本発明は、固定クロックにてサンプリングされA/D(Analog to Digital)変換されたデジタルデータに対し、位相情報に基づく補間処理を施して、正規のサンプリングタイミングにおけるサンプルデータを取得するPLL(Phase Locked Loop)回路、および、このPLL回路にて取得されるサンプルデータを復調して再生データを取得するデータ再生装置に関する。
ディスク再生装置のPLL回路として、従来より、アナログ方式のPLL回路が用いられている。しかし、アナログ方式のPLL回路は、ノイズによる影響を受け易く、また、温度変化等の環境変化に弱いといった欠点を有している。これに対し、デジタル方式のPLL回路は、ノイズによる影響を受け難く、温度変化等の環境変化にも特性が左右され難い。また、高集積化を図りやすくLSIに実装する際に有利であるとのメリットを有している。
図16に、ITR(Interpolated Timing Recovery)方式のデジタルPLL回路を内蔵するディスク再生装置の構成例を示す。
本構成例に係る光ディスク装置は、光ピックアップ101と、増幅回路102と、ADC(Analog-Digital Converter)103と、データ補間回路104と、イコライザ105と、ビタビデコーダ106と、位相比較器107と、LPF(ループフィルタ)108と、デジタルVCO(Voltage Controlled Oscillator)109を備えている。
光ピックアップ101は、ディスクにレーザ光を照射してデータの書き込みを行うとともに、ディスクからの反射光を受光してデータの読み取りを行う。増幅回路102は、光ピックアップ101から供給される再生RF信号を増幅してADC103に出力する。ADC103は、発振回路から供給される高周波の非同期クロックに応じて再生RF信号をサンプリングし、サンプル値をデジタルデータ(ADデータ)に変換してデータ補間回路104に出力する。
データ補間回路104は、ADC103から入力されるADデータと、デジタルVCO109から入力される位相情報(PH2)を用いて、データ補間タイミング(リサンプルタイミング)におけるデータ値(リサンプルデータ)を算出し、算出したリサンプルデータをイコライザ105に出力する。
イコライザ105は、データ補間回路104から供給されるリサンプルデータに対して波形等化処理を施してビタビデコーダ106に出力する。ビタビデコーダ106は、イコライザ105から供給されたデジタルデータにビタビ復号処理を施して1、0の2値化データを生成出力する。
位相比較器107は、データ補間回路104から供給されるリサンプルデータをもとに、図17に示す如く、再生信号波形のエッジ、すなわち、再生信号波形とスライスレベル(ゼロレベル)の交点位置を判別し、判別したエッジの位置と、これを挟む前後のリサンプルタイミングの中間タイミングとの間の位相差(ΔP)を検出して、これを、LPF108に出力する。
LPF108は、位相差データの高周波成分を遮断して直流化し、これをデジタルVCO109に出力する。
デジタルVCO110は、LPF108から供給されたデータ(位相差データ)に応じて、上記エッジの位相差を補償するよう、リサンプルタイミングの周期を調整し、調整後のリサンプルタイミングの周期を示す位相情報(PH2)(図17参照)をデータ補間回路104に出力する。
図18は、データ補間回路104における処理動作を示すものである。
データ補間回路104では、補間処理用のクロック(D−PLLクロック)を用いながら、ADC103から入力されたADデータと、これを1クロック遅延させたADデータとの間で補間処理が行われる。ここで、補間処理用のD−PLLクロックには、ADC103に入力されるクロック(A/Dクロック)と同じクロックが用いられる。同図では、一連のA/Dデータ(D0、D1、…)のうち、D2−D3間、D5−D6間、D9−D10間、D11−D12間、D14−D15間にて補間が行われリサンプルデータが生成されている。
図19に、補間処理の具体的内容を示す。
補間処理においては、ADデータの各サンプリングタイミングにおける位相PH0とデジタルVCO109から供給される位相PH2が大小比較される。図19を参照して、たとえば、ADデータ(D0)のサンプリングタイミングにおける位相PH0がPH0=0であるとすると、次のADデータ(D1)のサンプリングタイミングにおける位相PH0は、一つ前のADデータ(D0)における位相PH0(=0)にA/Dクロックの周期PH1を加算したもの(=0+PH1)として求められる。求めた位相PH0は、デジタルVCO109から供給される位相PH2と比較される。このとき、PH0≦PH2であれば、補間は行われない。図19の場合、ADデータ(D1)のサンプリングタイミングにおける位相PH0(=0+PH1)は、PH0<PH2であるので、このADデータ(D1)のサンプリングタイミングにおいては、補間は行われない。
次のADデータ(D2)のサンプリングタイミングにおいても、同様に、このADデータ(D2)のサンプリングタイミングにおける位相PH0が、一つ前のADデータ(D1)における位相PH0(=0+PH1)にA/Dクロックの周期PH1を加算したもの(=0+PH1+PH1)として求められ、これが、デジタルVCO109から供給される位相PH2と比較される。この場合も、ADデータ(D2)のサンプリングタイミングにおける位相PH0(=0+PH1+PH1)は、PH0<PH2であるので、このADデータ(D2)のサンプリングタイミングにおいても、補間は行われない。
さらに、次のADデータ(D3)のサンプリングタイミングにおいても、同様に、このADデータ(D3)のサンプリングタイミングにおける位相PH0が、一つ前のADデータ(D2)における位相PH0(=0+PH1+PH1)にA/Dクロックの周期PH1を加算したもの(=0+PH1+PH1+PH1)として求められ、これが、デジタルVCO109から供給される位相PH2と比較される。この場合、ADデータ(D3)のサンプリングタイミングにおける位相PH0(=0+PH1+PH1+PH1)は、PH0>PH2の関係にあるので、このADデータ(D3)のサンプリングタイミングにおいて、補間が行われる。
