細胞を採取し、洗浄し、計数し、その後96穴プレートの中で、0、0.033、0.1または0.33μg/mlの抗FAS抗体(R&D Systems,Minneapolis)と共に約2500細胞/mlで穴に再設置した。2日後、アラマーブルー蛍光アッセイを実施して(実施例2B)、細胞の増殖を評価した。
【0690】
ザルファ11リガンド処理IM-9細胞は、抗FAS抗体なしの場合に、未処理細胞の27%密度にしか成長しなかった。0.33μg/ml抗FAS抗体の存在下において、ザルファ11リガンド処理細胞は、さらに52%抑制されたが、一方で未処理細胞は30%のみまでの抑制であった。ザルファ11リガンドおよび0.33μg/ml抗FAS抗体両方の処理による全体細胞成長抑制は86%であった。
【0691】
IM-9細胞をザルファ11リガンドで、またはなしで3日間前処理し、その後穴当たり100細胞で再設置し、抗FAS抗体で、またはなしで6日間成長させた時、アラマーブルーアッセイにより評価された未処理細胞の成長は(実施例2B)、抗FAS抗体により25%しか抑制されなかったが、一方ザルファ11リガンド処理細胞の成長は抗FAS抗体ゼロ中の未処理細胞の成長に比べて95%抑制された。
【0692】
B.ヒトザルファ 11 リガンド−サポリン免疫毒素のB細胞系列への影響
ヒトザルファ11リガンド−サポリン免疫毒素共役体(ザルファ11L-sap)構築および精製は、実施例50に記載される。ヒトザルファ11L-sapは、細胞成長抑制においてサポリン単独よりもはるかにより強力であった。処理細胞を3日または4日の処理後再設置する時、ヒトザルファ11L-sap処理細胞は殆ど成長しなかった。
【0693】
IM-9、ラモスおよびK562(ATCCNo.CCL-243)細胞を、96穴プレートに、約2500細胞/穴で0〜250ng/mlヒトザルファ11L-sap共役体または0〜250ng/mlサポリン(Stirpe et al.,Biotechnology 10,:405〜412,1992)と共に単に対照として植え付けた。プレートを4日間培養し、その後アラマーブルー増殖アッセイを実施した(実施例5B)。ヒトザルファ11-sap共役体の最大濃度において、IM-9細胞およびラモス細胞の成長はそれぞれ79%および65%抑制された。ザルファ11受容体の発現に対して流れが低く/ネガテイブであるK562細胞は、ザルファ11-sapにより影響を受けなかったが、これは共役体の効果の特殊性を示した。
【0694】
IM-9細胞を、6穴プレート中に、0および50ng/mlヒトザルファ11L-sap共役体で、50,000細胞/ml植え付けた。3日後、細胞を採取し、計数し、その後2倍連続希釈で穴当たり100〜0.8細胞およびヒトザルファ11リガンド−サポリン免疫毒素なしの細胞希釈当たり12穴を再設置した。6日後、各細胞希釈での成長を伴う穴での数を、アラマーブルー増殖アッセイ(実施例2B)の結果に従って、記録した。
【0695】
細胞数を6日間の成長後アラマーブルーアッセイ(実施例2B)により評価する時、穴当たり約12.5および6.25細胞で植え付けられた対照細胞は、それぞれ100および50細胞/穴で植え付けられたザルファ11-sap処理細胞に相当する成長を有した。このように、生存している処理IM-9細胞の成長は、再設置によるザルファ11-sap免疫毒素の除去後においてさえ、著しく害された。
ヒトザルファ11受容体の限定された組織分配(実施例48)、およびザルファ11-sapの受容体発現細胞系列への作用の特殊性は、この共役体が生体中で耐性がありうることを示唆している。
【0696】
C.ヒトザルファ 11 リガンド−サポリン免疫毒素のB細胞系列生存能力への影響
HSサルタン細胞(ATCCNo.CRL-1484)を、ml当たり約40,000細胞で12穴プレートの中に植え付けて、サイトカイン添加なしか、または40ng/ml精製ヒトザルファ11リガンド(実施例29)、または25ng/mlヒトザルファ11L-sap共役体(実施例50、以下)のいずれかと共に、または20ng/ml IFN−アルファ(RDI)またはザルファ11リガンドおよびIFN−アルファと共に、5日間成長させた。ザルファ11リガンドはHSサルタン細胞の増殖物を63%抑制した。IFN−アルファは増殖物を38%抑制した。ザルファ11リガンドプラスIFN−アルファは増殖物を78%抑制し、ヒトザルファ11リガンドおよびIFN−アルファの増殖抑制効果は加算的であることを示した。ヒトザルファ11L-sapはHSサルタンの増殖を92%抑制した。
【0697】
