JP3663084B2 - スパウト付きパウチ容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、清涼飲料等の液体飲料や食品等の液体や流動体が充填されるスパウト付きパウチ容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
液体飲料や流動性を有する食品等を収容する容器としては、口部を開閉するためのスクリューキャップを有するものがあり、こういったスクリューキャップ付きの容器に収容された状態で販売される液体飲料や流動性を有する食品についても、容器内に充填した後にレトルト殺菌処理を行わなければならないものがある。
【0003】
ところで、レトルト殺菌処理は容器内を完全に密封した状態で行わなければならないが、スクリューキャップによって容器の口部を単に閉塞しただけでは、十分な密封性を確保することができないので、こういったスクリューキャップ付きの容器では、内容物を充填した後、使用時に剥離することができるように、剥離用の摘み部を有するインナーシールを口部の開口端にヒートシールすることで容器内を密封する方法が一般的に採用されている。
【0004】
また、最近では、上述したような液体飲料等の食品を収容する容器として、図4に示すように、合成樹脂フィルムにアルミホイル等をラミネートした内面が熱接着性のフレキシブルシートを相互にヒートシールすることによって袋状の容器本体50を形成すると共に、この容器本体50に、注口や飲口となる口部を有するスパウト60を取り付け、そのスパウト60の口部をスクリューキャップ70によって開閉するスパウト付きパウチ容器が使用されるようになってきている。
【0005】
こういったスパウト付きパウチ容器を使用する場合においても、レトルト殺菌処理を行わなければならない充填物(内容物)については、容器の密封性を確保するために、内容物を充填した後に、スパウト60の口部をインナーシールによって閉塞しなければならない。しかしながら、スパウト付きパウチ容器の口部は、その口径が比較的小さいので、一般的なスクリューキャップ付きの容器に採用されているようなインナーシール、即ち、口部と略同一形状に形成された閉塞部に剥離用の摘み部が連設されたようなインナーシールを使用せずに、図5(a)〜(c)に示すように、口部より大きい矩形状のインナーシール80を口部61の開口端にヒートシールした状態でスクリューキャップ70を取り付けるようにしている。そして、商品の購入者が、スクリューキャップ70を取り外した状態で、インナーシール80の口部61から外側に張り出した部分81を摘んでインナーシール80を口部61から剥離することでその口部61を開放することができるようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような矩形状のインナーシール80を口部61にヒートシールした場合は、スクリューキャップ70を取り付けると、摘み部となるインナーシール80の張出部分81が複雑に折り重なりながら口部61の外周面側に折り込まれた状態で、口部61とスクリューキャップ70との間に挟み込まれることになる。
【0007】
通常、スパウト60の口部61とスクリューキャップ70との間には、ほとんど隙間が形成されていないので、上述したように、インナーシール80の張出部分81が複雑に折れ重なりながら口部61とスクリューキャップ70との間に挟み込まれると、図6に示すように、剥離用の摘み部となるインナーシール80の張出部分81がスクリューキャップ70の内周面によって口部61の外周面に押圧された状態となり、レトルト殺菌処理を行う際の熱(例えば、121〜125℃)によって、インナーシール80の張出部分81が口部61の外周面に熱融着され、商品の購入者がインナーシール80を剥離する際に、その張出部分81を摘み部として摘むことができなくなるといった問題がある。
【0008】
そこで、この発明の課題は、スパウトの口部とスクリューキャップとの間にインナーシールの摘み部が折り込まれた状態でレトルト殺菌処理を行った場合でも、インナーシールの摘み部が口部の外周面に融着されないようなスパウト付きパウチ容器を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段及びその効果】
上記の課題を解決するため、この発明は、フレキシブルシートによって袋状に形成された容器本体と、注口または飲口となる筒状の口部が突出するように、前記容器本体に取り付けられたスパウトと、前記スパウトの前記口部の開口端に剥離可能にヒートシールされることで前記開口端を閉塞する、前記口部から外側に張り出した矩形状のインナーシールと、前記スパウトの前記口部の外周面に形成された雄ねじに螺合することで、前記口部に着脱自在に取り付けられるスクリューキャップとを備え、内容物を充填し、前記口部の開口端に前記インナーシールをヒートシールすることで、前記インナーシールによって前記容器本体内を密封した後、前記スクリューキャップを取り付け、その後にレトルト殺菌処理が施されるスパウト付きパウチ容器において、前記スパウトと前記スクリューキャップとの間に、前記インナーシールの厚みの3倍以上の隙間を形成したのである。
【0010】
