JP5167980B2 - 放電ランプ - Google Patents

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Description

本発明は、放電ランプに係わり、特に、投影露光装置、光化学反応装置等の光源として用いられるショートアーク型放電ランプに関する。
従来から放電ランプとしては種々のものが知られているが、発光管内に水銀が封入された放電ランプは、波長365nmのi線や、波長435nmのg線を放出する発光特性を有することから、例えば、半導体ウェハ、液晶基板等の露光処理に用いられる露光装置用の光源として使用されている。このような放電ランプは、露光処理を高い処理効率で実行できるよう、高出力化が強く要求されている。
放電ランプを高出力化するためには、通常、定格電力を大きくすることが行われるが、この場合、通常、定格電流も大きくなる。その結果、特に、直流点灯される放電ランプにおける陽極は、これに衝突する電子の量が多くなるために容易に高温度となって溶解してしまう問題を生じる。また、一対の電極が垂直方向に対向する姿勢で点灯される放電ランプにおいては、発光管内の熱対流等の影響も加わり、上方に位置する電極は、アークからの熱によって高温となってより一層溶解され易くなる。電極の先端部が溶解した場合には、アークが不安定になるばかりでなく、蒸発した電極を構成する物質が発光管の内壁に付着することにより、放電ランプから放射される光量が低下するという問題を生ずる。
このような問題を解決する手段として、特許文献1には、放電ランプの電極の内部に形成された密閉空間内に、電極を構成する金属より融点の低い金属からなる伝熱体を封入した構造を有する陽極が示されている。
図7は、特許文献1に示される陽極の構成を示す断面図である。
同図に示すように、陽極100には、有底円筒状の基体部101の内部空間内に、蓋部103における円柱状の嵌入部104が嵌入された状態で、基体部101と蓋部103とが、互いに当接され、周方向の側面全体にわたって溶接されて構成されている。このように構成することにより、陽極100の内部に密閉空間102が形成される。密閉空間102内には、陽極4を構成するタングステンより融点が低い金属からなる伝熱体105が封入されている。
上記のような構成を有する陽極100を備える放電ランプによれば、点灯時において陽極100の内部に封入された伝熱体105が溶融して液体状となって密閉空間102内で対流することによって、陽極100の鉛直方向下方側に位置する電極先端部106の近傍に蓄積された熱が、陽極100の内部リード側107に向けて高い効率で輸送され、これより電極先端部106が過熱状態になることが防止され、電極先端部106の溶解を防ぐことができる。
特開2007−305570号公報
しかしながら、上記のような構成を有する陽極100を備える放電ランプにおいては、数時間点灯しただけで電極先端部106が膨らみ、または凹む変形が生じ、さらに点灯を続けると伝熱体105が密閉空間102から漏れ出すという不具合を生じることが分かった。密閉空間102から漏れ出した伝熱体105は、発光管の内壁に付着することにより、放電ランプから放射される光を遮り、急激な照度低下を招くという問題を生じる。
本発明の目的は、上記の問題点に鑑み、放電ランプの点灯時に、電極の密閉空間内に封入された伝熱体が所望の輸送効果を奏すると共に、電極先端部の変形を抑制して、伝熱体が密閉空間から漏れ出すことによる急激な照度低下の発生を防止し、高出力化を可能にした放電ランプを提供することにある。
本発明は、上記の課題を解決するために、次のような手段を採用した。