上述の結果は、ザルファ11受容体を発現する悪性疾患または他の疾患、特にB細胞起源のそれらの治療においてザルファ11リガンドまたはヒトザルファ11L-sapの使用可能を支持する。ザルファ11リガンドとIFN−アルファとの組み合わせは、HSサルタン細胞の抑制におけるそれらの加算効果により、特に提唱される。いくつかの他タイプのリンパ球系悪性疾患および疾患も、活性化T細胞がまた受容体mRNA(実施例48)を発現するように、ザルファ11受容体を発現することが可能であり、いくつかのこれらの疾患もザルファ11リガンド−毒性融合物療法のザルファ11リガンドに反応を示しうる。
【0698】
D.ヒトB細胞系列上の FAS CD95 )発現はヒトザルファ 11 リガンド刺激により増大する
ヒトB細胞系列HSサルタン(ATCCNo.CRL-1484)、IM-9(ATCCNo.CRL159)、RPMI8226(ATCCNo.CCL-155)、ラモス(ATCCNo.CRL-1596)、DAKIKI(ATCCNo.TIB-206)、およびRPMI1778(ATCCNo.CRL-156)を、すべて精製10〜50ng/mlヒトザルファ11リガンド(実施例29)により、またはなしで、2〜8日間処理した。その後、製造業者のプロトコルに従い、抗CD95PE−共役抗体(PharMingen,San Diego,CA)で、細胞を色づけし、FACScalibur(Becton Dickinson,San Jose,CA)で分析した。抗CD95(FASまたはAPO-1)着色は、ヒトザルファ11リガンドで処理すると、すべての細胞系列において、いくつかの場合には2倍より大きく、増大した。
【0699】
E.初期段階のマウス脾臓B細胞上の FAS CD95 )発現はヒトザルファ 11 リガンド刺激により増大する
8〜12週齢のC57/BL6マウスからの脾臓を切り刻むことにより、初期段階のマウス脾臓細胞を得た。試料を5秒間水で処理することにより、赤血球を溶解し、その後70ミクロン篩にかけた。残りの脾細胞を洗浄し、RPMI(JRH Bioscience)プラス10%HIA-FBS(Hyclone,Logan,UT)中で平板培養した。上述のように、ヒトザルファ11リガンドを伴うか、またはなしのインターロイキン2(IL-2)(R and D Systems)。
【0700】
その後、それらを37℃、5%CO中で、5日間にわたり培養した。脾細胞を採取し、製造業者のプロトコルに従い、抗CD95PE共役抗体(PharMingen)および抗CD19FITC共役抗体(PharMingen)により色づけした。FACScalibur(Becton Dickinson)でのフローサイトメトリにより、細胞を分析した。CD19+マウスB細胞にゲートを付けると、抗CD95着色は、IL-2単独のそれらに較べて、IL-2プラスヒトザルファ11リガンドで処理されたB細胞上において増大することが見出された。抗CD95着色は、IL-2単独中のB細胞上で37相対蛍光単位(RFU)、IL-2およびヒトザルファ11リガンド中において培養されたB細胞上で55RFUであった。
【0701】
実施例 50
ザルファ 11 リガンド毒性融合物の構築および精製
供給契約の下、10mgのヒトザルファ11リガンド(実施例29)を、植物毒素サポリン(Stirpe et al.,Biotechnology 10,:405〜412,1992)への共役のために、アドバンスト・ターゲッテイング・システムズ(Advanced Targeting Systems)(ATS,SanDiego,CA)に送った。ザイモジネテイクス(Zymogenetics)は、ATSから、pH7.2、20nM燐酸ナトリウム、300nM塩化ナトリウム中において1.14mg/mlの濃度で配合されたヒトザルファ11リガンドの分子当たり1.1分子サポリンからなる1.3mg/mlの蛋白質共役体を受け取った。
【0702】
実施例 51
生体内のザルファ 11 リガンド毒性融合物
A.マウス中のザルファ 11 −サポリン共役体の試験
ザルファ11−サポリン共役体(実施例49)を、2種類の投与量:0.5および0.05mg/kgで、C57BL6マウス(雌、12週齢、Taconicから購入した)に投与した。0.1%BSA(ICN,Costa Mesa,CA)からなる賦形剤で静脈内に注入した。1週間に3回(0、2、および7日目)注入した。0日目(注入前)および2日目および8日目(注入後)に、マウスから血液サンプルを採取した。
【0703】
