JP2009252468A - 放電ランプ - Google Patents

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Abstract

【課題】 密閉空間12内に伝熱体13が封入された電極における基体部20と蓋部30との溶接部14の溶接強度を高いものとし、所望の輸送効果が達成される高出力の放電ランプを提供すること。
【解決手段】 放電容器1の内部に当該放電容器1の管軸方向において対向するように一対の電極が配置され、前記電極の一方が、基体部20と蓋部30とが溶接されることにより形成された密閉空間12の内部に、基体部20を構成する金属よりも融点が低い金属からなる伝熱体13が封入されて構成される放電ランプにおいて、伝熱体13として封入する金属の大気圧における沸点をT(℃)としたとき、伝熱体13の常温時における封入量M(体積%)が M<0.041T−7.5 の関係を有することを特徴とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、放電ランプに関する。特に、投影露光装置、光化学反応装置などの光源として用いられるショートアーク型放電ランプに関する。
従来から放電ランプとしては種々のものが知られているが、発光管内に水銀が封入された放電ランプは、波長365nmのi線や、波長435nmのg線を放出する発光特性を有することから、例えば半導体ウェハ、液晶基板などの露光処理に用いられる露光装置用の光源として使用されている。このような放電ランプは、露光処理を高い処理効率で実行できるよう、高出力化が強く要求されている。
放電ランプを高出力のものとするためには、通常、定格電力を大きくすることが行われるが、この場合には、通常、定格電流も大きくなる。その結果、特に、直流点灯される放電ランプにおける陽極は、これに衝突する電子の量が多くなるために容易に高い温度となって溶解してしまう、という問題が生じる。
また、一対の電極が垂直方向に対向する姿勢で点灯される放電ランプにおいては、発光管内の熱対流などの影響を受けることも加わり、上方に位置する電極が、アークからの熱によって高温となって溶解に至る場合もある。
そして、電極の先端部分が溶解した場合には、アークが不安定になるばかりでなく、蒸発した電極を構成する物質が発光管の内壁に付着することにより、放電ランプから放射される光量が低下する、という問題が生ずる。
このような問題を解決する手段として、特開2004−265663公報に示す技術が知られている。放電ランプの電極の内部に形成された内部空間内に、電極を構成する金属より融点の低い金属からなる伝熱体を封入した構造を有する電極が示されている。
図1に示すように、放電ランプは、略球状の発光管2と、発光管2の両端に連続して形成された封止管3とからなる放電容器1を備えており、放電容器1の内部に、いずれもタングステンよりなる陽極4および陰極5よりなる一対の電極4、5が互いに対向して配置されている。
陽極4は、図4に示されているように、有底円筒状の基体部20の内部空間内に、蓋部30における円柱状の嵌入部32が嵌入された状態で、基体部側フランジ部23と、蓋部側フランジ部31とが互いに当接され、周方向の全体にわたって溶接されて構成されている。このように構成することにより、陽極4の内部に密閉空間12が形成される。密閉空間12内には、陽極4を構成するタングステンより融点が低い金属からなる伝熱体13が封入されている。
上記のような構成の陽極4を備える放電ランプによれば、点灯時において陽極4の内部に封入された伝熱体13が溶融して液体状となって密閉空間12内で対流することによって、陽極4の鉛直方向下方側に位置する電極先端部11の近傍に蓄積された熱が、陽極4の内部リード6側に向けて高い効率で輸送される。これより、陽極4の先端部が過熱状態になることが防止され、電極先端部11が溶解することがない。
特開2004−265663公報
