JP4400689B2 - スクリュー圧縮機 - Google Patents

Description

この発明は、例えば、冷媒等のガスを圧縮するスクリュー圧縮機に関する。

従来、スクリュー圧縮機としては、図４の拡大断面図に示すように、ケーシング１０１のシリンダ１１０内に、スクリューロータ１０２が収納され、このスクリューロータ１０２にゲートロータ１０３が噛合され、上記スクリューロータ１０２および上記ゲートロータ１０３の相互の噛合によって形成される圧縮室にて、ガスを圧縮するものがある（特許第３７３１３９９号公報：特許文献１参照）。

つまり、図４のＢ−Ｂ方向矢視図である図５に示すように、上記スクリューロータ１０２の溝部１２１と、上記ゲートロータ１０３の歯部１３１とが、噛合して、上記圧縮室を形成する。そして、上記圧縮室に、上記スクリューロータ１０２の軸１０２ａ方向の一端の吸入側から、低圧のガスを吸入し、この低圧のガスを上記圧縮室にて圧縮してから、この圧縮された高圧のガスを、上記スクリューロータ１０２の軸１０２ａ方向の他端の吐出側から、吐出する。

図５では、上記スクリューロータ１０２の紙面左側を、上記圧縮室へガスを吸入する吸入側とし、上記スクリューロータ１０２の紙面右側を、上記圧縮室からガスを吐出する吐出側とする。

図４と図５に示すように、上記ゲートロータ１０３における上記圧縮室側の一面１３０と反対側の上記ゲートロータ１０３の他面側には、隣り合う上記歯部１３１の間の空間Ｓを塞ぐものは、何もない。
特許第３７３１３９９号公報

しかしながら、上記従来のスクリュー圧縮機では、図５に示すように、上記ゲートロータ１０３の他面側には、上記隣り合う歯部１３１の間の空間Ｓを塞ぐものは、何もないので、上記スクリューロータ１０２の吐出側で、上記圧縮室内のガスが、矢印ｍに示すように、上記ゲートロータ１０３の上記一面１３０から、上記空間Ｓを通って、上記ゲートロータ１０３の上記他面側である上記ゲートロータ１０３を収納する低圧の空間へ、漏れ出す問題があった。

そこで、この発明の課題は、ゲートロータにおける隣接する歯部の間の空間からのガスの漏れを低減して、圧縮性能を向上できるスクリュー圧縮機を提供することにある。

上記課題を解決するため、この発明のスクリュー圧縮機は、
シリンダを有するケーシングと、
このシリンダに嵌合されると共に、複数の螺旋状の溝部を外周面に有する円筒状のスクリューロータと、
このスクリューロータの溝部に噛合して圧縮室を形成する複数の歯部を外周面に有するゲートロータと、
上記ゲートロータにおける上記圧縮室側の一面と反対側の上記ゲートロータの他面側に配置されたシール部と
を備え、
上記シール部は、上記ゲートロータにおける隣り合う上記歯部の間の空間を塞いで、
上記ケーシングは、上記ゲートロータの上記一面に対向するシール面を有し、
上記シール部における上記ゲートロータを挟んで上記シール面に対向する一面の形状は、上記シール面における上記ゲートロータを挟んで上記シール部に対向する部分の形状に、略一致することを特徴としている。

この発明のスクリュー圧縮機によれば、上記ゲートロータの上記他面側に、上記シール部を配置し、上記シール部は、上記隣り合う歯部の間の空間を塞ぐので、上記シール部は、上記圧縮室内のガスが、上記隣り合う歯部の間の空間を通って、上記ゲートロータの上記一面から上記他面側に抜け出ることを、阻止する。また、上記シール部における上記ゲートロータを挟んで上記シール面に対向する一面の形状は、上記シール面における上記ゲートロータを挟んで上記シール部に対向する部分の形状に、略一致するので、上記シール部の形状を上記シール面の形状に合わせることで、ガスの漏れを効率よく防止できる。