血液をヘパリン化チューブ(Bectin Dickenson,Franklin Lakes,NJ)中に集め、細胞数を自動血液学分析器(Abbot Cell-Dyn modelNo. CD-3500CS,Abbot Park,IL)を用いて測定した。血液収集後8日目に動物を安楽死させ、剖検した。脾臓、胸腺、肝臓、腎臓および骨髄を組織病理学用に収集した。脾臓および胸腺の重量を量り、追加の血液サンプルを血清分離チューブの中に集めた。標準化学パネルにおいて試験するために、血清をフェニックス・セントラル・ラボズ(Pheonix Central Labs.Everett,WA)に送った。本明細書において記載される通りにフローサイトメトリ分析用に、また試料を集めた。
【0704】
循環血液細胞数および血清化学測定値は、ザルファ11共役体処理マウスと非共役化毒素(サポリン)の当量投与で処理されたマウスとの間で、有意には異ならなかった。ザルファ11−サポリン処理マウスの組織の組織学的分析は、非共役化毒素の当量投与で処理されたマウスを基準として、有意な差は何も示さなかった。これらの結果は、サポリン共役体は生体内において毒性ではないことを示した。
【0705】
B.生体内B細胞誘導腫瘍へのザルファ 11 リガンド毒性サポリン融合物の試験
ヒト腫瘍細胞(実施例50)へのヒトザルファ11リガンドおよびヒトザルファ11リガンド毒性サポリン融合物の影響を、本明細書において記載されるマウス腫瘍異種移植片モデルを用いて、生体内で試験した。異種移植片モデルを、最初に、実施例49に記載されているような生体外実験をベースにして選択された細胞系列を用いて試験した。
【0706】
これらの細胞系列には、ヒトバーキットリンパ腫細胞系列ラジ(ATCCNo.CCL-86)、およびラモス(ATCCNo.CRL-1596);ヒト細胞系列RPMI1788(ATCCNo.CRL-156);ヒト骨髄腫/プラスマ細胞腫細胞系列IM-9(ATCCNo.CRL-159);ヒト細胞系列DAKIKI(ATCCNo.TIB-206)、およびHSサルタン細胞(ATCCNo.CRL-1484)が挙げられるが、それらに限定されない。ヒト腫瘍から直接誘導された細胞も、このタイプのモデルに用いることができる。この点で、抗腫瘍療法におけるザルファ11の使用に対する最適の指標を選択するために、ザルファ11リガンドまたはザルファ11リガンド毒性サポリン融合物による処理への感度に対する患者検体の選別を用いることができる。
【0707】
上述の適切な異種移植片生体内モデルの選択後、B細胞誘導腫瘍への、ナチュナルキラー細胞のザルファ11リガンド誘導活性および/またはザルファ11リガンドの影響を、生体内で評価した。本明細書に記載されるマウス腫瘍異種移植片モデルを用い、B細胞誘導腫瘍に対抗する活性を持つ細胞毒性のエフェクター細胞(例えば、NK細胞)を生み出すその能力に対して、ヒトザルファ11リガンドの試験を行った。さらに、腫瘍へのヒトザルファ11リガンドの直接的な影響を評価することができた。実施されようとする異種移植片モデルは上述のように選択される。ザルファ11リガンド刺激ヒト細胞を用いるプロトコルが開発されると共に、腫瘍細胞を除去し、細胞系列または初期腫瘍を接種されたマウスの生存を促進する効力に対する試験が行われる。
【0708】
実施例 52
ゲノムヒトザルファ 11 リガンド DNA 含有 P1 人工染色体クローンの同定
ヒトザルファ11リガンドcDNA挿入を、ベクターベースプライマーを用いるPCRにより増幅した。PCR生成物を32P標識し、PAC(P1人工染色体)生物資料室に相当する高密度フィルターに混成させた。フィルターおよび凍結生物資料室素材はロズウエル・パーク・キャンサー・研究所(Roswell Park Cancer Institute,Buffalo,New York)から入手した;生物資料室セグメントは付着量の4倍の深さを持つRPC16であった。フィルターをExpressHyb(Clontech)の中において65℃で1夜にわたり雑種作成し、製造業者の指示に従い洗浄した。
【0709】
ポジテイブ信号の復号は、23H17、34A9、105G9、および236H14と呼ばれる4種のPACクローンの同定をもたらした。符号化領域の5’末端(ZC22,452(配列番号:100)およびZC22,451(配列番号:101))および3’末端(ZC22,450(配列番号:102)およびZC22,449(配列番号:103))に特有なプライマーを用いるPCR分析によると、PACs34A9および105G9は両方の末端を含み、一方でPACs23H17および236H14は5’末端のみを含むことが示された。
【0710】
PAC23H17はEcoRIおよびNotIにより蒸解され、9kb断片はザルファ11リガンドcDNAプローブにより混成されて同定される。本明細書において記載される方法を用いて、この断片を単離し、前にEcoRIおよびNotIにより蒸解されたpブルースクリプトIISK(+)(ストラタジーン)中に、ほぼクローン化した。配列によると、この断片はプロモーター領域の約380塩基対、エキソン1、2および3、すべてのイントロン1および2を含み、イントロン3内で終わっていることが判明した。