しかしながら、上記のような構成の陽極4を備える放電ランプにおいては、放電ランプの製造時における基体部20と蓋部30との溶接部14の溶接強度が低く、陽極4の内部空間が密閉されていないという不具合が生じることがあった。溶接強度が低く、陽極4の内部空間が密閉されない場合には、放電ランプの点灯時に伝熱体13が密閉空間12から漏れ出して発光管2の内壁に付着することにより、放電ランプから放射される光量が低下することや、伝熱体13の封入量が減少して目的とする輸送効果が得られなくなるという問題がある。
本発明は、以上のような問題を解決するためになされたものであって、密閉空間内に伝熱体が封入された電極における基体部と蓋部との溶接部の溶接強度を高いものとし、所望の輸送効果が達成される高出力の放電ランプを提供することを目的とする。
本願第1の発明は、放電容器の内部に当該放電容器の管軸方向において対向するように一対の電極が配置され、前記電極の一方が、基体部と蓋部とが溶接されることにより形成された密閉空間の内部に、前記基体部を構成する金属よりも融点が低い金属からなる伝熱体が封入されて構成される放電ランプにおいて、前記伝熱体として封入する金属の大気圧における沸点をT(℃)としたとき、前記伝熱体の常温時における封入量M(体積%)が M<0.041T−7.5 の関係を有することを特徴とする。
また、本願第2の発明は、本願第1の発明において、前記伝熱体の常温時における封入量M(体積%)は90体積%以下であることを特徴とする。
本願第1の発明に係る放電ランプによれば、陽極の密閉空間に伝熱体が封入されていることにより、点灯時に密閉空間において対流が発生するので、電極先端部の近傍に蓄積された熱が効率的に熱輸送される。これにより、電極先端部が過熱状態となることが防止され、陽極が溶融する問題を回避して、所望の輸送効果が達成される高出力の放電ランプを提供することができる。
また、伝熱体の常温時における封入量M(体積%)をM<0.041T−7.5の範囲とすることにより、溶接のために加熱する際に、伝熱体が相当に高温となることを防げる。したがって、溶接時に伝熱体が過熱状態となって飛散することや、気体状態となることを防止し、溶接部に伝熱体が入り込むことがなく、溶接部を高い溶接強度で気密に封止することができる。
本願第2の発明に係る放電ランプによれば、伝熱体の常温時における封入量M(体積%)を90体積%以下とすることによって、溶接の熱により伝熱体が溶融しても、陽極の内部空間から漏れ出すことを防止し、溶接部に溶融した伝熱体が挟まれて、溶接強度が低くなることを抑制する。
以下、本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の放電ランプの一例における構成を示す説明用断面図である。
放電ランプは、例えば石英ガラスなどの光透過性材料よりなり、概略球状の発光管2とその両端に連続して外方に伸びる封止管3とを有する放電容器1を備え、放電容器1の内部には、各々例えばタングステン(W)からなる陽極4および陰極5が放電容器1の管軸方向において対向配置されている。放電ランプは、放電容器1の管軸が地面に対して垂直方向に支持されて点灯される、いわゆる垂直点灯型の放電ランプである。放電容器1の内部空間には、発光物質または始動補助用のガスとしての水銀およびバッファガスがそれぞれ所定の封入量で封入されている。バッファガスとしては、例えばキセノンガスが封入される。水銀の封入量は、例えば1〜70mg/cmの範囲内、例えば22mg/cmとされ、キセノンガスの封入量は例えば0.05〜0.5MPaの範囲内、例えば0.1MPaとされる。
放電容器1内には、陽極4または陰極5が先端に固定された内部リード6が封止管3内をその管軸に沿って伸びるよう配設されている。陽極4が上に、陰極5が下に配置され、すなわち、陽極4は、陰極5と対向する電極先端部11が下方に位置する状態となっている。陽極4および陰極5は、いずれも高融点金属からなるものとされ、具体的には、タングステン(W)、レニウム(Re)、タンタル(Ta)などの融点が約3000℃以上となる金属により構成される。これらの金属の中でも特にタングステン(W)が好ましい。