発光管の両端に封止管が連設されてなる放電容器の内部空間に、前記発光管の管軸方向において対向する1対の電極を配置し、前記電極の一方が、基体部と蓋部とが嵌合されて溶接されることにより形成された密閉空間の内部に、前記基体部を構成する金属がタングステン(W)であって、該金属よりも融点が低い、銀(Ag)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)錫(Sn)のいずれかの金属からなる伝熱体が封入された放電ランプにおいて、該放電ランプに加えられる入力電力をW(kW)、前記発光管の軸方向の長さをL(cm)、前記発光管の最大外径をD(cm)としたとき、管壁負荷w(kW/cm)がW/(πLD)(kW/cm)で与えられ、前記放電容器の単位容積当りの封入量をn(μmol/cm)としたとき、n×w(μmol/cm・kW/cm)を前記内部空間の圧力PLampに関するパラメータXとし、常温の前記密閉空間の圧力P(kPa)、室温における前記密閉空間の内容積をVWO(cm)、室温における前記伝熱体の容積をVMO(cm)とし、VMO/VWOをtとおいたとき、[(1−t)/(1.03−1.2t)]・P(kPa)を前記密閉空間の圧力Panodeに関するパラメータYとし、前記内部空間の圧力PLampに関するパラメータXと前記密閉空間の圧力Panodeに関するパラメータYが、78X−17≦Y≦87X+290の関係を有することを特徴とする放電ランプである。
本発明によれば、電極の密閉空間内に熱輸送体である伝熱体が封入されるので、放電ランプの点灯時に、伝熱体が溶融して電極の密閉空間の内部において対流が発生するので、電極先端部において発生した熱が効率的に電極後端部側に熱輸送されるので、電極先端部の過熱状態が防止され、電極が溶融する問題を回避することができる。
また、陽極の密閉空間内に熱輸送体である伝熱体が封入されるため、電極先端部の過熱状態が防止されるので、放電ランプの電流流量を増大しても、陽極が溶融することがなく、放電ランプに大きな電流を流すことができ、放電ランプの高出力化が可能となる。
また、78X−17≦Y≦87X+290の関係を満たすことにより、電極先端部の変形を抑制でき、伝熱体が密閉空間から漏れ出すことを防止することができる。
本発明の一実施形態を図1ないし図6を用いて説明する。
図1は本実施形態の発明に係る放電ランプの構成を示す断面図である。
同図に示すように、放電ランプは、例えば、石英ガラス等の光透過性材料よりなり、概略球状の発光管2とその両端に連続して外方に伸びる封止管3とを有する放電容器1を備え、発光管2の内部には、各々、例えば、タングステン(W)からなる陽極4および陰極5が対向配置されている。放電ランプは、放電容器1の管軸が地面に対して垂直方向に支持されて点灯される、いわゆる垂直点灯型の放電ランプである。放電容器1の内部空間8には、発光物質または始動補助用ガスとしての水銀およびバッファガスが各々所定の封入量で封入される。バッファガスは、例えば、キセノンガスが封入される。水銀の封入量は、例えば、1〜70mg/cmの範囲内、例えば、22mg/cmであり、キセノンガスの封入量は、例えば、0.05〜0.5MPaの範囲内、例えば、0.1MPaである。
放電容器1内には、陽極4または陰極5が先端に固定された内部リード6が封止管3内をその管軸に沿って伸びるよう配設されている。陽極4が上に、陰極5が下に配置される、すなわち、陰極5と対向する電極先端部7が下方に位置する状態となっている。陽極4および陰極5は、いずれも高融点金属からなり、具体的には、タングステン(W)、レニウム(Re)、タンタル(Ta)等の融点が約3000℃以上の金属により構成される。これらの金属の中でも特に、タングステン(W)が好ましい。
この放電ランプに、図示を省略した点灯電源によって陽極4と陰極5との間に高電圧、例えば、20kVが印加されると、電極4,5間で絶縁破壊が生じ、それに続いて放電アークが形成され、例えば、波長365nmのi線や波長435nmのg線を含む光が放射される。
図2は、図1に示した陽極4の拡大断面図である。
同図に示すように、陽極4は、基体部20と蓋部30とが嵌合されて溶接されることにより形成された密閉空間9の内部に伝熱体10が気密に封入されて構成される。陽極4の先端部側に基体部20が配置され、陽極4の内部リード6側に蓋部30が配置される。基体部20は、蓋部30に対向する端面に開口21を有し、電極先端部7に底面22を有する有底筒状に形成されている。蓋部30は、円錐台形の蓋部側フランジ部31の中央から突出するように円柱状の嵌入部32が形成されている。基体部20は、有底筒状に形成され、胴部25の厚みが4mm以上、底面22の厚みが4mm以上となる密閉空間9が形成されている。電極先端部7にはテーパ面が形成され、先細り形状となっている。なお、底面22の厚みは4mm未満の場合は、始動時に固体状態の伝熱体10が熱膨張して陽極4との熱膨張との差によって陽極4が割れてしまう問題がある。