【0711】
プライマーZC23,771(配列番号:104)およびZC22,449(配列番号:103)での、PAC34A9からのDNAをテンプレートとして用いるPCRにより、ヒトザルファ11リガンド遺伝子の3’末端を得た。提供された緩衝剤と共に、TaqDNAポリメラーゼを用い、4%DMSOを添加した。反応条件は以下のようであった:94℃、5分;続いて94℃30秒間、52℃1分間、72℃3分間の35サイクル;その後、72℃7分間。これにより、エキソン3の部分、すべてのイントロン3および4、すべてのエキソン4、およびエキソン5の符号化部分を含む2.9kb断片が生成した。
【0712】
ヒトザルファ11リガンド遺伝子のゲノム構造5’〜3’は以下のようである:プロモーターの約240bp、エキソン1(配列番号:105のヌクレオチド番号240〜455)、イントロン1(配列番号:105のヌクレオチド番号456〜562)、エキソン2(配列番号:105のヌクレオチド番号563〜598)、および5’748塩基対(配列番号:105のヌクレオチド番号599〜1347)を含むイントロン2の部分を含む配列番号:105;約3kbのギャップ;イントロン2の3’718bp、エキソン3(配列番号:106のヌクレオチド番号719〜874)、およびイントロン3(配列番号:106のヌクレオチド番号875〜1656)の5’末端部分を含む配列番号:106;約800bp未満のギャップ;イントロン3の644bpを含む配列番号:107;約800bp未満のギャップ;およびイントロン3の3’453bp、エキソン4(配列番号:108のヌクレオチド番号436〜513)、イントロン4(配列番号:108のヌクレオチド番号514〜603)、およびエキソン5(配列番号:108のヌクレオチド番号604〜645)の5’部分を含む配列番号:108。
【0713】
実施例 53
細胞系列における 125 I標識ヒトザルファ 11 リガンド結合研究
精製ヒトザルファ11リガンド(実施例29)の25マイクログラムを、製造業者の指示書に従い、ヨードビーズ(Pierce,Rockford Illinois)を用いて2mCi125Iで標識した。野性型マウスBaF3細胞およびザルファ11受容体(BaF3/hザルファ11細胞)によりトランスフェクトされたBaF3細胞への結合を対照として用い、ヒトラジ細胞(ATCCNo.CCL-86)へのヒトザルファ11リガンド結合を評価するために、この標識蛋白質を用いた。増殖アッセイ結果(実施例5)に基づき、BaF3/hザルファ11細胞へのザルファ11リガンド結合は予期され(ポジテイブ対照)、一方で野性型BaF3細胞への結合は全く予期されなかった(ネガテイブ対照)。
【0714】
約5×10ラジ細胞/穴、1×10BaF3/hザルファ11および1×10BaF3細胞/穴をそれぞれ96穴プレートの中で平板培養した。10ng/mlの標識ヒトザルファ11リガンドを、非標識ヒトザルファ11リガンドコンペテイターで1:4希釈の250倍分子過剰から下は0.061倍分子過剰まで連続希釈した穴に、2重に添加した。各点を2重に操作した。標識ヒトザルファ11リガンドを穴に添加後、それを放置してリガンドを細胞に結合できるように4℃で2時間にわたり培養した。その後、細胞を結合緩衝剤(1%BSA(Sigma)のRPMI-1710(JRH Bioscience))中で3回洗浄し、COBRA II AUTO-GAMMAガンマ計数管(Packard Instrument Company,Meriden,CT)により計数した。
【0715】
標識ヒトザルファ11リガンドの細胞への結合は、ラジおよびBaF3/hザルファ11細胞中において明白であった。加えて、ラジ細胞に対して、非標識ザルファ11リガンドの平均250倍の分子過剰は、非特定非標識コンペテイター(R&D Systems,Minneapolis,MN からのインターフェロンガンマ)の存在下で3倍、コンペテイターなしを基準とすると3.7倍結合を減少させた。競合は、特定非標識コンペテイター、ヒトザルファ11リガンドに対する投与依存方式において観察された。
【0716】
よって、ラジ細胞へのザルファ11リガンド結合は特有のものであった。同様に、ポジテイブ対照BaF3/ザルファ11細胞に対して、非標識ザルファ11リガンドの250倍の分子過剰は、非特定コンペテイターを基準として2倍、コンペテイターなしを基準とすると3.06倍結合を減少させた。よって、BaF3/ザルファ11細胞へのザルファ11リガンド結合も特有のものであった。野性型BaF3細胞には競合的な結合は何も観察されなかった。従って、ザルファ11リガンドは、ラジ細胞、およびBaF3/hザルファ11細胞に特有に結合するが、しかしネガテイブ対照BaF3細胞には結合しないことを示した。