以上のように、このスパウト付きパウチ容器では、スパウトとスクリューキャップとの間に、インナーシールの厚みの3倍以上の隙間が形成されているので、スクリューキャップを口部に取り付けることによって、複雑に折れ重なった状態で口部とスクリューキャップとの間に折り込まれる、矩形状のインナーシールにおける口部から外側への張出部分がスクリューキャップの内周面によって口部の外周面に強く押圧されることがない。
【0011】
従って、内容物を充填した後にレトルト殺菌処理を行っても、その熱によって、口部とスクリューキャップとの間に折り込まれたインナーシールの張出部分が口部の外周面に強固に融着されることがなく、インナーシールを口部から剥離する際、摘み部となるインナーシールの張出部分を確実に摘むことができる。
【0012】
口部とスクリューキャップとの間の隙間は、請求項2に記載のように、スクリューキャップがねじ込まれるスパウト側の雄ねじのねじ山を高くすることによって形成したり、請求項3に記載のように、スパウトの前記口部における雄ねじより先端側の外径を小さくすることによって形成することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。図1に示すように、このスパウト付きパウチ容器1は、ポリエチレンやポリプロピレン等の熱接着性を有する合成樹脂フィルムの外面に、アルミホイル等のガスバリア性シート等を積層したポリエステルフィルム等をラミネートしたフレキシブルシートによって袋状に形成された容器本体10と、この容器本体10に取り付けられる熱接着性樹脂によって形成されたスパウト20と、このスパウト20の口部22を開閉するスクリューキャップ30とから構成されており、容器本体10に内容物が充填されると、図4に示すスパウト付きパウチ容器と同様の形状となる。
【0014】
前記容器本体10は、表裏一対の外装シート11及び両外装シート11の両側部から内側に折り込まれて左右のガセット部を形成する左右一対のガセットシート12から構成されており、折り込まれたガセットシート12の内面の周縁が外装シート11の内面にヒートシールされると共に、外装シート11の内面の上縁部及び下縁部が相互にヒートシールされることで、袋状に形成されている。
【0015】
前記スパウト20は、ポリエチレンやポリプロピレン等により形成され、袋状の容器本体10に融着される固着部21と、この固着部21の上部に連設された注口や飲口となる円筒状の口部22と、固着部21の下部に連設された、容器本体10内に充填された内容物の吸い出しを容易にする筒状または棒状の導出部23とから構成されており、前記導出部23が容器本体10内に挿入された状態で、固着部21の側面が容器本体10の上縁部にヒートシールされている。
【0016】
前記スパウト20には、その口部22の外周面にスクリューキャップ30の内周面に形成された雌ねじに螺合する雄ねじ24が形成されており、図2に示すように、スパウト20に形成された雄ねじ24のねじ山の高さをスクリューキャップ30に形成された雌ねじ31のねじ山の高さより高くすることで、スクリューキャップ30をスパウト20の口部22に取り付けたときの口部22の外周面とスクリューキャップ30の内周面との間に0.4mm程度の隙間Lが形成されるようになっている。
【0017】
また、容器本体10に内容物が充填された状態では、スパウト20の口部22の開口端に、口部22の外径より大きい矩形状のインナーシール40をヒートシールすることで、容器本体10内が密封されるようになっている。インナーシール40は、アルミホイル等を積層したポリエステルフィルム等の下面に、口部22に対して易剥離性を有する熱接着性樹脂層を積層したものであり、通常、70〜100μm程度の厚みを有している。
【0018】
以上のように構成されたスパウト付きパウチ容器1では、スパウト20の口部22から内容物を充填した後、口部22の開口端にインナーシール40をヒートシールすることで、容器本体10内を密封する。そして、インナーシール40の周囲を口部22の外周面に沿って下方側に折り曲げた後、スパウト20の口部22にスクリューキャップ30を取り付けた状態で、レトルト殺菌処理を行う。
【0019】
スパウト20にスクリューキャップ30を取り付けた状態では、図2に示すように、スパウト20の口部22の外周面とスクリューキャップ30との間にインナーシール40の厚みの4〜6倍程度の隙間L(0.4mm程度)が形成されているので、口部22の開口端にヒートシールされた矩形状のインナーシール40の口部22から外側への張出部分41が複雑に折り重なりながら口部22の外周面側に折り込まれても、その張出部分41がスクリューキャップ30の内周面によって口部22の外周面に強く押圧されることはなく、レトルト殺菌処理を行う際の熱によって、インナーシール40の張出部分41が口部22の外周面に強固に融着されることもない。
【0020】
従って、このスパウト付きパウチ容器1では、インナーシール40を口部22から剥離する際に、摘み部となるインナーシール40の張出部分41を確実に摘むことができるので、従来のスパウト付きパウチ容器に比べて、インナーシール40を口部22から円滑かつ確実に剥離することが可能となる。
【0021】
図3は他の実施形態を示している。このスパウト付きパウチ容器は、上述したスパウト付きパウチ容器1と基本的には同一構成であるので、同一構成要素には同一符号を付してその説明を省略し、異なる部分について説明する。
【0022】