したがって、上記ゲートロータにおける隣接する歯部の間の空間からのガスの漏れを低減して、圧縮性能を向上できる。

また、一実施形態のスクリュー圧縮機では、
シリンダを有するケーシングと、
このシリンダに嵌合されると共に、複数の螺旋状の溝部を外周面に有する円筒状のスクリューロータと、
このスクリューロータの溝部に噛合して圧縮室を形成する複数の歯部を外周面に有するゲートロータと、
上記ゲートロータにおける上記圧縮室側の一面と反対側の上記ゲートロータの他面側に配置されたシール部と
を備え、
上記シール部は、上記ゲートロータにおける隣り合う上記歯部の間の空間を塞いで、
上記スクリューロータの軸方向の一端の吸入側から上記圧縮室にガスを吸入する一方、上記スクリューロータの軸方向の他端の吐出側から上記圧縮室のガスを吐出し、
上記シール部は、上記ゲートロータの軸を含むと共に上記スクリューロータの軸に直交する平面よりも、上記スクリューロータの軸方向の吐出側に、設けられている。

この実施形態のスクリュー圧縮機によれば、上記ゲートロータの上記他面側に、上記シール部を配置し、上記シール部は、上記隣り合う歯部の間の空間を塞ぐので、上記シール部は、上記圧縮室内のガスが、上記隣り合う歯部の間の空間を通って、上記ゲートロータの上記一面から上記他面側に抜け出ることを、阻止する。また、上記シール部は、上記ゲートロータの軸を含むと共に上記スクリューロータの軸に直交する平面よりも、上記スクリューロータの軸方向の吐出側に、設けられているので、上記シール部を小さくできて、上記シール部の取り付けスペースを小さくできる。したがって、上記ゲートロータにおける隣接する歯部の間の空間からのガスの漏れを低減して、圧縮性能を向上できる。

また、一実施形態のスクリュー圧縮機では、
上記スクリューロータの軸方向の一端の吸入側から上記圧縮室にガスを吸入する一方、上記スクリューロータの軸方向の他端の吐出側から上記圧縮室のガスを吐出し、
上記シール部は、上記ゲートロータの軸を含むと共に上記スクリューロータの軸に直交する平面よりも、上記スクリューロータの軸方向の吐出側に、設けられている。

この実施形態のスクリュー圧縮機によれば、上記シール部は、上記ゲートロータの軸を含むと共に上記スクリューロータの軸に直交する平面よりも、上記スクリューロータの軸方向の吐出側に、設けられているので、上記シール部を小さくできて、上記シール部の取り付けスペースを小さくできる。

また、一実施形態のスクリュー圧縮機では、上記シール部の材質は、ポリフェニレンサルファイド樹脂である。

この実施形態のスクリュー圧縮機によれば、上記シール部の材質は、ポリフェニレンサルファイド樹脂であるので、上記シール部が、万一、上記スクリューロータや上記ゲートロータシャフトと接触しても、上記シール部が削れることで、機械的な損傷を低減することができる。

この発明のスクリュー圧縮機によれば、上記ゲートロータの上記他面側に、上記シール部を配置し、上記シール部は、上記隣り合う歯部の間の空間を塞ぐので、上記ゲートロータにおける隣接する歯部の間の空間からのガスの漏れを低減して、圧縮性能を向上できる。

以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。

図１は、この発明のスクリュー圧縮機の一実施形態である横断面図を示している。このスクリュー圧縮機は、シングルスクリュー圧縮機であり、シリンダ１０を有するケーシング１と、このシリンダ１０に嵌合される円筒状のスクリューロータ２と、このスクリューロータ２に噛合するゲートロータ３とを備える。

上記スクリューロータ２は、この外周面に、複数の螺旋状の溝部２１を有する。上記ゲートロータ３は、円盤状であり、この外周面に、歯車状に複数の歯部３１を有する。上記スクリューロータ２の上記溝部２１と、上記ゲートロータ３の上記歯部３１とは、互いに、噛合する。