【0717】
実施例 54
ヒト血液細胞上のザルファ 11 受容体発現
A.ヒト末梢血細胞の作成および培養
新鮮引抜きヒト血液を、PBS(GIBCO BRL)で1:1に希釈し、フィコル/ハイパーク・プラス(Pharmacia LKB Biotechnology Inc.,Piscataway,NJ)上に層状に重ね、1800rpmで30分間回転させ、放置してブレーキをかけずに止めた。界面層を除去し、新しい50mlファルコン管(Falcon,VWR,Seattle,WA)に移し、PBSにより最終体積40mlに引き上げて、1200rpmで10分間回転させブレーキで止めた。単離細胞の生存能力を、トリパンブルー(Gibco BRL)を用いて試験し、細胞を最終濃度1×10細胞/ml細胞培地(RPMI培地1640、10%熱不活性化胎児ウシ血清、5%L−グルタミン、5%ペン/ストレップ)(Gibco BRL)で再懸濁した。
【0718】
6穴プレート(Falcon,VWR)の中で、以下に述べる種々の異なる刺激剤により、0、4または24時間にわたり、細胞を培養した。実施例44および実施例42におけるように、抗IgM、抗CD40および抗CD3刺激を実施した。酢酸ミリスチン酸ホルボール(PMA)およびイオノマイシン(Sigma,St.Louis,MO)(実施例5C)を、それぞれ10ng/mlおよび0.5mg/mlで適切な穴に添加した。37℃で種々の時間に対して加湿培養器中において、細胞を培養した。
【0719】
B.抗体着色および分析
細胞をプレートから集め、洗浄し、氷冷着色媒体(HBSS、1%胎児ウシ血清、0.1%アジ化ナトリウム)中に、ml当たり約10百万マウス細胞濃度で再懸濁した。Fc受容体の遮断および抗体の細胞への非特定結合は、10%正常ヤギ血清(Gemini Bioproducts,Woodland,CA)および10%正常ヒト血清(Ultraserum,Gemini)を細胞懸濁液に添加することにより達成された。細胞懸濁液の分取試料を、系統標識CD3、CD19またはCD14(PharMingen,La Jolla,CA)の一つに対するFITC標識モノクロナール抗体、およびヒトザルファ11受容体(hu−ザルファ11)(実施例35)に対するビオチン化モノクロナール抗体と混合した。
【0720】
ザルファ11CEE可溶性受容体(実施例10A)を10倍の質量過剰で用いる競合により、着色特性を決定した。60分間の氷上の培養後、細胞を氷冷着色媒体で2回洗浄し、ストレプトアビジン−PE(Caltag,Burlingame,CA)を含有する50ml着色媒体中に再懸濁した。氷上での30分間培養後、細胞を氷冷洗浄緩衝剤(PBS、1%胎児ウシ血清、0.1%アジ化ナトリウム)で2回洗浄し、1mg/ml 7−AAD(Molecular Probes,Eugene,OR)を生存能力標識として含有する洗浄緩衝剤中に再懸濁した。FACSCaliburフローサイトメータ(BD Immunocytometry Systems,San Jose,CA)を用いて、生存細胞に関する流動データを得た。
【0721】
抗ザルファ11抗体による着色の結果は、ヒトザルファ11受容体を、CD3、CD19またはCD14のいずれかを発現するヒト末梢血細胞上に発現することを示した。ザルファ11可溶性受容体との完全な競合により実証されたように、CD3およびCD19細胞上での着色は特異的であった。CD14細胞上での着色は、可溶性受容体との部分的な競合により実証されたように、リガンドに対していくらかの特異性を示した。抗CD3を持つT細胞、または抗CD40を持つB細胞のいずれかの活性化は、24時間後において細胞表面ザルファ11の増大レベルをもたらした。ザルファ11の発現レベルの増大は、4時間後では、いずれの細胞個体群へのいかなる刺激によっても全く見られなかった。ザルファ11リガンドでの細胞処理は、4時間後および24時間後共に、CD14ポジテイブ細胞上ではなく、CD3ポジテイブおよびCD19ポジテイブ細胞上のザルファ11着色の減少をもたらした。
【0722】
実施例 55
ヒトザルファ 11 リガンドの水性安定性の予備評価
生物工学、調合、および生体内投与に裏付けられて、ヒトザルファ11リガンドの水性安定性特性を評価するために、予備研究を行った。目的は、1)安定性およびアルゼットミニポンプ(Alzet Minipump)、一般貯蔵および運搬処理からの回収率を検査し、2)カチオン交換HPLC(CX-HPLC)、逆相HPLC(RP-HPLC)、サイズ除外HPLC(SEC-HPLC)、およびバイオアッセイ(BaF3/ザルファ11R増殖(例えば、実施例2および実施例4))を含むいくつかの分析法の安定性−指示特質を決定し、および3)安定性−限定崩壊経路およびそれらの運動依存性を決定することである。