この場合、ADデータ(D3)のサンプリングタイミングにおける位相PH0(=0+PH1+PH1+PH1)から位相PH2が減算され、減算結果(=0+PH1+PH1+PH1−PH2)が、このADデータ(D3)のサンプリングタイミングにおける位相PH0に再設定される。そして、図19の左上に示すように、D2とD3の値と、PH0とPH1とを用いながら、比例計算によりXが求められ、求めたXをD2に加算して、ADデータ(D3)のサンプリングタイミングからPH0だけ戻ったリサンプルタイミングにおけるリサンプルデータが求められる。
次のADデータ(D4)のサンプリングタイミングにおいては、一つ前のADデータ(D3)にて求めた位相PH0(=0+PH1+PH1+PH1−PH2)にA/Dクロックの周期PH1が加算され、当該ADデータ(D4)における位相が求められる。そして、上記と同様に、この位相が、デジタルVCO109から供給される位相PH2と大小比較され、補間の要否が判別される。以下、同様にして、各サンプリングタイミングにおける処理が行われる。
図20に、かかる補間処理の流れを示す。
位相PH0がセットされた後(S101)、次のクロックタイミングが到来すると(S102)、位相PH0にクロック周期PH1が加算され、新たな位相PH0がセットされる(S103)。そして、セットされた位相PH0が、デジタルVCO109から供給される位相PH2と大小比較される(S104)。ここで、PH0>PH2でなければ(S104:N)、S102に戻り、次のクロックタイミングの到来に応じて、PH0=PH0+PH1が実行される(S103)。この処理は、PH0>PH2となるまで実行される(S104)。
PH0>PH2となると(S104:Y)、PH0=PH0−PH2が実行され、当該クロックタイミングにおける位相PH0が算出される(S105)。そして、上記の如くして、再設定された位相PH0と、当該リサンプルタイミングの前後のADデータからリサンプルデータが算出される(S106)。S105にて算出された位相PH0は、当該クロックタイミングにおける位相に再設定される(S101)。その後、S102に進み、同様の処理が実行される。
特開2005−108295号公報
近年、光ディスクおよびそのドライブ装置においては、ディスクの高密度化および高容量化とともに、再生速度の高速化(4倍速、8倍速、等)が求められている。このうち、再生速度の高速化は、特に、PC(Personal Computer)用途としてドライブ装置を用いる場合に、ドライブ装置に高い付加価値を与える。
ここで、再生速度の高速化は、演算精度の低減や、LSI処理能力の高速化によっても行い得る。しかし、この場合にも、高速化に一定の限界があるため、4倍速や8倍速等の高速化を図ろうとする場合には、他の方法を検討する必要がある。
なお、図16に示す回路構成においては、データ補間回路104以降の各回路部のうち、特に、LPF108をIIR型(帰還型)にて構成する場合に、LPF108が高速化のネックとなる。すなわち、LPF108をIIR型とすると、演算コストが大きくなり、LPF108の動作周波数を大きく引き上げることができないとの問題が生じる。
そこで、本発明は、処理速度の高速化を円滑に図ることができるPLL回路およびそれを用いたデータ再生装置を提供することを課題とする。
第1の発明は、固定クロックにてサンプリングされA/D(Analog to Digital)変換されたデジタルデータに対し、各デジタルデータのA/Dサンプリングタイミングにおける位相(PH0)と正規のサンプリングタイミングを規定する位相(PH2)の相関に基づく補間処理を施して、前記正規のサンプリングタイミングにおけるサンプルデータを取得するPLL回路において、一連の前記デジタルデータに対し時系列上交互に補間処理を施すとともに共通の動作クロックに応じてそれぞれの補間処理を同時に並行して実行する複数の補間回路と、前記各補間回路に前記共通の動作クロックを供給するクロック供給回路と、前記デジタルデータのA/Dサンプリングタイミングにおける位相(PH0)がこのデジタルデータに続く次のデジタルデータに補間処理を施す補間回路に順次引き継がれるよう前記各補間回路に位相を設定する位相制御回路と、前記補間処理にて取得されたサンプルデータに基づいて前記正規のサンプリングタイミングを規定する位相(PH2)を調整し、調整後の位相(PH2)を前記それぞれの補間回路に供給する位相調整回路と、前記各補間回路にて取得されたサンプルデータを一系統の時系列データに統合するデータ統合回路とを有することを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明に係るPLL回路おいて、前記位相制御回路は、先の並行処理において何れかの前記補間回路に設定される位相(PH0b/PH0B)と前記固定クロックの周期(PH1)から、次の並行処理において前記それぞれの補間回路に設定される位相(PH0a、PH0b/PH0A,PH0B)を算出することを特徴とする。
第3の発明は、第2の発明に係るPLL回路において、前記位相制御回路は、先の並行処理において何れか一つの前記補間回路に設定される位相(PH0b/PH0B)に、当該位相に対応する前記デジタルデータのA/Dサンプリングタイミングから次の並行処理にて前記各補間回路に位相を設定する際のA/Dサンプリングタイミングまでの間に存在する前記固定クロック数分のクロック周期(PH1)を加算し、この値から、前記正規のサンプリングタイミングを規定する位相(PH2)を、減算結果が負にならない範囲で減算することにより、次の並行処理にて各補間回路に設定する位相(PH0a、PH0b/PH0A、PH0B)を算出することを特徴とする。
