JP4401041B2 - 加温状態で流通、販売される飲食品用天然系日持ち向上剤、日持ちが向上した飲食品、及び加温状態で流通、販売される飲食品の日持ち向上方法 - Google Patents

加温状態で流通、販売される飲食品用天然系日持ち向上剤、日持ちが向上した飲食品、及び加温状態で流通、販売される飲食品の日持ち向上方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に、加温状態で流通、販売される食品・缶コーヒー等のホットベンダー用飲料、茶系ペットボトル飲料、加熱処理を行う袋入り食品(レトルト食品)などの飲食品において、細菌胞子が混入又は残存した場合であっても、胞子の発芽増殖を抑制し得、飲食品の劣化を防ぐことができる天然系日持ち向上剤、日持ちが向上した飲食品、及び飲食品の日持ち向上方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
飲食品分野において施される加熱滅菌の処理条件によっては、耐熱性芽胞菌の胞子が死滅することなく残存する場合がある。これらの胞子を完全に死滅させるには、滅菌温度をさらに高くする方法もあるが、この方法では高温により飲食品に悪影響を及ぼしてしまい、風味等の劣化などを招くおそれがある。
【0003】
このため、従来から、耐熱性微生物の胞子発芽を抑制する食品添加物として、ジグリセリンモノエステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルなどの乳化剤が使用されている(特開平7−123958号公報、特開平10−295272号公報等)が、より安全性が高く、消費者に受け入れられやすい、抗菌性を有する天然素材を原料にした天然系日持ち向上剤の開発や使用に強い関心がもたれている。
【0004】
この場合、香辛料抽出物やハーブ抽出物等を用いることが試みられているが、その特有の色や匂い等により、添加対象である飲食品本来の風味を損なうおそれがあり、使用が限定されてしまい、十分満足できるものが提供されていないのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況下、従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明は、加熱処理後も細菌胞子が死滅することなく生存し、流通、販売中に胞子の発芽増殖が生じることにより品質の劣化が問題となる飲食品の日持ちを延長させることができると共に、添加対象である飲食品の風味等に影響が少なく、幅広い飲食品への応用が期待できる天然系日持ち向上剤、日持ちが向上した飲食品、及び飲食品の日持ち向上方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、ユッカ、ムクロジ、マロニエ及びアスパラガスから選ばれる1種又は2種以上のサポニン含有植物から抽出される細菌胞子の発芽増殖抑制物質を有効成分として含む天然系日持ち向上剤が、加熱処理後も死滅することなく残存、又は混入した細菌胞子の発芽増殖が抑制され、高い安全性を有し、かつ流通中に胞子の発芽・増殖が生じることにより品質の劣化が問題となる飲食品の日持ちを延長させることができると共に、添加した飲食品の風味等に影響が少なく、幅広く飲食品へ適用できることを見出し、本発明をなすに至った。
【0007】
即ち、本発明は、下記の加温状態で流通、販売される飲食品用天然系日持ち向上剤、日持ちが向上した飲食品、及び加温状態で流通、販売される飲食品の日持ち向上方法を提供する。
【0008】
請求項1の発明は、耐熱性を有する胞子を形成する細菌の胞子の発芽増殖抑制のための天然系日持ち向上剤であって、
ユッカ抽出物、ムクロジ抽出物、マロニエ抽出物、及びアスパラガス抽出物から選ばれる1種又は2種以上を有効成分として含むことを特徴とする各種ホットベンダー飲料、コーヒー、ココア、紅茶、緑茶、ほうじ茶、ミルクセーキ、スープ、しるこ、ぜんざい及びレトルト食品から選ばれる加温状態で流通、販売される飲食品用天然系日持ち向上剤である。
請求項2の発明は、バチルス属細菌の胞子の発芽増殖抑制のための天然系日持ち向上剤であって、
ユッカ抽出物、ムクロジ抽出物、マロニエ抽出物、及びアスパラガス抽出物から選ばれる1種又は2種以上を有効成分として含む請求項1記載の各種ホットベンダー飲料、コーヒー、ココア、紅茶、緑茶、ほうじ茶、ミルクセーキ、スープ、しるこ、ぜんざい及びレトルト食品から選ばれる加温状態で流通、販売される飲食品用天然系日持ち向上剤である。
