JP2011236823A - スクリュー圧縮機 - Google Patents

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Abstract

【課題】ガス洩れ抑制効果の高いスクリュー圧縮機を提供する。
【解決手段】スクリューローター2と軸受ホルダ6とを径方向で対向させたラジアルシール部Cと、スクリューローター2と軸受ホルダ6とを軸方向で対向させたスラストシール部Dとを有し、ラジアルシール部Cにおいてスクリューローター2の高圧側軸端部4の外周面に、スクリューローター2の回転に伴って低圧側から外周部高圧域方向にポンプ作用を発生するねじシール10を設け、スラストシール部Dの相対する面の一方に、冷媒ガスが低圧側に洩れるのを抑制する油シールを形成するための表面溝20を設けた。
【選択図】図3

Description

本発明は、例えば冷凍機の冷媒圧縮に用いられるスクリュー圧縮機に関するものである。
スクリュー圧縮機において、スクリューローターのスクリュー溝が開口される吐出流路(外周部高圧域)側の高圧の圧縮ガスが、スクリューローターと軸受ホルダとの間を通って低圧の軸受側に洩れると、圧縮機の性能が低下する。洩れを抑制するためにはスクリューローターと軸受ホルダとの隙間を小さくすることが有効である。しかし、隙間を小さくすると、スクリューローターとケーシングが接触して焼きつく可能性が高くなるため、圧縮機の信頼性が低下する。このため、加工精度を厳しく管理しなければならないという問題があった。
この問題に対し、従来よりラジアルシール部に複数個の円環状溝を設け、洩れ出すガスに膨張と収縮を経させる抵抗をつけることで洩れを抑制するようにしたスクリュー圧縮機がある(例えば、特許文献1参照)。
また、他のスクリュー圧縮機としてラジアルシール部の軸受ホルダ側のラジアル面にらせん状溝を設け、スクリューローターの回転により、ガスが洩れる方向とは逆方向にガスを搬送する力を発生させることで洩れを抑制するようにしたものもある(例えば、特許文献2参照)。
特開平6−1016728号公報(図1、第3頁) 特開2009−275567号公報(図2、要約)
しかし、特許文献1の対策では洩れに抵抗を与えるのみである。また、特許文献2の対策では固定体である軸受ホルダ側にらせん状溝を設けているため、スクリューローターの回転エネルギーが洩れに対して直接与えられておらず、ガス洩れ抑制効果が十分ではないと考えられる。
本発明は、上述のような問題を解決するためになされたものであり、ガス洩れ抑制効果の高いスクリュー圧縮機を得ることを目的とする。
本発明に係るスクリュー圧縮機は、ケーシング内に回転自在に収容されたスクリューローターと、ケーシング内でスクリューローターの高圧側軸端部を囲み、軸受を介して支持する軸受ホルダと、軸受ホルダの開口縁とスクリューローターとの間に設けられてスクリューローターの外周部高圧域に対しこれよりも低圧の軸受ホルダの内部空間を区画するシール部とを備え、シール部は、スクリューローターと軸受ホルダとを径方向で対向させたラジアルシール部と、スクリューローターと軸受ホルダとを軸方向で対向させたスラストシール部とを有し、ラジアルシール部においてスクリューローターの高圧側軸端部の外周面に、スクリューローターの回転に伴って低圧側から外周部高圧域方向にポンプ作用を発生するねじシールを設け、スラストシール部の相対する面の一方に、冷媒ガスが低圧側に洩れるのを抑制する油シールを形成するための表面溝を設けたものである。
本発明によれば、回転体であるスクリューローターの高圧側軸端部の外周面にねじシールを設けたので、ねじシールを軸受ホルダ側に設ける場合に比べて、洩れ方向とは逆向きの力をより強く冷媒ガスに対して与えることができる。また、スラストシール部の相対する面の一方に、冷媒ガスが低圧側に洩れるのを抑制する油シールを形成するための表面溝を設けたので、ねじシールにより押し上げられた油がスラストシール部の表面溝に溜まり、この油シール効果によりガス洩れを抑制することができる。