第4の発明は、固定クロックにてサンプリングされA/D(Analog to Digital)変換されたデジタルデータに対し、各デジタルデータのA/Dサンプリングタイミングにおける位相(PH0)と正規のサンプリングタイミングを規定する位相(PH2)の相関に基づく補間処理を施して、前記正規のサンプリングタイミングにおけるサンプルデータを取得し、取得したサンプルデータを復調するデータ再生装置において、アナログ信号を前記固定クロックにてサンプリングしそのサンプル値をA/D変換してデジタルデータを取得するA/D変換部と、前記A/D変換部から入力される一連の前記デジタルデータに対し時系列上交互に補間処理を施すとともに共通の動作クロックに応じてそれぞれの補間処理を同時に並行して実行する複数のデータ補間部と、前記各データ補間部に前記共通の動作クロックを供給するクロック供給部と、前記デジタルデータのA/Dサンプリングタイミングにおける位相(PH0)がこのデジタルデータに続く次のデジタルデータに補間処理を施すデータ補間部に順次引き継がれるよう前記各データ補間部に位相を設定する位相制御位相制御部と、前記補間処理にて取得されたサンプルデータに基づいて前記正規のサンプリングタイミングを規定する位相(PH2)を調整し、調整後の位相(PH2)を前記それぞれのデータ補間部に供給する位相調整部と、前記各データ補間部にて取得されたサンプルデータを一系統の時系列データに統合するデータ統合部と、前記統合されたサンプルデータに復調処理を施すデータ復調部を有することを特徴とする。
第5の発明は、第4の発明に係るデータ再生装置において、前記位相制御部は、先の並行処理において何れかの前記データ補間部に設定される位相(PH0b/PH0B)と前記固定クロックの周期(PH1)から、次の並行処理において前記それぞれのデータ補間部に設定される位相(PH0a、PH0b/PH0A,PH0B)を算出することを特徴とする。
第6の発明は、第5の発明に係るデータ再生装置において、前記位相制御部は、先の並行処理において何れか一つの前記データ補間部に設定される位相(PH0b/PH0B)に、当該位相に対応する前記デジタルデータのA/Dサンプリングタイミングから次の並行処理にて前記各データ補間部に位相を設定する際のA/Dサンプリングタイミングまでの間に存在する前記固定クロック数分のクロック周期(PH1)を加算し、この値から、前記正規のサンプリングタイミングを規定する位相(PH2)を、減算結果が負にならない範囲で減算することにより、次の並行処理にて各データ補間部に設定する位相(PH0a、PH0b/PH0A、PH0B)を算出することを特徴とする。
なお、以下の実施形態には、補間回路(データ補間部)が2つ配されたPLL回路が例示されている。また、上記発明に係るクロック供給回路(クロック供給部)と、位相制御回路(位相制御部)と、位相調整回路(位相調整部)と、データ統合回路(データ統合部)は、それぞれ、以下の実施形態では、クロック周波数低減回路202と、位相コントローラ205、215と、位相比較器107、LPF108およびデジタルVCO109と、P/S回路206によって具体化されている。また、上記発明に係るA/D変換部とデータ復調部は、それぞれ、以下の実施形態では、A/Dコンバータ103と、イコライザ105およびビタビデコーダ106によって具体化されている。
本発明によれば、固定クロックによってサンプリングされた一連のデジタルデータに対し、時系列上交互に補間処理が施されるよう、複数の補間回路によって、補間処理が施される。このとき、各補間回路は、共通の動作クロックによって、同時に並行して、対応するデータに補間処理を施す。
本発明によれば、このように、共通の動作クロックによって補間処理を並列的に実行することにより、動作クロックの周波数を大幅に低減させることができる。たとえば、2つの補間回路を用いる場合、補間回路の動作クロックを、A/D変換に用いる固定クロックの1/2程度の周波数に抑えることができ、さらに、3つの補間回路を用いる場合には、動作クロックの周波数を固定クロックの1/3程度にまで低減することができる。従って、その後段側に配される位相比較器、LPF、デジタルVCOの動作周波数も同様に低減することができる。その結果、PLL回路の高速化を図ることができる。
なお、既に図19を参照して説明したとおり、ITR方式のデジタルPLL回路では、1クロック前のサンプリングタイミングにおける位相PH0を次のサンプリングタイミングにおける位相に順次引き継ぐ必要がある。すなわち、図19を参照して、D0のサンプリングタイミングにおける位相PH0(=0)は、D1のサンプリングタイミングにおける位相PH0を設定する際に引き継がれなければならず、具体的には、D0のサンプリングタイミングにおける位相PH0(=0)にA/Dクロックの周期PH1が加算されて、D1のサンプリングタイミングにおける位相PH0(=0+PH1)が算出される。
ところが、本発明のように、一連のデジタルデータに対し、時系列上交互に、異なる補間回路によって、補間処理を並列的に施すようにすると、各補間回路によって時系列上飛び飛びに補間処理が施されるため、一つの補間回路において設定される位相PH0を、この位相に対応するサンプリングタイミングに続く、次のサンプリングタイミングのデジタルデータに補間処理を施す他の補間回路に、円滑に引き継ぐための構成が必要となる。
たとえば、2つのデータ補間回路(第1、第2のデータ補間回路)を用いる場合に、図19におけるD0、D2、D4、D6、…のサンプリングタイミングの補間処理を第1のデータ補間回路にて実行し、D1、D3、D5、…のサンプリングタイミングの補間処理を第2のデータ補間回路にて実行するようにすると、第2のデータ補間回路に設定されるD1のタイミングにおける位相PH0(=0+PH1)を第1のデータ補間回路におけるD2に対する処理の際に引き継ぐ必要があり、さらに、これにより第1のデータ補間回路に設定されるD2のタイミングにおける位相PH0(=0+PH1+PH1)を、その次のデータD3に対する処理を実行する第2のデータ補間回路に引き継ぐ必要がある。
さらに、この場合、D2のサンプリングタイミングにおける補間処理とD3のサンプリングタイミングにおける補間処理が、共通の動作クロックに応じて、第1のデータ補間回路と第2のデータ補間回路によって同時に並行して行われるとすると、本来、D3のサンプリングタイミングにおける補間処理は、D2のサンプリングタイミングにおける補間処理にて設定される位相PH0を引き継いで行われるものであるにも拘わらず、このようにD2のサンプリングタイミングにおける補間処理がD3のサンプリングタイミングにおける補間処理と同時に行われる関係から、D2のサンプリングタイミングにおける補間処理を待たずに、予め、この並行処理の際に、D2のサンプリングタイミングにおける補間処理にて設定される位相PH0がD3のサンプリングタイミングにおける補間処理において引き継がれている必要がある。