内部リード6の他端部は、封止管3内に配設された、例えば石英ガラスよりなる略円柱状のガラス部材7に支持されている。また、放電容器1の外部に導出、すなわち封止管3の外端より外方に突出して伸びるよう設けられた外部リード8の一端部がガラス部材7に支持されている。
ガラス部材7の外周面には、互いに周方向に離間して、複数枚例えば6枚の帯状の金属箔9が放電ランプの管軸方向に沿って互いに平行に配設されている。各々の金属箔9の一端が内部リード6に電気的に接続され、他端が外部リード8に電気的に接続される。そして、放電容器1における封止管3とガラス部材7とが金属箔9を介して溶着されて気密シール構造が形成されている。保持用筒体10は、内部リード6が挿通された状態でこれを支持する例えば石英ガラス製の筒状の内部リード支持部材であって、放電容器1における封止管3と溶着されている。
この放電ランプにおいて、図示を省略した点灯電源によって陽極4および陰極5の電極間に高電圧例えば20kVが印加されることにより、電極間で絶縁破壊が生じて、それに続いて放電アークが形成され、例えば波長365nmのi線や波長435nmのg線を含む光が放射される。
図2は、放電ランプの陽極4の説明用断面図である。
陽極4は、基体部20と蓋部30とが嵌合されて溶接されることにより形成された密閉空間12の内部に伝熱体13が気密に封入されて構成されている。陽極4の先端側に基体部20が配置され、陽極4の内部リード6側に蓋部30が配置される。基体部20は、蓋部30に対向する端面に開口21を有し、電極先端部11に底面22を有する有底筒状に形成されている。蓋部30は、円錐台形の蓋部側フランジ部31の中央から突出するように円柱状の嵌入部32が形成されている。
陽極4は、中心軸方向の長さLが30〜130mmであり、径方向の直径Rが20〜50mmとなる範囲に形成される。基体部20は、有底筒状に形成され、胴部25の厚みは4〜10mmであり、底面22の厚みは4〜10mmであり、内部空間が設けられている。電極先端部11にテーパ面が形成され、先細り形状となっている。
基体部20は、開口21に基体部側フランジ部23が形成されている。基体部側フランジ部23は、開口21に形成された径方向に平坦なリング状の基体部側突合せ面23aと、基体部側突合せ面23aの外周縁から基体部20の側面に接続する基体部側斜面23bとを有している。基体部20には、基体部側フランジ部23に連接して縮径部24が形成されているので、基体部側フランジ部23は径方向外方に突出するように設けられているが、基体部側フランジ部23の外径rが基体部20の胴部25の外径Rより小さくなるように形成することができる。
蓋部30は蓋部側フランジ部31と嵌入部32とにより構成される。蓋部側フランジ部31が円錐台形状に形成され、嵌入部32が円柱状に形成されている。蓋部側フランジ部31の外径qが、基体部側フランジ部23の外径rにほぼ一致するように形成されており、嵌入部32の外径Qが、基体部20の内径Sより小さくなるように形成されている。基体部側フランジ部23の基体部20と対向する下面は、径方向に平坦なリング状の蓋部側突合せ面31aとなっている。蓋部側突合せ面31aの外周縁から径方向内側に伸びる蓋部側斜面31bが形成されているので、蓋部側フランジ部31は内部リード6側が縮径した円錐台形状となっている。
基体部20の基体部側突合せ面23aと蓋部30の蓋部側突合せ面31aとが溶着されて、陽極4の内部に密閉空間12が形成される。密閉空間12には、伝熱体13が封入されている。また、密閉空間12における伝熱体13が占める領域以外の空間を、ガス空間15と呼ぶ。