【0723】
精製ヒトザルファ11リガンド(実施例29)の分取試料を、PBS(pH7.4)中での2mg/mlへの希釈により作成し、低密度ポリエチレン(LDPE)クリオバイアル(Nalgene, 1.8ml)の中において、−80℃(対照)、5℃、30℃、および37℃で貯蔵した。試料を、CX−、RP−、SEC-HPLC、およびバイオアッセイにより、29日間にわたり間欠的に検定した。分取試料をまた−80℃で貯蔵し、凍結−解凍(f/t)サイクルを受けさせた(−80℃/RT;5×f/t、10×f/t)。すべてのアッセイにおいて、−80℃対照(1f/t)を基準として、ヒトザルファ11リガンドの回収率を決定した。
【0724】
−80℃対照試料からの残留ヒトザルファ11リガンド溶液を、分析後再凍結した(−80℃)。円2色性(CD)を用いて、pHの関数としてヒトザルファ11リガンドの熱的および構造的安定性を評価するために、この分取試料(2f/t)を用いた。2mg/ml溶液を、pH3.3〜8.8の範囲のPBS緩衝剤中で100μg/mlに希釈した。遠紫外線CDスペクトルを、温度範囲5〜90℃にわたり5℃間隔で(n=3/pH)監視した。用いたCD分光旋光計はジャスコ715(Jasco,Easton,MD)であった。熱的開放を、温度の関数として、222nmでの楕円率の変化により監視した。2状態の開放モデルを想定して、Tの評価を判定した。ウインドウズv4.1用スライドライトプラス(Advanced Graphics Software;Encinitas,CA)を用いるのに、データを合わせた(S字状)。
【0725】
アルゼットミニポンプ(ModelNo.1007D;ALZA Corporation,Mountain View,CA)からの回収率および安定性を、2mg/mlヒトザルファ11リガンド溶液100μLでポンプを充填し、1mlのPBS(pH7.4)を含有する1.8ml LDPEの中にポンプを置き、それらを37℃で貯蔵することにより評価した。ミニポンプからのヒトザルファ11リガンドの放出/回収を、2日目、4日目および7日目に、CX−、RP−、SEC-HPLCにより評価した。活性度をバイオアッセイにより7日目に評価した。サンプリング時間毎に3ポンプからの放出を評価するように、研究を設計した。
【0726】
クロマトグラフィデータは、CX−およびSEC-HPLC法は安定性を指示しており、一方でRP-HPLC法はそうではなかったことを示唆した。明白な崩壊生成物を示す少なくとも3点の追加ピークがCX-HPLCにより観察された。SEC-HPLC法は、ヒトザルファ11リガンドの前に溶出する、明白なヒトザルファ11リガンド凝集物を区別した。しかし、ヒトザルファ11リガンドピーク後に溶出する有意な追加ピークは何も観察されなかった。これは、CX-HPLCにより観察される崩壊生成物が、最もありうることとして、加水分解/蛋白分解プロセスが端折れ変異体をもたらすというよりむしろ、アミド分解などのアミノ酸変性に起因することを示唆している。
【0727】
SEC−およびCX-HPLCにより有意な崩壊を受けたことを示していた試料において、小規模の立ち上り/立ち下り(対照を基準にして)がRP-HPLCにより観察された。しかし、明白な崩壊生成物はRP-HPLCによっては解析されなかった。CX-HPLCにより観察された崩壊は、時間−温度の関数として増加し、明白な1次反応速度を示した。29日後に、37℃、30℃、および5℃で、CX-HPLCにより回収されたヒトザルファ11リガンド%は、それぞれ39%、63%、および98%であった。
【0728】
凝集も、時間−温度依存形態で増加した。37℃、30℃、および5℃で、29日間貯蔵された標本に見出された凝集物%は、それぞれ7.4、3.4、および検出限界下(BDL)であった。いかなる試料においても有意な差異はバイオアッセイによっては観察されず、崩壊生成物は非損傷ヒトザルファ11リガンドに等価の活性度を有することを示唆した。崩壊は、10f/tサイクルまで受けた試料の中には、いかなるアッセイによっても観察されなかった。
【0729】