上記スクリューロータ２および上記ゲートロータ３の相互の噛合によって、圧縮室Ｃが、形成される。つまり、この圧縮室Ｃは、上記スクリューロータ２の上記溝部２１と、上記ゲートロータ３の上記歯部３１と、上記ケーシング１の上記シリンダ１０の内面とによって、区画された空間である。

上記ゲートロータ３は、上記スクリューロータ２の軸２ａを点対称として、上記スクリューロータ２の左右に一対配置されている。上記ケーシング１には、上記シリンダ１０に貫通する貫通孔１２が設けられ、上記ゲートロータ３は、この貫通孔１２から、上記シリンダ１０内に進入している。

上記スクリューロータ２は、上記軸２ａを中心として、矢印Ｒ方向に、回転し、このスクリューロータ２の回転に伴って、上記ゲートロータ３が、回転して、上記圧縮室Ｃ内のガスを圧縮する。上記スクリューロータ２は、上記ケーシング１に収納された（図示しない）モータにより、回転される。

つまり、上記圧縮室Ｃに、上記スクリューロータ２の軸２ａ方向の一端の吸入側から、低圧のガスを吸入し、この低圧のガスを上記圧縮室Ｃにて圧縮してから、この圧縮された高圧のガスを、上記スクリューロータ２の軸２ａ方向の他端の吐出側にある吐出口１３から、吐出する。

図２の拡大断面図、および、図２のＡ−Ａ方向矢視図である図３に示すように、上記ゲートロータ３における上記圧縮室Ｃ側の一面３０に、上記ケーシング１のシール面１１が、対向している。

図３では、上記スクリューロータ２の紙面左側を、上記圧縮室Ｃへガスを吸入する吸入側とし、上記スクリューロータ２の紙面右側を、上記圧縮室Ｃからガスを吐出する吐出側とする。

上記ケーシング１の上記シール面１１は、上記シリンダ１０の内面に、連接される面である。上記ケーシング１の上記シール面１１は、上記スクリューロータ２の軸２ａに平行な方向に延在している。

上記ゲートロータ３の上記一面３０は、上記圧縮室Ｃの内面の一部を形成している。上記ケーシング１の上記シール面１１と上記ゲートロータ３の上記一面３０との間には、例えば６０μｍ程度の隙間がある。

上記ケーシング１の上記シール面１１の幅に関して、上記スクリューロータ２のガスの吐出側の幅は、上記スクリューロータ２のガスの吸入側の幅よりも、大きい。なお、上記シール面１１の幅に関して、上記スクリューロータ２のガスの吐出側の幅は、上記スクリューロータ２のガスの吸入側の幅と同じであってもよい。

上記ゲートロータ３は、ゲートロータシャフト４に取り付けられている。このゲートロータシャフト４は、台部４１と、この台部４１に取り付けられたシャフト部４２とを有する。上記ゲートロータ３における一面３０と反対側の他面３２は、上記台部４１に取り付けられている。

上記台部４１の形状は、上記ゲートロータ３の形状に対応している。すなわち、上記台部４１の歯部は、上記ゲートロータ３の歯部３１に対応した形状を有し、隣り合う上記歯部３１の間の空間Ｓに対応した形状を有する。上記シャフト部４２は、上記ケーシング１に、支持されている。

上記ゲートロータ３の他面３２側には、シール部５が配置されている。つまり、上記シール部５は、上記ゲートロータ３および上記台部４１を挟んで、上記シール面１１と反対側にある。上記シール部５は、隣り合う上記歯部３１の間の空間Ｓを塞ぐ。

上記シール部５は、板状の部材であり、上記ケーシング１に取り付けられている。上記シール部５は、上記台部４１から僅かに離隔している。上記シール部５の材質は、例えば、ポリフェニレンサルファイド樹脂である。