蓋部30には、蓋部側フランジ部31の内部リード側にあたる上端面34から、嵌入部32の電極先端側にあたる下端面35まで貫通する、陽極4の中心軸に沿って伸びるガス導入孔36が形成されている。ガス導入孔36によって、陽極外部と密閉空間12内とを通じる流路が形成されている。ただし、ガス導入孔36の上端面34側の開口は加熱溶融されて封止されている。
また、蓋部30の蓋部側フランジ部31の中央には、上端面34に開口21を有する内部リード用孔33が形成されている。この内部リード用孔33に内部リード6が圧入されて、陽極4と内部リード6とが接続される。
なお、本発明の陽極4の構成は、図2に示す陽極4に限られず、適宜変更可能である。例えば、図4に示す陽極4のように、溶接部14を、側面の外周ではなく、上端面34に用いる場合にも適用できる。
上記の陽極4は下記のような方法によって製造される。
先ず、タングステンからなる円柱状部材に対し切削加工を施すことにより、基体部20および蓋部30を作製する。この基体部20の内部空間内に伝熱体13を充填する。伝熱体13としては、陽極4を構成する金属に比較して低い融点を有する金属が用いられる。例えば、陽極4をタングステン(W)により構成した場合には、銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、インジウム(In)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)などが伝熱体13として用いられ、特に銀(Ag)、銅(Cu)または金(Au)が良好であり、特に好ましくは銀(Ag)である。
次に、基体部20の開口21に蓋部30の嵌入部32を挿入し、基体部側突合せ面23aと蓋部側突合せ面31aとを当接させ、基体部側フランジ部23と蓋部側フランジ部31との重なり部分を外側から加熱して溶接する。基体部側フランジ部23と蓋部側フランジ部31との外周縁部をその全周にわたって溶接し、環状の溶接部14が形成される。溶接方法は、例えば、アーク溶接やレーザ溶接が用いられる。
基体部20と蓋部30からなる陽極4をタングステン(W)により構成した場合には、溶接部14をタングステンの融点である3367℃以上に加熱して溶着させなければならない。基体部側フランジ部23と蓋部側フランジ部31との重なり部分は、外側から加熱されて溶接部14の温度が上昇されるが、溶接部14に蓄積された熱は基体部側フランジ部23から基体部20全体に伝わり、さらには、伝熱体13にも熱伝導される。伝熱体13の沸点は、タングステン(W)の融点より低く、3000℃以下であり、亜鉛(Zn)に至っては906℃である。したがって、基体部20と蓋部30とを溶接する際に、伝熱体13が溶融することや、さらには沸騰して蒸発する恐れがある。
伝熱体13が相当に高温になって溶融した状態になると、液体状の伝熱体13の内部に含まれる気泡が上昇して表面で弾け飛ぶことによって、飛散した伝熱体飛沫が基体部20と蓋部30との溶接部14付近に付着することがある。伝熱体13がさらに高温になって気体状態になると、溶接部14の加熱の際に伝熱体13を構成する金属の発光色が観測される。このような場合には、基体部20と蓋部30との間に伝熱体13が入り込んだ状態で溶接されることになる。伝熱体13の融点は、陽極4を構成する金属の融点より低いため、伝熱体13が入り込んだ状態で溶接された溶接部14には、内部空間と外部空間とが貫通した孔が生じ、気密に封止できない場合があることがわかった。
また、溶融または気化した伝熱体13がガス導入孔36に流入し、その内部に位置したままの状態で溶接工程の終了後に固化することによって、ガス導入孔36を閉塞してしまうこともある。このような場合には、ガス導入孔36を用いて密閉空間12内に希ガスを導入することができなくなる。
したがって、溶接部14を気密に封止し、かつ、ガス導入孔36を閉塞しないためには、溶接のために加熱する際に、伝熱体13が相当に高温となることを防止すればよいと考えられる。基体部20と蓋部30との溶接部14と、伝熱体13が充填されている領域を十分に離せば、溶接のために加熱することによって伝熱体13に伝わる熱量を低減することができ、伝熱体13が過熱状態となることを防止できる。