本発明では、かかる位相PH0の引き継ぎ制御が位相制御回路(位相制御部)によって行われる。これにより、複数の補間回路(データ補間部)によって、円滑に、補間処理を行うことができる。
本発明の特徴は、以下に示す実施の形態により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施の形態は、一つの例示であって、本発明ないし各構成要件の意義は、以下の実施の形態に記載されたものに制限されるものではない。
以下、本発明の実施の形態につき図面を参照して説明する。
図1に実施例1に係るディスク再生装置の構成を示す。このディスク再生装置には、ITR(Interpolated Timing Recovery)方式のデジタルPLL回路が内蔵されている。なお、上記従来例として示した図16の構成と同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
本実施例に係るディスク再生装置には、図16の構成に比べ、S/P(Serial/Parallel)回路201と、クロック周波数低減回路202と、2つのデータ補間回路203、204と、位相コントローラ205と、P/S(Parallel/Serial)回路206が追加されている。
S/P回路201は、A/Dコンバータ103によってサンプリングされたADデータを、データ補間回路203とデータ補間回路204にそれぞれ供給する。
クロック周波数低減回路202は、発振回路から出力されるクロック(A/Dクロック)を分周し、周波数を1/2に低減したクロック(1/2クロック)を生成する。生成された1/2クロックは、データ補間回路203、204、位相比較器107、LPF108およびデジタルVCO109に動作クロックとして供給される。
データ補間回路203および204は、S/P回路から入力される一連のADデータ列に対し時系列上交互に補間処理を施すとともに、クロック周波数低減回路202から供給される共通の1/2クロックに応じてそれぞれの補間処理を同時に並行して実行する。
本実施例では、データ補間回路203および204は、位相コントローラ205から設定される初期位相(他方のデータ補間回路から引き継がれるべき位相:PH0a、PH0b)に、1/2クロックの周期(PH1)を加算して、サンプリングタイミングにおける位相を算出し、算出した位相と、デジタルVCO109から供給されるリサンプルタイミングを規定する位相(PH2)を大小比較して、当該サンプリングタイミングにおけるデータ補間の要否を判定し、データ補間要の場合に、リサンプルタイミングにおけるリサンプルデータを、上記図19の左上に示す如くして算出する。なお、データ補間回路203および204における処理については、追って、図2、図3および図9を参照しながら詳述する。
位相コントローラ205は、デジタルVCO109から供給される位相情報(PH2)とA/Dクロックの周期(PH1)をもとに、データ補間回路203および204間で相互に引き継ぐべき初期位相(PH0a、PH0b:後述)を求め、求めた位相を、データ補間回路203および204にそれぞれ設定する。なお、位相コントローラ205における処理については、追って、図4ないし図8を参照しながら詳述する。
P/S回路206は、データ補間回路203、204から入力されるリサンプルデータを1系統のデータに統合してイコライザ105に出力する。
図2は、データ補間回路203、204における処理動作を示すものである。
データ補間回路203は、1/2クロックを動作クロックとして用いながら、ADC103から入力されたADデータ列と、これを1A/Dクロックだけ遅延させたADデータ列との間で補間処理を行う。このとき、1/2クロックの周波数は、A/Dクロックの周波数の1/2になっているため、一連のADデータ列のうち、D1、D3、D5、D7、…のサンプリングタイミングにおける補間処理が行われる。同図では、データ補間回路203によって、D2−D3間と、D14−D15間にてリサンプルデータが生成されている。なお、以下では、データ補間回路203にて処理されるデータ系列のことをA−ch系列と称する。
データ補間回路204は、A−ch系列の各データ列をさらに1A/Dクロックずつ遅延させ、1/2クロックを動作クロックとして用いながら、遅延させたADデータ列に補間処理を施す。このとき、1/2クロックの周波数は、ADデータのサンプリングに用いられるA/Dクロックの周波数の1/2になっているため、一連のADデータのうち、D0、D2、D4、D6、…のサンプリングタイミングにおける補間処理が行われる。同図では、データ補間回路204によって、D5−D6間、D9−D10間、および、D11−D12間にてリサンプルデータが生成されている。なお、以下では、データ補間回路204にて処理されるデータ系列のことをB−ch系列と称する。
図3に、補間処理の具体的内容を示す。
補間処理においては、上記従来例の場合と同様、ADデータの各サンプリングタイミングにおける位相とデジタルVCO109から供給される位相が大小比較され、その比較結果に応じて、データ補間が行われる。
このとき、A−ch系列の補間処理とB−ch系列の補間処理は、それぞれ、データ補間回路203とデータ補間回路204によって別々に行われる。このため、一方の系列における各サンプリングタイミングの位相が、その次に到来する他方の系列の各サンプリングタイミングに対する補間処理において、順次引き継がれていく必要がある。
本実施例では、かかる引継ぎ処理は、位相コントローラ205によって行われる。位相コントローラ205は、データ補間回路203とデータ補間回路204に、適宜、他系統から引き継がれるべき位相を初期位相(PH0a、PH0b)として設定する。これを受けて、データ補間回路203、204は、位相コントローラ205から設定された初期位相(PH0a、PH0b)に1/2クロックの周期PH1を加算して、各サンプリングタイミングにおける位相を算出する。そして、算出した位相とデジタルVCOから供給される位相PH2とを大小比較し、算出した位相の方が大きいときに補間を実行する。
