JP4396747B2 - 放電ランプ - Google Patents
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Description
また、一対の電極が垂直方向に対向する姿勢で点灯される高圧水銀ランプにおいては、発光管内の熱対流などの影響を受けることもあって、鉛直方向上方に位置する電極が、アークの熱によって高温になって溶融する場合もある。
蓋部40は、図2に示すように、その基端側の端面に、周方向において2箇所に切欠きが設けられた円弧状の弧状突出部47を有すると共に周方向において孤立した状態の凸部47Cを有し、図13に示すように、陽極14の中心軸に沿って伸び、蓋部40を貫通して密閉空間Cに通じるように形成されたガス導入用流路51を有している。
その一方で、上記の放電ランプによれば、密閉空間C内に封入される伝熱体Mの封入量が少ない場合においては、陽極14の密閉空間C内が、例えば1気圧以下のガス圧となるようバッファガスが封入されることで、伝熱体Mの沸騰を促進させ、これにより沸騰伝達による熱輸送の効率を高いものとすることができる。
すなわち、上記の放電ランプによれば、伝熱体Mの封入量に応じて密閉空間C内のガス圧を最適に調整することにより、伝熱体Mによる熱輸送の効率を高いものとすることができる。
また、上記の放電ランプによれば、伝熱体Mによってガス導入用流路が閉塞されることにより、溶接部Wを形成する工程の後に実行される、密閉空間C内にバッファガスを封入する工程において、バッファガスの導入に支障をきたす、という不具合を生じることがあった。
前記電極は、当該電極の中心軸に沿って前記蓋部の基端部から前記密閉空間に向けて伸びるガス導入用流路と、当該ガス導入用流路に通じると共に当該電極の中心軸に沿って伸びる伝熱体捕捉空間とを有し、
当該伝熱体捕捉空間は、前記ガス導入用流路よりも、当該電極の中心軸に対し直交する方向の幅が大きいことを特徴とする。
しかも、本発明の放電ランプに係る電極は、蓋部の基端部から密閉空間に向けて伸びるガス導入用流路と、ガス導入用流路よりも幅広に形成された伝熱体捕捉空間を有する構成であるので、基体部と蓋部とを溶接することにより溶接部を形成する工程において、ガス導入用流路に向けて飛散するとともにガス導入用流路を伝って電極の基端方向に向けて流出しようとする伝熱体の飛沫が、伝熱体捕捉空間に滞留することにより伝熱体捕捉空間より基端方向に流出することが抑制されるので、蓋部の外方へ流出するおそれがなく、伝熱体捕捉空間より基端方向に位置するガス導入用流路を閉塞するおそれがない。従って、基体部と蓋部との溶接部の強度を高いものとすることができ、しかも、電極の密閉空間内にガスを充填することが阻害される虞がない。これによって、点灯時に溶融した伝熱体の対流が発生して、伝熱体の対流作用を利用して電極全体の温度を均一にすることができるため、電極の先端部が過剰に高温になることを防止することができる。
発光管10は、石英ガラスからなり、略球状の発光管部11の両端にロッド状の封止部12が一体に連続して形成されている。この発光管部11内には、各々金属製の陽極14および陰極16よりなる一対の電極が互いに対向するよう配置されている。陽極14,陰極16の各々から伸びる電極芯棒17が、封止部12において保持されると共に、当該封止部12内において気密に設けられた金属箔(不図示)を介して外部リード棒または外部端子に接続され、これに外部電源が接続される。
発光管部11内には、所定量の水銀、キセノン、アルゴンなどの発光物質や始動用ガスが封入されている。
陽極14は、陰極16と対向する先端部14Aが鉛直方向下方に位置する状態で示されている。陽極14は、基体部20と蓋部40とが嵌合されて溶接されることにより形成された密閉空間Cの内部に伝熱体Mが封入されて構成されている。
この基体部側フランジ部24は、基体部20の基端部に接近した位置に周方向に伸びる環状溝25が形成されており、当該環状溝25が当該基端部側斜面26によって形成されている。そして、基体部側フランジ部24の外径は、基体部20の外径より小さいものとされている。これにより、基体部20と蓋部40の溶接後においても、基体部20の外径より大径となる箇所が形成されることがなく、放電ランプの組み立て時において、基体部20の外径よりも内径の大きいガラス管を使用する必要がない。従って、設計変更の必要もなく、従来の封体を利用できるという利点がある。
具体的に、伝熱体捕捉空間Sは、幅Xが0.6〜3mm、中心軸方向の全長が1〜5mmであり、ガス導入用流路51は、幅が0.3〜1mm、中心軸方向の全長が20〜25mmである。伝熱体捕捉空間Sの幅Xは、ガス導入用流路51の幅Yに対して、X>2Yの範囲とされていることが好ましい。
一方、伝熱体Mは、電極を構成する金属に比較して、点灯時における融点が低い金属からなり、具体的に電極がタングステンにより構成されている場合には、銀、銅、金、インジウム、錫、亜鉛、鉛などが用いられる。
第1に、タングステンからなる円柱状の部材に対して切削加工を施すことにより、上記の構成を有する基体部20および蓋部40を作製する。