一方、放電ランプの点灯時に、伝熱体13が溶融して陽極4の密閉空間12の内部において対流が発生することにより、電極先端部11の近傍に蓄積された熱が効率的に熱輸送されることを目的としているので、伝熱体13の封入量は多ければ多いほど好ましい。しかし、上記の通り、基体部20と蓋部30との間に伝熱体13が入り込まない状態で溶接して、密閉封止しなければならない。なお、伝熱体13として封入する金属の沸点が高ければ、ある程度の熱が伝熱体13に伝わっても、伝熱体13が飛散することや気化することが抑制される。
したがって、伝熱体13として封入する金属の沸点に応じて伝熱体13の封入量を調整して、溶接する際に伝熱体13が過熱状態となることを防止する。具体的には、伝熱体13として封入する金属の大気圧における沸点をT(℃)としたとき、密閉空間12の体積に対して、伝熱体13の常温時における封入量M(体積%)は以下の範囲であることを要する。
M<0.041T−7.5
ただし、伝熱体13の常温時における封入量M(体積%)とは、陽極4の全体積から、基体部20の体積と蓋部30の体積とを除いた密閉空間12の体積に対する、伝熱体13の占める体積を、割合(体積%)で示したものである。
また、伝熱体13として封入する金属の大気圧における沸点T(℃)は、例えば、伝熱体13を銅(Cu)により構成したときは2580℃となり、伝熱体13を錫(Sn)により構成したときは2270℃となり、伝熱体13を銀(Ag)により構成したときは2184℃となり、伝熱体13をインジウム(In)により構成したときは2000℃となり、伝熱体13を亜鉛(Zn)により構成したときは906℃となる。
伝熱体13として混合物を用いた場合には、溶媒中に溶質が溶かし込まれることによって沸点上昇し、伝熱体13の大気圧における沸点T(℃)が上がる。希薄溶体の大気圧における沸点T(℃)は、溶質の材料に関係なく与えられ、寺尾光身監訳「材料の物理化学」丸善などの記載を参考にして求められる。例えば、亜鉛(Zn)の溶媒中に銅(Cu)を溶質として20mol%添加された亜鉛(Zn)と銅(Cu)の混合物の大気圧における沸点T(℃)は、929℃と導出され、亜鉛(Zn)の大気圧における沸点T(℃)の906℃に比べて、沸点が23℃上がる。
また、伝熱体13の常温時における封入量M(体積%)は、90体積%以下であることも必要である。陽極4の基体部20と蓋部30とを溶接するために加熱すると、溶接部14だけでなく、密閉空間12の内部に封入される伝熱体13にも熱が伝わる。伝熱体13は全体の平均温度はそれほど高くならないが、溶接部14の近傍の温度は高くなる。したがって、基体部20と蓋部30との溶接加熱時に、伝熱体13が溶融して熱膨張することがある。
伝熱体13の封入量M(体積%)が大きいときには、溶接部14のすぐ傍まで伝熱体13が占めるので、溶接の熱が伝熱体13に伝わりやすく、また、伝熱体13がわずかに熱膨張しただけでも、密閉空間12内に収まらず、溶融した伝熱体13がこぼれ落ちてしまう。溶接部14となる基体部側フランジ部23と蓋部側フランジ部31との間に、溶融した伝熱体13が挟まれることになり、陽極4の内部空間が密閉することができない。したがって、伝熱体13として封入する金属の大気圧における沸点T(℃)が十分に高くても、伝熱体13の封入量Mを100体積%とすることはできない。溶接の熱による伝熱体13が溶融して漏れ出すことのないようにするために、伝熱体13の常温時における封入量M(体積%)は90体積%以下にしなければならない。