たとえば、図3を参照して、B−ch系列からA−ch系列に引き継がれるべき初期位相をPH0a、A−ch系列からB−ch系列データに引き継がれるべき初期位相をPH0bとすると、たとえば、同図のADデータ(D3)のサンプリングタイミングにおいて引き継がれる初期位相PH0aは、直前のB−ch系列処理にてA−ch系列から引き継がれる初期位相PH0bを用いて、PH0a=PH0b+PH1として設定される。そして、この初期位相PH0aに1/2クロックの周期PH1が加算され、当該ADデータ(D3)のサンプリングタイミングにおける位相が求められる。
これに対し、同図のADデータ(D4)のサンプリングタイミングにおいて引き継がれる初期位相PH0bは、直前のA−ch系列処理にて補間が行われ、位相の再設定が行われるため、直前のADデータ(D3)のサンプリングタイミングにおいて引き継がれる初期位相PH0aをそのまま用いて、PH0b=PH0a+PH1として設定することはできない。この場合、ADデータ(D4)のサンプリングタイミングにおいて引き継がれる初期位相PH0bは、PH0b=PH0a+PH1−PH2となる。
ところが、この場合、直前のADデータ(D3)のサンプリングタイミングに対する処理(A−ch系統処理)は、当該ADデータ(D4)のサンプリングタイミングに対する処理(B−ch系統処理)と同時に並行して行われるため、当該ADデータ(D4)のサンプリングタイミングにおける処理の際に、直前のA−ch系列処理から初期位相PH0aを取得することはできない。したがって、この場合は、この初期PH0aを、それよりもさらに一つ前のB−ch系列処理にてA―ch系列から引き継がれる初期位相PH0bをもとに、PH0a=PH0b+PH1として求める。そして、当該ADデータ(D4)のサンプリングタイミングにおいて引き継がれる初期位相PH0bを、PH0b=(PH0b+PH1)+PH1−PH2として算出設定する。
このように、本実施例1では、1サイクル前の並列処理(A−ch系統処理およびB−ch系統処理)のうち、B−ch系統処理にて引き継がれる初期位相PH0bをもとに、次サイクルの並列処理においてA−ch系統処理およびB−ch系統処理にそれぞれ引き継がれる初期位相PH0aおよびPH0bを求め、これを、データ補間回路203とデータ補間回路204に設定する。この場合、データ補間回路203とデータ補間回路204には、1サイクル前に引き継がれる初期位相PH0bの大きさとリサンプリングタイミングを規定するPH2の関係に応じて、図4ないし図7に示す4つのパターンの初期位相PH0aおよびPH0bが設定される。
図4は、1サイクル前のB−ch系列処理にて補間が起こり、且つ、当該サイクルのA−ch系列処理では補間が起こらない場合に、データ補間回路203とデータ補間回路204に引き継がれる初期位相PH0aおよびPH0bを示すものである。この場合、当該サイクルのA−ch処理には、1サイクル前のB−ch処理にて引き継がれる初期位相PH0bをもとに、初期位相PH0a=(PH0b+PH1)−PH2が引き継がれる。また、当該サイクルのB−ch処理には、1サイクル前のB−ch処理にて引き継がれる初期位相PH0bをもとに、初期位相PH0b=(PH0b+2・PH1)−PH2が引き継がれる。
図5は、1サイクル前のB−ch系列処理にて補間が起こり、且つ、当該サイクルのA−ch系列処理でも補間が起こる場合に、データ補間回路203とデータ補間回路204に引き継がれる初期位相PH0aおよびPH0bを示すものである。この場合、当該サイクルのA−ch処理には、1サイクル前のB−ch処理にて引き継がれる初期位相PH0bをもとに、初期位相PH0a=(PH0b+PH1)−PH2が引き継がれる。また、当該サイクルのB−ch処理には、1サイクル前のB−ch処理にて引き継がれる初期位相PH0bをもとに、初期位相PH0b=(PH0b+2・PH1)−2・PH2が引き継がれる。
図6は、1サイクル前のB−ch系列処理にて補間が起こらず、且つ、当該サイクルのA−ch系列処理にて補間が起こる場合に、データ補間回路203とデータ補間回路204に引き継がれる初期位相PH0aおよびPH0bを示すものである。この場合、当該サイクルのA−ch処理には、1サイクル前のB−ch処理にて引き継がれる初期位相PH0bをもとに、初期位相PH0a=PH0b+PH1が引き継がれる。また、当該サイクルのB−ch処理には、1サイクル前のB−ch処理にて引き継がれる初期位相PH0bをもとに、初期位相PH0b=(PH0b+2・PH1)−PH2が引き継がれる。
図7は、1サイクル前のB−ch系列処理にて補間が起こらず、且つ、当該サイクルのA−ch系列処理にて補間が起こらない場合に、データ補間回路203とデータ補間回路204に引き継がれる初期位相PH0aおよびPH0bを示すものである。この場合、当該サイクルのA−ch処理には、1サイクル前のB−ch処理にて引き継がれる初期位相PH0bをもとに、初期位相PH0a=PH0b+PH1が引き継がれる。また、当該サイクルのB−ch処理には、1サイクル前のB−ch処理にて引き継がれる初期位相PH0bをもとに、初期位相PH0b=PH0b+2・PH1が引き継がれる。
図8は、上記図4ないし図7の位相パターンを実現するためのロジック回路の構成例を示すものである。なお、同図左の入力側に示すPH0bは、1サイクル前のB−ch系列処理にてA−ch系列から引き継がれる初期位相であり、同図右の出力側に示すPHaおよびPHbは、それぞれ、当該サイクルにおけるA−ch系列処理およびB−ch系列処理にて他系列から引き継がれる初期位相である。
図において、301、303、305は比較部、302、304、306、307はゲート部である。
1サイクル前のB−ch系列処理にて引き継がれる初期位相PH0bにA/Dクロックの周期PH1を加算して求めた位相がリサンプルタイミングを規定する位相PH2以下である(1サイクル前のB−ch系列処理にて補間は起こらない)と比較部301にて判別されると、ゲート302にて“0”側の入力が選択される。この場合、当該サイクルにおいてA−ch系列処理に引き継がれる初期位相PH0aは、PH0a=PH0b+PH1に設定される。
一方、1サイクル前のB−ch系列処理にて引き継がれる初期位相PH0bにPH1を加算して求めた位相がPH2よりも大きい(1サイクル前のB−ch系列処理にて補間が起こる)と比較部301にて判別されると、ゲート302にて“1”側の入力が選択される。この場合、当該サイクルにおいてA−ch系列処理に引き継がれる初期位相PH0aは、PH0a=PH0b+PH1−PH2に設定される。
