JP4397478B2 - スパウト付きパウチ容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、清涼飲料等の液体飲料や食品等の液体や流動体が充填されるスパウト付きパウチ容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
液体飲料や流動性を有する食品等を収容する容器としては、口部を開閉するためのスクリューキャップを有するものがあり、こういったスクリューキャップ付きの容器に収容された状態で販売される液体飲料や流動性を有する食品についても、容器内に充填した後にレトルト殺菌処理を行わなければならないものがある。
【0003】
ところで、レトルト殺菌処理は容器内を完全に密封した状態で行わなければならないが、スクリューキャップによって容器の口部を単に閉塞しただけでは、十分な密封性を確保することができないので、こういったスクリューキャップ付きの容器では、内容物を充填した後、使用時に剥離することができるように、剥離用の摘み部を有するインナーシールを口部の開口端にヒートシールすることで容器内を密封する方法が一般的に採用されている。
【0004】
また、最近では、上述したような液体飲料等の食品を収容する容器として、図5に示すように、合成樹脂フィルムにアルミホイル等をラミネートした内面が熱接着性のフレキシブルシートを相互にヒートシールすることによって袋状の容器本体50を形成すると共に、この容器本体50に、注口や飲口となる口部を有するスパウト60を取り付け、そのスパウト60の口部をスクリューキャップ70によって開閉するスパウト付きパウチ容器が使用されるようになってきている。
【0005】
こういったスパウト付きパウチ容器を使用する場合においても、レトルト殺菌処理を行わなければならない充填物(内容物)については、容器の密封性を確保するために、内容物を充填した後に、スパウト60の口部をインナーシールによって閉塞しなければならない。しかしながら、スパウト付きパウチ容器の口部は、その口径が比較的小さいので、一般的なスクリューキャップ付きの容器に採用されているようなインナーシール、即ち、口部と略同一形状に形成された閉塞部に剥離用の摘み部が連設されたようなインナーシールを使用せずに、図6(a)〜(c)に示すように、口部より大きい矩形状のインナーシール80を口部61の開口端にヒートシールした状態でスクリューキャップ70を取り付けるようにしている。そして、商品の購入者が、スクリューキャップ70を取り外した状態で、インナーシール80の口部61から外側に張り出した部分81を摘んでインナーシール80を口部61から剥離することでその口部61を開放することができるようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような矩形状のインナーシール80を口部61にヒートシールした場合は、スクリューキャップ70を取り付けると、摘み部となるインナーシール80の張出部分81が複雑に折り重なりながら口部61の外周面側に折り込まれた状態で、口部61とスクリューキャップ70との間に挟み込まれることになる。
【0007】
通常、スパウト60の口部61とスクリューキャップ70との間には、ほとんど隙間が形成されていないので、上述したように、インナーシール80の張出部分81が複雑に折れ重なりながら口部61とスクリューキャップ70との間に挟み込まれると、図7に示すように、剥離用の摘み部となるインナーシール80の張出部分81がスクリューキャップ70の内周面によって口部61の外周面に押圧された状態となり、レトルト殺菌処理を行う際の熱(例えば、121〜125℃)によって、インナーシール80の張出部分81が口部61の外周面に熱接着され、商品の購入者がインナーシール80を剥離する際に、その張出部分81を摘み部として摘むことができなくなるといった問題がある。
【0008】
そこで、この発明の課題は、スパウトの口部とスクリューキャップとの間にインナーシールの摘み部が折り込まれた状態でレトルト殺菌処理を行った場合でも、インナーシールの摘み部が口部の外周面に接着されないようなスパウト付きパウチ容器を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段及びその効果】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、フレキシブルシートによって袋状に形成された容器本体と、注口または飲口となる筒状の口部が突出するように、前記容器本体に取り付けられたスパウトと、前記スパウトの前記口部の開口端に剥離可能にヒートシールされることで前記開口端を閉塞する、前記口部から外側に張り出した剥離用の摘み部を有するインナーシールと、前記スパウトの前記口部に、着脱自在に取り付けられるスクリューキャップとを備え、前記スパウトの前記口部の開口端にヒートシールされた前記インナーシールの前記摘み部は、前記スパウトの前記口部に前記スクリューキャップを取り付けることによって、前記口部の外周面側に折り込まれるようになっているスパウト付きパウチ容器において、前記インナーシールの摘み部の内面に、前記スパウトの前記口部に対して熱接着性のない非接着部を形成したのである。
【0010】