本発明の一実施の形態に係るスクリュー圧縮機の断面図である。 図1のA部分を拡大した断面図である。 図2のシール部Bを拡大した断面図(断面V字形)である。 図2のシール部Bの他の構成例を示す拡大断面図(断面矩形)である。 図2のシール部Bの他の構成例を示す拡大断面図(断面傾斜矩形)である。 図2のシール部Bの他の構成例を示す拡大断面図(らせん状溝)である。
図1は、本発明の一実施の形態に係るスクリュー圧縮機の断面図である。図1において、太い矢印はガスの流れを示しており、細い矢印は油の流れを示している。図2は、図1のA部分を拡大した断面図である。図3は、図2のシール部Bを拡大した断面図である。
スクリュー圧縮機は、ケーシング1と、ケーシング1内に回転可能に配置されたスクリューローター2と、スクリューローター2を回転させる電動機3と、スクリューローター2の一端側(高圧側)の軸端部4を軸受5を介して支持する軸受ホルダ6とを備えている。
スクリューローター2は、外周面に複数条のスクリュー溝7を有し、これらスクリュー溝7には、スクリューローター2の両側に軸直角に配置された2本のゲートローター(図示せず)の歯が嵌合している。ゲートローターは、スクリューローター2の回転に伴って回転し、スクリューローター2のスクリュー溝7とゲートローターとケーシング1とによって囲まれた閉空間により形成される圧縮室内の流体(例えば、冷媒ガス)を圧縮する。
また、スクリューローター2と軸受ホルダ6の開口縁との間にシール部Bが設けられている。シール部Bは、スクリューローター2の外周部高圧域に対しこれよりも低圧の軸受ホルダ6の内部空間を区画するための部分であって、ラジアルシール部Cとスラストシール部Dとからなり、断面段付状の環状に形成されている。ラジアルシール部Cは、スクリューローター2と軸受ホルダ6とにおいて径方向で対向する部分である。また、スラストシール部Dは、スクリューローター2と軸受ホルダ6とにおいて軸方向に対向する部分である。
シール部Bを更に詳述すると、ラジアルシール部Cのスクリューローター2側の環状のラジアル面(高圧側軸端部4の外周面)2rに、螺旋状のねじ溝で構成されたねじシール10が設けられている。ねじシール10は、ラジアルシール部C内の冷媒ガスに低圧側(軸受5側)から高圧側(吐出側)に向かうポンプ作用が働くように設けられている。
また、スラストシール部Dの相対する面の一方、ここでは軸受ホルダ6側のスラスト面6tに、冷媒ガスが低圧側に洩れるのを抑制する油シールを形成するための表面溝20が設けられている。表面溝20の具体的な構成については後述するものとし、以下ではまず、スクリュー圧縮機の動作を説明する。
本実施の形態のスクリュー圧縮機において、電動機3の駆動によりスクリューローター2が回転すると、スクリュー溝7内に冷媒ガスが吸引される。スクリュー溝7内に吸引された冷媒ガスは、スクリューローター2の歯面に沿って追随回転するゲートローター(図示せず)によりスクリュー溝7に沿って圧縮され、図2の太矢印11に示すように圧縮機内部の吐出流路13に吐出される。なお、図2において、細矢印12は、ガス流11から低圧の軸受5側にガスが洩れる場合のガス洩れ流を示している。本例では、このガス洩れ流12を抑制することを目的としている。
ここで、本実施の形態1に係るスクリュー圧縮機においては、スクリューローター2の高圧側軸端部4の外周面にねじシール10を設けている。すなわち、回転体であるスクリューローター2にねじシール10を設けている。よって、スクリューローター2が回転すると、ねじシール10の隙間にある冷媒ガスは、スクリューローター2から直接、回転のエネルギーを受け加圧され、ねじシール10のポンプ作用を受けてガス洩れ流12の方向とは逆方向に搬送される。よって、低圧側に洩れようとする冷媒ガスの量を抑制することができる。