1サイクル前のB−ch系列処理にて引き継がれる初期位相PH0bにPH1を加算して求めた位相がPH2以下である(1サイクル前のB−ch系列処理にて補間は起こらない)と比較部301にて判別され、且つ、1サイクル前のB−ch系列処理にて引き継がれる初期位相PH0bにPH1を2回加算して求めた位相が位相PH2以下である(当該サイクルのA−ch系列処理にて補間は起こらない)と比較部303にて判別された場合には、ゲート307とゲート304の両方において“0”側の入力が選択される。この場合、当該サイクルにおいてB−ch系列処理に引き継がれる初期位相PH0bは、PH0b=PH0b+2・PH1に設定される。
1サイクル前のB−ch系列処理にて引き継がれる初期位相PH0bにPH1を加算して求めた位相がPH2以下である(1サイクル前のB−ch系列処理にて補間は起こらない)と比較部301にて判別され、且つ、1サイクル前のB−ch系列処理にて引き継がれる初期位相PH0bにPH1を2回加算して求めた位相が位相PH2よりも大きい(当該サイクルのA−ch系列処理にて補間は起こらない)と比較部303にて判別された場合には、ゲート307にて“0”側の入力が選択され、ゲート304にて“1”側の入力が選択される。この場合、当該サイクルにおいてB−ch系列処理に引き継がれる初期位相PH0bは、PH0b=PH0b+2・PH1−PH2に設定される。
1サイクル前のB−ch系列処理にて引き継がれる初期位相PH0bにPH1を加算して求めた位相がリサンプルタイミングを規定する初期位相PH2よりも大きい(1サイクル前のB−ch系列処理にて補間が起こる)と比較部301にて判別され、且つ、1サイクル前のB−ch系列処理にて引き継がれる初期位相PH0bにPH1を2回加算し、さらに、PH2を減算して求めた位相が位相PH2以下である(当該サイクルのA−ch系列処理にて補間は起こらない)と比較部305にて判別されると、ゲート307にて“1”側の入力が選択され、ゲート306にて“0”側の入力が選択される。この場合、当該サイクルにおいてB−ch系列処理に引き継がれる初期位相PH0bは、PH0b=PH0b+2・PH1−PH2に設定される。
1サイクル前のB−ch系列処理にて引き継がれる初期位相PH0bにPH1を加算して求めた位相がリサンプルタイミングを規定する位相PH2よりも大きい(1サイクル前のB−ch系列処理にて補間が起こる)と比較部301にて判別され、且つ、1サイクル前のB−ch系列処理にて引き継がれる初期位相PH0bにPH1を2回加算し、さらに、PH2を減算して求めた位相が位相PH2よりも大きい(当該サイクルのA−ch系列処理にて補間が起こる)と比較部305にて判別されると、ゲート307とゲート305の両方において“1”側の入力が選択される。この場合、当該サイクルにおいてB−ch系列処理に引き継がれる初期位相PH0bは、PH0b=PH0b+2・PH1−2・PH2に設定される。
図9に、補間処理の流れを示す。
データ補間回路203、204に動作クロックとして1/2クロックが入力されると(S201、S301)、上記図8のロジックに従って、位相コントローラ205にて初期位相PH0aおよびPH0bが決定され、それぞれ、データ補間回路203、204に設定される(S202、S302)。そして、設定された初期位相PH0aおよびPH0bに対しA/Dクロックの周期PH1がそれぞれ加算され(S203、S303)、さらに、この加算値が、リサンプルタイミングを規定する位相PH2とそれぞれ大小比較される(S204、S304)。
かかる比較において、加算値がPH2以下であれば、S201およびS301に戻り、次の動作クロックタイミングまで待機する。一方、加算値がPH2よりも大きければ、加算値からPH2を減算して、リサンプルタイミングに対する位相PH0が取得される(S205、S305)。そして、取得されたPH0をもとに、上記図19を参照して説明した如くして、リサンプルデータが算出され、位相比較器107およびP/S回路206に出力される(S206、S306)。その後、S201およびS301に戻り、次の動作クロックタイミングまで待機する。以下、同様にして、各ステップの処理が行われる。
以上、本実施例によれば、A/Dクロックによってサンプリングされた一連のデジタルデータに対し、時系列上交互に補間処理が施されるよう、2つのデータ補間回路203、204によって、並行して、補間処理が施される。このとき、各補間回路は、A/Dクロックの周期を1/2に低減した共通の動作クロック(1/2クロック)によって、対応するデータに補間処理を施す。
本実施例によれば、このように、共通の動作クロックによって補間処理を並列的に行うことにより、上記図16に示す従来例の場合に比べ、動作クロックの周波数を1/2程度にまで低減させることができる。従って、その後段側に配される位相比較器107、LPF108、デジタルVCO109の動作周波数も同様に低減することができる。よって、LPF108としてIIR型のLPFを用いても、PLL回路の高速化を図ることができる。
上記実施例1では、一方の系列から他方の系列へ引き継がれるべき初期位相PH0a、PH0bの算出処理のみを位相コントローラ205に負担させ、各サンプリングタイミングにおける位相の算出処理と、これに基づくリサンプルデータの生成処理(図19の左上に示す処理)は、データ補間回路203、204側に負担させるようにした。
これに対し、本実施例では、一方の系列から他方の系列への位相の引き継ぎと、各サンプリングタイミングにおける位相の算出処理を、位相コントローラ側に負担させ、データ補間回路側には、リサンプルデータの生成処理のみを負担させるようにしている。
なお、以下では、A−ch系列のサンプリングタイミングにおける位相を“PH0A”として示し、B−ch系列のサンプリングタイミングにおける位相を“PH0B”として示す。
図10に、本実施例に係るディスク再生装置の構成を示す。なお、上記実施例1に係る図1の構成と同一部分には同一符号を付し、説明を省略する。
本実施例では、上記実施例1の構成に比べ、データ補間回路213、データ補間回路214および位相コントローラ215の構成が相違している。