請求項3の発明は、ユッカの地上部の50質量%エタノール抽出物、ムクロジの果皮の50質量%エタノール抽出物、マロニエの種子の50質量%エタノール抽出物、及びアスパラガスの地上部の50質量%エタノール抽出物から選ばれる1種又は2種以上を有効成分として含む請求項1乃至2のいずれか1項記載の各種ホットベンダー飲料、コーヒー、ココア、紅茶、緑茶、ほうじ茶、ミルクセーキ、スープ、しるこ、ぜんざい及びレトルト食品から選ばれる加温状態で流通、販売される飲食品用天然系日持ち向上剤である。
請求項4の発明は、更にサイクロデキストリン、分岐サイクロデキストリン、デキストリン、糖類及び糖アルコールから選ばれる1種又は2種以上を配合した請求項1乃至3のいずれか1項記載の各種ホットベンダー飲料、コーヒー、ココア、紅茶、緑茶、ほうじ茶、ミルクセーキ、スープ、しるこ、ぜんざい及びレトルト食品から選ばれる加温状態で流通、販売される飲食品用天然系日持ち向上剤である。
請求項5の発明は、バチルス・スブチルス(Bacillus subtilis)の胞子の発芽増殖抑制のための天然系日持ち向上剤である請求項1乃至4のいずれか1項記載の各種ホットベンダー飲料、コーヒー、ココア、紅茶、緑茶、ほうじ茶、ミルクセーキ、スープ、しるこ、ぜんざい及びレトルト食品から選ばれる加温状態で流通、販売される飲食品用天然系日持ち向上剤である。
請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項記載の飲食品用天然系日持ち向上剤を0.01〜10質量%配合した各種ホットベンダー飲料、コーヒー、ココア、紅茶、緑茶、ほうじ茶、ミルクセーキ、スープ、しるこ、ぜんざい及びレトルト食品から選ばれる加温状態で流通、販売される日持ちが向上した飲食品である。
請求項の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項記載の飲食品用天然系日持ち向上剤を飲食品に対して0.01〜10質量%添加することを特徴とする各種ホットベンダー飲料、コーヒー、ココア、紅茶、緑茶、ほうじ茶、ミルクセーキ、スープ、しるこ、ぜんざい及びレトルト食品から選ばれる加温状態で流通、販売される飲食品の日持ち向上方法である。
【0014】
本発明によれば、ユッカ、ムクロジ、マロニエ及びアスパラガスから選ばれる1種又は2種以上のサポニン含有植物から抽出される天然系日持ち向上剤を飲食品に配合することにより、加熱処理後も残存、又は混入した胞子の発芽増殖が抑制され、高い安全性を有し、かつ流通及び販売段階で胞子の発芽及び増殖が生じることにより品質の劣化が問題となる飲食品の日持ちを延長させることができると共に、添加する飲食品の風味等に影響が少なく、広汎な飲食品、特に加温状態で流通、販売される各種ホットベンダー飲料、コーヒー、ココア、紅茶、緑茶、ほうじ茶、ミルクセーキ、スープ、しるこ、ぜんざい、加熱処理を行う袋入り食品(レトルト食品)などの飲食品に好適なものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について更に詳しく説明する。
本発明の天然系日持ち向上剤は、ユッカ、ムクロジ、マロニエ及びアスパラガスから選ばれる1種又は2種以上のサポニン含有植物から抽出される細菌胞子の発芽増殖抑制物質を有効成分として含むものである。
【0016】
前記ユッカは、主に北米から中南米の乾燥地帯に生育するリュウゼツラン科に属する植物であり、例えば、Yucca araborescens、Yucca schidigera、Yucca brevifoliaの地上部を用いる。
【0017】
前記ムクロジは、落葉高木であるムクロジ科のSapindus mukurossi、Sapindus saponariaの果皮を用いる。
【0018】
前記マロニエは、セイヨウトチノミともいい、トチノキ科のAesculushippocastanumの種子を用いる。
【0019】
前記アスパラガスは、ユリ科のAsparagus officinalisの地上部を用いる。
【0020】
前記サポニン含有植物中の細菌胞子の発芽増殖抑制物質は、水若しくは親水性有機溶媒又はこれらの混合溶媒に各種サポニン含有植物の搾汁液又は乾燥・粉砕物を投入し、室温乃至溶媒の沸点以下の温度で任意の装置を用いて抽出することにより得ることができる。
【0021】
前記抽出溶媒として使用し得る水としては、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等の他、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、滅菌、ろ過、イオン交換、浸透圧の調整、緩衝化等が含まれる。従って、本発明において抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。
【0022】