基体部20は、開口21に基体部側フランジ部23が形成されている。基体部側フランジ部23は、開口21に形成された径方向に平坦なリング状の基体部側突合せ面23aと、基体部側突合せ面23aの外周縁から基体部20の側面に接続する基体部側斜面23bとを有している。基体部20には、基体部側フランジ部23に連接して縮径部24が形成されているので、基体部側フランジ部23は径方向外方に突出するように設けられているが、基体部側フランジ部23の外径が基体部20の胴部25の外径より小さくなるように形成することができる。
蓋部30は蓋部側フランジ部31と嵌入部32とにより構成される。蓋部側フランジ部31が円錐台形状に形成され、嵌入部32が円柱状に形成されている。蓋部側フランジ部31の外径が、基体部側フランジ部23の外径にほぼ一致するように形成されている。蓋部30の蓋部側フランジ部31の中央には、上端面34に開口を有する内部リード用孔33が形成されている。この内部リード用孔33に内部リード6が圧入されて、陽極4と内部リード6とが接続される。蓋部側フランジ部31の基体部20と対向する下面は、径方向に平坦なリング状の蓋部側突合せ面31aとなっている。蓋部側突合せ面31aの外周縁から径方向内側に伸びる蓋部側斜面31bが形成されているので、蓋部側フランジ部31は内部リード6側が縮径した円錐台形状となっている。
基体部20の基体部側突合せ面23aと蓋部30の蓋部側突合せ面31aとが溶着されて、陽極4の内部に密閉空間9が形成される。密閉空間9には、伝熱体10が封入される。なお、密閉空間9における伝熱体10が占める領域以外の空間をガス空間12と呼ぶ。
なお、本発明の陽極4の構成は、図2に示した陽極4の構成に限られず、適宜変更可能である。
次に、図2に示した陽極4の製造方法について説明する。
先ず、タングステンからなる円柱状部材に対し切削加工を施すことにより、基体部20および蓋部30を作製する。基体部20の内部空間内に伝熱体10を充填する。伝熱体10は、密閉空間9内の体積に対して、75〜83体積%封入することが好ましい。伝熱体10としては、陽極4を構成する金属に比較して低い融点を有する金属が用いられる。例えば、陽極4をタングステン(W)で構成した場合には、銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、インジウム(In)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)等が用いられ、特に、銀(Ag)、銅(Cu)または金(Au)が好ましく、特に好ましいのは銀(Ag)である。これらの金属は、いずれもタングステン(W)と合金を形成するものではないので、陽極4の密閉空間内において溶融しても安定状態にあり、熱輸送体として有効に機能する。
次に、基体部20の開口21に蓋部30の嵌入部32を挿入し、基体部側突合せ面23aと蓋部側突合せ面31aとを当接させ、基体部側フランジ部23と蓋部側フランジ部31との重なり部分を外側から加熱して溶接する。溶接工程が完了し、基体部20と蓋部30が溶着されて密閉空間9が形成された陽極4には、蓋部30に形成された図示が省略されたガス導入孔からガス空間12内に希ガスが所定の圧力となるように導入される。希ガスの封入完了後、蓋部30に形成された内部リード用孔33内に内部リード6の一端部が押圧手段によって圧入される。
陽極4を構成する基体部20と蓋部30との溶接時、溶接部11の温度は3660Kとなり、その他の部分の温度も低くとも1000K以上になる。大気圧の下で溶接工程を行えば、溶接時の温度におけるガス空間12の圧力は0.1MPaとなる。溶接工程後に、希ガスを導入することにより陽極4のガス空間12内を所定の圧力となるように調整することができる。