アルゼットミニポンプからのヒトザルファ11リガンドの放出は、理論期待体積放出と一致した。これは、有意な表面吸着が、2mg/ml充填濃度でアルゼットミニポンプを用いるヒトザルファ11リガンドの配送を傷めることはないであろうことを示唆する。前に言及したものと一致する崩壊が観察された。2、4、および7日後に放出されたヒトザルファ11リガンドのCX-HPLCにより決定される純度%は、それぞれ96%、90%、および79%であった。ヒトザルファ11リガンドが放出媒体中に放出されるか、またはそれで希釈された後にもまた崩壊は起こるということは、認識されるべきである。従って、ミニポンプ内の純度%は、放出媒体中にあって決定されるものとはいくぶん違うことはありえる。各試料の生物学的活性度は、ミニポンプから放出されたヒトザルファ11リガンドの期待値と合致した。
【0730】
ヒトザルファ11リガンド遠紫外線CDスペクトルは、期待通り、IL-3(J.Biochem.,23:352〜360,1991)、IL-4(Biochemistry,30:1259〜1264,1991)、およびIL-6突然変異体(Biochemistry,35:11503〜11511,1996)などのインターロイキンと一致した。pHの関数としての遠紫外線CDスペクトルの全体の変化は観察されなかった。結果は、最大の熱的/構造的安定性のpHは約pH7.4であることを示した。
【0731】
開放曲線の分析は、pH/組成物の関数としての熱的/構造的安定性の比較を可能とする2状態の開放機構に基づいた。しかし、開放曲線の浅さによって、共同性が比較的低いという理由により、1種以上の中間体が開放プロセスの間に存在する可能性がある。研究は、ヒトザルファ11リガンドが90℃への熱的開放の後再度折りたたむかどうかを、特に決めるようには設計されなかったが、予備データは、試料温度を冷却し20℃に戻した後に、少なくとも部分的な再折りこみが起こっていることを示唆している。
【0732】
これらの研究は、分析例がヒトザルファ11リガンドの純度を評価し、安定性を検査するために同定されることを可能とする。例えば、SEC-HPLCを、水性溶液中の凝集の程度および速度を特性分析するために用いることができる。同様に、CX-HPLCを、凝集以外の機構によるヒトザルファ11リガンドの崩壊の程度および速度を特性分析するために用いることができる。ヒトザルファ11リガンドおよびそれの水性崩壊生成物の活性度を検査するために、バイオアッセイを用いることができる。例えば、水性溶液中に生成し、CX-HPLCにより解析されるヒトザルファ11リガンド変異体は、それらが同等の生物学的活性度を有するという理由により、それら自体で治療薬剤として有用でありえる。
【0733】
また、ヒトザルファ11リガンドがいくつかの異なるプロセス(凝集、アミノ酸変性)により崩壊するという事実は、各崩壊プロセスの速度を最小にする、好ましいまたは独特の配合が、溶液生成物の長期間安定性に必要でありえることを示唆している。
【0734】
水性崩壊生成物の特質の同定、およびそれらの反応速度依存性(pH、濃度、付形剤)の決定は進行中である。血清/血漿中のヒトザルファ11リガンド安定性は、生体内研究の設計および解釈を支援するために決定される。
本発明の特定実施形態が説明の目的のために本明細書において記載されてきたが、種々の変更が本発明の精神および範囲から逸脱することなく為されうることは、前述から、正当に評価されるであろう。従って、本発明は、別途クレームによる場合を除いて、限定されない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、ヒトIL−2、ヒトIL−15、zalpha11リガンド(配列番号2)、ヒトIL-4、マウスIL-4、ヒトGM-CSF及びマウスGM−CSFの複数の一列整列を示す。
【配列表】
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Claims (23)

  1. 配列番号2に示されるアミノ酸残基32(Gln)〜162(Ser)のアミノ酸配列を含んで成る単離されたポリペプチド。
  2. 配列番号2に示されるアミノ酸残基32(Gln)〜残基162(Ser)の配列からなる、請求項1に記載の単離されたポリペプチド。
  3. 前記アミノ酸配列が、配列番号2に示されるアミノ酸残基1(Met)〜162(Ser)のアミノ酸配列である請求項1に記載の単離されたポリペプチド。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリペプチドを含んで成る融合タンパク質。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリペプチドをコードするヌクレオチドの配列を含んで成る単離されたポリヌクレオチド分子。
  6. 前記ヌクレオチドが、配列番号1に示されるヌクレオチド140〜ヌクレオチド532、又は配列番号3に示されるヌクレオチド94〜ヌクレオチド486である請求項5記載の単離されたポリヌクレオチド分子。