ところで、スクリューローター2と軸受ホルダ6との隙間から洩れる冷媒ガスには油も含まれている。このため、スクリューローター2の回転により冷媒ガスに含まれる油も、ねじシール10によるポンプ作用を受け、破線矢印14の方向に押し上げられる。破線矢印14の方向に押し上げられた油は、表面溝20とスラスト面2tとの間に溜まり、スラストシール部Dをシールする。このように表面溝20による油シール効果によりガス洩れをさらに抑制することができ、スクリュー圧縮機の性能を向上することができる。
以下、表面溝20の構成に応じた作用効果について順に説明する。
<表面溝20:環状溝>
以下、表面溝20を複数の独立した同心円状の環状溝で構成した場合について説明する。環状溝で構成する場合は、環状溝の断面形状によって作用効果に違いがある。以下、環状溝の断面形状に応じた作用効果を順に説明する。
1.断面V字形
図3に示したように、表面溝20を、断面V字状の複数の独立した環状溝21とした場合、ガス洩れ流12の流路が拡大、縮小することになる。これにより、ガス洩れ流12に対して抵抗が加わる。また、ガス洩れ流12が環状溝21に衝突することによる抵抗も加わる。これらの抵抗によりガス洩れを低減することができる。また、この形状は加工が容易であるという利点がある。なお、図3には、各環状溝21を隣接させた構成としているが、各環状溝21同士を離間させた構成としてもよい。
2.断面矩形
図4は、図2のシール部Bの他の構成例を示す拡大断面図(断面矩形)である。
図4に示す環状溝22の断面は矩形状としており、この形状の場合、上記V字形の場合と同様、ガス洩れ流12の流路が拡大、縮小することになる。これにより、ガス洩れ流12に対して抵抗が加わるため、ガス洩れ量を低減することができる。また、ガス洩れ流12が環状溝22に衝突することによる抵抗も加わる。この衝突による抵抗は、上記断面V字形の場合よりも大きく、洩れ抑制効果が高い。
3.断面傾斜矩形
図5は、図2のシール部Bの他の構成例を示す拡大断面図(断面傾斜矩形)である。
図5に示す環状溝23の断面は、矩形状の溝を深さ方向に向かうに従い軸側に傾斜させた形状を有している。この形状とした場合も、上記の断面V字形状及び断面矩形の場合と同様、ガス洩れ流12の流路が拡大、縮小することになる。これにより、ガス洩れ流12に対して抵抗が加わる。また、ガス洩れ流12が環状溝23に衝突することによる抵抗も加わる。これらの抵抗によりガス洩れ量を低減することができる。また、環状溝23は軸側に傾斜しているため、スラスト面6tに対して垂直に設けた図4の環状溝22に比べて衝突による抵抗を更に大きくすることができ、洩れ抑制効果もより大きくすることができる。なお、環状溝23の傾斜角度は、ガス洩れ流12を受け止める角度に設定されている。
<表面溝20:らせん状溝>
図6は、図2のシール部Bの他の構成例を示す拡大断面図(らせん状溝)である。以下、表面溝20をらせん状溝24で構成した場合について説明する。
上述したように、スクリューローター2と軸受ホルダ6との隙間から洩れる冷媒ガスには油も含まれているため、スクリューローター2の回転により冷媒ガスに含まれる油も、ねじシール10によるポンプ作用を受け、破線矢印14の方向に押し上げられる。破線矢印14の方向に押し上げられた油は、らせん状溝24とスラスト面2tとの間に溜まり、スラストシール部Dをシールする。また、スクリューローター2の回転により、らせん状溝24は洩れ方向(図3矢印12)と逆方向に冷媒ガス及び油を搬送する力を発揮する。よって、らせん状溝24を設けたことにより、冷媒ガス及び油を押し上げる力が増し、油シール効果とガス洩れ抑制効果が向上する。
以上説明したように、本実施の形態によれば、回転体であるスクリューローター2の高圧側軸端部4の外周面にねじシール10を設けたので、ねじシール10を軸受ホルダ6側に設ける場合に比べて、より強い力を冷媒ガスに対して与えることができる。よって、ガス洩れ抑制効果が高く、スクリュー圧縮機の性能を向上することができ、引いては省エネにも役立つ。