一方、放電容器1の内部空間8には、発光物質または始動補助用のガスとして水銀およびバッファガスが各々所定の封入量で封入される。放電ランプの点灯時には、水銀は蒸気となって発光物質となる。したがって、放電ランプ点灯時の放電容器1の内部空間8の圧力は、消灯時より高くなり、例えば、2MPaとなる。
伝熱体10が封入されている密閉空間9は、溶融した伝熱体10が流出しないように気密封止されているため、放電容器1の内部空間8とは区別された空間を形成し、異なる圧力を有するように構成される。放電容器1の内部空間8の圧力と、陽極4のガス空間12の圧力との差が大きい場合には、電極先端部7が凹んだり、逆に、電極先端部7が膨らんだりする。放電ランプの点灯時には、電極先端部7に電子が衝突して温度が高くなるため、高温クリープにより電極先端部7が変形する。なお、クリープとは、一定の温度、一定の応力を受ける材料が、ある時間を過ぎた後に生じる変形をいう。放電容器1の内部空間8の圧力と、陽極4のガス空間12の圧力との差が小さくなるように調整できれば、電極先端部7が受ける応力が低減され、クリープ現象によって生じる変形を抑制することができる。また、電極先端部7の変形が抑制できれば、伝熱体10が密閉空間9から漏れ出すことも防止することができ、漏れ出すことによる急激な照度低下も防止することができる。
次に、放電容器1の内部空間8の圧力PLampについて説明する。
放電容器1の内部空間8の圧力PLampは、発光物質または始動用ガスとして封入される水銀やバッファガス等の封入物の量に依存する。水銀やバッファガスの封入量が増大すると、放電ランプ点灯時に放電容器1の内部空間8に気体となって存在する物質が増加するため、放電容器1の内部空間8の圧力は増大する。水銀やバッファガス等の封入物の量は、放電容器1の単位容積当りの封入量n(μmol/cm)として表すことができる。また、放電容器1の内部空間8の圧力PLampは、放電ランプに加えられる入力電力W(kW)の値にも依存する。ボイル・シャルルの法則より、一定体積の容器に封入された理想気体の圧力は絶対温度に比例する。一般的に入力電力W(kW)の値が大きいほど、印加されるエネルギーも大きく、内部空間8の温度も高くなる。
しかしながら、内部空間8の体積によっても、内部空間8の温度に与える影響も異なるので、入力電力W(kW)を放電容器1の表面積M(cm)で除した量である管壁負荷w=W/M(kW/cm)を指標として用いる。管壁負荷w(kW/cm)が増大すると、放電容器1の内部空間8の圧力が増大することがわかっている。
放電容器1の表面積M(cm)は、放電容器1の発光管2の軸方向の長さをL(cm)、発光管2の最大外径をD(cm)とするとき、πLD(cm)と近似して表される。したがって、管壁負荷w(kW/cm)はW/(πLD)(kW/cm)で与えられる。なお、発光管2の軸方向の長さL(cm)は、図1に示すように、管軸に沿って切断した断面図において、上端を発光管2の外表面の陽極4側の変曲点とし、下端を発光管2の外表面の陰極5側の変曲点とし、その間の離間距離をいう。また、発光管2の陽極4の外表面に2以上の変曲点が存在するときは、内部空間8の中央側となる陽極4に最も近い変曲点を上端とする。同様に、発光管2の陰極5側の外表面に2以上の変曲点が存在するときも、陰極5に最も近い変曲点を下端とする。
このような関係により、放電容器1の内部空間8の圧力は、水銀やバッファガス等の封入物の量n(μmol/cm)と、管壁負荷w(kW/cm)の大きさに比例するといえる。したがって、放電容器1の内部空間8の圧力PLampは、n×w(μmol/cm・kW/cm)に密接に関連するパラメータとして表すことができる。
次に、陽極4のガス空間12の圧力Panodeについて説明する。
放電ランプの点灯時には、陽極4の温度も上昇するため、陽極4を構成する基体部20と蓋部30も、密閉空間9に封入される伝熱体10も、熱膨張する。基体部20と蓋部30とを形成する金属に比べて、伝熱体10を形成する金属は熱膨張率が高いため、密閉空間9はそれほど拡張されないにもかかわらず、伝熱体10が膨張する。したがって、放電ランプの点灯時におけるガス空間12に封入されている気体の存在領域が伝熱体10の膨張により狭まるため、ガス空間12の圧力Panodeは上昇する。