前記親水性有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜5の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2〜5の多価アルコールなどが挙げられ、これら親水性有機溶媒と水との混合溶媒などを用いることができる。なお、水と親水性有機溶媒との混合系溶媒を使用する場合には、低級アルコールの場合は水10質量部に対して1〜90質量部、低級脂肪族ケトンの場合は水10質量部に対して1〜40質量部、多価アルコールの場合は水10質量部に対して10〜90質量部添加することが好ましい。
【0023】
具体的には、抽出溶媒を満たした処理槽に、前記各種サポニン含有植物の搾汁液又は乾燥・粉砕物を投入し、必要に応じて時々攪拌しながら、30分〜2時間静置して可溶性成分を溶出した後、濾過して固形物を除去し、得られた抽出液から抽出溶媒を溜去し、乾燥することにより抽出物が得られる。抽出溶媒量は通常、抽出原料の5〜15倍量(質量比)であり、抽出条件は、抽出溶媒として水を用いた場合には、通常50〜95℃で1〜4時間程度である。また、抽出溶媒として水とエタノールとの混合溶媒を用いた場合には、通常40〜80℃で30分〜4時間程度である。
【0024】
抽出液から濾過又は遠心分離により固形物を除去した後、溶媒を留去し、必要ならば更に乾燥する。得られる抽出液及びその乾燥物は胞子の発芽増殖抑制作用を示し、そのままでも本発明の天然系日持ち向上剤として用いることができる。
【0025】
なお、得られる抽出液は、該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、該抽出液の乾燥物、又はこれらの粗精製物若しくは精製物を得るために、常法に従って希釈、濃縮、乾燥、精製等の処理を施してもよい。
【0026】
上述のようにして抽出される成分中のいかなる物質が実際に胞子の発芽増殖抑制作用を有するのかは確認されていないが、活性炭で処理した程度では有効成分が除かれることはないので、必要ならば抽出物に脱臭・脱色のための活性炭処理を施してもよい。また、それ以上の精製も、胞子の発芽増殖抑制活性の向上に有効なものであれば、必要に応じて施すことができる。
【0027】
なお、抽出物中のサポニンの濃度は、特に制限されるものではないが、サポニン特有の味を考慮に入れると、サポニン濃度の高い方が使用量を少なくできる観点から好ましい。
【0028】
本発明の天然系日持ち向上剤には、ユッカの地上部、ムクロジの果皮、マロニエの種子、及びアスパラガスの地上部から抽出される胞子の発芽増殖抑制物質の他に、必要に応じて任意の助剤、賦形剤、溶液としての利用に供するための水又は有機溶剤等を適宜含有させることができる。
【0029】
例えば、抽出物に若干の渋み等があり、飲食品に利用する上で障害になる場合は、サイクロデキストリン、分岐サイクロデキストリン、デキストリン、糖類、糖アルコール等を混合して渋みなどを隠蔽することができる。なお、胞子の発芽増殖抑制作用がこれらの添加によって影響されることはない。この場合、サイクロデキストリン、分岐サイクロデキストリン、デキストリン、糖類、糖アルコールの添加量は、特に制限されないが、天然系日持ち向上剤に対し0.01〜50質量%程度である。
【0030】
前記糖アルコールとしては、例えば、エリスリトール、キシリトール、トレハロース、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、パラチニット、ラクチトール、リビトール、還元澱粉糖化物などが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合せて用いることができる。
【0031】
前記糖類としては、例えば、ショ糖、果糖、グルコース、キシロース、ガラクトース等の単糖類、マルトース(麦芽糖)、ラクトース(乳糖)、ラクチュロース、パラチノース等の二糖類、異性化糖などが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合せて用いることができる。
【0032】
本発明の天然系日持ち向上剤が対象とする芽胞細菌は、特に限定されないが、一般的には中温乃至高温域で耐熱性を有する芽胞細菌であるバチルス属又はクロストリジウム属などが好適な対象となる。このような芽胞細菌としては、例えば、バチルス・スブチルス(Bacillus subtilis)、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)、バチルス・リイケンフォーミス(Bacillus licheniformis)、クロストリジウム・パストオイレアウム(Clostridium pasteurianum)、クロストリジム・スポロジーナス(Clostridium sporogenes)等が挙げられる。
【0033】