上述したスパウト付きパウチ容器1では、スパウト20の口部22に形成された雄ねじ24のねじ山の高さをスクリューキャップ30の内周面に形成された雌ねじ31のねじ山の高さより高くすることで、口部22の外周面とスクリューキャップ30の内周面との間に所定の隙間Lが形成されるようになっているが、このスパウト付きパウチ容器では、スパウト20aの口部22aに形成された雄ねじ24aのねじ山とスクリューキャップ30の内周面に形成された雌ねじ31のねじ山とは略同一の高さを有しており、口部22aにおける雄ねじ24aより先端側の外径を小さくすることによって、言い換えれば、口部22aにおける雄ねじ24aより先端側の厚みを小さくすることによって、スパウト20aの口部22aの外周面とスクリューキャップ30の内周面との間に0.55mm程度の隙間L’が形成されるようになっている。
【0023】
従って、このスパウト付きパウチ容器も上述したスパウト付きパウチ容器1と同様に、レトルト殺菌処理を行う際の熱によってインナーシール40の口部22aからの張出部分41が口部22aの外周面に強固に融着されることがなく、その張出部分41を摘んでインナーシール40を口部22aから容易に剥離することができる。
【0024】
また、上述した各実施形態では、スパウト20、20aの口部22、22aとスクリューキャップ30との間に適当な隙間L、L’が形成されていることで、インナーシール40を口部22、22aの開口端にヒートシールした後、スクリューキャップ30を取り付ける際に、スクリューキャップ30によってインナーシール40が損傷を受けにくくなるので、インナーシール40による容器の密封性に対する信頼性が向上するといった効果もある。
【0025】
なお、上述した実施形態では、口部22、22aの外周面とスクリューキャップ30の内周面との間の隙間を0.4mmまたは0.55mmに設定しているが、これに限定されるものではない。但し、摘み部となるインナーシール40の張出部分41が複雑に折れ重なりながら口部22、22aとスクリューキャップ30との間に折り込まれるような場合は、口部22、22aの外周面とスクリューキャップ30の内周面との間の隙間を、少なくとも、インナーシール40の厚みの3倍以上、より好ましくは4〜8倍程度に設定しておく必要がある。
【0026】
また、上述した実施形態では、スパウト20の口部22に形成される雄ねじ24のねじ山の高さを高くしたり、口部22aにおける雄ねじ24aより先端側の外径を小さくすることによって所定の隙間L、L’を確保しているが、逆に、スクリューキャップ側に形成される雌ねじのねじ山の高さを高くしたり、スクリューキャップの雌ねじより上部側の内径を大きくすることによって隙間を確保することも可能である。但し、スクリューキャップの成形性を考慮すると、雌ねじのねじ山だけを高くしたり、雌ねじより上部側の内径を大きくすることは困難であるので、上述したように、スパウト側で調整することが適当であるといえる。
【0028】
さらに、容器本体10は、上述したようなサイドガセット袋に限定されるものではなく、底部が折り込まれたスタンディングパウチや平袋形状のものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかるスパウト付きパウチ容器の一実施形態を示す平面図である。
【図2】同上のスパウト付きパウチ容器におけるスパウトの口部を示す部分拡大断面図である。
【図3】他の実施形態であるスパウト付きパウチ容器におけるスパウトの口部を示す部分拡大断面図である。
【図4】スパウト付きパウチ容器を示す斜視図である。
【図5】同上のスパウト付きパウチ容器における密封方法を説明するための説明図である。
【図6】同上のスパウト付きパウチ容器におけるスパウトの口部を示す部分拡大断面図である。
【符号の説明】
1 スパウト付きパウチ容器
10 容器本体
20、20a スパウト
22、22a 口部
24、24a 雄ねじ
30 スクリューキャップ
31 雌ねじ
40 インナーシール
41 張出部分(摘み部)
Claims (3)
- フレキシブルシートによって袋状に形成された容器本体と、
注口または飲口となる筒状の口部が突出するように、前記容器本体に取り付けられたスパウトと、
前記スパウトの前記口部の開口端に剥離可能にヒートシールされることで前記開口端を閉塞する、前記口部から外側に張り出した矩形状のインナーシールと、
前記スパウトの前記口部の外周面に形成された雄ねじに螺合することで、前記口部に着脱自在に取り付けられるスクリューキャップと
を備え、
内容物を充填し、前記口部の開口端に前記インナーシールをヒートシールすることで、前記インナーシールによって前記容器本体内を密封した後、前記スクリューキャップを取り付け、その後にレトルト殺菌処理が施されるスパウト付きパウチ容器において、
前記スパウトと前記スクリューキャップとの間には、前記インナーシールの厚みの3倍以上の隙間が形成されているスパウト付きパウチ容器。 - 前記隙間は、前記スクリューキャップがねじ込まれる前記スパウト側の前記雄ねじのねじ山を高くすることによって形成されている請求項1に記載のスパウト付きパウチ容器。
- 前記隙間は、前記スパウトの前記口部における前記雄ねじより先端側の外径を小さくすることによって形成されている請求項1に記載のスパウト付きパウチ容器。
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