室温における密閉空間9の内容積をVWO(cm)とし、点灯時の密閉空間9の容積をV(cm)とし、室温における伝熱体10の容積をVMO(cm)、点灯時の液体となっている伝熱体10の容積をV(cm)とする。常温におけるガス空間12に封入されている気体の存在領域は、VWO(cm)−VMO(cm)と示される。また、放電ランプの点灯時におけるガス空間12に封入されている気体の存在領域は、V(cm)−V(cm)と示される。
文献「編者 財団法人日本金属学会“金属データブック”改定2版 丸善株式会社発行1984」によれば、タングステン(W)に関して、27℃(室温)における密度は19.3g/cmである。1000℃〜3000℃の各温度での線膨張率を内挿し、線膨張率の3倍を体積膨張率として計算すると、2000K(点灯時)における密度は、18.8g/cmと求められる。したがって、室温状態に対する点灯時におけるタングステン(W)の体積膨張率は1.03となることがわかる。
これらの結果より、基体部20と蓋部30とをタングステン(W)により形成し、室温を27℃、点灯時の陽極4の温度を2000Kとすれば、点灯時の密閉空間9の容積V(cm)は、室温における密閉空間9の内容積をVWO(cm)の1.03倍となることがわかる。すなわち、V(cm)=1.03×VWO(cm)なる関係が導出される。点灯時の密閉空間9の内容積V(cm)は、加熱による膨張がそれほど大きくなく、加熱により膨張する内容積の量は3×10−2と、有効数字1桁で表すことができる。
文献「編者 財団法人日本金属学会“金属データブック”改定2版 丸善株式会社発行1984」によれば、銀(Ag)に関して、27℃(室温)における密度は10.49g/cmである。液体時の密度を外挿すると、2000K(点灯時)における密度は8.69g/cmと求められる。したがって、室温状態に対する点灯時における銀(Ag)の体積膨張率は1.2となることがわかる。
また、銅(Cu)に関して、27℃(室温)における密度は8.93g/cmである。液体時の密度を外挿すると、2000K(点灯時)における密度は7.43g/cmと求められる。したがって、室温状態に対する点灯時における銅(Cu)の体積膨張率は1.2となることがわかる。
また、亜鉛(Zn)に関して、27℃(室温)における密度は7.13g/cmである。液体時の密度を外挿すると、2000K(点灯時)における密度は5.76g/cmと求められる。したがって、室温状態に対する点灯時における亜鉛(Zn)の体積膨張率は1.2となることがわかる。
また、錫(Sn)に関して、27℃(室温)における密度は7.29g/cmである。液体時の密度を外挿すると、2000K(点灯時)における密度は6.00g/cmと求められる。したがって、室温状態に対する点灯時における錫(Sn)の体積膨張率は1.2となることがわかる。
これらの結果より、伝熱体10を銀(Ag)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)または錫(Sn)により形成し、室温を27℃、点灯時の伝熱体10の温度を2000Kとすれば、点灯時の伝熱体10の容積V(cm)は、室温における伝熱体10の内容積VMO(cm)の1.2倍となることがわかる。すなわち、V(cm)=1.2×VMO(cm)なる関係が導出される。点灯時の伝熱体10の容積V(cm)は、加熱による膨張が、密閉空間9の内容積の膨張に比べて大きく、加熱により膨張する容積の量は2×10−1と、有効数字1桁で表すことができる。
ボイル・シャルルの法則より、理想気体の圧力P、体積V、温度Tは、PV/T=一定となる。これを考慮すると、点灯時のガス空間12の圧力Panode(kPa)と気体の存在領域V(cm)−V(cm)との積は、常温のガス空間12の圧力P(kPa)と気体の存在領域VWO(cm)−VMO(cm)との積に比例する。したがって、ガス空間12の圧力Panodeは、[(VWO−VMO)/(V−V)]・P(kPa)に密接に関連するパラメータとして表すことができる。