溶着工程が完了し、基体部20と蓋部30が溶着されて密閉空間12が形成された陽極4には、蓋部30に形成されたガス導入孔36を介して密閉空間12内に希ガスを導入して、ガス空間15が所定の圧力となるようにされる。陽極4の密閉空間12の内容積に対して伝熱体13が50%以上封入されている場合には、ガス空間15に希ガスが1気圧以上封入され、これにより、伝熱体13と密閉空間12の内表面との界面において気泡の発生が防止される。また、密閉空間12の内容積に対して伝熱体13の封入量が少ない場合には、ガス空間15を大気圧よりも低い圧力状態とすることにより、伝熱体13の沸騰を促進させ、沸騰伝達による熱輸送効果が向上された状態とされている。そして、希ガスの封入完了後、ガス導入孔36の開口を加熱溶融させて封止し、蓋部30に形成された内部リード用孔33内に内部リード6の一端部が押圧手段によって圧入される。
以上のような構成の放電ランプによれば、陽極4がその密閉空間12内に熱輸送体である伝熱体13が封入されていることにより、電極先端部11の過熱を防止することができる。放電ランプの点灯時に、伝熱体13が溶融して陽極4の密閉空間12の内部において対流が発生することにより、電極先端部11の熱が蓋部30側に輸送されるので、電極先端部11の近傍に蓄積された熱が効率的に熱輸送される。これにより、電極先端部11が過熱状態となることが防止され、陽極4が溶融する問題を回避して、所望の輸送効果が達成される高出力の放電ランプを提供することができる。
また、銀(Ag)、銅(Cu)および金(Au)は、いずれも、タングステン(W)と合金を形成するものではないので、陽極4の密閉空間12内において溶融しても安定状態にあり、熱輸送体として機能する。
このように、陽極4を構成する金属に比較して低い融点を有する伝熱体13を、陽極4の密閉空間12内に封入することにより、電極先端部11が過熱状態となることを防止することができるため、放電ランプの電流を増大させても、陽極4が溶融することを防止できる。したがって、放電ランプに大きな電流を流すことが可能となり、放電ランプの大出力化が達成される。
また、伝熱体13として封入する金属の大気圧における沸点をT(℃)としたとき、伝熱体13の常温時における封入量M(体積%)がM<0.041T−7.5の範囲であれば、溶接のために加熱する際に、伝熱体13が相当に高温となることを防げる。
このように、伝熱体13として封入する金属の沸点に応じて伝熱体13の封入量を調整すれば、基体部20と蓋部30とを溶接する際に伝熱体13が過熱状態となって飛散することや、気体状態となることを防止できる。したがって、基体部20と蓋部30との間に伝熱体13が入り込むことがなく、溶接部14を高い溶接強度で気密に封止することができ、かつ、伝熱体13がガス導入孔36を閉塞することがない。
続いて、本発明の実施例について説明する。
〔実験例1〕
上記した製造方法によって図2に示す電極構造を有する陽極を製作し、溶接部が密閉封止されているか否か調べた。
陽極の構成は下記の通りである。
<仕様>
・陽極 材質:タングステン、軸方向長さ:55mm、胴部外径:29mm、密閉空間:9100mm
・内部リード棒 材質:タングステン、外径:6mm
伝熱体の材質として、銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、インジウム(In)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)を用いた場合に、密閉空間の体積に対して伝熱体の封入量を20体積%〜90体積%とした陽極を実験対象とした。
陽極の基体部の内部空間内に伝熱体を充填し、基体部側突合せ面と蓋部側突合せ面とを当接させ、基体部側フランジ部と蓋部側フランジ部との重なり部分を外側から加熱してアーク溶接した。アーク中に伝熱体を構成する金属の発光色が観測されたとき、溶接部に伝熱体が入り込んで密閉封止できなかった。このように、アーク中に伝熱体を構成する金属の発光色が観測されたときを×とし、観測されなかったときを○とした。
図3は上記実験の結果を示す。
縦軸は伝熱体の常温時における封入量(体積%)を示し、横軸は伝熱体として封入する金属の大気圧における沸点(℃)を表している。各伝熱体の材料に対して、実験結果をプロットした。