上記シール部５の一面５０は、上記ゲートロータ３を挟んで上記シール面１１に対向し、この一面５０の形状は、上記シール面１１における上記ゲートロータ３を挟んで上記シール部５に対向する部分の形状に、略一致する。つまり、上記シール部５の一面５０の幅に関して、上記スクリューロータ２のガスの吐出側の幅は、上記スクリューロータ２のガスの吸入側の幅よりも、大きい。なお、上記シール部５の一面５０の幅に関して、上記スクリューロータ２のガスの吐出側の幅は、上記スクリューロータ２のガスの吸入側の幅と同じであってもよい。

上記シール部５は、上記ゲートロータ３の軸３ａを含むと共に上記スクリューロータ２の軸２ａに直交する平面Ｐよりも、上記スクリューロータ２の軸２ａ方向の吐出側に、設けられている。

上記構成のスクリュー圧縮機によれば、上記ゲートロータ３の上記他面３２側に、上記シール部５を配置し、上記シール部５は、上記隣り合う歯部３１の間の空間Ｓを塞ぐので、上記シール部５は、上記圧縮室Ｃ内のガスが、上記隣り合う歯部３１の間の空間Ｓを通って、上記ゲートロータ３の上記一面３０から上記他面３２側に抜け出ることを、阻止する。つまり、上記圧縮室Ｃ内のガスが、上記隣り合う歯部３１の間の空間Ｓを通って、上記ゲートロータ３を収納する低圧の空間Ｓへ、漏れ出ることを防止できる。

したがって、上記ゲートロータ３の隣接する歯部３１の間の空間Ｓからのガスの漏れを低減して、圧縮性能を向上できる。

また、上記シール部５における上記ゲートロータ３を挟んで上記シール面１１に対向する一面５０の形状は、上記シール面１１における上記ゲートロータ３を挟んで上記シール部５に対向する部分の形状に、略一致する形状とすれば、上記空間Ｓを塞ぐことができて、ガスの漏れを効率よく防止することができる。

また、上記シール部５は、上記ゲートロータ３の軸３ａを含むと共に上記スクリューロータ２の軸２ａに直交する平面Ｐよりも、上記スクリューロータ２の軸２ａ方向の吐出側に、設けられているので、上記シール部５を小さくできて、上記シール部５の取り付けスペースを小さくできる。

つまり、上記圧縮室Ｃ内のガスの圧力は、上記スクリューロータ２の吐出側で、高くなり、上記空間Ｓを通るガス漏れの大部分は、上記スクリューロータ２の吐出側（高圧の圧縮室Ｃ）からの漏れであり、上記スクリューロータ２の吸入側（低圧の圧縮室Ｃ）からの漏れは、小さい。このため、上記シール部５は、上記スクリューロータ２の吐出側（高圧の圧縮室Ｃ）のみに設けてもよい。

また、上記シール部５の材質は、ポリフェニレンサルファイド樹脂であるので、上記シール部５が、万一、上記スクリューロータ２や上記ゲートロータシャフト４と接触しても、上記シール部５が削れることで、機械的な損傷を低減することができる。

なお、この発明は上述の実施形態に限定されない。例えば、上記シール部５の一面５０の形状を、上記シール面１１の形状と異なるようにしてもよい。上記シール部５を、上記平面Ｐよりも、上記スクリューロータ２の軸２ａ方向の吸入側にも、設けてもよい。上記シール部５を、上記ケーシング１の一部としてもよい。また、上記シール部５の材質は、ポリフェニレンサルファイド樹脂以外であってもよい。また、上記ゲートロータ３の数量を、増減してもよい。

また、図６と図７に示すように、シール部５Ａを断面Ｌ字状に形成し、このシール部５Ａを、ケーシング１Ａの貫通孔１２の近傍に、ボルトにて、取り付けるようにしてもよい。なお、図６と図７において、図１と図２中の符号と同じ符号の部材は、図１と図２の部材と同じ構成である。

本発明のスクリュー圧縮機の一実施形態を示す横断面図である。 スクリュー圧縮機の拡大断面図である。 図２のＡ−Ａ方向矢視図である。 従来のスクリュー圧縮機の拡大断面図である。 図４のＢ−Ｂ方向矢視図である。 本発明のスクリュー圧縮機の他の実施形態を示す横断面図である。 図６の拡大断面図である。