第2に、基体部20の内部空間22内に伝熱体Mを充填し、蓋部40の嵌入部42を基体部20の開口21を介して内部空間22に嵌入させて、基体部側平坦面23上に蓋部側平坦面43を当接させた状態とし、互いに隣接する基体部側フランジ部24および蓋部側フランジ部44の外周縁部分をその全周にわたって溶接することで溶接部Wを形成する。
第3に、蓋部40に形成されたガス導入用流路51、伝熱体捕捉空間Sを介して、密閉空間C内に希ガスを封入した後に、蓋部40に形成された凸部47Cを溶融することによってガス導入用流路51を封止する。
以上の図5ないし図7に示される陽極14においては、伝熱体捕捉空間Sの幅およびガス導入用流路51の幅とは、それぞれ、図3および4に示される陽極14と同様の意味を有する。
図8に示す陽極14によれば、伝熱体捕捉空間Sの幅とは、陽極14を中心軸およびガス導入用流路51を含む平面で切断した断面において、開口21の内周面21Aと、内周面21Aに対向する溝部50の壁面50Xとの間の最短距離Xを意味し、ガス導入用流路51の幅とは、当該断面において、陽極14の中心軸に対し直交する方向の幅Yを意味する。
以上の図3ないし図9に示す陽極14は、基体部20の開口21の内周面21Aと嵌入部42の溝部50とにより、伝熱体捕捉空間Sが区画される。
同図に示す陽極14は、基体部20に形成された溝部50と嵌入部42の外周面42Aとにより、伝熱体捕捉空間Sが区画される。ここに、同図に示す陽極14によれば、伝熱体捕捉空間Sの幅とは、陽極14を中心軸およびガス導入用流路51を含む平面で切断した断面において、嵌入部42の外周面42Aと、外周面42Aに対向する溝部50の壁面50Xとの間の最短距離Xを意味し、ガス導入用流路51の幅とは、当該断面において陽極14の中心軸に対し直交する方向の幅Yを意味する。
図11に示す陽極14によれば、蓋部40は、円錐台状の蓋部本体部41と、当該蓋部本体部41の底面の中央から突出するように一体に形成された柱状の嵌入部42とよりなる。この嵌入部42は、蓋部本体部41に連続する円柱状の基端側柱状部421と、基端側柱状部421の先端側に連続して形成された、当該基端側柱状部421よりも外径の小さい円柱状の先端側柱状部422とより構成されている。そして、蓋部40は、当該基端側柱状部421に開口51Aが形成されるよう、蓋部本体部41と基端側柱状部421とを貫通して基体部20の内部空間22に通じるガス導入用流路51を有している。
同図に示す陽極14においては、基体部20の開口21の内周面21Aと先端側柱状部422の外周面422Aと間に介在する円環状の伝熱体捕捉空間Sが形成されている。ここに、同図に示す陽極14によれば、伝熱体捕捉空間Sの幅とは、陽極14を中心軸およびガス導入用流路51を含む平面で切断した断面において、先端側柱状部422Aの外周面422Aと開口21の内周面21Aとの間の最短距離Xを意味し、ガス導入用流路51の幅とは、当該断面において、陽極14の中心軸に対し直交する方向の幅Yを意味する。
ここに、同図に示す陽極14によれば、伝熱体捕捉空間Sの幅とは、陽極14を中心軸およびガス導入用流路51を含む平面で切断した断面において、陽極14の中心軸に対し直交する方向の幅広部510の幅Xを意味し、ガス導入用流路51の幅とは、当該断面において、陽極14の中心軸に対し直交する方向の幅Yを意味する。
11 発光管部
12 封止部
14 陽極
16 陰極
17 電極芯棒
20 基体部
21 開口
22 内部空間
23 基体部側平坦面
24 基体部側フランジ部
25 環状溝
26 基体部側斜面
40 蓋部
41 蓋部本体
42 嵌入部
43 蓋部側平坦面
44 蓋部側フランジ部
46 蓋部側斜面
47 弧状突出部
47C 凸部
48 凹所
49 連結用孔
50 溝部
51 ガス導入用流路
S 伝熱体捕捉空間
C 密閉空間
M 伝熱体
Claims (3)
- 発光管内に当該発光管の管軸方向において対向するよう配置された一対の電極の一方が、基端側に開口を有する有底筒状の金属製の基体部と、この基体部の内部空間内に嵌入される金属製の蓋部とにより形成される密閉空間内に、前記基体部を構成する金属よりも融点が低い金属からなる伝熱体が封入された構成を有する放電ランプにおいて、
前記電極は、当該電極の中心軸に沿って前記蓋部の基端部から前記密閉空間に向けて伸びるガス導入用流路と、当該ガス導入用流路に通じると共に当該電極の中心軸に沿って伸びる伝熱体捕捉空間とを有し、
当該伝熱体捕捉空間は、前記ガス導入用流路よりも、当該電極の中心軸に対し直交する方向の幅が大きいことを特徴とする放電ランプ。 - 前記蓋部には、前記電極の中心軸に向けて陥没する溝部が形成されており、当該溝部と前記基体部の内壁面とにより前記伝熱体捕捉空間が区画されることを特徴とする請求項1に記載の放電ランプ。
- 前記基体部には、前記蓋部に対向する箇所に、前記基体部の径方向における外周面に向けて陥没する溝部が形成されており、当該溝部と前記蓋部の外周面とにより前記伝熱体捕捉空間が区画されることを特徴とする請求項1に記載の放電ランプ。
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