伝熱体として銅(Cu)を用いた場合には、沸点が2580℃であり、封入量を90体積%以下とすれば溶接部を密閉封止できた。
伝熱体として錫(Sn)を用いた場合には、沸点が2270℃であり、封入量を85体積%以下とすれば溶接部を密閉封止できた。
伝熱体として銀(Ag)を用いた場合には、沸点が2184℃であり、封入量を80体積%以下とすれば溶接部を密閉封止できた。
伝熱体としてインジウム(In)を用いた場合には、沸点が2000℃であり、封入量を75体積%以下とすれば溶接部を密閉封止できた。
伝熱体として亜鉛(Zn)を用いた場合には、沸点が906℃であり、封入量を25体積%以下とすれば溶接部を密閉封止できた。
伝熱体として亜鉛(Zn)に銅(Cu)を20mol%添加した混合物を用いた場合には、沸点が929℃と導出され、封入量を30体積%以下とすれば溶接部を密閉封止できた。
実験の結果、伝熱体として封入する金属の大気圧における沸点をT(℃)としたとき、伝熱体の常温時における封入量M(体積%)が以下の範囲であれば、溶接部を密着封止できることがわかった。
M<0.041T−7.5
〔実験例2〕
実験例1に比べて陽極の寸法を大きくしたものを用いて、実験例1と同様に溶接部が密閉封止されているか否か調べた。具体的には、陽極の仕様として、胴部外径を29mmから35mmに変更したものを測定対象とした。ただし、伝熱体の材質は銀のみを対象とした。
陽極の構成は下記の通りである。
<仕様>
・陽極 材質:タングステン、軸方向長さ:70mm、胴部外径:35mm、密閉空間:15000mm
・内部リード棒 材質:タングステン、外径:6mm
・伝熱体 材質:銀
密閉空間の体積に対する伝熱体の封入量を75体積%〜90体積%とした陽極を実験対象とした。実験例1と同様に、アーク中に伝熱体を構成する金属の発光色が観測されたときを×とし、観測されなかったときを○とした。
実験結果を以下の表に示す。
Figure 2009252468
封入量を80体積%以下とすれば溶接部を密閉封止できた。
また、実験例1の結果に示すように、実施例1に用いた仕様の陽極に、伝熱体として銀を封入したときも、封入量を80体積%以下とすれば溶接部を密閉封止できた。実施例2において用いた陽極は、実施例1において用いた陽極の寸法を大きくしたものであるが、どちらも実際の放電ランプの陽極として用いられる大きさのものである。
実験の結果より、陽極の寸法は、発光管の内部に配置して陽極として使用され得る範囲内であれば、寸法に変更を加えても、溶接部を密閉封止できる伝熱体の封入量の上限に変わりはないことがわかった。
また、今回アーク溶接で実験を行ったが、レーザ溶接の場合も、基体部側フランジ部と蓋部側フランジ部を溶融させて溶接するので、伝熱体封入量は溶接方法にかかわらず、同様の結果が得られる。
本発明の放電ランプの一例における構成を示す説明用断面図 本発明の放電ランプの陽極の説明用断面図 本発明の実験の結果 従来の放電ランプの陽極の説明用断面図
符号の説明
1 放電容器
4 陽極
11 電極先端部
12 密閉空間
13 伝熱体
14 溶接部
20 基体部
30 蓋部

Claims (2)

  1. 放電容器の内部に当該放電容器の管軸方向において対向するように一対の電極が配置され、前記電極の一方が、基体部と蓋部とが溶接されることにより形成された密閉空間の内部に、前記基体部を構成する金属よりも融点が低い金属からなる伝熱体が封入されて構成される放電ランプにおいて、
    前記伝熱体として封入する金属の大気圧における沸点をT(℃)としたとき、前記伝熱体の常温時における封入量M(体積%)が
    M<0.041T−7.5
    の関係を有することを特徴とする放電ランプ。
  2. 前記伝熱体の常温時における封入量M(体積%)は90体積%以下であることを特徴とする請求項1に記載の放電ランプ。
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