さらに、Vを1.2VMOとし、Vを1.03VWOとし、VMO/VWOをtとおくと、ガス空間12の圧力Panodeを、[(1−t/(1.03−1.2t)]・P(kPa)に関連するパラメータとして表すことができる。
次に、圧力PLampと圧力Panodeとの関係について説明する。
放電容器1の内部空間8の圧力PLampと、ガス空間12の圧力Panodeとが、一定の関係にあれば、電極先端部7の外側から受ける圧力PLampと内側から受ける圧力Panodeとが均衡すると考えられるので、電極先端部7の変形を抑制でき、伝熱体10が密閉空間9から漏れ出すことを防止することができる。
具体的には、n×W/(πLD)をXとし、[(1−t)/(1.03−1.2t)]・PをYとしたとき、以下の関係を満たすことによって達成される。
78X−17≦Y≦87X+290
ただし、パラメータXに関しては、放電容器1の単位容積当りの封入量n(μmol/cm)、入力電力W(kW)、発光管2の軸方向の長さL(cm)、発光管2の最大外径D(cm)とし、n×W/(πLD)をXとする。また、パラメータYに関しては、tをVMO/VWOとし、室温における密閉空間9の内容積VWO(cm)、室温における伝熱体10の容積VMO(cm)、常温のガス空間12の圧力P(kPa)とする。
次に、放電ランプにおける各変数の測定方法について説明する。
(1)放電容器1の単位容積当りの封入量n(μmol/cm)については、希ガス量は、放電容器1の発光管2に小さな孔を開けて、水上置換方式で内部空間に封入されていた希ガスを捕集することによって秤量する。また、水銀量は、水銀は常温常圧で液体として存在するので、放電容器1の発光管2を破損して集めることによって測定する。
(2)放電容器1の管壁負荷w(kW/cm)については、入力電力W(kW)を測定し、放電容器1の形状より発光管2の軸方向の長さをL(cm)および発光管2の最大外径D(cm)を測定する。
(3)常温のガス空間12の圧力P(kPa)については、陽極4を構成する基体部20と蓋部30との溶接部11を万力で挟み、万力で挟まれた状態のまま水槽に入れる。溶接部11を分離し、水上置換方式でガス空間12に封入されていたガスを捕集することによって、ガス量を定量的に測定する。
(4)室温における密閉空間9の内容積VWO(cm)については、陽極4の全重量を測定した後、基体部20と蓋部30とに分解して、伝熱体10を溶かして取り除く。その後、陽極4の密閉空間9の内容積VWO(cm)を測定する。
(5)室温における伝熱体10の容積VMO(cm)については、伝熱体10を取り除いた後の陽極4の重量を測定する。伝熱体10が封入されていた電極4の全重量から、伝熱体10を取り除いた後の陽極4の重量を差し引くことにより、伝熱体10の重量が分かる。それを伝熱体10の密度で割ると、室温における伝熱体10の容積VMO(cm)が算出される。ただし、溶かした伝熱体10の元素分析により元素を特定しておく。
次に、本発明に係る実験および実験結果について説明する。
まず、測定対象とする放電ランプを20本用意する。これらの放電ランプの陽極の基体部の底面の厚みは4mmである。各々の放電ランプについて、まず、ランプ番号を付与して200時間点灯し、点灯後の電極先端部の形状を観察し、点灯後の電極先端部の形状を、ランプ番号ごとに記録した。続いて、放電容器の発光管を破壊して放電容器の内部空間の圧力PLampに関するパラメータXを測定した。具体的には、封入量n(μmol/cm)、入力電力W(kW)、発光管の軸方向の長さL(cm)、発光管の最大外径D(cm)を測定した。図3はその測定結果を示す表である。
続いて、陽極4の溶接部を破壊して密閉空間の圧力Panodeに関するパラメータYを測定した。具体的には、常温の密閉空間の圧力P(kPa)、室温における密閉空間の内容積VWO(cm)、室温における伝熱体の容積VMO(cm)を測定した。図4はその測定結果を示す表である。
図5は、放電容器の内部空間の圧力PLampに関するパラメータX(n×W/(πLD))と、密閉空間の圧力Panodeに関するパラメータY([(1−t)/(1.03−1.2t)]・P)とについて測定し、点灯後の電極先端部の形状に関して、変化が見られなかったものを「○」、膨らみまたは凹みが生じたものを「×」とした測定結果を示す表である。