データ補間回路213、214は、位相コントローラ215から供給される位相PH0A、PH0Bと、補間の要否の判別結果をもとに、リサンプルデータの生成処理を行う。すなわち、判別結果が補間要であることを示す場合には、供給された位相PH0A、PH0Bを用いて、図19の左上に示す如くして、リサンプルデータの生成処理を行う。
位相コントローラ215は、1サイクル前の位相PH0Bをもとに、次のサイクルにおける位相PH0A、PH0Bを算出し、データ補間回路213、214に供給する。また、次のサイクルにおける補間の要否を併せて判定し、その判定結果を、データ補間回路213、214に供給する。
以下に、位相コントローラ215における位相PH0A、PH0Bを算出設定方法と、補間要否の判別方法を説明する。
図11は、本サイクルのA−ch系列処理とB−ch系列処理の何れにおいても補間が起こらない場合に、データ補間回路213とデータ補間回路214に設定される位相PH0AおよびPH0Bを示すものである。この場合、データ補間回路213に設定する位相PH0Aとして、1サイクル前のB−ch処理にて設定された位相PH0Bをもとに、位相PH0A=PH0B+PH1が算出される。また、データ補間回路214に設定する位相PH0Bとして、1サイクル前のB−ch処理にて設定された位相PH0Bをもとに、位相PH0B=PH0B+2・PH1が算出される。
なお、図11の場合には、1サイクル前のB−ch処理にて設定された位相PH0BにPH1を加算した値は、リサンプルタイミングを規定する位相PH2以下であるため、本サイクルのA−ch処理では補間不要と判定される。また、1サイクル前のB−ch処理にて設定された位相PH0BにPH1を2回加算した値も、位相PH2以下であるため、本サイクルのB−ch処理でも補間不要と判定される。
図12は、本サイクルのA−ch系列処理では補間は起こらないが、B−ch系列処理では補間が起こる場合に、データ補間回路213とデータ補間回路214に設定される位相PH0AおよびPH0Bを示すものである。この場合、データ補間回路213に設定する位相PH0Aとして、上記図11の場合と同様、位相PH0A=PH0B+PH1が算出される。これに対し、データ補間回路214に設定する位相PH0Bは、1サイクル前のB−ch処理にて設定された位相PH0Bをもとに、位相PH0B=PH0B+2・PH1−PH2として算出される。
なお、図12の場合には、上記図11の場合と同様、本サイクルのA−ch処理では補間不要と判定される。これに対し、B−ch処理については、1サイクル前のB−ch処理にて設定された位相PH0BにPH1を2回加算した値が、位相PH2よりも大きいため、本サイクルのB−ch処理にて補間要と判定される。
図13は、本サイクルのA−ch系列処理にて補間が起こり、B−ch系列処理では補間が起こらない場合に、データ補間回路213とデータ補間回路214に設定される位相PH0AおよびPH0Bを示すものである。この場合、データ補間回路213に設定する位相PH0Aとして、1サイクル前のB−ch処理にて設定された位相PH0Bをもとに、位相PH0A=(PH0B+PH1)−PH2が算出される。また、データ補間回路214に設定する位相PH0Bとして、1サイクル前のB−ch処理にて設定された位相PH0Bをもとに、位相PH0B=(PH0B+2・PH1)−PH2が算出される。
なお、図13の場合には、1サイクル前のB−ch処理にて設定された位相PH0BにPH1を加算した値が、リサンプルタイミングを規定する位相PH2より大きいため、本サイクルのA−ch処理にて補間要と判定される。また、位相PH0A=(PH0B+PH1)−PH2にPH1を加算した値は、位相PH2以下であるため、本サイクルのB−ch処理では補間不要と判定される。
図14は、本サイクルのA−ch系列処理とB−ch系列処理の両方にて補間が起こる場合に、データ補間回路213とデータ補間回路214に設定される位相PH0AおよびPH0Bを示すものである。この場合、データ補間回路213に設定する位相PH0Aとして、上記図13の場合と同様、位相PH0A=(PH0B+PH1)−PH2が算出される。また、データ補間回路214に設定する位相PH0Bとして、1サイクル前のB−ch処理にて設定された位相PH0Bをもとに、位相PH0B=(PH0B+2・PH1)−2・PH2が算出される。
なお、図14の場合には、上記図13の場合と同様、本サイクルのA−ch処理にて補間要と判定される。また、位相PH0A=(PH0B+PH1)−PH2にPH1を加算した値も、位相PH2より大きいため、本サイクルのB−ch処理でも補間要と判定される。
上記図11ないし図14の場合における位相PH0AおよびPH0Bは、上記実施例1で示した図8のロジック回路をそのまま用いて取得することができる。ただし、本実施例では、図8左の入力側に示す初期位相PH0bが1サイクル前のB−ch系列処理にて位相コントローラ215からデータ補間回路214に設定される位相PH0Bに置き換えられる。また、図8右の出力側からはPHaおよびPHbに替えて、それぞれ、本サイクルにおけるA−ch系列処理およびB−ch系列処理にてデータ補間回路213、215に設定される位相PH0A、PH0Bが出力される。比較部301、303、305と、ゲート部302、304、306、307の処理動作は上記実施例1と同じである。
なお、A−ch処理およびB−ch処理における補間の要否は、比較部301、303、305における比較結果をもとに判定される。すなわち、A−ch処理については、比較部301における比較結果がYESの場合に、補間要とされる。また、B−ch処理については、比較部301における比較結果がNOで、且つ、比較部303における比較結果がYESの場合と、比較部301における比較結果がYESで、且つ、比較部305における比較結果がYESの場合に、補間要とされる。
図15に、本実施例における補間処理の流れを示す。