本発明の対象となる飲食品は、特に限定されるものではないが、例えば、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料等の飲料;アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓;そば、うどん、はるさめ、ぎょうざの皮、しゅうまいの皮、中華麺、即席麺等の麺類;飴、キャンディー、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子、パン等の菓子類;カニ、サケ、アサリ、マグロ、イワシ、エビ、カツオ、サバ、クジラ、カキ、サンマ、イカ、アカガイ、ホタテ、アワビ、ウニ、イクラ、トコブシ等の水産物;かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;加工乳、発酵乳等の乳製品;サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品;ソース、たれ等の調味料;カレー、シチュー、親子丼、お粥、雑炊、中華丼、かつ丼、天丼、うな丼、ハヤシライス、おでん、マーボドーフ、牛丼、ミートソース、玉子スープ、オムライス、餃子、シューマイ、ハンバーグ、ミートボール等のレトルトパウチ食品;種々の形態の健康・栄養補助食品;その他スープ、シチュー、サラダ、惣菜、漬物などが挙げられる。これらの中でも、各種ホットベンダー飲料、コーヒー、ココア、紅茶、緑茶、ほうじ茶、ミルクセーキ、スープ、しるこ、ぜんざい等の加温状態で流通、販売されるものが好ましい。
【0034】
この場合、本発明の天然系日持ち向上剤は、飲食品に対して0.01〜10質量%、特に0.1〜5質量%配合することが好ましい。これにより得られる日持ちが向上した飲食品は、芽胞細菌の胞子の発芽及び増殖を抑制する効果によりそれらの菌に由来する変敗が防止され、風味が良好で、保存性に優れたものとなる。
【0035】
なお、本発明の日持ちが向上した飲食品には、必要に応じて前記本発明の天然系日持ち向上剤以外にも、従来から日持ち向上剤として飲食品に添加して広く使用されているものを添加することができる。
【0036】
このような日持ち向上剤としては、特に制限されないが、例えば、酢酸、リンゴ酸、コハク酸、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、アジピン酸、ソルビン酸等の有機酸類およびその誘導体や塩類;わさび、マンゴスチン、ホップ、孟宗竹、笹等の植物抽出物;リン酸およびその誘導体や塩類;プロタミン等の蛋白質類;キチン、キトサン等の多糖類;ポリリジン等のペプチド類;シスチン、トレオニン、フェニルアラニン等のアミノ酸類;その他、グリシン、グリセリン中鎖脂肪酸エステル、酵素類、ビタミン類、ミネラル類、粉末エタノール、塩化ナトリウム等がある。これらの日持ち向上剤は、1種類のみでなく、必要に応じて2種類以上を混合して使用しても構わない。
【0037】
次に、本発明の飲食品の日持ち向上方法は、前記本発明の天然系日持ち向上剤を飲食品に対して0.01〜10質量%、特に0.1〜5質量%添加するものである。
これにより、特に、加温状態で流通、販売される飲食品において、残存又は混入した胞子の発芽増殖が抑制され、長期間に亘って品質の劣化が効果的に防止できるものである。
【0038】
【実施例】
以下、製造例及び実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に何ら制限されるものではない。
【0039】
〔製造例1〕
粉砕したユッカの地上部、ムクロジの果皮、マロニエの種子、及びアスパラガスの地上部の各乾燥物100gを1000mLの抽出溶媒(50質量%エタノール)に入れ、還流下で2時間加熱して可溶性成分を抽出した。
【0040】
得られた抽出液を減圧下で濃縮乾固して、固形抽出物を得た。得られた固形抽出物の量及びサポニン濃度を表1に示す。
【0041】
【表1】
Figure 0004401041
【0042】
〔実施例1〕
製造例1による各種植物抽出物について、下記の試験法により枯草菌(Bacillus subtilis)の胞子の発芽増殖抑制作用を試験した。
また、比較品として茶抽出物、ニンジン抽出物、ダイズ抽出物、キラヤ抽出物、及び椿抽出物についても同様に試験を行った。結果を表2に示す。
【0043】
<胞子の発芽増殖抑制作用試験>
各試料について、50質量%エタノールを用いて希釈系列を作成した。この試料溶液0.1mLを添加した乾燥ブイヨンを24穴マイクロシャーレに入れ(全量2mL)、枯草菌芽胞液を10個/mLとなるように接種し、30℃で3〜4日間静置培養した。
菌の発育を肉眼で観察し、菌の発育が認められなかった最小濃度を最小発育阻止濃度MIC(ppm)で示した。