  7. 配列番号2中の残基1〜残基162に示される、又は配列番号56中の残基1〜残基146に示されるポリペプチドをコードするヌクレオチドの配列を含んで成る単離されたポリヌクレオチド分子。
  8. 前記ヌクレオチドが、配列番号1に示されるヌクレオチド47〜ヌクレオチド532、又は配列番号3に示されるヌクレオチド1〜ヌクレオチド486である請求項7記載の単離されたポリヌクレオチド分子。
  9. 次の作用可能に連結された要素:
    (a)転写プロモーター;
    (b)請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリペプチドをコードするDNAセグメント;及び
    (c)転写ターミネーター;
    を含んで成る発現ベクター。
  10. 次の作用可能に連結された要素:
    (a)転写プロモーター;
    (b)請求項7又は8に記載のDNAセグメント;及び
    (c)転写ターミネーター
    を含んで成る発現ベクター。
  11. 請求項9又は10に記載の発現ベクターを含んで成る培養された細胞。
  12. タンパク質の生成方法であって、
    請求項11記載の細胞を、DNAセグメントが発見される条件下で培養し;そして
    前記DNAセグメントによりコードされるタンパク質を回収することを含んで成る方法。
  13. zalpha11リガンドポリペプチドに対する抗体の生成方法であって;
    (a)請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリペプチドをヒト以外の動物に接種し、ここで前記ポリペプチドが動物において免疫応答を誘発し、抗体を生成し;そして
    前記動物から前記抗体を単離することを含んで成る方法。
  14. zalpha11リガンドポリペプチドに結合する請求項13記載の方法により生成される抗体。
  15. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリペプチドに対して特異的に結合する抗体。
  16. 造血細胞及び造血細胞前駆体の数を増加する方法であって、zalpha11リガンドの不在下で培養される骨髄又は末梢血液細胞に比較して、骨髄又は末梢血液細胞におけるリンパ球の数を高めるために十分な量の、請求項1〜3のいずれか1項に記載のzalpha11リガンドを含んで成る組成物と共に、骨髄又は末梢血液細胞を培養することを含んで成る方法。
  17. 前記造血細胞及び造血細胞前駆体がリンパ球である請求項16に記載の方法。
  18. 前記リンパ球がNK細胞又は細胞毒性T細胞である請求項16記載の方法。
  19. 前記組成物がまた、IL-2, IL-15, IL-4, GM-CSF, Flt3リガンド及び幹細胞因子から成る群から選択された少なくとも1つの他のサイトカインを含んで成る請求項16に記載の方法。
  20. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリペプチドを含んでなる、腫瘍性B細胞の増殖を低めるための組成物。
  21. IL-2, IL-15, IL-4, GM-CSF, Flt3リガンド及び幹細胞因子から成る群から選択された少なくとも1つの他のサイトカインを更に含んで成る請求項20に記載の方法。
  22. 生物学的サンプルにおけるzalpha11リガンドRNAの存在の検出方法であって、
    (a)ハイブリダイゼーション条件下で、zalpha11リガンド核酸プローブと、(i)生物学的サンプルから単離された試験DNA分子、又は(ii)単離されたRNA分子から合成される核酸分子のいずれかとを接触せしめ、ここで前記プローブが請求項7に記載のポリヌクレオチド分子のヌクレオチド配列の一部又はその補体のいずれかを含んで成るヌクレオチド配列を有し;そして
    (b)前記核酸プローブと前記試験RNA分子又は合成された核酸分子のいずれかとのハイブリッドの形成を検出する段階を含んで成り、ここで
    前記ハイブリッドの存在が生物学的サンプルにおけるzalpha11リガンドRNAの存在の表示であることを特徴とする方法。
  23. 生物学的サンプルにおけるzalpha11リガンドの存在の検出方法であって、
    (a)前記生物学的サンプルと、請求項14又は15に記載の抗体又は抗体フラグメントとを接触し、ここで前記接触が、前記生物学的サンプルへの前記抗体又は抗体フラグメントの結合を可能にする条件下で行われ;そして
    (b)前記結合された抗体又は抗体フラグメントのいずれかを検出する段階を含んで成る方法。
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