また、スラストシール部Dに表面溝20を設けたので、ラジアルシール部Cのねじシール10により押し上げられた油がスラストシール部Dの表面溝20に溜まり、この油シール効果によりガス洩れを抑制することができる。
また、表面溝20を複数の独立した同心円状の環状溝とした場合、ガス洩れ流12の流路が拡大、縮小することになる。これにより、ガス洩れ流12に対して抵抗が加わる。また、ガス洩れ流12が環状溝21に衝突することによる抵抗も加わる。これらの抵抗によりガス洩れを低減することができる。なお、環状溝の断面形状による作用効果は上述の通りである。
また、表面溝20をらせん状溝24とした場合、環状溝にて構成した場合と同様にガス洩れ流12の流路が拡大、縮小することによる抵抗をガス洩れ流12に与えられることに加え、積極的なポンプ作用が発揮される。これにより、油シール効果とガス洩れ抑制効果を更に向上することができる。したがって、信頼性を落とすことなく、スクリュー圧縮機の性能をより向上することができ、引いては省エネにも役立つ。
なお、本実施の形態では、スラストシール部Dの軸受ホルダ6側のスラスト面6tに表面溝20を設けた例を示したが、スラスト面6tに対向するスクリューローター2側のスラスト面2tに表面溝20を設けた構成としてもよい。
1 ケーシング、2 スクリューローター、2t スラスト面、2r ラジアル面、3 電動機、4 高圧側軸端部、5 軸受、6 軸受ホルダ、6t スラスト面、7 スクリュー溝、10 ねじシール、11 ガス流、12 ガス洩れ流、13 吐出流路、14 破線矢印、20 表面溝、21 環状溝(断面V字形)、22 環状溝(断面矩形)、23 環状溝(断面傾斜矩形)、24 らせん状溝、B シール部、C ラジアルシール部、D スラストシール部。

Claims (6)

  1. ケーシング内に回転自在に収容されたスクリューローターと、
    前記ケーシング内で前記スクリューローターの高圧側軸端部を囲み、軸受を介して支持する軸受ホルダと、
    前記軸受ホルダの開口縁と前記スクリューローターとの間に設けられて前記スクリューローターの外周部高圧域に対しこれよりも低圧の前記軸受ホルダの内部空間を区画するシール部とを備え、
    前記シール部は、
    前記スクリューローターと前記軸受ホルダとを径方向で対向させたラジアルシール部と、
    前記スクリューローターと前記軸受ホルダとを軸方向で対向させたスラストシール部とを有し、
    前記ラジアルシール部において前記スクリューローターの前記高圧側軸端部の外周面に、前記スクリューローターの回転に伴って前記低圧側から前記外周部高圧域方向にポンプ作用を発生するねじシールを設け、
    前記スラストシール部の相対する面の一方に、冷媒ガスが低圧側に洩れるのを抑制する油シールを形成するための表面溝を設けた
    ことを特徴とするスクリュー圧縮機。
  2. 前記表面溝は、複数の独立した同心円状の環状溝であることを特徴とする請求項1記載のスクリュー圧縮機。
  3. 前記環状溝の断面をV字状としたことを特徴とする請求項2記載のスクリュー圧縮機。
  4. 前記環状溝の断面を矩形状としたことを特徴とする請求項2記載のスクリュー圧縮機。
  5. 前記環状溝の断面を、矩形状の溝を深さ方向に向かうに従い軸側に傾斜させた形状としたことを特徴とする請求項2記載のスクリュー圧縮機。
  6. 前記表面溝を、らせん状溝としたことを特徴とする請求項1記載のスクリュー圧縮機。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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