符号の説明

１，１Ａ ケーシング
１０ シリンダ
１１ シール面
１２ 貫通孔
１３ 吐出口
２ スクリューロータ
２ａ 軸
２１ 溝部
３ ゲートロータ
３ａ 軸
３０ 一面
３１ 歯部
３２ 他面
４ ゲートロータシャフト
４１ 台部
４２ シャフト部
５，５Ａ シール部
５０ 一面
Ｃ 圧縮室
Ｓ 隣り合う歯部の間の空間
Ｐ 平面

Claims (4)

1. シリンダ（１０）を有するケーシング（１）と、
   このシリンダ（１０）に嵌合されると共に、複数の螺旋状の溝部（２１）を外周面に有する円筒状のスクリューロータ（２）と、
   このスクリューロータ（２）の溝部（２１）に噛合して圧縮室（Ｃ）を形成する複数の歯部（３１）を外周面に有するゲートロータ（３）と、
   上記ゲートロータ（３）における上記圧縮室（Ｃ）側の一面（３０）と反対側の上記ゲートロータ（３）の他面（３２）側に配置されたシール部（５）と
   を備え、
   上記シール部（５）は、上記ゲートロータ（３）における隣り合う上記歯部（３１）の間の空間（Ｓ）を塞いで、
   上記ケーシング（１）は、上記ゲートロータ（３）の上記一面（３０）に対向するシール面（１１）を有し、
   上記シール部（５）における上記ゲートロータ（３）を挟んで上記シール面（１１）に対向する一面（５０）の形状は、上記シール面（１１）における上記ゲートロータ（３）を挟んで上記シール部（５）に対向する部分の形状に、略一致することを特徴とするスクリュー圧縮機。
2. シリンダ（１０）を有するケーシング（１）と、
   このシリンダ（１０）に嵌合されると共に、複数の螺旋状の溝部（２１）を外周面に有する円筒状のスクリューロータ（２）と、
   このスクリューロータ（２）の溝部（２１）に噛合して圧縮室（Ｃ）を形成する複数の歯部（３１）を外周面に有するゲートロータ（３）と、
   上記ゲートロータ（３）における上記圧縮室（Ｃ）側の一面（３０）と反対側の上記ゲートロータ（３）の他面（３２）側に配置されたシール部（５）と
   を備え、
   上記シール部（５）は、上記ゲートロータ（３）における隣り合う上記歯部（３１）の間の空間（Ｓ）を塞いで、
   上記スクリューロータ（２）の軸（２ａ）方向の一端の吸入側から上記圧縮室（Ｃ）にガスを吸入する一方、上記スクリューロータ（２）の軸（２ａ）方向の他端の吐出側から上記圧縮室（Ｃ）のガスを吐出し、
   上記シール部（５）は、上記ゲートロータ（３）の軸（３ａ）を含むと共に上記スクリューロータ（２）の軸（２ａ）に直交する平面（Ｐ）よりも、上記スクリューロータ（２）の軸（２ａ）方向の吐出側に、設けられていることを特徴とするスクリュー圧縮機。
3. 請求項１に記載のスクリュー圧縮機において、
   上記スクリューロータ（２）の軸（２ａ）方向の一端の吸入側から上記圧縮室（Ｃ）にガスを吸入する一方、上記スクリューロータ（２）の軸（２ａ）方向の他端の吐出側から上記圧縮室（Ｃ）のガスを吐出し、
   上記シール部（５）は、上記ゲートロータ（３）の軸（３ａ）を含むと共に上記スクリューロータ（２）の軸（２ａ）に直交する平面（Ｐ）よりも、上記スクリューロータ（２）の軸（２ａ）方向の吐出側に、設けられていることを特徴とするスクリュー圧縮機。
4. 請求項１から３の何れか一つに記載のスクリュー圧縮機において、
   上記シール部（５）の材質は、ポリフェニレンサルファイド樹脂であることを特徴とするスクリュー圧縮機。

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