【0044】
【表2】
Figure 0004401041
【0045】
表2の結果から、ユッカ、ムクロジ、マロニエ、及びアスパラガスの抽出物は、茶抽出物、ニンジン抽出物、ダイズ抽出物、キラヤ抽出物、及び椿抽出物に比べて低いMIC(ppm)を有し、胞子の発芽増殖抑制作用を備えていることが認められる。
【0046】
以下、製造例1で得られた各サポニン含有植物抽出物を天然系日持ち向上剤として配合した飲食品の例を示す。
【0047】
Figure 0004401041
【0048】
Figure 0004401041
【0049】
Figure 0004401041
【0050】
Figure 0004401041
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ユッカ、ムクロジ、マロニエ及びアスパラガスから選ばれる1種又は2種以上のサポニン含有植物の抽出物中に胞子の発芽増殖を抑制する物質が見出され、この天然系日持ち向上剤を配合した飲食品は、従来の加熱処理後でも、残存又は混入した胞子の発芽増殖が抑制でき、風味等の劣化の防止、日持ちの向上が達成できるものである。
【0052】
従って、本発明によれば、特に加温状態で流通、販売される飲食品において、胞子の発芽増殖による劣化を防ぎ、日持ちを延長させることに極めて有効であり、特に各種ホットベンダー飲料、コーヒー、ココア、紅茶、緑茶、ほうじ茶、ミルクセーキ、スープ、しるこ及びぜんざいから選ばれる加温状態で流通、販売される飲食品に好適なものである。

Claims (7)

  1. 耐熱性を有する胞子を形成する細菌の胞子の発芽増殖抑制のための天然系日持ち向上剤であって、
    ユッカ抽出物、ムクロジ抽出物、マロニエ抽出物、及びアスパラガス抽出物から選ばれる1種又は2種以上を有効成分として含むことを特徴とする各種ホットベンダー飲料、コーヒー、ココア、紅茶、緑茶、ほうじ茶、ミルクセーキ、スープ、しるこ、ぜんざい及びレトルト食品から選ばれる加温状態で流通、販売される飲食品用天然系日持ち向上剤。
  2. バチルス属細菌の胞子の発芽増殖抑制のための天然系日持ち向上剤であって、
    ユッカ抽出物、ムクロジ抽出物、マロニエ抽出物、及びアスパラガス抽出物から選ばれる1種又は2種以上を有効成分として含む請求項1記載の各種ホットベンダー飲料、コーヒー、ココア、紅茶、緑茶、ほうじ茶、ミルクセーキ、スープ、しるこ、ぜんざい及びレトルト食品から選ばれる加温状態で流通、販売される飲食品用天然系日持ち向上剤。
  3. ユッカの地上部の50質量%エタノール抽出物、ムクロジの果皮の50質量%エタノール抽出物、マロニエの種子の50質量%エタノール抽出物、及びアスパラガスの地上部の50質量%エタノール抽出物から選ばれる1種又は2種以上を有効成分として含む請求項1乃至2のいずれか1項記載の各種ホットベンダー飲料、コーヒー、ココア、紅茶、緑茶、ほうじ茶、ミルクセーキ、スープ、しるこ、ぜんざい及びレトルト食品から選ばれる加温状態で流通、販売される飲食品用天然系日持ち向上剤。
  4. 更にサイクロデキストリン、分岐サイクロデキストリン、デキストリン、糖類及び糖アルコールから選ばれる1種又は2種以上を配合した請求項1乃至3のいずれか1項記載の各種ホットベンダー飲料、コーヒー、ココア、紅茶、緑茶、ほうじ茶、ミルクセーキ、スープ、しるこ、ぜんざい及びレトルト食品から選ばれる加温状態で流通、販売される飲食品用天然系日持ち向上剤。
  5. バチルス・スブチルス(Bacillus subtilis)の胞子の発芽増殖抑制のための天然系日持ち向上剤である請求項1乃至4のいずれか1項記載の各種ホットベンダー飲料、コーヒー、ココア、紅茶、緑茶、ほうじ茶、ミルクセーキ、スープ、しるこ、ぜんざい及びレトルト食品から選ばれる加温状態で流通、販売される飲食品用天然系日持ち向上剤。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項記載の飲食品用天然系日持ち向上剤を0.01〜10質量%配合した各種ホットベンダー飲料、コーヒー、ココア、紅茶、緑茶、ほうじ茶、ミルクセーキ、スープ、しるこ、ぜんざい及びレトルト食品から選ばれる加温状態で流通、販売される日持ちが向上した飲食品。
  7. 請求項1乃至5のいずれか1項記載の飲食品用天然系日持ち向上剤を飲食品に対して0.01〜10質量%添加することを特徴とする各種ホットベンダー飲料、コーヒー、ココア、紅茶、緑茶、ほうじ茶、ミルクセーキ、スープ、しるこ、ぜんざい及びレトルト食品から選ばれる加温状態で流通、販売される飲食品の日持ち向上方法。
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