データ補間回路213、214に動作クロックとして1/2クロックが入力されると(S211、S311)、上記ロジックに従って、位相コントローラ215にて位相PH0AおよびPH0Bが算出され、それぞれ、データ補間回路213、214に設定される(S212、S312)。このとき、併せて、位相コントローラ215からデータ補間回路213、214に、補間要否の判定結果が供給される。そして、供給された判定結果から、当該サンプルタイミングにおいて補間を行う必要があるかが判定される(S213、S313)。ここで、補間不要であれば、S211およびS311に戻り、次の動作クロックタイミングまで待機する。一方、補間要であれば、位相コントローラ215から設定された位相PH0A、PH0Bをもとに、上記図19を参照して説明した如くして、リサンプルデータが算出され、位相比較器107およびP/S回路206に出力される(S214、S314)。その後、S211およびS311に戻り、次の動作クロックタイミングまで待機する。以下、同様にして、各ステップの処理が行われる。
以上、本実施例によれば、上記実施例1と同様、共通の動作クロックによって補間処理を並列的に行うことにより、上記図16に示す従来例の場合に比べ、動作クロックの周波数を1/2程度にまで低減させることができる。従って、その後段側に配される位相比較器107、LPF108、デジタルVCO109の動作周波数も同様に低減することができる。よって、LPF108としてIIR型のLPFを用いても、PLL回路の高速化を図ることができる。
また、本実施例によれば、一方の系列から他方の系列への位相の引き継ぎのみならず、各サンプリングタイミングにおける位相の算出処理をも、位相コントローラ215に負担させるようにしたため、データ補間回路213、214の処理負担を軽減させることができる。この場合、位相コントローラ215の処理は、上記実施例1と同様、図8のロジックにて実現できるため、上記実施例1に比べて、位相コントローラ215の負担が大きく増大することもない。よって、本実施例によれば、補間処理時の演算コストを、全体として、軽減させることができる。
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、他に種々の変更が可能なものである。
たとえば、上記実施例1では、1サイクル前のB−ch系列処理にて引き継がれる初期位相PH0bから当該サイクルにおいてA−ch系列処理およびB−ch系列処理に引き継がれる初期位相PH0aおよびPH0bを求めるようにしたが、もとにする初期位相はPH0bに限られるものではなく、たとえば、1サイクル前のA−ch系列処理にて引き継がれる初期位相PH0aをもとに、当該サイクルにおいてA−ch系列処理およびB−ch系列処理に引き継がれる初期位相PH0aおよびPH0bを求めるようにしてもよい。
同様に、上記実施例2では、1サイクル前のB−ch系列処理にて設定される位相PH0Bから当該サイクルにおいてA−ch系列処理およびB−ch系列処理に設定される位相PH0AおよびPH0Bを求めるようにしたが、1サイクル前のA−ch系列処理にて設定れる位相PH0Aをもとに、当該サイクルにおいてA−ch系列処理およびB−ch系列処理に引き継がれる位相PH0AおよびPH0Bを求めるようにしてもよい。
また、上記実施例1では、1サイクル前のB−ch系列処理にて引き継がれる初期位相PH0bをもとに、次のサイクルにて引き継がれる初期位相PH0aおよびPH0bを求めるようにしたが、たとえば、1サイクル前のB−ch系列処理またはA−ch系列処理にて求められる位相PH0(位相PH2と比較される位相)をもとに、次のサイクルにて引き継がれる初期位相PH0aおよびPH0bを求めるようにしても良い。
さらに、上記実施例1では、2つのデータ補間回路203、204を配する構成を示したが、3つ以上のデータ補間回路を配するよう構成することもできる。たとえば、3つのデータ補間回路を配する場合には、1サイクル前の一の系列処理にて引き継がれる位相をもとに、次のサイクルにて引き継がれる位相が3系列分求められ、各データ補間回路に設定される。この場合、各回路に引き継がれる位相は、上記実施例1と同様、1サイクル前の一の系列処理にて引き継がれる位相にPH1を各系列に応じた回数だけ加算し、これが位相PH2を超えるか否かに応じて、適宜、位相PH2を減算することにより求められる。同様に、実施例2においても、3つ以上のデータ補間回路を配するよう構成することができる。
なお、上記実施例1および実施例2では、並行して同時に行われるA−ch系列処理とB−ch系列処理において、共に、補間が行われ、リサンプルデータが同時に位相比較器107とP/S回路206に出力される場合が起こり得る。この場合、位相比較器107およびP/S回路206は、たとえば、一方のリサンプルデータを採用し、あるいは、両リサンプルデータの平均値をとってこれを採用するようにする。
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
実施例1に係るディスク再生装置の構成を示す図
実施例1に係るデータ補間回路の処理動作を説明する図
実施例1に係る補間処理の具体的内容を説明する図
実施例1に係る位相PH0a、PH0bの設定パターンを示す図
実施例1に係る位相PH0a、PH0bの設定パターンを示す図
実施例1に係る位相PH0a、PH0bの設定パターンを示す図
実施例1に係る位相PH0a、PH0bの設定パターンを示す図
実施例1に係る位相PH0a、PH0bの設定ロジック示す図
実施例1に係る補間処理の流れを示すフローチャート
実施例2に係るディスク再生装置の構成を示す図
実施例2に係る位相PH0a、PH0bの設定パターンを示す図
実施例2に係る位相PH0a、PH0bの設定パターンを示す図
実施例2に係る位相PH0a、PH0bの設定パターンを示す図
実施例2に係る位相PH0a、PH0bの設定パターンを示す図
実施例2に係る補間処理の流れを示すフローチャート
従来例に係るディスク再生装置の構成を示す図
リサンプルタイミングを規定する位相PH2の調整処理を説明する図
従来例に係るデータ補間回路の処理動作を説明する図
従来例に係るデータ補間回路の処理動作を説明する図
従来例に係る補間処理の流れを示すフローチャート
符号の説明
103…A/Dコンバータ
105…イコライザ
106…ビタビデコーダ
107…位相比較器
108…LPF
109…デジタルVCO
201…S/P回路
202…クロック周波数低減回路
203、213…データ補間回路
204、214…データ補間回路
205、215…位相コントローラ
206…P/S回路