以上のように構成されたスパウト付きパウチ容器は、インナーシールの摘み部の内面にスパウトの口部に対して熱接着性がない非接着部が形成されているので、スクリューキャップを口部に取り付けることにより、口部の外周面側に折り込まれたインナーシールの摘み部がスクリューキャップの内周面によってスパウトの口部の外周面に押圧された状態で、内容物のレトルト殺菌処理を行った場合でも、その熱によって、インナーシールの摘み部が口部の外周面に接着されることがなく、インナーシールを口部から剥離する際、確実に摘み部を摘むことができる。
【0011】
前記インナーシールの摘み部の内面の非接着部は、請求項2に記載のスパウト付きパウチ容器のように、前記摘み部の内面に前記口部に対して熱接着性のない合成樹脂をコーティングしたり、請求項3に記載のスパウト付きパウチ容器のように、前記インナーシールの摘み部の一部を、その摘み部の内面に折り重ねたり、請求項4に記載のスパウト付きパウチ容器のように、前記摘み部の内面にコロナ放電処理または放射線処理を施したりすることによって形成することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。図1に示すように、このスパウト付きパウチ容器1は、ポリエチレンやポリプロピレン等の熱接着性を有する合成樹脂フィルムの外面に、アルミホイル等のガスバリア性シート等を積層したポリエステルフィルム等をラミネートしたフレキシブルシートによって袋状に形成された容器本体10と、この容器本体10に取り付けられる熱接着性樹脂によって形成されたスパウト20と、このスパウト20の口部22を開閉するスクリューキャップ30とから構成されており、容器本体10に内容物が充填されると、図5に示すスパウト付きパウチ容器と同様の形状となる。
【0013】
前記容器本体10は、表裏一対の外装シート11及び両外装シート11の両側部から内側に折り込まれて左右のガセット部を形成する左右一対のガセットシート12から構成されており、折り込まれたガセットシート12の内面の周縁が外装シート11の内面にヒートシールされると共に、外装シート11の内面の上縁部及び下縁部が相互にヒートシールされることで、袋状に形成されている。
【0014】
前記スパウト20は、ポリエチレンやポリプロピレン等により形成され、袋状の容器本体10に融着される固着部21と、この固着部21の上部に連設された注口や飲口となる円筒状の口部22と、固着部21の下部に連設された、容器本体10内に充填された内容物の吸い出しを容易にする筒状または棒状の導出部23とから構成されており、前記導出部23が容器本体10内に挿入された状態で、固着部21の側面が容器本体10の上縁部にヒートシールされている。
【0015】
前記スパウト20には、その口部22の外周面にスクリューキャップ30の内周面に形成された雌ねじ(図示せず)に螺合する雄ねじ24が形成されており、容器本体10に内容物が充填された状態では、その口部22の開口端に、口部22の外径より大きい矩形状のインナーシール40をヒートシールすることで、容器本体10内が密封されるようになっている。
【0016】
前記インナーシール40は、アルミホイル等を積層したポリエステルフィルム等の下面に、口部22に対して易剥離性を有する熱接着性樹脂層を積層したものであり、通常、70〜100μm程度の厚みを有している。このインナーシール40は、図2(a)、(b)に示すように、口部22から外側に張り出した剥離用の摘み部となる張出部分41の内面に、口部22に対して熱接着性のない合成樹脂、例えば、ウレタン、ニトロセルロース等の耐熱性インキをコーティングすることにより非接着部42(同図(a)の斜線で示す部分)が形成されている。
【0017】
この非接着部42は、インナーシール40の中央部に、口部22の開口端より一回り大きいヒートシール領域が確保されるように形成されており、インナーシール40が口部22に対して微妙に位置ずれした場合でも、インナーシール40が口部22の開口端に確実にヒートシールされるようになっている。
【0018】
以上のように構成されたスパウト付きパウチ容器1では、スパウト20の口部22から内容物を充填した後、口部22の開口端にインナーシール40をヒートシールすることで、容器本体10内を密封する。そして、インナーシール40の周囲を口部22の外周面に沿って下方側に折り曲げた後、スパウト20の口部22にスクリューキャップ30を取り付けた状態で、レトルト殺菌処理を行う。
【0019】
インナーシール40の張出部分41の内面には、上述したように、熱接着性のない合成樹脂をコーティングした非接着部42が形成されているので、スパウト20にスクリューキャップ30を取り付けることで、口部22の開口端にヒートシールされたインナーシール40の口部22から外側への張出部分41が複雑に折り重なりながら口部22の外周面側に折り込まれ、その張出部分41がスクリューキャップ30の内周面によって口部22の外周面に強く押圧されていても、レトルト殺菌処理を行う際の熱によって、インナーシール40の張出部分41が口部22の外周面に接着されることがない。
【0020】
従って、このスパウト付きパウチ容器1では、インナーシール40を口部22から剥離する際に、摘み部となるインナーシール40の張出部分41を確実に摘むことができるので、従来のスパウト付きパウチ容器に比べて、インナーシール40を口部22から円滑かつ確実に剥離することが可能となる。