図6は、図5に示した測定結果をグラフにプロットしたものであり、縦軸は、密閉空間の圧力Panodeに関するパラメータYを示し、横軸は、放電容器の内部空間の圧力PLampに関するパラメータXを表している。網掛け部分が、200時間点灯後も電極先端部の形状に変化が見られなかったものの範囲である。すなわち、放電容器の内部空間の圧力と、陽極の密閉空間の圧力との差が小さく、伝熱体が密閉空間から漏れ出すことを防止できる放電ランプの範囲である。
図6に示した範囲のうち、電極先端部の形状に変化が見られなかったものの範囲の下限は、Y=78X−17であった。また、電極先端部の形状に変化が見られなかったものの範囲の上限は、Y=87X+290であった。すなわち、密閉空間の圧力Panodeに関するパラメータYは、放電容器の内部空間の圧力PLampに関するパラメータXに対して、78X−17以上であり、かつ、87X+290以下であるとき、電極先端部の外側から受ける圧力PLampと内側から受ける圧力Panodeとが均衡していると考えられ、電極先端部の変形が抑制でき、伝熱体が密閉空間から漏れ出すことを防止できることが分かる。また、上記条件は陽極の基体部の底面の厚みとしてとり得る値の最小値である4mmの場合において漏れ出すことを防止できるものなので、底面の厚みを4mm以上として剛性を高めたときは、上記条件を満たせば当然に伝熱体が漏れ出すこと防止できる。
本発明に係る放電ランプの構成を示す断面図である。 図1に示した陽極4の拡大断面図である。 パラメータXに係る諸データの測定結果を示す表である。 パラメータYに係る諸データの測定結果を示す表である。 パラメータXとパラメータYとの測定結果に基づく、点灯後の電極先端部の形状に係る評価結果を示す表である。 図5に示した測定結果のグラフ表示である。 特許文献1に示される陽極の構成を示す断面図である。
符号の説明
1 放電容器
2 発光管
3 封止管
4 陽極
5 陰極
6 内部リード
7 電極先端部
8 内部空間
9 密閉空間
10 伝熱体
11 溶接部
12 ガス空間
20 基体部
21 開口
22 底面
23 基体部側フランジ部
23a 基体部側突合せ面
23b 基体部側斜面
24 縮径部
25 胴部
30 蓋部
31 蓋部側フランジ部
31a 蓋部側突合せ面
31b 蓋部側斜面
32 嵌入部
33 内部リード用孔
34 上端面

Claims (1)

  1. 発光管の両端に封止管が連設されてなる放電容器の内部空間に、前記発光管の管軸方向において対向する1対の電極を配置し、前記電極の一方が、基体部と蓋部とが嵌合されて溶接されることにより形成された密閉空間の内部に、前記基体部を構成する金属がタングステン(W)であって、該金属よりも融点が低い、銀(Ag)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)錫(Sn)のいずれかの金属からなる伝熱体が封入された放電ランプにおいて、
    該放電ランプに加えられる入力電力をW(kW)、前記発光管の軸方向の長さをL(cm)、前記発光管の最大外径をD(cm)としたとき、管壁負荷w(kW/cm)がW/(πLD)(kW/cm)で与えられ、前記放電容器の単位容積当りの封入量をn(μmol/cm)としたとき、n×w(μmol/cm・kW/cm)を前記内部空間の圧力PLampに関するパラメータXとし、
    常温の前記密閉空間の圧力P(kPa)、室温における前記密閉空間の内容積をVWO(cm)、室温における前記伝熱体の容積をVMO(cm)とし、VMO/VWOをtとおいたとき、[(1−t)/(1.03−1.2t)]・P(kPa)を前記密閉空間の圧力Panodeに関するパラメータYとし、
    前記内部空間の圧力PLampに関するパラメータXと前記密閉空間の圧力Panodeに関するパラメータYが、78X−17≦Y≦87X+290の関係を有する
    ことを特徴とする放電ランプ。
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