【0021】
このスパウト付きパウチ容器1では、摘み部となる張出部分41の内面に口部22に対して熱接着性のない合成樹脂をコーティングすることにより非接着部42を形成しているが、図3(a)、(b)に示すインナーシール40aのように、摘み部となる張出部分41aの端部をその内面側に折り返して、熱接着性のないインナーシール40aの外面を張出部分41aの内面側に露出させることで非接着部42aを形成したり、図4に示すインナーシール40bのように、張出部分41bの内面にコロナ放電処理または放射線処理を施して熱接着性樹脂層を部分的に変質させることによって非接着部42bを形成することも可能である。
【0022】
特に、張出部分41aの端部を内面側に折り返すことによって非接着部42aを形成したインナーシール40aでは、摘み部となる非接着部42aが形成された張出部分41aが2枚重ねとなり、その厚みが大きくなるので、インナーシール40aを剥離する際、摘み部となる張出部分41aが摘みやすくなるという効果がある。
【0023】
なお、上述した実施形態では、矩形状のインナーシールを使用した場合について説明したが、インナーシールの形状は特に限定されるものではなく、本発明は、一般的なスクリューキャップ付きの容器に使用されているインナーシール、即ち、口部と略同一形状に形成された閉塞部に剥離用の摘み部が連設されたようなインナーシールを使用する場合についても適用することができることはいうまでもない。
【0024】
また、図2(a)、(b)に示すインナーシール40は、剥離作業を円滑にするため、張出部分41のどの部分でも摘むことができるように、その張出部分41の内面の略全面に非接着部42を形成しているが、非接着部42は必ずしも張出部分41の略全面に形成する必要はなく、張出部分41の一部を摘み部として摘める程度に非接着部42を部分的に形成したものであってもよい。
【0025】
また、上述した実施形態におけるインナーシール40、40a、40bは、アルミホイル等を積層したポリエステルフィルム等の下面全面に熱接着性樹脂層を積層した後に、種々の方法によって張出部分41、41a、41bの内面に非接着部42,42a、42bを形成したものであるが、アルミホイル等を積層したポリエステルフィルム等の下面中央部のヒートシール領域にのみ熱接着性樹脂層を積層することで、摘み部となる張出部分の内面に非接着部を形成することも可能である。
【0026】
また、容器本体10は、上述したようなサイドガセット袋に限定されるものではなく、底部が折り込まれたスタンディングパウチや平袋形状のものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかるスパウト付きパウチ容器の一実施形態を示す平面図である。
【図2】(a)は同上のスパウト付きパウチ容器に使用されているインナーシールを示す裏面図、(b)は同上のインナーシールを示す断面図である。
【図3】(a)はインナーシールの変形例を示す平面図、(b)は同上のインナーシールを示す断面図である。
【図4】インナーシールの他の変形例を示す断面図である。
【図5】スパウト付きパウチ容器を示す斜視図である。
【図6】同上のスパウト付きパウチ容器における密封方法を説明するための説明図である。
【図7】同上のスパウト付きパウチ容器におけるスパウトの口部を示す部分拡大断面図である。
【符号の説明】
1 スパウト付きパウチ容器
10 容器本体
20 スパウト
22 口部
30 スクリューキャップ
40、40a、40b インナーシール
41、41a、41b 張出部分(摘み部)
42、42a、42b 非接着部
Claims (4)
- フレキシブルシートによって袋状に形成された容器本体と、
注口または飲口となる筒状の口部が突出するように、前記容器本体に取り付けられたスパウトと、
前記スパウトの前記口部の開口端に剥離可能にヒートシールされることで前記開口端を閉塞する、前記口部から外側に張り出した剥離用の摘み部を有するインナーシールと、
前記スパウトの前記口部に、着脱自在に取り付けられるスクリューキャップと
を備え、
前記スパウトの前記口部の開口端にヒートシールされた前記インナーシールの前記摘み部は、前記スパウトの前記口部に前記スクリューキャップを取り付けることによって、前記口部の外周面側に折り込まれるようになっているスパウト付きパウチ容器において、
前記インナーシールの摘み部の内面に、前記スパウトの前記口部に対して熱接着性のない非接着部を形成したことを特徴とするスパウト付きパウチ容器。 - 前記非接着部は、前記摘み部の内面に前記口部に対して熱接着性のない合成樹脂をコーティングすることによって形成されている請求項1に記載のスパウト付きパウチ容器。
- 前記非接着部は、前記インナーシールの摘み部の一部を、その内面に折り重ねることにより形成されている請求項1に記載のスパウト付きパウチ容器。
- 前記非接着部は、前記摘み部の内面にコロナ放電処理または放射線処理を施すことによって形成されている請求項1に記載のスパウト付きパウチ容器。
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